平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

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〇41番(伊藤勢至君) 希望・みらいフォーラムの伊藤勢至であります。
 平成19年7月の参議院通常選挙で、小沢一郎代表の民主党は、国民の生活が第一を政治目標とし、これを実現するための政策が国民に支持されて参議院選挙に圧勝しました。次いで平成21年8月の衆議院総選挙では、この理念と政策を深化させ、圧倒的な支持のもと、歴史的な政権交代を実現させたのであります。ところが、国民との最大の公約であった、任期中4年間、消費税は上げないとの公約が、社会保障と税の一体改革との名目のもと、民主、自民、公明との3党合意で、2年後に8%、3年後に10%の消費税増税が可決、決定したのであります。現在5%の消費税が2年後に8%、3年後に10%になります。生活必需品ごと10%の消費税を、長期不況とデフレが続く最悪の経済状態で、しかも大震災津波と福島原発の被災者が救済されないままでの実施となります。大震災に係る税制上の若干の減免や免除制度が実施されている一方、大企業には消費税還付と転移で負担が軽くなる制度は温存されたままであり、消費税を転嫁できない零細、中小企業は最悪の事態が予測されます。
 復興が佳境に入るころ、重篤な入院患者を見舞いながらバケツで水をかけるようなやり方、このような国政の状況の中、尊敬する小沢一郎先生が国民の生活が第一を旗上げされました。代議士として、国民との約束を守ることを信念と矜持を持って決断されたことに賛同し、志を同じくする議員10人で県議会新会派、希望・みらいフォーラムを結成するに至りました。千年に一度という東日本大震災津波の被害を受けた本県130万3、672人の今最も願うことは、希望を持って前に進み、未来を創造していくことにあると考えました。岩手県民の最大幸福を願う県議会として、それが岩手山の頂上にあるならば、切磋琢磨しつつ頂上を目指そうではありませんか。登り口は東西南北それぞれあろうと思いますので、他の登り口を否定するものではありませんが、大いに議論を交わしてまいりたいと考えております。議長を初め各議員の皆様、知事初め執行部の皆様、そして各報道機関の皆様にも御理解と御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 この際、被災県である岩手県の知事として、消費税増税が本県に与える影響、福島原発が収束していない状況等について、復興元年に当たりどのようにお考えかお伺いいたします。
 次に、瓦れき処理について伺います。
 県を挙げての取り組みに敬意を表します。当初、435万トンと推定されたものが現時点で525万トンと修正されました。これもいたし方のないことと思います。膨大な量、しかも放射能汚染の件と絡み、広域処理をお願いしてもなかなか進まない状況にあります。県議会でも手分けをして全国都道府県にお願いしてまいりましたが、エイキタ、オーとはいかないものだと思いました。
 その際考えさせられましたのは、岩手県も全力で自県処理に努めていますが、どうしても間に合わないので、何とか広域処理に御協力をお願いしますということが本当だろうかということでした。県内の一般廃棄物の焼却施設は、津波被害を受けた沿岸市町村には3施設、放射能被害の除染に取り組まなければならない県南地域には3施設あり、震災からの影響を受けていないところは県央、内陸部を中心に10施設しかありません。こうした状況の中で、今、本県は他県に広域処理を呼びかけているわけですが、岩手県自身、市町村の協力を得て、自力でやれることは全力を挙げて取り組んでいますと言える状況にあるのでしょうかお伺いします。
 東京都は、いち早く岩手県と宮城県の瓦れき処理を合計50万トン引き受けると発表しましたが、私は、また猪瀬副知事にやられたと思いました。福島原発で発電している電気のほとんどを東京が消費しています。民主主義の原点は原因者負担であります。福島県の瓦れきは100%、電気を消費している東京都がやるべきが筋であります。東京都が50万トンを打ち出したために、他の引き受けてくれる自治体はいずれも50万トンを下回った数値を出しています。東京都は交付税不交付団体であることを強調しますが、東京都を構成する千代田区から港区までの23区には、消費税が3%から5%に上がった際の1%は地方に還元するとの約定により、23区に平均70億円の地方消費税交付金が交付されているのです。70億円平均掛ける23区、1年に1、610億円が東京23区に交付されています。消費税5%になったのが平成9年ですから、以来15年、1、610億円掛ける15年、実に2兆4、150億円が交付されているのであります。東京都はかつて1、000億円を拠出して新東京銀行を創設しましたが、3年で破綻しました。石原都知事、猪瀬副知事の壮大なマネー遊びでした。この批判をかわそうとしたのが北京オリンピック後の東京オリンピック誘致運動でした。いずれ日本国の首都たる東京都は首都直下型の地震の襲来に備えるべきであり、今回の東日本大震災の被災3県と真の助け合いの連携を図るべき責務を持っていると思います。50万トンをもっとふやしてほしいと3県の知事で訴えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、国の補助が平成26年3月に打ち切られるようでありますが、一升瓶には一升しか入らないのでありますから、その時期までに全量処分がかなわないようであれば、今からその延長を願うことも視野に入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、第3のクリーンセンターについてお伺いします。
 先般、処分場2021年に満杯へとの新聞報道がありました。江刺のクリーンセンターが災害廃棄物の受け入れに伴い最終処分場の満杯となる時期が4年ほど早まり、実質的に県内唯一の処分場の寿命が10年を切ったという内容でありました。その中に工藤環境生活部長のコメントとして、新しい処分場が必要との認識は持っている、課題を整理しながら検討を進めたいとの言葉がありました。
 そこで提案いたしますが、その検討の中に、これまでも再三お願いをしてまいりましたが、ぜひ漁業系廃棄物処理施設の併設を図っていただきたいのであります。今回の津波で完膚なきまでたたきのめされた水産業の漁具、漁網、また、養殖業で発生するウニ殻、カキ殻、FRPの船など、平成26年3月までの国の支援での処分は進むと思いますが、その後も必ず発生するもので、江刺や九戸まで運ぶ体力のないゼロからの出発の養殖業の底支えをする意味からも沿岸の中心部に設置していただきたいのであります。ちなみに、震災前、ウニ殻、カキ殻、ワカメ残渣などの漁業系一般廃棄物の年間発生量は1万7、000トン、ロープ、漁網等の漁業系廃プラスチックの年間発生量は2、600トン余りであります。切なる声に応えてこそ善政と言えると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、水産業の復旧、復興について伺います。
 海の怖さをまざまざと感じさせられた津波でありましたが、三陸地域は海に背を向けることなく、水産業を中心とした地域経済を復活させ、海とともに生きていかなければならない宿命にあるものと考えており、水産業の復活には、漁業生産の再建はもとより、加工、流通まで一体的に再生させていかなければなりません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そこで伺います。1、水産業の復旧に欠かせない漁船、定置網、養殖施設、魚市場、加工場の復旧状況と今後の見通しについて、1年半経過した現在どこまで回復が図られているのか。
 2、中核となる漁港は、漁船の安全係留や水産物の陸揚げの場として、また、集出荷や加工、流通の拠点としての機能を果たしていることから、いち早く復旧を図る必要があります。ワカメ等の養殖水産物を陸揚げし、加工を行う小さな漁港の早期復旧も漁業関係者が熱望しているところでありますが、その後の復旧状況と完成の目途はどうなっているか。
 3、せっかく確保した船が台風や低気圧による波浪で損傷することがないように、ホイストクレーンや巻き上げ機の整備も同時進行でやってもらいたい旨、再三頼んできましたが、現状はどうか。全体の完成はいつを予定しているのか。
 4、サケのふ化場の復旧について、昨年、放流直前に津波にのみ込まれた稚魚は、4年後にはほとんど帰らないだろうと思いました。何としても昨年秋の早期群の親魚からの卵の確保を成功させ、ふ化場を復活させ、本年春の放流をしなければ5年後もサケが帰ってこないとの思いから、部長を沿岸地区に迎えて要望等をしてきたところであります。本年の放流は7割程度までできたということですが、回帰率が下がり続けている中で、分母を小さくしてはならないと考えます。サケふ化場の復旧とあわせて回帰率の向上のための研究も進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、アワビの種苗生産施設の復旧についても伺います。
 次に、グループ補助金について伺います。
 地域経済の復興に向けて、国、県がさまざまな施策を実施しておりますが、昨年5月の中小企業等復旧・復興支援事業費補助金、いわゆるグループ補助金が重要な柱となっています。国と県が合わせて4分の3という高率な補助金で再建を目指す事業者にとって効果的な制度で、多くの事業者が利用を希望する状況にあります。本県では、これまで4次にわたって公募を行ってきましたが、その実績と復興への成果がどのような状況であるか、まずお伺いします。
 また、これまでの公募では、予算額を超える応募が殺到したため、何度申請しても採択されない事業者があるという話も聞きます。不採択となったグループとその構成員に、県はどのような対応をしているのでしょうか。事業再建意欲のある事業者を支援しなければ、被災地の復興は進みません。今後の取り組み、9月補正87億円も含めてお示しください。
 加えて、グループ補助金に採択されても、事業者は4分の1の自己負担分の資金手当てをしなければなりません。多くの事業者は、震災前の長い不況やリーマンショックなどによる売り上げが落ち込んでいた中での被災でしたので、資金繰りに苦労しています。そのような自己資金分に高度化スキームによる貸付金が用意されていますが、グループ補助金採択に対応して貸付金がどのような実績であるか、課題と対応も含めてお伺いします。
 次に、災害公営住宅について伺います。
 3.11後の応急仮設住宅設置の取り組みは、初動において手際のいい対応、1週間後に専決処分による債務負担400億円計上でありました。建築場所の選定は市町村に任されましたが、公園については、初めから公園法があるため建てられませんということでしたので、この非常時に何を言っているのかとの思いから、県土整備部に問い合わせたところ、そんなことはありません、非常事態ですからどんどん建ててくださいとの答えであり、すぐそれを地元自治体に伝え、それから公園への建築が始まったのであります。初めから公園法だけが頭にあっての思い込みによるつまずきだったと思います。県土整備部からは、その他いろいろとアドバイスをいただいたことに感謝いたしますし、応急仮設住宅建設に不眠不休で携わった皆様にも敬意を表します。しかし、応急仮設住宅はあくまでも応急なのでありまして、次に来る災害公営住宅の建設こそが本丸なのであります。応急仮設住宅が完成したことで、やれやれと一息ついているのではありませんか。
 昨年の7月ごろ、県では、平成23年度中に750戸、平成24年度に1、000戸、平成25年度に2、000戸の災害公営住宅を建築するとの方針が示されました。私は、地元国会議員との合同報告会を開催した各応急仮設住宅で、20カ所以上、400人近い方々に、県は今年度中に750戸の災害公営住宅に着工します。被災した12市町村に24戸建てのアパートが2棟から3棟は当たるでしょうと報告をしてきました。少しでも希望を持っていただける報告をしたかったからであります。これはどうなっているのですか。
 応急仮設住宅に入居している方々の切なる願いは、イ、ショク、ジュウであります。イは胃袋の胃、つまり健康。ショクは職業の職、働く場の問題。ジュウはまさに住まいであります。
 先般、沿岸第1号となる災害公営住宅が入札となりました。私は、リゾートマンションを建てるつもりなのかと思いました。駐車場は当然手当てされるようですが、水産漁業をなりわいとする人たちには、何よりも資材置き場、物置が必要であります。船に置いたままにできない、さおや箱眼鏡をエレベーターで部屋まで持っていくことはできないのです。このような声にどうお応えするのか、これからの建築に当たって加味していくのか伺います。
 災害公営住宅の建設に当たり、本県では、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市がUR都市機構に委託しているようでありますが、岩手県もそうしているのでしょうか。
 次に、都道府県幸福度ランキングについて伺います。
 昨年11月、人口約71万人のブータン国王夫妻が来日されました。その際、GNH─国民総幸福量ということが大きな話題となりました。時を同じくして11月10日、法政大学大学院政策創造研究科教授坂本光司先生のグループが、47都道府県幸福度ランキングを発表いたしました。さまざまな社会経済統計の中から、地域住民の幸福度を端的に示していると思われる40の指標を抽出、10段階評価を行ったものであります。その結果、1位は福井県、2位は富山県、3位は石川県となり、岩手県は総合平均評点5.88点で、全国順位は22位でありました。ちなみに、最下位は大阪府でありました。
 4部門指標では、生活・家族部門が11位、労働・企業部門が11位と比較的良好ですが、医療・健康部門が41位と低くなっています。犯罪が少なく、人と人とのつながりから見ればとても住みやすい環境にあります。反面、悩みやストレスを相談できる人が少なく、自殺死亡者数が多いのが気になります。弱者や障がい者に優しく、住みやすく、働きやすい県と思われますとの評価でありました。
 東日本大震災津波による大災害を受けた本県は、復旧、復興の途上ではありますが、その先にあるものとしての指標になり得るものと考えますが、知事はこのことについてどのように認識されますか、お伺いをします。
 このランキングの上位3県は、いずれも財政基盤が強いとは言えない北陸であります。ということは、国や自治体が発信する行政の量や質だけでなく、それを受けとめる住民の意識が大きく影響しているのではないか。そして、それは北陸3県の伝統文化、生活文化が、足るを知るという健全で柔軟な生活感や幸福感が背景にあるのではないか。さらに、その深層に迫ると北辰思想に行き着くのではないか。
 北辰思想とは、北極星と北斗七星を信仰する考えを基本としている。超古代、人類は不動の北極星から方向を、北極星を回る北斗七星から時間を知った。人類は、宇宙の動きから生活と活動と発展を学んだわけで、それゆえに北辰は宇宙の原点と言えると解説している著名な方もおられます。北極星はこれまでも、そしてこれからも、我々が何のために何をするか、しっかりと見守ってくれています。
 今回の幸福度ランキングは、いいとこどりをしながら前に進むべきと思います。知事の御所見があればお示しください。
 次に、地方分権と道州制の議論について知事の考えをお伺いいたします。
 道州制についての最近の経過は、平成18年9月に、政府として初めて道州制担当大臣を置き、そのもとに道州制ビジョン懇話会を設置し、道州制のビジョンについて検討。民主党政権誕生後は道州制ビジョン懇談会が廃止─平成22年2月され、地域主権戦略大綱─平成22年6月閣議決定─においても道州制についての検討も射程に入れるとの記載にとどまる。
 一方で、道州制を土台とした活力ある日本をつくり上げる契機と国民運動を展開するため、民主、自民、公明、みんなの党の超党派国会議員が道州制懇話会を設立─平成23年5月。地方では、道州制推進に積極的な24の知事と指定都市市長による道州制推進知事・指定都市市長連合が設立─平成24年4月され、地方側からの国民的な議論を喚起しようとの動き。また、道州制懇話会─150名の超党派国会議員参加─の活動方針に、東日本大震災津波の復興施策を東北地方で一体的に進めるため、東北州復興特区(仮称)の実現を柱とし、道州制導入までの工程表策定などを盛り込むとあります。
 また、全国知事会では、平成19年1月に、道州制に関する基本的な考え方を取りまとめ、道州制議論において、まさに当事者として真摯に議論を重ね、最も積極的に提案していくことの立場に立って知事会としての立場を明らかにした。
 道州制は、地方分権を推進するためのものであるべき、また、道州制は都道府県にかわる広域自治体とすべき、さらには国と地方の役割分担を抜本的に見直し、内政に関する事務は基本的に地方が一貫して担う等の道州制の基本原則のほか、検討の進め方と検討課題等を明示とあります。
 また、これまでの地域主権戦略大綱の成果の一つとして、ひもつき補助金の一括交付金化の中の地域自主戦略交付金創設があり、平成23年度に都道府県分を対象として、投資補助金を一括交付金化─5、120億円、平成24年度は総額、対象事業を拡充とあります。このことにより、本県の交付金は幾らあったのですか。
 そもそも、地方分権あるいは道州制の議論の始まりは、東京一極集中を是正することにあったのではありませんか。東京都はどのようなスタンスでいるのですか。道州制、地方分権の議論は、立ち位置を同じにしてやるべきであります。
 その中で忘れてはならないことがあります。北海道開発庁と沖縄開発庁の件であります。平成13年の省庁再編に伴い、北海道開発庁は国土交通省に移行し、その行政機能は、北海道開発局として国土交通省に継承され、沖縄開発庁の機能は、内閣府本府の政策統括官及び沖縄振興局、内閣府の地方支部局である沖縄総合事務局に引き継がれています。そして、現在もなお、旧両庁に予算が交付されております。北海道には平成22年度4、857億円、平成23年度4、459億円、平成24年度4、305億円、沖縄には平成22年度2、298億円、平成23年度には2、301億円、平成24年度2、937億円であります。
 私は足りないことに文句を言うのではなく、等しからざるに異を唱えたいのであります。オールジャパンの議論は、公平に、公正にやるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 国際リニアコライダー─ILCと海底資源、地下資源について伺います。
 私は、三陸沿岸部に、日本の学会が来て研究発表やシンポジウム等を開催したことが一度もないのではないか。若者の意識啓発という観点でぜひ、何の学会でもいいから誘致してほしい旨、当時の科学技術振興室の現一関市長にお願いし、ニュートリノ─平成14年小柴先生がノーベル物理学賞受賞の研究会を平成9年1月、県立宮古短大で開催していただきました。北大、東北大、東大、京大、名古屋大、九州大などなど、そうそうたるメンバーでありました。この宮古・下閉伊地域に何か研究機関のようなものの立地はないでしょうかと伺いましたら、宮古・下閉伊地区の岩盤は固いので、データバック基地等最適でしょうということでした。県にはジオパーク構想があるようでありますが、地質を見るだけでは金になりません。海底資源もあわせてレアメタル、レアアースの研究に取り組んだほうが県のためになると思いますが、いかがでしょうか。
 国際リニアコライダーという明治以来の国家、国際プロジェクトが今岩手を向いていることに、大いなる期待と興奮を覚えるものであります。そして、これは何としても次の世代に残すべきものとしての取り組みが肝要であります。高校生、中学生を対象として講演会等が企画されているようでありますが、私立高校、沿岸部ではまだないようでありますが、これは被災した中学生、高校生にこそ夢と希望を与える意味で、ぜひお願いしたいと思います。
 5万人都市の誕生、数十兆円の投資額のプロジェクトを成功させるための取り組みと決意を知事にお伺いします。
 次に、道路事情の改良による沿岸地域発展のグランドデザインを策定するのはまさに県の仕事であると考えます。被災市町村はみずからの復旧、復興に目いっぱいで、縦、横の連携までは見られない状況あります。
 そこでお伺いします。海沿いを走る三陸沿岸道路は、避難場所、乗りおりを考えた利便性も組み入れるようでありますが、具体的に示していただきたい。
 国道106号簗川道路はいつから供用できますか。また区界トンネルも検討されていると聞きますが、ルート、距離、それによる盛岡―宮古間の時間短縮はどのように見積もっているのか。
 立丸峠トンネルもいよいよ具体化となりました。県央と沿岸、沿岸市町村の往来など、これまでなかった展開が可能となります。観光面では、十和田八幡平国立公園、陸中海岸国立公園、早池峰国定公園、そして世界文化遺産の平泉を結ぶルートの時間短縮が図られることになります。流通面も含めて広い岩手県の東西南北を存分に活用し、オール岩手が一歩前進することとなります。希望郷いわてを推進する知事の所感を伺います。
 最後に、ラグビーワールドカップ2019における岩手県─釜石市─への試合等の誘致について伺います。
 世界三大スポーツイベントであり、観客動員220万人、全世界42億人がテレビで観戦していると言われるラグビーワールドカップが、平成31年、日本で開催されることから、全国の自治体で誘致活動が展開されています。本県にとってラグビーは、新日鉄釜石の日本選手権7連覇に代表されるように、地域に根差したゆかりの深いスポーツであり、ラグビー関係者はもとより、広く県民が興味、関心を寄せている代表的なスポーツであります。
 加えて、ラグビーの精神であるワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンは、復興に向けて県民一人一人が協力し助け合う姿勢をあらわすとともに、国内外から多大な御支援や励ましをいただいていることに対する御礼と感謝の気持ちをあらわす象徴的な精神でもあります。ラグビーワールドカップが本県で開催されることになれば、県民、特にも若者に夢や希望を与え、活力ある健全な地域社会の形成に寄与するばかりでなく、全世界に復興をアピールし、感謝を伝える絶好の機会となるものであります。
 私たちは、まず、4年後の2巡目国体を成功させなければなりませんが、その先にあるワールドカップラグビーの開催地決定は2年後までであります。今を生きる大人の一人として、次なる世代に夢を残すことが我々の責任と考えますが、いかがでしょうか。皆様の御理解と御支援をお願い申し上げます。
 質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、消費税増税についてでありますが、消費税の増税が本県経済等に与える具体的な影響について厳密に算定することは困難でありますが、消費税率が10%に引き上げられた場合、年収500万円の4人家族では、消費税の負担が年間11万5、000円増加するとの新聞報道等もございます。このような負担の増大によって消費が冷え込めば、結局、税収は伸びず、国の財政が改善されるどころか、日本経済全体に悪い影響を及ぼすことになると危惧されるところであります。
 また、本年を復興元年として、これから多くのまちや集落の再建が本格化していく中にあって、税負担の増加が被災者一人一人の生活再建や地域の経済社会活動の妨げとなることを懸念しております。
 次に、幸福度指標についてでありますが、社会が成熟する中、物の充足にとどまらない心の豊かさを求める機運が広がっています。大学ばかりではなく、国や幾つかの地方自治体においても、人々の幸福度や満足度をはかる新しい指標づくりを試みる研究が進められています。幸福度指標は、個々人が抱く思いや感覚といった主観的評価を取り入れる例もあり、個人の価値観に依存する面があることや、尺度となり得る指標が多岐に及ぶことから、標準的な基準を示すことが困難であるといった課題が指摘されているところです。
 このようなことから、こうした指標を活用するにはなお十分な研究が必要と考えますが、今年度、岩手の豊かさをどうとらえ、どう育んでいくかという視点で、県総合計画審議会内にゆたかさ検討部会を設置し総合的な検討を始めたところであり、その議論も踏まえ、幸福度の考え方の県政運営への反映について検討してまいりたいと思います。
 また、幸福度ランキングについては、この中で岩手県が高く評価された住みやすさや弱者に優しい点などについては岩手の強みとして捉える一方、評価の低かった悩みを相談する人がいないや自殺死亡者数が多いなどの点については、その課題解決に向けて取り組みを進めていくといった捉え方が重要と考えます。
 次に、地方分権等についてでありますが、地域自主戦略交付金については、制度が創設された昨年度は107億6、000万円余、また、政令指定都市分を追加した本年度は108億6、000万円余が本県に交付されています。その配分に際しては、各都道府県の財政力のほか、条件不利地域や社会資本整備がおくれている地域等の実情に応じた算定がなされており、本県を初めとする地方に対して一定の配慮がなされているものと認識しております。
 地方分権を進める上では権限と財源は密接不可分であり、国と地方の適切な役割分担に基づき、権限移譲とあわせて財源の配分が確実に行われることが必要であります。
 地域主権戦略大綱においても、地方税財源の充実、確保を図ることとされており、地域主権改革が進められる中で、中央への一極集中が是正され地方の財源確保が確実に行われるよう、今後とも全国知事会等と連携しながら国に働きかけてまいります。
 また、東北地方において、歴史的に東北の振興、開発を強く求める活動が行われており、議員御指摘の北海道開発庁や沖縄開発庁のような行政機関の設置は実現されませんでしたが、東北開発促進法の制定や、これに基づく東北開発促進計画を総合的に推進する東北開発室が経済企画庁内に設置されるなどの経緯がございました。
 今回、東日本大震災津波への対応に当たっては、その復興を強力に推進するため、国においてこれまでに18.9兆円に及ぶ復興予算が確保され、本年2月には、各省より一段高い位置づけとされた復興庁が設置されました。
 復興は、被災地域の復旧にとどまらない東北全体の復興でなければならず、日本全体の中における東北の開発という視点から、国は国家的プロジェクトとして日本の経済再生につながるような大規模な投資や事業に主体的に取り組むべきであり、復興庁には、東北開発庁的なマインドを持って積極的に取り組んでいただきたいと考えています。このことは、これまでも国への要望や復興推進委員会等で提案、主張してきたところであり、今後も引き続き国に働きかけてまいりたいと思います。
 次に、国際リニアコライダーについてでありますが、国際リニアコライダ─ILCは、産業振興、雇用創出、地域振興などの面において、東北の震災復興と再生の原動力となるばかりでなく、素粒子に関する世界最高水準の研究施設であり、その立地は、産業や雇用、さらには青少年の科学への関心の醸成など、幅広い効果が期待されることから、国がILC誘致を国家プロジェクトとして位置づけるよう、東北ILC推進協議会及び岩手県国際リニアコライダー推進協議会とも連携して要望を行ってまいりました。
 来年の夏ころまでには、国内候補地を一本化するという情報もありますことから、今後は、本県の北上山地が建設候補地として適していることや、ILCは東北の震災からの復興の象徴的プロジェクトであることを訴え、東北の産学官や関係機関と連携を強化し、その実現に向け取り組んでまいります。
 また、お話のありました沿岸での中高校生を対象とした講演会につきましても、学校の意向を踏まえながら、計画的に実施してまいりたいと思います。
 次に、復興道路完成後のグランドデザインについてでありますが、現在、国では、復興道路の整備を三陸沿岸地域の一日も早い復興を図るためのリーディングプロジェクトとして、かつてないスピードで整備を進めています。また、県では、信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、復興道路を補完する国道、県道を復興支援道路として位置づけ、重点的に整備しております。これらのネットワークの構築により、積年の課題であった都市間の移動時間の短縮や災害時の防災力強化などが図られ、物流の効率化や広域的な観光ルート整備による産業振興、救急医療への支援、県内外の広域的な交流、連携の拡大など、各分野に大きな効果がもたらされるものと考えます。これらの効果を県内全域に波及させ、復興計画で掲げた三陸創造プロジェクトを推進し、世界に誇る新しい三陸地域の創造に取り組むなど、いわて県民計画の基本目標である希望郷いわての実現を目指してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の処理状況についてでありますが、現在、沿岸地区はもとより、内陸市町村等の受け入れ可能なすべての焼却施設に加え、仮設焼却炉を2基設置し焼却処理を行っております。さらに、太平洋セメント大船渡工場やいわて県北クリーンセンターなど民間の処理施設も最大限活用することで、まさにオール岩手で全県一丸となって処理を進めているところであります。その結果、可燃物の約3分の2につきましては県内で処理できる見込みとなっておりますが、なお、県内で処理し切れない残り3分の1につきましては、広域処理をお願いせざるを得ないところであります。
 次に、東京都における瓦れき処理の受け入れ拡充についてでありますが、平成23年9月30日に基本協定を締結し、同年11月から宮古地区、平成24年7月からは大槌町のそれぞれ可燃物を処理しており、いち早く広域処理に御協力をいただいたところであります。東京都が全国に先駆けて受け入れを開始したことがその後の広域処理の拡大につながり、また、県議会皆様方の御尽力もいただき、結果といたしまして、可燃物の全量処理に一定のめどをつけることができたと考えております。
 次に、国の補助年限の延長についてでありますが、現在、国が定めたマスタープランに基づき、平成26年3月末までの処理完了に向けて全県を挙げて取り組んでおります。
 可燃物の処理につきましては、目標期間内の完了に向けて一定のめどが立ちましたことから、今後は、処理が進んでいない不燃系混合物や津波堆積土などに注力し、一日でも早く処理が完了するよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、次期産業廃棄物最終処分場についてでありますが、現在、外部有識者による整備基本方針検討委員会を設置し、施設の規模、焼却施設等の附帯施設の併設の必要性、運営のあり方などを検討し、今年度中に整備基本方針として取りまとめることとしております。
 漁業系廃棄物につきましては、これまでの漁業団体等の取り組みにより、ワカメ、昆布残渣の海洋給餌など再資源化等適正処理が進められてきましたが、一般廃棄物である漁家、漁協から排出されるウニ、カキ殻やカキ、ホタテ付着物等の処理を進める必要があること、産業廃棄物である漁具、魚網等の廃プラスチック類は、県内に十分な処理施設がないことなどといった課題も残されていると認識しております。
 整備基本方針の策定に当たりましては、漁業系廃棄物を含め、県内で排出される産業廃棄物全般の適正処理の促進はもとより、事業採算性も含めて総合的に検討していくこととしております。
 なお、候補地につきましては、現時点では白紙であり、整備基本方針の中に選定方法等に係る基本的な考え方を盛り込むこととしており、具体的な選定につきましては翌年度となるものであります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、漁船等の復旧状況と今後の見通しについてでありますが、県では、水産業の早期復旧に向けまして国庫補助事業等を活用しながら取り組みを進めてまいりましたが、これまでに、漁船は震災後約6、000隻が新規登録され、被災を免れた漁船を合わせると被災前の5割強、約8、000隻程度が稼動可能となっております。定置網は、免許数135カ統のうち6割、養殖施設は被災前の5割の水準まで復旧しております。また、産地魚市場は県内13市場の全てが再開したほか、水産加工場は7割強が再開または一部再開という復旧状況になっております。今後も、必要な施設等の復旧、整備が着実に進捗するよう、関係市町村と連携して支援し、平成25年度末までに被災前の7割から8割程度の復旧を見込んでおります。
 次に、漁港の復旧についてでありますが、発災以来、漁港内の瓦れきの撤去、岸壁や漁港用地の仮かさ上げなどの応急工事を進め、市町村管理漁港を含めて全ての漁港で漁船の出入港や接岸が可能となっており、そのうち、潮位にかかわらず利用できる漁港は約6割まで復旧しております。また、本格的な復旧工事につきましては、本年8月末までに87漁港で着手しており、比較的被害の少なかった県北部の14漁港では工事が完了しております。
 今後におきましても、水産物の流通、加工の拠点となる漁港はもとより、養殖ワカメの陸揚げを主な機能とする漁港も含めて、引き続き防波堤や岸壁等の本格的な復旧、整備を推進し、平成27年度末までに被災した全ての漁港が復旧するよう取り組んでまいります。
 次に、ホイストクレーンや巻き上げ機の整備についてでありますが、県では、漁船の陸揚げの安全性の確保やワカメ等の荷揚げの省力化を図るため、漁協の要望に基づきクレーンや巻き上げ機の整備を進めておりますが、これまで176基が完成し、さらに今年度中に整備される219基と合わせて395基の整備を見込んでおります。今後も、漁協の要望を踏まえながら、国や市町村と連携し、これらの施設の整備に努めてまいります。
 次に、サケのふ化場とアワビの種苗生産施設の復旧についてでありますが、サケのふ化場につきましては、今春、18ふ化場で生産した約2億9、000万尾を放流いたしましたが、今年度もさらに復旧を進め、来春には19ふ化場で3億6、000万尾、その後整備が完了するふ化場も含めて、平成26年春には20ふ化場で約4億尾の放流を目指してまいります。
 また、近年のサケの回帰率低下につきましては、国の研究機関と連携した耳石温度標識放流調査等による資源変動要因の解明に取り組むとともに、ふ化場の技術点検による飼育池ごとの適正な飼育管理や適期、適サイズ放流の徹底を図るなど、サケの回帰率向上に向けて取り組んでまいります。
 また、アワビの種苗生産施設につきましては、県栽培漁業協会が運営する県有の種市施設で平成26年度から新たに100万個を出荷、同じく大船渡施設では平成27年度から400万個の出荷ができるよう整備を進め、合わせて500万個の出荷を目指すこととしております。このほか、田老町、重茂及び広田湾漁協ではおおむね平成25年度内に施設を復旧し、平成27年度以降390万個の放流を予定しており、平成27年度以降は、県施設、漁協施設を合わせて震災前を上回る890万個の放流体制になるものと見込んでおります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、グループ補助金の実績と成果についてでありますが、これまで4回にわたる公募を行い、51グループ、751者に577億円を交付決定し、水産加工業や製造業、商店街などのグループが各地域で復旧に向けた取り組みを進めております。平成24年9月末現在、163者が補助事業を完了し、本格的に事業を再開しており、地域経済の復興や雇用の確保に寄与しているものと考えております。
 次に、不採択となったグループ等への対応についてでありますが、まずは他の補助事業や融資制度などの支援策の活用について助言するとともに、引き続き申請希望のあるグループに対しては、グループの復興事業計画が生産性の向上に結びつくような連携効果や地域経済への波及効果をもたらすものとなるよう、商工団体と連携し、計画の熟度を高めるための支援を行っております。
 また、第4次公募で不採択となったグループに対する分につきまして今回の9月補正予算案に盛り込んでいるところであり、今後は、国に対して予算の増額、来年度以降の事業継続や事業期間の延長、補助事業の要件緩和やその運用の弾力化、または新たな補助制度の創設を強く要望してまいります。
 次に、貸付金の実績と課題等についてでありますが、グループ補助金決定企業751者のうち、本年9月末までに78者から高度化資金の申し込みがあり、そのうち65者に対して59億円の貸付決定を行い、残る13者につきましては現在審査を行っているところでございます。
 課題と対応でありますが、グループ補助金の交付決定企業が増加することに伴い無利子の高度化資金の申し込みも増加すると見込んでおりまして、これに適切に対応するため、貸付機関である財団法人いわて産業振興センターに新たに担当者を1名増員したほか、今後も増員を行う予定としており、貸し付けを迅速に行う体制の強化に努めております。
 また、既往債務の返済負担が重く、二重債務の問題を抱える事業者もあることから、ワンストップ窓口である岩手県産業復興相談センターが中心となり、事業者の返済負担が軽減されるよう事業計画策定や債権買い取りの支援を行うとともに、県としても、高度化資金の貸し付けを通じて事業者の資金調達に万全を期してまいります。
 次に、レアメタル、レアアースについてでありますが、県では、三陸海域における海洋資源の開発に向け、平成20年度から平成21年度まで、海洋に係る有識者等によるいわて海洋資源活用研究会を設置し、海洋資源調査を実施してきたところでございます。この調査によりますと、三陸海域でのレアメタル、レアアースについては存在の可能性が低いとされたものの、メタンハイドレートや石油、天然ガス等の海底資源、風力、波力等の海洋エネルギー資源、深海生物などの海洋活用が有望とされたところであります。このため、平成21年度から平成22年度に国に対して三陸における海底資源探査や調査研究の実証を要望し、今年度から石油天然ガス・金属鉱物資源機構による石油、天然ガスに関する調査が開始されたところでございます。
 県といたしましては、こうした調査や国内外の研究動向に注目しながら、今後とも、三陸の海洋資源の開発、活用におけるさまざまな可能性について検討してまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、災害公営住宅の着工についてでありますが、昨年度は750戸に着手することを目標として取り組みましたが、実績としては703戸でありました。今年度は、これまで昨年度と合わせて1、032戸に着手しているとともに、700戸程度の用地につきまして地権者の内諾を得ておりまして、年度内には目標の1、750戸に着手できる見込みであります。今後とも、被災者の方々が希望を持てるよう、一刻も早い災害公営住宅の完成、入居を目指して、歩みをおくらせることなく全力で取り組んでまいります。
 次に、資材置き場の設置についてですが、県としては、より早く、より多くの災害公営住宅を建設することが重要であり、市街地での建設を中心に進めますとともに、1戸でも多くの住宅を計画したいとの考えから、通常の公営住宅と同程度の物置を設置する予定としておりますが、今後も、市町村と十分に相談いたしまして、災害公営住宅の計画を進めていきたいと考えております。
 なお、市町村が中心となって進めております漁業集落の比較的規模の小さな災害公営住宅につきましては、地域の個別のニーズを勘案して、従来よりも大きい物置の設置を検討している住宅があると聞いております。
 また、水産業経営基盤復旧支援事業によりまして共同利用施設として漁具等の保管施設が設置できますので、市町村と相談してまいりたいと思います。
 次に、災害公営住宅の建設に係るUR都市機構への委託についてでありますが、本県の市町村につきましては、御指摘の6市町が市街地の整備や災害公営住宅の建設に係る協力協定をUR都市機構と締結するとともに、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市の4市町がUR都市機構に災害公営住宅の建設を要請し、受託されているところであります。
 一方、県が建設する災害公営住宅につきましては、制度上、UR都市機構に建設の要請を行うことは可能でありますが、最近まで公営住宅の建設の経験があります。また、県よりも市町村の職員不足のほうがより深刻でありますことから、UR都市機構に建設の要請を行うことは考えておりません。
 次に、三陸沿岸道路の具体的な整備状況についてでありますが、避難及び利便性の対策につきましては、三陸沿岸道路の震災前に完成していた区間が命の道として機能を発揮したことから、避難機能の強化のため本線への緊急連絡路を宮古市津軽石地区など4カ所で設置するほか、避難階段につきましても8カ所設置する計画と伺っております。
 また、インターチェンジの設置に当たりましては、アクセス性の確保や利便性を考慮した出入り口の計画とするため設置間隔を平均約5キロメートルとしており、県内の高速道路における平均のインターチェンジ設置間隔約13キロメートルの半分以下で設置される計画としております。
 宮古盛岡横断道路の簗川道路につきましては、一部区間で土地収用手続に時間を要していたものの、本年7月に収用裁決を得たことから、平成25年度の早い時期としていた供用時期を1日でも早めるよう、現在、改良工事や舗装工事などを全力で進めております。
 区界-簗川間のトンネルを含むルートについてでありますが、現国道106号の南側を通過するルートで計画されております。その延長は、宮古市門馬田代から簗川道路起点までの約8キロメートルとなっておりまして、この区間の時間短縮につきましては、県の試算で7分程度と見込んでいるところであります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) ラグビーワールドカップ2019の招致についてでありますが、本県にとってラグビーは地域に根差した代表的なスポーツの一つであり、現在も釜石シーウェイブスが地域に愛されながら地域に密着したクラブチームとして活躍を続ける釜石市においてラグビーワールドカップが開催されますことは大変すばらしいことであると考えております。特に、東日本大震災津波からの復興を進める釜石市で大規模な国際スポーツ大会が開催されますことは、県民、特にも将来の岩手を担う若い世代に大きな夢や希望を与えるものであり、また、被災地域を初め、本県の経済への大きな波及効果も期待できるところであります。
 県といたしましては、開催地決定に至るスケジュールを踏まえながら、今後示される開催地選定の方針など大会に関する情報の把握に努め、開催都市としてその招致を目指している釜石市を初め関係団体等との連携を図りながらその実現に努めてまいりたいと考えております。
〇41番(伊藤勢至君) 4点ほど再質問をさせてもらいます。
 まず、知事に1点お伺いしたいと思います。
 現在、我が国で、坂本龍馬を振りかざして、船中八策や、日本を洗濯し直そうなどと受けのいい言葉をもてあそんでいる一団がいるようであります。高知県の尾崎正直知事と御親交のある知事は、坂本龍馬をよく勉強しておいでと伺っております。そのような知事に講釈するつもりはありませんが、為政者としての知事の見解を伺いたいと思います。
 坂本龍馬は北辰一刀流を千葉道場で学びましたが、剣術だけでなく、北辰法力という北辰思想を学んでいるのであります。彼の言動を整理すると、物事の本質を見抜く北辰の四観三元論であることがわかります。四観とは、物事や現象を空観─空から見る、離観─離れて見る、影観─影で見る、光観しろということで、三元とは、陰と陽の対立関係だけで物事を判断してはいけない。それを調整する律があり、それを見つけて行動せよというものだ。光の当たる形だけで見るな、空から宇宙的に見ろ、近くで見るな、離れて見ろ、影の部分を見て、最後に光の当たる形を見るというのが四観論であります。三元論とは、黒と白は陰と陽の対立関係ではない。黒に光を当て、強くすると白に近づく、白から光をなくすると黒に近づく、黒と白を律しているのが光だ。律を見つければ対立は解決するというものであるということであります。幕末維新のころの龍馬の行動をこれに合わせて見ればなるほどと納得するものでありますが、日本をいま一度洗濯する、大いに結構でありますが、問題はその洗濯機の器であります。倒れて後やむという覚悟であります。復興元年を指揮する岩手県のトップリーダーとしての知事のお考えをお伺いいたします。
 それから、漁業系廃棄物処理の問題につきまして工藤環境生活部長にお伺いいたします。
 昨年の9月ごろだったと思いますが、宮古市の高浜地区のカキ養殖をしている方々が、どうしてもやはりカキ養殖で自分たちは生きていかなければならないということから一口オーナー制度を創設していただいたようでありまして、1口5、000円でオーナーを募集して、そのうちの1、000円で資材を購入して、残りの4、000円は、時期になったら完成品、いわゆるカキのおいしいところを皆さんに送る、こういう制度をやっていただいたようでありまして、私もこれに応援しなければならないと思い、県庁12階を営業して歩きました。強制したわけではありませんが、執行部の皆さん初め200口の申し込みをいただいたと思っております。この場をおかりして改めてお礼申し上げます。また、会派の議員の方々にも合わせて200口ぐらいをいただけたと思っています。また、私も個人的に、宮古、盛岡、仙台から200口集めさせてもらいました。さらには、12月27日、東京の懇意にしている会社から400口の申し込みが参りまして、合わせて800口集められたと思っていますが、トータルでは2、000口ぐらい集まったようであります。ありがとうございました。
 こういうカキの養殖を元気に頑張っている人たち、工藤環境生活部長にも買っていただきましたが、これから復興していくとき、このカキ殻は当然出てくるものであります。岩手県の江刺のクリーンセンター1カ所という場合、我々沿岸の人間は、オール岩手の場合1カ所、江刺市、しようがないだろうなと思ってまいりました。2カ所目が九戸、これもしようがないだろう。だけど、3カ所目にきたらぜひとも沿岸の漁業系廃棄物という部分に光を当ててもらいたい。特に今回のような場合は、言ってみれば復興の底支えをするという意味でぜひともこれをお願いしたいと思っているところであります。
 今回被災した現場はほとんどが高台移転を目指しているようでありますので、今まで野積みをしておいたものができなくなる可能性があります。国立公園内であるとか、あるいは国が買った、市町村が買った、そういうことでできなくなる可能性があります。したがって、ぜひともここは漁業系廃棄物処理場という部分に光を当てていただいて、3番目の施設としてぜひ御検討をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それから、県土整備部長に伺います。
 UR都市機構についてでありますけれども、いろいろなところで今までの災害復旧等にも随分こちらの出番があったようであります。資本金が1兆500億円、社員が約4、000人、相当な売り上げを上げているようでありますが、これは会計検査院の検査が及ばない、言ってみれば特別会計とか特殊法人でありますよね。そういう中で、いろいろな意味で被災をして、例えば北海道の奥尻だとか、あるいは玄海町だとか中越地震関係のところから聞きますと、えらい高いものについた。見積もりも出ない、請求書も出ない。だけれども、市町村で1億円出すと、国から7億円もらってきて8億円でつくるらしいけれども、それの内容は見たことがない、こういう話をよく伺うところであります。
 しかし、見積もりも何も出なくてそういう取り決めをしてどんどん建てていく、ちょっと考えられないんですけれども、一体これは県も一枚加わっているのかどうかお伺いしますが、それと同時に、今回7階建てとか8階建て、そういうものの数が多いのかなと思いますが、今回被災した市町村には7階建て、8階建てをカバーできる消防はしご車はないのであります。したがいまして、そういうことまで考えた際に、今まで4階、5階か6階ぐらい、せいぜい宮古市役所で6階ですから、それ以下の建物しかないようなところに7階、8階を持ってきてもなじまないのではないか、そんなふうに思ったりしているのでありますが、これの会計は一体どういうふうになっているのか。もしそういう検査、チェックが働かないとすれば、これは会計法というところにひっかかってくるのではないか。本当はこういう特殊法人的なところにお金がいっぱい集まっているために下々までお金がおりてこないのではないか、そういうことを言う人もいるわけであります。
 確かに人手がないところに、最初、発災直後にもみ手をして、大変なようですからお手伝いをしますと入ってくる。だけれども、入ってくればあとはもう自分のペース、そういうようになりますと、沿岸市町村に7階、8階の同じような建物だけが建ってしまって、言ってみれば水道とガスと下水道の取りつけだけが違う図面が横行して、随分一稼ぎをしていかれるのではないかと言う人もいます。
 ただ、これを今度余り強く言いますとそれじゃやってやらないよなんて言われますと困りますが、ただ、国から7億円を自分たちがそろえて用意して全部やってあげますというお金も税金でありますので、誰かがチェックをしなければならないということから、余り強くどうだこうだとは言いませんが、どこかのチェック機関が働かなければいけないのではないか、そういうことから対応をお伺いしたいと思います。
 それから、教育長、7年先の話であります、ワールドカップ。だけれども、その招致を決定するのは2年後ということでありますので、7年後は私はこの議会にいないかもしれないしこの世にいないかもしれませんが、しかし、今、私たち大人の責任としてこれをやっておかなければ次の世代に残らない、こういうことだと思います。7年後のことでありますから、流通がいろいろ変わってくると思いますし、例えば、もし釜石にチームが来るとなれば2チームであります、当然試合ですから。そうすると、大体50人近い二つの固まりが来るわけですし、応援団が1、500人とも2、000人とも、そういう人たちがクルーズ、つまり船を貸し切ってそのまま入ってくるかもしれない。岩手県の四つの重要港湾のどこかに着いて、試合の間に東北一周をする、北海道一周をする、そういうことも可能になるかもしれないのでありまして、大変波及効果は大きいものだと思います。したがいまして、そういうことまで含んで、私たちも先般、スクラム議連を立ち上げたところ44人の先生方にお入りいただきまして、皆さんでスクラムを組んでぜひプッシュしていきたい、このように思っておりますが、いま一度教育長からも力強いプッシュアップをいただきたいと思います。
 以上、再質問をいたします。
〇知事(達増拓也君) 北辰一刀流の千葉周作は今の岩手県陸前高田市の出身でありますが、おてんとうさまが見ているという言葉があるように、北辰、すなわち北極星が見ているという視点を意識することで昼も夜も大所高所からあらゆるものを視野に入れることができるという考え方は、岩手の復興を進めていくためにも大いに役立つと思います。それぞれの地域にそれぞれの復興があり、あるいはまた一人一人にその人なりの復興がある。そのような復興を岩手全体として進めていくことは大変な難事業でございますが、必ずなし遂げなければならないことであります。今後とも、議員各位の御指導を賜りながら鋭意取り組んでまいりたいと思います。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 漁業系廃棄物の処理の関係でございます。
 高浜でカキの養殖に取り組んでいる方々の努力には本当に敬意を表したいと思います。私も一口会員にならせていただいた立場で、早期の復旧、復興をお祈り申し上げるものでございます。
 カキ殻などの処理につきましては大きな課題であるということについては十分認識しておりますし、当部におきましても、産業・地域ゼロエミッション推進事業の活用などにより、カキ殻を破砕するための機械の導入でありますとか堆肥化、そういったものにもこれまで支援してきたという経緯がございますし、こういった取り組みについては、今後とも支援をしてまいりたいと考えてございます。
 今回の最終処分場の整備につきましては、瓦れきの焼却灰を大量に埋め立てるということによりまして、予想外に残余容量が減ってきたということで、急遽やらなければならないということで今年度から取り組み始めたものでございまして、今年度中にとにかく整備基本方針をまず固めたいということで、ただいま検討委員会でいろいろ検討を始めたというところでございます。
 そうした整備基本方針策定の中で、当然、漁業系廃棄物の課題というものも含めまして今後検討させていただくということになってございますので、そういったことも含めまして、今年度はどういった方向性に取り組んだらいいのかということをまとめたいと考えてございます。
〇県土整備部長(若林治男君) UR都市機構への全面委託で市町村とUR都市機構との関係、それから県の関係でありますが、まず、基本的にはUR都市機構と市町村が直接契約をするという形になります。お金の流れは復興交付金で災害公営住宅及び面整備を行いますので、一定の復興交付金の査定がかかっています。つまり、1戸当たり幾らというのは大体算定されていますので、余り法外な単価差にはならないのではないかと思っていますし、契約を結ぶことになっていますので、そのときにきちっとした内訳があるのではないかと思っています。
 確認をしているわけではございませんけれども、我々もUR都市機構、岩手復興局についても、そこはちょっと確認をしたいと思います。
 なお、UR都市機構につきましては、既に60年ほど自分で維持管理、運営もしておりますので、そのノウハウはきちっと蓄積されていると思います。
 阪神・淡路大震災においても、3年間で1万8、000戸以上の災害公営住宅を建てておりますので、そういうノウハウについては、今回きちっと活用すべきであろうと思っております。ただし、その中にあって、当然、公正、公平な会計処理というか、そういうのを市町村とともにきちっとしていくということは必要かなと思います。
 なお、階数に当たっては、恐らく消防法とのいろいろな打ち合わせの上で階数を決定していくことになると思いますので、そこについては消防サイドと相談をしながら決定していくことになると思います。
 県といたしましては、UR都市機構とそれから市町村とのやりとりもあるんですが、県としても面整備にかかわっては毎週月曜日、UR都市機構の岩手震災復興支援局と綿密な、いろいろな打ち合わせをしておりますので、その辺についてはそのような形で進めていきたいと思います。
 なお、UR都市機構、かなり市町村のほうに配慮をしていただいて、極めて多くの地元企業をとにかく下請でも何でも使おうということで現在公告をしている部分もありますので、努力をされていただいていると伺っております。
〇教育長(菅野洋樹君) ラグビーワールドカップ招致についてでございますが、お話のありましたとおり、議員の皆様方におかれましても、招致に向けて大変な御支援をいただいているところでございます。釜石市におかれては、このラグビーワールドカップと橋野高炉跡の世界遺産登録を復興の象徴として取り組んでいただいております。
 現在、県においては、たまたまこの両者を教育委員会が担当させていただいているわけでございますが、この両者とも、今後の岩手の大きな希望につながるものだと思っておりまして、そういう思いで取り組んでまいりたいと思っております。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時37分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 名須川   晋 君
6  番 後 藤   完 君
7  番 佐々木 朋 和 君
8  番 佐々木   努 君
9  番 軽 石 義 則 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 岩 渕   誠 君
18  番 郷右近   浩 君
19  番 喜 多 正 敏 君
20  番 高 橋 但 馬 君
21  番 小 野   共 君
22  番 高 橋   元 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 関 根 敏 伸 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 高 橋 昌 造 君
31  番 五日市   王 君
32  番 小田島 峰 雄 君
33  番 大 宮 惇 幸 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 佐々木   博 君
43  番 田 村   誠 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
 休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
 休憩前に同じ
午後3時53分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。五日市王君。
   〔31番五日市王君登壇〕(拍手)

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