平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

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〇12番(福井せいじ君) 自由民主クラブの福井せいじです。
 今議会において一般質問をする機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝申し上げます。いただいた機会を無駄にすることのないよう、全知全能、全力を傾け意義ある時間としたいと思います。達増知事初め当局の皆様も誠実な答弁をいただきますようお願いいたします。
 本日は一問一答式を選択しました。よろしくお願いいたします。
 昨年3月11日大震災以来1年半以上がたちましたが、被災地ではまだまだ日常生活が戻ってこない、震災以前の様子はまだ戻ってきていません。早くあの日常を取り戻したい、そういう願いを多々聞いております。日常生活の中からこそ幸せはつくられる、そう思っております。その日常生活を取り戻すことができるよう一生懸命私たちは頑張り、そのような取り組みに邁進していきたいと考えております。きょうはそのような思いを込めて質問をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、達増知事の政治姿勢について伺います。昨日来、多々同様の質問が出ており重複する部分もあると思いますが、ぜひとも私なりの角度からお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 去る7月31日、知事は、平成25年度政府予算提言・要望書並びに東日本大震災に関する要望書を政府に提出、概算要求に向け、国費による充実した支援と地方負担を含む復興財源を確保し、引き続き既存の枠組みを超える強力な復旧、復興の対策に全力で取り組まれるよう要望しました。私も、この要望書の趣旨同様、復旧、復興は政府の力をかりずに岩手県単独での達成は到底なし得ない不可能な大きな大きな事業であり、今後も政府の絶大なる支援を得て復旧、復興に当たっていかなければならないと考えます。
 しかし、この要望書提出は、達増知事が民主党分裂を引き起こした国民の生活が第一への参加を表明した後でありました。与党・民主党の分裂を引き起こした国民の生活が第一に参加した達増知事が提出した要望書が政府関係者に聞き入れていただけるか否か非常に私は心配するところであります。
 知事にお聞きしますが、提出した際の感触はいかがであったでしょうか。また、要望が素直に聞き入れられるのかどうか、ぜひその点をお聞かせいただきたいと思います。
 さて、かつて達増知事は、知事とは知ることとお話ししておりました。私は、知事は、みずからがみずからの政治哲学を確立し、そして岩手県をいかなる県とするか理念を明確にして、自身は県民党として県民に寄り添い、知事の役割を果たしていくことが復興を強力に推進し、希望郷いわてづくりにつながると考えます。
 ここで改めてお聞きしますが、達増知事は、知事の役割とは何であるか、そしてまた、岩手県をいかなる県としたいのか、その理念をお聞かせください。
 質問項目の2点目、復旧、復興の進捗状況について伺います。
 昨年も9月定例会で話をしましたが、人々の生活の源は仕事にあると私は考えます。世界四大文明の発生の起源を見ると、四大文明は全て大河の近くで発生しました。その理由は、川の近くに肥沃な土地があったからです。肥沃な土地を耕し、食物を生産するという仕事がそこにできたからその場所に人々が集まり、生活環境、社会環境を整える文明が発生しました。その場所にまず仕事ありきで人々の生活が始まるのだと考えます。生産現場ができて、それに伴って住環境が周辺に整備される、それが都市の自然の形成だと私は考えます。どこに住むかから始めるのではなく、どこで仕事をするか、仕事がしやすい環境をつくることから始めると、自然に住環境やそれに伴った社会環境が整備されていきます。人間はそう考え、行動します。
 今、被災地では、区画整理事業や防災集団移転事業などに取り組んでいますが、住民合意を形成する過程において、住む場所から決めるのではなく、仕事場をどこにどのようにつくるかを決定し、その後、住む場所を定めるという形式で進めるほうが住民合意を円滑に推進すると考えます。そのためには、いち早く被災地の生産現場再生、事業所再建を最優先に進めるべきと考えますが、当局の御所見を伺います。
 しかし、今、被災地において事業所再建の環境は整っていません。グループ補助金などの事業再生支援が認定されても、実際に事業所を建てることができず、ただただ無駄な時間だけが過ぎているのが現状です。仕事ができる環境にないから人は出ていくのです。私は、被災地から1人も出ていってほしくない。被災地の事業者は一刻も早く事業所や店舗を建てて本格的な商売を始めたいのです。それを可能にするには何が必要か、当局の考えをお聞かせください。
 さて、前国会で、消費税率が2014年に8%、2015年に10%に増税されることが議決されました。私は、日本の未来図を描く上で、この決定をしたということは間違いではないと思います。しかし、大震災からの復興に取り組む被災地においては事情が異なってきます。この増税は、被災地復興に対しさまざまな影響を及ぼすと考えます。その最大なものは住宅や事業所の建設に対してでありますが、知事は国に対し、消費税増税に関し、被災地におけるいかなる減免措置を要求しているのかお聞かせください。
 続いて、医師確保対策について伺います。
 県民の命を守る地域医療の充実が急務であります。その最大の課題が絶対的に不足している医師数でありますが、当局は、公的医療機関における医師確保対策として奨学資金貸付制度の充実、岩手医科大学医学部入学定員の増員などさまざまな医師養成策に取り組んでおられますが、その成果はいつ、いかなる形であらわれてくるのか、また、今後の課題についてお聞かせください。
 さて、その医師養成には年間約7億円の予算が使われておりますが、今後、養成医師が実際に初期臨床研修を終えた時点で効果的な配置をいかに実現し、地域偏在をなくしていくかが大きな課題であると考えます。当局は過日、奨学金養成医師の配置調整に関するワーキンググループを設置したと伺いましたが、今後どのようなスケジュールで、また、どのような形で適正配置を実現していくか、その計画をお聞かせください。
 また、今回設置されたワーキンググループは養成医師の適正配置だけが目的なのでしょうか。医師の地域偏在と診療科偏在の解消に向けた取り組みと課題についてお聞かせください。
 続いて、インターナショナルリニアコライダー誘致についてお聞きします。
 9月23日の岩手日報トップ記事に、インターナショナルリニアコライダー─ILC誘致について掲載されました。私は、ILCは日本の未来を切り開く礎であり、岩手を理想郷に変える大きな可能性を有していると確信しています。その理由とは、日本はこれから科学技術立国を目指すべきであり、その道がこの岩手から開かれることにつながるからです。これまで日本は、世界において経済的な分野で生産、消費の両面で優位性を確立し、その役割を果たすことによって先進国の地位を築き、維持してきました。しかし、御存じのとおり少子高齢化社会に入り、今後は経済的な側面で日本の優位性、そしてまた世界における役割を果たすことは難しい時代に入りました。
 そこで、私が考える日本の未来の姿、そして、世界における日本の役割は、科学や文化の面で世界をリードできる人材を育成し、その技術の向上や文化の振興を推進する世界的なステージをこの日本につくっていくことだと考えております。世界最先端の素粒子物理学の研究拠点ILCは、その推進役として十二分にその可能性を有しています。
 9月初め、私は、つくば市にある高エネルギー加速器研究機構、略称KEK、また、9月下旬には東北大学理学部の素粒子実験研究室を訪ね、ILCの誘致の現状について伺ってきました。そこでKEKの吉岡名誉教授は、日本における加速器研究の取り組み状況は世界でも有数のレベルであり、日本こそILC建設地にふさわしいと話されました。また、ヒッグス粒子の存在が確実視され、ILC建設の期待は大きく膨らみ、その早期建設が世界中から望まれており、早期建設可能な国は日本以外にないと世界中の研究者から期待されているとのことでした。また、より加速を高めるための技術研究や、電子、陽電子の衝突確率を高めるためのビーム集束技術の研究など、いつ日本にILCが来てもよいような環境、体制がそこにはありました。そして、東北大学は素粒子理論の研究では日本でも一、二を争う高い水準の研究を進めており、ILC誘致についても、アメリカ、フランスも日本が建設の意思を示せば支援するとの情報もあり、日本への誘致の可能性は非常に大きいとの感触を得ました。
 このような状況を見せていただき、私は大変このILC建設への希望を抱いたのでありますが、一方で、総建設費8、000億円の半分に当たる4、000億円の建設国負担義務が日本への誘致の大きな壁となっているとの情報も別の機関から伺いました。日本での建設にはまず政府の誘致表明が必要ですが、政府の誘致に対する取り組み状況はどのようになっているのか当局のお考えをお聞かせください。
 最後に、県所有の未利用資産についてお聞きします。
 現在の未利用資産の総額をお聞かせください。また、利活用について、当局はどのような計画を立てているのかをお聞かせください。
 私は、この未利用資産の中には、所在する市町村や地域にとって非常に活用価値のある資産もあると考えます。それゆえに、広域振興局の意見を聞くことも必要ではないかと思います。市町村に対しても、単に利用の意向を聞き取るのではなく、効果的な活用策などを提案することも必要だと考えますが、当局の考えをお聞かせください。
 以上、演壇からの質問を終わらせていただきます。この後は質問席に移り、また再度質問していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
   〔12番福井せいじ君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 福井せいじ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政府関係者への要望書の提出の件についてでありますが、7月31日には、政府・与党である民主党及び復興庁初め6省庁に出向きましたが、民主党は幹事長代行、省庁は全て大臣、副大臣または政務官に応対いただき、本県からの要望、説明に対し真摯に聞き入っていただきました。東日本大震災津波は、被害の広域性、甚大性から見ても、県や市町村において対応できる範囲を大きく超える国家的な災害であり、要望活動に同行した県選出衆議院議員が復興に与党も野党もないと述べられているように、被災地の復興は国家プロジェクトとしてオールジャパン体制で取り組んでいかなければならないと考えております。
 次に、知事の役割についてですが、知事の役割は、県を統括し、代表するとともに、県職員を指揮監督して事務の管理、執行を行い、もって県民の福祉の増進に努めることと認識しております。
 また、いかなる県としたいかの理念についてですが、岩手県の目指す姿については、いわて県民計画において基本目標をいっしょに育む希望郷いわてとし、その具体的な姿として、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことのできる希望あふれる社会を掲げ、その実現を目指しているところです。
 次に、消費税増税にかかわる国に対する減免措置の要求についてでありますが、消費税増税に関しては、軽減税率、給付つき税額控除の可否等といった制度の骨格がいまだ決まっておらず、いわゆる景気条項が満たされるかどうかも不透明であることから、議論が収束したとは言えないと考えております。
 消費税の増税については、増税によって日本経済全体が失速すれば復興そのものが困難となる可能性があることや、被災者の暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることから、被災地である本県としては反対であります。したがって、消費税増税を前提としてその減免を求めるというよりも、被災地の復興のため、住宅や事業所の再建についてさらに手厚い支援を求めるなど、国に対する働きかけを強めてまいりたいと思います。
 なお、その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔理事高前田寿幸君登壇〕
〇理事(高前田寿幸君) 復興の取り組みについてのお尋ねでございます。
 まず、被災地の生産現場再生、事業所再建についてでございますが、被災者の働く機会を確保し生活再建を支える上でも、また、地域経済の活力を取り戻すためにも、産業の再生を一刻も早く進める必要があると考えております。一方、東日本大震災からの復興を図るためには、こうしたなりわいの再生に向けた取り組みとあわせて、再びとうとい人命が失われることがないよう、多重防災型のまちづくりによる安全の確保と住環境の整備などの暮らしの再建を一体的に推進することが重要と考えているところでございます。
 このような考え方のもと、復興計画の三つの原則に基づき、グループ補助や復興交付金等を活用して事業所の再建を支援し、産業の再生を図るとともに、地盤のかさ上げや高台移転による安全な住環境の確保、津波防災を考慮した商業地や工場用地等の配置などの防災まちづくり事業を一体的に推進してまいります。
 次に、仕事ができる環境づくりについてでございますが、県が9月に取りまとめました被災事業所復興状況調査結果によりますと、一部再開済みを含めた全体の事業所の再開率は約78%となっており、事業所の復興には一定の進捗が見られるものの、建設業は進んでいる一方、卸売、小売業はややおくれているなど、業種により差があるところでございます。
 また、この調査によりますと、各事業所が抱えている課題については設備資金等の確保が最も多くなっているほか、事業所用地の確保と回答された事業所も約2割ございまして、事業の再開に向けては事業用地の確保も重要な課題となっております。このため、事業の再開に向けて、引き続きグループ補助や復興交付金事業等による事業所の再建を積極的に支援するとともに、岩手県産業復興相談センター等による資金手当ての支援を行っているところでございます。
 また、事業用地の確保に向けては、市町村と連携して、事業者の方々のニーズを踏まえ、区域を定めた土地区画整理事業の先行実施や、津波復興拠点整備事業を活用した用地買収方式による造成などにより施工期間を短縮し、事業用地確保の促進を図ることとしているところでございます。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、医師養成策の成果と課題についてでありますが、現在、全体で226名の医学生が奨学金の貸与を受けており、今後、医学部を卒業後、2年間の臨床研修を経て、平成28年度以降、配置が本格化することが見込まれておりますことから、県内の医療機関においても段階的に医師の充足状況の改善が図られていくものと考えております。
 また、県の奨学金枠の拡大に対応し、岩手医科大学医学部の定員も平成19年度に比較して45名増の125名となっており、地元大学で学んだ医学生の県内定着も期待されているところであります。
 なお、今後の課題といたしましては、医師の地域偏在を解消するため、これら養成医師を医師不足地域の医療機関に効果的に配置していく仕組みの構築が必要と考えております。
 次に、養成医師の配置調整に関するワーキンググループの検討スケジュール等についてでありますが、このワーキンググループは、養成医師の配置が本格化する平成28年度以降、適切な医師の配置調整と養成医師のスキルアップを図る方策を検討するため、本年9月に岩手医科大学や県内公立病院等の関係機関の有識者をメンバーとして設置したものであります。
 今後の検討スケジュールといたしましては、平成25年度中に大まかな配置調整方針を、平成27年度には養成医師が専攻する各診療科に応じたモデル的な勤務パターンを策定するとともに、その配置調整に当たっては、市町村医師養成修学金、医療局奨学金、県医師修学資金貸付事業それぞれの奨学金制度の趣旨を踏まえ、医育機関や配置先医療機関の意見も取り入れながら、県として一体的に調整できる仕組みを構築してまいりたいと考えております。
 次に、医師の地域偏在や診療科偏在の解消に向けた課題と取り組みについてでありますが、医師の配置に当たりましては、医師の専門医資格取得志向の強い現状の中で、配置先の医療機関や診療科とのミスマッチが課題となっております。具体的には、専門医資格取得には一定期間、専門医認定施設となっている中核病院に勤務する必要がある一方で、配置先の約8割を占める中小規模の医療機関では認定施設になっておらず、かつ幅広い症状や疾病に対応できる総合医的な医師が求められております。
 今後、ワーキンググループにおきましては、養成医師の配置調整の仕組みとあわせて、養成医師の中小医療機関勤務とキャリアパスとの両立のあり方や、必要な診療科への配置調整のあり方、中小医療機関で求められる総合医的な技能の習得などの方策についても検討を進め、医師の地域偏在や診療科偏在の解消に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) ILC誘致に対する政府の取り組みについてでありますが、文部科学省はILCについて、計画が十分に詰まっていないことや、CERN─欧州合同原子核研究所の研究成果等を踏まえる必要があること、さらには長期に及ぶ高額な計画であることから、研究者レベルの研究開発段階にあるものという認識であり、国家プロジェクトとして位置づけられていないところであります。しかしながら、世界の研究者から日本に期待する声が寄せられているところであり、CERNの研究所でヒッグスと見られる新たな粒子が発見されたことに加え、本年末にはILCの技術設計が完成することから、国としても、現在実施中の地質調査の結果などを見定めた上で今後の取り組みを検討することになると伺っております。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 未利用資産の総額と利活用計画についてでございますが、売却が見込める未利用資産ということで申し上げれば、その総額は、平成24年3月31日現在の台帳価格で、土地は71件、88億4、900万円余、建物は32件、23億8、400万円余となっております。
 未利用資産につきましては、昨年2月に県有未利用資産等活用・処分方針を策定したところでございます。この方針におきましては、第1に、県が公用または公共用として利用することが適当と認められる資産については、全庁的に情報を共有しながら有効活用を図ること、第2に、県が利用する予定のない資産については、地域振興の観点から地元市町村による活用や民間等への売却等の処分を積極的に推進すること、第3に、貸付中の資産につきましては、原則として貸付先に対して売却等の処分を進めることとしております。
 続きまして、効果的な活用策の提案についてでございます。
 市町村では、長期計画等に基づきまして計画的に施設整備を進めておりまして、県としては、これらの施設の用に供し得るよう、地元市町村の活用に関する意向聴取に努めているところでございます。今後は、広域振興局に対する対応も含めまして、未利用資産の売却が具体化する前段階での早期の情報提供やストック情報の定期的な提供など、よりきめ細かな対応に努めていきたいと考えております。
 このように地元市町村に対しまして十分配慮していくものでありますが、利用意向がない状況の中で、県の側から当該市町村に対しまして活用策を提案していくということにつきましてはいささか僣越でございまして、慎重にならざるを得ないと考えております。
〇12番(福井せいじ君) それではまず初めに、知事の政治姿勢について、また追って質問をしていきたいと思います。
 先ほど知事から答弁いただきましたが、私、知事の役割とは経営であると考えております。先ほどもありましたが、県民の命と財産を守るために岩手県を経営していく。さらには、その岩手県の経営を推進する組織である県庁を経営する。この二つの経営を同時に進めることが、私は知事の役割であると考えております。そして、その経営とは、事業予算の確保であり、経営理念の確立とその浸透であり、その実現のために、県民、県庁職員の意欲を喚起し行動に結びつけていくことだと考えますが、知事はどう思いますか、お考えをお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 知事は、岩手県という自治体の長であるとともに、行政機関としての県組織の長でもありますので、その意味で、議員お話しの岩手県の経営と県組織の経営という、二つの役割があるというのはそのとおりだと思います。そのような役割を果たすに当たって、いわて県民計画や、また、復興計画で示した基本目標、また、ビジョン、これらの実現に向けて県政を運営することが重要でありまして、必要な予算の確保、また、県民、県職員の意識の啓発等も図っているところであります。
〇12番(福井せいじ君) まさにそのとおりであると思うんですけれども、私はそこで、昨日からも質問にあるわけなんですが、その役割を果たすに当たって、知事が一つの政党に寄った姿勢があるということが、その知事の役割を全うするに当たっての障害にならないのかと思っております。ぜひとも、そういった意味では、私は県一体となってこの岩手県を経営していく、そのためには、やはり県民党として県民に寄り添いながら、また、県庁職員と一体となって経営に取り組むことが必要であると思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 恐らくどの政党であれ、自分たちの追求している理念や政策というものが、日本国民すべてにあまねくいいことにつながっていくということで、そういう理念、政策を練り上げ、また、できるだけ多くの人に理解してもらおうとし、また、選挙という民意の発言を通じて実現しようと思っているんだと思います。ですから、例えば安倍晋三自民党総裁も、美しい国という言葉に象徴されるような理念、政策をお持ちでありますし、それは一面、自民党という特定の政党の理念、政策であって、ほかの政党はそれとは違う理念、政策を展開しているんでありましょうけれども、総理大臣になった暁には、それと復興を進めるということとは矛盾しないんだと思います。
 きのうも申し上げましたけれども、競争的な政治状況というのは復興と相矛盾するものではなく、戦前、戦争時代に、戦争というのは国家の大事だから、もう政党活動は廃止してしまおうということで大政翼賛会という形で、すべての国民が戦争に邁進する体制がつくられたわけでありますけれども、うまくいったかということについてはそうでもなかったんだと思います。したがって、日本国憲法の理念、政策のもとで、きのうも紹介した地方公務員法とかもあり、そういう中で知事の政治活動については制限されていないという、そういう憲法理念から来る日本の地方自治法体系の趣旨に沿った形で知事の仕事をしていけば、間違いがないと私は思っております。
〇12番(福井せいじ君) 私は法制的な面とかあるいは歴史的な具体例とかをお聞きしたいと思ってはおりません。今、岩手県は戦時、非常時であります。その中において、全知全能、全力で私はこの岩手県を引っ張っていく上で、金も必要、人も必要、制度も必要だと思うんですね。その中にあって、どこからお金を持ってくるのか、どこで制度を変えてもらうのか、どこから人を出してもらうのか、そういった立場にあるその立場の知事が、その立ち位置が一つに寄っていては、どうしてもそういった仕事が全うできないのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか、知事。
〇知事(達増拓也君) 非常事態のときであっても、政治的自由というのを尊重するようなやり方が望ましいということが、日本国憲法やそのもとでの地方自治法の基本的な考え方だと思うんですけれども、理論的には、例えば一定の大災害、犠牲者の数を基準とするのか、あるいは仮設住宅などで避難している人の数を基準とするのか、その一定の大災害が発生した地方公共団体においては、その首長の政治活動については、その制限についても政党への所属は禁止するとか、政党の集会に出てはならないとか、講演会の活動に参加してはならないとか、いろんな決め方があると思うんですけれども、そういうのを法律で決めるべき、条例で定めるべきという考え方は理論的にはあると思います。ただ、およそどんな首長であれ、どんな政党であれ、大災害のときにあっては中立的でなければならないということであれば、そういう法改正や条例の制定をしなければならないと思うんですが、達増だからだとか、国民の生活が第一だからとかということであれば、それは普遍性を持たない主張だと思います。
〇12番(福井せいじ君) 私は、知事というのは、この県のリーダーであり、そしてこの県をいかに導いていくか、そういった大きな役割を持っている。その中にあって、個人の思想よりも、やはり公職を優先させてその役割を全うすべきだと思うんですね。
 実は宮城県の村井知事は、中小企業のおやじという意識が必要で、中小企業のおやじ知事という意識で業務に当たっていると言っています。
 達増知事、達増知事は、中小企業のおやじが一番苦労することは何だと思いますか。私は、達増知事は経験がないことだと思いますので、中小企業のおやじをやったことがないと思うのでお話をしますが、中小企業のおやじが一番苦労することは、資金繰り、資金調達であります。いかにして金をどっからか調達してこよう、そしてそのお金を回して、そのお金を社員そしてまた社会貢献のために使っていく、それが中小企業のおやじの役割であると思っています。だからこそ、取引銀行との親密な関係が大事でありますし、手形が落ちないとか、取引先に金が払えないとか、給料が出せないとか、そういった意味では取引銀行との信用が一番大事なのです。
 達増知事、本年度は復興元年と言いました。先ほど、復興に当たっては、予算に対して要望書を出し、多くの資金、そして政府の協力も必要であると私も話しましたし、達増知事もそういった意味で要望書を提出しておりますが、どこからあなたはこの復興のお金を持ってくるのか、私は政府だと思っております。その政府との信用をいかに確立するか、そのことに今一番、誠心誠意、その力を傾けていただきたいと思うんですが、そのためにも、県民党として、知事が復興そして県民に寄り添い復興に取り組むことが私は必要だと思うんですが、いかがでしょうか、知事。
〇知事(達増拓也君) 取引銀行が当該中小企業にお金を貸すかどうかを決めるのは、それは経営上の自由であります。また、その自由の中には、企業がどういう政治的な傾向を持っているのか、その社長がどういう政治的な方向性を持っているのかということも含めて判断していいわけです、自由経済でありますから。しかしながら、政府はそうではありません。政府は、日本国憲法のもと、法律に従って予算を措置するわけでありまして、その中で、政治的な傾向があるから、この地域は何々党を支持している人が多いからとか、ここの首長は何党を支持しているからという理由でそういう予算をどうこうするというのは、これは絶対あってはいけないことであります。したがいまして、逆に会社の社長をやっている方々であれば、ちょっと商売上、政党には入らないでおくとか、政党の活動に参加しないとか、そういうのは広く見られることであって、よく理解することであります。しかし、政治家というのは、きのうも地方公務員法の解説書の中で紹介しましたけれど、知事は政治的変革と運命をともにする存在であって、ただ、その政治的変革というのは、あくまで日本国憲法とそのもとでの法律に従って行われるわけでありまして、その点からして、私は何一つ曇りなく行動しておりますし、これからもそうしたいと思っています。
〇12番(福井せいじ君) それぞれいろんな考えとかあると思いますが、一丸という言葉があります。一丸となって今復興に取り組む、命をかけて取り組んでいかなければいけない。その一丸をつくるというのは、一つの輪を、一つの丸をつくることであります。ぜひとも、知事が突出するのではなく、やはりみんなとともに輪をつくる。県民とともに、そして県庁職員とともに、そして議会とともに輪をつくる、その一丸となった姿勢をぜひ私はつくっていただきたいと思っております。
 これで私の達増知事の政治姿勢に対する質問は終わらせていただきます。
 次に、復興についてお聞きしていきたいと思います。
 常任委員会、特別委員会、議員連盟などで私も被災地を訪れ、先ほど高前田副局長、それから昨日は若林県土整備部長もお話ししていましたが、復興のスピードを上げる鍵は私は用地確保であると考えています。事業用地そして住宅用地の確保をまずやることが復興を早期に実現する、そのために必要なものが三つあると私は考えています。先ほども少し話しましたが、それは制度と人と金であると思っております。
 第1点目の制度についてちょっとお話をさせていただきますが、現行制度が、復旧、復興の推進を阻む大きな壁、障害になっているということです。用地確保と用地取得に係る現行制度の壁があり復興が進まない。例えば集団移転先用地が農地や保安林である場合、用途変更の手続が煩雑であるということ、また、用地取得に際し、所有者が行方不明あるいは死亡確認された後、相続人確認が困難であるということなど、現行制度では調査に長期間を要する場合や対応ができない案件があるため、国の制度を変更したり新たな制度を制定したりして早期に事業用地の取得を可能にする必要があると思いますが、このような制度の壁を乗り越えるために、当局はいかなる取り組みをなさっているのかを教えていただきたいと思います。
〇理事(高前田寿幸君) 現行制度の壁を乗り越えるための取り組みについてでございますが、県では、発災以来、土地利用再編に係る特例措置を国に対し要望してきたところでございまして、昨年12月には東日本大震災復興特別区域法が成立したところでございます。この復興特区法を活用し、手続のワンストップ処理を進めるとともに、本年7月には、関係部局が連携して復興事業円滑化チームを設置し、市町村の許認可等手続の迅速化と事務負担の軽減を図っているところでございます。
 また、復興事業の具体化に伴い、所有者不明等により取得に多くの手続や時間を要する土地が多数存在することが判明いたしましたことから、7月には、国に対し、所有者不明土地の市町村管理制度や土地収用手続の迅速化等を要望したところでございますが、国におきましては、こうした問題に対応するため、現在、関係省庁による連絡会を設置し、実態の把握とさらに必要な措置の検討を進めているところでございます。
 今後とも、国の所管する制度につきましては、必要に応じ具体的な提案を行うなど、円滑な復興事業の推進に努めてまいります。
〇12番(福井せいじ君) 今要望しているということでありますが、この返事が早く欲しいというのが現状だと思うんですね。そのめどについてはいつごろになるか、つかんでおられますか。
〇理事(高前田寿幸君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、特に所有者不明土地等の問題につきましては7月に要望させていただきまして、それを受けて国のほうでは、8月にこの各省の連絡会を設置していただきまして、実態の調査でありますとか、さらに必要な措置の検討を既に始めていただいているというところでございますし、その他の制度につきましても、できる限り早く私どもの要望が聞き入れていただけるように、さらにまた強く要望を続けていきたいと考えております。
〇12番(福井せいじ君) 昨日、若林県土整備部長のほうからは、定期借地権設定による用地確保、それから敷地提案型賠償方式という形で公営住宅の用地確保を推進するというお話でありましたが、もう既にこれについては着手しているんでしょうか。もし着手しているんであれば手ごたえ等をお聞かせいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(若林治男君) まず二つのことがあるわけですけれども、一つの定期借地権については、まず取得することが基本だろうということで、最後の最後まで地権者の方々にお願いをして単価差を埋めるとか、そういう努力をした上で、どうしても借地でないとだめだというところについては、これを適用していこうと考えています。
 それから、もう一つの敷地提案型のほうは現在制度設計をしている段階です。これから事業者の方々とかそういうところに御案内を出そうかなと考えているところであります。
〇12番(福井せいじ君) ぜひともこの制度の壁を乗り越えて、この用地確保の手続を簡単にして進めていただきたいと考えております。
 次に、人の問題についてお伺いしていきます。
 被災地のまちづくりに関連した面的整備事業における住民合意形成あるいは個人商店など零細事業者の再建など、再建が進むにつれて個別案件相談など、総合的な復興の調整が必要になってくると私は考えています。また、復旧、復興工事に関する用地買収交渉や設計、監理、検査などに対応する技術職員の不足、そのような仕事に対する人の手配が必要ですが、各市町村の不足人員の確保策はどのような形で行われており、その要望数と充足数、また、県や国の支援体制を教えていただきたいと思います。
〇政策地域部長(中村一郎君) 不足人員の確保についてでございます。
 被災した市町村におきましては、交流のある自治体などへの職員派遣の直接要請でありますとか、新規採用職員の増員、OB職員の活用、また、任期付職員の採用などの取り組みを進めているところでございます。
 また、県におきましては、内陸部の県内市町村への派遣要請や、国を通じた全国の自治体への派遣要請を行っており、さらに任期付職員を採用して市町村へ派遣することとしているほか、各都道府県庁や各県の市長会、町村会、指定都市を直接訪問いたしまして、被災地の現状、さらなるマンパワーの必要性を説明しながら派遣要請をするなど、人員確保のためにできる限りの取り組みを現在行ってございます。
 要望数等の状況につきましては、10月1日現在で、市町村の要望数371名に対し派遣決定数では281人という状況で、90人不足している状況にあります。
 復興事業の本格化に伴い、今後とも相当数の人材が必要とされるという状況でありますことから、国及び市町村と協力をしながら、これまでの取り組みに加えまして、あらゆる手段を講じて人材確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇12番(福井せいじ君) 任期付職員採用については、昨日1次試験が行われたと伺っております。また、2次試験が10月11日から19日。ぜひとも、今後こういった取り組みで人をふやしていっていただきたいんですが、一つ提案ですが、こういったときに、民間の司法書士、行政書士あるいは社労士等の連携なども考えられると思うのでありますが、そういったことについてはお考えがあるのかどうか、お聞かせください。
〇政策地域部長(中村一郎君) ただいま民間の社労士等の活用といったようなお話がございました。今時点で具体的にそういった方々をどういった形でというところはございませんけれども、ただいま議員のほうからお話があったことも踏まえまして、今後、各市町村の人的な要因の不足についていろいろ検討し、対応してまいりたいと考えてございます。
〇12番(福井せいじ君) 次に、第3の壁、お金についてお話を聞いていきたいと思います。
 私が被災地を視察した際、安全な移転先の確保のため用地買収の交渉をしているが、近隣に建設が予定されている国の復興道路建設のため用地買収金額と格差があるため、当該行政体の買収交渉が進まないとの話を伺いました。あるいは、居住禁止区域の土地買い上げ交渉でも、行政が提示する買い上げ価格では借入金の担保価値以下となり、売却できない事例があるとの話を伺いました。このような差額をいかに埋めていくか、さまざまな場面で当局の理屈では対応できない問題が山積していると私は考えます。そのような問題に適時、的確に対応するためにも、柔軟に予算確保ができる体制が必要であると思っておりますが、知事裁量で自由に使える資金の確保の取り組みについてお聞かせください。
〇理事(高前田寿幸君) 使途限定のない資金の確保の取り組みについてでございますけれども、一日も早い復興の実現のためには、これに要する膨大な財源の確保が不可欠でありますことから、これまでも国に対し国費による充実した支援と地方負担も含む復興財源の確保を要請してきたところでございます。
 国においては、昨年度の補正予算におきまして、地域づくりを支援する復興交付金や震災復興特別交付税、地域の実情に応じた事業に充当できる復興基金を創設したところでございます。
 今後の復興を円滑に進めるためには、地域の実情に応じたきめ細かな対応がますます重要となっておりますことから、本年7月にも国に対し、地方が創意工夫を発揮するための復興交付金の柔軟な運用と被災地域の復興の状況に応じ、住民生活の安定や地域経済の振興などにきめ細かに対応できるよう、復興基金の追加的な財源措置などを要望したところでございます。
 今後とも、国に対して、被災地の実情に沿う形での制度の運用と十分な財源措置が講じられるよう、引き続き強力な働きかけを行いまして、復興事業の円滑な推進を図ってまいります。
〇12番(福井せいじ君) ぜひともそういった自由裁量で使えるお金を少しでも多く獲得していただきたいと思います。
 次に、消費税増税についてお聞きいたします。
 消費税増税に関する影響は私は三つあると考えます。
 一つ、被災地における住宅事業建設など復旧、復興事業の経費の負担増、二つ目は、日本全国における駆け込み需要による資材、労務単価の高騰、三つ目が、駆け込み需要の影響で資材、労務者の供給不足になり復旧、復興工事がおくれる、以上の3点です。それゆえに、まず私は、一つ、被災地における消費税導入の延期措置を講ずる、2点目として、全国の建設に関する消費税導入の延期措置を講ずるといった2点に関し知事から政府に要望すべきと考えますが、いかがでしょうか、知事の考えをお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 今の岩手の状況からいきますと、ここからこれ以上の消費増税はしないようにという要望をすると、じゃ、そこにかからない部分は、他は全部増税していいんだなということになると思うんですけれども、今の段階で、岩手において、この部分については増税をしていいと、こう言えるようなところがあるのかというと、基本的に消費税増税全体に反対していくのが基本スタンスかなと思っております。
〇12番(福井せいじ君) 理想は理想で、知事がそう考えるのかもしれませんが、現実的にそれが可能でしょうか、知事。
〇知事(達増拓也君) それというのは、県として反対だと主張することであればそれは可能だと思いますし、それこそ安倍晋三自民党総裁も、経済状況を見ながら法律で定められた時期の消費税増税にはかなり慎重と聞いていますし、民意に沿った賢明な政治が行われていれば、被災地の復興ということを崩してしまうような消費税増税は行われないと見るほうが普通ではないかと思います。
〇12番(福井せいじ君) 私もそういった形で消費税増税はこの被災地においてぜひ回避はしていただきたいのですが、なかなか実現は難しいのではないかと思います。ただ、政府もこう言っております。
 今回の消費税増税検討課題に対する今後の対応の方向性ということで、復旧・復興の状況や被災地の要望も踏まえ、今後とも、必要な税制上その他の支援を実施するという形で、非常に被災地に対しての思いやり、何ていうか、緩和に対する配慮をしてもいいような感触を得るんですね。ぜひとも、そういった点から、例えば住宅建設において減免措置を講じるとか、あるいは逆に、被災地における消費税の導入を延期してもらうとか、そういった具体的な対策を要望していかなければ、実は建設、建築というのは非常に大きな、契約から着工まで、完成まで長い時間を要します。今、行動を起こさなければ、この消費税の減免措置は図られないのではないかと思うんですね。平成25年度の予算要望に、税制改正要綱に入れていかなければいけないと思うのですが、知事、どうでしょうか。急いでやる必要があるのではないかと思うんですが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 消費税増税に反対だというスタンスと、建設関係について、被災地においては免除とか、そういうことの実現を目指すということは矛盾しないと思います。
〇12番(福井せいじ君) 時間がないので次に行きたいと思います。
 いずれ、私は被災地における住宅建設あるいは事業所の建設については非常に大きな私ども負担を強いると思っております。そのことだけでもまず私は取り組んでいただきたいと思っております。ぜひともよろしくお願いいたします。
 続きまして、医師確保対策について何点かお聞きしていきたいと思います。
 医師確保対策は、医師養成とともに医師定着支援も重要な施策だと思っております。その中で、医療クラークの配置についてお聞きしていきたいと思います。
 本年8月1日現在、県立病院常勤医師数551人に対し222人の配置がされています。配置数の推移を見ますと、年々増員され、平成21年度100人、平成23年度179人、今年度は246人を目指しておりますが、勤務医にクラークの現状についてお尋ね申し上げますと、事務的業務の負担軽減、診療に専念できる時間の増加、外来診療のスピードアップなど、勤務医の環境改善だけではなく患者へのサービス向上にも役立っているといった効果があったとお聞きしました。
 そこでお聞きしますが、医療クラーク配置について1人当たりの経費はいかほどであるか。そしてまた、医療クラーク配置に関して国からはどのような支援を受けているかお聞かせいただきたいと思います。
〇医療局長(遠藤達雄君) 医療クラークの配置の経費等についてでございますけれども、1人当たりの経費につきましては、県立病院では医療クラークは臨時の事務員という形で任用しております。平成23年度決算で申し上げますと、医療クラークを含めました臨時の事務員トータルの決算数値しかございませんのでその数字で申し上げますと、1人当たりの給与費は月約22万2、000円、年間で約266万5、000円となっております。
 また、医療クラークの配置につきましては、勤務医の負担の軽減、それから処遇の改善に対する評価ということで、一般病床の数に対する配置人員の基準がございまして、これは診療報酬の中で算定するという形で認められております。診療報酬の中で認められているということでございます。本年8月1日現在の各県立病院の配置人員に基づく試算をしますと、診療報酬に基づきます年間の収入見込み額は約4億8、100万円でございます。これに対しまして、医療クラークの年間の人件費見込み額が約5億9、200万円となっておりまして、約1億1、100万円人件費が上回っているという状況でございます。
〇12番(福井せいじ君) 非常に医療クラークは勤務医にとっては大切な存在になりつつあります。今後も一層その配置を考えていただきたいんですが、しかし、経費にも限界があると私は考えております。今後、配置された医療クラークの質的向上や作業効率を上げていくことが求められると思いますが、そのような取り組みはなさっているのかをお聞かせいただきたいと思います。
 続けて質問させていただきます。
 医療クラークとともに重要なのは電子カルテ導入だと私は考えております。電子カルテの導入の整備状況は、平成17年東和病院に設置され、その後、本年度まで七つの基幹病院と一つの地域病院で合計9病院に設置されておりますが、電子カルテ導入の評価、成果、それと今後の整備方針についてお聞きしたいと思います。
 以上2点お願いいたします。
〇医療局長(遠藤達雄君) 医療クラークも大分ふえてまいりましたので、議員御指摘のとおり、質的面とか、そういった向上を図っていく必要があるということでございます。
 各病院に配置されております医療クラーク、最初の任用時でございますけれども、この時点におきましては、執務の心得や医療保険の仕組み、接遇等の集合研修というものを行っております。それと並行いたしまして、各病院におきまして医療法等の関連法規の概要、それから配置病院の医療内容等の基礎知識を習得するための研修、こういったものを行いながらその資質向上を図っているところでございます。さらに、新任、それから現任の医療クラークを含めまして、配置された診療科等の業務内容に応じて医師など関係職員によるOJTを行い、より専門的な知識の習得や事務作業能力の向上等に努めているところでございます。
 県立病院における医療クラークの配置人員が200人を超え、一定の人員は確保されてきたということで、今後におきましては、医療クラークのさらなる能力向上を図るため、医療の実務に関する専門的な研修会の開催、あるいは医療関係団体が主催する研修会への派遣などについて今後検討してまいりたいと考えております。
 それから、2点目の電子カルテの導入の成果等についてでございますが、電子カルテは、医療の質的向上、患者サービスの向上や業務運営の効率化などを目的に平成17年度から導入を進めてきております。今年度末までに全面稼動いたします大船渡病院を含めまして9病院に導入したところでございます。電子カルテの導入により、診療情報の一元管理などによる医療の安全性の向上、受付から診療、会計までの待ち時間の短縮による患者サービスの向上、それから診療情報の共有によるチーム医療の推進などが図られているところであり、また、医師や看護師の負担軽減にもつながっているところでございます。
 来年度以降の電子カルテの導入につきましては、県立病院等事業の収支状況や導入対象病院の意見などを踏まえながら、今年度末を目途に整備方針を検討してまいりたいと考えております。
〇12番(福井せいじ君) 電子カルテですけれども、非常に、先ほど局長がおっしゃったように、データ管理あるいは診療、それから投薬の履歴等も補完できるという意味で、私は今後ぜひとも全病院への配備を、国にも要望しながらその予算措置を求めていくことも必要であると思いますし、これがまた勤務医の環境改善、そして、さらには患者へのサービス向上に直結するものだと思いますので、ぜひ今後とも推進していただきたいと思っております。
 時間の関係もあるので、ちょっと飛んでいきます。
 ILC誘致についてお聞きしていきたいと思います。
 ILC誘致については、私は、日本が手を挙げれば、まずその建設は間違いないと思うのでありますが、今後は、国内候補のもう一つの地域であります福岡、佐賀の脊振高原との誘致の争いになっていくと思われます。今の岩手県の建設候補地における誘致にかかわる取り組みがまずどのようになっているのかをお聞きしたいということと、そして、今後は具体的にその誘致の行動を進めていく必要があると思います。
 まず第1に、東北各主要都市にILC誘致推進組織をつくって東北全体としての機運を盛り上げること。さらには、建設が始まる前に、工事自体をサポートするための環境整備の予算の確保。それから、東北大学を中心とした東北内の大学の連携等を進めていくことが必要だと思います。ぜひとも自治体、民間、大学が一体となった誘致活動を進めてその裾野を拡大していくためにどのようなことが必要なのか、当局のお考えもお聞かせいただきたいと思います。
〇政策地域部長(中村一郎君) まず、誘致の取り組み状況についてでございます。
 東北の産学官から成ります東北ILC推進協議会という団体を組織してございますが、この団体におきまして、7月にILCを核とした東北の将来ビジョンというものを策定いたしました。これをベースにいたしまして、現在、国を初めさまざまな関係機関等に要望活動を行っておりますし、今後は、パンフレット、DVD等の作製を予定し、さらなる広報活動等を行ってまいりたいと考えております。
 県内におきましては、経済団体等で組織されております岩手県国際リニアコライダー推進協議会が高校生でありますとか県民を対象とした講演会をこれまで開催してきておりますし、今後とも開催する予定でございます。また、地元の一関市や奥州市におきましては、ILCに関する広報誌を隔月で発行するなど、市民向けのいろいろな広報の機会、また勉強の機会を提供しているという状況にございます。
 さらに、議員から今後の誘致活動を進めていくために何点か御提案がありました。一つは、東北の主要都市に誘致組織をつくるといったようなお話がございましたが、現在、東北ILC推進協議会におきましては、東北全域の産学官を対象に会員の拡大を図っております。また、岩手県国際リニアコライダー推進協議会におきましても、県内の企業等に加入を呼びかけているという状況にございます。といったことから、県内市町村及び東北主要都市への誘致推進組織をつくるということに関しては、当面、両協議会において規模の拡大と活動の強化に取り組んでいるという状況にございますので、これらの活動に県としても積極的に協力しながら裾野を広げてまいりたいと考えております。
 それから、ILC建設工事をサポートする体制の整備ということにつきましては、今後、この事業を進めていくには、国の役割のほか、自治体が補完すべき事項、さらには民間活力を活用して取り組む事項など、いろいろな主体の役割分担が必要と考えてございます。現時点におきまして、この研究施設の事業実施主体等がまだ明確になっていないといったようなこともございますので、今後の進捗を見ながら検討させていただきたいと思っております。
 また、大学間の連携強化のお話もございました。こちらにつきましても、東北大学を中心として、東北地方の各大学が主体的にこの誘致活動に取り組んでいけるように、働きかけを県としても進めてまいりたいと考えております。
〇12番(福井せいじ君) この自然豊かな岩手、そしてまた、平泉における浄土思想とか、あるいはおおらかな人柄を持つ岩手県に世界最先端の科学技術研究機関が来るということは、私はある意味で新たな理想郷を築く、本当に大きな礎となると考えております。ぜひともILCを岩手県に誘致して、復興の大きなステップとしていただきたいと思いますので、私どもも一緒になって頑張りますので、ぜひ当局の誘致活動もこれからも一生懸命取り組んでいただきたいと思っております。
 最後に、未利用資産の活用についてお聞きします。
 さまざまな未利用資産があると先ほど伺いました。私は、県の施設としては不便であったり規模的に小さなものであったりしても、市町村や地域にとっては、その使途目的や利用方法を変えることによって価値が出てくる場合があると考えています。
 実は、私の居住する盛岡市の近くに県立短大跡地があります。この県立短大跡地は非常に長い間放置されたままになっておりまして、一部体育施設が利用されているだけでありますが、この短大跡地に関して、周辺自治会から地域の活動センターとしての利用要望が出されています。盛岡市を通じて県のほうに出されていると私は伺っておりますが、そういった利用要望が出ておりますし、あるいは住宅造成地としても利用価値の高い土地ですが、この広大な敷地を今後地域づくりのモデルパターンとして活用するなど、あるいは地域の要望に応じた地域の施設をつくるなど、単なる売却ではなく、地域の活性化や、この地域の先進事例となるような活用を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、当局のお考えをお聞かせください。
〇総務部長(加藤主税君) 御紹介の旧県立盛岡短期大学の跡地につきましては、これまで、庁内や盛岡市に対し意向調査を実施するなど公共施設としての活用を念頭に検討を進めてまいりましたが、具体的な活用までには至らなかったものでございます。このため、売却対象資産に整理し、民間事業者への売却を視野に検討を進めてきた、こういう事情がございます。そういうふうな中で、今後も、まちづくりに一義的に責任を有する盛岡市の意向に十分配慮していく必要があると考えておりまして、周辺町内会から要望も出てきているという段階でございます。この要望に対します市の検討内容も踏まえまして、民間事業者ないしは市に対する具体的な売却方法の検討等を進めてまいりたいと考えております。
 この例に見られますように、それぞれの未利用資産の活用、処分に向けましては、まちづくりの主体となる地元市町村の意向を十分踏まえながら、地域の活性化、地域振興といった面につながりますように丁寧に取り組んでいきたいと考えております。
〇12番(福井せいじ君) まだまだ市町村からその先へ、その地域に対するアプローチが私は少ないように思います。実は県の未利用資産は、非常に有効な活用ができる資産も多々あります。ぜひともそういった意味で、もっともっと地域にアプローチする方法をさらに深く、そしてまた細かくとっていただきたいと私は要望したいと思います。
 最後になりました。
 初めに申し上げましたように、今、岩手県は、大変な非日常、非常事態にあると私は考えています。日常ではない状況の中で、日常を取り戻したいという切なる思いが被災地にありますし、私がこの盛岡に暮らしていてもまだそのような状況が多々見受けられます。日常を取り戻すべく私どもも行動していきたいと思いますので、当局の皆様におかれましても、ぜひとも県民一丸となって取り組めるような態勢をとっていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、伊藤勢至君。
   〔41番伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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