平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

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〇27番(飯澤匡君) 工藤勝博議員の一般質問、質問事項2の震災復興の諸課題についてのうち、小科目4の被災した県立病院の再建について関連質問いたします。
 被災地沿岸の県立病院の再建についてはただいま質疑が交わされたところでありますが、私からは、内陸においても同じく大きな被害を受け、いまだに本来の機能が発揮されていない県立大東病院の再建についてお伺いします。
 大東病院は、2病棟のうち古い1病棟が震災により大きな被害が認められ、昨年に行われた耐震診断により、現状のままでは使用不可能との結果が出ました。現在は使用可能な病棟に検査機能等を移設したものの、入院機能は休止、外来診療のみを行っている現況にあります。
 医療局は、ことしに入ってから3回、地域住民を対象にした大東病院の今後のあり方についての意見交換会を現地で実施し、去る9月12日に行われた懇談会では、整備に係る基本的な方針について説明がありました。その際、医療局は、3回の意見交換会を経て、整備方針を9月下旬ごろまでには固めたいとの意思表示をしておったはずですが、もう既に10月となり、月も変わりました。どのような結論になったかお示し願いたいと思います。あわせて、今後の再建スケジュールについてもお伺いします。
 また、大東病院の今後のあり方についての意見交換会を通じて、1、住民側から強い要望のあった救急対応、リハビリ機能強化、病床数維持、プール施設の継続は再建案にどのように反映されたのか。2、住民の意思を再建に今後どのように生かしていくのかお尋ねいたします。
 次に、大東病院の再建に深く関係してくる両磐医療圏の地域医療政策、とりわけ東磐井地区の地域医療政策について保健福祉部長にお伺いします。
 勤務医の不足は、直接的な影響が地域病院に顕著にあらわれております。地域医療政策を考える以前に、無床化問題の際も、地域と共同でこれからの地域医療をいかに創造していくかの観点、特にプロセスが明らかに不足していました。また、医師確保対策により勤務医の数は増加しているとの報告は受けていますが、両磐医療圏においては、中核病院である磐井病院が恒常的な医師不足の問題をいまだに解決できていないということは、政策そのものが実効性に問題があるとの指摘を逃れることはできないと思います。さらに付言しますと、主に中山間地域に位置する地域病院の機能を明確化し、それを補完する県の地域医療政策が実際に見えてこないところに問題があると私は思います。
 以上、全体的な指摘をした上でお伺いします。
 一関市との合併を果たしたものの、東磐井地区と旧一関市との医療提供サービスは医師数にして人口1人当たり3倍以上の格差があり、ベッド数もほぼ比例しています。大東病院の再建は、県立千厩病院と一関市が運営している国保藤沢病院をも含んだ、行政の壁を越えた医療環境を、提供側も提供される側も整備をしなければ問題の根本的な解決にはなりません。県は、限られた医療資源を有効に使うとの表現をしばしば使いますが、言葉だけでなく、実行しなければ意味をなしません。県民の命と健康を守る保健福祉部が東磐井地区の地域医療政策をどのように考え、推進しようとしているのかお聞きいたします。
 大東病院の今後のあり方についての意見交換会では、一関市側からも保健福祉部長の出席をいただきながら、実際に市の考え方も具体的に回答と提示がありました。プール利用の運営についてと特別養護老人ホームの整備計画案についてであります。提示された部分は、一関市側も一歩踏み込んで大東病院の再建について考察をいただいておりますが、大東病院再建にかかわる一関市との連携に関して、県は医療と介護の連携をどのように進めていくつもりか、県の立ち位置を明確に示しながらお答え願いたいと思います。
〇医療局長(遠藤達雄君) 大東病院の再建についてでありますが、大東病院の整備に当たりましては、本年5月、8月、9月の3回にわたり大東地域において意見交換会を開催し、利用者を中心とした地域の皆様方から直接お話を伺ったところであり、また、地元一関市からも、保健、福祉との連携、地域医療提供体制の確保について御意見を伺ったほか、医療関係者や地元市町、地域住民、団体等から構成されます両磐保健医療圏の地域医療を守る懇談会での御意見も踏まえ、整備に向けた検討を進めてきたところであります。
 地域の皆様との意見交換会におきましては、早期の復旧、診療時間外の救急対応、リハビリ機能の強化、プールの継続などの御意見をいただいたところでありますが、この地域に一定程度の病床が必要であるとの判断のもとに、医師不足などの厳しい状況を踏まえつつも、病床を維持していくことを最優先に、医師への負担を少しでも軽減し、新たな医師を確保しやすい環境をつくる観点から、病床数は40床程度とする、診療時間内の一次救急に対応する、回復期リハビリは千厩病院に集約するなどの整備方針を決定したところであります。
 なお、プールにつきましては、リハビリなど病院としての利用はごくわずかであり、利用者の大部分が一般利用であることなどから、病院として運営していくのは困難であると判断いたしまして、一関市に対し、健康づくりや疾病予防などのための運営の継続について検討を依頼したところでありますが、市として運営するのは困難であるとの結論であったため、廃止することとしたものであります。
 医師不足などの厳しい状況の中、病床を維持することを最優先に考えますと、地域の皆様方からの要望に十分に応えることは残念ながらできない状況にありますが、何よりも病院の早期再建に向け、スピード感を持って進めてほしいとの地元の意向を重く受けとめているところであり、平成26年4月の入院再開を目途に、早期に整備が可能な現施設の増改築により、今後、設計、工事に着手するなど取り組みを進めてまいります。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 東磐井地区の地域医療政策についてでありますが、まず、中核的な病院と地域の病院との関係についての基本的な考え方をお話ししたいと思いますが、本県の県立病院等の事業におきましては、これまで、二次保健医療圏の中で完結性の高い医療を提供するという考え方のもとに、二次救急や高度、専門医療を担う中核的な病院と、初期救急やプライマリーケア等を担う地域病院などの機能の分担と連携によってその一体的かつ効率的な運営をとり行う取り組みを進めてきたところでございます。特に、近年の医療をめぐる環境変化を踏まえまして、各地域の中核的病院に医療機能を集約化し、セーフティネットとしての救急医療体制や診療応援体制の確保を図りながら地域病院等への支援を行い、県民が安心して医療サービスが受けられる体制の整備を目指してきたものと認識しております。
 県としましては、地域連携パスの導入等の取り組みを始めまして、奨学金等による医師養成あるいは地域病院の担い手医師育成の検討、さらには地域包括支援センターの機能強化等による医療と介護の連携の促進、ドクターヘリの導入等に取り組んできたところでございます。
 東磐井地区におきましては、今後、大東病院の早急な再建を図りますとともに、両磐保健医療圏の中核的病院であります磐井病院と地区内の千厩病院等の公的医療機関を中心としたネットワークの充実あるいは地域リハビリテーションの提供を含めた医療、介護の連携促進、健康づくり等について、一関市と一体となって取り組みを検討してまいる所存でございます。
 それから、大東病院の再建に伴います一関市との医療と介護の連携でございます。
 大東病院の再建につきましては、回復期のリハビリの千厩病院への集約など病院機能の見直しが行われることとされておりますことから、これまで以上に大東病院を初めとした地区内の医療機関、介護施設等が相互に役割分担と連携体制づくりを進めていくことが重要であると考えています。
 先ほど若干お話がございましたとおり、現在、一関市におきましては、地域密着型特別養護老人ホームや認知症グループホームの大東地域内への整備を検討していくことと聞いているところでございまして、こうした介護施設と大東病院を初めとした医療施設の連携について、地域での議論を深めていただきながら、県といたしましても、地域包括ケアを推進するための人的ネットワークの構築など、その具体化に向けた地域の取り組みを支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇27番(飯澤匡君) この間の3回目の住民意見交換会の内容等、余り大きな変化はなかったわけです。3回の意見交換会を経て、私が印象を持ったのは、どうしても住民側との共通理解が進まなかった。お互いに立場が違いますから進みようがないと言えばそれまでですけれども、やはり私が指摘しておりましたように、理解が進まなかったのは、両磐医療圏内、もとより東磐井の県立病院の役割分担が、例えば千厩病院にリハビリ施設を持っていくんだと、それから大東病院については廃用性症候群防止のためのリハビリをやるというようなお話をしていますけれども、実際に住民側にどのような形で、目に見える形での具体的な提示がなく、イメージが湧かなかった。要は、そこがやっぱり議論の展開をなかなかうまくできなかったというのが原因だったろうと思います。
 そこでお伺いしますけれども、圏域内の役割分担と連携については、医療局は、良質な医療を提供するため、県立病院が役割を分担し、その連携が必要ということは文字ではうたっているわけですが、ただいま指摘しましたように、具体的に住民の立場に立ったものがなかなか見えてこない。これは、住民がいわゆる奪われる立場から脱し切れない。納得のいく連携の未来図を示せなかったと思うんですが、今後どのようにして図ろうとしていくのか、この点が一番重要になると思いますが、まず医療局にお伺いして、それから、対策委員会のほうで要望が出された早期の復旧、整備と病院の機能の回復については、地域医療のあり方を含めて早急に方策を協議、検討の上、推進してほしい。これは一関市との連携についても医療局もぜひ参加してやっていただきたいという要望が強く総括として出されたわけですが、その点についてどのように対処なされるのかお伺いしたいと思います。
 それから、保健福祉部長にお伺いしますけれども、ただいまの答弁は、従来、保健福祉部が主張してきたものをそのまま言った、その枠を一つもはみ出ていない、具体性に非常に乏しいのではないかと思っております。県の立ち位置を明確にしながらお答え願いますと質問したけれども、どうしても一歩下がった形で、言葉で言うと、助言をするであるとか、それから、ネットワークを構築するためのいろいろな部分での情報提供をするだとか、そのような形になっていくわけですが、私は、今後、やはり医療と介護を進めていくためにも、地域医療政策としてしっかりと県が前面に立って行う必要があると思うんです。かねてから医療局と保健福祉部の組織的なあり方についても提言してきたところですが、何ら前進を見た形が見えてこない。具体的な成果もなかなか見えてこないというところに地域病院にますますしわ寄せが来ているというのが今の現状だと思います。これらの問題を解決するためにさらにもう一歩進んだ地域医療政策を進めていかなければならないと思うわけですけれども、その点についてもう一回答弁をいただいて私の質問を終わります。
〇医療局長(遠藤達雄君) 3回にわたりまして地元の皆様方と意見交換をさせていただいたところであります。議員御指摘のとおり、立場が違うと申しましょうか、いろいろ食い違うところは多々ございました。ただ、私の理解といたしましては、地域の方々も私ども医療局といたしましても、入院施設を含めてここの地域医療をどうにかしたい、そういう思いのところにおいては共通の認識を持って議論できたと考えております。
 御質問のございました磐井、千厩、大東、それから国保藤沢を含めまして、東磐井全体の地域医療の役割分担、あるいは診療所も二つございますけれども、そういったものを全体的にどう活用しながら地域の医療を確保していくのか、そこまではちょっと私のほうも全体像を示せなかったところがございますので、いずれこの辺を含めまして、今、保健医療計画策定の途中でございますけれども、そういったものとか、私どもの経営計画、今年度後半からまた策定いたしますけれども、そういった中でいろいろ検討してまいりたいと思います。
 それから、対策委員会を含めまして出ております地域医療のあり方、そういったものへの参加の仕方につきましても、地元県立病院もございますし、そういったいろいろな機会を捉えながら、地域の皆様方と共通理解を得るような形で、また、医療に対する理解が深まるようにいろいろ取り組んでまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 先ほどの答弁で、もし保健福祉部が一歩引いているという印象をお受けになったとすれば、ちょっと舌足らずであったと感じてございます。
 今回の県立大東病院の再建に際しましても、意見交換会が3度あったということでありますが、これには当然保健福祉部も同席しておりまして、圏域における医療のあり方についての当部としてのスタンスについては必要に応じてお答えを差し上げながらやりとりをさせていただいているところでございます。
 それぞれの圏域について医療をどういうふうに提供するのかということにつきましては、圏域ごとに、例えば両磐保健医療圏域であれば両磐保健医療圏の地域医療を守る懇談会というものを設置いたしておりまして、そこでいろいろ御議論をいただきながら、それを集約しつつ医療政策をつくり上げていく、そういう作業をやってございまして、それが生きた形で医療計画に反映し、施策に反映されるというような形になってございます。
 したがいまして、市とか、あるいは民間の方々にお任せする、あるいは医療局にお任せするということではなくして、そういう関係機関が一体となって、医療政策を議論していただきながらつくり上げていくという、それに加えて、県として支援できるものについてあわせて我々も施策に反映していくというスタンスでございまして、保健福祉部としてこういう県立病院の再建等について一歩引いているわけではなくて、政策的な面からどういうふうな形で地域医療を展開できるのか、医療と介護の連携まで含めましていろいろと議論をしているところでございます。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時55分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 名須川   晋 君
6  番 後 藤   完 君
7  番 佐々木 朋 和 君
8  番 佐々木   努 君
9  番 軽 石 義 則 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 岩 渕   誠 君
18  番 郷右近   浩 君
19  番 喜 多 正 敏 君
20  番 高 橋 但 馬 君
21  番 小 野   共 君
22  番 高 橋   元 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 関 根 敏 伸 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 高 橋 昌 造 君
31  番 五日市   王 君
32  番 小田島 峰 雄 君
33  番 大 宮 惇 幸 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 佐々木   博 君
43  番 田 村   誠 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
 説明のため出席した者
 休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
 休憩前に同じ
午後4時13分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。熊谷泉君。
   〔34番熊谷泉君登壇〕(拍手)

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