平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

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〇25番(工藤勝博君) 地域政党いわての工藤勝博でございます。地域政党いわてを代表いたしまして一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、県政運営と諸課題について知事にお伺いいたします。
 民主党政権の中で唯一党籍を持っていた達増知事は、社会保障と税の一体改革関連法案が衆議院を通過した後、民主党が分裂し、元代表が立ち上げた新党国民の生活が第一に軸足を移されました。党内事情をあれこれ言うつもりは毛頭ありませんが、この国難のさなかに、知事の職責を持つ方が政局の輪にいることにいささか疑念を持ちます。これも知事の言う、自身の政治活動は自由であるべきという考えを踏襲するつもりなのでしょうか。
 2011年3月11日、未曽有の被害をこうむった岩手県にとって、復旧、復興は何より優先課題であります。政権と最も近くにいた知事が、現政権を痛烈に批判し、たもとを分かち、国との連携、協調が果たしてそごのないよう進むものか、不安を感じざるを得ません。今まさに不偏不党で岩手の再生に邁進すべきではないでしょうか。
 知事は、新党への参加を決めた理由について、岩手は改革の最前線であり、その流れを岩手の中で強めていきたい。今回、政権交代をやり直そうということに尽くしていきたいと会見で発表されております。
 そこで、改めて伺います。知事の目指す改革と岩手の復興とはどのようなかかわりがあるのでしょうか。
 次に、東日本大震災は、直接被害を受けた岩手、宮城、福島各県固有の問題ではなく、東北全体の問題として取り組まなければならない課題と考えます。したがいまして、復興に当たっては東北6県が一体となった取り組みが必要でもあります。幸い被害が軽微であった日本海側の山形県、秋田県には十分に潜在力が残っています。この力を東北の復興につなげていくには、どこかに求心軸を設定する必要があります。それが東北州という目標ではないでしょうか。東北6県が一体となり、協働化して復興を進める。その際、各県ごとに何ができるかを明確化した上で、協力とシェアの体制を整えていくことが考えられます。大震災の中で始まった東北六魂祭でつながった東北人の魂が新たな一歩となり、非常時に縄張り争いをするのではなく、この先を見据えた仕組みに踏み出さなければならないと考えます。
 そこで、東北六魂祭で集結した東北のエネルギーと道州制について、知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、社会保障と税の一体改革を目指す野田総理に対し、衆議院の採決で72人が造反、民主党は分裂いたしました。そうした中、国民の皆さんが納得しない、増税は民意に背くなどと言い出す議員がいました。愚の骨頂であります。そもそも政治家は、政策決定において安易に民意に従ってはならないのです。政治家は有権者の御用聞きではありません。政治家がやるべき仕事はただ一つ、議会で議論をすることであります。移ろいやすい民意、熱しやすい世論から距離を置き、過去と未来に責任を持ち、冷静な判断を下すことであります。我が国の将来にプラスになるのであれば増税すべきですし、マイナスになるなら阻止すべきです。この際、民意は関係ありません。民意に従う、国民の判断を仰ぐということが正しいなら、すぐにでも議会を解体し、すべての案件を直接投票で決めればよい。現在では技術的にそれは可能である。しかし、同時にそれは政治の自殺を意味します。直接投票で物事が決まるなら、知性は必要なくなるからです。これはある哲学者の言葉であります。まさに時世を捉えた論評でもあります。軽い政治から脱却すべきは議員みずからの責務であります。知事は、重要な局面には好んで民意という言葉を発します。知事にとっての民意と県政運営、また、自身の政治活動とのかかわりについてお伺いいたします。
 次に、震災復興の諸課題についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波からはや1年半が過ぎました。日夜震災対応に追い立てられ、また、被災住民の怒号にさらされてきた自治体職員の皆さんには心から敬意を表したいと思います。
 行財政改革の名のもとに自治体職員の削減が優先された結果、人手不足は深刻であります。特に技術系職員の不足が復旧、復興の足かせになっています。また、自治事務が拡大する一方で職員数が減った結果、1人当たりの仕事量が膨らんでいます。まさに疲弊する職員の姿がそこにあります。このような中で、本年7月には不幸な事案が発生いたしました。今後さらに本格復旧、復興に向けた事務事業が増大するものと見込まれますことから、さまざまな対応が必要と思われます。自治体職員は地域社会を形成するかけがえのない貴重な財産でもあると考えますが、職員のモチベーションの維持、向上、メンタルヘルス等の健康管理を含めてどのような取り組みをしていこうとするのかお伺いいたします。
 次に、水産業の復旧、復興についてお伺いいたします。
 再生の第一歩は、地域の基幹産業である水産業の復活が何より重要であります。漁船の確保、養殖施設の復旧、漁協、魚市場の再開、そして水産加工、流通と一連の流れが整わないと再生には結びつきません。壊滅的な被害から1年半、関係者が一丸となって精力的に取り組み、震災前に一歩一歩近づいていることは、被災者にも元気と希望を与えてくれるものと思います。
 そういう中で、被災後、休業している間に取引先が別の業者と契約し、営業を再開しても受注できずに売り上げが激減しているという企業も出ております。販売の回復で三陸沿岸の漁業に再び光が当たるよう、多角的な支援のあり方が問われると思いますが、復旧、復興の現状と課題についてお伺いいたします。
 また、今後、復旧、復興が進む中で、多額の費用をかけて整備した不動産施設に対する課税に不安を抱いているとの声を聞いております。そこで、復旧、復興に向けて税制面でのどのような特例措置が講じられるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、グループ補助金を活用した事業の再開についてお伺いいたします。
 被災地の経済を支える企業の事業展開は時を待ちません。被災企業の再建に向けた各種補助事業、制度融資の活用によって事業再開を進めた事業者の間で、仮設から本格復興に向けていつ事業展開ができるのかといった大きな不安が広がっております。グループ補助金を活用し、再建を図る事業体の前に大きな課題も出てまいりました。それは、実施計画年度内での完成はなかなか困難が予想されるということであります。それには繰り越しの許可が必要になりますし、グループの構成員のモチベーションの維持も課題であります。
 一方、グループ補助金を活用して事業再開を目指している小規模事業者の要望がまだまだたくさんあります。復興のスピードを上げるためにも予算確保が必要であると考えますが、対応についてお伺いいたします。
 生活再建の第一歩は住まいの確保であります。応急仮設住宅に入居されている方は、9月21日現在、1万2、903戸であります。不便な生活は言うまでもありません。長引く避難生活の影響で自宅の自力再建を断念する人がふえています。仮設住宅の居住期間3年が終わった後の主な居住先となる災害公営住宅の早期完成が待たれます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 建設予定戸数は、県営、市町村合わせて5、600戸ほど計画されていますが、ここで土地の確保という問題が懸念されているのであります。
 そこで、手続の簡略化や規制緩和など非常時においての見直しが必要と思われますが、市町村との調整も含め、用地確保のための方策についてお伺いいたします。
 次に、被災した県立病院の再建についてお伺いいたします。
 沿岸地域におきましては、医療提供施設数が震災前と比較し約90%まで回復されています。これは、自院または仮設施設で診療を行っている病院、診療所及び歯科診療所の合計215カ所であります。
 そこで、地域の中核病院であった県立山田病院、大槌病院、高田病院の機能回復が待たれます。高田病院は昨年7月、プレハブの仮設診療所で開設し、地域医療の核として住民に期待されております。ことしの2月にはプレハブ入院病棟を増設し、ベッド数41床を確保しております。しかしながら、この数も震災前にあった70床の6割にとどまっています。地域では高齢化が進み、長期入院が必要な患者がふえるとベッド数が足りなくなります。また、医師不足も心配されております。復興意識調査によりますと、被災した医療機関や社会福祉施設などの機能回復について、重要と答えた人は9割以上おります。また、進捗への実感では、44%がおくれを指摘しております。
 そこで、被災した沿岸部の県立病院の再建計画、医師確保対策についてお伺いいたします。
 次に、農林業の振興について何点かお伺いいたします。
 東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質で、農産物、畜産物、林産物に多大な損害を及ぼしております。事故後、汚染されているとは知らずに、稲わら、牧草を給与していた畜産農家にとっては、想像もしていない事態により長期間の出荷停止に遭い、経営基盤を揺るがしました。中でも肉牛、原木シイタケの被害は著しいものがあります。いまだに風評被害に苦しめられています。農協グループが窓口になって東京電力に請求されている金額は、9月末現在で111億5、200万円余となっております。これには産地直売所での山菜や野菜の販売減などは含まれておらず、実際の被害はさらに大きくなっているものと思います。この国難とも言える原発事故の風評被害から立ち上がるには、県を初め関係機関、団体、生産者が連携を密にし、取り組まなければなりません。岩手の基幹産業である1次産業がこれ以上低下しないよう、県の強力な施策を求めるものでありますが、対応についてお伺いいたします。
 日本の農業、食料関連産業は他の産業を圧倒する雇用の吸収力を持っております。2010年の総務省労働力調査によりますと、農業を含め食料関連産業の従事者は1、100万人となっております。さらに、農村景観や農畜産物輸送など、農業とのかかわりが深い観光業や運送業などでも多くの雇用を生み出しております。農業を起点に製造業やサービス業の要素を取り入れ、新たな付加価値を生み出す6次産業化を促進することで農村地域に就業の場を確保し、地域の活性化につなげる大きな転換点になります。また、農産物の価格低迷や生産資材価格の上昇により農業所得が減少する中、農業の持続的発展を図るためには、農産物の生産、販売や地域資源を生かしながら6次産業に結びつけた事業展開が求められております。
 そこで、今日まで事業推進した結果を踏まえ、今後どのような認識で取り組まれるのかお示し願います。
 次に、林業再生について伺います。
 全国の森林資源はふえ続けています。林野庁によると、2007年の資源量は44億立方メートルと、この30年間で倍増しています。これは、戦後、植林が進められ、その木々が成長し、伐採期を迎えているからであります。一方、景気低迷や輸入木材の浸透で国産材の需要量は減少し、木材価格も1980年をピークに下落し、林業経営の環境は厳しさを増しております。所有者が手入れをせず、残材が放置された森林が増加している現状があります。木材需要をどう生み出すかが林業再生の鍵でもあります。
 そのような中、再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートした7月に合わせ営業運転をした木質バイオマス発電所が注目されています。それは、主として周辺50キロメートル圏内から集める未利用間伐材でそのエネルギーを賄えるところにあります。雇用の創出と燃料に充てられる費用は地元林業に流れ込みます。出口がなかなか見つからなかった間伐材の活用や、林業そのものの再興に新しい展望が開かれる可能性があるものと考えます。再生可能エネルギーの中でも、太陽光、風任せのエネルギーと違って、燃料の木材が安定的に確保されれば商業ベースに乗るものと考えられます。
 そこで、北海道に次ぐ森林県である本県林業の再生に向けて一考に値するものと思いますが、今後の施策についてお伺いいたします。
 次に、地域農業マスタープランについてお伺いいたします。
 これからの農業を担う人材の確保、定着は最優先課題であります。農業者の平均年齢は66歳、主に農作業に従事する基幹的農業従事者の6割以上が65歳以上になっております。経営規模拡大や法人化も進んでいますが、食料の安定生産、そして農地の遊休化を防ぐには新規就農の加速化が求められています。農業が仕事として安定し、魅力があれば就農者はふえます。魅力については法人化や6次産業化の進展が証明していますし、また、意欲的な経営体は業績が伸びています。問題は、就農後数年間の経営の安定にあります。
 その鍵を握るのが、2013年度までに作成が求められている新規就農支援と農地集積の総合対策を柱にする地域農業マスタープラン、いわゆる地域農業の未来設計図であります。県内において、いち早く作成したところ、また、核となる担い手や集落営農などの見通しが立たずに展望を描けないでいる地域もあると伺っております。農政の目玉でもあるこのプランを地域に浸透させ、農業の再生、体質強化に向けてどのように指導なされるのかお考えを伺います。
 次に、観光振興についてお伺いいたします。
 32年ぶりとなる本県単独のデスティネーションキャンペーンが4月から6月まで3カ月間にわたって繰り広げられました。昨年の東日本大震災津波被害、さらに東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の風評被害が拡大する中、平泉の世界文化遺産登録が決定し、明るい話題に活路が開けました。平泉を起点に、復興のシンボルとして観光振興が強力に図られました。
 一方、観光に携わる関係者はこのキャンペーンには大きな期待を寄せていましたが、平泉周辺どまりで、県内各地への波及効果が余り感じられない結果となっております。平泉からいかにして県内各地に誘客するかが大きなテーマでもあったと思いますが、結果的には平泉一極集中いたしました。主要な観光地の平成22年比で増加したところは6カ所だけであります。ポストDCを含め、今後の取り組みをお伺いいたします。
 私たちは東日本大震災津波という大きな試練に見舞われ、とうとい幾多の命が失われ、生活の基盤が激しく揺さぶられました。しかし、その中にあって、東北の人々のふるさとを愛する姿、互いに助け合う温かさが全国に、世界に共感と支援の輪を広げました。東北には今なお日本人の原点と言うべき精神が生きています。また、日本の原風景も東北の宝であります。東北観光博では30の観光ゾーンで案内人が情報を発信しております。それぞれのゾーンの魅力が連携し合うことで、さらに東北のよさが増すものと考えます。
 そこで、東北観光博を契機に東北全体を一つの観光地として捉え、振興を図るべきではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか、御見解をお示し願います。
 また、来年は仙台・宮城DCが4月から6月まで、秋田DCが10月から12月までの間、キャンペーンが行われます。白神山地の自然遺産、平泉の文化遺産の二つがある東北が連携し、切れ目のない情報発信をするまたとないチャンスでもあります。大局的な連携の施策をお伺いいたします。
 次に、内陸と沿岸をつなぐ被災地支援に向けた被災地支援金つき復興応援バスツアーの実績が所期の目的をクリアされております。被災地の受け入れ態勢も整えつつ、大震災津波の記憶の風化を防ぐためにも多くの方々に現地に足を運んでもらいたいと考えます。
 そこで、今後増加が見込まれる復興応援バスツアーの運行計画あるいは被災地のマッチングについてどのように取り組むお考えなのかお伺いいたします。
 次に、教育旅行についてお伺いいたします。
 昨年は、東日本大震災津波の影響で本県への教育旅行が一時ほとんどキャンセルされました。その最大の要因は福島の原発事故にあります。放射能汚染が東北から旅行者を遠ざけてしまいました。しかし、ここにきて震災、防災教育やボランティア活動が注目され、誘致の回復、拡大が見込まれるようになってまいりました。被災地におきましては、観光も復興の大きな柱であります。従来にはなかった大震災学習が加わることで多様な教育旅行になるものと考えます。
 そこで、教育旅行の誘致、誘客に向けてどのように取り組むお考えなのかお伺いいたします。
 次に、道路環境の整備についてお伺いいたします。
 岩手県内に登録されている道の駅は平成20年で30カ所あります。今や各施設は交流の一大拠点にもなっております。道路利用者のための休憩機能や情報発信機能、また、地域の物産販売や食の情報発信など、地域の顔ともなっております。
 大震災津波により、沿岸の道の駅みやこ、道の駅高田松原は壊滅的な被害を受けています。これ以外にも、建物の一部損壊や商品破損、さらには、停電及び断水で運営に大きな支障が生じております。
 その一方、震災時に被災者支援に奮闘した道の駅があります。山田町の高台にある道の駅やまだは、震災後、食料品や日用品の販売拠点になりました。まちにあるスーパーは軒並み津波にのまれ、開業できる唯一の施設が道の駅であったのです。地域住民のためにも物資の確保に全力を挙げ、便宜を図ってまいりました。産直の組合員は、電気が復旧していない中、発電機を確保し、また、簡易トイレの水も持ち寄り、本業の機能を超えて柔軟に対応し、万が一の際に地域に役立つことを証明いたしました。
 県内の道の駅には、平成5年から登録され、施設の老朽化、災害時の機能が備わっていないところが数多くあると見受けられます。震災の教訓を生かしながら、道の駅の役割を改めて認識し、その機能強化を図るべきと考えますが、その取り組みについてお伺いいたします。
 次に、本年4月、京都府亀岡市内で登校途中の児童の列の中に自動車が突っ込み、3人の児童らが死亡、7人が重軽傷を負う痛ましい交通事故が発生いたしました。以後も同じような交通事故が発生し、緊急に文部科学、国土交通、警察3省庁による通学路の合同点検が実施されました。点検が実施された7万カ所のうち、児童が交通事故に遭うおそれのある、横断歩道や信号の設置など安全対策が必要な地点が6万カ所あると発表されております。岩手では、保護者が付き添ったり、また、ボランティアが街頭での見回り活動をされております。根本的な対策とは言いがたいものと考えます。
 そこでお伺いいたしますが、本県では安全対策が必要な地点が何カ所あったのでしょうかお示し願います。
 また、この点検結果を踏まえ、どのように通学路の安全確保を図るのか、県、教育委員会及び警察本部にそれぞれ対策をお伺いいたします。
 最後に、一般県道雫石東八幡平線の活用についてお伺いいたします。
 いわゆる歩く県道として、雫石側は大松倉橋付近から、また、松川側は松川大橋から車両通行が制限され、徒歩での通行となっております。新たな活用計画におきましては、三ツ石湿原周辺のすぐれた自然を守りながら、引率者同伴による環境学習の場や、介護者が必要な高齢者、障がい者が自然と触れ合う機会として、網張側における通行制限区間の試行通行を行っております。この試行通行は間もなく10月12日までとなっておりますが、その利用状況、課題についてお伺いいたします。
 今、三ツ石山周辺は紅葉真っ盛りであります。高齢者、女性の登山愛好者もふえ、岩手の自然のすばらしさがさらに発信されております。自然と共生しながら、環境に負荷をかけない取り組みが必要なことは言うまでもありません。
 そこで提案いたします。多額な投資をした道路資産をより活用し、岩手の魅力を発揮するために、電気自動車等環境に優しい車をシャトル運行し、利用者の利便を図ってはどうかと考えますが、いかがでしょうか、県当局の御見解をお示し願います。
 以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の目指す改革と岩手の復興とのかかわりについてですが、岩手県は明治時代に自由民権運動が大変盛んな地域でありました。大正時代には、原敬総裁の政友会が民党として初めて政権を担うということがありました。平成になってからの改革の政治の流れの中でも、新しい日本のあるべき姿について岩手は大きな役割を果たしてきたと思います。
 東日本大震災津波からの復興は、壊れたものをもとに戻すということにとどまらず、本来の日本のあるべき姿を被災地において実現していくという大きな改革の営みでもあると考えておりまして、新しい日本を岩手からという意気込みで復興を力強く進めてまいる所存です。
 次に、東北六魂祭と道州制についてでありますが、東日本大震災津波からの復興は、被災地域にとどまらない東北全体の復興でなければならないと考えており、議員御指摘のとおり、東北が一体となった取り組みが必要であります。
 今般の大震災への対応においては、これまでにない主体的かつ大規模な自治体間の連携や、行政、民間等の枠を超えた連携、協働の取り組みが広く展開されているところであり、東北地域にあっても、人的支援を初め、避難者の受け入れや瓦れきの広域処理、北海道東北地方知事会等による震災復興に向けた要望活動など、各県の連携による取り組みが進められています。また、議員からお話のあった東北六魂祭を初め、NPOや大学等の活動や協働による被災地支援の取り組みなども広く行われており、これらはまさに復興に向けた東北のエネルギーの結集にほかならないと認識しております。
 道州制につきましては、このような連携の先を見据えた仕組みとして、分権型の地方自治への転換や広域的課題を解決するための視点から議論されることには意義あるものと考えますが、地域主権を着実に進める中で、住民自治の観点などからも幅広く議論をしていくことが必要と考えており、大震災からの復興が最重要課題である現状にあっては、引き続き東北のエネルギーを結集した地域の底力とさまざまなつながりの力による取り組みを着実に積み重ねていくことが重要と考えております。
 次に、民意と県政運営、また、政治活動との関係でありますが、民意は、主権者の意思として基本的には選挙で示されるものであります。選挙の結果は、民意のあらわれとして尊重しなければなりません。また、民意が明確になるように、選挙の際はマニフェストなど公約をわかりやすく、はっきりと示し、活発な選挙活動を通じてよりよい民意が形成されるように努めることが政治の基本であると考えます。私自身の政治活動についても、よりよい民意の形成を通じ、憲法が定める国民主権が真に実現することを目指すよう努めております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 自治体職員を取り巻く課題への対応についてでございますが、復興事業を着実に推進するためには、執行体制の一層の拡充、マンパワーの確保が重要であると認識しており、今後も増加することが見込まれる人員ニーズに応えるため、国や他の都道府県等に対し、早い段階から継続派遣の要請とさらなる増員要請を行ってまいります。
 また、現在、一般任期付職員の採用事務を進めておりますが、被災市町村の人員不足にも対応するため、県が採用した任期付職員を市町村へ派遣することとしております。さらに、平成25年度採用予定の一般職員や任期付職員の繰り上げ採用、再任用職員の活用などあらゆる取り組みの可能性を検討し、対応していきたいと考えております。
 こうしたマンパワー確保の取り組みを進める一方、本年7月には、知事が全職員に向け復興業務を進めるに当たってのメッセージを伝えるなど不断にモチベーションの向上を図るとともに、定期健康診断の場などを通じましてメンタルヘルス面も含めた健康管理に意を用いているところでございます。市町村に対しましても県に準じた対応を要請しているほか、県と被災市町村とで人財確保連絡会議を設け、人材確保について情報交換を図り、派遣職員を含めた業務面や健康面の管理などについて適切かつきめ細かな対応を直接働きかけております。
 これらの取り組みを通じまして、職員の士気高揚と健康管理に留意しながら、一日も早い復興に向け、必要な体制整備に努めていきたいと考えております。
 次に、不動産に係る税制面での特例措置についてでございます。
 被災した住宅や事業用建物の再建を促進し、地域の生活、生産基盤の復旧に資するため、震災により滅失または損壊した家屋と敷地にかわる家屋や土地を取得した場合におきましては、県が課税する不動産取得税については、被災家屋と敷地のそれぞれの床面積、土地面積相当分を課税しない特例措置が講じられております。また、市町村が課税する固定資産税につきましては、家屋にあっては、被災家屋の床面積相当分を対象に、新たな家屋の取得から4年間は2分の1、その後の2年間は3分の1が減額される措置、土地にあっては、被災住宅用地相当分を対象に、新たな土地の取得から3年間は更地であっても住宅用地とみなし軽減する措置、さらに償却資産にあっては、被災地域内において取得または改良した場合に、その後の4年間は2分の1に税額を減額する措置が講じられております。
 このほか、県内の特定の区域において、復興特区法に基づきまして指定された事業の用に供する家屋、土地を取得した場合は、不動産取得税及び5年分の固定資産税を免除できる措置を講じることとしております。
 県としては、このような税制上の特例措置が有効に活用されますよう、市町村と連携し、被災者及び被災企業に対し周知徹底を図っていきたいと考えております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、水産業の復旧、復興についてでありますが、水産業の復旧、復興に向けましては、漁業と流通、加工業を一体的に再生していくことが必要との考えで、漁業生産基盤や流通、加工関連施設等の復旧、整備を進めておりますが、漁業生産活動の面では、養殖ワカメの生産量が6割まで回復したほか、今年度の県内産地魚市場への水揚げ高は震災前の7割となっているなど、生産活動は回復してきているものと認識しております。
 今後に向けましては、引き続き漁船や養殖施設、漁港等の復旧、整備を進めるとともに、サケやアワビなど種苗生産体制の再構築、国のがんばる漁業・養殖復興支援事業の導入による漁業経営の安定化などの取り組みにより漁業、養殖業生産の回復を図ってまいります。
 一方、流通、加工の面では、県内13魚市場の全てが再開し、水産加工業では、被災事業所の7割強が事業を再開または一部再開するなど一定の復旧は進んでおりますが、県が8月に実施いたしました被災事業所復興状況調査では、取引先の減少、売上高の減少や利益率の低下を販売面での課題とする水産加工業者が多くなっております。流通、加工業に関しましては、高度衛生管理型魚市場の整備などにより安全・安心な水産物の供給体制の再構築を進めるほか、県産水産物の販路回復、拡大を図るため、量販店での物産展や県内外のバイヤーとの商談会の開催、食関連情報の発信、大手商社等からのアドバイザーの招聘など流通面での支援も強化し、漁業と流通、加工業の一体的な再生を図ってまいります。
 次に、放射性物質汚染対策と風評被害対策についてでありますが、県ではこれまで、利用自粛を要請した牧草地の除染や廃用牛飼い直しの農家負担の軽減等のための集中管理施設の設置、原木シイタケ生産者への支援金の貸し付け、ほだ木再造成のための原木確保などに取り組んでまいりました。さらに、9月補正予算案には、新たに、利用自粛を要請していない牧草地の除染に取り組む市町村への支援やほだ場の落葉層の除去に対する支援など、産地再生に向けて生産者支援を強化するための取り組みを盛り込んだところであります。
 加えまして、風評被害対策として、鉄道会社の広報媒体等を活用した県産農林水産物のPRや、風評被害が強いと言われる関西圏での商談会の開催等、県産農林水産物の販路回復や拡大に向けた取り組みを強化するなど、関係団体等と連携して産地の再生と信頼回復を図ってまいります。
 次に、6次産業化の推進についてでありますが、6次産業化の取り組み拡大に向けてこれまで延べ120の事業体の取り組みを支援し、自家生産の農産物を活用したレストランや体験型農園の開設等が行われるとともに、約300人の雇用が創出されました。
 こうした取り組みの中で、6次産業化の意欲を持ちながらも、具体的な事業計画の立案、新商品の開発、販路の開拓や資金調達等、事業運営のノウハウがないため実施に踏み切れないなど、発展段階ごとの課題も見受けられました。このため、昨年設置したいわて6次産業支援センターを核といたしまして、事業計画の策定や経営相談に対応するとともに、商品開発や取引支援に向けた専門家の派遣、販路開拓のための商談会の開催など、事業の発展段階に応じたきめ細やかな支援を行いながら6次産業化のさらなる拡大と定着を図ってまいります。
 次に、林業再生についてでありますが、本県での木質バイオマス資源を活用した取り組みにつきましては、平成22年度から沿岸地域の製鉄所が石炭と木材の混焼発電を実施しているほか、現在、沿岸地域の木材加工会社が売電を前提とした木質バイオマス発電施設の整備を進めております。木質バイオマスエネルギーの利用拡大は、これまで林地に残されていた未利用間伐材の需要開拓などにより本県林業の活性化が大いに期待できるものと認識しております。
 木質バイオマス発電事業では木質燃料の安定的な調達や採算性等が事業上のポイントとなることから、県といたしましては、事業予定者に対する木質バイオマスコーディネーターによる指導、助言や、林業関係団体等と連携した木質燃料の安定供給の確保に取り組むなど、木質バイオマス資源を活用した林業の活性化を図ってまいります。
 次に、地域農業マスタープランについてでありますが、マスタープランの作成に当たりましては、何より地域の合意形成が必要であることから、市町村、県、JA等関係機関で構成する支援チームが中心となり、営農意向の把握や話し合いなどを進めているところであります。
 また、マスタープランの実践に当たりましては、普及センター、JA等の技術指導、経営指導による新規就農者の経営確立、農地集積の促進や、機械、施設等の整備支援による地域の中心となる経営体の育成、さらに、小規模農家や兼業農家など多様な農業者も参画した園芸産地の形成や、地域資源を生かした6次産業化による所得確保、リーダー育成と経営管理能力向上による集落営農組織の法人化を支援し、マスタープランの実現に向けて取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、グループ補助金を活用した事業の再開についてでありますが、実施計画年度内での完了が困難な事業者につきましては翌年度へ事業を繰り越すことが可能となっておりますが、繰り越した年度内に事業が完了しない事業者も見込まれますことから、県では、国に対して、事業継続や事業期間の延長を繰り返し要望しているところでございます。
 また、小規模事業者を中心といたしまして、グループ補助金に対する要望が依然として多いことから、国に対して予算の増額、補助事業の要件緩和や運用の弾力化を引き続き要望するとともに、小規模事業者のグループへの新たな補助制度への創設についても要望しております。
 なお、グループ化になじまない個別事業者に対しては、沿岸市町村と連携いたしまして、全壊、流失するなどした施設設備の復旧に対する県単独の補助事業を実施しているところでございます。
 次に、ポストDCを含めた今後の取り組みについてでありますが、いわてDCにおいては、県内主要観光地14カ所のサンプル調査では、平泉を初めとした広域6カ所の観光客数が震災前を上回っている一方、震災前の水準に届かなかった観光地もあることから、これら観光地への誘客を促進し、県全体の誘客を拡大していくことが今後の課題と認識しているところでございます。このため、いわてDC後の誘客事業として、いわてDCありがとうキャンペーンを先月15日から展開しており、有名旅行雑誌を活用した八幡平、二戸地域のPRを初めとする情報発信の強化や、首都圏企業等約1、000社に対し1、000円利用のクーポンつきの宿泊旅行のセールスなどを実施しているところであります。
 さらに、今後におきましては、今回の補正予算案に経費を盛り込んでおります八幡平、二戸地域を対象とした旅行商品の造成や、県北地域を回遊するバスツアーの実験運行、盛岡、二戸地域での食をテーマとしたイベントの実施などにより、これらの地域への誘客を促進し、県全体の誘客を拡大していきたいと考えております。
 次に、広域観光の取り組みについてでありますが、新幹線など高速交通体系の整備等により国内における地域間競争が厳しさを増していることから、東北が一体となって東北ブランドとして誘客を展開していくことが重要な視点の一つと認識しているところでございます。このため、平成19年6月に設立された東北の自治体と民間企業で構成する東北観光推進機構と連携し、主に大都市圏をターゲットに、教育旅行、個人旅行などマーケットに応じた旅行商品の開発や販売促進、プロモーション活動等を展開してきたところでございます。さらには、現在、観光庁と東北各県が連携し、東北観光博を展開しており、統一した情報発信や東北パスポートによる東北地域内の回遊促進などにより、東北全域への誘客に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、東北観光推進機構と連携し、東北が一体となった誘客事業を展開するとともに、来年度実施予定の仙台・宮城DCや秋田DCなどによる東北への注目度の高まりを生かし、宮城県と本県県南部、秋田県と本県県央部などの観光地間を結ぶ二次交通の充実や情報発信の強化などにより、県境を越えた広域的な旅行ルートの定番化を図り、誘客を促進してまいります。
 次に、復興応援ツアーについてでありますが、本年4月にスタートした3コースを拡充し、新たに、盛岡から山田、宮古をめぐり盛岡へ向かうコース、盛岡から釜石、大槌、山田、宮古をめぐり盛岡へ向かうコース、宮城県くりこま高原駅から南三陸、気仙沼をめぐり一関へ向かうコースの3コースを加えた6コースにより、来年1月17日から29日までの毎日と、2月、3月の土日、祝日に運行する計画でございます。
 このツアーでは、参加者側の被災地を訪れて支援したいというニーズと、被災地側の被災地の状況や震災の教訓を伝えるとともに経済活動を活発にし、復興への歩みを進めたいというニーズとのマッチングを図っております。このため、料金の一部を被災地への支援金に充てるとともに、震災語り部による被災体験の説明や被災地での食事や買い物、さらには宿泊も可能な内容となっております。今後も、復興の進捗を踏まえながら必要に応じて内容を見直し、継続していきたいと考えております。
 次に、教育旅行についてでありますが、命の尊厳、震災からの教訓、防災などを学ぶ震災学習は、農山漁村での体験学習や平泉の歴史、文化の学習などと並んで本県の教育旅行を構成する重要なプログラムの一つになったものと認識しております。このため、県といたしましては、県観光協会などと連携し、札幌市内の全公立中学校キャラバンや、北海道、首都圏等における誘致説明会などで震災学習を強力にPRしてきており、学校や旅行代理店などからも一定の手応えを得ているところでございます。この秋からは、被災した大型宿泊施設が順次営業を再開し始めることも踏まえまして、沿岸地域の本格的な観光復興のためにも、本県への教育旅行の一層の誘致に努めてまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、災害公営住宅の用地確保のための方策についてでありますが、これまでも各市町村とともに用地確保に向け、候補地の選定や地権者交渉を重点的に進めてまいりましたが、条件面などで課題も出てきましたので、今後、さらなる対策といたしまして、土地の売却を希望しない地権者に対しまして定期借地権による賃貸の提案、敷地の提案と建設を一つの事業主体に行わせる敷地提案型買い取り方式を導入いたしまして、用地に係る課題の解決に向け取り組みます。また、規制緩和といたしましては、災害公営住宅を単独で建設する場合は、既に農地転用の手続は不要となっております。
 次に、道の駅についてでありますが、東日本大震災津波により停電や断水が生じたため、道の駅の機能が大きく損なわれました。管理者や地域の方々の御尽力によりましてさまざまな支援拠点として大きな役割を果たしたところであります。
 県では、今後の大規模な災害にも対応するため、それぞれの道の駅の抱える課題や市町村の意向等を踏まえ、さらなる機能の強化と老朽化した施設の更新等を行うこととしております。具体的には、さらなる機能の強化といたしまして、自家発電設備の整備や駐車場の拡張などに取り組みますとともに、老朽化した情報提供施設やトイレの更新を行い、市町村などが管理する地域振興施設と調整、連携を図りながら、既に今年度、実施設計に着手し、平成26年度の完了を目指します。今後も、道路利用者や地域の方々にとってさらに頼れる道の駅を目指して、機能強化などに取り組んでまいります。
 次に、通学路における交通安全の確保についてでありますが、合同点検は、8月末の時点で、県内の小学校など383校があらかじめ抽出した危険箇所1、518カ所のうち、震災対応などにより調査が間に合わなかった市町村を除き、点検済み箇所数は1、101カ所になっております。このうち安全対策が必要な箇所数は、国、県、市町村が管理する道路を合わせて554カ所になっております。その安全対策が必要な理由は、交通量が多いにもかかわらず歩道がない、交差点の見通しが悪い、スピードを出す車が多いなどがあります。今後、学校や警察、道路管理者などが調整を図り対策案を作成し、それぞれが実施していくことになります。
 県では、これまでも、小学校の通学路などで、交通量が多く、緊急に安全を確保する必要がある箇所につきまして歩道整備を重点的に進めております。また、今回の点検を受け、一部地域では既にカラー舗装化、防護柵やポールの設置などによりまして歩行空間を確保するなど、応急的な対策を実施しているところであります。今後も、点検結果を踏まえ、関係機関と連携し、地域住民の協力を得ながら交通安全の確保に積極的に取り組んでまいります。
 次に、雫石東八幡平線の活用についてでありますが、県では、平成21年7月に、一般県道雫石東八幡平線活用検討委員会から、三ツ石湿原とその周辺は、自然環境の保護と、だれもが自然と触れ合う場として調和のとれた共存を目指すとの提言を受けまして、アンケート調査などを実施した上で、本年6月から、平日に限りますが、網張側の車両通行制限区域区間におきまして利用者を限定して通行していただくことを試行しております。利用状況につきましては、県のホームページや雫石町の広報により試行実施をお知らせしたところでありますが、アクセス件数は多かったものの、1組の利用にとどまっております。このため、9月6日からは土日も実施する案内としております。
 県といたしましては、さらなる周知に努めますとともに、来年度以降も試行を継続しながら、委員の御提案を含め、利便性向上施策について検討してまいります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 被災した県立病院の再建についてでありますが、被災した沿岸部の県立病院があります各二次保健医療圏におきましては、地域医療の再生について、現在、保健所が中心となって、県立病院、地元医師会を含めた医療関係者、行政機関などによる専門的な検討を行っているところであり、県の次期保健医療計画策定に向け、医療機関相互の役割分担と連携を進めるための具体的な方策や目標などについて議論がなされているところであります。
 また、建設場所につきましては、地元市町において、現在、具体的な土地利用計画などの策定を進めているところであり、津波の被害を受けない高台であること、早期に工事着手が可能であることなどの条件を満たす候補地の選定について、地元市町との協議を行っているところであります。こうした状況を踏まえながら、二次保健医療圏全体の医療提供体制の中で、病院の立地場所や規模、機能などを本年度中を目途に検討を進めてまいります。
 医師確保につきましては、全国からの診療応援がほぼ終了していることや、大学から地域病院への医師派遣が厳しいことなどから、大変困難な状況が予想されますが、圏域の基幹病院との連携や外部からの医師招聘を含め、必要とされる診療体制の確保に取り組んでまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 通学路の安全確保についてでありますが、今般の緊急合同点検の結果を踏まえ、通学路の危険箇所の周知などの交通安全を確保する取り組みを一層進めますとともに、登下校の見守り方法の改善や、場合によっては通学路の見直しを行うなど、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを進め、関係機関とも十分連携しながら、児童生徒の通学路の安全確保に努めてまいります。
   〔警察本部長高木紳一郎君登壇〕
〇警察本部長(高木紳一郎君) 通学路の緊急合同点検につきましては、教育委員会が主体となり、警察、道路管理者が連携して危険箇所の点検を実施しており、8月末の時点で安全対策の必要箇所数は554カ所となっております。今後、学校、道路管理者、警察などで調整を行い、対策案について検討し、交通安全施設の整備をするなど計画的に推進し、通学路の安全確保を図ってまいりたいと考えております。また、今回の点検を踏まえ、本年度整備可能な対策につきましては早期整備に努めてまいります。
 なお、警察が実施する主な対策といたしましては、信号機の新設、歩行者用灯器の増設、横断歩道の新設、移設、塗り直し、交通規制標識の新設、移設、補修、交通指導取り締まり等の警察官の姿を見せる活動などが考えられます。
〇25番(工藤勝博君) それぞれ御答弁ありがとうございます。それに従いまして何点か再質問させていただきます。
 先ほど、知事からも民意についての御答弁がありました。あわせて、再度お聞きしたいと思いますけれども、昨年の知事選挙においては、大震災からの復興というのが県政の最大の課題だったと思います。そういう中で、知事は、他候補を寄せつけず圧勝したわけですけれども、これはやはり現職の知事にかける期待、また、政権与党の知事として、県民が復興に取り組んでほしいというそのあらわれだったと私は解釈しております。
 そこで、1年が経過した中、知事の政治活動が、知事選の状況と違って、変わりました。被災地の皆さんを初め県民には、いや、納得できないなという声もたくさんあります。そういう中で、現政権に異を唱えながらの政治活動が果たして、岩手県民は望んではいないだろうと私は思います。一にも二にも三にも復興だという思いもありますけれども、県民から寄せられた昨年の知事選の結果を踏まえて、やはり千年に一度と言われる大震災の復興には、知事の思いで復興を成就させてほしいという、県民からすれば、そうだろうと思います。そういう中で、繰り返すようですが、改めて知事の民意への思いと復興についての決意をお伺いしたいと思います。
 次に、報道でもありましたけれども、復興予算、特にも3次補正の9.2兆円、事業数にすると488のうち2兆4、500億円が、全国を対象にした事業、被災地以外の事業に使われている。全体の4分の1がそういう状況であります。岩手県にとっては、先ほども、グループ補助事業を実際申し込んでも3分の1しか採択できていないと。これは、やはりそういう予算の使われ方に大きな原因があるだろうと思います。記者会見の中でも、知事は報道番組を見たということもあります。そういう思いを込めて、この復興予算の使われ方、そしてまた、岩手の復興につなげるためにも、どのような形で予算確保に当たるのかお伺いしたいと思います。あるいは東北の怒りをもっともっと強く出すべきだろうと思いますけれども、その辺もあわせてお願いいたします。
 次に、水産加工業で先ほど伺いましたけれども、1年以上のブランクがあるという中で、販売も問題、さらにまた水産加工を支える人手不足の問題があります。人手不足の中には、求職しながらも応募がない。逆に仕事がないと言っている方もたくさんおられると思います。その辺のマッチングがなかなか難しいと言いながらも、これもやっぱり大きな課題だろうと思います。その辺の方策をこれからどういうような形でなされるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、林業再生についてまたお聞きしたいと思いますけれども、やはり出口のない今の林業経営だろうと思います。復興需要があるといいながらも、先ほどの補助事業でもありました。震災復興の中でも、九州のほうから、震災需要があるからといって林道を新たに開設するという話もありましたけれども、東北、岩手の中に木材がないわけではないので、そういう部分も含めて、出口の見える林業政策が必要だろうと思います。
 そういう中で、先ほどもお聞きしましたけれども、やはり将来的に安定した林業経営ができるには安定した需要がなければならないだろうと思います。再生可能エネルギーで、木質バイオマスも従来は試験プラントが主でした。試験プラントですので、採算ベースに乗るような試験プラントは恐らくなかっただろうと私は思います。ですけれども、ことしの7月からの買取制度が決まったということで事業ベースにのせれるのだという事業者も出てきたということもありますので、その辺も一つの、何といいますか、踏み台にしながら林業振興に向けて取り組んでほしいと思います。
 最後に、放射性物質の対策でありますけれども、今定例会にも補正予算で計上されております。牧草地の除染、従来にない一歩踏み込んだ対策をなされるわけですけれども、遅きに失した感もありますけれども、そういう中で、本当にことしは記録的な猛暑、そして少雨でした。実際の作業をなされている皆さんは、いや、大変だと。雨も降らなきゃ、種をまいても芽が出ない。芽が出ても枯れる。そういうことしの草地更新ということで大変厳しい状況があります。その辺の実態をどのように把握されているのかお伺いしたいと思います。
 もう一つ、原木シイタケの話ですけれども、ほだ場の除染、あるいは被害に遭った原木の処理は当然なされるわけですけれども、その後につながる─やはり原木シイタケの経営サイクルというのは単年度では済まないので、長い年月を要して一つの経営がなされるわけですけれども、一旦ゼロからスタートするのであって、これからの原木なりほだ場の対策を含めたら、やはりもう一歩踏み出して、出荷制限の解除に向けた、これこれで出荷制限は解除できますよというところまで踏み込んで生産者に示す必要があるだろうと思いますけれども、その辺をあわせてお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、民意と私の決意についてですが、私は、昨年9月の知事選挙において、東日本大震災津波からの復興を最重要課題とし、岩手県東日本大震災津波復興計画及びいわて県民計画の推進を公約として県民の皆さんに訴え、大きな御支持をいただいて当選を果たしました。この民意を受け、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指す姿とする復興基本計画や復興実施計画改訂版を着実に推進し、県民の皆様の御理解をいただきながら、オール岩手として力強く復興を進めてまいる所存です。
 次に、復興予算の使われ方についてでありますが、昨年7月に決定された東日本大震災からの復興の基本方針では、国の総力を挙げて、東日本大震災からの復旧、そして将来を見据えた復興へと取り組みを進めていかなければならないものとされており、国の復興予算は、この基本方針に基づき計上されることが必要と考えます。
 具体的には、東日本大震災からの復興を実現するために、被災地で必要とされる事業予算が十分に確保されることが必要であると考えており、本県としては、これまでも、復興交付金等による確実な予算措置、地方負担分に対する財源措置の充実、確保、自由度の高い地方財源の一層の確保など、復興財源の確保について重ねて要請してまいりました。今後とも、グループ補助金を初めとする被災地の復興を着実に実現させていくための事業予算が十分に確保されるよう、国に対し強く要望してまいります。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 水産加工業の人手不足についてでございますけれども、県では、沿岸地域の雇用を促進するため、就職面接会の回数をふやすなど取り組んでいるところでございますが、人手不足の要因といたしましては、求人条件が求職者の希望に合わないこと、住居の移転や働くことができる時間の制約など、求職者側の生活環境の変化などが考えられるところでございます。このため、水産加工業者に特化した個別の就職面接会を継続的に開催するとともに、水産加工業への理解を深めるため作業現場の見学会を設けるなど、より効果的なマッチングにつながるよう努めております。今後も、こうした取り組みを沿岸各地で進めるとともに、求職者側、事業所側双方の理解を深めることができるきめ細かな取り組みを進めてまいります。
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、木質バイオマス発電の導入についてでございますが、木質バイオマス発電につきまして、未利用間伐材の需要開拓などによりまして林業の活性化が大いに期待できるものと認識してございます。県内でも、再生可能エネルギー固定価格買取制度の施行を契機といたしまして、売電を前提とした木質バイオマス発電の施設整備、あるいは立地検討の動きが活発化してございます。
 県といたしましては、事業予定者から相談があった場合には、コーディネーターの派遣や燃料の安定供給の確保などを通じまして、本県林業の活性化に資する取り組みに対しましては支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、草地更新の進捗状況についてでありますけれども、牧草地の更新につきましては、早期に牧草地が使えるよう、県農業公社による実施に加えまして、作業機械を有する畜産農家等の協力も得まして進めてございますが、現時点でおよそ4、200ヘクタールに着手してございました。秋施工を希望している農家も相当数あるものですから、前植生の処理あるいは施工方法の徹底も図りながら着実に作業は進めていく考えであります。
 次に、原木シイタケの関係でございますが、原木シイタケの損害賠償の関係等について、これまで東京電力には十分かつ迅速な支払いを要請してまいっていますし、原木シイタケ生産者に対しましては、損害賠償を求めた生産物やほだ木更新に係るつなぎ資金として支援金の貸し付けを実施してございます。さらに、今議会の補正予算案には、生産再開を支援するために、ほだ場の放射性物質の低減のための環境整備に対する補助も盛り込ませていただいてございまして、経営基盤再生の支援を強化することといたしております。
 それと、原木シイタケの出荷制限の解除の見通しについてでございますが、現在、林野庁と協議を進めてございますが、林野庁からの助言を受けまして、まず、基準値超過の生産者が少ない盛岡市を対象といたしまして、必要な調査あるいは基準値超過のシイタケが流通しないための対策等、出荷制限解除に必要な対応についてその具体的な内容を詰めているところでございます。できるだけ早期に林野庁の協議を調えまして、出荷制限解除のための申請ができるように全力で取り組んでまいります。

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