平成24年9月定例会 第7回岩手県議会定例会 会議録

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〇32番(小田島峰雄君) 民主党の小田島峰雄でございます。御配慮をいただき、久々の登壇であります。順次質問をさせていただきますが、その前に、あの東日本大震災津波から1年半が経過いたしました。改めて、犠牲となられました皆様にお悔やみを申し上げ、今なお不自由な暮らしを余儀なくされている皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 さて、最初に知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 去る7月2日、税と社会保障の一体改革関連法案に反対して、小沢一郎氏を含む38名の衆議院議員と12名の参議院議員が民主党を離党し、その後、新党国民の生活が第一を結成いたしました。そして、この政局が県政にどのような影響を及ぼすか。とりわけ達増知事の動向が大きな注目を集めましたが、知事は7月9日、民主党を離党し、小沢氏が結成する新党に参加することを表明し、同11日に開催された結党大会に出席。来賓として壇上から、国民にとって大きな希望だ、新しい政権をつくり直すために全力で応援するとエールを送ったと報じられております。
 知事の今回の行動は、衆議院議員時代はもとより、知事に就任してからも一貫して小沢氏を支持してきた言動から、予想どおりだとする見方がある一方、震災からの復旧、復興が最優先の県政に思いをいたせば、この際、中央の政局とは一線を画し、無所属となって各政党と等距離のスタンスで復旧、復興に取り組むべきだとする声も多くありました。なぜ民主党を離党し、新党国民の生活が第一を支援するのか。無所属となって各党と等距離のスタンスで復興に取り組むという選択肢はなかったのか。また、今回の決断は、復興の妨げにならないのか、知事の御所見を明確にお聞かせ願います。
 ところで、知事は、新党の結党大会終了後、報道関係者の取材に応じ、本県選出で民主党にとどまった3名に対し、政権交代時の選挙を思い起こせば、残留するのは理解できない。新党の綱領などを読んでもらえれば合流してもらえると期待していると述べたと報じられております。しかしながら、この時点で綱領や基本政策はまだ公表されておらず、それらが未定であるのに全面支援するという知事の政治姿勢こそが問われるのではないでしょうか。あるいは事前にその内容を承知していたのでしょうか、御所見を伺います。
 知事は以前から、知事には行政の長としての側面と政治家個人の側面があり、政治的には個人の立場で自由にやらせていただくと公言しております。その言葉どおり、現在、国民の生活が第一の支援を活発に行っており、1区内の御自身の挨拶回りのほか、8月上旬には、奥州市水沢区であった小沢氏の若手支持者でつくる一友会の会合に参加し、結束を呼びかけたり、小沢後援会の拡大役員会に出席して、小沢氏を応援するというよりも、一緒に行動していかなければならないと述べ、みずから党勢拡大に努めていく決意を示したと報じられておりますが、これらは知事の思いでは政治的に自由にやれる分野なのでありましょう。しかしながら、理屈はともかく、同一人物である以上、現実に知事の言動を公私できちんと区分することは不可能で、個人の立場と思っても、周囲はそうは見てくれません。新党を立ち上げ、党勢を拡大するためには大変大きなエネルギーが必要とされますが、震災からの復興が最優先の現在、知事にその余裕があるのでしょうか。また、政局絡みの言動に県民の理解が、特にも被災者の理解が得られるとお考えでしょうか、御所見を伺います。
 次期衆議院選について伺います。記者会見では繰り返し否定しているようでありますが、知事は、国政復帰を目指して国民の生活が第一から次期衆議院選に出馬するのではないかという憶測がなかなか消えません。知事を辞職して次期衆議院選に出馬することは断じてないと言えるのかお聞きして、この質問を終わります。
 次に、本県財政の見通しについて伺います。
 本県財政に入る前に、現在の国の財政状況に対する御認識についてお尋ねいたします。
 既に御案内のこととは存じますが、平成24年度末の国債残高見込みは709兆円、実に税収の17年分と見込まれております。国民1人当たりで申し上げますと、554万円にも上る大きな借金を背負っている計算となります。対GDPに占める債務残高の国際比較を見ましても、我が国は219.1と主要先進国中最低の水準となっております。見方によっては、あのギリシャやスペインを上回る深刻な財政状況であると言っても過言ではありません。まず、知事には、申し上げました国の財政状況についてどうごらんになっておられるか、御認識を伺います。
 そのような中、御存じのとおり、さきの国会で税と社会保障の一体改革関連法案が可決されました。それにより消費税の増税が決まったのであります。この法案の取り扱いをめぐり、政府与党が分裂するまでの激しい議論が交わされたところでありますが、毎年ふえ続ける社会保障費の財源を現行の税制度の中で捻出することは至難のわざであります。税制改革なくしてこの国がもたないと私は考えるものであります。知事は、日ごろから増税については否定的なお考えをお持ちと承知いたしておりますが、この際、改めて消費税増税についての御所見を伺います。また、税制改革なくして財源が確保できるとお考えなら、その道筋についてもお示し願います。
 翻って、我が県財政を見ますと、平成24年度末の県債残高は1兆4、500億円余の見込みであり、県民1人当たりにいたしますと109万円に相当する残高であります。現在の県債残高のほとんどは前県政から引き継いだものであり、ここ2年ほどはプライマリーバランスも黒字であるとしておりますが、知事就任以来の公債費負担比率、実質公債費比率とも増加基調であり、慎重な財政運営が求められることは申し上げるまでもありません。震災の復興財源のほとんどは国の財源であり、直ちに財政悪化をもたらす要因とはなりませんが、復興以外の県政課題も山積している現在、今後、想定外の財政出動が必ず来るものと私は確信しております。健全な財政基盤なくして健全な政策もあり得ません。改めて県財政の現状認識と今後の財政運営の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 次に、東日本大震災津波からの復興についてお伺いいたします。
 私ども岩手県議会におきましては、震災津波発災後、今日まで、復興特別委員会、常任委員会などを通じ、たびたび沿岸被災地を訪問し、被災施設の復旧、復興状況を調査し、また、仮設住宅にお住まいの住民の皆様方と意見交換等を行ってまいりました。
 そのような中、沿岸被災地に居住または就労する方々の復興に対する実感の変化を把握することを目的にしたいわて復興ウォッチャー調査を見ますと、前回調査と比べて若干数値は上がっているものの、依然として過半の方々が復興を実感できるまでに至っておりません。実際に私どもが被災地で住民の方々と意見交換する中におきましても、実に多くの御要望をいただいているところであります。大震災津波発災後、既に1年半が経過いたし、もうすぐ2度目の冬を迎える今、一日も早い復旧、復興を願う観点から、順次お伺いいたします。
 第1は、震災瓦れきの処理についてであります。現状では、推計総量525万トンに対し81万トン、進捗率にしてわずか15.5%にとどまっているとのことであります。破砕、選別施設や一般廃棄物焼却施設、仮設焼却炉など瓦れき処理プラントは、県、市町村、民間設置分を合計すると処理能力も相当量に上ると思いますが、何ゆえ、このような数値にとどまっているのか、瓦れき処理の現状についてお答え願います。
 また、広域処理につきましても、過日、我が議会におきましても他県等を訪問し、お願いをいたしてまいった経緯があります。確かに、自治体によっては極めて大きな温度差があることも事実でありますが、徐々に受け入れ自治体もふえてきているとのことであり、この際、広域処理の状況についてもお答え願います。
 第2は、災害公営住宅の建設についてであります。
 現在、仮設住宅にお住まいの多くの方々が切望しておられますが、県と市町村が建設を予定している5、600戸に対して着手済み戸数は31.2%とのことであります。着工を阻害している要因は主として建設用地の不足と報道されておりますが、果たしてそうでしょうか。徐々に改善されてきてはおりますが、仮設住宅はあくまで仮設であります。この際、改めて建設が進捗していない要因と対策についてお答え願います。
 第3は、沿岸被災地の人口動態であります。
 被災沿岸12市町村の震災前人口は27万2、937人に対し、本年9月1日現在の直近人口は25万6、324人、社会減、自然減それぞれありますものの、総体で1万6、613人の減となっております。私が最も懸念いたしますのが復興後の人口動態であります。各分野にわたって懸命に復旧、復興のための諸事業が推進されておりますが、近い将来、復興後、沿岸被災地が万に一つも衰退するようなことになってはなりません。
 現在私が住む花巻市には、発災後1年半経過いたしまして、なお532人の方々が避難しておられます。昨年12月に市が行ったアンケート調査によれば、約半数の方々が将来とも花巻市で生活再建をすると答えているとお聞きいたしました。私は、寡聞にして他市町村の例は存じ上げませんが、同様の傾向を示していはしまいか懸念いたしております。そこで、県はこのような状況をどう捉え、今後どのように対処していくお考えかお答え願います。
 第4は、県内漁港の復興状況についてであります。
 このたびの震災により被災した漁港は、県内111漁港のうち実に97%に相当する108漁港、被災額も2、189億円にも上るとのことであります。本県におきましては、いち早く被災した108漁港すべてを復旧するとの方針を掲げ、おおむね5年で復旧を完了するとしております。隣県の宮城県におきましては、当初、最重点漁港のみを復旧する計画であったやに聞いておりますが、最終的にはすべての漁港を復旧するとのことであります。三陸特有のリアス式海岸や生鮮魚介類の水揚げ、搬送を考慮すれば当然のことであり、本県の決定に敬意を表する次第であります。
 漁港の被災状況を見ますと、防波堤の倒壊や地盤沈下により漁船の安全係留機能が著しく損なわれるなど、復旧に多額の時間と経費を要することなどから、復旧の進捗率はわずか10%であります。本年7月、ある漁港を調査した際、復旧が手つかずのため主力のワカメが水揚げできず、がっくりと肩を落とす漁民の方の話を聞いてまいりました。恐らく本年度は多くの漁港が復旧工事に着手されていることと思いますが、改めて、被災漁港の復旧の状況、今年度末の進捗見込み、来年度以降の考え方等についてお答え願います。
 次に、本県農業の振興についてお尋ねいたします。
 国は、昨年12月、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画に関する取り組み方針を策定し、その中で、持続可能な力強い農業の実現に向け、人と農地の問題を解決するための基本的プランとしての地域農業マスタープランを全国で作成することといたしました。それを受け、本県でも、現在、すべての市町村で地域農業マスタープラン、いわゆる人・農地プランの作成に取り組んでいると聞いております。
 私の住む花巻市東和地域においても、農業従事者の減少、高齢化は着実に進行し、あたら肥沃な農地が耕作されず、草ぼうぼうに荒れ果てるなど、地域農業の衰退が危惧されております。私は、こうした状況を打開していくためには、何といっても、農家が一定の所得のもと、自信と誇りを持って経営を持続できる農業の確立が不可欠であり、その実現に向け、これからの地域を支える人材の育成、確保や今後の地域のあるべき姿などについて、それぞれの地域が主体となって考えていくことは極めて大切で有意義と考えており、まさに地域農業マスタープランの作成趣旨と思いを同じくするものであります。
 そこで伺いますが、第1点目は、県内における地域農業マスタープランの作成状況と今後の見通し、また、他道府県と比べ本県のプランはどのような特徴を有しているのか。
 第2点目は、県はこのプランの作成を通じて、今後の本県農業、農村をどのような姿に導いていくお考えか。
 第3点目は、プランの実現のためには、その基盤となる農地や農業用水施設の整備は欠かすことのできない施策の一つと考えますが、農業生産基盤の整備をどのような考え方で進めていかれるのかお答え願います。
 私たち岩手県議会農業農村整備推進議員クラブでは、先日、県北広域振興局管内の久慈市及び野田村の現地を調査してまいりました。久慈市では、県北初の大区画圃場整備事業である大川目地区を拝見し、整備された農地を基盤として、これから効率的な集落営農がしっかりと展開されていくのだろうとの思いを強くいたした次第であります。
 次に訪問いたしました野田村長地地区では、農地を守る堤防があの大津波にのみ込まれながらも踏みとどまり、8月末に復旧工事を終えたばかりという防潮堤を拝見いたしましたが、私ども参加者を驚かせ、感激させたのは、その堤防の背後に広がる黒土の畦畔も初々しい復旧水田一面にずっしりと重そうな稲穂を垂れる豊穣の秋の景色でありました。1年半前、あたり一面が瓦れきに覆われた写真を拝見しながら、よくぞここまで復旧し、農家の期待に応えてくれたと目頭が熱くなる思いでありました。聞けば、大きな瓦れきは機械で取り除いたものの、小さなものは被災農家が手で拾い集めたとのことであり、また、津波による塩を取り除くための除塩作業も繰り返しながら、何とか作付にこぎつけたとのことでありました。県北広域振興局管内の農地復旧はすべて完了し、作付が始まったとのお話を伺い、これまでの作業に携わった地域の農家の皆さんと関係者に深く敬意を表する次第であります。
 また、宇部川地区というその地域では、この機会に、これまでの区画が小さく未整備で、自分の田に行く農道もない、用水路も排水路も小さくて農作業もままならないという状況を何とかしたいとの思いから、圃場整備を計画しているとのお話を伺いました。被災農地とその背後の農地をまとめて、復興交付金事業と既存の基盤整備事業を組み合わせてやるのだと、地域の代表の方々が目を輝かせて熱く語っておられる姿を拝見し、被災地が、被災者がこんなに頑張っているのに、我々はもっとしっかり応援しなくてはとの思いを強くしたところであります。
 そこで伺いますが、第1点目は、県内の農地の復旧状況はどのようになっているのか。
 第2点目は、宇部川地区のように、この際、圃場整備などを導入し基盤を改善すべきと考えますが、そうした地域はどれぐらいあり、その取り組みの進度はどうか、また、課題となっていることとはどのようなものかお答え願います。
 次に、県産品の海外販売戦略についてお伺いいたします。
 私ども岩手県議会当選3回の同士4名は、過日、尖閣問題が深刻化する以前に、本県大連経済事務所や上海アンテナプラザを初め北京、成都、上海、大連など6都市を訪問し、調査を行ってまいりました。四川省や大連市政府関係者、県産品の中国国内販売に大きな影響力を持つ上海大可堂茶業有限公司の経営者、県産品等を広く取り扱っている現地日本企業の代表者、さらには北京岩手県人会の役員各位等と直接お会いし、実に精力的に協議、意見交換を行ってまいったところであります。その結果、総じて県産品に対する高い関心が伺われ、生産体制の強化、販路拡大に対する大きな期待などを感じてまいった次第であります。
 しかしながら、御存じのとおり、帰国後に発生いたしました尖閣諸島をめぐる一連の中国国内の動きは、県産品の生産、販売にかかわる関係者の懸命な努力に深刻な影響を及ぼす可能性が極めて大なるものがあり、一日も早い沈静化、安定化を望むものであります。
 県産品の販路拡大については、平成22年4月の達増知事御自身による中国プーアル市訪問を初め、平成23年12月の上野副知事による北京、昆明、上海など積極的なトップセールスが功を奏し、県産品に対する信頼拡大や震災の風評被害の払拭等に多大な効果をもたらしたことは事実であり、心からそれらの努力に敬意を表する次第であります。また、大連経済事務所の禹瑾所長を初め現地スタッフの日夜を問わぬ懸命な奔走に対しても、この際、敬意と謝意を表したいと存じます。
 そこで、副知事にお伺いいたします。
 第1に、県産品の海外販路拡大については、平成21年度、平成22年度の数値を見ますと、農林水産物や工芸品を中心に、東南アジア、欧州、北米等で実績を大きく上げている反面、中国、香港では若干不本意な結果に終わっております。申し上げるまでもなく、中国は今後の県産品販売のマーケットとしては限りなく大きな可能性を秘めており、重視すべきと考えますが、中国市場に対する所見、販路拡大のための戦略、課題や問題点などについて伺います。
 第2に、県産品の中で、特に南部鉄器の需要が近年急激に増しているとの説明をいただいてまいりました。南部鉄瓶で沸かしたお湯は高温が持続するため、特にプーアル茶との相性が極めてよく、鉄瓶が国内の3倍の値段でも飛ぶように売り上げを伸ばしているとのことであります。大連事務所が販路拡大のために東奔西走しておられますが、限られた人員、予算ではおのずから限界もありましょう。中国はとてつもなく広い国であります。今回もすべて空路で移動してまいりましたが、つくづく広い国であると痛感いたしてまいりました。相応のコストもかかりますが、聞くところ、隣県宮城県や神奈川県の予算と本県のそれを比較しても、いささかお寒い感じがしてなりません。現地スタッフが心置きなく働けるよう諸体制を整備すべきと思いますが、御所見を伺います。
 第3に、今後の海外販路の拡大についてでありますが、特にミャンマー市場への参入について御提言いたします。
 既に御承知のとおり、改革、開放政策に大きくかじを切り始めたミャンマー政府の姿勢に呼応して、多くの国内企業、商社が競い合うかのように現地に社員を派遣したり現地事務所を設置したりする動きが顕著になってまいりました。いずれ、近いうちにミャンマーも国際社会の一員として復帰するものと考えますが、他県等におくれることなく、真剣に交流すべき時期に来ていると存じます。このことに対する御所見を伺います。
 次に、県立病院の次期経営計画に向けた取組状況についてお伺いいたします。
 過日公表されました平成23年度岩手県立病院等事業会計決算を見ますと、経常収支におきましては9億7、000万円余の利益を計上し、2年連続の黒字となったものの、総体的には4億7、300万円余の純損失となり、累積欠損金も205億円を突破するなど、東日本大震災津波による被害を考慮しても、極めて憂慮すべき状況にあると認識いたしております。
 現在の岩手県立病院等の新しい経営計画は、医師の絶対数の不足や地域偏在、勤務環境の悪化等を背景に、県立病院間の役割分担や連携、安定した経営基盤の確立に向けた取り組みなどを内容として、平成21年2月に策定されたところでありますが、この計画も来年度が最終年となり、平成26年度からのいわゆる次期経営計画の策定が予定されているところと承知いたしております。
 前回は、危機的な医師不足の中、限られた医療資源のもとで良質な医療を提供するため、苦渋の決断としながらも無床診療所化が提起されるなどし、議会における夜を徹しての議論は記憶に新しいところでありますが、この医師不足の状況については、依然として今なお改善されているとは言いがたく、加えて、被災した沿岸部の県立病院の再建問題や経営の健全化策など、前回にも増して課題が山積しており、次期経営計画の重要性は非常に高いものと認識いたしております。
 そこで伺いますが、第1点目は、次期経営計画の策定に向けた取組状況はどうなっているのか。
 第2点目は、医師不足など引き続く危機的状況の中、良質な医療提供のため、病院の無床診療所化も含めたさらなる県立病院の再編を次期経営計画に盛り込むお考えかお聞きいたします。
 第3点目は、過日も質問いたしましたが、沿岸被災地の地域医療再生に向け、被災した県立病院の再建に向けた取組状況、さらには大東病院の再建に向けた地元住民との合意形成の状況についてもお答え願います。
 次に、花泉地域診療センターの民間移管に関する検証、いわゆる花泉問題についてお伺いいたします。
 先般、医療局から議会に対し、旧花泉地域診療センターの民間移管に関する検証報告書が最終報告案という形で示されたところでありますが、この問題については、平成21年の9月定例会の本会議、決算特別委員会あるいは環境福祉委員会において実に真摯な議論が展開されたところであり、皆様御承知のとおりであります。本事案は、県内初の民間移管ケースとして注目されたこともあり、医療局は今後、他の地域においても民間活用を目指すことが想定されることから、当該事案に係るこれまでの経緯等について検証を行ったものであると承知いたしておりますが、この際、厳しく今回のケースを総括すべきであります。
 そこで、検証の最終報告案についてお伺いいたします。
 第1点目は、民間移管受け入れの医療法人は、移管先としての適格性をそもそも有していたのか、また、それを妥当とした理由は何か、改めてお聞きいたします。
 第2点目は、初めから白光ありきだったのではないかとの議論がありましたが、医療局はこれをどう受けとめているのか。
 さらに第3点目は、県立病院始まって以来の民間移管ケースとして大々的に旗上げしたところでありますが、これが失敗に終わったことに対する総括と、今後どう生かしていくのかお示し願います。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小田島峰雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政党との距離感についてですが、地方公務員法においては、一般職に属する地方公務員については政治的行為を制限しておりますが、知事など政務職については特別職に含めて、政治的行為の制限をしておりません。私といたしましては、これら法令の趣旨に沿って、知事として適切に行動してまいりましたし、今後もそのようにしてまいりたいと思います。
 次に、新党の綱領等に関してですが、去る7月11日に開かれました国民の生活が第一結党大会において綱領が示され、それは、2009年の政権交代に対して負託された民意に鑑み、改めて国民の生活が第一の原則を貫いて日本の政治、行政、経済、社会の仕組みを一新する。そして、国民が自立と共生の理念のもとで、安心・安全かつ安定した生活を送り、みずから将来に夢と希望を取り戻し、誇り高く暮らせる日々を実現することを目標とするという内容になっております。
 次に、政治活動と復興への取り組みについてでありますが、政治活動については、地方公務員法において政治的行為の制限を受けない特別職である知事として、法令の趣旨に沿って適切に行動するということについてはさきに述べたとおりであります。
 復興への取り組みについては、岩手県復興実施計画改訂版をもとに、被災者の方々を初め県民の皆様の御理解をいただきながら、オール岩手として力強く復興を進めてまいる所存です。
 次に、次期衆議院選への出馬についてでありますが、そのような考えはございません。
 次に、我が国の財政状況についてでありますが、我が国の財政は、近年では高齢化の進行等に伴い社会保障関係費が増加する一方、歳入面では、景気の悪化や減税による税収の落ち込みにより債務残高が累増しており、財政の硬直化が進行するなど厳しい状況にあるものと認識しております。
 次に、消費税増税についてでありますが、消費税の増税は、所得の少ない人ほど負担割合が高くなる逆進性の問題がありますが、低所得者対策を含め負担軽減策の実施が明らかでなく、増税によって日本経済全体が失速すれば、結局、税収は伸びず、国の財政が改善されない可能性があります。本県においては、増税の時期が復興を本格的に推進していく時期と重なり、例えば自宅の購入に多額の税負担が伴うなど、被災者の暮らしの再建やなりわいの再生の妨げになることを懸念しています。
 また、財源の確保については、日本経済全体が失速すれば社会保障費の財源確保もより困難になるので、まずは我が国の社会経済を強くしていくことが重要と考えます。
 なお、その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) まず、中国市場に対する所見についてでありますが、巨大な人口を抱え、著しい経済成長を背景に購買力が高まっております中国は極めて有望な市場であり、この地域との経済的な連携を強化していくことは、本県産業の成長と震災からの早期復興につながるものと認識いたしております。
 これまで、大連経済事務所を拠点といたしまして、上海万博出展を契機とした中国経済人などとのつながりなど、培ってきました人的ネットワークを有効に活用しながら南部鉄器等の県産品の販路開拓に取り組み、一定の成果を得てきたところでございまして、安全・安心な県産品のPR、物産展の開催などを通じまして引き続き戦略的に販路拡大に取り組んでまいります。
 また、販路拡大に当たりましては、岩手の県産品として広く認知され、高い評価を得られるようなブランド化に向けての取り組みが課題であると考えております。このことから、南部鉄器や日本酒、海産物や菓子などの加工食品など、本県の特色ある県産品につきまして、重点的に販路開拓を支援しながらブランドを確立し、その効果を他の県産品に波及させ、効果的な販路拡大につなげてまいります。
 次に、大連経済事務所の諸体制の整備についてでありますが、大連経済事務所につきましては、平成17年度に設置して以来、現地ビジネスに通じました中国人所長を配した事務所体制と培った人脈を生かしまして、上海万博を契機とした南部鉄瓶の販売促進などに着実な実績を上げており、年々事務所への相談件数も増加するなど、本県の中国への事業展開に当たってのゲートウエイとしての重要な役割を果たしております。
 このような中、近年では、南部鉄瓶の販売に関連する上海やプーアルのほか、観光誘客事業や県産品の販路開拓等に伴い北京、広州などに事務所の活動範囲が広がっており、また、中国企業との合弁会社の設立など支援分野も多様化し、事務所の果たす役割は大きくなっております。このため、大連経済事務所の運営状況やその役割の重要性を踏まえ、継続的かつ効果的に活動が展開できるよう、適切な事務所体制の整備について検討してまいります。
 次に、ミャンマー市場への参入についてでありますが、ミャンマーは6、200万人を超える大きな人口を有しているほか、近年、民主化が進み、関係諸国の経済制裁も緩和に向けて動き出すなど投資環境も改善の兆しを見せており、市場としては潜在的な可能性を有する国であると考えております。
 一方、1人当たりの名目GDPは800ドル台と低い水準にございまして、購買力も低い市場であること、さらに、輸出で得た外貨の範囲内での輸入を認めるなどの制約が課されていることなど、市場への参入には検討すべき点も多い状況にございます。
 このことから、ミャンマーとの経済交流につきましては、まずはその輸出入環境や市場に関しての実態を把握するとともに、今後のミャンマーの国内情勢や経済動向なども見きわめていく必要があると考えております。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 本県財政の現状認識と今後の財政運営についてでありますが、歳入面では、県税収入が低い水準にあるなど自主財源に乏しく、国の地方財政対策の影響を強く受ける一方、歳出面では、社会保障関係経費の増加や過去に発行した県債の償還が増大していることなどに加え、大震災津波からの復旧、復興に多額の財源が必要なことから、厳しい財政運営を強いられております。
 このような現状のもと、来年度以降につきましても、復興交付金や震災復興特別交付税等の財源措置による復興関連施策の継続と必要な予算額の確保が不可欠でありますことから、引き続き国に対して財源措置の充実確保を要請していく考えであります。
 また、県におきましても、あらゆる手法による歳入の確保、歳出の徹底した見直しなど限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、中長期的には県債残高の規模を抑制するなど財政健全化にも配慮した財政運営を行いながら、被災地の復旧、復興に向けた事業に最優先で取り組んでいく考えであります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の処理についてでありますが、進捗率が低い要因としては、除塩対策の実施や放射性物質への懸念等から、太平洋セメント大船渡工場でのセメント焼成や内陸市町村の清掃センターなど県内処理の本格化までに一定の期間を要したほか、広域処理も進展しなかったことなどが挙げられます。現在、木くずなど可燃物については県内処理施設の受け入れがほぼ計画どおりに進んでおり、広域処理につきましても県議会の御尽力もあり受け入れ先がほぼ決まりましたことから、平成26年3月までの処理に一定のめどが立ったところであり、改めて御礼を申し上げます。
 これまでは処理先が限定されていたことから可燃物中心の処理を進めてきましたが、同じ体積当たりの重量は、例えばコンクリートがらは木くずの約8倍でありますことから、これらを考慮いたしますと、体積ベースでの進捗率はおよそ3割程度に達していると見込んでおります。今後は、重量物である不燃系混合物や津波堆積土などについて、復興資材への活用を進めていくことで一層進捗率の向上を図ってまいります。
 また、広域処理については、現在、環境省の支援を受けながら15都府県との間で進めており、既に7都県で本格処理が始まっております。今後は、漁具、漁網など県内だけでは処理が困難なものについてさらに広域処理を進めるなど、災害廃棄物全体の処理が期限内に完了するよう鋭意取り組んでまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) 災害公営住宅の建設が進捗していない要因と対策についてでありますが、建設用地の取得に時間を要していることが最大の要因であります。平地や市街地に近い土地の多くが津波で被災しています。被災しなかった一団の土地が既に応急仮設住宅の用地として使用されておりますことなど、候補地が極めて限られていること。加えまして、候補地を特定し、用地交渉の際にも地権者が土地を手放すことに難色を示すケースがあります。地権者の売却の希望価格が当方の示す条件と折り合わないことなどが挙げられます。
 今後、引き続き、市町村等との連携を図りながら建設用地の取得に鋭意取り組んでまいりますが、その対策として、土地の売却を希望しない地権者に対しまして、定期借地権による賃貸の提案、敷地の提案と建設を一つの事業者に行わせます敷地提案型買い取り方式を導入いたしまして用地課題の解決に努めてまいります。
   〔理事高前田寿幸君登壇〕
〇理事(高前田寿幸君) 被災者の生活再建についてでございますが、花巻市のほか、盛岡市など3市が実施した調査結果では、現在居住されている内陸部での住宅の再建を希望される方の割合が高くなっており、沿岸圏域からの転出者の増加が懸念されているところでございます。このため、まずは一日も早い復興を実現することが重要であると考えており、防災のまちづくり、住環境の改善や雇用の確保、水産業を初めとした産業の再生などに取り組むとともに、社会資本の復旧・復興ロードマップの公表や、沿岸市町村と連携した、内陸に避難されている方々への復興情報の提供に努めているところでございます。
 今後とも、復興実施計画に基づく事業を着実に推進し、復興の取り組みを加速させるとともに、沿岸市町村と連携を密にしながら復興の状況や見通しをわかりやすく丁寧にお伝えし、被災者の方々にふるさとに住み続けていただけるよう復興に取り組んでまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、県内漁港の復興状況についてでありますが、今般の震災津波により、県が管理いたします31漁港、市町村が管理する77漁港の計108漁港が被災したところであり、発災以降、漁業者など地域の意向を踏まえながら緊急的な復旧を進め、航路、泊地の瓦れき撤去、沈下した岸壁のかさ上げ工事などを行い、全ての漁港で漁船の出入港や接岸が可能となっております。さらに、本年8月末までには87漁港で本格的な復旧工事に着手しており、このうち14漁港が完了しており、今年度末までには20%以上の進捗率を目指して鋭意工事を進めております。来年度以降につきましても、引き続き防波堤や岸壁等の本格的な復旧、整備を推進し、平成27年度末までに被災した全ての漁港が復旧するよう取り組んでまいります。
 次に、本県における地域農業マスタープランの策定状況等についてでありますが、本県では、マスタープランを平成25年度までの2年間で県内全域において作成するよう推進しているところであり、各市町村におきましては、地域ごとの説明会の開催や営農意向の把握、地域の合意形成のための話し合いなどを進めており、9月末現在で11市町村37地区で作成されております。マスタープランは平成25年度末までに約700プランの作成を目指しておりますが、そのうち平成24年度中には7割の約500プランの作成を見込んでおります。
 また、本県のマスタープランの特徴は、国が求める、地域における中心となる経営体の明確化とその経営体への農地集積の方策のほか、独自に、園芸産地の育成や6次産業化の促進、農地の再生利用などの新たな営農展開の要素も加え、地域農業全体の振興を図る計画となっております。
 次に、地域農業マスタープラン作成を通じた本県農業、農村の目指す姿についてでありますが、本県農業は、高齢化の進行等による農業従事者の減少、生産価格の低迷による農業所得の減少などのさまざまな課題を抱えておりますが、こうした中にあっても、将来にわたり地域経済を支える産業として確立していくことが重要と認識しております。
 今般のマスタープランの作成を通じまして、農地集積の促進などによる地域の中心となる経営体の育成と、次世代を担う新規就農者等の確保、育成や、規模の小さい農家や兼業農家等多様な農業者も参画した園芸産地形成や地域資源を生かした6次産業化による所得確保等を促進し、いわて県民計画に掲げている、生産者や消費者がその豊かさや恵みを実感できる農業、農村の実現を目指してまいります。
 次に、地域農業マスタープランの実現に向けた農業生産基盤の整備についてでありますが、マスタープランの推進に当たりましては、プランに位置づけられた地域の中心となる経営体の経営規模の拡大や転作作物の生産拡大などに向けまして、圃場条件の整備や農業用水利施設の機能維持が重要と認識しております。このため、県といたしましては、生産コストの低減と、麦、大豆や園芸作物等の品質、単収の向上に向けた水田の大区画化や排水対策とともに農地の利用集積などを着実に進めていくほか、あわせて、年々老朽化が進行する農業水利施設につきましては、土地改良区等と連携し、定期的な機能診断を実施し、緊急性の高いものから順次、補修、更新するなど、長寿命化対策を進めていく考えであります。
 次に、農地の復旧状況についてでありますが、本年9月末現在、内陸部におきましては、復旧対象農地473ヘクタールのうち469ヘクタールの復旧が完了しており、残る4ヘクタールにつきましても年内には完了する見通しであります。
 一方、沿岸部では、復旧対象農地717ヘクタールのうち、圃場整備など調整に時間を要する農地を除く、当面復旧が可能な311ヘクタールのうち118ヘクタールの復旧が完了し、現在、136ヘクタールの工事に着手しております。諸手続を進めております他の農地も含めて、本年度中に311ヘクタール全部の復旧を見込んでいるところであります。
 次に、被災地域における圃場の整備についてでありますが、沿岸部におきまして、東日本大震災津波を契機として圃場や集落道の整備などを計画している地区は7市町村9地区で、このほかにも数地区で市町村の土地利用計画と調整しながら圃場の整備を検討しております。9地区につきましては、工事着手に向けて関係農家からの同意徴集など土地改良法に基づく手続を進めており、11月から順次、着工を予定しております。
 被災地では、関係農家が仮設住宅に分散して入居していることや、居住地が不明な場合もあるなど、事業導入に必要な合意形成に時間を要しているほか、これまで沿岸地域では圃場整備の実施例が少ないことから、農地の利用集積や地域の中心となる経営体の育成など、整備された農地の有効な活用に向けた体制づくりも課題と認識しております。
 今後におきましては、市町村等と連携しながら、圃場整備の着実な推進とあわせて整備後の体制づくりも促進し、沿岸地域での農業の再構築に取り組んでまいります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) まず、県立病院の次期経営計画に向けた取組状況についてでありますが、平成26年度を初年度といたします次期経営計画につきましては、現在策定作業が進められている県の次期保健医療計画の考え方などを踏まえ、医療提供体制における県立病院の役割や圏域内の医療機関の機能分担と連携、医師不足の解消、安定した経営基盤の確立など、多岐にわたる課題について外部有識者の方からも意見を伺うなど、今年度後半から策定作業に取り組むこととしております。
 策定に当たりましては、無床診療所化を盛り込んだ現行の経営計画の取組実績や、患者動向、経営状況などを総合的に勘案し、被災した県立病院の再建を基本としながら幅広い視点からの検討を進めていきたいと考えております。
 高田、大槌、山田の3県立病院の再建につきましては、現在、県の次期保健医療計画策定に向けて、医療機関相互の役割分担と連携を進めるための具体的な方策や目標などについて議論がなされているところであり、また、地元市町においては具体的な土地利用計画などの策定を進めているところであり、こうした状況を踏まえながら、本年度中を目途に病院の立地場所や規模、機能等について検討を進めてまいります。
 大東病院の整備に当たりましては、まずは利用者を中心とした地域の皆様方から直接お話を伺いたいと考え、本年5月、8月及び9月の3回にわたり意見交換会を開催したところであります。この中で、医療局からは、医師不足の状況下でありながらも、地域における高齢化が著しい状況に鑑み、病床を維持していくことを最優先に考えるなどの病院整備に向けた基本的な方針を説明したところでありますが、地域の皆様からは、さまざまな御意見をいただいたところであるものの、病院の早期再建に向けスピード感を持って進めてほしいとの意見が大勢を占めたものと認識しているところであります。
 次に、花泉地域診療センターの民間移管に関する検証等についてでありますが、まず、移管先としての適格性について、民間への移管先の選考に当たりましては、地元一関市等と共同で、あらかじめ設定した選考基準に照らしながら応募要件を満たしているかどうかを確認するとともに、応募者からのヒアリングを実施し、事業計画の信憑性、実現可能性について可能な限りの確認を行った上で、地域の医療や福祉の維持向上を図ることが可能な事業者であるかどうかを総合的に評価、判断したものであります。
 次に、特定の医療法人を前提とした公募だったのではないかについてでありますが、この民間移管については、官民問わず入院ベッドが必要であるとの地域の声に応じ方針を決定したところであり、公募に係る応募条件、資格等の設定に当たり、地元での懇談会を数次にわたり開催するなど、地域住民の意向に沿って進めたところであります。
 また、公募に係る募集要項の中で事業者選考に当たる者や選考基準等を明示するなど、その時点で必要な一連の手続について適切に処理をし、事業者を決定したものであります。
 なお、今回の検証においては、外部有識者の意見等を踏まえ、公募について、応募者側の視点に立った公募期間の設定とすべき、選考者に専門家を加えるなど審査体制の充実を図るべきなどの課題や、今後の生かすべき点を検証したところであります。
 次に、初の民間移管ケースに対する総括と今後への反映についてでありますが、花泉診療所は、無床化した県営の花泉地域診療センターについて、官民を問わず入院ベッドが必要であるとの地域の強い意向に沿って、地元一関市の意見も聞きながら、民間事業者のノウハウに期待して移管を行ったものでありますが、有床診療所として10年以上事業を継続することができなかったことは非常に残念であり、地域住民の期待にお応えすることができなかったことについて深く反省しているところであります。
 花泉地域診療センターの民間移管に当たりましては、その一連の経過等について、県議会においてもいろいろな御指摘をいただいたところであり、今後、民間活用の検討に当たっては、移管先法人の適格性の審査を中心に、法人から提出される事業計画等の精査はもとより、これまでの法人の実績や世評等も含めた総合的な評価や審査について、医療専門家等を交えて十分行うべきであり、その後の指導等においても、節目節目で専門家等の意見を伺いながら的確に行う必要があると考えております。
 医師不足の状況は現在も変わっておらず、民間事業者のノウハウを活用するという手法は、今後の地域医療への期待に応える有力な選択肢の一つであり、他の地域においても、今後、民間活用を目指すケースが想定されることから、今回の検証結果を十分に踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
〇32番(小田島峰雄君) るるお答えをいただきました。二、三、再質問をさせていただきます。
 まず最初に達増知事にお伺いいたします。
 いろいろ政治姿勢等についてお答えをいただいたわけであります。お答えの中にもございましたとおり、一般職と違って特別職であるから政治的な制約は受けないんだという趣旨の御答弁でございました。しかしながら、私が申し上げたいのは、一般の県民の皆さん方は、そういった理解をされた上で知事の言動をお聞きし、また、行動を拝見しているわけではないということなのであります。
 話は飛ぶのでありますけれども、民主党が政権交代をいたしましたときに、我が国にもようやく小沢氏が提唱するような二大政党の時代が来るんだということを私も感じた一人でありますけれども、今、このところの状況を見ますと、それとは逆行して少数政党乱立の時代に戻っているような気がしてなりません。でありますから、このときが達増知事にとりまして、この状況を冷静に分析され、そして、どんな政党とも等距離でおつき合いをしていく最大のチャンスだったと思うのであります。そういう意味から、今、お考えをお変えになるつもりはないのかどうかということをお聞きしたいと思います。
 ちょっと確認のために申し上げますけれども、もう国民の生活が第一に御入党されたのでしょうか、その確認をさせていただきたいと思います。
 第2点目は、消費税の増税についてのお答えがございました。増税に対する懸念はさまざまお答えがございましたけれども、では、増税なくして財源をどのように確保するかということについてはちょっと理解ができませんでした。国力が増してから、あるいは経済が立ち直ってから増税をすべきであるということはお伺いいたしましたけれども、現在、御存じのとおり、国の財政というのはほとんどが国債に頼って運営せざるを得ないような状況になっているわけであります。お話しを申し上げるまでもないことなんですけれども、そういう中で、恒久的な財源をどう確保するかというのは国の喫緊の最重要課題の一つであります。その点についてもう一度お答えを頂戴できればと思っております。
 それから、農林水産部長にお尋ねいたしますけれども、今、本県の農業の進むべき方向性、あるいはまた被災した農地の復旧状況についてお答えをいただきました。確かに着々とこの復旧がなされ、近い将来に作付がなされる、農家にとってはこれ以上の喜びはございません。しかしながら、農地や農業用施設が復旧いたしましても、肝心の農作物の生育に必要な水を供給する土地改良区が被災したままでは何ともならないわけであります。沿岸被災地でも被災した改良区もあるわけでありますけれども、その改良区の復旧に対する支援はどうなっているのか、あるいは現在その状況がどうなっているのか、そういったことをお答えいただきたいと思います。
 それから、県産品の海外販売戦略についてのお答えがございました。
 最初に、ミャンマーの提言をいたしましたけれども、私は、あすあすの問題としてこれを申し上げているわけではございません。多くの商社や民間企業が競い合うかのようにミャンマーに参入するということは、大きなビジネスチャンスがあるからということなのであります。現在、お答えによれば、さまざまな制約もあるんだというお話はよくわかりますけれども、中長期の戦略の中で、こういった新しい販路というものについても考えていきませんと、十分でないのではないかという意味で申し上げた次第であります。
 それから、質問の中でも申し上げましたけれども、今、日中関係が微妙な段階になっておるわけであります。極めて深刻な状況になる可能性があるわけでありますが、現在、県産品の輸出に具体的な問題が生じているのかどうか。あるとすれば、どういったものなのか、あるいはこれからのそれに対処する方針はどうなのか、それをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 法の不知はこれを免ぜずという法格言がございまして、社会人としてやはり大事な法律の内容は知っている必要があり、岩手県民の皆さんも基本的には御理解いただいていると思いますけれども、地方公務員法が知事の政治活動に制限を設けていないということについて、法律学の本がたくさん出ている、学陽書房の新版逐条地方公務員法によれば、政務職というのは政治的変革と運命をともにする少数の政務職と書いてございまして、知事のような特別職の公務員というのは、政治的変革と運命をともにする存在なのだと書いてございます。また、長野県の知事の政務秘書に関する裁判で東京高等裁判所が判例を示しておりますけれども、知事という特別職に属する公務員は、担当する職務の性質上、その政治活動が職務と何ら矛盾するものではなく、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員であると判例がございます。
 なお、去年の知事選挙は、東日本大震災津波の発生という、岩手県政史上、類を見ない非常事態の中で知事選挙ということになったわけでありますけれども、論理的には、すべての政党が特定候補を推薦とすることはせずに、どの政党からも等距離の人を共同で推す、あるいはそういう人が当選するようさまざま調整を行うといったこともあり得たのだとは思いますけれども、御存じのように、自主投票の政党もあったように理解しておりますが、政党がそれぞれ独自候補を推薦する等、競争的な選挙となりました。しかし、岩手にとって歴史的な非常事態であるということと、つまり復興を推進していかなければならないということと競争的な政治状況というのは全く矛盾するものではないわけでありまして、かえってそういう競争的な政治状況の中から復興をさらに推進していくための新しい知恵や新しい力が生まれてくるものと理解しています。
〇議長(佐々木博君) 消費税については。
〇知事(達増拓也君) 社会保障財源について御質問をいただきました。バブル崩壊から間がない1990年代であれば、消費税こそ社会保障財源として大いに期待されたと思います。当時はまだ日本の国民経済、消費力があり、担税能力も高かったと思いますが、その後の格差社会化の進行、リーマンショックの発生、1990年代に比べ、今、消費税収入の国税に占める割合は、所得税や法人税収入の激減の中で既にかなり高い割合を占めておりまして、これ以上の消費税増税が、果たして社会保障財源として適切なものかどうかということについては、これはかなり議論をしなければならないのではないかと思っております。経緯からいきますと、やはり所得税や法人税がもっとたくさん税収につながるような力強い経済、社会をつくっていくということを基本としつつ、この社会保障財源というものを考えていかなければならないのではないかと思います。個人的な意見です。
 国民の生活が第一には入党しておりません。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 被災土地改良区に対する支援についてでありますが、大震災津波では、県内の9土地改良区におきまして、事務所の流失、損壊などの被害が発生いたしまして、被害総額は1億800万円余に上ってございます。このうち、被害が甚大だった6土地改良区に対しまして、県単独事業の土地改良区機能回復支援事業や、国の事業でございます被災土地改良区復興支援事業によりまして、仮設事務所の整備に加えまして施設管理用車両や事務機器の購入、賦課台帳等関係書類の復旧といったことに支援を行ったところでございます。その結果、今年度中には、被災土地改良区全てにおきまして事務所機能がおおむね復旧する見込みですし、来年度には関係書類の復元も完了する見込みでございます。
 県といたしましては、土地改良区が被災地域の農業、農村の早期再生を担っていけるよう、引き続き業務運営体制の再構築に向けて支援してまいります。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 尖閣諸島問題に関する県産品輸出への影響等についてでございますが、ジェトロや大連経済事務所などに確認いたしましたところ、現段階におきましては、本県関係企業の取引などへの影響に関し特段の情報は寄せられていないものの、輸出手続の面におきましては、中国での通関検査が強化されまして物流が滞っている状況であるとの回答を得ております。また、中国大連市における商談会が中国側主催者から延期の連絡を受けるなど、県産品の輸出促進のための取り組みに一部影響が生じております。
 このようなことから、今後の動向を注視していく必要がありますが、県といたしましては、中国との間でこれまで築いてきた取引実績や人脈、信頼関係を大切にしながら、地方自治体や事業者等との着実な経済交流を進めていきたいと考えております。
〇議長(佐々木博君) 次に、工藤勝博君。
   〔25番工藤勝博君登壇〕(拍手)

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