平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 2011年度岩手県一般会計予算等に対する反対討論を行います。
 討論に先立ち、3月11日に発生したマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震による大津波により、本県沿岸が壊滅的な被害を受けました。痛ましい犠牲となった方々に対し、慎んで哀悼の意を表します。被災された皆さんに、心からお見舞いを申し上げます。
 きょう8時現在で675人を超える死者が確認され、安否不明者も多数に及んでいます。沿岸12町村での避難者は4万8、386人となっています。知事を先頭に、県職員、沿岸の市町村と地域住民が、不眠不休で救援と復旧の活動に取り組まれていることに心から敬意を表します。
 全国から派遣されている緊急援助隊や消防、自衛隊、DMATなどの皆さんの支援活動に心から感謝を申し上げます。
 アメリカ、中国、イギリスからも、国際緊急援助隊が活動をしています。
 歴史的にも私たちが体験したことのない大震災となっています。まだ見つかっていない人たちの救出、孤立している被災者の救出、救援にあらゆる手だてを尽くすとともに、避難されている方々の安全と生活を守る対策を徹底されるよう強く求めるものであります。
 日本共産党は、大地震直後に震災対策本部を設置するとともに、各地域で現地対策本部を設置し、地方議員を先頭に、被災者救援と地域住民の安否確認、避難所での支援活動に全力で取り組んでいます。
 食料、燃料、衣料や粉ミルク、薬の確保、公衆電話の増設など、情報伝達の確保など切実な要望が寄せられています。切実な要望に迅速にこたえられるよう強く要望いたします。私たちも、行政の取り組みと連携して全力で取り組む決意であります。
 議案第2号は、2011年度岩手県一般会計予算であります。
 まさに、災害対策は予算の中心であります。反対する第1の理由は、県民の命と暮らしに背を向けた予算となっていることであります。
 岩手県の県債残高、いわゆる借金は、決算ベースで1兆5、000億円を超え、決算総額に占める借金の比率は219.6%で、全国第2位の借金県政となっています。一方で、福祉の予算である民生費は9.77%で全国39位と、福祉に冷たい県政となっています。特に切実な課題は、高過ぎる国保税の問題であります。県内の国保加入世帯の平均課税所得は89万円でありますが、その世帯の国保税は14万7、000円、負担率16.56%となっています。滞納すれば保険証が取り上げられ、資格証明書の発行は、2月1日現在、874世帯、短期被保険者証のとめ置きで無保険となっているのが2、473世帯となっています。合計3、347世帯が窓口全額負担の無保険状態となっています。
 ところが、岩手県は昨年12月、国保の広域化等支援方針を策定し、収納率を高めるために、夜間の催告やコールセンターでの督促を強めること、保険証の取り上げの徹底、財産差し押さえの徹底を指示しています。昨年度、県内では4、824件、16億3、000万円が差し押さえられています。
 こうした中で、県内でも、無保険のため受診がおくれ死亡する事態が起きています。県民の命と健康を守るべき国民保険制度が、命を脅かす制度に変質していることは極めて重大であります。県も支援して、高過ぎる国保税は引き下げることこそ必要であります。
 介護保険も、高過ぎる保険料と利用料のもとで、岩手県の1人当たりの介護サービス利用量は全国最低であります。来年度、特養ホーム計画を見直し1、007床が整備されることになりましたが、5、974人の待機者から見れば、さらに緊急に整備すべきであります。
 反対する第2の理由は、深刻な雇用、就職難打開と雇用の約9割を占める中小企業対策が極めて弱いことであります。
 この4年間で誘致企業の上位10社だけで2、600人余の従業員が減少しました。ソニー千厩テックの工場閉鎖870人を含めると3、500人の減少となります。一方で、来年度の新規採用者数はわずか74人にとどまっています。巨額の内部留保をため込み、業績を回復している誘致大企業が、雇用を守る責任を果たし、期間工などの非正規雇用を正社員に登用するとともに、新規採用者を大幅にふやすべきであります。
 また、深刻な不況のもとで、中小企業の仕事をふやす起爆剤となっているのが、住宅リフォーム助成事業であります。県内では、19市町村が実施し、3億8、500万円の補助で、工事高が30億円を超えています。その経済効果は47億円となっています。来年度は27市町村に広がる予定であります。
 秋田県では、県が実施し、19億3、400万円の補助で294億円の工事高、経済波及効果は500億円を超える大きな効果が発揮されています。県議会での全会一致の請願採択を踏まえ、直ちに実施すべきであります。
 また、中小企業対策予算がわずか38億円にとどまっており、抜本的に増額すべきであります。
 反対する第3の理由は、日本と岩手の農業に壊滅的な影響を与えるTPP問題について、反対と言えない知事の姿勢であります。
 10年間で半分以下に削減され続けている農林水産予算も見直すべきであります。TPP参加による本県農林水産業に与える影響は、県の試算でも農業生産の約6割、1、469億円も減少する、水産業では約4割の191億円の減少と県みずから明らかにしながら、なぜ知事は反対し、農林水産業を守ろうとしないのでしょうか。農林水産業予算は、この10年間で半分以下に削減されました。これでどうして農林水産業を振興できるのでしょうか。
 反対する第4の理由は、子供と教育に冷たい県政となっていることであります。
 子供の医療費無料化を小学校卒業まで拡充することは切実な課題であります。既に10都県が、小学校卒業以上に拡充しています。また、国が30年ぶりに小学校1年生に35人学級を実施します。県として小学校3、4年生に拡充することも切実な要求であります。こうした子供の願いに背を向けているのが達増県政の実態であります。
 反対する第5の理由は、深刻な借金財政のもとで530億円の簗川ダムや164億円の津付ダムなど、無駄と浪費、自然環境破壊の大型開発を推進しようとしていることであります。
 大震災の被害を受けた今こそ、無駄と浪費、不要不急のダム建設など大型開発は中止し、大震災からの復旧と復興に全力を挙げて取り組むべきではないでしょうか。
 議案第14号は、2011年度岩手県立病院等事業会計予算であります。
 来年度70人余の看護師の増員は評価します。県立沼宮内病院が一気に無床化されることは、地域医療の切り捨てであり、全国に誇る岩手町のがん検診体制にも大きな障害、困難をもたらすものであります。
 今回の大震災では、県立高田病院、大槌病院、山田病院が壊滅的な被害を受けました。患者と職員の生命を守る取り組みに心から敬意を表すとともに、必要な医療の確保に取り組まれるように強く求めるものであります。
 議案第16号と第42号は、2011年度岩手県工業用水道事業会計予算であります。
 巨額の内部留保を持ち利益を上げている一部の企業に、これまでの1億円の料金引き下げに続き、来年度7、200万円の料金引き下げを行う理由はありません。
 議案第22号は、岩手県職員定数条例であります。
 警察官の職員を3名ふやす一方で、知事部局は520人、県立学校で279人、市町村立学校で510人削減しようとするものであります。今、削減ではなく増員で35人学級の拡充こそ行うべきであります。
 最後に、かつてない大震災の被害を受けました。県議会も、被災現地の状況、被災者の実態と要望を把握し、行政と一体となって大震災の対策に取り組むべきときであります。災害対策のために必要な補正予算も組み、県議会としてもその責任と役割を果たすべきであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第2号、議案第14号、議案第16号、議案第22号及び議案第42号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第2号、議案第14号、議案第16号、議案第22号及び議案第42号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第3号から議案第13号まで、議案第15号、議案第17号から議案第21号まで、議案第27号、議案第29号、議案第30号、議案第32号から議案第35号まで、議案第38号から議案第40号まで、及び議案第54号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第3号から議案第13号まで、議案第15号、議案第17号から議案第21号まで、議案第27号、議案第29号、議案第30号、議案第32号から議案第35号まで、議案第38号から議案第40号まで、及び議案第54号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第36 議案第87号住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第36、議案第87号住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 本日提案いたしました案件について御説明申し上げます。
 議案第87号は、住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例でありますが、これは、住民基本台帳の本人確認情報を利用することができる事務に、災害時における県民の安否の確認等の事務を加えようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木一榮君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております議案第87号住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例は、会議規則第34条第3項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、議案第87号住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、議案第87号住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第87号住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例は、原案のとおり可決されました。
   日程第37 議案第88号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第37、議案第88号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。宮舘副知事。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第88号は、教育委員会の委員であります法貴敬教育長が3月31日で退任いたしますので、その後任として、新たに菅野洋樹総務部長を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 菅野総務部長は、岩手県教育委員会事務局教育企画室長を務めたほか、予算調製課総括課長などを経験しており、適任と存じております。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(佐々木一榮君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事議案でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第88号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第88号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第88号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   日程第38 ものづくり産業の振興及び新産業の創出に関する調査、雇用の創出・確保に関する調査の件から日程第42 平泉文化遺産の世界遺産登録に向けた施策の推進に関する調査、平泉文化遺産の啓蒙・保存に係る施策に関する調査、平泉文化遺産の活用に関する調査の件まで
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第38、ものづくり産業の振興及び新産業の創出に関する調査、雇用の創出・確保に関する調査の件から日程第42、平泉文化遺産の世界遺産登録に向けた施策の推進に関する調査、平泉文化遺産の啓蒙・保存に係る施策に関する調査、平泉文化遺産の活用に関する調査の件までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。各調査事件については、これをもって調査を終了いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、各調査事件については、これをもって調査を終結することにいたしました。
   日程第43 発議案第2号「平泉の文化遺産」の世界遺産登録の実現についてから日程第48 発議案第7号県の契約等における県内資本の事業者からの優先調達の増大を求める決議まで
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第43、発議案第2号から日程第48、発議案第7号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第2号から発議案第7号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第7号までは、原案のとおり可決されました。
   〔「議長、動議」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 菊池勲議員に申し上げますが、動議ということでございますので、何にかかわる動議か、御発言をお願いしたいと思います。

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