平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

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〇6番(郷右近浩君) 民主党・ゆうあいクラブ郷右近浩でございます。先輩、同僚議員の御配慮により、今期4度目、任期最後の一般質問をさせていただきます。
 質問に先立ちまして、2月22日に発生したニュージーランドの地震において被災されました皆様の御無事をお祈りいたしますとともに、昨年末から年始にかけて本県を襲った暴風、波浪、大雪等により被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、災害の復旧のため、正月もなく御尽力いただきました関係各位に心からの謝意をあらわします。
 当局側には、県民にとって将来に夢を抱ける答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。
 さて、平成19年に県議会議員に初当選し、活動を始めてから4年になろうとしておりますことに、今、改めて時の速さを感じております。知事も4年前、前任者が積み残した地域医療の課題、森のトレー事案、岩手競馬の経営、不適切な経理処理、巨額に上る県債残高を初めとするさまざまな問題に向き合い、解決に取り組むとともに、毎年のように襲いかかる自然災害、アメリカの金融危機に端を発した経済の悪化への復旧に追われ、忙殺された4年間であったろうと思います。
 先日、今議会冒頭に行われた所信表明演述において、知事は、これまでの4年間の取り組みと成果、課題を率直に述べられておりますが、何点かについて詳しくお聞かせいただきたいと思います。
 1点目は、県民所得と雇用についてお伺いいたします。
 知事は、演述におきまして、県民所得と雇用環境を危機とし取り組んできたこと、そして、国民所得と県民所得の格差が縮小したことを述べられておりました。県民所得においては、平成21年度速報値で1人当たり221万9、000円となっており、確かに国民所得との対比を考えたとき、県の取り組みの成果は見えるものの、決して所得の向上を成し遂げていないという現実があります。
 知事は、2月補正予算、平成23年度当初予算において、厳しい経済、雇用情勢などを踏まえ、切れ目のない対応を行っていくとしておりますが、直近の12月の有効求人倍率は0.48という現状であります。知事は、平成19年度に策定した希望創造プランにおいて県民所得の目標を260万円としておりましたが、世界経済の悪化の影響が残る現在、県民所得、雇用についての当面の目標をどのくらいに置いているのかお示しください。
 2点目に、4広域振興局体制について伺います。
 振興局が再編され、昨年より4広域振興局体制がスタートいたしました。この体制は、広い県土を有する我が県にとっては、それぞれの地域の特色を生かす上で有効であるとともに、県と住民との距離が近くなり、地域と一体となった取り組みができることなどから、これからさらに効果を期待するものであります。
 しかし、その一方で、余りにもそれぞれの地域、広域振興局の自主性が高まれば高まるほど、知事に生の、そして直接の県民の声が伝わらなくなるのではないかという危惧を抱いております。私たち議員も、県民の声を知事、そして県政へと届ける活動をしておりますが、知事の意味を知ることとし、草の根を大切にする達増知事においては、県民と触れ合い、声を聞くことは政治姿勢の根幹をなすものと考えます。
 ついては、4広域振興局に対する予算、権限に対する今後の考え方、そして、知事と地域、県民との直接のかかわり合いについてのお考えを伺います。
 3点目に、県産品の販路拡大について伺います。
 県産品の売り込みについては、平成19年の知事、県議選の際から、私自身、県民所得の向上のためにも、良質な県産品を県外や海外へ販路拡大していくことを推進しようとしてまいりましたが、知事も同じ方向を向いていることに、頼もしく、そしてうれしく思ったことを思い出しております。
 知事は演述の中で、中国を初めとする東アジア諸国の著しい成長を大きなチャンスととらえ、開拓や経済交流を積極的に進めてきたとのことでしたが、この間、シンガポールやマレーシア、中国、香港でのトップセールスの成果が上がっておりますことは承知しております。私は、海外に販路を拡大することは、その売り上げのみならず、岩手県産品というブランドをつくるためにも有効と考え、さらなるセールスを期待するものですが、今後の目標を伺います。
 次に、地域医療について伺います。
 知事は、医師不足を背景とし、地域医療を取り巻く環境が厳しさを増す中、岩手県立病院等の新しい経営計画を策定し、決意を持って県立病院、診療所体制の見直しを行ってまいりました。その結果をどのように分析、評価しているのか伺います。
 また、今後、現在、無床の診療所となっている県立医療機関が民間の力をかりながら病床機能を得ることや、空き病床を福祉施設に転換するケース等があることを私は期待するものですが、その際、県との連携等が必要となるものと考えます。そうした意味から、地域の医療を守るために、地域医療全体を考えた中で、県の医療政策として何らかの連携や支援を行うなどの考えがあるか伺います。
 次に、環境への取り組みについて伺います。
 知事は、環境王国いわての実現を目指し、岩手県環境基本計画に基づき、さまざまな啓蒙活動を行っていること、また、いわての森林づくり県民税を活用しての森林環境の保全や木質バイオマスエネルギーの利用拡大、二酸化炭素排出量取引制度への取り組みを行ってきたことは承知しております。そして、成果が出てきたことを評価しております。
 さらに私は、そうした取り組みのほかに、現下の経済環境にかんがみ、将来に向けて有益となるような投資であれば、今こそやるべき事業があるものと考えております。
 今、学校現場のさまざまな施設、そして電気器具は、老朽化が著しい中、現場では設備の更新がなかなかできないという声があります。その県立学校や市町村立の小中学校の蛍光灯をLED灯にかえることで、設備の更新と教育環境の改善、そして電気代の削減。電気代を考えれば、4年もかからずに設備の償還ができるとの試算もありますし、何より学校が明るくなります。環境王国を目指す岩手においてこそやるべき事業と考えますが、教育長の御所見を伺います。
 次に、公金の取り扱いについて会計管理者にお伺いいたします。
 達増県政が平成19年度からスタートし、間もなく4年を経過するところでありますが、この間、県議会に対して決算認定が4度付されたところであります。そのうち、御承知のとおり、平成19年度、20年度決算が連続して不認定となり、また、昨年の決算特別委員会においては、平成21年度決算が可否同数で、委員長の決するところにより認定となるなど、県政史上例のない状況がこれまで続いてきたところであります。
 県政とは、まさに県民あってのものであり、その県民の共有財産とも言うべき公金の使い方にあっては、いやしくも県民の信用、信頼を損なうようなことがあってはならないことは改めて言うまでもないことであり、平成19年4月に施行された改正地方自治法によって新たに設置された会計事務をつかさどる会計管理者には極めて重要な役割が課せられているものと認識しております。しかるに、平成19年、20年、21年度に係る決算を調製し、知事に提出したのは、ほかでもない現在の会計管理者であり、残念なことでありましたが、その決算が結果的に2年連続して不認定とされたことは、会計管理者一人の責任ではないとはいうものの、県民の県政への信頼を大きく損ねたという意味においてはその責任に重いものがあると考えます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そこでお伺いいたしますが、このような事態を招いたことについて、この間、その職にあった会計管理者としてどのように受けとめているのか、まずお聞きしたいと思います。
 また、不正経理の問題が明らかになった以降、県においては再発防止に向けてこれまでさまざまな対策を講じてきたことは承知していますが、今後においては、県民の安心と信頼の上に立って行政を推進していくという意味からも、再発防止ということからさらに一歩進めて、会計事務の適正な執行をより確たるものとするため、不適正事務の発生はもとより、事務処理の錯誤などの発生を防止するリスク管理という観点を含めて、今後、特にも力を入れて取り組んでいかなければならないと考えますが、何か考えていることがあればお示しいただきたいと思います。
 以上、登壇しての質問を終わります。以後、質問席で質問させていただきます。
   〔6番郷右近浩君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県民所得と雇用についてでありますが、本県の経済、雇用情勢は、緩やかな持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい情勢にあります。そのため、いわて県民計画に掲げた岩手の未来をつくる七つの政策を着実に推進することにより、すそ野が広く、足腰の強いものづくり産業の集積や、本県の地域の特性、資源を生かした産業の振興、雇用創出や若年者、離職者への就業支援などに取り組み、国民所得に対する県民所得水準の乖離の縮小や求人不足数の改善を図る必要があると考えております。
 県民所得、雇用の目標については、次の選挙で選ばれる知事のもとで策定される次期アクションプランにおいて検討されるものと考えます。
 次に、4広域振興局体制についてでありますが、県では、4広域振興局体制のもと、現場主義と全県的統一性、専門性、効率性の確保とのバランスに配慮しながら、広域振興局と本庁が適切な役割分担を行い、住民に身近な事務についてはできる限り広域振興局に移管し、圏域における事務の完結性を高めています。
 このため、圏域内の広域行政の責任者である広域振興局長に、みずからの裁量で執行できる予算を措置し、地域の課題に即した、より実効性の高い施策を展開できるようにするとともに、知事にかわって市町村等の要望に対応するほか、庁議や政策会議など県の重要な政策決定や予算編成の過程に参画させ、地域の声が県全体の施策に十分反映されるよう努めているところであります。
 今後も、広域振興局長のリーダーシップのもと、総合力、機動力を発揮した地域経営を一層強化し、市町村や地域住民の皆さんと連携しながら、いわて県民計画に掲げる各圏域の目指す将来像の実現に向けて取り組んでいくことが必要と認識しております。
 また、知事と地域、県民との直接のかかわり合いについては、今後とも県民の暮らしや仕事の現場を訪問し、直接県民の皆さんの生の声に耳を傾け、県政運営に反映することが必要と認識しております。
 次に、県産品の販路拡大についてでありますが、本県の地域産業がさらなる発展を遂げるためには、東アジア諸国、地域の目覚ましい経済成長を源泉とし、県内企業が海外市場に積極的に展開していくことが必要です。
 このため、知事みずからも先頭に立ち、海外量販店におけるフェアや在外公館におけるレセプションなど、さまざまな機会において県産品の知名度向上や販路の拡大に精力的に取り組んでまいりました。また、大連経済事務所が人的ネットワーク形成などに大きな役割を果たし、昨年、上海万博への出展が実現したことは、南部鉄瓶など本県の多様な魅力を中国を初め広く世界に発信し、県産品の販路拡大に大きな道筋をつける好機となったものと認識しております。これらの取り組みを通じ、南部鉄瓶、米、リンゴといった品目の販路拡大に成果をおさめてきたところであります。
 こうしたさらなる需要拡大が期待される品目はもとより、今後とも、大連経済事務所や関係機関との密接な連携のもとに、変化の著しい海外市場の動向を的確に把握し、日本酒や菓子類、和牛などを重点に新たな需要開拓を図りながら、岩手県産品が海外市場へ一層飛躍していけるよう、積極的に取り組んでいくこととしております。
 次に、県立病院等事業の評価等についてでありますが、現在の経営計画においては、二次保健医療圏を基本として、県立病院相互の役割分担と市町村や民間の医療機関との一層の連携を進めながら、適切な施設機能や規模を設定し、地域の実情に応じた特色ある病院づくりを行っています。
 地域診療センターの病床休止に伴い、同センターに行っていた当直応援を他に振り向けることにより、二次保健医療圏の基幹病院の診療体制の充実や、他の県立病院、市町村立病院への診療応援の増加が図られたほか、医師の定着支援として、医療クラークの増員や産婦人科医に対する分娩手当の創設などの取り組みを進めたことにより、常勤医師数の減少傾向に一定の歯どめがかかりつつあると認識しております。
 また、経営面について見ますと、患者数は依然として減少傾向にありますが、7対1看護体制への移行や基幹病院での診断群分類別包括支払い方式─DPCの導入などの取り組みに診療報酬のプラス改定効果が加わり患者1人当たりの診療単価が伸びており、本年度第3・四半期時点の入院、外来収益が約571億円と、当初計画に比べ約8億円上回るなど、経費節減の取り組みとあわせ、安定した経営基盤の確立に向け収支の改善が図られてきています。
 しかしながら、医師不足など地域医療を取り巻く環境は当面厳しい状況が続くと見込まれますので、県民に良質な医療を持続的に提供していくため、引き続き経営計画の着実な推進に努めていく必要があると考えております。
 次に、地域医療に対する県の連携、支援についてでありますが、地域において限られた医療資源を有効かつ効率的に活用し、安心して医療を受けられるようにするためには、病院や診療所のそれぞれが持つ特徴を十分に生かせるように保健医療圏内で相互の連携を促進することが極めて重要であり、特にも、議員御指摘の病床を休止している県立診療所が地域にある場合には、その活用方法や当該地域における他の医療機関等との連携のあり方について、市町村が中心となって地域全体で十分に議論されることが必要であると考えています。
 このような地域における議論を経て、県立診療所の空き病床を改修して介護保険施設に転換する場合、具体的には、地域密着型の特別養護老人ホームや老人保健施設等の施設整備を行う場合には、県として支援することとしています。
 また、例えば、さきに民間移管した花泉診療所が所在する一関市においては、来年度から新たに医療と介護の連携体制づくりに市独自に取り組むこととし、その中で医療機関が相互に連携するための仕組みづくりを検討しているところと承知しており、当該診療所については、その仕組みの中で、地域内の数少ない有床診療所として、入院対応機能を踏まえた一定の役割を期待されるものと考えております。
 県としては、このような一関市の取り組みが県内において一つの先進的連携モデルとなるものと考えられることから、当初予算において補助事業費を計上したところであり、今後、その取り組みを支援していくこととしております。
 その他のお尋ねにつきましては会計管理者及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔会計管理者古内保之君登壇〕
〇会計管理者(古内保之君) まず、決算が2年連続して不認定とされたことをどのように受けとめているかについてでありますが、平成19年度、20年度の決算が不適切な事務処理があったことにより連続して議会において認定されなかったことは、県の会計事務をつかさどる者として、これを重く受けとめますとともに、長年にわたって多くの部署で不適切な会計事務処理が行われていたことを会計検査や支出負担行為の確認などの審査等を通じて未然に防止することができなかったことについて、県の会計事務の適正な執行を確保するという重要な役割を課せられている者として、その責任を痛感するとともに、深く反省しているところでございます。
 このため、二度と不適切な事務処理が行われることがないよう、さきに策定した再発防止策に基づいて、適正な事務処理の執行の確保に向けた取り組みを進めてきたところであります。
 次に、今後、特に力を入れていかなければならないことについてでありますが、不適切な会計事務処理が二度と発生することなく、さらに、錯誤などによる事務処理の問題等の発生をも未然に防止するためには、職員一人一人がみずからを主体的に律していく中で、適正な会計事務の執行が確保される体制を構築していくことが何より重要であると認識しております。
 このため、コンプライアンス意識の高揚に資する取り組みに加えまして、会計事務に携わる職員はもとより、すべての職員が会計事務についての基本的な知識を持つことが必要と考えており、そのために研修体系、研修内容を見直し、その充実強化を図ることとしています。
 また、本県を取り巻く厳しい社会経済情勢にあって、今後どのような組織体制に移行する場合にあっても、誤りのない適正な会計事務が執行されるようにするため、長年のたび重なる改正等により複雑になっている会計規則の見直し、出納局による相談支援機能の強化などに取り組んでいくこととしているところであり、あわせて、これまでの再発防止策についても、職員の意識が風化することのないよう、今後も継続した取り組みをしっかり行っていくこととしているところであります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 県立高校における照明器具のLED化による環境改善についてでありますが、LED灯については、校舎の増改築などの際に、吹き抜け箇所など天井の高い場所の照明用として導入することと考えておりますが、インバーター式蛍光灯と比較して、長寿命及び省エネにすぐれている反面、まだ初期投資が高額に及ぶことのほか、照度が十分でないなどの課題もあるために、今後の製品改良の動向などを踏まえながら、その導入については引き続き検討してまいります。
 なお、県立高校においては、現在、老朽化した照明器具をインバーター式の蛍光灯器具へ順次更新し、省エネと照度アップの両面からの改善を図っているところであり、また、小中学校における省エネ化の促進については、エコ改修が文部科学省の学校環境改善交付金の補助メニューに新たに加えられる予定であることから、こうした国庫補助事業の積極的な活用などについて適切に助言してまいります。
〇6番(郷右近浩君) 御答弁ありがとうございました。
 今、改選期を迎えということで、知事のほうからもなかなかはっきりとしない部分の説明がございましたけれども、しかしながら、今後に向けた思いというのは伝わってきたものでございます。
 また、今のエコ改修という部分で、私のほうから提案させていただきました学校施設の電球、その他につきましては、やはり学校の設備というのは、もちろん子供たちが月曜日から金曜日、本当に日ごろから常にいる場所でもあり、そうした中の環境というのを非常にいい環境に保ってあげる、それが大人の役割ではないかと感じております。そうした中で、ぜひとも今後とも県教育委員会におきましては、市町村に対しましての指導も含め、そしてまたさらに先ほどお話のありましたようなさまざまなメニュー等、そうしたものがありましたらすぐに連携をとってできるような体制を構築していただきたいと感じております。
 公金の取り扱いについてでございますが、本当にこの問題はあってはならない問題であったと感じております。やはりお金の問題であり、そして信頼を失う、そうしたことは一朝一夕に取り戻せない、そうしたもののように私は考えております。ですので、今さまざまな方策、あれ以来、私自身も聞いたこともなかったわけですけれども、そうした中でさまざまなことを本当に真剣に取り組んでおられる、そうしたものが伝わってまいりました。今後とも、そうした取り組み、そして職員一人一人が取り組んでいくという姿勢、そうしたものをぜひ県の職員、皆さんで共有していただきたい、そのように思っております。
 知事にとってのこの4年間は、プライマリーバランスの均衡を目指しながらも、襲いかかる災害対策、経済対策との間で大変な期間だったと思います。結果的に県債はふえておりますが、この4年間で耕した畑、種をまいた畑、そして芽が出てきたものは、本当に私は多くのものがあると思います。これから芽をさらに育て、すばらしい果実となることを期待いたしております。
 次に、政務調査費についてお伺いいたします。
 現在の政務調査費の交付制度は、地方分権改革の動きの中で、地方分権の推進を図るための関連法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法が平成12年に施行されたことにより、知事と議会との二元代表制のもと、地方分権の推進に伴って、より一層議会の機能、役割がさらに大きくなると認識されるようになり、議員立法により地方自治法の改正が行われ、制度化されたものであります。それに伴い、岩手県議会では、政務調査費の交付に関する条例を各会派共同提案による議員発議によって可決、成立し、平成13年4月1日から施行されております。
 条例施行の際には、政務調査費の交付対象や領収書の添付等について引き続き検討を行う必要があるとし、議会内に政務調査費検討実務者会議や政務調査費の交付に関する条例等検討委員会を設置するなど、条例改正に向けて検討が重ねられた経緯があり、その後、条例及び規程の改正が行われ、事務処理要領の改定、さらには、事務処理マニュアルが作成され、平成15年5月から現在の制度となったものでありますが、特にも、議員個人への交付としたこと、収支報告書にすべての領収書その他の証拠書類の写しの添付を義務づけ、これを何人でも閲覧できるようにしたことなど、本議会が、全国に先駆けて議員の責任の明確化と政務調査費の使途の透明化に取り組まれたことにつきましては、先輩諸氏議員の御努力に敬意を表するものであります。
 しかしながら、このように取り組んだ一方で、本県を含め、他の地方公共団体においても政務調査費に関する住民訴訟が提起されている実態を見るに、県民の目線から見れば、1人当たり平均県民所得221万9、000円よりもはるかに多い372万円もの年額が交付される政務調査費の制度については、検討すべき課題があるものと考えております。
 政務調査費は、地方自治法第100条第14項で、議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付されているものでありますが、私自身は、現在の県内の経済環境、県民の生活環境を見る中、平成19年当選以来、政務調査費を使わないで活動を続けてまいりました。
 これまでの県民の現状をつぶさに見てきた知事は、政務調査費についてどのようにお考えか、本来、議員発議により施行されたものではありますが、予算の執行者として住民訴訟において被告となっております知事の御所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) 政務調査費についてのお尋ねでありますが、本県における政務調査費の交付制度につきましては、県議会の中で活発な御議論を経て制度化されたものと承知しております。
 特にも、政務調査費の収支報告書に、すべての領収書その他の支出証拠書類の写しの添付を義務づけるなど、全国に先駆けた透明性の高い制度を構築されたものと認識しております。
 政務調査費の制度趣旨は、議員の調査活動基盤の充実を図り、議会の審議能力を強化するというものであり、また、県政の課題や県民の多様な意見を的確に把握し、議会活動を通じて県政に反映させるといった議員の役割を果たすためには、広範で多岐にわたる調査研究活動が必要であり、このような活動に適切に政務調査費が使用されているものと承知しております。
 今後、地域主権型社会の実現に向けて、地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大していく中にあって、住民の直接選挙により選出された議会の議員と首長が、対等に議論を交わす、切磋琢磨の関係のもと、政策立案機能や監視機能といった議会が果たすべき役割と責任は、確実に増してくるものと考えております。
 そのような観点から、政務調査費の交付制度については、重要な意義を有するものと認識しているところであります。
〇6番(郷右近浩君) わかりました。知事には、こういうふうな形でしか聞けないという部分もありますので、先に進ませていただきたいと思います。
 違う観点からでございますが、私自身は、やはりこの今の県内の経済状況、そうしたものは、本当に大変な状況だと感じております。そうした中ででございますが、知事は退職金について、県民とともに歩む、県民と同じ目線で政治を行うことを信条とする知事におきましては、退職金を受け取らないことを公約として掲げました。本県の県債残高、県内経済や県民生活の実態などをかんがみ、そのような判断をされたものかと推察しておりましたが、受け取らない理由についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 私は、衆議院議員時代に議員年金廃止の活動に参画しておりまして、同じように選挙で選ばれる議員には退職手当がないのに、知事には高額な退職手当が支給されることに疑問を感じていたため、私が知事に就任した平成19年、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例を改正し、私への退職手当の支給をしないようにしたものであります。
 本県の財政が大変厳しい折、少しでも県民の暮らしと仕事の向上に役立つ税金の使い方をすべきであると考えた結果であり、私の希望王国マニフェストでお示ししたとおり実行したものであります。
〇6番(郷右近浩君) 政務調査費については、各種議論があるところであり、私自身、さらなる改革の必要があると考えております。より県民の理解を得るために、金額の多寡、支給方法等を含め、さらなる議論の必要性を今後も訴えていきたいと考えております。
 県議会議員は、知事と同様に選挙で選ばれる公選職であり、住民の代表者として、地域の声を県政に反映させる責務、住民全体の奉仕者としての責務及び議会を構成する一員としての職務を遂行する責任を負っています。
 しかし、この議員の責務については、議会基本条例第3条で議員の活動及び活動方針として明記されておりますが、地方自治法上は、議員の責務が明確にされておりません。
 昨年6月には地域主権戦略大綱が閣議決定され、今後ますます地域主権型社会へと進展していくことが期待され、これに伴って、知事の権限と責任も一層高まり、また、知事と議会との二元代表制のもと、県民を代表する議決機関として、議会の議員の責務も一層高まっていくものと思われます。
 私自身は、今後、地域主権型社会の実現を図る上からも、議員の責務を法的に明確にするとともに、議員の活動基盤の充実強化は必要不可欠なものと考えますが、県民の税金を使わせていただいている以上、金額の多寡や有無、そして使い方は、県民に対してわかりやすく、また、議員が明確に説明できるものでなければならないと考えます。
 そういった流れの中で、平成20年11月には、県議会議員の費用弁償の規定が、定額支給から実費支給へと変わりました。また、地方議会議員年金制度廃止の法案が、通常国会に提出予定になっていると聞いております。
 議会を取り巻く環境が大きな変化を見せている中、本県議会でも、議員の位置付けの明確化及び都道府県議会議員の選挙区制度の見直しの早期実現を求める意見書を昨年11月に関係大臣等に提出したところであり、全国都道府県議会議長会では、真の二元代表制の実現に向け、地方議会の法的権限を確立するとともに、地方議会議員の責務の明確化及び活動基盤を強化するため、地方自治法改正を国に要請していると聞いております。
 そこで、選挙で選ばれる知事、そして、議員の活動に関する必要経費について、今後の地方自治法改正の動きの中で、どのように規定されていくことが県民の理解を得られるのか、知事の御所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) 地方自治法の見直しについては、長と議会との関係や議会のあり方など、地域主権型社会の主役となる地方が、みずからの責任と判断のもと、住民に身近な行政を担うことができるよう、あるべき地方自治法制について、総合的に議論していく必要があると考えております。
 そうした中で、地方議会が地域主権型社会にふさわしい、住民に期待される機能を十分発揮できるようにするため、議員の活動基盤の充実などについて、地方議会の中で十分に御議論されるべきものと考えております。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございました。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。多目的屋内練習施設についてお伺いいたします。
 県は、平成28年度開催の岩手国体へ向けて、冬期間の練習場確保や選手の強化を目的に、健康科学センターを備えた多目的屋内練習施設の建設を平成21年7月より構想し、22年7月には、指名プロポーザルによる基本設計委託業者を決定、後、契約を締結。その後、平成22年10月、多目的屋内練習施設等基本設計検討専門委員会を設置し、2回の委員会での協議により、基本構造に鉄骨造を選定した旨、先日、御説明をいただきました。
 私は、これまで、平成21年12月定例会での一般質問での質問を皮切りに、常任委員会、予算、決算特別委員会と、機会あるたびに、本州一の森林面積を誇る森林県岩手として、また、環境王国いわてを目指している我が県において、木造での建設こそが望ましいと考え、その実現を求めてまいりました。
 岩手県の木材、林業振興を考えたとき、この契機に整備する施設の建設は、関係者に元気を与えるとともに、岩手の姿勢をアピールする場にもなると考えます。
 そうした観点から、今回、基本構造を木造での整備ではなく鉄骨造とした明確な理由をお聞かせいただきたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 多目的屋内練習施設の基本構造を鉄骨造とした理由についてでありますが、多目的屋内練習施設については、基本設計の主要な事項を検討するために、ただいま議員御案内のように、平成22年10月に、大学教授などを含む外部委員により、多目的屋内練習施設等基本設計検討専門委員会を設置したところであり、県議会を初め関係団体からの要望を受けて、ハイブリッド工法も含め、木造にすることについても協議、検討を行ってまいりましたが、その中で、この施設の基本構造については、木造とした場合には、関係法令上の制約等により工事期間の延長、それから、供用開始のおくれが想定され、国体選手強化本部が選手強化の飛躍期として位置づけている開催前3カ年の利用に支障を来すおそれがあったこと、また、原材料費の増や躯体の重量増による基礎工事費の増などによって、施設の建設費が大幅に増大することが予想されることなどの理由により、基本構造は鉄骨造とすることとされております。
〇6番(郷右近浩君) 今、御答弁いただきましたが、ただ、私は、この件に関しては、そもそも鉄骨でつくるという考え方がありきだったのではないかと感じております。といいますのは、今回の指名プロポーザルによる基本設計委託業者の決定、これにつきましては、私は、本来であれば、練習施設等の基本設計検討専門委員会を設置した後に、どのような形のものをつくる、何でつくる、そうしたものを検討し、そうした条件を付してプロポーザルによる募集をかける、そうしたことが本来的な形ではなかったのかなと思います。
 だとするならば、今回、指名プロポーザルによって選ばれたこの委託業者におきましては、何の条件もないまま、とにかくこの期間にこれをつくるんだというそれだけの、そのようなあいまいな条件での決定だったのではないかと思っているところでございます。
 そうしたことにつきまして、今の基本設計委託業者を決定したこの指名プロポーザルによる入札、そうしたものについて説明をいただきたい。どのような内容でのプロポーザル方式だったのか、御説明をちょうだいいたしたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) この多目的屋内練習施設の基本構想がありまして、この程度の規模、どういうものに使いたいかということを提示し、それから、構造については、白紙というわけではないですけれども、そういう木造も含めて、すべての検討をしていただきたいという条件のもとでプロポーザルをやりました。
 また、多目的屋内練習施設というのは結構大きい施設ですので、そういう設計をした経験のある業者ということで選ばせていただいたところでございます。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。通告もしていない質問でございましたので、ありがとうございました。
 ただ、やはり私としては、最初から木造ということも考えれば、確かにこの時期、開会式をどこでやるかといったような、その選定につきましても時間をとられ、なかなかこの施設の具体的な概略が組めないで、そして、それがおくれの原因になっていってというような、そうした部分があったということは、私自身も記憶しております。
 しかしながら、やはり最初から木造でやるんだといったような強い意思があったとするならば、私は、その後のスケジュール等においても、十分間に合う、さまざまなものを並行して考えながら、準備しながら進めていけば、対応できたのではないかと感じているところでございます。
 また、さらには、そもそもの使用期間の確保ということに関しても、別の見方をすれば、今回整備する施設は、木造でも、減価償却等から考えても40年ほどもつものとなるもので、その間には、もしかしたら3巡目国体の開催の可能性もあり、その間の県のスポーツ振興に大きく寄与する施設であると思います。
 また、何より、これから利用する次の世代の方々が、自分たちの県の環境や林業振興への取り組み、思いを理解してくれる施設となり得ると私は思います。
 開催前3カ年の練習期間の確保、使用期間の確保にこだわるより大切なものがあると私は考えますが、そのような意見は、多目的屋内練習施設等基本設計検討専門委員会の中ではなかったのかどうかを含め、木造での整備に対しての御所見をお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 多目的屋内練習施設の検討委員会での検討の経緯ですけれども、多目的屋内練習施設等基本設計検討委員会では、整備基本構想に示されている環境へ十分配慮するという観点から、木造での整備や木材の使用についても検討がなされました。
 この施設は、選手強化や競技力向上を主目的とする施設であり、本県のスポーツ振興の中心的な施設となるものであるから、施設の設置目的や機能を損なわない範囲で、最大限の配慮をするとの意見集約がなされたところであります。
 このことから、基本構造は鉄骨造としながらも、可能な限り木材を多く利用した施設とするように考えが至ったものであります。
〇6番(郷右近浩君) 可能な限りということでございます。ただ、その可能な限りというのもさまざまな数があります。どのぐらいの規模が可能なのかということに関しては、それぞれの受けとめ方によっても変わってくると思います。
 そうした中ででございますが、国においては、10年後に国産材の自給率50%以上という目標を掲げ、平成22年10月1日に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行され、低層の公共建築物については、原則としてすべて木造化を図るとの目標ともなっております。このことからも、国も本腰を入れ木材振興を考えていることがうかがえます。
 また、国に先立ち、我が県では平成22年3月、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定し、公共施設整備における木材利用の推進を図り、公共施設の木造化に対し、法令等の規定により制限がある場合を除き木造化を図る対象施設として、県立学校校舎、体育館等の教育施設、障がい者、児童等の福祉施設や地域交流施設等を上げております。
 私の認識においては、国の経済対策メニューも含め、県においては、林業の振興に力を入れ、これまでの林業振興策に加え、出口対策にも取り組んできたと思っております。
 県民からお預かりしている大切なお金でつくる施設であります。国体の順位も大切ですが、岩手らしい心に残る施設にしていただきたいと思うとともに、一貫性ある県の施策を求めることからも、本来は木造での施設整備を求めるものでありますが、木材と鉄骨を組み合わせたハイブリッド工法等も再検討していただき、屋根や壁材等に木材を使うことなど、木材振興につながる施設にしていただくことを強く望みますが、お考えをお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 次に、木材振興につながる施設についてでありますけれども、当該施設の整備については、県の岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画の趣旨を踏まえて、これからの実施設計において、工事期間や建設費との調整を図りながら、小アリーナや健康科学センターの諸室など、内部構造に可能な限り木材を使用することとしております。
 お尋ねのありましたハイブリッド工法については、先ほどお答え申し上げたように、基本設計検討委員会の中でも既に検討を続けた中ですので、それをもとに戻すことは、なかなか難しいと思っています。
 また、教育委員会で所管する教育施設への木材の使用については、平成19年度から21年度までの第2期目標達成率は175%となっており、さらに、来年度から着工する予定の盛岡商業高校の校舎については、床や壁に木材を利用して木質化する計画であることなど、推進行動計画の目標達成に努めているところであります。
〇6番(郷右近浩君) 私としては、本当に、屋根や壁材等を含め木材の使用頻度を高めていただいて、そして、本当に温かみのある、極端なことを言えば、鉄骨づくりであっても木造のように見えるような、例えばですね、屋根材とか躯体については、もしかしたらそうしたことで、今から進む先という形の中ではないにしても、見たときに、木造でできた建物、そして、あの運動公園の中にある本当に落ち着いた建物、そうしたような建物になることを期待しているものですが、今、現状での計画の中で、そうした部分につきまして、木材はどのぐらい使うというような計算というか、そうしたもののめどというのは立っているのかどうかお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 実施設計をやらないと、どれくらい使うかということはなかなか難しいのですけれども、いずれ、先ほどからお答えしていますように、使えるところには使う、できる限り使っていくということでしか御答弁できませんので、御理解賜りたいと思います。
〇6番(郷右近浩君) といいますのも、この量の部分にこだわるものですが、実は、この木材の振興ということで、関係者の方々が、東京の今回の設計を受託した梓設計を訪れた際に、話の中ででございますけれども、100立米ぐらいしか使わないといったような具体的な数字が出てきております。ざっと考えてトラック3台分。今回のこの施設は、中でサッカーができるほどの施設だと聞いております。そうした中においてのそうした木材の量というのは、私にとっては、一体どのように使われるのだろうかという、逆に不思議でならないぐらいであります。
 私は、とにかく使えばいいやという話ではなくて、せっかくつくる建物だからこそ、そして、やはりなかなか、これは練習施設だとしても、このような大きな建物をこれから岩手県がつくっていく、これから岩手県が、例えばさまざまなこういった施設をつくっていくということを希望はしますけれども、難しいという、そうしたことも考え合わせた中で、せっかくつくるのだから、他県に対して、これが岩手県の姿勢なんだぞと、そうしたものをあらわせるような施設にしていただきたいと感じているものです。
 ですので、そうしたことでの、再度質問となりますけれども、まだ実施設計は全然進んでいないということで、そして、これからであるということだということの認識でよろしいかどうか、確認させていただきたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) お答え申し上げますけれども、実施設計予算は、平成23年度予算にとっておりますので、まだこれから先だと考えております。
〇6番(郷右近浩君) 了解しました。
 それでは、今度は農林水産部長にお伺いいたします。
 今回の施設整備に関して、公共施設の木造化を推進する立場である農林水産部は、教育委員会を初めとする各部局に対してどのように周知を図ってきたのでしょうか。そして、県としてもっと木材の使用を推し進めるという方針を徹底する必要があると思いますが、今後、公共施設の木造化をどのように進めていくのか、御所見を伺います。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 今後の公共施設整備に係る所見についてでございますが、本県では、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部を設置いたしておりまして、全庁的に木材利用を推進してございます。本部長であります副知事から、各部局に対して、木材利用の働きかけを行ってきたところでございます。多目的屋内練習施設の整備に当たっても、当部から教育委員会へ、大型木造施設の整備事例や国の支援事業などの情報提供を行ってきたところでございます。
 このたび、公共建築物木材利用促進法におきまして、都道府県方針の策定が規定されたところでございまして、本県の方針といたしましては、木材利用推進行動計画を位置づけたところでございまして、今後とも、率先して公共施設等における木材の利用を進めていくということとあわせ、市町村に対しても、法に基づく木材利用方針の策定を働きかけるなど、なお一層の県産材需要の拡大に努めてまいります。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。今の御答弁をいただき、農林水産部としての木材、林業振興への思いを強く感じたところであります。
 しかし、ならばこそ、農林水産部としましても、今、整備しようとしていますこの施設に対しまして、木材をふんだんに使った温かみのある施設とするよう働きかけていくべきと考えますが、いま一度、御答弁をいただきたいと思います。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 教育委員会で現在整備されておりますこの施設につきましても、可能な限り木材を活用されるように、今後とも働きかけをしてまいりたいと思ってございます。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございました。一緒に頑張ってまいりたいと思います。
 岩手競馬について、次にお伺いいたします。
 先日、2月21日、いよいよことしの調教が始まり、馬たちが元気に馬場を走る姿を見、ことしも岩手競馬がいよいよ始まるとの心が沸き立つ思いと、存続に向けたさらなる思いを強くいたしました。
 その岩手競馬は、平成19年3月、現行の収支均衡ルールにより事業の継続が認められ、現在に至っておりますが、この間、毎年の売り上げ減少に伴う経費カットにより、過去には地方競馬の中でも高額を誇った賞典費の総額は、現在では平成19年度対比で4分の3近くにまで落ち、それに伴い、肝心の馬資源の確保や強い馬の確保などに関係者一同苦心している状況にあります。競馬場自体に元気がなく、アミューズメントパーク的な要素もあるはずの競馬場が光を放っていない現状を見るにつけ、お客様がこぞって集まってくるような岩手競馬にしなければならないと感じております。
 平成23年度の事業計画によりますと、薄暮競馬の拡充や芝コースによる重賞競走、短距離競走の新設といったような事業があり、岩手競馬を競馬ファンにさらにアピールするとともに、その取り組みを売り上げにつなげるようにしなければなりません。計画だけではなく、きちんと実行に移し、そして常に目を光らせながら、きちんと前へ前へと進んでいくことが大切だと思っております。
 しかし、過日開催されました岩手県競馬組合議会において議決されました平成22年度補正予算によりますと、この間の積立金の基金はすべて取り崩し、収支均衡のめどは立ったものの、平成23年度にはほとんど実質の予備費がない中でさらに緊縮の運営を余儀なくされており、これからも競馬を継続していくに当たり、この年が正念場との認識を持っております。
 平成24年度からは地方競馬共同トータリゼータシステムの導入、JRAとの相互発売など明るい兆しもある中で、平成23年度の運営に当たってどのような御認識をお持ちかお伺いいたします。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 岩手競馬の平成23年度の運営に当たっての認識についてでありますが、地方競馬は、今後、共同トータリゼータシステムの導入やJRAとの相互発売などにより、地方競馬相互間や地方競馬とJRAとの連携が一層進展し、コストの軽減による経営体質の強化や発売額の向上が期待される一方で、競馬主催者間の競争も激化していくことが想定されるところでございます。
 平成23年度は、こうした新しい動きを岩手競馬の経営安定に確実につなげていくため、積極果敢に改革、改善に取り組みながら、全国のファンに支持される岩手競馬の構築に向けた準備を進める重要な年であると認識しております。
 このような認識のもと、来年度は、魅力づくりやつながりづくり、基盤づくりの三つの基本方針を掲げ、限られた予算の中にあっても、賞金や手当の水準を維持し、全国の地方競馬やJRAとの連携を図りながら魅力あるレースの提供に取り組むとともに、ファン組織との連携により、岩手競馬を盛り上げていくさまざまな取り組みを企画、実施するほか、地方競馬全国協会が創設する緊急対策事業等を活用しながら、発売体制の効率化や馬資源の確保に努めることとしております。
 地方競馬を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況が続くことが見込まれますが、平成24年度以降の新しい展開も視野に入れながら、岩手競馬に携わる関係者が一丸となって、収支均衡の達成に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 今の御答弁は御答弁としてわかったわけですが、ただ、まさにこの平成23年度というものは、次の24年度のための大切な準備期間であると私は考えております。平成24年度からの明るい兆しというか、共同トータリゼータシステムの導入や相互発売などあったとしても、やはり岩手競馬自体に全国の競馬ファンの目というものをそのときになってから向けてくださいといったことでは、私は対応が非常に遅いと思っております。そのためにも、この平成23年度にどのようにして全国の競馬ファンに岩手競馬というものを認知させるか、そして岩手競馬は買ってみたい、そのように思っていただけるか、そうしたことも含め、やはり緊縮予算の中とはいえ、CMであれ、そして情報の発信、そうしたものは非常に大きいものと思っております。
 全国紙への馬柱の掲載等も、平成23年度も行うということになっておりますが、そうした際にぜひとも、射幸心をあおるという部分との非常に微妙なものはあるかとは思いますけれども、岩手競馬をぜひとも皆様方に注目していただくような、そうしたことを何かしらさらにつけ加えてやっていっていただきたい。そうした大事な年として過ごしていただきたいと思っております。
 また、JRAとの連携の部分につきましては、現在、JRAでは売得金の25%が控除され、うち10%が第1国庫納付金として国に納付され、残りの15%がJRA開催費に充てられております。そして、剰余金が生じた場合は、その2分の1が第2国庫納付金として国に納付され、これらの納付金は畜産業の振興などに充てられる仕組みとなっております。
 私は、平成24年度からのJRAとの連携を好機ととらえ、平成23年度はJRAと協議し、この国庫納付金の制度を改正するよう、競馬法の改正を国に対してJRA、地方競馬が一体となって働きかけ、国庫納付金の一部を地方競馬との連携に柔軟に対応できるような制度に変え、そうした中で、今後のさらなる連携や相互発売が始まった際の受委託料の決定、そうしたものに結びつけることができないかと考えております。
 JRAで未勝利だった馬が地方で走り、また、JRAには新しい馬が入る、そうした今の現状を見ますと、私はその馬資源の流れ自体が馬事振興に寄与していると考えますが、今後の地方競馬とJRAとの連携の取り組みについて御所見をお伺いいたします。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 地方競馬とJRAとの連携の取り組みについてでありますが、長年の課題でありました両者の相互発売については、平成24年度中の開始を目指し、今後、システムの整備や対象となるレースの選定など、主催者間での協議、調整が本格化することとなっております。まずはこの相互発売が円滑にスタートし、地方競馬、JRAの双方に連携、協調の効果があらわれるよう、売り上げを伸ばしながら定着を図っていくことが重要と考えております。
 現在、JRAでは、地方競馬の活性化に資する事業などに対して地方競馬振興の観点から支援を行っており、今後における地方競馬とJRAとのさらなる連携のあり方については、こうした現状も踏まえて、関係道県や全国の地方競馬主催者とも連携、協議しながらさまざま検討を進めていきたいと考えております。
〇6番(郷右近浩君) JRAのほうでは、国に対して競馬法の改正等を働きかけていくといったような考え方は今現状あるのかないのかそもそもの部分がわからない部分ではありますけれども、しかしながら、やはり今、JRAも売り上げが下がっていく、そして地方競馬においては、本当にどこの主催者も一生懸命ぎりぎりのところでやっている。そうした中では、先ほど話をしましたとおり、馬資源等の流れを見ましても、やはりお互いが補完してそれぞれがきちんと成り立っていかないと、この先、競馬というものは、スポーツの世界と一緒で、トップだけがあって、そして下がない、そうしたものでは絶対に続いていかない、このように思います。下を支えるものがあって、その土台の上にトップがある。そうした中で、またさらには、やはりJRAと、そして地方競馬との関係というのは切っても切り離せない、そのように考えております。
 そうした中で、これまでJRAとの協議等さまざまな際でのお話し合いの中で、一緒に取り組んでいくといったような考え方はあったのかどうか、そうしたものについて、わかる範囲で結構でございます、御答弁いただければと思います。
〇農林水産部長(小田島智弥君) JRAとの間で、相互発売等さまざまな形で連携をしていくということについては話し合いが重ねられているところでございます。
 一方で、議員御提案のありました件についてでございますが、JRAから地方競馬に対しましては、現在も地方競馬全国協会が実施いたします競馬活性化事業及び競馬生産振興事業への交付金等の支援が行われているところでございます。国庫納付金を活用してJRAから地方競馬への新たな助成制度を創設するということにつきましては、法律の改正など大きな制度改正が必要となりますことから、国やJRA、全国の地方競馬主催者との十分な協議が必要であると考えております。
〇6番(郷右近浩君) ぜひそうしたことで、平成24年度に向けて準備期間として、そして助走期間として本当に充実した年となるような取り組みを期待するものであります。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(小野寺研一君) 以上をもって郷右近浩君の一般質問を終わります。
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時45分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 吉 田 敬 子 君
2  番 工 藤 勝 博 君
3  番 高 橋 但 馬 君
4  番 小 野   共 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 岩 崎 友 一 君
10  番 木 村 幸 弘 君
11  番 久 保 孝 喜 君
12  番 小 西 和 子 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 及 川 あつし 君
16  番 亀卦川 富 夫 君
17  番 高 橋 昌 造 君
18  番 中 平   均 君
19  番 五日市   王 君
20  番 関 根 敏 伸 君
21  番 三 浦 陽 子 君
22  番 小田島 峰 雄 君
23  番 熊 谷   泉 君
24  番 嵯 峨 壱 朗 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 大 宮 惇 幸 君
27  番 千 葉 康一郎 君
28  番 新居田 弘 文 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 佐々木 順 一 君
31  番 佐々木   博 君
32  番 田 村   誠 君
33  番 工 藤 勝 子 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 佐々木 一 榮 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 吉 田 洋 治 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(2名)
34  番 平 沼   健 君
42  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時3分 再開
〇副議長(小野寺研一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部富雄君。
   〔37番阿部富雄君登壇〕(拍手)

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