平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 質問に入る前に、ニュージーランドにおける地震で、県出身者を含め被害に遭われました。心からお見舞い申し上げるとともに、一刻も早く救出されることを願うものであります。
 さて、任期最後の一般質問となりますので、達増民主党県政を検証しつつ、切実な県民の願い、要求を実現する立場で、具体的な提言を含め、達増知事に質問をいたします。
 一昨年の政権交代で国民が民主党政権に寄せた期待は幻滅に、そして怒りへと変わっています。岩手県では、増田前知事以来4期16年間にわたって民主党県政が続きました。率直に言って、自民党政治と全く変わらないどころか、自民党政治の先取りの県政ではなかったでしょうか。達増知事は定例記者会見で、菅民主党改造内閣について、政権交代反対内閣だと発言していますが、具体的にどういう政策が変更されたと受けとめているのでしょうか。また、民主党岩手県政の実態について、自民党政治とどこか違うことがあったのか示していただきたい。
 具体的な県政の課題について知事に質問いたします。
 第1に、深刻な雇用と就職難打開の実態と取り組みについてであります。
 昨年1年間の有効求人倍率は0.43倍と、前年より若干改善されたとはいえ、極めて低い状況にとどまっています。党市議団とともに実施した盛岡市民アンケートには、長男が失業中、30代の息子がリストラに遭い、国民年金などは親がかわりに払っているなど、深刻な実態がたくさん寄せられました。家族に失業者がいると回答があったのは25.4%、実に4世帯に1世帯という状況であります。3人に1人が1年以上の失業という状況であります。雇用を確保する課題は、暮らしを守る上でも、貧困を打開する上でも、緊急、重要な課題であります。
 リーマンショック以来、工場閉鎖や解雇、雇いどめなど雇用破壊の先頭に立ったのは、これまで利益を上げ、巨額の内部留保をため込んでいた誘致大企業でありました。大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせることが一番の問題であります。
 そこで、具体的に質問します。
 一つ、大企業は既に黒字に転換し、業績を回復してきています。誘致企業における従業員はこの4年間でどう推移したでしょうか。新規求人数はどうなっているでしょうか。ソニー、富士通による退職者の再就職の状況はどうなっているでしょうか。
 二つ、非正規雇用の拡大が、雇用者報酬、県民所得減少の大きな要因となっています。県内のトップ企業である関東自動車工業では、正社員と同じ生産ラインで働いている期間従業員が約30%、750人に及んでいます。6カ月雇用で、いつ首切られるか不安を持ちながら、4年、5年、さらには8年も働いています。優先して正社員に登用すべきと考えますが、今年度、そしてこれまでの正社員化の取り組みはどうなっているでしょうか。誘致企業における非正規雇用の実態をどう把握されているでしょうか。
 三つ、昨年1年間の有効求人倍率は0.43倍と低く、県内失業者は3万数千人に及んでいます。3人に1人以上は、1年以上の長期の失業者となっています。再就職の取り組みとあわせて生活の確保対策が求められています。昨年は県内すべての地域でワンストップ・サービス・デイの取り組みが行われました。その実績はどうなっているでしょうか。今後も定期的に実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 四つ、高校卒業予定者の就職内定率は12月末で84.4%となっています。未定者が527人もいます。4年制大学の場合は就職内定率が59.6%にとどまっており、744人が未定であります。専修学校も59.2%となっています。社会に出る第一歩が失業者だったということにならないように、あらゆる手だて、対策を講じるべきと考えますが、どうなっているでしょうか。
 第2に、住宅リフォーム助成事業の実施で中小零細企業に仕事をふやし、常用雇用の89%を占める中小企業対策の抜本的強化について質問いたします。
 知事に質問します。9月県議会において住宅リフォーム助成事業の実施を求める請願が全会一致で採択をされたことについてどう受けとめ、取り組もうとしているでしょうか。
 宮古市の住宅リフォーム助成事業は、1月末現在で2億7、000万円の補助金で2、707件、11億9、000万円を超える工事高、経済波及効果は20億円を超える成果を上げ、全国から注目をされています。県レベルでは、秋田県が1月末現在で19億3、400万円の補助で1万3、656件、294億円の工事高となっており、経済波及効果は500億円を大きく超える規模となっています。深刻な不況と仕事不足の中で、末端の大工さんや業者に仕事をふやし、住宅改修という県民の願いにもこたえる、まさに地域経済活性化の起爆剤の役割を果たしていると考えますが、知事はどう受けとめているでしょうか。岩手県としても直ちに実施すべきではなかったでしょうか。
 県内の中小企業は、事業所数で99.8%、常用雇用者数で89%を占め、地域経済のまさに主役であります。しかし、74%が赤字となっており、経営、販売、技術支援と企業間の連携を含めた総合的な支援が必要と思います。ところが、中小企業対策の来年度の予算は、融資を除くとわずか38億円余、予算総額の0.6%となっています。当面、予算の倍増が必要ではないでしょうか。千葉県の取り組みに学び、中小企業振興条例の制定で、総合的な中小企業振興の戦略と具体的な対策を当事者とともに策定すべきではないでしょうか。また、県として公契約条例を制定し、時給1、000円以上を確保し、県が発注する事業でワーキングプアを解消する取り組みを行うべきではないでしょうか。
 第3に、高過ぎる国保の問題、介護保険、子供の医療費助成について質問いたします。
 市民アンケートでは、今、暮らしのことで困っていることは何ですかの問いに、収入の減少42.7%、国保税の負担41.6%、医療費の負担40.0%という答えでありました。特に、国保税が高過ぎるという答えは75.7%でありました。給料が安く、アパート代、生活だけで大変なので国保にも入っていない。熱が出ても病院に行けません、34歳の女性。保険証がなく、病院にも行けない状態です、62歳の男性など、切実な声がたくさん寄せられました。県内の国保税加入世帯の平均課税所得は89万円で、国保税額は14万7、000円、負担率16.56%であります。盛岡市の場合は、課税所得が91万円で、国保税は4人家族で約16万円、負担率17.57%となっています。滞納世帯は全県で3万277世帯、14.2%、盛岡市の場合は8、656世帯で21.1%にもなっています。さきの国会で志位委員長の質問に対して菅首相は、負担感としてはかなり重いと答弁をされました。知事に質問しますが、高過ぎて払えないのが国保の実態だと思いますが、知事はどう認識されているでしょうか。
 最大の問題は、国が国庫負担を大幅に削減したことであります。ところが、岩手県は、昨年5月の国の通知に基づいて国保の広域化支援方針を策定し、収納率を上げるための方策として、夜間における電話催告や訪問徴収、コールセンターによる督促、滞納処分の適切な実施、保険証取り上げ、資格証明書の適正な交付など、県民の命をさらに脅かすような方針を決めました。この命を脅かす無慈悲な方針は撤回すべきではないでしょうか。払えない国保税を滞納すれば保険証を取り上げる。さらに給与や年金まで差し押さえるような命奪うやり方は直ちに中止すべきと考えますが、保険証の取り上げ、差し押さえの実態を含め、知事の答弁を求めます。
 高過ぎて払えないとするなら、払える国保税に引き下げることこそ必要ではないでしょうか。国民健康保険法では、都道府県の役割について、国保事業の健全な運営に向けて必要な指導を行うとされています。国庫負担の復元、増額を求めつつ、県独自にも1世帯1万円の引き下げを実施すべきではないでしょうか。21億円あれば可能です。市町村と負担し合えば、約10億円で引き下げが実現できます。競馬事業の破綻に330億円の税金を投入しましたが、馬より人の命をの取り組みが必要ではないでしょうか。
 介護保険が実施されて10年が経過しました。その結果は、昨年3月末現在で5、974人の特養ホームの待機者であり、介護サービス利用料は全国最下位という実態です。在宅サービスは限度額の46.8%しか利用されていません。まさに保険あって介護なしの実態ではないでしょうか。こうした実態の要因をどう認識しているでしょうか。必要な介護サービスが受けられず、介護殺人事件まで引き起こされています。花巻市は、介護者の実態調査を踏まえ、介護者を支援する介護相談員を配置していますが、県は介護者の実態と要望をどう把握しているでしょうか。保険料、利用料の軽減策とあわせて、こうした具体的な対策が必要ではないでしょうか。
 少子化が進行しています。こうしたときこそ、子供を大切にする県政、子育てするなら岩手県でと言える県政の推進が必要であります。子育ての経済的な負担が若い世代の一番の悩みであります。子供の医療費助成を県として小学校卒業まで拡充すべきではないでしょうか。4億円あればすぐに実現できるものであります。全国では、中学校卒業までを助成の対象にしている県が5県、小学校卒業までが5県となっています。群馬県は入院、通学とも中学校卒業まで実施しています。窓口負担の無料化、現物給付も切実な要求であります。全国では33県が現物給付を実施しています。窓口負担の無料化に踏み出すべきではないでしょうか。
 第4に、県立病院、診療センターの無床化と地域医療の確保について質問いたします。
 達増知事は、地域住民の切実な声と県議会での請願採択にも背を向けて、土下座までして診療センターの無床化を強行しました。昨年12月県議会では、県立沼宮内病院の4月からの無床化を決めました。異常な強行、強権的な進め方でありました。特に花泉地域診療センターについては、無床化後、半年もたたないうちに医療法人白光に民間移管を強行しました。医療法人白光は、民間移管が提起されたときには、常勤医師2名、非常勤医師3名を確保しているとしていましたが、全く根拠がありませんでした。昨年3月25日に、民間移管の事業計画がやっと提出されました。その内容は、常勤医師2名、非常勤医師3名を確保したとされていましたが、しかし、4月以降7月まで常勤医師は事実上不在という異常な事態で民間移管が強行されたのであります。現在でも常勤医師は1名のみとなっています。事業計画に反する事態ではないでしょうか。現在の外来、入院患者の実績を含め、こうした民間移管の進め方についてどう反省しているのか示していただきたい。
 また、5診療センターが無床化され、土日、祝日は医師不在となりました。地域住民の不安は大きなものがあります。入院患者がどう移行されているか、外来患者の動向はどうなっているかを含め、無床化の影響について示していただきたい。
 県立沼宮内病院の無床化は、1年間延期されたとはいえ、4月から強行されることになりました。病院から無床化に一気に移行されるのはかつてないことであります。県立沼宮内病院は、昭和29年5月、地元の強い誘致を受けて、36床で56年前に設立された病院でした。さらに、平成14年には20億円をかけて60床で新病院が建設されました。新築されてまだ10年もたっていない病院を無床化することは、余りにも無責任な対応と言わなければなりません。これまでの歴史と経過に逆行する無床化についてどう受けとめているでしょうか。
 岩手町のがん検診体制は保健文化賞を受賞するなど全国に誇る取り組みであります。毎年4、000人以上の大腸がん検診など、胃がん、乳がん検診を沼宮内病院で対応してきました。しかし、今年度は乳がん検診が実施できなくなりました。地域病院の役割として全県に広げるべき取り組みだと考えていますが、無床化はそれに逆行するのではないでしょうか。今後、がん検診体制の後退とならないよう特別の体制が必要と考えますが、どう対応されるか示していただきたい。
   〔副議長退席、議長着席〕
 第5に、TPP問題と農林水産業の振興、地域経済の問題について質問します。
 TPP─環太平洋連携協定が原則とする例外なき関税撤廃を実施すれば、食料自給率は40%から13%まで激減する。農林水産業の生産額は4兆5、000億円減少し、350万人の失業が出ると農林水産省自身が試算しています。岩手県の試算によれば、農業生産は約6割、1、469億円の減少、米は95%、乳牛は100%、肉牛は61%減少するとしています。水産業でも191億円、サケ・マス類が63%、日本一のワカメが93%減少するなど、壊滅的な打撃を受けるとしています。農業、農村の果たしている多面的な機能は県内でも3、020億円に及びます。農林水産省の試算から推計しますと、1、400億円近い県土と環境の破壊をもたらすのではないでしょうか。岩手の製造業の製品出荷額の第1位は食料品産業であります。3、582億円の出荷額です。地域経済への影響も大きなものがあります。
 達増知事は知事演述で、環太平洋パートナーシップ協定に関しては、国の動向を注視しながら、本県農林水産業の振興が損なわれることのないよう対応してまいりますと述べました。大変歯切れの悪い、あいまいな姿勢だと言わなければなりません。菅内閣は6月までにTPP参加を決めようとしています。岩手の農林水産業、地域経済に壊滅的な打撃を与えるTPP交渉参加には断固として反対し、県民とともにその運動の先頭に立つべきではないでしょうか。
 自国の食料は自国で生産するという食料主権は世界の大きな流れになりつつあります。食料主権という立場に立った貿易ルールの確立こそ強く求めるべきではないでしょうか。
 農林水産業は岩手県の基幹産業です。また、県民、国民の安全で安心な食料の安定供給という国民の命を守る課題であります。国の安全保障にかかわる課題でもあります。ところが、この12年間で県の農林水産業の予算は、1、396億円から658億円に半分以下に激減しています。これでは、農林水産業の振興どころか、衰退予算と言うべきではないでしょうか。再生産が可能な価格保障と所得補償の予算の抜本的な増額を柱に見直すべきではないでしょうか。
 さきの農林業センサスでは、農業就業人口はこの5年間に2万3、852人、20.9%も減少しています。新規就農者に対し月15万円、3年間支援するなど、農業の担い手育成に本格的に取り組むべきではないでしょうか。
 次に、教育の課題について質問いたします。
 国が30年ぶりにやっと、小学校1年生のみですが、35人学級編制に踏み出しました。一人一人の子供に行き届いた教育を進めることは最も切実で重要な課題です。国が35人学級に踏み出した今こそ、県として35人学級を小学校3年生、4年生に拡充すべきではないでしょうか。中学校1年生での全面実施と、2年生、3年生への拡充に踏み出すべきではないでしょうか。そのための学級増、教員増、財源はどうなるでしょうか、これまでの35人学級の取り組みの成果を含めて示していただきたい。
 次期県立高等学校整備計画の策定について、教育委員会委員長は、地域の実情を十分に踏まえ、いただいた御意見を参考にしながら総合的に検討してまいりますと述べました。私も、この間のブロック別地域検討会議を傍聴するとともに、その議事録を読ませていただきました。共通した意見は、高校でも少人数学級の実現を求めるもの、地域と結びついた高校の存続、だれでも高校教育を受けられる教育の機会均等の保障を求めるものだったと受けとめています。十分踏まえるべき地域の実情と意見をどう受けとめているでしょうか。また、県教委は小規模校を切り捨てることはないと述べています。具体的にどういうことでしょうか。
 昨年の5月に、国連子どもの権利委員会は、日本政府に対して3度目となる最終所見、勧告を出しました。その内容は、高度に競争主義的な学校環境が、就学年齢にある子供の間のいじめ、精神的障害、不登校、登校拒否、中退及び自殺に寄与し得ることを懸念すると指摘し、過度に競争主義的な環境が生み出す否定的な結果を避けることを目的として、大学を含む学校システム全体を見直すことを締約国政府に勧告するというものであります。教育委員会委員長はこの勧告をどう受けとめ、対応されるでしょうか。
 政権交代によって学力テストは抽出調査となりましたが、結果的には小学校で68.9%、中学校では80.2%が参加する結果となりました。テストをしないと落ちつかないという異常な事態になっているのではないでしょうか。一部の数値目標で教育を進めようとする目標達成型の学校経営も、教育の原理とは異質の市場原理を教育に持ち込むもので、見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、県財政の危機的状況と、不要不急の大型開発の見直しについて質問いたします。
 県の借金、いわゆる県債残高は来年度末で1兆4、600億円、予算総額の2.14倍となります。2009年度の普通会計決算では1兆5、000億円を超え、決算総額に対する比率では全国第2位の深刻な状況であります。借金返済の公債費は来年度1、186億円余、今後さらに1、400億円までふえ続ける異常さであります。県財政の危機を招いたのは、予算の規模を超えて大型開発、公共事業を推進してきたこと、小泉内閣の三位一体改革による地方交付税の大幅な削減、地域経済の衰退による所得の減少と減収ではないでしょうか。だとするなら、無駄と浪費、不要不急の大型開発は抜本的に見直すべきであります。
 知事に質問します。選択と集中と言いながら、530億円の簗川ダムも、164億円の津付ダムも推進するというなら、何を見直すのでしょうか。簗川ダム建設事業は、簗川の特性からいって、人口が集中している下流域の堤防の強化と、4キロから上流は農地であることを踏まえて、河川改修で十分対応できるものであります。ダム建設によって、貴重な自然環境と住民の宝である川の生態系を破壊すべきではありません。津付ダムは、残事業費で比較しても河川改修のほうが経済的と県の試算でも出ています。わずか10分の1の流域面積しかない気仙川の支流にダムを建設する合理的な理由はないと言わなければなりません。熊本県の知事は、みずから専門家と地域住民の意見を聞き、球磨川も地域住民の宝だとして国のダム建設の中止を決断いたしました。大阪府知事も最近、ダム本体工事まで進んでいた槙尾川ダムの中止を決断しました。知事は、みずから簗川と気仙川の現場を見たことがあるでしょうか。みずからその妥当性を検討したことがあるでしょうか。
 花巻空港整備事業は、12年前、利用客が当時の52万人から90万人に増加し、ジャンボ機でアメリカ西海岸等に直接飛行できるように大型誘導路を整備するために行われた事業でありました。しかし、当時でも国の補助事業の対象とならず、事実上、県単独事業として進められてきました。その結果は、利用客が35万人に、20万人近くも減少し、ジャンボ機どころか、今、飛行しているのは50人乗り、76人乗りの超小型機であります。目的も計画も破綻したのに、321億円の整備事業だけが実施された、まさに無駄遣いと言われても仕方がないのではないでしょうか。この結果をどう認識されているでしょうか。
 県財政の危機的状況の要因に、大型開発、公共事業の推進がありました。その背景には、小沢事務所による天の声、談合によるゼネコンへの発注と、その見返りとしての表、裏の政治献金があったのではないでしょうか。2月7日の小沢一郎元秘書の政治資金報告書虚偽事件では、胆沢ダム建設事業の下請に入った水谷建設が小沢一郎氏側から1億円を要求され、2004年10月と2005年4月に、2度にわたって5、000万円の入った紙袋を小沢一郎元秘書に届けたと明らかにされました。赤旗新聞では、水谷建設の当事者、会長が証言をしています。岩手県発注の公共事業でも小沢事務所が天の声を出し、清水建設や西松建設が県立病院や簗川ダムトンネル工事等を受注していたことも明らかにされています。事は税金の還流疑惑であります。国政はもとより、県政の場でも徹底的に究明されるべき問題だと考えますが、知事は、小沢一郎氏の強制起訴、元秘書の事件についてどう認識されているでしょうか。小沢氏が出した4億円の出所と、その後の金融機関からの4億円の融資は偽装工作だったのではないでしょうか。
 県財政が危機的な状況のもとで、1、400万円の知事公用車を購入したことが県民の驚きと怒りを広げています。東北各県の知事の公用車は400万円から500万円程度ですが、知事の無駄遣いと言われても仕方がないのではないでしょうか。知事は県民の声をどう受けとめているでしょうか。
 次に、県公安委員会委員長に質問いたします。
 第1に、2億1、500万円に及ぶ県警の不正経理問題についてお聞きします。
 昨年12月17日、県警元交通規制課庶務係長の時期に架空の物品購入表を作成し、県費36万円余をだまし取った詐欺罪に問われた元県警職員に、盛岡地裁は、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。この判決をどう受けとめているでしょうか。
 また、この職員の不正流用は127点、327万円でありました。本人はすべてを認め、全額返還されましたが、なぜ、36万円余だけの詐欺罪での起訴となったのでしょうか。横領事件だったのではないでしょうか。
 私は、昨年3月の予算特別委員会と10月の決算特別委員会で、裏金工作を苦にして、2月15日に置き手紙を置いて失踪した元会計係長の問題を取り上げました。残念ながら、4月15日、宮古沖の海上で遺体が発見されました。公安委員会として必要な調査と対応はされたのでしょうか。
 第2に、県警職員のサービス残業について質問します。現場の警察職員は、県民の安全を守るために日夜仕事に取り組まれています。県警の調査でも、昨年度、超過勤務時間は職員1人当たり平均で335時間となっています。一方で、超過勤務手当の支給は194.4時間となっています。140.6時間が不払い労働時間、いわゆるサービス残業となっています。実に超過勤務の42%が不払いです。これは社会的な犯罪行為となりますが、公安委員会としてどう認識しているでしょうか。なぜ是正しようとしないのでしょうか。
 最後に、知事の政治姿勢について質問します。
 2月6日投票となった陸前高田市長選挙で、日本共産党の党籍を持ち、やさしさと活力に満ちた市政を進めた中里長門市政の継続を訴えた市長候補が、小沢一郎氏まで現地入りした民主党丸抱えで戦った候補に1、100票以上の差をつけて勝利しました。
 陸前高田市政はこの8年間で33億円も借金を減らし、福祉などの予算、民生費は、13市で第1位の福祉の充実と投資的経費でも第2位に位置し、中学校の校舎そして体育館の改築、さらには11カ所の介護施設の整備など、地元に仕事をふやしました。漁業や農業の担い手支援にいち早く取り組むなど、地方政治のあり方を示す成果を上げてきました。
 知事も民主党推薦候補の応援に駆けつけたようですが、今回の結果についてどう受けとめているでしょうか。また、八幡平市や久慈市でも、知事が応援した市長候補が敗北しています。知事の対応としてよかったと考えているのでしょうか。
 以上で私の質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、菅内閣の政策と岩手県政についてでありますが、一昨年実現した政権交代は、国民の生活が第一という民主党マニフェストが多くの国民に支持され、地方を重視し、格差社会を食いとめようという民意が反映された結果と認識しております。
 一方、昨年の参議院議員選挙において民主党マニフェストが一部修正されたことや、現在の内閣が重点に掲げて進めようとしている消費税増税、環太平洋パートナーシップ協定の強行は、むしろ国民の生活や国と地方の格差拡大につながるおそれがあり、政権交代に際して示された民意に反することになると懸念しているところであります。
 また、岩手の県政においては、私は知事就任以来、県民の仕事と暮らしを守るべく、地方切り捨て、格差拡大型の市場原理最優先の国の政策が長く続いたこと等から生じた人口流出や地域医療の崩壊といった岩手の危機を直視し、これを希望に変えていくため、希望創造プランやいわて県民計画に基づき、雇用環境の改善や地域医療の確保、子育て支援、県北・沿岸振興などの対策を県民の視点、地域の視点で重点的に推進してきたところであります。
 次に、誘致企業における従業員の推移等についてでありますが、誘致企業のうち従業員数の多い上位10社について申し上げますと、平成19年2月時点では約1万2、400人、平成23年2月現在で約9、800人となっています。また、これら企業の平成23年度の新規採用予定人数でありますが、74人と聞いているところであります。
 ソニーイーエムシーエス千厩テック及び富士通セミコンダクター岩手工場の離職者については、1月末現在で、ソニーでは9割台後半、富士通では7割台後半の方々が再就職したと聞いております。
 次に、正社員化の取り組み等についてでありますが、関東自動車工業の正社員への登用数は、平成18年度から21年度までの4年間の実績で合計233人となっており、今年度の登用については、現在検討している段階と聞いております。
 誘致企業における非正規雇用の実態について正式な資料はありませんが、先ほど申し上げた従業員数の多い上位10社について聞き取りしたところでは、従業員数約9、800人のうち、非正規雇用は約1、700人となっています。
 次に、ワンストップ・サービス・デイについてでありますが、岩手労働局によりますと、今年度はこれまでに、県内10カ所のハローワーク管内で延べ15回のワンストップ・サービス・デイを実施し、相談者数は219人、相談件数は502件となっています。
 ワンストップ・サービス・デイについては、来年度も実施することとされています。
 次に、新卒者の就職支援についてでありますが、今春の高校卒業予定者のうち、内定を得られていない生徒については、学校や各広域振興局に配置している就業支援員、さらにハローワーク等が連携して、現在、個別支援や求人開拓に全力で取り組んでいるところであります。
 大学及び専修学校の卒業予定者については、1月末現在でおおむね70%から80%が内定していると聞いています。未内定者については、専修学校では、各校が引き続き求人開拓及び就職支援を行い、大学等では、大学と国の就職ジョブサポーターが連携して個別支援を行っています。また、県でも、ハローワークと連携して合同面接会を追加開催するなど、就職に向けた支援を強化してまいります。
 次に、住宅リフォーム助成についてでありますが、助成制度の創設に関する請願が昨年の9月議会において全会一致で採択されたところであり、重く受けとめ対策を検討していく必要があると考えております。住宅着工が大きく落ち込んでいる中、住宅の質の向上や地域経済の活性化を図る観点から、リフォーム需要を喚起していくことは重要なものと認識しております。
 リフォーム助成制度については、秋田県や宮古市などで積極的な助成制度が設けられているところですが、各県や市町村における動向なども踏まえながら、その効果について幅広く検討を重ねた上で、総合的な観点から判断すべきものと考えております。
 次に、中小企業対策予算についてでありますが、予算については財源が限られていることから、選択と集中という観点で効果的な施策を選択し編成に努めてきており、中小企業対策においても、企業の自立的な成長や発展を促す施策を中心に予算を重点配分しております。
 中小企業の支援に当たりましては、中小企業が抱えるさまざまな課題やニーズに応じた個別の支援が効果的でありますことから、予算事業による支援に加え、県や支援機関の職員が企業現場に頻繁に足を運ぶなど、きめ細かい支援も行っているところであります。
 次に、中小企業振興条例についてでありますが、中小企業は多分野、多業種にわたりますことから、本県では、これまでも自動車関連産業、半導体関連産業、観光産業など分野別に振興計画等を策定し、個別に施策を展開してまいりました。
 今後におきましても、中小企業の多様なニーズに対応した実効性のある施策の展開を図っていくためには、必ずしも条例という形にとらわれず、企業現場での支援活動や関係団体との情報交換などを通じて、中小企業の生の声を聞きながら、企業の状況に応じて丁寧に対応していくことが重要と考えております。
 次に、公契約条例の制定についてでありますが、全国的には、野田市及び川崎市が条例を制定していると聞いております。労働者の適正な賃金が確保されることは重要なことであります。発注者として、関係当事者間で決定される賃金その他の労働条件に対し、どのように関与をしていくかについては検討が必要と考えており、先行2市の運用状況や国の動向を注視していきたいと考えております。
 次に、国民健康保険税に対する認識についてでありますが、近年の医療の高度化や高齢化の進展等により保険給付費が増加している中で、厳しい経済状況や雇用情勢により県民の収入が伸びない状況にありますことから、県民の国民健康保険税に対する負担感は年々増しているものと認識しております。
 次に、広域化と支援方針についてでありますが、県におきましては、市長会、町村会からの要請を受け、保険者規模別の収納率の目標等を定めた広域化等支援方針を策定いたしました。この策定によりまして、市町村の収納率向上に向けた取り組みが促進されますほか、収納率の低い市町村への国庫支出金の減額措置が解除されますので、この支援方針は国保財政の安定化に資するものであり、撤回する必要はないと考えております。
 なお、この支援方針においては、病気や失業等によって納税が困難となった被保険者には適切な配慮を行うこと、また、被保険者に加入世帯全体で支え合うことの必要性を十分に理解してもらいながら、収納対策を進めていくことについて明記しているところであり、その趣旨を踏まえ推進していただくべきものと考えています。
 また、資格証明書の交付世帯数は、平成23年2月1日現在874世帯、前年比393世帯減となっており、滞納処分については、平成22年6月1日現在、差し押さえ件数4、824件、前年比185件減、差し押さえ金額16億3、000万円余、前年比1億5、000万円増となっています。
 この支援方針においては、資格証明書の交付や滞納処分に当たっては、被保険者個々の生活実態などきめ細かく把握して対応することとしておりまして、県としては、この支援方針に沿って市町村に適切に助言してまいります。
 次に、国保税の引き下げについてでありますが、国民健康保険税の税額については、保険給付費の状況や収納率等に応じて、市町村みずからが責任を持って設定すべきものでありますので、県の独自補助による国保税額の引き下げを行うことは適当ではないと考えております。県としては、今後も、国民健康保険法に基づき、県の財政負担を着実に行うとともに、市町村からの求めに応じて助言等を行うことにより、国保財政が適切に運営されるよう支援していきたいと考えています。
 また、国庫負担の増額については、被保険者や地方公共団体の負担が増加し家計や国保財政を圧迫している状況にありますので、国の公費負担割合を拡大し、これらの負担の軽減が図られるよう国に要望しているところでありまして、今後も引き続き要望してまいります。
 次に、子供の医療費助成についてでありますが、乳幼児医療費助成制度の対象の拡大や自己負担の撤廃には、多額の県費負担が見込まれるところであります。したがいまして、近年の社会保障関係経費や県立病院等事業会計負担金等の増嵩により、県予算における新たな政策的経費の確保は大変厳しい状況となっており、こうした県財政の状況から考えますと、直ちに実施することは難しいと考えております。
 現物給付化については、国の制度において、市町村の国民健康保険に対する国庫支出金が減額される仕組みとなっていますので、市町村や医療関係団体と協議をした上で、平成7年度から償還払い方式としております。
 なお、昨年11月に、市町村に対しまして、改めて現物給付化についての考えを照会いたしましたが、現物給付は望ましいが、現在の厳しい財政環境のもとで、減額措置が継続されている中で福祉施策の充実を図るためには、現物給付化は慎重に考える必要があるという意見が大勢でありまして、県としては、引き続き、国に対して減額措置の撤廃を要望していきたいと考えております。
 次に、花泉地域診療センターの民間移管についてでありますが、花泉診療所の患者数の状況は、医療局が法人から聞き取ったところによりますと、1月の外来患者数は1日平均34.6人、入院患者数は1日平均13.4人となっております。
 花泉診療所の開設については、有床診療所の運営という地域の意向に沿って進めてきたものであり、当初、常勤医師が診療に携われない時期がありましたものの、7月には現在の常勤医師が着任し、その後、入院患者も徐々に増加するなど、地域の入院施設として定着してきているものと認識しております。
 現在、法人において、さらなる常勤医師の確保に向けて取り組んでいると聞いているところであり、引き続き医療局において常勤医師の確保を要請しているところであります。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定問題についてでありますが、環太平洋パートナーシップ協定については、協定の内容そのものに関する根本的な検討を前提として、地域の声も反映した国民の合意が得られるまで、十分な時間をかけて慎重に検討することが必要と考えています。こうした考えのもと、今後とも、国の検討状況等を注視しながら、適時適切に、国に対する提言を行う必要があると考えています。
 なお、貿易ルールの検討に当たっては、食料安全保障の確保、食料自給率の向上など、国内農業、農村の振興について十分に配慮されるべきものと考えます。
 次に、簗川ダム、津付ダムの見直しについてでありますが、治水対策の手法については、河川改修やダム、遊水地などさまざまな手法があり、社会的な影響や経済性などを勘案し、それぞれの河川の特性に応じ、最適な手法により進めてきたところであります。
 今回、ダムの検証要請が国からありましたことから、あわせて示された検証の手順に従い、簗川ダムと津付ダムの検証を行ったところであります。この検証の中で、複数の代替案を立案し、安全度やコスト、環境への影響など、七つの評価軸により評価し、その内容を大規模事業評価専門委員会で審議いただき、県の評価は妥当との答申をいただいたところであります。これを踏まえて、県としての対応方針を決定したところであります。
 次に、いわて花巻空港整備事業についてでありますが、いわて花巻空港は、産業振興や観光振興、国内外との地域間交流などにおいて、極めて重要な役割を担っているものと認識しております。本年夏に見込まれる平泉の世界遺産登録を契機とした国内外からの観光客の増加に対応した受け入れ態勢の充実を図る観点から、空の玄関口である花巻空港のハード、ソフト両面における整備を着実に進めていく必要があると考えています。
 次に、小沢一郎氏と元秘書についてでありますが、御指摘のゼネコン疑惑に対しては一連の裁判の起訴事実には含まれておらず、司法上の問題にはなっていないと理解しています。また、石川議員の弁護側が証人として申請した水谷建設元会長の採用が決まっていることから、水谷建設にかかわる問題も疑惑を晴らす形で明らかになるものと考えております。
 次に、知事公用車の購入についてでありますが、知事公用車の購入は、既に更新基準に達していた公用車について、知事の職責等を勘案し、特に安全性を重視する必要があったこと、また、県の重要施策の一つである地球温暖化対策を推進するという観点から、国の政策にも呼応し、全額国庫負担による地域活性化・経済危機対策臨時交付金を有効に活用し行ったところであります。
 次に、私の政治姿勢についてですが、まず、陸前高田市長選挙の結果は市民の民意が示されたものであり、その結果を踏まえて、県と陸前高田市との連携をしっかり進めていきたいと思います。
 また、他の市長選挙への対応についてですが、行政の長として公正中立、不偏不党であることを貫いていれば、政治活動については自由であるとの考えは現在も変わっておりません。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 介護サービス等の実態についてでありますが、特別養護老人ホームの整備につきましては、市町村等の保険財政や保険料への影響を伴うこと、また、昨年度までは国が告示で示しております整備の基本的な方針、いわゆる参酌標準が抑制的な基調で示されていたことなどから、市町村等におきましては施設整備に慎重となっていたところもあるものと考えております。
 また、居宅サービスの利用が低調な理由としては、本県は山間地が多く、サービス事業者、サービス利用者とも、訪問、通所に係る移動コストがかかるなどの地理的な要因や、要介護者の家族がみずから頑張るという気持ちがあり、他人を家に入れたくないという意識的な問題なども考えられるところであります。
 介護者の実態と要望につきましては、介護保険事業支援計画を策定する際に、介護保険の保険者であります市町村からのヒアリングでお聞きしておりますほか、県高齢者福祉・介護保険推進協議会の各委員から実態をお伺いし、また、介護支援専門委員協会などの関係団体や介護をしている家族の会、介護保険事業者との意見交換の場や、県内で開催されますセミナー、シンポジウムの機会を通じて関係者から実態と要望をお聞きするなど、その把握に努めているところであります。
 介護者の負担軽減の具体策については、保険者である市町村等が地域の実態を把握し、実情に応じた対応をしていくことが基本となると考えておりまして、議員から御紹介の花巻市が実施している取り組みについては、他の市町村等に情報提供を行ったところであります。
 県といたしましても、ショートステイやデイサービス事業所の拡充を図るほか、小規模多機能型居宅介護事業所などの地域密着型サービス拠点の整備を推進していきたいと考えております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 地域診療センターの状況についてでありますが、外来患者数については、病床休止直前の平成21年3月と今年度1月末までの1日平均患者数を比較しますと、紫波につきましては、平成21年3月が72人に対して今年度は56人、大迫は、平成21年3月が92人に対して今年度は83人、住田は、平成21年3月が64人に対して今年度は59人、九戸は、平成21年3月が64人に対して今年度は60人となっております。
 また、地域診療センターを受診し入院が必要な患者さんにつきましては、その入院先を紹介しており、今年度においては、1月末までに入院先を紹介した患者数とその主な入院先は、紫波につきましては、入院患者数が31人で、主な入院先は盛岡赤十字病院、県立中央病院、大迫は、入院患者が72人で、主な入院先は県立遠野病院、県立中央病院、住田は、入院患者数が41人で、主な入院先は県立高田病院、県立大船渡病院、九戸は、入院患者数が37人で、主な入院先は県立軽米病院、県立二戸病院となっております。
 今後も、地域診療センターの入院を要する患者さんにつきましては、二次保健医療圏の基幹病院等を中心に、他の病院とも連携しながら受け入れ先を確保していく考えであります。
 次に、県立沼宮内病院についてでありますが、当病院は、本県の危機的な状況にある医師不足等の事情を考慮し、平成23年4月から、地域のプライマリーケアや外来機能を担う地域診療センターに移行することとしておりますが、19床の病床については休止することとしているところであります。現在、地元の岩手町では、地域の一般入院ベッドを確保するため、民間医療機関との協議を進めているところであり、医療局としても、町と相談しながら、民間移管に向けた取り組みを支援していきたいと考えているところであります。
 次に、がん検診体制についてでありますが、岩手町からは、検診推進体制維持のため、欠くことのできない臨床検査技師及び診療放射線技師についても確保し、岩手町方式の検診に係る連携体制を維持することという要望を出されてございます。現在、必要な医療技術者を配置するなど、所要の準備を進めているところでございます。
 なお、検診事業等の公衆衛生活動における地域病院の役割につきましては、関係市町村と連携を図りながら、それぞれの地域の実情を踏まえ、適切に対応しているところであります。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) まず、農林水産業の振興についてでありますが、農林水産関係予算の減少については公共事業費の削減によるものが最も多く、このほか、従来、県予算を通じて行っていた国庫補助事業が関係団体への直接補助となったことや、時限的に創設していた貸付金の終了などによるものであります。こうした予算の状況にはありますが、市場価格が著しく低落した場合に、生産者に対して補給金を交付する価格安定制度の実施に必要な予算の確保に努め、生産者の経営に及ぼす影響の緩和に取り組んでいるところであり、平成23年度当初予算案には、県単独事業として、新たに日本短角種を対象とした制度の実施に必要な予算を盛り込んだところであります。
 また、平成23年度において、国は、農業者戸別所得補償制度を本格実施させるなど所得補償制度を充実させることとしており、これらの国の政策を十分に活用しながら、本県農林水産業の振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、農業の担い手育成についてでありますが、本県農業の将来の担い手となる新規就農者を育成するためには、就農から経営の自立、発展に至るまで、発展段階に応じた継続的な支援が重要であります。このため、これまで、技術習得に向けた農業大学校での研修の実施や緊急雇用創出事業等を活用した先進農家における立地研修への支援、資材、施設等の初期投資に対する無利子の就農支援資金の融通や担い手育成基金事業による助成を行うとともに、経営の安定化に向けた農業改良普及センターによる経営指導や青年農業者のネットワークづくりへの支援などを行っているところであります。
 今後とも、市町村等関係機関、団体と連携し、新規就農者の経営が早期に確立されるように支援してまいります。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 国連子どもの権利委員会の勧告についてお答えいたします。
 これは児童の権利条約に基づき、児童の生存、発達、保護、参加などの権利の実現、確保などのさまざまな観点から、締約国の取り組み状況全般について勧告を受けているものであります。
 議員御指摘の内容につきましては、平成20年の日本政府の報告書の中で、基礎的、基本的な知識・技能の確実な定着を図るとともに、それらの知識を活用し、探究する力を育成する観点から学習指導要領の見直しついて検討している、子どもたちが社会において十分にその個性や能力を伸ばすために必要不可欠の基礎を培うものであって、競争的な性格により悪影響が生じるとの指摘には当たらないと説明しておりますが、昨年5月、勧告が出されたものであります。国が報告したとおり、本県としても、勧告のような過度な競争主義的な環境にはないと認識しておりますが、今後とも、国の動向等を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、目標達成型の学校経営についてでありますが、これは、義務教育9年間を通して児童生徒一人一人の基礎、基本の確実な定着を目指し、知、徳、体のバランスのとれた児童生徒の社会的自立を促すために行っているものであり、目標値の達成のみならず、その取り組み過程を重視しながら実施しているものであります。したがいまして、議員御指摘の市場原理主義として競争をあおるために行っているものではないと認識しております。
 ちなみに、学校や保護者にアンケート調査を実施しましたところ、学校経営の改革や家庭と地域の教育力の強化などに効果がある、学校や子供の理解が深まり、家庭と地域の具体的な協力体制に効果があるなどについて回答が多くありました。今後におきましても、学校、家庭、地域の連携、協働を基盤にして、児童生徒の個性と能力に応じた特色ある開かれた学校づくりに引き続き取り組みながら、より一層の充実を図ってまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 35人学級を小学校3、4年生、中学校2、3年生へ拡充することについてでありますが、国では、小学校2年生以上については、来年度以降の予算編成において検討するとされており、本県独自に35人学級を拡充するためには、学級増に見合うだけの教員採用と、それに伴う財源確保が必要であり、国の計画が不透明な段階における先行実施は難しい状況にあると考えております。
 中学校1年生での全面実施についてでありますが、中学校1年生の35人以下学級は、平成21年度から市町村教委の選択により試行的に実施しており、来年度は対象校のうち約8割の学校が実施する見込みであります。試行も来年度で3年目を迎えることから、全面実施については、成果と課題を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
 少人数学級拡充のための学級増と教員増、財政負担についてでありますが、少人数学級を小学校3、4年生に拡充すると、約60の学級及び教員増、中学校2、3年生に拡充すると、約80の学級増と約120人の教員増が見込まれております。その財政負担については、平成23年度に実施される見込みとなっている小学校1年生35人学級に伴う財源措置を見た場合、増員となる部分について、一部を少人数指導加配から振りかえることとされており、現時点で小学校3、4年生、中学校2、3年生の財政負担の状況を全体的に把握することは困難であると考えております。
 35人学級の取り組みの成果についてでありますが、35人以下学級を全面実施している小学校1、2年生においては、児童の健康、安全面における管理や学級集団のまとまりを築くこと、基本的生活習慣の定着に効果が認められているなど、また、中学校1年生においては、小学校と同様の成果に加えて、中1ギャップの緩和、不登校や問題行動の抑止が挙げられております。
 次に、次期県立高等学校整備計画の策定についてでありますが、今年度、県内9ブロックで地域検討会議を3回、地域別懇談会を2回開催したところでありますが、地域のセンター校の機能を維持してほしい、小規模校を存続してほしい、専門学科の充実、さまざまな課題を抱える生徒への対応などの多くの貴重な御意見をいただいたところであり、それぞれの地域の実情と将来などを見据えた御意見と受けとめております。
 また、各ブロックにおける学校の配置のあり方についてでありますが、1学年3学級以下のいわゆる小規模な学校を一律に統合などの対象とすることなく、将来見込まれる生徒数や通学の状況、また、それぞれの地域における産業構造や振興方針など地域の実情などを踏まえ、さらに地域の皆様方からいただいた御意見を十分に参考としながら、総合的に検討してまいりたいと考えております。
   〔公安委員会委員長雫石禮子君登壇〕
〇公安委員会委員長(雫石禮子君) 元警察職員が有罪判決を受けましたことについての御質問ですが、この件につきましては、大変遺憾なことと受けとめております。公安委員会としては、一連の不適切な事務処理問題を重く受けとめ、再発防止対策が徹底されるよう、より一層の管理、指導を行ってまいります。
 また、なぜ36万円余だけの詐欺罪での起訴となったのか、横領事件だったのではないかとした御質問でございますが、事件の捜査に当たっては、法と証拠に基づいて捜査を行い、立件できるものは立件したと県警察から報告を受けております。
 次に、沿岸部沖合いで警察署事務職員が遺体で発見された件の御質問ですが、お尋ねの件については、平成22年4月15日、遺体で発見されたとの報告を受けております。なお、プライバシーの関係もあり、詳細は控えさせていただきますが、議員御指摘の置き手紙は発見されていないという報告を受けております。
 次に、警察職員の超過勤務に関する御質問でありますが、超過勤務については、本来、予算の範囲内で命じることが原則でありますが、一方、第一線の警察業務においては、事件や事故に即時対応しなければならず、昼夜を分かたず勤務に従事している職員が多数あるという特殊性から、やむを得ず超過勤務が必要となる場合もあると承知しております。
 公安委員会では、こうした警察業務の事情についても勘案しつつ、今後とも、職員に適正な処遇が図られるよう、引き続き督励してまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) それでは、再質問いたします。
 菅内閣の変質というのは、これは全くそのとおりで、自民党とどこが違うかと、私もそう思っておりますが、実はその変質は政権交代の直後から起きているのですよ。いわば鳩山内閣が、普天間基地の問題についても、後期高齢者医療制度の問題についても、例えば今回私が提起した国保税の問題についても、国保税については9、000億円投入するというのがマニフェストだった。政権交代した鳩山内閣自身がほとんどそれを実行できず、財源を確保できず、1年もたたずにやめてしまった。菅内閣になったら、それを公然と修正を始めたというのが実態だと思います。
 先ほどの消費税の話は、私はそのとおりだと思うけれども、TPPも2009年のマニフェストにもない、去年の参議院議員選挙のマニフェストにもない。こんな公約違反なやり方は、私は、知事はもっと明確に批判すべきだと思いますよ。この点、まず第1にお聞きします。
 第2に雇用の問題ですけれども、私は、岩手県の雇用対策の要をなす問題は誘致企業、とりわけ大企業の雇用を守る責任だと思います。先ほど答弁を聞きましたら、上位10社だけでこの4年間で2、600人、従業員が減っている。業績は回復しているけれども、雇用は回復してないんですね。そして、来年度の新規採用はわずか74人だと。就職難の一番の困難もここにあるんじゃないかと思いますよ。
 ソニーが870人の工場を一方的に閉鎖しました。実はこのソニーというのは、去年の3月末決算でも3兆4、000億円の内部留保を持っていたんです。富士通は1、130人のいわば解雇、再配置をやりました。富士通は実は8、568億円の内部留保を持っていて、去年の3月末は1、910億円内部留保をふやしているんですよ。内部留保をふやしながらですよ。恐らく、戦後、岩手で一気に正社員を1、130人首切った会社はないんじゃないですか。私は、こんな異常なことを、体力、財力のある誘致企業が行ったことが岩手の雇用問題の最大の問題だったのではないかと。この内部留保をため込んでいるソニーや富士通や関東自動車工業や東芝、こういうところにやっぱり雇用の拡大を強く求めるべきではないか。特に岩手県のトップ企業である関東自動車工業は750人、30%がまだ期間工ですよ。関東自動車工業全体では非正規の割合は16%ですよ。岩手工場の非正規の率がその倍なんです。ところが、岩手工場はプラチナ賞をとるぐらいの優秀な工場なんですよ。優秀な仕事をしながら非正規は2倍、30%も非正規がある。6カ月雇用を更新して4年、5年、8年という、こういう使い捨てのやり方というのは本当に改善をしなくちゃならない。トップ企業というのは、岩手の模範になるべき経営をすべきだと思いますよ。雇用対策をすべきだと思います。この点を、知事が先頭になって、自動車、半導体の誘致を岩手の産業政策の柱としてやってきたわけだから、ここにきちっと雇用を守る責任を果たさせるということが必要ではないか、第2点、お聞きします。
 第3点目は、住宅リフォーム助成事業の問題であります。請願の採択を重く受けとめると、対策を検討すると言いましたが、私がリアルに紹介したでしょう。宮古市の取り組みは全国から注目をされて、全国から視察が殺到しているんですよ。お隣の秋田県は、290億円を超える仕事を、わずか1年間で末端の中小零細業者にふやしたんです。その経済効果は500億円ですよ。それを受けて、山形県は来年度6億3、000万円の予算で県の住宅リフォーム助成を実施すると。奈良県もやる。今は県レベルでもそういうことが広がっている。不況で赤字が中小企業で74%も占めているときにこそ、地元に仕事をふやす効果がこのようにはっきり示されている、そういう取り組みを請願の採択を受けて実施すべきじゃないか。ここまで示しても、知事は、この住宅リフォーム助成事業の効果について今後も検討しなくちゃならぬのか。私は、もう本当にこれは効果がはっきりしているのではないと思いますけどね、なぜ踏み込めないのか。また、具体的に6月の補正に向けて検討しているのかどうか、そこ等も含めて示していただきたい。
 四つ目の問題は国保税の問題であります。負担感が増しているという答弁でありました。健康保険と比べると、同じ所得で2倍です、国保税の税額というのは。低所得者が圧倒的、年収200万円以下が8割ですよ。こういう方々が働いている人の倍の国保税を課税されているのです。盛岡市の場合は21%が滞納しているという。私は、高くて払えないというのが実態ではないのかと。ところが、滞納すると保険証を取り上げられるんです。滞納世帯が3万277世帯ですが、資格証明書の発行が874世帯、短期被保険者証が─これは3カ月とか6カ月です─1万5、571世帯、合わせると1万6、445世帯が正規の保険証を取り上げられている。ひどいのは、短期被保険者証のとめ置きというのが2、473世帯、4、024人もあります。とめ置きというのは、保険証が届いていない無保険ですよ。資格証明書というのも窓口全額負担ですから、このとめ置きと合わせますと、3、347世帯が窓口で全額負担しなくちゃならない。まさに病院にかかれない事態です。こういう事態を放置していていいのか。直ちに保険証は交付すべきじゃないのか。資格証明書を発行しても、短期被保険者証を発行しても、収納率は上がらなかったというのが実態じゃないでしょうか。安心して納付相談ができるような条件をつくっていくということこそ大事ではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
 そこで、深刻な問題は、滞納者に対する滞納処分の状況です。平成21年度は4、824件、16億3、300万円の差し押さえが行われました。4年前の平成18年は3、479件、12億1、500万円余でした。1.34倍ふえているんですよ。達増県政の時期に、この財産差し押さえは1.34倍ふえたんですよ。
 そして、その中身も変わりました。4年前は給与を差し押さえるというのが若干ありましたけれども、いまやほとんどが給与差し押さえ、年金まで差し押さえています。4年前は年金の差し押さえはなかった。NHKで、16万円の年金を差し押さえられて自殺に追い込まれたというのがやられました。年金というのは生活費ですよ。本来、10万円の生活費というのは差し押さえできない。扶養者がいれば、さらに4万5、000円ずつ、これは生活費として差し押さえできないのです。私は、年金まで差し押さえするということは、まさにこれに反するやり方ではないのかと。
 私のところにも具体的な相談がたくさんありました。滞納して、国保というのは納期限を過ぎますと4.5%の利息がつくんですよ。1カ月過ぎますと14.6%の高利がつくんです。サラ金国保ですよ、これは。こうやって滞納が10万円なのに、延滞利息が9万円だという人がいます。もうそのサラ金国保から抜け出せないわけです。命を守る国保が、命を奪う国保になっているのではないか。こうした実態を知事自身がしっかり調査して是正すべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
 次に、TPPの問題について改めてお聞きします。
 小沢問題だとどんどん発言する知事が、TPP問題は本当に歯切れが悪いのですよ。農林水産省の試算でも、岩手県自身がやった試算でも、岩手県の農林水産業は壊滅的被害ですよ。米は95%だめになるというのだから。乳牛は100%ですよ。IBCでTPP激震というのがありました。葛巻町の酪農家は6、000万円借金して畜舎を整備した。こういう方々が、TPPに参加したら、借金しか残りませんよ。私は、これだけはっきりしている、そして、それに対して何らの対案も示してないときに、時間をかけて慎重に検討じゃないと思うんです。大体、食料自給率を50%に上げる、木材自給率を50%に上げると言ったのが、皆さん、政府じゃないですか。これは全く逆行するじゃないですか。どこから見ても無法、無謀なTPPの交渉参加については、岩手県の知事としてなぜ反対と言えないのか。反対と言えない具体的理由があるなら示していただきたい。
 それと、介護サービスについて保健福祉部長にお聞きしますが、特養ホームの待機者、来年度は1、007床整備するというので、私は、若干改善されたことは評価したい。ただ、第4期計画では全然整備が足らないんですよ。平成21年度、22年度、23年度、実際に入所できる、オープンされるベッド数は何ぼになるか。私は、この第4期計画の中では5、900名、早期入所の1、200名というのは解決できないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
 それと、教育委員会委員長、国連子どもの権利委員会の勧告についてお聞きしましたが、政府の見解を述べて回答にした。だらしない。政府がそういうふうに国連子どもの権利委員会に報告しても認められなかったというのが勧告の中身なのですよ。NGOが膨大な報告をしている。日本の高校生が直接発言しているんですよ。それを踏まえてこういう勧告が出ているのですよ。そういう発想では、上意下達で文部科学省の方向しか見ていないんじゃないかと言われますよ。改めて私はお聞きします。
 公安委員会委員長、超過勤務手当の問題について、42%、140時間不払いなんです。毎年なんですよ。これは社会的犯罪行為なんですよ。そういうものを放置していることが問題だと私は言っているんですよ。
 県警本部長にお聞きしますが、140時間の不払い残業というのは平均して幾らになりますか。
 それで、2月補正予算は昨日説明がありましたが、超過勤務手当を出していないのに、2月補正で773万円減額するんですよ、超過勤務手当を。許されますか、こんなことが。42%出してないのに、なぜ減額するんですか。公安委員会委員長と県警本部長の回答を求めます。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇知事(達増拓也君) TPPに反対せよということでありますけれども、TPPへの参加といいますのは、条約あるいは取り決めの内容が確定しているのを受け入れる、受け入れないということではなく、その内容自体が交渉によって決まるということで、論理的に突き詰めますと、対象がはっきりしないものについて、反対、賛成を明確に言うことは難しいわけであります。
 一方、先ほども申し上げましたように、強行はけしからぬと思っております。
 次に、雇用についてでありますけれども、誘致企業、大企業が責任を果たすべき、強く求めるべきということにつきましてはそのとおりでありまして、私からも、個々の企業あるいは企業団体に対しまして、雇用の拡大と、また、非正規の正社員化について求めているところであり、県全体としてもさまざまな機会をとらえて求めているところであります。
 住宅リフォームについては、新たな助成制度を創設するということについては、実施規模、対象、実施時期等について、総合的な観点から慎重な検討を行う必要があるものと考えております。
 国保税についてでありますけれども、国保税が高いという実感が岩手県内でも出てきているというのは答弁したとおりでございまして、県と市町村との連携、また、県から国に対して、負担の軽減につながる要望をきちんとしていくことが重要と考えております。
 また、差し押さえ等の問題についても、これも先ほど答弁の中で申し上げた適切な配慮ということを徹底させていくということだと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 特別養護老人ホームの入所待機者に関するお尋ねでございましたが、昨日御答弁申し上げましたのは、平成22年3月末でのいわゆる市町村で把握している早期入所が必要だという自宅待機者が1、235人いらっしゃると。それで、今回、来年度の予算が伴う事業整備まで行われれば、平成23年度末までには1、231床の整備が行われるというふうな御答弁をしたところでございます。
 今のお尋ねの関係でございますが、私どもといたしましても、この介護保険事業計画は3カ年の計画でございますので、いずれ、市町村のほうには、できるだけ3カ年、均てん的にというか、それぞれまず整備を行っていただきたいという状況はございますが、これまでも、この3年周期で言いますと、どうしても最終年度に整備を行うというような状況が傾向として出ております。その原因といたしましては、3年目に整備を行いますと、この3年間の計画の中では、いわゆる計画の設定している介護保険料にはね返らないということで、次期計画の前倒しとして整備するという考え方でやっておりますことから、いずれ、これまでも3年目に整備が集中しているというような状況になっているものと考えております。私どもといたしましては、できるだけ3年間で均てん的に整備を行っていきたいと考えておりますので、次期計画策定時におきましては、その辺の御要請を市町村に改めてしていきたいと考えております。
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 先ほどの国連子どもの権利委員会の勧告についてでございますけれども、勧告の中身を全部熟知しているわけではありませんけれども、要点を読んだといいましょうか、理解した範囲において、特に私が心にとまったのは、過度な競争ということについて、もしそういうことがあれば、子供たちの人格も、さまざまな生き方についても多大な影響を及ぼすということについては、やっぱりあってはならないと思っております。ただ、その部分を読んだときに、岩手の子供たちの場合、岩手の教育については、そのような指摘されるような過度な競争といいますか、それで人格をゆがめるようなことは、完全にないとは言いませんけれども、ないわけではないという状態もあると思いますけれども、岩手の子供たちの場合は、大方は伸び伸びと暮らしているのではないかと。そういう意味で、受験競争とかさまざまなものが子供たちの成長にひずみを起こしていることはない、そういう思いで先ほど答弁をさせていただきましたが、勧告のような実態が散見されるような場合は、国の報告は報告としながらも、岩手においてはそういうことにならないようにやっていきたいと思います。
 以上です。
〇議長(佐々木一榮君) 質問の関係がありますので、樹下警察本部長、先に答弁をお願いします。
〇警察本部長(樹下尚君) 超過勤務140時間で幾らかというお尋ねでございますけれども、職員の超過勤務の時間数及び時間単価には個々に差がありますことから、一概に算出しかねるところでございます。
 それから、2月補正についてでございますけれども、今年度の超過勤務手当の予算につきましては、警察本部におきましても、他の部局と同様に、当初予算計上後の欠員や人事異動などの要因を踏まえ、必要な補正を行ったものでございます。
〇公安委員会委員長(雫石禮子君) 超過勤務につきましては、本来、予算の範囲内で命じることが原則でありますが、これに相当する手当を支給すべく、不要不急な超過勤務の抑制、業務の効率化、合理化など最大限の努力を払っておりますが、深夜、早朝の事件、事故への対応など警察業務の特殊性から、やむを得ず超過勤務が必要となる場合もあると承知しております。
 公安委員会といたしましても、昼夜を分かたず勤務に従事している職員が多数あることも承知しており、こうした事情を勘案しつつ、職員に適正な処遇が図られるよう、引き続き督励してまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) それでは、再々質問します。
 TPPの問題で、知事が、強行はけしからぬと。私は大事な答弁だったと思っています。
 それで、国や、特に県自身の試算結果をどう受けとめているか。私は、食料自給率50%という政府の方針と今度のTPPは全く逆行すると。これは具体的に答えていただきたい。やっぱりもっと明確に食料供給県の知事は発言すべきだと思いますよ。決まってからじゃ遅いんだから。決まらないように、やっぱりこれは戦わなくちゃならない、私はそういうふうに思いますので、それをぜひ答えていただきたい。
 知事にもう一つ、国保の問題で、私は、異常な滞納処分の状況を少しリアルにお話をしました。実は、この国保広域化支援方針の前書きはまだまともなことを書いているんですよ。被保険者をめぐる経済状況は一層厳しい状況にあることから、この支援方針の推進に当たっては、病気や失業等によって納税が困難となった被保険者には適切な配慮を行うと。しかし、これは前書きでこうなっていないのです。10万円そこそこの給与の人の給与まで、差し押さえているんですよ。これ、差っ引けないんですよ、10万円だったら。年金を差し押さえたら生活費がないのですよ。そういう事態が今引き起こされて、そして十二、三万円の収入なのに、分納で3万円ずつ払っているなんていう事態も今起きています。この深刻な財産の差し押さえの実態は、ぜひ知事もこれは調査を命じていただきたい。
 それと教育委員会委員長、3度目の勧告なんですよ。初めての勧告じゃないんですよ。実態を踏まえた勧告ですから、しっかり受けとめてやってください。
〇知事(達増拓也君) TPPについては、日本政府として、いかなる内容の条約としてそれに加盟するかということが一切明らかにされていない状態なわけでありますけれども、岩手県としましては、いわて県民計画の中で、農業政策についても、岩手としては、こういう農業、農村をつくっていくべきという政策をきちんと明らかにしているところでありますので、日本の食料自給、日本の食料供給基地として食と農の緑豊かな岩手という、それを損なうような内容であれば、それに対してはきちんと物を言っていくという姿勢で臨むべきと考えております。
 国保税については、保険という仕組み、被保険者がお互い助け合って、いざというとき─この場合病気になったときですけれども─助け合うということが原点なわけですけれども、昨今の景気や雇用の低迷の中で、被保険者同士の助け合いが非常に負担感も多くなってきているという中で、一つは、しっかり県と市町村が連携して、被保険者同士の協力ということをうまくやっていくということと、また、被保険者同士の協力だけで乗り切っていくのは難しい経済情勢ということもあるわけですから、国に対して負担の軽減につながる措置を要望していくことが重要であると考えております。
 また、被保険者同士の協力ということの中で、さまざま差し押さえ等の問題があり得るわけでありますけれども、そこは適切な配慮ということを徹底していくことが肝心と考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 斉藤議員に申し上げますが、教育委員会委員長には要望ということでよろしいですか。
〇38番(斉藤信君) 所見を聞いてください。
〇議長(佐々木一榮君) 所見ですか。
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 国全体の学校システムの見直しというようなことでもありますので、岩手だけで独自にはできないこともありますけれども、先ほどの御意見、励ましをしっかりと受けとめておきたいと思います。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時7分 散 会

前へ 次へ