平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

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〇17番(高橋昌造君) 民主党・ゆうあいクラブの高橋昌造です。
 まずもって、昨年の12月下旬、そして年末年始における大雪、暴風雪によりまして大きな被害を受けられた皆様方に心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興を心から願うものであります。
 また、今月22日、ニュージーランドで発生いたしました大きな地震によりまして被害に遭われた方々に、改めてお見舞いを申し上げる次第であります。
 そして、佐々木一榮議長を初め議員各位の御配慮により、今任期最後の登壇の機会をいただきましたことに、心から感謝を申し上げる次第であります。
 それでは、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 まず、質問の第1点目は、平成23年度の県政運営の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 知事は、平成19年4月から県政運営上の重要課題に果敢に取り組み、そして知事として、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けて、各般の施策を実施してきたところであります。そして、平成23年度当初予算案についても骨太骨格予算と名づけて、骨格予算ではあるものの、喫緊の県政課題に時期を逸することなく対応できるよう、地域経済の底上げ、雇用への対応、地域の保健医療体制の整備など、県民の仕事と暮らしを守るため総額6、815億9、900万円、前年度当初予算比較で2.5%減の規模となる予算案をまとめ、今議会に提案をしているところであります。
 そこでお伺いしますが、県民の負託を受け、県政運営を担ってこられたこの4年間を、知事御自身はどのように評価しておられるのか、また、平成23年度の県政運営はどのようにあるべきと考えておられるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、平成23年度の財政運営についてお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 ことし1月28日に閣議決定されました国の平成23年度地方財政計画によりますと、平成23年度の地方交付税総額は、前年度比5、000億円増の17兆4、000億円となり、地方の一般財源総額も59兆5、000億円、そして地方財政計画の規模も、前年度比4、000億円増の82兆5、000億円が確保されております。地方財政計画の決定を受け、地方交付税の算定等が今後進められることとなりますが、地方交付税の算定方法の見直しの一環として、特別交付税の割合を段階的に引き下げ普通交付税に移行させるとともに、事業費補正のさらなる縮減等の措置を行うとされております。
 そこでお伺いしますが、交付税の見直しによって、本県にどのような影響が見込まれるのか、お示し願います。
 また、県の財政状況は、県債残高は平成23年度末で1兆4、600億円程度と見込まれ、また、今後も県債償還の増嵩が見込まれるなど厳しい財政運営が続く状況にありますが、財政の健全化に向けて今後どのように道筋をつけていくのか、お示し願います。
 登壇しての質問はここで終わり、以降、質問席において質問をさせていただきます。
   〔17番高橋昌造君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋昌造議員の御質問にお答え申し上げます。
 これまでの県政運営の評価等についてでありますが、知事就任以来、地域で暮らす県民の皆さんの仕事と暮らしを守ることを基本として、本県の置かれている現状や課題の把握に努め、県として課題解決に向けた方向性を明らかにしながら県政運営を行ってまいりました。この間、平成20年1月には、いわて希望創造プランを策定し、危機を希望に変える取り組みを進めてまいりました。さらに、平成21年12月には、希望あふれる岩手の実現に向け、県民が一体となって行動していくための指針となるいわて県民計画を策定して、これからの岩手の方向性を明らかにし、岩手の未来をつくるためのさまざまな政策を推進してきたところであります。
 このような取り組みによりまして、例えば県民所得や雇用環境の分野では、開発拠点の誘致など、景気に左右されにくく、将来的に波及効果の高いものづくり産業の集積や農商工連携などによる食産業の競争力強化、地域医療の分野では、県民総参加型の地域医療体制づくりに向けた県民運動の展開のほか、中国の自治体や民間企業との連携による上海万博への出展や啄木と龍馬というソフトパワーにはぐくまれた高知県交流を初め、地域主権の視点に立った取り組みの推進などの成果があったところであります。
 平成23年度の県政運営については、雇用の創出と就業の支援、医療を担う人材の養成確保を初めとした質の高い医療体制の整備など、県民の仕事と暮らしを守る取り組みを着実に進めるとともに、ゆたかさ、つながり、ひとの視点を重視しながら、希望郷いわての実現に向け、岩手の未来をつくる七つの政策を着実に推進していくことが必要と考えます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 今後の財政運営に関する認識についてでありますが、まず、平成23年度地方財政計画におきましては、御指摘のとおり、地方交付税総額における特別交付税の割合を段階的に引き下げ、その部分を普通交付税に移行させるとともに、事業費補正のさらなる縮減を行う方針が示されているところでございます。このことによる本県の具体的な影響額を現段階で算定することは困難ではありますが、ただ、特別交付税から普通交付税への段階的な移行に当たっては、個別団体の財政運営に支障が生じないよう、十分留意しながら検討を行うこととされているほか、事業費補正のさらなる縮減については、所要の経過措置を講じることとされているところでございます。いずれにいたしましても、県民生活や県財政に大きな影響が生じることがないよう、国の動きを注視する必要があろうと考えております。
 次に、財政の健全化についてでありますが、本県におきましては、過去の経済対策等に伴い発行した県債の償還が今後ピークを迎えること、平成28年度に開催が予定されている国民体育大会への準備等のため、相当程度の財政需要が見込まれること、一方で、主要3基金の残高がピーク時に比べ大きく減少していること、これらのことから、本県の財政運営は、今後、これまでにも増して厳しい局面を迎えることが見込まれるところでございます。したがいまして、こうした財政状況の中、安定的な財政運営を行っていくためには、単年度のみならず、中期的な財政見通しを踏まえまして、より踏み込んだ歳入確保、歳出削減の実行など不断の行政改革を進めつつ、持続可能な財政構造の構築に努めてまいる必要があろうと考えております。
〇17番(高橋昌造君) 今、総務部長の答弁をお聞きしまして、財政健全化へ向けての道筋が見えたような気がしますが、しかし、私には見えないわけでございます。いわゆる行財政改革はもう待ったなしの状況下にあるわけでございまして、また、一方では、いわて県民計画を着実に推進していかなければならないということで、もう少し健全化に向けた具体的な取り組み、これを県民にしっかり示して、そして理解をいただいて取り組んでいかなければならないと思いますが、再度お伺いいたします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 国におきましても、受益と負担のあり方についての議論が今なされているということで、将来の見通しを具体的に申し述べることはなかなか難しい状況にあるわけでございます。ただ、一方で、本県におきまして、ただいま御指摘のありましたとおり、今後策定されます計画の次期アクションプラン、この中で各般の施策をお示しすることになろうと思ってございます。一方で、それを支える財政の見通しというものも非常に重要でございまして、この財政が今後どう推移するのか、今後どう見通されるのかということにつきましてもこの中でお示しをし、県民の方々に御理解をいただく努力を続けてまいりたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございます。
 それでは次に、質問の第2点目、TPP、いわゆる環太平洋パートナーシップ協定についてお伺いをいたします。
 菅総理大臣がさきの施政方針演説の中で、国づくりの理念として示した平成の開国に本県も揺れ動いているわけでございますが、このTPPについては、県議会においてこれまでもいろいろと議論をされておりますが、TPPへの参加と日本の農林水産業が本当に両立するものか、はっきりとしていないのが現状ではないのかなと、こう思うわけでございます。
 そこで、特にも食料自給率の低下、農業所得の減少、就業者の高齢化、加速化する担い手不足、耕作放棄地の拡大など、日本の農林水産業が抱える課題は本当に岩手においても同様であり、農山漁村の活力が失われ、一刻の猶予もできないほどの状況下にあります。岩手の気候風土に根差した農林水産業、そしてこれと関連する食産業がどうなるのか、不安は尽きません。
 そこで、食と緑の創造県いわてを目指している本県として、国に対しTPPへの参加反対を強く働きかけていくことが重要と思われますが、TPP参加の動きに対して県はどのように対応していくお考えなのか、知事の御所見をお伺いします。
 私は、国の物差しをそのまま岩手に当てはめるのではなく、県民と情報を共有しながら、岩手の農林水産業が置かれている現状についてわかりやすく県民に示し、県民の皆さんに農林水産業を応援していただけるように、何よりも一緒になって農林水産業を守っていけるようにすることが、今まさに求められていると考えます。岩手の農林水産業をしっかり守る覚悟について、知事の御所見をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 環太平洋パートナーシップ協定についてでありますが、国際貿易交渉に当たっては、まずもって、国益を明確にし、交渉戦略を定めて対応することが重要と考えており、とりわけ、農林水産業については、食料安全保障の確保や農業、農村の多面的機能の発揮など、国内農林水産業の振興などを損なわないように対応することが必要と考えております。
 環太平洋パートナーシップ協定については、想定される協定の内容そのものに関し、根本的な検討、議論を行い、国民の合意が得られるまで十分に時間をかけて慎重に検討すべきと考えており、昨年11月18日に、北海道、東北6県の知事が連名で、こうした考えを国に提言したところであります。
 今後においても、国の検討状況等を注視しながら、本県農林水産業の振興が損なわれることがないよう、必要に応じ、国に対する提言等を行っていく必要があると考えております。
 また、岩手の農林水産業をしっかりと守る覚悟についてでありますが、本県農林水産業は地域経済を支える基幹産業の一つであり、しかしながら、担い手の減少や高齢化等による生産構造の脆弱化、生産物価格の低迷など、さまざまな課題を抱え厳しい現状にあります。このため、競争力の高い担い手の育成や産地力の強化、農林水産業の6次産業化などの取り組みに加え、消費者と生産者が協働して、地域の農林水産業を守り育てる取り組みを進めるなど、あらゆる施策を推進し、いわて県民計画に掲げる食と緑の創造県いわての実現を目指していく必要があると考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございました。
 それで農林水産部長にお伺いいたしますが、今のTPPの参加問題で、これは断固として、私は、岩手から反対だという強いメッセージを発信すべきだと思いますが、しかし、このTPPの参加問題におきまして、今まさに、本県の農林水産業のあり方を今こそもう一度原点に立ち返り、足元を見詰め、そして見直していくお考えがないものか、農林水産部長のこれからの本県の農林水産業のあり方について、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 今、本県の農林水産業について原点に立ち返って考えることが必要だと考えるが、その見解をというお尋ねでございました。
 本県の農林水産業は、岩手県の長い歴史や幾多の困難の中で、結いを基本として助け合いながら、農山漁村という生活、あるいは生産の場を通じて文化や伝統をはぐくんできた、そして豊かな地域社会を築いてきたというふうに認識をいたしております。それは、農業を例にとりますと岩手型の集落営農でありまして、それが食料の安定供給はもとより、地域産業を支える基幹産業として大きな役割を担ってきたというふうに考えてございます。本県の農林漁業者の自然を大切にする心や、あるいは少しでもよいものをつくろうというまじめな努力、こういうものが結果として安全・安心で高品質な農林水産物を生産し、そして全国的にも高い評価を得ているというふうに考えております。こうした本県の農林水産業のあり方というのは、今、TPPのお話がございましたが、いずれ、国際化や産地間競争が激化するこれからの時代にあっても、施策の基本に据えていくべきものというふうに考えてございます。
 本県の農林水産業は、高齢化や後継者不足などによりまして産地が細ってきている実情にございますし、生産力の向上も求められているところであります。したがいまして、今までのやり方をそのまま踏襲することでは、こういうことを乗り越えていくことは難しいというふうに考えております。
 規模拡大ですとか、あるいは経営の高度化や多角化、あるいは企業の参入、販売への努力など、新たな技術や手法を取り入れていくことも必要であるというふうに考えておりまして、これらにつきましては、県としてさまざまな形で生産者の方々や関係機関、団体の皆様と一緒になって取り組んでまいりたいというふうに考えております。
〇17番(高橋昌造君) 農林水産部長の今の答弁を聞いて、わかったようなわからないような、TPPの参加問題で、今、このくらい本県が本当にみんな必死になっているわけですよ。地域に根差したいろんな風土、文化もあるわけですので、私は農林水産部長にもう少し真剣に取り組んでいただきたいなと、こういうふうに今感じたところでございます。
 次には質問の第3点目、本県の農業対策の推進についてお伺いいたします。
 まず、環境と共生する産地づくりについてお伺いします。
 県では、平成20年1月に、岩手県環境と共生する産地づくり基本計画を策定し、環境保全型農業に取り組む農業者の支援、育成などが推進されてきたと承知しておりますが、この実績や成果はどうなっているのかお示しを願います。そして、県では、環境保全型農業の一環として、昨年度、簡易、低コストなデジタル土壌養分分析システムを開発し、その普及拡大に努めていると承知しております。このシステムは、安価で農業者みずからが分析して土壌の蓄積養分を把握し、施肥の低コスト化につながるものと期待されているとのことですが、県や団体も含めた県全体の土壌診断体制の中で、本システムの位置づけ、導入状況はどうなっているのか、お示しを願います。
 また、県では、施肥設計アドバイザーを積極的に育成しているとのことですが、その育成、活動状況についてお伺いをいたします。
〇農林水産部長(小田島智弥君) まず、環境と共生する産地づくりの実績と成果についてでありますが、県では、これまで、農業団体や消費者団体との連携を図りながら、農薬等を低減する環境にやさしい技術の開発、普及や、主要産地に対する県版GAPの導入促進を図るとともに、首都圏でのフェアなどを通じた環境保全型農業の情報発信、さらには、県民理解の醸成を図るためのシンポジウムの開催や食育推進活動などに取り組んできたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、環境保全型農業の実践農家数は、販売農家の約半数となる約2万7、400経営体に増加し、また、県版GAP等は、すべての米産地と野菜の主要産地などの6割となる45産地、合わせて61産地で導入されたほか、本県の環境保全型農業の取り組みに対する首都圏等の消費者からの認知度や県民からの満足度が向上しているなど、着実に成果を上げているところでございます。
 次に、土壌診断体制についてでありますが、土壌診断は、適切な施肥管理や肥料コストの低減に不可欠でありますが、従来の土壌診断は、専門性が高く分析にも時間を要したことから、より簡便で普及性の高い手法が求められていたところであります。デジタル土壌養分分析システム、いわゆる簡易土壌分析システムは、農家みずからが土壌養分の過不足を迅速に診断できる簡易な手法として開発されたものであり、現在、県内98の集落営農組織や生産部会等で導入しているところであります。
 その普及に当たっては、地域できめ細かな施肥管理を指導助言するためのリーダーが必要なことから、平成21年度から施肥設計アドバイザーを498名認定したところであり、本システムを活用した土壌診断を行い、施肥設計の助言などの活動を展開しているところでございます。
〇17番(高橋昌造君) それでは次に、農業の6次産業化についてお伺いいたします。
 県では、平成21年度から、いわて農林水産業6次産業化チャレンジ支援事業を行っていますが、多くの成功事例を積極的にPRすることにより、農業者の所得拡大につなげてほしいと思っています。この事業の成果はどのようになっているのでしょうか。
 また、農商工の産業間連携による農業の活性化を一層進めるべきと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、県のお考えをお伺いいたします。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 農業の6次産業化についてでありますが、いわて農林水産業6次産業化チャレンジ支援事業は、農林水産業者等による6次産業化のモデルを育成するため、これまで県は、30事業者を支援してきたところでございます。この取り組みの結果、70人の新規雇用が生まれるとともに、新たなビジネスモデルとして、自家生産の牛肉を活用した加工品の開発や直営レストランの運営、農産物や加工品の地元での宅配サービスの実施などの取り組みが始まっており、こうした先駆的な成果を県内全域へ普及拡大させるため、広域振興局ごとのネットワーク化や、事業者間の交流会の開催に取り組んできたところであります。
 今後は、こうした取り組みに加え、中小企業者との連携や支援のノウハウを有する団体と共同で、新たにいわて6次産業支援センターを設置し、計画、創造、経営などのワンストップサービスの体制を整えるなど、商品開発や販路開拓、販売促進を支援してまいりたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) それでは次に、本県農業の振興策についてお伺いをいたします。
 昭和42年当時、千田正知事の時代から開始されました産米50万トン達成運動や、昭和45年から開始されました畜産500億達成運動などがありましたが、いずれもわかりやすい明確な目標を示して、関係者が一丸となって取り組んできたものと理解しております。
 今、本県農業が置かれている状況は、担い手の減少や高齢化に加えて、米価の下落やTPPへの参加問題など、極めて厳しいものがあります。このような厳しい農業情勢を乗り越えて、国民、県民の食料を守っていくという強い姿勢をもっと明確にし、県民にわかりやすい目標を掲げて、新たな食料自給率向上運動などに全力で取り組んでいく必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本県農業の振興策についてでありますが、県ではこれまで、その時代時代の直面する課題に対応して、実践的な取り組みとして農業生産の拡大に向けた運動を全県的に展開しながら、農業関係者が一体となって幾多の試練を克服し、食料供給基地岩手の確立に努めてまいりました。
 現在、農業を取り巻く環境が一層厳しさを増す中にありまして、将来にわたって本県農業が持続的に発展し、食料を安定的に供給していくためには、まずは農業振興を県政推進の主要な施策に位置づけているいわて県民計画の着実な実践を進めていく必要があると考えております。その中で、地域資源を開拓し、付加価値を高め、所得向上につなげていくということに、地域みずからが一歩前に踏み出す新しい運動を展開していくとともに、その運動が、農業者のみならず、すべての県民が力を合わせて岩手の食と農を支えるような県民運動に発展させながら、生産者や消費者がその豊かさ、恵みを実感できる食と緑の創造県いわての実現を目指していきたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございました。
 きのう、一般質問で我が会派の佐々木順一議員が質問いたしました園芸作物の振興で、いずれ、私は、いわゆる園芸作物の500億円達成運動でもいい、何か明確な目標値を掲げて取り組むことがいいのではないかなと。
 そこで、きょうは農林水産部長に大変厳しいことばかり言って恐縮ではございますが、知事としては、やはりトップの立場として余りラッパを吹くわけにはいかないわけでございまして、農林水産部長あたりが小田島ラッパを吹いて、一つ大きな目標を掲げて、こういうことでやるぞと。優良モデル事例もいいんですが、一つ明確な数値を示して、みんながそれに一丸となって向かっていくんだという、ひとつそういう気概が欲しいんですが、どうなんでしょうかね、農林水産部長。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 今までも、例えば農地であれば岩手の農地再生運動ですとか、いろんな運動を展開しているところではありますが、もっと県民の方にわかりやすく、そして、その目標に一丸となって達成できるような目標を設定し、元気が出るような農林水産業の振興に努めてまいりたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございます。
 それでは、次に質問の第4点目、本県の保健、医療、福祉の充実についてお伺いいたします。
 達増県政は、肝炎対策、そして難病対策に非常に理解を示して前向きに対応しておりますことを、また、県民の声なき声にも非常に敏感であると私は評価をしております。
 その中で、私は、特にも、今後こうした対応が行われることが大いに期待されるわけでございますが、その観点から、5点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
 まず、肝炎対策についてお伺いいたしますが、県内市町村との連携のもと、肝炎ウイルス検査の受診率の向上、そして、ウイルス検査陽性者に対する実態の把握と受診勧奨、それから、治療方法の情報提供など各種対策を県として積極的に支援するお考えはないのか、まずお伺いします。
 それから、昨年4月から肝疾患身体障害制度がスタートいたしたわけでございますが、その周知方法はどうなっているのか、また、県内の肝疾患の身体障がい者の認定状況はどうなっているのかお伺いします。今後、この制度の充実を図るために課題があるとすれば何か、そして、その解決策をお示し願います。
 平成22年度から肝炎医療費制度が改正されたところでございますが、その改正内容はどのようなものか。改正されたことによる受給実態はどうなっているのか。また、課題があるとすればどのようなことなのか。そして、その解決策をお示し願いたいと思います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、肝炎対策についてでありますが、平成21年3月に、全国3番目ではありましたが、岩手県肝炎対策計画を策定いたしまして、総合的な取り組みを進めてきているところでございます。
 肝炎ウイルス検診受診率につきましては、議員からの目標値設定の御提言をもとに、市町村や県肝炎対策協議会からの意見も踏まえ、昨年3月に、県として初めて目標受診率の設定を行ったところであり、具体的には、当面の目標として、平成22年度は40歳における県全体の受診率25%を目指すこととし、現在、市町村と連携して普及啓発等に取り組んでいるところであります。
 また、国の平成23年度当初予算におきましては、市町村が実施します健康増進事業のメニューとして、新たに一定年齢の者を対象とする肝炎ウイルス検診の個別勧奨事業が設けられましたことから、その詳細が判明次第、その事業の活用について、今後、市町村に積極的に働きかけていきたいと考えております。
 さらに、平成23年度の県当初予算におきましては、これまでの取り組みに加え職域での検診受診促進を図る肝炎検査強化事業とともに、検査陽性者の実態把握や受診勧奨、最新の治療情報の提供など、地域における肝炎対策をコーディネートできる市町村保健師等を養成する地域肝炎治療コーディネーター養成事業を計上したところであり、検診から治療までの対策のさらなる充実を図っていきたいと考えております。
 次に、肝臓機能障害の認定制度の周知方法についてでありますが、肝疾患患者に対する制度周知には、主治医を通じた情報提供が重要でありますことから、県では、昨年4月の制度施行に先立ち、岩手県医師会、岩手医科大学附属病院ほか肝疾患診療ネットワーク医療機関75カ所に対して協力を要請しましたほか、県の公式ホームページでの情報発信、市町村広報などを通じ、県民に対する制度の周知徹底に努めてきたところであります。
 認定状況につきましては、昨年12月末現在、本県において肝臓機能障害の認定を受け、身体障害者手帳の交付を受けた方は36人となっております。
 この制度の課題につきましては、制度施行後まだ間もないところであり、なお一層の制度の周知を図る必要があると考えております。また、障害認定を必要とする肝疾患患者が、身近な地域において医師の診断を受けることができ、適切に手帳を交付される体制の整備が必要であると考えているところでございます。昨年12月現在で、知事の指定を受けて肝臓機能障害の診断書を作成することができる医師は130名であり、すべての障がい保健福祉圏域に配置されているところでありますが、今後、指定医をさらに確保するなど、制度の円滑な運用に向けた体制整備に努めていきたいと考えております。
 また、一方、課題の一つといたしまして、国が策定した障害認定基準においては、県内の医療関係者の中で、余命1カ月から6カ月以内と判断される重症の状態が90日以上続くという厳しい基準であるとの声も聞かれているところでありまして、県といたしましては、平成22年9月に国が行った全国調査におきまして、こうした意見を報告しているところであり、また、今後とも国に医療関係者の声を届けてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、平成22年度の肝炎医療費制度の改正内容についてでありますが、国の制度改正によりまして、平成22年4月から、自己負担限度額を原則月額1万円に引き下げ、新たにB型肝炎の核酸アナログ製剤治療を助成対象に追加するなど、助成対象の拡大や患者の経済的負担の軽減がなされたところであります。
 改正後における助成制度の利用状況につきましては、平成22年4月から23年1月までの累計で新たに442人が受給しており、助成対象が拡大されましたことから、昨年同期に比べまして295人の増となっております。
 一方、課題といたしましては、ウイルス性肝炎は自覚症状に乏しく、治療や経過観察の必要性について理解が得られにくい場合が多いことから、肝炎に対する正しい知識や医療費助成制度の県民への周知を図るため、市町村や関係機関と連携しながら、ポスターやリーフレット、県の広報媒体を活用した普及啓発や住民に対する講演会も開催しているところであります。
 なお、平成23年度の県当初予算におきましては、先ほど申し上げました事業のほか、新規事業として肝炎患者支援手帳事業を計上しており、肝炎患者及び治療が必要となった方等に対して、肝炎の病態、治療方法、肝炎医療に関する制度等を記載した当該手帳を作成、配布し、適切な治療の促進や医療費助成制度のさらなる活用を図っていきたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) それで、今問題になっておりますB型肝炎とかC型肝炎は、もうこれは自己責任ではなく、基本的には薬害とか外的要因による実態なわけでございます。国からもいろんな基本指針が示されておりますので、県としても、やはり、このことにはしっかり前向きに取り組んでいただくように、ぜひお願いをいたしたいと思います。
 次に、難病相談・支援センターへの就労支援相談員の配置についてお伺いをいたします。
 難病患者の方々にとっては、就労の場の確保が切実な問題となっております。そこで、難病患者の積極的な就労、生活支援事業の拡大のための難病相談・支援センターに専門相談員を設置するなど、きめ細やかな支援をするお考えはないのかお伺いをいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 難病相談・支援センターへの就労支援相談員の配置についてでありますが、難病相談・支援センターにつきましては、患者や家族の日常生活上の相談支援を行うため、平成15年10月に設置して以来、平成21年度には専用の相談室の整備、平成22年度には相談員の業務量の増大に伴う委託料の増額など充実を図ってきたところであります。
 最近、当該センターには、難病を理由に退職を迫られるのではないかといった悩みや、難病患者であるために仕事につけない、職場での理解不足のために通院のための休暇がとりにくいなどの就労に関する相談が多く寄せられてきており、難病患者団体からも相談体制の充実が求められてきたところであります。
 このため、平成23年度当初予算におきましては、当該センターに新たに就労支援員1名を配置する経費を盛り込んだところであり、難病患者からの就労相談に応じますとともに、企業訪問による事業者の難病への理解の醸成、ハローワーク等関係機関との連携による就労支援などに取り組んでいきたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) 肝炎対策でもそうですし、難病対策もそうなんですが、いずれ、これからはやはり実態もきちんと把握しながら、適切に対応いただくようにひとつお願いをいたしたいと思います。
 次に、慢性腎臓病対策についてお伺いいたします。
 慢性腎臓病は、初期にはほとんど自覚症状はなく、倦怠感、むくみや息切れなどの症状があらわれたときには、病気はかなり進んでいるという可能性がある。そういったことで早期発見が大切とされておりますが、この社会的認知度はまだまだ低いのが実情でございます。
 そこで、県では慢性腎臓病に関する実態をどのように把握しているのか。そして、県民への啓発を今後どのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 慢性腎臓病対策についてでありますが、日本腎臓学会の推計によりますと、慢性腎臓病患者数は全国で約1、330万人と推定され、成人の8人に1人が慢性腎臓病であるとされております。また、慢性腎臓病が進行し人工透析が必要となっている患者数は、全国で平成11年の約20万人から平成21年の約29万人と約1.5倍に増加し、本県におきましても、平成11年の約2、000人から平成22年の約2、900人と1.5倍に増加するなど、県民の健康に大きな影響を及ぼしているものと認識しております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、社会的認知度が低い等のことにより、まだまだ普及啓発が必要だと考えておりまして、県民の方々に、食事や運動などの生活習慣の改善による発症の予防や治療の重要性など慢性腎臓病に関する正しい知識の普及を図ることと、疾病の早期発見や適切な治療が行われるよう、かかりつけ医等の医療従事者に対する研修が重要ではないかと考えております。今後、専門医の団体であります岩手腎不全研究会や岩手県医師会などの関係団体と意見を交換しながら、速やかに対策のあり方など新たな取り組みについて検討していきたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございました。
 それでは、次に福祉施設や在宅における介護職員等による医療行為についてお伺いいたします。
 福祉と医療の連携のもと、福祉施設や在宅において、たんの吸引や経管栄養などの医療行為を必要とする対象者の実態をどのように把握しているのか。また、介護職員等によるたんの吸引等の実施のため専門的な研修事業が必要と考えられますが、県として、今後このことにどのように取り組まれるお考えなのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 福祉施設や在宅におけます介護職員等による医療行為についてでありますが、たんの吸引等を必要とする対象者につきましては、全国的な調査もないことから、県内の実態は把握できていないところではありますが、国が公表しております推計等をもとに試算いたしますと、極めて粗い試算ではございますが、たんの吸引を必要とする方は約1、500人程度、経管栄養を必要とする方は約2、300人程度と推計されるところであります。
 介護職員等によるたんの吸引等につきましては、平成16年度以降、国の通知によりまして、在宅及び特別養護老人ホーム等においては、当面やむを得ない措置として、必要に応じて実施されているところであります。しかしながら、法律上の明確な位置づけや、グループホーム及び障がい者施設等への拡大などが求められておりますことから、国においては、昨年7月に、関係する検討会を設置いたしまして、法制度や実施に必要な手続等について検討しており、所要の法改正等を経て平成24年度から施行する予定としているところでございます。国におけます検討におきましては、介護職員等がたんの吸引等を実施するためには専門的な研修が必要であるとされておりまして、県におきましては、昨日御提案いたしました補正予算案に、研修に必要な機器等の整備経費を計上しているところではございますが、研修の具体的な内容につきましては、国が昨年10月から実施しております試行事業を踏まえて本年6月ごろまでに決定するとされておりますことから、今後、国の動向を注視しながら適切に実施してまいりたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) いずれにいたしましても、在宅での介護をなされている方々にとっては朗報であります。だから、この医療行為については速やかに適切に対応していただくように、これからも前向きにひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、次に児童虐待対策についてお伺いいたします。
 総務省が昨年12月7日に、児童虐待の防止等に関する意識調査結果の報告書を公表したところでございますが、県内における児童虐待の相談件数の状況、そして、児童福祉司等の児童相談所職員の充足状況の現状、そして、市町村との連携についてどのようになっているのか、また、どのように把握しているのかお伺いをいたします。また、児童虐待をなくすためきめ細やかな対応が求められており、児童福祉司や児童心理士の確保など、児童相談所職員体制の強化が喫緊の課題となっておりますが、県として、今後どのように取り組むお考えなのかお伺いをいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、児童虐待の相談件数の状況等についてでありますが、平成21年度の県内の児童相談所による児童虐待の相談対応件数は293件で、前年度と比較して20件、7.3%の増加となっております。また、市町村が対応した件数は457件で、26件、5.4%の減少となっており、県全体ではほぼ横ばいの状況にあります。
 児童相談所職員の充足状況についてでありますが、現在、3カ所の児童相談所に児童福祉司を24名配置しており、地方交付税算定の配置基準に見合う人員配置としているところであります。
 市町村との連携についてでありますが、第一義的な相談窓口となっております市町村への支援が極めて重要でありますことから、児童相談所では、市町村担当者の実地研修を実施しておりますほか、市町村の要保護児童対策地域協議会に参加いたしますとともに、随時市町村を訪問し、個別の困難ケースへの対応や相談援助技術の支援などを行っているところでございます。
 次に、職員体制の強化など今後の取り組みについてでありますが、児童相談所において、中核的な役割を担う児童福祉司につきましては、相談件数の増加や相談事例の複雑、多様化に対応し、適時増員を図ってきたところでありまして、平成20年度に1名、平成22年度に、県北広域振興局駐在を複数配置とするためさらに1名増員し、先ほど申し上げましたとおり、現在、24名体制となっているところであります。
 また、本年度から福祉総合相談センターに警察OB職員1名を配置し、児童虐待に関する立入調査や臨検、捜索などの法的手段への対応、保護者とのトラブル防止等に適切に対応できるよう体制の充実を図ったところでございます。
 また、平成23年度には、虐待通告があった場合の48時間以内の安全確認を強化するために、児童福祉司の家庭訪問への同行などを行う補助職員を新たに各児童相談所に1名ずつ増員配置し、初動対応に万全を期したいと考えているところでございます。今後におきましても、さらなる組織の専門性の一層の向上を図り、適切に対応してまいりたいと考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございました。
 それでは、次に質問の第5点目、本県の道路の整備促進についてお伺いいたします。
 先月、岩手医大附属病院の矢巾移転に伴う用地取得の調印式が行われ、全面移転に向けていよいよ本格的なスタートが切られたところであります。病院の開院は平成30年4月の予定で、県高度救命救急センターと循環器医療センターもあわせて移転するとのことでございます。また、平成24年度には、導入予定のドクターヘリのヘリポートも敷地内に整備されると聞いております。まさに命を守る道路という言葉があるように、道路は救急医療を支援するためにはなくてはならない施設でございます。
 そこで、岩手医大附属病院の移転にあわせた周辺道路網の整備等に関して、3点についてお伺いいたします。
 まず第1点目は、県道大ヶ生徳田線の徳田橋のかけかえについてであります。北上川にかかる徳田橋は、岩手医大附属病院の開院後には、宮古市、釜石市、遠野市、大船渡市などの沿岸広域市町など広い範囲からの患者輸送の際には大半が通過する橋となるものと思われますが、現在の橋は幅員も狭く、老朽化が進んでいることから、そのかけかえが長年の懸案でありました。
 県では、来年度から徳田橋のかけかえに着手することとして、平成23年度当初予算案にその経費を計上したところでありますが、岩手医大附属病院の移転とあわせて徳田橋の整備を進める必要があると考えるところでありますが、今後の整備見通しについて知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 徳田橋については、周辺の開発等により、大型車を初めとする交通量が多い一方で、幅員が狭く大型車同士のすれ違いが困難であることや老朽化が進んでいること、さらには移転する岩手医大附属病院へのアクセス道路となることから、かけかえが必要と判断し、大規模事業評価専門委員会に諮った上で、平成23年度の新規事業化を図ったところであります。
 平成23年度は、橋梁や前後の道路の詳細設計及びそのために必要な測量などに着手するとともに、引き続き河川管理者との協議を進めていくこととしております。今後、早期に工事着手できるよう、計画的な事業推進に努めていくことが必要と考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございます。
 実は矢巾町でも平成11年度から政策要望としてお願いをしてまいったところでございまして、このことにつきましては、町民一同、悲願が達成されたということで、まさに万感胸に迫るところがあるわけでございます。今、知事からもお話がございましたように、岩手医大附属病院の開院が平成30年4月でございますので、徳田橋のかけかえも、できればそのときまでにかけかえができるように、ぜひこれからも事業を促進していただくようにお願いをいたします。
 それでは、次に県道、市町村道の道路管理についてお伺いいたします。
 県内においては、国道、県道とあわせて市町村道において逐次道路網の整備が進められてきたところであります。一部の市町村道においては、広域的な幹線道路としての機能を担っている状況も見受けられ、市町村がその道路の維持管理に大変苦慮していると聞いており、このような中で、さらに岩手医大附属病院の移転に伴い新たな交通の流れが生ずると想定されるところであります。私は、平成20年2月定例会においても、県道、市町村道の見直しについて質問をいたしたところでありますが、広域的な幹線道路のあり方を踏まえ、市町村道から県道への管理移管も含めた道路管理について県のお考えをお伺いいたします。
〇県土整備部長(平井節生君) 県道、市町村道の管理についてでございますけれども、現在、本県は膨大な延長の国県道を管理しており、これら道路施設の老朽化に伴い、維持、更新に係る費用がますます増大することが見込まれております。また、今後さらに厳しくなることが予想される県の財政状況を踏まえ、現状では、整備を伴う市町村道の県道への認定は難しいものと考えております。しかし、市町村道の整備が進んだことなどにより、地域における交通の流れが変化してきていることから、昨年度に交通量調査を実施し、県道昇格の御要望のある路線の実態把握を行ったところでございます。現在、並行する県道と市町村道との交換の可能性や、補修及び維持管理に要する費用などについて慎重に検討を進めてございます。また、関係する市町村等と現地調査や情報交換などを始めたところでありまして、今後とも関係機関と調整を図りながら検討を進めてまいります。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございます。
 いずれ、市町村道の県道昇格、それから県道の市町村道に対する移管でございますが、いずれにいたしましても、現状をきちっと把握して可及的速やかに対応できるように、ひとつお願いをいたしたいと思います。
 それでは次に、矢巾町のスマートインターチェンジの整備見通しについてお伺いをいたします。
 矢巾町に計画されておりますスマートインターチェンジは、東北縦貫自動車道から岩手医大附属病院に直結する施設となることから、1分1秒を争う救急医療においては、その設置の必要性は極めて高いものと考えられます。本県にとってさまざまな面から効果が期待されるスマートインターチェンジの整備に向けて、今後どのように取り組むお考えなのか、お伺いをいたします。
〇県土整備部長(平井節生君) 矢巾スマートインターチェンジの整備見通しについてでございますが、スマートインターチェンジの整備の枠組みでございます高速道路の利便増進事業、これを規定する道路整備事業財政特別措置法の改正案につきましては、さきの臨時国会で廃案となったところでございます。その結果、従前の利便増進事業による枠組みでスマートインターチェンジの整備を進めることとなり、国では、できるものから速やかに着手する考えを示しているところでございます。
 スマートインターチェンジの整備に当たりましては、国土交通大臣の許可を得る必要がありますが、そのためには、当該事業の費用便益比や高速道路会社にとっての採算性、地元の合意形成などの設置要件をクリアしていく必要がございます。このため、接続位置や新たな将来交通需要推計の結果を踏まえた採算性の検討などについて、関係機関との調整を進めながら、地元矢巾町とともにスマートインターチェンジの早期実現に努めてまいります。
〇17番(高橋昌造君) 大変ありがとうございました。
 それでは次に、質問の第6点目、本県教育の政策課題への取り組みについてお伺いをいたします。
 まず、小学校での英語教育の意義と今後の課題についてお伺いをいたします。
 新学習指導要領が示されてから、平成23年度から小学校5、6年生に年間35時間の外国語活動、英語を必修として実施することが義務づけられることになっておりますが、県内小学校での英語教育は、平成21年からの移行期間を経て、指導法の研修や教材の工夫など、完全実施に向けて多くの取り組みを実施してきたものと思われますが、完全実施に当たっての問題点や課題はないのか。また、あるとすれば、その解決策についてお伺いをいたします。
〇教育長(法貴敬君) 小学校での英語教育の問題点や課題についてでありますけれども、小学校での外国語活動を実施するに当たり、議員御案内のとおりに3年間にわたり研修を実施してきております。この間、指導方法や基本となる教材は確立されてきているものの、指導方法や教材の活用に十分に習熟していない教員がいること、また、人事配置等によってまだ研修を終了していない教員もいることなどが課題として挙げられます。そのために、今後とも研修の機会を設定し、すべての教員が自信を持って外国語活動を指導することができるように、一層の充実を図っていく必要があると考えております。また、接続する中学校との連携も重要であることから、市町村教育委員会と協力し、指導主事などの訪問指導や研修会を実施していくこととしております。
〇17番(高橋昌造君) それで教育長にお伺いいたしますが、小学校の学校現場では、5、6年生の担任になりたがらないというお話をお聞きしているんですが、教育長はそのことを把握しておるのか。また、そういう実態が実際あるのかどうか。また、あるとすれば、それは何が起因しているのか。今、学校ではそういうことを耳にすることが非常に多いので、もし教育長がそのことをわかっていらっしゃるのであれば、お聞かせ願いたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 新しい学習指導要領があってこういう新しい科目が入ってきますと、小学校5、6年生の英語、外国語活動に関して、5、6年生を担当する教員の研修は終わっているわけで、その人たちはいいんですけれども、新たに人事異動になって、まだ研修が終わっていない職員たちがそこに行きますと、やはり若干の不安感があるみたいな形で、5、6年生は持ちたくないなというような現場の声も若干聞かれているところであります。そういうことも払拭するために、教育センターを中心にして指導方法などの研修会を重点的に行ってきているわけですので、ここらは移行期でありますので、そういう不安をできる限りなくするためにも、研修を確実に充実させて指導方法を確立していきたいなというふうに思っています。
〇17番(高橋昌造君) それでは簡潔にお伺いいたしますが、英語教育の学校現場で、もしそういうことがあるとすれば、これからも英語教育について不安がないのか、一言でひとつお伺いいたしたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 不安がないと言えばうそになるかもしれませんけれども、小学校の教員の方たちは非常に学校経営能力にすぐれている方たちがいて、楽しく外国語活動をやっていらっしゃる面もありますので、次第になれていただければというふうに考えております。
〇17番(高橋昌造君) ありがとうございます。
 それでは次に、学校評議員制度についてお伺いいたします。
 学校評議員制度は、地域社会に開かれた学校づくりを推進するために設けられたもので、評議員は、学校職員以外の人から、校長の推薦によりその学校設置者が選任し、校長の求めに応じて、学校運営に関していろんな意見を述べることができるとされておりますが、評議員には、PTA、同窓会等の学校関係者が多く推薦されている現状だと聞いておりますが、県内の県立学校では、地域の一般の方々や有識者の方々の選任がどの程度行われているのか、お伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 学校評議員の選任についてですけれども、県立学校全体で412名となっていますが、そのうち、地域の一般の方及び有識者の方が308名、74.8%となっています。
〇17番(高橋昌造君) それでは次に、学校運営協議会制度についてお伺いいたしますが、地域に開かれた特色ある学校づくりを目指し、国では、地域の公立学校の運営に地域の声を生かすコミュニティ・スクールの仕組みを提唱しており、保護者や地域住民などから構成される学校運営協議会を設置し、地域の子供たちの成長を支えていく学校づくり、地域コミュニティづくりを進めることとし、文部科学省では指定校を設け実施しておるところでございます。岩手県では、岩泉町の小学校3校、中学校3校の計6校が国の指定を受け、調査研究事業委託校として取り組んでいると伺っております。この制度の導入により、学校運営にどのような効果をもたらしたのか、また、どのような問題点があるのか、お伺いいたします。さらに、今後においても全県的に指定校をふやしていくお考えがあるのか、お伺いします。
〇教育長(法貴敬君) 学校運営協議会の効果といたしましては、学校運営協議会から、意見、要望等を客観的な立場から提言いただき、学校がより地域のニーズにこたえる基盤づくりができたこと、また、地域の文化振興、活性化、ボランティアなどに対する意見、情報を得る機会がふえ、学校と地域の連携を深めることができたなどが挙げられております。
 また、課題としては、学校運営協議会の意見などを学校経営計画に生かして実施したことを評価し、次年度計画の改善に生かすこと、また、保護者、地域住民への情報公開の進め方などにおいて、今後、改善が必要であるというふうに聞いています。
 今後、指定校については、市町村からの希望があれば指定校として認めていく方向で考えておりますが、一方、国の指定による学校運営協議会制度においては、人事面や学校運営面に対する合議制による承認が必要とされるなど、結構、制約が大きいということもありまして、岩手県では、学校、家庭、地域の連携、協働による県独自のいわて型コミュニティ・スクール運動を全県的に取り組んでおりまして、その結果、学校、家庭、地域が一体となって、特色ある開かれた学校づくりが進められてきているということでございます。
〇17番(高橋昌造君) それでは最後に、学校支援地域本部についてお伺いいたします。
 文部科学省では、未来を担う子供たちを健やかにはぐくむため、学校、家庭、地域の連携、協力体制を構築し、社会全体で教育力向上を図りながら、地域全体で学校教育を支援する体制づくりである学校支援地域本部の設置を進めております。地域総ぐるみで子供をはぐくみ、学校の教育活動の充実を図るために、学校と地域が協働して取り組む学校支援地域本部の本県における取り組み状況と、そして中長期的な視点から今後どのように取り組まれるお考えなのか、お伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 学校支援地域本部の取り組み状況と今後の対応についてでありますけれども、本年度は23市町村に47本部が設置されて、各本部に配置された地域コーディネーターの調整のもとに、91校の小中学校において学習活動の支援、校舎内外の環境整備、放課後の見守りなど、多岐にわたる支援が行われております。また、平成21年度は、県内で延べ6、528件の支援活動が、延べ4万2、861人のボランティアによって取り組まれております。
 地域の教育振興運動と、平成19年度から、先ほど答弁いたしました学校を中心としたいわて型コミュニティ・スクール構想を推進し、学校経営改革をただいま進めておりますが、これらの二つの運動を結びつけるものとして、この取り組み、学校支援地域本部事業を組み合わせることによって、より一層、学校、家庭、地域の連携を進めることができるというふうに考えておりますので、この学校支援地域本部事業を今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
〇17番(高橋昌造君) 達増知事を初め、当局の皆様方には、本当に誠意ある、そして前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。あわせて、御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時17分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 吉 田 敬 子 君
2  番 工 藤 勝 博 君
3  番 高 橋 但 馬 君
4  番 小 野   共 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 岩 崎 友 一 君
10  番 木 村 幸 弘 君
11  番 久 保 孝 喜 君
12  番 小 西 和 子 君
14  番 高 橋 博 之 君
16  番 亀卦川 富 夫 君
17  番 高 橋 昌 造 君
18  番 中 平   均 君
19  番 五日市   王 君
20  番 関 根 敏 伸 君
21  番 三 浦 陽 子 君
22  番 小田島 峰 雄 君
23  番 熊 谷   泉 君
24  番 嵯 峨 壱 朗 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 大 宮 惇 幸 君
27  番 千 葉 康一郎 君
28  番 新居田 弘 文 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 佐々木 順 一 君
31  番 佐々木   博 君
32  番 田 村   誠 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 佐々木 一 榮 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 渡 辺 幸 貫 君
43  番 吉 田 洋 治 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
15  番 及 川 あつし 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時34分 再開
〇副議長(小野寺研一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕(拍手)

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