平成17年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇38番(吉田洋治君) 政和会の吉田洋治でございます。
 私は、議案第71号平成16年度岩手県一般会計補正予算(第6号)に賛成の討論をさせていただきます。
 岩手競馬は、昭和39年の設立以来、健全な娯楽の提供、地方財政への寄与、馬事文化の継承発展、そして地域経済への貢献など積極的に事業を展開してきたことは周知のとおりであります。特に地方財政への寄与は、35年間にわたり407億円を構成団体に配分し、うち県に対する収益配分は約224億円となっております。また、地域経済への貢献としては、雇用の確保、消費の拡大はもちろんのこと、一つは畜産振興のために地方競馬畜産振興基金への納付金188億円、二つは公営企業金融公庫への納付金140億円、これは上下水道事業等の整備等に活用され、あわせて約735億円が社会資本整備や岩手の畜産振興事業等に活用されてきたのであり、岩手競馬が果たしてきた地域貢献は極めて大きなものがあります。
 一方で、新盛岡競馬場オーロパーク、約440億円、場外発売所テレトラック5カ所、約68億円の建設費、そして4カ所の施設の賃貸料という新たなコスト負担が経営を大きく圧迫してきました。管理者である知事の言う経営体力を超えた過去の設備投資が、現在の財務状況に陥った最大の要因であると私も同感に思うのであります。建設費のうち、公営企業金融公庫からの借入金は116億円、現在の借入金残高約75億円、平均金利が年率約4.5%、その結果、元利償還金が市中銀行を含めまして年約19億円となり、加えて予想を超える発売収入の落ち込みがとらの子の財政調整基金も、建設費の支払い、そしてあえて言わせてもらえば、無理を承知の構成団体への過剰な配分など、一気に経営収支が落ち込み、平成12年度から赤字に転落、平成16年度見込みで144億円の累積赤字となったのであります。
 我が岩手県議会でもこうした状況から、平成14年1月に岩手競馬振興議員クラブを菊池勲会長以下32名で設立、岩手競馬振興のための調査研究や現地への支援視察などを実施してまいりました。平成15年の県議会議員改選後、7月には36名をもって再び立ち上げ、現在、不肖私が会長を仰せつかっております。16年3月には岩手競馬のあり方懇談会の経緯、競馬法の一部改正の検討状況の調査、研究をいたしました。それは、岩手県馬主会、調教師あるいは騎手の会、厩務員会との意見交換でありましたが、そこでさまざまな問題提起がなされ、出資法人等調査特別委員会への連動となって今日に至っていると私は思っております。
 さて、40年の歴史を持った岩手競馬も、存続・廃止を決するような待ったなしの状況になり、昨年12月競馬組合改革、いわゆる実行計画が打ち出され、50億円の融資議案が否決、今定例会には改めて改訂実行計画が再度提案され、27億円の融資議案が論議されてまいったところであり、県民も大きな注目を寄せております。私は、昨年12月に続いて今議案が否決されれば、岩手競馬廃止に大きく傾く可能性が大きいと思います。約2、800人の雇用問題を初め、岩手の深刻な経済状況はさらに活力を失うことは必至であると考えます。岩手競馬組合改革の一連の計画は、昨年12月以来の活発な議論の中から、実行を疑問視する多くの指摘もあり、私も同調する点も多々あります。しかし、私は岩手競馬存続のため、岩手競馬再建のため、泥沼からはい上がるチャンスを一度与えてやるべきと考えます。
 私は、その背景として、第1に、県、水沢市、盛岡市の構成団体が極めて厳しい危機意識を持ってきたこと、まず挙げたいと思います。廃止になれば当然負の遺産は構成団体がそれぞれ負担し清算しなければなりません。県議会答弁における知事の不退転の決意を信じたいと思います。
 第2は、県議会における実行計画のチェック機能がきちっと果たすことが可能になります。今後は融資議案が提案をされてきますし、岩手競馬議会に現在2名から6名の県議会議員が選出されることが予定されておりまして、その強化が図れることにあります。
 第3は、ことし1月から競馬法が改正となり、施行されました。民間委託や学生の馬券購入を認めること、あるいはJRAとの提携拡大など、そして平成18年度から独自に3連単、3連複の導入など、売り上げ拡大の可能性が大きく広がってきていると思うのであります。加えて経営改善のための起債償還負担を平準化するため新たな起債制度が創設されました。総務省を初め、国の機関も地方競馬の支援対応に動き出したと見ていいのではないかと思います。
 以上、ここは乾坤一てきと表現した管理者である知事の決意にかけ、ピンチをチャンスに変えながら、長年の歴史と伝統を有する岩手競馬を後世にしっかり引き継いでいってほしいと念願するものであります。
 以上、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(藤原良信君) 次に、小原宣良君。
   〔48番小原宣良君登壇〕

前へ 次へ