平成17年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第62号、第71号に反対の討論を行います。
 議案第62号は、八幡平市の設置に関し議決を求めるものであります。西根町、安代町、松尾村が合併して八幡平市を設置しようとするものであります。
 反対する第1の理由は、反対が多数を占めた松尾村の住民アンケート結果に背を向け、安代町、西根町での住民投票を求める直接請求や請願を否決したことであります。
 松尾村での住民アンケートは二度にわたって実施されましたが、合併協議が進んだ二度目の方が合併に反対が43.5%と増加し、賛成の35%を大きく上回ったのであります。村長と村議会がこの住民の意向を無視して合併を進めたことは、住民の意思に反するやり方であります。
 安代町では住民投票を求める直接請求の署名が、短期間に有権者の30%に当たる1、544人分提出されました。西根町でも有権者の22.7%に当たる3、471人の請願署名が提出されましたが、どちらの議会も否決して、住民の意向を把握する手だてを葬り去ってしまいました。
 全国町村議長会の地方議会活性化研究会の報告では、とりわけ自治体の存在そのものにかかわる合併の是非等は、議会での十分な討議を経た上で、さらに悔いを残さないために住民投票に諮り、その結果を議会での最終決定で参考にすべきである、としております。既に全国では昨年160件、ことし2月だけでも30件の住民投票が実施されています。合併問題のような住民の生活と地域の将来にかかわる重要な問題では、住民の意思を確認する住民投票は積極的に実施されるべきものであります。
 反対する第2の理由は、財政危機を理由に合併を進めたにもかかわらず、建設計画では耐用年数を無視した新庁舎の建設や市立病院の新築、文化会館の建設など、大型プロジェクトを合併特例債という借金で進めようとしていることであります。財政計画も合併算定替えの特例がある、わずか10年間の不十分なものであります。
 第3に、こうした無理な合併協議を進めた背景に、3月末日までに合併申請を行わせようとする国、県の合併推進と押しつけがあったことであります。
 議案第71号は、県競馬組合に今月中に27億円の融資を行おうとする04年度の補正予算であります。競馬組合の現状は、県の融資がなければ資金ショートして破綻するという、事実上の破綻状態にあります。今年度の見通しでは実質赤字は40億400万円であります。累積赤字は144億円余、借入金残高は284億円に及びます。余りに単年度赤字、累積赤字、借入金が大きくて簡単に廃止できないというのが現状であります。しかし、今問われているのは、このような深刻な状況だからこそ競馬組合の再建に当たっては、実効性と具体的な根拠のある実行計画を立てることができるかどうか、このことが問われたのであります。残念ながら、これまでの県議会での論戦を通じて実効性も具体的な根拠も示されなかったと言わなければなりません。乾坤一てきの計画どころか雲をつかむような計画になっていると言わなければなりません。
 第1の問題は、3期連続国内総生産がマイナスとなる経済状況と、低迷を続ける地域経済、中央競馬、地方競馬をめぐる厳しい状況の中で、岩手競馬だけは無理な増収計画を立てていることであります。身の丈に合った経営、運営を行うということがこの間の最大の教訓だったにもかかわらず、営業活動を展開するなら、一路増収となる計画は全く主観的で現実性のないものであります。
 第2の問題は、新しい目玉としてテレトラックの売却と賃貸の計画が示されました。だれに、どこのテレトラックを売却・賃貸するかも全く示されず、売却・賃貸すればなぜ売り上げがふえるのかも示されない不透明なものであります。5カ所のテレトラックは売り上げも資産評価も全く違うものであります。公共財産の処分がこうした秘密裏に進められることは全く異常なことであります。
 第3の問題は、インターネット発売を委託すれば売り上げが10億円から80億円に増加するとしていることであります。しかし、これもだれがインターネット発売を実施するかも示されない不透明なものであります。300万人のインターネット会員の85%が購入意欲があり、その4%が馬券を購入するという机上の計画でしかありません。04年版インターネット白書によれば、購入目的で情報収集した、いわばインターネット会員の商品ジャンルでギャンブルはわずか4.2%、実際に購入した率はギャンブル全体で2.3%となっています。インターネット会員の多数は首都圏であり、中央競馬と競って岩手競馬が売り上げを伸ばすということは考えられないことであります。競馬の専門家もオフトラック化は地方競馬をかえって衰退させると警告しているのであります。
 第4の問題は、商品価値のあるレースを実施するどころか、競走馬が不足するという深刻な事態に陥っていることであります。
 第5の問題は、今回の実行計画が金融機関の同意と理解もなく、委託企業との合意もなしに県議会に提出されたことであります。県が債務保証することを前提にした計画と言わなければなりません。
 最後に、10年間も管理者として責任ある立場にいた増田知事の無責任な言動であります。知事は、競馬組合の存廃が問われた県議会だったにもかかわらず、知事演述では競馬組合問題について一言も触れませんでした。また、財政競馬という趣旨はほぼおしまいに来ている、岩手競馬は決してギャンブルではないなどの重大な発言をしていることであります。私の質問には結局答弁を回避したままであります。
 また、先日、岩手競馬に深くかかわった前副知事の高橋洋介氏が地方紙への投稿で、競馬法改正による岩手競馬の再建を求めつつ、この実行計画の完全な達成は相当の困難が伴うと思う。2004年度に実質40億円もの赤字を出しながら05年度に一転して黒字に転換するためには、よほどの大改革が極めて順当に進展することが不可欠。無理な計画と厳しく指摘しているのであります。
 競馬組合の改訂実行計画では、残念ながら再建の具体的見通しが見えません。もし競馬を継続すると言うなら、新たな赤字を絶対つくってはならないし、実行計画の推進に管理者である知事が大きな責任を負っていることを厳しく指摘するものであります。
 議案第87号から91号は、建設事業に要する経費の一部を関係市町村に負担させるものであり、反対するものであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(藤原良信君) 次に、吉田洋治君。
   〔38番吉田洋治君登壇〕

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