平成17年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(阿部富雄君) 阿部富雄です。通告に従い質問します。
 昨年は、新潟県中越地震災害や台風災害など自然災害が相次ぎました。
 宮城県沖地震の発生確率を政府の地震調査研究推進本部が公表しています。2005年1月1日を評価時点とした発生確率では、2005年1月1日から10年以内に発生する確率は50%、20年以内には90%程度、30年以内は99%となっています。地震の規模は、陸寄りの海域に想定される震源域の中だけが破壊した場合、マグニチュード7.5前後、陸寄り及び海溝寄りの震源域が連動して破壊した場合はマグニチュード8.0前後となると想定しています。
 県は、平成16年11月に岩手県津波避難対策検討委員会の提言に従い、津波浸水予測図の作成と被害想定を行っています。これは、沿岸市町村の津波防災マップの作成や津波避難計画の資料として活用することを期待しているものです。人的被害、建物被害などの未然防止や被災者生活支援、自主防災組織の育成など、災害対策の体系的な整備が望まれますが、どう考えているのか、お聞きします。
 地震や台風など自然災害で問題となったのは、被災者が住宅を再建することです。被災者生活支援法は、被災した住宅の解体や撤去の費用などに300万円の範囲内で支援することとなっています。しかし、住宅本体の補修や建てかえは対象外とされています。
 大規模自然災害を経験した鳥取県は、被災者住宅再建支援条例を制定していますし、兵庫県は、住宅再建共済制度を創設しています。いずれも住宅の再建、補修を支援しています。
 本県においても、こうした制度について早急に調査検討を行い、岩手県の実情に即した制度を創設すべきですが、どう対応されていくのか、お聞きします。
 次に、平泉文化についてお聞きします。
 柳之御所遺跡は、日本の古代、中世の研究に大きな影響を及ぼす画期的なものとされていましたが、十五、六年前までは幻の館でした。言い伝えでは、藤原氏の館とされる柳之御所は、平安時代以後の北上川の侵食によって大部分が川底になり消滅してしまったという説さえありました。北上川遊水地のための堤防と、その上につくられる国道4号平泉バイパスを建設するため、1988年からの緊急調査で、遺物とともに出現しました。調査が終われば遺跡は消滅してしまう運命でしたが、当時の建設省の英断により保存されることになりました。
 柳之御所遺跡整備調査事業については、政策評価条例により、評価委員会で調査審議することとなり、昨年6月と8月に評価が行われ、平泉遺跡群調査整備指導委員会における議論の状況を毎年1回専門委員会に報告することなどの意見を付し、県教育委員会の事業は妥当と認められました。
 専門委員会での議事録を見ると、施設の利用料、遺跡の整備に議論が集中しています。県教育委員会は、ガイダンス施設並びに野外施設への入場料は基本的に無料としていましたが、専門委員会での議論もあり、ガイダンス施設について利用料200円を徴収することにしました。しかし、料金決定については拙速の感を否めません。ガイダンス施設に予定している柳之御所資料館は、国土交通省が12世紀の地方武家社会の様子を残す日本史でもまれな事例であることから、平泉文化の学習の場として無料開放してきたこと、世界遺産登録の直前であり、観光客の増が期待されるなど、地域経済の活性化、波及効果等が期待されること、平泉町が整備を予定している隣接する特別史跡無量光院との一体的整備による利用の相乗効果など、柳之御所遺跡の置かれている状況を多面的に検討することが必要です。評価委員会の議論も拙速な結論を求めるものではなく、一定期間をかけて答えを出してはとの考えも示されていました。利用者負担については、今後、関係機関、県民の理解が得られる形で検討すべきですが、その対応についてお聞きします。
 柳之御所遺跡の整備復元については、県が設置する考古学、建築学などの専門家から成る平泉遺跡群調査整備指導委員会の指導を得ながら、平成10年から整備案作成を進めています。建物復元について県教育委員会は、平成18年をめどに、文化庁文化審議会の委員などから成る歴史的建造物復元に関する検討委員会において審議を行い、建造物の復元等の妥当性についての検討が行われる予定としています。
 こうした計画を進めるとすれば、平成17年度中に指導委員会の検証結果を受け、史跡整備案の作成が求められるところです。学術的にはさまざまな考証があるようですが、その見通しについてお聞きします。
 平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けての課題として、コアゾーンとなるべき史跡の範囲拡大、史跡及び名勝の新規指定があります。コアゾーン候補確定に向けた長者ケ原廃寺跡と白鳥舘遺跡の国史跡新規指定、平泉町の無量光院跡、毛越寺跡、一関市の骨寺村荘園遺跡の国史跡追加指定、さらには、柳之御所遺跡の猫間が淵の追加指定はどのように取り組まれ、その見通しはどうか、お聞きします。
 これとあわせて、各史跡をどう活用し保存するか、事業主体である市町村は、保存管理計画の策定やバッファゾーンの設定と景観保全のための条例制定が必要ですが、どう進めているのか、お聞きします。
 コアゾーンとなるべき史跡の全体を網羅した保存管理計画を県が策定することも必要ですが、あわせてお聞きいたします。
 平泉町、国土交通省は、柳之御所遺跡隣接地に平成20年度以降供用予定で道の駅を計画しています。道の駅の管理用道路として現在の県道相川平泉線を使用する計画ですが、この道路敷が柳之御所遺跡内を通っています。また、県道相川平泉線から国道4号を横断し、市街地へのアクセス道の確保も求められています。柳之御所遺跡とはどう調整を図っていくのか、お聞きします。
 次に、アンテナショップ、県外事務所、海外事務所のあり方についてお聞きします。
 本県の特産品の販路拡大、観光客の誘致拡大、さらに、情報発信拠点として東京の銀河プラザ、福岡のみちのくプラザ、そして大阪アンテナショップを設置しています。アンテナショップは情報収集を主な目的にしているにもかかわらず、設置当初のまま運営されているところも見受けられます。本県が全国に誇る特産品を展示、即売を通じ、これらの紹介宣伝及び市場性の把握に努め、売れ筋や消費者ニーズなどの関係情報を製造者にフィードバックすることにより販路拡大を図ろうとするものです。一定の情報収集が行われれば、その実績を踏まえ、製造業者や企業の自立を促し、新たな展開や撤退を判断すべきですが、どう考えているのか、お聞きします。
 観光相談件数も年々増加していますが、しかし、実績としてどう反映されているのか全く不明であります。むしろ旅行エージェントや航空会社、JRなど、観光関連産業との連携や業務委託による効果が大きいものと思われます。成果主義が叫ばれ、行政全体の見直しが求められている中で、その役割を評価すべきですが、どう対応されていくのか、お聞きします。
 東京、大阪、北海道、名古屋、福岡各事務所についても、事務所を設定していることによりどのような成果が得られているのか、存続させる意義があるのか検証すべきです。地方分権、三位一体の改革などにより、国に依存する度合いが低下してきており、情報収集も限定的になってくるものと思います。県外事務所の見直しについてはどう行っていくのか、お聞きします。
 次に、海外事務所についてお聞きします。
 北東北、北海道の共同事務所としてソウル、シンガポール事務所があり、本年は、宮城県と大連事務所を開設するとしています。昨年、ソウル事務所を調査する機会がありましたが、まず感じたことは、派遣されている職員が現地語を話すことができないこと、共同事務所としての岩手県のかかわりが全く見えず、県の利益を代表しているように見えないことなど、事務所としての機能に問題を感じざるを得ません。
 業務内容を見ても、わずか4日間国際観光展へ出展し、韓国からの誘客促進を図るためのPRの実施、観光関係団体などを対象とした年2回の100人規模の観光説明や商談会の開催に終わっており、このような取り組みのために事務所を構えて成果が期待されるのでしょうか。むしろ、現地エージェントとの提携や委託による方が効果的と思われますし、その国にホームページを立ち上げ、日本で業務運営に当たる方が得策に思えてなりません。岩手県への観光客入れ込み推計についても、海外事務所がかかわって訪れた観光客がどの程度いるかも把握できない中で、設置の有効性を疑問視せざるを得ません。
 海外とのビジネスは、ジェトロを活用し成果を上げるべきです。ジェトロソウルセンター所長とも話す機会があったのですが、県が事務所を構え、展示会、商談会をやろうにも、スタッフがいなければ何もできない。ジェトロであれば、組織全体で取り組める体制ができていること、ノウハウも蓄積していることなどを挙げています。ジェトロ盛岡貿易情報センターには、県も事業運営負担金を出しています。ジェトロの海外のビジネス情報に関するサービス、引き合い・展示会に関するサービスは充実しており、まずジェトロを活用し、その限界や不足があるのであれば別途を考えるべきであります。
 本県が海外事務所を設置する目的、そして、その成果の検証はどう行い、どういう成果を得ることにより目的を果たし、廃止することになるのか、お聞きします。
 次に、岩手のIT化についてお聞きします。
 岩手県のブロードバンド世帯普及率は17.6%、インターネット人口普及率は39.1%といずれも全国の低位にあります。ブロードバンドサービスの提供を市町村別で見れば、4町村が未整備ですが、この解消の見通しについてお聞きします。
 自治体エリア提供が100%となっても、交換所別の提供状況を見ると、197中92、加入数5万件がボックスタイプ交換所に収容されています。ボックスタイプ交換所は、構造上、ブロードバンド提供のためのDSL機器を収容できないため、既存ボックスの外へIPキャビネットを設置し、ブロードバンドサービスを提供する仕組みになっています。
 IPキャビネット設置によるサービス提供のためには、1ボックス当たり約2、000万円の費用が必要となり、ボックスタイプ交換所からのブロードバンドサービスを提供するためには約18億円の費用を伴います。事業者単独では費用回収可能年数が長期間を要することから、導入は困難としているようであります。
 こうした事態を考えるとき、県、市町村、民間事業者との連携により、一定の需要数の確保と助成金は避けて通ることのできない課題と言えます。どのような対応をもって整備を図っていくのか、お聞きします。
 いわて情報ハイウェイについては、拠点接続回線をより高速で安価な回線に切りかえ、100メガにし、増嵩する通信需要に対応するとしています。いわて情報ハイウェイの回線は1ギガの高速まで可能と聞いています。いわて情報ハイウェイは、県行政を中心に、医療、教育などに活用されていますが、県民からいま一つ見えてきません。個々の家庭や民間での活用ができないことが大きな課題と言えます。
 いわて情報ハイウェイは、国の助成を受けているから、民間から要望がないからと、県民、民間への活用について極めて消極的であり、県庁内部での政策立案の限界を痛感しています。この際、県民、民間事業者、有識者等により、いわて情報ハイウェイをどのように活用できるのか検討する懇談会を設置し、幅広く意見を聞き、事業化を図ってはいかがでしょうか。この対応についてお聞きします。
 国は、e-Japan戦略Ⅱにおいて、2011年までに地上テレビジョン放送のデジタル化への移行を完了し、全国どこでもデジタルテレビの映像が受信できるような環境を整備するという目標が明記され、それに向けて準備が進められています。地上放送のデジタル化に当たっては、放送事業者は大きな投資負担が余儀なくされ、特にも岩手のような山間地が多いところは、条件不利地域であり、投資促進のための環境整備が必要です。
 デジタル波は直線的で、障害物を回り込む電波が少なく、今以上の難視聴地域の拡大も懸念されるところです。岩手県の特徴として、高齢者世帯が今後とも増加し、パソコン等の操作困難者が解消されないこと、山間地を多く抱え、地理的に通信不利地域であることなどを考慮すれば、放送と通信を一体で考えることが必要です。
   〔副議長退席、議長着席〕
 大阪府豊中市が2003年から1年間、電子自治体の情報発信基盤としてのデジタルテレビの可能性の検証を目的として、高齢者向け福祉情報サービスを対象に、放送と通信を融合した行政サービスを提供しました。本実験によると、モニター世帯について見ると、約54%がパソコンを使用しない世帯であったが、すべてのモニター世帯において、デジタルテレビ画面を操作して情報を取得することができていること。また、約60%の世帯がインターネットを利用していない状況であったが、すべてのモニター世帯において、通信回線経由で情報を取得することができたという結果が出ています。
 本県においても、放送と通信の連携により、自宅で地上デジタル放送の受信、テレビ電話や情報検索、メール等が簡単にできるようにするにはどのような施策を講じることが必要か、実証調査を行い、その結果を全県に展開し、岩手のIT化を促進すべきですが、どのように考えるのか、お聞きします。
 次に、市町村合併についてお聞きします。
 昨年8月6日の設立以来、両磐地区9市町村の合併について協議を重ねてきた両磐地区合併協議会が12月14日解散しました。解散に至った事由は、合併の協議において市町村間の信頼関係が壊れ、その修復ができなかったこととしています。
 一関市長の主張を引用すると、新市の名称を決める第6回合併協議会の2日前の11月7日、平泉町議会議長など5人の平泉町議会議員が、花泉町議会議長などと懇談した際、平泉町の議員の側から花泉町の議員の側に、新市の名称について、平泉市が実現しなかった場合、平泉の委員は合併協議会の場から退席するので、花泉も同調してほしいという依頼をしたのではないかという疑念が生じました。このことについて、11月20日の第8回合併協議会において、委員より真相究明の意見があり、その後、市町村長と正副議長の協議などで真相の究明と今後の対応について協議を重ねました。しかし、退席の要請はしていないという平泉町側と退席要請と受けとめたという花泉町側との状況認識は、食い違ったまま、真相の究明に至らず、9市町村間の信頼を回復することができませんでした。この結果、9市町村長の意見は、両磐地区合併協議会を白紙に戻すべきであると集約され、まことに残念でありますが、両磐地区合併協議会を解散することになりましたとしています。
 九つの枠組みについては、一関市長が一番望ましい姿と推進してきたものであり、退席発言など、合併の障害になるべきことは、市長の指導性により解決できる問題です。ところが、まとめる立場にある人が、真相究明の旗を高々と掲げるという行動に出ました。合併協はルールを決めて粛々と進められ、新市名も決定されてきました。合併協以外の場での問題を持ち込んで混乱させること自体、民主主義に反する行為です。
 大きな問題は、退席発言についての究明は、3回にわたり市町村長、正副議長で非公開で行われたことです。住民が一番知りたいことを秘密裏に決定したことです。
 九つの合併協が白紙に戻され、休眠していた一関、花泉、東山、川崎の四つの合併協を再開しましたが、構成市町村は、これまた非公開の会議の場で申し合わせ事項を策定し、今後、協議会に加入を希望する町村に大きなハードルを課しました。今日まで住民の説明会や合併協の経過を無視し、4首長の思惑で町村の選別や排除と受け取れる内容を決定しました。住民の意向とかけ離れ、特例法期限内のための合併に思えてなりません。その後の進め方についても、市町村長、正副議長の非公開で主要な事項を決定し、それを協議会に押しつけるという手法は、住民から理解されるものではありません。
 知事は、こうした合併協議のあり方についてどう受けとめているのか、お聞きします。
 一関地方合併協議会は、新市建設計画を策定しています。その中で、事業主体が県などとなる事業も盛り込まれています。交通網の整備では、仮称でありますが、磐井環状線の整備促進として、国道284号真滝バイパスの整備がありますが、どう整備していくのか、お聞きします。
 また、優良な企業の立地と技術力の集積を図るため、研究開発型工業団地の整備を図るとしています。県においては、一関市滝沢鶴ケ沢地区を内定していますが、どのような取り組みをしているのか、お聞きします。
 次に、広域連携についてお聞きします。
 県は、北海道、北東北3県や宮城県との広域連携を推進することとしており、現在、北東北連携のグランドデザインを策定しています。北東北3県連携は、環境、観光、県外・海外合同事務所の設置、地方債の共同発行など、多くの事業に取り組んできました。しかし、こうした連携は、行政主導で行われてきた結果、県民や市町村が成果を実感として受けとめるまでに至っていません。県民や市町村、同僚議員に聞いても、どこかで何かをやっているのかな程度にしか受けとめていないのが実態です。
 2003年8月に若手実務者で構成する北東北広域政策研究会が、2010年に3県合体などを打ち出すなど、県民感覚から大きくかけ離れた議論になっていることなどがあるためと思います。もちろん、行政の立場からの連携を否定するものではありませんが、行政が戦略的に行う施策であっても、県民、市町村の理解と協力のもとに行うことが必要です。北東北のグランドデザインはどのような視点で策定されているのか、お聞きします。
 宮城県との連携については、共通の産業廃棄物条例の制定、中国・大連事務所の共同設置、新たな連携事業のため、課長レベルの意見交換会を2カ月に1回開催しています。課長レベルでの意見交換会ではどのようなことが検討されているのでしょうか、その具体化の方途はいつ提示されるのか、お聞きします。
 課長レベルでの連携事業の意見交換会は、県境地域の課題や実態を地方振興局に照会することなく、県庁レベルでの検討と聞いています。このような形での意見交換会は実態を反映できるのでしょうか。地方振興局、振興事務所も入れた意見交換会にすべきではないでしょうか。今後の宮城県との意見交換会のあり方についてどう対応していくのか、お聞きします。
 県境振興局は、秋田、宮城、岩手が連携した広域観光や物産展の共同開催、雇用対策など、部分的であれ進められています。今行われている地方振興局と振興事務所の協議会のレベルを上げ、財政、権限を担保し、連携事業の決定、実施の場として位置づけ、合意のできたものから事業に着手することとしてはいかがでしょうか。今後の進め方についてお聞きします。
 また、仙台空港や仙台港を活用し、隣接県にとどまらず、日本全域、世界を視野に入れた連携が可能であり、はかり知れない可能性を秘めていると思います。増田知事と浅野知事は、北上兄弟を名乗り、親密さをアピールしています。今回の全国知事会会長選挙では、それを全国に示したところです。両県の連携を具体的にあらわし、全国に発信することにより、政治行動が評価されるのではないでしょうか。宮城県との連携をどう進めていくのか、お聞きします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 阿部富雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、自然災害対応で、被災者住宅再建支援策についてのお尋ねでございますが、この被災者の住宅再建支援につきましては、全国知事会で国に対してその実現を強く要望してきた、こういう経緯がございまして、解体撤去費などを対象とする居住安定支援制度が創設されるなど、一定の前進は見たんですけれども、しかし、我々が強く要望しておりました住宅本体の再建についての支援は盛り込まれなかった、これは今、議員の方からもお話があったとおりでございます。
 そこで、知事会では昨年8月と11月に再度、改めて、異例のことではありますが、2度にわたって緊急提言というものを出しました。この法律の中で、法律を早期に改正して、住宅本体の建築費を支援対象とするようにということを提言したところでございます。
 県でも、特にこうした大規模な災害の場合にありましては、被災者の生活安定や被災地域の復興を図る上で、住宅再建への支援は重要だと認識しているわけでございます。住宅再建の支援は重要だと認識しているわけですが、国と地方の合意のもとで、この被災者生活再建支援法、この法律の枠組みの中で対応していくことが適切だと考えておりますので、制度の拡充につきましては、引き続き、知事会を通じてこの点について働きかけていきたい、こういうふうに考えております。
 次に、平泉文化ガイダンス施設の利用者負担ですけれども、この施設の利用料につきましては、柳之御所遺跡の整備事業が、その事業規模が大変大きいので、大規模事業評価専門委員会に諮る対象となりましたので、教育委員会の方では、その専門委員会でご審議いただくために、利用者負担を求めた場合の収支計画の中で試算を提示した、こういうふうに聞いております。
 このガイダンス施設ですけれども、これは、全国的に見ますと、史跡公園に付随するものとして無料で公開している例ももちろんあるわけでございまして、今後、このガイダンス施設の整備に具体的に着手するまでの間に、その施設規模や類似する施設等の状況を十分に勘案して、さらには調査して、本当に利用者に負担を求めるかどうかを含めてそのあり方について検討しなければいけないと考えております。したがいまして、今現在ではこれは白紙でございまして、その点について十分に他の施設なども調査した上で検討していきたいと考えております。
 それから、この柳之御所の遺跡整備の関係でございますが、歴史的建物を復元するためには、その整備復元計画について国の検討委員会の審議が必要であるということで、現在、県では、考古学や建築史学、文献史の専門家に入っていただきまして平泉遺跡群調査整備指導委員会を組織して、その指導及び助言をいただきながら計画を策定しております。
 スケジュール的には、確かに平成18年度中に国の復元検討委員会の審議を受ける予定で計画をつくっているわけでございますが、建物の構造や機能など、なお調査研究すべき課題を多く残しているということがございますので、整備年次計画を考慮しながら、復元を予定する建造物のうち、学術的根拠が十分に得られたものから順次復元検討委員会の審議を受ける方向で今準備を進めております。また、この復元検討委員会の審議が不要な園池や堀など基礎的な遺構の整備につきましては、これを先行して行いたいと考えておりまして、全体は平成23年度までに堀内部地区の整備完成を目指しているところでございます。
 次に、県外アンテナショップの関係でございますが、このアンテナショップは、顧客情報を出品者に提供するアンテナ機能だけでなく、観光相談等を通じて広く本県に関する情報発信機能、両方の機能を持つものとして設置しております。
 地場産品のアンテナ機能につきましては、個別商品での顧客情報を随時出品者にフィードバックしているところでございまして、このフィードバックが新しい消費の開発にまたつながるわけでございまして、それぞれの地域のショップで年間100点を超える商品を入れかえているところでございます。また、売れ筋となった商品があるわけですが、当然そうした売れ筋商品は、ショップを出店している地域の近辺の小売店やスーパーマーケットへの取引に結びつけておりまして、出品者の自立につながっていると認識しております。
 観光の情報発信機能がもう一つございますが、こちらは、旅行の商品化を行う旅行代理店などに岩手の観光情報を提供してございまして、こうしたことで本県への誘客促進に貢献していると考えております。
 今後のあり方ですけれども、定期的に県内の地場企業やショップでの顧客のアンケート調査を実施して、そうした結果をよく分析した上で常に見直し・改善を図って、設置目的に沿って本来の機能が十分果たされるように努めていきたいと考えております。
 次に、県外事務所ですが、まず、東京に事務所がございます。こちらは、中央省庁や関係諸団体との連絡調整や情報収集、さらには県産品の販路拡大、企業誘致活動を担う機能を果たしているところでございます。当然のことながら、IT化の進展などで情報収集方法が変化してきていますので、これまで随時組織や人員の見直し――縮小の方向です――を行っています。ピーク時には33名いたと聞いていますが、今は19名になっておりまして、平成18年度までに17名体制にしたいと考えております。
 それから、北海道、名古屋や大阪、福岡と、そのほか4カ所県外事務所がございますが、こちらも地域に密着した人的ネットワークを形成しながら、観光客誘致や県産品の販路拡大、企業誘致活動を展開していく拠点としてございます。その設置につきましては、北東北3県で事務所を合同化して経費の節減などを図っておりまして、3県でのスケールメリットが発揮され、より効果が出ていると考えておりますが、常にその成果や役割、機能を検証して、最小限の費用・人員で最大の効果が出るようにしていきたい、このように考えております。
 それから、海外事務所の方でございますが、こちらは、海外観光客の誘客促進、農林水産物などを初めとした県産品の販路拡大のため、県内企業の海外ビジネス展開の支援を行うということで設置したものでございまして、こうした設置目的から、その海外事務所の成果というのは、観光客の誘客数や商談、それからその成約件数によって検証されるべきもの、このように考えております。これまでの状況を見ますと、事務所開設から日も浅いこともあって商談成約件数などは少ないわけですが、例えば韓国からの旅行商品による来訪者数が平成16年――昨年は前年比で約4倍に増加しているということもございまして、その成果が上がってきていると考えております。
 今後、さらにこうした海外事務所の効果を上げるためには、やはり何といいましても県内企業が海外事務所を利用しやすい環境をつくることが重要だと考えておりまして、このため、来年度からは岩手県の産業貿易振興協会の体制を強化したり、岩手県の中小企業団体中央会との連携の強化を図りたい。先般もそちらの皆さん方と話し合いを行いましたが、そうしたことを行って、県内企業がより利用しやすい環境をつくっていきたいと思います。
 また、こうした取り組みの結果として、県内企業の多くが自立的に海外ビジネスを展開できる力を有するようになりました暁には、改めて海外事務所のあり方を検討することとしていきたいと考えております。
 いわて情報ハイウェイですけれども、これは各地域での公共サービスを支える基盤でございますが、一方で、県内では光ファイバー網を使った通信事業者のサービスが年々拡充してきておりまして、これまでに比して安い料金で使用できるようになってきております。また、こうした通信事業者が整備を進めている光ファイバー網には、高速情報通信のほか、いわゆる地上デジタル放送――地デジと言っていますが――や携帯電話通信の基盤としての活用も見込まれておりますので、今後、こうした光ファイバー網について、その基幹部分の回線のあり方、それから官民の役割分担などをもう一度検討し直さなければいけないと考えておりまして、有識者を中心とした研究会を設置し、そこで研究を続けていくこととしております。
 次に、放送と通信の連携によるIT化ということで、今申し上げました地上波デジタル化――地上テレビジョン放送のデジタル化でございますが、これは、画像も高画質になりますし、音も高音質になる。現在、我々がアナログ放送で得ていることの高次化、内容が高度化するという利便性の向上だけではなく、さらに放送と通信の連携サービス、携帯端末放送向けサービスといった高度なサービスの実用化がその中に盛り込まれて進められていこうとしているわけでございます。とりわけ、今申し上げました放送と通信の連携サービスでは、一般のテレビ受像機から、通信回線、放送ではなくて通信回線の方を経由してインターネット上のデータを取得するといった利用がこれによって可能になると承知してございます。
 一方で、今後の普及に当たりましては、これは2011年に全部アナログ放送をやめてデジタル放送に切りかえることになっていますので、2011年度までの期間に放送視聴エリアを確保する必要がございます。また、通信連携の基盤となる、いわゆるブロードバンドサービスの提供といった課題を解決していく必要がございます。
 そこで、こうした問題については、まず、地上デジタル放送の活用・普及に対して責任を持っている――これは電波行政ですので、国がまず第1の当事者でありますが――国、次に、放送事業者の取り組みがまず中心になるべき話でございます。こうした放送事業者の取り組みを踏まえながら、県としても地域情報化の促進の旗振り役を果たしていきたいと考えております。
 次に、市町村合併についてでありますけれども、両磐地区の合併協議についていろいろお話がありました。その両磐地区の合併協議について、協議の過程でさまざまな経緯があったことは承知しているわけでございますが、今現在、この合併協議会を構成している7市町村におきまして、協議の経過や将来のまちづくりについて住民説明を行っているところでございますので、その中で、地域全体でのなお一層の住民理解を得た上で合併を進めていただきたい、このように考えているところでございます。
 それから広域連携でございまして、まず、北東北のグランドデザインですが、これは、中間報告を昨年9月に公表したわけです。そこでの視点について問われたわけですが、三つございまして、一つは、北東北ならではの新たな価値を創造して内外から注目される魅力ある地域づくりを進めるためにはどうしたらいいか、こういう視点です。二つ目は、北東北3県を結束して国際競争力を有する地域にしていく、こういう視点。3点目は、いわゆるフルセット主義から脱却して、少ない負担で多様な質の高い行政サービスを提供していく、こういう視点でございます。この三つの視点に立ちまして、3県の中にさまざまな地域資源があるわけですが、それを結集、連携して、北東北ならではの地域づくりを進めて、自立、飛躍するアジアの北東北を目指そう、こういうことでございます。ことしの9月のサミットで最終報告をする予定で現在作業をしているわけですが、その中では、具体的なさまざまな地域資源の有効活用方策や機能分担について示していきたい、そして、行政として、それをベースに施策を進めていきたい、このように考えているものでございます。
 これまでもこうしたグランドデザインについては県民の皆さんに御紹介をしてきたわけでございます。青森、秋田でも同様の説明会をそれぞれ開催していると聞いておりますけれども、今、議員から御指摘のように、県民の皆様の十分な御理解をいただくという段階にはまだ至っていないわけでございまして、今後もそうした努力が不可欠である、このように考えております。
 場としては、最終報告をいただく以前、あるいはいただいた後もさまざまな場を設定しなければいけないと思っておりますが、そういう場で、今後とも県民の皆様の御理解をいただけるように一層努めていきたい、このように考えております。
 それから、宮城県との連携でございますが、今の課長レベルの意見交換会は平成15年7月にスタートした意見交換の場で、例えば試験研究機関同士の共同研究や中国大連事務所の共同設置など――ほかにもテーマはありますが――幾つかのものを議題として検討の俎上に上げてきたわけでございまして、昨年大連での商談会を共同開催しましたけれども、そうしたところに成果が結びついてきているわけでございます。
 今後の意見交換のあり方ですけれども、今、議員からお話がありましたように、本庁の課長レベルの意見交換会にさらにメンバーを加えまして、地方振興局や地方振興事務所――これは宮城県側の方ですが――も加えて、県全体のことはもちろんですが、そのほか、災害対策ですとか産廃の対策、松くい虫の関係、観光物産振興など、いわゆる県境あるいは県際地域に共通する課題についてもその俎上に上げて新たな連携方策を見出していきたい。そのときに、地元の地方振興局を加えるということであれば、やはり地方振興局長にもより一層の裁量権を拡大していかなければならないと思いますので、予算などに関する地方振興局長の裁量権の拡大もあわせて行った上で、その場で内容のある連携方策が実るようにしていきたいと考えております。
 そうしたことも含めて、宮城との連携の今後の進め方ですけれども、これまで地域や住民の皆様方が中心になってさまざまな交流・連携を進めてきていますし、今言ったように、行政も主体となった今後の連携・交流を一層進めていかなければならないと思います。県はもちろんのことですが、あそこの地域の市町村も、やはり市町村行政体として、同様にさまざまな問題について一緒になって連携事業に加わっていく必要があると思います。防災や保健、医療、福祉、それから道路、河川の整備など、県境に共通する課題は無限にありますので、そうした問題について幅広く、今後、連携を進めていきたい。今、いろいろな条件が随分整備されてきていますし、宮城の知事とは、今お話がありましたように大変親しい仲でもございますから、そういったところで率直に意見交換をして、連携が実りあるような形に今後も取り組んでいきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 災害対策の体系的な整備でございます。
 防災対策は、災害リスクを想定いたしまして、これを前提とした具体的対策を進め備えていくとともに、発生時には、行政、自衛隊などの関係機関あるいは企業、民間団体などが連携し、実効ある迅速な対応をとることが重要でございます。こうした観点から、本県では、まず、災害予防、そして応急対策、さらに防災復旧・復興、こういった区分によりまして、県、市町村、関係機関・団体が役割分担、相互連携を図りながら推進してきているところでございます。
 本年度は、地震・津波シミュレーション及び被害想定調査を行いまして、これによりまして人的・建物被害などの具体的被害の状況を明らかにしたところでございます。この調査の結果、明らかになりました課題に対応するため、来年度――平成17年度は防災への万全な備えを重点的に進めることといたしまして、先ほど申し上げました災害予防といたしまして、防災意識の高揚や自主防災組織の育成、地域単位での避難計画づくりを進めることとし、また、応急対策といたしましては、災害対応プログラムの作成などに取り組むことといたしております。また、災害復旧・復興につきましても、現在、新潟県では中越地震の復旧・復興が進められておりますので、その状況も参考にしながら本県の復旧・復興対策に反映させていくことといたしております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕
〇地域振興部長(山口和彦君) ブロードバンドの整備についてのお尋ねでございます。
 ブロードバンドの基盤整備は通信技術者が取り組むことが基本でございますけれども、採算性の面から、県内では今年度末で未整備の町村が、先ほど議員から御指摘のありましたように4町村を残すのみとなっております。県としましては、これらの4町村の整備に向けて、今議会に予算を提案しているところでございます。
 その整備につきましては、3町村はほぼ見通しがついている状況でございますけれども、1村は市町村合併の関係から整備方法の調整を行っているところであります。引き続き連携を図りながら、解消を目指してまいりたいと考えております。
 それから、平成17年度末までに全市町村の中心部の整備を目標に取り組んできたところでございますけれども、先ほどお話ありましたように、今後の展開としては、ボックスタイプの交換所の取り扱いもあるわけでございます。これも含めまして、昨今の情報通信技術の進展や地上デジタル放送における通信との連携の動向などを見きわめながら、関係機関と情報交換を図り、ラストワンマイル対策に向けて努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 国道284号真滝バイパスの整備についてでありますが、国道284号は、両磐地域と三陸沿岸地域を結び、交流・連携を促進する主要幹線道路でありますけれども、真滝地区は、人家が連檐し、幅員が狭く、直角カーブがあるなど、特に大型車の交通の隘路となっております。そのため本バイパスを計画しているわけでありますが、内定しております一関研究開発工業団地の中を通る計画となっておりますことから、現在、工業団地の事業主体であります岩手県土地開発公社と共同で環境調査や地形測量などを進めているところでございます。
 今後は、その調査の結果を踏まえながら道路詳細設計などを進めることとしておりまして、関連事業であります工業団地の整備と調整、連携を図りながら整備に取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕
〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 一関市滝沢鶴ケ沢地区での研究開発工業団地の整備についてでございますが、この団地の整備主体となっております岩手県土地開発公社において、平成15年度から環境影響調査及び環境影響調査評価を実施しております。平成16年度には基本設計を実施しているところでございます。平成17年度につきましては、これまでのこうした調査等の結果を反映しましたより詳細な実施計画を作成することとしております。開発に伴う各種許認可の協議に着手する予定でございます。団地につきましては、平成20年度の分譲開始を目標に、着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕
〇教育長(佐藤勝君) まず、国の史跡指定に向けた取組状況と見通しについてでありますが、達谷窟と骨寺村荘園遺跡につきましては、平成17年3月2日付――つい最近ですが――で国指定史跡に指定されました。それから、旧観自在王院庭園につきましても同日付で国指定名勝に指定されております。
 また、そのほか、お話のありました長者ヶ原廃寺跡や白鳥舘遺跡、猫間が淵跡などにつきましては、平成17年1月に史跡指定等の申請を行ったところであります。本年8月ごろまでには国指定史跡になるものと見込んでおります。
 これらの申請をもって、世界遺産のコアゾーン候補に係る国の史跡指定等に向けた手続は一応終了ということになるわけでございますが、今後は、市町村と連携を図り、平泉遺跡群調査整備指導委員会などの助言と御指導を仰ぎながら、遺跡の価値について調査研究をさらに深め、その成果を世界遺産登録の推薦書に反映させるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、保存管理計画の策定、景観保全のための条例制定に向けた取組状況と見通しについてであります。
 市町村は、史跡ごとの保存管理計画を策定し、県は、史跡全体を網羅した、いわゆる包括的保存管理計画を策定することといたしております。これらの保存管理計画は、県と関係市町村とが密接な連携を図りながら、双方の保存管理計画の整合性に配慮するとともに、文化庁や平泉遺跡群調査整備指導委員会の専門的な助言を仰ぎながら、平成17年度中をめどに完成させたいと考えております。
 また、景観保全のための条例については、今年度は、関係する部局の協力を得ながら市町村とともに制定に向けた検討を進めておりまして、これと並行してバッファゾーンの設定についても文化庁と調整を進めているところであります。来年度も、引き続き関係機関と連携を図りながらバッファゾーンを確定させまして、そして条例制定に向けた助言を行うなど、市町村の事務が円滑に進むように県としても積極的に支援を行っていきたいと考えております。
 次に、柳之御所遺跡整備と道の駅の計画との調整についてでありますが、それぞれ柳之御所遺跡と道の駅を整備することによりまして、県道相川平泉線のうち、この整備の部分と重複している区間が使用できなくなることになります。このため、市街地へのアクセスルートを確保することについて、県土整備部を初め、国土交通省、平泉町と調整をこれまで進めてまいりました。その結果、平泉町が県道相川平泉線にかわる道路として、平成20年度に町道中学校線、都市計画道路の坂下線を供用開始することといたしまして、史跡地内を横断しないルートで国道4号バイパスから市街地へのアクセスが確保される予定となっております。
 なお、道の駅の管理用道路につきましては、関連施設を管理する平泉町に対し、柳之御所遺跡等の整備に関係がありますので、十分に配慮した上で、できれば早くルートを確定し、その準備を進めるように申し出をしていきたいと考えております。
〇25番(阿部富雄君) 何点かに絞って再質問させていただきます。
 まず最初に、自然災害の対応についてでありますけれども、確かに知事がお話しされるように、自然災害で被災した住宅の再建、補修というのは基本的には国が行う、これは当たり前のことであります。ただ、国の動向を見守っているだけで果たしていいのか。これは、先ほど知事も言ったように、全国知事会を通じて国に強く要望しているということですから何とかその部分はお願いしたいと思うわけですが、岩手県でも、たしか平成11年だったと思いますけれども、雪谷川がはんらんした際、住宅再建をどうするかということが問題になったことを記憶しているわけです。あのときは余り大きな数ではなかったから県内の大きな問題には発展しなかったのかなと思っていますが、これが100戸、200戸という大規模な住宅被災になったとすると、やっぱり大きな問題になるだろうと思います。今度の国会でも、新潟県の中越地震とか、昨年襲来した台風などの災害復旧対策を盛り込んだ補正予算案が提案されて、その中で住宅本体だとか建てかえへの支給も議論されたんですけれども、国は、去年、通常国会で被災者生活支援法を支給額100万円から300万円に引き上げをした、そういうこともございましたし、それから、衆議院の災害対策特別委員会で、4年後にこの制度を見直しをしましょう、こういう附帯決議があって、それ以上の前進はなかったんです。これについては、与野党問わず、やっぱり住宅再建はやるべきだという議論が強く出ていたことはそのとおりであります。
 では、4年後にこういうことが期待できるのかというと、やっぱり非常に私は厳しいだろうと思っています。報道などを見る範囲では、財務省なんかは、大都会、言うなれば東京などで巨大地震が発生すると200万戸の住宅が全壊するのではないかと。仮に200万戸を救うとすると、現行制度では6兆円かかる。これを住宅本体にも支給範囲を拡大すると、とても300万円では家が建たないから支給額の上積みを求めてくる。それだけの財政支出はできないんだ、こういう言い方でずっと一貫しているわけです。そうであれば、当面、県としてもそれなりの対応をきちっとやっておくことが必要ではないでしょうか。
 県は、平成17年度の予算でがけ崩れ危険箇所住宅移転支援をやるとしているわけです。これは、がけ崩れ危険箇所から住宅の移転を支援することでがけ崩れ災害発生時の被害軽減を図り、がけ崩れ危険箇所の削減に努めるとしているんです。支援の内容は今後検討されるだろうと思いますけれども、いずれ個人の財産形成に支援することには変わりないわけですよね。被害の未然防止には支援するけれども、現に被災した者には支援しないということにはならないだろうなと私は思います。
 特に、新潟県なんかを見ても、住宅ローンの支払いが終わらないうちに被災に見舞われるとか、あるいは、高齢者世帯なんかでは、自力による生活基盤の回復は難しく、地域の振興・維持というものはできない、こういうふうに言われているわけであります。
 私は、単に県が金を出して済ませなさいという提言を申し上げているつもりはありません。先ほども言いましたけれども、鳥取県は基金を活用した方法をとっています。兵庫県は、年額5、000円の共済掛金による再建制度をつくっているわけですね。岩手県でも、市町村交通災害共済というものをやっているんですよね。これは、当初1日1円で365円ということでしたが、今は400円になっていますけれども、これを県民が負担すれば、最大110万円の共済金の支給を受けられるという制度ですね。ですから、こういうものを見ていけば、県としても、1日10円負担することで、被災した住宅再建のために300万円、あるいは500万円、これぐらいの支給が受けられるんだという制度を、私は考えてみてもいいだろうと思います。
 知事は、今議会の中でも、自分の最大の任務は県民の生命と財産を守ることだ、こういうふうに言っているわけです。ですから、どのような制度が岩手県として可能か、これは金がかかることじゃございませんから、ぜひ関係部局に検討をさせる、それぐらいの気構えを持って、私はこの災害対策には臨むべきだと思うんですけれども、知事はそういう指示をされるという考え方があるのか、お尋ねしたいと思います。
 それから、県外事務所等の関係についてでありますが、確かに、今知事から答弁あったように、韓国からの観光客は4倍ぐらいにふえている、そういうことだろうと思いますけれども、私が指摘しているのは、海外から観光客がふえているということは喜ばしいことでありますけれども、アンテナショップとか、あるいは海外事務所の誘客効果があったかということを私は問題にしているわけです。ですから、やっぱり4倍にふえているならふえているでも結構ですから、一定の検証を行って、これは海外事務所の成果だ、あるいはそれ以外の成果だ、そういうふうな見方をしていくことが必要ではないでしょうかということを指摘しているわけです。
 そんなことは簡単にできるんですよね。岩手県に入っている外国人観光客の動向を、ちょっとアンケートをとるとか、あるいは動向調査をやるとかやれば、何%かの抽出でもできるわけでありますから、やっぱりそういうものをもとに判断すべきではないのかと。そういうことによって、県外事務所、あるいは海外事務所の果たしている役割、あるいはそれ以外のところで入ってきているとすれば、そういうところに力点を置いた施策をやっていけば観光客の増というものが図られるのではないでしょうか。私は、そういうことをもって判断すべきだということですが、どういうふうにお考えでしょうか。
 それから、海外とのビジネスの関係、いろいろやっていくということは、私はいいことだと思っています。そのやること自体を否定するわけではないですけれども、さっき言ったように、海外事務所を構えても、私は、非常に難しいだろうと思うんですね。例えば、中国を例にとってみれば、大連だけが中国市場じゃないでしょう。中国というのはもっともっと広いわけです。ジェトロは、北京、香港、上海、大連、広州、こういうところに事務所やセンターを構えているわけであります。ですから、やっぱりジェトロと連携して、どうしても人材を派遣して、岩手県を有利な体制に持っていきたいというのであれば、ジェトロに職員を派遣して、人材育成を兼ねながらやっていくことがより効果的だということにならないでしょうか。本格的な事業を展開するとすれば、ジェトロ活用を図ることが、私ははるかに効果的だと思うんですが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
 それから、市町村合併の関係、極めて簡単にお話をいただきましたが、いずれいろいろな経過があったということについては知事も認識をしていただいているようでありますから、これ以上のことを聞いてもどうにもならないと思います。
 問題は、一関地方合併協議会から結果的に藤沢町は排除されてしまった。それから、退席発言問題を理解されなかった平泉町は、当面自立の選択をした、こういうことになっているわけですね。ただ、両町とも合併の道を放棄したものではなくて、合併協の理解を得るための財政の健全化であるとか、住民合意を得る、そういう努力を行っているわけであります。
 問題は、合併協の問題なんですが、合併協の首長さんたちは、藤沢町、平泉町にも門戸を開いているよと言いながら、迎え入れるのは合併後ですよ、こういう言い方をしているんですね。合併が行われれば、首長も議会も一新されることになっているんですね。自分の権限、選択権が及ばない時期を指して、自分たちが何でもできるというような、そういう姿勢に終始しているということは、やっぱり私は問題なのかなと思っているわけです。
 ただ、両者は新市に入りたい、入れる、こういう基本的な部分については一致はしているわけであります。それぞれの自主的な取り組みは当然でありますけれども、県としても、両磐地域が一体となるための環境づくりが必要ではないのかなと考えているわけであります。何回も、今度の議会でも議論されていますけれども、本年4月に新しい合併法が施行されるということで、知事は、市町村の合併に関する構想を策定するということになっているわけであります。知事が策定する構想については、両磐地区の合併協議にかんがみて、住民のための、地方公共団体の健全な発展のための合併ができるような方向を私は示していただきたいと考えるわけでありますが、どういう考え方でこの構想策定を行っていくのか、お尋ねします。
〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇知事(増田寛也君) 順次お答えいたしますが、まず、住宅再建の支援については、実は、県としても大分勉強していまして、これは知事会の中でも随分議論があって、どういう方法でいくのか、共済方式のような形でいくのかどうかも随分議論がありました。いずれにしても、全都道府県の合意というのは、やはり国も含めた全体として、法律の中できちんとこれを位置づける必要があるということで、今一番恐れているのは、逆に言うと、鳥取県もそうなんですが、後追いで、もう実際に震災というか、地震が起きて、やむを得ず、現実に集落が崩壊してしまうということがあって、ああいう形での制度を後から――新潟県も今回そうですけれども――つくっていったということなんですが、あくまでも本筋は、法律の中で住宅本体支援というものを真っ正面から位置づけて、国も入った中でそういう制度づくりをしていこうということであります。
 岩手県としても、そういう大きな知事会の中の合意の線に沿って、県としては、いろいろなやり方、やるとすれば、鳥取県ですとか、他県でもあるような形で、どこを限度にそういう住宅本体の再建まで県として関与するか、こういうことがあるので、これはもう十分にこれからも勉強していかなければいけませんし、検討していかなければいけません。今までも随分資料はあるんですが、それをこれからもやっていきますけれども、やはり国に対して、法律改正をしっかりとやるようにということで主張していかなければならないと考えております。
 それから、アンテナショップの関係ですけれども、こちらについて私は、やはり今お話があったように、アンケート調査などを今後やったらいいと思うんですね。アンケート調査をよくやって、それで分析をしていく必要がありますので、よそから来た人たちにも、やり方はこれからいろいろ工夫しなければいけないと思っていますが、アンケート調査も行って、よく分析して、それでやる必要があるだろうと。
 アンテナショップは個々の観光紹介とか宣伝というよりも、もっとエージェントに対する働きかけとか、基本的な情報の提供とか、いろいろやっていますので、そことの直接的な入れ込み客とのつながりが見えづらいところもあるんですが、まず、どういうことがこれから有効か、アンケート調査をもとにしてよく検証して、機能がさらに生かされるようにしていきたいと思います。
 それから、海外事務所の関係なんですが、ジェトロとの連携も私は大変重要だと思っていまして、これはやらないといけないと思います。ただ、ジェトロの場合は、今までも随分海外のジェトロ事務所と協力してきていますが、基本的に、岩手県の個々の企業へのニーズには対応しないで、全体としての情報提供等はいたしますけれども、個々の企業のために、間に入って向こうの企業とのいろいろな相談に乗るとか、そこまでのことはジェトロとしては組織としてしないことになっていますので、やはり、ある一定のところからは、それぞれの県で設ける事務所できちんとしたつなぎをしていかなければならないだろうと思います。
 確かに、中国も大変広いところですから、どこからやるか等の問題もあるんですが、今見ておりますと、岩手県と、県内企業のつながりが一番大きい大連を中心にして、まず、これからそういった企業の商談、それから、特に向こうから来る観光客ですね、ビザも解禁になりましたので、そういうことを含めて事業を立ち上げていけばいいのではないか。その際には、あるいはそのほかの地域についても、ジェトロとの連携は今まで以上に密接に図ってやっていきたいと思います。
 最後に、合併新法の関係で、特に平泉町と藤沢町のお話があったんですが、ここが新しくできる市との関係では、やはり重要なパートナーだろうと私は思いますので、新しい法律でつくる構想があるんですけれども、そういった構想をつくるときに、やはり事前に平泉町とか藤沢町初め、それから、新しい市の方の意向も十分聞かないといけないと思っていますので、そこの御意向をよくお伺いした上で、この構想というものはつくって、その上で次に生かしていきたいと考えております。
〇25番(阿部富雄君) もう1点だけお尋ねしますが、住宅再建の支援の関係、県でもさまざまな検討をやられているということですから、私は、国が3年とか5年をめどに国としての支援のあり方を決定するという見通しがあるのであれば、このままでもいいだろうと思うんですが、さっき前段で述べましたように、かなり厳しいだろうと思っています。そうであれば、災害というものはいつ来るかわからない。知事の言う、県民の財産を守るという考え方に立てば、やっぱりスタートさせることが必要ではないでしょうか。県独自の制度をスタートさせる。それを全国知事会なり、あるいはこういう住宅復旧の支援を必要とする都道府県がそれぞれ制度化をすることが、国の施策を早期に実施させる力にもなっていくと私は思いますので、何とか知事、ここ二、三年で県としても方向性をきちんと打ち出すという考え方に立てないものか、お尋ねします。
〇知事(増田寛也君) 今の関係ですが、この間もかなりいい線のところまで行きまして、政党の方も大分理解をしていただけていたんですよね。ただ、多分、最後は財政当局なんだろうと思います。むしろ財政当局の方の抵抗が大きかったんだろうと思うんですが、自由民主党も、民主党も含めて、政党の感触はかなりいいところまでいっていたような感じがするので、やはりどこまでふくれ上がるか、どうもそこの心配を、役人の心配があるという気がしていて。
 それから、もう一つ、気になっていますのは、じゃ、都道府県の方でその本体の方はやって、我々はあくまでもその周辺のところをやるんだというようなこともちょっと見え隠れしているところもあるんです。ですから、ここは大変微妙なところではあるんですが、実際に、やはり大きな災害が出たときには、現場を抱える我々としては本当に真剣に考えなければいけないんですが、そのときに、やはり県によってはそういう決断をして、今までないところまで乗り込んでいったところもあるので、私は、やはり、今の構えとしては、政党などへの働きかけも大事だと思うんですが、まず、知事会などを通じて、大きな力で我々としての正論をきちんと表明していくこと、主張していくことだと思います。
 ただ、議員がお話になっているような御心配を決して否定しているものでも何でもございませんので、中の方でも、県としての十二分な検討はきちんと行って、それで、いろいろなケースがあると思うんですけれども、岩手県としての、いざとなった場合にどういう対応が必要になってくるかなどについては、よく検討しておきたいと思っております。
〇議長(藤原良信君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成17年度岩手県一般会計予算から日程第99 議案第98号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(藤原良信君) この際、日程第2、議案第1号から日程第99、議案第98号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので発言を許します。斉藤信君。

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