平成17年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 通告の順に、以下お伺いをいたします。
 初めに、地方分権改革に当たっての知事の認識についてお伺いいたします。
 まずもって、増田知事におかれては、去る2月17日に行われました全国知事会会長選挙において大いに健闘しながらも、福岡県の麻生知事に会長の席を譲られたことは、実にすがすがしく、見事でありました。会長選挙の経過はテレビで拝見いたしましたが、地方6団体のトップとして、そのあるべき姿を果敢に訴えられたことは、今後においても国と地方との関係を、より一層分権自治に近づける力を知事会に与えたものと考え、今回の行動を高く評価するとともに、今後の活躍に御期待を申し上げる次第であります。
 さて、質問の第1は、地方交付税についてであります。
 増田知事とともに分権改革に取り組んできた鳥取県の片山知事は、地方交付税の今の姿について鋭く国の対応を批判しております。片山氏の主張点の一つに、不透明な地方交付税の算定プロセスと交付税の先食いによって、いたずらに需要を伸ばすことはやめるべきだとの指摘があります。まず、算定のプロセス、つまり総額の決まり方が不透明であること。本来、国税5税の一定割合である交付税率の変動を嫌い、特例で加算するなどでつじつま合わせを繰り返してきたこと。そのため、財務省と総務省のやみの折衝によって結果だけが決まるという、非常に不透明なシステムになってしまったこと。
 また、交付税の先食いについては、政府に、後で面倒を見るからと言われて、景気対策のために地方団体は借金をして公共事業を実施してきたが、そのツケがどんどん膨らんで償還のピークを迎えていること。したがって、今後は交付税の先食いでいたずらに需要をふやすことはやめなければならないこと。また、交付税改革が進んでいないと言われるが、これは全くのうそで、実際はこの数年で交付税は3割近くも減っており、交付税改革に手がついていないというのは、財務省のプロパガンダにすぎないと述べております。昨年10月18日付日経グローカルに掲載をされているこの片山氏の指摘は重要であります。自主財源に乏しい本県などにあっては、地方交付税制度はしっかりと堅持されなければならない制度であります。改めて先ほど述べました片山氏の意見を含め、知事は、地方交付税制度のあり方についてどのような認識をお持ちかお伺いをいたします。
 第2は、公共事業が税源移譲の対象にならなかった点であります。地方分権改革に当たって、公共事業に係る国庫補助金が税源移譲の対象とならなかったことは残念であります。地方分権改革の先頭に立ってこられた知事は、このことをどう受けとめているでしょうか。
 第3は、生活保護行政を国と地方自治体がどのように責任分担するかという問題であります。憲法第25条は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を定めております。この生活保護行政は国の責任で行われるべきであり、その意味でも、少なくとも4分の3国庫負担割合は堅持した上で、国と地方自治体の責任において、貧困からの脱出支援など、生活の安定と自立を支える仕組みが組み立てられるべきと考えますがいかがお考えでしょうか。
 第4は、義務教育の分権化の問題であります。これからの自治体行政の最大の課題は、教育、すなわち将来を担う子供たちをどう育てるかにあると考えます。これまでも子供たちが学ぶ校舎の改築や補修は大きな行政課題でありました。義務教育費国庫負担制度のあり方をめぐっては、本県議会は堅持であり、知事は財源移譲対象とする方向にあります。そうであるなら、例えば23校で実施の少人数学級研究指定校の拡充など、30人以下学級の早期導入推進により、学力水準を含め子どもたちの教育について、より積極的に力を入れて取り組む必要があると考えます。国が責任を持つより自治体が責任を持つ方が子どもたちの幸せになるということを具体的に示し、広く県民の共感を得る必要があると考えますがいかがでしょうか。
 また、文部科学省は、最近しきりとゆとり教育の見直しを言っておりますが、このことについて知事はどうお考えか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、国民保護法についてお伺いをいたします。
 昨年9月17日に施行された武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律は、地方公共団体に対して警報の伝達や避難の指示、救援の実施等、国民の保護を目的に多くの措置を実施する主体と位置づけ、その責務を課しているものであります。この責務に基づき地方自治体は、都道府県国民保護対策本部、市町村国民保護対策本部の設置、さらに、知事並びに市町村長の諮問機関として、都道府県国民保護協議会及び市町村国民保護協議会を設置することとされました。
 今議会に提案されている議案第25号及び議案第30号は、こうした流れを受けての措置と思われます。私は、2002年――平成14年6月議会で有事法制について知事に見解を求めました。当時国会で審議中の武力攻撃事態対処法等について私は、地方公共団体の責務と役割を規定した上で、関係する地方公共団体の長等に対し、当該対処措置を実施すべきことを指示する権限や、国による代執行権が定められているなど、著しく地方自治権を侵害する内容を持つものであること。近隣諸国から武力攻撃を受けることを想定する前に、平和、友好の精神に基づいた国の外交こそが、何より大切であると述べました。
 これに対して知事は、我が国の平和と安定の確保のためには、日常における諸外国との対話、交流、協力を通じた信頼関係の増進が第一であるが、万が一の有事に備え、その対処方法や手続等についてあらかじめ法を整備しておく必要があると考える。しかし、今回の武力攻撃事態対処法案等の有事関連法案については、有事のとらえ方や有事におけるさまざまな国民保護のための措置に当たって、国の判断と地方自治体の判断の整合性など、国民や地方自治体にわかりにくい内容となっていると感じているとし、国民の保護に関する法制については、国民の主権や地方自治にかかわる極めて重要な内容を含んでおり、一つ一つきちんとした議論を積み重ね、広く国民の合意を得ることが必要であるとの答弁でありました。
 また、自衛隊法の一部改正等については、自衛隊の出動時などにおける関係法律の特例措置等が規定される一方で、内閣総理大臣の指示や代執行に関する要件等は今後定める法律で規定することとしているが、その内容によっては、指示や要件が無制限なものになるおそれがあるものと懸念しているとの答弁でありました。
 そこで、幾つかお伺いをいたします。
 まず、第1に、知事の基本認識についてでありますが、ただいま述べましたとおり、知事は、有事法制そのものの必要性は認めつつも、有事における国民保護のための措置に当たって、国の判断と地方自治体の判断の整合性の面において、わかりにくい内容になっていること。自衛隊の防衛出動時などにおける関係法律の特例措置等が規定される一方で、内閣総理大臣の指示や代執行に関する要件などについては、その内容によっては、指示や要件が無制限なものとなるおそれもあるとする知事の疑念は、どう解消されているのでしょうか。もし今日においても不整合性があるとしたなら、どのような点にあるとお考えかお伺いをいたします。
 第2は、国民保護法を初めとする有事関連法における地方自治法上の位置づけは法定受託事務と思われますが、一方、国と地方自治体との関係は垂直な命令系統に置かれることが予想されます。知事はこのことをどう受けとめているでしょうか。
 第3は、指定地方公共機関でありますが、これはどのような機関が予定されるのか。また、どのような任務を持つものでしょうか。
 第4は、岩手県国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部、市町村国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部の設置であります。設置に当たっては、都道府県及び市町村の国民の保護に関する計画に基づいて設置されることとなっているようでありますが、この計画はできたのでしょうか。なぜ今議会に議案第25号、議案第30号が提案されたのでしょうか。
 第5は、災害対策基本法とのかかわりであります。そもそも基本的性格が災害対策とは異なるものであり、県防災会議と一体運用はできないと考えますが、どのように区別するのでしょうかお伺いをいたします。
 次に、災害対策についてお伺いをいたします。
 昨年は相次ぐ台風の上陸に加え、新潟県中越地震など日本各地で大きな災害が続きました。本県では余り大きな災害はなかったものの、防災対策は県民の安全な暮らしを守る上で極めて重要な施策であります。県は昨年12月に、岩手県地震津波シミュレーション及び被害想定調査に関する報告書を公表いたしました。これは、国が2033年までに宮城県沖地震が発生する確率99%、さらに、明治三陸津波級の地震の発生する確率20%程度としたことから、諸対策の基本的方向を定めたものと承知をいたしております。
 そこで、幾つかお伺いをいたします。
 第1は、これまでの耐震診断の実施状況についてであります。
 本県においても、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災以降、公共施設等の耐震診断が行われてきたと承知をしておりますが、特にも学校や公民館などの施設は、災害発生時には、子供たちの安全はもとより避難所となること、また、県や市町村の庁舎は避難所となることにあわせて、それぞれの地域にあって災害情報の収集、報告、さらには、災害応急対策等の機能を発揮する場となるものであります。これら公共施設の耐震診断の実施状況と改築、補修等の手だてはどうなっているでしょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 第2は、災害発生時において避難や緊急車両の通行を確保する上でも、道路、橋梁、河川堤防などはふだんからの点検や補修により被害を最小限度に食いとめる対策が必要であります。これらの耐震診断と補修等はどうなっているでしょうか。また、防潮堤などの海岸保全施設についても、あわせてお伺いをいたします。
 第3は、個人の住宅等に対する耐震診断でありますが、これまでの取組状況と今後の実施計画についてお伺いをいたします。
 第4は、耐震診断や被災後の建物の危険度を判定する場合の体制についてであります。県や市町村の建築技術職員だけでは到底対応し切れないと思われますので、県内の建築士会や事務所協会等の協力を得なければならないと考えますが、その体制はどうなっているでしょうか。
 次に、本県人口の予測と対策についてお伺いいたします。
 1999年――平成11年8月に策定された新しい岩手県総合計画、みんなで創る夢県土いわては2010年度――平成22年度を計画目標年次としており、2005年度――平成17年度は中間年度に当たります。私は、この計画策定時に県総合計画審議会委員の一人として人口・経済専門部会に参加させていただきました。議論の中心は、これからの本県人口の推移を地域経済活性化と一体的にとらえ、県総合計画全体において、主要なテーマとして位置づけるべきだというものでありました。
 さて、具体的な人口予測と現状でありますが、平成11年10月1日の本県人口は141万5、676人でありました。中間年次である平成17年を139万人ないし141万人、目標年次である平成22年度は137万人ないし140万人と設定されました。これに対して平成16年10月1日の本県人口は139万4、810人であり、残念ながら低位の予測数値と一致しているのであります。
 こうした経緯を踏まえ、以下お伺いいたします。
 第1は、基本計画との関連でありますが、基本構想においては、全体として少子・高齢化社会の到来を反映した自然減が、改善に向かう社会増減を上回ることにより、総人口は緩やかに減少していくことが予測されると分析している中にあって、産業や福祉など諸施策の方向を明らかにしている基本計画では、この人口の推移とそれを踏まえた対策をどう位置づけてきたのかお伺いをいたします。
 第2は、人口と地域経済とのかかわりであります。このまま人口減少が続くことになりますと、各産業分野において、後継者問題はより一層深刻な問題になってくるものと思われます。人口見通しを年齢別に見ますと、ゼロ歳から14歳までの年少人口と、15歳から64歳までの生産年齢人口が減少し、65歳以上の老年人口が増大するとしています。この中で、生産年齢人口をふやすためには、県外流出の抑制を含め、社会増を図ることが必要でありますが、この点について、これまでの取り組みと後期計画期間における具体的な取組方針をお伺いいたします。
 次に、雇用問題についてお伺いいたします。
 財団法人岩手経済研究所による県内経済の分析によりますと、個人消費が低調に推移しているほか、住宅建設が一進一退の動きを続けており、回復傾向にあった鉱工業にも陰りが見られるとし、雇用面では緩やかな改善傾向にあるものの、有効求人倍率が2カ月連続で前月を下回っており、やや弱含みとなっているとしております。このことは、依然厳しい雇用環境にあることを意味しており、とりわけ年度末を控え就職を希望する新規高卒予定者は、就職内定に向けて懸命の努力がなされていると思います。
 さて、私の地元の北上公共職業安定所管内の今春の新規高卒予定者の就職内定状況は、1月末現在で縁故就職や公務員志望を除いて82.5%で、平成12年度以来の高水準になっているようであります。しかし、2月に入ってからの伸びが鈍く、その理由として、地元志向の生徒が多く県内就職の競争率が高いこと、また、求人の傾向は製造業が比較的多く、それ以外の業種が少ないため就職内定率が厳しい状況になっていると見ているようであります。
 そこで、お伺いいたします。せっかく地元就職を希望しながらも、求人先が少ないということはまことに残念でありますが、こうした傾向について県内的にはどのように把握されているでしょうか。対応策を含めてお示しいただきたいと思います。
 次に、農林業の振興についてお伺いいたします。
 初めに、農業問題についてであります。食料・農業・農村基本法が制定されてから5年後の基本計画見直しに当たって国は、昨年8月に中間論点整理が、さらに、本年2月には食料・農業・農村基本計画原案が公表されるなど、今後の日本農業の方向づけが新たに行われようとしております。
 論点としては、2010年までに食料自給率45%達成目標堅持、農業全体を自然との共生・環境創造型農業へ転換させるための農業環境政策の一層の推進などの課題を、新しい基本計画にどう位置づけるかなどがあると伺っております。
 さらに、最大の課題は、これらの目標達成を担う担い手をどこに求めるかであり、このことについて、JAを初め農業団体は、国が示す担い手要件では、これらの目標を達成することが不可能との考えから、現場実態に即した多様で幅広い担い手を求め、育成するべきであると主張しているようであります。農林水産省内部においても、現実に農家所得の50%以上が農業所得で、しかも、65歳未満の農業従事60日以上の者がいる専業農家が存在しない水田集落の割合が、全国で5割に上るという実態を踏まえ、現場実態に即した多様かつ幅広に担い手を確保すべきだとの意見もあるやに伺っております。
 そこでお伺いいたします。
 ただいま述べました国の新しい基本計画策定に向けた食料・農業・農村政策審議会の議論を、県はどう受けとめているでしょうか。また、担い手の確保対策など、岩手の実情を踏まえ、これまで国に対してどのような意見を述べてきたのか、お伺いをいたします。
 次に、林業の振興についてでありますが、林業経営は低価格の外材に押され、県産材の需要が低迷して久しいものがあります。しかし、地球温暖化対策としての京都議定書が発効するなど、森林が持つ環境面での効果は高い評価を得つつあります。我が国は、毎年9、000万立方メートル近い木材を紙や建設、家具用などに使用しておりますが、そのうち8割以上が海外からの輸入であり、世界屈指の木材輸入国です。一方、木材原産国には、原生林を含む保護価値の高い森林の乱伐や、違法伐採が問題となっている国々も含まれていると言われております。
 今、第三者の専門機関によって適切に管理され、持続可能な木材であることを証明する森林認証制度が世界的広がりを見せておりますが、残念ながら、日本の企業は、この取り組みに極めて消極的だとの指摘を受けております。
 県においては、林業公社を廃止し、県有林事業特別会計が引き継ぐ計画であることなど、厳しい経営が迫られております。森林県岩手として、ただいま述べました世界の標準的な認証制度であるFSC――森林管理協議会の認証を受ける取り組みを、全国に発信してみてはどうでしょうか。この方法は、国産材、県産材の復活にとって極めて有効であると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。
 青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場で、昨年12月21日に、劣化ウランを用いたウラン試験が始まりました。来年1月には、本試験の予定と聞いております。この工場は、日本の各地に設置されている原子力発電所の使用済み核燃料再処理としてウランとプルトニウムを取り出し、再び原発の燃料にリサイクルする計画で建設が進められてきました。しかし、プルトニウムを使用する高速増殖炉は、実験炉もんじゅの10年前のナトリウム漏れ火災事故により運転が停止しており、プルトニウムとウランを混合して、新たな燃料として一般の軽水炉で使用するプルサーマル計画も、福井県や福島県では、住民と自治体が安全性の問題で計画の受け入れを拒否しており、現時点で再処理された燃料が再び使用される状況になっております。加えて、再処理工場から排出される廃液や排ガスにより、放射能による汚染が懸念されることから、青森県内を初め、全国の地域で再処理工場の稼動中止を求める声が上がっております。
 私も、岩手県内の環境への影響があるのではないかと考え、以下、お伺いをいたします。
 第1は、これまでに知事は、青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の処理計画概要について、日本原燃や青森県等の関係機関から説明を受けているのでしょうか。説明を受けているとすれば、その内容をお知らせ願います。
 また、説明を受けた経緯がないとすれば、再処理工場が本格稼動した場合、本県の環境に対する影響の有無について、北東北三県の連携を進めてきた立場からも、知事は改めて説明を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第2は、本県沿岸域における環境影響調査についてであります。
 特に、海に排出される廃液に含まれる放射性物質等は、津軽暖流に乗って南下し、本県沿岸に到達することが予想され、県民への健康被害や養殖漁業への影響が懸念されるところであり、本県の重要な水産業を守り、安全・安心な食料を供給する上からも、また、あらぬ風評被害から本県水産業を守る上からも、環境への影響を把握しておくことは大変重要なことと考え、お伺いする次第であります。現状と今後の対応策についてお知らせ願います。
 次に、県競馬事業のあり方についてお伺いいたします。
 県競馬事業の経営改善策第2弾が先ごろ公表され、議員にも説明がありました。ぎりぎりの改善策であり、これ以上のものはもう出せないといった説明であったと記憶しております。
 私は、昨年12月議会において、総務委員会の場でも本会議の場でも、県競馬事業の整理・縮小の必要性を述べてきました。言うなれば1場体制であります。廃止する競馬場の公的な利活用方法を真剣に検討すべきではないかと、今でも考えております。やがて、この手法を検討する時期は来るのではないか。だとすれば、早い時期に1場体制への移行を考えるべきだと思いますが、県としては、こうした観点は頭の隅にもないことなのでしょうか、お伺いをいたします。
 以上で、本席からの質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方交付税のあり方についてのお尋ねでございますが、国が法令などによりまして地方公共団体に義務づけを行っている限り、それに対しての必要な財源保障を行うことは不可欠でございまして、また、地域によって財源が偏在している中にありまして、団体間の財政力格差の是正を図る必要もございますので、地方交付税制度の役割は極めて重要である、このように認識をしております。ただし、現在の交付税制度でございますが、これにつきましては、補助金化などによりましてその機能が肥大化をしていて、制度としての規律、健全性を喪失しつつあるなどの問題点が生じております。
 今、議員の方からお話がございましたとおり、鳥取県知事が先食いというような表現で批判をしてございますが、私もそうした政策誘導的な部分というものは見直しをする、そして、財源調整機能を柱とする透明でシンプルな制度をしていくべきもの、このように認識をしております。
 また、地方交付税は地方固有の財源でございまして、その交付の決定過程におきましては、国の関与のもとでの調整ではなくて、当事者である地方を参画させることによって決定のプロセスの透明化を図り、適切な配分を行うことが不可欠である、このように認識をしておりまして、これからの交付税改革が地方の自主的かつ安定的な行財政運営につながるように、あらゆる機会を通じて、引き続き国に対して提言をしていく考えでございます。
 公共事業関係の国庫補助負担金でございますが、これは一般財源化が図られれば、いわゆるローカル・スタンダードの導入など地方の創意工夫が生かされて、住民ニーズに的確に応じた事業展開や、より効率的、合理的な事業執行が可能となりますので、三位一体改革の趣旨から申し上げましても、最も税源移譲にふさわしい、いわば4番バッターではないかと考えております。理屈上も、建設国債といえども、これは償還に国税を充てておりますから、移譲対象となる税源は存在をしているわけでございまして、これは地方への税源移譲は当然可能である、このように考えております。
 それから、生活保護制度でございますが、もともと国民の最低生活を保障するために、これは法律に基づいて全国一律の基準により運営をされているものでございまして、地方は、法定受託事務として国の包括的な責任のもとに事務を行っているものでございます。したがって、その運営に地方の裁量が入り込む余地はございませんで、この生活保護の実施に必要な財源というのは、これは国が保障すべきものと思っております。
 負担割合の引き下げは国から地方への単なる負担転嫁に過ぎませんで、地方の自由度や裁量の拡大に全くつながらないものでございますから、ただいまの議員の御指摘に私も全く同感でございまして、県としては地方6団体とともに、国に対して現行の負担割合の堅持を強く求めていきたいと考えております。
 それから、義務教育の分権化ということでお話がございました。この義務教育の実施は、法律上、自治事務とされていることからもおわかりのとおり、国がすべてその責任を持つものではなくて、現場の地方自治体にありましては、その水準を維持しながらも、地方独自の工夫や地域住民の声を反映させるなど、自治体の裁量と責任において、地域に根差した教育を展開できるような仕組みにすべきものであると考えております。その上で、今議員御指摘のように、地方の自主性、独自性を示す具体例を数多く出していくことが、これは一方で県民からも期待されているものと考えておりまして、本県でも、例えば少人数学級につきまして、平成17年度、小学校の低学年を重点に拡大して、いわゆる研究指定校も10校程度ふやすことにしてございますが、こうした研究指定校における成果や課題を継続的に検証しながら、本県の少人数教育の方向性について教育委員会と協議した上で、できるだけ早い時期に示せるように検討していきたいと考えております。
 次に、いわゆるゆとり教育の見直しについて最近動きがあるわけでございますが、私は、次代を担う子供たちをはぐくんでいくためは、しっかりとした基礎・基本の定着の上に、考える力、問題解決能力などの育成に努めていくことが極めて重要であると考えております。
 国におきましては、今、中教審に対して学習指導要領全体の見直しについて本格的に着手するよう求めているわけでございますが、その見直しの背景にある学力低下への危惧などについては理解もできるわけでございますが、今般の見直しに当たりましては、例えば総合学習の時間がございますが、こうした総合学習の時間について、その実態を十分検証することなどが必要になるのではないか。そして、何よりも子供たちにとってよりよい方向で議論がなされるように、その動向を十分に注視してまいりたいと考えております。
 次に、国民保護法についてのお尋ねでございますが、従来より、知事として県民の生命、身体、財産を守るという大変重大な責務がございまして、万が一の有事に備えて、その対処方法や手続などについてあらかじめ法整備をしておく必要がある、こうした考え方から有事法制や国民保護法制などの必要性は認める、このようにしてきたところでございます。
 国民保護法の作成過程におきましては、我々属しております全国知事会で、知事も出席した意見交換会が2回開催されまして、そのほか事務的な説明会等もございまして、そうした議論が重ねられてまいりましたし、また、全国市長会、全国町村会などの意見も取り入れられたところでございまして、こうした進め方としては、随分丁寧に作業が行われてきたと感じております。したがいまして、その結果として、知事の総合調整権が強化をされ、また、指示や代執行の要件などが明確化されておりますので、法整備前に抱いていた懸念は解消されたと考えているところでございます。
 この国民保護法の中での国と地方自治体との関係についてでございますが、外交、防衛は国の専管事項でございまして、第一義的には、国の責務において対処をされるものでございますが、一方で、県民の生命、身体、財産の安全を守るというのは、知事の重大な責務でございます。
 武力攻撃事態などは、国家の緊急事態の中でも最も重大なものでございますので、これに的確に対処するために、国全体として万全の措置を講ずることが必要であるわけでございまして、地方公共団体に対する一定の国の関与はやむを得ないものと考えておりますが、国と地方公共団体とは、共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力をし合う関係でございますので、地方自治の原則というものは、こうした武力攻撃事態等におきましても、尊重されるべきことは当然である、このように考えております。
 それから、この国民保護法の中での指定地方公共機関についてのお尋ね、どのようなものが予定されるのかと、どのような任務を持つかということでございますが、この指定地方公共機関でございますけれども、これは国民の保護のための措置の実施主体としてみずから業務計画を作成して、その業務について、法律の規定に基づき、自主的な判断により国民の保護のための措置を実施する責務を有するものでございます。
 現在、指定に向けて県内で意見聴取を行っているところでございますが、指定を予定している機関は、公共性や公益性が高く、その役割や業務計画の作成などが必要なことなどを勘案いたしまして、原則として、災害対策基本法に基づきます指定地方公共機関と同様の機関を、今考えているところでございます。
 次に林業振興の関係で、いわゆる森林認証についてのお尋ねでございます。
 FSCというこの国際組織の森林管理認証につきましては、本県では、これまでに岩泉町、気仙地方森林組合、北越製紙株式会社が取得をしてございまして、また、その森林から生産された木材製品であることを証明するいわゆる加工流通管理認証につきましては、三陸木材高次加工協同組合を初め、九つの企業、団体が取得するなど、森林認証の取り組みが進展をしております。持続的に林業経営を行って、将来に向けて森林を適切に保全、管理していくためには、この仕組みというのは大変有効なシステムであると考えておりますが、認証製品に対する消費者の認知度はいまだ低くて、認証の取得やその維持に係るコストが現実のマーケットにおいて価格に反映できないといったようなこともございますので、認証取得を目指す森林所有者や企業が、必ずしも多くないというのが現状でございます。
 今後、多くの森林所有者や企業にこのシステムにもっと積極的に取り組んでもらうことが必要である、このように考えております。このため、森林管理から製品化までの森林資源の循環システムを構築してございます気仙地域などにおきまして、認証製品の供給を促進するなどの具体的な取り組みを推進して、その中で森林認証の意義を森林所有者、企業だけでなくて、消費者にも発信をしていきたいと考えております。
 次に環境問題で、使用済み核燃料再処理工場についてのお尋ねでございます。
 これまで核燃料の再処理工場の処理計画につきまして、事業主体の日本原燃株式会社や青森県から説明を受けたことはございません。
 この再処理工場が本格稼動した場合の本県への影響の有無につきましては、3点ほどの理由でございますが、以下の理由によりまして、当面、地元自治体としての青森県が行っております情報提供の状況を見守ることとしたいと考えております。
 まず、理由の第1点でございますが、周辺地域の安全確保及び環境保全につきましては、地元でございます青森県及び六ヶ所村と日本原燃株式会社との間で安全協定が今結ばれておりまして、事業者が青森県へ放射性物質の放出状況や環境放射線等の測定結果を定期的に報告してございます。
 それから、二つ目には、施設周辺におきまして、青森県が定めました環境放射線等モニタリング計画によります常時監視体制というものが今整備をされておりまして、監視結果はインターネットによりましてリアルタイムで広く情報提供をされております。我々も情報を把握してございます。
 それから3点目で、再処理工場の施設の内容や安全対策につきましては、そのほか各種の広報媒体、インターネットなどにより広く公開、情報提供されておりますので、こうしたこともございますので、当面、地元自治体としての青森県が行っております情報提供の状況を見守ることとしたいと考えております。
 海に排水される廃液の影響についてでございますが、平成15年度から、昨年度から六ヶ所村の核燃料再処理工場の稼動に備えまして、種市町の沖の海域で海水を採取して放射能レベルを測定してございます。今後もこの調査を継続して、核燃料再処理工場の稼動による自然環境への影響を監視していきたいと考えております。
 最後に、県競馬事業のあり方でございますが、1場体制の移行についてお話がございました。この競馬組合が前回の改革実行計画を策定する際に、2場体制を維持した場合とそれから1場体制、それを二つの場合に分けまして水沢競馬場の単独開催と、それから盛岡競馬場単独開催とした場合、それぞれの場合に分けましてコスト計算を行ったところでございます。この検討では、1場体制にする場合にございましても、いずれかの競馬場の厩舎の廃止は、開催日数を大幅に減少しなければならないということになりまして、発売収入の減少に直結をして、組合の再生の道をふさいでしまう結果となるということで、水沢及び盛岡両競馬場の厩舎を維持するか、敷地に余裕がある盛岡競馬場への厩舎の集約が必要であると。しかし、この場合、コストの削減効果よりも厩舎や厩務員の宿舎の移転費用ですとか馬の輸送費用の増加、さらにはスタンド解体費等の新たな費用の発生を見込まざるを得ないということで、現在の競馬組合の置かれております財務状況では対応が難しいと、このような結論になったところでございます。
 今回の改訂実行計画におきましても、前回計画の検討時に得た結論から2場体制を維持しながら計画の実現を図ると、このような計画といたしておりまして、県としても、現在のこの競馬組合の置かれております状況から見まして、新たな費用やコストの増加を伴いますこうした競馬場の集約は、困難と考えて判断をしているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 国民保護法に関連をいたしまして、まず条例案の提出時期でございます。
 都道府県の国民保護に関する計画は、国が作成します国民の保護に関する基本指針に基づいて作成することとされております。国では、本年3月までに、国民の保護に関する基本指針を閣議決定することとされておりまして、それを受けて、都道府県は、平成17年度中に国民の保護に関する計画を作成することとされております。したがいまして、県におきましても、本年3月中に国から示されます基本指針、そして、これに伴いまして同時に示されます国民保護モデル計画、これに基づきまして岩手県国民保護計画を作成することといたしております。
 この県の国民保護計画の作成に当たりましては、知事はあらかじめ、県の国民保護協議会へ諮問するとされております。したがいまして、平成17年度中に国民の保護に関する計画を作成するために、今議会へ国民保護協議会条例を提案したところでございます。
 また、国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例につきましては、平成17年度中に作成いたします県の国民保護計画の中で、対策本部の役割や体制について規定することとなりまして、対策本部の基本的事項を規定する条例を整備しておく必要があることから、今議会へ提案したものでございます。
 次に、災害対策基本法とのかかわりでございます。
 武力攻撃事態は自然災害とは大きく異なりますので、国民保護計画は、基本指針で示されます武力攻撃の類型に応じた対処措置を計画するというものになるものでございます。ただ、対処措置を実行に移し、武力攻撃によります被害が最小になるようにするためには訓練が必要でございますが、訓練の実施に当たりましては、国民保護法におきまして、災害対策基本法の防災訓練との有機的な連携が図られるよう配慮すると定められておりますので、収容施設の運営、避難住民への炊き出し訓練等、防災のための措置と共通する事項は防災訓練の一環として訓練することとなりますが、防災訓練では、実施できない武力攻撃事態等に特有な訓練につきましては、別途計画して実行することとなるものでございます。
 次に、公共施設の耐震診断の実施状況等についてでございます。
 平成15年4月1日現在、県、市町村の公共施設数は7、905棟でございます。昭和56年の建築基準法の改正前に建設された施設は4、088棟となっておりまして、このうち、498棟について耐震診断が実施されております。耐震診断の結果、改修の必要がない143棟、改修を行った214棟、あわせました357棟が耐震化済みとなっております。公共施設全体としまして、建築基準法改正後の基準で建設された施設と先ほどの改修済みの施設をあわせますと、耐震基準に適合する施設、平成15年度末で52.8%となっておりまして、平成13年度の調査と比較をしまして1.5%の増となっております。
 公共施設の耐震診断や耐震改修につきましては、それぞれ設置主体において計画的に実施されるものと考えておりますが、新潟県中越地震の反省点を踏まえまして、災害対策本部機能や避難所として活用される施設につきましては、早期・重点的に耐震化されるよう取り組んでいく必要があると考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) まず、公共土木施設の耐震診断と補修などの状況についてでありますが、道路につきましては、平成8年及び9年度に道路防災総点検を実施いたしました結果、2、306カ所ののり面崩落対策等が必要とされておりまして、緊急性の高い箇所から順次整備を進めております。平成16年度末までに、388カ所の整備が完了する見込みであります。
 橋梁につきましては、阪神・淡路大震災以前の耐震設計基準によりまして建設されました678橋の対策を進めておりまして、平成16年度末までに381橋、率にしまして56.2%の耐震補強工事が完了する見込みでございます。引き続き道路及び橋梁の耐震対策を進めてまいります。
 河川堤防につきましては、平成7年度に沿岸部の感潮区間など地震による堤防の損壊によって直ちに浸水のおそれがある、あるいは想定される箇所で耐震点検を行いまして、緊急に液状化対策が必要と判断されました閉伊川などの6河川の対策工事を実施しております。
 海岸保全施設につきましても、平成7年度に耐震点検を実施いたしましたが、防潮堤の大きな沈下等のおそれは少ないと見込まれましたことから、当面は、計画津波高さへのかさ上げを優先的に進めているところであります。
 次に、個人住宅に対する耐震診断の取組状況等についてでありますが、県のこれまでの取り組みといたしましては、耐震診断の重要性について、簡易耐震診断方法についてのリーフレットを作成し、住宅祭や建築物防災週間等の機会を通じまして、県民、事業者等に周知を図るとともに、県のホームページなどで紹介をしてきたところでございます。今後とも耐震診断の重要性について、より一層の周知に取り組みますとともに、新たに宮城県沖地震におきます想定震度5強以上の地域32市町村を対象といたしまして、個人が行います耐震診断に補助を行っている市町村に対し、助成を行ってまいりたいと考えております。
 それから、耐震診断や被災後の建物の危険度を判定する体制についてでありますけれども、木造住宅の耐震診断につきましては、十分な知識と技術を有した技術者によって行われる必要があると考えておりまして、このため、県が建築士会及び建築設計事務所協会と協力いたしまして、耐震診断を行う技術者を養成し、耐震診断士として認定しようと考えております。
 一方、被災後の建物の危険度の判定につきましては、本県では、兵庫県南部地震後の平成7年から、県内の建築士会、建築設計事務所協会などの協力を得まして、震災時における建築物を判定する被災建築物応急危険度判定士の認定を行っているところでございます。現在、県内における応急危険度判定士の認定数1、019名のうち、その大半の879名が民間の判定士となっております。このため、県では、民間の判定士の協力が必要である場合には、建築士会を通じまして派遣要請を行うための体制整備を行ったところでございます。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕
〇総合政策室長(照井崇君) 本県人口の予測と対策についてですが、総合計画の基本構想では、今後、総人口は緩やかな減少傾向をたどるとともに、本格的な高齢社会を迎えると見通し、高齢者への保健、医療、福祉サービスなど社会保障面での負担の増加や、労働力人口の減少による経済の伸び悩みなどにより、社会の活力の低下が懸念され、これまでの人口増加を前提とした社会システムを変えていく必要があるといたしております。
 そこで、基本計画においては、長期的な展望に立って快適に安心して暮らせる社会においては、保健、医療、福祉サービスの総合的な提供や、それを担う人づくり、安心して子供を産み育てられる環境づくりや、高齢者が安心して生活できる仕組みづくりなど、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会においては、地域の資源を生かした産業の振興や創造、だれもが能力を自由に発揮して働ける環境の整備、創造性あふれる人材の育成と誘致など、各分野の施策の方向を明らかにし、現在この方向に沿ってさまざまな施策を展開しているところです。
 次に、生産年齢人口の減少に歯どめをかけていくためには、何といっても魅力ある就業の場の創出と確保を図り、新規学卒者を中心とした若年労働者の県外への転出を抑制するとともに、交流などを通じて県外からの転入の促進に努めていく必要があります。そこで、自動車関連産業を中心としたものづくり産業の集積促進や、産学官連携による新産業の創出、地域資源を生かした地場産業の振興、経済波及効果の大きい観光業の振興、農林水産物のブランド力の強化、生活関連サービス産業の振興などにより多様な就業機会の創出に努めるとともに、若者が個性や能力を生かして希望する仕事につくことができるよう、ジョブカフェいわての設置などによりきめ細かな支援を行っているところです。
 こうした取り組みとあわせまして、県内への定住を促進するため保健、医療、福祉サービスの一層の充実や教育環境の整備はもとより、さまざまな都市基盤の整備、個性あふれる文化づくりなど、快適に安心して暮らせる魅力ある地域づくりを進めているところです。今後におきましても、地域に根差し、世界に飛躍するたくましい産業の振興を図って、魅力ある就業の場の創出、確保や、だれもが個性や能力を十分に発揮し、生き生きと働くことのできる就業環境の整備に一層努めますとともに、近年、都市を離れて地方暮らしへとライフスタイルを変える人々がふえてきておりますので、岩手でぜひ暮らしたい、岩手でぜひ働きたいと思われるような、岩手ならではの歴史や風土、伝統文化、自然などをうまく生かした魅力ある地域づくりを一層進めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 国の新しい基本計画策定に向けた審議会の議論をどう受けとめたかというお尋ねについてでございますが、食料・農業・農村政策審議会では、担い手に対する施策の重点化や、経営安定対策の見直し、地域資源の保全管理施策の導入などについて議論されており、これらは本県農業・農村が抱える課題の解決に向けた施策の方向として、大筋で評価されるものと考えております。
 次に、こういった議論に対して国に対してどのような意見を述べてきたかということでございますが、大きく三つございます。一つは、国はその新たな経営安定対策の要件として担い手を明確化するということを示唆しております。そのため、一つは認定農業者という問題、それからもう一つは、やはり集落を基礎とした担い手たる営農組織というものを打ち出しております。この集落を基礎とした担い手たる営農組織ということは、これは何度も申し上げていますように、今、岩手型の農業振興として進めている私どもの施策の方向性と一致するわけでございまして、ここは評価できるわけでありますが、担い手の明確化という観点に立ってここのところを、例えば特定農業団体化したもの、あるいは特定農業法人化されたものというような一定の縛りをかけてくるというようなことが出てまいりますと、やはり本県の実情に沿わなくなるのではないだろうかと考えておりまして、このあたりにつきましてはやはり一気にそういった縛りをかけるのではなくて、段階的にそういった縛りをかけていくべきではないのかというようなことを私ども提案しているところでございます。
 それから、もう一つ、経営安定対策として複数作物の組み合わせによる営農が行われている水田作及び畑作ということで、担い手の経営全体に着目したいわゆる安定化対策をかけようとしているわけでございますが、そこの作物のところでございますが、ここはやはり諸外国との生産条件格差が顕在化している作物を対象にするというような考え方が一方で示されてございます。そうなりますと、水田作で言えば麦、大豆、畑作で言えばそれにさらにはてん菜が加わるというような形になるわけでございまして、本県のようにソバや雑穀など地域の重要な土地利用型作物を進めているところでは、そこが外れてくるおそれがあるのではないかということで、私どもといたしましては、そういった土地利用型作物も対象にすべきではないのかというようなところで提言活動を行っているところでございます。
 もう一点、農業資源の維持保全に係る支援施策については、モデル的な取り組みだけを対象とするのではなく、直接支払制度として全国的な展開を図ることといったことについて、今意見を申し上げているところでございます。先週公表されました基本計画の原案におきましては、新たな経営安定対策の対象となる担い手の経営規模や対象作物など、具体的な要件の設定は見送られたことから、引き続き地域の実情に即した弾力のある制度となるよう、国に対して提言活動を行ってまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕
〇教育長(佐藤勝君) 新規高卒予定者の就職内定状況についてでありますが、岩手労働局の調べによりますと、1月末現在における就職内定率は全体で77.3%、これは前年同期比で2.6ポイントの上昇ということになっております。ところが、まだ就職先が決まっていない生徒がなお952名おります。そういう状況下にありまして、就職を希望する生徒全体のうち県内に就職を希望する生徒の就職内定率を見てみますと71.4%にとどまっております。まだ内定に至っていない生徒の数は830名と非常に厳しい状況にあります。県内に就職を希望する生徒は、近年は、全就職希望者の7割前後を占め、根強い地元志向を示しているわけでございますが、この傾向については、沿岸部や県北部に比べまして、誘致企業や地元企業が集中している沿線都市部に顕著に見られるという状況でございます。一方、生徒の希望する職種というのは大変多岐にわたっているということで、県内の求人傾向は、見てみますと求人側は約半数が製造業ということで、職業選択の幅が大変狭くなっております。このため多くの生徒が希望する職種でなかなか結びつかない、競争倍率が高い状況となっております。
 このような状況にかんがみまして、各学校におきましては、担任、進路指導担当教員が中心となって就職支援相談員やジョブサポート・エリアマネージャーとの連携を図りながら、生徒の適性や地域の実情に応じたきめ細かな就職支援に取り組んできているところでありますが、今後とも引き続き関係機関とも積極的に連携を図りながら、生徒の進路目標達成に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
〇48番(小原宣良君) 再質問させていただきます。
 国民保護法についてでありますけれども、先ほど知事は国と地方との関係で、一定の関与はやむを得ないが地方自治の原則はそうした中にあっても尊重されるべきことは当然だと述べられましたですね。そしてまた、全体的には、ややこの国民保護法の仕組みについてはわかったと、こういう感じに受けとめたのですけれども、しかし、なお見ていきますと、これは大変な問題を含んでいると私は思うのですが、そこで一つ伺いたいのですが、この武力攻撃事態というのは何からの攻撃を想定するかということなのです。その何からの攻撃、その攻撃の形態によっては当然避難の方法が違ってくるのですね。例えば、外国の正規軍隊による海岸上陸という正面攻撃、これに対応する対応の仕方は違ってくる。非正規戦、いわゆるゲリラ攻撃、それから爆撃機による空襲など、それからミサイル攻撃、こういう攻撃の様相によって住民避難の対応というのは当然違ってくると思うのです。ただ単に公民館に避難しろということでは、これは全く現実的でも効果的でもない。こうした武力攻撃の対応の違いごとに避難誘導の具体例示、これらは、先ほどはまだ3月ころにそうしたものが出るというお話でしたから、ないのかもしれませんが、現時点でどうなのでしょうか、ここを一つ確認いたします。こうした武力攻撃の対応の違いごとの避難誘導の具体例示、こういったものは現時点であるかということですね。
 それから、地震や津波による災害時の避難誘導とはこれはもう決定的に違う。空襲や艦砲射撃、これがあったなら、これは防空壕をつくらないと避難誘導できないではないですか。どこに誘導するのですか。こういうことですね。それから、国民保護法では直接避難住民の誘導は市町村の役割とされている。避難実施の責任者は消防長とされているのです。消防本部を置いていない自治体では消防団長がこの避難誘導の責任者、こういうことになっている。県や市町村においてそれぞれ国民の保護に関する計画をつくれということなのですが、先ほども部長から話があったのですけれども、3月にそうした具体のものが出るのではないか、こういうことなのですが、条例も提案されていますからね。いつまでにどんな計画をつくるか。ちょっとこれは改めてお聞きをしておきたい。
 この計画では国民と言っているわけですね。県の国民保護あるいは市町村の国民保護計画という形で、県、市町村をかぶせておいても国民と言っているのですが、この国民と言っているとなれば、要するになぜ住民と言わないのだろうかということです。県、市町村の保護の対象、これが国民、国民ということであれば、県内に在住する在日外国人あるいは一時滞在者、これは保護の外に置かれるということになりませんか。住民なら生活している方ですからね、それは全部包括をされる。国民だ、国民だと言っているわけですからね。これはどうなるか。これは国からどういう説明を受けているかということです。
 知事にお伺いしたいのですが、失礼ですが、安全保障のジレンマという言葉があるのですね。御承知かと思うのですが、これは国民の安全を守るという理由のもとに、脅威対象国を設定する。その対象国が攻めてくるのではないかという不審、緊張感からさまざまな準備をする。それが結局は相手国を刺激して軍拡競争に至るというジレンマなのです。もう一つは、自由な社会を守るという理由で国民の権利を制限する。結局それが自由な社会の危機を招き恐怖政治に至るというジレンマ、こういう安全保障のジレンマという言葉があるのですけれども、私はまさに今、国民、県民、この入り口に立っている、あるいは立たされているのではないか、こんな思いがしてならないのですが、知事の考えを改めてお伺いをしたい、こう思います。
 それから、先ほど義務教育の関連で知事の方から、それぞれ地方分権と言いましょうか、地方の中で責任を持って教育に当たっていく、これは大事な観点であるということで、少人数学級研究指定校の拡充、これは10校程度ふやすことで検討している、こういうふうにお話がございました。これはまたできるだけ早い時期に示すともお話しございましたけれども、これはいつごろをしっかりした形で発表できる段階と受けとめればいいのでしょうか。まずこの点について伺います。
〇知事(増田寛也君) 今何点かお尋ねございましたのでお答え申し上げますが、まず国民保護法の関係でございます。確かに自然災害とは違いまして武力事態でございますので、避難の対応は多岐にわたると考えるわけです。余り避難に時間的な余裕がない場合ですとか、それから多人数の避難が必要な場合ですとか、場合によっては県境を越えて他地域まで、他県まで行かなければならない場合ですとか、さまざまな対応が考えられるわけでございまして、これにつきましてこの武力攻撃のおおよその類型ごとの避難誘導について、今月中ですが国の基本指針というものが示される予定になっております。まだ示されておりませんけれども、今月中に国の基本指針が示される。これに伴い、その中で国民保護モデル計画というものが決められて、モデルですけれどもその計画も示されることになっていますので、来年度になりますけれども平成17年度中に県の方で国民保護計画というものをつくるわけですが、その中でそうした類型ごとにどういう形で避難をするのか、具体的に個々に検討していきたい、今そういうことを考えております。
 それから、安全保障のジレンマというようなことでお話がございましたのですが、結局突き詰めて言いますと、これは国相互の相互不信から生じてくるわけでございまして、いずれにしても、今、世界各地域で民族紛争、宗教に基づく紛争等多々発生しておりますけれども、対話による相互努力というものを積み重ねていかない限りは、この問題の解決はやはりできないと思うのです。こういった国を越えたそういう国同士の対話というのは、やはりこれは国の、あるいは中央政府のと言った方がいいかもしれませんが、中央政府の最大のまた役割であろうと思いますし責務だと思いますので、今、国連という組織が世界的にあるわけですから、この国連を中心として、日本も国際社会での信頼関係の醸成を図っていくために大いに努力をする。また、国際社会からいろいろ協力を求められたときには協力をしていくような、そういう国連を中心とした国際社会全体での信頼関係の構築のために、特に我が国政府に対して一層の外交努力を求めたいと思いますし、期待もしております。そういうことを国にぜひ役割を果たしていくように、こちらからも努力を促して、そして今お話しございましたような、やはり相互信頼というものが獲得されるようにしていくべきだ、このように考えているところでございます。
 教育委員会の関係の方は教育長の方から御答弁申し上げます。
〇総務部長(時澤忠君) まず、武力攻撃の態様ごとに国からいろいろ示されているかということでございます。国の基本方針は、知事が申し上げましたとおり、3月中に決定されることとなるわけでございますが、現在、国の方におきましては基本指針の要旨というものを昨年の12月14日に示しておりまして、その要旨におきましては、武力攻撃の態様を着上陸侵攻、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、そして航空攻撃、4類型に分類をしております。それぞれ特徴や留意点を記述しております。同じく基本指針要旨の中では、その武力攻撃の事態の類型に応じて、避難に当たって国民が留意しておくべき事項、こういったものが整理されております。現在それを国の方で最終段階の詰めを行っておりますので、3月中に正式に基本方針の決定が行われると承知をしております。
 次に、県、市町村の計画でございます。県の国民の保護に関する計画は、国が作成しますその基本指針――先ほど申し上げました基本指針に基づき作成をしなければならないこととされております。また、市町村の国民保護に関する計画は、都道府県の国民保護計画に基づいて作成されなければならないとされております。したがいまして、ことし3月に先ほど申し上げました国の基本指針、そして国民保護モデル計画、こういったものが示されますので、それを受けまして都道府県では平成17年度中に国民保護計画の作成が求められておりますし、市町村では、都道府県の国民保護計画に基づいて平成18年度中の作成が求められております。国民保護計画には、地域の実情に合わせた具体的な国民の保護のための措置が規定されるものと考えております。なお、国民保護計画の作成に当たりましては、岩手県国民保護協議会へ諮問することとされておりますので、作成過程におきましては関係機関と協議するとともに、県民の意見等を聞きながら、実効ある計画としてまいりたいと考えております。
 それから、もう一点、国民ということの言葉を使っておりますので、外国人あるいは一時滞在者は対象外なのかということでございますが、これは国の方の国会でも明確に答弁をしているものがございます。それによりますと、一般に国民とは、国籍法の規定に基づいて日本の国籍を有する日本人のことを言いまして、厳密には外国人は含まれない。しかし、日本国憲法第3章に規定しております基本的人権の保障は、その権利の性質上外国人に適用可能なものは外国人も当然適用されるものと解されるということを踏まえまして、この国民保護法におきましては、日本に居住し、または滞在する外国人の生命、身体、財産についても、武力攻撃から保護すべき対象となるものと解されておりますので、議員御指摘のありました在日外国人、一時滞在者は当然この保護の対象になると考えているものでございます。
〇教育長(佐藤勝君) 少人数教育についてでありますが、県におきましては平成16年度から研究指定校方式で少人数学級、今調査研究ということで、23校でやっております。来年度におきましては、知事から御答弁申し上げたように10校程度ふやす、これを2カ年程度やりたいということで、それらの状況を見ながら、これは予算を伴うことでありますから、本県の少人数教育につきましては、少人数指導というものを基本としながらも、少人数学級もあわせて並行して検証しながら、岩手の、あるいは本県にとって望ましい少人数教育のあり方、どうしたらいいかということを示していきたいということで、明年度あるいは再来年度ということではなくして、今度10校ふやす少人数学級の状況も十分に見きわめていきたいと思っております。
〇48番(小原宣良君) 国民保護に関しては、まさにこの戦争というのは外交が破綻して起きるのですね。地方自治体の責務だと、いろいろ想定してあれやれ、これやれと言われても、しかし根っこのところの、先ほど知事が触れたそういう観点というのは非常に重要だと、これは議論の機会もありますからその機会に譲りたいと思います。
 それと、競馬場の関係なのですが、1場体制も検討したが、その結果として今の改革計画を提示したのだと、いわゆる2場体制で計画はつくられているのだと、こういうことですね。2場体制でいくということですけれども、県競馬事業の今後廃止の判断というのは、これはないのだと、こういうふうにも受け取れるし、一方、これからの経営状況を……。
〇副議長(菊池勲君) 小原宣良議員に申し上げます、再質問にない再々質問は認めかねるというしきたりになっておりますけれども……。
〇48番(小原宣良君)(続) 再々質問で……。
〇副議長(菊池勲君) 再質問にない事項は再々質問にはなり得ないという判断なのですけれども、いかがなものでしょうかね。
〇48番(小原宣良君)(続) いや、ちょっと議長、競馬問題で私、本質問していますよ。本質問で。
〇副議長(菊池勲君) 再質問のとき出なかったので、また再質問ということはあり得ないということ。
〇48番(小原宣良君)(続) ああ、そうですか、そういう意味ね。最初に再質問する項目を並べておきなさいと……。
〇副議長(菊池勲君) いや、そのとき、あなた発言していなかったから再々質問には当たらないと、そういうこと。
〇48番(小原宣良君)(続) ああ、なるほど、わかりました。では、結構です。
〇副議長(菊池勲君) 御了承賜ります。
〇48番(小原宣良君)(続) 私の勘違いでしたから、わかりました。

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