平成17年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝でございます。
 昨日の代表質問と一部重複する点もありますが、順次質問をいたしますので、誠意ある答弁をお願いします。
 まず、三位一体改革についてお伺いします。
 三位一体改革については、昨年11月26日に政府・与党の合意がなされ、平成18年度までの改革の全体像が示されました。この合意文書の冒頭においては、国と地方に関する三位一体の改革を推進することにより、地方の権限と責任を大幅に拡大し、歳入、歳出両面での地方の自由度を高めることで、真に住民に必要な行政サービスを、地方がみずからの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国、地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図ると述べられております。
 この政府・与党の合意による全体像に対する評価はさまざまですが、前回の12月議会において、このことについての質問に対し、増田知事は、半歩前進で50点という評価を下し、今回の全体像の内容については大きな問題があり、引き続き設置される国と地方の協議の場などにおいて、国に対して改革の実現を強く求めていくと述べておりますが、増田知事が目指す真の三位一体改革の最終目標とはどのような姿なのか。また、それに向けて、今後、何を、どのように具体的に政府に対して提言、要望をするつもりなのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、義務教育制度についてお伺いいたします。
 今回の政府・与党の全体像においては、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持する。その方針のもと、費用負担についての地方案を生かす方策を検討し、また、教育水準の維持・向上を含む義務教育のあり方について幅広く検討するとし、ことし秋までに、中央教育審議会において結論を得ることとされております。
 地方6団体の改革案では、義務教育費国庫負担金については、第2期改革の平成21年度までにその全額を廃止し、税源移譲の対象とすることとした上で、第1期改革においては、中学校教職員給与分の負担金を廃止、移譲する内容となっておりますが、知事は、義務教育の財源負担の問題と義務教育制度のあり方の問題とは、分けて考えるべきという認識を示しているところです。義務教育制度について、国が責任を持つのか、地方の主体性に任せるのがよいのか、改めて知事の所見を伺いたいと思います。
 次に、平成17年度の交付税改革による県及び市町村への影響についてお伺いいたします。
 平成17年度の三位一体の改革として、1兆7、000億円余の国庫補助負担金の改革と、それに見合う税源移譲等が行われるとともに、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保を図るため、地方交付税は前年度比0.1%増の16兆9、000億円が計上されたところであり、また、税源移譲に伴う財政力格差が拡大しないよう、その増収分は、当面、基準財政収入額に100%算入することとされましたが、この措置がなされることとなった場合の、本県及び市町村への影響をどのようにとらえておられるでしょうか、お伺いします。
 また、今後の三位一体改革の行方いかんによっては、県の財政見通しにかなりの乖離が生ずるおそれがあると考えられますが、県では、平成19年度以降の財政見通しについてどのように見ておられるのでしょうか、お伺いします。
 次に、政策評価システムの運用による成果重視の行政についてお伺いします。
 本県の景気が依然として厳しい状況にある中で、平成17年度当初予算案によれば、県税収入は、今年度当初予算と比較し0.7%の減となる見通しとなっております。そのため、限られた財源を効率的、効果的に活用し投資効果をより発揮させるためには、これまで以上に選択と集中により、政策等を重点的に実施することが肝要であり、企画立案、実施、評価といういわゆるPDSサイクルをしっかり回すことが重要であると認識しているものであります。このため、県では、効果的、効率的な行政を推進するとともに、県民の視点に立った成果重視の行政運営を図ることを目的として制定した政策等の評価に関する条例に基づき、政策評価や事務事業評価、公共事業評価、大規模事業評価を行っており、特に、今年度は、知事が掲げたマニフェストを政策化した誇れるいわて40の政策を、初めてマニフェストレポートとして評価し、その結果を政策評価に反映したと聞いております。
 そこで、知事にお伺いしますが、今年度行った平成15年度の成果に対するこれら四つの評価の結果を、来年度予算にどのように反映させたのか、具体的にお聞かせ願います。
 続いて、政策評価等を進めるに当たっての課題と今後の改善方向についてお伺いします。
 あらかじめ各部局に財源を配分し、各部局が自己決定、自己責任の考えのもとに、主体的に行う予算編成を、平成16年度当初予算編成から行っているとお聞きしておりますが、PDSサイクルをしっかり回すためには、各部局がこの政策評価システムに基づき、徹底した評価を行うべきであると考えますが、このような視点も含め、政策評価等を進めるに当たって、抱えている課題と今後の改善方向について、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、市町村合併の推進についてお伺いします。
 地方分権一括法が平成12年4月に施行されて以来、地方分権改革が大きな歩みとなり、特に住民に身近な事務を行う市町村の役割はますます重要なものとなっており、21世紀は地方の時代、とりわけ、市町村の時代になると考えられます。さらに、今後、多様化、高度化する広域的行政課題に的確に対応し、行政サービスの維持・向上を図っていくためにも、地方行政の構造改革を進める上で、市町村合併は極めて重要な課題であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県は、これまで、自主的な市町村合併を推進してきましたが、合併特例法の期限内に合併が見込まれる市町村数と合併後の県内市町村数について、どのような見込みを持っておられるのでしょうか。また、これまでの県の取り組みについてどのように総括しておられるでしょうか、伺います。
 続いて、合併新法に基づく合併推進の考え方についてお伺いします。
 合併特例法の期限後、すなわち、平成17年4月1日以降は、平成16年5月に成立したいわゆる合併新法により、引き続き自主的な合併を推進することとなっております。合併新法においては、総務大臣が定める基本指針に基づき、各都道府県が市町村合併推進審議会の意見を聞いて、市町村の合併の推進に関する構想を策定し、この構想に基づいて合併を推進することになっております。
 県は、現行合併特例法のもとでは、常に市町村が判断して進める自主的な合併が基本としてきました。私も、自治のあり方としてはそれが正しい姿勢とは思いますが、合併新法に基づく構想を策定し、合併を進めるに当たって、県はどのような考え方で取り組まれようとしておられるのでしょうか、お伺いします。
 次に、農業の振興についてお伺いします。
 まず、品目横断的経営安定対策についてお伺いします。
 本県の農業・農村の振興施策の推進において、消費者重視、市場重視の売れる米づくりなどを進める水田農業ビジョンの策定・実践運動や、県内各地にあるすぐれた農産物を再評価する地産地消運動など、県を挙げて取り組んでいることに注目しているところであり、多くの成果を上げているものと評価しているところであります。こうした中で、国においては、食料・農業・農村計画の策定の中で、我が国農業の生き残りをかけた農政転換として、複数作物の組み合わせによる営農が行われている水田作や畑作について、従来の品目別の価格安定対策ではなく、経営全体に着目した品目横断的な経営安定対策の検討を進めているとのことでありますが、県としては、この制度をどのようにとらえておられるのか、お伺いします。
 次に、園芸振興、特に野菜の振興についてお伺いします。
 本県の農業粗生産額は、かつては3、500億円を上回っておりましたが、近年は2、800億円を下回る状況となっております。この原因の一つとして、米の生産調整による栽培面積の減少と米価の低下が挙げられますが、米の場合、我が国の人口減少や高齢化が進み、米消費量の減少に歯どめがかからず、今後も相当厳しい状況に置かれるものと考えております。このような状況にあって、園芸振興、中でも野菜の振興に力を入れ、米の減収分の所得の確保を図り、農業・農村に元気を取り戻す必要があると考えております。
 これまでの野菜生産は、国内の他産地との競争にいかにして勝つかということに重点が置かれてきましたが、輸送技術や鮮度を保つ技術の進歩とともに、野菜の輸入が急激に増加し、生鮮野菜といえども、厳しい国際競争に対峙していかなければなりません。
 今日では、国内産地の生育不良により野菜が不足し、市場価格が上昇すれば、即座に中国など海外から生鮮野菜が輸入される体制が既にでき上がり、また、業務用や加工用についても輸入野菜の利用が増加している実態にあります。そこで、これからの本県の野菜振興にどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
 次に、松くい虫被害対策についてお伺いします。
 松の大敵であります松くい虫被害は、本県では昭和54年に確認されて以来、その後徐々に増加・拡大の傾向が続き、平成11年及び12年の高温等により、平成13年度の被害量は約5万1、000立方メートルに急増し、その後は横ばいの状況となっております。また、被害区域の内陸部の北端は紫波町、沿岸部の北端は大船渡市三陸町となっております。
 そこでお伺いしますが、平成16年度の被害の状況と平成17年度における基本的防除対策をどのように実施されるのかお伺いします。
 次に、岩手競馬の問題についてお伺いします。
 この問題については、昨年12月議会及び昨日、本日の代表質問や一般質問においても取り上げられ、それぞれ質疑のあったところであります。私は、馬事振興、馬事文化の継承、地域資源としての有効性、多くの従事する者がいることや地域経済への影響等を考慮すれば、馬産地岩手の象徴として岩手競馬の存続を強く望むものであります。その中で、私なりの論点を整理し、お伺いしたいと思います。
 まず第1は、地方自治体の財政に寄与するという財政競馬の意義は見出せないということ、さらに、岩手競馬の振興に関する提言の中で、財政的支援は県民の理解を得ることは困難であるとしている点でありますが、確かに現在は単年度赤字が続き、累積欠損を抱える状況にあってはこれも一つの指摘であると思われます。しかしながら、これまで収益の一部が県、盛岡市、水沢市に約407億円還元され、さらに地方競馬全国協議会等を通じ計75億円、総額482億円が一般会計を通じて医療や社会福祉、スポーツ振興、畜産振興等に大きく貢献してきており、競馬・畜産関係者のみならず、一般の県民も何らかの恩恵を受けてきたことからすれば、これらのさまざまな貢献に対する評価が低過ぎるのではないかとの思いがあります。これまで岩手競馬が果たしてきた役割に対してもっと重きを置いた評価をすべきであり、そうすることによって岩手競馬の存続に対する県民の理解もある程度得られるものと考えます。
 また、仮に岩手競馬を廃止した場合の損失額は約360億円ほどと推定されておりますが、これを構成団体で穴埋めしなければならないこと、従事者等の将来、遊休施設となった場合の他への転用は困難であること、他の競馬場における裁判での損害賠償の係争など、より複雑な処理が発生する懸念があります。
 岩手競馬の存続を決定するのはもちろん本議会ではないわけであり、競馬組合、構成団体が決めるものであることはあえて申し上げるまでもないことであります。
 さらにもう一つの論点として、実行計画の実現性、実効に対する疑問でありますが、12月時点からかなり綿密な精査が行われているものの、本当に岩手競馬を存続させ得る実行計画と判断するためには、今後、1年ごとの運営管理を検証し、その成果を注視する必要があると考えます。さらには、導入資金は融資であることから、返済が条件であり、構成3団体の共同責任もあり、これも単年度ごとの管理を確実に実施させる必要があると考えます。
 私はこのように考えておりますが、今回再提案された実行計画と融資案件について改めて知事の考え方をお伺いします。
 さて、第3の論点としては、競馬組合の経営改革であります。競馬組合では、これまで数次の経営改善の計画を策定し、これに取り組んできましたが、その成果は、結果的に一時的なものにとどまったと言わざるを得ませんが、今回策定した改訂実行計画では、その経過をどのようにとらえ、それを将来に向けてどのように生かそうとしているのかお伺いします。
 また、経営改善の取り組みが成果につながらなかった原因の一つとして、経営改革を推進するための内部改革が徹底できなかったことにあると言わざるを得ません。今回提出された計画を推進していく上で、その実現を実際に進めていく競馬組合自体が変革されなければ、改革の実現は心もとない限りであります。競馬組合は、今回の改革の推進に向けて競馬組合内部の改革をどのように進めようとしているのか、管理者である知事にあわせてお伺いします。
 次に、保健医療問題についてお伺いします。
 まず、県立病院の奨学金貸付制度と医師養成事業についてお伺いします。
 近年、医師過剰時代と言われ続けておりますが、それは首都圏や都市部のことであり、東北や北海道では慢性的な医師不足の状況が続いております。国においては、平成15年11月に厚生労働省、総務省及び文部科学省の3省による地域医療に関する関係省庁連絡会議が設置され、平成16年2月に僻地を含む地域における医師の確保等の推進についてが取りまとめられましたが、医師不足が解消されるまでには至っていないものと認識しております。このような状況下で、当県立病院の医師確保においても、臨床研修の必修化などに伴い、医師派遣元である大学医局への入局者が来年3月までないために、昨今の宮古病院の産婦人科医師の確保などからも、関連大学からの派遣が一層厳しい状況にあると承知しております。
 医療局では、昭和25年から医師確保対策の一環として奨学資金貸付制度を実施しておりますが、この貸付制度による成果はどのようになっているのでしょうか。
 また、旧制度の貸し付けを一時中断し、これまでの課題等を踏まえて平成9年度から新制度による貸し付けを再開したと伺っておりますが、どのような見直しをされたのか、その結果、新制度での義務履行がどのように変わったのでしょうか。
 なお、義務不履行者に対し、義務履行の推進のためどのような対策を講じておられるのかあわせてお伺いします。
 さらには、平成14年度から開始した本県出身者を対象とした岩手医科大学の5人枠の医師養成事業については、現在どのような状況になっているのかお伺いします。
 次に、医師不足の現状と将来展望及び県の対応についてお伺いします。
 振り返りますと、昭和40年代、全国の医師不足に対応するため、1県1医大構想が打ち出されました。昭和45年に秋田大学に医学部が設置されたのを初め、山形大学など全国各地に約30の医学部や医科大学が新設され、既設大学の定員増を含めれば、入学定員はほぼ倍増の8、300余人となったと承知しております。未曾有の医師過剰時代が到来するという報道もあり、当時は、私も、地方の医師不足も解消するものと安堵したものであります。
 しかしながら、昨今、地方では医師不足が顕在化し、とりわけ小児科医や産婦人科医が不足している実態にあります。地域的には、北海道、東北地方においてその傾向が顕著であり、このような状況に多くの県民が不安を覚える状況にあります。
 そこで伺いますが、医師不足の現状をどう認識され、どう展望されているのか、また、それに対し県はどう対応していくのかお伺いします。
 次に、看護師の確保等についてお伺いします。
 質の高い医療サービスを提供する上では、ただいまも申し上げましたように、本県の場合は医師の確保が最も重要な課題でありますが、それと同じくらい重要なのが看護師の確保であります。特に、病気に悩む患者にとって安らぎを与えてくれる看護師の存在は欠くべからざるものであります。これまでは、看護師の確保といえば量的な充実が中心であり、したがって、看護師の養成と職場での定着に主眼を置いて対応されてきたものと承知しております。このような県の努力もあって、平成14年には看護師の数がようやく全国レベルまで達し、需要と供給がほぼ均衡するところまで来たと聞き、私自身も心から喜んでいる次第であります。
 このように、量の確保が一定の成果を上げたとなると、今後は質が重要となってまいりましょう。複雑化、高度化した医療現場だけでなく、今後は、福祉的なサービスにも対応できるような看護師の確保が求められることになります。そこで、看護師の確保の現状と今後の展望について改めてお伺いいたします。
 また、こうした中で、本年11月には本県で第10回日本看護サミットいわてが開催されると聞いておりますが、その趣旨や意義についてもお伺いいたします。
 次に、道路整備についてお伺いします。
 国道4号、国道282号は、各地域の中心都市を結び、地域の交流・連携や観光振興に大きな役割を果たす重要な路線であります。しかしながら、盛岡以北の国道4号を初め、これらの整備状況は、交通量に見合った車線の確保やバイパスの整備がおくれているため渋滞を引き起こし、国道としての機能が確保されず、盛岡都市圏と盛岡以北の各市町村の産業活動や交流・連携に支障を来しております。
 そこで伺いますが、現在、計画や事業を進めている国道4号茨島以北の4車線化及び渋民バイパス、国道282号一本木・西根の各バイパスの今後の見通しについてお伺いします。
 続いて、主要地方道岩手平舘線は、東北新幹線いわて沼宮内駅と国道282号方面の国立公園十和田八幡平及び安比地域と結ばれており、県北地域の広域観光の推進及び交流・連携をより一層促進するためには本路線の整備が必要であります。しかしながら、本路線には部分的に狭隘箇所や屈曲箇所が存在し、安全で円滑な交通が阻害されているところもあります。特にも、幅員が狭く大型バス等の相互交通が困難となっているいわて沼宮内駅から国道4号までの区間の今後の整備の見通しについてお伺いします。
 次に、ペイオフ本格実施への取り組みについてお伺いします。
 金融の自由化、国際化が進展する中で、平成14年4月から実施されたペイオフ一部解禁においては、定期預金の元本1、000万円とその利息を超える部分については保護対象外となり、普通預金、当座預金は従来どおり全額保護されてまいりました。しかし、本年4月にペイオフが本格実施されますと、普通預金についても、元本1、000万円を超える部分とその利息がペイオフの対象となると伺っております。万一預金先の金融機関が破綻した場合、普通預金に預け入れている公金も一般の預金と同様に損失をこうむり、県財政に悪影響を及ぼすことが考えられますが、県は、4月からの本格実施に対してどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 最後に、警察本部長に運転免許センターに関連して2点ほどお伺いいたします。
 現在、県は、平成18年度の開業を目標として、総工費約215億円を投じ、盛岡駅西口地区に複合施設の建設を進めており、この建物の中に運転免許センターが開設されると伺っております。平成15年における当県の運転免許人口は約82万9、000人にも上っており、県民の約6割が何らかの運転免許を保有している状況にあり、多くの県民の方々も運転免許センターの開設には関心のあるところであろうと思います。
 運転免許センターは、現在、玉山村の岩手県運転免許センターを拠点として、県南は金ケ崎町、沿岸は釜石市、県北は久慈市と、県内3カ所にサブセンターを設置して業務運営されていると承知しておりますが、平成18年度に開設される西口複合施設の運転免許センターとこれら既存の運転免許センターとの位置づけ及びそれぞれの役割をどのように考えておられるのでしょうか。単なる運転免許センターの増設であるのか、あるいは各運転免許センター並びに警察署窓口を含めた全体的な業務体制の見直しを検討しておられるのか、複合施設内に運転免許センターを開設するメリットや、その開業時期、開業に向けた現在の進捗状況等をあわせてお伺いします。
 次に、これに関連して、運転免許証のICカード化等についてお伺いします。
 本定例会で公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部改正が提案されております。この中で、運転免許証のICカード化に伴う事務手数料の改定が出ておりますが、私は、このICカード化について、以前新聞を読んで記憶があるわけでありますが、平成14年6月に施行された道路交通法の改正に規定され、その目的としては、運転免許証の偽造防止や警察業務の合理化、国民の利便性向上等であったと記憶しております。
 そこでお伺いしますが、この目的のうち、偽造防止については理解できるのですが、警察業務の合理化、国民の利便性等とは具体的にどのような内容を指しているのでしょうか。公表できる範囲内で結構ですが、その内容をお示し願います。
 また、本県におけるICカード化運転免許証の導入時期はいつごろを予定しておられるのか、このICカード化への移行と西口複合施設に開設される運転免許センターとの関連はあるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革の最終の目標というお尋ねでございますが、この改革は、その実現によりまして、地方の自由度や裁量、さらには責任が大幅に拡大いたします。そのことによりまして創意工夫を生かした地域づくりが全国各地域で展開され、お互いに切磋琢磨し合いながら住民サービスの向上や魅力的なまちづくりを競い合うことによりまして地域が活性化し、ひいては我が国全体の活力につながるものでございまして、これがこの改革の最終目標である、このようにとらえております。
 真の三位一体改革を推進するためには、特にも、平成19年度以降の第2期改革につなげていくことが重要でございまして、その内容としては私は3点あると思いますが、一つは、消費税から地方消費税への税源移譲と、そして一層の国庫補助負担金の見直し。二つ目が、公共事業関係の補助負担金を交付金化で終わらせるのではなく、最終的には税源移譲につなげていくこと。3点目は、地方交付税につきましても、地方固有の財源であるという認識に立ちまして、市町村の果たしている役割なども勘案しながらオープンな議論による見直しが必要である、このように考えております。こうした改革を実現するためには、今後、国民世論の支持、後押しが必要でございまして、そうしたものをいただきながら、強く国に対して主張していきたい、このように考えております。
 次に、義務教育についてでございますが、義務教育は、法律上も自治事務とされていることからもわかるとおり、国だけがすべてその責任を持つものではございませんで、国の役割は大変重要でございますが、県や市町村の責任も極めて大きいものがございまして、それぞれが責任を分かち合いながら取り組むべきもの、このように考えております。
 そうした観点からは、国は、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られるよう大局的な見地から法律や基本指針などを定め、現場の地方自治体は、その水準を維持しつつ、地方独自の工夫や地域住民の声を反映させるなど、自治体の裁量と責任において地域に根差した教育を展開できるような仕組みにすべきものである、このように考えております。
 三位一体改革の平成19年度以降の財政見通しでございますが、現在の県の中期財政見通しは平成18年度までということになっているわけでございまして、当然県のこの見通しも、ローリングを行って平成19年度以降も見据えたものにしていかなければならないと認識しておりますが、昨年11月の政府・与党合意は、平成18年度までの改革の内容は明らかにしつつも、それ以降の改革の内容については不透明な状況にございます。これは、この議会でも申し上げたとおりでございまして、こうした不透明な部分、特にも地方税財源措置の見通しなどについて不確定要素が大変大きいものでございますので、平成19年度以降の県財政を正確に見通すことは極めて困難と考えているところでございます。
 今後、政府では、中期地方財政ビジョンの策定を明言しております。その中に平成19年度以降の三位一体改革の方向性などが盛り込まれるものと考えておりますので、そうした国でつくります中期地方財政ビジョンの内容等が明らかになりましたならば、それらを踏まえて適切な推計を行っていく考えでございます。
 次に、政策評価システムの運用についてでございます。
 平成17年度当初予算の編成に当たりましては、施策のより一層の選択と集中を図った、このように申し上げておりますが、それを具体的に申し上げますと、まず、政策評価につきましては、40の政策の達成状況、特に、おくれているとされた分野を意識いたしまして、そこに重点化を図る。それから、県民の皆さんのニーズ、これは政策評価の中で、県民の皆さんの重要度マイナス満足度をニーズ度としてとらえまして、こうした県民の皆さんのニーズ度も踏まえて施策の重点化を図ったものでございまして、自動車関連産業の集積促進を初めとして、たくましい産業の育成、人材の育成等、それぞれの分野におきまして特に重点的に予算を配分したものでございます。
 事務事業評価につきましては、事業の徹底した見直しを行いました結果、廃止・縮減が93事業、事業費ベースで12億1、600万円、一般財源ベースで7億2、900万円でございまして、こうしたものにつきましては重点事業の財源に振り向けたところでございます。
 公共事業評価及び大規模事業評価につきましては、事業の必要性や緊急性、効率性などの観点から、投資効果の早期発現ということを念頭に事業実施地区を厳選いたしまして、公共事業の実施地区数は前年度より58地区減の799地区となったものでございます。
 また、相次ぐ台風の襲来や新潟県の中越地震による被害状況などにかんがみまして、山地災害の防止や道路等の危険箇所の解消など、緊急性を要する事業を優先してこの中では採択いたしております。
 次に、現在の政策評価のシステムの今後の改善の方向でございます。
 現在、このシステムにつきましては、政策評価委員会や監査委員の方から次のような指摘がなされております。指摘が4点ございまして、主要な指標の中には、必ずしも目標を的確にあらわしているとは言えないものがあるのではないか、二つ目は、評価結果が必ずしも地域住民の実感を反映したものとはなっていないのではないか、3点目は、この評価結果が県民にとってわかりやすいものとはなっていないのではないか、4点目は、この評価が県の内部評価にとどまっているのではないか、こうした四つの指摘をいただいております。
 したがいまして、この指摘を受けまして、今後、次の方向に改善をしたいと考えておりまして、一つは、施策の目指す方向を適切にあらわした指標を設定するということ。二つ目は、地方振興局の施策評価により把握された地域課題の政策評価への反映を図るということ。3点目は、県民にとりまして身近なテーマを取り上げた評価の実施や、県民にとってよりわかりやすい説明内容への改善。4点目は、NPOなどによる県民参加型の外部評価の仕組みづくりということで、今申し上げました四つの方向に改善したい、このように考えております。
 次に、岩手競馬についてでございます。
 まず、岩手競馬の問題点についてでございますが、仮に岩手競馬の継続が直ちに困難となりました場合には、ただいま議員御指摘のとおり、地域経済や雇用への影響のほか、構成団体にも負担が生じることは避けられないものでございます。岩手競馬は、これまでに財政を通じた行政各分野への貢献など、岩手にとりまして重要な役割を果たしてまいりました。岩手競馬組合が現在抱える多くの債務を自助努力を基本とした実行計画の実現によって解消していけるよう県としても最善の努力を尽くすべきもの、このように考えているところでございます。
 特に、改訂実行計画の計画期間の当初でございます平成17、18両年度は計画実現に向けた方向づけがなされる非常に重要な時期でございまして、将来への道筋がつけられるように、県としても全力を挙げて支援していきたい、このように考えております。
 また、今回策定いたしました改訂実行計画の実現には、県議会12月定例会での議論も踏まえまして、県だけではなく、水沢、盛岡の両市も構成団体として一致して支援することとしているわけでございますが、今回の構成団体による融資は競馬組合の再生には不可欠であると認識しておりまして、両市とも連携をとりながら、計画の進捗状況を十分に把握、管理して、計画の実現が確実に図られるように取り組んでいく考えでございます。
 次に、競馬組合自体の経営改革でございますが、組合は、平成9年度に岩手競馬経営改善5カ年計画を、平成12年度にはみちのくレース岩手競馬改善計画を策定して取り組んできたところでございます。こうした経営改善計画の内容は、基本的には、場外馬券場の開設などハード施設の整備を中心に営業の拡大を図ろうとするものでございましたが、今回の改訂計画で分析していますとおり、経営体力を超えた多額の設備投資による累積損失を生む大きな原因ともなっていると考えております。今回の改訂実行計画におきましては、こうしたこれまでの反省に立ちまして、競馬法改正という機会をとらえ、法改正で可能となりました民間の発売手段の活用、既存設備を活用いたしました民間委託など、新たな設備投資を伴わないソフト活用による商圏の拡大、売り上げの拡大へと方向を転換しているものでございます。
 また、改訂実行計画を推進するためには、ただいま議員御指摘のとおり、競馬組合内部の変革が不可欠でございまして、そのために、組合として競馬組合と競馬振興公社の一元化、職員40名縮減などの合理化、効率化を図って、意思決定から実行までのプロセスの短縮と管理の一元化を行うなどの組織改革を行いますほか、従来と異なった意識を持ち行動することが計画を実践に、成果に転換する重要なかぎである、こうした認識に立ちまして、職員教育を徹底し、意識改革を強力に進めることとしているところでございます。既に職員40名が16のグループを立ち上げまして、個々の職員が競馬組合に対する外部の評価と期待を直接肌身に感じながら、それぞれの企画を実現すべく営業活動に携わるなど、みずからが改革の主体であるとの意識を持って、今、課題に取り組んでいるところでございます。
 今回の経営改革は、構成団体からの支援を受けながらの改革でございまして、競馬組合管理者といたしまして、その改革の推進基盤となります組織改革と職員の意識改革を同時に、また、確実に進めまして、この改訂実行計画の実現に最善を尽くす考えでございます。
 最後に、国道4号茨島以北の4車線化、そして渋民バイパスなどの今後の見通しでございます。
 4号の茨島以北につきましては、現在、国で当該区間の道路整備のあり方について検討を重ねてまいりましたこの4号盛岡滝沢道路懇話会の提言を踏まえて、都市計画決定に向けての検討を進めているところでございまして、早期事業着手がなされるように、国に強く要望していく考えでございます。
 渋民バイパスは、昨年12月に、一部区間暫定2車線で供用開始、こういうことになりました。引き続き、残りの区間についての整備促進を、今後とも国に強く働きかけてまいります。
 国道282号の一本木バイパスでございますが、現在、用地買収と改良工事を進めているところでございまして、早期に用地取得を完了して、工事促進を図ってまいりたいと考えております。
 同じく282号の西根バイパスでございますが、現在、1期工事区間の改良工事と舗装工事を進めているところでございまして、本年度末には、一部区間の供用を予定しているところでございます。今後、1期工事分の早期供用に努めますとともに、2期工事につきましても、工事着手に向け努力をしていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、出納長及び関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔出納長橋田純一君登壇〕
〇出納長(橋田純一君) ペイオフの本格実施に向けた取り組みについてでございます。
 金融の自由化、国際化が進展する中で、預金保険法が改正され、本年4月から、ペイオフが本格実施されることになっております。もとより、公金の管理は確実かつ有利な方法により行われるべきものでありますが、ペイオフの本格実施により、今後は、これまで以上に、県がみずからの判断と責任で安全性を確保することが求められてまいります。
 県におきましては、既に平成14年4月のペイオフの一部解禁に当たり、庁内に、岩手県公金取扱連絡会を設置し、ペイオフの本格実施を前提として、岩手県資金管理運用方針を策定し、これに基づき種々の対策を講じてまいりました。
 具体的には、金融機関の経営状況の把握とその評価、基金に属する現金の歳計現金への繰りかえ運用、県債との相殺による公金の保全、制度融資預託金などについて、元本が全額保護される決済用預金への変更などであります。現在、こうした取り組みにより、歳計現金、基金、制度融資預託金などの公金は適正に管理されているところであります。
 このたびのペイオフの本格実施に向けて、まず、現下の厳しい財政状況にかんがみ、何よりも全庁を挙げて、歳入歳出の確実かつ計画的な執行に努めることが肝要でありまして、このことを基本に、引き続き岩手県資金管理運用方針に基づき、公金の安全かつ効率的な管理に努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 平成17年度の交付税改革による県及び市町村への影響についてでございます。
 国庫補助負担金の改革に伴いまして、平成18年度までの間は、所得譲与税と税源移譲予定特例交付金によりまして税源移譲が行われるわけでありますが、その配分は基本的に人口をベースとして決定されますので、個々の団体で見ますと、国庫補助負担金の廃止・縮減によります影響額と税源移譲によります増収額とに乖離が生ずる可能性がありまして、団体間の収入の格差が拡大する懸念があるものでございます。この格差を是正するのが、地方交付税によります財源調整機能であるわけでありますが、税源移譲によります増収分について、従来の制度どおり、基準財政収入額に対する算入率を75%とした場合には、残りの25%は各地方団体の留保財源になるわけでありまして、人口が多く財政力の豊かな団体ほど留保財源の額が大きくなり、財政力の弱い団体との格差が、ますます拡大するということになるわけでございます。このため、今回の地方財政計画におきましては、税源移譲によります増収分につきましては、基準財政収入額に対する算入率を100%といたしまして、税源移譲に伴います団体間の財政力格差が拡大されないように制度設計されております。これによりまして、交付税の財政調整機能が適切に発揮されるというものになりますので、本県及び県内市町村のように、財政力の弱い団体にとりましてはメリットがある、このように認識をしているものでございます。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕
〇地域振興部長(山口和彦君) 市町村合併の推進についてでございます。
 合併特例法適用期限内に合併が見込まれる市町村数は34市町村となっており、合併後の県内市町村数は、現在の58市町村数から35市町村となる見込みであります。
 3月1日、きょう現在、知事に申請済み4地域10市町村、うち、新宮古市、八幡平市及び新遠野市の3地域8市町村が、本議会で新市の設置議案を提案しているところであります。
 知事に申請はしておりませんが、市町村議会の議決を終了しているのが、新花巻市1地域4市町でございます。さらに、合併特例法の適用期限内申請を目指して取り組んでいる地域として、盛岡、両盤を初め6地域20市町村となっております。
 また、これまでの県の取り組みとしましては、昨年4月に、五つの地方振興局に合併支援のための特命課長を設置するとともに、昨年9月には、市町村課に市町村合併担当課長を設置するなど支援体制の強化を図るとともに、建設計画の協議につきましても、特例法期限内の合併を目指す市町村が確実にその成果が結びつけられるよう、全庁を挙げて支援してきたところであり、当初、全国的に見て、おくれているとされていた本県の市町村合併についても、比較的順調に推移してきているものと評価しておるところでございます。
 次に、合併新法に基づく合併推進の考え方についてでありますが、現行合併特例法による平成の合併は、市町村の自主性を重んじるということが基本であり、市町村がみずから合併を選択する場合に、県は合併重点地域の指定をして、合併支援プランに基づき、情報提供や助言を行ってきたところであります。
 合併新法に基づく合併推進については、4月以降に公表される総務大臣の基本指針に沿って、地域や市町村とのさまざまな議論を踏まえ、自主的な市町村の合併の推進に関する構想を策定し、合併の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 この構想は、市町村の財政等の現況や将来の見通し、地理的条件や人口密度、経済状況等、地域の実情や現行合併特例法下での合併を行った経緯など、さまざまな事項について勘案しながら、十分に議論を尽くした上で策定する考えであります。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業の振興についてでありますが、国におきましては、我が国農業の構造改革を加速化するとともに、WTOにおける国際規律の強化にも対応し得るよう現在の品目別対策を見直し、認定農業者や経営体としての実態を有する集落営農を対象に、複数の作物の組み合わせによる複合的営農が行われている水田作及び畑作を対象とした、経営安定策に転換することとしているところです。この対策に集落営農も含まれていますことは、兼業農家も取り込んだ集落営農組織の育成に取り組んでいる本県にとりまして、その維持・発展を図る上で有効な対策であると考えております。
 なお、本制度の対象となる担い手の経営要件や対象作物などにつきましてはまだ流動的でありますが、県といたしましては、全国一律の実施基準で定めるのではなく、地域の実情に合わせて実施できるような柔軟な制度となるよう、機会をとらえて提言を行っているところであります。
 次に、野菜振興についてであります。
 国内外の産地間競争が激しくなっている中で、本県の野菜振興を推進していくためには、例えば西根のホウレンソウや奥中山のレタスが夏期冷涼な気象条件を生かしているように、岩手ならではの地域特性を生かすこと、農薬の使用量が全国で2番目に少ない生産条件、環境にやさしい農業に取り組むエコファーマー認定者数が全国トップクラスであることなどの本県の優位性を生かすことで他県との差異化を図ること、さらに、一定の品質のものを一定の時間、求められた時間に一定の価格で定量出荷できる、いわゆる産地形成を促進していくことが必要であると考えております。そのためには、担い手の確保のみならず、産地として計画的に生産に取り組む体制の確立が不可欠であり、これに向けた取り組みの一つといたしまして、来年度、いわて純情野菜契約ブランド産地育成事業を創設し、産地みずからの計画づくりや、産地を先導するリーダーの育成、先進的な生産技術の実証、普及などを推進していきたいと考えております。
 次に、松くい虫被害対策についてでございますが、平成16年12月末現在の被害状況は、既に松くい虫が発生しております23市町村以外で新たに被害が確認された市町村はなく、被害量も約4万300立方メートルと、前年同期の約18%減となっております。これを市町村別に見ますと、内陸部北端の紫波町、沿岸部の北端気仙地域など、先端地域の被害は若干増加傾向となっておりますが、両盤地域を中心とした既往被害地では被害は減少傾向にあります。これは、平成15年度の冷夏により、虫の活動が鈍ったことも要因の一つとして考えられるところでありますが、これまでの継続した防除の徹底によるものと考えられ、平成11年度から15年度まで増加してきた松くい虫被害は、8年ぶりに減少に転じるのではないかと推測しております。
 平成17年度の防除対策についてですが、先端地域を重点的に防除し被害地域の北上を防止すること、公益性の高い重要なアカマツ林を重点として守っていくことを基本方針といたしまして、今後とも、関係市町村や団体、地域住民とより一層連携し、効果的な防除対策を実施してまいります。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕
〇医療局長(千葉弘君) 県立病院の奨学資金貸付制度についてでありますが、昭和25年度から平成4年度まで実施してきた奨学資金貸付制度による貸付者は全体で346人であり、そのうち、県立病院に勤務し義務を履行した者は、現在、履行中の者も含め237人、68.5%であります。しかしながら、貸付金を返済し、義務を履行しなかった者が104人、30%に上ることが課題とされていたところであり、平成9年度に再開した新しい制度では、貸付金額を月額7万3、000円から20万円と、大幅に引き上げたところであります。これは、貸付金額に魅力づけをすることとあわせ、容易に返還しづらくすることにより、義務の履行を促進することをねらったものでございます。
 この新制度による奨学生につきましては、現在まで21人が卒業し医師となっており、そのうち、義務履行終了もしくは履行中の者が13人、残る8人は大学院へ進学等のため義務の履行を猶予しておりますが、現在まで義務不履行者は出ていないものでございます。
 この制度の運用に当たりましては、義務を確実に履行させるため、本年度におきまして、首都圏の大学や東北出身の医学生を対象に、5回にわたり本県での臨床研修の実施に合わせ、速やかに義務を履行するよう働きかけを行ってきたところであり、本年度新たに医師となった、いずれも県外の大学を卒業した奨学生ですが、5名全員が、県立病院で臨床研修を開始しているところであります。
 今後におきましても、奨学生に対し、個別の面談あるいは病院見学の実施などによりまして意識の醸成を図り、義務の確実な履行による医師の確保につなげてまいりたいと考えております。
 また、平成14年度から開始しました医師養成事業についてでありますが、この制度は、6年間で30人の医師を地元岩手医科大学で養成しようとするものであり、現在15人が在学中でございます。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 最初に、医師不足の現状についての認識ですが、まず御理解いただきたいことは、確かに1970年以降、医大の新増設ラッシュというのがあったわけですけれども、その効果が実感できるようになるまでには、極めて長い年月を要するということでございます。
 議員の御質問の中にもありました秋田大学、山形大学もそうなんでありますれども、新設後35年という長い年月を経て、ようやく、その1期生が50歳を超えた程度ということでございます。これをグラフや表で分析、推計してみますと、量的な充実ということで実感できるようになるには、なお20年程度が必要なのではないかということであります。
 一方、過去、一、二年の特殊な事情によって、短期的に医師不足が顕在化しているという側面もあると思います。その一つは、旧医学専門学校卒業生の引退ということです。これは、第二次大戦前後に集中的に養成された方々ですけれども、80歳近くに達していらっしゃいまして、一斉に現役から退いていらっしゃるということです。
 それから、二つ目は、平成16年度からの臨床研修の必修化であります。これによりまして、一時的に大学等の医局員が減少いたしまして、これを埋めるために、市中の病院から中堅医師の引き上げが起こっていると、こういうことでございます。
 今申し上げましたこと以外にも、女性医師がじりじりと増加していることとか、あるいは名義貸し問題によりまして医師の配置が厳格化されていること、一部の医科大学で研究者重視の方針が出されていること、あるいは、労働基準法の適用が厳格化される傾向にあること、こういったことが短期的には、医師不足感を助長していると考えられます。
 今後の展望ですが、先ほども申し上げましたとおり、20年程度の長い期間で見た場合には、医大の新増設効果が明確にあらわれてまいりまして、全国的にはむしろ相当の医師過剰というものが予測されております。本県も、ゆっくりと医師の増加が進むと期待されております。また、短期的には、1年後に最初の臨床研修医の研修が終了するため、多少の医師不足の緩和は期待できるのではないかと考えております。
 今後の県の対応ですが、幾つかございますけれども、まず臨床研修医につきましては、1年後に研修を終了した後でも県内に定着していただくように考える。それから、女性医師につきましては、これが増加していくということはもう不可避でございましょうから、育児と仕事が両立できる環境を整備するなどの対策が必要と考えております。
 また、中期的な対策としましては、医学部に進学していただくということが非常に重要ですので、高校生を対象とした進学セミナーのようなものも開催したところでございます。
 それから、これ以外にも、先ほど医療局長から答弁がございましたけれども、私どもの部でも、市町村医師養成修学生制度というものを立ち上げておりますので、奨学金を貸し付けるなどして、医学部生を応援していくということで考えております。
 いずれにいたしましても、現在、年度末を目標に、医師確保対策アクションプランということを取りまとめている最中でございまして、可能なものから、順次実行してまいりたいと考えております。
 次に、看護師の確保の現状についてでございます。
 これまで、戦後一貫して、絶対的な看護師不足という状況にありましたため、対策と申しますと、その量の確保ということが最大の眼目でございました。この量の確保のため、当たり前のことですが、養成という柱とそれから職場への定着あるいは離職の防止という、この二つの柱で取り組んでまいってきたわけでございまして、養成所の運営費を補助したり、あるいはナースバンクの設置ということで取り組んでまいりました。その結果もございまして、平成14年の12月末に就業者数を調べてみましたところ、初めて需要と供給が均衡するというところまで至りました。
 こうした中で、国も県も新たな需給見通しについて検討しているところでございますが、従来の量の確保一辺倒から、今後は、質の向上へということで、論点が移っていくものと考えております。
 こうした中で、来る11月には、第10回日本看護サミットいわてというものが開催されることになっておりまして、そのテーマにつきましても、やはり質の向上というものが中心となるだろうと理解しております。専門性の向上はもちろんのこと、在宅緩和ケアの提供あるいは看護師の社会的評価の向上などについても議論されると聞いております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 東北新幹線いわて沼宮内駅から国道4号までの区間の今後の整備の見通しについてでございますが、この区間は、人家が連担していまして、幅員が狭く、車両や歩行者の通行に不便を来しているというふうに認識をしております。そのため、新たな道路整備計画につきまして平成12年度に地元説明会を開き、地権者との交渉を行いましたけれども、一部の方に理解を得られなかったことから、事業着手には至らなかった経緯がございます。
 当該区間につきましては、改めて地元岩手町や地域の方々とまちづくりを含めまして意見交換を行い、今後の方策を検討してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕
〇警察本部長(山内正和君) 初めに、盛岡駅西口複合施設に開設される運転免許センター、私ども仮称で盛岡運転免許センターと呼んでおりますが、このセンター関係の質問にお答えいたします。
 まず、その位置づけについてですが、盛岡駅西口に開設する盛岡運転免許センターは、玉山村にある県免許センターで現在行っている運転免許業務のうち、技能試験や実技講習などの一部を除いた運転免許事務を行うこととしております。また、開設に伴い、盛岡東、盛岡西及び紫波の各警察署で現在行っております免許更新事務につきましては、盛岡運転免許センターで取り扱いをすることとなるほか、日曜日の免許更新業務も、このセンターで行うこととしております。
 次に、センターを開設するメリット及び時期についてですが、開設する場所は盛岡駅に近いことから、交通の利便性が極めて高く、特に日曜更新を希望する遠隔地の方々であっても、利用しやすくなるなどのメリットがあるものと考えております。
 また、開設の時期につきましては、現センターで使用しておりますコンピューターシステムを移設することとなりますが、旧システムが利用者の方々の不便にならないよう、平成18年5月の連休後に業務を開始すべく、現在、警察庁との総合的なシステム接続等の具体的協議など、所要の準備作業を進めているところであります。
 次に、運転免許証のICカード化に伴う警察業務の合理化等についてお答えいたします。
 まず、ICカード化の導入に伴う警察業務の合理化等についてでありますが、ICカード化によりまして、違反切符作成や点数登録業務の時間短縮等を図ることができるものであります。また、県民の方々にとりましても、免許更新、記載事項変更届などに関しまして申請書類の自動作成が可能となりますので、手続が大幅に簡素化されることとなります。さらに、ICカード化することにより券面から本籍が削除され、個人のプライバシー保護が図られるものであります。
 このICカード化の導入時期についてですが、ICカード化は平成14年の改正道路交通法の施行を受けて、全国の都道府県警察において平成18年度以降に導入を進めているものであり、本県においては、運転免許証作成機器の更新時期に合わせ、平成20年度をめどに導入の検討をしてまいりたいと考えております。
 なお、盛岡運転免許センターの開設は、県民の利便性を考慮して、県の西口複合施設事業の一環として整備を進めているものであり、ICカード化とは直接関連するものではございません。
 警察としては、ICカード化の導入に向け、今後とも引き続き適正に準備を進めてまいりたいと考えております。
〇34番(千葉伝君) 知事初め、出納長、各部局長からの御答弁、ありがとうございました。再質問をさせていただきますが、1点のみにさせていただきます。
 中身は岩手競馬の問題であります。この問題につきましては、今議会に再提案された融資案件について、その説明会あるいは昨日の代表質問、本日の一般質問、そういった中で私の質問に対する答弁もあったところであります。
 今回示された改革実行計画の改訂版と前回示された計画と対比して私なりに考えておりますのは、先ほども申し上げましたとおり、施設関係の部分では、2場のテレトラックの売却についても、想定価格を下回らない額で売却見込みであるということがあります。それから、発売収入は精査、検証されて、より具体的な計画と私は思ったところであります。融資額については、新たな起債計画により圧縮され、資金面では、構成団体がそれぞれ責任分担する姿になったこと、知事の不退転の決意で臨むという姿勢とあわせて考えれば、その努力と、管理者のトップとしての知事の姿勢が感じられる内容と思うわけであります。
 岩手競馬への融資は県民の理解が得られない、その一つとして、ギャンブル性の高い競馬への県費投入はいかがかという論が多くあるのは承知しておりますが、一方、それでは、これまでの県費への財政支援のあった点についてはどう思うのか。その部分については返還すべきではないのかと、こういった論もあるわけであります。極論すれば、もらうものはもらって出すときは別よと、こういうことではないでしょうか。そのことから、私の望むといいますか考えることは、岩手競馬が厳しい条件下で再生を期し、取り組む内容をしっかりとその成果を検証する中で、岩手競馬の存廃の判断材料とすべきと考えます。
 さらに、この検証に当たっては、本県議会のみならず、競馬議会、水沢、盛岡両議会での三重、四重の成果の検証がなされるものであります。この計画の実行に当たり、知事は、私もかかわった岩手競馬のあり方懇談会の平成16年3月の報告に対し、期限を区切って、すなわち、3年間の期間を示して存廃を判断すると述べておりますが、今回の計画の実行に当たってもその考えに変わりはないのか改めてお伺いいたします。
 また、万一この計画が実行段階でとんざした場合、知事はどのような対応をされるおつもりなのかあわせてお伺いいたします。
〇知事(増田寛也君) ただいまの再質問についてお答え申し上げます。
 私は、従前、競馬法の改正の内容も十二分に取り入れた経営改善計画をつくって、その内容に沿って、平成17年度、18年度2カ年にわたってしっかりと組合には経営改善に取り組ませる、このように述べてきたものでございます。
 今回お示しした改訂実行計画の内容でございますが、この内容は、平成17年度はいわば再生のための準備期間でございまして、平成18年度にインターネット販売や新しい投票集計システムの稼動など、再生に向けた取り組みが本格化するということでございまして、この平成17、18年度の2年間で岩手競馬の再生をきちんと方向づけていきたい、このように考えているわけでございます。この考え方は、今、議員からお話のございました岩手競馬のあり方懇談会の報告の際に私が述べたものと基本的に軌を一にするものと考えております。
 2点目でございますが、この計画が実行段階でとんざした場合の対応ということでございまして、これは、絶対にそうした事態にはしないということがもちろん大前提であるわけですが、仮に計画が実行段階でとんざした場合には、構成団体とその際に十分な意見調整をしなければいけないと思っておりますが、構成団体の長としての知事として、さらには組合の管理者として非常に厳しい決断をしなければならない場合もあり得る、このように考えているわけでございます。
 当然そうした事態にしないためにも、平成17、18年度の2年間での努力が極めて重要でございますので、全力を挙げて改革に取り組みたい。この議会でも申し上げましたけれども、この2年間で全力を挙げて改革に取り組みたい、このように考えております。
〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時38分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君
欠席議員(4名)
10  番 平   澄 芳 君
19  番 工 藤 大 輔 君
24  番 阿 部 静 子 君
50  番 佐 藤 正 春 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時55分 再 開
〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。川村農夫君。
   〔20番川村農夫君登壇〕(拍手)

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