平成23年6月臨時会 第22回岩手県議会臨時会 会議録

前へ 次へ

〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第4号、第5号について質問いたします。
 議案第1号は、2011年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。東日本大震災津波による救援、復興の第2次補正予算というべきものであります。
 達増知事に質問します。
 第1に、救助費が188億円余の増額補正となっています。これは災害救助法に基づく避難所の経費、食料支援、災害弔慰金負担金等であります。避難所の生活環境は3カ月が経過しようとしているにもかかわらず、国、県の調査でも、入浴が週1回程度が25%に及ぶなど、劣悪な状況となっています。災害救助費の単価も、食料費で1人1日当たり1、010円から1、500円に、避難所経費は300円から1、000円に引き上げられましたが、食事、入浴、洗濯、布団、プライバシーの確保等、実態はどうなっているでしょうか。どう改善されているのでしょうか。
 また、陸前高田市の全市民の健康・生活調査によると、市内の親類や友人宅などに避難している被災者が3、175人で15.2%、市外の個人宅944人を含めると19.7%に及んでいます。市内避難所2.708人、12.6%、市外避難所112人、0.5%を大幅に超えています。個人宅に避難している避難者の全県的な実態とそれへの支援について、どう把握されているでしょうか。
 津波で助かった命を、対応の弱さから絶対に犠牲にしてはなりません。NHKの報道では、東北3県の241医療機関の調査で、震災関連死が524人と報道されました。震災関連死については、厚生労働省からも事務連絡が出されていますが、速やかに調査、対応すべきと思いますが、岩手県内の実態をどう把握されているでしょうか。
 第2に、災害弔慰金負担金として15億3、000万円が増額補正されています。累計で対象人数はどうなっているのでしょうか。義援金、災害弔慰金、被災者生活再建支援金の支給状況を含めて示していただきたい。支給がおくれている問題は何でしょうか。今後の見通しを含めて答弁を求めます。義援金の受給対象に、宮城県や福島県のように、兄弟姉妹を加えるべきではないでしょうか。
 第3に、医療の確保について質問します。
 被災地医療確保対策事業費として8億3、100万円余が増額補正されています。仮設診療所、修繕等対象となる医療機関はどうなるでしょうか。4月補正分を含めて示していただきたい。また、沿岸地域における医療機関の被災状況と、再開、休止の状況はどうなっているでしょうか。
 県立病院は、高田病院、大槌病院、山田病院がほぼ全壊の損害を受けました。当面、仮設診療施設の整備が行われるようですが、臨時診療所体制の実績と仮設診療所の体制でどう改善されるのか、示していただきたい。県立釜石病院、大東病院の復旧の見通しと、517床の復活の見通しはどうなるでしょうか。
 知事に質問します。
 県立病院の復旧、復興は、各市町の復興計画の中心的課題であります。災害復旧でありますから、現状の規模で復旧することをいち早く明らかにすべきではないでしょうか。大震災に乗じて県立病院の統廃合がなされることがあってはならないことだと考えますが、いかがでしょうか。
 第4に、被災地児童等サポート関連事業について質問します。
 県内の震災孤児の状況、現在の養育状況はどうなっているでしょうか。親族里親を初め、里親制度の普及を図るべきと考えますが、どう対応されているでしょうか。
 震災孤児を集めた小中一貫校の構想は大きな批判の声が出されています。断念、中止すべきではないでしょうか。
 いわての学び希望基金も、震災孤児等を対象とした給付制の奨学金の創設を目指すものと思いますが、対象と給付額、基金の規模はどう構想されているのでしょうか。
 第5に、水産業の復興にかかわる事業について質問します。
 788億円余の積極的な補正予算となっていることを評価するものであります。
 一つ、共同利用漁船等復旧支援対策事業費として285億円余の補正であります。小型漁船2、600隻の整備を図るものでありますが、この間、各漁協が確保した中古船や修理で活用できる小型船を含めると、どれだけの小型漁船の確保となるでしょうか。小型漁船の修理費補助は盛られないのでしょうか。5トン以上の定置漁船等の建造は150隻程度、修繕は950隻程度が見込まれています。どれだけの復旧見込みとなるのでしょうか。9分の2の漁業者負担は重いものがあります。負担総額の見込みはどうなるでしょうか。国に軽減策を求めるとともに、さらなる軽減を図るべきではないでしょうか。久慈市のように、集落で取り組んでいる定置網と漁船等も支援の対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 二つ、養殖用種苗供給事業4億6、181万円余、水産業経営基盤復旧支援事業費補助59億3、478万円が養殖事業の支援策として国の第2次補正予算を先取りした形で計上されています。水産養殖施設災害復旧事業費補助9億6、582万円余を含め、震災前と比べてどれだけの復旧の規模となるか示していただきたい。
 三つ、製氷保管施設等早期復旧支援事業費として新規で31億円余が計上されています。民間水産加工業者に対して、公募で機器類の購入等の補助を行うものが6億円余含まれているようですが、事業の対象と内容を示していただきたい。
 四つ、漁場の瓦れきの調査と撤去の取り組みはどうなっているでしょうか。
 第6に、仮設住宅団地内に集会所の附属施設として、ベンチ、プランター、遊具などを整備する応急仮設住宅団地内環境整備事業費1億8、714万円が計上されています。どれだけの仮設住宅に整備される予定か。仮設入居者の孤立化、孤独化を防ぎ、地域の復興を目指す場として、すべての仮設住宅に集会場もしくは談話室を整備すべきと考えますが、現状と今後の見通しを示していただきたい。
 災害公営住宅整備事業として750戸分、11億1、334万円、設計委託料及び地質調査委託料が計上されています。どの市町村に、いつまでに整備する計画か、示されたい。
 第7に、消防賞じゅつ金31億円余、警察賞じゅつ金6億6、000万円余が計上されています。大震災の救助等で殉職された消防職員、消防団員、警察官に対する表彰となるものと思いますが、対象となる人員、1人当たりの額はどうなるでしょうか。
 次に、議案第4号災害廃棄物処理の受託に関する専決処分にかかわって質問します。
 瓦れきの処理状況はどうなっているでしょうか。一時保管、分別、中間処理の状況を示していただきたい。今後の見通しと県内業者への発注状況はどうなっているでしょうか。
 議案第5号は、復興局を設置しようとする条例改正であります。
 昨日は東日本大震災津波復興委員会が開催され、復興基本計画案が検討されました。
 知事に質問します。
 復興を進めるに当たって、被災者が再出発できる生活基盤を回復すること、住民合意を尊重し、上からの押しつけを行わないことを二つの原則として明記すべきと考えますが、いかがでしょうか。復興基本計画案では、まちづくりのグランドデザインとしてモデルが示されていますが、この押しつけとならないようにすべきであります。あくまでも住民の知恵と合意をもとに、それぞれの地域、市町村でまちづくりを進めるべきではないでしょうか。
 また、まちづくりに当たっては、海岸線を走る国道45号、JRの路線の変更とかさ上げこそ重要な課題と考えますが、いかがでしょうか。商店街も住宅と離れたものではなく検討すべきではないでしょうか。
 基本計画案では、復興の主体を、県民を初め各分野、地域等の関係団体、企業、NPO、行政など、地域社会のあらゆる構成主体が連携してとしています。しかし、復興の主体は、あくまで主権者である地域住民であることを明記し、あらゆる構成団体との連携を図るとすべきではないでしょうか。
 産業復興の天王山と県が位置づける二重債務の解消問題は、我が党も国会で独自の提案をしています。日弁連や全銀協も二重債務解消の提言をしています。検討の状況と実現の見通しをどう受けとめているでしょうか。
 以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、避難所における生活環境の実態とその改善についてでありますが、5月中旬に実施した実態把握の結果では、食事、洗濯、入浴の各調査項目において、最も状況がよくない選択肢を回答した避難所はすべて解消され、また、本県独自の栄養士による栄養摂取状況調査によりますと、調査したすべての避難所で1日3食提供され、主食、主菜、副菜がそろった食事が1日に2回以上提供されているのは84%となっています。
 また、議員御指摘の入浴については、調査以降、仮設ぶろの増設、太陽熱温水器を活用したシャワー設備の設置などの支援を行っております。
 布団については、十分な寝具が確保されていないと回答した避難所に対し、調査後、県等から約1、200組の布団を提供し、ニーズを充足しております。
 プライバシーの確保については、いまだ間仕切りなどが全くないと回答した避難所が11.8%ありましたが、避難所によっては、間仕切りすることによって避難者の状況把握が困難になるなどの理由によって導入していないところもありますことから、今後、避難所の実態に応じて、管理者等の御理解もいただきながら、きめ細かく対応していく必要があると考えております。
 今後は、梅雨から夏季にかけての衛生環境の維持が重要と考えており、市町村における避難所経営に関する意向も確認しながら、必要な支援を早急に行ってまいります。
 次に、県立病院の復旧、復興についてでありますが、医療局において、津波等により被災した高田病院、大槌病院及び山田病院について、仮設診療所の建設により、また、地震により損傷した大東病院については増築棟の改修により、まずは外来診療機能の回復を目指し全力を挙げて取り組んでいると承知しており、県においても財政的な支援を行うこととしているところであります。
 次に、復興の進め方についてでありますが、被災地については、まずは被災者の目線に立った生活再建支援を進めることが重要であり、その上で、復旧から復興へと、未来を見据えた取り組みを着実に進めていくことが必要と考えております。
 こうした考え方に基づいて、議員御提言の二つの原則については、現在策定中の復興基本計画案においても、その役割としてそれぞれ、1、被災者に寄り添い一人一人の安全を確保し、その暮らしの再建となりわいの再生を支援すること、2、被災市町村が策定する復興計画等の指針となり、その自主的な復興を支援することという表現で明記されているところであります。
 また、復興に向けたまちづくりは、もとより各市町村が主体となり、地域住民との議論等を踏まえて進めていくものであり、県の復興基本計画案で、モデルとしてお示しする復興パターン等も十分に活用していただきたいと考えております。
 次に、被災地におけるまちづくりについてでありますが、まず、海岸線を走る国道45号とJRの路線の変更とかさ上げについてですが、津波対策の基本的考え方として、海岸保全施設とまちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせた多重防災型のまちづくりを基本としています。この考え方に基づいて、鉄道と道路について新たな市街地と一体的に計画し、必要に応じてルート変更を行うほか、かさ上げ等により、第二、第三線堤として防災機能を付加することを検討することとしております。
 次に、商店街と住宅の位置関係についてでありますが、復興まちづくりの重要な視点の一つにコンパクトな都市形成を掲げており、この視点に基づいて効率的な市街地整備を図るとともに、暮らしやすさやまちのにぎわいをつくり出すため、居住地と商業、業務地を近接または一体化するよう配慮することとしております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、避難者の実態についてのお尋ねでございます。まず、避難者の実態と支援についてでございます。
 個人宅に避難している避難者の全県的な実態についてでございますが、避難所において支援物資等の提供を受けている在宅避難者につきましては、ライフラインの復旧等に伴い、避難所から自宅等へ戻る方の増加等により、4月上旬ごろから避難所の避難者数を上回り、4月中は2万4、000人前後で推移した後、5月の連休後に減少に転じ、6月6日現在で1万1、000人余となっております。また、支援物資等の提供を受けず個人宅等で生活している方も含めた在宅者に対し、これまで沿岸部の市町村では、保健師等の訪問調査等による健康状態等の把握結果に基づいて、何らかの必要な支援が行われるものと伺っておりますが、その結果について集計、分析が進んでおらず、全県的な把握に至っていないところであります。
 今後、避難所から応急仮設住宅等への移行が完了する時点をめどに、仮設住宅または在宅等の別に全住民の所在と必要とされる保健・医療・福祉サービスを把握できるよう、これまでの調査結果についてデータベース化が図られていくことが必要であると考えており、その進め方等について、保健所及び市町村等と検討を進めていくことといたしております。
 次に、震災関連死についてでありますが、震災関連死については、災害に直接起因する死ではないが、災害による避難所生活など、環境の変化などにより死亡する場合の総称とされておりますが、これまで災害と死因の因果関係について統一した判断基準はなく、個々の事例について医師等の専門家の検証に基づき認定が行われていることから、即時の実態把握は困難であるとされているところであります。しかしながら、阪神・淡路大震災などにおいては、震災に伴う過労や環境悪化等に伴う病死などの2次的、内科的原因による死亡例などが報告されておりますことから、被災者の命と健康を守るため、県としてもこの予防の取り組みが重要と考えております。このため、地域に派遣している医療救護班においても定期的に情報交換を行い、個々の患者に応じた詳細なケアに努めていただくとともに、保健師や心のケアのチームも相当数派遣し、被災者のストレスの軽減や食生活などの改善を図ることにより、いわゆる災害に起因した健康被害が起きないよう努めているところであります。
 なお、今般、厚生労働省から災害関連死の基準が示されたことから、今後、認定を行う市町村と連携しながら災害との関連の実態把握を進め、健康被害の兆候を早期に把握し、一層、有効な対処が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、災害弔慰金負担金等についてでありますが、災害弔慰金負担金につきましては、今回の災害による5月7日時点の死亡者数4、377人を算定の基礎としているものであります。
 次に、義援金等の支給についてでありますが、6月3日現在で、義援金については、第1次配分の全体件数3万1、731件の48%の1万5、231件を交付しておりますが、災害弔慰金については39件の支給となっております。
 また、被災者生活再建支援金については、市町村から県に送付された1万5、444件のうち、県が審査を行い国の指定委託法人である財団法人都道府県会館に進達した件数が1万4、154件となっておりますが、国から被災者に支給された件数が625件となっております。
 このような支給状況になっている共通の要因としては、未曾有の大災害により、多くの市町村においては膨大な事務が生じる一方、役場庁舎や市町村職員も被災するなど、行政機能が著しく低下してきたことによるものであり、このため、県では、市町村からの要望を受け、義援金等の事務処理を行うために、4月27日から職員を派遣するなどの支援を行う中で市町村の事務処理体制が整備されたことから、義援金の支給率が向上してきたところでございます。
 また、災害弔慰金につきましては、各市町村が条例に基づき調査の上支給するものでありますが、実務上は、被災者から、死亡、行方不明の方に対する義援金の申請を受ける中で弔慰金の受給者を確定させているものであり、義援金の交付事務を優先していることから、義援金の支給が進むにつれて弔慰金の支給が進むように、県としても支援してまいりたいと考えております。
 一方、被災者生活再建支援金については、財団法人都道府県会館における審査に時間を要しているところであり、財団法人都道府県会館においては、審査体制の強化を行うこととしているとのことでありますが、県としても、引き続き早急な支給を働きかけてまいりたいと考えているところであります。
 今後、義援金等が一日でも早く被災者の皆さんの手元に届くよう、県としても、市町村の支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。
 次に、兄弟姉妹への義援金支給についてでありますが、これまで県では、死亡、行方不明者に対する義援金交付に当たっては、県義援金配分委員会で災害弔慰金支給法による遺族の対象範囲を準用し、配偶者、子、父母、孫及び祖父母としてきたところであります。しかしながら、5月18日付厚生労働省社会・援護局総務課長事務連絡において、生計同一の兄弟姉妹を義援金配付対象としている自治体がある旨、例示されたところであります。また、岩手県弁護士会や被災市町村長からも同様の要請がありますことから、現在、支給対象の見直しについて検討を進めているところであります。
 次に、医療の確保についてでございます。
 被災地医療確保対策事業費については、沿岸市町村の被災地における医療提供体制を早急に確保していくため、仮設診療所の整備等に要する経費を措置するもので、4月補正予算において3億8、000万円余の事業費を措置しておりましたが、今般示された国の補助制度を踏まえて、運営等の形態を見直すとともに、県立病院の仮設診療所を対象に加えるなど事業費の増額を行おうとするものであります。
 また、今回の補正予算において、既存施設の修繕などで応急的に診療を再開する医療機関に対し、被災の程度に応じて一定額を補助する措置を新たに盛り込んでいるところであります。
 沿岸市町村では、津波等により病院が8カ所、一般診療所が50カ所、歯科診療所が55カ所と、113の医療機関が被災しておりますが、このうち52の医療機関が保険診療による診療を再開しているものの、医科で22カ所、歯科で39カ所、合わせて61の医療機関はその再開に至っていない状況にございます。
 今般の補正予算で増額計上した被災地医療確保対策事業費を活用し、仮設診療所の設置と既存施設での診療機能の再開支援を進めることにより9割程度の医療機関の診療再開を見込んでいるところであります。
 次に、震災孤児についてであります。
 まず、県内の被災孤児の状況と養育状況についてでありますが、児童相談所が市町村及び学校等と連携しながら調査した結果、5月26日現在、82人の被災孤児を確認しております。また、被災孤児のほとんどが親族のもとで養育されており、緊急に保護を要するような状況にはないことを確認いたしております。
 次に、里親制度の普及についてでありますが、被災孤児の養育環境の確保については、親族里親による安定した家庭的な養育環境が最も適切であると考えております。このため、被災孤児を養育している方に対して親族里親制度の理解と周知を図ることが重要でありますことから、現在、児童相談所職員が個別に訪問して、本人や親族の意向を踏まえて、相談対応をする中で親族里親制度について十分な御理解をいただくよう説明しているところであります。
 また、被災児童への主な支援制度を周知するリーフレットにも親族里親制度について掲載し、市町村を初め学校や関係機関へも配布し、周知に努めているところであります。
〇医療局長(遠藤達雄君) 被災地域の県立病院の状況についてでございますけれども、高田、大槌、山田の3病院においては、発災直後から避難所等における救護活動を行ってきたほか、山田病院においては4月から、高田病院は6月から訪問診療を行っており、大槌病院は4月25日から臨時的に町内の上町ふれあいセンターにおいて外来診療を行ってきたところでございます。
 現在、これらの3病院とも津波被害が及ばなかった地域に仮設の診療施設を整備中で、まずは外来診療を中心に運営することとしており、これらの整備により発災前とほぼ同程度の外来診療機能を回復できるものと考えております。
 また、大東病院につきましては、現在も処方中心の外来診療を実施しておりますが、損傷が少なかった増築部分を9月ごろまでに改修した上で機能を移転し、通常の外来診療を行っていくこととしております。
 釜石病院におきましては、地震により損傷した病棟の改修工事及び耐震化工事を行っているところであり、8月下旬には198床、10月中には48床の計246床の病床を再開する見通しとなっております。
〇総務部長(加藤主税君) まず、いわての学び希望基金についてでございますが、この基金を財源とする事業につきましては、現段階では、津波震災によります孤児を対象とした返済を要しない給付型の奨学金事業を想定しているところでございます。給付水準や具体的な事業の詳細等につきましては、今後、寄附金の状況を見きわめつつ、関係部局において早急に検討を行いたいと考えております。
 基金の規模につきましては、幅広く十分な支援を行うことができますよう、多くの方々からの浄財を募りたいと考えておりますが、あらかじめ一定の規模を想定しているものではございません。
 続きまして、消防賞じゅつ金についてでございます。
 このたびの震災において犠牲になられました消防職員は、現在のところ死亡、行方不明合わせて8名、また、同じく消防団員でございますが、死亡、行方不明合わせて116名となっております。このうち、賞じゅつ金の支給対象となるためには公務災害の認定が必要でございますが、現在、各市町村において認定手続を進めている段階でございまして、支給対象者数は確定を見ておりません。
 また、支給額でございますが、功労の程度によって定められるものでございまして、1人当たり490万円から3、000万円の範囲となっております。
 なお、国及び市町村におきましてもほぼ同様の基準が設けられておりまして、1人当たり支給額は合わせてみますとこのおよそ3倍ということになります。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 水産業の復興にかかわる事業についてでありますが、共同利用漁船等復旧支援対策事業について、この事業では、平成23年4月1日以降に漁業協同組合が共同利用のため購入した小型の中古船と、修理して活用する補修船が対象となり、これらを950隻程度と見込み、新たにつくる5トン以下の小型船約2、600隻と合わせて3、550隻の小型船を確保しようとするものです。また、定置船等5トン以上の漁船建造、修繕は合わせて150隻程度と見込んでおり、登録漁船数の約3割程度を確保しようとするものです。
 この事業において、国及び県の補助3分の2のほか、県は9分の1の補助のかさ上げをすることとしており、国及び県の補助を除くいわゆる補助残は81億4、000万円余となります。
 漁協等の負担軽減につきましては、国の2次補正予算で示される支援制度において、できる限り負担の軽減が図られるよう引き続き国に要望してまいります。
 また、集落で取り組む定置網、漁船等につきましては、所属する漁業協同組合が一括取得するものを利活用することは可能でありますが、あらかじめ地域において合意を形成しながら制度の活用を図る必要があると考えております。
 次に、養殖漁業についてでありますが、今般の津波災害により、県内養殖施設の約2万6、000台のほぼすべてが被災しております。今回の補正予算におきましては、短期間で漁家収入につながるワカメ、昆布養殖施設を中心に約4割の復旧を図ろうとするものです。
 次に、製氷保管施設等早期復旧支援事業費のうち水産加工業者生産回復支援事業につきましては、被災した水産加工業者が行う冷凍、冷蔵機器や加工機器類などの機器類の購入、設置、賃借料などに対して補助対象の上限1、000万円で補助しようとするものです。
 次に、漁場の瓦れき調査と撤去の取り組みにつきましては、今月から開始することとしている瓦れきの堆積量等の調査結果に基づき、撤去作業を早急に実施することとしており、本年度末をめどに撤去を進めてまいります。
〇県土整備部長(若林治男君) 応急仮設住宅は現在293団地ありますが、そこに設置するベンチ、プランター、遊具につきましては、団地内の空きスペースを活用いたしまして50団地程度で設置することとしております。スペースが狭い約100団地程度でも、ベンチやプランターをできる限り設置することで、今後、市町村と協議してまいります。
 また、おおむね50戸以上の団地内に集会所を、小規模な団地に談話室を設置することにしております。これまで完成した団地において順次設置を行っており、今後完成するものも含め、集会所40カ所、談話室は110カ所程度設置する予定であります。
 災害公営住宅につきましては、第1弾として、被災者の多い陸前高田市など6市町を中心に750戸の県営住宅を建設する計画としておりまして、今後、用地を選定して設計に着手、早い団地では来年度内の完成を目指します。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の処理状況についてでございますが、岩泉町以北につきましては、おおむね撤去が完了した市町村があるなど一定程度進捗しておりますが、宮古市以南におきましては、大半の市町が完了予定時期を年度内としているところでございます。
 分別、処理につきましては、一部行われておりますが、これから本格的に取り組むという状況でございます。
 今後の見通しでございますが、8月中をめどに県全体の廃棄物処理計画を策定し、3ないし5年以内で処理が完了するよう市町村と一体となって取り組むこととしてございます。
 県内業者への発注状況でありますが、県が受託しております宮古市の災害廃棄物撤去につきましては、地元業者及び県内業者に発注しております。
 また、県が同じく受託しております市町村の災害廃棄物の処理につきましても一部発注手続を進めておりますが、可能な限り地元業者及び県内業者を活用していく考えであります。
〇政策地域部長(千葉茂樹君) 復興の主体についてでありますが、現在策定中の復興基本計画案の上位計画でございますいわて県民計画におきましては、計画の推進に当たりまして、県民一人一人の力、そして企業、NPO、市町村や県など地域社会のあらゆる力を結集しながら岩手の未来を一緒につくっていくという地域経営の考え方を基本としているところでございまして、したがいまして、今回の復興基本計画におきましても同様の考え方に立脚し、議員が引用されているような表現をしているところでございます。
 この計画案におきましては、復興の目指す姿といたしまして、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を掲げておりますが、その前提となる考え方といたしまして、なりわいと暮らしを早急に再生し、だれもが再び人間らしい日々の生活を取り戻すことができる被災者一人一人に寄り添う人間本位の復興を実現するという記述もしておりまして、議員の御提言につきましてもその趣旨を反映しているのではないかと考えているところでございます。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 二重債務についてでありますが、5月10日に開催された国の東日本大震災復興構想会議において、知事から、津波被害に係る二重債務解消に向けた支援策といたしまして、国、県、金融機関などが出資するファンドによる企業の既存債務の買い取り等の支援制度の創設について提言したところであります。さらに、5月21日、29日及び6月4日の復興構想会議においても、当該事項の早期解消に向けた積極的な支援策について重ねて提言しているところであります。
 二重債務の解消に向けた支援策については、現在まで国から具体的な方策は示されていないものの、本県提案の趣旨については一定の理解が得られたものと聞いているところであります。
〇教育長(菅野洋樹君) 小中一貫校につきましては、震災によって両親を失われた児童生徒に対する支援のための方策の一つとして構想したものでございます。
 今後、福祉担当部局とよく連携しながら実態把握を行い、必要かどうかも含め適切に対応してまいりたいと考えております。
〇警察本部長(樹下尚君) 警察賞じゅつ金についてでありますけれども、3月11日に発生した東日本大震災巨大津波の襲来に際しまして、殉職もしくは行方不明となっている本県警察職員は合計11名でございます。殉職者9名、行方不明2名となっておりますが、いずれの職員も生命の危険が予断される状況下にもかかわらず、それを顧みることなく、地域住民の避難誘導もしくは救助活動の任に当たった結果その職に殉じたものであり、この11名に対する殉職者特別賞じゅつ金として計上したものでありますけれども、授与に当たりましては、今後、被災職員の所属する警察署長からの上申により、警察本部においてその功労等の審査を行い、その結果に基づいて1人当たり6、000万円の範囲内で授与されるものであります。
 なお、国におきましては、第1次補正予算におきまして、殉職者特別賞じゅつ金として1名当たり3、000万円が予算措置されていると聞いておりますが、国の賞じゅつ金にありましても、被災職員の所属する警察署長からの上申により、警察本部の審査を経て国に上申し、国の審査結果に基づいて授与されるものであります。
〇38番(斉藤信君) 上野副知事復興局長に復興の基本方針案についてお聞きしたい。
 実は、公共施設、市町村庁舎や病院等の地域の拠点となる公共公益施設をコンパクトなまちづくりの核として適正な配置にすると。ところが、具体的な方針では仮設診療所どまりで、病院の再建というのは明記されていないんです。なぜ核になるべき病院の再建というのがここでは明記されていないのか。
 それと、全体として、生活の再建よりもハード重視になっているのではないか。防潮堤の基準、これはちょっと高過ぎるんじゃないでしょうか。そして、国道やJRの復旧より三陸縦貫道などの高規格道路優先なんですね。私は、復興といったら、やっぱり地元を走る国道、JR優先だと思いますが、いかがですか。
〇副知事(上野善晴君) 復興基本計画についてのお尋ねでございます。
 公共施設の配置についてのいろいろな議論がございますけれども、病院についての御指摘がございました。私ども、いろいろな公共施設の配置につきましては、現在、県が一つのモデルとして提案いたしております幾つかのパターンがございますけれども、そうしたものの中で、地域の住民の方々、特に避難弱者と言われるような方々、そうした方々の命をきちっと守れるように、他方で、そのまちが将来的に復興に向けてきちっと歩み出せるような、そういう配置について地域の方々が中心となって議論をしていただきたいと思っておりまして、そうした意味ではこれからいろいろな御議論が各地域でなされると思っておりますけれども、私どもの今、御提示しております三つの大きなパターンについてもぜひ活用していただければと思っております。
 それから、復興基本計画が、基本的に防災まちづくりの部分だと思いますが、ハードに偏っていないかという御指摘でございますけれども、私ども、ハードの配置につきまして、先ほどおっしゃったように、高規格道路、鉄道ですとか、あるいは防潮堤ですとか、こうしたものについて、特に防潮堤についてはやはり一定の機能が必要だろうと思っております。ただ、これは津波防災技術専門委員会のほうでも御議論があって、その中でも御報告があったように、こうしたハードの整備だけで県民の方々の命をきちっと守れるとは考えておりませんで、そうした防潮堤等の公共施設についてもやはり一定の整備は必要でございますけれども、あわせまして、今、議員御指摘のございましたようなソフトについて、いろいろこれから工夫していく必要もあるし、これまでのいろいろな経験も教訓も踏まえまして、ソフトとハードとをあわせたところの多重型の防災まちづくり構想、こうしたものをこの基本計画の中では打ち出しているつもりでございますので、ぜひこうした点も、各地域で参考といいますか、たたき台の一つとしていただいて活用していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、小野寺好君。

前へ 次へ