平成23年6月臨時会 第22回岩手県議会臨時会 会議録

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〇12番(小西和子君) 震災により、多くの児童生徒が日常を奪われました。これから地域の希望となる子供たちの学びを社会全体で支える仕組みがまさに求められております。
 初めに、議案第6号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例についてお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災のときにも長期にわたって震災加配がつけられてきましたけれども、今後の加配の見通しをどう考えているのでしょうか。
 また、岩手の場合、今回の定数条例の改正により200人の定数増を提案しておりますけれども、本採用での対応でしょうか、講師という対応でしょうか。また、現在、134人が加配されておりますけれども、その人数を含んでいるのでしょうか、お伺いいたします。
 今後も、心のケアや学習指導にかかわって丁寧な対応が必要と考えます。そのためにも、今年度もこれ以降採用人数をふやしていく予定が必要かと思われますが、どうなっているのでしょうか。
 これは教員の配置のみでしょうか。事務処理が多くなってきていることから、事務職員の加配が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、議案第1号のスクールカウンセラー等の事業についてお伺いいたします。
 子供たちの心のケアのため、臨床心理士の配置、巡回方法、特にも、毎週同じ担当者が巡回しているかということについてお伺いいたします。
 子供が相談した内容について、学校現場ではそれをどのように生かしていくのでしょうか、お伺いします。
 子供の心のケアを進めると同時に、教職員の心のケアについてはどのように進めているのかお伺いいたします。自宅を流失したり身内を亡くしたりという方が多数おりますし、長時間にわたり不眠不休の状態が続いております。
 それから、ある学校では、全校児童の自宅がすべて流失したということを報告されております。被災した子供はもちろんですけれども、あわせてその家族への対応はどのように進めるつもりなのかお伺いいたします。
 子供たちの心のケアと同時に、子供を取り巻く環境ということで衛生問題が気になるところですけれども、避難所となっている学校や被災した学校の衛生面は問題はないのでしょうか。流失または1階浸水などの学校の場合は、し尿などの流出等もあると思われますけれども、消毒等を含めた衛生面の対応はどうなっているのかお伺いいたします。
 次に、議案第1号の高校奨学事業費補助等についてお伺いいたします。
 地域産業が大きなダメージを受けて、経済的な理由から修学が困難になる生徒が多数予想されます。その支援、教育の充実のために、既存の奨学金事業に新たな事業を追加するということはだれもが望むところであります。災害により被害を受けた高校生に対する奨学金であれば、なおさら貸与ではなく給付型の奨学金が必要とされます。先ほど給付のことについてはありましたけれども、奨学金事業についてということでお答え願います。ことし生まれた子供が高校を卒業するまでの期間、経済的不安を抱えず学ぶことができるよう給付型の奨学金とすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
〇教育長(菅野洋樹君) まず、今後の加配の見通しについてでございますが、国からは、1次加配に加えまして、状況の変化に応じ弾力的に対応する、こういうお話をいただいております。学校の状況をよく把握しながら、国に対しまして引き続き必要な加配を求めてまいりたいと考えております。
 それから、加配により増員した教職員についてでありますが、今回の増員は、採用候補者名簿登載者がない中で急遽採用する必要が生じたという事情もございまして、講師による採用となっております。ただ、沿岸部の学校につきましては、人事異動案の組みかえ等によりまして、本務教員を重点的に配置したところでございます。
 現在加配されております134人と条例との関係でございますが、これは、改正前の定数の範囲内で配置できたものでありますが、今後、追加加配等に適切に対応するため定数増をお願いしているところでございます。
 今後の採用者数の予定、見込みについてでございますが、採用数につきましては、退職予定者数、統廃合による定数減、学級数の変動等、諸般の事情を総合的に勘案しながら決定していくことになりますが、このたびの震災津波の発生にかんがみまして、児童生徒が安心して学習できる環境が整備できますよう、採用数の確保に努めてまいりたいと考えております。
 それから、事務職員の加配についてでございますが、現行制度におきましては、共同実施による事務部門の強化対応に係る場合のみ加配が認められる、このようになってございまして、震災に係る加配につきましては政令改正が必要ということでございまして、現時点では措置されていないところでございます。
 ただ、一方で、被災した小中学校におきましてはそういう事務手続が増大しているため、市町村教育委員会は、緊急雇用創出事業の活用により臨時職員によって対応している、こういった事案も伺っているところでございます。したがいまして、各学校の状況を把握しながら、国に加配要件の緩和─これは制度要望になりますが─を求めていきたいと考えております。
 それから、子供の心のケアの関係、臨床心理士の配置状況等についてでございます。
 通常行っておりますスクールカウンセラーの配置に加えまして、県外からおいでいただいている臨床心理士58名を被災地の公立小・中・高、特別支援学校107校に配置しているところでございます。1人の臨床心理士がおおむね2校を担当することとしておりまして、学校といたしましては、週に2回、臨床心理士の支援を受けることができる体制をとっているところでございます。
 次に、同じ臨床心理士が対応することについてでございますが、107校という多数の学校を対象としていること、また、臨床心理士は、北海道から沖縄まで全国からおいでいただいているということで、なかなか長期にわたる滞在が難しいという事情もございまして、毎週同じ担当者とはなっていないのが現状でございます。
 ただ、一方で、同一道府県の臨床心理士にチームを組んでいただき、同一チームが同一の学校を支援することといたしまして、共通の活動日誌によりきめ細やかな引き継ぎを行い、子供たちの状況を把握できるよう配慮しているところでございます。
 それから、相談内容の学校現場での活用についてでございますが、子供たちが臨床心理士に相談した内容につきましては活動日誌に各個人ごとに記載いたしまして、学校内の関係者で共有されるようにしてございます。相談に対する臨床心理士の助言指導などが学校現場における子供のサポートに生かせるように、このような仕組みをとっているところでございます。
 それから、教員の心のケアの問題でございます。
 先ほど申し上げました臨床心理士による支援を受けているところでございますが、これにつきましては、児童生徒のみならず、あわせて教職員も一緒に相談できる体制をとっているところでございます。
 また、被災後、3月24日の沿岸南部教育事務所管内を皮切りといたしまして、県教育委員会の保健師が学校を訪問いたしまして、随時、教職員から心と体についての健康相談を受けているところでございます。さらに、メンタルヘルスチェック、また、管理監督者のためのメンタルヘルスセミナー、それから教職員の心のケアに関する研修会などを開催いたしまして、児童生徒が安心して教育を受けることができるよう、教職員の心身のケアを支援することとしているところでございます。
 それから、家族の方々に対する対応でございますが、先ほど申し上げました臨床心理士による教育相談においては、家族の方々も一緒に御相談に乗っていただける、こういうことでお願いしているところでございます。
 また、県内小学校の保護者に対しましては、リーフレットの配布、子供の行動などへの家族の注意喚起を行っておりますほか、県立総合教育センターにふれあい電話を設置いたしまして、個別の相談にも対応させていただいているところでございます。
 それから、いわゆる被災した学校の衛生面での対応ということでございますが、被災した学校につきましては、学校の再開に当たりまして、学校環境衛生基準等に基づいて適切な衛生状態等が守られるよう、市町村教育委員会に要請しているほか、岩手県学校薬剤師会の協力もいただきながら、学校薬剤師の指導のもと、それぞれの学校において、校舎や机、いすなどのほか、給食室、トイレ、校舎周りなどの洗浄、消毒を行っているところでございます。しかしながら、今もって必ずしも水道水が十分に使用できない、また、通学時における瓦れきの粉じん等による呼吸器への影響、こういったものが懸念されますので、衛生面ではまだ心配な点も多い、このように把握してございます。
 また、今後のインフルエンザ等の感染症も含め、今後とも各学校の状況の把握をしっかりする必要があると思っておりまして、医師会、歯科医師会、薬剤師会とよく連携、協力をいただきながら、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
 それから、奨学金事業についてでございます。お話のとおり、今般の大震災津波による被害を受けた、また、経済的に非常に厳しい環境に置かれております高校生に対しましては、給付型の奨学金が必要だろうと考えておりまして、国に対しましてその創設を要望したところでございます。しかしながら、国の1次補正において措置されました被災児童生徒修学支援等臨時特例交付金を原資といたしました奨学事業につきましては、従来からの貸与型奨学金制度の拡充でございまして、給付型奨学金の創設は残念ながら見送られたところでございます。県教育委員会といたしましては、引き続きその創設に向け、国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇12番(小西和子君) ありがとうございました。では、再質問をさせていただきます。
 御答弁で、事務職員の加配というのは臨時職員等で対応していると。政令の改正が必要なため、このようにしているのだというお話でございましたけれども、校舎が流失したために書類等も全く手元にない。それから、震災のために転出入の児童生徒がすごく多いんですね。そのたくさんの事務処理に当たるのが事務職員なわけです。小中学校の場合ですと、事務職員はたった1人でございます。それをすべて1人でこなすということは大変なことだというふうに聞いております。被災校を中心にやっぱり事務職員の複数配置があってもよいと考えます。そのためには、どのような手続を踏んだらいいかなということもあるかとは思いますけれども、ぜひ検討をしていただけないか、お伺いいたします。
 それから、教職員の配置にかかわってですけれども、阪神・淡路大震災の調査では、心のケアが必要な子供が最もふえたのは、その直後ではなくて、数年後だったというふうに報告されております。心の傷の修復というのは長期的な課題になると思われますので、やはり教職員の定数増というのは避けられないことではないのかなというふうに思われるのですけれども、どのようにこの課題に対応していくのか、お伺いいたします。
 次に、震災の影響による子供たちを取り巻く環境について先ほどお答えいただいたのですけれども、すごく今心配されるのは放射能の問題であります。この放射能というのは、学校現場のみならず、県民の大きな関心事であります。私のところにも県民の方から、もっと情報を公開するというような方向にはならないのかといった問い合わせがありました。県民の大きな関心事でありますので、放射線量測定のモニタリングポスト、これをふやす、それから監視機能を強化して県民への情報提供の充実を図るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 先ほど、震災により児童生徒を取り巻く環境が大きく変化したことということで、奨学事業費補助についてお伺いいたしましたけれども、そのことにかかわりまして、子供たちが安心して学ぶことのできる環境を整えることが、地域の復興それから岩手の復興に大きな力になるのではないかと考えます。
 昨年から実施されている高校授業料無償化により、多くの生徒が授業料の心配をせず学び続けることができていると私は思っております。しかし、残念なことに、今も66人の生徒が授業料徴収の対象となっております。
 実は、福島県では、法の趣旨に基づき、完全無償化になっております。その福島県から、震災後13人の生徒が岩手県に転入しております。こういうことからも、給付型の奨学金とあわせて、高校授業料の完全無償化が実現することで児童生徒の学びを大きく支えることにつながると考えますけれども、いかがでしょうか。
〇教育長(菅野洋樹君) 事務職員の加配についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、やはり学校現場の状況に応じて、それぞれの設置者でございます市町村教育委員会はいろんな制度、緊急雇用ということで臨時職員を入れて対応している例もございます。ただ、事務職員の加配につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まず国の制度改正が必要だという事情もございます。したがいまして、私どもとしては現場の状況をよく把握しながら、まずは国の制度を変えてもらう、いわゆる政令改正を行ってもらうための努力をまずしていくということが一番目かなと思ってございます。
 それから、教職員の加配につきまして、特に心のケアのお話がございました。心のケアは非常に大事でございます。ですから、阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして、まず、心のケアをしっかりやることが将来の子供の健全な成長につながるということで、今、全力を挙げてやってございます。ただ、一方で、教職員の加配も必要だろうと思ってございまして、引き続き国に対しましては、必要な加配について、それぞれ学校現場の状況に応じまして長期的な視点を持って求めていきたいと思っております。
 それから、高校授業料無償化の関係でございます。福島県のお話もございました。確かに福島県、宮城県、本県と、それぞれ各県によって若干ずつ制度が違っておるという実態は把握してございます。今回福島県からおいでいただいたお子さんで、福島県と本県との制度の差で不利益になったという事案はなかったものと聞いておりますが、そのような各都道府県間におけるそれぞれの制度の若干の相違、それからこの制度を創設、設計いたしました国の動向、さらに今議員からお話のありました本県でのいろいろな実態等を踏まえまして、よく把握して対応していく必要があるのではないかと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 本質問になかったのでありますが、答弁ということで工藤環境生活部長。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 放射能の監視体制の強化と情報提供についてのお尋ねでございます。
 監視体制の強化につきましては、ただいま県のほうではモニタリングポストをさらに3台増設するということ、あと、携帯式の放射線の測定器でありますサーベイメーターについても8台ほど増設したい。そして、あと放射性物質の検出をいたしますゲルマニウム半導体検出器というものがございますが、これを1基増設するということで今進めてございまして、財源につきましては、昨年度の交付金でございますきめ細かな交付金の繰り越し分、これを活用するということで現在進めているところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、斉藤信君。

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