平成23年6月臨時会 第22回岩手県議会臨時会 会議録

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〇46番(佐々木大和君) それでは質問させていただきます。
 きょう現在、県内の被害者数、死者4、526人、行方不明者2、818人、東日本大震災の被害は余りにも大きく、沿岸地域に住む人々は、ほとんどの方々が、親、兄弟、親戚として関係されております。間もなく3カ月。落ちつきを取り戻すときに、その悲しみ、傷の深さは本当に大きいものであります。避難所での生活が長期にわたり、多くの人が仮設住宅の早期完成を待ち望んでおります。239団地、1万3、336戸の建築が進み、7、560戸が完成し入居しているとの報告があります。来月上旬にはすべての方が入居できる見通しと伺っており、ぜひ、生活再建の第一段階である住まいの提供を確実に進めていただきたいと思います。
 同じ被害に遭った宮城県の状況を、さきに2度ほど見てまいりました。瓦れきの処理を見てみても、本県は宮城県に比べ大分進んでいると思っております。それは、そこに住む人が、そしてまた行政もそうでありますが、みずから積極的に取り組んでいる方がたくさんおられ、そのことが形になっているのかなと感じております。このことは、被害に遭われた沿岸の人々が同じ地域に今一度住みたい、そう考えている人々の思いが示されているものと思われます。そこで生活するには、生業、なりわいが必要です。その一つの核である漁業を見ても、ある漁協の調査の結果を聞きますと、3割ぐらいの人が廃業を考えているとのことです。その中には、1割程度、今回の死者、行方不明者がおられますが、さらに転職を考えている方もたくさんおります。このことが、スピード感を持って対応を求められているということなわけでございまして、この現実から、県、特に復興局の役割、責任は大きいものがあると思います。
 今回の補正予算は、震災関連の国の1次補正に対応して、県の予算を措置するためのものであると思いますが、知事は、先ほどもありましたが、この予算にどんなメッセージを込めたのか、重ねて伺いたいと思います。
 特に、先ほどのに加えまして、長期的視点に立ってこの沿岸の人々が希望の持てる地域づくり、その方向性を示していただき、できればスローガン等も掲げることが必要になってくるのではないかと、そういうことで知事の思いをお伺いしたいと思います。
 次に、生活再建のための現金給付の三つの制度について伺います。
 それぞれの支給状況は、6月3日時点で、義援金の支給は1万5、231件、進捗率は県全体の第1次配分の48%となっております。被災の大きかった大槌町では、いまだ支給が始まっていない状況にあります。一番被災が大きくて早く支給していただきたいところが、まだゼロであります。やはり、県はこういうところを積極的に応援して、責任を持って応援して、義援金の支給がぜひそういうところに、順番がちょっと違うのではないかと私は思っておりますが、本当に必要なところに届くようにしてもらいたいと思います。そして、この状況を伺いたいと思いますし、被災者生活再建支援金の支給は625件、さらに災害弔慰金の支給件数はわずかに39件であります。震災から3カ月が過ぎようとしている現在ですが、被災地では支給が遅いという声が強くなっております。支給のおくれている理由とその見込みについて県はどのようにとらえているか、お伺いいたします。
 次に、大震災により被災した防波堤、防潮堤、岸壁など、そして海岸の瓦れきと、漁協の機能は完全に失われた状態でした。漁業者からは、残ったわずかな船をぜひ守りたい、そのために一番に航路を確保してほしいという声を聞かされました。その思いを受けとめて県でも積極的に取り組み、漁港再生の取り組みを始めております。漁協、漁民の方々が地域一丸となって取り組み、浜は動き出しております。そして早い行政支援を求めております。
 今回、漁港災害復旧事業、県単独漁港災害復旧事業、漁港関係災害関連事業、漁場復旧対策支援事業など、期待される前向きな予算が組まれました。しかし、海岸事業は、しけや高波、そしてこれからは台風なども想定され、急ぐ気持ちと阻む事態もあるかもしれません。相当長い時間がかかる事業になると思われます。
 また、共同利用の漁船等は、小型船新造船で2、600隻、定置漁船の建造、修繕150隻、また950隻の修繕、定置網28カ統の整備が示されました。そしてサケのふ化場の復旧、ワカメ、昆布、ホタテガイ、カキなど、養殖事業への支援事業が予算化されております。時を失することなく取り組まなければなりませんが、水産業にしっかり対応していただきたいと思います。
 そこで伺いますが、県内の漁港は、県管理31港、市町村管理80港、現在どれくらいの数の漁港を応急工事により復旧してきているのか、その状況を伺います。また、今後の復旧の見込みについても伺います。そして、補正予算には水産業の復旧、復興に向けて多くの事業が盛り込まれていますが、定置、養殖漁業それぞれの平年度生産額に対し何割程度復活させる計画となっているのか、お伺いいたします。また、大災害で壊滅的打撃を受けた漁協や漁業者にどこまで補助、支援をする予算となっているか。さらに、これらの事業を通じて二重債務を生ずることがあると思いますが、このことにどう対応する予算となっているのか、あわせてお伺いいたします。
 瓦れきの処理について伺います。
 県は、今回、専決処分の承認議案の対象となっている大槌町を含め、12被災市町村のうち、7市町村から委託を受けて瓦れき処理をすると聞いております。現在、瓦れきは仮置き場に山のように集積しておりますが、火災が発生するおそれもあり、また、台風により集積した瓦れきが流出するなどの被害が懸念されております。委託を受けた県にも責任が発生すると思うのですが、県は、今後どのような形でこの処理を進めようとしているのか、伺います。
 次に、中小企業の復興支援と雇用について伺います。
 県は、今回の震災に関する中小企業の被災状況をどのように把握し、補正予算でどう対応しようとするのか、伺います。また、どれだけの雇用が失われたのか、この大きな課題について、雇用の動向についても現状と対応について、あわせてお伺いをさせていただきます。
〇知事(達増拓也君) 佐々木大和議員の御質問にお答え申し上げます。
 補正予算案の基本的な考え方についてでありますが、さきの4月臨時会に提案させていただきました予算では、主に災害救助、応急仮設住宅の整備、瓦れき処理に係る経費など、年度当初から緊急的な対応が必要な予算について措置したところであります。被災された方々は、日常生活やなりわいを早く取り戻したいと切実に願っておられ、今回の補正予算は、水産業への幅広い支援や中小企業の施設等の復旧など、なりわいの再生に係る経費について重点的に措置したところであります。特にも、水産業の復旧、復興なくして被災地域の復旧、復興はないとの考えから、漁期を逃さず対応できるよう、施設設備の復旧や漁具などの整備に要する経費など、水産業に係る経費について約790億円と多額の予算を計上することとしたものであります。また、あわせて、暮らしの再建として、雇用の確保、被災地域での心身のケアの充実、安全の確保のための各種公共施設の復旧などを盛り込みながら、国の1次補正予算では不足する部分にも踏み込んで予算編成をしたところであり、復旧を幅広くかつ力強く行い、復興というステージに進む予算としたものであります。
 また、佐々木議員から、長期的スローガンということでありましたが、昨日開催された岩手県東日本大震災津波復興委員会においては、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造という目指す姿を案として取りまとめていただいたところであり、今回の県の予算もそうした方向性と軌を一にしていると考えます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 生活再建のための義援金等の支給についてでありますが、未曾有の大震災により、被災市町村におきましては、被災者の安否確認、避難所等への物資供給など膨大な事務が生じる一方、役場庁舎や市町村職員も被災するなど、行政機能が著しく低下する中で義援金等の事務処理を行っているところでございます。このため、県では、被災市町村からの要望を受け、4月27日から職員を派遣し、市町村の事務処理体制を整え、義援金等の支給事務を支援してきているところでございます。この結果、義援金につきましては、6月3日現在で、第1次配分の全体件数3万1、731件の48%の1万5、231件を交付しているところであり、今後、6月中におおむね80%以上の支給を目標としているところでございます。
 また、被災者生活再建支援金については、国の指定委託法人である財団法人都道府県会館に進達した件数が、6月3日現在で1万4、154件となっておりますが、被災者に支給された件数は625件、4.4%にとどまっており、同財団法人に対して文書で早期支給を要請しており、引き続き早急な支給を働きかけてまいります。
 災害弔慰金につきましては、各市町村が条例に基づき調査の上で支給するものでございますが、実務上は、被災者から、死亡、行方不明の方に対する義援金の申請を受ける中で弔慰金の受給者を確定させているものであり、義援金の交付事務を現在優先しておりますことから、義援金の支給の進捗とあわせ弔慰金の支給も進んでいくよう、県としても支援してまいりたいと考えているところでございます。
 義援金等の早期支給は被災者の皆さんの生活再建に不可欠であり、一日でも早く被災者の皆さんの手元に届くよう、県としても引き続き被災市町村の状況に応じた支援を行ってまいります。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 水産関係施設の復興についてでありますが、漁港の復旧状況と今後の復旧見込みにつきまして、今般の津波により県内111漁港のうち108漁港が被災しており、防波堤が倒壊するなどの被害が生じております。災害発生後、速やかに漁船の安全航行と停泊を確保するため、航路、泊地に浮遊、堆積している瓦れき等の撤去を行うとともに、臨港道路や岸壁、護岸を仮復旧するための応急工事を一部利用が可能な40漁港を除く67漁港で進めており、このうち59漁港で利用が可能となっております。
 今後におきましては、応急工事を進めながら、6月末から始まる災害査定の後、秋口以降に本格的な復旧工事に着手してまいります。
 また、定置、養殖関係施設につきまして、今般の津波被害により、大型、小型定置網135カ統に加え、ごく小規模に行われているいそ建て網220カ統のほとんどが、また、ワカメ、昆布、ホタテ、カキなどの養殖施設約2万6、000台のほぼすべてが被災しております。
 今回の補正予算におきましては、定置網について、新設、一部交換補修の支援により、サケ定置網を主体に被害を受けた施設の約8割を、養殖施設につきましては、短期間で漁家収入につながるワカメ、昆布の養殖施設を中心に、約4割の復旧を見込んでおります。
 国の1次補正予算の水産振興関係事業の多くは、県と国または国が事業費の3分の2を補助する枠組みとなっておりますが、事業主体の負担軽減を図るため、いわゆる補助残につきましては、県、市町村、事業主体の3者で負担することを想定しており、県が9分の1をかさ上げすることとしております。
 事業実施に伴う事業主体の負担につきましては、国の1次補正予算へのかさ上げ補助や漁協の機能回復に要する経費などの県単独補助を行うこととしており、また、融資でも、国の1次補正予算におきまして、実質無利子化、無担保、無保証人での制度融資が可能となるよう措置が講じられたことから、これらも活用しながら事業主体の円滑な事業実施を支援してまいります。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の処理についてでありますが、推定量約580万トンにも及ぶ大量の災害廃棄物につきまして、迅速かつ適切な処理を進めるため、現在、県内外の廃棄物処理施設の受け入れ条件や処理可能数量等について、鋭意、情報を収集し、その設置者などと調整を行っているところであります。また、国や大学等の支援も得ながら、課題となっております塩分を含む廃棄物の処理について、第2クリーンセンターでの試験焼却や水洗方法などの検討を行っております。
 今後、これらの状況を踏まえながら、8月中をめどに県全体の廃棄物処理計画を策定し、3ないし5年以内で処理が完了するよう、市町村と一体となって取り組んでいくこととしております。
 また、廃棄物の処理は喫緊の課題でありますことから、廃棄物処理計画の策定作業と並行して、条件が整ったところから、順次、廃棄物の処理を開始していくこととしており、例えば、野田村におけますコンクリートがらの資源化と混合廃棄物の分別、大槌町などの腐敗水産物の海洋投入処分、陸前高田市の水産物まじりの廃棄物の処理、宮古市などの木くずのパーティクルボードへの再利用、沿岸地区の清掃センターにおけます焼却処理などにつきまして着手または着手しようとしているところでございます。さらに、環境省とも連携を図りながら、県外での広域処理について協議を進めるなど、撤去から処理に向けまして可能な限り迅速な処理が図られるよう、取り組んでいるところでございます。
 なお、仮置き場の高潮対策についてでございますが、必要に応じて被災地域から排出されるコンクリートがらなどを用いまして大型土のうをつくり、2段、3段に積み重ね周辺を囲う、あるいは数メートルの長さの鋼板を打ち込み、壁をつくり周辺を囲うなどの対策を講じていく考えであります。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、中小企業の復興支援についてでありますが、発災以来、直ちに資金繰り対策として低利の中小企業災害復旧資金を立ち上げるとともに、さらに4月補正予算において、工場、店舗の修繕費補助を県単独で措置するなど、企業の早期の事業再開を促進してきたところであります。
 被災状況につきましては、商工業関係で約1、660億円と推計しており、個別の積み上げによる被害額の集計に至っておりませんが、産業支援機関と共同で被災企業を直接訪問し、さらなる実情の把握に努めております。
 今回の補正予算においては、国の1次補正予算に対応して、融資枠500億円で低利の中小企業東日本大震災復興資金を用意するとともに、複数の中小企業から構成されるグループや商店街を対象とした施設設備の復旧支援補助を措置したところであります。
 また、被災事業者の二重ローン解消につきましては現場からの要望が大変強く、一方、県単独では対応が困難なことから、知事みずから国の復興構想会議におきまして提言を行うなど、現在、国に対し積極的な働きかけを行っているところであります。
 次に、雇用の動向等についてでありますが、直近4月末の有効求人倍率は0.41倍と、前月末に比べて約0.06ポイント低下しております。これは、有効求人数では県や市町村による震災復旧事業の求人などの増加が見られたものの、有効求職者数が前月比で約9、000人増加いたしまして、4万5、000人を超えたことが大きな理由と考えております。
 地域別の有効求人倍率を見ますと、釜石、宮古、大船渡、久慈の沿岸地域での0.2倍台と大変厳しい状況にございます。
 こうしたことから、県としては、特にも沿岸部の雇用を下支えするため、4月の補正予算において、緊急雇用創出事業として5、000人分、56億4、000万円を措置したところであります。
 今後も厳しい状況は予想されることから、今回の補正におきましても、さらに事業費を62億円余増額いたしまして、さきの補正と合わせ1万人の雇用創出に取り組むとしたところであります。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、高橋博之君。

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