平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇50番(佐藤正春君) 私は、一関選挙区出身の県議として、今回の議案第13号に反対の立場を明らかにし、討論を行うものでございます。
 まずもって、今回の合併に対し、熱心に取り組んでこられた一関地方合併協議会会長浅井一関市長を初め六つの町村長、さらには九つの市町村長、協議会の各委員に対し敬意と感謝を申し上げる次第でございます。
 明治、昭和と続く平成の大合併は、来春には1、800の自治体となります。このようにむだをなくし、集約化されることはいいことでございますが、目先のニンジン、特例債が欲しくて、有無を考える時間も意見も押さえ込み、見切り発車することは、果たして後顧の憂いを残さないものなのか。知事によっては、無理に追い込むようなことをしないという慎重論も多かったわけでございますが、本県知事の指導のあり方はどうだったのか。合併を急ぎ過ぎた一関地方合併協議会に苦言を申し上げるものでございます。
 去る1月31日、第13回協議会の結果、市名で壊れた新市名が一関市に決まり、浅井協議会会長は、新市名が一関市に決まってよかった。感謝していると、このようにコメントをしております。もちろん、平泉、藤沢抜きの新市名でございます。昨年11月9日、第6回の協議会では平泉市と決定。そのときは、浅井協議会会長は、新市の名前が決定した。平泉市が住民になじむまでには時間がかかるだろうが、それぞれの立場で努力が必要だと、このようにコメントをしております。また、昨年12月5日、浅井会長は、信頼関係が回復せず、白紙に戻すと発表いたしました。その後の報道によりますと、自分たちの利益だけを考えてやるならば、合併なんかしない方がいいと、このように怒りをあらわにしたと報道がございます。いかなる真意なのか。千葉前平泉町長は、この白紙撤回に対して、新市の名称だけにあるのではないようだと、こうコメントしております。これでは合併対象住民は何が何だかさっぱりわからない。まさにやぶの中でございます。全く透明性を欠き、首長による関係住民への説明責任が果たされたとは言えないのでございます。特に協議会の会長と一関市長としての二足のわらじを履く浅井市長は、もっと粘り強くリーダーシップを発揮し、九つをまとめる強力な政治力を発揮すべきではなかったのか。
 まず、今回の合併の経過を見るに、各市町村の合併に対する共通の理念が欠如していたことが、混乱の最大の原因ではなかったのか。また、私情、私怨がかいま見えたことはまことに残念でなりません。九つの枠組みが壊れた後に、小原大東町長は、いみじくも、哲学がない。筋が通っていなかった。一関にはもう少し指導力を発揮してほしい。このように訴えております。
 平成16年12月11日の岩手日報、このまちの行方には、冒頭、9市町村の合併はなぜ破綻したのか。明快なストーリーとして県職員の一人は、新市名をかち取った平泉町に、一関市が文句をつけて追い出した。そんな舞台劇が見えると報じております。まさに多くの県民から私に寄せられた電話、はがきには、一関のぜいご芝居だとやゆをされている始末でございます。
 そもそも合併の大儀とは、国からのおんぶにだっこはやめて、地域が一つになって、お互いに足らぬところは補い、強いところは弱いところに手を差し伸べて、子や孫のために特色のあるまちづくりをすることではなかったのでしょうか。改めて、地方自治とは、首長や議員のためにあるのではないことを思い知ってほしいと思うのでございます。
 地方自治法総則第1条本法の目的の中には、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする、こう明記されております。一部の公共団体を借金を理由に排除する論理は、健全な発達を阻害することになりませんか。
 県では、平成12年5月に広域行政推進指針を発表し、その中で、一関、花泉、平泉の3市町の合併案が提示され、私も、実際に合併状況にある3市町のスタートは最も進めやすい方法と賛意を表明してまいりました。会長になった一関市長は、平成14年4月、宮城県を含めた11の大構想から、4、5、9となり、また4に戻り、7にたどり着いたと。迷走の果てというのが実態でございます。
 特に、昨年12月5日の九つの協議会の平泉市新市名決定後の白紙撤回は、全く県民には理解できず、いまだに真相はやみの中でございます。協議会委員が時間をかけルールどおりに粛々と進め、平泉市に決まった途端に白紙に戻すとは、まさに、みずからのルール破りと言われても仕方がございません。
 また、会長の白紙撤回発言に、なぜ町村長、協議会の委員から議事の進行について異論が出なかったのか、不思議でならないのでございます。これだけ苦労して積み上げてきた協議会を、うわさの域を出ない平泉、花泉両町の議員の行動が、果たして信頼関係を壊すほどの重大な要因だったのでしょうか。納得できないものがございます。
 また、時を同じくして、平泉市決定後に騒ぎを始めた一関市議会一部の議員の行動は、会長である一関市長に圧力をかけ公正な判断を誤らせた行動は、軽率のそしりを免れません。また、みずからの足元である一関市議会を説得できず、その責任を平泉、花泉にかっつけた責任も、また重大でございます。
 今まさにNHK大河ドラマ、平泉・義経であり、世界遺産の運動と絡めて、平泉のブランド名は、日本全国といわず世界的な平泉となっています。このチャンスを逃さず、平泉に地域活性化を上乗せすることは、はかり知れないインパクトとなることでございます。さきの春の藤原まつりに25万人の内外の人が集まったことは、時代の要請であります。平成の大合併では、全国一知名度の高い大平泉市になったことでありましょう。
 観光のみならず、あらゆる分野の波及効果が期待できるのでございます。NHK義経の放映により、日銀の下関支店では、1月15日までに壇ノ浦などの史跡を抱える山口県の経済効果が179億円に上ると試算をまとめて発表しています。平泉・義経の経済波及効果は、岩手を初め、東北6県に及ぶものと思慮されます。
 また、清衡公の中尊寺造営の供養願文に込められた平和主義、平等精神は、当地方はもとより、東北人の心として誇りを持ち後世に引き継ぐものであります。この永遠に光輝く平泉を無視しての合併は、合併の大儀がございません。
 また、藤沢を排除した条件が、ふるさと振興公社いわて藤沢の整理が条件とは、九つの合併協議会ではオーケーを与えていながら、七つのときはだめだよと、いかなる理由によるものなのか、責任ある回答を求めるものでございます。
 特に、藤沢町は、町長と町民が一体となって農業に取り組んできた情熱とノウハウは貴重なものであり、合併新市に欠かせないものでございます。また、広報ふじさわなど、県代表としても評価されております。
 私は、この貴重な実績を持つ藤沢と永久不変の平泉を抜いての合併は、二つの目が入らぬだるまに等しく、この合併は当選とは言えません。
 以上、反対の経過と理由を申し上げ、後世に議事録として残すものでございます。
 御清聴ありがとうございました。

〇議長(伊藤勢至君) 次に、斉藤信君。
   〔26番斉藤信君登壇〕


前へ 次へ