平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(小原宣良君) 伊沢議員の質問に関連して、県国民保護計画策定に当たっての基本的な考え方について知事にお伺いしたいと思います。
 第1は、国民保護における国と地方自治体との関係についてであります。
 知事は、2月議会において、武力攻撃事態などは国家の緊急事態の中でも最も重大なものであり、これに的確に対処するために国全体として万全の措置を講ずることが必要であり、地方公共団体に対する一定の国の関与はやむを得ないものと考えている。国と地方公共団体とは、共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力し合う関係であるので、地方自治体の原則は、こうした武力攻撃事態においても尊重されるべきであることは当然である、このように知事は答弁をしております。この認識は極めて大切、重要でございます。この点は再確認させていただきたいと思っておりますが、御答弁をいただきたいと思います。
 その上で、地震や津波など自然災害への対応と武力攻撃事態への対応でありますが、伊沢議員が質問でも触れたとおり、政府の中央防災会議の専門調査会が、北海道から東北の太平洋岸を震源とした大規模地震が起きた場合、本県の宮古市や大船渡市が20メートルを超える津波に襲われる可能性があるという推計結果を発表しました。これは本県にとって、どの国が攻めてくるかしれない、そういう事態よりもはるかに深刻な予測事態であります。こうした国の地震津波などの自然災害予測を受けて、県防災会議の開催など、県はどう対応しようとしているのか伺います。
 この際、武力攻撃事態における避難誘導等を内容とする県国民保護計画と地震津波などの自然災害への対応策を分離するよう私からも強く求めるものであります。改めて知事のお考えを伺います。
 第2は、指定地方公共機関の業務計画の作成についてであります。
 これらの機関も、県防災会議のメンバーとして、今申し上げました自然災害対応に集中すべきと考えるのですが、あわせて知事の基本認識を伺います。

〇知事(増田寛也君) まず、2月定例会で私申し上げたんですが、確かに武力攻撃事態等は、これは国家の緊急事態でありますから、一定の国の関与は、これはそうした事態にはやむを得ないと私も思うんですけれども、ただ、国と地方公共団体は、それぞれが共通の目的である国民の福祉の増進に向かって進んでいく、こういうことでありますので、その際にも申し上げたわけですが、地方自治の原則は、こういう武力攻撃事態、そういった場面においても当然尊重されるべきである、2月定例会で申し上げましたそのことを私はこの場でももう一度申し上げておきたいと思います。
 2点目でございますが、中央防災会議の関係でございまして、こちらの方で先日推計値を公表されたわけでございまして、この推計値、大変大きなものでございましたけれども、私どもの方でも別途シミュレーション等をやっておりましたので、今、それに基づいて対策を講ずべく動いているところでございます。先般のは推進地域を指定するためということで発表したものでございますが、今後、被害想定調査も向こうの方では行うと聞いておりますので、今、その中央防災会議の動きを大変私どもも注視しております。そして、これに先立って、今申し上げましたように、宮城県沖地震を想定したシミュレーションや被害想定調査も実施してまいりましたので、その結果に基づいて地域防災計画の修正を行ってまいりましたけれども、今後、先ほど言いましたような国の中央防災会議の方で今後示されるであろう被害想定調査結果、これが示された場合には、当然必要に応じて県の地域防災計画にも反映させるなどの所要の措置を講じていきたい、このように考えております。県でもこういった防災対策は緊急課題として位置づけて、平成17年度予算でも予算をやりくりしておりますので、そうした防災関係の各種施策は今後も積極的に取り組んでいきたい、こういう考え方に立っております。
 それから、先ほど伊沢議員にも申し上げたんですが、武力攻撃災害と自然災害とは、発生原因や事象の本質などがやはり根本的に異なっていますので、そういう違いがございますので、武力攻撃の類型に応じて、県の行う国民保護措置を国民保護計画において定める、こういうふうに考えております。
 それから、指定地方公共機関の業務計画でございますが、これは、県の国民保護計画に基づいて、平成18年度中に策定が求められております。業務計画では、当然、当該機関が実施する国民保護措置の内容とか、職員の配置、役割などについて定めることが想定されているわけでございます。そうしたものについては、県の国民保護計画の策定は、手続にのっとりまして着実にやはりこれは推進していきたいと思っております。
 なお、災害対策基本法における指定地方公共機関についても、その業務に係る防災に関する計画を作成すること、このようにされておりますので、自然災害が起きた際には、その計画に基づいて防災に関する業務が行われるということでございまして、私どもも国民保護計画も着実に進めていかなければならないと思っておりますが、防災という大変重要な、そしてまた近々に起こることが想定されている、そういう問題でございますので、こちらはこちらで私どもも予算措置等も含めて万全を期していきたい、このように考えております。

〇48番(小原宣良君) 武力攻撃の類型によってその対応が異なるというのはもちろん当然のことです。そして、私が申し上げたいのは、今、中央防災会議でも示されているような、本県にとってはかなり重大な事態という部分で中央防災会議が示しているということです。これに向けては具体的にこれからの対応ということになるようですが、いずれ、自然災害と武力攻撃事態における例えば避難誘導等の訓練、これは分離すべきだと申し上げている理由でありますけれども、知事からもお話ありましたように、武力攻撃の類型によってその対応が異なる。国は、四つの攻撃パターンを示しております。着上陸攻撃、航空攻撃、ミサイル攻撃、ゲリラ攻撃です。そのうち、着上陸攻撃と航空攻撃、これは国では、可能性は低い、このように言っております。記載しております。とすれば、この県国民保護計画は、ミサイル、ゲリラ攻撃への対応ということになるわけです、そのとおり読めばですよ。例えば、このミサイル、ゲリラという部分でいったら、盛岡で例えばどこにミサイルが落ちるか、どこがゲリラ攻撃を受けるか。県議会かもしれない。そういう避難誘導訓練をする場合には、この特定をしなければなりませんね、想定するという点で。地域周辺の住民の皆さんにそれに対する避難誘導の指示、徹底、訓練でやってもそういうことになりますが、そういう想定をしなければなりません。こういった形が、果たして現実的な中で、20メートルを超える大きな津波の襲来というふうなことまでも、これは現実に国の中央防災会議が示している。そうした中でこれらが一緒くたになっていくとすれば、これはむしろ自然災害への対応という部分を、地域住民総がかりの取り組みという部分を阻害するのではないかと思われてならないんです。したがって私は、これは分離をすべきだと主張している点がそこなんですけれども、この点、再度知事からこの見解を伺いたい、こう思います。
 これは今、具体的に作業が進んでいるんだろうと思うんです、県の国民保護計画というものが。年度末ということになりますが、しかし今、進行中だと思うんですね。こういう四つのパターンに合わせてどういう具体的な攻撃を想定をしながら、該当する市町村はどういう対応をとるのか、消防はどう対応をとるのか、こういうことが具体的にこれから皆さんは示すんですね。そして一方では、この地震津波、こういうものが現実の課題として中央防災会議が発表をしている。ここのところを一緒くたにしてはいけない、こういうふうに私は申し上げているんですが、知事、御答弁をいただきます。

〇知事(増田寛也君) 申し上げますが、やはり武力攻撃災害の方については、今、議員からお話ありましたように、大変やはりデリケートな問題が含まれていますので、私どもも作成につきましては、先般5月に協議会を開いて大勢の関係者が集まって、もちろん公開でやっておりますけれども、そういうところの手続を経て、これはマスコミの関係者の皆様方も入っている場でございますが、こうした中で手続を進めておりまして、この県のつくります計画が、これはまた市町村の方の計画などとも絡んできますので、こちらはそうした厳正な手続を十分に踏まえた上で、やはり着実に策定を進めていかなければならないと思っております。本質は、やはり武力攻撃災害というのは、今お話ありましたように自然災害とは異なるということでありますから、ここをきちっと押さえた上で、法律に定められた手続にのっとって計画づくりをしていく、こういう考え方でございます。
 今お話ございました、当面、津波が一番自然災害としては過去の例から見ましても大変な災害を引き起こしておりますし、これに対しての対策というのは大変急がれるわけでございまして、これは、私どももシミュレーションをやっておりますし、また、中央防災会議でもそうしたものが近々にまた示されてくることになると思います。先般も地域指定のためにそういうことが出てまいりましたので、これはこれで大変急がれる対策でありますので、随時県の防災計画などの見直しにも常に連動させておりますから、こちらは、特に沿岸の地域の皆さん方の避難訓練なども随時織り交ぜながらきちっとした対策を行っていくということで、これは予算も含めて県としても大変力を入れている項目でありますので、こちらの自然災害についての対応はしっかりと、また、迅速な対応を今後も図っていきたい、このような決意でございます。

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号平成16年度岩手県一般会計補正予算(第8号)の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第28 議案第27号いわて男女共同参画プランの変更に関し議決を求めることについてまで

〇議長(伊藤勢至君) この際、日程第2、議案第1号から日程第28、議案第27号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。


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