平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(中平均君) 民主・県民会議の中平均です。
 本日、一般質問で、県政が抱える諸問題の一端について質問する機会を得ましたことに感謝申し上げます。知事初め執行部に対し、より直接に県民の声を伝えられる立場にある議会議員の立場から質問をさせていただきます。私なりの観点から率直に伺いますので、形式を排除したわかりやすい答弁を期待いたします。
 増田知事は先ごろ、全国知事会の地方分権推進特別委員長に就任したと伺いました。地方自治のあり方が問われ始めて久しいものがありますが、いわゆる国が目指す三位一体の改革は遅々として進んでいない状況であります。また、財政基盤の乏しい岩手県のような地方に対しては、改革という名の施策は、より深化するほどに、より厳しい現実が待ち受けているのも事実であります。このような状況を克服するため、知事は、県外においては改革派知事として活躍しているのは報道で承知しているところであります。また、県内に向けても、数値目標の設定や成果主義の導入、県庁内の機構改革などを積極的に行ってきました。そして今回は、広域生活圏の見直しによる地方振興局の再編の素案を提示しています。県内各地域において行われている市町村長との意見交換会やパブリックコメントを通じて多数の意見を聴取した上で成案を12月議会に提出する意向と聞いています。
 そこで知事は、現在までの各地域における反応をどのように受けとめられておられるのでしょうか。
 ここであえて私見を述べますが、今回提示された県内3生活圏といった枠組みに対して、非常に違和感を覚える地域もあるのではないかと考えます。特に、久慈広域圏においての盛岡市と同じ生活圏という枠組みは、その典型に思えてなりません。ちなみに、知事初め県の職員の皆さんには久慈地域に来ていただいたことは当然あるかと思いますが、その際、盛岡からどれくらいの時間がかかっているか、また、どのような道路状況なのか、携帯電話の不感地域がどれほど存在するか、耕地面積の狭さと中山間地域の占める割合等、およそ盛岡圏とは、歴史、文化等風土性や経済活動等あらゆる角度からとらえても共通性を探し当てることが極めて難しい状態にあると思えてなりません。こういった状況を勘案すると、今回の広域圏の設定は唐突の感が否めず、否応なしの緊縮予算が続く将来を見越しての単なる数合わせとしか受けとめられないのであります。現行の各地方振興局の予算を3広域で統合し、効率的に運用するということで予算が縮減される。よって、本来あるべき予算もまた一律で減らされてしまう。結果として、県内のみならず、圏域内の格差は開いていくのみではないかと危惧しているのは私だけではないと考えます。単なる数字合わせによる圏域構成の手法ではないかと考えるが、いかがでしょうか。
 加えて、本来であれば、素案とはいいながらも、地方振興局の権限、予算、要員を含めた広域合併後の自治体への移譲が盛り込まれて初めて圏域のアウトラインが描けると考えますが、その手がかりとなる具体的な手法が示されないままであります。県の権限を地元自治体に移譲し、自治体で責任を持てる方向性が示されて初めてあるべき地方自治が確立するのではないでしょうか。このことこそ、常日ごろ知事が目指し、そのために全国知事会や21世紀臨調の場で広く国民全体の理解と支持を得られるために活動している地方自治の実現の第一歩と言えるのではないでしょうか。いわば岩手県で実践して初めて国に対しての発言に重みが増すと考えます。
 加えて、昨年6月の本会議で知事は、合併によって行財政基盤が強化された市町村に対して、県から権限、財源、職員もセットにして移譲すると答弁されています。また、地方振興局のあり方については、本庁にある権限や人、予算を大幅に委譲して名実ともに地域経営戦略の拠点としての機能が十二分に発揮されるようにしていきたいとし、地方振興局の再編については、平成16年度検討し、17年度公表、県民の皆さんとの議論を十分に行いながら再編を進めていきたいと発言されています。しかしながら、今回提示された素案は、残念ながら知事が発言された本意についてはほとんどと言っていいほど触れられていません。これでは、幾ら国が非常に多くのことについて権限を手放さない、そうした国の権限を住民により身近なレベル、都道府県のレベルに大幅に移すことが重要ではないかと知事が発言しても、今の状況は、国が地方に迫ってきていること、三位一体改革と称するキャッチフレーズは、実質的には財政的に地方に打撃を与えるという不十分さが残る改革と同じことを県が市町村に行っている感を払拭できないものがあります。そういった意味においても、今回幾ら素案とはいえ、本来であれば移譲する部分が明記されるのが当然ではないかと考えますし、今後どのように権限移譲を行われるのか、この点の概要について知事の御見解をお伺いします。
 また、関連してお伺いしますが、今、私たちは、国、地方を問わず財政が厳しいという現状を肯定せざるを得ない状況にあります。だからこそ予算規模の縮減は避けられないことを是認している感は否めません。しかし、それでは、政治が責任を果たしているとは言えない。今日の経済情勢であればこそ、政治が担う役割は大きいということを前提に発言いたします。
 1970年代、日本経済が飛躍的伸長を遂げ、第1次オイルショックの前後における時期からの県内経済を、製造品出荷額をもとに、便宜上、盛岡圏、県南圏、県北・沿岸圏の3地区で対比してみますと、70年は、盛岡地区は全県の10%、県南33%、県北・沿岸50%という数字です。これが85年になると、盛岡24%、県南46%、県北・沿岸30%となり、2000年には、盛岡20%、県南61%、県北・沿岸部19%となっております。この県工業統計が示す実態からは、盛岡地区は、この30年間コンスタントな経済成長を維持し、県南部は大幅に伸長し、県北・沿岸部は大きく後退してきている現実が見てとれます。三陸沿岸の漁業活動の変遷や沿岸部の企業の縮小など、経済環境の変化という要因が大きかったということが言えます。このことからも、盛岡地域と久慈地域が産業の連続性、類似性があり広域生活圏とした県の新しい生活圏の素案は大いに疑問があると言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。
 また、今回の素案にある県の資料による製造業の特化係数、これを見てみますと、県南圏は1.3前後であるのに対し久慈地域は0.45となっており、この数値はこのまま雇用状況に反映されていると考えますが、県北の振興という観点から、この点に関する認識と今後の方向性をお伺いします。
 今申し上げましたとおり、県南圏における大規模工業団地造成という誘導策が、地勢的条件、景気動向、関係機関の誘致企業取り込みの努力という諸条件下のもとで大きな波及効果があったということが言えます。これが、いわば時の政治、行政の果たす役割の大きさということであります。メディアが三位一体改革を題材に地方の声にも耳を傾けよとし、政府の掲げる構造改革に対し、分権型社会、地方の自立に向けた改革は避けて通れないにしても、一方的な痛みでは地方の活力をそぐだけだと説いています。
 このことは、そのまま県政にも問われているのではないでしょうか。例えば、久慈市には重要港湾である久慈港があります。この資源を県勢振興に生かす施策が見えてきません。港湾ビジョンアクションプランも、具体策については実効性に疑問が残ります。交通インフラの整備を見ても、平成5年、久慈自動車道の一部供用開始されて以降、その先の北進計画についてはいまだ先の見えない状況であります。一方、八戸側の整備は順調に進んでいる現実、また、内陸部への横断道整備、90分構想の実現もいまだ道半ばであります。
 県勢の均衡ある発展のための県北の底上げが増田知事が初陣のときに掲げた重要課題であったと認識しています。
   〔議長退席、副議長着席〕
 当時の新聞報道における発言には、県北、沿岸部の地域格差を考えると、ベースは交通。時間距離を短縮することだ。広い岩手を考える上で必要になる。県庁所在地から90分、他県では60分、冬期でも90分が鉄則で、交通の足腰を強くすることが重要だと知事が述べてから既に10年が経過しています。知事は、がんばらない宣言に代表されるように、霞が関スタンダードからの脱却、身の丈に合った県政運営を標榜しているのは承知しております。しかし、時勢がいかに変わろうとも、政治家が公表した見識は重いものだと私は考えます。この点に関して、知事の率直な所見、当時、知事自身が考えていた県北の振興は、この10年どのように実現してきているかをぜひともお伺いします。
 次に、市町村合併についてお伺いします。
 本年3月までの合併特例法によって県内には来年4月までに11の新しい自治体が誕生することになり、合併市町村数は、当初予定されていた数よりふえました。これまでにもたびたび一般質問でも取り上げられてきましたが、知事のリーダーシップに期待する声が今なお絶えていない状況にあります。知事は、これまで一貫して地域の自主性を尊重するとの姿勢であり、結果としての合併数に安堵されていることと思います。
 さて、合併新法が施行となり、今後の方向性をどのように考えているかをお聞きします。知事は、前回合併時に合併が十分に行われなかったとか、合併を希望しながら行われなかったところは最優先の取り組みが必要と6月6日の記者会見で発言しております。また、総務省からの幾つかの基準はあくまで全国的な目安とし、必ずしもその指針にとらわれず、参考にしながら岩手県としての構想を考えるとも発言しています。今回の議会において、岩手県市町村合併推進審議会条例案が議案として提案されています。この議案が成立した場合、審議会において合併の方向性が審議されることになりますが、審議結果はいつごろ出てくる予定なのか、また、その審議結果を県としてどのように活用し、合併を進めていく予定なのかお伺いします。審議会の結果をただ市町村に説明して終わりということでは、前回合併法のときの指針と同じ轍を踏む結果にならないかとの危惧を払拭できないものがあります。まして今新法は、合併特例債の例に見るような、いわばあめの部分がないように思われるわけですから、より積極的な県の、特にも知事のリーダーシップがなければ合併は推進されないと考えます。
 また知事は、広域生活圏の見直しを進めていく中で、市町村合併をより進めていく必要がある地域があると発言しています。当然、具体的地域を想定されてのことだと考えますが、先ほど触れた県の権限移譲の話にも関連してくるのですが、合併の進んだ地域においては、現在の県の地方振興局の持っている権限、予算、人材を移譲していく。その際、県の単費で行っている事業も移譲させる。人材も県の予算で出向させ、段階的に引き揚げ、その上で人件費の移譲を明確にしていく。そのような取り組みがあって初めて、合併によって真の意味で行財政基盤が強化されるという期待になります。そうでなければ、合併のメリットがない。広域生活圏を設定し直し、地方振興局を再編する意義がない。知事の言葉をかりれば、地方の自由度が高まるということにはほど遠いと言えますが、合併市町村の行財政基盤の強化についての考えをお伺いします。
 次に、産業振興についてお伺いします。
 県内における雇用状況を見ましても、有効求人倍率は、久慈地区0.18、北上0.89、県平均0.49と大きな開きがあるわけですが、この対策をどうしていくのか。雇用対策として、ジョブカフェの設置など県としても対策を講じているわけですが、雇用基盤の増強といった根本的な解決にはほど遠いものがあります。すなわち、各種産業の振興による雇用の確保、また、所得の安定による個人消費の拡大が必要であります。平成17年度の県税収入予測の内訳を見てもわかるとおり、個人県民税は微増、法人2税の収入は約12億円の増、これに対して、軽油引取税は約15億円の減としています。原油価格が高値で推移していることから、予測よりさらに税収が減少することも予想されます。この県の当初の税収予想では製造業等が堅調に推移していると分析していますが、本当に堅調であるならば、物流の低迷が原因とした軽油引取税の減少と矛盾することになります。これは、業績のいい会社がある一方、企業努力、いわゆるリストラが進んだ結果もあるのではないでしょうか。この平成17年度県税収入予測を見ても、産業振興、いわゆる景気対策こそが県財政の健全化に向けても必要不可欠であるのは自明であると言えます。この点を踏まえながら、農林水産業の振興、製造業における人材育成について質問させていただきます。
 農林水産業は、岩手県にとって基幹産業と位置づけ施策を行ってきました。平成15年統計を見ますと、農業産出額は2、587億円で全国11位、しかしながら、農業労働1時間当たりの純生産は508円と、全国平均711円、岩手県の最低賃金606円と比較しても格段の差があります。この点をどうやって上げていくかが問題となります。また、稲作部門、酪農部門とも規模が大きくなるほど労働生産性は高くなるが、農業固定資本での大きな違いはないというデータが出ています。そして、収入に占める農業所得率は23.4%の平均の現実を見ますと、農業所得を主たる収入とする人と副次的な収入として生計を営む生産者との2種類の担い手の育成の必要性が感じられます。耕作放棄地が年々増大している現実、65歳以上の農業就業人口の割合は59.2%、こういった状況下において、よりきめ細やかな対策を実施していかなければ、岩手のリーディング産業と華々しくうたってみても、むなしい響きだけが残ることになりかねません。現在県では、担い手育成のために、若年層を対象とした施策や60歳以上の人を対象にした施策を実施し、それなりの成果を出していますが、根本的な解決にはほど遠い感があります。担い手を育成し、将来に向けて魅力ある産業としていくためには、営農指導の充実による生産性の向上や販売ルートの開拓の施策が一体となって行われなければならないと考えますが、この点についての施策を伺います。
 林業についても、木材価格の低迷が続いておりますが、中国の需要増によって外材の輸入量が減少しています。日本に売るより中国に売る方が利益になると判断されているのも、日本の国際的な競争力、購買力が低下していることでもあり、危惧するところではあります。
 さて、岩手県の素材入荷量の3分の2は国産材となっています。しかしながら、建築用資材の出荷量は低迷している現状から、県においても、県産材を使用した住宅建築の場合に補助を出しています。申込状況を聞いたところ、人気が高く、申込期間後の抽選となっている状況とのことですから、さらなる拡充を検討すべきではないでしょうか。また、公共事業等における県産材の活用に関して、工期に合わせた乾燥材の入手が困難になっている事例もあり、製材にするまでの期間を考慮した計画をしなければならないと考えますが、この点に関しての対策を伺います。
 もちろん、林業関係の施策だけで県産材の流通が促進し、素材単価が上昇するとは言えない状況にあり、用途の大部分を占める建築用材の使用がふえなければ林業の未来は見えてきません。住宅着工増大に向けた総合的な施策をどのように考えているのかお伺いします。
 水産業に関しても、男性従事者の44.8%が60歳以上となっています。水産業の確立のためには、若年層への担い手育成策が問われて久しいわけであります。農業と同じく、いかに所得を上げていくかが重要であるのは言うまでもありません。県においても、つくり育てる漁業を振興しているところですが、漁業生産における養殖業の割合を見てみると、久慈地域は15.7%であり、他地域に比べて低い数値にあります。この原因をどのようにとらえ、対応していくのかお伺いします。
 次に、製造業における人材育成を伺います。
 県では、県南地域の自動車関連工場の集積に対応できる人材の育成を図ることを重点項目としています。現在、水沢市に産業短大があり、今年度初の卒業生が輩出されるということです。この就職率及び就職先が気にかかるところですが、現在のところ、就職内定が約半数ということであります。これが最終的には100%の希望先への就職が決まるよう、県のバックアップを期待するところであります。
 ところで、この短大、3学科あるうち2学科は定数を割っているということであります。この原因は、学科の魅力の問題なのか、就職への不安からなのか、工業集積に対応したといいながらの定数割れは、いわばミスマッチによるものなのか、どのように分析され、対応していく予定なのかをお伺いします。
 また、新規に平成19年度から自動車科をつくるということでありますが、知事が方針を発表してから2年後にできるというのでは余りにも時間があき過ぎると思いますが、いかがでしょうか。予算の選択と集中を訴え、数値目標と成果主義を掲げる増田県政にとってはそぐわないものと考えます。
 また、県立高校にしても、該当する学科に対する強化、定数の増大は見えてこないと言わざるを得ず、高校再編計画とは別に対応していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、県の出資等法人の一つである住宅供給公社について伺います。
 同公社は、岩手県出資等法人改革推進プランに基づき、平成20年度の解散に向け、公社保有資産の適正かつ円滑な処分を進め、解散時点までにすべての保有資産を処分することを基本方針として運営を行っているところと聞いています。公社の保有資産は、流動資産と固定資産をあわせて簿価額で99億円余、平成16年5月1日時点での評価額で79億円余であり、約20億円の評価減が発生しています。現在、各分譲宅地について積極的な販売を推進していますが、平成17年度当初の残区画数は587区画、まだまだ膨大な区画が残っている状況下において、公社は4月1日より分譲価格を大幅に下げました。久慈市の大川目団地でいえば、当初価格の約40%の金額で販売しています。これらの点を踏まえ、疑問点を質問します。
 まず第1に、平成8年の消費税率上昇に伴う住宅着工数のピークを過ぎた後からなぜ新規事業を展開していかなければならなかったのか。当時、住宅着工につながるような景況ではなかったとの予想は容易にできることですが、それなのに新規宅地の分譲をしなければならなかった理由は何か。
 第2に、土地価格の算定についてですが、近隣地を大幅に上回る価格にした理由、もしくはせざるを得なかった理由。平成14年の公社法改正までは土地価格、造成価格の積み上げによる原価方式であったので高い価格設定だったのでしょうか。それならば、なぜそのような計画を実行したのか、どう考えても投下経費を回収できない計画ではなかったかと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、今回の販売価格の設定に際して、平成16年度以前の購入者へはどのように対応しているのか。販売促進のための限定的なキャンペーンということで理解を得ていると聞いていますが、一たん下げた価格を上げることは、販売を促進する上では不可能ではないかと考えます。もちろん土地価格が急激に上昇する要因があれば別ですが、現状では速急な景気回復や極端なインフレは想定できない以上、限定的なキャンペーンというのは本音なのか伺います。
 第4に、民間業者に対する割引率の適用についてです。民間業者が3区画以上を一括で取得した場合、割引率を適用して販売を促進しています。これは、宅地区画数が多くなればなるほど割引率が高くなり、最大50%適用できる。そして、申込順、先着順で販売するとのことです。この方法では、今のキャンペーン価格よりさらに安い価格で同じ分譲宅地が民間から販売されることが容易に想像できます。これでは、先に買った人から理解されないのではないでしょうか。そこまで安くしてもいいのであれば、最初からその価格でキャンペーンをし、一般の人に買ってもらった方が公社の性格上もよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 第5に、流動資産を整理していくとどうしても評価減が増大するのは当然であります。平成20年に解散するときの債務超過はどれくらいになると想定しているのでしょうか。また、その穴埋めはどうするのでしょうか。責任の所在はどこにあり、だれが責任をとらなければならないのか、以上の5点を質問いたします。
 続いて、高校再編に伴う環境整備についてお伺いします。
 前期計画で、久慈地区においては3校が統合し久慈東高校となり、1学年240人定員という地区最大の高校となりました。これに伴い、グラウンドの狭隘さなど地域で問題になっておりますが、対応策をお伺いいたします。
 次に、平成15年度の県民生活基本調査によると、携帯電話等の所持率は3人に2人、パソコンは2人に1人という結果が出ています。年代別の所持比率のデータは、残念ながら岩手県内のものはなかったので愛知県のデータを参照しますと、20代、30代の所持率が高いのに対し、60代以上は30%未満という数字が出ています。この結果は、県内にもある程度当てはまるものと推測します。少子・高齢化が進み、若年層の地域定着の観点から見ても、魅力ある地域としていくためには、携帯電話の不感地域を解消していくことが必要ではないでしょうか。県においても、本来は通信業者が行うべきところを、岩手県の特殊性にかんがみ、地域力の強化、地域情報化の推進という観点から、予算額は少ないながら整備を進めているのは承知した上でお伺いします。
 交流人口の多い地域、また、交流人口をふやす考えを持った地域、主要幹線道路沿いなど最低限整備を進めなければならない地域を先行して整備する必要があると考えます。また、久慈市と山形村合併の新市建設計画においては、夢ネット事業、光ファイバー施設を計画しています。この事業に対し、県として2次的に中山間地域等にアンテナを設置することを検討できないのか、既に光ファイバーが敷設されている状態であれば投下経費は少額で済むものであると考えますが、いかがでしょうか。
 また、地上波デジタル放送が開始されると難視聴地域の解消の問題が現在より多く発生するのが予想されますが、この点に関しても、光ファイバーを設置しているところに対する地上波デジタル放送に対応する支援をどのように考えているかお伺いします。
 増田知事は、全国知事会、21世紀臨調において改革派知事として活躍されています。全国的に課題となっている三位一体改革に代表される問題に取り組まれるのは当然結構なことでありますが、現在の制度上、不合理、非効率的と考えられるものに対して、しかも岩手という地域だからこその問題に対してもっと積極的に発言し、行動していくべきではないでしょうか。その発言、活動の様子が見られないのが残念であると言わざるを得ません。
 例えば、予算執行に関して、公共事業でいえば、岩手県を含む積雪地帯において、現行の3月決算の予算執行ではどうしても非効率、不採算なものにならざるを得ないのは言うまでもありません。県独自で幾ら早期発注に努めても限界があります。これはあくまで一例でありますが、知事は、もっとこういった観点に立った発言、行動があってもいいのではないでしょうか。三位一体改革については、他県の知事でも発言できますが、県独自の、地方独自の立場での地方自治のあり方に対する発言・行動は、岩手県の、東北地方の知事でなければできないと考えます。知事の所見を伺い、質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、広域生活圏のあり方についてでございますが、これまでのところ、各地域で御説明をいたしておりまして、産業振興の取り組みの強化という点、それから、市町村との適切な役割分担によって質の高い行政サービスを提供していくという点、この二つの点につきましては、基本的に理解を得られているという認識でございます。
 また、そのほか主な意見として、地方分権の進展や人口減少、少子・高齢化社会の進展など社会経済環境が大きく変化する中で、この広域生活圏を大きくくくるというその素案の方向性は妥当であるとの意見がある一方で、この設定は圏域が広過ぎる、歴史的・文化的な交流の実態を反映していない、こうした意見。また、地方振興局の見直しについては、二重、三重行政とならないよう、広域振興局の一層の権限強化を図るべき、こういう意見。さらには、これからの産業振興の方向性、市町村への権限移譲の進め方、振興局の権限強化の具体的な内容を明らかにすべきなどの意見が出ているところでございます。
 地域ごとにさまざまな意見の違いがあるのは当然のことと考えておりますが、今回公表いたしました段階では、まだ県の基本的な考え方でございますので、今後、7月中には意見あるいは提言の内容を整理いたしまして、これを踏まえてさらに私どもで検討を深め、成案の取りまとめに向けて努力をしていきたいと考えております。
 また、広域圏の設定について、これは緊縮予算を見越しての数合わせではないか、こういう観点での御質問がございましたが、これは、人口減少や少子・高齢社会の到来や地方分権改革の進展などに対応して、今後の本県の長期的な地域経営のあり方を方向づけることを主眼として、今取り組んでいるものでございます。
 それから、今後の市町村への権限移譲の具体的な手法を明確に示すべきだということでございますが、ことしの4月に指針というものを市町村の方に提示しておりまして、その中で次のようなことをうたっております。人口規模に配慮しながら、関連した事務をまとめたパッケージ方式での移譲や広域連合による共同処理方式での移譲など、基本的な考え方や進め方、それから、都市計画法の関係の強化、それから消費者の安全・安心に関する事務といったような、今後市町村の方に移譲可能と考えております600余りの事務をメニュー化して、そして、本年度からの5年間で集中的にこれに取り組んでいきたい。このような内容の案を提示しております。
 事務移譲に当たりましては、当然、市町村に対しての一方的な押しつけになるということは避けなければいけませんので、市町村とともに今研究会を立ち上げております。その中では、権限、財源に加えて、職員も県費で負担して派遣して移譲するといういわゆる一括事務移譲など、そうしたことも含めて、指針で提示している内容を中心に、現在、地方振興局が担っている事務をさらに幅広く市町村に移譲できないかも含めて、個別具体的に検討を進めていく考えでございます。
 それから、盛岡地域と久慈地域の連続性や類似性についてのお尋ねでございますが、これは、盛岡広域生活圏の北部と久慈広域生活圏、さらに二戸広域生活圏の1次産業、特に畜産や園芸などの農業産出額が多いということ、また、工業分野においても、食料品関連産業のウエートが高い、そうした類似性に着目しているわけでございます。
 また、広域的な産業振興の成果を今後上げていくという観点で、具体的には、そこで次のような産業振興の取り組みを進めるという考え方で一つの圏域にまとめたものでございます。
 すなわち、四つございまして、畜産、園芸などの競争力の高い農業を推進していくということ。それから、農林水産業と食料品加工・木材加工業などとの産業の連携によりまして、付加価値の高い産業創出を推進していこう。また、盛岡都市圏が県内最大の人口集積地ということがございますので、久慈、そして二戸地域もそうですが、ここの地域の農業生産物を盛岡の消費に結びつけていきたい。それから、グリーンツーリズムなど、地域の特性を生かした施策によって、盛岡からの交流人口の拡大を図っていきたい。こうした圏域内の交流による地域経済の活性化を目指すねらいで、今回、素案を策定してございます。
 それから、この製造業の特化係数が、県南が1.3、久慈地域は0.45ということになっているわけで、この久慈地域は、県内でも極めて厳しい雇用情勢となっておりますが、地域資源を生かした総合的な産業振興には、雇用創出が最重点の地域課題である、このように認識しております。
 久慈地域の特化係数は、御指摘のとおり、製造業0.45ということになっているわけですが、一方で、農業の特化係数が6.12、水産業の特化係数13.13ということで、この農林水産業の第1次産業が主要な産業である地域、こういうことになるわけです。
 今後、こうした地域特性を生かした安全・安心な農林水産物の生産拡大とそのブランド化、高付加価値化に努めますとともに、今、流通形態が大変多様化してございます。そうした多様化に対応した販路開拓に積極的に取り組むなど、いわゆる市場競争力の高い1次産業の展開を図るということ。
 それから、二つ目は、特産品や加工品の開発など、地域産業の育成強化を図るとともに、関係機関と連携を図りながら、引き続き企業誘致にも取り組まなければいけないと思います。
 三つ目には、昨年12月に開設したジョブカフェのサテライト施設がございますが、ここと連携を図って、第1次産業と観光産業の一体的な振興やコミュニティ・ビジネスなどの起業化支援、それから、建設業における新分野進出支援、これも重要な観点だと思いますので、こうしたことによりまして、広範囲に雇用の場の創出に努めていきたいと考えております。
 それから、この県北地域について、私は10年前にその振興についての考え方を述べているわけでございまして、その内容がどのように実現してきているかというお話でございました。
 この県北地域でございますが、平成14年12月に新幹線八戸開業ということで、新幹線関連道路の整備など、高速交通ネットワークの形成が図られてきております。それから、産業基盤となる工業団地の整備、医療機関の整備、また、生活基盤でございます下水道の整備など、経済活動、それから県民生活の基礎となる社会資本、こうしたものの整備が着実に今進展してきている。
 その上に立ちまして、今、特色ある地域づくり、それから地域資源を生かした農林水産業が展開しつつある。雑穀ですとか、雨よけホウレンソウの栽培、干しシイタケの生産、ウニ、アワビなどの栽培漁業の推進、エコパーク平庭の整備に向けた取り組み、これは平成19年開業を予定してございます。こうしたことで、地域づくりや特色ある農林水産業の展開が図られてきている、このように思います。
 交通体系の整備について言いますと、90分構想の進捗状況ということになるわけですが、久慈から盛岡市のルートにつきましては、御承知のとおり、平成13年に主要地方道の戸呂町軽米線の宮沢工区を供用開始いたしましたので、このことによりまして所要時間が短縮されて、今、ちょうどこの久慈-盛岡間が100分を切る、平成13年にそのことによって時間短縮が、従来104分だったものを5分短縮で99分という、ここまで今来ているところでございます。
 あと、いわゆるモーダルシフトでございますが、新幹線利用による交通といったようなこともございまして、多角的にここは考えていく必要があるわけでございますが、今後、またさらにこうした基幹交通網等の整備ということも行って、こうした90分構想に近づけていかなければならないと考えております。
 今後の県北地域をめぐる状況でございますが、人口減少、それから少子・高齢化ということで、厳しいものが当然想定されるわけでございますが、こうした中にありまして、これから、やはり地域の産業基盤をより強化する必要があると思います。
 まず、先ほど言いましたように1次産業ですが、この1次産業の市場競争力を高めるということ、それから、食品加工などとの連携によって、いわゆる付加価値の高い産業を生み出すこと、それから、交流人口の拡大を図る、こういう視点に立った施策によりまして、県北地域の産業の活性化を図っていきたい、このように考えております。
 それから、地方自治のあり方についての問題といたしまして、特に本県独自の立場で発言・行動をさらにしていく必要があるのではないかということでございます。そのことの重要性は、私としても大変深く認識しているところでございます。今まで、先ほど申し上げましたような市町村支援という形で、人をセットにしたような一括移譲のやり方を始めましたり、それから、北東北3県連携の中で、共通の産業廃棄物税条例ですとか、北東北みらい債の発行など、そうした取り組みによって、この北東北全体、さらには、その中での枢要な岩手県のさまざまな地域課題にこたえるというようなことで行ってまいりました。
 今後、特に私もそういう立場から力を入れていかなければならないものとしては、今さまざまな提言なども行いつつあるところですが、例えば、医師確保対策、この問題も大変重要な課題でございますし、それから、森林整備に関係することでございますが、林業公社を初め、森林整備法人などの経営改善対策といったようなこともございます。こうした本県独自の重要な課題について、さらに活動を強めていかなければならないと思っております。
 今後におきましても、みずからの創意工夫に基づきまして、引き続き、国に対して積極的に提言をしていきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 市町村合併についてお答えいたします。
 今後の市町村合併についてでございますが、合併新法に基づく自主的な市町村の合併の推進に関する構想につきましては、総務大臣が示した基本的な指針に基づきまして、速やかに策定することとされておりまして、合併新法の期限が5年間であることから、できるだけ早い時期に策定したいと考えております。
 審議会において、それぞれの市町村の将来の運営方針なども参考にして、さまざまな意見を出してもらい、十分に議論をいただいた上で、県としての構想を策定してまいりたいと考えております。その上で、市町村合併についての議論を深め、さらに一層自主的な合併を推進してまいりたいと考えております。
 次に、合併市町村の行財政基盤の強化についてでございます。
 合併することによりまして、複数の自治体で行っていた管理部門などの重複する業務の統合が図られることや専門的知識や技術を有する職員が確保され、行政サービスの質的向上も図られるなど、合併そのものが行財政基盤の強化となるところでございます。
 また、合併市町村に対しましては、合併市町村の規模に応じた権限移譲や合併新法による交付税の算定替などの各種特例制度など、合併市町村の行財政基盤の強化が図られるよう支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、IT施策についてでございます。
 携帯電話不感地域の解消への支援についてでございますが、携帯電話の通信網の整備につきましては、県では、一定以上の居住人口を有する地域や観光地を有する地域で、かつ通信事業者との調整が図られたところについて、国庫補助制度の活用や県単独補助事業である携帯電話エリア拡大推進事業を創設しながら、平成15年度から今年度までの3年間、重点的に不感地域の解消に努めてきたところでございます。
 お尋ねの夢ネット事業で構築される自治体の光ファイバーを活用して、県がアンテナ設置することにつきましては、国庫補助制度やこれにならって創設しました県単独事業において、事業主体は市町村とされていますことから、現状では困難でございます。
 しかし、国、県が設置した光ファイバーを活用して通信事業者が簡易型基地局を設置することで、中山間地域において効率的に不感地域の解消を図るためのモデル事業を実施しているケースもあると聞いておりまして、また、新たな技術開発が期待される分野でもありますので、本県におきましては、今後、自治体等が設置する光ファイバーを活用した携帯電話不感地域の解消策やその支援策について、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、地上デジタル放送の難視聴地域解消に対する支援についてでございます。
 地理的、それから地形的な要因などで電波による受信が困難な条件不利地域において、地上デジタル放送の補完的伝送手段として光ファイバーを活用することにつきましては、現在、有力な手段の一つとして考えられております。
 しかしながら、光ファイバーの活用を含めた地上デジタル放送の補完的伝送手段を検討する場合の前提として、まずは、放送事業者が中継局によりカバーするエリアと中継だけではカバーできないエリアを早急に明らかにする必要があると考えております。
 その上で、カバーできないエリアに対して地上デジタル放送を届ける方策として、光ファイバーはもとより、CATVネットワークや共同受信施設等の既存インフラ、またギャップフィラー――これは小型の再送信のアンテナでございますが――など、ありとあらゆる手段について検討し、対策を講じていく必要があると考えております。
 なお、お尋ねの支援に対する県の考え方につきましては、地上放送のデジタル化が国の施策として推進されていることにかんがみ、地上デジタル放送の普及対策については、地方公共団体に新たな負担が生じることがないよう、国において適切な対策を講じるよう、32道府県で組織する地上デジタル放送普及対策検討会――会長県は高知県でありますが――を通じまして、国に働きかけているところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 担い手の育成についてでありますが、農業を本県の基幹産業として再構築し、所得や雇用の確保が図られるようにしていくためには、議員の御指摘のとおり、力強い担い手の育成確保に加え、安全・安心で質の高い生産物を生産し、それを安定的に消費者に届けるということが不可欠であると考えております。
 このため、担い手の育成確保に向けて、集落ビジョンで明確化された担い手を主業農家に育成するとともに、集落での話し合いをもとに、小規模・兼業農家もそれぞれの経営志向に応じて役割を担う集落営農の組織化の取り組みを積極的に推進しているところであります。
 また、こうした担い手による安全・安心な農産物の生産を促進するため、農業改良普及センターにおきましては、土づくりの励行や適地適作を基本とした産地づくりを進めるための技術指導を行うとともに、担い手の経営目標の達成に向けて、研究センターと連携しながらの指導体制を充実させているところであります。
 さらに、生産物を安定的に消費者に届けていくため、食品産業と県内産地との連携を強化するなど、流通体制づくりにも取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みを総合的に進めていくことで、基幹産業としての岩手の農業の地位を確固たるものにしてまいりたいと考えております。
 次に、県産材を使用した住宅建築の補助についてでありますが、この事業は、二酸化炭素の排出量抑制による地球温暖化防止を目的に、平成15年度から3年間の事業として実施しているものであります。
 事業開始以来、多くの希望者があったことは、県産材を利用した住まいづくりを通した環境への関心の高まりのあらわれと受けとめております。
 また、本年4月から、県内の銀行が、県産材を使用した場合に金利を優遇する住宅ローン商品を発売するなど、環境への関心の高まりを支援する動きが民間にまで波及してきております。
 さらなる拡充を検討すべきではないかとの議員の御提言でございますが、このような民間の動きや県産木材に対する県民の需要動向などを見ながら、今後考えてまいりたいと存じております。
 次に、公共事業等における県産材の活用についてでございますが、議員御指摘のとおり、県産材を活用して公共施設を整備していくためには、事前に一定の準備期間が必要であり、公立の小・中学校の学校施設を木材施設として建築した際に、乾燥材など木材の調達に一定の期間を要する必要があることから、その期間を見込んで2カ年の事業として実施した例がございます。
 今後、公共施設への県産材の利用を広げていくためには、こうした対応をさらに拡大していくほか、例えば、二戸地方のカシオペアウッド利用促進組合の取り組みに見られますように、供給側におきましても、協同で出荷体制を整備するなどの対応が必要と考えており、こうしたことにつきまして、関係者一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、久慈地域の養殖業についてでございます。
 久慈地域は、養殖業に適した静穏な海面が少ないという地形的な制約もあり、県央・県南に比べますと養殖業の占める割合は低いわけでございますが、アワビ、ウニでは、増殖場の造成や種苗放流と資源管理による漁場の高度利用などにより、高い生産性を上げてきております。
 これは、アワビ、ウニなどの磯根資源の増殖に適した海岸線やヒラメなどの生育環境に適した遠浅の地形を持つ地域の特性に起因するものでありまして、こうしたことを考えた場合、当地域におきましては、アワビ、ウニ、ヒラメを中心としたつくり育てる漁業に重点的に取り組むことが、地域全体の水産振興としては適当ではないかと考えているところであります。
 そうした恵まれた立地条件に加えまして、今後は、例えば漁港の静穏域を利用した蓄養による安定供給、地域生産物のブランド化の確立など、生産から販売までの総合的な取り組みを関係者と一体となって進めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 産業振興についてのお尋ねのうち、住宅着工数の増大に向けた取り組みについてでございますが、本県の住宅着工戸数は、景気の低迷や人口減少などの社会経済状況の変化から、平成8年度の約1万6、000戸をピークに減少傾向が続いております。平成14年度以降は年間1万戸を割り込んでいる状況にございます。一方、住宅ストックの増加や高齢社会を背景に、今後、既存住宅のリフォームに対する需要の増加が見込まれております。
 このような状況の中、県民の良質な住宅の取得や住宅リフォーム等を促進するため、けんみん住宅プラザを盛岡市と水沢市に常設して住宅相談等に対応しているほか、例年、県内5カ所で開催している住宅フェアや年6回実施しております住まいる講座などのセミナーで、住宅に関する情報提供を行っております。
 さらには、県産木材利用住宅や高断熱化住宅、新エネルギー機器導入住宅への助成など、住宅を建設する方々に対する支援についてさまざまな取り組みを総合的に行い、県民の豊かで潤いのある住まいと暮らしの実現に努めているところでございます。
 次に、岩手県住宅供給公社についてのお尋ねにお答えいたします。
 まず、平成8年度以降の新規宅地分譲の必要性についてでありますが、本県の住宅着工戸数は、先ほども申し上げましたように、平成8年度の1万6、344戸をピークに、その後は減少傾向が続いております。
 このような傾向には地域差もございまして、市街化が進展している都市部では、勤労者等の人口移動による宅地需要があり、一方、それ以外の地域では、人口減少に対応した定住対策や地域活性化への取り組みなど、地元市町村の要請にこたえながら、道路・上下水道などの良好な居住環境を備えた新規団地の供給を進めてきたところでございます。
 次に、近隣地を上回る土地価格設定の理由についてでありますが、宅地分譲価格の設定につきましては、平成14年の地方住宅供給公社法改正までは、土地取得及び造成に要した費用並びに分譲事務費等を基準としまして、宅地の立地条件等も勘案して価格を設定いたします原価方式としていたところでございます。
 公社の宅地については、道路や公園などの公共部分にゆとりを持たせ、周辺に先駆けて上下水道施設を導入するなど、質の高い居住環境を形成することによりまして、宅地を購入された方々が快適な住環境を享受できるように整備してきたものでございまして、当時の価格設定は、適正なものであったと認識しております。
 次に、平成16年度以前に購入した方への対応についてでございますが、公社では、これまでの購入者の方々に、宅地価格の変化や公社の置かれている状況につきまして機会あるごとに説明を行い、御理解をいただいているところであり、引き続き同様の対応をしてまいるというふうに聞いております。
 次に、キャンペーンの実施についてでございますが、現在、公社では、募集区画数を限定したり、価格割引を行うなど、団地の状況に応じて販売促進のためのキャンペーンを実施しております。
 今後のキャンペーンの実施につきましては、宅地需要と販売状況を考慮しながら検討していく予定であると聞いております。
 次に、民間事業者が3区画以上を一括取得する場合の割引についてでございますが、このような割引を実施しておりますのは、販売の不振を極めておりました1団地のみであります。この場合においても、個人向け販売を先行させまして、その後に残った宅地について、民間事業者へも販売することとしていたものと聞いております。
 民間事業者への販売価格は、多くの宅地を保有することによるリスク負担等を考慮しまして、区画数に応じて段階的に割引を実施しており、限られた期間の中で効率的に販売するために民間事業者への販売を行ったものであると聞いてございます。
 次に、解散時の債務超過の見通しと責任についてでございますが、公社が平成16年5月に実施いたしました保有資産の鑑定評価結果によりますと、平成15年度末の簿価額に比べて約20億円の評価減となっておりますが、平成16年度決算においては保有資産合計は約88億円であり、流動負債及び固定負債の合計額約35億円を差し引いても約53億円の資産超過となっておりますことから、現在のところ公社は健全な財務状況を維持していると認識しております。
 平成20年度の解散に向けまして、厳しい状況ではありますが、昨年度策定いたしました公社整理・経営計画(案)に基づき、着実に保有資産の処分に当たることとしておりまして、解散時点において債務超過とならないよう、担当部局といたしましても情報の共有を図りながら支援をしてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 産業技術短大に関するお尋ねでございます。
 まず、産業技術短大水沢校の定員割れに関するお尋ねでございますが、定員割れとなっておりますのは2科でございます。生産技術科と、それから電気技術科の2科が定員割れでございます。この生産技術科というのは、機械装置の製造あるいはメンテナンスに関する技術、それから、これに関連いたしますので、工場のラインの設計とか製造、さらに金型の製作、こういったものの技術を習得する科でございます。それから、もう一つの電気技術科は、工場建設などの電気工事あるいは発電事業など、いわゆる強電関係の技術を学ぶ学科でございますが、いずれもこの2科は、現在、本県が進めているものづくり基盤の形成等につきまして欠かせない重要な技術であり、重要な学科と認識しているところでございます。また、こうした学科を卒業した生徒に対する、あるいは技術に対する企業ニーズも高いものと考えておりまして、今後、本県が進めようとしている自動車産業の集積にあっても、こうした技術に対する企業のニーズがあると考えてございますので、決してミスマッチになっている学科ではないと考えております。
 定員割れの原因につきましては、要は、こうした学科の内容あるいは魅力、そういったものにつきまして、高校生等に対して十分にPRができていないのではないかと考えているところでございます。したがいまして、今後、来年度に向けまして、矢巾の産業技術短大の本校と一体となりまして、教育訓練内容のPR、あるいは恵まれた教育環境にあるということなどを全県的に積極的にPRをしながら定員の確保に努めてまいりたいと考えてございまして、十分に確保は可能と考えているところでございます。
 次に、産業技術短大の専攻科の設置、これは自動車科の設置の関係でございますけれども、知事の方針発表から2年後では遅いのではないかということのお尋ねでございます。
 産業技術短大への設置に向けて検討してございます自動車関連の専攻科につきましては、現在、いわゆる県内の企業さん、あるいは大学、工業高校等の先生方で構成しておりますいわて産業人材育成会議というものを立ち上げまして、この専攻科の設置等も含めて、協議検討しているところでございます。
 この専攻科の設置につきましては、産業技術短期大学における通常の2年間の課程を修了した後に、さらに1年ないし2年の専門的な教育訓練を行う専攻科の設置を考えているものでございます。現在、先ほど申しましたものづくり会議の中で、具体的な教育訓練内容をどうしたらいいのか、あるいは専攻科として設置する場合の必要な設備や教職員、講師の配置、教育訓練環境の整備、そういったことを検討してございますし、加えて、専攻科を設置した場合、対象となる生徒は、早くても現在の1年生になります。2年生は既に就職内定とか、今、就職活動をしてございますので、早くても平成18年度前半からの募集ということになりますので、平成19年4月の開講というのが現在の検討の中では最短のスケジュールになるというものでございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、県立高校の自動車に関連する学科の強化についてですが、現在、県立工業高校においては、自動車について直接学ぶ科目として自動車工学と原動機が多くの工業高校に設定されているところであり、また、自動車産業に対応可能な科目として、機械系学科に機械工作と機械設計が設定されております。自動車という製品は多種多様な部品から成り立っており、その生産現場においては幅広い専門的な知識や技術が求められるとともに、経済性、安全性、環境などにもかかわる専門的な知識、技術もまた必要とされております。こうしたことから、自動車産業には、機械系、電気系、電子系、デザイン系など多くの学科が関連しております。そのため、このたびの再調整案では、特に自動車産業界の御意見や県の自動車産業を強化するという産業振興施策の方向を踏まえて、水沢地区を初めとして県内7カ所に工業高校を配置することとしたものです。
 また、今年度からは、より高度な産業人材を育成するため、産学官でいわて産業人材育成会議を立ち上げ、工業高校の多くの校長もこれに参加し、工業高校が今後果たしていく役割や自動車産業に関連する人材育成のための仕組みづくりなどについて検討しているところです。
 今後、より一層産業界のニーズをしっかり把握するとともに、本県の産業政策の方向を踏まえて、カリキュラムの見直しや教育内容の充実を図るとともに、生徒のインターンシップや教員の企業研修、企業人の講師招聘など、産業界との連携をより一層強化して産業界のニーズにこたえてまいりたいと考えております。
 次に、高校再編に伴う環境整備についてですが、高校のグラウンド整備に当たっては、文部科学省の基準に基づき、生徒1人当たり30平方メートルを標準に進めているところです。久慈東高校においても、統合時にこの基準を満たすよう、隣接地を購入するなどしてグラウンド整備を進め、現在、面積が2万1、059平方メートルで、基準面積2万1、600平方メートルに対して保有率97.5%と、ほぼ標準を満たしている状況にあります。そのような状況にありますので、グラウンドの利用については、運動クラブ間でできるだけ調整しながら、その効率的な利用の工夫をしていただきたい、このように考えております。

〇2番(中平均君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、3点ほどお伺いします。
 まず、知事にお伺いしたいんですが、市町村合併について先ほど部長から御答弁いただきましたけれども、地域の自主的なものに任せてやっていくということでありますが、最初から県が強烈に入っていく必要性もないのかとは思うんですが、いずれそういう時期が来た場合、積極的に行動しなければならないという要望とか地域間のあれが来た場合、リーダーシップを発揮しなければならないときが来るのではないかと思うんですが、この点、知事の見解を伺いたいと思います。
 教育長にお伺いしたいんですが、今、数字上は確かに充足しているんでしょうけれども、例えば前期計画の高校、初日の質問でもありました。久慈もそうです。あと、千厩もそうですか。そういった点に対して、今回、グラウンドの件で触れましたけれども、例えばさまざまな、最初にやっていく上で、地域と話をしながらやっていくとか、あったと思うんです。今、後期計画の方は、地域と話をして、それに合わせてやっていくとなったわけです。そして、前期の方はもう終わったから、地域の話は聞かない、数字は足りているからやめる。1分か2分の距離だったら、離れていてもいいから、高校生なんだし自転車で通えとか、そういうふうな、前期にあったところに対してちょっと余りにも教育委員会は冷たいと言えば語弊があるでしょうが、やり方として、こういうやり方をすれば、逆に後期計画でやるところに対しても、終わってから、結局、県教委は何もしてくれないから後期でやる必要がないんじゃないかとか、環境面の整備はしてくれないというふうな印象を与えてしまうのではないかと考えるんですが、この点に関して、数字で充足しているとか、数字ではかれるのであれば教育というのはもっと楽なものだと私は思うんですけれども、その点を、もっと地域の声とか、地域と連携していく。後期計画は地域と連携した上で変更したわけですから、前期の方のやったところに関しても、終わったからといってやめるのではなくて、地域と連携して今後の整備も進めていっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 住宅供給公社について、今、御答弁いただきました。その中で、最初につくった土地価格が適正だったというふうな御答弁をいただきました。適正でなかったから今段階で500区画も残っているんじゃないかなと私は思うんですが、純粋に公社でやるところは、上下水道完備、公園、管渠が整っている、そういう面で高くても売れるというふうな趣旨はわかるんですが、結局、そこの点に関して土地価格の設定がおかしかったのではないか、結果的に残った原因をどう考えるかということをお伺いしたいと思います。
 民間業者が3区画以上やった場合、1カ所しかやっていないということでもありますし、ただ、最初の質問でも述べましたけれども、それだけ安く売れる、リスク負担が業者にかかるから安くするというふうな御答弁でしたけれども、そうであれば、最初から安い価格設定で一般に公募して、一般の人たちに安く買っていただいた方がよかったんじゃないかなと私単純に思うんですよね。そうでなければ公社の性格としてもおかしいんではないかなと。買って半年もしないうちに隣からまた今回のキャンペーン価格より安い宅地が出てくることになるんですが、そういう点は、整合性というのはおかしいと感じないんでしょうか。
 もう一つ、この流動資産を整理していく、まず平成20年には赤字が出ないようにしていくということです。今の段階で55億円の、ちょっと名前、準備金なのか何かあれですけれどもあるということですが、例えば今回キャンペーン価格やっている、流動資産を減らしていく、そういうことで、赤字とは言いませんけれども、当初の流動資産が持っていた価値よりどんどん下げて売っているわけですから、こういうふうなやり方を続けていけば、結果的には解散のときには債務超過になっていないにしても、もともと持っているお金はどんどん減っていくわけですよね、赤字にならなかったというだけで。55億円の準備金を赤字にならない分食べていくわけですから。そういうふうなやり方で、解散するとして、赤字にならなかったからよかったと言えるんでしょうか。もともと持っている金額が減っていく。それは結果的には赤字にならないだけで、資産とか財産を減らすということだと考えるんですが、解散する以上そこが減るのは仕方ないにしても、もっと残して解散できるようなやり方というのをきちんと考えなければいけないのではないかとこういう公社関係、考えるんですが、いかがでしょうか。

〇知事(増田寛也君) 合併の関係についてお答え申し上げたいんですが、市町村合併でございますが、これからこの問題について、市町村長さん方の御相談に乗る機会あるいはお話しする機会は随分多くなると思います、この点については。ただ、これを県からの押しつけというふうに受け取られても当然困るわけで、あくまでもこれからも推進するのは自主的な合併であり、また、市町村の方の判断を最大限尊重しながら我々も振る舞っていかなければならないと思うんですが、もう既に市町村長さんの中で、この問題について次どういうふうにしていったらいいかということで内々御相談に来ている方もおられますので、こういう大変大事な問題ですから、決して県が合併を強制するつもりもありませんし、地方分権の時代ですからそういう時代ではありませんけれども、私も市町村長さん方の御相談に大いに乗りながら、今後一層こうした自主的な合併を推進していかなければならない、こういうふうに思っております。

〇県土整備部長(橋本義春君) 価格設定が適正だったということに対しての御質問であります。確かに売れなかったということがございましたので、それをとって適正だったかと言われるとちょっと答えにくいところもあるわけでございますが、価格の設定に当たっては、そういう条件があって設定をさせていただいたという点で適正だったと。ただしかし、景気の低迷等もございましてその価格では販売できなかったという実態もありまして、そういう点から見るとなかなか厳しいことだったと認識しているところであります。
 それから、初めから割引率を大きくして個人の方に販売すべきではなかったかということでございますが、個人の方への売買につきましても、先ほど申し上げましたように、そういう宅地を取り扱う業者さんに先んじて販売をさせていただいていますし、そのときも割引はもちろんしているわけでございます。宅地業者さんに割り引いたのは、3戸以上買うときにはさらに上乗せをしていきますといういき方でやっていますので、そういう点で、これまで持っていた住宅地がずっと売れないままあるものをまとめて買っていただくという上ではかなりのリスクをしょっていくということは想像できるということもありまして、そういう点で極力保有資産の処分ということに取り組んだものというふうに思っています。
 それから、最終的に清算するときに、解散するときに、要するに資産が目減りしてしまっているんじゃないかといいますか、安く売ってしまうことによって本来持っている価値を失うんではないかというお話でございますが、その整理計画の中で、最大の目的は保有資産の適正な処分ということになっていますので、まさに議員御質問のとおり、適正な価格できちっと処分できればそれにこしたことはないわけでございますけれども、期限が20年と限られていまして、その間に持っている資産を処分できない場合には、さらに厳しい決算といいますか清算になってしまうということもありまして、できる限り適正な価格での販売に努めてもらうように私どもの方からも話をしてまいりますけれども、余りにも長い間売れなかった物件については、何らかのプレミアムをつけまして処分していくこともまた一つの方法ではなかろうかと思いますので、今後またさらに公社の方と連携を保ちながら、周辺に対して悪影響を与えることのないように気を配りながら何とか処分に努めてまいりたいと考えております。

〇教育長(照井崇君) 久慈東高校は、統合後間もないという事情もございまして、グラウンドの利用について、クラブ間でうまくその辺の調整がまだ十分いっていないというような事情をお聞きしました。そこで、例えばクラブ間でグラウンドの使用範囲が重ならないように、練習内容別に曜日とか時間割を設定するとか、そういうまずは工夫をしていただきたいということで先ほどお答えしたところです。
 しかし、今後とも、子供たちにとってよりよい環境となるよう、学校、そして地元の皆さんとお話し合いをしながら、できるだけいい環境になるように努力してまいりたいと考えております。
   

〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時55分 休 憩
   

出席議員(45名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
50  番 佐 藤 正 春 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(2名)
20  番 川 村 農 夫 君
27  番 田 村 正 彦 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時14分 再 開

〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。伊沢昌弘君。
   〔36番伊沢昌弘君登壇〕(拍手)


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