平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
 このたび、本定例会におきまして、先輩、同僚議員の御配慮をいただき登壇する機会をいただきましたことに感謝を申し上げ、通告に従いお尋ねしてまいります。
 重複する点があると思いますけれども、御理解をいただき、知事初め関係部局長には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず初めに、増田県政10年の成果と今後の課題についてお尋ねいたします。
 平成7年4月、官僚出身で全国最年少知事として、県民の大きな期待を受けて県政のかじ取り役を担い、10年が経過いたしました。行動力と使命感、責任感を持って県勢発展のために御努力されてきましたことに敬意を表します。
 その間、日本経済は成長も終わりを告げ、ITバブルの崩壊や長引くデフレ不況と先行き不透明から、企業活動の落ち込みや産業の空洞化など、経済社会や行財政も厳しくなってまいりました。平成7年度当初予算7、161億円から平成13年度9、027億円と右肩上がりの予算の中で、社会資本の整備、21世紀を担う人づくり、環境、福祉、産業基盤整備に力を入れてこられたと思っております。知事として、10年間の県政における成果についての御所見をお伺いいたします。
 平成13年度の予算をピークに減少に転じ、国、地方財政の三位一体改革による地方分権推進のもと、増田知事も知事会の代表の一人として、地方6団体案をまとめながら、国庫補助負担金の廃止、縮減、税源移譲に取り組まれました。このたび、全国知事会地方分権推進特別委員会委員長に就任された増田知事ですが、国から地方への税源移譲が進み、真の地方の時代となる見通しと、それが実現した場合の県政課題をお伺いいたします。
 また、身の丈に合った予算として、知事は国の交付税の動きに一喜一憂せず、県の判断で財政運営できる歳出規模として、将来の一般会計予算規模を7、200億円に縮小する方向でと述べられております。公共事業費の30%削減や行財政構造改革、経済の回復も見えず倒産する企業も多く、倒産件数も4月だけで12社、特に建設業が半数以上を占めている現状と雇用解雇も多く、再就職も厳しく、県民の痛みも十分認識されていることと思います。
 自立をキーワードに、現場主義を重視する増田知事でありますから、今の現場の厳しい状況と課題をとらえ、今後のものづくり、産業育成にかける期待についてお伺いいたします。
 次に、広域生活圏と地方振興局の再編、農業改良普及センターの配置についてお伺いいたします。
 日常の行動範囲を目安とした1日生活圏として九つの広域生活圏から、県北、県南、沿岸の3広域生活圏とする案が発表され、各地方において説明会も行われております。人口減少、少子・高齢化社会が現実として存在する中で、今後の広域行政のあり方として産業振興を図り、県として経済的自立を図ることが重要課題とされております。しかし、広域化することによって産業振興が図られ、交流人口が拡大するのか。その中で、県民の雇用が進み安定的な所得確保によって税収基盤を築けるのか、疑問点があります。さらに、30年以上も今までの生活圏の中で、市町村は連携を深めながら、社会資本整備の促進や教育、保健医療、福祉全般、環境づくりと、あらゆる分野に取り組まれてきたと認識しております。しかし、一人一人の県民は、この生活圏を、どう理解しとらえながら、日常生活に生かしていきたいのかを考えるときに、大きくくくられる生活圏は県民との理解と共有がかぎと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、地方振興局の再編計画案によりますと、国庫補助金の廃止と税源移譲、国の規制、関与の廃止など、地方分権改革の実現によって、地方の自由度の増大を実現しながら、完結性の高い広域的な地域経営の実現を目指すとありますが、であるとするならば、なぜ県南広域生活圏だけ1広域振興局とし、県北、沿岸は現状のままなのか疑問が残ります。5年後、10年後とする計画は、一日一日が変化している社会情勢の中で妥当でしょうか。5年、10年の間に、目指す自立がおくれ、地域格差がますます広がらないのかをお伺いします。
 また、新広域振興局と現地方振興局とでは、権限委譲や財政支援、役割分担、組織体制も大きく違ってくるのでしょうか。さらには、広域振興局の本局が現水沢地方振興局に、花巻、北上、一関地方振興局が総合支局に、遠野、千厩地方振興局が分庁舎に変わる計画案ですが、遠野、千厩から考えますと、分庁舎、総合支局、本局、県と、現体制よりも事業を遂行していく上で二重三重となり、複雑化や効率の悪さ、責任体制など疑問点が残ります。遠野、千厩を分庁舎とする名称にも時代が逆戻りした感じであり、時代の先端を走る増田知事の発想らしくありません。改革するならば、もっと県民の身近な行政機関として、理解、親しみの持てる名称は考えられないものでしょうか。また、枠組みは小規模でも、遠野市と宮守村は合併を実現し新遠野市となります。せめて、分庁舎でなく支局とならないのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 さらに、生活圏、地方振興局の再編に伴う農業改良普及センターの配置についてもお伺いします。
 農業改良普及事業については2回にわたって質問をしてきましたので、試験研究や専門技術指導、人づくり等の重要性、必要性については御理解をいただいていることと思っております。本県特有の自然、気候、資源、風土に恵まれ多種多様な作物がつくられ、昭和60年には県の農業祖生産額3、595億円となりました。しかし、このころがピークとなり、平成15年には2、587億円となり、昭和後半から見ると約1、000億円以上も落ち込んでいる現状であります。農業人口の高齢化、担い手減少、水田転作強化、ウルグアイ・ラウンド合意などありますが、いろいろな角度から原因を分析し、一つでも解決する方向性を見出し、農業所得の向上と産地の再構築を進めるためには、専門技術者による農家指導の強化が求められております。
 今、農業現場で、農業に対する財政支援が厳しくなる中で、自立を目指す農家や退職し第二の人生を農業にかける人たち、若者の新規就農者の人たちは、財政支援もさることながら、もっと強化してほしいものは指導であるという声がよく聞かれます。そのためには、専門技術者によるマンパワーによる指導体制が最も必要不可欠であります。身近なところから指導が受けられるような配置を望みますが、地方振興局再編に合わせて配置するのか、お伺いいたします。
 次に、市町村への権限移譲と財政支援についてお伺いします。
 国、地方における税財政の三位一体改革も絡み、前年対比マイナス予算になっている市町村も多く、財政的に厳しい状況と思われます。合併を選択した市町村においても、安心するどころか予断を許さない状況も考えられ、単独を選択した自治体も、従来にも増して改革を迫られると思います。その中で、最も身近な市町村に行政サービスの大部分を県民に提供できる仕組みづくりとするならば、市町村への権限移譲とともに、財源や人的な支援も求められると考えられますが、県としても三位一体改革に伴う税源移譲も定まらない厳しい状況の中で、市町村の要望に対応しながら支援体制がとれるのか。さらに、財源を移譲するための財源や人的な支援のメリットはどのようなものか、お伺いします。
 次に、農業問題について何点かお尋ねします。
 日本生活協同組合連合会が日本農業に関する提言をまとめられました。日本の農業が産業として力強く再生するためにの副題がつき、転換期に入っている日本農業に、消費者として危機感を持って一定の方向性を示しております。新食料・農業・農村基本計画が策定される中で、世界貿易機関――WTOや自由貿易協定――FTA交渉の進展、農業の力量低下、食品の偽装表示の多発、食生活の変化の四つが今の農業の現状とし、新規就農を促すための農地制度の改革や自立的改善努力等を提言しながら、日本農業再生に向けての期待感もあります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 生産者と消費者における食と農の距離が拡大していると言われる中で、提言をいただいたことは評価しながら、今の農業生産の現場や地産地消、食育、食料自給率の向上、担い手支援など、消費者に御理解をいただくことが大切と思いますが、御所見をお伺いします。
 担い手や認定農業者の育成とともに、集落型経営体の組織化を重点に農地の集積も図り、平成19年度から導入される担い手に集中、重点化した直接支払制度への対応も急がれると思います。約1、500の集落ビジョンが策定され、それぞれの集落でこれからの農業のあり方に夢をかけ、実行、実践に移行しているわけですが、県として実効性の現状をどのように把握されているのか、お伺いします。
 総合食料供給基地等を標榜し、米、園芸、畜産の理想的な岩手型農業から、県としての食料自給率向上目標数値と今後のあるべき姿をお伺いします。
 今月10日に、食育基本法が制定されました。基本法には、家庭、学校、保育所、地域社会のあらゆる分野で健全な食生活の実現にみずから努め、食育の推進に寄与するとあります。また、国や地方公共団体だけでなく、教育関係者、農林漁業者や機関・団体の責務も規定されております。近年、食生活を取り巻く社会環境の変化による食生活の乱れが見られ、子供たちに食に対する正しい知識と望ましい食習慣を身につけさせ、食を通じた地域の理解、食文化の継承も重要となります。
 国民栄養調査によれば、毎日の食事のうち18.5%を外食に頼り、中でも昼食の外食率は高く、男性は6割、女性は5割となっております。このことからも、外食産業にも、食育に参加するシステムづくりが必要と思われます。地産地消や給食事業、企業や家庭まで幅広く理解が求められようとしております。この食育基本法の制定を受けて、県として今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、農業施策として、遠野市では農業生産100億円達成アクションプランの策定を行い、産業としての農業を目指し、生産額が向上するための体制づくりが整い、4月からアグリステーション遠野、通称アストとしてスタートしております。地方振興局、市、農協の機能の一本化による支援体制のもと、老若男女を問わず、やる気と元気のある農業者の支援、指導、相談、市場開拓等、活発に動き始めております。野菜農家組合の5アール増反運動、山菜栽培などの動きも見られます。
 県としても、国の新しい食料・農業・農村基本計画が策定される中、現在の社会経済状況を踏まえ、自立できる力強い経営体の育成に向けた取り組みを進めてきたところですが、特にも、高校生や若者がもっと農業に目を向け、希望を持って地元に定着させるための支援策を拡充していくことが必要と思います。企業就職も厳しい中、今がチャンスととらえてお考えをお伺いします。
 次に、保健医療問題についてお尋ねします。
 県は、医師確保、特にも小児科、産婦人科の医師不足が深刻な状況と思っております。県内の医師数は2、457人、10年前よりは約1割ふえているとは聞いておりますが、医師の都市部への偏在によって地方においては医師不足は解消されず、危機的な状況になっている地域もあると思っております。診療科の中でも、小児科と産婦人科の医師を志す人たちが少なく、敬遠されていると聞いております。全国でも、年間約8、000人の医学部卒業生の中で、産婦人科を志す人は約300人と4%にも満たないわけで、出産もさることながら、女性の生涯にわたる健康を支え切れない状況と考えられます。
 遠野市においては、個人医院も高齢で休診となっており、年間約200人の子供が誕生する中で、釜石、花巻、盛岡と長距離をかけて、身体と交通事情に不安を持ちながら診察や出産のために通う女性たちの切実な思いがあり、ぜひ産婦人科の医師の定着を願いながら現在の状況をお伺いします。
 また、県地域医療対策協議会は、3月、県医師確保アクションプランをまとめられたとありますが、今後、どのような方向で重点的にアクションを起こしていくのかお伺いします。
 さらに、今後の医師人材育成の方向性についてもあわせてお伺いします。
 次に、少子化問題でお尋ねいたします。
 1人の女性が一生に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率が1.288となり、4年連続で過去最低を更新したと発表されました。晩婚化や未婚化、ライフスタイルや価値観の多様化、出産、育児と仕事の両立が難しい雇用環境もあると言われております。本県においては1.43と過去最低水準であり、いわて子どもプランというすばらしい指針もありますが、新たに対策を立てる必要性が迫っていると思います。新たな施策をどのように展開していくのかお伺いします。
 根本から少子化に取り組むには、古い課題でもありましたが、知恵を出し合って結婚対策や出会いの場の設定などは考えられないことでしょうか。
 また、近年の少子化のメカニズムとして、新たにクローズアップされているのが急増するフリーターの存在であり、定職を持たないフリーターやニートなど、若年層の雇用問題を解決しない限り少子化は深刻になるばかりと提言する人もおります。経済力がないと結婚もできないし子供も持てないと言い、雇用問題対策にもっと重点的に取り組み、安心して産み育てられる環境整備も視野に入れながら、社会全体で子供を育てる仕組みづくりが求められていると思いますが、お考えをお伺いします。
 少子化対策には、幼稚園、保育園の整備、充実もあります。全国的には、幼保一元化の取り組みや保育園の充実によって、小さい子供を持つお母さんたちが安心して仕事や社会活動、ボランティアなど幅広く活動に参加できる整備も進んできていると思っております。地域によっては、保育園と児童館が一体となり、さらには地域の老人ふれあいホームも巻き込みながら、地域の子供たちを見守り、育てていこうとする案もあります。このような新しい取り組みに対して県のお考えをお伺いします。
 次に、男女共同参画社会の推進についてお尋ねいたします。
 男女共同参画社会基本法の施行から6年が経過し、性別を問わず、男女ともに能力を生かせる環境づくりが進められてきました。県においても、岩手県男女共同参画推進条例が平成14年に施行され、男女がともに輝く心豊かな社会の実現を目指しております。今年度から後期計画をあと6年間の平成22年度までとし、参画プランの見直しと四つの重点事項を挙げております。一つ、男女共同参画意識の普及、定着、2、女性が多分野で活躍できる社会、3、仕事と子育てと介護の両立、4、DV対策の強化とし、さらには、達成すべき数値を盛り込んだ指標を61にふやしたことによって、全国でもトップクラスとのことです。指標の中でも、男女共同参画社会基本法の名称または内容を知っている割合を44.5%から80%に、市町村の男女共同参画計画策定率を25.9%から100%に、審議会などの女性委員比率を29.6%から50%に、男性の育児休業取得率を0.9%から7%など、6年後を目標とする指標は高く、ともに輝く社会の実現を目指していることを評価いたします。
 重点事項の中で気になることは、仕事と子育て、介護の両立とはありますが、例えば、共稼ぎをしながら子供は保育園に入園させるとしても大変なことで、さらに親の介護にはホームヘルパーや介護ステーションにお願いするにしても、仕事と子育て、介護の両立は、言葉とすれば簡単ですが、可能であるのか疑問であります。重点事項でありますので、お伺いします。
 6年間のさまざまな活動の中で、市町村の男女共同参画計画策定の低さを県はどのように認識し、推進を進めてきたのかお伺いします。
 また、県職員管理監督者に占める女性の割合が低い上に、5年後も15%と目標数値が低い原因もあわせてお伺いします。
 今、農村に目を向けると、産直を中心として、食品加工や農家レストラン等で活躍する女性たちが輝いています。農業起業家として、知恵とわざと心のぬくもりで客層をとらえ、起業数も、県のまとめによると昨年で327件に上り、前年度より22%ふえているとのことです。このことも、根底には、男女共同参画社会の推進の大きな成果でもあり、今後の県としての指導や支援に期待するものでもあります。
 一方、方針決定の場への参画として女性農業委員が活躍しております。平成14年7月、統一選の改選までは、農業委員総数1、137人に対して女性農業委員は12名だけでした。各市町村において女性団体が結束し、請願や要望書を提出しながら公選に出たり、議会推薦と、現在は女性農業委員76人まで伸び、各市町村農業委員会に新しい風を起こし、男女共同参画の推進や地産地消運動、家族経営協定の推進など大きく貢献し、活躍しております。しかし、今後、市町村の合併によって、定数の見直し等により減少することになるのではと思われます。この点について、県の指導や方針をお伺いします。
 次に、社会資本の整備についてお尋ねいたします。
 東北横断自動車道釜石秋田線は、花巻から東和まで整備されております。物流など、内陸部と沿岸部を結ぶ重要な交通網ですが、整備がおくれており、住民の生活や産業経済活動への影響も大きいところでもあります。高速道路は、経済の活性化を図るとともに、緊急輸送や高次医療機関へのアクセスなど、救急活動にとっても必要不可欠な生活基盤となっております。また、沿岸部と内陸中央部の地域格差の解消や、計画されている生活圏、地方振興局の再編に伴う県民の移動も改めて予想されます。秋田-釜石間はもちろんのこと、東北における交流、物流、情報など連携を強化するためにも、早期実現を目指し、国への要望と整備促進のお考えをお伺いします。
 また、国道340号立丸峠の改良について質問を重ねてまいりました。地域の大きな課題、要望でもあり、私がこの場にいる限り何度でも質問させていただきます。国道340号立丸峠は、地域経済の活性化、住民生活の利便性の向上を図るために、また、三陸海岸と東北自動車道、東北新幹線、花巻空港とを最短距離で結ぶ重要な路線でもあります。広域観光ルートとして、津波等の災害時や沿岸ルートにがけ崩れが発生した際の代替ルートの役割をも担う路線であります。早期の着工を願うものですが、改めて今後の見通しについてお伺いします。
 次に、地上デジタル放送網の構築についてお尋ねいたします。
 地上放送のデジタル化は国の政策として進められておりますが、一昨年12月に3大広域圏で放送が開始されて以来、各県の県庁所在地を中心に広がりを見せ、本県においても、本年12月にNHK盛岡放送局、来年には県内民放各社でも放送が開始されると伺っております。そのような中で、2011年7月の地上アナログ放送停波までの間に県内の地上デジタル放送網がどのように整備されていくのかが大きな課題になってくると考えております。幸い、県内のケーブルテレビ9社は、広域連携と共同化により、低コストで最新のデジタルサービスを提供するために銀河ネットワーク構想をまとめ、このことによってデジタル放送移行時の県民負担の軽減や地域間の格差が解消されることになると聞いております。より多くの県民が高度情報化社会の恩恵を受けることができるよう、地上デジタル放送網の構築に当たっては、県内CATVネットワークの活用について県も積極的に検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 10年間の県政における成果というお尋ねでございますが、ちょうど20世紀から21世紀へ変わる時代の大きな転換期がこの10年に当たっております。その中で、情報公開や住民参加の促進というようなことを通じて、住民の身近な現場で総合行政としての県行政が推進できる仕組みづくりを進めてきたところでございまして、その上に立ちまして、環境分野では、産廃税の導入など、いわゆる資源循環型社会の構築に向けた取り組み、人の分野では、県立大学や産業技術短期大学校の開学、そして地元学などを通じた地域を担う人づくり、情報分野では、いわて情報ハイウェイの整備など、そして、これを医療、福祉、防災、教育分野などに応用した取り組み、産学官連携の促進やものづくり基盤の拡充、それから福祉、医療では、ご近所介護ステーションやグループホームの設置、救急医療体制の整備、こうしたそれぞれの分野で新しい岩手の創造に向けた取り組みを行ってきて、その成果が上がってきているものと考えております。
 一方で、昨日も申し上げましたが、高速交通網を初めとして、国の経済対策に呼応して公共事業を中心的に進めてきたこともございました。多額の公債残高を抱えるなど、県財政が大変悪化しているということがございます。また、本県の経済、雇用情勢は今なお長期的な停滞傾向が続いているということもございまして、こうした現下の経済財政状況について非常に重い課題として受けとめているところでございます。
 次に、税源移譲が国から地方に進んで真の地方の時代となる見通しとそのときの県政課題についてお尋ねがございました。
 三位一体改革は、平成18年度までの改革が1期部分でございまして、4兆円の国庫補助負担金の見直しと3兆円の税源移譲ということで、現在、まだ決着のついていない税源移譲6、000億円程度の国庫補助負担金の改革案の取りまとめを地方で行っているわけでございますが、来年度までが一つの区切りの期間でございますので、その中で改革の成果を県民の皆さん方に還元したいという思いで今この問題に取り組んでおります。
 また、この第1期改革だけでは当然極めて不十分でございますので、1期改革から2期改革につなげていくことが重要でございまして、この点については地方6団体が一致してさらなる改革に取り組んでいきたい。そうしたことによって国から地方への税源移譲が本格的に進み、真の地方の時代に入っていくもの、このように考えております。
 その際に、次の4点のことに取り組む必要があると考えておりまして、一つは、地域に暮らす人々がみずからの判断と責任で主体的に参画する社会を確立すること。二つ目は、いわゆる補完性の原理に基づいて、国、県、市町村の関係を確立すること。三つ目は、課税自主権に基づく超過課税、法定外税の創設など、いわゆる歳入面における地方の自立を実現すること。4点目は、ワークショップの開催、NPOとの協働事業の積極的な推進など、県政の住民参加の体制を確立すること。これらへの取り組みは不可欠である、このように認識しております。
 それから、ものづくり産業育成についてのお尋ねでございますが、県内景気が依然として厳しい状況がございますけれども、これは、生産拠点の海外シフト、国内工場の集約化が依然として進んでいることによるもの、このように認識しております。そこで、現在、県としては、すそ野が広くて国際競争力の高い自動車関連産業を中心としたものづくり産業の育成に力を注いでいるわけでございまして、これは、グローバル化の進展による厳しい国内外の競争の中でも、それに大きく影響されない自立した地域経済、産業構造を目指す取り組みにつながる、このように考えているからでございます。
 その中で、県内企業の自動車産業への参入を促進するため、その製造の工程改善指導や県内中小企業の人材をサプライヤー企業に派遣・研修する制度を創設いたしました。また、産学官の共同研究開発体制を強化することによって県内企業の技術力の高度化を図っているほか、ものづくり産業の基盤となる産業人材の育成にも積極的に取り組んでいるところでございます。こうしたものづくり産業の育成が本県経済の自立的な発展とともに、安定した地域雇用や就業の場の確保につながるものと考えております。
 それから、広域圏と地方振興局の再編の関係で何点かお尋ねがございました。
 まず、県民理解の関係でございますが、今回の広域圏でございますけれども、当然のことながら、県民理解が大変重要なポイントでございます。広域生活圏については、その設定の考え方として、基幹的な産業である製造業や農林水産業の類似性、連続性に着目して今回圏域を設定してございますけれども、また、県内に今現実に奥州市のように非常に規模の大きな市が誕生して、市町村財政が強化されていくという現状もございます。その中で、福祉や教育など、住民の日常生活にかかわる身近なサービスは市町村が担って、県は、今申し上げました産業振興や社会資本の整備など、より広域的な生活の部分を担って市町村を補完することが住民の皆さん方の満足度を高める、そういうものにつながる、このように考えておりまして、こうした考え方を県民の皆様方に十分に御理解いただき、また、認識を共有化していただくことが重要であると考えております。
 今後とも、あらゆる機会をとらえて丁寧な説明を行って、また、それに対しての御意見もいただきながら成案づくりに取り組んでいきたいと考えております。
 それから、地方振興局の見直しについて、全県一律で行わずに地域によって段階的になってございますが、これは、地域の実情に応じて段階的に進めることが重要であるということで、具体的に、県北、沿岸の広域生活圏については、市町村に今申し上げましたような住民に身近な行政サービスの大部分を担っていただくためには、まだ行財政基盤の強化が必要、このように考えております。また、産業面におきましても、それぞれの地域に応じた産業の展開力を高めていただく必要がある、こういうふうに考えておりまして、このように着実できめ細かな支援を必要としている地域の特性を踏まえて、平成18年度当初の地方振興局の配置については、こうした県北、沿岸地域は基本的には現状を維持する。おおむね5年後に見直しの検討を始める、この方が適切ではないか、このように考えたものでございます。
 この県北、沿岸の広域生活圏の振興につきましては、その圏域内に現在の地方振興局が幾つかございますので、そこが共同して振興ビジョンを策定して、特に産業の振興について、中山間地域など地域の特性を踏まえて、農林水産業やそれを基盤にした食料品、木材などの地場産業の展開力を高めて、しっかりとした成果を上げることができるような、地方振興局の連携した横断的な取り組みを今後も強めていくこととしております。
 それから、広域振興局と現在の地方振興局との違いについてお尋ねがございましたが、新たに設置を考えております広域振興局は、現場主義に立脚した地域振興を一層推し進めるために、業務の完結性を高める観点に立ってその機能を強化していきたいと考えております。例えば、広域振興局長が地域のニーズを踏まえて立案する施策、事業がございますが、そうしたものについては十分に予算措置ができる仕組みや、必要に応じて局長の判断によって内部の組織改編、人員の配置、市町村との人事交流が柔軟にできるようにする方向で今検討を進めているところでございます。
 県北、沿岸の広域生活圏では、先ほど言いましたように、段階的な整備ということで考えておりますので、この点については、おおむね5年後からこうした1広域振興局体制の移行を検討して、おおむね10年後を目途にその実現を図っていきたいと考えております。
 それから、本局、総合支局、分庁舎と地方振興局の中が分かれることになるわけでございまして、これは、平成18年度から南の方では再編をスタートさせますけれども、一方で住民の利便性や行政サービスの水準を維持する必要もございますので、その地域地域に応じて総合支局や分庁舎を設置したいというふうに考えているわけでございますが、そうした体制の中で必要なサービスを適切に提供できる体制というものをきちんと堅持をしたいと思っていますが、今お話ございましたように、二重行政、わかりにくさということのないように、業務執行体制づくりに今後中の検討を進めて、そういう複雑な体制にならないように検討していきたいと思います。
 また、素案では、遠野、千厩分庁舎という名称を用いているわけでございますが、この名称自体はあくまでも仮称ということでございまして、またいろいろ御意見をいただいて、広く御意見を伺いながら適切な名称を考えたいと思います。この名称についてもお話がございましたが、そこについてもさらに検討を深めたいと考えております。
 それから、市町村への権限移譲、事務移譲についての御質問でございますが、市町村への事務移譲については、本県では早くから、全国には例がございませんが、権限に加えて、財源、そして専門的知識・技術を有する職員を県費で負担して派遣するという、いわゆる一括事務移譲に取り組んできたわけでございます。これは大変効果が上がっていると私どもは考えておりまして、本年4月に、さらに一層市町村への事務移譲を進めるために、基本的な考え方や移譲の対象となる600余りの事務について指針という形でお示ししたわけでございますが、その中でも、財源や人的支援を含めた事務移譲をより一層強めていきたい。そういうことによりまして住民満足度をより一層高めていきたい、このように考えているところでございます。
 また、このような事務移譲をさらに広範に進めていくためにも、財政面などの地方の自由度を高める必要がございますので、国庫補助負担金の廃止とそれに見合う税源移譲の実現など、いわゆる地方分権改革に当然積極的に取り組んでいくこととしております。
 農業問題についてでありますが、日本生協連の方から先般提言がございました。私どもは、この提言について、我が国の農業の再生に向けて、安全・安心な食を求める消費者の立場から応援をいただいたもの、このように認識しております。我が国においてBSEの発生や、その後食品の不正表示事件といったようなものがございまして、これを契機に、特に消費者の皆さん方から安全・安心な食に対する関心が高まっていると考えております。こうした関心の高まりをとらえて、地産地消運動を提唱して、生産者と消費者の顔の見える関係の構築に今まで努めてきたところでありますし、また、食生活と農業生産に対する消費者の理解を深めてもらうための食育の取り組みを今推進しております。
 さらに、地域ごとに集落ビジョンの策定・実践を通じて、消費者に安全な生産物を安定的に供給できる力強い担い手の育成・確保に今努めているところでございます。こうした取り組みを着実にそれぞれの場面で進めていくことが生産者と消費者の信頼のきずなを深めて、ひいては食料自給率の向上、さらには日本の農業の再生につながるもの、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業改良普及センターの配置についてのお尋ねでございますが、新しい農業改良普及センターの配置につきましては、地方振興局の再編の考え方も踏まえながら、現場主義を徹底するという基本理念のもとに、地域の関係機関・団体や地域のすぐれた人材と密接に連携し、効率的な活動が行えるような配置としたいと考えております。そうした配置のもと、産地の生産体制の確立や担い手の育成・確保に取り組んでいきたいと考えております。
 現在、鋭意作業を進めているところでありまして、その案がまとまり次第、関係の皆様に十分な説明を行い、さらに意見を伺いながら成案を得ていきたいと考えているところであります。
 次に、集落ビジョンの実効性についてでありますが、売れる米づくりや米以外の作物による産地づくり、さらには担い手の育成などを目指す水田農業改革を進めるために平成15年から始めました集落ビジョンの実践活動は、これまで県内におきましては、宮守川上流地区を初め、江刺の原体地区、紫波町の犬草地区などのように、集落ビジョンに即応して、米以外の作物による産地づくり、担い手の育成や集落営農の体制づくりなどのすぐれた活動事例が出てきております。これらは、いずれも所期の目的に沿った成果を上げたものと認識しているところでございまして、今後は、こうした先進的な取り組み事例の普及を図りながら、さらに集落ビジョンの実践活動の実効性を高めてまいりたいと考えております。
 次に、食料自給率の向上についてであります。
 国におきましては、新しい食料・農業・農村基本計画の中で、全国のみならず、地域段階におきましても自給率向上目標を設定し、その達成に向けて関係者おのおのが適切な役割分担のもと、主体的に取り組むべきと位置づけたところであります。地域において、自給率向上目標数値を設定することは、県民の方々が地域の農業生産や食生活について身近な問題として考えていただく機会の提供につながるものと期待されるとともに、本県農業が担い手の育成・確保を図りながら、消費者ニーズを見据えた適地適作を基本として、安定的な農産物の生産・供給体制を確立する上でも、有効なものと考えているところでございます。
 県といたしましては、こうした取り組みを進めていくために、今後、具体的にどのような目標設定が望ましいのか、また、どのように推進していくことが適当なのか、関係者とも意見交換をしながら検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、高校生や若者が地元に定着するための支援策についてでありますが、若者の確保につきましては、これまで先進的農家などでの実践研修の実施、農地や住居等の情報の提供、経営自立までの継続的な技術指導などを行っているところでありますが、今年度からは新たにジョブカフェいわてと連携した就農相談会の開催や就農情報の充実など、相談窓口業務をさらに充実しているところであります。
 また、高校生につきましては、農業大学校での体験入学や農業改良普及センターと農業高校との連携による農業体験、農業高校生などの農業研究クラブ活動費の支援などを通じまして、農業への関心や就農意欲を高める取り組みを行っているところでありますが、今後は修学旅行の受け入れなども含めて、さらに農業・農村と触れ合う機会の拡大に努めてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、高校生や若者がさらに農業に目を向け、こうした人たちが新しい担い手として地元に定着するように努めてまいりたいと考えております。
 次に、女性農業委員の登用についてであります。
 市町村合併の進展に伴う農業委員会数の減少や農業委員の定数の削減が、農業委員への女性の登用に少なからず影響を与えることが懸念されるところであります。このため、岩手県農業会議、市町村農業委員会会長会議におきましては、本年2月17日、女性などの立候補を促す環境づくりに努めるとともに、市町村議会推薦の選任委員への登用が図られるよう、関係方面への働きかけを行うこと。特に、女性農業委員については、1農業委員会当たり複数の選出を目指すことなどを内容とする、第19回農業委員統一地方選挙に関する申し合わせ決議を行ったところであります。
 県といたしましても、岩手県農業会議と連携を図りながら、市町村に対し、女性農業委員の積極的な登用と参画しやすい環境づくりに取り組んでいただけるよう、引き続き働きかけてまいります。
   〔環境生活部長千葉弘君登壇〕

〇環境生活部長(千葉弘君) まず、食育の推進の取り組みについてでございますが、食育は、子供のときから食について考える習慣を身につけ、生涯を通じて健全で安心な食生活を送ることを実現する上で、大変重要でございます。この重要性にかんがみまして、平成15年8月に策定いたしました岩手県食の安全・安心に関する基本方針、この中で食育の推進を掲げ、小・中学校モデル校を指定しての食育支援事業や、食育支援人材派遣事業などの食育を、学校などを中心に進めてきたところでございます。
 今後の取り組みでございますが、今回の食育基本法の制定を受け、また、岩手県食の安全・安心に関する基本方針も踏まえ、本県が食料生産県であること、また、豊かな自然と伝統に恵まれた食文化に恵まれていることなど、本県の地域特性を生かした食育推進計画を策定いたしまして、家庭、学校、地域における食育を推進していく考えでございます。
 この計画の策定につきましては、6月1日に食の安全安心委員会に諮問し、現在検討をいただいているところでありますが、食育の目指す姿、目標を明らかにするとともに、施策推進の基本的な視点、関係者の役割と取り組みの具体的な方向性を示すものとしまして、年内には策定してまいりたいと考えております。
 次に、仕事と子育て、介護の両立についてでございますが、仕事と子育て、介護の両立のためには、男女が家庭生活における役割を分担し合い、安心して子育てができる環境、あるいは高齢者が安心して暮らせる環境づくりが重要であります。平成16年2月に、県民を対象に実施いたしました意識調査におきましても、家庭や職場、地域など、あらゆる場で男女が共同で参画する社会の実現のために必要な事項といたしまして、保育所、放課後児童クラブなどの施設・サービスの充実、また、高齢者や病人の施設や介護サービスの充実が強く求められているところでございます。このため、今議会に提案いたしておりますいわて男女共同参画プランでは、男女が働きながらも安心して子育てができる環境づくりを進めるため、社会全体で子育てを支え合うという観点に立ちまして、県及び市町村の行動計画の着実な推進を図りながら、延長保育、休日・夜間保育などのサービスを実施する保育所をふやすということ、また、地域での子育てを支援する子育てサポーターの養成、あるいは育児休業や介護休業制度の周知徹底と取得促進などにつきまして数値目標を設定し、積極的に取り組んでいくこととしております。
 こうした子育てや介護を社会全体で支える仕組みを整備いたしますとともに、各種広報あるいはセミナーの開催などを通じまして機運の醸成を図り、男性も女性も、仕事と家庭を両立できるような社会の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、市町村の男女共同参画計画の策定についてでございますが、平成16年度中に新たに4町村が策定いたしまして、本年4月1日現在では19市町村、32.8%でございますが、計画を策定いたしてございます。男女共同参画は、地域や住民一人一人が取り組んでいくことが必要であり、そのためには、住民に最も身近な市町村が地域の実情や住民の意見などを踏まえた計画を策定いたしまして、男女共同参画の推進方策を明らかにすることが大変重要であると考えております。したがいまして、県のプランにおきましては、すべての市町村で計画を策定することを目標に考えているところでございます。このため、県では、市町村計画策定マニュアルを作成し、提供し、支援しているほか、市町村職員に対する各種研修あるいは市町村長などに対しましてもトップセミナーを開催しているところであり、今後もこれらの取り組みをさらに進めまして、地域からの計画策定機運の醸成を図りながら、市町村計画の策定を働きかけてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 保健医療問題についてでございますが、まず、産婦人科医の現状でございますが、県内の産婦人科医は、平成14年の国の調査によりますと96人となっておりますが、平成16年7月の県が行いました調査によりますと、89人となっております。異なる調査結果の比較ではございますが、8人減少しておりまして、地域によりましては、いわゆる総合病院におきましても産婦人科医師が不在となるなど、不足が指摘されているところでございまして、その確保が重要な課題と認識しております。
 アクションプランと人材育成の方向についてでございますが、本県においては、本年3月の地域医療対策協議会において、今後の医師養成確保の具体的な方向として、医師確保対策アクションプランを策定したところでございます。このプランの実施を通じまして、医師の全体数をふやすことがまず重要であると考えているところでございます。そうしたことによって、特定診療科の医師数の増加にもつなげてまいりたいと考えております。
 このプランの実行に当たりましては、臨床研修医の受け入れ態勢の整備充実、本県への医師定着をより確実にするための後期研修の取り組み、女性医師の職場定着のための働く環境づくりなどを重点として進めていくこととしておりますほか、今後の医師養成確保の方向の中でも、特に不足しております小児科、産婦人科医等の確保について、一層創意工夫を凝らした取り組みを進めていく必要があると考えているところでございまして、市町村の医師養成事業において、小児科、産婦人科を選択する場合の義務履行年限の短縮につきまして、関係者の御理解をいただきながら検討することとしておりますほか、こうした小児科、産婦人科医師の不足が、本県のみならず全国的な課題でもありますことから、国に対しこのような特定診療科医師の偏在解消に向けた、人材バンク等の取り組みを要望しているところでございます。
 次に、少子化対策についてでございますが、県では本年3月、これまでの子育て支援策等の検証や見直しを行い、その結果を新たないわて子どもプランとして策定させていただいたところでございます。この新たなプランを踏まえまして、保育サービスの一層の充実を図りますとともに、当面は、今回新たに視点として加えさせていただきました、男性を含めた働き方の見直しによる雇用環境の整備などを重点といたしまして、子育て支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 結婚対策や出会いの場づくりに関する御提言についてでございますが、結婚を希望する方が配偶者を得て家庭を築き、子供を産み育てていくことは、地域社会の維持・発展にとって極めて重要であり、そういった御趣旨からの御提言と考えておりますが、これまで県内市町村でありますとかあるいは他県の取り組み事例を見ますと、事業の実施には相当の工夫を凝らしておられるにもかかわらず、残念ながら期待されたほどの成果が上がっていないのが実情というふうに伺っております。こうしたことから、県の対応といたしましては、子供を産み育てたいと思われる方が、安心して子供を産み育てられる環境を整備することが、まず必要だと考えているところでございます。
 弱年者の雇用対策を含めた社会全体で子供を育てる仕組みづくりについてでございますが、若者を取り巻く雇用情勢は依然として厳しく、いわゆるフリーターの増加の問題が顕著となっているところでございます。こうした問題に対して、1人でも多くの若者が希望する職につけるよう、若者のためのワンストップサービス、いわゆるジョブカフェを中心とした就労支援サービスの充実に努めているところでございます。こうしたことから、県としては、男女がともに子育てや家庭に夢を持ち、次代を担う子供たちがすこやかに育つ環境づくりの実現を目指して、社会全体で子育てを支え合う仕組みづくりを一層進めてまいることとしております。
 次に、幼保一元化などの取り組みについてでございますが、幼保一元化の取り組みでございますとか、保育所と児童館、老人福祉センターなど、一体的に整備したり、あるいは連携を密にして運営する試みにつきましては、県としても市町村の御要望を受けながら、積極的に進めてきたところでございます。より多くの子供たちとの多様な交流や年齢を異にする人と人との交流は、子供の豊かな人間性と健全な心身の育成という面で大切なものであり、また、高齢者の生きがいの高揚、さらには世代間の支え合いの観点からも非常に意義深いものと考えております。こうした考え方を具体的なものとしていくためにも、今後とも施設の複合的な整備など、それぞれの地域の実情に応じた市町村の取り組みをきめ細かく支援してまいることとしております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 県職員の管理監督者に占める女性の割合が低い原因でございますが、県では、主任以上の職員を管理監督者というふうにしておりますが、この主任に登用されます職員の平均年齢がおおむね35歳でございます。ことしの4月現在、35歳以上の県職員全体に占める女性職員の割合、これを見ますと、そもそも12.6%と低くなっております。このことが、現時点で管理監督者に占めます女性職員の割合が低く、また、5年後の目標数値が15%となっているという主な理由でございます。
 近年では、新規採用職員に占めます女性の割合が4割前後に達しまして、女性職員が増加をしております。県では、ことしの3月に、次世代育成支援のための特定事業主行動計画というものを策定し、この計画に基づきまして、仕事と家庭が両立しやすい職場環境の整備を図るというふうにいたしておりますし、今後とも女性職員の管理監督者への登用につきましては、性別にかかわりなく、職員一人一人の意欲と能力を総合的に勘案し、有能な人材の登用に努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 社会資本整備についてのお尋ねでございます。
 まず、東北横断自動車道釜石秋田線の整備促進についてでありますが、当該自動車道の遠野-東和間については、平成15年度から新直轄方式による整備が進められております。県では、国から道路公団を通じて用地取得事務の委託を受け、その推進に積極的に取り組んでおります。
 去る6月18日、19日の両日には、宮守-東和間としては初めて、東和町の一部に係る用地取得契約を締結したところであり、今後、職員体制を6名から11名に増強し、早期の工事発注に向けてさらなる用地の取得の推進に努めることとしております。また、国からは遠野-宮守間については早期に地元説明ができるよう、調査設計を進めると伺っております。
 県としては、引き続き遠野-東和間の整備促進について国に強く要望していくとともに、釜石-遠野間の整備計画区間への格上げにつきましても、働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、一般国道340号立丸峠の今後の見通しについてでございますが、この区間は幅員が狭小で急カーブが連続するなど交通の隘路区間となっており、安全で円滑な交通の確保を図る必要があると認識しております。このため、今年度は立丸峠に路面監視のためのカメラと温度センサーを設置し、適切な情報を得て、より迅速な除雪を行うことによって、冬期間の交通確保を図ることとしております。
 また、抜本的な改良整備については、これまで航空測量、地質調査や概略設計などを行ってまいりましたが、地形が急峻であることから、複数のトンネルを含めた大規模な事業になると見込まれる上、道路整備を初めとする公共事業は厳しい予算環境にあることから、事業の実施に当たりましては、交通量の推移や地域開発の動向も踏まえ、県全体の道路整備計画の中で、整備のあり方も含めて検討してまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 地上デジタル放送網の構築についてのお尋ねでございます。
 現在のアナログ放送から地上デジタル放送への移行に伴い、必要となる中継局のネットワーク整備につきましては、まずは放送免許を受ける放送事業者がその整備計画を明らかにし、進めるべきものと考えております。
 議員からお話がありましたとおり、本年の12月にはNHK盛岡放送局が、また、来年の10月をめどに民放各局が紫波町の新山の――中継局のネットワークの中心となる局でございますが、いわゆる親局からデジタル放送を開始する予定となっております。その後順次、大規模・重要局の整備が進められる見通しです。
 数が多い小規模中継局以降の整備につきましては、現在、国と放送事業者が技術的な検討を行っております。
 具体的には、2011年7月までの6年余りの期間で、中継局によりカバーされるエリアと、中継局だけではカバーできないエリアを明らかにしまして、カバーできない地域にあっては、その代替手段について検討することになっております。
 県といたしましては、現行アナログ放送と同等の視聴エリアが確保されることが最も重要と考えておりまして、CATVネットワークや共同受信施設等の既存インフラの有効活用について、放送事業者と一緒になって検討を進めることとしております。

〇11番(工藤勝子君) 若干質問をさせていただきたいと思います。
 答弁漏れがございまして、私、遠野と宮守が合併して新遠野市となる。分庁舎ではなく、支局にとどめてもらえないでしょうかといったことに対しての答えがございませんでした。ぜひその部分を、考え中とでも結構ですし、ならないとかなるとかお答えいただきたいと思いますし、かなり分庁舎に対しましても知事から苦しいようなお答えをいただきました。みんなが納得するような名称というようなものをお考えいただければと思っております。
 それから、食育と少子化対策についてですけれども、社会全体でという言葉が出てまいりました。そういうことになると、例えば環境生活部の問題とか保健福祉部の問題にとどまらず全体、例えば食育に関すれば農林水産部も関係あるでしょうし、多分この部分は教育委員会も担う部分があるだろうと思っております。また、少子化対策でも雇用対策の部分もあるでしょうし、これもまた教育委員会の部分も入ってくるんじゃないかと思っております。社会だけに投げかけて連携でと言っておりますけれども、社会全体でという中で、では、県の方ではそういう縦割りではなく、横の連携がとれているのかについてお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
 大変いろいろ答弁いただきまして、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

〇知事(増田寛也君) ただいまの部分、大変失礼しました。
 地方振興局の関係でございますが、一つの市に、地方振興局としては一つの組織を置くのではなくて、広域調整を前提にしていますので、できるだけ広く幾つかの市に対して行政を展開するという考え方で地方振興局を整理していきたいと、こういうのが基本にございます。ただ、現実に、今遠野には一つの立派な地方振興局がございましてそこで行政を展開しておりますので、私は今後もそうした地域地域での今ある地方振興局についても、広い県内でありますから仕事をよくこれから分類していかなければなりませんが、公共土木施設の維持管理ですとか、あるいは危機管理体制などで、今後、名称は多分今の我々の考えでは行政センターという名前ですけれども、そういう形で地域地域に置いていかなければならないものがあるんだろうというふうに思っておりますが、一般の多くの行政については、今後、県の仕事として広域的な行政にシフトをさせていくということからいいますと、今お話のような新遠野市に支局を置くということではなくて、もっと大きなくくりのところで支局を置くという考え方に我々は立っております。
 このことについて、またいろいろ御意見をお伺いしているところなんで、今議員からも御提言がございましたので、なお検討しなければいけないというふうに思っておりますが、より広域調整的なところに仕事を移していきますが、即地的に県として行わなければならない仕事もございますし、また、遠野地域のそのほかの行政需要等が出てくるかもしれませんので、名称のことはまたよく考えますが、遠野であの庁舎を使ってどういう仕事が現地で必要かということを、改めてまた今後なお検討していきたいと思います。

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 少子化対策あるいは食育それから男女共同参画などのこういった取り組みについて、社会全体でという表現を使っているわけでございますが、県庁内といたしましても、各部局がそれぞれの課題に応じて連携組織をつくって取り組みをしております。例えば、少子化の対策でありますと、保健福祉部だけでは当然解決できない課題でございますので、庁内の各部局にも入っていただいて、それぞれの部が何ができるか、それから部局間が連携して何ができるか、そういったことを何回も何回もお話をしながら、また、地方振興局にも問いかけて、そしてそちらからもいろいろアイデアを出していただいたり、具体的な方策を出していただいたりというふうなやりとりをしながら、県庁全体としての取り組みを進めさせていただいているところでございます。こういったことを今後とも少子化対策等についてはやっていかなければ、とてもとても一つの部だけではなかなか解決できない課題ではないかと思っております。
   

〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時33分 休 憩
   

出席議員(45名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(2名)
44  番 佐々木 大 和 君
50  番 佐 藤 正 春 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後3時50分 再 開

〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。ザ・グレート・サスケ君。
   〔3番ザ・グレート・サスケ君登壇〕(拍手)


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