平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(平野ユキ子君) 民主・県民会議の平野ユキ子です。
 今議会は、岩手県議会始まって300回という記念すべき議会であります。このような記念すべきときに一般質問の機会を与えられましたことに、先輩議員の皆様方、そして同僚の議員の皆様方に深く感謝申し上げます。
 初めに、新教育長に伺います。
 岩手県は、高校再編、学力の向上など、直面する教育課題がさまざまあります。新教育長は、課題の山積する中、従来の価値観から抜け出した教育施策の実行を訴え、現場の意識改革を目指すということですが、各方面から、新教育長にかける期待も大きいと存じます。教育行政への姿勢と意気込みにつきまして、まずお聞きしたいと存じます。
 また、指導的、管理的色彩の強い現教育行政に対し、行政品質向上を重要施策の一つに挙げて、現場の意識改革を目指す意気込みを示しておいでですが、その改革実行について具体的にお聞きいたします。
 しかし、経営品質向上という考え方は、教育現場ではなじまないとの声もあります。現場での戸惑いをどのように受けとめておいででしょうか。
 次に、今行われている性教育についてお伺いいたします。
 教育の現場で、一部過激な性教育が行われているとの指摘が、先般、国会でも問題になったのは記憶に新しいところです。我が県におきましても、そのような指摘があり憂慮されます。
 私は、体の仕組み、違いについて、男女一緒に授業を受けると聞いて驚きました。それはセクハラにはなりませんでしょうか。事実、今は成年に達した女性から、小学校当時、体の変化と仕組みについて男女一緒に習い、恥ずかしくてやめてほしかったと聞きました。その当時は、それを言うことができなかったということです。ここが大切な点です。大人になればはっきり言えることでも、言えないのが子供なのです。体の変化については、文科省の指導要領どおり、予備知識として教えた方がいいかもしれません。しかし、その際、男女別々に教えてほしいと思います。恥じらいをなくすことは、人として決していいこととは思えません。男女平等ではあっても、男らしさ、女らしさを否定してはいけません。
 性教育をなさる先生方は悪いつもりはなく、きっとまじめにやっておられると思います。だから怖いとも言えるのです。感覚が麻痺してしまうからです。指導要領における小学校での性指導は、3、4年で2次性徴の発現としての男女の体の仕組みを教えるとあります。それだけなのですが、学校によっては1年生から性指導のカリキュラムを組み、熱心に指導しているところもあります。体の仕組みどころか、私の調査によれば、小学校の3、4年で、何と出産シーンのビデオを見せている学校もあり、首をかしげざるを得ません。一体、小学生に出産シーンを見せる必要があるでしょうか。御父兄の中には大変心配している方々があり、何とかしてほしいとの声が寄せられています。
 皆さんは、出産シーンを見たいと思いますか。私はいろいろな方に聞いてみましたが、見たいと言った方は1人もありませんでした。それはそうでしょう。それが普通の感覚です。では、だれも見たくないものを児童生徒に見せるというのは、教育としていかがなものでしょう。見たくないものを強制的に見せるというのは、児童虐待に値するという意見も寄せられております。性教育をなさっておられる先生方は、熱心さの余り、つい常識を逸脱してしまっているというのが現状ではないでしょうか。小学生で出産シーンを見せることなどは、全くの論外と思われますが、実は高校生では男女一緒に見せるのが当たり前とのことでした。それも驚きです。高校生にさえ出産シーンなど見せる必要はないと思います。しかも、男女一緒とは、恥じらいはどこへと、心配するのは私だけでしょうか。出産に対して拒否的感情の方が強まるのではないでしょうか。あるいは、逆に興味本位になってしまう可能性が大きいと思われます。
 性病の罹患率が高いから、そして中絶率が高いから――残念ながら岩手の実態はそのようなのです。母体保護のために教えておかなければならないという親切がかえってあだとなり、ますますその傾向を高め、性モラルの低下を助長しているのではないかとの意見が多々ありますが、教育長はどのようにお考えでしょうか。
 性教育に関して海外の実例がございます。
 テネシー州レアー郡は、中絶率がアメリカ1位だったそうです。性教育で性モラルを上げようと頑張ったけれども、全然効果はない。そこで、性教育を一切やめて道徳教育に切りかえたところ、何と1年目で46位に、2年目で64位に下がるという劇的な効果が出ました。性教育に関しては、熱心に教えれば教えるほど逆効果になるという結果があるのに、悪い例を踏襲するのはいかにも下策ではないでしょうか。
 今、海外の方が性に関して保守的になってきています。人間も生物学的には動物ですから、種の保存の本能があるのは事実です。けれども、相手を思いやる心、愛すること、高い理想のために身を捨てる気高さ、精神的高尚さや高邁な考え方など、性教育以前に幾らでも教えてあげたいことがあります。人として身につけるべき道徳教育をしっかり行うことこそ、性教育よりずっと大切なものと思います。この点について知事のお考えをお聞かせください。
 道徳教育を重視するため、性教育については所管をスポーツ健康課のみならず、学校教育課も担当していただきたく提案いたしますが、この点、教育長の御見解はいかがでしょうか。
 また、恥じらいを失わせるような男女一緒の性教育は、やめてくださるようにお願いいたします。これは母親たちの意見です。子供は拒否できないのです。与えられた教育を受け入れるしかありません。大人が常識を持って正しいものを与えなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、教科書採択について質問いたします。
 さて、一昨年、初めて一般質問に登壇させていただきましたとき、国を愛する心の涵養という点を述べさせていただきました。青少年に真に自分の国を愛する心をはぐくむことが、国際人として活躍する日本人になるため、第一に基本的で大切なことだからです。これは国際社会では常識です。しかし、今の生徒たちは余りにも日本の伝統や文化を知らず、また、自国の歴史についてもきちんと学んでいないと、現場にいて感じたものです。自虐的な歴史観に覆われ誇りを失っているために、自信がない。果ては、日本人で恥ずかしい、日本が嫌いなどという声を聞き、唖然としたものです。日本の未来を担う若者たちがこれではと、日本の将来を思い、暗たんたる気持ちになったものです。この原因の一端が、現在使われている歴史教科書にあるとの指摘がございます。
 そこでお伺いいたします。
 教科書の選定及び採択に至る経緯をお示しください。
 先日、新聞に、中国の教科書が記す日本として、中国の教科書の内容が掲載されました。残虐行為を詳しく描写し、教師用の指導書には、敵への強烈な恨みの感情を持って生徒に教えなくてはならないと強調し、日本帝国主義の侵略を心底憎む気持ちで教えるべきだと指示しているとのこと。こうした教育には疑問を感じます。このような教育を行っているのであれば、先日のあの中国で起きた反日運動が納得できます。しかし、あれは中国社会の未熟さを露呈した、国際的にも非難とひんしゅくを浴びた事件でした。実際体験したわけでない若者たちの方が過激になる、まさにこれが教育の怖さです。自国に誇りを持てる教科書を子供たちに与えたい、これはどこの国にとっても当然のことです。
 学習指導要領の歴史教科書の目標の冒頭には、我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め国民としての自覚を育てるとあります。教科書を選ぶ選考委員の方々は、すべての教科書にきちんと目を通して、このような学習指導要領に合った教科書を選んでいるのだろうかと改めて疑問に感じますが、いかがでしょうか。
 教科書は、各教科ごとに調査員の方々が1冊1冊の調査表を作成します。選考委員の方々は、この調査表を頼りに教科書を選び、現物はほんの二、三冊にざっと目を通す程度と聞きました。私の専門は英語ですから、英語の教科書の調査表を見ました。ところが、どの教科書がいいのか、調査表だけではちっとも判断がつきませんでした。
 このように、専門でさえ調査表ではわからないのですから、なおさら現物を1冊1冊見ることが大切です。しかし、大変な作業ですし専門外の教科では判断がつかないでしょう。そこで、教科ごとに選考委員を選んだらいかがでしょう。それなら、すべての教科書に目を通して正しく選ぶことができます。
 青少年の現状を憂うる人々の声として、将来を担う青少年には、心豊かになるよい教科書を選定すべきとの声が大きく、また、今後4年間、この教科書で育つことを思えば、正しい選択をしていただきたいと思います。今回、選考に携わる選考委員の方々には、それが役割なのですから、大変でも検定を通ったすべての教科書に、特に歴史教科書には目を通して精査していただくことをお願いいたします。そして岩手の子供たちにとって、国や郷土に誇りを持てる正しい教科書を選んでいただきたく、要望いたします。
 県の認定職業訓練法人岩手県理容美容訓練協会の不正受給についてお伺いいたします。
 昨日、我が会派の佐々木博議員が質問いたしました件について、私からも主に新卒の高校生の将来にかかわる教育的な観点から質問させていただきます。
 昨日の佐々木議員の質問中に既に述べられましたので、前段は省略いたします。この理美容訓練協会は、昨日指摘されましたように、既に免許を有した理容師、美容師の技能の向上訓練または再訓練の場であり、理容・美容師の国家資格を取得する場ではありません。こうした職業訓練校に、資格も雇用保険も有しない、高校新卒者を多数入校させたことにこそ、人道的、教育的観点に立って許されざる点があります。不正受給というあるまじき行為もさることながら、高校新卒の将来ある若者が夢や希望をくじかれることとなったのは、まことに残念でなりません。
 昨日、佐々木博議員の的確なる質問に対して、当局は、現行制度上禁止されているものではないとし、問題ないとの答弁を繰り返し、県の責任を回避、果ては入校は若者がみずからの適性を探し、やりたい仕事を見つけるための手段かもしれないとも言いました。しかし、単なる適性を試すだけに四、五十万円もの学費を払うでしょうか。否、彼らは皆、資格を取れると思って訓練校に入ったのです。高校の進路指導の先生方も、まさか資格が取れない学校だったとは知らなかったと述べています。6カ月という速さで資格が取れるかのごとく、誤解を招くような勧誘の仕方をし、多数の新規学卒者から多額の学費を取り、結局は免許が取りたければさらに学費を払って通信教育を受けなければならない状況に追い込んだのが実態です。通信教育で資格を取得する率は10%前後です。ほとんどの生徒は途中で挫折します。資格の取れぬまま就職しても無資格ですから、訓練した理・美容業に携われば、違法行為として摘発の対象となるのは、昨日明らかにされたとおりです。知らずに違法行為を犯してしまう危険に、若者を追い込むことになるのです。まさに犠牲者であります。この職業訓練校に入った子供たちは、将来の夢と希望を打ち砕かれることになったわけです。制度上問題ないとのことですが、道義上は問題ありと思います。県認定という肩書きがあれば、信用してしまうのが普通です。高卒で入校した者は、平成14年度は38名、15年度は37名、16年度は36名と、計111名もおります。これら若者たちから、国と県とのかかわりを信じて入校した結果、理・美容師への道がゆがめられ挫折したと訴えられたら、どう釈明されるのですか。こうした事態を未然に防ぐことができなかった理由、及び県の指導監督責任についてどうとらえているか、お聞きかせください。県の道義的責任として知事に答弁を求めます。
 次に、IT推進についてお伺いいたします。
 昨年、いわて情報ハイウェイの見直しを提言しましたが、それは県民の声でありました。各所で見直しを求める声を聞き、要望させていただいたものです。さらにその一環として、3月の予算特別委員会で、部局横断的な研究会の設置を求めたところでありますが、このほど研究会が立ち上がったようです。県民にとって大変喜ばしく、早速に動いてくださった担当部局の関係諸氏には、心より感謝申し上げる次第でございます。御報告によりますと、効果的な公共ネットワークの活用について、9月までに報告を取りまとめるとのことですが、この研究会の詳細をお聞かせください。
 今後とも、何かと御苦労もおありかと思いますが、ぜひ県民全体のため、頑張っていただきたくお願いします。
 次に、県立病院のあり方について、医療の質の向上と経営の質の向上に向けて3点質問いたします。
 第1点目は、DPC導入とIT化についてです。
 膨大な医療費を抑制しつつ、医療の質と効率を改善するため、現在、厚生労働省は医療制度改革を推進中ですが、DPCの導入は、これからの県立病院の経営を考える上で重要な検討課題であります。DPCは診断群別包括支払いと通称され、疾病の診断群分類別の入院1日当たり包括評価による支払い制度のことです。厚生労働省では、医療費削減の方向としてこの制度の導入を図り、準備を進めています。ふえ過ぎた老人医療費の支払いは、1990年の診療報酬改定により既に出来高払いから包括支払い制度を導入しました。DPCは、これを急性期病院にも適用して医療費の削減を図ると同時に、医療現場から見れば医療の適正化を図るねらいがあります。DPCを導入した病院には、保険点数の優遇措置がとられると見込まれ、病院経営上有利になりますから、これから特にベッド数の多い県立病院は、赤字を防ぐために経営上DPC導入が必須になると予想されます。
 我々にとって肝心なのは、今後の方向性を正しく見きわめ、地域にとって重要な県立病院の赤字対策と生き残りへの対策を立てていくことです。ところが、現在こうした動きに対応してDPCへの参入に手を挙げているのは、県立病院では中央病院一つだけです。赤字経営が問題となっている県立病院のあり方として、もっとDPC導入に意欲を示していただきたいものですが、医療局では各県立病院に対して、こうした動きについてどのような指導と対応を行っているのでしょうか、お示しください。
 平成18年、来年ですが、第5次医療法改正と診療報酬改定によって、医療報酬の大幅な見直しが予想されます。それに伴い、本格的にDPC導入が始まります。現在、DPCに参入できる病院とそうでない病院とがありますから、しばらくは二重価格制で移行するでしょう。しかし、DPCを導入した病院の保険点数が優遇され、これまでの出来高払いの収益は診療報酬改定により大幅に頭打ちとなり、その格差は拡大していくと見込まれます。試算によると、中央病院クラスの病院で、年数億円の差が出てくると言われています。医療局の早急な対応が望まれます。
 さて、DPC導入のためには、厚労省へ4カ月分の診断群分類の膨大なデータを提出しなければなりません。これには病院のIT化が必須です。膨大な量のデータは、手書きの紙媒体によっていては大変な手間と時間がかかるのは容易におわかりになると思います。しかし、現状ではIT化が進んでいないので、手書きの手間隙かけた紙媒体によっています。事実、DPC参入に手を挙げた中央病院では、データ提出期限に3カ月もおくれてやっと提出したようです。これは早急に何とかしなければなりません。提出データは主にカルテ情報、これは診療内容の情報です。これと、E-Fファル、これはいわゆるレセプト、会計システムの2点です。電子化されていればボタン一つで済むものを、データ提出した中央病院では、手書きで1枚1枚、4、400人分のカルテをめくっての手作業で、連休中もその作業のため、20人ぐらいの職員が借り出されたということです。作業に携わった現場の職員は、来年もこれでは身が持たないと感想を述べています。これから毎年データを提出しなければならないわけですから、大変な手間がかかると憂慮されます。早急なる電子カルテ化を望みます。
 また、DPCの疾病入力コードは、WHOによるICD10というコードを厚労省で使用しており、これに統一しなければなりません。現在、医療局が全県立病院でICD10コーディングを進めていると伺いました。しかし、ICD10のみではDPCには対応できません。これからのことを考えますと、ぜひともここは既存のコンピューターシステムを見直し、電子カルテ化を急がなければならないとの現場の声、というよりは悲鳴なのですが、いかがでしょうか。
 また、ICD10コーディングするには、優秀な診療情報管理士が必要です。現在、県立病院全体で数名の診療情報管理士がいますが、すべて委託業者に属しており、院内の権限の責任体制がないため、貴重な人材が他県に引き抜かれる状態です。給与条件を整えるなどして、早急なる正職員化を要します。財政難とはいえ、費用はかけるべきときにかけないと、かえって後で取り返しがつかなくなるおそれがあります。殊にも、DPC導入にいち早く取り組み、手を挙げている中央病院の電子カルテ化は、県の基幹病院として早急に取り組まなければならない問題と思われます。ぜひ御検討ください。
 第2点目は、がんセンター機能を担う基幹病院としてのPET導入の件です。
 岩手県は県立がんセンターがない全国でも数少ない県ですが、県立中央病院にがんセンター機能を持たせてきました。県内唯一のがん診療拠点病院として、がん医療の全国水準化のためには、PETをぜひとも備えなければなりません。高額のためためらっていると聞きますが、安く設備する方法もありますし、案外、初期投資の後は採算ベースも可能とも言われます。この問題は、岩手県のがん医療を、県民に対して県がどう考えているかという問題でもあります。御検討くださるようにお願いいたします。
 3点目は、緩和ケア病棟設置の件です。
 緩和ケア病棟は磐井病院に整備されるということですが、がん診療拠点病院としての機能や、実際がん患者も多い点を考慮すれば、中央病院に設置が望ましいと思われますので、御検討ください。
 次に、県立病院の医師不足問題への提言です。
 先ごろ、テレビで産科医が足りないというドキュメント番組がありました。医師不足に悩む北東北の医療の現状を取材した番組で、産婦人科医及び小児科医の不足により、地元でお産ができない状況になっていることが報道され、母親としては身につまされました。
 そこで、医師不足の解決の一策として、女性医師を優遇する政策を提言いたします。
 年々女性の医師国家試験合格率が高まり、女性医師は増加しています。研修医制度が義務化されましたが、実は医師の不足していない中央の都市部では、女性研修医の受け入れに余り積極的ではありません。これは、女性の場合、結婚しますと妊娠、出産という事実が避けられないので、その間、産休や育児休暇により、一、二年現場に穴があくため、敬遠されているからです。男女共同参画社会推進の流れの中、何とも時代おくれであり、女性の能力を生かせずもったいないと感じます。しかし、これを逆手にとって、岩手は女性医師を積極的に採用、優遇する政策を、医師不足の対策としたらいかがかと思う次第であります。研修医制度の義務化で、研修医を受け入れる病院が岩手でも多くなりました。これを機会に、全国で初めて大々的に女性に優しい岩手県として、ホームページで公開するなどのキャンペーンを行い、女性医師の受け入れを積極的な政策として行ったらいかがかと思います。
 女性に優しいという中身ですが、出産後の24時間体制での保育環境の整備を整えることです。保育のための設備を改めてつくるには財政縮減の折、無理があります。そこで設備をつくる、建てるのではなく、人的な整備、ソフトインフラを整えるのです。それには、保育になれた地元の年配者を活用すれば、年配女性にとっても生きがいができて一石二鳥です。24時間、電話一本で、だれかがかけつけて保育に当たる。このような子育て支援のためのNPOを地域ごとに創設し、保育料の補助もする。そしてこれを県がバックアップすれば、かなりの効果があると思いますが、いかがでしょうか。女性医をターゲットにしたこうした政策で医師不足を軽減できると思いますが、女性に優しい医療局長の御見解をお伺いしたいものです。
 最後に、中国語教育の奨励について提言いたします。
 先般、中国の大連に経済交流を目指して、岩手県と宮城県合同の事務所が開所されました。その開所式を機にチャーター便が運航され、岩手から200名弱の人々が大連を訪問したのは、皆様もう御承知のとおりです。増田知事は、今後チャーター便の増発、あるいは定期便の運航など、大連交流促進を積極的に展開するとの見解を示しておられます。
 そこで、今後、大連との経済交流を進めるのであれば、ぜひとも通訳の養成が必要と思われますので、提言いたします。
 大連が親日的なのは、歴史的にも日本とかかわりが深く、日本語教育が発展しているからです。中国は国策として、日本との交流の拠点として大連を位置づけて、特に日本語通訳養成に力を入れて、若者をたくさん養成しています。それが親日を推し進め、日本との経済交流活性化に結びついています。もし、これから交流を進めるのであれば、岩手でも通訳の養成を図ることが肝要です。中国側の一方的な人材に頼るのは失礼でもありますし、何より危険でもあります。誤訳があってもわからないという状況は、厳として避けるべきです。ただの友好交流ならいざ知らず、双方の利害があっての経済交流です。正しく促進していくためには、岩手側にも通訳を目的とした語学教育を今から準備、整備すべきと思いますが、この点いかがでしょうか。
 この中国語の通訳講座は、実学の府たる県立大が中心となって、県内の5大学連携で行ってもよいでしょう。県立大学は平成15年12月に、西澤学長が大連鉄道学院を訪問して国際交流を締結しておりますし、その後、鉄道学院が交通大学となってずっと交流が続いています。幸い、今度いらした谷口学長は、経歴もアジアの方面に強く、中国にも人的つながりがおありのようですから、その点まことに好都合かもしれません。
 この教育は、目的がはっきりしていますから、5年というスパンで通訳の養成を目指し、現実的に取り組みます。1年目は準備期間、次の2年は留学による熟成期間、最後の2年は実務に携わる完成期間です。1年目は、翌年留学することを条件に1年間で徹底的に日常会話等をマスターし、少なくとも生活には困らないようなレベルまで持っていく。実は留学前のこの1年が勝負です。留学して物になるかならないかは、日本での勉強いかんによるのです。それから、語学留学で専門家として物になるためには2年と言われていますから、次の2年間は、大連のそれぞれ目的に応じた大学に留学して、仕事で使える専門的レベルまで上げるというコースを履修します。その後、続く2年は、実務に携わって実際の実力を磨く期間です。せっかく大連に事務所を開設したのですから、これを有効に活用します。ですから、通訳養成コースが始まれば、3年後には実務に携わる受け皿を準備する必要があります。知事のおっしゃるように、経済交流が進めばそれも必然的に生じてくるでしょうし、そうなれば、若者にとっても雇用の場も創出されることになります。
 また、このたび岩手大学も大連理工大学と交流締結をいたしましたし、基盤整備は整っているとは思いますが、いかがでしょうか。ぜひ御検討いただきたく提言申し上げます。
 さて今回、主に教育、そして医療の問題につきまして質問させていただきました。教育は国家百年の大計と申します。教育は、きょうの施策があす結果となって見えるものではありませんが、確実にその流れはその国の地下を流れて人々を潤し、あすの力となるものです。そして、豊かな人や資源を形づくっていくもととなるのです。教育という名の水のもと、あすの岩手が豊かな実り多きものになることを信じて私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 平野ユキ子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、性教育についてのお尋ねでございます。
 私は、基本的に性に関する指導は必要であると考えるわけですが、この場合、性の乱れというものが現実の我が国社会に多くあるという実態がございます。この性に関する指導は、そうした実態に対して単に対症療法的なものではいけない、こういうふうに思うものでございます。私が教育に期待をいたしますのは、かけがえのない命を大切にする心、家族を初め、周囲の人々への思いやりと感謝の気持ちなどの道徳性を確実に培っていくことでございまして、また、性に関する指導を通じて人間尊重の精神を培い、人格の完成と豊かな人間形成を目指していくことが大事なこと、このように考えております。このような教育がしっかりと本県で行われることを期待するものでございます。
 次に、岩手県理容美容職業訓練協会の補助金不正受給問題についてでございますが、今回、この協会の補助金不正受給事案が発生したことを深刻に受けとめております。同協会が運営しております岩手県理容美容高等職業訓練校の入学案内が、国家試験の受験資格が得られる専門学校と混同されかねない内容である、このような指摘がかつてございまして、現在は県の指導に基づいて募集方法が改善されているところでございます。この協会に対しては、現在、今回の不正受給事案に関して運営改善計画の提出を求めているところでございまして、認定職業訓練の主たる目的でございます在職者訓練の充実や新卒の訓練生の早期就職に向けた対応策を含めた改善計画の妥当性や実効性を厳正に審査して、その対応によっては、認可の取り消しを含め、県として適切に対処していきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) IT推進についてのお尋ねでございます。
 IT推進のために設置しました研究会の詳細についてのお尋ねでございますが、去る5月26日に、岩手県内における情報通信インフラの活用と整備について研究することを目的にしまして、情報通信インフラの活用と整備に関する研究会を設置したところでございます。研究会は、大学の研究者、産業界、行政機関、NPO法人等から成りまして、合計12名で構成されております。情報通信インフラ、ここでは公的な通信インフラとしてのいわて情報ハイウェイや市町村の公共ネットワーク、民間通信事業者が整備している通信網、それからケーブルテレビのネットワーク等を含んでおりますが、これを活用した地域振興策と効果的な情報通信インフラの整備方法、及びそのための官民の役割分担、これを研究内容としております。
 研究会は、利活用と整備の観点から、専門に研究するワーキンググループを設けまして、それぞれのワーキンググループで研究した内容を研究会で検討・調整しまして、その内容をフィードバックして再びワーキンググループで議論する方法で研究を進めていくこととしております。
 5月26日の研究会発足以来、2回の研究会を公開で開催してきたところでございます。今後、毎月1回のペースで開催しまして、9月には研究成果を取りまとめ、来年度の施策に反映させてまいりたいと考えております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕

〇医療局長(法貴敬君) まず、DPCの導入についてでありますけれども、DPCは、国の診療報酬体系の見直しの中で、平成15年4月に全国の大学附属病院や国立病院などの特定機能病院に導入された入院の急性期医療に係る診療群分類別の診療報酬の包括評価制度であり、県立病院では、中央病院が適応し得る可能性のある病院であることから、昨年度から試行的に適用病院の前段階となる調査協力病院として参加し、平成18年度以降に当該制度の適用対象病院の拡大がある場合については、DPC導入病院となれるよう、その準備を進めているところであります。
 他の県立病院への適用については、DPC制度が一部病院で試行的に行われ、その検証が進められているもので、本格的な制度化になお時間を要するものと推察されることから、現行の診療報酬制度の中できめ細やかな施設基準の選択や算定漏れ防止など、診療報酬の適正な算定による収入の確保に努めていきたいと考えております。
 このDPC制度を導入するに当たっては、議員御案内のように、医療局独自のコード体系となっている病名や診療行為の各種マスターを全国標準にする必要があり、現在、これらに対応すべく医療局の医事ネットワークシステムの更新作業を行っているところであり、平成18年4月までにはレセプトの電子化やDPC制度にも対応できるシステムを構築することとしております。
 なお、病院事業のIT化については、医療の質や患者サービスの向上並びに病院業務の効率化などが多く期待できることから、今後も順次取り組んでいきたいと考えております。
 また、診療内容を審査し、そのデータベース化などを行う診療情報管理士については、DPCの導入においても重要な役割を果たすことから、当面、中央病院に2名を配置することとし、採用の事務を進めているところであります。
 次に、県立病院へのPETの整備についてでありますが、PETは、腫瘍の悪性度や転移、再発の診断、抗がん剤や放射線治療の効果判定などに活用されている診断機器であり、腫瘍細胞の活動性、悪性度を知ることができるため、初期段階のがん発見に極めて有効であると認識しております。
 しかし、PETの導入に当たっては、整備費用が高額であること、一定規模の面積が必要であること、専門医など所要の人員配置が必要であること、必要なコストに見合う患者数が求められることなどが課題となっております。また、これらの課題に対応するためには、大学を初め、関係機関などからの協力が不可欠であり、関係者との必要な調整を経なければならなく、その調整経過を踏まえながら、県立病院への導入についても検討を進めてまいりたいと考えています。
 次に、緩和ケア病棟の設置についてでありますけれども、緩和ケア病棟は、入院を必要とするがん末期等の患者等に対する身体的、精神的苦痛の緩和及び除去を目的とする専門病棟であり、人員配置や、例えば必要病床面積など施設・設備上の基準があるために、移転新築時や増改築時に合わせて整備するのが望ましいことから、現在新築中の新磐井病院に設置予定であるほか、平成20年度に完成予定の花巻厚生・北上統合病院に設置を予定しています。
 中央病院については、専門病棟は有していないものの、平成17年4月から、末期がん等の患者やその家族のために、専任のスタッフ5名――これは医師4名、看護師1名ですけれども――から成る緩和ケアチームを結成し、病気に伴って出現する痛みなどの身体的苦痛や不安などの精神的な苦痛を取り除くことを支援するなど、緩和ケア医療に積極的に取り組んでいるところであり、緩和ケア病棟の設置については、まず、現在整備を進めている新磐井病院や花巻厚生・北上統合病院の運用状況を見きわめると同時に、県内の需要動向も踏まえながら検討してまいりたいと考えています。
 次に、県立病院の女性医師の積極的な受け入れと労働環境の改善についてでありますが、県立病院における女性医師の状況については、全常勤医師524人中、女性医師は37人、7.1%となっております。また、平成16年度から始まった医師の卒後臨床研修で県立病院に採用した研修医の数は、平成16年度に35人、17年度には45人の合計80人となっており、このうち女性医師は20人、25.0%となっており、特にも中央病院においては、研修医34人中、女性医師は12人と35%を超えております。
 女性医師の増加は全国的な趨勢となっており、県立病院においても同様に女性医師の比率が高くなることが予測されることから、女性医師の労働環境対策を進めていく必要があると考えております。そのために、平成17年3月に岩手県地域医療対策協議会において取りまとめられた岩手県医師確保対策アクションプランにおいては、女性医師の確保と離職防止の方策案が提言されており、女性医師の働く環境の整備として、院内保育所の整備、夜間等の臨時ベビーシッターのあっせんなど、子供の育児・教育と仕事を両立できる環境整備を検討することとされていること、また、厚生労働省の医師の需給に関する検討会の中間報告(案)においては、将来を見据えた女性医師の就業のマルチトラック化、雇用のマッチングの推進などを検討課題としているので、これらの検討状況を見きわめながら、議員の提言にあったNPOへの支援を含め、女性医師の多様な雇用形態に対応し得る、就業しやすく、また、定着してもらえるような働きやすい労働環境を、さまざまな知恵を出し合い、整えていかなければならないものと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 経済交流を促進していくための語学教育についてのお尋ねでありますが、私も本年5月の大連経済事務所の開所式に合わせまして大連経済ミッションに参加し、多くの施設、工場などを視察してきたところでございます。
 平野議員の御質問の中にもございましたが、今回の中国訪問の中で強く感じたことの一つは、中国人の日本語能力の高さと日本語教育に対する積極的な取り組みということでございます。特に大連市では、多くの大学等で日本語教育が行われ、日本語のできる多数の人材を育成しており、今後も多数育成、輩出されるとのことでございます。また、中国のIT産業分野には合弁も含めて多くの日本企業が進出しており、今回のミッションで視察をいたしました大連ソフトウエアセンターでも、現在、外資系の企業中25%は日系企業であり、また、日本企業からの受注が大半を占めているということでございました。
 今後、本県では、大連経済事務所の開設を契機に、IT分野、観光を含めた多様な産業分野での経済交流や医療、文化など幅広い分野での交流を一層活発化させたいと考えておりますが、このためには、相互にコミュニケーション能力を高めることが極めて重要であると考えております。しかしながら、本県における中国語教育の実態を見ますと、中国における日本語教育の実態と比較しても、必ずしも十分ではない、むしろ不十分ではないかと認識したところでございます。
 現在、大学レベルでは、県内の5大学のうち、県立大学、岩手大学、富士大学、盛岡大学の4大学において既に中国語講座を開設しておりますが、特に県立大学は大連交通大学と、また、岩手大学は大連理工大学とそれぞれ協定を締結し、さまざまな交流活動を今後とも展開することとしているところでございます。こうした状況を生かしまして、まずもってこれらの大学が中心となって本県の中国語教育の充実・強化を進めることは、今後の本県と中国とのさまざまな分野での交流拡大、ひいては中国及び本県の発展にとっても意義のあることだと認識しているところでございます。
 今後におきましては、御提言の趣旨を踏まえまして、県立大学を初め、県内の大学が連携しながら、中国語教育の一層の充実や交換留学の促進などを通じ、経済交流を担う人材の育成が図られるよう要請してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、教育行政推進に当たっての私の姿勢でございますが、私は、教育長就任に当たって、より一層地域に根差し、地域に開かれ、地域の皆様から信頼、支持されるよう、次に申し上げる四つの視点で教育行政に取り組んでまいりたいと考えております。
 まず一つ目は、常に児童生徒や保護者、地域住民の目線で考え、施策を推進するということです。二つ目は、情報の積極的公開と提供に努めるということです。三つ目は、現場主義の視点に立って、学校現場や地元の市町村教育委員会、地域産業界の皆さんなどとの対話を通じて相互に理解を深め合うとともに、知事部局とも密接に連携しながら諸課題に取り組むということです。四つ目は、教育環境の変化に迅速かつ的確に対応できるよう、事務局改革を推進するということです。この四つの視点で教育行政を推進し、学校、家庭、地域と一体となった取り組みが県内各地域で活発に行われることにより、本県の教育力をさらに向上させてまいりたいと考えております。そのためには、可能な限り各地域に足を運び、現場の声に真摯に耳を傾けて、その声をできるだけ施策に反映させてまいりたいと考えております。
 次に、事務局改革についてですが、教育環境の変化に迅速かつ的確に対応していくためには、教育委員会事務局の組織を、これまでのともすれば管理的色彩の強い組織から県民本意の政策推進型組織へと変革していかなければならないものと考えております。これまでの教育委員会は、教育サービスの受け手である児童生徒、保護者、地域住民、さらには教育サービスの担い手である学校や教職員の皆さん方のニーズを的確に把握し、その満足度の向上を図るという取り組みが必ずしも十分ではなかったとの反省に立ち、今後は、より一層学校などの現場の視点に立って、教育の質を向上させる取り組みを本格的に展開してまいりたいと考えております。
 そこで私は、教育長就任後、事務局の全職員を対象にした意識革命セミナーを開催し、私自身の言葉で、教育の質の向上を目指す運動の重要性や職員一人一人の意識と行動の変革を求めたほか、職員に対する業務推進支援の取り組みや事務局各課による改善活動計画の策定・実践など、事務局における積極的な改革改善運動の展開を図っているところでございます。
 今後の展開としては、事務局での実践を踏まえ、本年度後半以降、教育事務所や県立学校においても順次取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、品質向上についてでございますが、教育現場においては、職場環境の多忙化や児童生徒、保護者などのニーズの把握が十分ではないことなど多くの課題があると認識しており、これらの課題を解消し、教育の質の向上を図っていくためには、単なる情報伝達を目的とした会議や事務局からの照会文書の削減など、現行業務を抜本的に見直すことにより、教職員が児童生徒とより多くの時間を共有できるゆとりある職場づくりや、児童生徒、保護者などのニーズをしっかりと把握し、教育活動へ反映させることにより、その満足度を高めていくことが重要でございます。そのためには、教育分野においても教育の質を向上させる取り組みが極めて有効であると考えております。
 そこで、この5月には、外部から講師を招き、県立学校の教頭を対象に学校経営品質向上セミナーを開催したところ、参加者からは、民間企業であれ、行政であれ、学校であれ、組織運営の質を高めることが必要であり、ひいては児童生徒や保護者の満足度を高めることになることを再確認したとの感想が寄せられるなど、品質向上運動の考え方が学校現場においても必要との認識を深めていただいたところでございます。このため、今後、教職員に対し、この教育品質向上運動について十分説明し、その趣旨を理解していただき、教育現場と事務局が一体となって教育の質の一層の向上に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、性に関する指導についてですが、近年の性に関する情報のはんらんは、児童生徒に誤った知識を与え、性に関する問題行動の増加や低年齢化などが懸念されております。このため、学校においては、児童生徒の発達段階に応じて、体の発育と心の発達、男女の体のつくりの特徴や生命のとうとさ、男女の相互の理解と協力などについて、各教科、道徳、特別活動など学校教育活動全体を通じて性に対する指導を行っているところでございます。
 学校における性に関する指導は、単に性に関する身体的、生理的な面の指導や性に関する問題行動の防止などにとどまらず、男女の人格尊重や正しい異性観、豊かな人間性などの育成を目的に行っているところであります。こうした取り組みにより、児童生徒がみずから主体的に判断し、望ましい行動をとることができるものと考えております。性に関する指導を行うに当たっては、言うまでもなく、常に児童生徒の視点に立ち、その発達段階を考慮し、また、保護者の十分な御理解をいただきながら計画的に進めていく必要があると考えております。
 次に、性に関する授業の仕方についてですが、性に関する指導については、ただいま申し上げましたように、男女の人格尊重や正しい異性観、豊かな人間性などの育成を目的に行っているものであり、文部科学省の指導により、男女が同じ場で指導することが望ましいとされております。また、指導する内容によっては、同一の場で指導することが児童生徒の抵抗感を生む場合もあり、男女を分けて、それぞれの集団に対して指導を行うことも必要であるとされておりますことから、それぞれの学校において、児童生徒の反応や感想、保護者の意見をしっかり把握しながら、児童生徒の発達段階に応じて、学校が必要と認めた場合には男女を分けて指導を行うことも必要であると考えております。
 次に、性に関する指導の連携についてですが、学校における性に関する指導は、道徳の時間のみならず、各教科、特別活動など学校教育活動全体を通じて適切に行う必要があることから、当教育委員会としても、学校教育課とスポーツ健康課の連携はもとよりのこと、教育委員会全体で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、教科書採択についてですが、まず、採択に至る経緯を申し上げますと、市町村立学校で使用する教科書の採択権限は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定に基づき、市町村教育委員会にあります。また、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律では、自然的、経済的、文化的条件などが同じ地域は同一の教科書を使用することが適当であるとされておりますことから、本県においては、10の教科用図書採択地区を設定しているところです。この採択地区内の各市町村教育委員会は、同地区内で使用する教科書の採択について協議するため、地区教科用図書採択協議会を設置しております。県教育委員会は、各地区教科用図書採択協議会における教科書採択の協議の参考に供するため、有識者で構成する教科用図書選定審議会を設置し、教科書の採択基準や選定資料を作成し、各市町村教育委員会に送付しております。各地区教科用図書採択協議会においては、有識者から成る選定委員会を設置するとともに、専門的知識を有する者を調査員に委嘱し、その調査員が作成した選定資料と県から送付された資料を参考にしながら、その地区において採択する教科書について協議しています。各市町村教育委員会は、地区教科用図書採択協議会の協議結果に基づいて、当該市町村立学校で使用する教科書を決定しているところです。
 次に、教科書の選定に当たっては、地区教科用図書採択協議会の調査員が、各教科ごとにすべての教科書について、学習指導要領に定めている各教科の目標に照らして、教科書が生徒にとってわかりやすい表現になっているか、基礎的・基本的な内容がしっかりと身につくような工夫がなされているかなどについて調査しております。各地区教科用図書採択協議会の選定委員会は、この調査員が作成した資料と各教科書を照らし合わせながら、どのような教科書が子供たちにとってふさわしいか協議しているところです。
 次に、各教科ごとの教科書をこれまで以上にしっかりと比較検討するためには、教科ごとに選定委員を委嘱することも一つの方法として考えられますが、このことについては、各市町村教育委員会及び各地区教科用図書採択協議会においてそれぞれ判断すべきものと考えております。
 また、各地区教科用図書採択協議会の選定委員にはすべての教科書に目を通していただくことが大切であり、各市町村教育委員会及び各地区教科用図書採択協議会において適切に判断していただきたいと考えております。

〇7番(平野ユキ子君) 再質問させていただきます。
 医師不足の対策としての女性医師優遇政策の提言についてですが、さすが女性に優しい医療局長からなかなか前向きの御答弁をいただいたなと思って心強く感じているところですが、本当に医師不足の地域の方にもっと大々的にキャンペーンを張ってお医者さんを呼んでほしいなというのが実は私の本当の気持ちなんです。例えば、本論で申し上げましたけれども、ホームページで、地域ぐるみで応援しますあなたの子育てとか、24時間応援しますとか子育てのベテランがそろっていますとか、その地域の年配の方も生きがいが持てるし、それから、実は女性医師の場合は配偶者を連れてくると、その配偶者がお医者さんである可能性も大きいものですから、そうすると、1人じゃなくて2人、お医者さんが来ると。そこでお子さんを産んでいただけば、人口増加にもなると。そして岩手の食材は安心安全ですから、自然に恵まれて環境はいいし、食べ物はいいし、水も空気もおいしいしで、人柄はとてもいいですし、そういうことで、来たら、土地の魅力でそこにいてもらうように頑張るというふうにすれば言うことなしなんですけれども、これをもっと県としてバックアップできないものでしょうか。
 先ほど申し上げましたけれども、保育に関するNPO立ち上げとか、保育料に補助を支給するとかいうような援助というのも整備したいものですけれども、保育料などは、保育してもらっている間は、女医さんが働いている部分から出てくるのではないかと思うんですけれども、給与と補助の管轄は違うかもしれませんけれども、県全体にとってみれば同じことになるので、その辺は柔軟に対応していただきたいんですが、こういうNPOへ県がバックアップするなど、ぜひ検討いただきたいところですが、男女共同参画社会に対して非常に御理解のある増田知事としては、御見解はいかがでしょうか。
 それ1点と、それからDPCなんですけれども、先ほど医療局長の方からICD10コーディングの話がございましたけれども、ICD10だけでは、幾ら頑張ってもDPCに導入することはできないんですね。先ほど言いましたが、電子カルテがないとまた手作業に頼らざるを得ないわけなんです。本当に大変なところは、診療情報のカルテ情報なので、私自身も、こんなふうに電子カルテ化が早く進むことになると実は思っていませんでした。昨年IT化のことを言いましたときに、もう目の前に迫っているというのはちょっとわからなかったんですね。これ平成18年から導入されますので、そして試行的に始まっているとおっしゃいましたが、流れとしてはこれ導入されることは確実です。厚生労働省は医療費の削減の方向として、ふえ過ぎた病床数の削減を医療制度改革に打ち出しているわけなんです。それを最初に老人医療の方に持ち出して、老人医療については既に包括評価による支払い制度を導入して、急性期の治療と、慢性期の療養の二分化が進んで、120万床あった病床数が、今90万床に減っています。これをさらに60万床に減らす計画でいるんですね。DPC導入の目的というのは、この方向性をさらに推し進めている形なんです。急性期治療の病床数を減らす方法でDPCを導入するわけです。ところが、DPCに参入するためには、まず急性期病院にならなければならなくて、中央病院は急性期加算を既にとっております。急性期加算に入っているんですけれども、中央病院、急性期加算に入っただけで1億5、000万も点数が入っているんですね。急性期加算に入る、急性期加算を受けることのできる病院は中央病院だけではないと思いますが、こういう指導を医療局の方ではなさっているのかなという、そういうところもありますので、ちょっとお伺いします。
 急性期加算を受けることのできる病院はどれくらいと推定できますか。DPCに入るためには、急性期加算の条件を満たすことなんですけれども、それは30・17と言いまして紹介率30%、17というのは平均在院日数17日以内という、この数字を満たすことなんですが、岩手県では急性期加算を受けることができる病院はどれくらいあるでしょうか。
 それが1点と、それから2点目は、診療情報管理士のことなんですけれども、DPCに参入するために必須の人材ということで先ほど2名中央病院に――これは採用の予定だったんでしょうか……。それは本当にありがとうございます。DPCを導入するためには、この診療情報管理士というのは必須で、他県から引き抜かれたらもう終わりという状況ですので、それはよかったと思います。
 DPCとか急性期加算が大事なのは、来年、平成18年度には医療法改正そして診療報酬改定がありまして、出来高払いの診療報酬は頭打ちになるということのほかに、県立病院改革プランというのをことしの2月出していらっしゃいますよね。その県立病院改革プランの経常収支試案によりますと、内部留保資金の年度末残高は平成18年度には枯渇して、資金繰りには重大な影響が出ると予想されるということが書いてありました。ですから、第5次医療改正と報酬改定がある来年度から、非常に厳しい状況になってくるということが予想されますので、少なくとも急性期加算――急性期加算をとっていないとDPCに参入できないので、それに取り組んでいただきたいんですが、いかがでしょうか。これをお聞きしたいと思います。
 それからもう一点は、大連の事務所についてですけれども、これも非常に前向きな御回答をいただきましてありがとうございます。
 私のところに、大連に行けなかった人たちから実は非常に問い合わせが結構来まして、大連の方の経済交流について興味を持って食指を動かしている人がいるのだなという動きを感じているんですけれども、そういうような動きは県の方でありますでしょうか。今までシンガポールとかソウルとかに事務所を出しているのですが、今回大連、3回目なんですけれども、何か問い合わせとかあるいは県内各所で反響があるでしょうか、これをお伺いしたいと思います。

〇知事(増田寛也君) お答え申し上げますが、今後、女性医師の数というのは増加が予想されるわけでありますので、そうした皆さん方が働きやすい職場であるという、そういう面で、医療局を中心に県全体で努力していくことが大変大切なことだというふうに思います。
 どうしても医師の皆さん方、夜間の勤務が当然必要になってくるわけでありますから、前、私もそういった皆さん方のお話を聞く機会がございましたけれども、例えば夜間でも臨時のベビーシッターが必要になるとか、そういったこともございますので、そうした面での対応を整えるといったようなことが大変重要ではないかと、私も今お話をお伺いしておりまして思いました。そういう面で、先ほどNPOのお話ございましたけれども、それも含めて、県として今後検討していきたいと思いますが、1点だけ保育料への補助がございましたが、これはちょっと難しいなというふうに私聞いておりまして思ったんですが、かなりの数の女性の看護師さん方がおられまして、やはりその皆さん方との均衡がございますので、現実に県立病院に働く大勢の看護師さん方全体に対して、こうした政策を今とれるだけの財政状況がございませんから、それと考え合わせると、恐らく女性医師の皆さん方も経済的な面ではかなり対応は充足されているのではないかというふうに思いますので、いわばソフト面での充実ということを中心にして、この女性の医師の皆さん方への働きかけを強化したり、それから今申し上げました働きやすい職場づくりに、今後、知恵を絞っていきたいというふうに考えております。

〇医療局長(法貴敬君) 医療技術の進歩によりまして平均在院日数が年々減ってきてはおりますけれども、先ほど申し上げました平均在院日数17日未満あるいは紹介率30%を超えるという、急性期症状の対応病院としては、今のところ中央病院だけだということに考えています。
 それから、DPCそのものは非常に将来的にはそういうことになるんだろうということですが、脳神経外科なんかについてはDPCに移行した後に、ここは出来高払いに変更しようとか、いろいろDPCそのものも今揺れ動いている状況ですので、DPCの制度そのものの中身も詰めていかなければならないものだと考えています。
 いずれにしても、年々在院日数等が減ってきておりますので、急性期症状の対応病院になれるものについては、施設基準に照らし合わせまして、きめ細やかに対応していきたいと考えています。

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 大連事務所に関する最近の県内の企業の動きということでございますが、既にお酒あるいは水産加工品を製造する企業が、大連の事務所を活用して今後取引をしたいというようなことで、大連事務所がその仲介に入って労をとっている事例が既に数社ございます。それからまた、観光面では、いずれチャーターの今年度第2便を運航してほしいというふうな要望も出てきております。それから、岩手県中小企業団体中央会、これは県内のいろんな業種の組合の団体でございますが、中央会が10月ごろに訪中をして、業界の方々が中国に行っていろいろ勉強したいというふうな、そういった具体的な動きが出てきているところでございます。

〇7番(平野ユキ子君) 急性期加算のことなんですけれども、県の基幹病院と言われているところですね、胆沢とか磐井病院、それから大船渡、釜石、宮古、久慈、花巻厚生、北上など、二戸は周りに開業医とかほかの病院というのがちょっと少ないかなと思いますので、ここは結構難しいかなと思うんですけれども、今申し上げたところは地元の病院あるいは医院との連携をとれば、急性期加算はとれるのではないかと思います。紹介率も結局地域の医療との連携を高めれば、逆紹介と言って、基幹病院から地元の病院に紹介する、急性期の治療が終わって療養期に入ったら地元の病院に入ってもらうという。そしてまた、その地元の病院から大変な治療を、本当に高度な医療を必要とするところは基幹病院に紹介してもらうという形にすれば、30%という紹介率はクリアできるのではないかと思いますし、そうすると、平均在院日数17日以下というのはクリアできるのではないかと思います。そうすれば、急性期加算というのは、その基幹病院をとれれば急性期加算というのが入ってきますし、そういう形であればすぐDPCとしてのデータを集積しておけば入れると。もしDPCが導入されたときには入れるという状況になりますので、その辺のところをもう少し御指導、あるいは今から準備しておいていただければと思います。

〇医療局長(法貴敬君) 議員おっしゃられますように、急性期加算がとれるような病院になるには、非常に地域内の病診連携とか逆紹介とか紹介率、地域の医療機関との連携を密にしないとできないということもありますので、いずれ、そういう状況を将来的なDPCの状況などを見きわめながら、診療収入が上がるということは病院の経営改善にもつながりますので、そういうものを見きわめながら進めてまいりたいと考えています。

〇議長(伊藤勢至君) 次に、工藤勝子さん。
   〔11番工藤勝子君登壇〕(拍手)


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