平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(ザ・グレート・サスケ君) 民主・県民会議のザ・グレート・サスケです。
 一般質問の機会をいただき、皆様に心から感謝を申し上げます。
 それでは、順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、自殺率に関してお尋ねいたします。
 平成15年の本県の自殺率は、秋田、青森に次いで全国第3位です。国全体の年間自殺者数は、厚生労働省の人口動態調査によれば、平成10年に3万人を超えて以来ほぼ同水準で推移しており、16年は3万227人になりました。過去最高の3万2、109人となった平成15年は、同じ年の交通事故の24時間以内の死者数7、702人の約4倍に当たり、人口10万人当たりの自殺率は25.5となっており、欧米先進国と比較すると世界一の自殺率となっています。さらに範囲を広げた国際比較では、リトアニア、ロシア、ウクライナ、ハンガリーなどに次ぐ世界第10位の自殺率の高さとなっています。このように、国内の混乱が続く体制移行国に次いで高い自殺率であることは、日本の自殺率はやはり異常な値であると言わざるを得ません。日本の自殺率の高さについては、WHO精神保健部ホセ・ベルトロテ博士は、日本では、自殺が文化の一部になっているように見える。直接の原因は、過労や失業、倒産、いじめなどだが、自殺によって自身の名誉を守る、責任をとるといった倫理規範として自殺がとらえられている。これは、他のアジア諸国やキューバでも見られる傾向だと分析しました。
 特に中高年男性の自殺が平成10年に急増したまま現在まで推移しており、懸念されます。自殺は、本人の問題だけではなく、家族や周囲の者に大きな悲しみや困難をもたらし、特に働き盛りの世代の自殺者数の増加は、社会全体にとっても大きな損失になります。このような自殺率の高さをどのように認識しているでしょうか。本県においてはそれなりの効果が出ているという地域介入と呼ばれる自殺予防策の現状を、そして、今後の新たな予防策がございましたらあわせてお尋ねいたします。
 また、厚生労働省の研究班がうつによる自殺未遂者の再発防止研究を提案しているように、自殺とうつ病との関連が指摘されているところですが、昨年末、アメリカの報道専門チャンネルCNNが、アメリカのうつ病患者に処方されるイーライ・リリー社製の坑うつ剤プロザックという薬が、実はうつを治すどころか、逆に拍車をかけて自殺に追い込んでしまうことが判明して大問題になっていると大々的に報道していました。副作用として、恐怖感、自殺衝動、躁病、暴力行為の誘発が確認され、廃人になる危険性があります。ちなみに、インディアナ州に本社があるこのイーライ・リリー社は、ADHD児に処方する新薬塩酸アトモキセチンをおととしに発売し、神戸にあるその日本法人では、現在、インターネット等で広く日本人患者に治験、つまり厚労省に薬として認めてもらうために安全性や有効性の評価をするための人体実験の希望者を広く募っています。幸いこの日本法人ではまだプロザックを扱っていないようですが、個人輸入代行業者からは、インターネット等を通じて容易に購入できる状態にあります。また、このイーライ・リリー社の元副社長は前アメリカ行政管理予算局局長ミッチ・ダニエルズ氏であり、また、この日本法人の平成16年度の総売り上げが対前年比13.7%増の682億1、000万円で、10年後には2、400億円の売上目標を立て、日本市場でのシェアの拡大をもくろんでいることから、遅かれ早かれ日本にも上陸するのは間違いないと思われます。既に似たような薬が流通されているかもしれません。
 そこでお尋ねいたします。うつ病患者に処方されている薬をどのように認識しているでしょうか。県民の命にかかわる大事な問題ですので、明確な答弁をお願いいたします。
 次に、住民基本台帳ネットワークシステムについてお尋ねいたします。
 牛が10けたの数字で管理されるように、人間が11けたの国民総背番号制で管理されるこのシステムは、1次稼動以前から反対の声が多数あったにもかかわらず、また、長野県や杉並区のように、住民を守るために首長みずからが反対の声を上げている自治体があるにもかかわらず、増田知事の、まずスタートだという高らかな宣言のもとに県内全市町村が一斉に稼動させ、ついには2次稼動に至ってしまいました。先日は、アメリカ大手クレジットカード会社が会員情報を流出してしまい、日本国内の会員にも相当額の被害が出て情報管理の甘さを露呈してしまいました。住基ネットもいずれは似たような事態を招いてしまうことは容易に想像がつきます。近い将来には、県民のプライバシーが赤裸々に暴かれて、世界じゅうからのぞかれ、悪用されることになるでしょう。
 この国民総背番号制は、社会保障番号制度と納税者番号制度へとステップアップしていきます。社会保障番号制度は、現在、施行されている基礎年金番号に健康状態や医療・介護情報を集約させ、財団法人医療情報システム開発センターに一元管理させます。そして現行の住基ネットは、税金徴収のために、預貯金の口座番号、各種保険、クレジットカード情報などを抱き合わせて納税者番号制度として一本化させます。つまり、いきなり大蔵省や国税庁の名前で納税者番号制度を導入すると、かつてのグリーンカード制度のように国民の猛反対を受けて廃案になるのが目に見えているので、住基ネットでワンクッションを置いてその利便性のみを喧伝し、反対の声を封じ込めた後に満を持して納税者に通し番号をつけるのです。この納税者番号について、政府税制調査会の報告書の中には、税務以外での行政分野での利用及び民間での自発的利用とはっきりと明記されています。
 先日、5月30日に金沢地裁の井戸謙一裁判長は、石川県民28人が住基ネットの個人情報の削除と国などに損害賠償を求めた訴訟で、県は、国などに対し原告らの本人確認情報を提供してはならず、住基ネットの磁気ディスクから削除せよ。プライバシーを優先する原告らに限り、住基ネットに関する法律の各条文は憲法13条に違反するなどと判決を出しました。
 そこで今回もお尋ねいたします。それでも住基ネットの運用を続けますか。また、金沢地裁の違憲判決をどのように感じられていますでしょうか。
 次に、スポーツ、芸術、文化振興についてお尋ねいたします。
 東北楽天イーグルスが宮城県を本拠地に活動を開始しましたが、サッカーにもラグビーにも一切支援しないはずの県が、この野球というスポーツには異常とも思える支援策を打ち出しています。それは、青少年のための無料招待席を設ける場合に、その招待券発行枚数相当額を県営野球場使用料から減免する、つまり使用料を実質無料にするということです。違和感を覚えたのは私だけでしょうか。使用料減免というやり方は、たとえ後発のチームとはいえ、天下のプロ野球団に対する支援の仕方ではないと思います。昨年9月に楽天三木谷社長が増田知事を表敬訪問した際に、知事は、定員の2万5、000人があふれる盛り上がりを期待するとおっしゃいました。その言葉どおり、全席有料にしても確実に満員が見込まれていて収入を確保する絶好のチャンスなのに、みずからそれを放棄しているのです。欽ちゃん球団にただで貸すのならまだわかりますが、取れるところから取らないという考え方が全く理解できません。しかも、楽天は他県のチームです。使用料減免のような支援策は、メジャー、マイナーを問わず、地元岩手で頑張るチームにこそしてあげるべきです。3年ほど前に、地元岩手のあるプロスポーツチームが教育委員会にわざわざ出向いて県営体育施設の使用料減免をお願いしたところ、地元チームであっても、減免は議会の承認が必要だから難しいとけんもほろろの応対だったそうです。
 盛岡にある橋本美術館が取り壊しの憂き目に遭おうとしているときに、そのピンチを救ったのは、盛岡在住の韓国人で世界的に高名な漆の芸術家チョン・ヨンボク氏です。日本の財産であるこの美術館は私が守ると、自腹で改修工事をし、岩山漆芸美術館を開館させました。公的な金銭支援は一切受けずにです。そして、先日、私がチョン氏に面会している最中に、彼のもとに偶然韓国から国際電話がかかってきました。来る11月中旬に韓国釜山にて開催される第17回APEC閣僚会議、第13回APEC首脳会議のオフィシャルアーティストにチョン氏が選ばれ、現在、美術館に展示してある作品群をAPECの晴れ舞台に飾ることが内定したそうです。今までの苦労が報われた喜びを私も分かち合いました。
 歌手の千昌夫と俳優の村上弘明のふるさとであることをうたった看板を今ごろになって設置したところもあるようですが、この2人を見るまでもなく、岩手は、スポーツ、芸術、文化においてすぐれた人材を輩出し続けている県です。そのすぐれた人材は、地元に魅力を見出せず、県外へ、世界へと巣立っていってしまいます。そして、成功したほとんどのセレブリティーたちは、岩手出身という事実をひた隠しにして活動しています。もし無名のころから温かく見守ってさえいれば、有名になったときに地元岩手のために恩返しをしてくれるでしょう。岩手出身のセレブリティーたちにいま一度お願いし、地元岩手のために観光振興のイメージキャラクターなどに就任していただくようお願いしてみてはいかがでしょうか。三顧の礼をもってすれば相手にしてくれるはずです。
 また、スポーツ、芸術、文化を目指す若者への育成や支援の現状はどのようになっているのでしょうか。
 次に、日本国憲法第9条についてお尋ねいたします。
 先ごろ衆参両院の憲法調査会の最終報告書が作成されました。憲法についての国民的議論がますます高まっているところです。現行の憲法は、連合軍に押しつけられたものであることは否めません。しかし、当時、マッカーサーに対して昭和天皇は戦争放棄を明言し、その天皇の崇高な姿勢にマッカーサーは感銘を受け、神を見たと後に述懐しました。まさに憲法9条は、皇室の祖神、天照大神からの神託なのであります。
 自衛隊イラク派遣以前の日本は、アラブ諸国民から、戦争をしないすばらしい国と憲法9条を絶賛されていました。それが現在はどうでしょう。かつての戦争の加害者であり被害者でもある日本が平和憲法を死守し、その精神を世界に広めることこそが、無念のうちに命を落とした同胞と相手国の方々のみたまに報いることになるのではないでしょうか。
 そこで、岩手のリーダーとして知事にお尋ねいたします。改憲は是か非かどちらでしょうか。そして、本県にも自衛隊が駐屯していますが、憲法9条と自衛隊の整合性はどのようにお考えでしょうか。
 次に、対中国関係についてお尋ねいたします。
 先ごろ、中国の主要都市において過激な反日デモがありました。先月下旬に、岩手に本拠地を置いていた、世界的に有名な、タイツ姿で闘うプロ格闘技チームが瀋陽での大会に出場することになっていたのですが、反日暴動によるさまざまな影響を考慮し、出場延期を余儀なくされたそうです。同時期に県は、宮城県との合同事務所を大連に開設しました。開設に先立って、大連の関係者が、安全ですから御心配なくとわざわざ来県してアピールしていましたが、相当危険な滞在ではなかったのでしょうか。
 この合同事務所の開設の真意とは一体何でしょうか。開設直後から現在まで、反日感情の悪影響はありましたでしょうか。あった場合は、その対応策をお聞かせください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、中国人民元改革がなされた場合には、各国との経済格差が縮まり、投資対象として、また、安価な労働力確保の対象として従来ほどのうまみが感じられないのではないかと思うのですが、将来的な対処法は考慮されていますでしょうか。
 また、中国ではなく、インド事務所開設の方が将来性があってよかったのではないでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、アイーナについてお尋ねいたします。
 盛岡駅西口に完成しつつあるこの巨大な施設を余すところなく使ってほしいと願っているのですが、昨年私は、秋田駅に直結していて市街地空洞化対策の核として、また、市民交流の拠点としてオープンしたばかりの14階建ての巨大なビル、秋田拠点センターアルヴェを視察しました。このアルヴェは、半分を民営にして、ホテル、福祉施設、レストラン、シネコン、賃貸オフィスを設置し、公営部分は、市民サービスセンターや多目的ホール、科学学習館等を設置していました。その公営部分の中で私が最も目を奪われたのは、子ども未来センターというスペースです。子育て・子育ち支援の場であるのですが、ほとんどのスペースを遊びの場に割いて、大きな児童館の様相を呈していました。また、相談機能も、子育てだけでなく、家族相談、DV、家庭教育相談などを充実させていました。また、育児サークル等にも場所を提供し、子育てのすばらしさを実感できるような施設を目指しているとのことでした。私が視察したときは、日曜日ということもあり、大部分を占めている遊びの場は親子連れで満杯で、子供たちのうれしそうな声でにぎやかでした。相談ではなく、ただ遊びにくるだけの親子がほとんどでした。常々都市部の親御さんたちがおっしゃる遊び場がないという不満も見事に解消していました。アイーナにも6階フロアに子育てサポートセンターを置くようですが、図面を見る限りでは本当に相談窓口しかないようです。ここはアルヴェを見習って、広く遊び場のスペースを、例えて言うなら県立児童館いわて子どもの森の縮小版のようなものを設置してみてはいかがでしょうか。その可能性についてお尋ねいたします。
 次に、いわて花巻空港と観光振興についてお尋ねいたします。
 香港国際空港に現在建設中の商業ビル内に、利用客を引きつけるためにと、伝説のスターであるブルース・リーの記念館が開設されるそうです。観光振興にも直結するすばらしい空港活性化策だと思いますが、いわて花巻空港の新ターミナルビルに地元出身スターの記念館を設置してみてはいかがでしょうか。また、定期便のある大阪、名古屋、札幌などの食と文化が楽しめるようなテナントを開設するのはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、ガードレールのなぞの金属片についてお尋ねいたします。
 県内の発生件数はいかがだったでしょうか。また、県独自の原因究明は行ったのでしょうか。
 先日21日に国土交通省の調査委員会は、すべてが自動車の接触事故によるものであるとほぼ断定しました。最終的な結論は来月出るそうですが、私は納得できません。ほとんどのガードレールのつなぎ目の構造上、車が接触するためには、対向車線にはみ出して進行方向右側からぶつからなければならないからです。宮城県警は、人為的につけられたもので、道交法違反で調べているとコメントしました。事故だけで説明がつくのでしょうか。新興宗教やアート集団の犯行の可能性は考えられないでしょうか、お尋ねいたします。
 最後に、未確認飛行物体についてお尋ねいたします。
 先日3月10日、第162回国会の参議院総務委員会において、民主党山根隆治参議院議員が麻生太郎総務大臣に突然未確認飛行物体について質問しました。麻生大臣は、自身の母親が見たことがあると答弁し、山根議員は、国民の安全と防衛上の問題から無関心ではいられないということや、アメリカでは60年も前から国家として情報収集・分析に当たっていることなどを質問すると、麻生大臣は、日米の認識の違いや地球外知的生命体の存在の可能性、また、防衛庁の認識はわからないが、総務省としては何も対策を講じていないこと、そして、ある日突然目の前にそのような物体があらわれる可能性を常に考える必要性などを答弁しました。このたびの山根議員の突然の発言は、防衛庁の何らかの記録、例えば、昨年10月23日、奈良県天理市上空で起きた日航旅客機と未確認飛行物体とのニアミス事件に基づく緊急の議論であった可能性もあります。
 未確認飛行物体は、古代から現在に至るまで世界じゅうで目撃されていましたが、ほとんどの国が国防上の理由からか、公の場で議論されることがタブー視されてきました。しかし、昨年3月5日にメキシコ空軍が未確認飛行物体と遭遇した事件を受けて、事態を重く見たメキシコ国防長官がその2カ月後に全世界に向けて事件を公表したときから、今後は、この問題を公的レベルで真剣に検討していく土壌ができ上がりました。
 未確認飛行物体は、岩手も無縁ではありません。私自身が昭和63年に盛岡市上空で、平成7年に川崎村上空で目撃したように、かなりの数の県民が目撃しています。特に、岩手山や南昌山付近での目撃例が多いようです。平成14年5月23日には、県内各地から、光る飛行物体が上空に浮かんでいるとの情報が関係機関に寄せられました。盛岡地方気象台は、直後に飛行物体を確認。職員が双眼鏡で観察したところ、物体は、気球のようなもので無色透明。上空は弱い西寄りの風が吹いていましたが、動きは余りなく、花巻市のやや南上空に浮かんでいたとのことです。光って見えたのは西日に照らされたためでした。気象庁は、高層気象観測用の気球を毎日4回、仙台市と秋田市から打ち上げています。しかし、盛岡地方気象台によると、観測用の気球は白色のゴム製で、透明ななぞの物体とは別、大船渡市三陸町の宇宙科学研究所が上げた気球でもないことが判明しました。陸上自衛隊岩手駐屯地によると、自衛隊ヘリが夜間飛行訓練中になぞの物体を確認。ただし、飛行高度よりも高い位置で、物体が何であるかはわからなかったそうです。気象台を初め、いわて花巻空港、県警などが目撃者からの問い合わせに追われましたが、物体は正体不明のまま夜の闇に消えました。
 このように、未確認飛行物体は、本県においても情報収集、分析が必要と思われますが、現時点でどのように認識していますでしょうか。また、目撃情報はどの程度寄せられているのでしょうか。不測の事態に備えての対処法は考えていますでしょうかお尋ねいたします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) ザ・グレート・サスケ議員の御質問にお答え申し上げます。
 日本国憲法の関係についてのお尋ねでございます。
 憲法の基本原則とされる国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則は、人類普遍の原理として守り続けるべきものでございまして、特に、この中で憲法第9条は、平和主義を具現した極めて重要な規定である、このように私は認識しております。
 平和は人類普遍の願いでございまして、21世紀の国際平和というものは、全地球的な立場からの国際協調を基本理念とすることで成り立つものでございまして、今後も我が国には、過去の貴重な、そして悲惨な経験を生かして、全地球、全人類のために積極的に国際協調の担い手の役割を果たしていくことが求められるもの、このように認識しております。
 4月に衆参両院の憲法調査会の最終報告書が出たところでございますが、憲法の議論、特に憲法第9条につきましては、そこでさまざまな議論が展開されております。これは国の安全保障政策上の問題でございまして、今後さらに国会などの場で各政党が責任を持って十分に議論し、まさに先ほどの憲法の三原則を尊重しながら国民的コンセンサスを形成していくべきもの、このように考えております。
 次に、第9条と自衛隊の関係、整合性についてのお尋ねでございます。
 我が国の自衛隊は、国の平和と独立を守って、国の安全を保つために、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務として、本県にも陸上自衛隊が駐屯し、警備・災害派遣や危険物の処理、行事支援などの民生協力などにも従事しているところでございます。
 私は、こうした自衛隊は、現行憲法第9条の中で認められているもの、このように理解しているものでございますが、政府も以前からこの憲法第9条は、自衛のため必要最小限度の武力行使とそれに見合う必要最小限度の実力を保持することは禁止されていない、このような見解を示しております。先ほど申し上げました衆参両院の憲法調査会の最終報告書の中で、この憲法と自衛隊のあり方についてさまざまな意見があることが示されたところでありますので、この件についても、今後一層国会などの場で政府や各政党が責任を持って国民的コンセンサスを形成していくべきもの、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 自殺率についてお答えいたします。
 厚生労働省人口動態調査によりますと、平成16年の本県の人口10万人当たりの自殺による死亡率は、全国の24.0に対しまして34.6となっており、秋田、青森に続いて全国第3位で、先ほど議員からお話がありました15年と同様に、近年高い水準で推移しているところでございます。こうしたことから、本県にとって、極めて深刻な社会問題の一つであると認識をしております。
 こうした自殺の予防対策についてでございますが、平成13年度に策定いたしました健康いわて21プランを基本といたしまして、主に次のような取り組みを進めているところでございます。
 まず、北海道、北東北3県によりますきたの国健康づくり推進会議に自殺予防部会を設けまして、4道県の共同の取り組みとして、自殺とうつの関係が高いことから、一般県民向けのうつ対策啓発リーフレットの作成でありますとか、市町村保健師等が活用できる、うつ啓発用教材の作成を行っているところでございます。
 また、久慈地域を地域介入の一つのモデルといたしまして、平成12年度から岩手医科大学と久慈保健所の共同の取り組みといたしまして、自殺予防に向けての啓発活動、関係機関や関係者の連携体制の整備のあり方、こころの健康づくり教室やうつスクリーニングの実施などを行っているところでございます。これらの成果を生かしながら、他地域においても、自殺予防の取り組みを広げてまいりたいと考えております。しかしながら、自殺の予防につきましては、短期間に成果があらわれる即効的な方策はないと言われておりまして、先ほど議員からもお話がありました国による研究の動向でありますとか、それから他県の先導的な取り組みにも学びつつ、関係機関と連携しながら、自殺予防につながる地道な取り組みを着実に積み重ねてまいりたいと考えております。
 次に、うつ病の治療薬に関してでございますが、我が国ではうつ治療薬を含めまして、厚生労働省が承認している薬品のみが医師の管理のもと、患者の状態に応じた慎重な投与がなされているところでございます。プロザックとは異なりますが、作用機序が類似しているうつ治療薬といたしましては、3種類が承認薬となっておりまして、これらについて緊急安全情報、いわゆるドクターレター等の重篤な副作用情報は出ていないところでございます。
 県としては、これまでも医薬品情報の収集と医療機関等への情報の提供に努めてまいりましたが、今後とも県民の命と健康を守るという観点から、医薬品の安全性の確保を図るための取り組みを続けることとしております。
 次に、アイーナに設置予定の子育てサポートセンターについてでございますが、このセンターの主な機能といたしましては、子育てに関する情報提供でありますとか、相談、研修、さらには地域子育て支援センターや子育てサークル等のネットワーク化を図るための機能などを持たせることとしております。ただ、こういった機能だけではなくて、内部レイアウトとして、ゆったりと子供と過ごしていただくための遊びの空間、具体的には子育てサポートルームでありますとか、先ほどお話がございましたプレールームといったものや、乳幼児のための休憩室を設けておりまして、子育てサークル等の活動・交流の場として、同じ6階フロア内の世代間交流室、相談室もあわせて、幅広く活用していただけるのではないかと考えております。
 この施設の運営に当たりましては、本県における子供の健全育成の推進や子育て支援体制の充実のため、子供の視点、親の視点を大切にするとともに、いわて子どもの森との連携にも十分配慮しつつ、県民に広く活用される施設となるよう、整備することとしております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 住民基本台帳ネットワークシステム、いわゆる住基ネットについてでございます。
 住基ネットにおきましては、本人確認の情報の内容が、議員からお話ありますように4情報、氏名、住所、性別、生年月日の四つに限定されております。それで、本人確認情報の提供を受ける行政機関と、及び対象となる事務も法令に明記された機関及び事務に限定されておりまして、これまでも不適正な情報の利用といった事例はございません。
 また、維持管理におけるセキュリティー対策についてでございますけれども、関係職員に守秘義務を課すなど制度面からの対策、それから、専用回線でネットワークを構築するなど技術面からの対策、それから、セキュリティー規定を整備するなど運用面からの対策により、十分な対策が施されておりまして、情報漏えい、不正侵入の事例もございません。こうしたことから、住基ネットは住民のプライバシーを侵害するものではないと考えておりまして、今後も適正に運用してまいりたいと考えております。
 それから、5月30日の金沢地裁の判決につきましては、このような観点から、容易に納得できるものとは考えておりません。納得できないものと考えております。
 なお、金沢地裁の判決につきましては、石川県等が控訴したところでございまして、今後、上級審で審理されることとなっております。また、その直後に判決のあった名古屋地裁におきましては、逆に住基ネットは合憲である旨の判決がなされているところでございます。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、岩手県出身のセレブリティーにお願いして、観光イメージキャラクターに就任していただいてはどうかというお話でございますが、他県の例で、これが議員おっしゃるセレブリティーなのかどうかわかりませんが、例えば神奈川県ではプロゴルファーの福嶋晃子さんが、かながわ観光親善大使ということになってございます。それから、石川県では嵯峨百合子さんという方、2004年度ミス日本グランプリなそうですが、いずれ、こうした方を観光の大使とかそういう形で、イメージキャラクターということでお願いをしまして取り組んでいる例もあるわけでございます。したがいまして、岩手県としても、本県の観光振興を図る上で効果的と考えられるさまざまな手法があるわけでございますが、その中で、御提案につきまして、一つの選択肢として今後考えさせていただきたいと思います。
 次に、大連経済・交流観光ミッションは相当危険な滞在ではなかったか。この合同事務所開設の真意とは一体何かというお尋ねでございます。
 大連経済事務所の開所式に合わせまして、経済交流・観光ミッションを派遣したわけでございますが、ミッション派遣に際しましては、事前に事務所等を通じまして現地情報を確認し、旅行先と緊密な連絡体制をとりながら実施をしたわけでございます。それから、現地におきましては、アカシア祭りの開幕式等の際に、大連政府の方で適切な警備体制がとられてございまして、それぞれの訪問先では極めて友好的でございまして、滞在中危険なことはなく、予定どおり終了したというところでございます。
 また、開設の真意ということでありますが、この事務所は中国が開放化政策の進展によりまして、経済発展が著しい、市場性が一層高まるということが期待されておりますし、また、観光面では、団体観光旅行のビザ発給地域の拡大によりまして、観光の面でも有力な市場となりつつあるということで、この効果を本県の経済あるいは企業の活性化につなげるということのほか、大学を中心としたさまざまな分野における技術交流など、各種交流を推進するために開設をしたというものでございます。
 次に、開設直後から現在まで反日感情の影響があったのか、あった場合はその対応策はいかがかというお尋ねでございますが、まず、反日感情の影響についてでありますが、大連は政府機関あるいは民間企業も総じて親日的でございます。中国国内でも有数の日本語教育が盛んな地域で、日本への関心も高いということで知られてございます。中国各地で反日デモが起きた際も、大連ではそのようなデモは起こっておらず、現在までのところ、本県関係の進出企業に聞き取りをいたしておりますが、その結果では、現時点では反日感情の影響は特にないということでございます。
 今後につきましては、いずれ、日常的に中国国内の社会情勢等の早期の情報収集に努めたいと考えてございますが、ジェトロが、日本貿易振興会が、6月7日に日本企業100社を対象に緊急のアンケート調査を実施してございますが、この調査結果によりますと、反日デモの影響ありが45社、なしが55社というような数字が出ておりまして、かなり近い数字ではございますけれども、いずれ大連事務所の機能等を生かしながら情報収集をして、的確な県内企業への情報の提供を行いながら、企業の安全確保、リスクの回避を図ってまいりたいと考えております。
 それから、次に人民元の切り上げに関するお尋ねでございますが、切り上げにつきましては、年内にも実施されるのではないかという観測がございますが、この影響につきましては、切り上げ幅の大きさあるいは輸出の際のドル建て、円建て、そういったことで大きく変わってくるものと考えてございます。現段階で、本県企業にどのような効果、プラスマイナスあると思いますが、もたらす効果は予測しがたいというところでございますが、これにつきましても読売新聞が6月に調査をした結果がございますが、日本の主要企業のアンケート調査によりますと、人民元の切り上げによる企業業績への影響というのはほとんどないが47%、ある程度影響ありが35%、不明が10%でございまして、これも結構近い数字でプラスマイナスがあるということでございます。
 いずれ、人民元の切り上げなどによる県内企業の取引リスクを回避するため、今後とも金融機関、ジェトロなど、関係機関と連携しながら、中国との取引に係るセミナーなどを開催しながら、県内企業に適切な情報提供、アドバイスをしてまいりたいと考えております。
 それから、次に海外事務所の設置は中国でなくインドの方が将来性があってよかったのではないかというお尋ねでございますが、中国とインドと、例えばGDPとか現在の経済成長率、それから対日の輸出入額とか進出日本企業の数等、そういったものを比較いたしますと、やはり中国の方がインドに比べて圧倒的に優位という数字が出てございます。それから観光面におきましても、訪日旅行者数は中国はインドを大きく上回っておりまして、これは11.6倍という数字になってございますけれども、それから先ほど言いましたとおり、中国は今後ビザ発給地域が拡大される見込みとなってございます。したがいまして、現状では経済面でも観光面でも中国の市場性が上位にあるということで、さらに中国の市場価値は拡大していくというふうに考えてございます。
 しかしながら、インドは中国に次いで人口が多いし、また、経済成長率も高いということも確かにそのとおりでございますので、将来的には有望なマーケットとなり得る可能性も占めてございますので、シンガポール等にも事務所がございますので、それらを活用しながら、調査検討してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) いわて花巻空港と観光振興についてのお尋ねでございます。
 まず、地元出身スターの記念館設置についてでございますけれども、空港ターミナルビルの整備に当たりましては、空港ターミナルエリア全体を通じて利便性を向上させるための基本的な施設を充実すること、合理的な設計計画により建設費用の縮減を図るなど、基本的な考え方に基づき、必要最小限の設計としております。そのため、記念館を設置するスペースを確保することは困難であるというふうに考えております。
 次に、新空港ターミナルビルのテナントについてでございますが、御提案をいただきました就航先の食と文化が楽しめるテナントを含めまして、新ターミナルビルが利用者にとって魅力ある施設となり、空港の利用者の増につながるように、県といたしましても、空港ターミナルビル会社とともに検討してまいりたいと考えてございます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 未確認飛行物体についてでありますが、県として調査したことはございませんが、本県におきましては、その存在につきまして、これまで公的機関による確認がなされたことはないというふうに承知をしているところでございます。
 また、県に直接寄せられました目撃情報に関しましては、平成14年度における未確認飛行物体について、花巻空港に問い合わせがあったこと以外は、把握はしてございません。
 県といたしましては、いかなる場合におきましても、県民への危険が生じるおそれがある場合には、関係機関と連携を図りながら、迅速かつ適切に対処するものでございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) スポーツ・芸術・文化を目指す若者への育成支援についてですが、スポーツの分野においては、国内トップレベルの優秀指導者の招聘による県内指導者の養成、優秀スポーツ選手の育成・強化のための強化合宿や県外遠征に対する支援などを行っているところでございます。また、芸術・文化の分野においては、中学校及び高等学校の総合文化祭の開催、全国高等学校総合文化祭への参加の支援、外部指導者の招聘による生徒の技量向上のための講習会の実施など、学校における文化活動の活性化に努めているところでございます。さらに、岩手芸術祭において、青少年に対し創作、発表、鑑賞機会を提供するとともに、毎年すぐれた出版物、舞台公演や美術活動を検証し、創作活動を奨励しているところでございます。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) ガードレールに付着しておりました金属片についてお答えいたします。
 本年5月28日、埼玉県の市道において、ガードレールに付着していた金属片により通行中の中学生が負傷する事故が発生し、その後、福島県、埼玉県においても同様の金属片が相次いで発見されたことから、国土交通省では、国道、高速道路、都道府県及び市町村が管理する道路について緊急点検を指示し、その結果、47都道府県1、535市町村、3万7、893カ所で発見したと聞いております。県内でも、当初、事件性、事故等を危惧し、道路管理者が警察に通報するといったケースも一部ございましたが、県内でこの金属片による負傷等の事故認知はなく、事後、県土整備部や各市町村等が緊急点検を実施し、県内45市町村の712カ所で発見、いずれも除去し、通行者の安全確保を図ったと伺っております。
 また、この金属片についての見解等でございますが、議員も述べておられるとおり、現在、本件について所管する国土交通省が、防護柵への付着金属片調査委員会を立ち上げ、原因も含めて調査に当たっており、接触事故を起こした自動車の部品等の一部であるとほぼ断定した旨、さきに報道もされておりますが、最終的には7月をめどに結論を出す予定と伺っており、県警察として見解を申し述べる立場にはないものと考えております。
   

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時40分 散 会


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