平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(及川幸子君) 民主・県民会議の及川幸子でございます。
 私は、民主・県民会議を代表して、ただいま議題となっております発議案第11号年金保険料を年金支給以外の費用としないことを求める意見書案に賛成の立場から討論を行います。
 公的年金制度は、世界一とも言える超高齢化に突き進む我が国にあって、老後の暮らしを支える家計財源として極めて重要な役割が期待されているところであります。この公的年金の根幹をなすのは、言うまでもなく国民一人一人が支え合うという仕組みであり、また、それを可能にしてきたのは日本人の支え合いの精神であり、そこから生まれる信頼であります。
 しかるに昨今、この支え合い、信頼を大きく裏切る行為が続発しており、国民の公的年金に対する不信は大きくなり続けております。不信の原因は、その多くがずさんな管理体制にあることは言うまでもありません。すなわち、だれが納めたかわからないいわゆる宙に浮いた年金など、年金納付記録の不備、そして社会保険庁職員や市町村職員による保険料の横領などであります。
 これらにも増して、国民の年金不信の根底には、納めた保険料に見合う年金を受け取ることができるのかという点にあります。この点は、今後この国を担う若者の年金離れを防ぎ、国民全体で支え合う公的年金制度のシステム維持の観点で最も重要なことであります。しかし、国は、この点についても大きな裏切り行為を行ってきたことは明白です。それは、年金の給付以外に国民が納めた年金保険料を流用してきたことにほかなりません。
 年々給付金が下がる中、本来、国民生活を守るために給付レベルの維持に努める義務がありながら、本来目的以外に年金保険料を流用していることは、まことに遺憾のきわみであり、公的年金制度の根底を揺るがすものであります。具体例を挙げれば、これまで社会保険庁の職員宿舎、長官交際費、公用車、社会保険大学校のゴルフ道具、社会保険事務所のマッサージ機器、職員のミュージカル鑑賞やプロ野球観戦の福利厚生経費、さらに年金福祉還元事業としていわゆるグリーンピアの建設、施設運営費用などに年金保険料が流用されている実態が明らかになっております。
 民主党は、国会においてこの問題を追及してまいりましたが、こうした流用は、昭和27年から平成19年までに実に6兆7、800億円を超える額となっていることが、このほど明らかになりました。これだけの巨額な年金保険料が流用されたことを国民はどう見つめているのでしょうか。
 さて、第166回通常国会においては、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律により、保険料財源により行われていた福祉事業は廃止となりました。しかし、これまで特例措置とされていた年金事務費への保険料の充当が恒常的に行われることが可能となり、また、年金教育、広報、年金相談などの事業やコンピューターシステムの運用費用に保険料を財源とすることが認められることになりました。この額は今年度、年金事務費で957億円、福祉施設費では1、082億円に達します。
 いまだ国は、国会で宙に浮いた年金の問題を初めとする諸問題の解決に至らず、流用についても、その過程を十分に総括、検証して対策を打ったとは言えない状況では、この流用可能な額は、さらに膨らむ可能性があると言わざるを得ません。こうした状況を許したままで国民の年金不信は解消されるのでしょうか。そして、公的年金制度の将来的な維持は可能なのでしょうか。残念ながら、現在の法律では限界があると指摘をいたします。
 私たちは、これまでの制度の欠陥を是正し、厳格な歯どめをすることによって流用を阻止し、年金保険料は全額年金支給の財源として使用することが、国民の年金に対する不信を解消する第一の道筋だと考えております。
 安心して老後を過ごしたいと願う多くの国民の生活を第一に考え、私は、発議案第11号年金保険料を年金支給以外の費用としないことを求める意見書案に賛成いたします。議員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げまして討論を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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