平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇48番(小野寺好君) 公明党、小野寺好であります。
 発議案第11号に反対の立場で討論いたします。
 議会の総意として国会や関係行政庁に意見書を提出することは、私ども岩手県議会の重要な役割の一つであります。しかし、地方議会の意思表示としてなじまない内容についてはもちろん、全会一致とか圧倒的多数意見ではなく、異を唱える議員がかなりあるにもかかわらず、多数決によって当議会の意思であるとして意見書を提出することには賛成しかねます。
 当該意見書は、年金というすべての国民にかかわってくる内容であり、現在、国会において真剣に検討されているものです。政党の利益とか争いのためではなく、国民の利益のために決せられることを望みます。しかしながら、判断基準をめぐり与野党が対峙し、注視している国民の判断も容易ではなく、当該意見書が直ちに岩手県議会の総意であるとすることには反対いたします。
 さきの第166回通常国会において、社会保険庁を解体し、新たに年金機構を設立する法律とともに、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律が成立し、年金事務費について、全額を国庫負担とする原則を見直し、平成20年度予算から保険料財源の充当を制度化することとされました。
 かつて、年金事務費については、国の厳しい財政事情に対応して、平成10年から特別措置法や単年度ごとの公債発行の特例措置により保険料を充当してきたようであります。しかしながら、御承知のような年金福祉施設の問題などが顕在化し、国民の理解を得られるようにするため、平成17年度からは、国庫負担と保険料負担の区分を明確にし、保険料からの負担は保険事業運営に直接かかる適用、徴収、給付、システム経費に限定した上で、職員人件費や職員宿舎、公用車等の内部管理事務費を国庫負担としたと聞いております。
 こうした考え方を基本とし、今回の法律は、かつて年金福祉施設等に年金保険料を充ててきたことに対するさまざまな批判を真摯に受けとめ、保険料の使途を徹底的に見直し、年金給付のほかには、年金給付に密接に関連する事業運営費に限って充てることになっております。ちなみに、平成19年度予算では、年金事業運営に必要な経費、すなわち保険料納付書の作成、送付等の事務費並びにシステム経費や年金相談、広報等に約2、000億円計上されており、仮に当該意見書のとおり、年金事務費に年金保険料を全く充当しないとすれば、約2、000億円の新たな財源が必要であり大きな問題となります。
 公明党は、民主党の年金保険料流用禁止法案については慎重に検討してはおりますが、これまでの経過と現状から判断すると、当該意見書の内容を受け入れることは困難であります。納付された保険料を大切に管理運営する上で何もしないということではなく、実務上、例えばシステム経費について、簡素で効率的なシステムへの刷新を図り運用コストを削減させるよう公明党は考えております。
 意見書案の内容は、年金給付以外は一切使わせないとなっておりますが、かつてのようなむだ遣いや職員による横領を認めないことには同意しますし、意見書案を年金保険料の使途のさらなる厳格化を求めるという内容に変えるのであれば賛成でありますが、この案文では無理があります。
 以上、反対意見を押し切り、採決して意見書を提出すること、及びこの意見書案では年金事務費のために新たな財源問題を生じてしまうことから、発議案第11号に反対いたします。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、及川幸子さん。
   〔40番及川幸子君登壇〕

前へ 次へ