平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇20番(小田島峰雄君) 民主・県民会議の小田島峰雄でございます。
 ただいま議題となっております請願受理番号第5号食の安全と地域農業を守る請願についてのうち、安全・安心な県内産の農産物の安定的な生産・提供のために、価格保障制度など、県独自の支援策を充実していくことについて、採択すべきとの立場から討論を行います。
 岩手県では、これまでも食料生産県を標榜し、また、さきに示された新しい地域計画の素案においても、政策の6本柱の一つとして、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立を掲げております。こうした考えは、食の安心・安全が国民的な課題となる中、岩手農業の果たすべき役割を明確に示したものと言え、安心・安全な食材を求める消費者とそれを生み出す生産者にとって、その実現は共通のものがあります。
 しかし、その一方で、現在、県内産農産物は、輸入農産物との価格競争を強いられているほか、県内最大の集荷元であるJAグループの今年度産米の仮渡金が大幅に下げられるなど、年々米や野菜を中心に生産者価格が低下しております。また、国の打ち出した新たな農業政策のうち、本格スタートした品目横断的経営安定対策や稲作構造改革促進交付金でも、こうした生産者価格の下落への対応など、農家経営維持の観点で見ると十分に機能していないという批判が生産現場から根強く、そして激しく沸き上がってきております。
 さらには、国は、個人で4ヘクタール、集落営農で20ヘクタールという面積を基準に担い手支援の対象としていますが、極めて限定的であります。実際、岩手県内では、こうした大規模農家・経営体だけでは十分に農地の活用はできず、農産物の供給に不安が残ります。意欲ある小規模農家の生産なくして、県内農業は維持できないのではないでしょうか。
 やはり食の安心・安全を確保する意味からも、面積の大小にかかわらず意欲ある農家の経営維持は必要であり、また、そうした農家の経営安定が、地域経済の安定や地域文化の継承にも必ずや寄与することになることと確信をいたします。
 また、同時に、安心・安全の食材を生み出さずして消費者の信頼は得られず、今後の農業経営並びに食料供給基地岩手の確立はなり立たないものと思うのであります。これは、昨今続発している食の問題でも明らかであります。産地偽装や賞味期限切れ原材料の再使用、表示義務違反など、これら問題によって生じた他県産地のダメージは、はかり知れません。まさに今、食の安心・安全に正直にこたえているかどうかが、ブランドイメージを左右する決定打になっております。
 こうしたことから、我が民主・県民会議では、委員会審査において採択すべきとの論を展開したものの、不採択となったことは、まことに残念でなりません。議論の過程では、県も、青果物等の価格安定対策事業や家畜・畜産物の価格安定対策事業を通じて農家経営維持に御努力されていることは、改めて御説明されたところであります。県においては、食の安心・安全に対して、食料供給基地としての岩手の役割をしっかりと示した点にかんがみ、これまで以上に安心・安全な県内産農産物の安定的な生産・提供のために、価格補償制度など、県としても支援策を充実させることが必要だと思われます。
 よって、我が会派といたしましては、委員長報告で不採択とされました点について反対し、改めて採択すべきとの見解を申し上げ、討論といたします。
 議員各位におかれましては、何とぞ趣旨をお酌み取りの上、同調されますようお願い申し上げる次第であります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、飯澤匡君。
   〔25番飯澤匡君登壇〕

前へ 次へ