平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(飯澤匡君) 政和・社民クラブの飯澤匡でございます。
 請願陳情受理番号第5号食の安全と地域農業を守る請願のうち、項目1について、委員長報告に賛成の討論を行います。
 この請願は、食の安全と地域農業を守ると題し、家族的農業経営を支援して、地域経済のかなめである農業の振興を図るため、県として3項目の施策を充実するように求めたものであります。
 委員長報告のとおり、項目2並びに項目3は採択となりましたが、項目1、すなわち安全・安心な県内産の農産物の安定的な生産・提供のために、価格保障制度など、県独自の支援策を充実していくことについては、不採択となったものであります。以下、当請願項目1に対し、我が会派が不採択と判断した理由について述べさせていただきます。
 請願者は、価格ホショウを権利を保障する保障としておりますが、実際、一定価格を保障するという権利を保障とする意味においての施策は散見できないことから、価格安定対策、いわゆる償う、補う補償として推察して論点を述べます。
 判断基準のポイントは、価格補償制度の重きをどこまでに置くか、この1点に尽きるのであります。後段記述の県独自の支援策を充実していくことに関し何ら反対する余地はありませんが、県の支援策に価格補償制度を筆頭に据えた表現には、いささか意見を申し添えねばなりません。
 理由の第1に、我が国の農業がWTOやFTA交渉に直接的な関与を余儀なくされ、外からの保護と農業の構造改善という内からの改革を迫られているのは、御案内のとおりであります。WTOでは、補助金を交通信号になぞらえ、緑、黄色、赤と分類していますが、国内の価格政策に関しては黄色のジャンルに分類されるものが多く、削減対象に対する補助金に当たると伺っております。WTOでの判断の是非はともかくとして、農家の直接支払いや所得補償、価格補償に関する政策は、行政費用の質という観点から、第一義的に国が農政の根幹として政策を展開すべきであるという考えであります。
 また、価格支持と直接支払いのメリットとデメリットは、いまだ品目横断的経営安定対策が中小規模農家から支持を得られていないほか、所得補償に関しては、政党間にでも考え方に政策的なかなりの隔たりがあるのが実態であり、国の早急な制度の安定を望むものであります。
 第2に、県は今日まで、県の対応できる範囲内で真に必要と考えられる分野においては、価格補償に対応してきております。その内容、その成り立ちや補助金構成を見ますと、主に生産者側が価格安定対策として基金を造成し、また資金造成負担割合に国の負担率が高いものに大別されます。価格補償制度については、入念な生産者との合意形成が必要となっております。
 さらに、県の現在の財政状況をかんがみれば、安易に価格補償制度の拡充に対応できない現状であります。
 以上述べた2点については、紹介議員の紹介過程において、請願者に対し私が直接その大要を申し上げたところ、請願者からは、価格補償制度に関して意見や想定される具体的な価格補償の品目の言及もなかったため、我が会派からは紹介議員は出さず、本請願は、そのまま委員会審査にかかったものであります。
 このように請願者の望洋とした価格補償の概念と位置づけ、その中から本県に求められる具体的な支援策は、私自身、その答えを見出すのは困難でありましたし、ましてや現下の県財政において求められる農業施策の優先順位は、議員みずからも考え、執行部に対しても施策を誘導することが必要と考えるものであります。
 さきに述べた品目横断的経営安定対策は、本県の中山間地において特にも要件に合致する農家が少ないとの多くの問題をはらんでおり、けさの新聞報道によれば、地方からの反発が予想以上に大きいことから、農林水産省の本対策の見直し、検討が始まったと伺っております。本県の農業が、国土保全の立場からも多面的に考察され、農業が持続発展されることは言うに及ばず、本県においては、地域の特性が生かせる現実的かつ有効な施策の展開を望むものであります。
 以上で賛成討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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