平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(郷右近浩君) 民主・県民会議の郷右近浩です。
 春の統一地方選挙におきまして県議会に議席をちょうだいし、当定例会におきまして一般質問の機会をいただきましたことに、先輩・同僚議員に深く感謝申し上げます。
 また、9月7日の台風9号、及び9月17日からの記録的な大雨災害により被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を当局にはお願いするものであります。
 さて、一般質問も最後となりますと、先に登壇された方々とかなり重複する点もありますが、理解を深めるためにも質問してまいりますので、わかりやすい御答弁のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、順次質問してまいります。
 まず初めに、医療、保健、福祉の今後のあり方についてお伺いします。
 知事は、知事演述において、平成12年度の1人当たりの県民所得と各年度の1人当たりの県民所得の差に基づいて試算すると、累積で平成12年度以降に約2兆円の県民所得の縮小が生じたと述べられております。私も、市場原理に基づく際限のない構造改革によって常に競争にかき立てられ、いわゆる勝ち組、負け組という社会の亀裂を生み、勝ち組といってもいつ逆転するかもしれないという言い知れぬ不安を抱えながら自分を守ることにきゅうきゅうとし、周囲への配慮や思いやる心を忘れさせる社会の風潮に大いに疑問を感じていたところです。
 また、県民所得が減少し、さらに同じ県内でも県北・沿岸地域における格差が広がっており、一方、医療や福祉、社会保障など生活にかかわる分野での自己負担が拡大している今日、自然や人情豊かな地域を愛し、そこに住み続けたいという願いを持つ多くの県民は暮らしにくくなってきたと感じているのではないでしょうか。私は、究極的には、さまざまな産業振興により県民所得がふえることが問題解決につながるものと考えますが、現実には県民所得の回復には時間がかかる中、社会保障は日々の生活に直結する問題であります。
 知事は、岩手ソフトパワー戦略として、岩手の文化、岩手の心を情報発信し、岩手県の文化的魅力を知らしめるとともに、道義的信頼を高めていこうと言われておりますが、県民生活の礎は生活への安心であり、それはすなわち医療、保健、福祉への安心であります。古来、信なくば立たずという言葉もあります。岩手ソフトパワー戦略として国内外に発信していくことも重要なことですが、まずは県民生活の基盤となる医療、保健、福祉への安心があってこそ県政への信義を深め、県民の協力を得ることができるものだと思いますが、医療、保健、福祉に取り組む知事のお考えをお示しください。
 次に、医療制度改革に関連して順次お伺いします。
 国の医療制度改革大綱では、安心・信頼の医療の確保と予防の重視、医療費適正化の総合的な推進、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現を柱として、関連する法律の改正、制度の創設などがなされたところです。また、平成18年改正の医療法では、医療機能の分化・連携の推進、医師不足問題への対応など、住民、患者にわかりやすい医療計画の策定を目指すものとされております。
 そうした中にあって、本県でも国の動きに呼応して、昨年8月、庁内に岩手県医療制度改革推進本部を設置し、医療制度改革の総合的な推進に取り組んでいるとお聞きしております。医療連携体制を構築するものとして、生活習慣病やその他国民の健康の保持を図るために、広範かつ継続的な医療の提供が必要な4疾病、医療の確保に必要な5事業を医療計画に明示するものとされており、いずれも地域の医療資源、人材にかかわることから、地元医師会などの関係団体、市町村とも調整しながら、高度な医療への対応、地域医療の確保など、対話によって計画策定がなされるものと期待しておりました。
 ところが、去る8月、医療局から県立胆沢病院の産婦人科機能を県立北上病院に集約するとの突然の発表があり、地元の驚き、出産を控えた妊産婦の不安はぬぐえないところです。その後、さまざまな動きはありましたが、県立病院の産婦人科医師の減少という現実もあり、また、24時間対応の過酷な勤務環境ということであり、これを今すぐもとどおりにということも今となっては難しいことと思います。しかし、そうであればこそ、計画づくりのプロセスから、保健医療圏域内で、県立病院、奥州市総合水沢病院などの中核的総合病院、開業医、助産師、市町村などとどのような連携、補完ができるか、対話によって計画内容を積み上げていくべきだったのではないでしょうか。
 策定中の新しい医療計画では、住民、患者にわかりやすい計画づくりが求められております。これまでの医療計画策定の進め方と今後の取り組み、そして、県と市町村が一体となって地域の医療をどのように形づくり、わかりやすい計画をつくっていくのか伺います。
 次に、県立病院等の医療機関を高齢者の福祉施設として活用することについて伺います。
 医療局では、県立病院改革により、平成16年度から、県立胆沢病院など複数病棟がある地域総合病院等において、病棟単位での休止、1病棟のみの病院では診療所化を進めております。今後、在院日数の抑制により、早期リハビリで自宅に戻されるといったことが多くなってくると思いますが、介護する家族がいない、住宅設備が整っていないなどの阻害要因も考えられ、だれもがすぐに自宅に戻ることができるとは限りません。また、先日、他県においてですが、介護を放棄して母親を死なせたとして、介護放棄をした長男が保護責任者遺棄容疑で逮捕されるという事件がありました。家族が介護に心身とも疲れ、痛ましい事態に至るということが現実に起きております。
 さきの6月定例会において、同僚の岩渕誠議員の同趣旨の質問に対しては一定の答弁をいただいておりますが、地域ケアシステムの一つとして、空きベッド等潜在化している医療資源を有効に活用し、患者が自宅に戻るまでの中間的な施設として、あるいは在宅の要介護者が一時的に利用できる介護施設等として活用できないものか、また、その検討はしているのか伺います。
 次に、後期高齢者医療制度について伺います。
 健康保険法の改正により新たに後期高齢者医療制度が創設され、現在の老人保健制度は今年度で廃止され、来年4月から後期高齢者医療制度が始まることとなっております。この制度運営のため、本年2月に県内全市町村が加入した岩手県後期高齢者医療広域連合が設立されたところであり、設立に至るまでの県の支援、御労苦は多とするものであります。
 また、この制度の運営に当たる財源は、国、県、市町村による公費5割、若年者の保険料負担の後期高齢者支援金4割、そして後期高齢者の保険料1割で賄われることになっておりますが、高齢者においては、これまでの介護保険料に加え、後期高齢者医療制度の保険料を年金から天引きされることになります。しかも、この制度には、給与所得者の扶養家族となっている後期高齢者は、負担ゼロから新たに保険料負担が生じることを初め、医療給付費がふえれば保険料値上げか医療給付内容を引き下げるのではないかなどの懸念もあります。加えて医療費の自己負担もあり、県では、年額6万1、000円ほどの負担増になるとの試算もあるようですが、そもそも保険リスクが高い後期高齢者だけを対象にすれば、全市町村が加入したといっても財政運営が厳しくなるだろうことは簡単に予想されます。平成12年にスタートした介護保険制度は、介護需要が伸び、給付費がふえ始めた途端に国の抑制策がとられたという苦い経験があります。
 もともと公的保険給付範囲を削減、縮小することを目的につくられたとも言えるこの後期高齢者医療制度が持続可能な制度となるためには、健康づくりなど、加齢しても健やかに暮らす高齢者がふえ、結果的に医療費がかからないようになっていく以外道はないと考えるものですが、医療給付を主な業務として設立した広域連合では、市町村が独自に行ってきたきめ細かな健康事業などを引き継ぐことは難しいのではないでしょうか。また、この広域連合が長期的に安定して運営できる見通しをどのようにお持ちでしょうか。そして、安定的な運営のために県としてどのようにかかわっていくのか伺います。
 ところで、ここに来て、福田首相が総裁選において高齢者医療の負担増について凍結を公約としたことから、与党では自己負担増の緩和策を検討しているとのこと、そして、半年あるいは、1年間の凍結も検討しているとのことが新聞報道によって明らかになっております。国では、今後新たな診療報酬体系の骨子を取りまとめることとしているなど、いまだ医療給付の核心部分が決まらない中で、4月から創設されるという制度自体に影響を及ぼしかねない事態ではないかと思っております。そうでなくてさえ高齢者の不安があるわけですが、県では、このたびの与党の動きの影響をどのように認識しておられるか伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 国の子供と家族を応援する日本重点戦略検討会議では、6月に中間報告をまとめ、その中で、就業継続と子育てが二者択一的になっている現状を改革し、多様で柔軟な施策を展開し、多様な働き方を支援する制度的枠組みが必要であるとして、ワーク・ライフ・バランスを実現していくべきだと述べております。県では、子育て応援作戦推進会議を実施しているところであり、今定例会では、職員の育児休業等に関する条例の一部改正案も提案されておりますことは、県が率先して取り組もうという姿勢のあらわれと思いますが、県では、ワーク・ライフ・バランスを進める施策をどのように行い、企業や地域にどのように働きかけようとしているか伺います。
 私は、少子化の根本的な解決策はなく、今まさに社会を構成する人々が豊かさを感じられる経済を構築するとともに、子供を育てやすい環境を整備することこそが近道であるのではないかと思うものであります。また、環境整備により、育児中の女性医師が職場復帰できるなど、社会に出て働く女性がふえれば、当面、少子化で懸念される労働力の確保はできていくものと思いますし、女性が安心して出産、育児ができ、男女とも働きやすい環境をつくることがすなわち少子化対策になるのではないかと考えるものであります。
 こうした観点から、現在、保育所の運営費などで、国の直接交付金以外は保護者負担と県、市町村の負担により成り立っておりますが、さらに県が保護者負担を減らす方向で補助を行い、子育てしやすい環境にしていくことが抜本的な少子化対策になるのではないかお伺いいたします。
 私も子育て世代であり、保育サービスの実情、社会が子育てを支援することで女性の就業が可能になること、一方、子育ての実態などは個人の家庭内の問題としてなかなか周囲から理解してもらえないことなど、さまざま実感しているところであります。
 労働の現場は、過密な労働を求められる正規雇用と、パートなど経済的基盤が安定しない非正規雇用に二極化しています。パートの方が、子供が急病で保育園から呼ばれただけで解雇されたという信じられないような話もあります。特別保育事業では、多様な就労形態に対応した休日保育、一時保育としてどこまで保育可能なのか伺います。
 また、さきに公表された新しい地域経営の計画(素案)では、特別支援教育の充実という政策項目が掲げられています。しかし、就学前の障害のある児童への支援体制はどうなのでしょうか。障害のある子供も分け隔てなく学び、遊ぶ場が確保されるべきと考えますが、お考えを伺います。
 次に、広域振興圏のあり方について伺います。
 平成18年4月に県南広域振興局がスタートしております。この広域振興局は、単独の市町村では担えない広域にわたる産業振興、観光などの課題への対応や、職員の集約化によってより専門的な住民サービスを提供することができるなどの理念を持って設置されたものと理解しております。また、知事は、岩手四分の計、新地域主義戦略を提唱し、広域振興圏という枠組みに岩手の活路を見出そうとしております。以前よりの広域振興の考え方よりさらに地域に根差していく発想や、地域経営に市町村、町内会、自治会、NPOなど多様な主体が参画する官民の垣根を超えたネットワークの構築など、新しい行政の方向性を示しております。
 しかし、県南では、広域振興局体制として1年半を経過したものの、地方振興局当時と余り変わっていないように感じております。それは、県南広域振興局1局だけでは広い県内の一地域の動きであり、新しい行政のスタイルを実現するには、権限も予算も十分に伴わないからではないでしょうか。従来にない発想、枠組みで行政を進めていくためには、一歩県南広域振興局が先行したとはいえ、県央、県北、沿岸各広域振興圏においても、知事が目指す新しい行政スタイルに即した広域振興局に移行し、予算や権限を与えることが必要で、そのためにも中核となる本局を圏域内のいずれかの地方振興局に設置していくことが急務であると考えます。そして、四つの圏域内に広域局が設置されることこそが知事が目指している市町村優先の行政システムをつくることにつながっていくのだと思うものであります。
 広域振興圏は新しい枠組みであるだけに、具体的な活動の実績が示されないとイメージがわきにくいというのが住民の正直な感想だと思います。あいまいなままに移行を先送りすることなく、広域振興圏ごとの地域の実情に合った施策を展開していくためにも、本局選定時期など移行のスケジュールを早期にお示し願います。
 次に、平泉の世界遺産登録についてお伺いします。
 平泉の文化遺産の現地調査を終え、関係者は一定の理解を得られたとの認識を示しております。もとより、世界遺産登録に向けての諸準備、対応はあると思いますが、私は、登録後においてもさまざま対応すべきことが出てくるものと予想しております。
 その一つの問題が観光客の二次交通であります。観光の多様化により、個人旅行、少人数旅行がふえてきておりますが、平泉を訪れる観光客がほかの平泉に関連する遺跡を見たいとか、県内に足を延ばそうとしても、そこから県内を回遊する二次交通が整備されていないため、宮城県など県外に流出する、あるいは点でしか移動できないという問題があります。現在、平泉の文化遺産に対応したバス路線はないわけですが、奥州市、一関市においてそれぞれバス路線等の協議を行っており、生活路線が観光路線とも重なるとなれば一石二鳥の効果を生むことができます。こうした観光に生活路線バス確保の視点も踏まえた調整、観光客の誘導等について、国の地域交通再生制度も活用しながら市町村を支援すべきと思うものですが、平泉を抱える県南広域振興局としての取り組みについて伺います。
 次に、岩手競馬について伺います。
 今年度の岩手競馬は、昨年度の330億円融資の条件でもある、収支均衡しなければ廃止とのルールのもと開催されておりますが、この間、既に2回の収支計画の下方修正を行いながらもまだ計画値を下回っており、さらなる下方修正が必要な状況であり、さきの同僚議員の質問により、今年度さらに2億円余りの調整が必要との現状に危惧を抱いております。今までも賞典費や委託料、人件費など全域での経費削減をやってきて、次はどこを削減するのか、肝心の馬資源の流出や枯渇につながらないような形で進めなければならないと思うものです。
 そうした中、夏ごろより知事は、抜本的な改革やさらなる民間委託との発言をしたと報じられておりましたが、それは、本年度においてこれ以上の経費削減は難しいとの判断からなのか、本年度はとにかく経費削減で乗り切り、来年度に向けての検討課題として考えておられるのか伺います。また、どのような改革を進めるべきと考えておられるのか伺います。
 私は、これから抜本的な改革やさらなる民間委託を行うためには、過去の経営悪化の原因を徹底的に検証し、問題点を改善していくことこそが必要であるとの思いから、ことし4月に設置された岩手県競馬組合事業運営監視委員会について期待しておりました。しかし、この第三者による委員会は、何を検証するのか、6月定例会においても同僚議員よりの指摘があったものですが、約4カ月かけて検証し、作成された報告書を見ても、当時どういった経営判断で進んできたのか、赤字を生み続けた原因の特定などには触れておらず、とても残念であります。
 平成8年12月に策定されたテレトラックネットワーク計画については、委託料など開催経費の増加により実質収支が赤字となった平成12年以降も全5カ所のうち残る2カ所を設置するなど、繰り上げ充用を行い、民間でいえば粉飾決算と言われても仕方がないような経営を進めてきた当時の判断を疑うものであります。
 今回、現地調査や関係書類の調査、そして4名の元競馬組合職員より聞き取りを行い、検証されたとのことですが、今後、同じ轍を踏まないためにも、私は、経営判断等まだまだ明らかにしなければならないことがあり、一度報告書が出されたとはいえ、今回の検証を生きたものにするためにも、当時の責任者であった増田寛也前管理者からも聞き取りを行うべきと考えますが、御所見を伺います。今まで岩手競馬には、県民はもとより、組合議員にもわからないところで運営がされてきた部分があったと思うものであります。そうした部分を一番身近にいて見てきた方に意見を聞くことが必要であると思うからであります。
 最後に、9月7日の台風9号、及び9月17日よりの記録的な大雨災害について伺います。
 この災害を通して、県内の災害対策、特にも河川の対策が十分であるのか、新たに浮き彫りになってきたものと思います。過日、私が出席いたしましたある建設業協会と振興局の担当部との懇談会の席上にて、河川の土砂の堆積やのり面の崩落、または河川内の立ち木などを危険視する声が上がっておりましたが、予算とのかかわりや河川の整備基準の認識が相違する中で難しい旨のお答えの直後にこの災害は発生しました。まさに災害はいつ起こるかわからないもので、ふだんよりの備えこそが肝要であり、社会資本の維持管理などに欠かすことができない役割を担っている建設業や地域との協働により、目を配り、対処していくことが必要であるとの思いを強くしました。
 近年の水害が過去の災害と違うのは、河川の整備がある程度進んだため、逆に川に水が集まりやすくなり、それが川の合流地点や無堤地区において以前よりはるかに多い水量にてはんらんしている現状であるのだと思います。県南の北上市や奥州市、そして一関市の被害も、その地域への降雨よりも、むしろ北上川上流での降雨が整備の行き届いた河川を流れ、弱いところではんらんしたことが原因であると私は思うものです。なればこそ、1カ所整備しかけたものは全体の整備が必要であるとの考えから、北上川の無堤地域へのお考えを伺います。
 また、県内市町村で作成するハザードマップについては、今回の災害も検証しながら見直しを図っていくべきと思いますが、御所見を伺います。
 結びに、達増知事におかれましては、北上川のような雄大さとあわせて、滞りや決壊のない県政の流れをつくっていただきますよう御期待申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、医療、保健、福祉の今後のあり方についてでありますが、信なくば立たずという論語の言葉を引いて御質問をされました。私も、政をなすに仁をもってするというのが論語の主題と考えておりまして、医療、保健、福祉という分野は、県政にとっても最重要な柱と考えております。
 そこで、基本的な姿勢でありますが、県民が安心して豊かな生活を送ることができるよう、心身の健康づくり、質の高い医療の提供、ユニバーサルデザインの考えに基づいただれもが暮らしやすいまちづくり、住みなれた地域での暮らしの継続、そして、男女が子供を産み、育てやすい環境づくりなどについて、県、市町村、保健・医療・福祉関係機関や団体はもとより、県民やNPOも相互に協力し合いながら互いの生活を支え合う、ともに生きる岩手を実現したいと考えております。
 取り組みの視点と重点分野についてでありますが、こうした社会を実現するためには、予防を重視した事前対応の視点を持って、保健、医療、福祉の各サービスが相互に連携し、県民生活をきめ細かく支えるセーフティネットを形成することが必要であると考えています。
 具体的な政策課題としては、第1に、医師確保を初めとし、救急医療体制の構築、医療連携の推進など、県民が医療を適切に受けることができる体制づくり、第2に、メタボリック症候群対策に重点を置いた積極的な健康づくりの推進や、防げる死を防ぐ自殺予防対策、第3に、医療、福祉の連携による介護予防、高齢者や障害者が介護度や障害の程度にかかわらず地域で生活するための地域力を生かした支援の仕組みづくり、そして第4に、岩手の未来を担う子供たちが健やかに成長できるよう、保育サービスの充実や、仕事と子育てが両立できる雇用環境づくり、地域の育児力の向上など、地域の子育て環境の整備、こうしたことに取り組むこととし、新しい地域経営の計画にも、この4点を重点的な取り組みとして盛り込んだところでございます。
 次に、県南広域局以外の広域振興局本局の設置場所の選定など移行スケジュールについてでありますが、県南以外の広域振興圏については、県議会から広域局早期設置の附帯意見をいただいており、可能な限り早期に広域局体制に移行できるよう県南局の成果や課題の検証を進めるとともに、広域局のあり方についてプロジェクトチームによる検討を進めております。
 本局の設置場所の選定時期については、各地域における合併や県事務の権限移譲など、市町村の体質強化の状況、産業振興の状況等を踏まえ、さらに、市町村長や県民の御意見なども伺いながら総合的に検討し、平成22年度をめどに、一定の姿を示してまいりたいと思います。
 次に、岩手競馬についてでありますが、まず、抜本的な改革についてでありますが、新しい岩手県競馬組合改革計画、いわゆる新計画が掲げるコスト管理を徹底することで収支均衡を実現していくという基本的な対応方向は、岩手競馬の再生に必要なものであり、今年度においては、今後の売り上げの変動も含めて、年度を通じての収支均衡を図ることができるよう、競馬組合はもとより、関係団体、企業が一丸となってコスト削減に取り組み、まずは経営の安定化を実現することが重要と考えております。また、来年度以降も、コスト管理の徹底を図っていくことは経営の安定化を実現していくために必要なことでありますが、これとあわせて、監視委員会の意見にもあるように、さらに厳しさを増す経営環境を踏まえ、岩手競馬の将来にとってどのような経営のあり方が望ましいのか、中長期的な視点に立った抜本的な改革についても検討を進めることが必要と考えて、先般、プロジェクトチームを設置したところでございます。
 民間委託の拡大や1場体制への移行など、これまで競馬組合議会や構成団体議会等であった提案や意見なども参考としながら、改革の選択肢の検討とその論点整理を行い、構成団体間でもしっかり議論し、戦略を明らかにして、将来にわたって持続可能な岩手競馬が構築できるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、監視委員会における聞き取り調査のあり方への御質問についてでありますが、監視委員会においては、本年4月の設置以来、競馬組合の経営悪化と累積赤字の拡大について精力的に検証に取り組んでいただき、その結果を去る8月に報告書として取りまとめていただいたところであります。
 この検証を行うに当たっては、保存されている文書を詳細に確認しながら作業が進められましたが、現存する文書の調査だけでは当時の諸情勢や経緯が十分確認できないものについては、監視委員会が必要と判断した関係者から直接聞き取りを行い、当時の状況や経過等を確認したものと承知しております。
 このような検討を経て、監視委員会は、議員から御指摘あった点についても、検証結果報告書の中で、県外テレトラック等の施設整備については、長期的展望に立った慎重な検討が不足していたことや、繰り上げ充用については、県民に対する積極的な説明が必要であったことなど、さまざまな反省点を取りまとめて指摘いただいているところであり、指摘のあった点は十分反省し、今後の競馬組合の事業運営に当たってまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 平泉の世界遺産登録に関し、観光の視点を踏まえた生活路線バスの調整、観光客の誘導策についてのお尋ねについてでございます。
 現在、県南地域においては、6市町で九つのコミュニティバス事業等がございます。これらのコミュニティバスそれから交通事業者が運行する地域バス路線というものがございますが、これらは病院や公共施設と地域の主要な施設へのアクセスを主目的にしているというものでございまして、特に観光客利用を想定しているものとなっていないというふうに認識をいたしてございます。しかしながら、観光に訪れた皆さんが、これらのコミュニティバスなどを利用できるような環境を構築することによって、観光をするに当たっての利便性の向上、二次交通確保という観点においても有効な手段となり得ると考えますとともに、コミュニティバス事業におきましても、運賃収入の増加などということで、事業自体の経営の安定化にもつながるのではないかというふうな考えのもとに、県南広域振興局では、コミュニティバスなど生活路線バスの運行状況等の調査に着手をしたところでございます。
 御提案いただきました本年10月1日から施行されている地域交通活性化・再生法に基づく国の地域への支援事業については、こうした取り組みを進めるに当たって、活用可能な内容を有しているのではないかというふうに考えてございますので、今後、この支援事業の運用の方針、詳細等について把握をいたしまして、活用の可能性について十分検討してまいりたいというふうに考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医療計画の策定についてでございますが、まず、医療計画策定の進め方と今後の取り組みでございますが、医療計画の策定につきましては、医療関係者などの専門家や県民などの御意見を伺いながら策定作業を進めているところでございまして、本年度末までに新しい計画を策定することといたしております。
 今後、各保健医療圏におきまして、保健所が中心となり、医療機関や市町村等の関係者による協議の場を設置し、地域における医療機能の役割分担や連携、医療機能の補完等を具体的に検討していただくこととしております。さらに、新しい医療計画に関する地域での説明会を開催することなどによりまして、関係者を初め、広く県民の御意見を伺っていくこととしております。
 次に、市町村と一体の地域医療の形づくり、わかりやすい医療計画づくりについてでございますが、今申し上げましたような取り組みの過程を通じまして、市町村、医療関係者、県民相互で意見を出し合いながら計画策定を進めていくことになると考えておりまして、そのことを通じて、それぞれの地域における医療のあり方が明確となってくると考えております。そうした結果として、県民にわかりやすい医療計画づくりにつながるものと考えており、こうしたプロセスの共有も含めて、わかりやすい計画づくりとしてまいりたいと考えております。
 また、わかりやすい医療計画とするため、例えば住民ががん等に関する医療を必要とする場合に、疾病等の状態に対応した医療機関がどこにあるかなどを明らかとする医療機能の連携図等を作成する予定としております。また、医療計画策定後におきましても、平成20年度内をめどに、保健医療圏域ごとに各地の特性に応じた切れ目のない医療連携体制構築などをテーマとした医療連携推進プラン―これは仮称でございますが、こうしたものを策定し、地域における医療機能の分担や連携の姿を、住民や患者の視点でわかりやすいものとしてまいりたいと考えております。
 次に、県立病院等の医療機関を高齢者の福祉施設として活用することについてでございますが、一般的に、既存の建物を地域に必要な介護サービス等の充実のために有効活用することは、重要な視点と考えております。
 病院の空き病床の活用につきましては、医療との連携を維持していけるといったメリットもあり得ると考えております。
 介護サービスの充実につきましては基本的には市町村の役割でございまして、それぞれの市町村の施設の整備水準、居宅サービスの水準に応じて、地域に必要とする介護サービスを計画的に整備していただくことになるわけでございますが、その際に、空き病棟を活用することが可能な場合もあると考えております。市町村から御要望等がある場合には、医療局とも連携を図り、施設等の指定基準なども照らし合わせながら、活用の可能性について検討していくこととしておりますが、現在、相談をいただいている市町村もあるところでございます。
 次に、後期高齢者への保健事業についてでございますが、これまで、市町村により実施されてまいりました健康診査等の老人保健事業につきましては、今般の制度改正により、平成20年度以降、健康診査につきましては、高齢者医療確保法に基づきまして後期高齢者医療広域連合の努力義務として位置づけられており、その他の保健事業につきましては、健康増進法に基づき、市町村が実施するものとして位置づけられたところでございます。
 努力義務と位置づけられております後期高齢者に対する血圧測定や血液検査などの健康診査の実施につきましては、本県の広域連合において、高齢者の健康管理を図る観点から検討が進められていると伺っております。
 市町村において健康増進法に基づき実施することとなっております健康教育、健康相談、がん検診、骨粗しょう症検診及び歯周病検診などにつきましては、後期高齢者を対象に、市町村により引き続き実施されることとなっております。
 次に、広域連合の財政運営についてでございますが、後期高齢者医療制度を円滑に運営するためには、その運営主体となっております後期高齢者医療広域連合が安定した財政運営を行う必要があり、保険料の徴収や医療給付が適正に行われることが重要と考えております。
 広域連合の財政運営の安定化を図るため、財政均衡の観点から2年を一つの財政期間とし、さらに財政リスクの軽減に対応した安定化の仕組みが設置されることとなっております。具体的には、国、都道府県、広域連合の負担からなる財政安定化基金を県に設置し、保険料の未納部分や見込み以上の医療給付の増加に対応するため、この基金から必要な資金の貸し付けや交付を広域連合に対し行うこととしております。さらに、医療給付費の増加の原因となっております高額な医療費―レセプト1件当たり80万円を超すものでございますが、こうした高額な医療費につきましては、その費用の2分の1を国と都道府県で負担する仕組みが創設されることとなっております。
 県としては、広域連合の財政運営が安定的なものとなるよう、法に基づく財政支援に的確に取り組むとともに、広域連合に対し、必要な助言や支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、高齢者医療費の負担増凍結の動きについてでございますが、現在、与党では、70歳から74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げや、75歳以上の高齢者の一部に新たに発生する保険料負担について凍結する方向で検討していると伺っております。現段階におきまして、国から、この検討の具体的な内容については全く情報提供がなされていないところでございまして、高齢者の負担や本県の財政等に与える影響について推計することは困難な状況にございます。
 現在、広域連合及び市町村では、20年4月からの制度施行に向け準備を進めておりまして、こうした現場の取り組みが円滑に進むよう、国においては、早期に方針を示していただきたいと考えているところでございます。
 県としては、国の動向に注視しつつ、今後、負担増凍結に係る方針が示された場合には、制度の円滑な運営を図るため、広域連合及び市町村に対し、迅速な情報提供と的確な助言を行ってまいりたいと考えております。
 次に、ワーク・ライフ・バランスの関係でございますが、ワーク・ライフ・バランスの推進は、子育て支援のためにも重要な取り組みであり、そのため、県では、二つの事業を柱として取り組みを進めているところでございます。
 一つ目の柱は、中小企業子育て支援推進事業でありまして、次世代法により、策定が努力義務とされております従業員300人以下の企業に対し、従業員の仕事と生活の両立を推進する一般事業主行動計画の策定支援を行っております。従業員301人以上の企業は、次世代法によりこの計画の策定が義務づけされておりますことから、大企業、中小企業を問わず、子育てに優しい企業環境づくりに取り組んでいただこうというものでございます。
 これまで、県本庁及び振興局の職員が県内の約300の中小企業を個別に訪問させていただいておりまして、子育て支援の取り組みの重要性について御説明し、雇用環境や多様な労働条件の整備に取り組むための一般事業主行動計画の策定をお願いしているところでございます。これまでのところ、策定した企業は82社となっております。
 二つ目の柱は、今年度創設いたしましたいわて子育てにやさしい企業認証・表彰制度でありまして、子育てと仕事の両立支援など、男女がともに働きやすい職場づくりに取り組む中小企業を県が認証し、さらに、顕著な成果があった企業を知事表彰するというものでございます。今後、この制度を周知し、子育てに優しい企業の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 今後とも、産業団体や市町村等と連携を強めながら、ワーク・ライフ・バランスの推進に向け、企業や地域に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に、保育料の保護者負担の減免についてでございますが、保育料は、基本的に保護者の所得に応じて負担する仕組みとなっておりまして、国の保育所徴収金基準額表を参考として、各市町村が独自に設定しているものでございます。県内ほとんどの市町村で、独自の負担軽減を行っております。
 なお、国の基準では、母子世帯や同時に複数の児童が入所している場合などの軽減措置もあるところでございます。
 子育て支援の観点から、保育料の水準がどうあるべきかについては十分議論される必要があると考えておりますが、国が保育料について全国一律の基準額を設定している状況にあって、まずは、少子社会における子育て支援という観点からの保育料の軽減について、基本的に国レベルにおいて検討されるべきものと考えております。
 県としては、子育て支援の観点から、国に対して保育所徴収金基準額の引き下げを毎年要望しているところでございまして、今後とも、引き続き要望してまいりたいと考えております。
 次に、特別保育事業についてでございますが、特別保育事業には幾つかのメニューがございまして、例えば、休日保育は、保育所入所児童が保護者の勤務などにより、日曜・祝日に保育に欠ける場合にその児童を保護する。一時保育は、専業主婦家庭などの育児疲れ解消、親の急病や入院などに伴い、保育所に入所していない児童を一時的に保育するものでありまして、いずれも通常の保育所と同じ開所時間で実施しているものでございます。また、延長保育は、通常の開所時間を超えて、おおむね午後7時または8時までサービスを提供しております。
 県内における平成18年度の実施状況は、休日保育で35保育所、一時保育で154保育所、延長保育で226保育所となっております。
 少々数値が古いのですが、平成17年度の数値で全国順位を見ますと、休日保育で全国4位、一時保育で全国8位、延長保育で全国19位となっております。各事業とも、実施率は年々増加傾向にございます。県としては、保護者の就労形態の多様化などに対応したきめ細かな保育サービスが県内において展開されるよう、今後とも、市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に、就学前障害児への支援体制についてでございますが、就学前の障害のある子供への支援体制として、まずは保育所や幼稚園において、障害のある子供さんを受け入れているところでございます。
 平成18年度の受け入れ状況は、保育所で重度・中軽度の障害児合わせて300人、それから、幼稚園では重度・中軽度合わせて146人の障害のある子供さんを受け入れておりまして、合計446人となっております。このように、保育所、幼稚園での受け入れを通じて、障害のある子供とない子供の交流が図られているというところでございます。
 また、障害のある子供さんに対しましては、専門的な早期療育を行い、集団の中で生活できるよう、基礎的な支援をするといったことも重要と考えておりまして、具体的には、県立療育センターでの相談指導、それから、市町村における児童デイサービスの実施や療育教室の開催などの取り組みが行われているところでございます。
 障害のある子供もない子供も、できるだけ集団の場に参加する機会を得ることが、子供の成長発達に不可欠と考えておりまして、障害のある子供さんにつきましては、障害児保育や児童デイサービスなどを活用し、早期から社会経験を持てるような仕組みづくりをさらに進めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 北上川の洪水対策についてでございますが、9月16日から18日にかけての今回の洪水は、カスリン・アイオン台風以来最高水位を記録し、各所で家屋や農地等に浸水被害をもたらし、避難勧告が出されるなど、県民生活に大きな影響を及ぼしたところでございます。
 国土交通省が管理しております北上川の県内の延長は、約138キロメートルでございます。このうち、堤防が必要である区間、両岸合わせまして約210キロメートルとなってございます。
 平成18年度末の整備状況は、完成堤防、暫定堤防合わせまして約111キロメートルが整備され、整備率は約53%でございます。このため、国土交通省では、一関遊水地や石鳥谷地区の築堤工事の推進、新たに北上市立花地区での事業着手に向けて取り組んでおり、浸水状況や土地利用状況など緊急性を踏まえ、無堤区間の整備に努めていくと伺ってございます。
 県といたしましては、北上川の治水対策は重要な課題であることから、今後とも、治水事業の促進を強く国に働きかけてまいります。
 次に、ハザードマップについてでございます。
 県内におけるハザードマップは、現在、12市町で策定、公表されてございます。今回の大雨による浸水区域は、公表されておりますハザードマップの浸水想定区域内となってございます。
 今後、県といたしましては、ハザードマップが未策定である県内の各市町村に対しまして策定、公表を促していくとともに、策定済みである市町においても浸水状況などについて情報提供を行い、必要に応じて内容を見直していただくなど、住民の安全で的確な避難行動に役立つ情報提供に努めてまいります。
〇6番(郷右近浩君) 丁寧な答弁ありがどうございました。ただ、数点再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、その1点目は、後期高齢者医療制度についてであります。
 今現在、さまざまな部分で変更を検討したり、そうした中にあるとは思うんですけれども、ただ、この保険が適用になる高齢者の方々の不安というものは、やはり内容が本当に理解されなければ、いつまでたってもぬぐえないものであると私は考えるわけであります。
 そうした意味で、先ほど同僚議員の質問に対しての答弁で、広報等を使っての告知、そうしたものをしていくのだということでお話しいただきましたけれども、これをなるべく早くにやっていかなければいけないと私は考えるわけで、県は、そうした部分で、いつごろからこうしたものができるか、そうしたような見通しというものをどのように考えておられるか、お伺いさせていただきたいと思います。
 また、もう一点は、保育料の保護者負担の軽減についてという部分で、こちらの方は国レベルで考えるものだと思うとの御答弁でございましたけれども、そうした国レベルで、すべて画一的に国がこういう方針を出したからこうしていくんだと、そうしたことを全体と同じことをしている中にあって、この岩手県からの人口の流出であり、そして少子化率が上がっていくと、そうした現象が起こっています。国レベルで同じことをやっていれば、我が県も大丈夫なんだという状況でないということは、今までの流れの中で皆様御承知のことと思います。だとするならば、岩手県が率先して、こうした少子化であり、さらには、そのために子育てをしやすい県であるということをアピールするためにも新たな施策を打ち出していく、そうしたことの考え方というものがあるものと思いますが、この件について御所見を伺います。
 また、最後になりますが、岩手競馬についてお伺いいたします。
 今回、このプロジェクトチームが立ち上がるということで、そちらの方での検討を進めていくというお話でございます。プロジェクトチームがこれからさまざまな検討をしていき、今後の競馬事業をどのようにしていくかといったものが生まれてくるものだとは思いますけれども、今までこうしたさまざまな競馬に関係する団体、岩手県競馬組合事業運営監視委員会、これはまさに先ほど質問させていただいた部分でございます。そしてさらには、持続可能な岩手競馬のあり方を考えるプロジェクトチーム、これが先ほど設置されたといったお話でございます。そして、岩手県競馬組合運営協議会、これは構成団体が設置しております。そうしたさまざまな団体、そうしたものがいろいろなことを検討しながら、そして、そこで検討したものこそが今後の岩手競馬の方針をつくっていくかのような、そうした感を受けて私はならないわけであります。
 といいますのも、マスコミ等を通じて、そこで検討したことがすぐに県民や外に流れていく。そうすると、岩手県競馬組合自体、私にとりましては、管理者が方向性を示し、そして競馬議会で審議、決定することが本来であり、そうしたリーダーシップを管理者にとっていただきながら今後の方向を模索していく、考えていくという、そうした部分とはかけ離れたものになっていくと思うわけでありますが、知事におかれましては、管理者としての立場、そうしたものをきちんと、今後の競馬をどのようにしていくか、そうしたもののリーダーシップを発揮するようお願いいたしまして、御所見をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) お答えをいたします。
 岩手競馬に関する管理者としてのリーダーシップの発揮ということについて御質問をいただいたと思います。
 競馬組合の運営方針等については、副管理者であります奥州、盛岡両市長と管理者である私が対応方針を決定し、競馬組合議会で審議、承認いただいた上で実行をしているものでございますが、御指摘ありました監視委員会について、これも第三者委員会としての検証結果を競馬組合の事業運営に反映させていくこと、これについても副管理者と協議した上で、基本的な方向を示し具体的な調整を行っておりますし、また、先般、構成団体で設置したプロジェクトチームでの検討ということについても同様でございます。
 競馬関係者で構成する岩手県競馬組合運営協議会が行う収支均衡のためのコスト調整についても、管理者と副管理者とで協議した上で具体的な調整を行っておりますし、今後とも、私は岩手競馬の最高責任者として常に先頭に立ちながら、危機を希望に変え、持続可能な岩手競馬が構築できるよう、最善を尽くしてまいりたいと考えております。
 その他の質問については、担当部局長からの答弁ということで対応させていただきます。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 後期高齢者の医療制度につきましては、確かにお年寄りの方々が、なるべくきちんと理解していただくという努力が非常に大事だと考えております。
 現在、国において、先ほど御質問にあったような動きがある中で、県としてどういう対応をしていくかということについては、なかなか今の段階では明確なことは出せない状況ではございますけれども、一つには、保険料徴収がどうなっていくのかといったこと、それから、実際に保険料が幾らになるかといったことなどを的確にお伝えしなければならないと考えております。そのほかにも、実際に申請をどうするかとか、それから、新たに負担がふえる方についてどういう状況でどうふえますといったようなことについても、的確にお伝えしなければならないと考えております。
 現在、広域連合で、これまでの進め方でございますと、保険料の設定などについて今作業を進めているところでございまして、そうした作業が終了した段階で、恐らく今月末から来月初めぐらいと今のところは見ているわけでございますけれども、県としましても、新聞紙面等を活用しながら広報に努めてまいりたいと思いますし、広域連合等でもリーフレット等をつくって広報に努めていくこととしているところでございます。いずれにいたしましても、この制度の概要が、できるだけ利用者である高齢者の人たちにわかりやすいようにしていくための努力を重ねていきたいと考えております。
 保育料の軽減についてでございますが、国レベルでまずは検討すべきだと申し上げたわけでございますけれども、財政状況が非常に厳しい中にあって、どのような子育て支援策を構築すべきかということはよく考えて議論していかなければならないと思っております。かつては保育サービスを中心とした子育て支援ということを私ども展開してきたわけですけれども、ここ二、三年、先ほどお尋ねにありましたようなワーク・ライフ・バランスといった視点も入れてきているところでございます。また、全体的な施策の中で、経済的な支援が果たしてどれだけの効果があるかといったことも十分に議論しなければならないと考えております。そうした中にあって、少子化は岩手のみならず、国全体としての課題でもあるわけでございます。国が市町村の保育料の負担の基準を決めているといった中にあって、国全体としての子育て支援という考え方の中で、まずは国レベルで保育料の負担のあり方ということを検討していただくのが基本的な筋ではないかと私どもは考えているところでございます。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 認定第1号平成18年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第45 議案第30号岩手県土地開発公社定款の一部の変更に関し議決を求めることについてまで
〇議長(渡辺幸貫君) この際、日程第2、認定第1号から日程第45、議案第30号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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