平成23年4月臨時会 第21回岩手県議会臨時会 会議録

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〇10番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘でございます。
 質問に先立ちまして、このたびの東日本大震災によって、本当に大変困難な状況に置かれた被災者の皆様方には心からお見舞いを申し上げ、また、とうとい命が犠牲になられた方々には哀悼の意を表したいというふうに思います。
 通告しております順番に質問してまいりますが、平成23年度岩手県一般会計補正予算に絡んで、さまざまな災害対応について幾つかお聞きをいたします。
 1点目は、災害対応における市町村との連携ということについてでございますけれども、今、飯澤議員からもいろいろな観点から市町村との連携の形について御意見が出されたところでございます。今回、3月11日の災害発生時から、本当に大変な想像を絶するような事態になった津波災害の被災自治体、それらに対する初動の対応、これはまず、何といっても救命を主眼に置いて取り組まれてきたわけでありますが、今日においては1カ月半を超えて、そうした状況の中から被災者、避難者への対応ということが求められて、今なお厳しい環境下に置かれている避難者について、県及び市町村が、それぞれ懸命の支援策を講じてきているということについて、心から敬意を表したいというふうに思います。
 長期に及ぶそうした避難者の避難生活においては、依然として避難所あるいは在宅での避難、さらには一時避難等さまざまな形の中で避難者がいるわけでありますけれども、その対応については多くの課題が山積をしているというふうに思われます。
 そこで、何といってもこういった応急対応について、まだまだそれぞれの被災自治体においてもさまざまな格差といいますか、復旧、復興の速度、スピードが、それぞれの被害の状況、実態の中で差が生じてきているわけでありますけれども、そうしたときに、何といっても第1の課題になるのがマンパワーの不足ではないのかなというふうに感じております。被災自治体と一層連携を強め、応急対策あるいは被災者への支援、行政機能の回復などの取り組み、被災自治体の現場職員の、この1カ月半を超える中での大変な過重な負担、こうしたものを解消していく対応など、支援のあり方がまだまだ問われております。県及び内陸部から今後さらに中長期にわたった視点に立って、こうした被災自治体あるいは現場におけるマンパワーの確保、さらに指導体制というものが一層強化されることが求められているというふうに思うのですが、こうした地域や現場のニーズ、そうしたものをどう認識をされて、それらの体制にどのように対応していくのか、まず、第1点お伺いしたいと思います。
 2点目は、復興対策体制のあり方についてでございますけれども、今回設置されました復興本部及び復興局でございますが、災害対策本部と併設する形の中で新たな復興に向けた具体的な検討がなされるということでありますが、具体的に、改めてその役割、その機能をどういう形で持つ組織なのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。また、さきに立ち上げた復興委員会は、復興本部や復興局との関係についてはどのような形になっていくのか、お尋ねをしたいと思います。
 さらに、被災自治体における自治体独自の復興計画の策定が検討されているわけでありますけれども、そうした各自治体とのいわゆる復興に向けた政策調整、あるいは計画のタイムスケジュールを含めた整合性などについては、どのような対応をしていくおつもりなのか、お伺いをしたいというふうに思います。
 そして、本県の復興計画と国の復興構想会議が、6月を一つのめどに同時期の策定というふうなことがそれぞれの方向として示されているわけでありますけれども、被災地の方針がまずしっかりと先行される中で、国に対してあるいはこの復興構想会議の中に、被災県の思いやこうあるべきという考え方を反映させるということが重要だというふうに思うんですけれども、同時期のこのタイミングというのは果たしてどうなのかなというふうに疑問も感じます。その辺のところの対応についてはどう考えているか、まず、この関係についてお尋ねします。
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 復興本部と復興局の役割と機能についてでありますが、まず、岩手県東日本大震災津波復興本部は、震災からの復興に向けた施策を全庁的に一体的かつ横断的に推進するために、知事を本部長としまして、部局長等を構成員とする体制を整備して復興施策の総合的な調整等を行おうとするものであります。そして復興局については、復興に関する取り組みを迅速かつ強力に推進するために、復興計画推進の司令塔の役割を担いますほか、特に部局横断的または新たな視点での対応が必要となる分野を専属で担当する組織として設置したものであります。例えば、復興計画の策定などのプランニング業務、また、新たなまちづくりや水産業を核とした産業再生の計画立案、被災された方々からの相談対応や生活再建に向けた支援などの分野を主に担当いたします。
 復興委員会でありますが、これは、復興ビジョンと復興計画の策定に当たって専門的な観点からさまざまな意見、提言をいただくために設置したものでありまして、復興局がその事務局を担います。また、復興委員会のもとに設置される専門委員会等については、復興本部を構成する各部局が事務局を行うこととしております。
 次に、被災自治体との政策調整と国の復興計画への反映等ということでありますけれども、県の復興ビジョン、復興計画の策定に当たりましては、被災市町村の復興計画とも十分整合性を図りながら進めていく必要があります。そのため、復興ビジョン等について、県内各界、各分野の有識者から御意見をいただくことを目的に設置した岩手県東日本大震災津波復興委員会におきましては、沿岸市町村復興期成同盟会からもその会長に委員として参画をいただいておりまして、さまざま御意見をいただいております。また、被災市町村とは、今後のビジョン策定過程において意見交換の場を設けるなど、さらに意見の反映に努めていくこととしております。
 一方、国の復興構想会議においては、6月末をめどに第1次提言を取りまとめるとしておりますが、この会議には、私が被災県の知事として参画をしておりまして、これまで本県の被災状況や復興に向けた基本的な考え方等について発言をしてきております。
 今後も、本県での議論を先行させながら、国への提言に本県の考え方が反映されるよう努めていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
〇政策地域部長(千葉茂樹君) 災害対応における市町村との連携についてでありますが、庁舎の損壊や職員の被災などによりまして行政機能が大きく損なわれました市町村に対しましては、行政機能回復のための人的支援が極めて重要であると考えているところでございます。特にも、被害の大きゅうございました陸前高田市、大槌町につきましては、発災直後から避難所の運営や物資搬送業務などを中心に、県及び県内外の自治体から緊急的な人的支援を行ってきたところでございます。その後、一部行政機能が回復してきましたこと、あるいは多くの自治体からさらなる派遣の申し出等がありましたことから、当該団体の中長期的な具体的ニーズを把握した上で、人的支援を充実することとしたところでございます。
 具体的には、国、県市長会及び県町村会と連携を図り、県のほか県内外の市町村からも御協力をいただきながら、保健師、土木技術職などの専門職や窓口業務対応の一般事務職などを中心に、5月から本年度末まで陸前高田市には51名、大槌町には18名をそれぞれ派遣することとしているところでございます。また、その他の被災市町村につきましても、同様に人的支援に係るニーズを確認しながら現在調整を進めておりまして、準備が整い次第、新たな派遣を開始することとしております。
 今後も、被災市町村のニーズの変化に対応いたしまして、必要な人的支援を行っていきたいと考えております。
〇10番(木村幸弘君) そこで、マンパワーの確保を含めたいろんなこの1カ月半余の県としての災害対策本部の体制や、それから現地におけるさまざまな市町村との連携をとりながらの活動、いろんな取り組み─確かに我々も想像を絶するような大変困難な状況、災害の実態でありますから、いろんな混乱もあるいはその手だてや方法をめぐっていろんな議論が現場ではあったんだろうというふうに思います。そうした中で、県としての役割、機能という点で言えば、その体制あるいは指導力において我々の耳に届くのは、県の対応に対する厳しい意見ということが入ってくるわけであります。本部の機能、あるいは各広域振興局の対応、さらにはそれぞれの行政センターの役割、そして市町村との連携を含めた現地における実態の把握、そしてその時点での適時適切な判断や責任能力に基づくスピード感あふれた具体の指導の体制、あり方、そうしたものが随分問われてきた1カ月半でもあったのではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、現場の実態あるいは全体の支援の姿が見えないという状態の中で、県の対応は踊らされていると言えば語弊があるかもしれませんけれども、そのときその場で、いろんな対応に振り回されながら動いてきた部分が多々あったのではないか。そういった問題点を踏まえながら、今回新たに立ち上げた組織は、まさに復興に向けての対応を中心にしていきますけれども、同時に、いろんな復旧も含めた支援は依然として必要でありますから、そうしたところをこの間の教訓あるいは現場における問題点をどうしっかりととらえて、それをこれからの組織的な取り組みとして生かそうとしていくのか、その点について改めてお伺いしたいと思います。
〇総務部長(加藤主税君) これまでのさまざまな対応につきまして、かなりの災害であったというふうなこと、あるいはこれまでにない経験でございましたことから、いろいろな対応につきまして、教訓といいますか反省点等出てきております。まだまだ現在進行中のところがございまして、その辺のところをすべて検証できたわけではございませんが、これまでの経験等を生かしつつ、あるいはこれまで得られた教訓等も踏まえながら、今後の体制構築あるいは進め方には工夫してまいりたいと思いますし、そういった中で、振興局でございますとか、あるいは市町村との連携というものには、一層、意を用いてまいりたいと思っております。
〇10番(木村幸弘君) 最後になりますけれども、国への要望、課題に対して、今回の補正予算との関連性というか、そういった考え方についてお伺いします。
 4月22日に、国に対する県からの要望が提出をされております。今回の補正予算において、特に救助費に重きを置いた計上がなされているわけでありますけれども、災害救助法の対象となる経費について、現行の制度上、本県の負担が多額になるというふうなことも想定されるわけであります。対象とならない経費など、現行制度上の問題点をどのようにとらえているのか、そして、国に対する要望とそれに対する国の対応状況がいかがな状態になっているのか、お伺いをしたいというふうに思います。
 また、あわせて、この要望事項には、経済産業省に対して、原発事故関連で、本県のモニタリング監視機能強化について財政支援を求めている内容がございます。これは、すなわち、本県の対応として県民の安全・安心を確保する観点から、みずからこの監視機能強化を図っていくという積極的な対応という考え方に基づくものであるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
 そして最後になります。これは質問というよりは御意見にさせていただきます。直接の補正予算には絡んでいないわけでありますけれども、被災に伴う岩手競馬の対応についてでございます。
 今回の震災によって甚大な被害を受け、今年度における競馬開催時期の目途について、さきの説明会においても、5月14日盛岡開催の予定ということで、4月中には決定したいという説明がございました。まだ、しかし管理者としての明確な意思表示が示されていないということであります。したがいまして、今の馬資源の確保あるいは厩務員の雇用維持問題などにも多大な影響を与えることから、一刻も早く管理者としての明確なメッセージというものを示していただくように、この点については強く要望申し上げたいと思います。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 災害救助法に係る現行制度の問題点と国への要望についてでありますけれども、災害救助関係経費につきましては、被災県に対し、その標準税収入を勘案した上で、実際に支弁した費用の額に応じて国庫負担金が交付されますが、今般は、その規模から見て、国庫負担割合が9割に近いものになると見込まれております。残る地方負担分約1割については、手厚い地方財政措置によりまして実質的な負担が軽減されることとされておりますが、県の一部負担が残ること、それから救助に必要であるものの国庫負担の対象とは認められていない経費があることが問題であるというふうに考えております。このため、被災者の救助に要する経費等をすべて災害救助法の対象とするとともに、全額国庫負担による支援を行うことなどを国に要望した結果、例えば、一例でありますが、これまで遠隔地への一時移送に関して弾力的な運用が認められるなどの改善が見られたところでございます。しかしながら、県の一部負担の解消が実現していないことや、対象経費のさらなる拡大が必要であることから、4月22日に改めて要望を行ったところでありまして、今後とも、機会をとらえて改善を求めてまいりたいと考えております。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 原発事故に関する本県の対応についてでございます。
 原子力政策につきましては国の専管事項でございまして、今回の原子力災害につきましても、国の責任におきまして必要な措置を講ずるべきものと考えております。
 本県は広大な県土を有しておりますことから、現在、定点監視を行っております盛岡市を含む複数箇所で環境放射能の測定が行われるよう、国に対しては要望しいるところでございます。
 また、県では、国からの要請に基づき、盛岡市において空中の放射線量を示す空間線量率、並びに降下物及び水道水に含まれる放射性物質を毎日測定し公表しているほか、独自に一関市、大船渡市、宮古市の上水道についても測定し公表しているところであります。
 今後、事態の収束まで相当の期間が見込まれますことから、県が独自で監視体制を強化することも想定いたしまして、国によります適切な財政支援のあり方について、あわせて御提案をしているところでございます。
 なお、環境放射能の測定結果についてでございますが、各項目とも全般的に沈静化、低下の傾向にございまして、直近の盛岡市の空間線量率につきましては、発災前のいわゆる平年ベースの水準でございます。また、盛岡市、一関市、大船渡市、宮古市の水道水につきましても、直近のデータでは放射性物質は測定されていないという状況でございます。
 県といたしましては、県民の安全・安心を確保する観点から、環境放射能の監視を継続するとともに、近県における測定結果等を注視しながら、必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、斉藤信君。

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