平成23年4月臨時会 第21回岩手県議会臨時会 会議録

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〇25番(飯澤匡君) 地域政党いわての飯澤匡でございます。
 このたびの東日本大震災、未曾有の大震災でございました。各般にわたり、復興にそして復旧に当たられるすべての方々に敬意を表したいと思います。
 議案第3号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第2号)について質疑を行います。
 この予算は、東北地方太平洋沖地震による被災者の支援や現地の復旧、復興への対応に当面必要になる予算を計上したものであります。県のこれからのありよう、そしてまた復興への対応という点に重点を置きながら質疑をいたします。
 補正予算中、まず、応急仮設住宅の整備に関して伺います。
 県は、1万8、000戸の応急仮設住宅を建設する予定でありますが、現時点では多くの被災された住民は一時避難所に避難しており、初動体制から抜け切れておりません。現在提示されている建設に向けたスケジュールは、7月末までには完了するとのことでありました。7月末となりますと、体育館等にこのまま収容を続けた場合、避難者の健康被害、学校教育活動への支障が予想されます。仮設住宅に入居を希望されている方は、単純に全員入れるものと思っていると聞いております。入れない被災者はどうなるのでしょうか。
 1次避難所から2次避難所までの移行計画はどのように検討されておりますか、お伺いいたします。
 2次避難所への移行と被災地自治体のまちづくり構想は、一体化を図りながら進めていかなければなりません。そうしなければ、住民の不安は払拭されないと思います。2次避難所への移行とまちづくり構想の時系列的な整合をどのように図ろうとしているのか、お聞きします。
 県は、現在、復興委員会に外部委託をして─表現が適切であるかどうかはわかりませんが、現在、大局的な構想を示しておりません。このような構想が早くから県側から示されておれば、被災地に隣接している自治体への移動は円滑に進んだと思われますが、いかがでしょうか。
 次に、被災者支援についてお伺いします。
 内陸部避難所の支援体制について伺います。
 2次避難所への支援体制はどうなっているでしょうか。隣接市町村との連携はどうなっていますか。また、これからどのような体制で臨まれようとしているのか、お伺いします。
 次に、雇用対策、産業復旧関係についてお聞きします。
 先般、県は国に対して要望を出されましたが、産業育成について、国の制度要望以外に、県としてどのような県独自の産業支援策を講じたのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、国の2次補正予算に向けた本県の取り組みについて伺います。
 8月のお盆前ぐらいに想定される国の2次補正予算は、被災地の災害復旧から、今度は創造的なまちづくりや産業の柱立てから振興へと移行されるものと考えております。本県のグランドデザイン構築のスケジュールはどのようになっておりますか、お尋ねをいたします。
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の質問にお答えいたします。
 まず、産業支援策についてでありますが、震災後直ちに県単融資制度の拡充、拡大や返済猶予、保証料補給補助等を行うなど、金融面での支援策を講じました。また、県内金融機関に対しては、被災中小企業等の資金繰りについて迅速、柔軟に対応するよう要請をしてまいりました。また、商工支援団体等とともに個別企業への経営相談等を実施し、ハローワークと連携を図りながら、雇用調整助成金や雇用保険給付の特例措置などの周知に努めています。さらに、副知事及び担当部長等により、被災した企業等に対するお見舞い並びにフォローアップを行い、復旧、復興に向けた支援に係る要望を受けているほか、被災者からは、働く場を求める声等を多く聞き取っています。
 このような被災現場の声を受け、中小企業等の早期事業再開を目的とした現有店舗、工場等の修繕や再建支援となる直接的な補助制度を新たに創設したところであります。今後においても、引き続き現地企業等の声を聞きながら、必要な支援を行ってまいります。
 次に、グランドデザインのスケジュールという御質問についてでありますが、被災地については、まずは被災者の目線に立った生活再建支援を進めることが重要でありますが、それと同時に、被災地の方々に地域の未来の設計図を提示し、今後の生活に希望を抱いていただくことも必要であります。そこで、県として、まちづくりなどのグランドデザインとなる復興ビジョンと復興計画を策定することとしております。
 復興ビジョンにつきましては、岩手県東日本大震災津波復興委員会において御議論いただきながら、6月をめどに策定することとしています。
 今後、国において、2次補正予算の編成作業が本格化すると予想されますことから、復興委員会での議論も踏まえ、被災地の復旧、復興に必要な事業等が当該予算に反映されるよう取り組みを進めてまいります。
 また、復旧、復興に向けたまちづくりは、市町村が主体となって進めていくものでありますので、被災市町村が策定する復興計画等について、その策定支援を行うとともに、県の復興ビジョンで提示する復興の考え方なども参考にしていただきたいと考えています。
 なお、復興ビジョン及び復興計画の期間については、復興にはある程度の期間を要することから中長期的なものを想定していますが、復興委員会の意見も伺いながら、今後定めていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、仮設住宅建設までの間の対応等についてでございますが、初期の避難体制におきましては、指定された避難所以外の施設への避難や、指定避難所であっても過密な収容などによりまして、沿岸部におきまして、3月30日現在で最大349カ所の避難所に2万6、512人が避難していたところでございます。県としては、被災者の生活環境の向上を図る観点から、内陸部宿泊施設への一時移動を進めた結果、4月25日までに計1、820人の方が移動されたところでございます。
 こうした取り組みに加えまして、ライフラインの復旧に伴う自宅等への移動や一部の市町村による避難所の集約化等により、4月25日現在で避難所は314カ所、その避難者は1万5、980人に減少しているところでありますが、今後とも被災者の要望を伺いながら、必要に応じて内陸部への一時移動を実施することとしております。
 また、依然として多くの方が避難所での生活を余儀なくされていることから、県としては、これまで避難所における生活環境の向上について支援してきたところでございますが、今後とも、日々刻々と変化する避難所の状況の把握に努め、市町村等と連携しながら、必要な支援を早急に行っていくことといたしてございます。
 次に、2次避難所への支援体制についてでありますが、現在、一時移動事業の対象となる宿泊施設が所在する市町村では、県や地元社会福祉協議会等と連携し、宿泊施設内において一時移動者の日常生活や生活再建に向けた相談に職員が応じることとしているほか、市町村保健師による福祉、医療に関する相談や、介護的ケアを必要とする場合におけるケアマネジャー等の派遣も行っているところでございます。また、市町村におきましては、当該市町村のみで被災者の対応が困難な場合に、隣接する市町村と連携して相談体制を整えている例もあるところでございます。さらに、応急仮設住宅の入居募集など、住民向けの情報を県に提供するよう地元市町村に依頼しており、県からのお知らせなどの情報とあわせ、被災者が避難している宿泊施設に対し、ファクスや郵送により随時提供をいたしているところでございます。
 県といたしましては、今後とも、関係市町村が適切な避難所運営ができるよう、このような取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(若林治男君) 2次避難所への移行と被災自治体のまちづくり構想の時系列的な整合についてでございます。
 まず、被災市町村のまちづくり構想の策定は、被災者の仮設住宅への移行と並行して進められるものと認識しております。
 仮設住宅につきましては、4月29日の今着工見込みが立っておりまして、7、854戸が着工予定であります。順次これが完成していきますので、完成するたびにそこに応募していただいた方々に入っていただくということになります。
 各市町村のまちづくり構想の進捗は、被災規模や産業、経済の状況及び地理的、地形的条件等によって異なるものと思われますが、県としては、土木部及び土木センターの職員の増強、専門家の派遣等を通じて市町村を支援しているところであります。
 県でも、復興ビジョンの策定を進めておりまして、県の復興委員会の議論を踏まえながら、それぞれの市町村におけるまちづくり構想の早期の策定に資するよう、相互に情報共有を図ってまいりたいと思います。
〇25番(飯澤匡君) ただいま質問した項目については、県のありようであるとか、これからの復興へ向けた県の明確な意思の表示という意味で、集中的に質問した項目でございます。
 どうしても同じ災害を受けた宮城県との比較になってしまいます。宮城県は、ほぼ岩手県の倍の被災者、そしてそのような被害を受けております。構想会議においても、宮城県は明らかに自分たちが考えたかなり大胆な策を国に提示しながら、そのたたき台となるものも県民に同時に私は示していると思います。
 これまでの県の動きを見ていると、どうしてもスピード感に欠ける。これは何に起因するのかと私なりに考えてみましたが、どうも平時のような積み上げ型に終始しているのではないかという感を持っております。先ほど申し上げた宮城県を例にいたしましても、県の執行部が非常にエンジンとなって、さまざまな中長期的なプランを10年間のプランで具体的に示しております。
 先ほど質問に挙げた被災者の2次避難所への移行についても、あらかた県の中長期的なスケジュール、それらを県民に示した上にすれば、避難所からあぶれた人たちも、このような格好で県は進んでいくんだなと、そういう実感があると思うんですが、どうも本県はその点がなかなか県民に示されないし、私たちもその点についてなかなかイメージがわかないというのが現状です。どうしてこういう中長期的なスケジュールを出せないのでしょうか。
 私は先ほど申しましたように、宮城県が倍という被害額、そしてまたそういう規模を考えますと、どうも先手必勝で行っている宮城県に先を越されるのではないかというような危機感を持っております。また、港湾の集約等、大胆かつ具体的な計画の提示もまだ出しておりません。これらについてどのような考えをお持ちなのか、知事に伺います。
 2点目は、先ほど市町村行政との連携についてお伺いをしました。後方支援に既に回っている自治体から、県の縦割り行政、情報精度の甘さ、仕組みづくりの詰めの甘さ、そして広域振興局の対応の姿が見えないことが指摘をされておると聞いております。このたび、県は復興局という組織を新たに立ち上げたわけですが、これらの問題について知事はどのような認識を持ち、復興局でどのような対応をしていくのか。県は一緒になって復興しようという意思が、どうも市町村側から感じ取れないという声も聞きます。その点もあわせてお伺いします。まず、2点お伺いします。
〇知事(達増拓也君) 二つ再質問をいただいたと思います。一つ目は、復興ビジョンのつくり方に関する質問というふうに理解をいたしますけれども、県の復興委員会は、津波防災や都市計画の専門家の皆さんに参加いただいた津波防災技術専門委員会も設け、この12市町村それぞれの津波被害の状況について、かなり技術的、科学的な調査検討を行っていただき、その内容も国の復興構想会議で提示をし、大変参考になるというふうな評価をいただいているところであります。そうした技術的、科学的な被災状況の調査検討に基づきながら、それぞれの地域における経済的、社会的な要請、また、オール岩手としての水産業、商工業等社会的要請、そういった声をいただきながら、6月をめどに復興ビジョンを策定してまいりたいと思っておりまして、その中では、個々の市町村に参考いただけるような具体的なものもきちんとお示しをしたいと思っております。
 もう一つ、復興ビジョンに関してと─その前に、二つ目の質問に対する答えを先に述べさせていただきましょう。
 二つ目の質問は、1次避難所から2次避難所への避難を例にとりながら、市町村と県との連携について御質問いただいたかと思いますけれども、発災直後から県職員を各市町村に送りまして、県、市町村が一体になり、また、そこには自衛隊を初め国からの派遣の職員も一緒になり、市町村、県、国が一体となって、被災者お一人お一人に寄り添っていくような体制ができたと思っております。そうした中で、被災者それぞれコミュニティのまとまりを生かしながらやっていきたい、また、コミュニティは大切にしたいけれども、子供の事情やさまざまな仕事の関係から世帯として行動しなければならない、そういったさまざまな被災者お一人お一人の事情に、市町村、県、国が寄り添いながら被災者の衣食住を確保しながら、また働きたい、学校に子供を行かせなきゃならない、そうした事情にこたえるような体制できていると思っております。
 共同作戦、行動でございますので、ああしたほうがいい、いや、もっとこうしたほうがいい、さまざまな意見が─これは見方によりますと衝突、対立しているように見えることが多々あるかもしれませんけれども、それぞれ被災者のためには、こうしたほうがいいんだ、いや、こういう手もあるじゃないか、いや、それはわからなかったがこっちにはこういう手もある、そうした担当者同士は激しく意見を戦わせながらも、被災者お一人お一人にきちんと、被災者お一人お一人のためになるようなやり方をこれからも進めていきたいと考えております。
 最初の質問への答弁の続きでございますけれども、そのような中で、国の構想会議では、低地の地盤を何メートルも高くするような未来都市のようなビジョンというか、技術的な、それは今日の技術で可能なテクノロジーということで紹介されていますが、また、高台を空中バイパスでつないでいくような、これも、少なくとも私としては今まで見たことがないようなさまざまな提案も行われているところであり、そういったオールジャパン、あるいは外国人もさまざまそれぞれの市町村のためになるような具体的な提案をしたいという動きもあると聞いております。そうしたこともどんどん取り入れながら、それぞれの市町村が復興に向けて希望を持って進めるようにしていきたいと考えております。
〇25番(飯澤匡君) 私の期待する答弁は、県のこれからのありようだとか牽引力であるとか、大局的な見地において県がどうやって岩手県をつくっていくのかという、そういうイメージがわかないところで県の役割が今私は問われていると思うんです。残念ながら、知事からの答弁はミクロ的な答弁が主体でありまして、私は今までも道州制の議論やさまざまな点で県がこれからどうなっていくのか。これから復旧、復興となる部分に県がもう少し主体的にかかわっていく、そしてある程度たたき台となるそういうイメージ、そしてその方針、それを具体的に、かつ、スケジュールを入れた形でやっていかないと、どうも岩手県民は─確かに、復旧のために支援に回っているというほうに今時間を割かれているのは仕方のないことですが、ある一方で、県のデザイン力であるとかそういうものが問われていると思うわけです。したがいまして、再度要望になるかと思いますが、最後に所感を求めたいんですが、やはり県の牽引するエンジンがどこにあるのか。私は復興委員会に諮るのは、この時期においてどうなのかなという部分もございます。ここはもう平時じゃないんです。やはりスピード感を求められますので、県のもう少し主体的、なおかつ、明確なビジョンを早急に示しながらやっていただきたいと思うんですが、その点について知事の所感を聞いて質疑を閉じます。
〇知事(達増拓也君) 飯澤議員の問題意識はよくわかります。できるだけ早い段階で自分の住んでいるところがこのような形になる、それで、いつまでにそうなるということが早目にわかれば、そのほうがいいというのは全くそのとおりであると思います。そういうふうに努めてまいりたいと思います。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、木村幸弘君。

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