平成23年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成23年3月10日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    佐 藤   博
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査    岩 渕 伸 也
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
1説明員
  農林水産部長   小田島 智 弥
  理事    高前田 寿 幸
  農林水産部副部長
  兼農林水産
  企画室長    橋 本 良 隆
  農政担当技監   徳 山 順 一
  農村整備担当技監 須 藤 勝 夫
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  漁港漁村課
  総括課長    佐々木   敦
  競馬改革推進室長 松 岡   博
  技術参事兼
  水産振興課
  総括課長    寺 島 久 明
  農林水産企画室
  企画課長    小 岩 一 幸
  農林水産企画室
  管理課長    小 友 善 衛
  団体指導課
  総括課長    長 岡 栄一郎
  指導検査課長   小田島   新
  流通課総括課長  菊 池   寛
  農業振興課
  総括課長    杉 原 永 康
  担い手対策課長  千 田 牧 夫
  農業普及技術課
  総括課長    工 藤 昌 男
  農村計画課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  農村建設課
  総括課長     伊 藤 千 一
  農産園芸課
  総括課長    千 葉 泰 弘
  水田農業課長   小 野 正 隆
  畜産課総括課長  山 田   亙
  振興・衛生課長  千 葉 健 市
  林業振興課
  総括課長    堀 江   淳
  森林整備課
  総括課長    藤 川 敏 彦
  整備課長    阿 部 義 樹
  森林保全課
  総括課長    佐 賀 耕太郎
  漁業調整課長   五日市 周 三
  競馬改革推進監  菅 原 伸 夫
  競馬改革推進室
  特命参事    大 友 宏 司
  競馬改革推進室
  特命参事    平 野   直

  予算調製課
  総括課長    八 矢   拓
〇五日市王委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第2号から議案第22号まで、議案第27号、議案第29号、議案第30号、議案第32号から議案第35号まで、議案第38号から議案第40号まで、議案第42号及び議案第54号の以上33件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月2日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では、農業関係分野について、第2部では、林業関係分野及び水産業関係分野についてそれぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇小田島農林水産部長 農林水産部関係の平成23年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 予算の説明に入ります前に、昨日の地震と津波によります農林水産関係の被害状況について簡潔に申し上げます。
 本日9時現在で取りまとめたところ、水産関係で、津波により、大船渡湾、広田湾、両石湾及び船越湾の養殖施設が被災したとの情報を得ており、被害規模等の詳細について引き続き調査を進めているところでございます。
 また、農業関係や林業関係、漁港施設関係などでは現時点で被害を確認しておりませんが、引き続き被害がないかどうか調査を進めているところでございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、平成23年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 まず、本県農林水産業を取り巻く状況でございます。生産資材価格の高騰や不況等に伴う生産物価格の低迷による所得の減少など、農林水産業をめぐる環境は厳しさを増しているとともに、従事者の減少、高齢化、さらには耕作放棄地の拡大など、生産と生活の基盤である農山漁村の活力低下についても懸念されているところでございます。
 一方、農林水産業は、食品製造業、外食産業、運送業、流通業等、他の産業への波及効果が大きく、すそ野が広い産業であり、近年は、6次産業化の取り組みなど、農林水産業を軸に、地域の特色や強みを生かした新たな取り組みが展開され、内需主導型経済の振興基盤として、さらには雇用の受け皿となる産業として大きな役割を担っていくことが期待されております。
 このような状況にある中、平成23年度においては、国が展開する農業者戸別所得補償制度や、林業、水産業における直接支払制度、所得補償対策などの政策を十分に活用しながら、いわて県民計画に掲げる施策に重点的に取り組んでまいります。
 この計画に掲げる重点施策を申し上げますと、一つ目は、農林水産業の経営の高度化、生産の効率化などを重点的に支援するとともに、多様な担い手の参入や農地等の経営資源の有効活用を促し、農林水産業を担う経営体の育成を進めてまいります。
 二つ目は、全国トップレベルの安全・安心産地の形成を促進するとともに、高度な技術の開発や多様なニーズに対応した供給体制の確立などにより、生産性、市場性の高い産地づくりを推進してまいります。
 三つ目は、6次産業化や農商工連携、ブランド化の推進により農林水産物の高付加価値化を図るとともに、多様な販売チャネルの確立や情報発信の強化により販路の拡大を図ってまいります。
 さらには、農山漁村ビジネスの振興などによる岩手の魅力あふれる農山漁村の確立や地域協働による環境保全対策の促進、豊かな森林資源を生かした環境ビジネスの創出などにも積極的に取り組んでまいります。
 以上の施策に加え、喫緊の課題であります雇用対策につきましても、担い手の確保、育成対策と一体的に取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第2号平成23年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その2の7ページをお開きいただきたいと思います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の577億3、453万3、000円のうち、県土整備部所管分を除く575億9、503万6、000円及び9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の17億9、549万1、000円を合わせまして593億9、052万7、000円となるものでございます。これを前年度当初予算額と比較いたしますと、金額で57億3、641万2、000円、率にして8.8%の減となるものでございます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に説明申し上げます。
 予算に関する説明書の142ページをお開きいただきたいと思います。6款農林水産業費1項農業費でございます。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費でございます。また、説明欄中ほどのいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、他産業と連携した新たなビジネスの創出や加工、販売分野への進出など、農林水産業の6次産業化に向けた取り組みを支援しようとするものでございます。143ページに参りまして、2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し利子補給等を行うものでございます。3目農業構造改善対策費の都市農山漁村交流拡大事業費は、グリーン・ツーリズム等の交流人口の拡大を図るため、体験型教育旅行等の受け入れ態勢の充実や新たな交流モデルの構築を支援しようとするものでございます。次に、144ページをお開きいただきまして、4目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費等でございます。5目農業振興費の主なものでございますが、145ページの説明欄の上から三つ目、農業経営基盤強化促進対策事業費は、認定農業者等の経営基盤の強化を図るため、経営管理能力向上に向けた取り組みを支援するとともに、今回、新たに小規模な集落営農組織が経営規模拡大に向け、農地の集約等を行う場合に要する経費に対し助成しようとするものであります。また、その次の中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において農業生産活動を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件の格差の範囲内で交付金を交付する経費等であり、さらに、その次のいわて未来農業確立総合支援事業費は、本県農業の未来を担う認定農業者、青年農業者、集落営農組織等の経営基盤の強化、競争力の強い園芸、畜産等の産地形成、6次産業化の取り組みに必要な機械、施設等の整備に要する経費に対して補助しようとするものでございます。6目農作物対策費の説明欄の一番下、強い農業づくり交付金は、米、麦、大豆などの土地利用型作物について、生産性の高い営農システムの確立等を図るため、乾燥調製施設などの共同利用施設の整備に要する経費について助成しようとするものでございます。次に、146ページに参りまして、7目畑作振興費でございますが、説明欄四つ目のいわての新園芸産地構築支援事業費補助は、園芸主業型経営体を核とした体質の強い園芸産地づくりを推進するため、新産地確立に向けた新品目の導入や 低コスト流通等の取り組みを支援しようとするものでございます。また、その下の県北・沿岸施設園芸団地形成支援事業費補助は、県北・沿岸地域の気象特性を生かした園芸産地づくりを進めるため、担い手農家等の生産拠点となる施設園芸団地の形成に必要なハウス等の整備に要する経費に対し補助しようとするものでございます。8目北上奥羽山系開発費は、緑資源機構が北上、奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業に係る地元負担分の償還金などでございます。9目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査等に要する経費でございます。147ページに参りまして、10目農業協同組合指導費及び11目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費でございます。次に、148ページをお開きいただきまして、12目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であり、13目農業大学校費は、同校の管理運営等に要する経費でございます。
 次に、150ページをお開き願います。2項畜産業費でございます。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費等でございます。2目畜産振興費の主なものでございますが、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、日本短角種及び黒毛和種の改良増殖等を推進するために要する経費であり、151ページに参りまして、説明欄四つ目、家畜畜産物価格安定対策事業費は、肉畜経営の安定的発展及び食肉の安定供給に資するため、生産者補給金交付のための基金への支援に加え、今回、新たに日本短角種の肥育経営の安定化に向け、市町村等が造成する基金への積立金に対し助成しようとするものでございます。3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成、及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要する経費などでございます。次に、152ページをお開きいただきまして、4目家畜保健衛生費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する牛海綿状脳症防疫対策事業費のほか、家畜伝染病予防費が主なものであり、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費でございます。
 次に、154ページをお開きいただきたいと思います。3項農地費でございます。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等でございます。2目土地改良費の当部関係の主なものでございますが、説明欄の上から六つ目、経営体育成基盤整備事業費は、水田の大区画化や用排水路、農道等の整備を一体的に実施し、農作業の効率化等を図るとともに、担い手への農地利用集積を促進し、高生産性農業の実現と、それを担う経営体の育成を図るために要する経費でございます。また、下から四つ目の農地・水・環境保全向上対策事業費は、農地、農業用水及び農村環境の良好な保全等を図るため、自治会やPTAなど多様な主体の参画を得て、地域ぐるみで農地や農業用水等を守る活動を行う経費について支援しようとするものでございます。155ページに参りまして、3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の整備に要する経費でございます。次に、156ページをお開きいただきまして、4目農地調整費の主なものでございますが、説明欄三つ目のいわて農地再生プロジェクト緊急対策事業費は、耕作放棄地の解消を図るため、農協等に農地再生コーディネーターを配置し、耕作放棄地情報の収集、提供、市町村域を越えた農地の利用調整や仲介活動などを行おうとするものであります。
 次に、158ページをお開きいただきまして、4項の林業費でございます。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金等でございます。159ページに参りまして、2目林業構造改善対策費のうち、林業・木材産業構造改革推進事業費は、林業構造改善事業等により、施設等を整備した事業体等への経営指導に要する経費でございます。3目林業振興指導費の主なものでございますが、説明欄中ほどのしいたけ等特用林産振興対策事業費は、特用林産物の生産体制を強化するため、シイタケ等の基本栽培技術等の研修や新規参入者へのほだ木整備に対する助成、原木の安定供給に必要な資金の貸し付け等を行おうとするものでございます。さらに、その四つ下、搬出間伐実践地域ネットワーク創出事業費は、地域けん引型林業経営体と地域の建設事業者、林業事業体等とが連携した新しい担い手を創出するとともに、必要となる搬出間伐の技術向上や林内路網の開設技術の習得に向けた指導等を行おうとするものでございます。160ページをお開きいただきまして、説明欄中ほどの森林整備加速化・林業再生事業費は、森林の整備や間伐材その他の森林資源の利用を促進するため、間伐の実施、作業道の開設、間伐材の運搬、木材の加工、流通施設や木造公共施設の整備及び高性能林業機械の導入等を行う場合に要する経費に対し補助しようとするものでございます。4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要する経費等でございます。161ページに参りまして、5目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の間伐や作業道の整備に対し補助等を行おうとするものでございます。6目林道費は、地域森林計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の新設、改良等を行うものでございます。次に、162ページに参りまして、7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要する経費でございます。163ページに参りまして、8目林業技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費でございます。
 次に、165ページをお開き願います。5項水産業費でございます。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費でございます。次に、166ページをお開きいただきたいと思います。2目漁業構造改善対策費の水産経営総合改善事業費は、漁業生産の効率化等を図るため、漁協等の共同利用施設や省力化機器、施設等の整備に要する経費に対し補助しようとするものでございます。3目水産業振興費の主なものでございますが、説明欄中ほどの地域営漁計画推進特別対策事業費補助は、零細経営体のグループ化や、効率的な養殖システムの導入等を図る漁協の地域営漁計画を実行するために必要な機器等の整備に要する経費に対し補助しようとするものでございます。167ページに参りまして、説明欄三つ目のアワビ栽培漁業効率化緊急支援事業費補助は、アワビの漁獲量の拡大を図るため、漁業協同組合が行う種苗の優良漁場への集中放流に要する経費に対し補助しようとするものでございます。さらに、六つ下の漁業担い手確保・育成総合対策事業費は、漁業就業者を確保、育成するため、漁業協同組合が経営する増養殖場等を活用し、就業希望者の技術習得を図る取り組みを支援しようとするものでございます。4目水産業協同組合指導費は、漁業近代化資金等の貸し付けを行う信漁連などの融資機関に対し利子補給等を行うものでございます。5目漁業調整委員会費及び168ページの6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であり、7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費でございます。169ページに参りまして、8目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費でございます。次に、170ページをお開きいただきまして、9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であり、10目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費でございます。171ページに参りまして、11目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、豊かで潤いのある漁村環境の整備等を重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要する経費でございます。
 次に、大きく飛びまして、223ページをお開きいただきたいと思います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費でございます。1目農地及び農業用施設災害復旧費、2目林道災害復旧費、次のページをお開き願いまして、3目治山災害復旧費、4目漁業用施設災害復旧費、及び次のページに参りまして、5目漁港災害復旧費は、過年災害または現年災害の災害復旧事業に要する経費でございます。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その2にお戻りいただきまして、11ページをお開きいただきたいと思います。第2表債務負担行為の表中、6社団法人全国農地保有合理化協会が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、12ページの27土地改良施設耐震対策事業までの22件でございます。その内容は、社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、平成23年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが14件でございますが、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものでございます。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 21ページをお開き願います。議案第4号平成23年度岩手県農業改良資金等特別会計予算についてでございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ5億2、290万8、000円とするものでございます。
 22ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 23ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、2款就農支援資金貸付費は、円滑な就農を図るため、認定就農者に対し無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 24ページをお開きいただきまして、第2表地方債は、就農支援資金貸付費に充当するものでございます。
 25ページに参りまして、議案第5号平成23年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ36億6、305万6、000円とするものでございます。
 26ページをお開きいただきまして、歳入の主なものでございますが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等でございます。
 27ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理、保育や県債の償還等に要する経費でございます。
 次に、28ページをお開きいただきまして、議案第6号平成23年度岩手県林業改善資金特別会計予算でございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ13億1、511万8、000円とするものでございます。
 29ページに参りまして、歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 30ページをお開き願いまして、歳出の主なものでございますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し無利子資金を貸し付けようするものでございます。
 次に、31ページに参りまして、議案第7号平成23年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ6億9、885万円とするものでございます。
 32ページをお開きいただきまして、歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 33ページに参りまして、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従業者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 67ページをお開きいただきたいと思います。議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、かんがい排水事業ほか12事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものでございます。
 次に、72ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市町に負担させようするものでございます。
 次に、73ページに参りまして、議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、地域水産物供給基盤整備事業ほか2事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようするものでございます。
 次に、予算関係の条例について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その3の25ページをお開きいただきたいと思います。議案第27号岩手県農業改良資金等特別会計条例でございますが、これは、地方自治法第209条第2項の規定に基づき、農業改良資金及び就農支援資金の貸し付けに係る事業の円滑な運営及びその経理の適正を図るため、岩手県農業改良資金等特別会計を設置しようとするものでございます。
 次に、62ページをお開き願います。議案第32号国営土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例でございますが、これは、農地再編整備事業に係る負担金を徴収しようとするものでございます。
 次に、恐れ入りますが、100ページをお開き願います。議案第40号林業技術センター条例の一部を改正する条例でございますが、これは、林業技術センターが依頼に応じて行う構造体の強度試験について手数料を徴収しようとするものでございます。
 次に、議案第54号平成23年度一般会計補正予算(第1号)について御説明申し上げます。
 恐れ入ります、議案その4の3ページをお開きいただきたいと思います。議案第54号平成23年度一般会計補正予算(第1号)でございます。第1表歳入歳出予算補正の歳出の表中、6款農林水産業費の補正予算額5億1、215万3、000円と11款災害復旧費の補正予算額8億6、938万5、000円を合わせました総額13億8、153万8、000円を補正しようとするものでございます。これは、先般の気象災害への対応に係る平成23年度の事業実施に要する経費について補正しようとするものでございます。補正予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、予算に関する説明書の8ページをお開きいただきたいと思います。議案その2の次の下についております予算の説明書のほうでございます。6款農林水産業費5項水産業費3目水産業振興費は、定置網に被害を受けた漁業者等に対し、経営の早期安定化を図るため、所要の資金を貸し付けるための原資の一部を岩手県信用漁業協同組合連合会に預託しようとするものでございます。融資枠は20億円を見込んでおり、あわせて当該融資に対する利子補給をしようとするものでございます。
 次に、9ページに参りまして、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の4目漁業用施設災害復旧費及び5目漁港災害復旧費は、被災した漁業用施設及び漁港施設の災害復旧等に要する経費を増額しようとするものでございます。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入ります、議案その4の冊子にまたお戻りいただきまして、4ページをお開きいただきたいと思います。第2表債務負担行為補正の追加の表でありますが、一つ目は、融資機関と岩手県漁業信用基金協会とが締結する信用保証契約に対し損失補償を行おうとするものであり、二つ目は、定置網復旧緊急支援資金の償還において、漁業者等の負担の軽減を図るため利子補給を行おうとするものでございます。
 以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようにお願い申し上げます。
〇五日市王委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑がおおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部の農業関係について質疑はありませんか。
〇渡辺幸貫委員 さまざまな予算に関連するところの米の状況についてお伺いしたいと思います。
 平成22年産米については、議会で価格低迷とか生産者の所得低下を嘆く議論は皆さんからあったところでありますが、現在は、全国的にも新潟コシヒカリ、あきたこまちとか、既に販売契約が終了しているところがふえてきました。そして、今月中にも全国的にも売り切るんじゃないかというすごい勢いでございますので、本県の販売契約状況をお知らせ願います。
〇菊池流通課総括課長 平成22年産の県産米の販売契約状況についてでありますが、平成23年2月末現在で、全農岩手県本部の平成22年産主食用米の取り扱い数量は13万2、000トンでありまして、そのうち約11万1、000トンが契約されております。その契約率は約84%となっております。これは、早期に全量が契約されました平成20年産の同時期と同じ契約の状況でありまして、順調に販売が進んでいるものと認識しております。
〇渡辺幸貫委員 早期の契約が進んだ理由は、歩どまりの悪さからくる量の確保とか政府備蓄米の買い入れ18万トン、米穀機構によるえさ米処理17万トン等が考えられますが、改めて理由をお聞かせください。
 そして、契約が決まれば生産者側の在庫ではなくて卸、小売の在庫となるわけで、彼らは下落を待つ姿勢から、一転、価格維持となり、価格低下はなくなると思いますが、7月に実施の米のトレーサビリティー表示、レストランとかいろいろなところで、そんなことから、ミニマムアクセス米の主食用が例年大体10万トン前後あるように聞いていますけれども、そういう外米から日本産に転換が期待できるとも聞いています。全国的に転換量はどれぐらい見込めるのか、わかればお聞かせください。
〇菊池流通課総括課長 まず、平成22年産米の契約が早期に進んだ理由につきましては、第1点目といたしまして、全国的に平成22年産米は高温の影響による品質低下がございまして、1等米の比率が大幅に減少する中で、本県産米は、作柄、品質ともに全国トップレベルでありました。このことや、県南産のひとめぼれが財団法人日本穀物検定協会が実施します食味ランキングで継続して特Aの評価を獲得したということで評価を高めまして、需要につながったと考えております。
 さらに、委員御指摘のとおり、集荷円滑化対策の過剰米対策基金を活用した17万トンの飼料用米への処理、それから18万トンの政府備蓄米の買い入れにより需給が締まったことなどが要因であると分析しております。
〇渡辺幸貫委員 さらに昨年の秋、農家の戸別所得補償1万5、000円に加えて、今回、価格補てんの補償分1万5、100円は、本県のように正規流通、転作を守ってきた地域にとって危惧された昨年並み以上の所得、去年、さらに一昨年ぐらいの農家の所得が確保されたのではないかと考えますが、いかがですか。
〇小野水田農業課長 本年度の米モデル事業におきましては、昨年末までに定額部分の10アール当たり1万5、000円が交付されたことに加えまして、先月、変動部分の交付単価が10アール当たり1万5、100円と決定したことによりまして、平成22年産米の本県における概算金引き下げによる影響は緩和されるものと考えております。
 仮に、平成22年産の岩手ひとめぼれの1月末時点の平均相対価格を用いまして農家の手取り額を試算いたしますと、先ほど申し上げましたモデル事業交付金の収入を加えることによりまして10アール当たり約2万7、500円となります。これは前年に比較しますと約8、500円の増加となる見込みとなっております。
 今後の販売価格の推移によっては、この米生産農家の所得は変動すると見込まれておりますけれども、米をめぐる環境は依然として厳しいと認識しております。先般策定いたしましたいわて純情米の新たな生産、販売戦略を確実に実践することによりまして、県内の米生産農家の所得の確保を支援してまいりたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 さらに、今やっている農業者戸別所得補償制度では、平成23年度、麦、大豆、飼料作物など戦略作物の所得補償交付金も押しなべて10アール当たり約1万円上がって農家所得が向上するものと期待しながら予算の国会通過を待っているところでありますけれども、このような制度の充実によって、今まで転作に協力しない、いわゆるフリーライダーが多かった福島以南、関東とか、そういうところの米より生産者手取りが我々のほうが上回って、彼らも転作への参加、正規流通が図られ、ひいては繰越在庫の低下、適正在庫となって、下がり続けてきた米価は少し上昇する兆しが見えてきたのではないかと考えますが、そうとらえていいのか、県はどのように考えているのかお聞かせ願います。
〇小田島農林水産部長 米の戸別所得補償制度によりまして農家所得が向上することが全国の生産者に周知されれば、制度への参画が促され、生産調整への参加者が全国的に増加することが見込まれます。これに加えまして、委員御指摘のとおり、水田等での麦や大豆、飼料作物などの戦略作物の生産でも所得が増加するということであればこういうところへの誘導等が図られ、これらの制度の相乗効果によって国全体として国の生産調整機能が発揮されまして、その結果、米の需給の均衡が図られ、米価の安定につながっていくものと考えております。
〇菊池流通課総括課長 申しわけありません。先ほどの米のトレーサビリティーに関する部分につきまして答弁漏れがありましたので改めて答弁をさせていただきますが、外米から日本産米への全国的な転換量の見込みということでありますが、この米のトレーサビリティー制度では、本年7月から小売業者、外食産業者などに産地表示が義務づけられることになっております。この産地表示が義務化された場合、消費者の国産志向というものを反映して、外食産業者などでは国産米を使用する機会が今より増加すると考えられるところでありますが、外国産米から日本産米へ転換する見込みの数量については、事業者の判断によるところが大きいことから把握することが難しいものと考えております。
 なお、輸入することとされておりますミニマムアクセス米77万トンのうち、主食向けは平成21年産で見ますと11万トン輸入されておりましたが、平成22年産米では約3万7、000トンと大きく減少しております。
 その要因としては、国内産米の価格が下落して輸入米との価格の差が縮まったこと、及び委員から御指摘のありました米のトレーサビリティー制度の産地表示の義務化によりまして、外国産米を敬遠して国産米に回帰する動きなどがあるのではないかと聞いているところであります。
〇渡辺幸貫委員 さらに県等も働きかけていただきまして、平成23年度から政府がいわゆる棚上げ備蓄方式を実施されて、これは主食用以外の用途に使ってもらえるという大変ありがたいことでありますが、さらに欲を申せば、数量確定で豊凶の差が見込まれないと、これは予算的に計画しづらい面があってそういうことで進められているように見受けますが、回転備蓄で豊凶の差を少し取り込むような弾力的な方法でやっていただいて価格の安定化を図られるほうが生産者や消費者にとってよい方法ではないかと思ったりもしますけれども、政府に生産県として主張されていったらいかがかと考えますが、どうでしょうか。
〇小田島農林水産部長 今般の平成23年度の概算要求におきましては、いわゆる備蓄制度についての棚上げ方式について盛り込まれているところでございます。
 県としては、こうした備蓄制度本来の役割を踏まえた上で、平成22年産の米の需給均衡への影響が懸念される過剰米を市場隔離する手法として、棚上げ備蓄方式の導入に当たって、委員からお話のありましたとおり、政府買い入れを早期に前倒しで実施するように政府に申し入れ、緊急提案してきたところでございます。
 国のほうでは、昨年12月の予算内示におきまして棚上げ備蓄方式への移行を決定するとともに、移行に向けての準備として、平成22年産米18万トンの政府買い入れ決定を行ったことから、結果として過剰米対策となり、需給を引き締める効果があらわれたものと考えております。
 今後におきましても、新たな備蓄の方式が適切に運営されまして、米価の安定が図られるよう、県としても国の動きを注視しつつ、必要な意見、提言を行ってまいりたいと考えております。
〇菊池勲委員 3点ほど御質問させていただきます。
 私は、本県の農業の振興を図るために、まずもって農地や農業用水など生産基盤の条件整備が不可欠だと常々訴えてまいりました。現在は、県議会の有志議員らと現地視察や農業者との意見交換会あるいは研究会などを通じ、本県農業の発展方向に即した農業、農村整備事業の推進を図ることを目的とした岩手県議会農業農村整備推進議員クラブを組織し、43名の会員をもってその中の会長を仰せつかってまいりました。
 さて、国の農業関係予算は、平成22年度に対前年比で37%と大幅な削減がされ、昨年末に概算決定した平成23年度予算においても大きく回復することはなく、依然として厳しい状況にあると聞いております。こうしたことを見たり聞いたりしている農家は、事業工期の大幅なおくれや新規採択の見送りを心配しており、米価下落やTPPをめぐる議論も重なって、将来の営農に大きな不安を抱いているところであります。
 そこで私は、3月1日に議員クラブの役員6名と知事室を訪ね、知事、副知事、3人の関係部長に対して、国への予算獲得を働きかけてほしい、一括交付金の使い道の決定に当たっては、農業、農村整備事業に特段の配慮をしていただきたい、緊急的な県単独事業の創設をしていただきたい、地域が期待する新規地区を着実に採択することを要望してまいりました。そのとき知事からは前向きなコメントをちょうだいしてまいりましたけれども、改めてこの要望内容に対する県のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
〇須藤農村整備担当技監 岩手県議会農業農村整備推進議員クラブからの要望内容に対する県の考え方についてでありますが、農業、農村整備事業は、水田の大区画化や暗渠排水等による排水改良などによりまして、米の生産コストの低減や麦、大豆の品質や単収の向上を図ろうとするものでございまして、戸別所得補償制度の実効性を高めるためには欠かせないものと認識しております。
 また、県内各地から圃場整備事業や農業水利施設の補修、更新などを中心に、事業効果の早期発現や新規地区の確実な採択など、多くの要望が寄せられているところでございます。
 このため、国からの予算の確保に努めるとともに、さまざまな工夫を凝らしまして、限られた財源を有効に活用しながら、圃場整備や農業水利施設の保全対策に重点的に取り組み、我が国の食料供給基地としての責務を果たしていきたいと考えております。
 また、他県に比べて基盤整備がおくれている本県の実態を国や各方面に強く訴えながら、新規地区の採択についても積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇菊池勲委員 大変いつも御苦労をかけておりますけれども、今後ともよろしく御指導賜りたいと思います。
 次に、農作物の生産にとって、農地とともに水は欠かせないものである。命の水と言っても差し支えないと思っております。しかし、それを支える農業水利施設は昭和30年代、40年代につくられ、老朽化が進んでおり、聞くところによりますと、県内の基幹農業水利施設の約4割が耐用年数を超えそうだということであります。
 私ども県内の土地改良区は、農業用水を農地へ安定的に供給することを目的とし日夜努力している最中でありますが、もはや通常の維持管理だけではいかんともしがたく、抜本的な改修が必要な水利施設が多い現状であります。米価の低迷等々農業経営が厳しい中にあって、農家負担をできるだけ軽減させるなら、緊急の課題である水利施設の整備を進めていく必要があると思うのでありますが、県はどのように対応していただけるか、その方針をひとつお伺いいたします。
〇沼崎農村計画課総括課長 農業水利施設の老朽化対策という御質問をいただきました。
 現在、県内の基幹的な農業水利施設は、お話がありましたとおり非常に老朽化が進んでいるということでございますが、水路では全体で1、400キロメートル、河川から水をとる取水施設であります頭首工70カ所、それからポンプ場が50カ所となっております。平成22年度末─今年度末には、水路、頭首工の約3割、ポンプ場の約7割が耐用年数を超過する見込みになっております。
 県では、平成18年度に、土地改良区あるいは市町村など施設を管理する方々と一緒に施設の実態調査あるいは機能診断を行いまして、今後10年間に県営事業として措置すべき補修、更新対策を農業水利施設の維持更新計画として取りまとめました。この計画につきましては、毎年度、施設を管理する方々と一緒に現地調査を重ねながら見直しを行っておりまして、国営事業で整備を予定している施設も含めて、向こう10年間に補修とか更新が必要な施設の費用を現時点でおおむね800億円と見込んでおります。毎年平均にしますと80億円余りになると思っております。
 県としましては、まず、全面改修が必要な施設につきましては、これまでどおり施設の規模に応じて、国営あるいは県営等のより有利な事業を選択しながら導入し、県や農家の負担軽減を図ることを考えておりますし、また、定期的な機能診断、人間でいいますと健康診断を行いまして、緊急性の高いものから順次補修や部分更新を進めるといった手法も取り入れながら、国や地方の厳しい財政状況の中にあっても、できるだけ多くの老朽化対策を進めてまいりたいと考えております。
〇菊池勲委員 大変な状態であると思っておりますので、御苦労が伴うと思いますけれども、最善の努力をして、我々農村の身を守っていただきたいとお願い申し上げます。
 次に、私の土地改良区では、現在、国営事業の採択に向けて国の調査を進めてもらっております。大規模な農業水利施設の改修を行うための農家負担を軽減させるためには、補助率の高い国営事業の導入が一番と思っているところであります。しかし、昨年の米価下落や今般のTPP参加の議論もあって、施設整備のための新たな負担に対する農家の不安感、抵抗感がとても大きくなっており、中には、もう百姓をやめるから水利施設の整備などはどうでもいいと言う人も出ております。これらの発言は決して彼らの本心ではないと思います。農業に明るい兆しが見えないから農家は農業に対して失望し、命の水さえもないがしろにするような言葉を口にしているようであります。
 そこで部長にお伺いしますけれども、基盤整備を通じて地域の農業、農村を守っていくためには今後とも県の指導、支援が不可欠と考えるが、県の考え方と決意をお聞かせ願いたいと思います。
〇小田島農林水産部長 基盤整備を通じた農業、農村の振興についてのお尋ねでございます。
 いわて県民計画に掲げております食と緑の創造県いわての実現に向けまして、本県は、我が国の食料供給基地として、安全・安心な食料の安定供給とともに、水や緑、豊かな生態系といった自然環境の保全など、農業、農村が有する多面的な機能を将来にわたって維持していくことが必要だと考えてございます。
 そのためには、農地や農業水利施設といった農業生産基盤と、集落道など農村の生活環境基盤の整備を今後とも着実に推進していくことが必要だと考えてございます。
 農業、農村をめぐる情勢、あるいは国や地方の財政環境が厳しさを増す中で、整備を推進するに当たっては、土地改良区を初めとする地域の関係機関、団体や農家の方々と十分に話し合いを持ちながら、地域の農業、農村の将来展望を共有し、その実現に向けて一緒に努力していきたいと考えております。
〇菊池勲委員 私も県議会にお世話になってちょうど20年になります。農林水産部を含めて大変お世話になりました。だけれども、私の農業観からすれば、なかなかお世話になった割には私どもが日の目を見るような状態にはなっていないのが現状ではないかと思い、これからも努力を続けるつもりであります。
 4月29日までが県議会議員でありますけれども、30日から一県民として、そして一農民として精いっぱい努力してまいりたいと思います。今まで以上の御指導、御支援を賜りたいと思いますので、この機会をかりながら御礼を申し上げ、そしてまた、もし所感があれば部長から一言もらえれば大変ありがたいと思います。
〇小田島農林水産部長 いずれ議員という立場を離れられるというお話でありましたけれども、農業、農村の振興に向けまして、県としてもこれまで以上に頑張りたいと思いますので、これからもお力添えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
〇高橋博之委員 私からは、環境保全型農業1点に絞ってお尋ねいたします。
 まず、通告していた質問の前に、わかればちょっと確認をさせていただきたいんですが、環境と共生する産地づくり確立事業費というものがございますが、平成20年に、岩手県環境と共生する産地づくり基本計画というものを本県では策定しております。県の有機農業推進計画として位置づけたのは全国で2番目、それから、東北初の県版GAPの導入ということで、かなり意欲的な計画になっております。
 その際、五つの目標を掲げておりますが、1点目の目標、特別栽培、有機農業などの環境保全型農業に取り組む生産者の人数については政策評価レポート2010で確認できるんですが、なかなか達成が今、厳しい状況だと。理由についても書いていましたので理由はわかりましたが、今後、その課題を含めてどう解決して目標達成につなげていこうとしているのか、その点と、ほかの四つの目標の現時点での達成状況が今もしわかれば、教えていただきたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 有機農業の関係でございますけれども、有機農業につきましては、今、県内の取り組み事例をいろいろ調査させていただいております。いろいろな取り組み事例、パターンがございまして、なかなか県一様な技術の内容ではないし、技術体系も、まだまだ普及できるような技術になっていないところもございます。ですから、そういう技術のそれぞれの特徴がございますので、まず、その技術の内容を取りまとめさせていただいていると。
 そして、それをやれる方もまたかなり限られるのかもしれません。ですから、そういう事例を広く取りまとめまして情報発信したい、整理して発信したいと考えております。
 また、あと、普及センターにおきまして、そういう相談の場をつくってございますので、そういうところで、相談の機会をつくりながら対応させていただきたいと考えておるところでございます。
 それから、指標の関係でございますけれども、一つは、環境と共生する産地づくりの運動の中で、大きな指標を四つ掲げてやってございます。一つは、環境保全型農業の実践者数ということで、目標3万人と。3万人といいますのは、県内の販売農家の半分というところでございますが、現時点で、平成22年時点での数字でございますと2万7、400人、まず、おおむね順調に進んでいるのかなと思ってございます。
 それから、大きな内容の中でGAPの導入産地、それから、トレーサビリティーの導入産地の目標を50産地ということで考えて推進してきておりますけれども、GAPにつきましては、平成22年時点で61産地になってございます。これは、県版GAP、基礎GAPになりますけれども、県版GAPの推進ということで県内で61産地、それから、トレーサビリティーのシステムの導入ということで62品目ということで、これは、当初掲げておりました目標を達成してございます。
 それから、環境保全型農業の認知度の向上、これは、首都圏での認知度の向上ということで50%を目標にして取り組んでございますけれども、首都圏での把握手法がなかなか難しいのですが、県として取り組んだもの、その手法を用いますとおおむね67%。この手法といいますのは、いわて純情ファンクラブという仕組みがございますので、そこの中での把握の仕方になりますが、そういう取り組みになってございます。
 それから、環境保全型農業の県内での取り組みの県民の満足度の向上ということで、満足度80%を目標に取り組んでございます。これも把握の仕方がいろいろあろうかと思うんですけれども、当方とすれば、県民が広く当方が主催するようなシンポジウムを含めて参加していただいていますので、消費者も含めて参加していただいている中での把握ということになりますが、平成22年度では90%という数字になってございまして、これにつきましても、指標はおおむね達成しているのかなと。基本的には、生産部分については取り組みが順調に進んでいますし、消費者に対する理解度の部分につきましても、指標的には、ある程度達成しているのかなと。ますますこれを達成するように、向上するように努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋博之委員 ありがとうございました。おおむね順調に進んでいるということですが、さらに、この環境保全型農業の後押しをする施策が始まります。農地・水・環境保全向上対策の営農活動の支援を衣がえして創設されます環境保全型農業直接支払交付金ということで、平成23年度から予定されておるわけですが、これは、ある意味、切りかわるわけですが、市町村への周知も含めて、今後どういう取り組み方針で行っていくのか、そのスケジュールについてもお示しいただきたいと思います。
 きのう青森県のホームページを見たら、もう早速、3月7日付でこの施策についての告知がなされて、岩手県は、きのう見たら、まだ載っていなかったようなんですが、これは、初動がおくれてしまうと、やれ人事だ何だと、年度が変わって対応がおくれてしまうと後手後手に回ってしまうと思いますので、その今後の方針とスケジュールについて確認しておきたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 環境保全型農業直接支払交付金についてでございます。
 県ではこれまで、農産物に対する安全・安心のニーズの高まり、あるいは地球環境問題への関心の高まりということで、先ほど申し上げましたような環境と共生する産地づくりを推進してきております。
 これにつきましては、生産者、消費者と連携しながら進んできておりまして、その中で、今回、国から新たな交付金の仕組みが提示されているということで、県ではこれまで、市町村を対象にしまして、昨年11月時点で説明会を開催しております。
 さらに、国の予算が決定されましたので、これを受けまして、先週から県内10カ所で説明会をやっておりまして、今週で一通り終わる予定でございます。この説明会には、市町村、農協、土地改良区の方々、それから、農地・水・環境保全向上対策で取り組んでおります活動組織の方々、こういう方々に参集していただきまして、細部の説明をしてきております。
 ですから、仕組み上、4月から6月までの国への申請というスケジュールになってございますので、その前には、関係者への周知を徹底してまいりたいと考えており、今、取り組んでおるところでございます。
〇高橋博之委員 この環境保全型農業の場合、ハードルが高いわけですけれども、現在、県内の市町村の中で何集落が取り組んでいるのか、また、前回の農地・水・環境保全向上対策のときから、これに衣がえすることによって、例えば滋賀県では、対象農地が減る可能性があるということで、今、対策を練っているそうですけれども、本県では、その対象農地がどうなるのか、どの程度になると見込んでおられるのか、わかればお示しいただきたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 環境保全型農業交付金の対象となる取り組みは、委員御指摘のとおり、ハードルは高いと県でも認識しておりますし、県内での取り組み事例というのは限られた、あるいは限定的なものと承知してございます。
 例えばで申し上げますと、国が示しております取り組み内容は四つございまして、一つは、カバークロップということで、主要作物の前後に入れる作物のパターン、それから、早生栽培ということで、園地、果樹園なんかで草をまいて、そこで取り組むパターン、リビングマルチという、これは東北農業研究センターで開発した仕組みですが、そういうもの、それから、冬期湛水有機農業というような県内ではまだ取り組みの事例のないものでございます。
 そういうこともございまして、平成23年度におきましては、当方とすれば、交付金の対象が少ないものですから限りなく取り組みが限定される。したがいまして、新たな対象となる営農技術の展示圃を県内28カ所につくりまして、技術の確立実証、そして普及を平成23年度に図ってまいりたいということを考えておりまして、今、現地においてその場所を設定しながら、あるいは東北農業研究センターの支援を得ながら取り組もうということで、今、準備を進めておるところでございます。
〇高橋博之委員 これは部長にお尋ねしたいんですが、結局、とてもいい取り組みが始まるわけですけれども、その地域事情というものを無視して一律にやっているものですから、例えば、さっき冬期湛水の話もありましたが、現場から、そんなことを言われても、冬期間に厳しい積雪がある中山間地域や豪雪地帯では、冬期湛水の取り組みはそもそもできない。それで、同様の効果が期待できる多様な取り組みについても評価してほしいという声が、岩手県のような中山間地の多い地域では、私も現場でそういった声を伺うわけです。
 国に対して、やはりもっと地域の実情に合ったような対応にするように、今後、改善を求めていくことを考えていかなければ、せっかくの仕組みも岩手県に合わなければ意味がないので、その辺をぜひ働きかけていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇小田島農林水産部長 国の制度設計で一律の基準で行われ、それが仮に地域の実態に合わない、本県の実態に合わないというようなことで、その活用を図ることが難しいということであれば、やはり地域として意見を述べていく必要はあると思います。
 よく地域の方々の意見もお聞きしながら、必要な制度の改善、改正等については、提案をしてまいりたいと考えてございます。
〇高橋博之委員 よろしくお願いいたします。
 国に先駆けて、福岡県と滋賀県では、県独自で環境支払いをもう何年か前からスタートしておりますが、県独自の環境支払いについては、福岡県と滋賀県について、本県ではどのように評価されているんでしょうか。
〇工藤農業普及技術課総括課長 福岡県あるいは滋賀県、滋賀県の場合は、特にも琵琶湖が近畿地方の水がめだということで、かなり周りからの御協力もいただきながら、積極的な取り組みをされているということで承知しておるところでございます。
 本県での環境の取り組みということになりますと、冒頭申し上げましたとおり、環境と共生する産地づくりということで、農薬を減らし、あるいは肥料をできるだけ減らしながら、環境に優しい農業ということで今までも取り組んできておりましたし、その内容というのは、全国的にもかなり評価の高いものだと思います。全国的にも、そういうことを含めて消費地に向けてPRするような取り組みということでやってきているものでございますし、これからも引き続き、そういう取り組みをしてまいりたいと思います。
 直接支払いにつきましては、先ほど部長からも答弁ございましたが、本県の実情に合うものを選びながら、そして、それを国に提案し、できるだけ広く、多くの方々が取り組めるように、そういう取り組みを国に対してまず提案して、そして、取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 福岡県の環境支払い、直接支払いのユニークなところは、多面的機能そのものを直接支払いの対象としたところだと思いますが、その直接支払いによって、崩壊寸前にある中山間地域の我が国の農業を守っていく上には、EUや他の国々がやっているような膨大な財政支出がこれから必要になると思うんですが、問題は、この膨大な財政支出を行って中山間地域の農業と社会を守ることに対して、国民的な合意が得られるのかということが、これから最大のポイントになろうと思います。
 合意を得るためには、農業の多面的機能についても国民の理解を得なければならないわけですが、いかんせん、我が国において、ここが実に弱いところであります。その意味で、国に先駆けて踏み込んだ環境支払いに取り組んだ福岡県の事例というのは、私は、大変評価に値するものだと思っているんですが、この農業の多面的機能に焦点を合わせて、福岡県のような、生き物調査をした農家に直接支払いをするなどの取り組みについて、私は、本県でも一考に値する取り組みだと思っているんですが、部長、今すぐここでやる、やらないとは言えないと思うんですけれども、福岡県の評価についても含めて御所見をいただきたいと思います。
〇小田島農林水産部長 農業、農村を岩手県において守っていくというのは、非常に大切な取り組みであると思います。そういうことについて先駆けをされている県があるということでありますので、そういう状況等も踏まえて、さまざまに検討しながら、本県でどういうやり方をやっていくのかということを検討させていただければと考えております。
〇高橋博之委員 地球温暖化や自然破壊、そして生物多様性、こういったものも無視して農業ができない時代に入ってきました。他の先進諸国に比べて、日本の環境保全型農業は大分おくれていますが、その中でも岩手県は随分頑張ってやっていると思います。5年、10年たった後、これは必ず岩手県の優位性になると思いますので、ぜひ強力に進めていただきたいと思うんですが、この環境保全型農業のこれからの岩手県の中における位置づけに対して、どのように考えておられるのか、最後に確認をさせていただいて、質問を終わります。
〇小田島農林水産部長 環境保全型農業を本県は非常に大事にして取り組んできた歴史がございますし、それが、これからも必要な大きな柱であると考えております。したがいまして、いろいろな取り組みの方策はあろうかと思いますが、そういうものを先進的な県として、これからも守り、そして、さらに取り組みを進めていくという形で推進してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 岩手競馬についてお伺いしたいと思います。
 単年度の黒字に向けて大変努力をなさっていることはうかがえます。そこでお聞きするのですが、人件費の削減について、近年の動向と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇平野競馬改革推進室特命参事 競馬組合の人件費の削減の状況についてでございますけれども、私ども、平成18年度の新計画の策定以来、職員数の見直しというのを進めてきておりまして、平成18年度の53人から、平成23年度は約45%減の29人とするなど、大幅な削減を図っております。
 これらによりまして、人件費は一貫して減少いたしておりまして、平成23年度の当初予算におきましては、平成18年度に比べ約48%減の2億3、400万円という状況となっております。
 なお、加えまして、職員に支給する給与の水準につきましても、平成14年度からでございますけれども、独自の削減措置を講じております。平成23年度につきましては、3点ございますが、期末手当を職務の級に応じまして5から8割削減するということが一つ。それから、特別調整額、管理職手当でございますけれども、これを一律20%削減するということ。それから、給料の月額の減額支給、これは平成18年度に新給料表が導入になったわけでありますが、それに伴う減額分を補てんしないという措置の継続。これらを行っておりまして、これらの分を総合いたしますと、1年間で2、200万円程度の削減ということになるものでございます。
〇及川幸子委員 今いろいろ数字が示されたところですけれども、削減を結構なさって、努力はわかるのですが、競馬に関係している方々は、競馬組合の職員の給与を余り削減しないで、我々の分だけ随分削減しているというふうにとらえている部分があるんですね。ですから、もっともっと説明していかないと、せっかく職員の給与も下げている中で、説明が足りないのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
〇平野競馬改革推進室特命参事 私どもの給与の削減の状況につきましては、例えばのお話でありますけれども、今さまざまな関係者とお話しする機会もございまして、売り上げがこのくらい下がっているという中におきまして、物件費も相当下がっている、こういう説明の中で、やはり皆さんのほうからも、組合みずから人件費はどのように努力しているのだというお話もございます。そうした中では、やはり、このような実績がございますので、職員の人の削減を中心に人件費の削減をやらせてもらっているということにつきましては、御説明させてもらっているところでございます。
〇及川幸子委員 窓口業務に従事している方々も多く見られますが、その方々も今はかなり削減しているんでしょうか。
〇平野競馬改革推進室特命参事 人件費の削減という点では、窓口で働く従事員の方々は、単価を下げるということはいたしておりませんけれども、投票の窓口を縮小するということで、勤務する所要時間数を減らすということの中で、総体的に賃金を下げるというやり方をやってございます。
〇及川幸子委員 いろいろ従事している方々が誤解している点も随分あると思いますので、今後においても、説明する場面を多く持っていただきたいと思います。
 それから、水沢競馬場における土地借地分の削減の申し入れがあったと伺っております。その状況と、今まで下げてこなかったのか、借り上げ状況について伺います。
〇平野競馬改革推進室特命参事 水沢競馬場の用地の賃貸の状況でございますけれども、水沢競馬場につきましては、委員お話のとおり、約35万1、000平米ございますが、その3分の1が民間からの借用地でございます。これに対しまして、賃借料といたしまして4、000万円ほど年間にお支払いしているところでございます。
 用地の賃借料につきましては、今、水沢のみならず、すべからく見直しを行っているところでございますけれども、この水沢につきましては、平成17年度以降、5年間にわたり賃借料を据え置いてまいりました。
 その間に岩手競馬の売り上げが下がりまして、また、周辺の地価の評価額が平均で大体15から16%下落しております。こうした状況でございますので、昨年12月に地権者会に対しまして、平成23年度に向けまして、地価下落相当分の15%の賃借料の値下げをお願いいたしたところであります。
 その後の結果でありますけれども、一応、6度にわたって役員会や総会等の場で御説明申し上げまして、その結果、賃借料の引き下げの必要性につきましては、おおむね御理解いただけたものだと思っております。ただ、どのぐらいにするのかということにつきましては、まだ最後の詰めが残っておりまして、今それを精力的に行っているところでございます。
〇及川幸子委員 こういう大変な時期なので地代もいたし方ないかとは思いますけれども、おおむね了解と答弁いただきましたが、何か地権者の方々とお話しする中で、大変な不満を持っております。六十数名、地権者は何人いましたか。
〇平野競馬改革推進室特命参事 地権者会のメンバーは101名と伺っております。
〇及川幸子委員 やっぱりもう何十年と、その方々が土地を提供したおかげで岩手競馬もなさったわけです。やっぱりトップの方がオーケーされても、その101名という大きな組織だと思っておりますので、これは、今後においてももっともっと理解を深めていかなければならないと思うんですね。今、大変だから地代を下げるというその経過、今までもこうだったんだけれども、5年間は据え置きということでしたが、その説明がまだまだ足りないのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇平野競馬改革推進室特命参事 地権者の方々にいたしますと、5年前は下げた経緯もございますので、またかという思いが確かにおありでございました。ただ、その中で、私どもといたしましては、やはり売り上げが当時からもう4割も減っているということ、それで、その中で地価も15%落ちているということ、そして、他の物件費につきましても同じく4割程度はもう下げていただいている。そういった状況も総体的に御説明申し上げまして、何とか15%ということでお願いしたいということで、今やっているところでございます。
〇及川幸子委員 私は、地権者の会に昨年呼ばれまして、お話をした中で、地権者の方々は、岩手競馬に対して、入場を勧めて、競馬に行ってくださいという動きが全くなかったのを覚えております。
 まず、こういう地代を下げられて不満の状況なんですけれども、地権者自体、101名のその団体が、まだまだ岩手競馬に関心を持っていないのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇平野競馬改革推進室特命参事 私どもといたしましては、地権者の方々は地元の方でありますので、ぜひに入っていただきたいという思いは強いわけでございますけれども、そういった思いも含めまして、地権者の方々には、割引券といったこともございますので、そういったものをお渡ししながら、入場促進いたしているところでございます。
〇及川幸子委員 入場促進を積極的に呼びかけていただきたいと思います。
 最後になりますが、入場者に対して、途中退場、再度入場する際のチェックを今どのようになさっているのかお伺いいたします。
〇平野競馬改革推進室特命参事 再チェックのやり方でございますけれども、まず、原則論を先に申し上げさせていただきますれば、競馬開催の本場におきましては、法律によりまして、入場料を徴しなければならないとなってございます。このため、一たん退場して再度入場するという場合におきましては、本来であれば、改めて入場料をいただくというのが建前でございます。
 しかしながら、入場後、例えば車に忘れ物があるということで取りに戻る、そういった場合も想定されますので、JRAの運用なども参考にいたしまして、利用者の利便を図るために、入場ゲートにおきまして、一たん出るときに、紙を用意しておきまして、そこに氏名と時刻を書いていただく。そしてまた入る際に、戻った時刻を書いていただく。そうしたことによりまして、特例的に再入場を認めているところであります。
〇及川幸子委員 そうしますと、再度、入場料は取らないということですか。
〇平野競馬改革推進室特命参事 そのとおりでございます。
〇及川幸子委員 やっぱり利用する方々から多く寄せられているのは、余りにも厳し過ぎて行きたくなくなるという声を聞いているわけです。そういうふうに再度入場する方々の氏名から、住所から、時間ですか、余りにも厳し過ぎるという意見なんですよ。その辺、もっともっと緩和していかないと、やっぱり行きたくないなという方も出てくると思います。今、出ていますので。その点について、最後にお伺いして終わります。
〇平野競馬改革推進室特命参事 やはり私たちも、大切なお客様でございますので、運用でやっているやり方の部分で緩和できるもの、例えば、住所は今はないわけでありますけれども、例えば、氏名といいましても、姓だけでオーケーとか、あるいは時間につきましても、前はある程度、30分、1時間ということで運用させてもらっていましたが、それをある程度運用の中で長くするとか、そういったことはやってきておりますし、また、これからも利用者の声を聞きまして、それを反映させてまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 6次産業化の支援についてお伺いします。
 県では、6次産業化の予算を措置しておりますが、国においても6次産業化を推進する法律を制定いたしまして、加工、流通、販売施設などを整備する予算を措置しておると聞いております。
 県内には、みずから生産した農産物、リンゴなどを加工、販売している農業者のグループが、消費者ニーズに沿った新たな加工、要するに加工して、大型の瓶とか容器から、小さな缶とか紙パックへの見直しなどや、販路の開拓に向け施設整備に取り組もうとしている、このようなグループを積極的に支援する必要があると考えますが、その具体策を教えていただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 6次産業化に関する加工施設整備の具体策についてでありますけれども、農業者のグループとか農協が実施主体となって加工施設を整備する事業としましては、ただいま委員御指摘のありました国の6次産業化推進整備事業というものがあります。そのほかに、比較的小規模な施設等を対象に、いわて未来農業確立総合支援事業─これは県の事業でありますが─を予算措置しようとしているところであります。
 国の6次産業化推進整備事業では、国が直接採択を行う公募型の事業でありまして、その応募に当たりましては、6次産業化法に基づいて、農林水産大臣からの計画認定というものが必要と言われているところであります。
 このため、県としましては、6次産業化に関するワンストップの相談窓口を設置しまして、どのような事業を活用すべきかということなどについて、農業者のグループの相談に対応しまして、その上で、国の事業を活用しようとする場合には、県内にあります岩手農政事務所と連携して、支援のチームを編成するなどしながら、計画の策定の段階から事業応募申請書の作成まで指導するといったようなことなど、加工施設の整備の分野について、積極的に支援していくとしているところであります。
〇樋下正信委員 現在、実際、実行されているグループ、また、これから、今あるものを新しく変えていくというような考えのあるグループの方々もいらっしゃると思いますが、そういう方々に対して、きめ細やかな対応といいますか、よく御相談していただいて、今いろいろな新たな分野といいますか、我々も想像がつかないような、例えば、ジュースとかに限らず、ガムとかチョコレートとか、いろいろな特産物を使ったような商品も出ているようでございますので、対応をよろしくお願いしたいと思いますが、何かあれば。
〇菊池流通課総括課長 リンゴあるいは岩手県にありますナシを初め果物、それから、いろいろな県内の特色ある農林水産物について、それを何らかの形で加工することによって、非常に引き合いが出るというような可能性を秘めているものが、岩手県にはたくさんあります。
 我々は、そのいろいろな取り組みをする中から、いわば首都圏なり、多くの消費者から人気のあるものが数あるうちから生まれてくるというようなことを目指して、すそ野を広げて、いろいろな食材、いろいろな取り組みをする方々に、幅広くこの6次産業というものを広げてまいりたいということで、平成23年度に向けても、これまで以上に進めていきたいと考えております。
〇樋下正信委員 よろしくお願いします。
 次に、盛岡市の黒川地区の農道整備についてお伺いします。
 ここの地域は、北上川の流れに沿った南向きの穏やかな斜面という恵まれた地形条件を生かして、昔からリンゴ栽培が盛んに行われ、盛岡リンゴとして名をはせている産地でございます。
 山腹で生産されたリンゴに傷をつけないように、早く市場へ運搬するため、北は朝市で有名な神子田付近から、門、黒川を経由して、南は大ケ生に向かう県道に接続する農道が整備されてきました。
 ところが、その中間の黒川付近の約2キロメートルほどが未整備になっているということでございます。農家の方々は、近くの市道や国道を迂回しなければならないという状況にあります。
 そこでお伺いしますが、この区間の整備について、見通しはどうなっているのかお知らせ願いたいと思います。
〇沼崎農村計画課総括課長 今、委員から盛岡市の黒川地区の農道ということでお話がありました。盛岡市の南部、北上川の東側の斜面に展開するリンゴを中心とした樹園地を主な受益地としまして、北は、今、委員からお話がありましたとおり、盛岡市の東中野のあたりから、南は乙部付近、そこを南北に結ぶ基幹的な農道の一部として整備しているものでございます。
 この路線は、農地へのアクセスの改善、あるいは農産物の効率的な輸送、さらには、消防等の緊急車両の通行とか、子供さん方の通学路の安全確保という生活環境面も含めまして、地域交通の全般的な改善を図るということで、平成2年度から、県営の農免農道整備事業手代森地区として整備を進めてきております。
 全長が4.2キロメートルございますけれども、お尋ねの区間、その間の約2キロメートル弱ぐらいだと思っております。この2キロメートル弱の区間につきましては、地元からの要望を踏まえまして、早期に工事に着手したいということで、平成21年度から県で調査を進めております。平成23年度からは、県営事業として何とか整備をしていきたいということで、当初予算にも盛り込んでおりまして、現在、必要な事務手続を進めているところでございます。
〇樋下正信委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。いずれ、道路はつながって価値が出るものですし、有効に使われるものでございますので、早く進めていただくようにお願いします。
 次に、多くの方々からも質問が出ておりましたが、農業施設のパイプハウスの復興支援についてお伺いします。
 年末年始にかけての暴風、大雪などによる農業施設関係の被害は、パイプハウス約800棟を初め、畜舎などが破損、倒壊し、2月25日現在の被害額は13億2、000万円余に達していると聞いております。被災された農業者の方々には、心からお見舞いを申し上げるものでございます。
 今回は、平成17年の大雪災害のときよりも被害規模が大きく、パイプハウスを利用して冬期間の野菜生産に取り組んでいる農業者も、多数被害を受けているところであります。
 これから春本番を控えて、被災された農業者の生産意欲を喚起するためには、復旧はもとより、迅速な復興支援が必要と考えられます。
 県では、2月補正予算において緊急的な支援を措置しているところでありますが、その復興支援はどのように進んでいるのか、お知らせ願います。
〇杉原農業振興課総括課長 農業施設の復興支援の関係でございます。
 今定例会の初日に、ハード支援の関係の県単事業でございますが、いわて希望農業担い手応援事業におきまして9、235万3、000円の補正予算の議決をいただきまして、直ちに各市町村に対しまして、事業要望に基づいて予算を配分したところでございます。
 現在、各事業主体におきまして事業計画の作成等を進めているところでございまして、これから農作業が本格化する時期を迎えてきますので、できるだけ早期の営農再開に向けまして、関係機関、団体と連携しながら、円滑に事業推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇樋下正信委員 ぜひ迅速な対応をよろしくお願いしたいと思います。我々もいろいろなところを見て歩きますというか、歩くと、ハウスが本当に雪の下になって、丸くなっているのが逆にUの字になっているというようなことで、農家の方々が気の毒だなというふうに見て歩いておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇千葉康一郎委員 私から大きく2点質問したいと思います。まず、第1点目は、農産物の貿易自由化と、特にも、今、大きく話題になっております環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPへの県の対応ということについて伺いたいと思います。
 この貿易の自由化の問題については、これはもう大分前から、いわゆるWTO交渉、あるいはEPA、あるいはFTA交渉等々あるわけですけれども、いずれ貿易立国ということで避けては通れないという論をする人もかなり多くあるわけでございますが、この問題については、さきの定例会あるいは委員会等々で大きく議論になってきておるところでございまして、特にもTPP交渉に関する意見書については、去る定例会におきまして、全会一致で発議、そして可決されたという経過がございます。
 また、一般質問等々でも、たしか5人でしたか、知事に対していろいろ質問しているわけですけれども、何といっても、やっぱり生産現場は大きな不安、動揺を隠せないという状況にあるわけですが、いわゆる国際貿易交渉における農産物の自由化に対する県の基本的考え方、まず、これをお示しいただきたいと思います。
〇小田島農林水産部長 国際貿易交渉における農産物の自由化に対する県の基本的な考え方についてのお尋ねでございます。
 グローバル化が進展していく中にありまして、我が国が、貿易立国として国際市場で競争力を高めていくためには、EPA、FTA交渉、WTO交渉は、避けて通れないものとは認識しております。
 しかしながら、農業分野における諸外国との交渉に当たりましては、食の安全、安定供給、食料自給率の向上、国内の農業、農村の振興などを損なうことのないように行われるべきものと考えております。
 県といたしましては、こうした考え方のもとに、機会あるごとに国に提案を行っているところでございまして、今後とも、本県の農業、農村が、持続的に発展できるように提案等を行ってまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 ただいま、機会あるごとに国に提案をしているという御答弁をいただきましたけれども、具体的にどういう提案をなさってきているのか。議会としては、衆参両院議長を初め、各政府等々にTPP交渉に関する意見書、いわゆるTPP交渉には参加しないよう強く要望するという意見書を提出しておるわけですが、県として、国に対してどのように進めてきているのか。これは、前に知事も答弁されているんですけれども、改めて伺いたいと思います。
〇小田島農林水産部長 TPPに関します国への提言でございますが、この協定につきましては、想定される協定の内容そのものに関し、根本的な検討、議論を行い、国民の合意が得られるまで、十分に時間をかけて慎重に検討すべきということで考えてございまして、昨年11月18日に、北海道、東北6県の知事が連名で、こうした考えを国に提言したところでございます。
 その内容を具体的に申し上げますと、大きく2点ございまして、国際貿易交渉について、食料の安全、安定供給や食料自給率の向上、国内農業、農村の振興などを損なわないように対応すること。それから、2点目は、関税撤廃が原則であるTPP交渉への参加について、広く国民の理解と合意が得られるまで十分な時間をかけて慎重に検討することということでございます。
 これに先駆けまして、TPPの話が出る前から、WTOですとかFTAの推進につきましては、県として、ずっと国に対して提言をしておりまして、今年度についても、8月3日に行っているわけでありますが、そのWTO、EPA交渉についての交渉に臨む姿勢につきましては、まず、我が国の農林水産業が健全に発展できる貿易ルールが確立されるよう最善の努力を尽くすこと。それから、2点目は、WTO交渉におきましては、一律的な上限関税の設定や大幅な関税割り当て数量の拡大が行われないよう、また、十分な重要品目の数が確保されるよう交渉に当たること。3点目でありますが、EPA交渉に当たりましては、国内農業はもとより地域経済に対する影響を及ぼさないように交渉に当たること。米、小麦、牛肉、乳製品など我が国の重要品目が関税撤廃の対象から除外されるよう強い姿勢で交渉に当たること。こういうことを提言、要望しております。
〇千葉康一郎委員 わかりました。いずれ、生産農家が将来にわたって夢と希望、誇りを持って営農できるような農業政策の確立、それから国民が求めるといいますか、安全・安心な農産物の生産、そういうことができるような形で、農家が犠牲になることのないような形で、今後これを進めていただきたい。これは強く申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一点は、先ほど菊池勲委員からも話が出ました農業生産基盤の整備のことについてでございますけれども、先ほどお話がございまして、私が質問しようとした内容とダブるものですから、ダブらない部分をちょっとお聞きしたいと思います。
 いずれ、この岩手県の80%が中山間地域であるわけでございます。そういう地理的条件不利な中山間地域といいますか、そういう地域では、どうしても担い手が不足したり、あるいは耕作放棄地がどんどんふえていくという状況下でありまして、平場より物すごく深刻な状況にあるわけですが、こういう状況の中で、やっぱり基盤整備というのは本当に重要な、担い手確保なり育成、それからコスト低減なり、さらには集団化とか、あるいは経営体の育成とか、さまざまそういう面で、基盤整備はかなり大きな役割を持っていると思うんです。
 この基盤整備を始めるという段階から、その地域づくりのいろいろな話し合いがなされるわけです。基盤整備は、やっぱり何といっても地域づくりのきっかけになり得ると私は思っております。ですから、今、大変厳しい農業情勢の中でありますが、どうしても、やっぱり県の80%を占める中山間地域の基盤整備に力を入れていただきたいと思うのであります。
 県の中山間地域に対する考え方、この辺をちょっとお聞かせいただきたい。
〇沼崎農村計画課総括課長 今、お話しありました中山間地域の整備についてでございます。
 中山間地域は、御案内のとおり、安全・安心な食料を安定的に供給する農業生産の場という面、それに加えまして、県土とか、あるいは緑豊かな自然環境、多様な生態系の保全、そういうようなさまざまな役割を持っているところでございます。また、そこで暮らしていらっしゃる方々は、結いの精神で支え合いながら、農業を営み続けることによりまして、古くから伝わる伝統芸能あるいは食文化などを絶やすことなく継承されてきております。
 今後におきましても、中山間地域が有するこうした多面的な機能を維持していくためには、営農を継続していく必要があると思っております。そのためにも、農地や農業用水あるいは農道などの生産基盤の整備とあわせまして、集落道とか農業集落排水など、定住を促進するための生活環境基盤を一体的に整備するなど、お話がありましたとおり、傾斜がきつい、あるいは農地と居住しているところが離れているという厳しい立地条件、そういう条件がありますけれども、それに応じて、きめ細かな整備をしていきたいと考えております。
 お話がありましたとおり、生産基盤の整備を契機にしまして、集落営農組織が設立されたり、あるいは転作作物の高品質、安定生産が進んだ、あるいは女性とか高齢者の知恵とか工夫を生かした加工、販売が進むなど、いわゆる農業、農村の6次産業化という取り組みによりまして地域が元気になっている事例、例えば、一関市の千厩町奥玉地域なんかが、本当に全国にも名をはせるような地域だと思いますけれども、そういう事例が県内各地でも見受けられるようになってきております。そういうことで、中山間地域においても、基盤整備が重要な役割を果たしているものだと考えております。
 そうした取り組みを全県的に波及あるいは展開していくということで、県内では現在、生産基盤と生活環境施設の整備を一体的に進める中山間地域総合整備事業というものを12地区で実施しております。
 国、地方とも予算が非常に厳しい状況でありますけれども、平成24年度以降も9地区から採択してほしいという要望が出されております。そういう声をいただいておりますので、そういう事業を一つのきっかけにして、地域が話し合いを重ねて、合意形成のもとに地域の活性化を加速していくことができるように、県としても、その9地区についても計画的に事業化を進めていきたいと思っております。
〇千葉康一郎委員 昨年9月の定例会で農業農村整備の着実な推進に関する請願を全会一致で採択しております。今、お話を聞きますと、大変力強い、進めたいという気持ち、これは十分伝わってまいりました。ですが、平成23年度の当初予算を見ますと、経営体育成基盤整備事業、いわゆる圃場整備の予算ですけれども34億6、000万円、平成22年度に比べて55%程度の予算規模だということでありますが、極めて大幅な縮減となっておるところであります。
 いずれ、今後、この予算が国の事情でどんどん減らされてきているということもわかりますけれども、何とかこれを国に、私たちも頑張りますが、皆さん方、県としても国に強く要望して、大幅に予算獲得していただくようにお願いしたいわけでありますが、いずれ、平成23年度予算で新規採択要望地区があるわけですよね。そういうものも含めて、大体、全体の事業費といいますか、この34億円の金で平成23年度予定した何%ぐらいできるのでしょうか、ちょっとお聞かせください。
〇伊藤農村建設課総括課長 平成23年度予算のお尋ねでございますけれども、県の平成23年度農業農村整備関係予算、このうち県営及び団体営事業について申し上げますと、委員御指摘のとおり、国の予算が大幅に縮減された影響などから、平成22年度当初予算に比べますと6割程度となっております。
 これに、国の補正予算などを活用し、先般の2月補正の中で前倒しで確保した分を加えますと、来年度の執行額は、事業費ベースで約124億円となります。地域からは、今年度の執行額約174億円と同程度の要望が上げられておりまして、これに比べますと7割程度にとどまっております。
 なお、平成23年度からの新規着手を強く要望されております圃場整備など県営事業18地区につきましては、当初予算に盛り込んでおりますけれども、事業費全体といたしましては、要望に対して十分にこたえるのは困難な状況でございます。このため、先月16日に、国に対して本県への予算の優先配分について緊急要請をしたところでございます。
 今後におきましても、基盤整備がおくれている本県の実情を国に訴えながら、必要な予算の確保に努め、地域の意向に沿えるよう、着実に整備を推進してまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 今のお話でありますと、いわゆる基盤整備率が非常に低いということですが、もちろん東北6県では最下位です。全国でも下位にあるわけですね。これは、やっぱり以前の基盤整備に対する取り組みというのが、今の皆さん方は本当に一生懸命、強い意欲を感じます。ですが、かつては何か感じられなかったのではないか、そのために今こうなっているのではないかと思います。
 いずれ、とにかく頑張って、韓国なんかはいろいろと、国際競争力に対抗するために、10年間ぐらいでもう基盤整備が全部終わってしまったんですから。それぐらいのことが必要だと思いますので、岩手県は最下位ですから、頑張ってこれから大きく進めていただきたいということを申し上げ、部長、何かございましたら、お聞きして、終わります。
〇小田島農林水産部長 委員御指摘のとおり、水田等の整備率等が非常におくれている状況にございます。農業農村整備というのは、戸別所得補償制度の実効性を高める上でも本当に必要なものと認識しておりますので、今後とも、農業生産の拡大や低コスト化に向け、圃場整備や農業水利施設の保全対策に重点的に取り組みながら、我が国の食料供給基地としての責務を果たしていきたいと考えております。
〇五日市王委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時59分 休 憩
   午後1時3分 再 開
〇工藤勝子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇関根敏伸委員 私からは2点お伺いいたします。
 まず最初に、6次産業化につきまして、期待を込めまして、現状、それから課題認識、新年度の取り組み目標等々につきまして順次お伺いをさせていただきます。
 まず最初、県内の農林水産業の6次産業化の現状につきまして、販売額あるいはこの6次産業化によります雇用者数、また、支援の状況等についてお知らせいただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 6次産業化の現状についてでありますが、県内では、生産者による農産物の加工あるいは産地直売所施設等における直接販売等の取り組みが各地域で行われておりますが、これらの6次産業化の取り組みによる平成21年度の販売額の合計は126億円となっているものであります。
 また、新たな6次産業化の取り組みを県が公募してモデル事業として選定し、事業の実施を支援するいわて農林水産業6次産業化チャレンジ支援事業という事業を実施してございますが、これを平成21年度に創設し、これまでに30事業者を支援してきたところでありまして、この取り組みの結果、70人の新規雇用が生まれているところであります。
〇関根敏伸委員 雇用者数の状況につきましては、あくまでチャレンジ支援事業という事業を使った雇用者数という意味ととらえましたけれども、県内全体の6次産業化のさまざまな具体化による雇用者数というとらえ方はされていないのでしょうか。
〇菊池流通課総括課長 先ほどは事業としてのチャレンジ支援事業についてお話をさせていただきましたが、今、県内の6次産業化を支援する方法としては、国の基金を使った事業は事業として実施しているものでありますが、いわば日常の6次産業を県内を歩いて支援して回るというような、いわゆるソフト事業として、時には食のプロフェッショナルというような方々にも県内に来ていただいて、回って、日々いわば6次産業化の推進の取り組みをしているわけでありますが、その中では何人の雇用が生まれましたというような把握は今のところしてございません。
〇関根敏伸委員 それでは、続いてお伺いいたしますが、こういった現状を踏まえて、新年度、新たに6次産業化に向けたさまざまな事業が組み合わせて行われるという提案がされているようでありますけれども、具体的に、平成21年度から始まっておりますチャレンジ支援事業等を含めまして、新規事業としてスタートアップ事業、それから6次産業化に向けた推進事業というさまざまな事業が組み合わせて行われていくわけでございますが、それぞれの事業の目的と役割分担、あと総合的な6次産業化に向けたメニューがどうトータル的に推進されていくのか、その辺わかりやすく御説明をいただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 6次産業化に関して今の三つの事業が挙げられまして、その内容、目的、役割分担等についての問いでありますが、まず、先ほどお話ししましたチャレンジ支援事業は、既にある程度明確な事業計画を持つ法人等を中心に支援してきたところであります。
 一方、新しく予定しております6次産業化スタートアップ支援事業のほうは、6次産業化に取り組もうとする潜在ニーズを持ちながらもなかなか具体化が難しかった個々の生産者等に焦点を当てて、すそ野を拡大しようとして新たに創設する事業でありまして、これでは平成23年度20件程度の新規事業者を採択させていただきまして、ここで40名程度の雇用の創出を図ろうという計画であります。
 それから、6次産業化推進事業、三つ目の事業になりますが、これは、6次産業化に取り組もうとする事業者数が拡大している、それから相談のニーズが多様化していることを受けて、この事業において6次産業支援センターというものを設置したいと考えております。このセンターでは、計画の段階から創業、経営といった広範にわたるニーズにワンストップでサービスを提供していこうとするものであります。
 これら三つの事業は、主として事業者のニーズに沿って設定している事業でありまして、事業者のニーズを第一に、これに沿って適切に運用していくことで、本県における6次産業化の取り組みを全体としてこれまで以上に強力に推進していこうと考えております。
〇関根敏伸委員 大体理解できました。今までは、平成21年度からチャレンジ支援事業の中で法人を含めてある程度モデル事業も拡大して、そこでさまざまなノウハウを恐らく蓄積されたんだろうと思います。これを個々の生産者に向けて今度新年度新しく事業化をさせる。それに向けた相談体制をセンターで行うということで、なるほどと思っております。
 ただ、新年度から始まるスタートアップ事業がいわゆる生産者向けということでありますから、今までは法人中心の事業の中で、ある程度ノウハウも人も資金もどちらかというと持った方々の事業だったと思うわけでありますが、これからが本当の意味での生産者の所得拡大等々、本格的な事業化になるだろうと思っております。
 そういう意味で、今まで平成21年、22年とこの6次産業化に向けた事業化を行ってきた中で、課題をどうとらえているのか。また、その今後の課題とあわせて、課題解決に向けました方向性をどうとろうとしているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 これまでの取り組みで課題と言えることの1番目は、何より6次産業化に取り組もうとする事業体の数が拡大してきているということと、それから、取り組もうとしている方々の相談のニーズの幅が、専門的な部分まで含めてかなり広がっているということがございます。
 先ほどお話ししました支援センターを平成23年度に設置することとしているというのは、まさにその課題にこたえるものとしての相談機能を強化したいということからセンターを立ち上げるわけでありますが、それを踏まえて、今後さらに相談のニーズとかが多様化していくことを考えますと、このセンターをひとまず核としまして、広域振興局あるいは市町村にも参画していただいた上で、支援するネットワークというものを全県に広げる取り組みを進めて、県内の各地にすそ野を拡大して、6次産業化の取り組みが地域地域で活発に展開されていくというようなことを支援していくのが、今の時期求められていると考えております。
 これらの取り組みによりまして、目標という点では、平成23年度には50事業者への支援と110名の雇用を想定しているところでありますが、こうした取り組みを着実に進めることで販売額についても可能な限り拡大を図っていきたいと考えておりますが、数値としての販売額は、いろいろな情勢を踏まえて、まだ販売額を幾らにするというところまでは設定し切れていないところにあります。
〇関根敏伸委員 課題というかニーズが多いということは、ある意味生産者等の意欲も相当、6次産業化にかける期待が大きいんだろうと思っておりますので、課題というかいい方向に向かっているんだろうと思いますし、あわせてそういう意味ではこのセンターの役割が大きいのだろうと思っております。
 聞くところによりますと、中小企業団体中央会等々とこのセンターを組むというお話でございましたが、もう少しセンターの構成とか具体的な役割とか、農業生産者とこういったところに中小企業団体中央会を取り入れた意味でありますとか、そういったことを聞かせていただきたいと思いますし、また、55件の支援件数を目標にしているようでありますが、地域バランスとか公募の事業採択の要件とか、こういったものをどう考えていらっしゃるのか、ちょっと立ち入ってお聞かせいただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 まず、中小企業団体中央会と連携して行うこととしたことにつきましては、相談者のニーズの範囲が多様化しているということの中に、いわば専門的な資金調達の方法でありますとか、あるいは企業体として運営していくときの財務の状況でありますとか、そういうかなり専門的な部分の中身についてこれまでの支援体制ではなかなかカバーし切れないということから、日ごろ中小企業等を対象に支援の活動を行って、そういう企業経営のスキルを持っている中央会と連携するのが一番ニーズにこたえる意味でふさわしい相手であろうと考えました。
 それから、今後、運営していく上で要件ということでありますが、これまである程度しっかりしている組織の法人等を対象にしてきていることから、生産者から見ると幾らかハードルが高いという声があります。したがって、今後、事業に入っていくハードルを可能な限り低くするとともに、採択の場面では、法人グループとしての採択、それから生産者グループとしての採択というふうに、いわば分母を分けて採択をしていこうと考えているところであります。
〇関根敏伸委員 まさに6次産業化、農商工連携ということで、センターを農商工連携で設置するということは、私はある意味、まさしくそういう方向性なんだろうと思って理解しております。
 最後ですが、販売額の目標は今後のことであるというお話がございました。また、雇用者数の目標は、あくまでも基金事業の中での雇用者というとらえ方をされているようでありますが、私は、要望も含めてですけれども、やはりこの6次産業化が生産者の所得向上と地域経済を内需型に向けるということと、ここで雇用を吸収するという大きな目標があるのであれば、雇用者数に関しましても、このモデル事業の基幹的な基金事業での目標とは別建ての中で、やっぱりしっかりここで岩手の就業者を吸収していくぐらいの大きな目標立てをしていただきたいと思いますし、また、この販売額の目標、平成21年度の実績を聞きますと、平成22年度に立てていた目標をもう既に達成しているような状況だと私は拝見いたしました。ある意味、目標以上に速いスピードで事業化が推進されていると思いますので、大きな目標立て、あわせて生産者の加工、販売による目標、産直による目標、ネットによる目標、あるいは宅配部門というのもこれから伸びる可能性があると思いますので、そういった部分の細かな目標立て、大きな目標立て等を持っていただきたい、このように思うんですけれども、所感をお聞かせいただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 6次産業化の取り組みは、生産者の所得向上と、1次産品の取引を加工なり流通のところに手を伸ばすことによって所得を向上したいということでありますが、ひいては、そのことで生産者の所得が向上することによって担い手も発生する、それから地域でお金が循環することによって地域が活性化するというようなことを大きなねらいとしているところでありますので、取り組みを開始して年数もたってきましたことから、今後は、そういった雇用も含めて、いわば雇用の内訳ごとのようなものも含めて数値目標を立てて、その数値目標に向かってどういう事業を展開していくのがふさわしいかといったPDCAのような考え方でもって進んでまいりたいと考えているところであります。
〇関根敏伸委員 ぜひ期待申し上げております。いいものを一生懸命つくるのが岩手県の生産者だろうと思っておりますので、そういったいい素材をどんどん伸ばしていただきたいと思いますし、あわせて、要望になりますが、事業採択はこれからだと思っております。これから募集してという段階を踏むんだろうと思いますが、こういったものの中で何とか新しい方向性を見出していきたいという地域もあると思いますから、地域バランス等もぜひ考慮されながら事業採択に向かっていっていただきたい、これは要望にとどめさせていただきます。
 次に、2点目でございますが、予算に関する説明書の145ページ、農作物対策費中の強い農業づくり交付金1億6、000万円程度が予算化されておりますが、具体的な内容についてまずお聞かせいただきたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 具体的な内容についてでございますが、この強い農業づくり交付金は、生産、経営から流通に至る農業全般の体質強化に必要な水稲、大豆の乾燥調製施設など、共同利用施設の整備等を支援する国庫事業であります。この事業におきましては、全国から申請されたすべての事業計画に対して、国があらかじめ定めた基準に従いましてポイントがつけられ、ポイントの高い順に採択することとされているところでございます。
 平成23年度につきましては、北上市の水稲、大豆の乾燥調製施設等2件の内容になっております。
〇関根敏伸委員 その上で、本年の強い農業づくり交付金の本県の採択状況と県の対応についてまずお聞かせいただきたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 平成22年度は本県から4件事業要望したところでございますが、いずれも不採択という結果になっております。この理由といたしましては、国の予算が大幅に削減されたこと、あるいは各県からの事業要望が多かったことなどと考えておるところでございます。
 県といたしましては、このような事態を受けまして、全事業の実施に向けて国に働きかけるとともに、国の補正事業などの活用、あるいは県単事業等の活用によりまして4件のうち3件を実施できることとなったところでございます。
〇関根敏伸委員 そうしますと、本年は最終的に3件が採択になって、新年度、この1億6、000万円余の予算に盛り込まれた事業の実施予定は、未実施と採択されなかった北上市の案件、このように理解してよろしいですか。(「はい」と呼ぶ者あり)はい、わかりました。
 その上で、今、総括課長からも御答弁がございました。この事業につきましては、結果的に、相当高い点数化の中で事業化が確実視されていた事業が、国のほうの大きな情勢変化と申しますか、政策変更と言ったらいいのでしょうか、そういった中で、やむなく不採択となった案件と聞いております。
 そういった一連の流れの中で、ポイントの決め方等が途中で変更になったのではないかとか、あるいは事業内示の決定がおくれたがゆえに採択されなかったと。それは別な事業等に回しながら、実現可能であったことが実現できなかった、こういった部分も指摘されておったかに聞いておりますけれども、新年度に向けまして、再度この案件を実現化に向けて取り組もうとする中で、国に対してどのような対応をとられてきたのか、また事業実施に向けました取り組み等について改めてお聞かせいただきたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 来年度の事業採択に向けた取り組みと国等との対応状況についてであります。
 今お話ありましたように、平成22年度に採択にならなかった北上市の水稲、大豆の乾燥調製施設につきましては、平成23年度の強い農業づくり交付金の実施について要望しているところでございます。
 県といたしましては、これまでも高いポイントが得られますように、事業計画の作成などについて指導してきたところでございます。今後も、国の動向を注視いたしまして、厳しい国の予算状況の中にあっても事業採択されるように支援していくこととしております。
〇木村幸弘委員 ただいま関根委員からも6次産業化の質問が行われて、私の通告している内容についてもあらかたお答えをいただいた部分でありますので、若干重複を避けたいとは思いますが、今の関根委員との質疑等のやりとりの中で、もう少し確認をしていきたいと思いますので、お尋ねしたいと思います。
 一つは、今回のスタートアップ事業等を含めて、あるいは支援センターの設置によって、事業者が希望して数がふえていることと、あるいは相談ニーズが非常に幅が広く専門的になってきたというお話はいただいたんですが、具体的に言うと、希望されている事業体がどのような事業展開を行おうという中身になってきているのか。さまざまな6次産業化にかかわる事業も、単に農産物の加工というだけなのか、そういったいろいろな考え方についてどのような中身が出ているかお伺いしたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 6次産業の取り組みは非常に多岐にわたっておりまして、それをなかなかうまく説明しにくい部分はありますが、全体としますと、岩手県からとれる1次産品を加工して、それを購買力のある地方に売っていくという流れがある中で、加工の段階で技術的に難しくてなかなかうまく進まないという部分もあれば、加工の部分まではうまく進むのだけれども販路の開拓がなかなか進まないといったように、相談者のニーズからすると、大きくは加工の技術的な部分と販路の開拓の部分というところに相談のニーズが集中していると受けとめているところであります。
〇木村幸弘委員 基本的には農林水産物のそうした加工、販路の取り組みについてということなんですけれども、私なんかは、6次産業化といった場合に、確かに基本的にはそういった農産物の加工等から入っていく形なんだろうとは思っていますが、同時に、やはりそれぞれの農山漁村が持っているさまざまな地域資源との連動性というか、そういったものも今後の6次産業化の推進の中ではやはり考えていく必要があるのではないかと思うんです。
 例えば、その地域の中の農産物加工から排出される残渣等を利用したバイオマスへの展開であるとか、そうしたエネルギー系への事業をつなげていく取り組みであるとか、あるいは観光面などのつながりであるとか、いろいろなそういった資源を有機的に結びつけていくような産業の進め方というのが、6次産業化にはすごく幅があって、ある意味夢もあるのではないかと思うんですけれども、そういった考え方等についてはどうなんでしょうか。
〇菊池流通課総括課長 直接的に食品残渣という部分で今、県内で6次産業として事業化されているものはないと記憶しておりますが、類似のものとして、地域でとれる米等を飼料として使います。それから出てくるふんを肥料として使うというような、いわば耕畜連携といいますか、そういうところが地域の中で展開されている取り組みが県内に何カ所かありまして、そのことが首都圏の方々から見ると産地としていい取り組みをしているということから、そこから発生する産物に対してこだわりを持っていただいて商品としての価値が高まるというような事例は幾つか発生してございます。
〇木村幸弘委員 先行的に6次産業化というまだ位置づけになっていない部分があるかもしれませんけれども、そういったいろいろな複合的な要素というか可能性を今回の6次産業化の取り組みの中でぜひ前向きにいろいろな形のものを創造力を発揮しながら、あるいは生産者やいろいろな方々のニーズというものもとらえながら進めていただければいいのではないかと思います。
 雇用の面ですけれども、雇用の効果も関根委員からも質問があって、私も単なる事業化されたものだけの雇用ではなくて、何となく全体的な雇用の数字とか、そういうものがあるのかと思って質問を用意していたんですけれども、そのようなお答えでした。
 一つ、雇用への効果ということで考えますと、いろいろと個々の、これから生産者等にスタートアップ事業の中でさまざまな取り組みをしていきたいということですが、いろいろと農業の課題の中で、雇用ということを言われても、そういう冬期の状況や通年的な雇用という意味合いからなかなか難しい面がある。岩手の農業というか、冬の時期をとらえた中で、こういう6次産業化の取り組みとあわせて通年的な雇用というものをどうつくっていくかというところも大事なポイントになると思いますけれども、その点についての考え方があればお伺いします。
〇菊池流通課総括課長 先ほど出てまいりましたチャレンジ支援事業という事業がございますが、これは、雇用の形態で見ますと、70人の新規雇用中、正規雇用が38人、非正規雇用が32人となっております。この中で32人の非正規雇用が発生しているということは、今、委員御指摘のとおり、冬場の労働力として考えた場合に通年雇用が難しいということも影響しているものと考えております。ただ、現実問題としては、6次産業として取り組むパイが大きくなっていくことによってそのことは解消に向かっていくと思っておりますが、そもそもこの6次産業化チャレンジ支援事業なりスタートアップ事業というのは、モデル事業を実施するわけでありますが、モデル事業の期間が終了した後も雇用が継続されることを目指す趣旨でスタートしているものでありまして、いろいろな厳しい事情はありますが、県としましては、そういった雇用継続という趣旨がより多く実現されるように、一方ではその支援のほうもきめ細かくやっていくと考えているところであります。
〇木村幸弘委員 ぜひそうした具体的な雇用の実態等も踏まえながらの取り組みについて推進を図っていただきたいと思います。
 次に、都市農山漁村交流拡大事業というのがあるんですけれども、私は特にその中でグリーン・ツーリズムとの関係ということでお伺いしたいんですけれども、これらの事業展開の中で、今までこのグリーン・ツーリズムの取り組みがどのような状況になってきているのか、あるいは、どのような課題が上がっているのか。
 さらに、今回の事業を進める中で、受け入れ農林漁家の態勢、その見込み、あるいは新たな交流モデルということが説明の中では記載されているわけですけれども、その考え方についてお聞かせください。
〇杉原農業振興課総括課長 都市農山漁村交流拡大事業について御説明させていただきたいと思います。
 県といいますか、農業サイドでは、グリーン・ツーリズムの関係、受け入れ農林漁家の掘り起こし、それから体験インストラクターということで、いろいろな体験メニューをそろえておりますけれども、そのインストラクターの育成ということで、農業サイドでは受け入れ態勢を整備してきたところでございます。
 情報発信関係は観光サイドのほうが主でやってきているということで、分けてやってきているところでございます。
 そうやってきた結果、平成21年度のグリーン・ツーリズムの旅行者数は約440万人ということで、過去最多の交流人口になってきております。
 地域は動いておりまして、先ほど地域資源というのがありましたけれども、本当にグリーン・ツーリズムというのは地域資源を丸ごと活用してやりますので、地域が元気だという証拠というところだと思います。
 一方、それでは、その受け入れ態勢、このままでいいかといいますと、来る方々のニーズ、それから学校サイドの生徒さん方もいれば個人客もいるということで、どんどんニーズが多様化してきております。インストラクターも新しい体験メニューをそろえていきませんとどんどんおくれてしまうと。ほかの県との競争もあります。そういうことで、さらなる受け入れ態勢の強化を図るという意味で、他県に先駆けて本県らしい体験プログラムを開発していかなければならない、常にそういう状態でございます。
 そこで、この事業でございますけれども、一つは、我々年2回ほどやっているんですが、体験型教育旅行受入地域サミットということで、県下のやっている方々を一堂に、今年度は県北と県南のところ1カ所に100人以上の方々に集まっていただきまして、チームをつくってもらって、こういうことで我々困っているとか、これは私たちはこういうふうにやっていますとか、そういう情報交換をするサミットを2回ほど県北と県南でやっております。要するに新しい情報をどんどん得てもらうということで、そういったサミットを通じて、もう地域が町村単位ではなくて広域になってきておりますので、広域な受け入れ態勢を強化するというのが1点でございます。
 それから、この事業で七つのほどのモデルを創出しようとしておりますけれども、例えば、障がい者の方々を対象としたユニバーサル交流、それから年配の方々とか、そういうちょっと焦点を絞ったような交流とか、あと、地域文化といいますか、神楽とか地域文化の資源がいっぱいあります。冬場でもどぶろくの関係もありますし、岩手県はいろいろさまざま持っていますので、そういった先進的なグリーン・ツーリズムのモデルをこの7地区でやっていただきまして、モデルをつくり上げて、それを広げていこうというのが今回の事業の目的でございます。
〇木村幸弘委員 いずれさまざまな交流人口の拡大に大きな役割を果たしているということです。ただ、いろいろ全国でさまざまな創意工夫した取り組みが行われているということは私も関係者などから聞いていて、なかなか大変ですということも言われておりましたけれども、本当に地域資源を有効に活用して、観光事業とのタイアップ、さらに言えば、これは商工との連携なんでしょうけれども、ことしの平泉の問題や来年のDCとの関係とか、いろいろなつながり、連携の中で、岩手の豊かさというか農村の資源を有効に活用した取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。
 三つ目になりますが、一集落一戦略実践事業というのがございますけれども、この具体的な内容についてお伺いします。
〇千田担い手対策課長 一集落一戦略実践事業についてでございますけれども、この事業は、集落の話し合いに基づいて、地域条件を生かした新規作物の導入や農畜産物の加工商品開発、それから販路を開拓するための試験販売などに集落みずからが主体的に取り組む場合に支援するものでございます。
 平成22年度におきましては、公募により33集落を選定いたしまして、例えば北上市の自然薯─長芋の一種でございますが─の導入や花巻市の米粉パン試作、販売、矢巾町のキャベツの直販などに取り組まれております。
 また、県はこうした取り組みを後押しするため、先般2度にわたりまして盛岡市内で商品PRを兼ねた販売会を開催いたしました。6集落の参加をいただき、商品のほとんどが完売されました。集落の参加された皆様方にとりましては、今後の自信になったものと考えてございます。
 今後は、平成22年度における事業の成果を県内に波及させ、また、集落内の農地や人材等地域の資源を最大限活用し、新規部門の導入や高付加価値化など、知恵と工夫により所得向上につなげるよう支援してまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 そういったそれぞれの地域の中で、具体的に自分たちの地域資源というか特産を生かしながら取り組もうとする取り組みは大変いい事業だなというふうにお伺いしましたけれども、この間、ちょうどテレビで各県内の食のいろいろな取り組みの中での紹介などが特集番組みたいな形で報道されていたんですけれども、ああいった取り組みもこれと連動している中身なんでしょうか。6次産業化のほうにどちらかといえば入る中身なのか。
 似たようなイメージで重なってくるものですから、どういった取り組みになっているのかというのが1点ですし、それからあと、各地域あるいは集落単位でいろいろ同じような加工等の事業が行われております。農山漁村いきいきチャレンジ支援事業なども、これは女性をターゲットにしながらの取り組みですが、やる人たちの関係からいえば重なってくる部分も随分あるのかなというイメージもあるんですけれども、そうした点についての関連するような、あるいは類似のさまざまなそういった取り組み事業についてどのようなつながりや関係性を持っているのか、その点についてお伺いします。
〇千田担い手対策課長 この間、私ちょっとしかテレビを見ていないんですが、確かに県内各地で食にかかわる新たなチャレンジというようなことで放映されていた番組があったこと、承知してございます。残念ながら私どもが取り上げた事業のものではなくて、どちらかといいますと食産業であったりとか、あとは流通業者であったりというような取り組みが多かったように感じてございます。
 私どもが事業実施してございます一集落一戦略実践事業は、どちらかといいますと集落での農家の皆さんのアイデアなり工夫を推し進めようという取り組みでございまして、6次産業化に向けての取りかかりの部分を支援していこうという、小さな資源から新しいものを発見できないか、それから、それを事業化に結びつけて、やがて所得拡大に結びつけていくことをねらいとしたものでございますので、6次産業化とは取り組みがちょっと小さいところからスタートしてございます。
 それから、他の事業とのつながりのことについてでございますが、それぞれの分野で6次産業化に向けた取り組みがなされてございますが、農業集落分野での取り組みがまだ緒についたばかりでございますので、先ほど申し上げたとおり、小さな工夫から大きく芽が育つような、そんな事業に展開してまいりたいと考えてございます。
〇木村幸弘委員 そういった農業集落分野での取り組みということでいえば、これは政策地域部の関係なんですけれども、元気なコミュニティ100選があるんですね。元気なコミュニティ100選の中でもやはり似たような、例えばみそをつくったりとか、いろいろなその地域の特産物を使ってそういったコミュニティとしての活動を進めて、それが100選に選ばれ、評価された地域もあります。
 そういった部分との関係で、コミュニティ100選の部分がなかなか十分にフォローアップできていないのではないかという実は議論などもあるんですけれども、そういう観点からいうと、こうした農林水産部の取り組みとリンクをしながら、せっかく選ばれたいろいろな地域のそういった先進事例や先行的な取り組みをさらに高めていくんだというふうな意味合いでの事業展開というものが求められるのではないかと思いますけれども、先ほど33集落というお話がありましたけれども、この中にコミュニティ100選との関係があるところはあるんでしょうか。
〇千田担い手対策課長 元気なコミュニティ100選というのを実は十分存じてございませんで、恐らくは重なっている案件はないのではないかと思います。(後刻「2地区で重なりがある」と訂正)
〇木村幸弘委員 その辺ですね、課題というか。それぞれがいろいろなことをやろうとしているのはよくわかる。しかし、本当にいろいろな意味で有機的につなげていく部分が多分いっぱいあるんですよ。その辺のところをつなぎ合わせながら、総合力というか全体の力を高めていくような、そういった事業として展開する必要があるんだろうと思います。ですから、6次産業化もそうですし、今の実践事業などもそうなんですけれども、ぜひそういったお互いの情報を持ち寄りながら、より効果的な展開が図られて、そして目標としては、やっぱりそれぞれのそうした事業を展開する中で地域が元気になる、あるいはそういった事業を展開することによって所得や雇用が生まれていくというところを本当に県の全体の仕組みとして取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、TPP交渉参加問題について質問します。
 食料自給率50%目標とTPP関税撤廃は両立すると考えるのか。なぜ食料自給率が40%まで落ち込んだのか、その主な要因をどう認識しているか。まず先にここから聞きます。
〇小岩農林水産企画室企画課長 まず、食料自給率50%目標と関税撤廃の両立についてでありますが、農林水産省が行った試算によりますと、全世界を対象に関税を撤廃し、生産量の減少などに対し何らの対策も講じない場合、食料自給率は40%から14%程度に減少するとされております。環太平洋パートナーシップ協定の具体的な内容などが明らかになっていない段階にはありますが、これらが両立するかどうかにつきましては懸念を持っているところであります。
 次に、食料自給率が40%まで落ち込んだ主な要因についてでありますが、まず第1に、食生活の変化に伴いまして国内で自給可能な米の消費が減少する一方で、コスト面での制約などから国内で生産が困難な飼料穀物を利用いたします畜産物や、大豆などを原料とする食用油などの消費量が増加したことに加えまして、食の外部化が進む中で、食品加工や業務用需要の高まりに国内生産が十分に対応し切れていないことなどを要因として考えております。
〇斉藤信委員 懸念するという慎重な答弁だけれども、これは絶対両立しませんよ。食料自給率が40%というのは先進国で最低ですよ。これは60年代以来、自由化が進んできた結果でしょう、今の答弁を解説すれば。
 それで、岩手県が農林水産省の試算に基づいて、岩手におけるTPPの影響試算を行いました。これは1、469億円農業生産が減少する。米は95%、小麦は100%、乳牛は100%なくなってしまう。文字どおり、これは岩手の農業が壊滅するという試算じゃないですか。
 なぜ知事は、あなた方みずからこういう試算をしているのにTPP交渉参加に反対と言えないのか。農林水産部長は言えますか。
〇小田島農林水産部長 TPPへの反対の表明についてのお尋ねでございますけれども、この協定への参加の問題といいますのは、協定の内容が今後の交渉によって決定されるということでありまして、その内容がまだ明確になっていない、はっきりとしない現段階において賛否を明確にすることは困難であると考えておりまして、知事もそうした考え方に基づいているものと考えてございます。
 県としては、いわて県民計画におきまして、食と緑の創造県いわてを実現していくということで、担い手の育成ですとか、あるいは産地づくり、6次産業化等による高付加価値化など、これらを実現するための施策を明らかにし、重点的に取り組んでいるところでありまして、このTPPの内容、中身がこうした本県の取り組みを阻害し、本県の農業、農村の振興が損なわれるという内容であれば、こういうことに適切に提言等を行ってまいりたいと考えています。
〇斉藤信委員 庶民の感覚とはえらくかけ離れていると思いますよ。TPP交渉というのは、原則、関税撤廃なんです。これが原則なんです。はっきりしているんです、中身が。
 これは開国フォーラムをやられて、開国フォーラムで配られている資料です。部長見ていますか。ここにちゃんと書いているんですよ。物品の関税、原則、すべての関税の撤廃を目標とすると。段階的な撤廃は認める、除外は極めて限定的だと。P4協定では、全関税品目の8割、米国の既存の協定では八、九割が即時関税を撤廃、こうなっているんですよ。だからこういう試算ができるわけでしょう。中身がわからないって、何がわからないんですか。ここまではっきり出ているじゃないですか。
〇小田島農林水産部長 開国フォーラムの際に提出された資料については私も拝見いたしております。いろいろな検討、それから課題の抽出など、論点整理を現在やっているものと認識いたしております。
 こういう国の基本スタンスは、情報収集を行って、そして検討するということになっておりまして、そのスケジュールにつきましては、3月に中間整理を行い、そして6月に農業改革に対する基本方針を策定するというようなスケジュールが示されているところであります。
 そういう内容を分析し、必要に応じて国に対し農林水産業の振興に向けた意見等を述べていきたいと考えているところであります。
〇斉藤信委員 この開国フォーラムの資料にも6月をめどに交渉参加について結論を出す。あと3カ月ちょっとなんですよ。10月1日に菅首相が言い出してから、何も中身が示されていませんよ。交渉によって中身が決まるものじゃないんです。TPP交渉というのは、原則が決まっているのです、関税撤廃という。非関税障壁も撤廃されるという、原則で決まったところに入るからみんな反対しているのですよ。交渉で決まるのは2国間協定なんです。FTAとかEPAというのは2国間交渉でどういう品目を除外するかができるのですよ。TPPはできないのです。だから重大だと。
 しかし、この開国フォーラムの資料のどこを見ても、農業をどう守るかなんて一言も書いていない。企業の利益になるということは書いていますよ。私は驚くべき開国フォーラムだと思いますよ。
 先ほどの質問のところで、2度にわたって政府に提言してきたと。これは去年の7月、11月、この段階なら時間をかけて慎重にと言うのはいいんですよ。あと3カ月しかないという時期に中身が全く示されないで、関税撤廃が原則のこのルールに入っていいんですか。入るべきじゃないと言うべきじゃないですか。ましてや岩手の農業がこれだけの打撃を受ける、それについての対策なんか一つもない。私、できないと思いますよ。部長、いかがですか。
〇小田島農林水産部長 現在、国のほうでは、食と農林漁業の再生本部、それから食と農林漁業の再生実現会議、こういうものの中において、農林水産業のあり方についてさまざまな課題を今、検討しているという状況でございまして、そういう検討情報を収集しながら国の考え方を把握しているところであります。
 先ほども申し上げましたとおり、委員からの御指摘のとおり、現在、その内容については、どういうふうな形で進めるということが明確に出されているものではありません。いろいろな課題は出されております。そういうことについて一定の国の考え方が示される、そういう段階において県としてもその内容を分析して、必要に応じて国に対し農林水産業の振興に向けた意見等を述べていきたいと考えているところであります。
〇斉藤信委員 余りにも慎重というか、私は時期を失すると思いますよ、そんなことをしていたら。食料自給率の向上とは、絶対この貿易の自由化、関税撤廃は両立しません。政府が決めた食料・農業・農村基本計画、食料自給率を50%と決めた。小麦は88万トンから180万トンと決めたんですよ。関税撤廃されたら100%なくなりますよ。少なくともふえるということはないでしょう。
 国会で菅首相が辛うじて言っているのは、規模拡大と所得補償なんですよ。しかし、規模拡大といったって、アメリカが100倍、オーストラリアは1、500倍ですよ。これは競争にならないのです。所得補償、これは2007年に当時の農林水産省が試算しているけれども、すべての関税撤廃した場合の価格補てんは2兆5、000億円。2兆5、000億円といったら、今の農林水産予算そのものですよ。こんなお金どこからも出てこないじゃないですか。いかがですか、何の根拠もないと今の段階では言えるんじゃないですか。
〇小田島農林水産部長 今、委員御指摘のとおり、国のほうの検討については、さまざまな課題については論点が示されているところでありますが、例えば定量的な試算、そういうものについてどういうふうな方向性として解決をしていくのかということについて、例えば金額的なものの試算だとか、そういうものまで含めたものが全く出ているものではありません。
 したがいまして、そういうことについてどういう形で施策を打っていこうとするのかということを見定めつつ意見を申し述べていきたいと考えているところであります。
〇斉藤信委員 私、出せないと思うんですよ。10月1日に打ち出してから何カ月たっても、関税の撤廃と農業を守るという方向は両立しないから出せないのですよ。
 それで私は、関税撤廃という方向ではなくて、今、世界の食料価格は10年間で2.3倍、食料危機、食料不足の状況です。私は、食料主権に基づいた貿易ルールこそ強く求めていくべきではないかと。2回の提言を見ますと、各国の事情に応じた多様な農業の競争を基本にするということを言っていますね。私、これは正確に言うと、食料主権に基づいた貿易ルールだと思います。食料主権というのは、その国の食料はその国の農業で生産するという原則、これは2001年から2010年、国連総会で毎回決議されているんですよ。いわばTPPではなくて、食料主権こそ今、世界の流れなんじゃないですか。農林水産部長、どう受けとめていますか。
〇小田島農林水産部長 基本的に自国の食料は自国で賄う、そういう考え方から、食料自給率のパーセンテージも現在40%でありますが5割まで高めていくということを国が表明しているわけでありまして、そういう意味におきまして、委員御指摘の点については同感であります。
〇斉藤信委員 食料農業県を標榜する岩手ですから、知事や農林水産部長が先頭に立って、岩手の農業を守る、食料を守ると。政府が出せない中身をいつまでも待って態度を表明しないということは、私は県民の期待に背を向けるものだと思いますよ。
 ここは指摘だけにとどめて、2番目に行きます。
 2番目の質問は、米の戸別所得補償制度についてです。
 県内の米の生産費はどうなっているか。今回の戸別所得補償制度によってどこまで補てんされるか。生産費を賄えるものになっているのか。
〇小野水田農業課長 今年度の米のモデル対策についての御質問でございます。
 まず、県内の米の生産費でございますが、農林水産省から公表されております直近の平成21年産で申し上げますと、本県の米生産費、60キロ当たりで1万4、219円となっております。全国平均1万4、434円と比較いたしますと215円、1.5%ほど下回っている状況にございます。
 次に、戸別所得補償制度によってどこまで補てんされているのかという御質問でございますが、米モデル事業におきましては、全国一律で、物財費の全額と、それから家族労働費の8割までを見込んだ標準的な生産費と標準的な販売価格の差額分が10アール当たり1万5、000円と算定されて、これが定額部分として昨年末までに支払われたところでございます。
 さらに、平成22年産の1月までの全銘柄の平均相対価格、これは標準的な販売価格でございますが、これに対して本年産の相対価格が下回ったことから10アール当たり1万5、100円が変動部分という形で先月、単価が決定されて、現在、支払いがなされているところでございます。
 こうした交付金が支払われることによりまして、県内の米生産農家の手取り額につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり10アール当たり約2万7、500円ということで、ちなみに前年に比べると8、500円の増加となる見込みでございます。
〇斉藤信委員 私、生産費と比較してどうかと。去年と比べてというのは聞いていないんですよ。あなたが出した資料を見ると、収入は、定額分、変動分を含めて10アール当たり11万8、020円、生産費12万9、542円、10アール当たりで1万1、522円、生産費より下がるということになりませんか。
〇小野水田農業課長 先ほど御答弁申し上げた試算につきましては、国の考え方と同様に、過去の平成14年から20年まで7年間のうちの中庸5年間の生産費、これをもとに試算したところでございます。
 先ほど御答弁した平成21年産の生産費をもとに22年産の試算をしますと3万1、751円ということで、これにつきましても手取りとしては確保できると考えてございます。
〇斉藤信委員 それでは、わかりやすく教えてください。
 いいですか。平成21年産米の生産費は1万4、219円、これは60キロ当たりです。今回の戸別所得補償を加えた収入は60キロ当たりで何ぼになるんですか。
〇小野水田農業課長 平成22年産の試算につきましては、昨年の概算金が60キログラム当たりで申しますと8、700円、ひとめぼれでございますが、それで今回試算に用いたのは、1月までの岩手ひとめぼれの販売代金を用いたところでございますので、60キログラム当たりの収入といたしましては、これは税抜きの価格でございますけれども、9、522円、これを試算として用いてございます。
〇斉藤信委員 私が聞いたことについて答えているのかな。21年産米、22年産米の生産費が出ていないから、年次がちょっとずれていますよ。しかし、21年産米が60キログラムだと1万4、219円だと。今回、戸別所得補償を含めて農家の収入は60キログラム当たりどうなるんですか、それを聞いているんですよ。9、500円なんですか。
 後にしますか。
〇小野水田農業課長 今まで御答弁申し上げたのは10アールあたりでございますので、それを60キログラム当たりで手取りというお話だと思いますが、10アール当たり2万7、526円でございますので、これを60キログラム当たりに換算した数字ということでございます。若干計算にお時間をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 戸別所得補償は、今回の暴落の中では、昨年と比べて、大体、昨年プラスアルファぐらい補てんをされた。私は、これ自身は一定の役割を果たしたと思います。
 しかし、暴落が続けば、この補償も下がる。そして、私は生産費を償えないと思います。現場の農家の話を聞くと、これは8ヘクタールの規模でやっている農家ですけれども、やっと戸別所得補償で暴落分の減収が補てんされる程度だと。しかし、今、申告の時期で、戸別所得補償は、申告するときに何の名目になるかというと、雑収入になるんですよ。雑収入で100万円とか200万円とかと、もう肩身が狭いと。
 やっぱり基本は、再生産を保障する価格保証があって、それに適切な所得補償を組み合わせるというふうにしないと、農家の再生産の意欲が出てこないのではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇小野水田農業課長 平成22年産の米価格低落につきましては、景気の低迷等によって、21年産の持ち越し在庫が増加したことによる需給ギャップが生じたことによるものと考えております。
 今年度実施した米モデル事業につきましては、生産費を補てんする定額部分、さらには、価格の下落分を補てんする変動部分、これが確実に支払われることによりまして、米生産農家の手取り額は確保できるものと考えております。
 販売価格の推移というものはまだまだ依然として予断を許さない状況にあると考えておりますので、今後、その販売あるいは生産面につきまして、先般策定した新たな戦略に基づいて、特に低コスト生産といった取り組みを強化することによって、所得確保を支援してまいりたいと考えてございます。
 それから、もう一点、先ほど御答弁できなかった60キログラム当たりの収入でございますけれども、約3、330円と試算されると考えてございます。
〇斉藤信委員 3、330円というのは、8、700円に足せばいいということですね。そういうことですね。
〇小野水田農業課長 概算金の8、700円が現段階では農家の収入であるわけですけれども、それに、今回のモデルの交付金が支払われることによって、8、700円プラス交付金ということで、最終的な農家の手取りの試算が1俵当たり3、300円ということでございます。
〇斉藤信委員 そうすると1万2、030円ということですよ、生産費が1万4、000円でね。だから、やっぱり結局、生産費は償えない、農家の多数は赤字になるというのが、私は戸別所得補償制度の一定の役割は認めるけれども、こういう制度では再生産の意欲が出てこない。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、3点目の質問に入ります。農業の担い手対策です。
 2010年の農業センサスでは、農業就業人口が5年間で2万3、852人、20.9%も減少しております。新規就農者の確保、農業の担い手をどう確保するのかが、私は、岩手の農業にとって極めて重要な課題になっていると思いますが、その担い手の確保の目標、岩手の取り組みはどうなっているでしょうか。
〇千田担い手対策課長 農業担い手対策についてですが、まず、認定農業者についてでございます。
 平成21年度末現在で目標の98%に当たります8、332経営体が育成されてございます。ただし、高齢化が進行していることから、若い認定農業者を確保していくことが重要だと認識してございます。
 このため、新規就農者を毎年200人確保するとともに、意欲と能力のある若い農業者を認定農業者に誘導することにより、8、500経営体の認定農業者の目標を確保していきたいと考えてございます。
 また、農業、農村は、多くの農業者が共存し、維持発展しているものであり、小規模農家や兼業農家等にあっても、それぞれの営農志向や地域での役割分担に応じて、地域の営農への参加を期待しているところでございます。
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、農業就業人口が、この5年間で最大規模で約20%も減ったと。そういう中で、この認定農業者の目標はいいですよ。この程度でいいのですか、新規就農者200人ぐらいの目標でいいのですかと聞いているんですよ。これから農業をさらに発展させようというときに、こういう目標でいいのかと。
 もう一つつけ加えてお聞きしたいんだけれども、今、市町村ではさまざまな担い手確保の、特に新規就農者確保の取り組みをしています。八幡平市では月額10万円を1年間、御夫婦なら月額13万円、洋野町であれば月額12万円、御夫婦なら16万円、これを3カ年補助する、こういう形で取り組みが進んでいるけれども、やっぱりこういう取り組みを岩手県も支援するという取り組みも必要ではないでしょうか。その目標と具体策について、改めてお聞きしたい。
〇工藤農業普及技術課総括課長 新規就農者の確保に向けた市町村の取り組みにつきましては、委員御指摘のとおり、地域の産業構造あるいは営農条件、そういう実情に応じまして、就農奨励金という名称とか、あるいは家賃助成という形で、いろいろ独自の支援対策を講じていることは承知しております。
 県では、こうした取り組みと県の就農相談会の場を活用しまして、就農希望者に対してそういう情報を提供し、そして、就農地の選定ということに役立てていただくということで、言うならば、市町村と連携しながら、そういう相談の場での新規就農者の確保ということで取り組みをさせていただいております。そういう形を踏まえましてやっておるところでございます。
 県としましては、そういう方々の営農基盤を確実なものにする、あとは経営の安定という視点での支援をしておるところでございます。そういう取り組みをさらに今後とも続けてまいって、新規就農者の確実な確保、そして、定着というところで努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、8、500人の認定農業者、新規就農者200人、この程度の目標でいいのですかと。これを達成すればいい、新規就農者は実際には200人を超えているんですよ。既に200人を超えて、結果が5年間で20%就業人口が減ると。プラスマイナスで、これは間に合わないのではないかと私は聞いているんですよ。
 それと、もう時間がありませんので、最後、競馬の問題もお聞きします。
 4年間で発売収入がどう推移したか、賞典費はどのように推移したか。
 11年度の計画では、さらに発売収入が179億円余と11億円も減少する計画です。コスト削減も限界を超えているのではないか。これはどのように影響するのでしょうか。
 JRAとの相互発売でも、この間の実績から見ると、決して発売収入がふえるという実績にはなっていないのではないか。いかがでしょうか。
〇徳山農政担当技監 初めのお尋ねでございます、就業人口が約20%減少している状況と、あと200人の整合性でございますけれども、まず、約20%減少しているというのは、規模の小さい人も、規模の大きな人も含め、トータルで減少しているということでございます。
 今、私どもで言っている新規就農者200人といいますのは、岩手県の農業を担う、本当に中心となる人、この人たちを確実に毎年200人育成しようと。この人たちが大きく育ちまして、認定農業者になっていただいて、そうすることによって岩手県の農地を最大限活用できる、そして、農業で食べられる人が8、500人ということで目標値を掲げているところでございます。
 このほかにも、農村にはいろいろな志向の方がございますので、そういう方々も、志向に応じて農業についていただこう、このような考え方でございます。
〇大友競馬改革推進室特命参事 競馬事業の御質問についてお答え申し上げます。
 4年間での発売収入の推移と賞典費についてでありますが、まず、岩手競馬の発売額については、平成19年度は対前年比82.2%の233億800万円、20年度は対前年比94.7%の220億6、600万円、21年度は対前年比93.9%の207億2、300万円となっております。平成22年度は、現時点の最終見込みとなりますけれども、対前年比91.9%の190億4、900万円となる見込みであります。新計画策定前の平成18年度との対比では67.2%となるものでございます。
 また、賞典費につきましては、平成22年度は最終見込み額で17億1、700万円となっておりまして、18年度の33億1、500万円と比較し51.8%となるものでございます。
 次に、コスト削減についてでありますが、岩手競馬は、新計画のもとで、競馬事業で得られる収入ですべての支出を賄い、単年度ごとに収支均衡を達成することが事業存続の条件とされております。
 発売収入額に見合った事業運営が可能となるよう、年度当初あるいは年度途中でも、必要なコストの調整等を行ってきているところでございます。
 コスト調整が限界かどうかにつきましては、各取引先等の状況によるものでございまして、一概に言えるものではございませんけれども、コスト調整の対応が年々厳しくなってきていることは事実と考えてございます。
 しかしながら、新計画に掲げますコスト管理を徹底することで収支均衡を実現していくという基本的な対応につきましては、関係者の理解が得られているものと考えておりまして、今後も、これまでと同様に、関係者との協議を深めながら、必要な対応をしてまいりたいと考えてございます。
 また、平成19年度から22年度までの4カ年のコスト調整の合計額でございますけれども、18億2、700万円となっておりますが、極力売り上げやファンサービスに影響が及ばないように、また、馬資源や競走水準を確保できるよう、工夫を重ねながら実施してきたところでございます。
 最後に、JRAとの相互発売についてでございますけれども、JRAの電話投票システムによります地方競馬の発売につきましては、平成24年度中の開始を目指しまして、現在、対象となるレース等の条件につきまして、JRAと地方主催者との間で協議、調整を進めることとしているものでございます。
 現時点では具体的な効果を見通すということが難しい状況でございますけれども、JRAのネット発売の会員数は約308万人いるとされておりまして、岩手競馬の南部杯などダートグレード競走への関心も高いと見込まれますので、岩手競馬のマーケットの拡大や発売額の増加につながるものと期待しているところでございます。
 このJRAとの相互発売が、岩手競馬の将来の経営改善に着実につながるよう、今後の調整等、必要な取り組みを進めていきたいと考えております。
〇千田担い手対策課長 先ほど木村委員の一集落一戦略実践事業についてのお尋ねに対して、企画のほうで実施しておる地域コミュニティ100選との重なりがあるのかという問いに対して、私は、重なるものはないと思うというお話をしたのですが、調査いたしましたところ、私ども33やっている地区のうち、2地区で重なりがありました。
 現地のほうを十分承知しないところがございましてまことに申しわけなく思ってございますが、今後、6次産業の推進ですとか、地域づくり等の事業、さまざまあるわけでございますが、相互に有機づけて、連携を図ってまいりたいと思います。
〇新居田弘文委員 当該委員でありますので、1点のみお聞かせいただきたいと思います。予算の説明書の農業協同組合指導費に関連してお尋ねいたします。
 平成18年11月のJA岩手県大会で、県内の農協17農協を6農協に集約したいということが決議されておりまして、胆江、両磐地区におきましても、その合併に向けた検討委員会、並びにその後の協議会を設置して、合併に向けての取り組みが進められておりましたが、平成22年4月22日の会議の中で、合併は難しいという結論に至ったというのが新聞等で報道されておりますが、その背景について、改めてお聞かせいただきたいと思います。
〇長岡団体指導課総括課長 胆江、両磐地区の農協合併の動向についてでございますが、胆江、両磐地区の4農協の合併が凍結された理由につきましては、4農協の話し合いの結果、財務や経営基盤の違いなど、各農協の諸課題を現時点で持ち込むことは合併効果を阻害するという判断に基づいて、そのような結論に達したと承知しております。
〇新居田弘文委員 いろいろな理由があると思いますが、特に私が心配したといいますか、それも報道にあるわけですけれども、実は、この中のJA岩手ふるさと、それから江刺農協においては、奥州市の土地開発公社に約97億円ぐらいの債権があると。ですが、長期間にわたってなかなか返されない。その一部が監査法人によって不良債権比率ということで評価されております。その数字が20%を超える大きな数字になっております。
 私が言いたいのは、これは貸し借りですから、借り手と貸し手の協議、その合意によって契約されているから、それはいいんですけれども、問題は、この内容が、余りにも長期間にわたりまして債権が回収されない、あるいは期限が来ると金利を上乗せしてのまた証書の書きかえということが継続されておりまして、物によっては30年を超えるようなものもあると。しかも、今日に至っては、当時はまだ1%を割るような金利の貸し付けの時期もありましたが、今は2%に近いような金利状態ということで、今後、世界経済とも連動すると思いますが、この金利が上昇しますと、借り手側の負担が非常に大きくなって大変だと。
 もちろん、新聞報道によりますと、借り手側でも、第三セクター債を利用して全部繰り上げ償還するというような計画も報道されておりますが、私が言いたいのは、貸し手側のJAの、農協の債権がきちんと担保されて返済されるような仕組みでないと、夕張市の例もありますので、自治体だって破産しないわけではないのが現実にありますので、そういうことを招かないためにも、県としても、指導的立場にありますので、当該農協に対して、今までもそうでしたけれども、今後を含めて適切な指導をすべきと思いますが、その所見を伺います。
〇長岡団体指導課総括課長 従来、農協が土地開発公社等へ貸し付けを行う際には、地方公共団体の債務保証が付されるというのが一般でございましたので、その貸付額が多額に上ったとしても、必ずしも大きな問題と意識してこなかった傾向があったことは事実でございます。
 しかし、農協に関しましては、農家組合員からお預かりした貯金を特定の融資先に偏重して貸し付けることは、協同組合金融のあり方として好ましくないことは、委員御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、今後は、地方公共団体の債務保証があるからといって、安易に公社等に融資することのないよう、また、農協本来の役割である農業向け、農家向け融資の割合を高めるよう、条例検査を初め、各種モニタリングの機会を通じて、適切に指導してまいりたいと考えております。
〇新居田弘文委員 まさにそのとおりだと思うんです。大分時間がたっていますので、今さらさかのぼってどうのこうのはできないんですけれども、これからだってあり得ないわけでもないし、今あるものも書きかえですぐ先送りするような関係では、当事者が納得しても、やっぱり不自然な形だと思います。
 今、お話がありましたように、これは、本当に腰を入れて適正な指導をお願いしたいということを申し上げて、終わります。
〇工藤勝博委員 私も、当該委員ですので簡潔明瞭に質問させていただきます。大きく、農林水産部の平成23年度の予算と職員体制ということについて、何点かお伺いします。
 低下する予算ということで、ここ数年、10年近くの農業関係の予算を見ましても、年々減少しております。それとあわせるように農業の産出額も低下しております。その減少する大きな要因は何なのか、また、どのように認識してその歯どめをかけようとするのか、まず1点お伺いいたします。
〇徳山農政担当技監 産出額の減少の原因と今後の対応についてでございます。
 まず、農業産出額の減少につきましては、米価の下落や生産調整等により米の産出額が大きく減少したことに加え、農産物全体の価格低迷、また農業従事者の減少、高齢化の進行により生産力が低下したこと、このようなことが主な原因ととらえております。
 こうした中で農業産出額を伸ばしていくためには、まずは、新たな米戦略に基づいて徹底した販路を確保しつつ、今後、国産志向により需要の増加が見込まれる園芸部門、畜産部門の生産力を高めていくことが重要だと考えております。
 このため、まず、意欲と能力のある若い農業者や認定農業者、集落営農組織が行う経営高度化のための機械、施設等の整備に対して重点的に支援し、本県農業の将来を担う担い手を育成し、しっかりとした経営を展開していただく、これが1点でございます。また、産地みずからが策定した園芸産地拡大実践プランに基づく省力、低コスト技術の実証や新品目の導入、さらに、畜産におきましては、TMRセンターやキャトルセンターなど、外部支援組織を活用した経営規模の拡大を支援するなど、園芸部門、畜産部門の産地の若返りを図りながら、本県の産出額を伸ばしていきたい、このように考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 ありがとうございます。今、技監からもお話がありましたけれども、全くそのとおりだとは思います。しかしながら、毎回そういう答弁を聞いておりますけれども、私も県議会に来る前まで、4年前までは専業農家でありました。そういう中で、やっぱり農業生産を高めるというのは、そういう感覚ではないのではないかという思いをしております。というのは、こういうものをつくってみたい、あれをつくれば希望がある、そういう思いで農家の生産者は取り組むだろうと思います。その辺の指導が欠けているのかなという実感を持っております。
 そういう中で、農林水産部の職員は、知事部局で約3割、1、383人です。東北では、福島県が1、530人ですけれども、福島県に次いで2番目の大所帯なんですね。その中で、年々低下している産出額、全国で見ますと農業生産額12位という、本当に数字的には残念な数字だと思います。それを切りかえる一つの大きなことを大胆に考えていかないと、今のような説明であれば、毎年そういう状況の繰り返しだろうと思うんですよ。
 国とか県のいろいろな補助事業もたくさんありますよね。その事務事業が、今の農林水産部の中では大変ウエートを占めていると思うんです。現実的に、現場に行っている職員と事務方といいますか事務をやる方の比率は、どのぐらいなんでしょうか。
〇小友農林水産企画室管理課長 農林水産部の現場に行っている職員と事務方の職員ということでございますけれども、普及を担う普及員等、試験研究機関、それから振興局、これが合わせて平成22年で1、039人、それに対して、本庁が282人という数になってございます。
〇工藤勝博委員 本庁の人数は282名ということで、本当に中核部門を担っていると思います。また、振興局でも、やっぱりまた同じような事務方もたくさんおられると思いますけれども、そういう中で、平成23年度の支援事業、予算もかなり細々とあります。それぞれの担当部署によっては、100万円ちょっととか。100万円ちょっとの予算に事務経費をかけるというのも、私はどうかと思うんですよね。
 それらをある程度整理して、極端な話、部課、部署が似たようなと言えば変ですけれども、例えば技術普及課と振興課なら振興課を一緒にしてもできるのではないか。そういう形で一つの組織をシンプルにしながら、その余剰な部分を現場のほうに配置できないものだろうかという思いをしております。
 といいますのも、先ほど来、担い手、担い手の中では園芸部門にかなり志向があります。園芸部門を志向するということは、例えば花でも野菜でも、従来のやり方だと興味がわかないんですよ。やっぱりそこの中に技術開発、品種開発があって初めて興味がわいてくる。そういう県が率先して提供する仕組みをつくらないと、幾ら担い手を育てますよといっても、その担い手は、その志向には走らないだろうと思います。
 それは、私も篤と勉強させられました。委員会で各地の試験場等も見させてもらいましたし、やはり伸びている、伸ばしている県では、そこに重点的に取り組んでおります。特に、実例を言わせてもらいますと、山形県の知事が先頭に立って、着物を着て、つや姫を宣伝しているんだと。そういう実例も踏まえて、そこはやはりきちっととらえていかないと、幾らやります、やりますと言っても難しいだろうと思います。
 そういう中で、細々とした補助事業を市町村でやれる分は市町村に移管したほうがいいのではないかということを提案して、お聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇徳山農政担当技監 まず、細々とした事業の統一化ということでございますけれども、今、大きく分けてソフト事業、ハード事業とありますが、ソフト事業については五つか六つということで、かなり細分化といいますか、その中で大くくりしております。また、ハード事業については、県単事業のいわて希望農業事業に集約しておりまして、いずれも、ハード事業に事業を組みかえて創設するときには、市町村から要望を聞いて、使い勝手の悪いところとか、いろいろ話を伺いながらつくっております。
 ただ、それがすべてということではなくて、やはり、これから見直しというのは、毎年毎年繰り返していくべきものと考えておりますので、そのような観点で、なるべく使いやすいようなものと考えております。
 あともう一つ、先ほど普及の話がございました。他県では技術研究所とか、そういうところも現場に細かく入ってやっているということで、ことし、旧振興局ごとに農業技術サポートセンターというものをつくることにしておりまして、今、準備中でございますけれども、来年から、その地域で課題となっている品目、あるいは作型、そうした課題を現地実証して、クリアできるかどうかということを農家の皆さんにも目で見ていただきながら、そのような形で農家の栽培意欲の向上を図っていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 大変いい答弁をいただきましたけれども、やはり育成した認定農業者が、きちっとしたそういう営農計画を立てられるような、そして、それをサポートするような仕組みをもう一回、再構築していただきたいという思いです。
 最後に、本当に今、過渡期だと思うんです。これ以上曲がり角の農政はないと思うんですよ。いろいろな国の制度が変わりながらでも、やっぱり県は、県の独自のそういう姿勢をきちんと示すべきだろうと思いますけれども、部長から聞いて、終わります。
〇小田島農林水産部長 今、農業者の方々は、例えば生産物をつくっても、非常に価格が下がっているという中で、例えばここ十数年を見ますと、品目にもよりますが2割から3割下がっている。そういう状況の中で、6次産業化の話ですとか、いかに収益を上げていくかという工夫をしなければならない、それから、そういう品目にシフトしていく必要もある。
 それを支えているのは、地域の普及センター、それから、生産者の方々の部会ですとか、そういう方々が一体となって生産振興を図っていく必要があると考えております。
 したがいまして、これからのありようとして、そういう普及の高度化を目指すための地域での取り組みを予算的にも支援していく、いわゆる縦割りの補助から、まとめながら支援していくような御提言でございましたので、提言の趣旨も踏まえて、その地域の実態に合った体制なり予算の仕組みを、いろいろ検討させていただきたいと思います。
〇工藤勝子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 きょう、この農林水産部のやりとりをお聞きして、ちょっと私もいろいろ考えるところがあったわけですが、この予算に関する説明書の144ページの農業改良普及費の関係でちょっとお聞きいたします。
 今、改良普及センターの普及員の顔が見えないと。そこで、まず一つ、最初にお伺いするのは、この普及員の普及活動の実態がどのようになっているのか、お示し願いたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 普及センターの今の状況でございますけれども、まず、県内の農業の方向を踏まえまして、9カ所に普及センターを配置してございまして、人数は211人ということで、おおむね各普及センターに20人前後配置するような形で、今現在、置いております。
 そして、なおかつ、各普及センターには、言うなれば作物専門担当という形になるわけですが、複数名配置になるような、そういう形で今、配置をしておるところでございます。
〇高橋昌造委員 先ほど工藤勝博委員の質問の中にもあったんですが、いずれこの農業生産額の減少と、普及員が実際現場に出ての普及活動とが、何となく比例しているのではないのかなと。だから、私は、顔が見えないというのは、普及員が、実際いろいろな農業振興のために具体的にどのように、本当に時間を割いて、昔は、本当に普及員の方々が、農家の人たちと一緒になって、そして苦楽をともにして、どうすれば農業振興に役に立てるかという、やろうとするそのやる気が見えないような気がするんです。そして、もう集約されて、ますます農家から離れていっている現状ですね。
 だから、実際、現場に出ての活動の時間でもいいし、日にちでもいいですから、ここ例えば10年ぐらいの実態がどのようになっているか、お示し願いたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 活動時間につきましては、今、手元に資料がございませんが、おおむね普及員については、現地活動に当たる時間が、トータルの活動時間で、現場に行く時間が1人当たりの時間の半分ぐらいかと、データはございませんが、それぐらいかと思っています。というのは、いろいろな市町村あるいは農協の会合、あるいは地域での打ち合わせ、それから展示圃等の指導の準備という時間もございまして、現場での指導時間というのは、恐らく半分ぐらいの時間になっているかと思います。
 その辺は、数の話になりますけれども、かつて普及員の数が三百数十人おった時代から、今、先ほど言いましたとおり211人。こういう時代の中で、仕事の重点化、あるいは地域の課題を重点化しながら取り組むという手法と、そして、あとは、地域の中で農協あるいは農家の方々も一緒に入れながら、その地域の振興をどうするかを議論する場をつくりながら、カバーするようには努めているところでございます。
〇高橋昌造委員 それで、今回の定例会でもTPPでいろいろ議論されているわけですが、やはり農業の基本は、私は、農家の方々を中心に考えていかなければならないと思うんです。ただ、わかりやすい具体的な議論では全然なく、ただ抽象論で議論したって前に進まない。だから、地に足のついた議論をしていかなければならないと思うんですよ。
 その意味では、農業改良普及センターの役割というのは非常に大きいと思いますし、これからやっぱりしっかり取り組んでいかなければならないと思うんですよ。
 そこで、部長にお聞きいたしますが、やはりこれから、こういう時代だからこそ、きめ細やかな、そして農協とか、農家とか、行政、この市町村の農業に従事する担当職員とか、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、この岩手の農業に明るい展望が持てる、夢と希望を持てる夢県土、今はまた、希望郷いわてですが、そういう夢とか希望に終わらない、実現できるように、部長の心意気をお聞きして、終わります。
〇小田島農林水産部長 やはり、農家の方々にまず接しているのは普及センターの職員でありますから、まず、普及センターがきちんと農家の方々のところに入り、そして、普及センターと市町村、そして、例えばJAの地域の部会ですとか、そういう方々が一体となって、今、そういうことについての新規就農者の育成も進めようとしておりますし、地域協働の仕組みも進めようとしています。
 あわせて、集落ごとにきちんとしたビジョンをつくって、何をつくっていくのかということもいろいろみんなで相談をして、やっぱり原点となるのは、その地域地域の農業がきちんと続いていく、そして生産し、所得を得るということでありますので、そういうことを基本としつつ、農業、農村が元気になるような施策を県としても進めていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 関連。次の段で水産業普及員を聞こうと思っていたんですが、今、農業のほうが出てきましたので、比較検討のためにちょっとお伺いします。
 平成18年度の水産業の普及員が14名、そして農業が234名、林業が39名とありましたが、平成22年度は水産のほうが1人ふやしていただきまして15人、そして、農業が33人減って201人、林業はそのままで39人とあるんですが、農業が33人も減ったというのはどういう意味なんでしょうか、まず、お伺いしておきたい。
〇小友農林水産企画室管理課長 農業普及員が減った理由ですけれども、県が進めてございます行財政改革プログラムの中で県の職員全体が減ったわけですが、そういった中で、普及員については、減少幅は小さくおさめるように努めてきたところでございますが、農業は、全体の母数が多かったこともあって、減少したものでございます。
〇伊藤勢至委員 ちょっと数の比較で減らした、ふやしたというのではなくて、岩手県が目指すのがどこかという大テーマの中で、こういうことがあってはいけないのではないかと思うんですよ。食料供給県を標榜している岩手県が、こういう基本の指導員たるいわゆる現場と県の間に立ってやっていく、そういう人を一方で減らしながら、一方では供給県ですなんて言うのは、ナンセンスな話じゃないですか。私はそう思います。
 いずれ、後段のほうでお聞きしますが、部長、やっぱり食料供給県を標榜しますと一方で言いながら、こういうノウハウを持った人たちを減らしていくというのは議論になっていないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇小田島農林水産部長 この定数をどういうふうにするのかということにつきましては、いろいろな全庁的な検討の中で、その人員体制を可能な限り縮減をしつつ、必要な職員についてはできるだけ確保をして、そして、指導がとれるような、そういう体制にしたいということで、先ほどもちょっと農業の数字を申し上げたところでありますが、取り組んできたところでございます。
 残念ながら、農業としては、数字としては減っているわけでありますけれども、普及員よりは、そのほかの行政職、本庁の体制ですとか、そういうところで削減の率を高め、できるだけ現場に近い普及員の数については、減らさない方向で取り組んできたところでございます。
 残念ながら、そういう状況にありましても、やむなく縮減が余儀なくされたところでございますが、そういうことについてどういうふうに対応するかということで、関係機関の皆様方とか、市町村ですとかと連携をしつつ、協働で新人育成をする仕組みですとか、さまざまな方策で農業の振興を今、図っているところでございます。
〇工藤農業普及技術課総括課長 数値の話でございますが、先ほど御指摘のございました33人の減という委員からのお話がございましたけれども、うち10人が、普及員制度の変更が平成18年にございまして、従来、県職員であれば普及員だったんですが、3年間の実務経験がなければ普及員にならないということで、そのうちの10名が普及員ですので、実質減は23名ということになります。
 済みませんが、補足させていただきます。
   〔伊藤勢至委員「それなら、後からふえるんだ」と呼ぶ〕
〇工藤農業普及技術課総括課長(続) いや、ふえるということではなくて、30人というのは、普及員資格を持った人の減でありまして、その30人の中に10人分が、普及員資格はないんですが、普及の仕事をしていると。実務を3年経験しないと普及員の資格試験が取れないということがございますので、現場において、実務経験中の者がその中に10人ほど入っているということで、実質の減は20人前後ということになりますので、済みませんが、補足させていただきます。
〇工藤勝子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部、農業関係の質疑を終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時47分 休 憩
   午後3時8分 再 開
〇五日市王委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 まず、林業振興についてお伺いいたしたいと思います。
 今、106号を走って盛岡に来る、あるいはその帰り道、相当テイーダブといいますか、ボンネットタイプのユニックのついた林業専用のトラック、そういう木を満載した車に10台ぐらい行き会います。これは相当山の木が今動いているんだろう、そういうふうに思うんですけれども、時期的には、戦後65年、国策としてやってきた植林事業というのがようやく伐期を迎えまして、そういう流れから木が今動いているのかなと思うんですが、どういう木がどのように動いて、どういうところに行って、どういう経済効果が上がっているのかまずお聞きしたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 詳細な樹種まで判明するものではございませんが、今、岩手県の県産材全体の需要の動向でございますが、県産材として切り出しておりますのが、現在、全体で約118万9、000立方メートルほどございます。主に製材に約40万立方メートル、木材チップに47万9、000立方メートル、そして合板に30万立方メートルほど使われております。そして、そのほかに、県外から入ってくるもの、あるいは外国から入ってくるもの、外国材は8%ほどでございますが、こういったものを合わせまして、県内の総需要として全体で123万3、000立方メートルほど使われております。
 そして、製材品として使われておりますのが約46万9、000立方メートル、木材チップ用素材として42万立方メートル、合板用として34万4、000立方メートル、さらに素材として県外に出されているのが18万6、000立方メートルほどございます。
 製材で使われているものは、約半分は県外向けで出荷されておりますが、県内向けのものも、いわゆる集成材とかで2次加工されるものがございますので、恐らく大部分は県外に出荷されていると全体の流通動向から押さえているところでございます。
〇伊藤勢至委員 何かに仕事になっている、ものが動く、仕事になって、それが岩手県全体にしみてくる、これはいいことだと思うんですが、一方、切った木ですから、当然植林というものをしていかなければ裸山になってしまう、こういうことだと思うんです。平成18年から岩手県がやっていますいわての森林づくり県民税、こういったものを活用しての植樹というのは現在どのように動いているんでしょうか。
 それから、これは植える話。今のは木を切る話ですが、木を切る際に、奥山になればなるほど、作業道、林道絡みではなくて、どんどんブルドーザーで作業道をつくって木材を運び出す。そういったものがどんどん延びていきますと山の崩壊につながりはしないか心配する方々もいらっしゃいます。今、ほとんど集材機とか、そういったのは見なくなりました。ほとんどがブルで作業道をつけて入っていく。そういった際に、指導とか何かルールとかあるんでしょうか。こういうところは集材機を使えとか、あるいはブルでつけた道でいいとか。じゃないと、最終的には山の荒廃といいますか、山が裸になって雨が来ると土石流になって谷を埋めて、それがまたあふれて、そういう繰り返しになっているような面もある、そういったことも言われますが、そういったのはどうなっているんでしょうか。
 それから、御多聞に漏れず、林業をやっている方々も高齢化をしておりまして、今はほとんど若い人がいない。一方では、例えば月25万円ぐらいのものは払ってもいいから若い人がどんどん入ってこい、入ってきてくれ、そういうことを言っている人たちもいるんですよね。したがって、月収さえ確保してあげれば、山に入って仕事をしてもいい、アウトドアで働きたい、そういう若い者もいっぱいいるんですが、そういった人を何とか山にいざなうために、これは商工労働観光部のほうでも聞いたんですけれども、例えば職業訓練校のようなところでチェーンソーの扱い方を教えるとか、あるいは集材機のかけ方を教えるだとか、そういったことはできないものなんでしょうか。やっているんでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 県民税の活用あるいは植林の話、さらには路網等の設計ルール、そして高齢化に伴う担い手ということでの職業訓練のような御質問だったかと思いますが、私のほうからいわての森林づくり県民税の関係を御回答申し上げますが、県民税の趣旨は、手入れが十分行き届かなくなった森林、これらを適正な環境に戻すということを目的に平成18年度から実施しておりまして、主たる事業としましては、そういった荒れた森林を共同間伐によりまして針葉樹と広葉樹の混交林にしていくという間伐事業が中心でございますので、委員お尋ねのような植林まで県民税を活用した事業は実施しておりませんので、御了承願います。
〇藤川森林整備課総括課長 森林の新植の造林の面積でございますけれども、現在、針葉樹で過去5年間ぐらいの平均で約1、300ヘクタールぐらい、広葉樹で約3、000ヘクタールぐらい伐採されております。このうち、造林されるのが年間大体700ヘクタールぐらいとなってございます。
 針葉樹の部分、約1、300ヘクタールぐらい伐採されるわけですけれども、その中で700ヘクタールぐらいの造林ですので、半分ぐらいということでございます。
 あと、担い手関係の御質問でございますけれども、現在、林業労働対策基金が中心となりまして担い手対策をやっております。この中でいろいろな就業者に対する助成制度とか、そのほかに研修制度をやっておりまして、さらに県の森林組合連合会が緑の雇用事業をやっておりますけれども、これによりましていろいろ研修をやっているところでございます。
 作業道等のルールについてでございますけれども、確かに山を見ますと、非常に無秩序な、特に伐採作業路で無秩序な道路というのが見受けられる状況でございます。
 こういった中で、以前、伐採のいろいろなルール、道路の通し方のルール、こういったものを検討委員会を開きまして定めて、それを業者に通知しているということもございます。
 またさらに、今、国のほうでも、道路の体系を林道と林業専用道と、あと森林作業道というふうに分類いたしまして、その中でそれぞれの規格、基準を設けまして、それに基づいて今後は作業をしていくということになっております。
〇伊藤勢至委員 今、国のほうでも作業道、林道、そういったものを進めていると。そういった部分と、いわての森林づくり県民税の中の一部のお金を合体させてそういう作業もできるということなんでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 先ほどもお答え申し上げましたとおり、いわての森林づくり県民税におきましては、もっぱら手入れのおくれております山の森林を共用間伐していくものでございまして、そこは林業振興というよりは森林環境保全という観点から整備しているところでございますので、そういった意味で、委員御質問の路網と、国のそういった補助事業とを組み合わせて県民税事業を活用するということは現在行っておりません。
〇伊藤勢至委員 おかしいんじゃないですか、それは。目的は一つじゃないですか、山をよくしようという、トータル的には。間伐も当然必要なことですし、国が進める作業道、林道というのもトータルは山をよくしていこうというはずなんですね、基本的には。だったら合体をしてやっていくというのは林家にとっては非常に有利なことになると思うんですけれども、今ここでやりとりをしてもしようがありませんが、後でまたよろしくお願いしたいと思います。有利なものを有利なほうに教えていったほうがいいと思います。
 さて、水産についてでありますけれども、きのうの昼の地震について、県内にこれはまたやられたかなという非常に危惧を持ったのでありますが、一応きのうの夕方までのところは県内には余り被害がなかったと聞きました。ただ、けさになって、陸前高田市、大船渡市方面に被害があったみたいな報道になっていましたので、これはまたやられたかなと思って大変残念に思っているんですが、当然被害が出るとなると共済の補償金なんかを使って復旧ということになると思うんですが、一昨年やられたばかりで、またさらに共済を申請するといったような場合に、それはすんなりとおりるものなのかどうか、まずそこを教えてください。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 共済の場合は、生産物であれば5中3で、過去5カ年の中の最低、最高を除いた平均ですけれども、それが1年ずれた形になって、一昨年被害があったわけですからかなり低い額ですけれども、残りのところで見られて、それは対象になってまいります。
 あと、施設であれば、加入している方々はその都度その都度の対象として支払われることになっております。
〇伊藤勢至委員 昨年の暮れから正月にかけて本当に大きな被害でございました。担当部署の皆さんは、本当に情報収集から精力的に動いていただいたと思っておりまして、感謝を申し上げたいと思います。
 そういう中で、当初予算に1億7、000万円の支援策を計上していただきました。1億7、400万円余でしたかね。そして、なお、骨格であるので、6月になったら14億円、こういう話でしたが、そんなものかなと思っていたんですが、一体この骨格というのはそういうものなんでしょうか。
 例えば、県知事の選挙があるので、県知事選挙が終わったら6月に本格的なという話だとすれば、だれが県知事になったってやらなければならないことは今でもやらなければならないわけなので、なぜ骨格といってちょびっとの1億7、000万円、次は6月の14億円と、こういうふうに分けてしまうんでしょうか。本当に現場のみんなのことを考えれば、一回にどんと出してもらったほうが精神的にも、よし、またやるぞという気持ちを起こすことにもなると思うんですが、それが行政の手法であるのかどうかは別にして、私はこういう天変災害のときには、できる限り現場の意を体した形で、骨格じゃなく、この際本格的な予算として当初から示すべきではないのかと思うんですが、これはどうなんでしょうか。
〇橋本副部長兼農林水産企画室長 まず、災害等への予算対応でございますけれども、今般の年末から年始にかけての災害の部分につきましては、ちょうどスケジュール的に当初予算編成という時期と並行した部分もございました。さらにまた、津波の被害とも違いまして暴風波浪ということで、その影響の度合いを把握するのに時間を要したという部分もございました。そういう中にありましても、まず当座把握できた部分で対応が必要な部分につきましては、2月補正として、平成22年度予算として、今年度必要な分につきましては見込みのつく情報を得た部分について予算措置をし、さらに定置網等、まだ今後資金を必要とするといった部分については、時間的な余裕と、それからさらに被害状況を見きわめるということで当初予算のほうに計上するような形で対応させていただいたものでございます。
 また、骨格予算等については、全庁的に知事選挙がある場合については、政策的な部分を除き、肉づけは選挙後に本格的な予算として措置をするというのが慣例になっているものと承知してございます。
〇伊藤勢至委員 慣例もカレイもどうでもいいんですけれども、いずれ被害額がわかった時点で対応したいためにずらした、こういうことですね。それは当然のことだと思います。ただ、時間がたつにつれてだんだん被害額がふえていった、これはそのとおりなのでわかります。ですけれども、実は、チリ地震津波で宮古湾が壊滅的な打撃を受けました。その際には激甚災害の指定を受けるということで国に働きかけをしたわけです。そして湾内の方々は、コンクリートブロックをつないで沈めるおもし、あるいは土のう袋でつなげるおもし、そういったものではなくて、今度は、北海道の奥尻地方が使っているスーパーアンカーといいまして、海底にエアガンで撃ち込んで、先っちょが広がって捕縛力が強い、そういうものに変えたいということでそれに変えた人もあったわけなんですが、中には、当初から激甚災害指定で8割補助のお金が来るのであればスーパーアンカーに変えたかったという人がいるんです。その後、昨年2月末の津波でその人たちもやられてしまった。したがって、国のお金、県のお金が早く出るのがわかっていれば自分たちも丈夫なほうに対応したかった、こういう人がいたものですから、だからそういった際に補助の金額が大きければもっと丈夫なほうを選択をして被害を逃れたかもしれない、こういうふうに思ったものですから、今聞いたわけなんです。
 したがいまして、今後は、タイミングがいい、悪いにかかわらず、そういうことまで含んで、ある程度の選択肢が広がるような、より丈夫なものが選択できるようなそういう対応をしていただいたほうがいいと。今後も絶対ないとは言えないことですので、そういうことまで含んでいただければ優しいやり方になると思いますが、いかがですか。
〇小田島農林水産部長 委員御指摘の、これからの復旧、復興に向けて、次には災害に遭わないような仕組みでもって整備をしていくことを支援するというのは従前から委員からよく御指摘もいただいておりますし、そういう方向性で進めさせていただきたいと思います。
 冒頭、予算の説明におきまして、私の説明が舌足らずで、恐らく委員がお話しになられた14億円は6月補正でと御理解されたかと思いますが、これは当初予算の補正という意味でございまして、当初予算で最初から予算計上すればよかったわけでありますが、当初予算を積む作業と津波災害が並行して起きましたので、要は当初予算の計上に間に合わなかったと。しかしながら今回の補正には間に合ったということで、今議会、当初予算の補正として今回あわせて議論をいただいて当初予算として仕上げたい、この補正も含めまして。ということは、14億円まで含めた今回の予算というふうに御理解をいただければありがたいと思います。
〇伊藤勢至委員 いずれ6月までには14億円も使っての復興対策に充てられる、こういうことですね。わかりました、ありがとうございます。
 さて、今回、本当に大きな被害でございまして、これまでもあったたびに現場を見てくるようにはしておったんですが、今回、アワビの貝とかウニの殻がいずれも空っぽになって相当数が浜に打ち上げられておりました。このメカニズムがどういうことなんだかわかりませんが、初めてのケースだと思っております。
 そういう中で、今回、ワカメと昆布類をやっている方々は恐らく収入がゼロではないか。2割か3割いっても、こういう方々がいらっしゃるわけです。今から急いでワカメの種つけをして海に沈めても、今季間に合うかどうかわからないと。あるいは、カキでありますとかホタテは2年か3年かかりますので、もう一回やり直しても収穫は2年か3年後、こういうことになるわけです。全く収入がゼロに近い方も出てくるということで、非常に今回、深刻なのでございます。
 そういう中で、次なる漁期的なものからいきますと、5月ごろからのウニ、そして10月、11月からのアワビ、こういうことになると思います。ただ、このアワビ、ウニについても、潜水夫を入れて詳しく調査をしないと被害の程度がわからない、こういうことのようでありまして非常に不安なのでありますが、昨年の決算特別委員会でも警察に対しての要望の中で行いましたが、アワビの本県沿岸の水揚げ量と同じぐらいの量が密漁されているのではないか、そういう説もあるわけでありますので、次の有力な換金作物としてのウニ、アワビ、特にアワビにつきましては、農林水産部のほうからも警察のほうに、やはり密漁取り締まりを頻繁にやるぞと、やってくださいと、そういったものを要請していただいて、何とかこの部分を未然に防いでいただきたい。やるぞ、やるぞと言うだけでもその筋の連中たちはびびってしまってやらないと思います。したがいまして、そういうアングラ情報でも何でもいいですから流していただいて、やるぞ、やるぞ、そして少なくなっているでありましょうアワビを確保して漁民の皆さんの所得を確保する、そういう思いからやっていただきたいと思います。
 重茂半島なんかは半島全体がいい年収のあるところなんですが、本当に大変でございます。こうなると、ウニをやってアワビをやって、あとは秋のマツタケに期待するしかないという話なんです。そういうこともありますので、ぜひ警察のほうに農林水産部のほうからも要請をしていただきたいと思います。これが一つ。
 それから、アワビに関連いたしまして、一昨年は岩手丸という漁業取締船も兼ねた船の新造船に入っていただきました。今回は、はやちねの新造船の設計費を計上した、するというような話も聞いていましたが、したのでしょうか。したとすれば幾らぐらいのものをやったのでしょうか、あわせてお伺いします。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 密漁対策のほうについてでありますけれども、漁業取締事務所のほうには現職の警察官をずっと配備していただいていますし、このたび異動があるという内示を新聞で見たりもしておりますけれども、引き続き継続していただけるということで、水産技師としてはほっとしているところです。やはり我々水産技師だけではなかなか難しいところを、専門の警察官がいるということだけでも我々も心強いし、漁業者あるいは密漁者に対してもインパクトがあるだろうと思っております。
 岩手県、それから青森県、宮城県3県の合同の密漁関係の取締対策会議もやっておりますし、それから漁業取締員、漁協にもいるわけですけれども、そういう方たちの集まりの中にも県警も入っていただいたりしながら一緒になってこの密漁防止の取り組みはしていただいております。
 それから、はやちねの設計費のほうでありますけれども、これはかなり耐用年数が経過しているところもありますので、ぜひこれは何とか建造していきたいと思っているところです。まだ今のところはそういうところです。
〇伊藤勢至委員 最後になりますけれども、調査費まではまだいっていない、その前のあたりだ。あとプッシュだな。はい、わかりました。
 最後にお伺いしますが、水産の指導員がずっと少ないというお話をして、ようやく1人を増員していただきました。ただ、結果として、どこが多い、少ないではありませんが、平成22年度は水産業普及指導員が15人です。農業がちょっと減っているんですが201人、林業が39人、こういうことでありますが、ほかが多いとか少ないとかの話ではなくて、県北・沿岸振興が岩手県の重要施策でありますと言って打ち出していただいて、いわて三陸海洋産業振興指針なども取りまとめをしていただいて、そこまではわかるんですけれども、今度はそれを具体化していく手段としての水産業普及指導員というのはもっとウエートが高まってくる。こういうところを増員して、今まで生産という部分については、岩手県の生産現場の方々は相当もう腕が上がっていると思うんですが、問題は、生産できたものをいかに高く売るか、むしろ流通のほうに移っていかなければならないのではないかと思っております。
 山田町では、ホタテグラタンというのをつくって大好評を博して、全国的に展開をしている業者さんがいます。今度はカキグラタンをつくると頑張っていました。そういういいもの、おいしいものとおいしいものを足してさらにおいしくして販路を広げる、こういうのがこれからの指導員に求められると思います。
 やはり県北・沿岸振興、所得を上げるということであれば、こういうところに意を用いてもらいたいと思うんですが、この水産業普及指導員の、生産よりも流通あるいは加工、そういった能力のある方々をもっと積極的に配備して、流通のほうまで広げていただくことによって沿岸の振興が図られるのではないかと思うのですが、そこを含めてお聞きして終わります。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 水産業普及指導員の役割についてでありますが、まず、今年度から1名ふやしていただきまして、県北・沿岸振興の中で位置づけをして、今、頑張っているところであります。沿岸局の本局のほうにふやしていただいたと。この沿岸広域振興局の中には、本庁から地域営漁計画部門と加工部門の一部について人と業務を移管して現場で頑張ってもらうということで、その中に普及員もいるわけです。地域営漁計画の中でも、生産を上げるばかりではなくて、漁業者にも価格に意識を持ってもらい、それに基づいてよりよいものをつくるというところにつなげていきたいと思っております。そういうところから6次産業化的なものを漁業者にも今、考えてもらうような形。ちょうど新たな普及員はそこの部分におりまして、漁業者の方々といろいろな売り方、そちらのほうまで一緒になってやっているところであります。
 今、山田町では、先ほどホタテのグラタンとかカキのグラタンというお話でしたけれども、やはりアカザラガイという、今まで製品対象となっていなかった、そういうものも商品化しようというところに普及員も加わり、あるいはアドバイザーも加わりながら、今、売り方のほうまで広げていこうと。これは全県的にそういう形で、今進めていきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 水産費にかかわってお伺いしたいと思います。
 つくり育てる漁業ということで、アワビ、ウニは一定の成果が上がって、漁家の方も現金収入ということで大変助かっているわけですけれども、新たに2007年から洋野町にある栽培漁業協会種市事業所において放流試験用として種苗栽培を始めたナマコですけれども、4年が経過したわけでありますが、ことしもそのナマコの予算が産地づくり推進事業費とついておりますけれども、昨年と比べると、半分までいかないけれども6割ぐらいまで金額が減っていますね。これは新聞報道等で見ますと、やっと販売できるようになったという結果なのかと思っておりましたけれども、恐らく大変だったと思いますけれども、ここまでこぎつけた関係者の皆さんには本当に感謝と敬意を表したいと思います。
 最初の試験放流から3年が経過したわけでありますけれども、現在の成長の状況はどうなっているのかお伺いしたいと思います。30ミリ以上で出荷するということですので、大体3年から5年で出荷できるようになるという話ですけれども、その辺わかったらお聞かせ願いたいと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 ナマコ種苗の成長についてでありますけれども、洋野町の宿戸で試験を今やっているところでありますけれども、平成19年6月に放流したナマコ種苗が、3年で平均重量として150グラムを超えるまでになっております。干しナマコとか、そういうサイズとしては100グラム以上というようなことを言われていますので、今、この試験の中では成長したと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 2010年度から有償販売という形で出荷しているということですけれども、全体で59万個ですか、県外が36万個、県内が23万個となっているようですけれども、できれば県内の出荷がふえればいいと思うんですけれども、県内の出荷が少ない理由、また、どうやったらふやすことができるのか、その辺も説明願えればと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 県内出荷は少ないわけですけれども、これは県内の各漁協から種苗購入の需要をとって、それに基づいて配付した、それが23万個だったわけでありますけれども、これは、今年度から事業化している。種苗の生産技術は県のほうで平成19年から3年間かけてやったわけですけれども、今年度から栽培漁業協会のほうが自主的な事業として今やっているわけです。そういう事業化が今年度からだったために、県内漁業者にナマコの放流効果がまだ十分認識されていなかったのではないかと思っています。したがって、漁業者による種苗放流への取り組み意欲にまだつながっていなかったのではないかと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、大体認識が進んだという前提で、ことしは地元の洋野町も含めてですけれども、久慈市もそうですけれども、漁業者の皆さんが利用する見込み等がわかるのであればお聞かせ願いたいと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 より県内で需要をふやしていくためには、やはり種苗の単価が、これまで例えば集荷の方法が漁業者個々、自分のところの近くの市場にばらばらに出していたとか、漁期も限られてばらばらに出していたということもあって、なかなか単価がつかなかったと。今ようやく業者あるいは漁協が中心になって何カ所かでロットを集めて、それで買人に対応してもらおうということで、今、単価が上がりつつあります。そういう意味で、このナマコの取引単価が高いんだということを漁業者の方々に知らせていけば漁獲しようという意欲につながり、漁獲するにはやはり放流も必要だということで放流の需要がふえていく、こういうような形をつくっていきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 今、取り組んでいるナマコは乾燥ナマコにして中国に売る。この説明書にも書いていましたけれども、輸出向けナマコの増産を図る、これは恐らく生じゃないですよね。乾燥ナマコでいいですよね。これも報道等の話ですけれども、一般にも知られているかと思いますが、高級食材として、特にいぼの多くついた北海道産が人気があって、香港では近年1キログラム当たり10万円近い値段で取引されていると言われていました。県内のものは北海道のものに似ていぼが多いと言われていますので、高価格が期待されているということであります。
 しからば、これは加工も難しくて、なかなか加工するのも大変だということで加工場が少ないような話も聞いておりますし、ですから、つくったはいいが、じゃ、どうやってそれを輸出までの状態にこぎつけるかなという課題があるような気がしておりますけれども、いずれこの種苗生産放流事業、そして乾燥ナマコの加工生産、販売、流通上、これまでどういった課題があるのか御説明してもらえればと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 まず、生産、栽培、放流上の課題についてでありますけれども、ナマコ種苗の生産技術は今、確立しているわけであります。今後は放流効果の評価が大事になってくると思っております。現在、ナマコ種苗に標識をつける手法がないために、このナマコ種苗を放流しても、天然ナマコとまじり合って正確な放流効果を把握することができないでいるわけです。ここら辺がやっぱり放流してどれだけ効果があるのかということでちょっとちゅうちょさせているところがある。そこのところをやっていくためにはなかなか難しい部分があります。
 それから、加工、販売上の課題につきましては、よいものをつくるためには、やはり漁獲から加工までの鮮度が重要であります。この鮮度管理が一つ。
 それから、まとめて加工業者が加工する際には、やっぱり一定のロットが必要だと。少なくても多くても経費、固定費は一緒ですので、やはりまとまったロットがあれば高く買っていただけるだろうと。
 それから、県内には、今おっしゃられましたとおり加工業者が少ないということで、ここのところをふやしていただくか、あるいはもっと多く処理していただけるか、ここのところが課題だと思います。
 それから、製品を安定的に輸出できる販路の確保、これもまた必要だと思っております。加工業者さんにも中国輸出はなかなか難しいところがあるというようなお話も聞いていますので、ここら辺どのような形がいいのか、ここもまた課題だと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 せっかく原料をつくるわけですから、どこまで県のほうとしてかかわれるのかちょっとわからないんですけれども、加工して販売して、中国に商売して金を回収するのが非常に難しいというのも聞いておりますが、そこまでは無理にしても、加工の部分まではやはり何らかの形でやっていかないと、せっかくつくってもそれが所期の目的につながっていかないような気がしてちょっと不安視する面もあります。
 ナマコは、これは新聞等で見ただけの話ですけれども、本県のナマコの漁獲量、これは市場、明確にとっているわけではないので量は把握しにくいんですよね、ナマコがどれだけとれているかは。ですから、28トンというふうに出ていました。北海道は3、000トンということで、大きく差が開いているようですけれども、これをどの辺まで持っていきたいのか、どの辺まで持っていけばある程度のなのか、わかればでいいですけれども、ちょっと教えていただければと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 北海道のほうは、もともとナマコについての意識、青森県も意識があって増殖事業等の研究に取り組んでいたわけでありますけれども、本県の場合は、ナマコに対する漁獲は正月のあたりとかに限られていて、そもそも余り対象となっていなかったこと。そういうことから、市場に揚げはしても、そこまでしないで売ったりというような、あるいは消費したりというのが多かったのかと思います。
 しかし、今、単価がこういうふうに高くつくということであれば、また、種苗生産の技術を確立したわけでありますけれども、とにかく多く放流し、多く生産して漁業者の所得の増大につながっていけばと思っております。とにかくそこら辺まで努力していきたいということで考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ、せっかくの種苗の産地化が、増殖できるようになったということですので、これを大いに利用して、今度、加工とか、そっちまで視野に入れてやってもらえればと思います。
〇岩崎友一委員 私からは、年末年始の高波に伴う箱崎、白浜漁港の災害復旧について幾つかお尋ねしたいと思うんですけれども、まず、その高波で北防波堤と第2防波堤と今回二つの防波堤が倒壊したわけでありますけれども、まず、北防波堤のほう、こちらはもう既に復旧作業が始まったということで、早々の対応には感謝を申し上げるところです。
 しかしながら、その復旧に当たって、原形復旧というふうに聞いているんですけれども、やはりこれはもっと強固な工法に変更すべきだったのではないか。
 また、工法変更が無理であれば、捨て石等を積み上げる等して強度を上げる必要があるのではないかと考えるんですけれども、この辺はどのようにお考えでしょうか。
〇佐々木水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 白浜漁港の災害復旧についての御質問でありますが、まず、北防波堤につきましては原形復旧ではなく改良復旧にできなかったのかとのお尋ねでございますけれども、北防波堤の復旧に当たりましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法による災害復旧事業で復旧するものでありまして、今月上旬に行われました国の災害査定におきまして、負担法の規定に基づいて原形で復旧するように決定されたものでありまして、改良復旧とはなっていないものであります。
 次に、強度を上げる対策を講じるべきではなかったのかとの御指摘でございますが、北防波堤につきましては、倒壊した場所から波が直接漁港内に入り込んでおりまして、漁船の係留や物揚げ場の利用など漁業活動に支障を来しておりまして、緊急に復旧が必要であったということから、国と事前に協議いたしまして、応急工事として原形復旧をするということに決定したものであります。
 今後、波浪や漁業者の利用状況なども勘案しまして、必要に応じて施設の改良について検討を加えてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 まずこの部分も、捨て石等であれば後づけでもできる工事かと思いますので、やはり地元からは、さらに強固にする対策を講じないと不安だという住民の声もありますので、その辺の対応をまずお願いしたいと思います。
 それと、第2防波堤の件なんですけれども、まず、その復旧のめどですね。被害が大きいということで平成23年度中には厳しいということでしたけれども、そのめどをお伺いしたいのと、この防波堤に関しては、今回の高潮で倒壊した部分というのは、今回倒壊しなかった部分と工法が違うということで、新たな工法でつくった防波堤が丸々倒壊したと聞いておりますけれども、これの復旧工事の際には、今回倒壊しなかった部分と同じ工法に戻して復旧作業を進めるということでよろしいんでしょうか。
〇佐々木水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 第2防波堤の復旧のめどについてでございますけれども、第2防波堤につきましては、全延長の約3分の1に相当いたします85メートルにわたりまして倒壊しておりまして、被害の規模が大きいことから、平成23年度、24年度の2カ年での復旧を検討しております。漁業活動への影響を最小限にするように早期完成に努めていきたいと考えております。
 次に、第2防波堤の復旧工法についてでありますが、被災の箇所と隣接の被災しなかった箇所では、設置の位置や設置水深など設計の条件が異なっております。そういうことで構造が異なっているものでございます。
 復旧に当たりましては、先ほど北防波堤のところで御説明申し上げましたように、それと同様に、国庫負担法によります災害復旧事業で復旧するものでございまして、国の災害査定を踏まえた結果、原形で復旧することとしております。
〇岩崎友一委員 災害復旧のあり方についてちょっとお尋ねしたいんですけれども、さっき伊藤委員の質問に対しては小田島部長の考え方は前向きだったと思うんですけれども、確かに国の事業ということで原形復旧と言われますけれども、やはり実際、今回の高潮で壊れているわけです。それで漁業者もかなり困っていらっしゃる方も多々ございまして、そういった中において、本来であれば、やはり一度壊れているので、同じ高潮が来ても壊れないといった強度を保障すべきというのが必要だと思うんですけれども、また、やはり住民からも不安だという声が多々聞かれます。地域住民の安全と安心を守るという観点からも、災害復旧の考え方というのはしっかり前向きに考えなければいけないと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
〇佐々木水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 災害に強い施設復旧ということのお尋ねかと思いますが、漁港施設の災害復旧に当たりましては、予算の効率的な執行を図るために、先ほど来御説明申し上げておりますように、国の負担法に基づきまして災害復旧事業を積極的に活用しまして施設復旧をしているところでございます。
 県といたしましては、漁港施設の整備に当たりましては、災害に強い施設づくりを図るということで、設計沖波の見直しなど設計基準等の強化、あるいは岸壁等の耐震強化、さらには漁港施設の機能診断、強化、こういうことに取り組んできたところであります。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、平成20年度から取り組んでおりますストックマネジメント事業、こういうものを活用した機能保全対策、さらには外郭施設等で被害が発生しております漁港への国の新たな機能強化事業─これはまだ導入しておりませんが─、こういうものの検討を含めまして、地域と一体となって災害に強い施設づくりに積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 何か今の復旧とは話がずれたような気もするんですけれども、先ほど伊藤委員に対する小田島部長の考え方というか方針が、一番本来あるべき姿だと思いますので、そこをしっかり周知していただいて、本当に県民の安全・安心を守るという意味で今後取り組んでいただきたいと思いますので、最後に部長の答弁を求めて終わりたいと思います。
〇小田島農林水産部長 先ほど伊藤委員にお答え申し上げましたのは、強い水産業づくり交付金という国のメニューがございまして、そのときには現在の壊れたものをそのまま復旧するのではなくて、強くするということについて補助が出る、そういう仕組みになっております。
 一方におきまして、こういう漁港の災害復旧については復旧が原則ではありますが、その考え方の中に、水産担当技監が申し上げましたとおり、さまざまな強くできる仕組みを入れまして復旧を図り、次の災害のときには災害に遭わないような形にやっていきたいと考えております。
〇小西和子委員 私は、3点についてお伺いいたします。
 まず初めに、木炭の振興についてお伺いいたします。
 林業に携わる方の高齢化が進んで、原木が思うように手に入らないとか、特にも質のよいものが手に入りにくくなったというような話を聞いておりますけれども、それでも本県の木炭は平成21年が国内生産量の約4分の1を占める4、099トンとなっており、長年全国1位で、岩手ブランドとして有名であります。このブランドを守るため、生産量の確保や技術の伝承にどのように取り組んでいらっしゃるのかお伺いいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 岩手木炭の生産量の確保と技術の伝承についてでございますが、岩手県では、本県木炭の生産の大部分を行っております生産者の方々が会員となりまして、社団法人岩手県木炭協会を組織しております。この協会では、安定した生産量と品質を確保するため、製炭指導員によります生産者への生産指導あるいは岩手木炭としての統一したパッケージングによります商品づくりなどを行っているところでございます。こういった取り組みによりまして岩手木炭のブランドを守っているものと考えているところでございます。
 また、技術面についてでございますが、県レベルでは、この協会の主催─県が共催しておりますが─で毎年開催しております全国唯一の木炭品評会、地域レベルにおきましては、県が指導者として認定しております炭づくりマイスターといいますか─チャコールマイスターと呼んでおりますが─、こういった方々を講師に指導会を行っている、こういったことで技術の研さん、伝承を図っているところでございます。
 現在、県では、木炭の主産地でございます県北広域振興局管内におきまして、関係者などで構成します検討委員会を立ち上げまして、新たな販路拡大のための実態把握あるいは検討などを行っているところでございまして、今後、需要者のニーズを先取りした岩手木炭のさらなる振興に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇小西和子委員 安定した原木確保のためには、薪炭専用の林というのが必要ではないかというような話もあります。それから、林業専門家の育成が重要だと考えます。林野庁の補助を受けて全国森林組合連合会が実施しております緑の雇用・担い手対策事業の森の担い手というのは、主に人工林の整備を行っていると聞いております。人工林よりも難しいと言われています広葉樹の整備をする人材の育成を急がなければならないのではないかと考えております。
 さらに、販路拡大ということでございますので、木炭を岩手の特産品として県産品と一緒にPRしてはいかがでしょうか。例えば、サンマの時期には宮古市とか大船渡市からサンマを東京に持っていきまして何千匹だかを焼いて振る舞いますけれども、岩手のサンマを焼くのだったら岩手のブランド木炭でということで、そこでPRしていただければいいかなと思いますし、短角牛を焼くにも、やっぱり岩手のブランド木炭で焼くとさらにおいしくなるというようなことで、ぜひ木炭も県産品として大いにPRしていただければと考えます。
 次に、159ページに関連の事業がありますけれども、干しシイタケの振興についてお伺いいたします。
 本県の山村地域の換金作物である干しシイタケの生産量は、平成21年は176トンであり、10年前の平成11年の602トンから大幅に減少しています。都道府県別順位でも3位から5位に落ちております。本県の豊富な広葉樹資源を有効に活用し、干しシイタケ生産にてこ入れすべきと考えますけれども、御所見をお伺いいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、木炭の関係でございますが、広葉樹を活用した原木ということで、なかなか原木が集まりにくいというお話でございますが、現在、広域振興局あるいは農林振興センターを中心に広葉樹原木の需給状況の情報交換なども行っております。こういった中で、木炭関係者への情報提供なども含めて、できるだけ原木の調達が円滑にできるように努めてまいりたいと思いますし、また、御提案がございました木炭を県産品として使ってほしいということにつきましては、先ほど御答弁したとおり、現在、県北広域振興局を通じていろいろ議論はしております。その際の参考にさせていただきたいと思いますし、もちろん本庁内部でも、これは恐らく農、林、水の連携の話になるかと思いますので、そういう中で参考にさせていただければと思っております。
 次に、干しシイタケの生産振興の関係でございますが、委員お話しのとおり、本県の干しシイタケの生産量は減少しております。この主な理由としましては、高齢化による生産者の減少、それからほだ木1本当たりの単位収量の減少が挙げられます。
 一方で、本県の干しシイタケは、全国乾椎茸品評会で毎年高い評価を受けております。本県の豊富な広葉樹資源を活用した山村地域の重要な換金作目と我々も認識しているところでございますので、県としましては、この担い手の確保、育成、それから単位収量の向上を施策の重点に掲げまして、新規参入者のためのほだ木整備に対する種菌の助成あるいは単位収量向上のための県内各地におけます栽培技術研修会の開催、さらには、農業や漁業との複合経営としての作目として干しシイタケを位置づけまして、新たな生産者の拡大を図る、こういったことを考えまして、関係団体等と一体になって生産量の減少に歯どめをかけまして、本県干しシイタケの産地力の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 シイタケ栽培のほだ木は30年生ぐらいの若い原木が最適だということを先日教えていただいたんですけれども、ナラ枯れ病を防ぐためにも新しい若い木をふやしていくということが重要と考えますので、今後とも広葉樹の育成に力を入れていただきますことを要望いたします。
 次に、160ページにあります森を感じる木とのふれあい促進事業についてお伺いいたします。
 平成23年度の新規事業であります森を感じる木とのふれあい促進事業は、いわての森林づくり県民税を活用し、木材利用による環境保全効果の普及啓発を図るため、市町村や民間事業者等が行うパブリックスペースへの木製品整備を支援するということで、これまでにない新しい取り組みであると思われます。
 この森を感じる木とのふれあい促進事業の内容は具体的にどのようなものかお伺いいたします。
 あわせて、いわての森林づくり県民税の認知度が4割程度という実態でございますけれども、今後どのようにして県民税の認知度向上に取り組むのかお伺いいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 広葉樹のお話につきましては、私どもとしても、広葉樹全体の安定供給といったものが課題という認識を持っております。干しシイタケあるいは木炭の原木としても活用されます。また、北上市にございます製紙工場の原料チップとしても本県の広葉樹は活用されているところでございますので、そういった意味で安定供給ということにつきましては、そういった製紙工場とも今回勉強会を立ち上げていろいろ議論することとしておりますので、今後しっかり検討してまいりまして、広葉樹ビジネスの振興という観点から取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、いわての森林づくり県民税を活用しました森を感じる木とのふれあい促進事業についてですが、これにつきましては、木材を積極的に利用することが間伐の実施など適切な森林整備を促進しまして、これがいわゆる森林の循環という観点から、ひいては森林の環境保全につながる、このことを多くの県民の皆様に理解していただくことを目的に、公共公益施設等へ木製品を整備しようとするものでございます。
 市町村あるいは民間事業者を事業主体としまして、広く公募事業として実施することとしておりまして、例えば、駅の待合室あるいはショッピングセンターのオープンスペース、ホールのようなところにベンチやテーブルを設置するというようなことを想定しておりまして、来年度は事業費500万円、約10団体を想定して事業実施することとしております。 
 次に、いわての森林づくり県民税の認知度向上でございますが、9月定例会の決算特別委員会でも御議論いただいたとおり、今、4割程度ということでございまして、分析いたしますと、これまで取り組みの弱かった森林にかかわりの薄い方々、二、三十代の女性の方々の認知度が低いという分析が出ております。こういった方々に対する周知を強化するため、県民の皆様に触れる機会の多いテレビ、ニュース、こういったものを活用しまして報道機関に対して積極的な情報発信をしたり、あるいは来年度事業でもテレビのCMを流しながら理解を深めていただくような取り組みをすることとしております。
 また、先ほど申し上げました森を感じる木とのふれあい促進事業でも、公共施設等への木製品の整備とあわせて、環境保全効果の普及啓発ということで、女性の方々あるいはファミリーの方々にもそういった木と触れ合うことを通じて県民税制度そのものをPRするつもりでございますので、そういった形で多くの県民の皆様に関心を持っていただくような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 言うまでもないことですけれども、森林は木材資源を生み出すだけではなく、水を蓄えること、それから災害を未然に防ぐこと、レクリエーションの場でありますし、憩いの場でもあります。まだまだあるんですけれども、そして、大気中の二酸化炭素の吸収源としても重要な役割を担っておりますので、平成23年度もいわての森林づくり県民税を活用しまして着実な森林整備を推し進めることを要望して終わります。
〇斉藤信委員 最初に、TPPと県内の林業、水産業に与える影響試算、この状況と、その結果をどう受けとめるかお聞きします。
〇小岩農林水産企画室企画課長 林業、水産業に与える影響試算についてでありますけれども、どのように受けとめているかという御質問でありますが、農林水産省が昨年11月に公表いたしました林業、水産業の影響額の試算方法を参考に、本県の林業、水産業への影響額を試算しましたところ、林業では、合板生産額が22億円、水産業では、サケ、マス類、ワカメなど11品目の生産額が191億円、それぞれ減少する見込みであり、合板を初めとしました木材産業や輸入品と競合する水産物への影響が懸念されているところであります。
〇斉藤信委員 木材の問題で言うと、せっかく国が森林・林業再生プランで木材自給率50%と掲げて、もう合板がこの間、盛り返してきたわけですよね。それが今度は自由化の対象になると、これは全く逆行しているのではないか。政府が掲げた政策、目標に逆行しているのではないか。
 水産業に至っては、191億円というのは生産額の約4割じゃないですか。特に中心のサケ、マスが63%、ワカメは93%減少すると、岩手の水産業は壊滅的な打撃を受けるということになるんだと思いますけれども、部長、これはゆゆしき事態じゃないですか。
〇小田島農林水産部長 委員御指摘のとおり、この影響については、本県の特に水産業に与える影響については、非常にゆゆしき影響を懸念しているところでございます。
〇斉藤信委員 懸念にとどまるから、そこに私は、県当局の姿勢の弱さ、あいまいさを感じますよ。農業も水産業も断固として守るんだという、この気概が伝わらない。今、深刻な危機的状況に直面しているときに、やっぱり国の政策を変えるぐらいの迫力を岩手から発信すべきじゃないですか。
 せっかく民主党政権で民主党の知事なのに、こういうときに声を上げないで、いつ上げるんですかね。
〇小田島農林水産部長 これは、第1部の農業のところでもお答えしたことの繰り返しになって大変恐縮でございますが、いずれ、水産業、林業につきましても、国が、課題を踏まえてどういう対策を打っていくのかということが明確になっているものではございません。国のほうの議論を踏まえて、県とすれば、必要な時期に、必要な提言をやってまいりたい、そういうことで本県の農業、農村、そして林業、水産業の振興を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 極めて残念な姿勢だと。
 それで、林業の問題については具体的にお聞きします。
 森林・林業再生プランでは、紹介したように10年後の木材自給率50%以上を目指すと。路網の整備を徹底して、今後10年間でドイツ並みの路網密度を達成する、こうなっているんですね。ドイツ並みに林業労働者が育成されますと、ドイツは100万人ですよ。ドイツは自動車産業より多いんですよ。私は、日本、岩手の林業というのは、そういう潜在的な可能性を持っていると思うんですね。
 この森林・林業再生プランは、岩手県の林業政策としてはどのように具体化されて取り組まれるのでしょうか。
〇竹田林務担当技監 森林・林業再生プランに関しての御質問でございます。
 まずもって、国のほうでは、10年先に自給率50%以上という目標を掲げてプランを策定したわけですけれども、昨年11月末に、具体的なその施策の方向を、森林林業の再生に向けた改革の姿ということで公表しております。そして、既に平成23年度の予算におきましては、その具体的な中身を施策に盛り込んでおります。
 一つには、森林管理・環境保全直接支払制度の導入でございます。これは、小規模分散している所有規模という実態がありますので、それを集約化して、そして、搬出間伐、間伐材を売って収入に持っていくといった取り組みを意欲的に行う方々に対して支援するというものでございます。
 そして、もう一つは、委員ただいまおっしゃったとおり、やはり我が国の路網密度が、例えば、全国で言えばヘクタール当たり20メートル台にとどまると。ドイツは100メートルを超えるという状況にありますので、やはり低コストを進める上には路網は欠かせないということで、林業専用の道路など、丈夫で簡易な路網整備を促進するといった新たな施策を盛り込んでおります。
 一方、県におきましては、こういった国の政策転換をしっかりとらえまして、一つには、間伐材搬出のコスト削減技術の習得支援、やはり間伐でも、切り捨てという、これまでただ林内に、切って、密度調整して切ったままそこに置いたというのが多かったわけですけれども、それを収入につなぐには搬出しなければいけないということで、ただ、そういった技術を皆さんに習得してもらう必要があるということで、そういったものを通じて、地域の森林経営を担う経営体を育成してまいりたいと思います。
 そして、2点目として、今言ったとおり、やはり分散している小規模な所有者さん方を集約化するという取り組みが必要ですし、今言った作業道の開設なども大変重要であります。効率的で安定的な林業経営の基盤づくりといったものを進めてまいります。
 そして、3点目でございますけれども、切って、出して、売るとなると、受け皿、やはり利用のほうも高めていく必要があります。合板工場の加工施設整備への支援など、県内木材産業の活性化といったことに重点的に取り組んでいくこととしており、森林資源がこのとおり豊富な本県にとりましては追い風となる森林・林業再生プランでございますので、全国にも率先して推進していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 プランは前向きなんだけれども、TPPは出てくるわ、国の予算でも林業予算は減っているでしょう。私は、何で予算を減らして前向きな政策ができるのかと。今の紹介された事業は悪くないと思いますよ。しかし、今までやってきた、結局その事業がえで、全体とすれば予算が減って、事業量が減るということになりませんか。
〇竹田林務担当技監 確かに、国の予算は前年比93%ほどというように記憶しておりますけれども、ただ、内容はそのとおり、現場に近いところにお金を集中するということで、平成23年度の国の予算が構成されていると承知しております。
〇斉藤信委員 それで、行政としてその気になったらやれるというのが、いわゆる岩手県公共施設・公共工事木材利用推進の取り組みですね。これを私はちょっと見させていただいて、この3カ年計画というのが、第2期まで終わって、第3期に入っているわけですね。ところが、第2期は木材使用料1万8、082立方メートルなのに、今の第3期は目標が1万立方メートルなんですよ。目標が半分近くに減っているのは何でなんでしょうか。これがふえるなら前向きと言うけれども、目標がこんなに減ったのでは、これは取り組みの縮小じゃないですか。私はもっともっと公共施設、小中学校の改築の時期も迎えているんですよ。市町村とも協力して、これは県の分だけだと言えばそうかもしれませんが、目標がこんなに減るということはどういうことなんですか。
〇竹田林務担当技監 目標が減ったことにつきましては、いずれ分母と申しますか、もともとの事業そのものが、やはり厳しい財政事情等、あるいは国の事情等もあって縮小しているということで、このような1万立方メートルという形になってございます。
 ただ、その中にあっても、可能な限り木材を使うということで、単に県の各部局が予定している計画量を積み上げたものではなくて、さらにそれに努力目標を加えた数字が1万立方メートルでございます。
〇斉藤信委員 さっき森林・林業再生プランでも、最後は受け皿だと。そうですよね。木材がどれだけ活用できるのか、されるのか、そのときに、岩手県として公共施設、公共工事に使おうというときに、財源がないから計画が減ったというのでは、これは全く計画推進に逆行するのではないでしょうか。私は、こういう予算こそふやすべきだと。そうしないと、これは循環しませんよ。
 それともう一つ、市町村では、これは法律もできたんだけれども、公共施設、公共工事に対する利用推進行動計画というのはつくられているものですか。
〇堀江林業振興課総括課長 私どもとしても、庁内各部局におきまして、木材をできるだけたくさん使ってやっていただきたいという思いはございます。
 それで、予算特別委員会総括質疑の場でも上野副知事が御答弁申し上げましたとおり、今後も、引き続き各部局に働きかけまして、いわゆるその計画につきましては、ローリングをかけながら、必要に応じて見直しも視野に入れて今後取り組んでまいりたいと考えているところでございますし、逆に、余り高い目標を掲げ過ぎますと、本当に夢で終わってしまいかねないところがありますので、我々とすれば、現実に、頑張れば手が届く、実現できるようなところで、各部局と連携しながら、できるだけ多くの木を使っていただくように努めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、市町村におきましては、現在、まだ市町村の木材利用のそういった法律に基づく方針とか計画を作成したところはございませんが、現在、各市町村に働きかけているところでございまして、来年度以降も、我々としては、強力に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、この方針を立てませんと、国の交付金事業におけます公共施設木造化の事業が活用できないことになっておりますので、そういったこともございますので、私どもとすれば、計画を作成していただいて、あわせて市町村の小中学校を初めとする公共施設を、できるだけ木造化していただくように努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 私が言ったのは、第2期の3年間の実績が1万8、082立方メートルだったと。第3期が1万立方メートルと半分近くに目標が減っているというのは、これは実現可能どころじゃないでしょう。志が低過ぎると私は言っているんですよ。実現可能どころじゃないですよ。第2期の目標の半分近くの目標になっているんだから。
 私は、そういう意味で、選択と集中といったら、大規模林道事業なんかもあるけれども、精査して、本当に必要なところに財源が集中されるように、これは前向きの政策なんだから、ぜひそういうことを考えていただきたいし、ぜひ、市町村も積極的にこの利用推進行動計画を立てて、取り組むようにすべきだと思います。
 例えば、学校施設については、これは、農林水産省はもとより、文部科学省からも各市町村あてにも、学校施設における木材利用の促進についてというので通知が行っているわけですよ。例えば、最近、盛岡市内でも、繋の学校が木材、玉山の学校もすばらしい木材でつくられたと。私は、小中学校の規模は、本当に木材でできると思いますよ。それだけでも大変な需要量になるので、今の時期、本格的に、国もそういう方向なわけだから、ぜひ、これはそういう方向で、市町村との強力な協力推進体制を確立してやっていただきたい。市町村との協力推進体制はいかがですか。
〇堀江林業振興課総括課長 これにつきましては、私どももそうですが、各市町村の、特に首長さんの意識が大事かと思っております。そういった意味で、市長会、町村長会とも連携をとりながら積極的に働きかけたいと思っておりますし、もちろん本庁だけではなくて、広域振興局、農林振興センターを通じて、引き続き、各市町村の担当レベルにも働きかけてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 次に、水産業の問題について。
 昨年のチリ地震津波からちょうど1年がたちましたが、この復旧状況、漁獲量や共済の支払い状況などを含めて示していただきたい。
 そして、年末年始の暴風、波浪については、まだ2カ月余しかたっていませんが、先ほども質問がありましたけれども、主な復旧の状況をお知らせいただきたい。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 まず初めに、昨年のチリ地震津波による復旧状況についてでありますけれども、この津波による水産関係被害は、養殖生産物、それから養殖施設が中心で、その被害額は18億1、000万円となっております。これに対して、県といたしましては、養殖施設の整備や養殖資材等の廃棄処分、養殖用種苗の購入について支援を行うとともに、国庫交付金事業や激甚災害指定に基づく養殖施設の整備とあわせ、いずれも平成22年末までに復旧を終えたところでございます。
 なお、施設の被災を契機に8名の方が廃業したとのことでありますが、内訳は、高齢を理由として廃業した方が6名、それから、経営規模が小さいことを理由として廃業した方が2名となっております。
 次に、年末年始の暴風、波浪による被害と復旧状況についてでありますけれども、水産関係では、宮古、久慈管内を中心として、定置網などの漁具や養殖生産物、養殖施設、漁港施設などに約69億円の被害が発生し、昭和50年以降で過去3番目の被害規模となっております。
 これに対し、県は、平成22年度2月補正予算を措置して、養殖施設の復旧、養殖資材、水産物等の廃棄処分、養殖用種苗の購入を支援しているところであり、また、国庫交付金事業においても、養殖施設の復旧について、採択となるよう努めているところでございます。
 チリ地震津波で被災した養殖関係でありますけれども、被災した漁業協同組合におけるホタテガイ養殖の生産量及び生産額につきましては、夏場の高水温による影響などもあると思われますが、過去5カ年平均の約7割から8割、それから、カキにおいては前年度の約7割となっております。
 それから、津波による被害に対する漁業共済の支払い状況につきましては、施設共済によりワカメ、コンブ、ホタテガイ、カキの養殖施設に対し3億3、700万円余りが既に支払われ、また、養殖生産額の減少に対して支払われます特定養殖共済は、漁期終盤での被災であったホタテガイとカキを除き、ワカメと昆布合わせて3、900万円余りが支払い済みとなっております。
〇斉藤信委員 昨年は県南部が中心で、特に県南部の場合は、共済の加入率が比較的高かったというので、私は、共済で救われた側面があるのではないかと思います。
 しかし、施設共済の場合は、掛金が高くて、施設共済の場合は加入率がまだまだだと。それで、来年度、国が、いわゆる水産業の戸別所得補償で共済掛金の補助率が高まりますよね。私は、こういう機会に、やっぱりこの共済制度への加入、特に施設共済を含めて本当に高める取り組みが必要なのではないかと。その際、県も少しそこに支援をするとかということが必要だと思いますが、今の沿岸市町村の補助状況も含めて、今後のそういう取り組み状況を示していただきたい。
 あと、あわせて漁業の担い手の体制はどうでしょうか。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 共済加入の取り組みについてでありますけれども、今、委員おっしゃられましたとおり、4月以降から、漁業所得補償の関係で、現在の掛金のうち、約半額で生産物共済のほうの負担が少なくなっていきます。その分を施設共済のほうに回せるような取り組みを含めて、私たちも、漁業共済組合と一緒になって取り組んでいきたいと思っております。
 それから、まず先に漁業の担い手育成についてでありますけれども、本県漁業は、就業者の高齢化や減少が進んでいることから、水産業の振興を図るためには、漁業担い手育成に取り組むことが重要であると認識しております。
 このため県では、沿岸漁業への新規就業を促進するため、水産高校の生徒を対象として、地域関係者と連携しながら、定置網や養殖業の現場実習等を行い、漁業への理解を深めるとともに、新規就業支援フェアの開催支援などにより、漁業就業の受け皿づくりを進めるほか、今年度から、新規就業希望者が漁協自営定置乗組員となり、漁業技術の習得や小型船舶操縦士免許等を取得できる事業を創設したところでございます。
 その実績といたしましては、水産高校の生徒2名が、地元の沖合底びき網漁業などに就業しておりますし、イカ釣り漁船などの乗組員として5名が就業し、3名が就業予定であり、また、定置網の乗組員として12名が就業予定でございます。
 それから、漁業共済の市町村の掛金助成でありますけれども、魚種別に言いますと、ワカメ共済については八つの市町村が掛金の助成をしておりますし、昆布においては4市町村、ホタテガイについては6市町村、カキについては5市町村が掛金の助成をしております。
〇斉藤信委員 こういう時期に県が、貴重な財源を本当に漁民が求めるそういう方向に、ぜひ活用していただきたいと思います。
 最後です。森のトレー事案について質問いたします。
 県の森のトレー事案の報告書を改めて見てみましたけれども、敗訴原因で、私は、訴訟をしたこと自身が否定されるような結果になったと。ここには、やっぱり県の責任というのが、私は、今度の訴訟は県が主導的にやったんだと思うので、県の責任があるのではないか。そして、久慈市については、ほとんど計画の見直しその他に関与していないと。だから、最初の3分の1返したときの8分の1しか責任を果たしていないわけですよね。
 私は二重の意味で、裁判が全面敗訴した、そして、この森のトレー計画で久慈市の責任がほとんど問えないような、県が直接、森のトレーのこの破綻に役割を果たしていったということからすれば、12億8、000万円の補助金返還というのは、全額県民に負担を押しつけるというのは、これは全く県民は納得できないと思いますけれども、今の段階で、県の責任はどういうふうにあるのか、それはどういうふうに果たされなくてはならないのか。
 そして、森のトレー組合については、いずれ途中で、資産の分割というんでしょうか、そういうものもあったと言われていますから、そうした調査も含めて、今の現状を示していただきたい。
〇堀江林業振興課総括課長 この事案につきましては、その施設整備における経過、それから事業が中止に至る経過におきまして、県にも責任があったと認識しているところでございまして、これにつきましては、過年、職員の処分等が行われたところでございます。
 そういった中で、訴訟により補助金相当額について回収に努めたわけでございますが、これは敗訴ということで、控訴断念ということで、訴訟における補助金相当額の回収はできなかったものでございまして、現時点におきましては、債務者でございます組合に対して、直接の債権者である久慈市が、まず組合に、できるだけ債権が回収できるように努力するということで、私ども県も、その取り組みを支援しているところでございます。
 また、委員がお話しございました組合の分割というのは、恐らく財産等の分割のことではないかと思いますが、こういったことについても、久慈市が今、調査を行っておりまして、そういったことも含めて、あらゆる手段を含めて、回収する方法について、現在、検討しているところでございます。
〇斉藤信委員 最後で、終わりますが、私は、この裁判の経過からいって、請求棄却という結果は予想していなかったと言うけれども、裁判の判決というのは、トリニティ工業には、いわば賠償する責任はなかったということですよ。だから、事業の失敗は、まさにこの計画の失敗と言わざるを得ない。そして、その計画の中では、久慈市については、久慈市の関与は極めて限定的だと。県が組合を直接指導する形のもとで行われた。だから、久慈市についてはこれ以上負担は求めないのだと。私は、この二つは極めて重大だと思うんですよ。
 事業の失敗というのは、いわばトリニティ工業に責任はないと。まさに、全く確証のなかったこの技術、これを前提にして、この事業は失敗した。そして、その計画変更には、久慈市はほとんど関与していなかったと。
 私は、こういうことであれば、12億8、000万円というのは、処分したから済むということにはならないのではないか。
 部長、これ、12億8、000万円はもう国に返還しているんだけれども、これだけのお金があったら、県民のための事業が数十億円規模でできるのですよ。私は、今、本当に財政が厳しいというけれども、こういう負の遺産を県民に押しつけたら、やるべきものもできなくなった。この点は、ただで済まないのではないでしょうか。
〇小田島農林水産部長 今回、訴訟で全面敗訴になって、裁判で補助金返還についての返還金が回収できない、そういう結果になったということは、本当に非常に残念だと考えております。それから、久慈市の関与の度合いについても、委員御指摘のとおり、その関与自体については、県と比較しますと非常に薄いものでございます。
 そういうことはありつつも、いずれ、現時点で多額の債権が回収できないような状況にあるということについては、訴訟を通じて回収できないことについては、非常に残念でありますし、真摯に受けとめなければならないものと考えてございます。
 いずれ、安易に県民にこの負担を転嫁しないということについては、まさしくそのとおりでございまして、補助金の流れとすれば、県から久慈市、久慈市から組合と流れているわけでございまして、まず、その久慈市の債権回収の取り組みに対して、助言なり、支援なりをしつつ、久慈市も本当に一生懸命、一般質問でもお答えしましたとおり、組合に債権の回収について努力をしておりますので、そういうことを支援していくということとあわせて、この事案について、我々県職員が重さをきっちりと受けとめて、二度とこういうことが発生しないように、再発防止に取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇吉田敬子委員 当該委員でありますので、簡潔に一つだけ質問させてください。
 先ほど伊藤委員から林業普及指導員の数のお話がありましたので、私もその数をちょっと確認させていただきたいんですが、林業普及指導員は現在39人ということで、これまでの指導員の数の推移と、森林インストラクターも岩手県内に47人いると思いますが、それぞれどのような活動をされているのか教えてください。お願いいたします。
〇藤川森林整備課総括課長 林業普及指導員の数と推移でございますけれども、平成18年度に大きく林業改良普及指導員の配置を変えまして、以前はたしか71名だったと思います。それが、現在は39名ということで、特用林産の業務ですとか、現在、木材の出口対策のコーディネートとか、そういったことに多くの仕事を費やしております。
 また、地域を取りまとめて林業を進めていくという形で、林業事業体に対しまして、集約化作業といったものを強力に支援しているところでございます。
 次に、森林インストラクターでございますけれども、たしか今43名ですか、県下にはございます。森の達人というものも以前、県のほうで養成しておりまして、それもたしか85名ぐらいいたと思います。
 それと、あわせて、それぞれの出先といいますか地方のほうで、小中学校の行事ですとか地域の行事といったものに対しまして、要望があった場合に紹介したりして、そういった活動をしているところでございます。
〇吉田敬子委員 ありがとうございます。
 すみません、最後に、先輩委員の皆さんからは、森林、林業再生についてのさまざまな質問がありまして、岩手県は8割近くが森林で埋め尽くされているので、本当に岩手県は、森林、林業再生によって地域活性化に、これから本当に多くの可能性を秘めているとすごく感じております。
 林業もそうなんですけれども、森林再生、林業の担い手人材が今少ない中で、その育成ももちろんこれから引き続き継続していっていただきたいんですが、私は、その森林、林業の、どちらかというと森林を再生することによって、もっともっと可能性が広がっていくと感じております。
 実は、その林道の整備等もこれから進めていかれるということですが、年末年始の大雪や暴風雨で、県内で多くの倒木が引き起こされて、これは、実際にはその被害というものは、荒れている人工林のためにこういう被害になったことも、理由として、原因としてあるかと思いますので、その件も進めていっていただきたいと思います。 
 他部局でも地球温暖化のほうで質問させていただきましたが、森のエネルギーは、小西委員からもお話がありましたとおり、さまざまな可能性を持っていまして、林業の活性化に加えて、環境に優しい再生可能エネルギーによる、地球温暖化防止もそうですけれども、今までは、森林浴効果ってよく聞くと思うんですが、森林セラピーという、森林が心と体をいやすというところに医学的にも可能性があるということで、私もここを注目しているんですが、岩手県は、自殺率も高いと言われていて、本当に県民の皆さんが疲れている中で、こういう森林セラピー、森林を整備することも大事なんですけれども、もともとあるものを有効活用することも大事だと思っています。
 手を加えなくても、私たち岩手県の中には、本当にすばらしい森や自然がたくさんあります。それをこれからも活性化のために進めていっていただきたいと思います。
 先日、イギリスの駐日大使が知事を表敬訪問されたということで、そのときの記事も報道されていまして、駐日大使が、岩手県での環境対策を理解されていると知事との懇談の中でお話しされていましたが、私も、岩手を離れたことで、岩手県の森林、自然に可能性をすごく感じております。もっともっとこれからもぜひ森林、林業再生のために頑張っていただきたいと思っております。
 財政難の中で、林業が少なくなってはいるんですが、釜石でもウギャルの方が一生懸命取り組んでいるということで、水産業も活性化されている中で、森のあねっこさんに私はこれからも期待しております。ぜひ、これからも森林、林業再生のために御尽力いただければと思っていますが、最後に御所見を伺って、以上にいたします。
〇小田島農林水産部長 今、委員からさまざまな御提言をちょうだいいたしました。いずれ、森林、林業のうち、森林の持ついろいろな多面的な機能がございますので、そういうセラピーも活用していくということ、それから、森林を伐採し、それで終わるということではなくて、再造林のそうしたやり方もいろいろ研究しているところでございますし、実施もしております。
 それから、人工林につきましても、間伐するだけではなくて、それを搬出することによって補助が出るというような仕組みもできておりますので、そういうものも活用しながら、森林、林業を活性化しつつ、その農山漁村の元気の出るもとにもし、人間性回復の手段にもなれるような、そういうものにつくり上げていきたいと思います。よろしくお願いします。
〇五日市王委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部、林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆様は御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時46分 散 会

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