平成22年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成22年10月20日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    佐 藤   博
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査    岩 渕 伸 也
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  副知事    宮 舘 壽 喜
  農林水産部長   小田島 智 弥
  理事    高前田 寿 幸
  副部長兼
  農林水産企画室長 橋 本 良 隆
  農政担当技監   徳 山 順 一
  農村整備担当技監 須 藤 勝 夫
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  漁港漁村課
  総括課長    佐々木   敦
  競馬改革推進室長 松 岡   博
  技術参事兼
  水産振興課
  総括課長    寺 島 久 明
  農林水産企画室
  企画課長    小 岩 一 幸
  農林水産企画室
  管理課長    小 友 善 衛
  団体指導課
  総括課長    長 岡 栄一郎
  指導検査課長   小田島   新
  流通課総括課長  菊 池   寛
  農業振興課
  総括課長    杉 原 永 康
  担い手対策課長  千 田 牧 夫
  農業普及技術課
  総括課長    工 藤 昌 男
  農村計画課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  農村建設課
  総括課長    伊 藤 千 一
  農産園芸課
  総括課長    千 葉 泰 弘
  水田農業課長   小 野 正 隆
  畜産課総括課長  山 田   亙
  振興・衛生課長  千 葉 健 市
  林業振興課
  総括課長    堀 江   淳
  森林整備課
  総括課長     藤 川 敏 彦
  整備課長    阿 部 義 樹
  森林保全課
  総括課長    佐 賀 耕太郎
  漁業調整課長   五日市 周 三
  競馬改革推進監  菅 原 伸 夫
  競馬改革推進室
  特命参事    大 友 宏 司
  競馬改革推進室
  特命参事    平 野   直

  会計管理者    古 内 保 之

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    奈須川 博 司
  監査第二課
  総括課長    小 原 一 信

  予算調製課
  総括課長    八 矢   拓
〇三浦陽子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成21年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成21年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、10月14日の当委員会で決定したとおり、第1部、第2部及び第3部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、第3部では森のトレー事案関係についてそれぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇小田島農林水産部長 農林水産部関係の平成21年度の決算について御説明を申し上げます前に、農林水産部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明を申し上げます。
 平成21年度におきましては、就業者の減少、高齢化の進行に加えまして、国内外の産地間競争の激化や、急激な景気悪化に伴う生産物価格の低下など、農林水産業を取り巻く環境が厳しさを増していく中で、本県の農林水産業を、地域経済を支える産業として、また、雇用の受け皿となる産業として確立していくため、いわて県民計画に基づき、担い手の育成や産地づくり等の各種施策を推進してきたところでございます。
 具体的な成果等につきまして、いわて県民計画アクションプラン政策編の政策項目ごとに申し上げますと、まず、一つ目の柱であります農林水産業の未来を開く経営体の育成についてでありますが、農業では、集落内での話し合いによる担い手への農地利用集積や経営の高度化の支援など、認定農業者や集落型の農業経営体の育成に取り組んだところでございます。
 また、林業では、低コスト施業の技術向上を図る現地講習会の開催や、地域森林経営プランの実践支援等により、先導的な地域牽引型林業経営体の育成等に取り組んだところでございます。
 さらに、水産業では、漁協の地域営漁計画に基づく養殖施設等の整備や、養殖作業の機械化支援等により、中核的な養殖漁業経営体の育成に取り組んだところでございます。
 この結果、認定農業者数や地域牽引型林業経営体数は順調に増加してきておりますが、中核的な養殖漁業経営体数については、塩蔵ワカメの単価下落等により、平成21年度は減少したところでございます。
 次に、二つ目の柱でございます消費者から信頼される食料、木材供給基地の確立についてでございます。農業では、東北初の県版GAPの普及・定着や、高品質・安定生産等を実現する新たな品種や生産技術の開発、圃場等の整備に取り組んだところであります。
 また、林業では、低コスト間伐等に対応した高性能林業機械等の導入などを支援するとともに、水産業では、サケの回帰率向上に向けた生産技術の指導や、ワカメ養殖の機械化等による省力化等に取り組んだところであります。
 この結果、小麦の単収や、ナス・夏秋イチゴ等の園芸新品目の栽培面積、天然アワビ漁獲量などが順調に増加しているものの、景気の悪化等による生産物価格の下落や需要の低迷などにより、平成21年度の農業産出額等は前年を下回るものと見込んでおります。
 次に、三つ目の柱でございます農林水産物の高付加価値化と販路の拡大でございますが、食のプロフェッショナルチーム等による商品開発、販路開拓や、知事によりますトップセールス等に取り組んだところでございます。この結果、6次産業化による販売額や水産加工生産額、販路開拓支援等による商談成立額は順調に増加してきてございます。
 次に、四つ目の柱でございますいわての魅力あふれる農山漁村の確立でございますが、グリーン・ツーリズム受け入れ体制の強化や集落営農組織、女性等の起業活動の支援に取り組むとともに、地域住民等との協働による農地等の保全活動等に取り組んだところでございます。この結果、グリーン・ツーリズム交流人口や、農村女性等によるアグリビジネス販売額が前年度よりも増加しているほか、農地や農業用水などの保全活動に取り組む地区数も増加してきてございます。
 次に、五つ目の柱でございます環境保全対策と環境ビジネスの推進でありますが、環境への負荷を低減する資材や技術の開発・普及、森林の再生の促進や、森林資源を活用した排出量取引等の制度参加の促進等に取り組んだところであります。この結果、環境保全型農業実践者数や、森林資源を活用した排出量取引等による二酸化炭素削減に取り組む事業者数は、着実に増加しております。
 平成21年度における取り組みと主な成果等の概要は以上でありますが、今後の取り組み方針につきましては、これまでの取り組みの成果と課題を踏まえるとともに、就業者の減少・高齢化、国内外の産地間競争の激化といった本県農林水産業を取り巻く環境の変化を十分に踏まえ、取り組みを展開していく必要があると考えております。このため、担い手の確保、育成に向け、認定農業者等の経営のレベルアップ、経営規模拡大による生産の効率化に向けた支援や、地域牽引型林業経営体の施業提案能力の向上に向けた支援の強化、養殖漁業経営体の規模拡大やグループ生産体制の構築、さらには参入企業等への支援を強化し、多様な担い手の確保、育成に努めてまいります。
 また、市場性、生産性の高い産地づくりに向け、園芸産地の再構築の加速化や省力・低コスト技術の導入、地域密着型の普及体制の構築を進めるほか、大口需要者への県産材の素材供給体制の強化等による木材生産の拡大、稚魚の飼育技術の開発等によるサケの回帰率向上などに努めてまいります。
 さらに、商談会やフェアの開催による販売機会の拡大支援や、6次産業化等を推進するための総合的な支援体制の構築などにより農林水産物の高付加価値化を進め、収入の安定化に努めてまいりますとともに、多様な地域資源を活用したグリーン・ツーリズムなどの農山漁村ビジネスの振興や、森林資源を活用した排出量取引への参加促進などにも積極的に取り組んでまいります。
 以上、当部所管の平成21年度における事務事業に係る主な成果と、これを踏まえた今後の取り組み方針の概要について御説明を申し上げたところでございます。
 続きまして、農林水産部関係の平成21年度の決算について御説明を申し上げます。
 なお、平成21年度の決算は、平成22年度の公共事業一元化の見直しにより、県土整備部から移管された事業につきましても、現在所管している当部から御説明を申し上げますので、御了承願いたいと思います。
 まず、一般会計についてであります。恐れ入りますが、平成21年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開きいただきたいと思います。
 左上でありますが、予算現額は、6款農林水産業費813億7、912万円余のうち、県土整備部が引き続き所管するものを除きました809億7、835万円余及び16ページに参りまして、上段でございますが、11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費12億523万円余を合わせて821億8、359万円余であります。
 これに対する決算額は、農林水産業費から県土整備部が引き続き所管するものを除いて、14ページの6款農林水産業費の718億3、781万円余及び16ページの11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費10億2、784万円余を合わせて728億6、565万円余となり、前年度に比較いたしまして金額で137億3、804万円余、率にして23.2%の増となっております。また、翌年度繰越額の合計でありますが、88億9、358万円余となっております。その主なものは、農地費の農道整備事業、林業費の林道整備事業や治山事業、水産業費の広域漁場整備事業であり、これは、計画調整や設計、工法等の検討等に不測の日数を要したことなどによるものでございます。
 次に、一般会計の内容につきましては、平成21年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の244ページをお開きいただきたいと思います。左上に書いてございます6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費のほか、245ページの備考欄五つ目のいわて6次産業チャレンジ支援事業費は、本県の安全・安心で高品質な農林水産物を生かし、付加価値の高い加工品の生産・販売やインターネットを活用した流通・販売、地産地消ビジネスの展開など、雇用の創出とあわせて行った農林水産業の6次産業化の取り組みの推進に要した経費であります。2目農業金融対策費でありますが、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し利子補給等を行ったものでございます。246ページに参りまして、3目農業構造改善対策費は、都市との交流拡大による農山漁村の活性化を図るため、体験型教育旅行の誘致やグリーン・ツーリズムの拡大に向けた情報発信等を行ったものであります。4目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費のほか、247ページの備考欄四つ目にあります経営力強化支援事業費は、農業者の経営力を向上させるため、新技術の定着等の普及指導活動に要した経費であります。248ページに参りまして、5目農業振興費の主なものでありますが、249ページの備考欄中ほどの中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域などにおいて継続的な農業生産活動等を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件等の格差の範囲内で交付金を交付したものであります。その次のいわて希望農業担い手応援事業費補助は、集落営農組織等の経営の多角化や、県北・沿岸地域等における競争力の高い園芸・畜産等の産地形成、地域資源を活用したアグリビジネスの展開などに補助した経費であります。251ページに参りまして、備考欄の一つ目、いわてブランド確立先端バイオ研究基盤整備費は、次世代型の品種開発技術を確立するため、大規模DNA配列解読装置、いわゆる次世代シーケンサーの整備に要した経費であります。250ページ、左の欄でございますが、6目農作物対策費の主なものでありますが、備考欄下から三つ目のいわて純情米食味向上推進事業費は、本県の気象特性に合った良食味品種を早期に開発するため、農家の栽培履歴をもとにした食味品質向上分析システムや食味等分析機器の整備等に要した経費であります。7目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費のほか、備考欄下から二つ目の強い農業づくり交付金は、雑穀のブランド化や付加価値向上を図るため、雑穀加工処理用施設、機械の整備に対して交付金を交付したものであります。252ページをお開きいただきたいと思います。8目北上奥羽山系開発費は、北上、奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還等に要した経費であります。9目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農薬の使用者及び販売者に対する農薬の適正使用、適正販売の検査・指導等に要した経費であります。10目農業協同組合指導費と11目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督等に要した経費であります。254ページをお開きいただきたいと思います。12目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究等に要した経費であり、13目農業大学校費は、同校の管理運営等に要した経費であります。
 次に、256ページをお開きいただきたいと思います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等であります。2目畜産振興費の主なものでありますが、備考欄一つ目の畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い畜産経営体を育成するため、家畜飼養技術の指導を初め、生産から流通、消費に至る総合的な畜産経営対策に要した経費であります。258ページをお開きいただきたいと思います。3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要した経費であります。4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染病検査や、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要した経費であります。260ページをお開き願います。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究等に要した経費であります。
 次に、3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。2目土地改良費のうち、農林水産部関係は、水田の大区画化や排水条件の改良を行う圃場整備、用排水路等の整備、既存施設の老朽化等に伴う機能保全計画の策定及び改修、農村景観の保全、農道の整備など、農村の生産基盤や生活環境の総合的な整備等に要した経費であります。少し飛びまして、264ページをお開きいただきたいと思います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダム、老朽化した水利施設、防潮堤などの整備に要した経費であります。266ページをお開きいただきたいと思います。4目農地調整費の主なものでありますが、備考欄二つ目の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借等の業務に要した経費に対して補助したものであります。
 次に、4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費等や県有林事業特別会計への繰出金等であります。268ページをお開きいただきたいと思います。2目林業構造改善対策費は、林業構造改善事業で施設導入を行った事業体等への経営指導に要した経費であります。3目林業振興指導費の主なものでありますが、備考欄中ほどのしいたけ等特用林産振興対策事業費は、シイタケの生産振興を図るため、栽培技術等の研修や、新規参入者へのほだ木整備に対する助成、原木の安定供給に必要な資金の貸し付け等に要した経費であります。271ページをお開きいただきたいと思います。備考欄四つ目のいわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源として、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林の混交林誘導伐を実施したほか、地域住民等が主体的に取り組む森林づくり活動の支援、森林・林業の果たす役割等に関する情報発信の強化、児童生徒を対象とした森林学習や、森林・林業に対する理解の醸成を図るための森林ボランティア入門講座の開催等に要した経費であります。備考欄六つ目の森林整備加速化・林業再生事業費は、国の森林整備加速化・林業再生事業費補助金を活用し、間伐等による森林整備や間伐材等の森林資源の利用を促進するために要した経費であります。270ページの4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要した経費であります。5目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し補助を行ったものであります。272ページをお開きいただきたいと思います。6目林道費は、山村地域の生活環境の改善と林業生産基盤の整備を図るための林道整備等に要した経費であります。7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。274ページをお開きいただきたいと思います。8目林業技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究などに要した経費であります。
 次に、276ページをお開きいただきたいと思います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要した経費であります。2目漁業構造改善対策費は、水産物の安定的な供給を図るため、養殖施設や漁業用作業保管施設等の整備に対し補助等を行ったものであります。278ページをお開きいただきたいと思います。3目水産業振興費の主なものでありますが、備考欄二つ目の定置網復旧支援資金融通対策費は、平成18年9月及び10月の低気圧等により定置網に被害を受けた漁業者等の経営の早期安定化を図るため、漁業者等に資金の貸し付けを行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、その原資の一部を預託したものであります。備考欄下から六つ目の栽培漁業推進事業費は、アワビ等の種苗放流事業を促進するとともに、投資効果の向上を図るための実証試験など生産の効率化に取り組む漁協等に助成するほか、県栽培漁業協会の経営の安定化を図るための運転資金の貸し付け等に要した経費であります。280ページをお開き願います。4目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の検査・指導監督に要した経費及び漁業近代化資金等の貸し付けを行う融資機関に対し利子補給等を行ったものであります。5目漁業調整委員会費及び6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整に要した経費であります。282ページをお開き願います。7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費であります。8目水産技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費のほか、備考欄三つ目の漁業指導調査船代船建造事業費は、老朽化した漁業指導調査船岩手丸の代船建造に要した経費であります。284ページをお開き願います。9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であり、10目漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要した経費であります。286ページをお開き願います。11目漁港漁場整備費は、水産業の振興のため、漁港、漁場、漁村の水産基盤施設等の総合的な整備に要した経費であります。
 次に、大きく飛びまして、358ページをお開きいただきたいと思います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費、2目林道災害復旧費、3目治山災害復旧費、それから、360ページの5目漁港災害復旧費は、災害の復旧に要した経費であります。
 以上、一般会計の決算について御説明を申し上げたところでございます。
 次に、特別会計の決算について御説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成21年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、30ページをお開きいただきたいと思います。農業改良資金特別会計についてでありますが、予算現額は5億4、149万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は5億4、124万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は7、440万円余で、その主なものは、新規就農者の経営開始に必要な施設、機械等を購入するための資金を無利子で貸し付けたものであります。
 32ページをお開きいただきたいと思います。県有林事業特別会計であります。予算現額は40億3、114万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は39億1、069万円余で、その主なものは、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であります。次に、支出済額は38億7、094万円余で、県行造林造成事業等に係る除伐や間伐及び新たな雇用による林道等の潅木、草本類の刈り払いの実施に要した経費であります。
 なお、翌年度繰越額の合計は1億3、674万円余となっております。これは、計画調整に不測の日数を要したことによるものでございます。
 34ページをお開きいただきたいと思います。林業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は9億5、169万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は9億5、821万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は3億8、908万円余で、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し林業・木材産業改善資金を無利子で貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資の一部を金融機関に対し預託したものであります。
 36ページをお開きいただきたいと思います。沿岸漁業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は8億5、727万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は8億5、962万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は1億1、303万円余で、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し経営改善資金等を無利子で貸し付けたものであります。
 以上で決算関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようにお願いを申し上げます。
〇三浦陽子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇渡辺幸貫委員 私は、実はけさ、新聞を見てつくづく思ったのでありますが、菅首相は1日の所信表明演説で、環太平洋パートナーシップ協定―TPPをやりたいと。それで、11月の上旬までにはEPA―経済連携協定をやって、そして、横浜でやるAPEC―アジア太平洋経済協力閣僚会議で市場開放へ積極的にやるんだと。経済界の後押しがあるんだろうと思いますけれども、ただ、このTPPというのは関税の完全撤廃が原則ですから、それをやられますと、農協、農民は大変だということで、きのう、農協中央会は大会を開いて、安易な輸入農産物反対という決議をやったようであります。
 そこで、この動きに対して、知事は、この間、米の安定を含め40万トンの備蓄をすべきだと。これは、まさに、米の備蓄どころか、すべてですから、恐らくミニマムアクセス以来の変革をもたらすものだろうと心配をするわけでありますが、当局はこのニュースに対してどうとらえていらっしゃるかお伺いします。
〇小田島農林水産部長 今、渡辺委員の御質問の中でございましたように、菅首相が10月1日に、環太平洋戦略的経済連携協定―TPP交渉への参加の検討を表明したということについては存じ上げてございます。
 関税の完全撤廃ということで、これはかなり大きな農業に対する影響があると私どもは認識してございます。これまでもEPAやFTA、いろいろ交渉を進めていく際に、本県からも、そういうことの推進が我が国農業、農産物、ひいては本県もそうでありますが、そういうものに影響を与えないような形でやってほしいということを従前から要望してきているところであります。この動きについては、今後どういうふうな形で進められるか注視をしてまいりたいと思いますが、基本は、やっぱり我が国の農業、農村が、そういう中にあってできるのかどうかということをきっちり見きわめつつ、必要なことについて、各都道府県とも連携しつつ本県として主張してまいりたい、意見を出していきたいと考えています。
〇渡辺幸貫委員 今のところは姿形が見えませんから、ただ方向性だけでありますから、12月議会では具体的な形が出てくると思うので、そこで改めて議論したいと思います。
 こういう動きがあるとすれば、つまり我々農業については農業支援策をどうもっていくかということが一番大切なので、逆に言えば、今やっていることをちょっとは検証してみなきゃならないかなと思ったんであります。
 1点だけ、この間、新居田委員がエタノールの実証実験の結果を環境生活部に問いました。ただ、それは環境生活部ですから、環境の意味ではまあいいことではないかという返事で、採算性については一切触れなかったのでありますが、私は、その採算性がいかがなものかとつくづく思ったのであります。
 実は、その見学会には、私ども奥州市出身の県議会議員も招かれまして見に行きました。800キロもとれるもみから、大体2割ぐらいで160リットルぐらいアルコールがとれるんだというような調子でお話を伺いまして、12%ぐらいの粗留アルコール、エタノールが出てきました。においをかいだらとてもいい香りで、一杯やるかという気分でありましたが、昼ですから、それは我慢したんでありますけれども。そこで、99%以上の本当のエンジンにかけるようなエタノールをつくろうと装置にかけたら、実は一滴も出てこなかったんです。それは電気で温めて、発酵させるときは固体発酵で60度で発酵させてきたのでありましょうけれども、そこから先はうんと発酵しないと沸騰しませんから、沸騰して気化して、そして液体になって99%ができますから、そこのところでは全く出てこなかったんですが、ただ、新聞だけを見ていますと、この間、すばらしい多収米の栽培にも手ごたえがあるというようなことで、調子いいぞというようなあんばいなんですね。ただ、さっきの、仮に160リットルのアルコールが1反歩からとれたとしても、ガソリンの値段は40円ほど税金がありますから、80円かけても1万二、三千円程度なんですね、要するに、できたエタノールが。私に言わせれば、そのぐらいは発酵のときとか、もっと水分を抜く脱水の過程で、もうそのエネルギーは使われちゃうんじゃないかと私は疑いを持ったんでありますが、まあ、それはと思って黙っていたんですけど。ただ、そういう現実の姿、1万2、000円内外のアルコールをつくるために大変なお金をかけて、この実証実験も3反歩ぐらいのところに、実証実験プラントも含めて2、235万円という金をかけてやって、やっている本人は、3分の1は実証プラントのレンタル料、あとの3分の2は人件費を含めた運用費ですから、幾らかずつみんなで分け前があれば、それはうまくいくし、うまくいってほしいというようなことを答えるかもしらぬ。
 ただ、報道で農民にあらぬ期待を抱かせて、こういう道があるから今後大いに米づくりもできるんだと。つくる自由、売る自由ということを大分前から言われ続けてきょうまで来ましたけれども、その結果が、今、大変な苦悩なわけです。あげくの果てに、さっき言ったようなことが起きてきたら大変なことだと。ですから、あらぬ期待を抱かせるのは罪だと、私はそう言いたいんです。そういう意味で、農林水産部はこの実証実験のコストという意味での見解はどう持っているかお尋ねしたいと思います。
〇千田担い手対策課長 米のエタノールの固体発酵実験に対する県の評価についてでございますけれども、米からバイオエタノールへの取り組みについては、水田資源の有効活用、エネルギーの地産地消など、農村の振興に新たな展望を開く技術の一つとして期待されているところでございます。
 一方、北海道や新潟県においてはエタノール製造プラントが導入され、大規模な実証実験が行われているところでございますが、効率的なエタノールの製造や、原料生産、流通の低コスト化が大きな課題になっていると伺っております。
 奥州市におきましては、本格的なエタノール製造実験が今年度から開始されました。今後、破砕したもみ米への水の添加量、酵素・酵母菌の種類、発酵温度の管理、発酵中の攪拌方法など、効率的なエタノール製造に向けたさまざまな実験が行われるとともに、エタノールの燃料以外の新たな活用方法ですとか、発酵された残渣の家畜飼料への活用など、幅広い視点からの検討がなされると聞いております。
 県といたしましては、現時点ではさまざまな課題があり、採算面でビジネスとして確立することは難しいと考えております。一方、地球温暖化対策ですとか未利用農地の活用など、投下コストだけではかれない効用が期待されるところでもございますので、今後ともこの取り組みに対しては見守ってまいりたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 コスト的には難しいけれども、温かい目も向けたいというお話でございまして、それは、県としてはそうかもしれないんですが、ただ、技術的にといいますか、多収米というのは大体粒が大きくなきゃいけませんから、丈も高くなきゃいけない。つまり長稈です。そういうものは岩手県のような寒いところではかけはしのような短稈、要するに背丈の低いものイコール粒の小さいものが合うと。ましてや、苫小牧だとか北海道も同じたぐいでありますから、多収穫の品種と、プラントの場所とかいろんな意味では全く逆で、そんなに大きな粒のものがとれるんだったら、山田錦でもつくって酒の材料に売ったほうがよっぽど我々はいいのでありまして、そういう専用品種の評価も含めて、今後、やっぱりいい意味で我々農民を引っ張ってもらえればと思います。
 雑感があったらお願いします。
〇千田担い手対策課長 バイオエネルギー用の米の品種につきましてのお尋ねでございますが、現在、農業研究センターにおいて多収穫米の研究がなされてございまして、既に一部については実証試験まで至ってございますので、そういった取り組みをさらに推進しながら、できるだけ多収穫で、そういったバイオエネルギーにも向くような品種がつくれないか、さらに研究を深めてまいりたいと思ってございます。
〇柳村岩見委員 基幹水利施設ストックマネジメント事業岩手地区(花巻工区)第1号工事に関することについてお尋ねいたします。
 この工事は平成20年12月4日に契約されたものでありますが、工事開始は平成21年1月14日、工事完了は平成21年4月13日、いわば平成20年度から平成21年度にまたがって行われた事業ということになろうかと思います。
 そこで、この工事の工事仕様の変更や工事請負額の増減が行われました。その推移について、まずお尋ねしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 工事の変更の推移でありますが、御指摘がありました工事でございますけれども、老朽化したコンクリートの水路やトンネルの表面を補強、補修して、施設の長寿命化を図るためのものでございます。具体的には、コンクリートの表面を高圧で洗浄し、汚れを落とした後、接着剤を塗った上で、樹脂系の表面被覆材を吹きつけるものでございます。水路の補強、補修工法という、これまでの農業農村整備分野では実績の少ない工事であったことから、請負者とともに試験施工を重ねながら工事を進めたものでございます。
 当初契約につきましては、完成期限を平成21年3月13日といたしまして、厚さ2ミリの表面被覆材を、施工面積約7、300平米に吹きつけることとして、請負金額8、043万円で契約しております。その後、2回の変更契約を行っておりますが、コンクリートの表面の劣化が当初の想定よりも進んでいたということがございまして、請負者が現場で行った試験施工の結果をもとに、平成21年3月10日の第1回変更契約では、吹きつけ厚さの劣化の状態に応じて4ミリ及び6ミリに変更するとともに、工事の進捗状況などを考慮して、面積を約3、000平米に減らし、あわせて完成期限を5月20日に延長するとともに、請負金額を880万円ほど減額しております。また、5月18日の第2回変更契約では、請負者から提出されました出来高数量を確認の上で面積を約3、700平米に変更し、請負金額を2、100万円ほど増額いたしております。
〇柳村岩見委員 こういう工事仕様書の変更、工事請負額の変更が行われた工事であります。当然、昭和後半につくられた用水路が老朽化して、そういう手当てをしなければならない初めての工事であった。だから、農業土木分野において経験のない工事であったということもあって、こうなりました。
 ところが、この工事仕様の変更、請負額の増減、このときにおける十分な協議がされていないということがございます。このことについての御認識は。
〇伊藤農村建設課総括課長 工事仕様の変更の協議についてでありますが、この工事の設計変更に当たりましては、請負者から提出されました歩掛かり調査結果―これは新しい工事ということで、歩掛かり調査を実施しております。そのほか、出来高数量なども確認した上で設計に反映させるなど、極力現場の施工実態に即して変更してきたものと認識しております。その変更の過程では、現地の状況ですとか、あるいは施工状況などを踏まえて、請負者と現場での協議や打ち合わせを積み重ねながら工事を進めてまいりました。設計変更にかかわるものについては、その都度、県と請負者との間で取り交わすべき指示書が、この工事においては作成されていなかったということがございましたので、そういったことについては不適切であったと認識しております。
〇柳村岩見委員 工事仕様の変更における指示書が存在していないという工事であります。そういう流れに対して、請負業者の側から、請負額の増減に納得がいかないということで、平成21年7月8日に、当時、県南広域振興局長の勝部局長に対して申出書が出されております。それに対する対応はどんな対応でしたか。
〇伊藤農村建設課総括課長 請負者から提出されました申出書への対応についてでございますが、当該工事は平成21年5月20日に完成しております。6月16日に請負代金の支払いが完了しております。その後の7月8日になって、請負者から、請負金額の増額に納得できないので、再度変更協議に応じてほしい旨の申出書が提出されたものでございます。
 県といたしましては、当該工事の変更契約が協議を経て締結され、また、完成検査や引き渡し、さらには請負代金の精算も完了していたということで、結果的にはこの申し出に対しまして協議には応じかねますと回答せざるを得なかったところでございます。
〇柳村岩見委員 今まで、この工事における時系列的な状況についてお尋ねしました。まどろっこしい話はここまでであります。
 要は、この工事が教えてくれるいろんな課題について、私は多くの課題を感ずるところであります。まずは、昭和後半につくられた用水路の老朽化による補修についての新しい農業土木の分野でありました。結局は、要するに外部に工事仕様書を外注しようと、見積もりを外注しようと、自分たちが見積もろうと、いずれにしても、農業土木に対する、新しい農業土木分野における理解というものが結局足りないと。いわば、ここは花巻総合支局の農林部農村整備室でありますけれども、例えばそういうところに配置されている職員の農業土木に対する目、このことが実は足りないのだと。外に仕様書をつくらせようが、自分たちがつくろうが、要するに、新しい分野の農業土木、あるいはまた農業土木全般に対する目というものが、しっかりとした目を持つことができないというレベル、要するにそういう専門家が職員として少ないという状況があるのではないかということ。
 それから、やはり守らなければいけない工事仕様の変更のときの指示書を出さない。求めるほうも求めていないのかもしれませんが、出すほうの義務としては出していないということ。それから、協議に応じられないという、要するに事業推進におけるパートナーからの申し出を、そういう形の処理しかできない。
 そういう不幸な出来事があって、結果的にはこの工事を請け負った業者は倒産いたしております。岩手県の工事紛争審査会に紛争審査の調停を申し出るのには、それなりの争点になる金額の額によって、申請におけるときのお金がかかります。そういう何百万という、まあ、100万円単位の争点でありましたから、結局、そのぐらいが申請にかかる件でありましたので、そのお金を準備できないでこの業者は倒産しました。社長がおっしゃるには、仕事を請け負わなければよかった。要するに、岩手県が農村の整備を行うという事業を推進するパートナーと、よかれと思って進めていった事業の展開上において、不幸にもそういう結果を招いた。請け負った業者の社長は、この工事を請け負わなければよかったとなってしまった。もっとも、当初からそうなることを想定もしてないし、よかれとやらなければならない。ましてや、田植えが始まるまで水は通さなきゃならないという、発注者も受注者もお互いの思いの中で一生懸命取り組んだ工事であります。結果は、不幸ながら、そういう結果を招いている。そこに、パートナーとの申し出に対する協議であるとか、指示書であるとか、基本的なところが欠けている。県の事業でも、えてしてこういうケースがあり得るということ。最初はよかれと、水田の水利についての整備をするということの目的で始めたとしても、こういう結果を招くことがあるということについて、しっかりした自覚を持って、そういうことのないような―えてして仕事というものは悪い方向に進む、そのことをみんなで修正して、いい方向に行くように導いていく、そのこと自体が仕事であるということを認識してやらなければいけませんけれども、そういう課題についてどのようにとらえておりますか。
〇沼崎農村計画課総括課長 今、2点ほどのお尋ねがあったと思います。
 一つ目は、コンクリート水路の補修工法についてでありますけれども、御案内のとおり、昭和30年代につくられたコンクリートの水路が年々耐用年数を迎えているということで、この老朽化をどうしようかということが、今、喫緊の課題になっております。これは全国的な問題でもありますが、そういう補修工法も最近さまざまなものが出てきておりますし、全国各地でもそういう施工が行われておりますが、施工現場の条件もさまざまだということで、残念ながら、国においてもまだ補修工法の標準歩掛かりとか標準的な工法というものを定めておらないところでございます。
 ただ、こうした中で、県内でも耐用年数を次々と迎えておりますので、水路の長寿命化が急務だということで、老朽度合いに応じて順次補修を進めてきております。国とかほかの県におきます施工の実績とか、あるいは研究機関での研究成果などを取り込みまして、いろいろ工夫しながら施工を進めておるところでございます。ただ、まだまだ技術の発展過程にあるというところはぜひ御理解いただきたいと思いますし、我々もこれから、ほかの県の状況とかもですが、県内でもさまざまなところでそういう整備が進められておりますので、そういうものを一緒に勉強しながら工夫して、よりよい工事を進めてまいりたいと思っております。
 それから、今回の建設工事の経過に見る課題でございますけれども、建設工事は、当初発注時には予見できないようなさまざまな条件あるいは環境の変化などが起こり得ますことから、工事の着工後に設計変更を要するということが多く見られるわけでございます。このため、県では、変更契約に係る事務手続を明確にするために、農業農村整備事業に係る県営建設工事の設計変更に伴う契約変更事務取扱要領というものを平成17年5月に定めておりまして、変更の必要が生じた都度、請負者に対し書面で指示することにしております。県では、これまでも、今申し上げました事務取扱要領の徹底に努めてまいりましたが、本工事における不適切な処理という事実を踏まえまして、指示書あるいは工事打ち合わせ簿の作成については、一層の徹底を図る必要があると認識しております。
〇柳村岩見委員 現場のほうではそういうことになると思います。
 そこで、ここで一つ御指摘しておきたいし、御答弁もいただきたいんですが、結局、請負額の変更が何度かにわたって行われて、係の人は、担当者は、予算もないという岩手県の財政の空気の中、あるいは現場としての予算がないよという空気の中で、もうしゃべれないと。実はもっとかかるのだ、歩掛かりもかかりました、材料代もかかります。仕様書のやりとりもちゃんとやったらば、現実としてその証拠が残っちゃう。それをもうやらない、悪く考えれば。そういうことの経過で業者を泣かせる、予算がとれないんだから。そういう空気というものがあってはならないし、かかるものはかかる、かからないものはかからないということをやっぱりしっかりしていかなきゃならない。
 部長に答弁をいただきたいのですが、結局、日ごろからそういう職場の空気、上司に対して相談する。実はこういう現実の状況であります、それを示して、実は最初に見積もった以上にかかるのだ、1回変更しました、増額しました、実はまたかかるんですと、この話をきちっと職場の中で上司に上げられる。上司は、その職責をもってそれに対する対応をする。例えば本庁に対して、あるいは本庁の部長が責任をもって予算を獲得する。そして、これはかかるのね、だからこうだということでしてあげないと、この工事は8、000万円台の請負額でありますけれども、その業者と県との金額の認識の差は2、000万円を超えています。そのぐらいの差がある。
 前に私は県土整備部で質問いたしましたけれども、七、八千万円の工事で、100万円、200万円だったら、普通、泣いている業者が多い。それは業界の常識だそうです。でも、これは七、八千万円の工事で2、000万円の認識の誤差がある。こういうことについて、やはり県の仕事といえども、時として、よかれと思って進めた事業が悪い方向に行って不幸なことが起きる。こういうことを起こさないために、やはり職場のあるべき姿、あるいは上司との関係での風通しのよさ、あるいはまた職務における決裁、そして予算獲得、対応、こういったことがしっかり行われていないと、よかれと思った仕事の結果として、請け負った業者が倒産をしていく。それは直接の原因、どの程度かということは別としても、社長が、工事を請け負わなければよかったと言った言葉の中には、やはりそういった部分が入っていると思いますので、部長、いかがでしょうか。
〇小田島農林水産部長 柳村委員からのお話、それから御質問のありましたこの事案につきましては、私も担当課から聞いております。それで、県といたしまして、まず、いろいろ手続的な問題があったということについても非常に深く反省をいたしておりまして、それの再発防止に向けてきちっと取り組むということについては、指示をいたしております。
 今、お話のありました、予算が非常に厳しい中にあって、例えばいろいろ工事をする中で、実際に現場、現場で当初想定したことのないようなかかり増しが起こったり、いろいろなケースが出てこようかと思います。そういう際に、与えられた最初の予算で絶対押し込むというような、現場だけで解決するような空気ではなく、それを本庁に上げ、相談をし、いい方向で、業者の方が泣くようなことがないような、そういう仕組みとしてきちっと体制が組まれるように、再度部の中でも連携をよくし再発防止に努めるように徹底したいと考えております。
〇飯澤匡委員 畜産業費にかかわってお伺いします。
 平成21年は丑年ということで、知事会見でMOW MOWプロジェクトと、これは部局横断的に、丑年にちなんで岩手の畜産業をアピールしていこうというのが1月19日の記者会見でありました。皆さん方、御記憶の方もいらっしゃると思うんですが。
 そこで、この間、総括質疑でも聞いたんですが、平成19年5月1日から知事が129回記者会見したうちに、農業分野については、みずから発表したのはたったの5件。ただ、畜産関係はそのうちの3件あります。これがMOW MOWプロジェクトと、それからシンガポールへの岩手牛の輸出、そして宮崎県の口蹄疫、この3件だけです。
 そこで、このMOW MOWプロジェクトがいかなる成果を得たのかと非常に興味があるところでございまして、調べてみましたら、平成21年度主要施策の成果に関する説明書にも全く記載がありませんし、それから、今決算特別委員会に提案されている畜産業費の中にも、そしてまた総務費の中にも、このMOW MOWプロジェクトなるものは1行も掲載されていません。
 果たしてこれは、部局横断的な大プロジェクトとして知事みずからが発信した割には、どの程度の成果があったのかと、まず、このプロジェクトの位置づけを部長にお伺いして、そして、この成果について、あとは課長にお伺いしたいと思います。
 これ、何の記載もないというのは非常に不可思議なんですが、そこら辺、どういうことなんでしょうか。
〇小田島農林水産部長 このMOW MOWプロジェクトでありますが、これは、丑年にちなんだプロジェクトということで、岩手は非常に牛にゆかりのある地であるということ、それから畜産業も盛んだということ等で、それを全庁的に、観光面ですとか、あるいは生産面、販売面、いろいろな面で幅広く取り組んでいこうということで、知事からのお話を農林水産部が中心となって全庁的にプロジェクトチームを組んで、アイデアを出しながら取り組んできたところでございます。
 この予算そのものは、ここの中に上げられておりませんのは、いわゆるMOW MOWプロジェクトとしての特別な予算を確保したという形ではなくて、それぞれに入っている予算を組み合わせながらプロジェクトを推進したという意味合いで、今回の決算のところには入っていないところでございます。
 いろいろな取り組みをやってきまして、例えば民間企業とタイアップした、人を呼んできたいろいろな観光関係のこと、それから情報発信ということについて取り組んできたところでございます。
 事業の詳細については、担当課長から答弁させます。
〇飯澤匡委員 プロジェクトとして、成果の報告書が出ないというのはどういうことなんでしょうか。その点についてお伺いします。
〇小田島農林水産部長 いろいろな形でプロジェクトを展開しておりますが、いわゆるプロジェクトとしての取りまとめを出す形にはなってございませんが、それぞれの事業の中で取り組んだものは、それぞれのところで実績として上げさせていただいているところでございます。
 プロジェクトとしての取りまとめも実績として上げるような形で、今後は明確に出していくような形で、今、御指摘のありましたことを踏まえて、今後はそういう取り扱いをさせていただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 MOW MOWプロジェクトにつきまして、今、部長からお話がありましたうちの、いわば企業と柔軟に連携するということをうたい文句として実施させていただいたわけでありますが、部局の予算とか、あるいは既存の予算の枠組み、あるいはその組織の枠組みにとらわれない自由な取り組みということで、それが、結果としては民間企業との柔軟な共同につながったと考えております。
 例としては、本年度において、小岩井乳業株式会社と連携して、地域応援プロジェクトという位置づけをしまして、小岩井乳業が、小岩井乳業の製品のパッケージに世界遺産登録応援のメッセージを記載し、その売り上げの一部を委員会に寄附するというような取り組みにもつながっているわけでありますが、そういうことが、既存の予算がなければできないとか、あるいは先端の組織がなければできないということではないやり方ができたというのが、私どもとしては、その成果だと考えております。
 おかげさまで、このプロジェクトの推進を通じまして、そういう面での意識とか情報発信をできたわけでありますが、それを一時的なものにしないために、このプロジェクトで培った民間あるいはその団体との連携というものを引き続き継続して、それを産業振興、農林水産業の分野で言えば、農商工連携であるとか、6次産業化というものにうまくつなげていくように、これから努力してまいる所存であります。
〇飯澤匡委員 知事の会見には、三つの産業振興戦略で構成されていると。まず第1は、う四天王プロジェクト─うというのは平仮名で、あとは四天王、これは引っかけたんですね─新たな商品づくりによるブランド価値の創造。ただいま御紹介にあった小岩井乳業との、いわゆるPBパックに平泉の世界遺産の宣伝広告を入れる、そういうことです。それから、これはもう既に知事が発表しているんだから、始める前から決まっていたのではないですかね。知事がここで発表しているんだもの、小岩井乳業との共同事業と。だから、これはこのプロジェクトじゃなくたって、もう既に始まっているということですよね。そして、二つ目はウシコンバレープロジェクト。環境王国いわてを情報発信する。堆肥ペレットの製造・利用や飼料米の供給による肉牛生産、そしてまた、食品残渣サイクルの推進などを行う。そして三つ目は、諸国漫牛の旅プロジェクトと。三つの、これはスローフード等、いわゆるグリーン・ツーリズムの部分などについて情報発信をするということなんですね。
 私は、皆さん方に攻め入るつもりはありません。恐らく、今まであった既存の事業を何とか企画部門に集中して発信をしようということだったと思います。全農岩手県本部に聞いても、随分県は苦労しているな、丑年だから頑張っているんだろうという、私は、業界団体はその程度の感触だったのではないかと思うんですよ。
 問題は、やはり企画部門として、果たしてこれが本当に全県的に周知されて全庁的なプロジェクトとして位置づけされたかということを問いたいわけです。成果物も出ない、そして報告書も出ない。これじゃ、何のためのプロジェクトかということなんですよ。
 ただいま紹介したのも、もう一回繰り返しますけれども、小岩井さんとのものは、もう既に知事は発表しているわけだから、もうやる前から決まっていたんですよね。だから、そこを県が発信をしてプロジェクトとしてやるためには、やっぱり全庁的にやっていると言っているんだから、さまざまな全庁的な取り組みのあり方だとか、そういうものを、これからプロジェクトをこれだけじゃなくてどんどんやっていくわけでしょう。こういうやり方でいいのかということなんですよ。だから、アドバルーンをばっと上げて、ただやりましたと言うだけで終わってしまったのではだめだ、やるならしっかりやりなさいということなんですね。
 今後どのような格好でやるか、これは農林水産部だけじゃなくて、さまざまな県としての広報活動にもかかわる部分ですから、私は、政策というのは、アドバルーンを上げるだけじゃなくて、県行政としてさまざまな連携策をこれから、行政だけじゃなくて、さまざまな生産団体だとか消費者だとかを巻き込んでいくためには、こういうプロジェクトを立ち上げたら、やっぱりその足跡を残しておきながら次につなげていくことが必要なんだと思うんですけれども、その点、農林水産部長、このMOW MOWプロジェクトを通じて、どのように今、所感を持っていますか。
〇小田島農林水産部長 飯澤委員の御指摘、本当に重く受けとめさせていただきたいと思います。いずれ、今回MOW MOWプロジェクトをいろいろ実施したわけですが、決して全庁的に取り組みを行わなかったということではなくて、それぞれのプロジェクトをそれぞれ一生懸命関係のところで取り組んだ経緯はあります。ただ、実際上、検討していく中で難しくてなかなか実施できなかったものもあります。そういう反省点も踏まえて、プロジェクトを起こしていく場合に、もっと関係団体とも一緒になって取り組み、それを情報発信し、その結果をまたフィードバックして次のプロジェクトにつなげていく、そういうことでプロジェクトをきっちり農林水産部として関係と連携をしながら進めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最後にしますけれども、ウシコンバレープロジェクトというのを2番目に上げているわけですよ。知事はこういうことを言っているんです。岩手が牛をめぐる研究開発の一つの拠点になっていくということが目標です。このプロジェクトの中でどういうことをやりましたか、拠点になるようなこと。やっぱりそれなりの予算づけと、それなりの目的を持ったプロジェクト、本当に心の通ったことをやっていかないと、何だ、またアドバルーンを上げて終わりかと生産団体からも軽く見られてしまいますよ。県の本気度というものをきちんととらまえたそういう筋立てをしていかないと、私はいかんと思いますね。
 このMOW MOWプロジェクトに限らず、岩手の畜産の今の状況は、本当に先進県です。口蹄疫の問題も、かなり生産者の方々も御心配しましたし、やはりこういう前に打って出るというのだったら、繰り返しますけれども、本気になってやるような形でやっていただきたい。
 私は、もう一回言いますけれども、成果物が出なくて、報告書が出ないというのは、やはり問題だと思いますよ。これだけ大きく立ち上げた中でやるんだったら。その点を指摘して、終わります。
〇及川幸子委員 岩手の農業施策について、まずお伺いいたします。部長にお答えいただきたいと思います。
 ことしは大変な猛暑で、米づくりも大変かなという気でおりましたけれども、いろいろ全農の指導で、刈り取り時期に水を張るようにという指導が大変よかったのかなと思いますが、その裏で、あの水を張った田んぼが大変ぬかって、うちなどは、ああいう稲刈りをしたのは初めてだと。大型機械を移動するのには、もう人の手を何回もかりなければだめなえらい作業をして稲刈りを終わりました。
 それで、その結果、期待はしておりましたんですが、裏切られまして、米価の大暴落ということで農家は大変疲弊しておりますが、部長、国に対しての米価の暴落に関する農家支援について、どういう対策をとられて国へ要望活動を行ったでしょうか。
〇小田島農林水産部長 米価の下落対策に係る国への要望活動でございますが、一昨日、18日でございますが、知事が上京いたしまして、農林水産省等に対しまして、米の需給調整に係る緊急対策に関する提案を実施したところでございます。
 その内容でありますけれども、大きく3項目ございますが、一つ目は、過剰米対策等について、非主食用米へ仕向ける緊急措置を講ずるとともに、棚上げ備蓄方式による政府買い入れの前倒しを行うこと。二つ目は、米戸別所得補償モデル事業の交付金につきまして、定額部分を年内に確実に支払うとともに、変動部分の交付に必要な予算を確保し確実に補てんすること。三つ目は、平成23年産米の生産数量目標の設定について、平成22年産米の目標達成県に対して配慮願いたいことということでありまして、いずれ、平成22年産米の取引価格が下落する中で、県内の米生産農家をめぐる環境は極めて厳しいという実情を訴えながら、今の3点について要望したところでございます。
〇及川幸子委員 私どもも政権与党として一緒になって政府にいろいろと要求をしていきたいと思っておりますが、今、お話になりましたけれども、この備蓄米、大変米余りですが、在庫が多いということですが、こうして見ますと、米離れに端を発しているということですが、消費拡大をより一層進めるべきと思うのですが、その取り組みはどうだったんでしょうか。
 特に、学校現場とか公的施設においての米の消費拡大に向けた取り組みをお聞きしたいと思います。
〇小田島農林水産部長 学校現場等での米の消費拡大についてでございますが、県では、いずれこういう状況を踏まえまして、特に園児や児童生徒への食育の推進、あわせて学校給食における米飯給食の拡大に取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば、園児を対象とした親子のおにぎり教室ですとか、小学生を対象とした親子食育学校、高校生を対象とした米消費拡大教室などを開催しておりますし、学校給食といたしましては、平成20年度に週3.5回だった米飯給食を、平成21年度に3.6回ということで増加傾向にございますし、米粉パンの導入拡大を目的とした学校給食米粉パンの日の実施などもいたしているところでございます。
〇及川幸子委員 なかなか米を加工したものは口に合わないのか、余り進んでいないような気がしますが、子供たちのおにぎり好きには、本当に大したものだと思います。パンも必要ですけれども、やっぱりおやつなどには、ちょっと空腹だというときには、小さいおにぎりなどを食卓に乗せる等、とにかく米を食ってもらうということを全面的に指導していただきたいと思います。
 そこで部長、民主党政権では、戸別所得補償制度で、生産調整に参加した農家に対して10アール当たり1万5、000円の定額に加え米価の下落分を補てんすることにしておりますが、この制度にそれぞれの農家は大変期待しているところですが、宮城県では、新米が古米より安いということで驚くべき現象も起きております。概算金が前年比で2割から3割下がった米産地が多い現況を見ると、これからの米づくりは大変だ、もうやめようという農家がふえていると思います。
 しかし、我が家でもそうですけれども、田んぼに家族総出で出て、やっぱりうちの主人などは、金にはならないけれども、やればやるほど赤字だけれども、田んぼで汗をかくのは最高だということで、私も、苗箱洗いなどを手伝うのですが、そういう中で、やっぱり別な意味があると思うんです。
 元気という言葉がこの決算書には載っておりますが、部長、本当に元気を取り戻せる米づくりになるでしょうか。元気を取り戻せる農業になれるかお聞きします。
〇小田島農林水産部長 確かに、今、米を取り巻く状況というのは非常に厳しい、特に概算金が非常に低い形で設定されたというようなことで、厳しい状況にあると考えております。
 しかしながら、やっぱり戸別所得補償制度がせっかく来年度から始まりますので、そこをまず制度的にきちっとしていただくということ、これが前提でありますけれども、それに加えまして、県としては、例えば関係団体と連携をし、低価格資材の利用や規模拡大による生産コストの削減、あるいは減農薬、良食味米の生産、販売による、いわて純情米の評価向上などを図りまして、米生産農家の方の所得を確保しつつ、生産意欲を取り戻し、元気のある米づくりにいそしんでいただけるように支援してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 食という部分とこの農業は切り離せないと思っております。そこでお聞きするのですが、県内では、増田知事時代に打ち出された政策だと思っておりますが、食の匠ということで認定者を出しておりますが、今までで年度ごとで結構です、どの程度の食の匠の方が誕生してきたのかお知らせいただきたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 食の匠の認定の件でございますが、この制度は、平成8年度に創設以来、これまで207人の個人、団体を認定してきております。年度ごとの認定者数につきましては、直近の3カ年で申し上げますと、平成19年度以降、毎年19名という状況になってございます。
〇及川幸子委員 済みません、数はわかりました。食の匠を育てている意義を伺いたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 この制度は、長年受け継がれてまいりました地域の食文化や郷土料理等に関する知識、技術を受け継ぎまして、その情報発信と次代への伝承活動を促進することを目的としております。
 そうした中で、地域の多彩な資源や食文化を生かしまして、都市住民との交流促進のほか、地域活性化や県内外に向けての情報発信などに大きな貢献を果たしてきているものと認識しております。
〇及川幸子委員 大変すばらしい意義だと思っておりますが、これが一度断ち切れそうになったということを伺っておりますが、それが本当だったのか。それから、食の匠の方々の食の売り込みと成果というのはどのようになっているか。207人のその認定された方々の成果というのをお聞きします。
〇工藤農業普及技術課総括課長 初めの1点目でございますが、確かに、御案内のとおり、平成8年から始まりまして、13年で1回、言えば事業実施年度ということで、そこで、事業期間ということで1回完了したと。その時点で150人を認定してございます。
 その後、高齢化が進んできたとか、技術の伝承がなかなか思うようにいかなくなったということもございまして、平成19年に復活させて今に至っているものでございます。
 それから、2点目にございました食の売り込みと成果についてでございますが、認定者の約6割が、そば、それから、ひっつみ、きりせんしょなど、地域の食材を使いました料理を提供する農家レストランや加工品の販売などを行い、アグリビジネス活動を展開しております。食の匠に認定された方々は、こうした取り組みによりまして、農家所得の向上と地域の活性化に寄与していると考えておるところでございます。
〇及川幸子委員 私がなぜこういうことをお聞きしたかといいますと、先日、食の匠の方々が市内のホテルを使って発表されて、それをいただいてきました。そして、ある食の匠の方にお聞きしたんですが、どういうところでこれを売っているんですかと言ったら、いや全然売っていません、認定されただけですのでということで、いや、もったいないですねということで、それでお聞きしたんです。
 6割の方が料理を提供なさっているということ。やっぱり食の匠という立派な認定をいただいたからには、岩手ならではの地産地消、食の文化を売り込んでいる方々だと思って、立派な方々でございますから、この方々が4割、食の匠に認定されながら眠っているということが、もったいないのじゃないかと思うんですよ。
 それで、部長にお聞きしますが、岩手ならではの食産業の推進ということで大変重要な施策であると思いますが、食の匠の方々との連携をとった活動をどのように考えているのか、その活動こそが重要だと考えるところから、御所見を伺いたいと思います。
〇小田島農林水産部長 委員御指摘のとおり、岩手ならではの食文化を生かしている、いわゆる食の匠の皆様の力を食産業に結びつけていくということは、非常に大切なことだと思います。
 私どものほうでもいろいろそういうことを生かした、農業の6次産業化でありますとか、あるいは売れる商品づくりですとか、さまざまに御支援はしてきたところでありますが、まだまだのところがございますので、本当に岩手の食材の豊かさと食の匠の方による技術というものを、もっともっと力を外に出せるような形に仕上げられるように、県としても一緒になって取り組みまして、積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 商工労働観光部とも連携をとっていただきたいのは、やっぱり観光施策の一環として、その地に、どういう食がありますかと問われるときに、答えられるのが、ええっ、何だっけというときがあります。
 実は先日、久保孝喜委員とお話をした中で、おらほの地域ではすばらしいものがあるということは─久保孝喜委員がちょっと見えないようですが、実はそういうことをお話しいただきまして、いやあ、すばらしいなと、その地域に行ってみたいという思いにかられたんですが、部長も岩手県でそういう食の匠の方とか地域の方から、おらほの村ではこういうのがおいしいよといって、行ったことがありますか。
〇小田島農林水産部長 それぞれの地域にそれぞれの本当に料理があって、例えば、一例では、県北のせんべいをそばの中に入れた料理を出していらっしゃるところだとか、ひっつみ料理だとか、いろいろなところで、地域それぞれの食を食べさせていただいているところであります。
 いずれ、そういうものについて、例えば観光と結びつけたり、食産業と結びつけたりすることにつきましては、商工労働観光部と連携をきっちりとりまして進めていきたいと考えております。
〇及川幸子委員 ぜひ、商工労働観光部ときっちり、ぎっちりと連携をとりながら、いいところにはやっぱりいいものがあるはずでございますから、県内くまなく、そういうものを見逃さないように。
 そして、やっぱり食の匠の方々、6割だけじゃもったいないですから、ぜひ4割の方々も、地域でもっともっと光れるようにやっていただきたいと思います。
 最後に、岩手競馬事業について伺いたいと思います。
 集客、売り上げを伸ばす上でいろいろと工夫をなさっていると思いますが、県庁職員の方々は、どれほどの関心を持っているのかということをお聞きしたいんです。
 といいますのは、一般企業であれば、達増知事が今、社長ということですね。それで勤めているのが県庁職員であると思います。民間であれば、社長が経営しているものに対しては、やっぱり物を売り込むときには、そういうものを食べてみたり、うちの会社のものはぜひという気持ちになると思いますが、うちの会社の競馬という面で、県庁職員の方は、どの程度足を運んでいらっしゃると思われるでしょうか。
〇小田島農林水産部長 実数としてどれぐらいかという数字はちょっと把握してございませんが、県職員に対しましては、庁内の電子掲示板やメールなどを活用いたしまして競馬場でのイベントの開催などを周知しておりますほか、岩手競馬の開幕などの節目、あるいは先日、南部杯がございましたが、そういうグレードレースの際に、PRチラシを作成し、各部局に配布するなど来場を呼びかけているところでございます。
 県職員によります岩手競馬のファンクラブとして、県庁など盛岡地区の職員を中心として未知の駒会というものがありますし、それから、県南広域振興局の職員を中心として県南かけっ駒クラブを平成19年度に組織して、岩手競馬観戦ツアーを年数回、定期的に開催しているところでございます。
 今後も引き続き、イベント情報などを提供することによりまして、岩手競馬に対する関心を高めるとともに、ファンクラブの活動などを通じまして来場促進に努めていきたいと考えております。
〇及川幸子委員 南部杯、グレードレース、本当にあのくらい人が集まって、売り上げが伸びるという要素を持っているんだと思います。やっぱり魅力のあるレースの展開、何かメーンのものをぱっとしないと、お客さんはなかなかもう飽きている感じで来ないと思います。
 その集客に対しての取り組みということですが、県でも、未知の駒会や県南かけっ駒クラブ、いろいろやっているということで安心しましたけれども、集客に対しての取り組みですが、私もいろいろな会合を持っておりますが、その方々に初めて競馬場に足を運んでいただきますと、いや、競馬ってすごくおもしろいね、こんな自然界を見ながら、長時間にわたって大して金もかけないでやれるんだねということで、また行きたいということを言われます。
 そういう10人とか20人とか連れていく人に対しての御褒美、そういうものを考えられないものかと。単純な考えですが。というのは、保険会社なども、外交員さんたちはそういうものをやっていますよ。やっぱり成績を上げるとシールがどんどん張られて、社内トップとかと御褒美をもらえるわけですね。ある企業でもやっていると思いますが、そういうことをやる気がないかどうか、その点をお聞きします。
〇高前田理事 岩手競馬の集客の関係のお尋ねでございます。
 岩手競馬といたしましては、三つの戦略で考えてございまして、一つ目は、まずは岩手競馬を多くのお客様に知っていただくという取り組み、それから二つ目が、多くのお客様に来ていただくという取り組み、それから三つ目が、多くのお客様に購入していただく、この三つの戦略で現在取り組んでいるところでございます。
 まず、一つ目の知っていただくということに関しましては、さまざまなグレード競走がございますけれども、こういったグレード競走を核としたシリーズ化による効果的な広報展開、それから、全国スポーツ紙への馬柱の掲載、これを従前、東京スポーツを対象としてやっておりましたが、ことしはサンケイスポーツを新たに追加したというような取り組みもやってございますし、インターネットによるPRということもやってございます。
 それから、お客様に足を運んでいただく、来ていただくということに関しましては、さまざまなイベント、それからファン感謝デー、レディスデーといったようなことでありますとか、それから、地元のラジオ局とタイアップいたしました競馬観戦ツアーといったようなものもやらせていただいておりますし、それから、ことしの夏には、水沢の商工会議所の青年部が中心となって北海道、東北ブロックの会議を開催していただきまして、その中の一つのコースとして設定していただいて、当日は競馬場が非常ににぎわったといったようなこともございました。そういったようなこともやらせていただいております。
 それから、多くのファンに購入していただくということにつきましても、広域委託発売、インターネット発売の促進、それから薄暮競馬の継続といったようなことで取り組んでいるところでございます。
 お尋ねの、団体でいらしたときのさまざまなサービスはできないのかということでございますが、これにつきましても、先ほど事例として紹介させていただきました水沢の商工会議所の青年部の皆様が中心となったイベントの際にも、さまざまなサービスをさせていただいたところでございますし、私どもも営業努力として、そういうものはこれからやらせていただきたいと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 私もことしの夏の青年会議所の東北ブロックの会議に一緒に参加させてもらいまして、若い方々の熱気に満ちた部分を感じ取りまして、いやあ、すごいなと思って帰ってきたところでございました。いろいろとこれから対応していただくということで、本当に存続に向けて頑張っていただきたいという思いで言ったのですが、最後に部長にお聞きして終わりたいと思いますが、現時点での存廃に対しての考えというのをお聞かせいただきたいと思います。
〇小田島農林水産部長 現時点での存廃に対する考え方でございますが、いずれ岩手競馬は、新計画のもとで、単年度ごとに収支均衡を達成することを条件に、構成団体から330億円の融資を受けて事業の存続が認められ、今まで頑張って取り組んできたところでありまして、3年連続で収支均衡を達成してきております。
 取り巻く情勢は依然として厳しい状況にはございますが、競馬関係者の雇用を確保するとともに、地域における大きな経済主体としての活動を継続することで、地域経済に今後とも貢献し、畜産振興への寄与にもつながるというようなこと、それから、収益の確保を図り、時間はかかるにせよ、構成団体に、利息に加え元金を返済していくことになるということ、さらには、廃止となった場合における構成団体、ひいては県民、市民の新たな負担を回避することなどから、岩手競馬を継続していくことが、県民の皆様方から与えられた命題であると考えておりまして、今後とも、競馬事業の継続に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 どうぞ力強く走る馬の姿を思い浮かべながら頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。
〇嵯峨壱朗委員 総括質疑の工藤勝子委員の質問の中で、平成21年度の在庫米が全国的に言うと30万トン、そして、本県の中でも3万トンと見込まれていると。そして、それが米価下落の原因にもなっているという指摘がありますけれども、通告しているものの前にちょっと、消費の話がありましたが、やはり消費がないから残るという面もあるんでしょうが、需給ギャップというか、昨年度の決算の中で、事業の中で、消費拡大に向けてやった事業等があったら説明願えればと思います。
〇菊池流通課総括課長 米の消費拡大についてでありますが、米を特に県内で消費を拡大していく上で、産地直売所が今、売り上げをふやしてきているという状況がありますが、いわゆる政策的なものとしては、やはり食習慣の形成期に米を、御飯食を食べる習慣が必要であるということと、それから、学校に通っている時期に給食として米飯給食をとるということが、基本的には大事なものと考えておりまして、今の米の消費拡大政策としては、その2本を中心にやっております。
 加えまして、病院食があるわけでありますが、県立病院に対して、いわゆる病院の給食として県産米をマッチングといいますか、おつなぎするということと、それから、岩手県産の米を民間企業の事業所等で給食する際に、そこを岩手県産品を活用する事業所として認定する制度がございまして、そこを認定することによりまして、公的な施設から民間の施設まで含めて、岩手県産の米の消費拡大につながるすそ野を広げていくということに今、取り組んでいるところであります。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ消費拡大、いろいろな角度から県としてできることを進めていっていただきたいと思います。
 そこでですけれども、米価下落が甚だしいということで指摘されておりますが、そういった原因をどのようにとらえているか、お聞かせ願いたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 米価下落の原因についてでありますが、まず、米価の下落は、大きくは二つ原因があると考えておりまして、一つは、消費者の低価格志向というものがあります。それから、お話のありました需給の緩和、この2点が米価の下落に影響していると考えております。
 特にも、平成21年産の未契約米というものが今30万トン以上見込まれるなど、いわゆる過剰米の発生が需給を緩和させているところであります。
 これを受けて、また、米の卸業者等からしますと、一つは、多量の過剰米が発生している、あるいは引き続き平成22年産米も過剰作付が解消されていない、あるいは作柄が平年並みであったということなどを勘案して、急いで販売数量を確保することを考えていないということの一方で、産地側とすれば、過剰感から、未契約米が生じないように、取引の基準価格を低目に設定して売っていこうという姿勢が相まって、低価格になっているものと受けとめております。
〇嵯峨壱朗委員 理由が、今、大きく2点ということでしたけれども、いろいろあるようですね。特に、ことしは一等米比率というもので見ると、岩手県は南のほうの県よりは多少いいのかもしれませんが、前払い金の下落というのは、ほかの県と比べて岩手県米は非常に大きいですよね。秋田県も宮城県もそうですけれども。こういった下落の状況がどうなっているか、その理由についてちょっとお示し願います。
〇菊池流通課総括課長 本県産米の米価の下落の状況、他県と比較してでありますが、米の販売がまだ始まったばかりで、米価そのもので比較することがなかなか難しい状況ではありますが、平成22年産米の概算金というもので見ますと、本県の代表的な銘柄であります県南産ひとめぼれ、ひとめぼれA地区というものでありますが、これにおいて玄米60キロ当たり8、700円となっておりまして、これが対前年比で見ますと3、600円の低下という大幅な引き下げとなっております。
 これを東北各県、例えばお隣、秋田県の秋田県産あきたこまちと比較しますと、秋田県産のあきたこまちは対前年比3、300円の減、それから宮城県産のひとめぼれが本県と同じ3、600円の低下と、本県と同様に概算金を低く設定している状況にございます。
 このことは、先ほどもお話で触れましたが、需給が緩和しているなど、販売環境が非常に厳しい中で、平成22年産米を早期に完売することを目的に、柔軟な販売をしていくための水準として低目に設定したものと受けとめております。
〇嵯峨壱朗委員 東北6県というか、さほど差がない下落ということだったと思うんですけれども、例えば新潟県とかですと1万2、300円でマイナス1、400円とか、北海道とかでも、もともとが高くはないけれども1、000円安という形で、なぜそこまで岩手県を含めた東北と他のそういった地区との差があるのかということも、わかれば教えていただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 米の取引に関することですので、すべてを御説明することはかなわないわけでありますが、一つには、新潟県を初めとする他産地が、平成21年の段階において、平成21年産米の在庫の状況、あるいはさかのぼって平成20年産米の在庫の状況などを踏まえて、どちらかといえば早い時期から低目に設定して販売に入っているということが一つございます。
 それから、岩手県の場合は、なるべく価格を維持して、高い価格で、生産者に還元するということから高目に設定していることがあって、ことしの概算金の対前年比較で見ますと、新潟県を中心とする地域では低目に数字が出ておりますし、岩手県では、その反対で高目に出てしまっているという状況かと存じます。
〇嵯峨壱朗委員 難しいですね。ただ、やはりこれは温暖化もあるんですね、北海道が一等米比率99%になっているということは。新潟県は19%というのが出ていましたけれども、そうすると、岩手県は86%ということで、品質もある程度維持されているという面があるので、もしかしたら今後いいのかもしれないと思ったりして見ていますけれども。
 それで、こういった米価の下落対策として、どのような対応を県としてとれるものと考えているか、お聞かせ願いたいと思います。
〇小野水田農業課長 米価下落対策に対する県の対策ということでございますけれども、平成22年産の米の概算金の引き下げによりまして、県内の米生産農家が大変厳しい状況にあることを踏まえて、一昨日、知事が上京し、農林水産省に対して、一つには、過剰米を非主食用米へ仕向ける緊急措置と棚上げ備蓄方式による買い入れの前倒し、それから、2点目として、米戸別所得補償モデル事業の定額部分の年内支払い、さらには変動部分の予算の確保、こういったところを提案したところでございます。
 また、県内の金融機関に対しましては、今月7日付で、米作農家に対する資金の円滑な融通に係る通知を発出したところでございまして、経営等に支障等を来すことが懸念されております農業者を対象とした資金等について、十分周知するとともに、必要な資金を円滑に融通していただくよう要請したところでございます。
 今後におきましては、関係団体と連携しながら、生産コストの削減を一層推進するとともに、消費者ニーズに即した減農薬、良食味米の生産、販売によるいわて純情米の評価向上といった取り組みを強化するなど、農家の手取りを確保することによりまして、再生産可能な稲作経営の確立を支援してまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの説明もありましたね。それで、この戸別所得補償ですけれども、10アール当たり1万5、000円とか決まっている。それで、変動部分がございますよね。その部分というのは全国一律ということのようですけれども、財源確保はもちろん国でしっかりやってもらわなければならないのですが、どれぐらいに現時点で想定されるか、見通しというのはわかるものかなと思って、それもお聞かせ願いたかったんです。
 それと、定額分は年末までに支払われると。しかしながら、それまでにいろいろな農家の方々が払わなければならない部分が出る。それを担保というか保証、ある程度融資するという形で、この間、新聞に出ていましたけれども、花巻農協ですか、そういった対応をするようですが、これは、恐らく花巻だけじゃなくていろいろな地区だと思うんですが、それをどのように指導していくのか、もう少し具体的に説明願えればと思います。
 また、さっき言った変動部分についての見通しもお聞かせ願えればと思います。
〇小野水田農業課長 変動部分の見通しについてでございます。
 変動部分につきましては、全国の相対価格の平成18年から20年までの3カ年平均と今年産の相対価格の1月までの価格の全国平均との比較によって、下落部分について3月までに支払われると伺っております。したがいまして、相対価格につきまして、まだ平成22年産米の販売をスタートしたばかりでございますので、今後の相対価格の水準がどのように推移していくかということによって、いわゆる変動部分の支払いがどうなっていくかということでございますが、現在、国では、予算枠としては60キロ当たり1、200円は支払われる、そういったような予算の枠を措置されているということで伺っております。
〇長岡団体指導課総括課長 農家支援のために資金面で農協等をどう指導しているかというお尋ねでございますが、今月、10月7日に県内の金融機関に対しまして、資金を円滑に融通されるように要請を行ったところでございます。特に農協、それから信連、農林中金という系統金融機関、さらには日本政策金融公庫、そのほか一般の民間銀行、信用金庫、これらに対しまして、農業者の経営の実情を理解の上、資金を円滑に融通されるようという要請を個別に行ったところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 変動分に大体想定されている部分が1、200円ということですね、そして、定額の部分は1、600円でしたか。そうしますと、それだけでも差額で600円出ますよね、去年より減っていると。その部分も、再生産という意味で言うと大変厳しいと思うんですよね。だから、いずれ、そういうふうに想定されるのであれば、今回、花巻農協なんかでも考えているのは、12月までの想定している定額部分についての融資ということですよね。それを、例えば変動部分も含めて、ぜひそういった方向で融資を広めていけるような方向に指導していただきたいと思います。きめ細かくやっていただきたいと思います。
 そして、これは最後にしますけれども、生産調整というのも、これは関係が出てきましたね。米のとれぐあいによって。そうすると、販売実績に応じて決まると言われておりますけれども、岩手県というのは、こういった影響をどのように想定されるでしょうか。今考えるところで、わかるところでいいですけれども。
〇小野水田農業課長 生産調整の取り組みでございますが、まず、本県の平成22年産米につきましては、国からの生産数量目標を達成する見込みととらえております。
 ただ、いわゆる米の生産数量目標の配分につきましては、委員からお話がございましたとおり、各都道府県の販売実績、いわゆる需要実績といった形が配分の要素となってございます。
 まだ、平成23年産米の目標数量に入るのはこれからでございますが、本県におきましては、残念ながら平成21年産米の販売の実績というのがなかなか進まなかったということで、在庫も抱えているということでございまして、そういったことも踏まえて、先般、一昨日、知事が農林水産省に対して提案した内容の中には、達成都道府県に対して、平成23年産の生産数量目標に対する御配慮をいただきたいということも、あわせて提案してまいったところでございます。
〇三浦陽子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
午後1時3分 再開
〇工藤勝博副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行しますが、第1部農業関係分野では、この後、5人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁とも極力簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇高橋博之委員 私のほうからは、新規就農総合対策事業1点に絞ってお伺いします。
 近年の農業就業人口の減少並びに高齢化は目を覆うばかりでありますが、一方で、新規就農者の増加は目をみはるものがあります。農業を取り巻く環境が厳しさを増す中、このように新規就農者が年々増加している背景をどのように当局は分析されておりますでしょうか、まずはその点についてお伺いいたします。
〇工藤農業普及技術課総括課長 新規就農者数は近年増加傾向にあるということは御指摘のとおりでございますが、その要因としましては、このような社会情勢の中で、他産業から農業を就業したいという方々がおること。一方では、農業法人の育成に力を入れてきておりますので、農業法人での雇用就業が特にもふえておるんですが、こういう農業法人で就業したいという方々がふえておることが大きな要因ではないかと考えておるところでございます。
〇高橋博之委員 今の御答弁ですと、昨今の雇用不安の中で、この農業が雇用の受け皿として期待をされつつあるということのようですけれども、過去10年間の新規就農者の推移を見ておりますと、平成12年の90人から平成21年度は251人と、過去最高を記録いたしました。アクションプランの取り組み状況、成果、具体的な推進方策指標で達成度がAということでありますが、平成18年から19年に148人から196人に48人、50人近くふえているわけです。平成19年から20年につきましては196人から232人と36人、40人近くふえておりまして、昨今の経済情勢を反映して農業分野に新たに活路を見出す人が物すごい勢いでふえているわけです。これだけ50人、40人とふやしてきたのに、平成21年度の目標が250人となっているんですが、これは、平成20年度からすると18人しかふやさないという目標数値を設定して、それで達成したとなっておるんですが、最近の就農の機運の高まり、50人、40人と来ているわけですから、もう少し高い数値を設定できなかったのかなと率直に私は思うわけですけれども、なぜこういう控え目な目標になってしまったのかお伺いいたします。
〇工藤農業普及技術課総括課長 新規就農者を確保する目標値につきましては、ちょっと説明いたしますけれども、毎年度200人と設定してございます。これは、本県の農業生産の大宗を担う方々を認定農業者と認定しておるわけですが、その方々は8、500人を目標にしておりますので、この方々を40人サイクルで補っていこうということで、単年度200人ということで目標を設定しておるものでございます。ですから、平成19年度はおおむね200人、それ以降は200人を超えているということで、目標は達成しているという理解をしておるところでございます。
 御指摘の平成18年から19年の伸び、そして平成20年から21年は余り大きくは伸びていないというここの分でございますけれども、今、これは一つの要因だと思っているんですけれども、国においては、農業の雇用ということで法人での研修をする制度を設けて、法人で雇用吸収するような仕組みの流れをつくっておるところでございます。ですから、そこの中で研修する方々が今ふえておりまして、それが、平成21年、22年と合わせれば約100人ぐらいのそういう研修生がおりますので、そういう方がここの中ではカウントされておりません、研修しておりますので。ですから、伸びは、就農まで行ってないんですけれども、そういう研修の途上にある方々が裏にはおるということで御理解いただければと思います。
〇高橋博之委員 まだ研修途上にあるということで、その方々が就農にまで結びつけばもっと数字が伸びてくるということなんでしょうけれども、いずれ、農業の就業人口は、昭和60年代は60歳までが60%で、60歳以上が40%。今は60歳までがもう30%を切って、60歳以上が75%に近くなってきていまして、これが5年、10年たったらだれが米をつくっているのか、農業を担っているのかというのは、5年後、10年後を考えると本当に末恐ろしくなるわけですけれども、ここは、昨今の機運にしっかり合わせて、さらに新規就農対策は、取り組みを強化して、もっともっと高い目標値を設定して、控え目ではなくて意欲的に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、この入り口の部分について、何点か、就農相談ですとか、いわて農業入門塾、農業大学校とさまざまな入り口があるわけですけれども、ちょっとそこについてお尋ねしたいと思います。
 まず一つ目の就農の相談についてでありますが、昨年度、県段階で開催した相談会が10回、地方段階が5回、首都圏が11回、相談窓口の個別相談は随時ということで、実に合計545件もの相談を受けておるとデータをいただいております。就農相談者のうち、これまで就農に結びついた人数は、平成21年度の段階については、現在のところ不明、または年度末まで巡回や聞き取りによって就農定着状況を確認する、把握するということなんですが、ちなみに平成20年度の状況は把握されているのでしょうか。
〇工藤農業普及技術課総括課長 ただいま詳細なデータは手元にございませんので、回答はしばらくお待ちいただきたいと思います。済みません。
〇高橋博之委員 では、それはお願いします。
 それで、この就農に結びつけるときに政策地域部との連携が重要だということは、これまでも再三再四私のほうから指摘してきましたが、首都圏の相談会が平成21年度は11回行われたということでありまして、政策地域部との連携として、銀河プラザの移住相談窓口で就農情報提供を行っているということなんですけれども、いわば首都圏は最前線だと私は思っておりまして、ここは、移住相談窓口は常時設置しているわけですけれども、単に就農情報を提供するということにとどまらずに、やはりここでも就農相談をあわせて受けられるように、移住相談窓口に併設するぐらいの気構えでやっていただきたいと思うんですけれども、そういったことは難しいのでしょうか。
〇工藤農業普及技術課総括課長 今現在、就農相談員で委嘱している方が1名おるんですけれども、この方の必要な資質というのでしょうか、その要件というんでしょうか、技術も含めて、あるいは経営的な部分、農地関係の専門的な情報、そういうものが相談員にはやっぱり必要なのだろうと思います。そうなると、そういう適性を持った方々というのは、今まで見ますと、県内にはなかなかそういう人材というのが多くはございませんし、そういう中で、例えば東京のほうに配置するということになると、またさらに遠方のほうに配置することになりますので、生活の部分とかも検討しなければならないので、一概にできるとお答えできないところが実情でございます。
〇高橋博之委員 平成21年度に首都圏で11回相談会を開催されたということですが、どういった会場で、どういった内容の相談、中身についてお知らせいただきたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 首都圏での開催でございますけれども、事業の名称で申し上げますと、新農業人フェアを3回にわたって開催しておりますし、いわてで農業しようというセミナーが2回、U・Iターンという形でのフェアが2回、そういうフォーラムとかフェアの形で、言うなれば1日を単位とした開催になりますが、そういう形のもので開催しております。その内容は、ブースを設けまして相談に応じるということで対応させていただいておりますし、こちらのほうから、先ほど申し上げました相談員が、あるいは県の職員が行って対応するという形で行っておるものでございます。
〇高橋博之委員 首都圏からこちらに移り住んでいただいて農業に従事していただく、この小さな今のツクシンボウはどんどん大きく育てていかなければならないと思うんです。
 そこで、相談会の参加者の内訳を見ますと、413人のうち30歳以下が実に122人と一番多いです。31歳から40歳も98人。職種で見ますと、会社員が一番多くて106人ということでありますし、新規就農者の内訳についても、首都圏からのUターンが125人と一番多いということでありまして、向こうからこちらへという小さな流れが今始まっていて、これはやはり広げていかなければならないと思うんですが、そのときに、先ほどの話に戻るんですけれども、最前線の銀河プラザにそういう人材がなかなか豊富ではないというお話をされておりましたが、私は、そこに、移住、定住とあわせて就農の相談に常時乗れるような体制をぜひ検討していただきたいと思いますし、さらに言いますと、この先進事例、Uターンされてきて、こんなふうに私たちは農業を始めましたという取り組みがたくさん書いておりまして、これはすごくいいんですよ、イメージもわきますし。これは恐らく現場で、相談会でお渡ししたりしているんでしょうけれども、大々的なフェアをやるときとかは、ぜひ、この中に紹介されている人を連れていって、私たちは今から10年前に夫婦で若いときに来て、ここから始まって、今はこうしてやっているんですということをお話をしていただくのが一番いいんじゃないのかなと思うので、ぜひ、そのことについても御検討いただきたいと思います。
 次に、いわて農業入門塾についてお伺いいたします。
 これも、今、大好評でありまして、50人の定数に昨年度は倍以上の120人が応募されたと。これも過去最高であります。急遽定数をふやして70人受け入れたということなんですけれども、もったいないと思って。50人から70人に20人定員をふやしていただいたのはよかったことだと思うんですけれども、実際、この入門塾に通われている方からお話を伺いますと、既に就農されいて、スキルアップのために来ている方もいれば、退職された後、新しく農業を始めたい、あるいはサラリーマンで就農を考えているという人がたくさん来ているようでありまして、ぜひ、応募されてきた人をみんな受け入れられるような環境というのは、もっと定数をふやせということなんですけれども、それは難しいんでしょうか。
〇工藤農業普及技術課総括課長 入門塾は、当初は農業の理解を深めるということで、例えば家庭菜園をやられる方々も対象にしながら、そういう取り組みをしてきた経過がございます。その後、やはり将来の農業を担う方々、農業に入られる方々を対象にしようということで、今、取り組んでおるんですが、それで、先ほどおっしゃられましたとおり、受講希望者が多いという中で、今後の対応なわけですが、正直申し上げまして、人数が多いということは、技術レベルあるいは志向のレベルにも差が大きくございます。あとは、指導する教官の側のその対応ということもございまして、今、我々が考えているのは、今の定員でぎりぎりかなということで、25回開催しているわけでございますけれども、この対応で今のところぎりぎりかなと考えておるところでございます。
 実施しているところが農業大学校なわけでございますが、農業大学校と県の農業生産を指導する例えば農業改良普及センターと連携した対応としてどこまでできるかについては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
〇高橋博之委員 検討課題にしていただきたいと思います。本当にチャンスだと思うんですよ。今の体制ではぎりぎりなんでしょうけれども、今の体制をやはり見直して、この入り口の間口を大きくするということが、これから5年後、10年後の岩手県の農業につながっていくことだと思いますので、ぜひ、いわて農業入門塾の定員については、受け入れ態勢も含めて再考いただきたいと思います。
 次に、農業大学校についてお伺いいたします。
 就農相談から入門塾、そして農業大学校、一番ハードルが高いところですけれども、まず、この選考のあり方についてお伺いいたします。
 現在、入学定員は農産園芸学科が50名、畜産学科が20名ということになっておりますが、昨年度は何人が応募されて、倍率が何倍だったのか。それから、推薦入学と一般入学、さらに社会人特別選考というのがありますが、それぞれ何人応募されてきて、何人入学をされたのかをお伺いします。あわせて、入学された方に占める非農家の割合についてもお知らせいただきたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 農業大学校の入学試験の関係でございますが、平成21年度の受験者は、定員70人ですが73名、入学者は54名となってございます。
 それから、選考方法に推薦と一般入試があり、その中での応募、入学につきましては、済みません、今、持ち合わせのデータがございませんので、後ほど回答させていただきたいと思いますし、非農家の割合も、なかなか詳細がわからないんですが、今時点で把握しているのは、毎年、大体2割から3割の非農家の方々が入学されていると伺っているところでございます。
 もう一点、先ほどの資料でございますが、相談者のうちの就農者数の関係でございます。相談者が毎年ふえてはおるんですが、就農する方々は、相談したその年に即就農するという例はほとんどございませんで、二、三年前から何回かにわたって相談をし、そして、大体この地域に入ろうということを選定しながら来ますので、相談数と就農者数というのは必ずしもうまく合わない。したがって、平成21年に就農した方々のうち、相談会に行ったことのある方々という事例でとらえますと、平成21年の相談数の545人のうち5人おりますけれども、その中で、22年の就農者というのは34人ということで、過去に相談したことがあるとかという話になりますので、この相談件数とは必ずしも一致しないということを御理解いただきたいと思います。
 済みません、1件につきましては後ほど回答させていただきたいと思います。
〇高橋博之委員 一致はしないと思うんですけれども、傾向と対策を考えていく上で貴重なデータになると思いますので、この入門塾と就農相談会の両方を受けられた方のその後というのをしっかりウォッチして、把握しておくことが必要だろうと思いますので、よろしくお願いします。
 農業大学校なんですが、卒業後の進路についてお伺いいたします。今、定員が70名ということなんですが、かつては、短期大学のころは農業改良普及員という一つのコースがあったようですけれども、今は4年制大学を出ないとなれませんので、やはりここを出られた方は基本的には就農ということになると思うんですが、70名のうち何名ぐらいが就農されているのか教えてください。
〇工藤農業普及技術課総括課長 平成21年度の卒業生の進路でございますが、本科卒業生が61人おりまして、そのうち直ちに就農した方々が11人、割合にしますと18%になります。それから、農業団体とか関連企業に就職した方が30人、率にしますと49%となります。例年、卒業後即就農する方々というのは大体2割から3割ぐらいということで、他産業、農業関係の企業等に一度就職し、そして、何年か後に家のほうに帰られて農業につくという例が結構多いのが実情でございまして、そういう傾向が引き続いているということかと思います。
〇高橋博之委員 これを読みますと、都会から帰ってきて、まずは農業大学校に通って、農業大学校を出られてから就農されるケースが結構あるようですけれども、今の社会情勢を考えますと、転職をして新たに帰農するという方もふえておりますので、この農業大学校の社会人枠についても、今、データを持ち合わせていないということでしたけれども、私は、少し広げていかれたらどうかと。農業大学校に求められる役割が少し変わってきていると思いますので、その辺についてはぜひ御一考いただきたいと思います。
 この入り口で、入っていただいた次に問題になってくるのが住居、土地のあっせんということになるのだろうと思います。就農される方が一番最初にぶつかる壁が、暮らす家と農地だということなんですけれども、現在、県段階で農地、住居等のあっせんの仕組みがあるようでありますが、これが、今、実際に就農される方から、この市町村で就農したいという相談を受けたときに、どの程度、住居と農地を相談者に対してこたえてあげられているのか、うまく機能しているのか、現状についてお伺いしたいと思います。
〇工藤農業普及技術課総括課長 住居、土地のあっせんの仕組みでございますけれども、一元的には、県段階では県の農業公社が全体の窓口ということで、ワンストップの体制で受けまして、その後、就農したい、移住したい地域、市町村の希望があれば、そちらのほうの市町村の農地情報あるいは住宅の情報をお持ちの例えば市町村、農業委員会と相談をしていただく、そしてマッチングをするという仕組みでございますし、もう一つは、みずからも市町村のほうに行って、その地域に入りたいという方々は、直接的にその市町村との調整ということになってございます。
 実情はどうかということになると、おおむね希望者の希望のとおりのところには行っておるところもありますし、地域によっては、なかなかかなわないという地域も中にはあると伺っております。ただ、全体として、就農を希望する方々のニーズがどの程度かというところがありますので、それとのマッチングはおおむねうまく進んでいるのかなと思っておるところでございます。
〇高橋博之委員 最後にいたしますが、まず、この入り口のところから農地と住居のあっせん、技術の習得、経営自立支援、さらに経営のレベルアップの支援ということで切れ間なく取り組んでいただきたいと思いますが、最後は部長にお伺いしたいんですけれども、今、さまざま要望も兼ねていろいろお話をさせていただいてまいりましたが、本当にチャンスといえばチャンスだと思うんです。かつて地方から金の卵だと言われて都会にどんどん人が流れていって、京浜工業地帯に投入されて、工業を通じて日本の経済を支えてきたわけですが、今後はやはり食料の安定的な確保ということが我が国の大変大きな課題になってくるわけですが、反転攻勢、都会から地方へ就農という今はまだツクシンボウにしかなっていませんけれども、5年、10年先を考えたときに、このツクシンボウをどう育てるのかというのは、最前線の岩手県として大変大きな課題だと思っております。先ほど、銀河プラザに就農相談の窓口を増設するべきじゃないかというお話もさせていただきましたが、ぜひ、この入り口の体制、間口を広げるということをやはりやっていかなければならないと思うんですが、部長の御見解をお伺いします。
〇小田島農林水産部長 委員御指摘のとおり、新規就農者の確保、育成は、これからの農業を持続的に進める上で非常に重要な課題であると認識いたしております。県内における確保もそうでありますが、先ほど御提案のありましたとおり、東京から引っ張ってくるというようなこと、それで間口を広めながら、ぜひ岩手のよさをPRしながら来ていただき、それを定着するためにその仕組みづくり、これは先ほど御紹介のありましたとおり、レベルアップをするような形で、住居の支援から技術的な指導から、そういうふうなメニューがきちっとでき上がっていますので、あとはそれを有効に動かしていくことだと思います。農業大学校での社会人の入学のニーズも高いと校長先生から私もお聞きしております。そういうものも広めながら、いずれ、新規就農者の確保と育成をし、定着をしてもらうという仕組みをきちっとつくっていきたいと考えております。
〇高橋博之委員 就農される方のお話に共通しているのは、今までの就農の動機と随分変わってきていると。雇用不安もありますが、ライフスタイルの変化や価値観の変化ということを受けて、これまでとはまた違った形の農業を志されている方が物すごくふえていると思います。平成21年度の決算に関連していろいろ御提言もさせていただきましたが、先ほど部長から御答弁もありましたけれども、来年度の予算に、きょう指摘をさせていただいたことをぜひ反映させていただきたい。その件については、来年の予算特別委員会で反映状況についてしっかり確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇工藤農業普及技術課総括課長 先ほど、農業大学校の選考別の入学、合格の数字が漏れておりましたが、定員の3割(後刻「7割」と訂正)を推薦入試ということで受け入れ、そして一般入試は7割(後刻「3割」と訂正)というおおむねの水準をめどにしながらやっておりますし、社会人特別選考の枠も、毎年、その定数とは別に若干名ということで枠を設けております。推薦入試についてなんですが、受験が41名で合格が34名、一般入試のほうですが、受験が28人ということですが、合格者は22名ということ。社会人特別選考は受験者が2人おりまして、最終的な合格者は1人ということで、社会人選考につきましても、今、1名の方が入学しているということでございます。
〇大宮惇幸委員 私からは新いわてオリジナル水稲品種の開発についてお尋ねしたいと思います。
 まず、水稲品種の開発事業費の決算規模でありますけれども、毎年、大体この辺の数字だと記憶しております。果たしてこの金額で開発事業が満足しているのかどうか。それと、技術者の充足分が決算と伴っているのかどうか、その辺をまずお尋ねしたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 予算規模についてでございますけれども、これにつきましては、当然もっと欲しいというような研究者の声もございますけれども、本県の財政事情等を考慮して、その中で、十分量とは言えないけれども、まず最低限必要、間に合う分は措置されているものだと思っております。
 それから、育種にかかわる技術者についてでありますけれども、これにつきましては、国のいろいろな機関等へ短期に研修に出すとか、あるいは大学院で育種関連のことについて学ぶとかというような形で人材育成を進めながら、育種の研究者を養成しているところでございます。
〇大宮惇幸委員 それで、平成21年度の品種の開発状況の取り組み等をまとめてお尋ねしますが、平成22年度現在時点での開発状況がどうなっているのか。
 生産現場では、私を含めてそうなんでありますけれども、非常に新しい水稲品種に期待している部分がたくさんあります。御存じのとおり、今、県内のウルチの品種の主力はひとめぼれ、あきたこまちが主流でありまして、この品種二つは、片方は宮城県で育種されたもの、あきたこまちは当然秋田県で育種されたものでありまして、いずれ、県内の稲作農家は新しい品種に大変期待している部分が多いと思います。それで、それらの見通しと、あと、農林水産部の所管になっております生物工学研究センターには、決算にも載っておりますけれども、DNA解読のすばらしい高性能の機械が配置されておるという説明をいただいておるところでありまして、そことの連携プレーをどうやっているのかお示しいただきたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 まず、開発状況についてであります。これまでに県ではオリジナル品種として、主食用米だけではございませんけれども、都合14品種を開発したところでございます。これの平成22年産の作付面積の合計は県全体の約1割強の5、800ヘクタールほどとなっているところでございます。
 現在の状況ということでございますが、ひとめぼれ、あきたこまちにかわるという代替品種の早期の育成が非常に重要事項でありますので、今、現地試験、要は農業研究センターのほうで交配してかなり世代を進めて、これはそこそこいけそうだというものを、今度は現地の水田数カ所に出して、その地域での収穫時期、あるいはいもち病に強いか弱いか、収量性、つくりやすさというような総合的な点で検討しているわけですが、それに現在出している品種が6品種あります。これらは、栽培状況を見ながら、例えばひとめぼれ、あきたこまちをすべての点において凌駕する状況になれば、新品種として出していくというような段取りになっておるところでございます。
 次に、生工研との連携についてであります。生工研では、今、委員からお話がありましたように、昨年度に次世代シーケンサーを導入いたしました。このすぐれた機械を利用しまして、極良食味あるいはいもち病抵抗性に関するDNAマーカーによる選抜手法の開発を進めておるところでございます。生工研で開発された成果を農業研究センターにおいて活用いたしまして、優良な形質を持った水稲品種を効率的に選抜し、育種期間の短縮につなげていくこととしております。生工研につきましては、他県にない先端的な研究機関ということでありますので、そことの連携をしっかりやって育種期間を短縮してまいりたいと思っております。
〇大宮惇幸委員 いずれ、品種開発については、今まで14品種を現場のほうに出しているんだという説明でありますけれども、やっぱり主力品種を現場は求めているということだろうと思います。今、現地におろして試験をしている6品種の中で、最も早い時期に出せる品種というのはまだ見通しが立っていませんか。
〇千葉農産園芸課総括課長 今、6品種供試しているものの見通しというお話でございますけれども、先ほど申しましたように、いろいろな観点から総合的にチェックが入る。そうすると、欠点の一つや二つは多少あるものですけれども、そこら辺等を勘案しまして新しい品種として出せるという形でありますので、今年度の結果についても、これから取りまとめに入っていきます。近年であれば、外観的な形質はもとより食味というチェックも当然入れていかなければなりませんので、今段階では、この中から何年後にというような形で申し上げられる状況にはありません。
〇大宮惇幸委員 いずれ、早い時期に、そういう6品種の中から有望品種を出していただきたいと思います。
 大変失礼な聞き方だかもしれませんけれども、東北6県の中で、大変辛い言い方になるわけでありますが、岩手県の育種は非常にスピードが遅いのではないかと私は思っております。例えば隣の秋田県にしろ、青森県にしろ、もちろん北海道でも盛んに品種開発が進んでおるわけでありまして、昨今話題になっております山形県のつや姫などについても、各県とも品種開発に相当力を入れているという状況であるわけでありまして、答弁しづらいと思いますけれども、岩手の育種レベルは東北6県のどの辺の位置づけになるのか。そして、今までも育種に相当の年月を費やしてきているとも思います。そこで、県単独の開発ももちろん必要であるわけでありますけれども、隣の県との連携した育種というものも考えられるのではないかと思います。その辺についても、どう取り組んでいくお考えなのかお示しいただきたいと思います。
〇小田島農林水産部長 2点お尋ねがございました。
 東北6県での位置づけでございますが、本県では、冷害常襲地域ということで、それに適応したいわてっこやどんぴしゃりという耐冷性の強い品種を開発してきたところでございますが、作付面積の多い県南部で既存品種を超える良食味品種は開発されていないということなどから、他県と比較してオリジナル品種の作付比率は低い状況だと考えているところでございます。
 いずれ、他県との連携でありますけれども、昨年の10月19日に北海道・東北知事サミットが開催されまして、非主食用米の超多収米の品種改良と利用拡大に向けた調査研究ということを合意しております。これは、食味がいいというものとはまた別な話でありますが、そういう形で他県との連携の取り組みが今進められておりますので、いろんな形でその連携をしつつ、いい米づくりに努めてまいりたいと考えております。
〇大宮惇幸委員 いずれ、農業研究センターの育種の予算については、今、決して満足な予算ではないというようなお話をいただきました。何といっても、農作物の基本は種から始まるものですし、部長、ひとつ来年度に向けて、研究員がもっともっと頑張っていただけるような予算措置をしていただきたいということを期待しております。
 次に、総括質疑なり各委員からも質問が出ておりますけれども、今年度の米価の下落に伴い非常に現場は混迷を来している、厳しい状況の中に置かれておるわけでありますが、幸い岩手県は作況指数が104という指数が出たわけでありますけれども、中身を見ますと、決してその作況に伴う等級ではないというのが現状ではないのかと。といいますのは、カメムシの被害も異常気象の影響があると言われておりますし、あるいは玄米の奇形等に伴って1等米比率が低下している。それ以外のものは、保留米といいますか、検査保留になっている米が倉庫に相当積まれておるのが現状であるわけであります。
 そうした中で、県内のJAが中心になりまして、上積みなり、あるいは無利子の資金手当等々を、今、示しておる段階であるわけでありますけれども、上積みの部分については返済は要らないわけでありますが、いかに無利子であっても、それは償還しなければならないのが原則でありまして、基本は、とにかく米価が安くなったから現場が厳しいというのが現状であるわけでありますが、応急手当よりも、農業予算を見ていますと、強い農業とか、元気なとか、いろんな表現で示されておりますけれども、何とか岩手の米づくりの再生産に向けた施策というものを平成23年度に示していただきたいと私は思います。その辺についての御所見がありましたら部長からお聞きして、終わります。
〇小田島農林水産部長 今、概算金の大幅な引き下げ、米価の下落等で大変な状況だということで、国に戸別所得補償制度の変動部分の補てんを初めとしてもろもろ要請はしてきておりますけれども、それとあわせて、県といたしましては、やっぱり再生産可能な稲作経営の確立をきちっとやっていくことが必要だという、まさに委員御指摘のとおりと認識してございます。いずれ、関係団体と連携いたしまして、生産コストの削減を一層推進する、それから、消費者ニーズに即した減農薬、良食味米の生産、販売による評価向上ということをきちっとやっていきまして、農家の手取りを確保するということに努め、元気の出る農業に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 大きくは2点についてお尋ねいたしたいと思います。
 まず第1点目でございますけれども、本県農業生産基盤、そして農村生活環境基盤の現状と今後の対策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今度の決算を拝見いたしまして、農業、農村整備に相当の予算投資を行って整備が進められていると承知いたしているところでございます。この御努力には敬意を表したいと存じますけれども、いかんせん、さまざまな指標等を拝見いたしますと、これらの施設の整備水準は、本県は他県と比べまして、いささかと申しますか、相当立ちおくれている現状でございます。いただきました資料を見ましても、本県の30アール区画以上の水田整備率は48%と、東北の62.1%はおろか全国の61.3%にもはるかに及ばない全国最低クラスの整備率水準と言わざるを得ません。こういう状況でありますから、米の生産費も10アール当たり14万5、000円と東北では最高となっておりますし、また、水田整備のおくれから、小麦や大豆などの平均単収も東北や主産県を大きく下回っております。
 一方では、全県的に農業水利施設の老朽化が著しく進行しておりまして、このまま機能保全対策を講じなければ、10年後、基幹的な水路の半数が耐用年数を超過してしまうのだという見込みとのことでございます。
 また、汚水処理人口の普及率などを見ましても、都市部においてはそうでもないのでありますけれども、特にも農村部においては普及率が58%、まだまだ半分程度しか整備されていないという状況になっているわけであります。グリーン・ツーリズムだの都市農村交流だなどと華々しくかけ声をかけて頑張っておられるんですけれども、実態は随分お寒い状況になっているわけであります。
 そこでお伺いするのでありますけれども、決算年度の平成21年度に、ただいま申し上げました施設整備に一体どれだけの投資をされたのか、改めてそれをお聞きしたいと思いますし、また、いろいろな今後の事業量についてのアンケートなり、あるいは調査なんかもやっておられると思うのでありますけれども、今後の整備を要すると見込まれる事業量あるいは事業費についても、まずこの辺からお聞きしたいと思います。
〇沼崎農村計画課総括課長 まず、平成21年度におきます水田整備と農業水利施設の整備の状況についてでございます。水田の整備に要した事業費は、経営体育成基盤整備事業費などによりまして60億900万円余、整備面積は310ヘクタールとなっております。また、農業水利施設の整備に要した事業費は、基幹水利施設ストックマネジメント事業費などによりまして43億円余、整備延長―これは施設の全面更新に加えまして部分的な補修というものも含んでおりますが―は32キロとなっております。
 次に、今後見込まれる事業量、事業費についてでありますけれども、県では毎年、市町村から中期的な要望を農業農村整備事業市町村管理計画として取りまとめております。それによりますと、今年度から平成27年度までの6年間に、水田についてはおよそ3、200ヘクタール、年平均にならしますと500ヘクタール余になりますけれども、それぐらいの整備要望がございまして、想定事業費は510億円程度でございます。また、農業水利施設につきましてはおよそ175キロメートルで、事業費は380億円程度が見込まれております。
〇小田島峰雄委員 ただいま、今後の事業量をお聞きしました。合わせますと890億円余ということでございます。6年間でこれだけでありますから、単年度に直しますと幾らになりましょうか、百数十億円ということになりますか。平成21年度に103億円余りの事業を投下したということで、今後も毎年百数十億円の投資が必要になるというお話でございます。
 次に、これらの財源についてちょっとお尋ねをしたいのでありますけれども、平成21年度までは、まずまず整備が順調に進められてきたものと承知いたしておりますけれども、本年度に至りまして、御案内のとおり、予算が大幅にダウンいたしているわけであります。さまざまな御努力をされて、国の留保予算等を活用して、前年度の93%余りは予算を確保したという話でございますけれども、平成23年度以降については全く流動的になっております。来年度の政府予算の概算要求を見ますと、対前年度比105%ということにはなっておりますけれども、平成22年度ががくっと落ちておりますので、平成21年度対比で見ますと39%ということであります。先ほどお答えがございましたように、毎年、単年度で百数十億円ずつやっていかなければいけないというときの財源をどう確保するかというのは大変大きな課題でございます。
 冒頭申し上げましたように、このまま手をこまねいていれば、水利施設の半分がもう耐用年数を超過してしまうんだということでございます。そういった問題ももちろんありますけれども、今やっております事業というのは、国営、県営、団体営を問わず、御存じのとおり、農家の同意をいただいてやっているものでございます。万が一、予算がなくて予定完工年度が5年も10年も先送りされるということになりますと、同意の前提が狂ってまいります。話が違うということになるのであります。また、農家は、言うまでもなく高齢化の問題あるいは後継者の問題、大きな問題を抱えておりますから、来年先もわからない状況でございますから、ましてや5年先、10年先の状況なんて大きく変化してこようと思うわけであります。そういう意味でも、もう耐用年数間近の施設整備については計画的にやっていかなければならないと思いますけれども、これからどうやってその予算を確保されていくお考えなのかお聞きしたいと思います。
〇沼崎農村計画課総括課長 今、委員のほうから年間の事業費のお話がございました。まず、そこからお話しさせていただきますが、水田の整備、基幹的な水利施設の補修ということで約800億円ということでございましたが、さらに、中山間地域の総合整備とかあるいは農業集落排水施設の整備等を含めますと、向こう6年間で1、380億円、年間にならしますと200億円余の予算が必要だという、市町村からの要望はそういう状況になっておりまして、これをしっかり我々もこたえてく必要があると考えております。
 今お話がありましたとおり、国の平成23年度概算要求では、農業農村整備事業の予算が今年度にも増して厳しくなるということが予想されております。一方で、農業農村整備事業は、土地改良法という法律によりまして受益農家の同意をいただき、事業計画に沿って進めている事業でありますので、工事の完成を待ち望んでいる、あるいはその事業効果を早く発揮してほしいという農家の方々がたくさんおられるわけですので、事業計画に沿った事業の進捗が必要だと我々も認識しているところでございます。
 そこで、現在、国においては、平成22年度の経済危機対応・地域活性化予備費を活用した予算に引き続きまして緊急総合経済対策などの補正予算が検討されているという報道もございます。県としましては、このような情報の収集に努め、国の施策を積極的に取り込みながら、平成22年度の追加予算の確保、それに加えまして平成23年度の実際に執行できる予算の前倒し確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、今議会におきましては、岩手県土地改良事業団体連合会から提出されました農業農村整備の着実な推進に関する請願が採択されまして、県議会議長から、衆参の両院議長、内閣総理大臣、財務大臣及び農林水産大臣あてに意見書が提出されたところでございます。県としましては、今後におきましても、県議会の皆さんのお力添えもいただきながら、引き続き、農業、農村の基盤づくりがおくれている本県の実情を国に強くあるいはしっかりと訴えながら、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇小田島峰雄委員 ぜひとも、今こそ総力を挙げて着実な整備を図っていく時期なのだろうと思います。ぜひよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 先だって、8月の下旬でございましたけれども、県内の農業関係の皆様方に集まっていただきまして大会を開いたことは、御存じのとおりであります。さまざまなあらゆる機会を通じて地方からきちっと声を上げていくことが何よりも大事なことと思いますので、こういう点についても御留意をいただければと思います。
 概算要求の話をしましたので、ついでに申し上げますけれども、来年度の概算要求の中に政策コンテスト分が含まれております。500億円余りでございましょうか。聞くところによりますと、これは切り取り勝手次第、分捕り合戦のようでもあると聞いております。紳士的な我が県の皆様方でございますから、おとなしく待っていてもなかなか獲得できないという話になります。この政策コンテストにぜひ思い切って手を挙げていただきまして、獲得に向けて努力していただきたいと思いますけれども、その何か戦略的な部分でお考えがあれば、これをお聞きしたいと思います。
〇沼崎農村計画課総括課長 いわゆる元気な日本を復活させるためのという特別枠についてでございますけれども、その中で、農業農村整備事業関係としましては戸別所得補償制度の本格実施に向けた戸別所得補償実施円滑化基盤整備、もう一つは、新成長戦略に対応した農林水産の基盤整備として農山漁村地域整備交付金の一部が位置づけられております。
 先ほど委員からも御指摘がありましたとおり、東北や全国に比べて水田の整備率が低い、あるいはその一方で米の生産費が東北で最も高いということ、それから、約9割が転作水田に作付されている小麦、大豆も、排水不良によりまして湿害、いわゆるぬかった田が多いということで、単収が東北とか全国の主産県に比べまして大きく下回っております。
 県としましては、来年度からの本格実施が検討されております戸別所得補償制度の実効性を高め、県内農家の経営安定を図っていくためには、水田の大区画化、あるいは排水改良による汎用化、乾田化などの生産基盤づくりを通じた生産コストの低減、あるいは収量、品質の向上が不可欠と認識しております。先ほどのお答えに重なりますけれども、こうした実情を国に強く訴えながら、予算の積極的な確保に取り組んでまいりたいと思っております。
〇小田島峰雄委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。とはいえ、この政策コンテストを含んで平成21年度対比39%でございますから、極めて厳しい状況には変わりがありません。
 そこで、国も、県も、市町村もそれぞれ役割があって、それに基づいて今まで事業を進めてきたのでありますけれども、国の役割を県が肩がわりしてやれというのではなくて、この際、来年度予算の準備に入っておられると思いますけれども、来年度予算の中で緊急的な、あるいは特例的な手段で、例えば県単事業の新たな創設とか、そういうことについてのお考えがないかどうか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
 ただ、現在ある事業の中でも、特に今困っておりますのは、いわゆる農家負担の問題でございます。さまざまな事業を創設していただいても、今、農家が30%も40%も負担できるような体質がもうないわけでございます。そういう中で創設するのであれば、勢い農家負担を軽減した事業の創設ということになろうかと思いますけれども、現下の県財政をわからないで申し上げているわけではございません、大変厳しい状況ではありますが、さっきも申し上げましたように、緊急、特例として、そういった事業も必要になってくるのではないかという観点から申し上げたいと思いますが、これは部長のほうがよろしいですか、部長、ひとつお願いいたします。
〇小田島農林水産部長 非常に農業の整備の予算が厳しいという状況の中で、本県として何ができるかということにつきましては、今、来年度当初予算に向けまして、さまざまに検討いたしているところでございます。
 今、御指摘のありましたことなども踏まえまして、例えば本県独自の岩手の農業、農村のスタンダードみたいなものの検討ですとか、いわゆる国のレベルよりもちょっと小ぶりの整備ですとか、いろいろなことはアイデアとしてはあるわけでございまして、いろいろな議論を踏まえまして、来年度、工夫を凝らしながら、限られた予算を有効的に活用し、今ある課題にこたえていく、そういう取り組みを進めていきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 農業県岩手、食料供給県岩手を標榜する本県でございます。ぜひ来年度、小田島農林水産部長に期待いたしまして、第1点目は終わらせていただきます。
 2点目、土地改良区の統合整備の考え方について、ちょっとお尋ねしてまいります。
 今、本県と土地改良事業団体連合会が、土地改良区の運営基盤の強化に向けて、平成18年度に61あった土地改良区を平成22年度まで、今年度までに30にするという第8次土地改良区統合整備基本計画を策定して、取り組みを進めてきていると承知いたしております。
 そこでお伺いいたしますけれども、現時点で県内の土地改良区数は56、目標の30にはまだまだ遠いようでございますけれども、計画達成の見通しについてお尋ねいたしますし、また、統合整備が進まない原因をどのようにとらえているかお伺いしたいと思います。
 具体的な例を出して恐縮でありますけれども、一関管内を見ますと、実に12の改良区が存在いたしておりまして、恐縮ですが、岩渕委員の御出身地の旧花泉町は、その中に七つあるのでございます。地区面積も74ヘクタールから1、500ヘクタール余りと、面積もまちまち、水系もまちまち、組合員数もまちまちと。これを一緒にするためには、さまざまな障害や問題が生じていると思うのでありますけれども、それらも踏まえて、まずお答えをいただきたいと思います。
〇沼崎農村計画課総括課長 第8次土地改良区の統合整備基本計画の達成の見通しについてでございますけれども、計画が策定されました平成18年度からこれまでに、県内の3地区で土地改良区合併が行われております。現在、東磐井地区におきましても、五つの土地改良区の統合整備が予定されておりまして、平成23年3月末には52まで進むのではないかと考えておりますが、目標の30までには届かない見通しとなっております。
 次に、合併が進まない要因でございますけれども、農地や組合員が減少する、あるいは施設が老朽化するということで維持管理費がどんどんふえていくことに加えまして、施設が高度化しておりまして、その操作あるいは管理が大変になっている、それから、多様化する組合員のニーズにもしっかりこたえていかなければならないということ、そういう土地改良区の運営上のさまざまな課題が、今後ますます顕在化する、大きくなってくるものと予想しております。
 統合整備は、こうした課題に的確に対応するために、必要な事務局の体制あるいは財政基盤を、スケールメリットを発揮しながら充実強化しようとするものでございますけれども、各土地改良区においては、今お話ししたような課題あるいは必要性についての検討が必ずしも深まっていないということもありまして、今のままの土地改良区の運営で特に問題がないとか、あるいは、統合すれば、物理的な距離が遠くなってサービスが低下するのではないかとか、あるいはそれぞれの土地改良区の財政基盤の違いがあるのではないかというところに多くの方の目が集まってしまうというケースが多いものと認識しております。
 一関管内、特に西磐井地区でございますけれども、お話があったように、河川やため池、それらの水源ごとにこれまで土地改良事業を実施してきておりまして、そのたびに土地改良区が設立されてきたという歴史的な経緯がございます。最近では、平成6年からの第6次統合整備基本計画において、三つの土地改良区の合併によりまして照井土地改良区が設立されておりますが、それ以来、研究会という、いわゆる勉強会レベルの立ち上げはありますが、合併にまでは至っていない状況でございます。その要因は、今申し上げたとおりということでございますので、御理解願いたいと思います。
〇小田島峰雄委員 言うまでもないことでありますけれども、農業、農村は、多面的な機能を発揮しながら国民生活に貢献しているということでございます。農業をやるためには水が不可欠、そういう中で、全県の土地改良区は、日夜を分かたず円滑な配水に努めているわけであります。
 何も私が改良区に関係する議員だから申し上げるわけじゃなくて、やっぱりこの辺のところをきちんと理解していないと、この再編の関係もうまくいかないのではないかと思うわけであります。
 今、お答えがありましたように、県内、目標の30には至らないんだというお話でございますけれども、今のところ、それぞれの改良区もそこそこに運営できているんです。しかしながら、今後の将来を見越したときには、非常に困難な問題を抱えている。賦課金の滞納問題でありますとか、農業離れや農地の減少や粗放化や、さまざまな問題がありまして、今後の改良区の運営というのは、極めて困難が予想されるわけであります。
 そういうことで、これからの改良区をどういうふうに指導や支援をしていくのかという問題になりますが、これについてお尋ねしたいと思います。
〇沼崎農村計画課総括課長 土地改良区への指導あるいは支援についてでございますけれども、土地改良区の運営基盤の強化に向けまして、従来からの国庫補助事業による統合整備計画書の作成支援に加えまして、土地改良事業団体連合会とともに、いずれスケールメリットを生かしたというところが大事だと思っておりますので、合併の必要性あるいはメリットの啓発等に向けた働きかけを強化しまして、まず、何よりも必要なのは組合員の理解、さらには土地改良区の自主的、主体的な取り組みというようなところが大事だと思っておりますので、そこのところを促進しながら統合整備を進めてまいりたいと思っております。
 また、土地改良区が当面、緊急的に取り組まなければならない大きな課題として二つ考えておりますけれども、一つは、今お話があった未収賦課金の解消でございます。もう一つは、維持管理計画書という土地改良区のそもそものよって立つ計画書の整備でございますけれども、その二つがあると認識しております。
 まず、土地改良区の健全な財政運営の支障となっている未収賦課金につきましては、現在、作成を進めておりますが、仮称でありますけれども、滞納処分マニュアルというものを用いまして、個別に、あるいは具体的に実務指導を進めてまいりまして、その解消を応援していきたいと考えております。
 さらに、これも多くの土地改良区で課題となっている維持管理計画書の整備でございますけれども、これについても、今年度、モデル土地改良区を設定して作成支援というものを行っておりますので、これの成果を県内の土地改良区に速やかに波及させることによって、整備を支援してまいりたいと思っております。
〇小田島峰雄委員 最後にいたします。今、第9次の計画作成に入っておられると思うのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、なかなか組合員の皆さん方に理解されていない部分がたくさんあると思うのであります。言ってみれば、そこそこに経営できている、運営できている。今はですよ、今は。近い将来、極めて困難になるけれども、今のところはそうだということもありまして、合併の具体的なメリットが見えてこないということもあるんだと思います。
 そこで、第9次の策定に当たりまして、ひとつ部長、いかがでしょうか、わかりやすいメリットみたいなものをしっかりと打ち出す必要があるのではないか。いわゆる統合の具体的な誘導策を今構築しなければならないのではないかとも思うのでありますけれども、そのお考えについて若干お尋ねしたいと思います。
〇小田島農林水産部長 第9次計画、いわゆる次期計画につきましては、現在、策定中でございますが、この土地改良区の果たす役割が広範囲にわたる、かつ、極めて重要だということで、しっかりとした運営基盤を構築の上、引き続き適切な用水供給等を通じて、こうした機能を持続的に発揮していく必要があるということをしっかり訴えていく必要があろうかと思います。
 こういうことによりまして、まず、従来からの国庫補助事業を活用した支援に加え、市町村、土地改良事業団体連合会と連携をし、合併の必要性やメリットの啓発等に向けた働きかけを強化いたしまして、組合員の理解のもと、土地改良区の自主的、主体的な取り組みを促進し、統合整備を誘導してまいりたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 なかなかガードが固くて具体的な対策がちょっと、聞き取れなかったのだと思いますが、いずれ後ろを見たら農家がだれもいなくなった、土地改良区がなくなってしまった、こういうことにならないようにぜひ頑張っていただきたいことを申し上げまして、終わります。
〇高橋昌造委員 私は、大きく分けて4点についてお伺いします。また、先輩の委員の皆さん方の質問と重なるところがあると思いますので、前もってお許しをいただきたいと思います。
 まず最初に、米価の下落対策についてお伺いいたします。
 先ほど当局の答弁の中に、10月7日に各金融機関等に資金を円滑に供給するように要請したと。私に言わせれば、そんなこと当たり前なんですよ。早く言えば、もっとわかりやすく言えば、人ごとみたいな答弁ですね。それで、今こそこの下落対策に機動的に対応しなければ、いつやるのかと、先ほどからの答弁を聞いていて歯がゆさを感じたわけですよ。
 だから、県として、この米価の下落している今の状況において、具体的に、そして総合的な支援策をどのように講じていくか、やはりお示し願いたいと思います。そのお考えをまずお伺いいたします。
〇小野水田農業課長 米価下落に対する支援策についての御質問でございます。(「もっとはっきり答弁してよ、聞こえない」と呼ぶ者あり)はい。失礼しました。(「大事なことだからね、大事なこと」と呼ぶ者あり)
 支援策についてでございますが、平成22年産米の概算金、これが大幅に引き下げになりまして、県内の米生産農家は大変厳しい状況にあると認識しております。この対策として、まずは当面の対策、それから今後に向けての対策、大きくは二つあるかと思いますが、まずは当面の対策といたしまして、米価の下落の大きな要因の一つであります過剰米を市場から緊急に隔離すること、これが1点目でございます。2点目としまして、経営の安定化に向けた資金の確保、これが2点目でございます。
 まず、1点目の過剰米の隔離につきましては、一昨日、知事が上京し、農林水産省に対して、過剰米を非主食用米へ仕向ける緊急措置、あわせて棚上げ備蓄方式の前倒しの実施につきまして提案してきたところでございます。
 2点目の経営安定化に向けた資金の確保につきましては、米戸別所得補償モデル事業の着実な実施ということで、まずは、定額部分につきまして年内にきちっと支払うということ、それから変動部分につきましての予算確保について提案をしてまいったところでございますし、あわせて、先ほど委員から御指摘がございましたけれども、まずもって資金繰り対策ということで、運転資金等の確保について、融資機関、県内の金融機関に対して要請をしたところでございます。
 次に、その抜本的な今後に向けての取り組みといたしましては、やはり農家の手取りをきちんと確保する、そして再生産に取り組んでいただくという意味におきまして、まずは、現在取り組んでおりますコスト低減の取り組みを一層強化するということでございますし、販売面も含めて、いわて純情米、減農薬あるいは良食味といった県産米の特徴を最大限、卸などの実需のほうにもPRしながら評価向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 先ほど来から国に対する要望、要請はお聞きしておりますので、私は、県としてどのような支援策を講じていくかという、今の答弁は、私は必要ないんですよ。県としてどのように取り組んでいくかと。今、この現下の農業情勢、本当に農家現場は、農家は大変な状況ですよ。私、高橋昌造が言えば、またほらでも吹いているのではないかと、とんでもない、もう悲鳴を上げております。
 それで、今、特にも農家は、現在の米価水準では、これから米の生産費をカバーできないということを言っているわけですよ。だから、国に対する要望とかではなくて、県としてどういうふうに取り組むかということですよ。そこをはっきり示していただきたい。
 それから、もう抽象的な答弁はいいですから、もうわかることで結構ですので。
〇小田島農林水産部長 御指摘の米価下落の現状については、私どもも非常に強く危機感を持っていますし、どういうふうな対策をとっていくかということを中で議論もいたしております。
 しかしながら、現在、戸別所得補償制度の中で変動部分というものが設定されておりまして、それが、補正予算でも組まない限りは、恐らく十分な手当て、現在の予算では足りないだろうと考えられております。そこの手当てをきちんとやることが、戸別所得補償制度を生かすことであり、結果的に農家の方の収入をきちっと保証することであると考えております。それは、県の施策というよりは、きちんとした国の施策でやっていただく必要があると考えているところであります。
 それとあわせて、県としてできることについて、先ほど答弁申し上げましたとおり、販売対策ですとか、生産的なものへのいろいろな支援ですとか、金融施策ですとか、そういうことを組み合わせてやっていくということをお答えしたものでございます。
〇高橋昌造委員 それで、例えば、定額部分もそうですが、変動部分のこれも来年に越すわけですよ。もう農家は来年の作付の準備に入らなければならない。だからもう、それこそ先ほどから、つなぎ融資のこととか、消費拡大とか、いろいろ県としても取り組むことのできる事項はあるわけですよ。そのつなぎ融資なんかも、農協としての、今、農協の経営環境も非常に厳しいわけです。だから、その変動部分が支払いされる、補償されるまでの間、県としてどのように考えていくかということをお聞きしているわけですよ。
 私は、そういう総合的な支援策を県としてしっかり示していかなければ、農家は本当にますます不安になると思うんですよ。だから、部長、まず今後、前向きに検討するというのであれば、いや、もう全然考えないというのであればそれでも結構ですし、いずれ農家は本当に大変な状況にあるということを、来年の作付のためにどうすればいいかと、これは本当に真剣なんですよ。だから、そこを御理解いただきたいということでございます。
〇小田島農林水産部長 つなぎ融資の関係等につきまして、先ほどセーフティネットなどの例をとりまして、通知を関係機関に流したということは申し上げたわけでありますが、いずれ、どういう対策が必要なのかということも含め、今の委員の御指摘も含め、農家の方が資金的なことに困らないような手だてについて、至急検討してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは、次に移ります。担い手の育成について、まず最初に、新規就農者の確保についてお伺いしますが、今、新規就農者の定着状況と、そして経営状況はどうなっているか。それから、本県の農業の担い手であります認定農業者の経営状況はどうなっているのか。また、新規就農者も大切でありますが、やはり農業後継者のプロとしての認定農業者等の今後の具体的な育成なり支援策をどのように講じていくか、まずお伺いいたします。
〇工藤農業普及技術課総括課長 初めに、先ほど高橋博之委員に対しまして、農業大学校の推薦枠の答弁でちょっと間違いがございましたので、訂正させていただきます。
 推薦入試の枠が、先ほど3割と申し上げましたが、7割の間違いでございますので、訂正させていただきます。大変申しわけございませんでした。
 それでは、高橋昌造委員の質問でございました、新規就農者の確保、定着状況でございますが、平成21年にフォローアップ調査を行っておるのですが、これによりますと、平成16年から20年度までの5カ年に就農した方800……(高橋昌造委員「私が聞いているのは、定着状況と経営状況はどうか。さっき人数はもうお聞きしているわけですから」と呼ぶ)その方々を対象にしまして調査しましたところ、定着している割合が92%となってございます。
 それから、経営状況でございますが、農業改良普及センター等が巡回指導しているところでございますけれども、近年の農産物価格の低迷、あるいは資材費等の高騰などの経営環境の悪化から、必ずしも当初の計画のとおり順調になっていないという例も見られてございます。
 引き続き、新規就農者の経営目標の達成に向けまして、個々の技術や経営管理の水準に応じましたきめ細かな指導、支援をしてまいりたいと考えております。
〇千田担い手対策課長 私からは、認定農業者の経営状況、また、その具体的な育成支援についてお話ししたいと思います。
 まず、認定農業者の経営状況についてでございますけれども、経営環境の悪化等がございまして、当初、認定農業者に認定される際に立てました経営改善計画目標の達成状況について見ますと、平成20年度末現在で達成が26.9%と低い状況にございます。
 それから、あと具体的な支援策についてお話しいたしますけれども、3点に分けてお話ししたいと思います。
 まず一つは、岩手大学と連携して設置してございます、いわてアグリフロンティアスクールへの参加の誘導ですとか、二つ目として、経営能力向上のための法人化研修会ですとか、2次、3次産業のリーダーたちと交流を図る異業種交流セミナーへの参加誘導、それから、三つ目でございますが、経営規模拡大のための担い手への農地利用集積の促進ですとか、圃場整備、それから機械施設整備等について支援をしております。こういったことを通じまして、地域農業の牽引役となる担い手を育成促進させてまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 それでは次に、水稲栽培のコスト削減の方策についてお伺いいたします。
 まず、平成20年産の米の生産費は60キロ当たり1万4、186円になっておりますが、本県は、東北の中でも生産コストが高いと言われておるわけでございます。それで、今日の米価はこの生産費を賄えない水準になっておるわけで、この米価の下落対策にあわせて、一層のコスト縮減が求められると思います。
 そこで、水稲栽培におけるコスト削減の方策をお示し願いたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 水稲栽培のコスト削減方策についてであります。
 そのような東北6県で最も高い状況にあることを受けまして、県では、平成20年7月に稲作生産コスト低減に向けた行動計画というものを県レベルで策定いたしまして、生産費2割減を目標に取り組んでおるところでございます。
 この計画に基づきまして、各地域では、農協単位の地域行動計画を作成して、さまざまな取り組みを行っておるところでございます。
 特に、本県の高コストの要因となっておりますのは、肥料・農薬費、あるいは農機具費などの削減が課題となっております。
 平成23年度から本格実施されます戸別所得補償制度は、生産性の向上に加えまして、コスト削減によりメリットが拡大する仕組みでありますことから、一つ目は、土壌診断を行って、本当に必要な分だけを施肥として与える、無駄な肥料はやらないということ、あるいは病害虫の発生状況に応じた効率的防除の実施という形で、スケジュール防除と申しますが、無駄な農薬の散布を行わないこと、そういうような形で肥料、農薬費を削減いたしますし、それから、担い手への農地利用集積によりまして規模拡大を図りというようなことを通じましてコスト低減を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 次に、それでは、水稲の直播、いわゆる直まき栽培について、これも今の米価の下落と関係があるわけでございますが、いずれいかにしてコストを縮減していくか、その中で、縮減したほかに、農業所得を確保していく、その中で水稲の直まきの関係が出てくるわけでございますが、本県における直まき、直播栽培技術の到達点はどのようになっているのか、そして、今後の普及拡大に向けた取り組み方策、そして、県として具体的な支援策をどのように考えているかお伺いいたします。
〇千葉農産園芸課総括課長 水稲の直播栽培についてでございます。
 水稲の本県における直播栽培技術につきましては、これまで、平成22年、500ヘクタールを目標に、直播栽培に関心がある生産者の方々で構成します直播栽培米研究会の協力も得ながら、展示圃の設置、あるいは現地検討会の開催等を行うとともに、国庫補助による機械導入支援などを通じて、広く推進してきたところでございます。
 しかし、平成22年の直播栽培の面積は、前年比73ヘクタール増の290ヘクタールとなっておりまして、増加基調ではございますが、目標までには届いていない状況にあります。
 普及上の課題として考えておりますのは、専用機械の導入や資材の追加というものが必要になります。そういうことに対する割高感というのが一つあると思っております。さらには、苗立ちや初期生育の不安定なこと、あるいは雑草による減収というような事例も多く見られていますので、そういうようなことからの収量の不安定というものも一因として挙げられると思います。
 今後の普及拡大に向けた取り組み支援策についてでありますが、直播栽培のメリットは、春作業の省力化、あるいは作業分散などによりまして、飼料稲などの新規需要米の導入等に非常に有利だと思っています。あるいは稲作の規模拡大にメリットがあるという点が非常に評価できると思っております。そういうことから、今後は、規模拡大や経営の複合化をする農家に支援の対象を重点化いたしまして、現場段階で技術、経営の両面から支援を行うことによりまして、成功事例を数多く育成しまして、それを波及させていくことにしております。
 また、あわせて農業研究センターでのさらなる収量安定、技術安定に向けての技術開発というものにも取り組んでまいる所存でございます。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、水稲種子の生産体制整備についてお伺いします。
 先ほど大宮惇幸委員が、非常に私は意を強くしたんですが、水稲は種が基本であるということで、社団法人岩手県農産物改良種苗センターがあるわけですが、いろいろ調べてみましたところ、昨年、水稲種子について、紫波町など県内に6カ所、約520ヘクタールの採種圃を設置して、うるちは約1、871トン、もちは約212トンを供給したということでございます。
 そこでいろいろお聞きすると、施設が老朽化しておるということで、優良種子を生産、供給するためには、生産施設の整備が重要であるということで、特にも紫波地区の生産施設は、もう老朽化して、いつ何時、種子の事故が起きてもおかしくないような状況だということを聞いております。
 そこで、国や県の予算は非常に厳しいものがあるかと思いますが、この優良種子の生産施設の整備について、県当局のお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 優良種子の生産施設の整備についてでございます。
 水稲の優良種子の生産施設のみならず、穀類の乾燥調製施設等は、事業費が多額でございますことから、これまで国庫補助事業を活用し整備を支援してきたところでございます。
 しかし、国庫補助事業の事業費が年々減っておりまして、事業が採択されにくい状況にございます。
 また、国では、平成22年度予算から、既存施設の再編利用計画等を策定することを条件といたしまして、乾燥調製施設等の新増設に限らず、要は新設に限らず、既存施設の補修など、いわゆる更新についても国庫補助金の対象としたところでございます。
 このような状況を踏まえまして、既存施設の補修なども視野に入れ、現地の意向を確認しながら、優良種子の生産施設整備について助言してまいりたいと思います。
〇高橋昌造委員 そうすると、今の答弁は、前向きに検討なされるということで結構でございますか。ということは、先ほどの品種の改良も含めて、やはり優良種子の確保というのは、水稲にとっては、また農家にとっては一番大事なところなわけです。だから、私はそこのところをおろそかにすると、本県の農業は大変厳しい状況になると思うんです。だからこそ、私はここのところにしっかりと力点を置いて対応すべきだと思いますので、最後、部長にお聞きして終わります。
〇小田島農林水産部長 優良種子の確保でございますが、良品質な米の生産の重要な役割を担っております優良種子の安定的供給を引き続き行っていくために、県としても全力で取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 まず最初に、農林水産部の決算額についてお聞きいたします。
 平成21年度の農林水産部の決算額と公共事業費の額はどうなっているか。その比率、前年比を示していただきたい。
 農協中央会の資料を見てびっくりしました。10年前の予算と比べて半分以下に減っていると。それで私は、5年前、10年前の決算額を示していただきたい。大幅に半減以下に減っている理由は何か、そのことも示してください。
〇小岩農林水産企画室企画課長 農林水産部の決算額についてでありますが、平成21年度の農林水産業費の決算額は728億6、500万円余で、前年度の決算額591億2、700万円余と比べ137億3、800万円余、率にして23.2%の増となっているところであります。このうち、公共事業一元化の見直しによります県土整備部からの移管分が69億7、000万円余となっておりますことから、これを差し引きますと67億6、700万円余、率にして11.4%の増となっているところであります。
 次に、公共事業費の決算額は387億3、000万円余で、前年度の決算額310億5、100万円余と比べ76億7、900万円余、率にして24.7%の増となっているところであります。このうち、県土整備部からの移管分が68億5、300万円余となっておりますことから、これを差し引きますと8億2、500万円余、率にして2.7%の増となっているところであります。
 次に、決算額の推移についてでありますが、災害復旧費を除く平成21年度の農林水産業費の決算額は718億3、700万円余であり、5年前の平成16年度決算額768億7、000万円余と比べますと50億3、300万円余、率にして6.5%の減となっているところであります。
 また、10年前の平成11年度決算額1、633億7、600万円余と比べますと915億3、800万円余、率にして56%の減となっているところであります。
 次に、この10年間におけます決算額の減少要因についてでありますが、第1に、公共事業費の削減によるものが670億8、000万円余と最も多く、これは、平成7年度から5年間程度実施されましたウルグアイラウンド農業合意関連対策経費の終了、また、県の公共事業費の削減方針によるものでありますが、このほか、農業共済団体等事務費補助など、従来、県予算を通じて行っておりました補助事業が国から関係団体への直接補助となったものや、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金など、時限的に創設しておりました貸付金の終了によるもの、また、広域農業開発事業償還金など、必然的に年々その経費が減少してきたものなどが主な要因となっております。
〇斉藤信委員 部長、平成11年度が1、633億円だったと。それで昨年度は718億円と56%減、44%のレベルになったと。10年前はウルグアイラウンド対策で公共事業がふやされたというのはありますけれども、私は、今、農林水産業が危機的状況にある中で、こんなに予算を減らしていいのかと。国だって、減り方は3兆5、000億円から2兆5、000億円ですよ。1兆円減ったというのは極めて重大だけれども、岩手県の減り方はそれ以上ですよ。本当に農林水産業を基幹産業として重視するのであれば、やっぱりこの減少から拡大へということが必要なのではないですか。
〇小田島農林水産部長 今、この決算額について企画課長から御説明申し上げましたが、この金額の減は、公共事業費の減少が非常に大きな割合を占めてございます。
 私ども、先ほども農業農村整備の予算が非常に厳しいというような御指摘もちょうだいしておりますし、こういう基盤整備が今、本当にぎりぎりのところまで来ているという認識をいたしております。したがいまして、こういうことについて、これは車の両輪、いわゆる戸別所得補償制度をうまく稼働させるためにも、そういう公共事業の最低限のきちっとした手当てが必要であろうと考えておりまして、この予算について、厳しい状況にはありますけれども、何とか確保に努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 次に、私も米の暴落対策についてお聞きいたします。
 総括質疑で私は知事に、今こそ知事の出番だ、この緊急対策を政府に求めるべきだと。珍しく知事が機敏に行動して、一昨日行ってきました。その中身は3項目だったというのは繰り返し答弁がありましたが、政府の対応、民主党の筆頭副幹事長にも行ったようですから、民主党の対応はどうでしたか。
〇橋本農林水産部副部長兼農林水産企画室長 去る18日に知事が国及び民主党筆頭副幹事長に対し、米の下落対策に係る要請を行ったところでございます。
 これに対し、農林水産省といたしましては、現下の岩手県における状況について、きちんと状況を踏まえた上で適切に対応していきたい、特にも、米の戸別所得補償制度に向けては、しっかりと対応していくということでございました。
 また、長妻筆頭副幹事長におかれましては、今回の提言の関係について、各地方あるいは農業関係団体から要望が出ていることも承知しておりますということで、特に、戸別所得補償制度の財源については、足りなくなることがないよう、政府にしっかりと伝えたいというような御回答をいただいたところでございます。
〇斉藤信委員 同じ日に参議院の決算審議が行われて、そこで農林水産大臣は、戸別所得補償制度をやるから買い取りはしないと言っているんですよ。私は、本当に農家の今の痛みが政府に伝わっていないのではないかと思います。
 それで、米暴落の実態と原因をどういうふうに把握していますか。
〇菊池流通課総括課長 平成22年産米の価格の状況についてでありますが、平成22年産主食うるち米の相対取引状況によりますと、岩手県産ひとめぼれの基準価格は、これは税込みでありますが、60キログラム当たり1万3、287円でスタートしてございましたが、10月4日以降は1万2、762円となりまして、これを平成21年産米の平均価格と比較しますと1、824円の下落となっております。
 原因につきましては、一つは、消費者の低価格米志向という根強いものがあるということと、それから、平成21年産米の在庫の状況、平成22年産米の作柄の状況を含めて過剰感があるということが、この価格に影響しているものと考えております。
〇斉藤信委員 今の米の暴落というのは、農家の経営、暮らしだけではなくて、もう意欲をなくしている。こんな低い価格だったら来年米をつくっていられないと。私は、そこに今の深刻な問題があると思うんですよ。
 新聞にも出ていすまよね、もう米なんかつくっていられない、こんな米安は異常だ、市場が無法地帯のようだと。そして、こうも言っているんですね。ここまで米価が落ちたのは戸別所得補償制度も原因だと。いわば、10アール当たり1万5、000円出るんだから、その分安く買いますよと買いたたかれているんですよ。買いたたかれて、米価が下がったら、それを税金で補償しますなんていうことは、私は愚の骨頂だと思うんですよ。買いたたかれて米価が下がったら、その分補償しますよと。これは制度の欠陥じゃないですか。
〇菊池流通課総括課長 米の買いたたきのようなお話でございますが、一つは、国で、今の戸別所得補償制度のスタートに当たりまして、そういうことがないようにと通知を出しておりますし、そういうことがあった場合は報告するようにということを受けて、相談窓口を設けております。
 我々は国に対して、そういう相談の状況はいかがでしょうかということを確認しておりますが、今のところ、そういういわゆる買いたたきを受けているというような相談はないと聞いております。ただし、米の売買は、いわゆる取引でございますので、その取引を行う、買う側と売り側の意思の中に、先ほど申し上げましたいわゆる過剰米の状況があるとか、消費者の低価格志向が根強くあるというものがどのように作用しているかは判読しかねますが、一定の影響はあるものと考えております。
〇斉藤信委員 リアリズムで言いますと、今、約40万トン米が余っていて、余っているから買いたたかれているんですよ。在庫があるから安売り競争しなくてはならない。いわば在庫を残したら来年の減反にはね返るという異常なシステムですからね。まさに今、異常な安売り競争が展開されているんですよ。
 これは知事も要求してきた、40万トンを緊急に買い入れて価格、需給を安定させるというのは、私は政府の最低限の仕事だと思いますよ。
 立ち入って言いますと、今40万トンを買い入れれば、その費用は970億円です。米価が1、000円下がれば、その補償に1、166億円かかるんです。2、000円下がったら2、332億円かかるんですよ。だったら、今買い上げて価格を安定させたほうが絶対いいんですよ。これは財政的にもいいということになりませんか。いかがですか。
〇小田島農林水産部長 今の数字のことについては直ちに御答弁申し上げるものではないと思いますが、考え方といたしまして、いずれ過剰米が米価の下落に影響しているということは、強く認識いたしております。
 先ほど委員からお話がありましたとおり、知事が、それについて政府に働きかけを行ってきたところでございます。
 今後とも、まず、この米の価格の動向、あるいは作柄の状況、そういうことを私どももずっと注視しまして、また、必要なことについては、国に働きかけをしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 戸別所得補償制度をしっかりやってほしいと県は要求しているわけですね。これは一理あるんですよ。ただ、私が指摘したように、やっぱり過剰米が出た段階では、この制度に欠陥が出てくる。買いたたかれて、そしてそれを補償しようとすれば、さらにそれ以上のお金がかかる。私は、このこともしっかり検証して国に物を言うべきではないかと思います。
 概算金が3、600円も下がりましたが、この概算金というのは、農家の立場から見て生産費を償えないのではないですか。どういう計算になりますか、示してください。
 それと、麦、大豆、飼料米、雑穀などの、いわば今までの転作奨励金、水田利活用対策、ことしは8億円の激変緩和がありましたけれども、ことし、来年度どうなるのか。
〇小野水田農業課長 県内の米生産費、概算金とその差額についてのお尋ねでございます。
 本県の米生産費は、直近の公表されている平成20年産で60キロ、1万4、613円となっております。
 米生産費と概算金の差額につきましては、概算金が、ひとめぼれA地区で60キロで8、700円。これを、生産費等を差し引きますと5、913円と見込まれます。ただし、この概算金につきましては、米代金の仮渡し金ということでございまして、今後の販売実績に基づき精算が伴うものでございますことから、この概算金がそのまま手取りそのものになるというものではないと考えてございます。
 また、国の戸別所得補償モデル事業によりまして、生産費の不足分としての定額部分、10アール当たり1万5、000円、これは、ことしの予想収量で試算しますと60キロ当たり1、625円の交付金になりますが、これに加えまして、販売価格が過去3年の平均価格を下回った場合の変動部分が交付されますことから、県内の農業者の方々への影響は緩和されるものと考えてございます。
 次に、麦、大豆、飼料用米、あるいは雑穀等の水田利活用対策についてでございますが、本年度の水田利活用自給力向上事業につきましては、現在、地域水田農業推進協議会におきまして、東北農政局岩手農政事務所との連携のもとに、年内の交付に向けた事務手続を取り進めているところでございます。
 平成23年度に向けましては、国は、概算要求におきまして、水田利活用自給力向上事業、今年度の事業をベースにして、水田活用の所得補償交付金という形で2、233億円の要求をしているところでございます。
 この中で、麦、大豆、飼料用米などの戦略作物につきましては、主食用米並みの所得を確保し得る水準の単価を面積払いで支払うことにしておりまして、その単価につきましては、本年度と同額の設定をされているところでございます。
 また、雑穀あるいは野菜、花卉といったような、いわゆる地域の振興作物といったようなものにつきましては、今年度のモデル対策における激変緩和調整枠とその他作物への助成を一本化いたしまして、対象作物や交付単価につきましては、都道府県あるいは地域単位で設定する産地資金というものが、新たに創設されると伺っております。
 現段階では、まだ制度の詳細が明らかになっておりませんので、国の検討状況を注視しながら効果的な活用を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、需要拡大、消費拡大を、この課題の最後にお聞きしたいんだけれども、学校の米飯給食、これは子供の時代に、やはり日本型食生活になじむというのが、その後の米の消費拡大に決定的な役割を果たすと思うんです。
 先ほど農林水産部長は、週3.5回から3.6回にふえたと。ふえたと言えばふえたかもしれないけれども、富山県あたりは週4回以上にしているんですよ。そして、学校給食を見ると、小学校の場合だと週3回というのが一番多いんですよ。私は、やっぱり週4回以上ぐらいに拡大して、子供たちに本当においしい米飯給食を提供するということを、これは農林水産部の仕事としてもやるべきじゃないかと。いかがですか。
〇小田島農林水産部長 いずれ関係部局とも連携しながら、できるだけ米飯給食を普及するように努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 次に、農業の担い手対策についてお聞きします。
 農業センサスで、農業就業者が5年間で75万人減少したと。これは年間15万人ですよ。24%。減少幅は過去最大だったと。これは、岩手県の場合だとどうなるのか。
 今まで岩手県は年間200名の新規就農者の育成というのを目標に掲げていた。私は、200名ぐらいでは全然間に合わないのではないかと。本格的に新規就農者の養成、確保に取り組むべきではないかと思いますが、既に九戸村とか八幡平市とか、市町村のレベルで、かなりレベルの高い補助や育成、養成をしています。
 この市町村の取り組み、そして、私は、県としても抜本的に新規就農者対策を拡充すべきだと思いますが、いかがですか。
〇千田担い手対策課長 幾つか御質問がございましたけれども、私からは、本県における農業就業者の動向についてお答えしたいと思います。
 2010年世界農林業センサスにおける全国の農業就業人口につきましては、御指摘のとおり75万人減少してございますが、これは既に公表した数字でございます。ただし、都道府県レベルの数値につきましてはまだ発表されておりませんで、国のお話ですと11月下旬ごろに公表すると伝わってございますので、現在ここで御披露する数値は持ち得てございません。
〇工藤農業普及技術課総括課長 新規就農者数の200人という目標の拡大についてというお尋ねでございますが、農業従事者の減少は、高齢化が進む中にありまして、何よりも基幹となる担い手の育成、確保が重要であると認識しておりまして、新規就農者200人につきましては、本県における将来の担い手として活躍を期待し、その生産の6割相当を担っていただこうと期待しておるところでございます。
 一方で、農業、農村におきましては、多くの農業者が共存し、維持、発展しているということでもございますので、小規模農家や兼業農家もそれぞれの営農志向や地域での役割分担に応じまして、集落営農組織の構成員となるなど、地域の営農への参加を期待しているところであります。
 県といたしましては、来年度から本格実施されます戸別所得補償制度や6次産業化などを通じまして、こうした担い手や多様な農業者を支援することによりまして、本県の農業、農村の維持、発展が図られるものと考えております。
 次に、市町村における新規就農の取り組みについてでございますが、平成21年度の例を見ますと、県内の16市町村、そのほか、農協、産業公社等におきまして、地域の産業構造や営農条件などの実情に応じまして、就農奨励金や家賃の助成、研修や経営初期に要する経費への助成など、独自の就農支援策を講じているところでございます。
 県では、こうした地域における独自の就農情報を、就農相談会におきまして就農希望者に対し提供し、就農地の選定に役立てていただくとともに、地域ごとの就農情報を関係者が共有することによりまして、他地域への波及、それから支援策の充実を図っているところでございます。
 今後におきましても、県や農業公社が実施している就農相談やいわて農業入門塾、先進農家での実践研修と市町村における就農支援策を一体的に行うことによりまして、より効果的な支援に努めてまいる考えでございます。
〇斉藤信委員 最後に、競馬問題についてお聞きします。
 この4年間の発売額の推移はどうなっているでしょうか。全国地方競馬の発売額の推移もあわせて示していただきたい。
 コスト削減の総額はどうなっているでしょうか。どういう影響が出ているでしょうか。
 老朽施設の改修にどれだけの費用が予想されるのか、その財源は捻出可能か、示していただきたい。
〇大友競馬改革推進室特命参事 最近4年間の岩手競馬及び中央競馬、地方競馬の発売額の推移についてでありますが、まず、岩手競馬の発売額ですが、平成19年度は対前年比82.2%の233億800万円、平成20年度は対前年比94.7%の220億6、600万円、平成21年度は対前年比93.9%の207億2、300万円となっております。
 次に、地方競馬全体の発売額については、売得金額となりますが、対前年比で平成19年度が101.2%、20年度が98.8%、21年度が96.7%となっております。また、中央競馬におきましては、平成19年度が97.7%、20年度が99.7%、21年度が94.2%と、全国の地方競馬、中央競馬とも発売が伸び悩んでいる状況にあります。なお、今年度の状況につきまして、4月から9月までの売得金額で申し上げますと、対前年比で、岩手競馬が92.3%、地方競馬が92.1%、中央競馬が93.2%と、岩手のみならず、地方、中央とも厳しい状況となってございます。
 次に、コスト削減の総額とその影響についてでございますけれども、新計画策定後の平成19年度以降のコスト調整の総額でございますが、22年度の第2期までの実施分も含めまして、4カ年で合計18億500万円となってございます。平成18年度決算額と21年度の決算見込み額を比較いたしますと、ファンサービスに関連する事業運営費につきましては14億7、900万円、賞典費などの競争関係費につきましては14億4、100万円の削減となっておりますけれども、極力、売り上げやファンサービスに影響が及ばないように、また、馬資源や競争水準を確保できるよう、競馬関係者や取引先企業の理解と協力をいただきながら、工夫を重ねて実施してきたところでございます。
 老朽施設の改修費用と財源捻出についてでございますけれども、今後の施設設備の改修については、競馬の円滑な施行やファンサービスへの影響などを考慮しながら、優先度を付して実施することとしております。早急に改修が必要な施設といたしましては、各発売所の発売機や払戻機、場外発売所の大型映像装置などが見込まれるところでありまして、仮に、現在と同じ規模で更新しようとした場合には、概算で5億円を超える費用が必要と見込んでおります。実際の改修につきましては、対象となる設備等の状況を踏まえまして、その更新時期を検討するとともに、必要最小限度の規模への見直しを行いながら整備を進めていくこととしてございます。
 これらの改修費用の財源につきましては、毎年度の利益を施設等整備基金に積み立て、確保していくことを基本と考えておりますけれども、可能な限り地方競馬全国協会からの補助金を導入するなどにより、必要な財源を確保していきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 今、発売額の推移を聞きましたけれども、平成18年度は284億円ということになりますから、この4年間で77億円減少した。確実に発売額は落ち込んで、コスト削減の総額が18億500万円と、本当にもうぎりぎり限界まで来ているのではないかと。
 実は、ことしの競馬の予算は、そういう状況から賞典費には手をつけないという予算だった。しかし、結局、賞典費にも今度のコスト削減では手をつけざるを得なかった。私は、今、大変な事態に来て、このまま存続できるのかというぎりぎりのところに来ているのではないかと。
 一方で、岩手競馬の将来方向の検討を11月から行って、来年の5月ぐらいまでにその報告も受けるという話も聞きました。私は、その際、今までの収支均衡、新たな県民負担はつくらないとの原則は貫かれるものだと思いますが、いかがでしょうか。
〇松岡競馬改革推進室長 いずれ、今後の将来方向の岩手競馬というものを、さまざまな外部の方々の皆様の御意見、提言などもいただきながら取りまとめていきたいと考えてございます。
 それに当たりましては、今現在、新計画のもとで事業運営をしてございますので、これ以上、県民の皆様の負担をふやさないという基本原則のもとで、今後の岩手競馬をどうやっていくんだというものを前向きに検討してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝博副委員長 質疑がないようでありますので、第1部農業関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時7分 休 憩
午後3時24分 再開
〇三浦陽子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 2点お尋ねしたいと思います。
 まず1点目ですが、松くい虫の被害が新たに矢巾町で確認されております。被害木は秋ごろ伐採するようですが、松くい虫の被害が確認されていない地域への広がりを防ぐためにも対策を講じなければいけないと思いますが、その対策についてお伺いいたします。
〇阿部整備課長 松くい虫被害に対する防除対策についてでありますが、本県の被害対策は、被害の北上阻止と公益性の高い重要な松林の保全に重点化して実施しているところでございます。具体的には、未被害地域との境界に設置しております松くい虫被害防除監視帯において、防除監視員による監視を強化するとともに、潜在被害木等の感染源の徹底駆除を実施するなど、被害の北上阻止を図っております。
 また、防除監視帯以外では、保安林や史跡、名勝等の松林とその周辺において、被害木を駆除するほか薬剤散布、樹幹注入の予防対策を講じるなど、重要な松林の保全に努めているところでございます。
〇及川幸子委員 広がりの分布図を見せていただきましたけれども、広がっていない地域もありますよね。そういうところにおいて、松くい虫の被害というのは、発生したときから比べて実際にどのぐらい減ってきているのでしょうか。
〇阿部整備課長 松くい虫の分布の広がりでございましょうか。松くい虫の被害の分布は、本県の場合は昭和54年に一関市で発見されて以来、約30年たってございますが、その間に、ことしは、残念ながら矢巾町あるいは西和賀町、釜石市等で発生するなど、北上が100キロほどになっているということがございます。
〇及川幸子委員 30年というのですが、実際は駆除によって減らしているんですよねということを今伺っているんです。そのことを。
〇阿部整備課長 松くい虫の被害量でございますね。済みませんでした。
 松くい虫の被害量はやはり年々増加してございましたけれども、平成15年の5万4、000立方をピークに、その後しばらく漸減してきているところであり、平成21年度は4万1、000立方余りという状況になってございます。
〇及川幸子委員 5万4、000立方から4万1、000立方ということですね。減っているということですが、新たなところもそうしてありますので、そこからふえていく可能性があります。これは徹底して駆除していかなければならないと思っておりますので、努めていただきたいと思います。
 昨年、マイマイガが発生して、盛岡の繁華街にも出かけてきたんでしょうか、何しに来たんでしょうか、このマイマイガの駆除は大変一生懸命やられたようですが、ことしは、この猛暑の影響でしょうか、アメリカシロヒトリの発生が大変見られまして、木々も立ち枯れたり、果実がなっている木もやられたりして、大変な状況だったんですが、薬剤散布について、その薬剤がもう薬局にないということがあったんですが、いかがだったでしょうか。
〇阿部整備課長 マイマイガとアメリカシロヒトリの防除対策についてでございますが、まず、マイマイガにつきましては、平成19年から平成21年度にかけて大量発生しましたけれども、病原菌等の天敵により終息いたしまして、平成22年度の被害は確認されてございません。なお、平成21年春には林業技術センターが中心となって調査を行いまして、被害が21年度に終息することを予察しているところでございます。
 また、アメリカシロヒトリにつきましては、ことしの夏が高温少雨で生育に適していたことから、8月から9月に、県央から県南にかけての内陸部において、街路樹や公園、河川の樹木などで食害を受けたところでございます。マイマイガは、大量発生することはあっても樹木が葉の食害により枯死することはほとんどなく、天敵など自然の働きにより大量発生後は終息すること、また、アメリカシロヒトリは天敵の少ない人里での被害がほとんどであり、いずれも森林における薬剤散布は行っていないところでございます。
〇及川幸子委員 アメリカシロヒトリは人里での被害はないということですか。人里での被害があるんですよね。
〇阿部整備課長 人里での被害につきましては、基本的には街路樹等の場合は道路管理者、あるいは公園、河川等であれば、その施設の管理者にお知らせして駆除を実施しているところでございまして、また、個人の庭木等につきましては、市町村が防除器具の貸し出しを行っているといったことの情報を提供しておりまして、私どもは森林の被害についてを対象としてございます。
〇及川幸子委員 市町村の貸し出しと伺いましたけれども、市町村、自治体でもなかなか貸し出しも間に合わないぐらい、私は県南ですけれども、大変追いつかなかったということを聞いておりました。それで、マイマイガは枯死があるけれども、どちらかというとアメリカシロヒトリはないということですが、私どもの周りを見ても、実際、木々は死んでいるのがあるんです。
 それで、ちょっとお聞きするんですが、河川の中州に生えている大木、ああいうところにアメリカシロヒトリが存在して、木の立ち枯れが始まっているんです。そういうところの大木の伐採というのはこちらでよろしいんでしょうか。その大木の伐採などもお考えにあるかどうか。
〇阿部整備課長 河川の中州の被害木の伐採についてでありますが、松くい虫などの森林病害虫等防除法で定める病害虫が河川で発生し、周辺への被害拡大が危惧される場合は、伐採も含めた防除対策の実施について、河川管理者と十分に連携して対応してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 どうぞごらんになって、中州などを気をつけられると、よくよくわかると思います。葉がもう白くなって、その周りに移らないかということを私は危惧しているものでございますから、その辺のところもちょっとこれから注視していただきたいと思います。
 次に、ペレット、チップの利活用についてお伺いいたします。
 ペレットの利用量、ストーブ、ボイラーへの実績が、平成16年1、600トンより平成21年3、937トンとなっておりますが、県内のストーブ、ボイラーに対して、これは十分な量と言えるのか伺います。
〇堀江林業振興課総括課長 ペレットの利用量の実績でございます。まず、平成21年度末のペレット燃焼機器の累計の導入台数でございますが、ペレットストーブが1、325台、ペレットボイラーが48台となっておりまして、燃焼機器の導入が着実に進む中、ペレットの需要も伸びているところでございます。
 ペレット利用量は、委員御指摘のとおり増加しておりまして、平成21年度で3、937トンとなっておりますが、これは、ストーブ、ボイラーに対して過不足ないものととらえているところでございます。
〇及川幸子委員 増田知事の時代だと思いますが、ペレットストーブをかなり一生懸命導入されて、環境に配慮した取り組みということで、私も大変興味深く思ったんですけれども、いつの間にか、そのストーブに対しての補助も断ち切れてしまいまして、ストーブの導入をする方も余りいらっしゃらなくなりましたけれども、実は、このペレット、チップをつくる設備というのはえらい莫大な金額がかかっているわけです。今はストーブに供給できるぐらいだとおっしゃっていますけれども、その莫大な費用をかけてこれから運営していくのに、ペレットストーブの導入もなかなか伸び悩む中で、このままでいいのかと私は危惧するものですが、いかがでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 私どもとすれば、やはりぜひペレットをたくさん民間ユーザーの方々に使っていただきたいと考えておりますので、商工労働観光部なども含めまして、ストーブ、ボイラーの利用拡大に努めてまいりますと同時に、今、委員からお話がありました製造工場のほうに対する支援ということも、やはりコスト的な面とか、あるいはペレットの品質を上げるということもございますので、そういった面につきましては、現在、6次産業チャレンジ事業におきまして、森林組合との連携による原料の安定供給の支援、あるいは森林整備加速化・林業再生事業におきまして燃料用の間伐材の購入費の支援などを行っておりますので、我々もできるだけいろんな形で応援してまいりたいと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 ボイラーが48台ですので、このボイラーというものにもっともっと着眼していただきまして、ストーブの場合は、値段からすると石油と余り変わらないということで、すぐ飛び込まないと思います。かなり投資している方々を思いますと、やっぱりボイラーなどの推進をもっともっとやって、ペレットの振興に努めていただきたいと思います。
 先ほどお伺いいたしましたが、松くい虫の被害木をチップ化するということについてはいかがでしょうか。
〇阿部整備課長 松くい虫の被害木のチップ化についてでありますが、松くい虫被害木のチップ化による破砕処理はマツノマダラカミキリの駆除方法として認められており、被害木の活用と駆除経費の節減を図る有効な防除方法と認識しております。このため、平成21年度から松くい虫被害木破砕処理工場を認定し、条件が合う場合はチップ化による駆除を取り入れたところであります。なお、平成21年度の里山再生松くい虫被害特別対策事業では、全駆除量の約2割に当たる170立方をチップ化したところでございます。
〇及川幸子委員 いろいろと進められているということですが、最後に、先ほども何回も申し上げておりますが、ペレットストーブの導入ということで大分力を入れてこられた皆さんでございます。そういうことが、何か絶ち切れてしまうのが残念でなりません。木材振興の上でも、これは強力にもっともっとやっぱり推し進めていくということが必要だと思います。最後にそのことをお聞きして、終わります。
〇堀江林業振興課総括課長 委員御指摘のとおり、ペレットストーブの導入実績については、ここ近年、導入台数が伸び悩んでいる状況にございまして、かつては民間ユーザーの皆様方にも購入費の助成をしてきておりましたが、現在は、公共施設を中心としたストーブの助成を商工労働観光部が中心になって行っているところでございます。
 我々としますと、間伐材の未利用木質資源の有効活用、あるいは広く地球温暖化防止、あるいは木材振興につながるということから、やはりペレットを初めとする木質バイオマスの利活用促進に積極的に取り組みたいと考えております。そういった中で、ストーブの支援等につきましては、今後、商工労働観光部ともよく話し合いながら、私どもとすれば、例えば二酸化炭素排出量取引との組み合わせによってストーブの導入促進を図るなど、こういったことも視野に入れながら、両部連携してさまざまな施策を取り組んでまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 初めに、林業振興についてですけれども、本県は林業県でもあるわけでありますが、木を切り出すためには道路が必要だということで、昨年度、路網についてはどのような整備が行われたか、その状況について示していただきたいと思います。
〇佐賀森林保全課総括課長 昨年度の路網の整備状況についてでございますけれども、幹線となります林道は約2万500メートル、枝線となる作業道は約12万4、000メートルを整備いたしたところでございます。特に作業道は、ここ3年平均の3万4、000メートルほどの3.6倍というように大幅に伸びております。これは、国の搬出間伐促進に向けた施策強化を受けまして、間伐対象林に積極的に整備を行ったものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 国の補助事業という形でどんどん進んでいるということで、いいことだと思うんですけれども、実は路網につながる林道というんですか、先ほどの説明ですと幹線、そちらのほうも実は岩手県は他県に比して整備がおくれているという話を聞くのですが、本当でしょうか、どうなんでしょう。
〇佐賀森林保全課総括課長 林道の整備状況でございますけれども、平成21年度現在の累計が約4、413キロメートルほどになっております。これは、全国的に比べれば若干少ないわけですけれども、私どもは、林道と作業道、それと林内を通過している林業活動に活用できる公道、これらを含めまして林内路網という考え方をとってございます。この林内路網として見ますと、岩手県は平成21年度現在でヘクタール当たり24.3メートルとなっておりまして、全国の平均、これは平成20年度の数字ですけれども、20.6メートル程度になっております。全国平均よりは若干上回っているという認識でございます。
〇嵯峨壱朗委員 いずれ、木を切り出すためには路網なり、今言った林内路網ですか、それの全体的な整備が必要であるかと思います。ぜひ、その辺は進めていただきたいんですですけれども、来年度、農林水産省では550億円という交付金等で、さらに林業活性化への林道整備の予算を見込んでいるようですけれども、これは、岩手県として見た場合、先ほどの路網の中で言うと、それぞれ整備に使えるものなのか、どうなのか、説明願いたいと思います。
〇佐賀森林保全課総括課長 路網整備のお話は、多分、国の平成23年度予算の概算要求を踏まえてのことかと思います。新聞等にもございましたけれども、農林水産省の平成23年度予算の概算要求で、そういう路網整備に550億円という額が示されております。これは、意欲的な林業事業体などが実施いたします森林整備とか森林作業道の整備、林業専用道の整備に対しての新しい制度による補助金でございます。今回、そのように示された新しい制度について、私どもは情報収集に努めております。いずれ、意欲的な林業事業体等にその活用を働きかけて路網整備を促進していきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ情報収集して、路網をつくることによって、道路をつくることによって、公共事業という形で建設業の仕事も出てくるだろうし、木を切り出しやすくなることによって、そこでも林業従事者の雇用をふやすという、そこにつながっていくと思うので、ぜひ積極的に進めていければとお願いしたいところであります。
 次に、サケについてお尋ねします。
 サケは岩手県の水産業の中で基幹の魚種でありますし、一般質問でも達増知事は、やはり岩手県は水産県であるという認識を明確に示していただきました。大変ありがたく思っておりますし、その中で、サケというのは漁家にとってもとても重要です。それで、ことしはいまいち不漁だという話がありますけれども、実際、直近はどうなのか。あと、北海道ですか、先行指標的なところがあるので、その状況もお聞かせ願えればと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 サケについてでありますけれども、本県の漁獲状況は、10月10日現在、水揚げ量が465トン、金額が1億6、300万円で、いずれも昨年同期の約6割にとどまっております。また、県内各地の状況も言えば、県央部のほうで昨年同期の7割から8割、県北部、南部を合わせて約5割となっている状況です。北海道につきましては、10月10日現在、水揚げ量が8万4、000トンと昨年同期の約8割、金額が265億円で約7割となっております。
〇嵯峨壱朗委員 今の説明ですと、6割ぐらいだということです。そして、北海道は8割ぐらいと言いましたか。そうすると、そのとおりにいけば8割ぐらいは確保できるのかなと思いながら聞くんですけれども、ことし、そういった不振な原因というのをどのように考えておられるかお示し願いたいと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 今、本県の不振な状況の理由でありますけれども、これは、本県沖の表面水温が例年に比べて高いことから、サケが表層へ浮上できず、定置網での漁獲がおくれていることが要因と考えております。一方で、河川での捕獲のほうは今のところ順調にはなっておるんですけれども、これは、水温の低い深場から直接河川のほうに遡上していることではないかと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 確かに、見てみると、河川は去年よりずっといいですよね。安家なんかでも120%とか、いわゆる種苗を確保するためにはいい傾向なのでしょうけれども、表面水温が高いのと、なぜそういった現象が起きるのかわかるものなのか。台風が少ないんでしょうかね。日本海側を通過するから―太平洋側を通過すればシャッフルされて、もしかしたらなんて思ったりするんですけれども、なぜなんですかね。どういうふうに考えているのか、わかるところを。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 今、本県沖ばかりが高水温ではなくて、サンマの不漁がこの間まで言われておりまして、いまだに量的には少ないんですけれども、日本より北のほう、ずうっと水温帯が高い水温になっております。そういう中で、やはりサケの適水温にまだ本県のほうがなっていないということが原因だと思います。
〇嵯峨壱朗委員 今後どういうふうに見ているかということもお聞かせ願えればと思います。そういった中で、11月が盛漁期ということでしょうから、それに向けて見通しというんですか、どう見ているか、よろしくお願いします。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 水産技術センターのほうの見通しというか、回帰の予報がありまして、これは前年並みの2万4、000トンぐらいと予想を立てております。その意味からすると、今はかなり落ちているわけでありますけれども、本県の盛漁期は11月からでございますので、そこのところの漁がぜひ来てほしいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 毎回聞いておりますけれども、回帰率という言い方をしていまして、北海道は5%でしたか、そして岩手県は3%を切ったりするような状態だったりする。これはなぜかというのはいつも問題になるんですけれども、過密飼育が原因だとか、施設が古いからだとか、適期適サイズをずらしたりしているのもあるのかとか、いろいろあると思うんですけれども、改めて、昨年、一昨年あたりから交付金事業でいろんな設備を更新したりしておりますけれども、そういった形でやることによって少しでもいい傾向になってきているのかどうか、そういった回帰率の状況をちょっとお聞かせ願えればと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 近年の回帰率は本県の場合は2%台で推移しているわけでありますけれども、これは海洋環境などさまざまな要因もあると思いますし、また、今言われたように、飼育密度が過密ではないかとか、そういうお話もあります。私たちとしては、自分たちにできることは何かということを考えれば、今言われた過密飼育を解消していく方策を考えなければならない。池の水量の確保とか、海中飼育に回して過密を防いでいくような方策、それから、今の回帰率向上の事業を実施させていただいておりますけれども、この中でもふ化場技術者の技術の劣化があるのではないかということで、その研修をやっておりますし、施設も昭和50年代に多くが整備されておりまして、その補修等を含めて事業を実施しながら改修に努めている、こういうことを通じて、何とか回帰率の向上に努めていきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ、いろんな角度から見ていっていただきたいと思います。水の中の酸素が少ないからとか、いろんな話がありましたよね。元気にならないとか、だから水の酸素をふやさなきゃだめだとか、いろんな原因があって、あと、ベーリング海のプランクトンの量にもよるとか、サケの実態がわかるようでわかってないという、何かすごいんですよね。ですから、そういったことも把握しながら、できることをやるということしかないと思うので、一般質問でもお聞きしましたけれども、交付金事業を活用して昭和50年代の古いふ化場施設の更新をやっとし始めたということですけれども、来年に向けてどういった考えがあるのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 今、ふ化場の老朽化のお話をしました。これに対して、これまでは国の交付金を活用してふ化場施設の整備を行ってきました。ポンプ等の割とお金がかからない部分につきましては、県の支援により対応してきたところでございます。このふ化場事業を円滑に実施するために、やはり今後とも国の交付金を活用してふ化場施設を整備していくことが必要だと思いますので、引き続き交付金の活用について国に働きかけてまいりたいと思っております。
〇高橋博之委員 いわての森林づくり県民税について、1点に絞ってお伺いいたします。
 新税が導入されまして、実施期間5年が経過しようとしております。アクションプラン政策編の取り組みと成果によりますと、具体的な推進方策指標―あと、長いので新税と言いますけれども―新税による強度間伐面積、新税による森林環境学習への参加者数の達成度がともにA。推進方策を構成する事業実績、これは三つ項目がありまして、いわて環境の森整備事業、事業評価委員会運営費、いわての森林づくり普及啓発事業の達成度がそれぞれAとなっております。これだけ見ますと、この新税は所期の目的を達成して大成功しているように見えるわけですが、私の評価はDであります。
 実施期間の5年間を経過しようとしているわけですが、まず、当局はこの新税の成果と課題についてどのように検証されておりますでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税の成果と課題についてでございますが、まず、成果につきましては、事業費の9割以上を占めます公益上重要な人工林の針広混交林への誘導につきまして、事業開始の平成18年度からこの5年間で、おおむね目標どおりの7、500ヘクタールの森林の整備が見込まれております。その結果、今まで放置されておりました森林が着実に整備され、公益的機能の発揮が期待されているところでございます。このほか、地域住民が取り組む森林環境保全活動では、延べ約2万6、000人の県民の皆様の御参加をいただいておりまして、森林、林業の重要性あるいは役割について理解が広がっていると感じているところでございます。
 課題としましては、来年度以降も緊急に整備が必要な人工林が依然として約1万9、000ヘクタール存在するということで、引き続き森林整備に取り組む必要があるということを考えております。
〇高橋博之委員 ただいま成果についてお話を伺いました。その点については私も評価するところでありますが、さっき発音が悪かったんですけれども、Dです。なぜDかということをこれから説明したいと思いますが、ことし8月から9月に行った新税にかかわる県民アンケートの調査結果によれば、6割の県民が実に新税そのものの存在を知らない。新税の導入後5年が経過して、新税による取り組みを、先ほどお話を伺ったように展開してきたわけですが、何とも寂しい数字だなと感じるわけです。
 新税は法定外目的税であり、県民均等割りで法人からも徴収するものでありますが、税の目的と使途、その効果が5年たった今も理解されていないのは、私は問題だと思います。新税関係の広報の実施状況を見ると、平成18年から20年まで、実にテレビが17回、ラジオが5回、新聞広告が8回、メールマガジンが19回、ポスター、リーフレットの作成が7回、現地見学会5回、イベントの開催が4回で、昨年度も含めた普及啓発の経費が1、113万円となっておりまして、これだけ見ると、随分広報に御努力されてきたんだなと思うんですが、にもかかわらず、アンケート調査の結果だと6割ですけれども、私もこの4年間、あちこちの公民館を回って住民の皆さんと対話をしてきましたが、本当にほとんどの人が知りません。これだけ広報を打ってきて、なぜ県民の方が新税の存在を知らないのか、その現状についてどのように受けとめておられますでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 私どもが事業を開始しまして、平成18年度から、今、委員からもお話がありましたとおり、森林環境保全の意識醸成というところを目的に、さまざまな普及啓発、広報活動に取り組んできたところではございますが、委員御指摘のとおり、去る8月に実施しました県民2、000人を対象としましたアンケートでは、6割の方々がこの税の制度を知らないという結果が示されておりまして、我々としても非常に課題が大きいものと考えております。
 この原因につきましては、我々の反省点としましては、私どもの県民税に対する普及啓発の活動が、どちらかというと林業サイド、森林所有者あるいは森林をフィールドとする活動団体といったところに対する事業の普及啓発がメーンであって、森林のかかわりが薄い、例えば都市部の住民の皆様とか、そういった方々に対する制度の周知が十分ではなかったと考えているところでございます。
〇高橋博之委員 都市部への周知が十分ではなかったということですが、事業評価委員会でも周知不足を指摘する声が多数あったと聞いております。先ほど、私は少し手厳しくDだという話をしたんですけれども、なぜDかというと、県民の意識啓発というのはとても大事だと思っています。というのも、これは法定外目的税でありまして、いつまでもずっと未来永劫続けるわけではないと思うんです。持続可能な森林の保全を図っていくためには、やはり林業を振興していかなければなりませんし、林業を振興していくためには、県民の皆さんに理解していただいて、県産材を多少割高でも積極的に利活用していただく。つまりここがなければ、いつまでも税金で支えなければいけなくなるわけです。なのでDなんです。やはり数値目標の中に認知度を入れないと、散々広告を打ってきました、それでAですということではなくて、実際にほとんど知られていないわけですから、やはり目標の一つにこの認知度を入れるべきだと思いますが、いかがですか。
〇堀江林業振興課総括課長 ただいまの高橋委員の御提言につきましては、来年度、アクションプランの見直し等もございますので、そういった中で参考とさせていただきたいと思います。
〇高橋博之委員 お願いします。
 私も、これだけ広報を打ってきて、なぜ認知されないのかなと思って考えてみたんですけれども、新税の目的であります水源の涵養とか森林の公益的機能の維持増進、あるいは森林環境の保全という目的はいかにもわかりにくいんですよね、都市部の人たちからしてみると。やはり県民が納得できるような効果、例えば二酸化炭素の削減ですとか雇用の観点から数値を提示することが必要ではないのかと私は思います。
 さっきのアンケート調査の結果を見ますと、2、000人を対象にして、あなたは森林にどのような働きを期待しますかと。一番多いのが二酸化炭素の吸収などによる地球温暖化防止の働き。これは一般の県民もそうですし、事業者を対象にしたアンケートでも一番多い。つまり一番ここに皆さんが関心を持っておるわけです。なので、この二酸化炭素削減と雇用の観点から、どれだけ雇用を生み出しているのかと、ここを皆さんは関心を持つと思いますし、ああ、効果が出ているなということで理解を示していただけると思うんですが、この点について数字で提示をすることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 森林整備にかかわる林業従事者は、私どもにとっても非常に大事な課題だと思っております。そういった意味での担い手のことにつきましては、私どもの林業関係課で十分検討してまいりたいと思いますが、いわての森林づくり県民税に係る指標として、そういったものを取り上げられるかどうかにつきましては、ここはもう少し内部で検討させていただければと思っております。
〇高橋博之委員 せっかく時間とお金をかけてアンケートをとっていると思いますので、答えがここに出ていますから、ぜひ指標に設定するべきだと私は思います。
 二酸化炭素の削減の件でお尋ねしますが、9割の費用を使って間伐をしてきたわけですけれども、間伐をした中で、そのまま放置している切り捨て間伐の量をどのように把握されておりますでしょうか。平成21年度の分だけでも構いません。
〇藤川森林整備課総括課長 本県民有林34万2、000ヘクタールのうち、約7割に当たります22万4、000ヘクタールが間伐対象林となっております。本県におきましては、平成19年度から岩手県森林吸収量確保推進計画を進めておりまして、これに基づきまして間伐を進めております。その実績につきましては、平成21年度の目標量1万5、400ヘクタールに対しまして1万2、139ヘクタールとなっており、約79%の実績となっております。
 切り捨て間伐の量につきましては、利用量が8万2、447立方ということで、間伐の総材積が平成21年度現在で25万7、249立方、うち切り捨てられたものが17万4、802立方という実績になっております。
〇高橋博之委員 総面積が25万7、000立方、うち17万4、000立方が切り捨て間伐と。率で言うと、大体7割が切り捨て間伐ということになるわけですが、そうしますと、切り捨てられた間伐材がそのまま現場に放置されておりますと、二酸化炭素が逆に吸収ではなくて排出されることになります。つまり、カーボンオフセットによるクレジット収入が全く見込めないということになりまして、地球温暖化対策という観点から見ると全く効果がない。先ほど、県民の皆さんが一番効果を期待しているところが全く、効果がむしろマイナスになってしまっているわけですが、この点についてはどのように思われているでしょうか。
〇藤川森林整備課総括課長 間伐材の利用をカーボンオフセットの面から考えまして、やはり間伐材の利用というのは非常に重要なことだと思っております。特に、少しでも長く間伐した材を使うということが喫緊の課題と考えております。
 切り捨て間伐の措置といいますか、切り捨て間伐から利用間伐ということに促進するために、進まない大きな理由というのは費用対コスト(後刻「効果」と訂正)の問題かと思います。そういったことで施業の団地の集約をいたしまして、さらに林内路網を整備いたしまして、何とか生産経費を下げて、少しでも利用間伐を促進してまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋博之委員 費用対効果ですね。(藤川森林整備課総括課長「はい」と呼ぶ)
 それで、今回のこの新税でさまざまな取り組みを行うことによって雇用も生まれたと思うんですが、大体何人ぐらいの雇用を新税の取り組みによって創出したのか、その点についてお知らせいただきたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 この新税の、特に、いわゆる強度間伐による針広混交林化の施業による雇用創出について、この事業にとって何名創出したかということまでは押さえておりませんが、林業全体で申しますと、こういった事業、あるいは他のいろいろな事業を組み合わせまして、平成21年2月に農林水産業で就業促進アクションプランを立てておりまして、平成21年度の実績で申しますと、林業関係では、林業全体で新規参入は77人の実績がございまして、これは目標70人に対して進捗率で110%というような状況になっております。あるいは新規雇用ということで、これは参入ではなくて雇用でございますが、これにつきましては昨年度158名の新規雇用という実績を出しているところでございます。
〇高橋博之委員 切り捨て間伐が7割で、二酸化炭素吸収どころか排出をしている。そのまま放置していますから、運搬することもなく、そこで雇用も生まれないということで、実に施策が断片的というか、対症療法に見えてしまうわけです。事業評価委員会が指摘しているように、森林の公益的機能に対する県民の期待は、最近、地球温暖化防止のための二酸化炭素吸収機能が注目されるなど、ますます大きくなっています。しかしながら、木材価格の低迷等が続いており、森林環境の保全を、森林所有者による林業の生産活動だけに依存することは、本県民税創設時と同様、困難な状況がありますという指摘をしているわけです。まさにそのとおりだろうと思うんですが、こういう状況を、この新税を使うことによって抜け出ていかないと、先ほども申し上げましたが、いつまでたってもこの税金を投入し続けなければいけないということになるわけです。つまり、県民の意識啓発と林業振興と森林の保全というのは三位一体で、入り口から出口まで一体的な取り組みにしていかなければならないと私は思っているわけですが、その点について部長はどのようにお考えですか。
〇小田島農林水産部長 いわての森林づくり県民税の目的は、確かに、公益的な森林について、伐採を進めていくというようなことではありますが、三位一体、普及啓発も行いながら事業を取り組んでいくという考え方は、非常に示唆に富むといいますか、重要な観点だと思います。今回の取り組みの中でも、普及啓発についてもかなりのウエートを占めつつ、事業を推進しようという考え方で進めることにしておりますので、今のお考えも参考にしながら事業推進を図ってまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 具体的に提言したいと思いますが、実施期間は5年間で、施策の効果を検証するとともに、社会経済情勢や財政需要の変化を勘案し、見直しを行うと決まっておりまして、事業評価委員会では次のような指摘というか、提案をしております。これは、県民理解の醸成のために木材利用の普及につながる取り組みをやったらどうだと。さらに具体的には、間伐材等を活用した啓発の展開で、間伐材などの県産木材のぬくもりや心地よさの体感等を通じて、木材利用の意義や森林づくりへの貢献などについて理解を深めるため、県産間伐材等を利用した公共的な施設の木質化や木製品の整備、利用を促進するという提言を皆さんにしているわけですが、継続が妥当だという評価を委員会もされているわけですけれども、この指摘をどのように受けとめるというか、次の施策に反映させていこうと思われていますか。
〇堀江林業振興課総括課長 ただいま委員からお話があったことにつきましては、去る8月に公表しました来年度以降の県民税のあり方の素案の中でも触れているところでございます。また、素案につきまして、県内各地で説明会を開催した際にも、出席者の方々から同様の御意見をいただいているところでございます。
 木材を積極的に利用することは、広く森林の資源循環を促進しまして適切な間伐の実施につながるほか、委員からお話があった二酸化炭素を固定するといった効果もございますので、そういった点も踏まえながら、来月中旬に向けて、現在、来年度以降の県民税のあり方を検討中でございます。そういった中で、ただいまのお話も含めながら考えてまいりたいと思いますし、また、町の中で木材が、県民の皆様の身近なところで触れる、見えるということは、先ほど委員から厳しい御指摘をいただきました、県民の皆さんに対する県民税の制度の普及啓発につながるものと考えておりますので、そういったことも含めて我々も考えてまいりたいと思います。
〇高橋博之委員 ぜひお願いします。
 やっぱりポイントは、森林から最もかけ離れたところに生活している都市部の皆さんが、身近なところで、森林税を使って間伐をしてきた木材に触れるということだと思うんです。
 一つ、御参考までに、割りばしは日本では年間大体250億ぜん使われていまして、1人当たり1年間に200ぜんほどで、ほぼ毎日身近なところで使うものですけれども、先般、皆さんもごらんになったかもしれませんが、皆さんの昔の部下だと思いますけれども、県庁職員だった高橋慶子さん改め、御結婚されたようでありますから、松田慶子さんが岩手日報の欄に投稿しておりましたが、ワリバシカンパニーというのをつくったと。国内に三つの工場を建設予定だそうで、先日電話をしたら、ぜひ岩手県にもという話をされておりました。割りばしをつくれば、間伐が進んで森が元気になる。間伐だけではなく、間伐材の運搬作業にもお金が回る。地元の雇用も生まれる。地元の飲食店でこの割りばしを使えば、それを使う人の意識啓発にもつながる。つまり、1次産業、2次産業、3次産業が連携でき、持続可能な形になっていくんじゃないのかと。費用の面についても、1ぜん2.5円で、今はほとんど9割が中国産材です。中国は今2円ですけれども、0.5円高いわけです。だけれども、この0.5円は、工場で15人ほどのスタッフが必要だそうです。雇用も生むし、使えば使うほど岩手県の森も元気になり、林業にもお金が回り、15人も雇用を生み出すということで、割高ではないと思っていただけるんじゃないかというお話をされておりましたが、ぜひ、こういう割りばしの工場を建設するときの最初の初期投資の費用の補助だけでも、先ほども申し上げましたが、事業評価委員会のほうで提言されております県産間伐材を利用して、木材を利用してさまざまな施設に導入したらどうかという話をしていましたけれども、その中に、こういうものを県内の民間で立ち上げるときの最初の手助けもぜひ御検討いただきたいと思うわけですが、最後に部長に、ぜひお考えをいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
〇小田島農林水産部長 いずれ、いろいろ御提言をちょうだいいたしましたので、それから、今回の制度設計の中でも県民の方からもいろいろ意見をちょうだいいたしております。最終的な制度化、取りまとめの段階で検討させていただければと考えます。
〇高橋博之委員 最後にいたしますが、これが出た後、盛岡の某飲食店さんから割りばしを導入したいという検討のお電話があったそうです。また、県内の森林整備に関する国際資格を持った方から割りばし工場をつくりたいという打診もあったそうです。さらに、県内の製材所の所長さんから連携したいというお電話もあったそうです。もっと言うと、県庁の某部署から、割りばし工場の誘致についてお話を聞きたいという話もあったそうです。結構、ポイント、ポイントで県内にいるんですね。これを本気で新税でつなげていく。ほかの施策でじゃなくて、森林税でやるところに私は意味があると思いますので、今後、次の5年間に向けてさまざま使途についても御検討されるということですが、ぜひ前向きにお考えをいただきたいとお願いをして、質問を終わります。
〇平沼健委員 今、高橋委員から林業についてのいろんなすばらしい提案がございました。その中で、ちょっと答弁で何か腑に落ちないというか、もう少しはっきりした答弁があっていいんじゃないかと思って手を挙げました。というのは、山土場に残っている放置間伐のところなんですけれども、今、高橋委員のほうからは、確かに放置間伐が多いわけで、非常にこれはもったいないと。これは川下に持ってきて、100%有効活用しなきゃいけないわけです。それが、確かに今はそうなっていない。ところが、その放置間伐が、カーボンがふえるんだというか、そこのところがちょっと私は気になるんですよ。そうじゃないんですね。カーボンは固定されていますので、従来、大気にあったカーボンが木材となって成長しているわけでして、だから、カーボンがふえるんじゃなくて、放置間伐を放置すること自体が問題であって、それを有効活用しましょうと。そのところが、放置間伐からカーボンが大量に発生して、それがCO2の増加につながるというような変な形にとられますと、間伐、除伐自体がうまくないんだとなってくる危険性があるものですから、そこをもう少し丁寧に説明をすべきだと思います。
〇竹田林務担当技監 ただいまの御質問でございますけれども、まず、カーボンについては二つの考え方がございます。今、京都議定書に基づいて、我が国であれば6%削減ということに取り組んでおるわけですけれども、この議定書のルールによりますと、間伐等を実施された森林であれば吸収量に算入できるということでございまして、我々は間伐に取り組んでいるところでございます。ただし、高橋委員が御指摘したとおり、生理的には腐ることによってCO2が出ますので、そういった意味においてはやはりCO2を放出してしまうということで、平沼委員がおっしゃるとおり、できるだけ利用して、CO2を固定したままでいるということが重要だと思います。ですから、京都議定書上については積極的に間伐をすべきということで御理解をいただきたいと思います。
〇平沼健委員 ちょっとそれは違うんじゃないですか。腐食、腐敗してカーボンが出てくる、これはそのとおりですよ。ただ、それは従来あったカーボンですから、そういうことでいくと、ペレットをつくって燃やすと、これはまずいことになりますよ。そういうことじゃないでしょう、それは。もう一回どうぞ。
〇竹田林務担当技監 今、平沼委員から御指摘があったとおり、ちょっとまだ私の説明も不足しておりまして、平沼委員おっしゃるとおり、木材を燃して、あるいは腐って放出するわけですけれども、それは、大きくとらえれば、樹木としてまた木が吸収しているということで、我々林業界、森林の中では、いずれカーボンオフセットということで、例えば石油製品のように、燃して、CO2を新たに放出しているというものではなくて、そういった循環の中でカーボンはフリーだということでございます。
〇大宮惇幸委員 私からは1点だけお尋ねしたいと思います。
 先ほど及川幸子委員からは、松くい虫被害についての質問がありましたし、答弁を聞いておりましたら、昭和54年に一関市で確認されてからはや30年がたっておると。それで、矢巾町、西和賀町、釜石市まで北上しているということであります。
 それと類似はしませんけれども、最近のマスコミの報道によりますと、ナラ枯れという記事がありました。これは大変全国的に発生が確認されているという報道でありますけれども、報道によりますと、宮城県までという報道であります。
 そこで、岩手県では確認されておるのかどうか、そして、それの対策というものはどういう方法があるものか、お知らせいただきたいと思います。
〇阿部整備課長 ナラ枯れの被害についてでございます。
 ナラ枯れ被害につきましては、平成18年に秋田県に、そして昨年秋には、県境の宮城県栗原市で被害が確認されております。しかしながら、本県では、今のところ被害は確認されてございません。
 この被害がもし本県で発生した場合、全国有数のシイタケ生産あるいは木炭生産に必要な原木の確保に大きな影響を受けることが懸念されるところでございまして、こうしたことから、県では、県、市町村及び森林組合職員を対象とした被害の判定技術研修の実施、また、山形県におきまして防除技術研修を実施してございます。さらに、被害の確認から防除に至る関係者の役割を定めた初動対応マニュアルを策定いたしまして、初動対応を中心に対策を講じているところでございます。
〇大宮惇幸委員 ぜひとも、松くい虫のように被害が拡大しないように初期対応していただいて、できれば県内に入り込まないような対策をしていただきたいということをお願いして、終わります。
〇中平均委員 私からは、最初に水産関係でお聞きします。
 地域営漁計画を今策定してきておりまして、昨年の実績は3ということで見ておりましたけれども、今までこの営漁計画を策定して、実行してきたことにより漁家の収入増等につながっているかどうか、そういう状況等について、まずお知らせください。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 地域営漁計画を策定、実行したことによる成果についてということで、これまで漁業の担い手育成確保などを図るため、養殖業が盛んな野田村以南の18漁協において、平成18年度から地域営漁計画を策定し、県としては、その実行を支援しております。
 その成果といたしましては、新たな養殖種目であるエゾイシカゲガイなどの養殖施設の整備、それからワカメ高速塩漬装置など省力化機器の導入による養殖作業の効率化、それから、漁業者によるウニの直接販売や水産物の朝市などの取り組みを行った結果、新しいものをつくっていくことの喜びの増大とか、つくったものを売っていくことでの喜びを経験して、漁業者の生産意欲が次第に高まってきていると思っております。
〇中平均委員 そういう成果を受けて、今までは野田村以南ということでしたけれども、県北型地域営漁計画ということで昨年からやり始めて、ことし2漁協、これは久慈と種市南とは聞いていましたが、県北型になった場合の特色というんでしょうか、そこをお知らせください。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 県北型の特徴についてでありますけれども、久慈以北の海域では、直接外洋に面して、遠浅であることなどから養殖業がほとんど行われておらず、これまで地域営漁計画の取り組みは実施されておりませんでした。
 そこで、久慈市以北の海域における担い手の確保、育成や漁家所得の向上を図るために、この地域で依存度の高いアワビ、ウニなどの磯根資源の生産増大や付加価値向上、販路拡大の取り組みを中心とした新たな県北型地域営漁計画を、県北地域の漁協において今年度から策定しているところでございます。
〇中平均委員 その県北型も全県の地域営漁計画もそそうですけれども、希望としては、これを全部の漁協の単位でやっていこうと今考えていると思うんですが、将来的に何年までに全地域においてこれを策定していくか、そして、最初にその成果ということで、まずさまざまな直接販売なり何なりと今出てきましたが、漁家の収入を上げていこうというのがもともとの取りかかりと一番最初のときに伺っていますが、そこのところ、なかなか具体に幾ら収入が上がったというのは出ないところだとは思うんですが、やっぱりそういうものを出していけるように今後していかないとだめなんだろうと思うんです。
 そこに向けての今後の取り組み、今からつくっていくところ、そして今つくって、もうやってきているところは、今後、順調に、3年ごとでしたか、つくり直していくと聞いていますけれども、そこのそのたびたびのときの取り組みであり、漁家収入を上げていくための方策というのをどういうふうに考えているのかお伺いします。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 計画の策定の予定とその取り組みについてでありますけれども、予定といたしましては、今年度、久慈市漁協、それから種市南漁協の2漁協で策定し、来年度、平成23年度から実施することとしております。
 これは、3年間の計画でということでありますし、また、残りの漁協におきましても、来年度、計画を策定して、平成24年度からの3年間の実施と考えております。
 これも1回限りではなくて、そこでの取り組みの成果を総括し、課題を整理して、やはり今回、南のほうでやっている営漁計画と同様に、更新して、より収入の増加というものに持っていきたいと思っております。
 具体的には、県北地域は、さっきも言いましたように、養殖がないので、地場物、アワビ、ウニへの依存度が高いし、これが、昆布等えさもあって非常に身入りもよいので、こういうものを何とか新しい売り方、地場での消費のほかに、もっとほかにも提案していけるようなものがないかとか、あるいは、特にも種市地区では、岩盤掘削できるような岩盤もあります。そういうところにも漁業者が、もっと掘削ができないのかということも考えていただきながらやっていけないかなと思っています。
 ただ、漁業者がそこのところをどういうふうに認識していくのか、この計画の中で漁業者への認識も醸成していきたいと思っております。
〇中平均委員 了解いたしました。まず、その営漁計画策定を進めていって、そして収入が上がっていくということを期待いたします。
 それに関連してなんですけれども、今、アワビ、ウニの話が出ましたが、先般、ことしの7月の水産議員連盟のときに、アワビ栽培漁場の現状と推進方向ということで資料をいただいておりました。また、さきの一般質問でもこの話が出たところでございますけれども、ちょっと視点を変えまして、アワビ等に関して、夏期採捕ということで、試験採捕ということで平成9年から続けてきているということでございますが、これの実績と成果について、どういうふうにとらえているかお伺いします。
〇五日市漁業調整課長 アワビの夏期採捕についてということでございますが、アワビの資源を有効に活用するという目的のため、今おっしゃられたように、平成9年から夏場にアワビをとると。通常11月以降、冬場に漁獲しているわけですけれども、夏場に漁獲して、販売の価格、あるいはとったことによる資源の動向、あるいは冬場のアワビの漁獲量ですとか、そういうものにどのような影響があるかということについて、今、検討を進めているところでございます。
 その成果といたしましては、夏場の販売価格は冬場の値段よりも高いということがわかっておりますし、安定した価格が維持されているということ、また、試験で夏場に漁獲しても、冬場の漁獲量にはそれほど影響がないことが知られております。
 一方で、試験によって漁獲されるアワビの量が結構少なくて、それは、アワビを取り巻く社会環境といいますか、輸入の増加とかというものによりまして価格変動なんかがありまして、なかなか県内の漁業者あるいは漁業団体などと夏期採捕に対する合意形成が得られていないという課題も今ある中でございまして、現在もその試験を継続中でございます。
〇中平均委員 試験採捕は、平成9年から始まって、平成20年、ことしからまた3年継続と認識しておりましたけれども、県内の各漁場によってというんでしょうか、今、意識の違いがあるということでしたが、先ほどの営漁計画のほうでも、県北型となると、どうしても養殖がない分、磯根のほうに行くということであります。
 平成24年までは試験採捕ということでありましたけれども、これは、将来においてどういう形で、地域によって、続けていきたいという地域も出てあり、また、そこまで頼らなくてもいいという地域もあるんだと思いますが、その地域によって継続がまた出てきた場合、将来においてのこの夏期採捕の取り扱いをどういうふうに考えているのかお伺いいたします。
〇五日市漁業調整課長 夏期採捕でアワビを現在とっておるのは、主に県北地方でございます。県北地方につきましては、今、委員もおっしゃられたように、外洋のほうで漁場が非常に厳しいということもありまして、なかなか養殖もできない地域でございます。その中で、いずれアワビに対する依存度は非常に高いものがございます。その中で、県北のほうでは素潜りでアワビをとったりもしておりますが、冬場に潜るよりも、もっと暖かい夏場に潜って、労働条件のいい時期に漁獲をしたいという意見もございますし、夏場は、県北のほうは養殖がないものですから収入源が少ないということもございまして、アワビを漁獲して収入に充てたいという地元の要望も強くございます。
 県といたしましても、アワビの夏期採捕、これは、漁家経営の安定に非常につながるものだと考えておりまして、特に、県北地域では有効な手段であると考えております。
 今後も、希望する漁業者の方々あるいは漁業団体といろいろ話し合いをしながら、要望を聞きながら、進めるような方向で対応してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 そこら辺、よろしくお願いいたします。
 アワビの稚貝放流ということで、年間800万個放流して、回収率も10%ということで今来ていると。それに対して、今の営漁計画、また今のアワビの関係でも御答弁いただきましたけれども、漁獲努力であり、回収率の向上を今しているというところでございます。
 ただ、価格が年々によって結構乱高下しているというのが一番大きなところだと思います。手元の資料だと、平成20年がキロ4、874円で、過去で一番高かったのが平成18年の1万1、000円ということで、大きくこの差が出てきているという中において、やっぱり、まずつくり育てる、その上で、今後の売り方というんでしょうか、高値安定を目指したやり方が必要になってくると思うんですが、この点について、まず、実際売っていく担当はまた違うほうになると思うのですが、どういう連携をとりながら今やってきているのかという点をお伺いします。
〇五日市漁業調整課長 アワビの販売等についてでありますけれども、いずれアワビにつきましては、現在、天然でとったものを直接業界団体の流通ルートに乗せているのが主な漁獲流通ルートでありますが、これに、さらに地元の地場の加工業者の方々と連携して、新たな加工品を開発していくという取り組みも今進めておりますので、そのような取り組みを通じて価格の安定を図ってまいりたい、あるいは価格向上を図ってまいりたいと考えております。
〇中平均委員 了解しました。
 じゃ、ちょっとここで、また別にナマコのほうをお聞きしたいんですけれども、何年前でしょうか、これからナマコを大連のほうに出していくものを含めてやっていくということでやっておりました。この報告書を見ると、漁獲量等を含めてDとなっていますけれども、今までこの資源増大ということで、種苗技術をつくり上げるということでやってきていたと思いましたが、その点についての成果、課題、あわせて今後の取り組みもお伺いします。
〇五日市漁業調整課長 ナマコの資源増大に向けてのこれまでの成果あるいは課題、今後の取り組みということでございます。
 ナマコの種苗生産につきましては、県は、平成19年度から、社団法人岩手県栽培漁業協会に委託いたしまして、種苗の量産技術開発に着手いたしまして、昨年度までに30ミリサイズの種苗を10万個以上コンスタントに安定生産する技術を確立したところでございます。
 また、今年度から、この県栽培漁業協会では、自主事業として生産に取り組んでおりまして、これまで14万2、000個ほどの種苗を県内の漁業協同組合に配布して、各地先に放流されたところでございます。
 この課題といたしましては、種苗の放流効果がまだ明確でないということで、今、放流試験をやっているという部分がございます。そこで、漁協におきましては、積極的な放流にはまだ至っていないという課題もございます。また、県産のナマコは、現在のところ漁獲量が非常に少ないということもありまして、価格の高い中国向けの干しナマコに取引される量が少なく、多くのナマコが、価格の安い県内の地場流通あるいは生鮮物として取引されているという状況がございます。
 これに対しまして、今後の対応、取り組みでございますけれども、いずれ量産技術が確立いたしましたので、今後は、今、放流試験をやっておりますので、最適な放流適地を把握して経済効果の高い放流方法等を確立しまして、ナマコの資源増大に取り組んでいきたいと考えておりますし、あと、県産ナマコの産地価格は今ちょっと低い状況にありますけれども、これを引き上げるために、業界団体と連携いたしまして、浅いところではなくて、深いところにはまだ未利用のナマコが生息しているということもありますので、潜水採捕などでそれを漁獲してロットをまとめることによりまして、ロットがまとまれば、加工屋も買って中国産向けの干しナマコをつくるという意向もございますので、そういう取引をふやす対応をしてまいりたいと思っております。
〇中平均委員 水産の栽培漁業の関係で、この点の最後に部長からちょっとお聞きしたいんですけれども、今、話をしてきましたけれども、ナマコも今一生懸命やられていて、ただ、まだちょっとロットが少ない、数がそろわない、単価も上がってこないというところです。ただ、最初にこの事業導入というか、新しい産品としてこれをやっていこうというときには、これをやっていけば、まず中国も市場が拡大しているし、ナマコでいけば、アワビ、ウニに続く第3の品目になるということだった記憶があるんですね。
 ただ、そのときに、事業費は、予算的には当時も大変厳しいという中で、ナマコの事業をやる予算の分、変な話、サケ、マスであり、アワビのほうであり、いずれこっちは総枠は決まっている中でやって、片方がふえれば片方は削られるという流れもあったやに記憶しているんです。
 そういった中で、ただ、今、ナマコも頑張ってこれから産地化していこうという中でも、やっぱりまだもう少し時間がかかりそうだ。でも、一方、アワビも、800万個放流して回収率10%を上げていこう。上がったとしても、今度は単価が年によって大きく振れていって、なかなか再生産可能な値段が安定して続かない。さっき出たサケの回帰率も、なかなかこれも向上してこないという現実があります。
 そういった中で、やっぱりそういった意味で総合的に勘案して、この水産業をやっていくと県で今までいろいろな事業をやってきていますけれども、そういった中で、片方つけたから片方削るとか、そういうことではなくて、トータル的に県北・沿岸振興の中で水産業をどう見ていくかというのはずっと課題だと思いますので、そういった点を踏まえながら、今後の事業の取り組み、また予算のあり方ということが必要だと思うんですが、その点についての所見をお伺いしたいと思います。
〇小田島農林水産部長 本県の水産業におきまして、いわゆる栽培漁業の占める割合というのは非常に高い状況になっております。その中で、アワビですとか、ウニですとか、あるいは今お話しいただきましたナマコ、これについては、まさに量産技術の開発が今できているわけでありまして、そういうものについて力を入れていくということは、県として当然でございます。
 ただ、全体の予算の中で、どこかが出るからどこかが引っ込むというような、そういうプラス、マイナスをやって調整をとるという考え方は当部ではとっておらないわけですが、それぞれの発展段階に応じまして、どの予算をどの段階でつけるべきかという議論をきっちり進めて、栽培漁業が核となって漁家の収入が安定するような仕組みづくりをまずやっていきたいと考えます。
〇中平均委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 あと、県産材の利用のほうについてお聞きします。
 平成21年度、各種施策を行っていますけれども、その成果についてお伺いします。
 あとは、証明制度を使って6万7、000立米ということでございましたが、この実績に対する評価と、これは証明して、多分、家のほうとか建築のほうに行っていると思うんですが、これの建築戸数と実績等がわかればお願いしたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、1点目の県産材の利用における各種施策の成果でございますが、県では、県産材の利用拡大に向けまして、路網整備や高性能林業機械の導入支援によりまして、低コストの施業、素材生産を支援するとともに、木材需給協議会等によりまして、大口需要者に対します原木の安定供給などに取り組んでまいりました。
 そういった取り組みの結果としまして、昨年度でございますが、非常に経済状況が厳しい中ではございますが、大口需要者の一つでございます県内合板工場に対しまして、県産材の供給実績が17万立方メートルとなりまして、前年度の12万立方メートルから143%増加したものでございまして、確実にこういった合板工場での県産材の利用率が高まっているところでございます。
 2点目でございますが、県産材の証明制度の実績でございますが、委員からお話がございましたとおり、県産材証明材積は、平成17年度の1万2、000立方メートルから、平成21年度には6万7、000立方メートルとなりまして、この5年間で約5.5倍となっております。県産材を積極的に使おうという動きが着実に広がっていると考えているところでございます。
 委員から御質問がございました建築戸数にどのようにその証明制度が使われているか、これは、その実績を把握しておりませんが、今年度からは、県土整備部が新たに実施しております県産材住宅の建築支援におきまして、この県産材証明制度の活用を開始したところでございます。こういった形で、一般住宅分野でのこういった証明材の普及に今努めているところでございます。
〇中平均委員 わかりました。順調にというわけではないでしょうけれども、まず着実にふえてきているという認識でよろしいのかなと思います。
 あと、今、県産材の証明制度で、ことしから県土整備部のほうでもやっているということでございますし、やっぱりこの戸数実績等は、逆に、県土整備部のほうと今後連携しながらやっていくべきことなんだろうと思います。あしたは県土整備部でございますので、平成21年度決算を聞きながら、そちらもまた聞いてみたいとは思いますけれども、今後、農林水産部として、この利用促進に向けて、今の合板工場等へやっていくもののほかに、この県産材証明制度をやって、せっかくここまでふえてきている、県土整備部のほうでやっているさまざまな施策と一緒に合わせながら、岩手型住宅ですか、そちらのほうと合わせながらこれを使っていくという趣旨だと思います。
 そういった中においての今後の部局横断しながらやっていく連携についての方法をどういうふうに考えているか、あとはまた、県土整備部だけじゃないと思うんですよね。そこら辺を含めて、全庁的に県産材の利用をどうしていって森林県としてやっていくかという点を考えているかお伺いして、終わります。
〇堀江林業振興課総括課長 ただいま中平委員からお話がございました、まず、県土整備部との連携でございますが、県産材を活用しました住宅への助成を今、県土整備部で実施しておりますが、私どもでは、この助成制度にあわせまして、県産材利用を積極的に進めます建築士等、それから私どもの木材供給者、こういった連携強化を図る事業としまして、森の棟梁登録制度を実施しておりまして、これをうまく組み合わせることによりまして、岩手の木材を岩手の住宅に使っていただく、こういった取り組みを進めているところでございます。
 また、幅広く全庁的な取り組みとしましては、平成15年から庁内関係部局と連携しまして、公共施設、公共工事での県産材の率先利用に取り組んでいるところでございます。
 国におきましては、今月1日からでございますが、公共建築物木材利用促進法が施行されたところでございます。今後、国の動向を見ながらではございますが、県としましては、こういった庁内関係部局の連携のみならず、県内の市町村とも連携しまして、一層の県産材利用に取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、林業についてお聞きします。
 県土の77%を占める117万9、931ヘクタールの森林、森林蓄積では2億1、963万立米、この活用は、林業の振興にとっても、山村の活性化にとっても重要な課題だと思います。
 林業を一大産業に振興する上での課題と現状はどうなっているか示していただきたい。
〇竹田林務担当技監 林業を一大産業として振興する上での課題と現状でございますけれども、委員御指摘のとおり、本県民有林の人工林資源は、木材として利用可能な41年生以上の森林部分が5割以上を占めております。今後、順次、本格的な伐採時期を迎えつつあるという状況にあります。これを活用して、本県林業を、委員おっしゃるとおり、産業として飛躍させる大変重要な時期に今差しかかっている、そういう認識でおります。
 このための課題でございますけれども、大きく二つあるととらえてございます。まず、川上において、現状の木材価格でいかに山元に還元するか、コストを削減して、できるだけ山に金を残すということが一つ。そして、二つ目として、川下になるわけですけれども、今後ますます国内あるいは外国との競争が激化するという状況の中で、いかに県産の木材製品を売っていくか、販路を拡大していくかという、この二つであると考えてございます。
 この課題に対する取り組みの現状でございますけれども、まず、川上におきましては、中小規模の森林所有者を取りまとめて作業の団地化を図りまして、効率的な施業をやっていく事業体を育成してございます。二つ目として、高性能林業機械の導入、あるいは先ほど来、御質問等もございました路網の整備といったものに力を入れております。三つ目として、素材生産業者が組織した団体によりまして合板工場等の大口需要者に安定的に供給する、こういった木材の低コスト、安定供給の取り組みを実施してございます。
 一方、川下におきましては、木材加工施設の整備を進めまして、生産性の向上あるいは高次加工製品の生産拡大、そして、商談会の開催などによりまして、建築業界と木材業界のマッチングを進めております。さらには、長期優良住宅などに適応した生産技術あるいは製品の開発といったものに取り組みまして、ニーズに対応した県産木材製品の供給を促進してまいりたいということで取り組んでおります。
〇斉藤信委員 政府が森林・林業再生プランを昨年12月に打ち出して、10年間で木材の自給率を50%まで高めると。路網整備は10年間でドイツ並みに整備するんだと。この目標は立派なんですよね。しかし、どうですか、森林・林業再生プランに基づく事業化、予算化、これは県にはどのように示されているのかを一つお聞きしたい。
 もう一つは、私は、県産材を本当に活用する上で、特に県が先頭に立ってやるべきことは、公共施設、公共工事への県産材の利用拡大だと思いますが、目標が小さくて、平成19年から21年は106%で目標達成となっているんですよ。目標が小さ過ぎるのではないかと。今、例えば小中学校の老朽校舎の改築の時期を迎えているんですね。さまざまな公共施設に本格的に県産木材を使ったら、かなりの規模になるのではないかと私は思いますが、この点でいかがでしょうか。
〇竹田林務担当技監 最初の御質問の森林・林業再生プランの具体的な施策でございますけれども、先ほど路網整備のところで森林保全課長が答えたわけですが、平成23年度の概算要求の中で550億円という直接支払制度という新しい制度を創設しようとしてございます。そういった形で、国もこのプランの実現に向けていろいろ施策を考えていただける、そのように期待しているところでございます。
〇堀江林業振興課総括課長 本県におけます公共施設、公共工事での木材の率先利用でございますが、斉藤委員御指摘のとおり、現在、財政状況が非常に厳しい中での木材利用ということでございますので、思ったほど各部局の利用計画が伸びない状況ではございます。その中でも、私ども各部局に働きかけまして、できるだけ多くの木材を使っていただくようにお願いしているところでございます。
 国の新しい法律もできたことでございますし、来年度の国の予算で公共施設の木造化につきまして、どれだけ新しい施策が出るかはこれからでございますので、そういった動向も見きわめながら、関係部局には、そういった支援策もお示ししながら、できるだけ使っていただくような形で私どもとしても働きかけてまいりたいと考えております
〇斉藤信委員 林業の振興というのは、私は、雇用の拡大という点でも、もう限界集落、本当に山村の活性化の決定的な課題だと思いますよ。だから、林業が振興すれば、限界集落は本当に解消できると言っても過言ではないぐらいの課題だし、逆に、そういう条件と可能性は持っているということで、これは真剣に取り組んでいただきたい。
 林業の問題でもう一つ、担い手確保の取り組みなんですけれども、恐らく農業以上に林業就業者の確保というのは大変な課題になっているのではないか。陸前高田市などでは、市町村独自に取り組みもやっています。また、国の緑の雇用の取り組みもありますが、国、市町村、県の担い手確保の取り組みと現状はどうなっているでしょうか。
〇藤川森林整備課総括課長 まず初めに、国の取り組みでございますけれども、国の補助事業であります緑の雇用担い手対策事業によりまして、新規就業希望者に対しまして、約10カ月に及ぶ現場実践研修を行っているところでございます。平成15年から21年までの7年間で320名を養成したところでございます。
 さらに、財団法人岩手県林業労働対策基金が、基金の運用益によりまして高性能林業機械オペレーター資格など八つの資格を習得できるグリーンマイスター研修を実施しておりまして、中核的な担い手を育成しているほか、新規参入者への説明会の開催、新規就労者を雇用した事業体への奨励金の交付などを行っているところでございます。
 また、市町村の取り組みでございますけれども、先ほど委員からお話のありました陸前高田市におきましては、新規就業者を雇用した事業主に対しまして就労奨励一時金を支給しております。これは約10万円でございます。あと、住田町におきましては、林業退職金共済掛金の助成などを行っているところでございます。あわせて4市町で独自の取り組みを行っているところでございます。
 あと、県の取り組みについてでございますけれども、林業労働力の減少と高齢化が進む中にありまして、本県の林業担い手の確保、育成を図るため、平成3年度に県、市町村、林業団体が出捐いたしまして財団法人岩手県労働対策基金を設立いたしました。県は、基金の総額36億円のうち33億5、000万円を出捐しているところでありまして、この林業労働対策基金の各般の取り組みが、いわば岩手県独自の林業労働力確保対策と考えているところでございます。
 今後とも、これらの対策を通じまして、林業の担い手確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 ぜひ、林業は岩手県の成長産業に位置づけて本格的にやっていただきたい。
 次に、漁業の問題についてお聞きします。
 第1に、第1期地域営漁計画に基づいた漁場の効率的な利用、担い手の育成確保、水産物の販売などの取り組みの実績はどうなっているか。また、どう総括をして第2期地域営漁計画の策定に取り組むのか示していただきたい。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 第1期の地域営漁計画に基づいた取り組み及び第2期地域営漁計画の策定についてでありますけれども、これは、先ほども申し上げましたとおり、18漁協で計画を策定し、実行しているところであります。早どりワカメの養殖施設の効率的な整備、それから、省力化機器の導入による養殖作業の負担軽減、漁業者による直接販売など、各地で意欲的な取り組みが始まっております。
 計画は、実績と課題を踏まえて3年ごとに見直すこととし、平成21年度から順次計画の更新を行っているところであります。その際、漁家経営の向上に向けて、新規種目の生産拡大や意欲ある経営体の規模拡大、それから、やはり同じく漁業者による直接販売などについて指導しているところでございます。
 今後も引き続き、市町村や漁協と連携を図りながら、地域営漁計画の実行支援に努めてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 漁業の担い手育成支援の取り組みですけれども、陸前高田市、宮古市で独自に取り組まれて、きのう、きょうの新聞には、陸前高田市で4名がこの制度に応募したと。宮古市でも5名が新規の就業者に応募していると成果が上がっているようでありますけれども、私は、この取り組みをどう評価して、また県独自にも支援しながら広げる必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 今お話しされましたとおり、陸前高田市、宮古市、この両市において、養殖業の新規就業者を支援する事業をそれぞれ独自に開始いたしました。どちらも今年度からということで、新しい試みだと思っております。
 今言われましたとおり、9人の方々がここで着業されているわけでありますが、今までこういう取り組みは市町村の中でも余りなかった。私は、ここら辺は、県の地域営漁計画、これには市町村もメンバーになっておりますけれども、そういう中で養殖業が非常に厳しい状況だと。平均年齢60歳、将来どうなるのかということを一緒になって考えてきて、それに危機感を抱いた市町村が、こういう取り組みをしたものと思っております。
 県においても、県の場合は、今度、養殖ではなくて沿岸漁業の就業を促進するため、今年度から漁業への就業を希望する方を対象に漁業就業人材育成事業を創設して、現在12名が漁協自営定置の乗組員となって、漁協の正組合員の資格の取得に必要な漁業実績の確保や小型船舶操縦士等の資格取得に取り組んでいるところでございます。
 それぞれ漁業、養殖業、両方連携しながら、どちらも担い手を確保していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 漁業共済への助成の取り組みは、市町村ではどうなっているでしょうか。私は、県も助成を上乗せして行うべきではないのかと。
 ホヤやイシカゲガイなどの共済制度の確立の問題ですけれども、チリ大地震津波のときに、共済制度がなくて大変な被害になったわけですが、これは国会でも取り上げましたが、やっぱり単品ではなくて、こうした単品で共済の対象にならなくても、幾つかかみ合わせた形の共済制度というものを検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、秋サケ、サンマの漁獲量が今年度大幅に減少しました。ことしの見通しはどうなのか。なかなか聞くのも難しいんですけれどもね。
 ヒラメの種苗放流事業の実績、投資効果、今後の見通しについて示していただきたい。
〇五日市漁業調整課長 私からは、漁業共済制度についてお答えさせていただきます。
 漁業共済への市町村による助成の状況についてでございます。カキ養殖につきましては、養殖を行っている六つの市町のうち五つの市町が助成しております。また、ホタテガイにつきましては8市町村のうち6市町が、ワカメにつきましては11市町村のうち8市町村、昆布では8市町村のうち4市町で、それぞれ特定養殖共済の掛金助成が行われているところでございます。
 県の助成も必要ではないかということでございます。県といたしましては、漁業共済は、災害から生産物や漁業施設を守って、漁業経営の安定を図るために重要な制度であるということから、これまで漁業共済組合と連携を図りながら、加入促進のための説明会など、漁業者の加入促進に働きかけてきたところでございます。
 一方で、掛金の支援ということにつきましては、既に国におきまして3分の1または2分の1程度の高率な補助が行われているということなども考慮いたしますと、県としては、なかなか助成というのは難しいのではないかと考えております。
 次に、ホヤ、イシカゲガイなどの共済制度を確立するべきではないかという点でございますが、現在、ホヤ及びイシカゲガイについては、委員御指摘のとおり、共済制度の対象になっていないものでございます。一方で、現在、ホヤ、イシカゲガイにつきましては、養殖対象種としても生産の向上が見られ、特にエゾイシカゲガイについては、近年、急速にその生産量が伸びているというものでございますので、今後、漁業共済組合と連携いたしながら、共済制度の対象となるように国に働きかけることなどについて、さまざま検討させていただきたいと考えております。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 サケとヒラメについて、私から答弁させていただきます。
 まず、秋サケ4万トンの目標見通しについてでありますけれども、県では、秋サケの沿岸漁獲目標を、いわて希望創造プランにおいては、平成22年度の目標を4万トンに設定しておりましたが、過去10年の平均沿岸漁獲量が2万6、000トンと低迷していることから、昨年12月に策定いたしましたいわて県民計画において、平成22年度の沿岸漁獲目標を3万トンに下方修正したところであります。
 今年度の沿岸漁獲量につきましては、水産技術センターによれば2万4、000トン程度と予測しておりますことから、予測どおりであれば、この3万トンの目標達成についても難しいものと考えております。
 これから本県の秋サケ漁の盛漁期を迎えますことから、今後の漁獲量の状況を注視してまいりたいと思っております。
 それから、ヒラメの種苗放流事業についてでありますけれども、ヒラメの種苗放流事業は、平成13年度から毎年110万尾の種苗放流が継続され、県内の各浜に放流されております。
 事業の効果につきましては、放流したヒラメの回収率の低迷やヒラメの水揚げ単価の下落により、投資効果が低迷しているところではありますが、ヒラメの漁獲量は放流前に比べて増加しております。一定の効果が発現しているものと認識しております。
 しかしながら、漁協や市町村から投資効果等を改善するための事業の見直しを求められていることから、現在、見直し案について関係者と協議を進めております。協議はおおむね順調に進んでおりまして、今年度には新たな放流事業計画を策定し、来年度から実施できるものと考えております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますが、カキの品質に関する調査が山田町で平成18年から20年にかけて行われました。その結果と今後の課題、取り組みについてお聞きしたい。
 また、カキ、ホタテ、ウニの貝殻等、漁業系廃棄物の活用策はどのように行われているか示してください。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 まず、カキの品質調査結果と今後の課題、取り組みについてでありますが、平成18年度から20年度にかけて県と山田町で実施いたしましたカキの品質に関する調査から、9月から1月の出荷盛期は、カキ殻の大きさ、重量ともほぼ一定であるが、身入りについてはばらつきがあること、それから、グリコーゲンの量は─これはうまみ成分になりますけれども─成熟率が低下する春に増加する傾向にあること等の結果を得たところでございます。
 この得られた結果から、自主的な出荷基準の設定や出荷時期等について養殖業者等で検討がなされ、出荷盛期のカキよりも、身入りや味ともにすぐれている春の時期に焼きガキを提供するカキ小屋の出店につながるなど、成果が出ております。
 県といたしましては、県内において、春の時期のおいしいカキの販売促進について支援してまいりたいと思っております。
 それから、貝殻等漁業系廃棄物の活用策についてでありますが、漁業系廃棄物のうち発生量の多いカキ殻につきましては、年間発生する6、000から7、000トンのうち半数の3、000から4、000トンが、養鶏用の餌料や果樹園、牧場等の土壌改良材などに利用されており、また、ワカメ、昆布等の残渣につきましては、年間に発生する6、000から7、000トンのうち約4、000トンが、アワビやウニの漁場に投入し、えさとして利用されているところでございます。
 県といたしましては、今後も、これら漁業系廃棄物の活用を促進するため、引き続き県漁連等関係機関と密接に連携しながら、漁業系廃棄物再資源化現地研修会を開催し、漁業関係者に対して再資源化に関する啓発普及を図るとともに、漁業系廃棄物の堆肥化など、農畜産分野での有効利用を一層促進するほか、壁材など新規リサイクル製品の開発などの取り組みも支援してまいります。
〇三浦陽子委員長 ほかにありませんか。
〇伊藤勢至委員 県北・沿岸振興、特にも沿岸振興につきまして、水産振興は重要な点でありますので、2点ほどお伺いいたしたいと思いますので、お疲れだと思いますが、おつき合いのほどお願いいたします。
 沿岸地域における農林水産業の純生産額を見ると、平成19年の純生産額336億円のうち、水産業は212億円とその63%を占め、まさに沿岸域においては、水産業が地域を牽引する重要な産業であると言えると思っております。その水産業を振興していく上において、県では、サケ、アワビの増殖に努めるとともに、ワカメ、カキなどの養殖業を積極的に支援し大きな成果を上げてきたところであるのは承知しておりますが、今後さらなる支援により、沿岸地域の活性化を進めてほしいと考えておりまして、そこについて2点ほどお伺いいたします。
 まず、アワビの密漁防止について、きのうも県警のほうで伺ったのでありますが、それが一つと、それから、もう一つは、沿岸振興に避けて通れないサケの問題について伺いたいと思います。
 きのう県警のほうに伺いましたのは、平成4年からアワビの密漁対策取り締まりの現職警察官を派遣してもらっておると。これが非常に大きな抑止力になっているということから、水産関係、漁業関係の方々からは、平成22年、間が2年ぐらい休んだときがあったようでありますが、今後もこの派遣を継続してもらいたいという要望があったところでありまして、これを伺いましたところ、継続をしていくということを伺ったところでありまして、よかったと思っています。
 さらに、あと一人の増員をお願いしたのでありますが、検討していくということで、期待をして待っていたいと思っております。
 その中で、このアワビにつきましては、漁獲をされておる量の倍ぐらいが、つまり同じぐらいが密漁で消えてしまっているのでないかとも言われておりますので、それを防止することは、即、沿岸の所得向上につながると思っておりまして、県警のほうには、聞こうと思いましたが、やめて、こっちで聞こうと思ったんですが、県警は、聞かない前から答えてくれまして、これは相当やる気があるなと思っていたんですが、実は、青森、岩手、宮城、あるいは福島も入るのかもしれませんが、合同でこの対策に乗り出していただいたほうが効果があるのではないか。
 何となく岩手県の海に入ってきてアワビを密漁した船を追いかけて、他県の海でつかまえるのが、何かいろいろあるらしいものですから、そういったことをなくして4県なり3県なりが共同でやる。そしてまた、水産庁と、あるいは海上保安庁、そして警察が3県なり、4県なり、そしてこの3県なり4県なりの水産関係者が一緒になって合同でやることが必要だと思っておりまして、これまでにも何回か大きな成果を上げてきているようでありまして、そろそろまたこの時期に、漁民を元気づけるためにも、特にも皆さんが心配していただいていましたサンマも余り芳しくありません。また、サケも、何となく先行き不安な元気がない状況。こういう中で、アワビがまたどうなるかわかりませんが、漁民の皆さんがやる気を失わないように、大きな盗人をとっつかまえて、ようしという気持ちを持っていただくことは大事なことだと思うのでありますが、そろそろやってもいい時期ではないかと思うんですが、まず、この点について伺います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 近隣の各県と合同で密漁の取り締まりを行うべきではないかということについてでありますけれども、現在も発生するアワビ等の密漁につきましては、暴力団関係者が関与するなど、広域化、悪質化し、漁業生産活動に影響を及ぼす問題となっております。
 このため、岩手、宮城、青森の3県では、アワビ等の密漁を撲滅することを目的として、海上保安部、それから、それぞれの県の警察本部、それから、3県の水産主務部及び県漁連等の関係者が連携した活動を行うため、平成4年7月にあわび等密漁撲滅連絡協議会を設立し、毎年、各機関及び関係団体の密漁対策の取り組みの状況報告や情報、意見交換を行っております。こうやって組織的な密漁の摘発に向けて取り組んでおります。
 本県の取り締まり体制といたしましては、県漁業取締船を初め、警察の警備艇や海上保安部の巡視艇、漁協の監視船と密接な協力体制を整えており、さらに、県北地域においては、県漁業取締事務所の久慈臨時事務所の開設により、青森県側から侵入する密漁船の取り締まりや夜間取り締まりの強化を図っております。
 また、県南海域では、宮城県側から密漁被疑船の出現隻数が増加傾向にあることから、宮城県監視船と連携し、組織的グループによる密漁に対しての取り締まり強化に取り組んでおります。
 発生事案ごと、必要に応じて所管海区の海上保安部や各県の警察等と合同あるいは連携して、密漁の摘発に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、このような形での関係機関や漁業者との連携を一層強化し、アワビ密漁の取り締まりに厳正に対処してまいります。
〇伊藤勢至委員 いよいよ11月からアワビの口あけが迫ってきていますので、ぜひこれにかけたいという漁民の皆さんの気持ちは大なるものがあると思いますので、そういった気持ちをなえさせることがないように、ぜひトータルな関係で取り締まりを強化していただきたいとお願いしておきたいと思います。
 次に、サケについてお伺いしますが、私も初当選以来、ずっとこの問題についてはいろいろ勉強させてもらってきましたが、このごろ、このサケについて、県の水産部にどうせい、こうせいということをなかなか言えない、お金の流れが変わってきた部分があると思うんですね。その辺についてちょっと御説明を願いたいと思います。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 今、県のサケに対するお金の流れ、これは、施設整備、それから稚魚放流に関することであります。このサケ資源の増大につきましては、私が入った昭和53年あたりはわずか数百トンぐらいの水揚げだったのが、私が入ってしばらくしたら、3万トン計画というものを立てて、私もびっくりしたわけですけれども、その取り組みのために施設整備を国庫、それから当時は県費も上乗せして整備してきました。それは昭和55年前後になるかと思います。
 その間、サケ稚魚につきましては、県が買い上げという制度で県費、国費も入っているんですけれども、これで買い上げして、各漁協がやっておりますふ化場で稚魚生産し、それを放流するわけですが、その放流のときに稚魚の買い上げという形でやっておりました。
 それが、平成19年度になりまして、その買い上げ制度から、県は、放流への補助と施策の転換をいたしまして現在に至っているわけであります。当時、最大では、かなり大きな金額だったわけですけれども、現在は、予算は8、700万円ぐらいになっておりまして、ここのところは、県がこういうふうにやめたところで、水産庁から、さけ・ます増殖協会というところに直接買い上げ費が流れて、国のほうも、県にお金を出せなくなって、じかにやった。
 それが、来年度の国の予算要求の状況を見ますと、放流費補助が、今の予算の概算要求の中でかなり減額しそうだということ、それから、施設整備は、大きなふ化場施設、水槽などは国の交付金を使ってやってきておりましたけれども、それも来年度ちょっと大幅に減額になりそうだというところであります。
 県単のほうでは、施設の整備はポンプとか排水管とか、そういうもの、国の事業にのらないものを対象としてやってきております。施設の整備と稚魚の放流、ここら辺がサケについての大きなお金の流れということになります。
〇伊藤勢至委員 そうすると、県がサケの回帰率向上等に関与していく部分はウエートが少なくなってきて、あくまでも国のお金を使っていかなきゃないということになります。そうすると、たしか、平成9年ごろは7万3、000トンの漁獲量だったと思っておりましたけれども、今はもう3分の1です。したがって、そういうところに戻すことは仮に難しいとしても、今おっしゃる3万トン計画を達成していくためには、やはりある程度県も独自の予算を確保しながら支援をしていかなければ難しいということになるわけだと思うんですが、沿岸の議員の先生方、それから県北・沿岸振興議員連盟の先生方の御支援もいただきながら、岩手県の有力な水産資源としてのサケの資源をふやしていくということについて応援をいただきながら、当局にもぜひこれを頑張っていただきたいと思います。
 それから、サケなんですけれども、7センチぐらいにふ化養殖されたものを海に放してやる。4年から6年かかって、60センチから70センチに成長して帰ってくる。ところが、4年なり、5年なり、6年なり、多分、千島海峡を経てオホーツク、アリュウシャン、あるいはカムチャツカ、そして千島列島を南下して北海道沿岸に帰ってくると言われていますが、どこの海域で何センチに成長しているかという資料が全然ないんです。今から30年前に商業捕鯨、つまり鯨をとることが禁止されまして、現在は調査捕鯨が行われております。そういう中で、昨年ですけれども、北方系のミンククジラ60頭を捕獲して胃袋の内容を調べたところ、ほとんどがスケソウダラ、あるいは別な資料によりますと、サンマであるとかスルメイカでありますとか、そういったものが胃袋の中に入っているんですが、15センチあるいは30センチのサケが捕食されたという形跡が、これだけだと見えないんです。したがって、どこの海域でどのぐらい成長してきているかというのが全くわからない話でありまして、たしか、平成10年度が世界海洋年ということから、人間と海という海洋会議を岩手県で開きまして、その際に、この部分も取り上げていただいて、国において調査をしてもらおうということになってきたと思うんですが、その中間報告があってもいいと思うんですけれども、これをまだ聞いたことがありませんので、どういうふうになってきているか、そういうことも調査しないと、放流してやるほうだけ一生懸命やっても、どういう生態系で、どこで消滅しているのがわからなければ、帰ってこないということにもなろうと思うんです。たしか、どこかの大学の先生に依頼して調査をしていたのではないかと思うんですが、その後、どんな報告あるいは調査になっているか、おわかりでしたら教えてください。
〇寺島技術参事兼水産振興課総括課長 大学の先生の話はちょっとわからないんですけれども、国のほうで2002年あたりから鯨の胃の内容物の調査をやっているんですけれども、海域が広い中で、時期も限られていて、いろんな調査をやっているわけですけれども、必ずしもサケの、さっき言われましたオホーツク、カムチャツカ、あそこらに行く時期の調査というものはあるのかどうか、ちょっと私も把握はしておりませんが、いろんな調査の結果の中では、さっき委員が言われたとおり、スケソウダラが6割とか、サケも若干入っていたという報告もあります。それは成魚の話のようでありますけれども、そういう小さいサイズのものについては、ちょっと私のほうも把握しておりません。そこら辺は、もしあれば、調べてみたいと思いますし、なければ、そこら辺のこともいろいろ水産庁のほうにも要請してみたいと思います。
〇三浦陽子委員長 ほかに質疑がないようでありますので、第2部林業、水産業関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後5時24分 休 憩
午後5時37分 再開
〇三浦陽子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、第3部森のトレー事案関係の質疑に入るわけでありますが、世話人会の申し合わせにより、指名、発言に当たっての当該委員であることの制限等は行いませんので、御了承願います。
 この際、執行部より発言を求められておりますので、これを許します。
〇小田島農林水産部長 既にお配りいたしておりますいわて森のトレー事案報告書につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 報告書の構成についての説明は割愛させていただきまして、早速、内容の説明に入らせていただきます。
 まず、1ページをお開きいただきたいと思います。目次の次のページでございます。I、はじめにでございます。4段落目にございますとおり、本事案につきましては、平成16年3月にいわて森のトレー事案検証報告書を作成しておりますが、今回の報告書は、その16年の報告書を引き継ぐ形で、1、国庫補助金返還と延滞金免除、2、組合を原告とする訴訟への支援、3、国、久慈市との関係のてんまつを明らかにするとともに、県としての今後の対応を報告するものであります。なお、参考といたしまして、36ページに16年報告書の概要を添付してございます。
 次に、IIの概要等についてでございます。2ページでございます。16年の報告書で既に明らかにしてきたことを、ここ以降は整理をしたものでございますので、説明を割愛させていただきます。
 なお、6ページまでずっと割愛させていただきまして、6ページの上段、(3)検証報告書と職員の処分等であります。②職員の処分等にございますとおり、今般の事案における県の責任につきましては、平成16年3月に職員10名に対する処分を行うとともに、平成17年4月からは、知事等三役の給与の減額措置が行われたものであります。
 次に、7ページ、IIIの取り組んだ主な内容でございます。1の事案のスキームにつきましては、既に御説明してきたとおりでございますので、省略をさせていただきます。
 8ページの国庫補助金返還と延滞金免除のうち、(1)補助金返還命令と1/3先行返還につきまして、③にありますとおり、国からの補助金返還命令を受け、県は平成15年11月4日付で―これは補助金の返還期限だったわけでございますが―補助金返還期限の延長を申し出、あわせて、補助金返還については、その3分の1を、組合からの回収を待たずに、県、久慈市が返還する考えであること、残額については、組合による機械納入業者に対する損害賠償請求訴訟で回収する考えであることを申し出たものであります。
 その後、④にありますとおり、11月25日の増田前知事と林野庁長官との協議の際、林野庁長官から、補助金の一部返還、その後の訴訟による補助金の回収に最大限の努力をすれば、延滞金の免除について林野庁としてできる限りの対応を行うとの考えが示されたことから、3分の1分について、申し出どおり先行返還いたしました。
 その後は、(2)の③にありますとおり、下のほうでありますが、訴訟により返還金を回収するために全力で訴訟支援を行ってきたものであります。
 次に、(3)2/3(全額)返還でありますが、①にありますとおり、平成19年12月に林野庁から、これまで県において本件訴訟を人的、予算的に支援してきた措置及び可及的速やかに未返還金全額を返還することによって、延滞金の免除が可能と見込まれる事情が存在すると考える旨の提案がありました。9ページをおめくりいただきまして、③にありますように、県といたしましても、延滞金が累積する状況の中、アとして、国にも責任の一端があるとして、繰り返し協議し、補助金返還免除を要請いたしました。また、イとして、3年間の分割返還とその間の延滞金の免除を要請いたしたところでございます。
 この県の要請に対しまして、林野庁は、④のアにありますとおり、補助金適正化法に基づきその全額返還を命令するものであり、賠償金が返還金に満たない場合であっても、返還金の一部を免除すべき事由が生じるものではなく、全額返還が必要であること、イにありますとおり、未返還補助金全額を3年の間に返還することを前提に、延滞金の免除は可能であるといった通知がございました。
 そして、⑤のア、イ、ウに書いてございますが、補助金本体の返還免除は認められないものの、延滞金累積のリスクの解消や延滞金の免除の措置などが可能となるとの理由から、将来の新たな負担等を生じさせないための判断として、平成20年度から3年分割で未返還金全額を返還することといたしました。次のページでございますが、⑦にありますとおり、なお、訴訟による返還金を回収するという基本的スキームに変わりはなく、県はこれまでどおり、久慈市とともに訴訟による回収に努めることといたしました。
 なお、延滞金につきましては、(4)の延滞金免除にありますとおり、去る9月17日付で約5億2、600万円が免除となってございます。
 次に、11ページの3、組合を原告とする訴訟への支援についてであります。(1)の目的につきましては、最後の段落にございますとおり、主たる目的は補助金返還金の回収であり、あわせて国から延滞金の免除を認めてもらうための措置でありました。
 少し飛びまして、(2)体制・支援中、12ページの下段のほうにございます③県の支援内容につきましては、ア、原告への支援といたしまして、平成21年度末までの組合の訴訟費用約1、300万円を、県7:久慈市1の割合で負担してまいりましたし、補助参加人への支援も行ってきたところであります。
 少し飛びまして、14ページの上段、(4)訴訟の内容についてでございますが、①本訴、アの請求の趣旨は、債務不履行に係る損害賠償請求、イは25億4、700万円余の請求額でございます。
 次に、下段の(5)経過でございますが、平成16年3月3日の訴訟提起後、次のページまで参りして、23回の弁論準備手続、5回の口頭弁論を経まして本年5月7日に結審、9月17日に判決の言い渡しがあったところでございます。
 16ページ以降は飛ばさせていただきまして、19ページの(8)の判決に参りまして、上段の主文のところに書いてございますが、原告の請求を棄却するということでございました。
 20ページに参りまして、②の証拠書面の重要性であります。7行目後半からになりますが、裁判所は、このような規模の事業においては、合意事項を書面化することが通常であるとの認識のもと、書面の有無にかかわらず合意が成立したとする原告の主張を退けております。また、裁判所は、トリニティ側が証拠として提出したトリニティの作業員が作成した打ち合わせ議事録について、理事長や専務の説明を記載したものと認定できるとし、これに反する証人の供述は信用できないと断言しているものであります。原告側は、証拠書面の不足を関係者の証言等で補うことに努めたものでありますが、書面の存在を重視する裁判所には結局受け入れられなかったものであります。
 これに対しまして、原告側は、(9)控訴の是非にありますような検討を経て、最終的に一審の判断を覆すことができるような新たな証拠の提出は困難と判断し、控訴断念に及んだものでございます。
 おめくりをいただきまして、最後に、(10)中、23ページにあります④今後に活かすことでございます。従来、林業構造改善事業において、補助事業者が他の事業者との間で、補助対象の施設、設備等に係る売買契約などを締結する場合、県は、関係規程上も、その契約内容に立ち入って確認、指導すべきとはされていなかったものであります。しかし、本事案をかんがみますと、補助事業者の契約内容の確認等に係る要領改正等を行うなど、再発防止策を講じる必要があると考えております。
 次に、24ページでございます。IVの国、久慈市との関係であります。
 まず、1、事業計画策定と補助金交付につきましては、下の図にもございますとおり、事業実施に当たりましては、組合が久慈市、久慈市が県に実施申し込みを行います。この実施申し込みに基づき県が計画を策定し、林野庁に協議してその承認を受けております。
 こうした中、24ページ下段の囲みの国の計画審査の問題点にありますとおり、本事業の計画策定は非常に短時間で拙速に行われ、県の計画協議書の提出日と国庫補助金の内示日が同じであり、国においても詳細な計画審査が行われたかどうか疑問な点があります。また、日付のさかのぼりがあるなど、計画同意等に手続的な瑕疵も見られます。このため、補助金返還に係る国との協議では、国にも責任の一端があることを再三にわたって主張したところであります。
 次に、25ページの中段でありますが、2の補助金適正化法における補助金返還の仕組みでありますが、補助金適正化法では、事業主体に義務違反や法令違反があった場合、仮に県が適切に指導監督を行っていたとしても、国は、国から直接補助金の交付を受けている県に対して、補助金の交付の決定を取り消し、返還を命令するという仕組みになっております。この場合、どれだけの額の返還を命じるかについては補助金適正化法には一切の規定がなく、すべて国の裁量に任されております。また、返還命令の取り消しや延滞金の免除につきましても、専ら国の裁量にゆだねられております。26ページの中段に記述いたしておりますとおり、このように、補助金適正化法におきましては、事業主体の義務違反や法令違反の責任は県が負い、基本的に国は責任を負わない制度となっております。したがって、本事業が、事業計画また変更計画策定の協議を初め国とも協議を重ねながら進められてきたにもかかわらず、会計検査院の指摘を踏まえた補助金適正化法に基づく返還命令であることを根拠に、国は一切その指導監督責任を認めず、補助金返還金の免除に応じなかったように、現行法令下において国の責任を問うことは困難な仕組みとなっております。同じページの下段に記述しておりますとおり、したがいまして、現行制度下においては、一たん、会計検査院により不当事項として指摘され、補助金適正化法に基づき補助金返還を命ぜられると、国の責任を理由にして免除を求めても、その実現は極めて困難であります。会計検査院の指摘に対しては、適時に事業関係の調査や法的な検討を十分に行い、国のかかわりや責任などにつきましても、主張すべきことはしっかりと主張することが重要であると考えております。
 次に、27ページの中段であります3の久慈市の本事業へのかかわりについてでございますが、(1)から次のページの(4)までにありますとおり、本事業の実施に当たりまして、久慈市のかかわりは、事業の実施や完了確認調査など一部に限定しているものでございます。(5)国への1/3先行返還に当たりましては、県7:市1の割合で負担することで合意したものであります。また、(6)国への2/3返還の際には、ア、久慈市が訴訟で返還金を回収するという基本スキームは変わらないものであり、まずは訴訟に全力を尽くしていただくこと。イ、その上で、国への返還金及び県補助金に係る久慈市の負担につきましては、訴訟終結の段階で最終的な整理をするということを基本的な考え方とし、県としましては、その基本的な考え方に基づき、久慈市が訴訟による補助金回収に尽力して、回収に最大限努めた場合には、国への追加返還部分と県費補助分に係る久慈市の負担は求めない方針としたところであります。下段、(7)訴訟への取組みにありますとおり、久慈市は訴訟参加し、その後開催された5回の口頭弁論と23回の弁論準備手続のすべてに参加するとともに、裁判外でも組合を支援する県と連携、協力し、原告側関係者打ち合わせや訴訟準備書面の作成、資料収集などを通じて、全力で組合の訴訟支援に当たってきたところであります。
 次に、30ページ、Vの今後の対応であります。
 まず、1、再発防止に向けた取組みについてでありますが、(1)これまでの取組みにつきましては、平成16年以降、①から⑦までの再発防止策に取り組んでまいりましたが、説明は省略させていただきます。
 次に、31ページ、(2)今後の取組みでありますが、今回の判決結果を踏まえまして、新たに、①機械施設導入の際の契約関係書類の確認、指導等の措置、②市町村における事業計画策定段階での実施要件審査の徹底を行うこととしております。また、こうした再発防止策につきましては、全庁的に情報共有を図り、農林水産部のみならず県全体で取り組んでまいります。
 次に、中段の未回収債権の取扱いについてであります。(1)補助金返還金に係る未回収債権の状況につきましては、県の久慈市に対する債権額が14億8、000万円余、久慈市の組合に対する債権額が約15億3、000万円余となっております。これに対しまして、(2)組合の資産等の状況は、32ページの②のとおり、組合のすべての土地、建物、機械、車両等の施設には、金融団が10億8、000万円の抵当権を有しております。また、③事業中断後の決算の状況を見ますと、負債額が資産額を約1億4、000万円上回っている状況にあります。(4)でありますが、こうした未回収債権への対応でありますが、32ページの下段に記載しておりますとおり、まずは組合が、現時点での資産や債権債務の状況を整理し、優先債権を有する金融団を含むすべての債権者等との話し合いを行い、その上で久慈市が債権回収できるかどうかを見きわめることが必要でありますし、県としても必要な助言を行ってまいります。
 次に、33ページの国、久慈市に対する今後の対応についてであります。
 まず、(1)国に対する今後の対応についてでありますが、国との関係につきましては、これまで御説明いたしましたとおり、国とも協議を重ねながら本事業が進められてきたにもかかわらず、会計検査院の指摘を踏まえた補助金適正化法に基づく返還命令であることを根拠に、国はその指導監督責任を認めず、補助金返還金の免除に応じなかったものであります。今後、現行制度下で事業実施するに当たっては、このような国庫補助制度の根本を踏まえ、国、県それぞれの責任を明確にしながら取り組んでいくことが重要でありますし、現行の補助金適正化法では、国の指導監督責任が規定されていないなどのため、県の主張には限界がありました。このような補助金制度の課題につきましては、しっかりと国に伝え、制度の改善につきましても提言や働きかけを行っていく必要があります。さらには、現在、国において、ひもつき補助金の一括交付金化などが検討されておりますが、こうした制度改正により、地方がそれぞれの実情を踏まえ、自立的、自主的に判断し、その結果についても地方が責任を持って対応するといった仕組みに改められるよう、国に提言や働きかけを行っていくことも重要だと考えております。
 次に、(2)久慈市に対する今後の対応でありますが、①今後の事業実施につきましては、2段落目の中ほどに記載のとおり、県と市町村は、重要なパートナーとの認識のもと、その役割と責任を明確にした上で取り組んでいく必要があります。また、次のページでございますが、②補助金返還金の負担でありますが、今後の未回収債権への対応につきましては、既に御説明いたしましたとおり、組合が現時点での資産や債権債務の状況を整理し、その上で久慈市が債権回収できるかどうかを見きわめること、したがって、組合からの回収が可能と判断される場合は、久慈市にその回収に努めていただくということが原則であります。
 一方、平成19年度におきましては、補助金返還金の残額3分の2を返還することとした際には、久慈市が訴訟による補助金回収に尽力し、回収に最大限努めた場合には、国への追加返還部分及び県費補助分に係る久慈市の負担は求めない方針としたところであります。これまで久慈市は、訴訟を通じて補助金回収に最大限努めてきたものと認められますことから、今後相当の事情変更がない限り、久慈市の追加負担は求めない方針で臨むこととしております。
 最後でございます。35ページ、VIのおわりにでございます。2段落目以降でございますが、補助金返還と延滞金免除に係る国との協議、また、組合を原告とする訴訟への支援は、県民負担を最小化する取り組みでありました。しかしながら、今般、訴訟において組合の請求が棄却され、控訴を断念したことで、組合から補助金を回収する見込みがほとんどなくなったということにつきましては、大変残念なことと真摯に受けとめております。こうした結果を踏まえまして、この事案を決して風化させることなく、職員一人一人がその重さを真に受けとめ、今後、二度とこうしたことが発生しないように、再発防止に万全を期すこととしております。
 最後の部分になりますけれども、一番下の段落でございますが、県として、職員一人一人が真剣かつ誠実に業務に取り組むことが必要であります。こうした職員一人一人の地道な取り組みと成果の積み重ねにより、本県行政、とりわけ農林水産行政の信頼回復に努めてまいりますことをお約束いたします。
 以上で報告書の説明を終わります。よろしくお願いいたします。
〇宮舘副知事 森のトレー事案に関するこれまでの県議会での御審議を踏まえまして、訴訟結果を含む本事案のてんまつについて、県として、早い時期に増田前知事にお伝えすることとしておりましたが、去る10月15日、東京都内におきまして、私と小田島農林水産部長が前知事にお会いいたしまして、当該事案について説明した上で、御本人の考えを伺ってまいりましたので、その結果について御報告をいたします。
 初めに、森のトレーの裁判結果や控訴断念に至ったことなどをお伝えした後、森のトレー事案につきまして、その概要、訴訟の経過、裁判結果と控訴断念の理由、延滞金の免除など、大きく4点について当方から説明をいたしました。その後、訴訟提起に至った考え方や敗訴に対する責任などについて、前知事のお話を伺ってまいりました。
 まず、訴訟に至る経過及び判断についてでありますが、前知事によりますと、訴訟により補助金を回収するという考え方は、事務方である農林水産部から上がってきたと記憶しているが、とにかく訴訟を起こして補助金全額を回収するという考え方で行ってきたものであり、時間稼ぎであるというふうな意識はなかったということでございます。
 それから、訴訟を起こす以上は勝つ思いで取り組んできたし、それは裁判で主張したのと同じ論拠だった。そのため、久慈市にも応援体制をしいたし、県としてはやれるだけやってきたと考えているということでございます。
 また、訴訟における請求額25億円余の一部は二重請求ではないかということについては、事業全体がだめになったことを考えますと、27億円の全体事業費の内数でもあるし、課題だとは考えていなかったということでありました。
 次に、訴訟目的が延滞金免除のみにあったのではないかという指摘についてでありますが、総務大臣のときの記者会見で延滞金免除について質問されたので、損害賠償請求訴訟を行うことがそれにもつながるというふうに答えておりますが、訴訟は、県民負担の軽減を図るため、補助金全額を回収する意図で行ってきたものであり、また、その努力自体が延滞金免除につながったと考えているという説明がございました。
 次に、敗訴の政治的、道義的責任についてでありますが、この森のトレー事業自体がうまくいかなかったことについては責任を感じている。それから、訴訟を提起したときの県の責任者としては、勝ってほしかったし、勝つために努力したと思っているが、敗訴については残念であり、重く受けとめているということでございます。
 それから、今後、県民負担が生じるであろうことにつきましては、大変申しわけなく思っているということでした。
 それから、私の政治的、道義的責任については、これも大変申しわけないというお話でございます。
 最後に、国との関係についてでありますが、この事案のみで補助金適正化法に係る制度的な問題を国と争うようなことは難しいと思うが、この案件は、補助金行政のあり方、林野庁の指導のあり方の弊害の一つではあると思うということでございました。
 以上で、増田前知事との面会結果についての御報告を終わらせていただきます。
〇三浦陽子委員長 これより質疑に入りますが、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 本事案につきましては、今回の決算特別委員会の冒頭の総括質疑で私も取り上げさせていただいたところであります。その際、当時の最高責任者であった増田前知事にこのてんまつを報告、そしてこの判決も報告し、見解を求めるべきだということをお願いして、今、副知事から聞いたところでございます。
 そこで伺いますが、我が日本は法治国家でございます。そして、官であれ、民であれ、原因者負担ということがすべての根幹にあるものと思っております。したがいまして、現職ではないとはいえ、当時の最高責任者である前知事には道義的責任は当然残っていると思っておりましたが、今の報告ですと、申しわけなく思っている、あるいは重く受けとめている。重く受けとめているというのは、いわゆる為政者の常套句であります。じゃ、何キログラムに、何トンの重さに受け取っているんだと聞きましたか。増田前知事は、3期12年やった結果、5、000万円掛ける3年分の1億5、000万円の退職金を持っていっているんですよ。この道義的責任、あるいは重く受けとめているというのをお金に換算したらば、少なくとも1億円やそこらにはなるんじゃないでしょうかと私は思うのでありますが、重く受けとめる重さというのは何円ですかと聞きましたか、当人に。
〇小田島農林水産部長 この点につきましては、政治的、道義的責任全体について幾つかお答えがございまして、その中に、非常に重く受けとめているというおお答えがあったわけであります。それについて、どのぐらいですかというような質問は、大変恐縮でありますが、当方からはいたしてございません。
〇伊藤勢至委員 やれねべと思ったけども、聞いているんですがね。
 ところで、この判決でございますが、これは前にも言いましたけれども、まさに100:0の判決でございます。そして、これに関連いたしまして、今回のてんまつ書といいますか、報告書の2ページの中段ですけれども、敗訴原因、やっぱりここにこの問題は凝縮していると思っております。つまり、この仕事をトリニティ工業に発注する際の入札における注文書あるいは仕様書といったものが完全にしっかりとそろっていなかった。ここに重大な瑕疵があると思っております。
 部長、ちょっと、そっちはいいから、聞いていて、おれのお話を。
 それから、あなた方は岩手県という組織体の中にありまして、岩手県は7、500億円の予算を持っている集合体だと。したがって、民間と訴訟を起こしても、今まで大概の場合、訴訟を起こすといった場合に、民間のほうが異論があって、おれのほうが正義があると思っても、金がないから、長い訴訟に耐えられないから我慢をしてきたという経緯があって、そういう上にあなた方の気持ちがなっているんだと私は思っています。つまり、民間を甘く見ている、なめている。おれのほうが権利が重い、そういうふうに思っているんだと思います。
 一つの事例なんですけれども、ふれあいランド岩手の件がございました。あれは当時の、尊敬する村上恵三先生が、地元の問題として土地のあっせん等を一生懸命やってきて、あそこに立地してもらった。そのときの条件は、地権者の方は、まとまったところを1カ所、どこかにあっせんしてくれということでやってきたわけでありますが、県当局がやってきたのは、あそこに100坪、ここに200坪、そんなことでやってきたんですよね。それはおかしいと村上先生がこの場で随分やり合ってきました。そうしたところ、最終的に当時の副知事が言ったのは、だったら訴訟しますか。このせりふに村上先生はますます怒って、それは絶対そっちに非があると私は思ってきました。
 したがいまして、そういう気持ちがあなた方の中にはある。つまり、トリニティ工業という民間会社だというなめた安易な考えが一つあった。トリニティ工業といいましたら、いわゆる世界のトヨタの系列会社であります。恐らく2兆円産業といってもいい会社ですよ。岩手県を7、500億円の会社としても、3倍以上の会社ですよ。しかも、アメリカとかヨーロッパで、クレームの問題とか、そういったことで弁護士社会の中でどんどん弁護の戦いをやってきた連中、そういう優秀な弁護士がついているわけでありまして、そういったところをあなた方は評価をしないで、相手の力を見ないで、訴訟に持ち込めば簡単に勝つと思ったのだと私は思うんです。敵を知りおのれを知れば百戦危うからず、孫子の兵法から全く外れている。岩手県という権力体が訴訟を起こせば絶対勝てる、そういうふうに思った結果がこの100:0の判決。そして契約書の不備、1年生の弁護士でも絶対突いてくるところですよ。注文書の中に、寸法、仕様、重さ、形状、そういったものがうたわれていない場合は、あなた方が、庄内鉄工がつくったこんなものをつくってくださいという、そんなものはないのですよ。あるいはこう言った、向こうはそう思った、多分やってくれると思った、そういうものは全然裁判にはならないんです。つまり文書があるかどうか、それによって、どっちが瑕疵があるか、それをやるのが裁判だと思っているんです。
 そういう中では、あなた方は今までに、裁判に持ち込めば絶対自分たちが勝てるという安易な考えがあって、相手を調べる前に安易に臨んでしまった。だから、こういう100:0の判決になってしまったと私は思いまして、それは、ごめんなさい、重く感じています、二度としないように注意しますという言葉だけでは済まないと思っております。やはりこれは、一罰百戒ということではないんですけれども、今までにそういう土壌があったんだということをまず改めるところから始まりませんと、今後の、いろんな意味で、こっちに分がある訴訟であっても何でもやっていけない。やはり最終的には弁護士対弁護士の力量関係というのもあるんですよ。そういう中において、今回は……(「質問、質問」と呼ぶ者あり)質問をしています。ありがとう、応援だべ。
 だから、そういうことを言ったときに、完全にこれはごめんなさいでしたでは済まない問題があると思うのでありますが、斉藤委員が言っているから質問しますが、2ページの(3)について、こういう反省文的なものを書いていますけれども、今言いました背景の部分も含んで、どういうふうな思いでこれを書いているんですか。
〇小田島農林水産部長 まず、県がいわゆる権力体として民間を甘く見ていたのではないかという冒頭の導入がございました。そういう意識で仕事をしたわけではありませんが、もし、そういうことについて外の皆様方から、委員の先生方も含め、誤解を受けるようなことがあれば、襟を正し、深く反省したいと思います。まず、それは冒頭のお話でございます。
 今回の訴訟についてでありますけれども、これは、トリニティ工業が民間だから、公が応援することによって勝つというような感覚で裁判に臨んだものではなくて、いわゆる結果として、実際に私自身は今回初めて現場に行ったわけですが、膨大なトレーの残骸がございました。不良品の残骸があって、それは、恐らくその当時でももっとあったかと思います。そういうトレーが発生していたということ、その生産量というのは目標の1.5%にしかすぎないというようなこと、それから、会計検査院による機械の不具合についての指摘等々、さまざまな現象から見て、これは、どう考えても必要とする製品を納品できなかった機械業者に問題があるのではないかと考えたものでありますし、契約書は、本当に今となってみれば返す返すも反省するわけでありますが、非常に簡単なものでございまして、事業の目的ですとか、あるいは発注の趣旨ですとか、そういうものを契約書あるいは仕様書以外のいろんな証言によって補えるのではないかということで訴訟に臨んだものでございます。そういう形で訴訟を行ってきて、100対0の敗訴になったということは非常に残念であります。
〇伊藤勢至委員 今いるあなた方が、当時、その部署にいたかどうかはわかりませんけれども、やはり組織体というのは無限軌道、建設機械で言うとブルドーザーのキャタピラーですよね。無限でつながっているんだと。だから、あなた個人が憎くて言っているわけではありませんが、組織の中でどうしても瑕疵があったということは、議員の一人として、これはきつく指摘をしておかなきゃならない。
 そして、結果として、済みませんでした、ごめんなさい、県費をもってこれを補いますということについて、私は決して賛成できるものではないと思います。それについて答弁をください。
〇小田島農林水産部長 今回、最終的にどういう形でその費用の負担を行うかということは、今後の手続を行った上での判断になろうかと思いますが、まずは、私どものほうでは、久慈市に対して14億円余の債権がこれについてあります。久慈市は15億円余の債権がトレー組合についてございます。そういうことについて整理をした後に、最終的に県として判断をすることになろうかと思いますが、それを例えば職員で償うべきかどうかということについては、今回の事案の責任については、平成16年3月に、県の責任として既に職員が処分されてございます。その費用について、今回裁判に負けたことによって、それを職員で分担するということは、私どものほうでそういう処分権限のある部局ではございませんが、難しいものと考えてございます。
〇伊藤勢至委員 総括質疑のときも聞きましたけれども、平成16年当時、責任をとって50%減額をしたと。だけども、これは森のトレーの問題だけじゃなくて、そのほか三つの合わせ技で四つ加算して50%の削減にしたんですよね。そうなりますと、森のトレーだけですと、50%を四つで割れば12.5%しか負担してない、責任をとってないということになるんです、論理上、数字上は。何ぼ払えとかということではありませんけれども、あの時点で、きょうの結果は予測できなかったわけでありますので、勝つと思っていたんだからね。だけども、それの手続には重大な瑕疵があったということで、やはりここは改めて、本当に県民の皆様に結果的には申しわけなかったということを、物心両面といいますが、心はわかりました。物のほうをあらわすべきだと思います。
〇平沼健委員 この問題は、7年前でしょうか、この場で集中審議とか、あるいは連合審査をやった記憶があります。もう相当たっているものですから、当時、どのようなことを質問し、どのような回答かというのがなかなか思い出せないでいるんですけれども、質問要旨にも通告してありますけれども、今回の敗訴の原因といいますか、これは、今説明いただいた概要のほうにも出ておりますが、今回の訴訟を起こすに当たって、概要を見ても、品質保証とか数量保証、契約書が完全に不備だということを県はわかっていて訴訟を起こしたことになるんでしょうか。その辺はどうなんでしょう、まずそこを。
〇堀江林業振興課総括課長 品質保証また数量保証の契約が不備の点でございますが、訴訟提起に当たりまして、契約書の内容につきましては、原告組合、訴訟代理人弁護士はもちろんのこと、県でもその内容を確認しているところでございます。
 組合側としては、品質保証につきましては、契約書に記載はないが、相手方に現物を提示した上で、設備の製作納入に合意したという主張をしたところでございますし、数量保証につきましては、契約書類に生産能力50万個という記載がなされていることで主張してきたところでございます。先ほど部長からもお答え申し上げたとおり、実際に膨大な不良トレーが発生し、計画を大きく下回る生産しかできなかったこと、あるいは会計検査院による機械設備の不具合といった指摘などもございましたことから、県でも勝訴できるということで支援してきたところでございます。
〇平沼健委員 ただ、この判決文を読みますと、入り口で原告側の主張がすべて否定されているんですよね。ということは、今のような話はちょっとおかしいんですけれども、契約というものが確実になされていないということなんでしょう。だから、この判決で裁判所はそういうことで判断されたわけでしょうから、そのところが、やっぱり訴訟を起こすに当たってのここが大きな分かれ目といいましょうか、それは県の訴訟に加担したということの判断もあるんでしょうけれども、この訴訟に訴訟代理人として参加されている弁護士さんも、その訴訟を受けるときに、この辺の契約の不備というのはわかってないというか、わかっていて受けたんでしょうか、それとも、その辺は全然調査もしないで裁判に突入したということなんですか。
〇堀江林業振興課総括課長 当然のことながら、原告組合の訴訟代理人になる弁護士も、契約書、仕様書などは確認した上で、組合の方々の主張を、先ほども申し上げたとおりでございますが、相手方に現物を見せた上で、そういったものをちゃんとつくれる設備は納入できるというトリニティ工業側の責任者の話を信じてやりましたというようなことで訴訟に踏み切ったものでございます。
〇平沼健委員 私が言う契約というのは正式な契約書ですよ。それがあったということですね。あったんだけれども、そうすると、それは裁判官が否定したということですか。
〇堀江林業振興課総括課長 契約書、仕様書等は存在しておりまして、双方で契約をしております。争点になりましたのは、その契約の内容で、どこまでの責任、債務を被告側のトリニティ工業が負うのかというところについて争われました。それ以外にも、原告が主張するような債務、それは50万個の良品のトレーを生産するという内容でございますが、そういったものを被告側が請け負った、そういった債務を持っているということで争ったところでございます。ただ、裁判所の最終的な判断としては、その契約内容については、そういったものを認めるような契約内容にはなっていないということで判決が下されたものでございます。
〇平沼健委員 そこなんです、問題は。要するに、皆さんが契約書だと言っているのが、一般的に言う契約書にそぐわないというか、当たらないということなんでしょう。だから、裁判官がそういう判断をしたんでしょう。トレーでもって、契約書でどういうような表現をするか、非常に難しいと思うんですけれども、だから、その辺がどうなのかということなんですが、そうすると、くどいんですけれども、弁護士さんはそういう契約書があるというのを知っていて受けたということなんですね。
〇堀江林業振興課総括課長 当然、訴訟代理人である弁護士は、そういった契約書があるということで受けたものでございますし、その訴訟提起時におきまして、被告でありますトリニティ工業がどの程度の証拠を持っているかといったものは、当然、訴訟当事者同士でございますから、お互いのそういった証拠はどの程度持っているというのはわからないまま訴訟を提起していますので、最終的に、裁判所にさまざまな証拠を提出していく中で、今回の判決としてトリニティ工業側の証拠を採用し、原告側の証人等の証拠を採用しないというような判断が下されたものでございます。
〇平沼健委員 ここだけでやっていると時間が経過しますので。
 再発防止に向けた取り組みというか、今後に活かすことということで今も説明がありましたけれども、総括質疑でもあったんですが、事業破綻の主原因は製造ラインの問題であり、完了確認調査の不十分さの問題ではないとここに記述しています。こういうことであれば、また同じことが起きると私は思うんです。この意味するところは、要するに、完了確認調査の不十分さの問題ではないということは、ここの概要の23ページの今後に活かすことにもうたってありますけれども、県としては、要するに、契約書的なものにはこれからもっともっと注意していきますが、納入された装置とか機械とか、それがどう動こうと、そこは県の責任じゃないよというようなことなんでしょう。そういうことであると、これはまずいと思うんです。やっぱり補助金を出したということからすれば、一般的な考えからいけば、機械がちゃんと動いて、仕様書どおりの性能を発揮しているということ、そこまで確認する責任があると私は思うんですけれども、その辺はどうなんですか。
〇堀江林業振興課総括課長 ただいまお話がありました完了確認調査の不十分さの問題ではないといったくだりにつきましては、平成16年の報告書のほうにそういったものがございますが、これは、まだ訴訟提起前ということで、会計検査院からの指摘に対する反論という形で述べられております。平成12年、13年当時の久慈地方振興局による完了確認調査の際には、当時はまだ導入機械が仕様書どおりの性能を有しているかどうかの確認がなされておらない。ただし、その当時は、そういった完了確認調査の要領ではそこまでを要しないということになっていたものでございますが、それに対して、会計検査院が機械の不具合を指摘したことに対する報告書の反論と位置づけております。
 しかしながら、やはり委員からお話がございましたとおり、完了確認調査の方法について、大丈夫か、あるいはそういったものをちゃんとしなければならないんじゃないかというのはごもっともでございまして、そういった方法につきましては、この事案を教訓としまして、平成16年から始めております再発防止策の一環として、こういった新規開拓分野における中間検査の実施、あるいは完了検査の充実などで、そういった部分まで強化を図ってきたところでございます。また、これからの新たな再発防止策につきましても、そういった民民の部分のところについても十分審査するような方法で、今後、内部でしっかり体制をとっていきたいと考えているところでございます。
〇平沼健委員 そこまでちゃんとしなければ、これはいけないと思います。
 それから、先ほどの伊藤委員にも重複しますけれども、組合、久慈市、岩手県、国、それぞれの責任ということが先ほどもお話がされました。それから、回収不能になった約15億円の負担のあり方なんですけれども、平成16年3月に、職員10名が減給と戒告処分をされた、三役が給与の減額をしているわけです。これは、先ほども話がありましたけれども、森のトレー事業だけの問題ではなくて、ほかの3事業の指導監督、あるいは検証に対する不適切な事務執行に対する処分だったということなんですね。これは、森のトレーの事業が破綻したというか、失敗したということだったんですね。今回は、裁判を6年以上やってきて敗訴になったと。敗訴という新しい責任問題がここに出てくると思うんです。だから、平成16年3月に処分したからいいんだという考え方は、これは全く違うと私は思うんです。だから、新しい敗訴という責任問題を、組合とかあるいは久慈市、岩手県、国、それぞれの責任をどのようにとらえようとしているのか、それをお聞かせください。
〇小田島農林水産部長 まず、組合、久慈市、県、国のそれぞれの責任ということでありますが、判決では、組合につきましては、組合の意図を適切に盛り込んだ契約書、仕様書等が作成されていないということで、組合の主張を裏づけるような契約となっていないと判断されたところでございます。契約行為を適切に行わなかった点で、トレー組合に責任があると考えております。
 久慈市についてでありますが、訴訟の関連で申し上げますと、最後まで補助金回収に努力したと、あるいは今後もきちっと手続を続けていただく必要がありますが、久慈市の訴訟支援については、みずからの判断で訴訟への補助参加を行うなど、全力で取り組んできたものと考えております。
 それから、県につきましては、事業実施に当たって、トレー組合に対する適切な指導監督や事業遂行上の必要な検証を行ったという点で、責任の一端があったとは考えてございます。
 訴訟については、勝訴によって返還金を回収し、県民負担を最小限とすることを目的として取り組んできたものでございまして、裁判の結果によって、過去の関係職員に新たな責任が生ずるような性格のものではないと考えてございます。
 それから、国の責任につきましては、県は従来から、本事業は国に協議をしながら進めてきたものでございまして、国にも責任の一端があるとしてきたところであります。平成19年度の国との補助金の残額返還協議におきましても、国の責任を理由に返還金の一部免除を要請しましたが、先ほども御説明申し上げましたが、補助金適正化法に基づく返還命令だということを根拠に、国から認められなかったということでございます。
 これについては、いずれそういった問題をしっかりと国に伝えていくと考えておりまして、今回の訴訟、裁判で負けたということによって新たに、今まで、例えば県であれば、一度関係職員の処分ないしは三役の給与の減額措置が行われておるわけですが、それによって、さらにその責任がかぶさるというようなことではないと考えています。
〇平沼健委員 今の最後の答弁で、やっぱりこれは、新たにそういうものがかぶさることではないということなんですね。そこが、認識が違うと私は思うんですね。平成16年の処分というのは、これは確かに森のトレー事業の処分が一部あったんでしょう。ただ、これは裁判で闘って、それで勝てると思って闘ったわけですけれども、敗訴という形が出てきたわけで、それは、やっぱり別に責任問題というのは出てくると私は思っておりましたので、その辺を今、尋ねたわけです。
 問題は、最終的には、未回収になっている約15億円の負担だと思うんですよね。やっぱりこれは、あくまでもこれは組合の責任だということでしょう。もう一つは、久慈市に対しては、もうこれ以上は負担はかけないということが出てきておりますし、そういうことがあって、国の責任を明らかにしていくというようなことが何カ所かでうたわれております。
 ただ、問題は、現行の補助金適正化法の見直しまでしなければならないということなんでしょうけれども、この県負担をどの程度少なくしなければならないというか、その辺も含めながら、この補助金適正化法の見直しを今後どのように進めようとしているのか、お聞かせください。
〇小田島農林水産部長 今回、補助金適正化法について、いろいろな問題があるということで、その報告書にまとめさせていただいたところでありますが、これについては、いずれいろいろな形で国への制度要望ですとか、制度提案ですとか、そういうことを働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、今回の事案につきまして、こういう報告書ができたわけでありますので、林野庁には、こういう形で森のトレー事案というものを本県で取りまとめをしたということについて、しかるべき段階で国に話をしたいと考えております。しかしながら、それで、例えば国の関係で、裁判で回収できなかったということで、また国のほうに、例えば減免だとか、それをもって今まで一回納めたものを返してくれだとか、これは、現行の補助金適正化法で手続をとって本体分を返還し延滞金を免除された状況下において、そこまでさかのぼって行うのは難しいだろうと考えています。
〇平沼健委員 そういうことだと思いますけれども、先ほどの話をもう一回繰り返しますが、平成16年3月に関係職員とか三役の処分といいましょうか、給与減額等がなされたので、それはそれで責任問題というか、それはクリアしているんだというようなお話だったと私は思うんです、今の部長のお話が。だから、新たな処分というか、それは必要ないというか、何かそのような答弁に聞こえたんですけれども、ここは私は、絶対そうじゃない、これは新たな問題だととらえているものですから、もう一回、ここの部分だけでも答弁いただきたいと思います。
〇小田島農林水産部長 これは、私どもの部局でお答えするのが適当かどうかは、職員の処分ないし職員に対する求償に係る問題でございますので、当部で知り得る範囲内でお答え申しますと、例えば、訴訟を提起すること自体に重大な瑕疵があるとか、要は重大な過失があるとか、いわゆる返還が絶対無理なのに故意にそれを起こして損害を与えたとか、そういう事案であれば、法律に基づいて職員に求償するというような道はあろうかと思います。
 しかしながら、今回の訴訟を起こしたのは、いずれ県民負担をできるだけ減らそうという観点から、そして、訴訟を提起することが、実態として、実際に現物のトレーとか、そういうものが満足なものでなかったという状況にかんがみて、訴訟を起こすことが妥当だ、それで取り返すことが妥当じゃないかという判断のもとに訴訟を提起したものでありまして、そこに、私どもの部では、少なくとも重大な過失であるとか、県に損害を与えようというような行為があるという認識で行ったものではございません。
〇平沼健委員 よくわからないけれども、まずいいです。
〇飯澤匡委員 じゃ、簡潔にお聞きしたいと思います。報告書を昨日いただきましたので、それに基づいてお聞きしたいと思います。
 先ほど来問題になっている15億円ですね、これは回収不可能の可能性が非常に高いと。この15億円が県民負担となるというような結論を、私は、この報告書においても避けているのではないかというような印象を受けます。手続を踏んで、久慈市、そしてトレー組合と、これは債権を持っている人たちから、これから回収の手続を踏んでいくんだということの、これは手続は手続としてですが。
 そこで、まずお伺いしますが、組合が負担すべき返還金、トレー組合が負担すべき返還金がどの程度回収できると現時点で見込んでいらっしゃいますか、お聞きしたいと思います。
 続けて聞きますから。
 そして、私は、今回の事案は、林野庁の協議、それから裁判の敗訴を受けて、2回のターニングポイントがあると思っております。今回の2回目、いわゆるこれは、敗訴を受けて、県が出した結論は控訴をしないということですね。要は、今まで、裁判によってかち取ったもので県民負担を軽くすると先ほども答弁がありました。これは、控訴しないということですから、大きくスキームを変えたことになるんですね。今までも、そうやって県民に説明してきましたよね。これは、この報告書だけでは、私は県民に対して説明責任になっていないと思うんですが、その点について、まずお伺いします。
〇小田島農林水産部長 まず、第1点目の、これからどれだけ債権回収ができるのかというような見込みについて御質問がございました。いずれ、手続的には、久慈市、そして久慈市から組合というような手続で、まず、組合の資産の整理が先でございますので、現時点でどのぐらいという金額をお示しすることは難しいと思います。
 しかしながら、回収がかなり厳しいであろうということは、現時点でも言えるかと思います。
 それから、2点目の控訴をしないという判断を行ったという今回の判断は大きなターニングポイントではないのか、それを県民にどういうふうに説明するのかという御質問でございました。
 これは、いずれ県民の方に説明をする責務が我々にはあると思います。例えば、この報告書をホームページ等で公開するなどして県民の方にお伝えするというような方法はあろうかと思いますが、そのほかにも、説明を尽くせる場面があれば、そういう形でいろいろ検討したいと考えます。
〇飯澤匡委員 答弁はそういうことになると思うんですが、いずれ変えたんですよね、これは裁判とセットですから、裁判からかち取るというやり方は断念したということですから。どういう理由にせよ。どういう理由にせよですよ。私は、そこはしっかり説明する県側の義務があると思います。
 それで、もうちょっと追加で質問しますが、トレー組合の役員の第三者に対する損害賠償責任、悪意または重大な過失があった場合は、契約関係により、第三者に損害賠償責任を負うことになるということに、中小企業等協同組合法第38条の3、これは32ページに書いてありますが、これについてはどのような対応をいたしますか。
〇堀江林業振興課総括課長 報告書にも載せておりますが、ただいま委員からお話があったとおり、中小企業等協同組合法の規定によれば、悪意または重大な過失があったとすれば、それは請求することが可能でございますが、これにつきましては、組合に対する請求権があるのは久慈市でございますので、まずは久慈市が判断するものだと考えております。
 ただし、こういったことにつきましても、関係弁護士等には内々相談してみたところ、現実的に、中小企業等協同組合法の規定を使って請求することは難しいのではないかというような弁護士からのコメントはいただいているところでございます。
〇飯澤匡委員 何か、既にもうどんどん腰が引けているんですよね。私がこれから言いますが、第1のターニングポイントは、3分の2を返還すると、これは林野庁から提案された平成19年の年末から、そして20年1月に至るまで、やはりここは大きなターニングポイントだと思うんです。なぜかというと、これは、林野庁は、例の、当時の福田総理大臣が、平成19年の国会において長妻衆議院議員の照会に対して、この会計検査院が指摘した不当補助金を、これは速やかに返還すべきものという国会答弁から、林野庁はびびったわけですな。今まで3分の1を県側が返した。あとは裁判費用で努力をするということで、延滞金は取り立てませんよということを言って、県側は、それで努力義務をやったという姿勢を示した。
 ところが、さっき言った第1のターニングポイントで、林野庁は回収に動かなければいけないということで態度が豹変したわけですよ。これは、私は非常に、補助金はどんどん使え、使えと言って、せかして、せかして、期限もさかのぼって契約をさせておきながら、結果責任はおまえたちが負えと。そして、水戸黄門ならぬ会計検査院が来て、お上がこう言ってるから、おれは知らないけれども、今度は全額よこせと言っているわけですよ。私は、全く当事者責任というか、そこの責任の所在というのは、林野庁は非常に重大な、金だけやって、結果責任は負わない。上から言われたから、これは黄門様かどうかわからない、にせの黄門様かもしれないけれども、これはひどいですよ。
 それはちょっと余談になりましたけれども、私は、延滞金回避のための現実対応とはいえ、終始国のペースで延滞金の返済のスキームが形成されたこと、これは、やはり現在の、先ほど言った裁判が敗訴になった、控訴をしない、こういう流れがそこら辺でもう形成されてきたのではないかというような思いをするわけです。
 これに対する県側の反省と、これからどういう教訓を生かしていこうとするのか、お答えをいただきたいと思います。
〇小田島農林水産部長 この平成20年に3分の2の残額を返還したわけでありますが、そのときにも、県とすれば、いずれ本体部分を免除してくれという話は再三申し入れをいたしたところであります。
 しかしながら、やっぱり補助金適正化法という壁の中で、そこのところは頑として林野庁が譲らなかったわけでありますが、一方で、3分の2を返還することによって延滞金の免除は検討する、それから、訴訟で回収する努力も続けることによって延滞金の免除について検討するという話があり、その当時、発生している延滞金もかなりの金額になっておりましたので、そういうことを避けるために3分の2を返還したものでありますが、だからといって訴訟をあきらめたということではなくて、訴訟は、いずれ続けるということで、その後も一生懸命訴訟は続けて取り組んできたところであります。
 反省点でありますが、やっぱり制度的な壁があるということが一つ、それから、会計検査院によって指摘をされて、それは6月に会計検査院が入って、国会報告が11月にあるわけですが、その間、やりとりをやっているわけですが、もっともっと県の主張なり、国の林野庁の責任なりをきっちり明らかにし、抗弁をすべきだったと考えています。
 ですから、会計検査院の報告、不適正経理の例を出して大変恐縮ですが、おととしの際も、不適正経理のときに、会計検査院が一回出てしまうと、もうそちらのほうでの減免というのは非常に難しくなります。したがって、その前の段階で、とにかくやりとりを十分やって抗弁をしていくことが必要だと考えております。
〇飯澤匡委員 私の意見になりますが、まず、3分の1を返還して訴訟でかち取るというスキームの中で、延滞金は免除するという動きが、これは文書には出ていないけれども、担保されたわけでしょう。これは脅しですよ、全額は。脅しというか、林野庁の都合ですよ。だから、ただいま部長が言ったように、きちっと抗弁するところでしなかったというところで、私はこういう流れができてきたのではないかと推察します。
 それで、あと、国への提言については後から言いますが、再発防止について拝見させていただきましたが、これは部内だけのチーム編成で十分なのかどうか、それから、全庁的な取り組みについても言及されていますが、私はこれを見て、果たして、はい、わかりましたと県民が納得するような内容かどうか。もう少し各部署での責任の所在であるとか、どういうことで、全庁的な取り組みの中で、より具体性を持って報告書を上げないと私は納得できないと思うんですが、その点については十分納得できるものだと思っていますか。
〇小田島農林水産部長 今回の森のトレーの事案の報告書につきましては、平成16年3月の報告を受けて、その後、取り組んだ事項についていろいろ取りまとめをしたのは、中心は農林水産部で行いましたが、関係のところとも調整等を行いまして取りまとめたものでございます。
 十分か、あるいは自信があるかというようなことを言われますと、そうだと言い切れるものではありませんが、いずれ私どもとすれば、最大限、再発防止も含めまして、農林水産部として二度とこういう事案が起こらない、そういうことに向けたものとして仕上げたつもりでもありますし、それから、これについて全庁の情報共有を図って、同様の事案がほかの部局でも発生しない、そういう形で使ってもらうものとして仕上げたものでありますし、それについては、当部だけの責任でつくったものではありませんで、当然のことながら、知事まで了解をとって作成した報告書であります。
〇飯澤匡委員 ちょっと問題が戻りますけれども、申しわけないですが、11ページの2の③に延滞金のリスク回避等を図るため全額国に返還するとして方針を変更したものである。これは、もう既に内部的に方針を変更したと県のほうでは認めていますよね。この点についての解釈はどうなんですか。やはり、この時点でもう裁判に勝てる見込みがないというような感じがあったのではないですか。
〇小田島農林水産部長 ここの表現が非常に誤解を受けるのではないかという感じは確かにいたしたところでありますが、いずれ、これは、今までは裁判で、いわゆる3分の2は訴訟で回収するということで取り組んできたわけでありますが、それが非常に長引いているということがあって、3分の2を先行して立てかえるという方針に変更したということでありまして、残りの部分について裁判をあきらめたというようなことでは決してございません。裁判で回収するという方針は、今までどおりきっちりやるということの上で、全額返還という方針に変更したということであります。
〇飯澤匡委員 あと2回でやめますからね。だったら、なおさら裁判でもう一回争ったらいいじゃないですか。それは論理矛盾じゃないですか。それについて答弁していただきたいと思います。
 それから、国への提言ですが、先ほど平沼委員からもお話がありましたが、補助金適正化法の課題について、いつ、どのように国に提言するのか、方法を具体的に示していただきたいと思います。
 私は、本県だけで林野庁に報告書をまとめて、岩手県の姿勢はこうですよというだけでは、全く迫力がないと思いますね。それで、やはり各地方と、他の県ともいろいろ意思を、共通認識を持ちながら、やはりこれからもう地方公共団体じゃなくて、地方政府というようなことも出ているんですから、その観点に立った提言の仕方というのは、しかるべきあり方というのはあると思うんですが、その点についてお伺いいたします。
〇小田島農林水産部長 2点お尋ねがございました。最初の、裁判をやるべきではないか、断念することが、むしろ論理矛盾じゃないかということでありましたが、この時点においては、まだ勝てるだろう、当然やる、そういう意識でやっておりました。
 この報告書にも書いておりますが、いずれ5月に結審したわけでありますが、その直前になって、トリニティ工業側から今まで出てこなかったような書類がばあっと、メモがいっぱい出てきました。それが証拠採用されて、それに対して証人を立てて大分反論したわけですが、やっぱり紙のほうが優先されるというか記録が優先される、そういう裁判の中で、そちら側に分があるというような結果でありました。
 5月7日に結審をして9月に判決が出るという、その間の中でいろいろなシミュレーションは検討いたしたところでありますが、少なくともその前の段階で、3分の2を回収するという考え方については一貫しておりました。それが1点目でございます。
 それから、2点目でありますけれども、これからどういうふうに国に働きかけをしていくのかということでありますが、いずれ個別の事案につきましては、できるだけ早い機会に林野庁にこの報告書を持って、そういう申し入れ等を行いたいと思います。あと、制度改正にかかわるものについては、全庁的な調整を行った上で、効果的な形で提言等を行っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 本当の最後の最後にしますが、やはりこれから地方と国は対等だと、鎌倉時代から続いている封建制の我々に染みついたDNAが、何だか逆らえないな、これに逆らったら、林野庁の意向に逆らったら、来年以降の補助金についても何らかの問題があるのではないかというような、そういう意識が働いても当然だと思うし。だから、その中で、やはり主張すべきところはどうしても主張していかなければならなかったというところが、私は、こういう大きな流れをつくってしまったものだと思います。
 それから、林野庁に対しては、これはやっぱりひどいですよ。最初、3分の1で努力義務、裁判で回収するというスキームの中で延滞金は免除するという方向性を出しておきながら、今度は、3分の2返さなければ、今すぐ返さなければ延滞金も出てくるぞなんて、ほとんど補助金を地方に出す側として、私は、本当にこれはあるべき姿じゃないどころか、国と地方の関係からしても全くひどいと思います。
 最後に質問しますが、この林野庁の計画審査の問題点、一緒にやってきて、交付の書類もさかのぼってやったわけでしょう。やはりこういう問題は、具体的に、林野庁だけじゃなくて、しかるべきところでしっかりとこの点もあわせて主張すべきだと思いますが、その点についてお伺いして、終わります。
〇小田島農林水産部長 いずれ、こうしたてんまつについて、きちっとお伝えしたいと考えております。
〇久保孝喜委員 私からは、国に対する今後の対応1点に絞ってお尋ねしたいと思います。既に今までの質疑の中で答弁されている部分もありますので、割愛したり、順序を変えたりして質問したいと思います。
 提言や働きかけの具体的手順の話は、今の質疑にもあったように、まだ細部にまで詰められた話ではないということで聞いたわけですけれども、一つだけ、さっきの部長答弁の中で、制度改正については、全庁的に効果的な方法で国に提言なりをしていきたいという旨の話がありましたが、確認ですが、それは、今回の森のトレー事案だけに限らず、さまざまな補助金行政も含めて洗い出しをするという意味で言われたのか、そういう認識で今、全庁が動き始めているぞということなのですか。そこの確認を1点、先に。
〇小田島農林水産部長 国へのいろいろな制度改正につきましては、既に他部局で全庁的に取りまとめているものがございます。今回の件について、そういうものと合わせて行うのが効果的なのかどうかも含めて、検討するということであります。
〇久保孝喜委員 この国への働きかけ、対応については、私は平成16年のときの検証報告書を読ませていただいたときに、地方自治体が、国の決定とか、さまざまな補助金行政に対して、これほど義憤に満ちて、熱を込めて書いた報告書は見たことがないと思って、一部感激をしたんですよね。そのトーンから比べると、今回の国への対応は、すべて提言や働きかけというところに収れんされてしまっているなと思って、実に残念でした。
 そこで、これが、今の政治状況も含めて考えたときに、単なる提言や働きかけで終わってしまって、対等な関係であるはずの国との協議というところになぜ踏み込まないのかなという気がしてならなかったんですが、その点についてはどういうお考えなんでしょうか。
〇小田島農林水産部長 平成16年3月の段階では、いずれ国に、あるいは会計検査院のほうもそうでありますが、もっともっといろいろな問題について主張していくべきではないかというようなことで取りまとめをさせていただいたところでありまして、その後、訴訟に専念したということもありますが、いずれ、断続的ではありますが、国との協議は、その前からもかなりやっておりました。
 国の責任については、ちょっと回数までは控えてはおりませんが、何度も、当時の部長ですとか担当も含め、かなりやりとりをして交渉してきた経過がございます。そういうことを背景に、平成16年3月の報告書というものはつくられているものでございます。
 一方、そういうことにつきまして、国では、会計検査院の指摘を受けた、それに基づく補助金適正化法による返還だという点について頑として譲らなかったということでありまして、これは非常に残念なことでありました。最後まで、そちらのほうも本体部分についても話はしたわけでありますが、あわせて、いずれ延滞金が日々発生しておりましたので、そちらの免除をまず求めようということもあり、こういう表現になったところでございます。
〇久保孝喜委員 これまでの林野庁を含めたさまざまな協議の中で、これ以上の進展は事実上、望み得ないと。しかし、問題点は認識しているので提言や働きかけをすることだという理解だと思うんですが、その際に、そういう国の指導責任ということも一方で問題認識としてあるという県の立場を考えたときに、それでは、この報告書では、久慈市に対してはこれ以上の負担は求めないと明言しておりますけれども、指導監督責任は久慈市にはなかったということなんですか。そこの考え方が整理されないと、国に対しては指導監督責任、国は認めていませんけれども、指導監督責任があるという県の主張と、久慈市に対しては、指導監督責任はあるけれども請求しないというのでは、これは自己矛盾になってしまわないかなという懸念があるんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇小田島農林水産部長 今の御質問の趣旨は、恐らく、組合に対する久慈市の指導監督責任を問わなくていいかという御質問と理解いたしたところでございます。
 これは、今回の事案の非常にまずかった反省点でありますけれども、補助金の流れは、国から県を通って、久慈市を通って組合に行く流れになっています。
 通常であれば、当然のことながらそういうラインでそれぞれきちっと指導をするということが原則でありますが、今回は、事業計画の策定から、途中で庄内鉄工からトリニティ工業に変わった変更計画、そういうものについて、ほとんど久慈市の関与がなくて、県と組合との間で進められてきたという特殊な経過があります。(「そこが問題じゃないか」と呼ぶ者あり)まさに問題だと思っております。
 そういうことを踏まえて、久慈市の責任について、責任の分担なり、あるいは3分の2についての免除について総合的に判断をしたところでございます。
 今の問題につきましては、今後の対応策のところで、補助金の流れと実態の一致、市町村をパートナーとしてきちっと位置づけて、そういう計画の中で一緒になって取り組んでもらうということで、今回、改めるものとして記述させていただいているところでございます。
〇久保孝喜委員 そうなると、先ほど飯澤委員から話がありましたように、県民負担の事実上の最小化という話は、もうこの時点でほぼ絶望的だということは明々白々なわけですよね。久慈市には、外形的な責任はあるけれども、実質的な責任はなかった。それから、報告書にもあるとおり、組合から補助金を回収する見込みはほとんどないという文章もありますから、当然のことながら、この報告書時点で、書いてはいませんが、最小化の道は閉ざされたということをはっきり言うべきなのではないですか。そこの辺の考え方、先ほど来、手続上の問題は聞きましたけれども、その本音というか、本パラというか、その点を確認させてください。
〇小田島農林水産部長 いずれ、このトレー事案の報告書におきましては、今後進めるべき手続について記述させていただき、それから、組合の資産についても明記いたしたところでございまして、それと、組合自身が、金融機関との間で債権債務の整理もするというような中で進められていくという記述でとどめさせていただいているところでございます。
 それは、いずれここから先の不確定な部分について、それ以上は、この報告書では踏み込んでは書くのが適当でないものと判断させていただいたところであります。
〇久保孝喜委員 書くのは適当ではないかもしれないけれども、そう思っていると私は理解しているんですが、一連のこの取り扱いは、特に私は、国への対応については、これまでの経過ももちろん無視していいわけではありませんので、これまでの経過は経過としても、国に対する態度という対応については、もうちょっと毅然と、はっきりと県民にも説明できるような、そういう姿を打ち出していただきたいと思うんですね。
 この間の総括質疑のときに知事が、政権交代の最大の意義は、国において地方の声を聞く体制ができたことだと明言しているわけですから、だとしたら、県としてのこれまでの検証もこうやってできたわけですから、きちんと全体の制度の問題や補助金行政のあり方を含めた体系をまとめて、正式なルートで正式に協議を申し入れるとかというはっきりした態度を望んで、質問を終わります。
〇斉藤信委員 森のトレー訴訟で明らかになったことは何か。まず第1に、トリニティ工業に債務、日産50万個の製造を保証する品質保証責務と数量保証責務は存在しないと。この判決は、組合にこそ責任があったということを示したものではないですか。
〇堀江林業振興課総括課長 今回の判決は、組合の意図を適切に盛り込んだ契約書、あるいは仕様書等が作成されていないということから、トリニティとの関係では、組合が主張するような、トレー製品の品質と数量を保証する合意の成立は認められないという内容で判決はなっております。
 そういった意味から、この契約行為自体は、実施事業主体でありますトレー組合が本来行う業務でございますので、トレー組合が適切に対処すべきであります。これを適切に行わなかったという点で、トレー組合に責任があると言わざるを得ないものであります。
〇斉藤信委員 だから、結局はトリニティにはそういう債務の責任はなかったと。まさに森のトレー組合にこそ大きな問題があったということですよ。
 そこで私は聞くけれども、トリニティ工業となぜ、どういう経過で契約したのですか、だれがこれを紹介したのですか。
〇竹田林務担当技監 トリニティ工業との契約の経緯でございますけれども、大分さかのぼりますが、平成11年6月ごろ、組合では製造ラインの自動化を図るべく、自動化ラインの設備を製作できる複数の業者に生産方式の提案を依頼したところ、トリニティ工業から、トレー組合の意向に沿う製造ラインの自動化の提案があったというものでございます。
 じゃ、だれが紹介したのかということでございますけれども、トリニティ工業につきましては、このトレー工場の設置、整備に当たって、車両関係の受注を受けようとしてトヨタ関係の販売店の営業マンが組合を訪れていたと。この営業マンからトヨタ系列のトリニティ工業を紹介された、そのように聞いているところでございます。
 いずれ、最終的には、平成11年7月に組合の理事会において、トリニティ工業の規模や技術力等も高く評価できるということで、トリニティ工業の生産方式の採用が決定された、そのように承知しております。
〇斉藤信委員 自動化が必要だとだれが提案したんですか。
〇竹田林務担当技監 この事業は、実施するに当たってコンサルタントの診断を受けております。そのコンサルタントから、いずれ発泡スチロール製のトレーとの競合になるわけなので、一円でも安くつくるためには、人員をなるだけ減らすべきという指導があった。そういうところから自動化を図ることになったものでございます。
〇斉藤信委員 ここがポイントなんですよ。どこのコンサルですか。何で自動化が提案されたんですか。ここに計画が大きく変わるポイントがあるんですよ。
〇竹田林務担当技監 コンサルタントでございますけれども、先ほどお答えしましたとおり、この事業の実施に当たって、計画内容を第三者に見てもらうということでコンサルタントの診断を受けたということでございます。そして、その経営診断の発注先は、全国林業構造改善協会というところでございますけれども、実際に先ほど言った助言等を行ったのは、株式会社MT&カンパニーというコンサルタントでございます。
〇斉藤信委員 ここで東京が絡んでくるんですよ。地元の発想から、東京が絡んだ補助金食い物の作戦が始まるのです。
 それで、今度の裁判で100対ゼロで判決が下ったということは、この事業が全くでたらめだったということを示しているんですよ。だから、私は改めてこの事業を総点検すべきだと思うんですよ。あの裁判の結果は、訴訟に当たらなかったということです。
 それで、判決の中には、長内の立場、役割、長内という人が25カ所も出てきますけれども、長内氏というのはどういう人ですか。
〇竹田林務担当技監 長内氏は、久慈市の建築設計士さんだと記憶しております。
〇斉藤信委員 長内氏は、この森のトレー事業ではどうかかわった人ですか。裁判で徹底してやられているでしょう。
〇竹田林務担当技監 長内氏は、この事業に当たって、工場等の設計を行った方でございます。
〇斉藤信委員 地元もびっくりしているんですよ。長内氏の名前が、この判決で25カ所も出てきたので。判決では何と言っているかというと、長内は単なる第三者ではなく、原告の代理人あるいは受任者として云々と。極めて重要な役割を果たしたんです。私は、この彼が絡んで東京との関係がつくられていったんだと思うんですよ。
 新潟県の本間組が、この森のトレー組合の事務所の建設を約6億円で受注した。これは何で新潟だったんですか。
〇竹田林務担当技監 建物の受注者につきましては、基本的に久慈市役所で指導して、市の基準に準じて指名競争入札をやったとなっております。
〇斉藤信委員 市の指導で何で新潟県から本間組が来るのですか。結果は入札しただけの話でしょう。だから、やっぱりこの森のトレーの補助金を食い物にした構図だと私は思いますよ。
 それで、森のトレー事業が計画された経過について、改めて検証してみたい。
 平成10年6月に岩手林材の社長、これは森のトレー組合理事長が、森のトレーの事業化を、直接、久慈地方振興局に持ち込んだ。この経過はどうだったんですか。経済対策林構事業を含めて、だれから持ち込まれた計画だったんですか。
〇竹田林務担当技監 まず、その持ち込まれた経緯でございますけれども、本事案につきましては、平成10年6月に、現トレー組合理事長でございます岩手林材の社長から、木製トレーの製造について事業化したいという構想が久慈地方振興局に持ち込まれたのが最初でございます。そのとおり、現トレー組合理事長からの提案だと承知しております。
 そして、その後、通常の林業構造改善事業を導入して実施すべく、7月から9月にかけて、岩手林材の社長を中心に事業計画の策定作業を進めたと。その中には、関係者、あるいは振興局等も交えた検討会も設置して、事業化について検討を進めていたと。
 その後、国で景気対策林構事業、これは、結果的に補正予算で創設されたわけですけれども、そういった補正予算の話があって、それでは、この景気対策林構事業を導入しようとして、あわただしくその事業計画が詰められていったというような経緯でございます。
〇斉藤信委員 平成10年8月、6億円の事業でした。1カ月後に、9月には40億円の事業にしようという提案になりました。11月には、最終的には24億円の事業計画で林野庁とは予備協議に至っています。最終的には26億9、000万円の事業になりました。この6億円から40億円の事業になったという背景は何ですか。
〇竹田林務担当技監 事業費の金額の推移については、委員おっしゃるとおり、我々も承知しているわけですけれども、そういった事業費が増減したというのは、やはり先ほど言ったとおり、補助事業を導入すべく計画を詰めていったわけですが、そういった中で、その都度いろいろ動いたものだと思います。
〇斉藤信委員 その都度動いたのではないんですよ。6億円の事業のときには庄内鉄工が対象で、ある意味で言えばかたい計画だった。だからスタートしたんですよ。1カ月後にこれが40億円でやるとなったんですよ。そして、そのシナリオに基づいて事業化の話が出てくるわけですよ。
 当初は、岩手県も、40億円なんて無理だと15億円で交渉していたでしょう。林野庁は、もっと縮減すべきだと言っていたじゃないですか。私は、やっぱりこの40億円という発想が何で出てきたのか。あなた方は、それわかるでしょう。
〇竹田林務担当技監 改めて申し上げますと、いずれ6月に構想が持ち込まれて、8月の打ち合わせでは、当時の県庁の木材振興課と久慈地方振興局も交えた打ち合わせの中で、その時点では6億3、000万円という話、そして9月には24億円の要望が出されたと。
 実際に林野庁に対しては、委員おっしゃるとおり、15億円で県としては持っていったと。ただ、15億円でも、委員も今、御指摘あったとおり、国からは、事業規模を縮小せよ、大き過ぎるという指導があったところでございます。
 そして、その後、10月には、今のトレー組合の理事長から、先ほどもお話ししたとおり、発泡スチロールのトレーとの競合になるということで、スケールメリットを追求しなければいけないということで、40億円の事業費でやりたいという希望が出されたと。11月には、さらにそれが24億円に圧縮されて、国との協議は、その24億円で予備協議がなされたということで、事業がそのとおりまだまだ固まっていない中で、事業費がそのような経緯をたどったと承知しております。
〇斉藤信委員 この計画変更が失敗の転換点だったわけですよ。6億円の事業を庄内鉄工とやろうとした。庄内鉄工の場合には実績があった。それが40億円、最終的には24億円になったけれども、24億円になったら庄内鉄工ではできなくなった。いろいろ手を使って、自動化が必要だ、そして、知らない間に全然木材と関係ないトリニティ工業が出てきた。これが失敗の転換点ですよ。
 私は、最初は林野庁もまじめだったと思うんですよ。15億円でも多過ぎるとよと。しかし、途中から林野庁は変わるんです。林野庁は、平成10年10月8日には15億円でも事業の縮小を求めたが、10月26日になったら、実施可能な事業は極力前倒しで実施してほしい、とにかく多少の無理をしてでも始める。林野庁がここで転換しているんですよ。私は、林野庁が転換するにはそれだけの理由があったと思いますよ。上司の指示。こういう形でこの計画は変質していくんですよ。
 その後の手続はもっとひどい。これは、報告書にもあるように、12月11日付で事業計画協議の回答の前に内示が先に来た、こうなるわけですね。こんなことはあり得るようなことですか。このときだけですか。
〇竹田林務担当技監 もう一度整理しますと、先ほどの事業費の推移のところでお話をつけ加えさせていただければ、この平成10年の段階においては、トリニティ工業ということは一切出てきておりませんで、庄内鉄工で進めるという中での計画でございます。
 トリニティ工業が登場したのは翌年の6月でございますので、そのとおり事業計画の規模がちょっと動いたのですけれども、それは、あくまで庄内鉄工での計画ということで御理解いただきたいと思います。
 そして、ただいまの御質問でございますけれども、平成10年10月27日付で林野庁からの景気対策臨時緊急特別枠に係る事業の組替えと更なる事業の掘り起こしについてという文書の中で、林野庁から事業の掘り起こしを検討するよう通知があり、この時点から、事業費の縮小に関しては、林野庁は言及も指導もなくなった、そのように受けとめてございます。
 その後、11月10日、県は林野庁と予備協議を行い、平成10年度の補正予算による林業構造改善事業と、11年度以降の通常の林業構造改善事業に分けて実施することとなったものでございます。
 そして、事業計画協議の回答前に内示があったことにつきましては、当時、補正予算による景気対策事業として拙速にこの事業実施を進める中で、そのような日付の整合性がとれない事態になったものということで、これは全く異例というか、これだけのことだと受けとめています。
〇斉藤信委員 最後の答弁が大事なんですよ。こんな異常なことは、もうこのときしかなかったということでしょう。私は、本当にこれは重大だったと思うんですよ。だから、この事業の破たんは林野庁絡みなのですよ。そのことは、私は、はっきり報告書にも明記しなければだめだと思いますよ。
 それで、森のトレー事業の問題点について、破たんすべくして破たんした、それは判決でも指摘しているけれども、事業計画の妥当性がなかった。事業計画が拙速で、技術的にも根拠がなかったのではないか。
 二つ目、資金計画にも根拠はなかった。だから、農林漁業金融公庫は融資しなかったわけです。
 そして、三つ目は、販売計画にも根拠はなかった。日産50万個の販売について、兼松日産農林が50%買い取る契約、これは本当にあったんですか。その後、これはなくなりましたね。
 事業計画についても、資金計画についても、販売計画についても、この事業は全く根拠がなかったのではないか。いかがですか。
〇竹田林務担当技監 まず、事業計画の妥当性でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、森のトレー事業の構想が、平成10年6月に事業者から久慈地方振興局に持ち込まれてから経済対策の事業で実施することになるまで、約半年しかないといった形で、拙速に事業計画が策定されるなどといったことについては、やはりまずかったということは否めないと思っております。
 技術につきましては、庄内鉄工において、単体においては、そのとおり、木製トレーができるという技術は確立されてあったわけですけれども、今回の事案のように、これを大量生産するまでの技術が果たして確立されていたかどうかということについては、立証が不十分だったと受けとめております。
 そして、次に資金計画でございますけれども、本事業は、およそ27億円、これに土地代も含まれるともっと大きくなるわけですが、そのとおり事業費が大きい中で、自己資金が設立で1、000万円ということで少なかったため、補助残融資について、当時の農林漁業金融公庫からは、借入金が大き過ぎることを理由に融資が断られるなど、金融機関からの借り入れも難航したところでございます。したがって、事業計画策定時の資金計画に、相当無理があったと考えております。
 3点目の販売計画の根拠でございますけれども、兼松日産農林株式会社との間で、同社がトレー生産数量の50%を販売するという販売提携契約が締結されていることは事実でございます。ただ、そのとおりトレーが順調に生産されなかったために、結果として、この販売計画は最後まで実現されることはなかったところでございます。
〇斉藤信委員 指摘したように、事業計画、資金計画、販売計画に全く根拠がなかったこの事業だったんですよ。それを、市を通り越して組合と県が進めたんです。久慈市が知ったのは半年後ですよ。そのときには、あの計画書は久慈市の名前を使ってやられていたんですよ。あなた方はパートナーシップなんて言うんじゃないんですよ。久慈市をミスリードしたのですよ。そういう責任があるから、3分の2の返還を免除したんですよ。裁判が本当の理由じゃないですよ、これは。私はそこをはっきり書くべきだと思いますよ。久慈市の名前を使って文書をつくって、半年後に市は知らされたと。これは久慈の市議会でもはっきりしています。
 それで、私は、森のトレー事業破綻の責任の度合いをお聞きしたい。国、県、市、事業者それぞれどういう責任割合があるのか。私は、責任の度合いに応じてこのお金は返還すべきだと。県民に責任はありませんよ。裁判が負けたから、15億円は県民に負担してもらいますということにはならないでしょう。県警の不正は2億1、500万円で、県警は2、000万円返しましたよ。この不正にかかわらない幹部職員も返しているんですよ。県の不正支出のときもそうでしょう。今度は15億円ですよ。そういう意味で、裁判に負けたから県民に負担をお願いしますとはならないと思いますよ。
 処分したと言うけれども、減給額は幾らですか。知事、副知事、出納長の減給処分の額は幾らですか。処分といっても、減給処分はたった2人、戒告は8人ですよ。処分のうちに入らないですよ、こんなのは。
 それと、岡野理事長の資産。久慈市議会で明らかになったのは、28カ所の資産のうち、事業中断前後に19カ所の資産が処分されている。私はこれは重大だと思いますよ。これは徹底して調べるべきだと思いますが、いかがですか。
〇堀江林業振興課総括課長 平成16年当時の処分に係る職員の減給額につきましては、大変恐縮でございますが、実額というものはこちらのほうでは押さえておりませんが、減給処分を受けた者が2名おります。10分の1の減給3カ月が1名でございまして、これにはさらに、本給のほかにその後の期末勤勉手当等でも減額措置されているものと承知しております。それから、もう1名、10分の1の減給1カ月につきましても同様のものでございますが、詳細な金額までについては押さえておりませんので、御了承願います。
〇小田島農林水産部長 県、市、組合の責任ということでございますが、先ほども御答弁を申し上げましたが、まず、組合につきましては、今回の契約において、その契約の意図を適切に盛り込んだ契約書あるいは仕様書を作成しなかったというようなことで、組合にまず責任があると考えております。
 それから、県につきましても、そういうことについてきちっと適正な指導監督あるいは業務遂行上の必要な検証を行わなかったということで、責任があると考えております。
 それから、久慈市でありますけれども、久慈市につきましては、かかわり合いは、委員御指摘のとおり、非常に薄いわけでありますが、これも、久慈市としての完了確認調査などについて指導監督の責任があると考えてございます。
 しかしながら、では、どのぐらいの割合で県と、市と、組合が負担すべきかということについては、これは、そういうことについてのいわゆる負担割合というものは定められるものではないと考えてございます。しかしながら、3分の1返還、それから3分の2の返還に当たっては、そういうかかわりの度合いに応じまして、久慈市と県との負担の割合についていろいろ検証もしつつ、財源的な先行返還の負担を決めたところでございます。
 それから、2点目、先ほど組合の資産のお話がありました。これにつきましては、いずれ、久慈市と組合との関係できちっと確認をしてもらうという形になろうかと思います。
〇斉藤信委員 15億円の県民負担については、部長は答弁する職責がないと思うんですよ。そして、平成17年に処分したといっても、職員がたった2人ですよ、減給処分になったのは。戒告なんていうのは処分に入らないんですよ、こんなものは。そして、知事の処分は、先ほど伊藤勢至委員も言ったように、これだけで処分したわけじゃないんですよ。私は、そういう意味では、あす、ちゃんと知事が出て、この15億円の負担のあり方、処分が妥当だったのか、現段階で県の責任はどうあるのか、行政には継続性というのがあるんですから。これは県民には全く責任がない話ですからね。15億円あったら大変な仕事が県民のためにできますよ。私は、この問題については、委員長、世話人会で知事の出席を求めて、この15億円の負担問題、処分問題をやるべきだと思いますけれども、検討してください。
〇小田島農林水産部長 私が答弁する権限がないというお話がありましたので、私の答弁のもとになってございますのは、今回、さきの総括質疑で宮舘副知事が、この件に関しまして、いわゆる国庫補助金の返還命令を受ける原因となったいわて森のトレー生産協同組合への指導監督等が不十分だったことについて、既に関係者の処分等が行われているところであり、さらなる処分は考えていないと答弁していることを受けた答弁でございます。
〇斉藤信委員 私は、まず、15億円の県民負担は認められないということですよ。その点について、あなたは答えられないでしょう。そして、大体、平成17年の処分で済んでいるという、これ自身も妥当性がないのですよ。そんな甘いことで、県の不正支出のときだって、県警の不正支出のときだって、もっと額が小さかったですよ。かかわってない県の職員も負担したじゃないですか。今度は15億円ですよ。全く負担しない、責任をとらないということはあり得ない。私は、これは委員長に言ったんだから。委員長、そういう趣旨で世話人会できちんと検討して、あす、知事の出席を求めていただきたい。
〇三浦陽子委員長 ただいま斉藤信委員から、知事の出席を求める旨の申し出がありましたが、世話人会の申し合わせにより、知事の出席を求める場合は最終審査日に行うこととされております。出席を求めるかどうかについては、あす、世話人会を開き、協議することとし、その結果については委員会に報告いたしたいと思いますので、御了承願います。
 質疑を続行いたします。
〇小野寺好委員 訴訟の関係で伺う前に、ちょっと事実関係をお聞きしたいと思います。
 その前に、御紹介ですが、12年前、県議会で久慈選出の同僚議員が、こういった庄内鉄工でつくったものを持ってきて会派の全員に配りました。伊藤委員も覚えているかと思います。いまだに丈夫で、これはすばらしいなと。間伐材の有効利用、発泡スチロールにかわるものだということで、同僚の議員としても応援したいものだなと、そんな記憶があります。(「よく持ってたな」と呼ぶ者あり)物を大事にする。
 それが、今回のようなこういった非常に残念な結果になりまして、ちょっと事実関係を伺いたいんですけれども、この報告書の中にコンサルタントと出てきますけれども、このコンサルタントの名称、報酬、業務内容をちょっと教えていただければなと。さっきちょっと出てきた株式会社MT&カンパニーがコンサルタントなんでしようか。
〇竹田林務担当技監 コンサルタントの件でございますけれども、平成11年4月からの経営診断につきましては、先ほどお話ししたとおり、元請は全国林業構造改善協会でございますけれども、実際にコンサルタント業務を行ったのは株式会社MT&カンパニーというコンサルタント会社でございます。そして、委託金額は294万円で、事業計画全体についての診断を行ってございます。
〇小野寺好委員 このMT&カンパニーが、実質的に庄内鉄工からトリニティ工業にかわる、その大きな役割を果たしたと考えていいんでしょうか。
〇竹田林務担当技監 こちらのコンサルタントの助言は、先ほども申し上げましたけれども、やはり1円でも安くするためには人手をかけないということが必要ということで、自動化ラインの助言を受けたと。それを組合が受けて、まさにそのとおりということで、自動化に進んだということで、その後にトリニティ工業が出てきたと承知しております。
〇小野寺好委員 次に、資産の関係ですが、今議会で当局の答弁は、組合の資産内容といったものをきちんと精査して、取れる分は取りたいみたいな趣旨のことをおっしゃっていますが、資産は、土地が2.5ヘクタールとか、坪数で考えて、甘く見て坪10万円としても、土地の値打ちはそんなにないのかなと。全体でも10億円もないのかな。動産なんかも、年月がたっていて、恐らく値打ちがないのかなと。
 そういった中で、銀行のほうが担保を持っているといったことなんですが、お聞きしたいのは、その資産は時価どのぐらいととらえることができるのか。それと銀行、四つの金融機関となっていますけれども、その四つの金融機関の名前と、それぞれの被担保債権と抵当権の順位はどうなっているのかお聞きしたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 資産の関係でございますが、土地代につきましては、購入時点では平米当たり1万4、000円で、3億5、000万円で購入したところでございますが、現在の時価は平米当たり8、000円ということになっております。
 次に、抵当権を設定しております金融機関の名前でございますが、これはちょっと、取引上の問題がございますので、個別の金融機関名については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、抵当権の設定順位につきましては、すべて第1番の抵当権となっていると聞いております。
〇小野寺好委員 税金とかの債権であれば行政が優先すると思うんですけれども、今回の場合は、行政はこの四つの金融機関には優先順位はかなわないと考えていいんでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 委員がおっしゃるとおりでございまして、トレー組合に対する債権につきましては、久慈市が組合に持っている補助金返還金の債権は、金融団が持っています被担保債権には、いわゆる劣後ということで、金融団の持っている被担保債権のほうが優先されると承知しております。
〇小野寺好委員 さっきちょっと聞いて、答弁がなかったかと思うんですが、時価で考えた場合の組合の資産というのはどのぐらいなんでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 事業中断後の組合の資産状況については、報告書の32ページに載せているとおりでございますが、その後の組合の資産状況については当方でも把握しておりませんが、報告書にもございますとおり、相当程度低下していると見込んでいるところでございます。
〇小野寺好委員 30億円なんですか。どの程度少なくなっているのでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 大変恐縮でございますが、どの程度低下しているかにつきましては、当方のほうで承知しておりません。
〇小野寺好委員 いずれ、取れないという感じでしょうかね。
 では、訴訟について伺います。
 この報告書の22ページあたりをちょっと読んで、間抜けなというか、何て変な表現だろうと思ったんですが、真ん中あたりに、訴訟提起時点において、トリニティがどのような証拠を有し、その証拠に基づきどのような主張がなされるかも明らかではなく、請求棄却という結果は予想していなかったと。こんなことで裁判に臨んだんでしょうか。部長、この辺の表現についての所感はいかがでしょう。
〇小田島農林水産部長 これは、その実態を記述したものでありますけれども、いずれ、書面についてきちっと残すということが組合の側で余り訓練されていなかったということはあります。しかしながら、物としての証拠はいっぱいあった。納品されていない実態が、きちっとしたものが上がっていない実態があり、それからいろんな証言があり、そういうものから大丈夫だと判断して、弁護士さんとも相談して訴訟提起したものであります。
〇小野寺好委員 判決理由について、ちょっと引用させていただきたいんですけれども、被告は総合エンジニアリングメーカーであり、自動車部品分野で、プラスチック部品成形において金型設計、加工、成形―途中を中略しますが―木製品の製造加工に関連するプラントや機械の製作を手がけたことはなく、間伐材を原料とする木製トレーの生産設備を製作した経験はなく、木製品の製造に関して特段の技術も擁してなかったと、このように判決では理由づけしていますけれども、こういったトリニティ工業に対して、訴訟の中で争うべき争点を間違えたんじゃないかなと思いますが、論点整理とかはどういう方法で、県もかかわっていたんでしょうか、それとも全く弁護士に任せ切りだったんでしょうか。
 また、その弁護士の選任はどういった形でなされたのか。県の意向を酌んでやったのか、それとも一方的に組合が八戸の弁護士さんを頼んだものなのか、その辺のいきさつをちょっとお聞きします。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、訴訟の論点整理などのそういった主導権はだれが行っていたかということについてでございますが、これは裁判所が指揮して進めてきたものでございます。
 それから、弁護士の選任につきましては、久慈市は補助参加しておりますが、原告については組合であるトレー組合が弁護士を選定し、補助参加である久慈市は、久慈市が弁護士をそれぞれ選定したものでございます。
〇小野寺好委員 裁判所の主導で争点整理がされたと言っていますけれども、県は異議を申し立てなかったのかなと非常に不審に思います。というのは、言われています品質保証債務とか数量保証債務といったのが内容じゃなくて、使いものにならない機械を売買させられたのか、あるいは生産ラインの設備をきちんと設置する請負契約ととらえるべきじゃなかったかと、そういったことで論点をきちんと整理すべきじゃなかったかと思いますが、そういった考えはなかったんでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 争点につきましては、もちろん訴訟指揮は裁判所が行っているわけでございますが、この訴訟の争点につきましては、当然、これは原告、被告双方が主張しながら整理されていくものでございまして、その中で、まず、原告と被告との間に契約があるわけですが、この契約の中での合意内容が何だったかと。すなわち、被告が負担する債務はどんなものがあったかというものが争点の一つでございます。
 次に、原告が主張する債務が存在したとした場合には、それを被告であるトリニティ工業がちゃんと履行していたかどうかという債務履行、これが次の争点でございます。最後に、債務不履行があったと認められる場合に、原告がどの程度の損害をこうむってきたのかと、いわゆる損害額を争うという三つで争点が構成されていたものでございます。
 今回の判決につきましては、最初の争点でございます原告と被告の債務、いわゆる原告が主張するような債務がどのようなものであったかということについて、原告が主張するような債務が存在しなかったと。そして、その結果として、それ以外の第2と第3の争点については判断するまでもないということで、裁判所のほうが判決を下したものでございまして、いわゆる機械設備が十分機能していないとか、そういったことについても当然主張の中では争ってきたわけでございますが、判決としては、最初の争点のところで判断が下されたというものでございます。
〇小野寺好委員 私は、事実関係がきちっと整理されていない、争われていないといったことで、控訴審でさらに事実関係をつまびらかにすべきじゃなかったかと思いますが、これについて部長はどうお考えなのか。
 それと、報道によりますと、2人の副知事と久慈市の山内市長の3人で話し合った結果、控訴しないことにしたといった報道がありますけれども、知事はどの段階で控訴しないということを決断しているのか、それについてお尋ねします。
〇小田島農林水産部長 控訴断念に至った理由につきましては、この報告書にもありましたとおり、トリニティ工業のほうでかなりの証拠を書面としてきちっと持っていたこと。それに対しまして、トレー組合のほうでは、きちっとしたそういう証拠を持っていなかったことを背景に、控訴審に仮に持ち込んだとしても勝訴できないだろうということを、弁護士あるいは関係者といろいろ協議をした結果、そういう結論に至ったものでございます。
 2点目でありますが、副知事2名と久慈市長が会って、その断念について協議したということでありますが、当然、その前に、県の考え方として、控訴断念を県としてはする意向だという協議を知事に上げて、判断をいただいております。
〇堀江林業振興課総括課長 事実についてもっと争うべきではないかというお尋ねでございましたが、23回の弁論準備手続の中では、第1の争点だけを主張し合ったわけではございませんで、すべての債務不履行あるいは損害額につきましても、原告、被告双方がそれぞれの主張、証拠を持ち合って、ここでお互いに争点をぶつけ合ったものでございます。したがって、原告側とすれば、原告側が持っている事実関係、あるいはそれを補強する証拠といったものについてはすべて出して、相手方とそれぞれ意思を戦わせてきたものでございます。
〇小野寺好委員 普通であれば控訴して、途中で和解に持ち込むとか、そういったのが一般的かと思うんですが、全く白旗を揚げてしまって、だらしないなと感想を言って、終わりにします。
〇三浦陽子委員長 ほかにありませんか。
〇阿部富雄委員 控訴を断念したということは、トリニティ工業からの賠償金は取れないということになりました。これが確定しました。そうしますと、15億3、400万円の補助金をどうするかということは、県、市、トレー組合の3者の中で考えざるを得ないと思うんですが、今までの皆さん方の答弁を聞いていますと、組合から補助金を回収する見込みはほとんどなくなった、久慈市には負担を求めない、職員には求償しない、組合への損害賠償は弁護士と相談したら難しい、こういう答弁でありますが、そうすると、どういうふうな対応をするつもりですか。
〇小田島農林水産部長 いずれ、これについては、手続的なことをきちっと踏まえた上で、回収できない債権等については、議会にお諮りをしながら、放棄をする形になろうかと思います。
〇阿部富雄委員 回収できないというのは結果ですよね。まず、回収するという努力をやることが今やるべきことじゃないのかなと私は思うんです。
 まず、一つずつ聞いていきますけれども、組合から補助金を回収する見込みがほとんどなくなったといいますけれども、何を根拠に言っているんですか。先ほど来の答弁を聞いても、資産がどうなっているかわからないというような答弁をしているし、金融団から幾ら借りているのか。10億8、000万円というふうには報告では書いています。あるいは代表理事、専務理事については、トリニティ工業から運転資金として5、000万円借りて、3、200万円払っているのに、裁判の中で反訴されているという実態もある。こういう組合を取り巻く資産だとか状況というのを私どもの前には全然明らかにしないで、組合から補助金を回収する見込みがなくなったという言い方はないでしょう。やっぱり回収する見込みがないという理由をきちっと並べてください。
〇小田島農林水産部長 報告書の事案の中で、いずれ、手続的なことについて、今後こういう形で進めていくということについて触れておりますのは、そういう手段をきちっととった上で判断をしていくという含みであります。したがいまして、もう組合から取れない、あるいは久慈市からは取らない、そして、それが全部県民の負担になるということを決めつけて答弁をしているものではございません。手続の中でいろいろ手順を踏んでいった上で、努力をした上で、結果的にそうなることが手続としてあり得るということでお話をしているものであります。
〇阿部富雄委員 じゃ、県、久慈市、トレー組合にはどういう手続をもって回収に当たっていこうという考えなんですか。
〇堀江林業振興課総括課長 手順から申しますと、組合がまず自己の債権債務を確定する必要がございます。どのような手続をとるかは、今後、組合がどのように判断するかもございますし、県、市も協議しながら詰めることになります。あるいは10億円余の抵当権を有しております金融団とも今後調整する必要があろうかと思っておりまして、金融団にもその旨はお話ししております。そういった中で、組合の債権債務を確定させていく。それが、例えば法的な手続をとっていくのかどうか、これについても、まだ組合の意向等、何も示されておりませんので、県としては、今のところ判断できない状態でございます。
 こういった法的な手続を含めた債権債務の確定をした上で、それぞれ債権者がおるわけでございますので、債権者に対しての組合の財産の分配というものがございます。それにつきましては、先ほどの御質問にもございましたとおり、抵当権が優先債権としてございますので、補助金は一般債権扱いになっておりますので、そういった意味で厳しい状況にあるのは、そのとおりではございます。その中で、最終的に組合の債権債務を整理して、久慈市がどの程度回収できるかをまず久慈市が―それ以外の方法も久慈市が考えているかどうかはちょっと承知しておりませんが―判断していただいて、それで久慈市がどの程度組合から回収できるかが決まるかと思っております。
 次に、久慈市は、回収できなかった債権についてどのように整理するかを久慈市が判断することになります。この際も、県も久慈市と一緒に協議していきたいとは考えておりますが、最終的には久慈市の判断になります。回収できない場合は、あるいは債権の放棄という方法もございますし、あるいは組合がその段階で事実上消滅しているような場合には不納欠損処理といったやり方も自治法上あろうかと思います。これは市が判断するものと思っております。
 そして、久慈市が最終的に債権等を整理した場合、残るのは久慈市と県の関係になってきます。その段階で、先ほど部長がお答え申し上げましたとおり、仮に県が久慈市から回収できる債権がどの程度あるか、これについてはその段階で判断させていただく、場合によっては議会の議を経ながら債権の放棄といった方法も当然あり得るというような、今後そういう手続がとられることは想定されます。
〇阿部富雄委員 まず、控訴断念して何日になりますか。少なくとももう20日以上たっているでしょう。あなた方は何をやってきたんですか、久慈市も含めて。少なくとも、組合の資産だとか債務債権、こんなことは組合に問い合わせればきちっと把握できる中身じゃないですか。控訴断念して以来、20日間以上何をしたんですか。我々に判断できるような資料をきちっと示さないで、あなた方が勝手に、こうだろう、ああだろうと思って報告書を出したって、何のためなんですか。真剣に取り組むという姿勢が県にも久慈市にも全然ないんじゃないの。まず、やっぱりここをきちっとあなた方はとらえてくださいよ。
 それから、もう一つ、先ほど、組合が法手続をとるかどうかわからないと。組合が何の法手続をとるんですか。法手続をとるのは久慈市でしょう。久慈市が、先ほど質問があった中小企業等協同組合法の損害賠償請求に基づいてトレー組合に対して起こすことでしょう。まず、これを久慈市にやってもらうように、県はその必要な助言等を行うと言っているんですから、こういうことをやるべきじゃないの。そんなこともしないで、なぜそんなことばかり言っているんですか。
 それから、もう一つは県の責任ですよね。先ほど部長は、総括質疑での副知事の答弁を引用してお話しされましたが、副知事の総括質疑での答弁というのは、一定程度あの時点で整理をして、そして裁判で15億3、400万円は回収するんだということをもとに、ああいう処分を行ったわけですよね。ところが、結果として、裁判は皆さんみずからが控訴を断念して負けを選んだんですよ。そうであれば、当然、その当時の状況が丸っきり変わってきているということじゃないですか。そうであれば、求償を求めるというのは当然出てくるでしょう。県民になぜ負担を求めることになるんですか。こういうことで職員に求償責任がないという法律でもあるのであれば、それはそれで示してください。私はそういうことはないと思うんですよね。少なくとも、皆さん方が今回責任を問われるのは、報告書の30ページに書いてある補助事業の適正な実施を実施してこなかった。①から⑦までありますよね。これを忠実に実施してこないことによって、15億3、400万円の負担をせざるを得ないという状況に追い込まれているんじゃないですか。こういうことで職員に求償を求めるべきだということを私は言っているんですよ。いかがですか。
〇小田島農林水産部長 平成16年3月のときに処分をいたしましたのは、いずれ、トレー組合が意図したような形でトレーがきちっと、事業が遂行されなかったことについての県の指導監督等の責任において処分をされたものでございます。その処分というのは、裁判で勝ったから、では、さかのぼってそれを処分し直すとか、あるいは負けたから重くするだとか、そういう性格のものではなくて、発生した事案についての処分と考えてございます。
 それで、今御指摘のありました30ページの今後の対応、取り組みについての処分ということであれば、これは、これまで平成16年2月議会にさまざま御意見をちょうだいし、取り組みをやってきたこと、それから、再発防止に向けて、31ページでは今後の取り組みを行うということを記述させていただいておりまして、これによって、いわゆる処分をするという案件にはならないものと考えております。
〇阿部富雄委員 ならないのじゃなくて、やってはならないという法律だとか規定とかあるんですかと私は聞いているんですよ。そういうものがあるのであれば、私は無理なことは言うつもりはありません。だけども、そういう規定は、私がいろいろ見てみた範囲では全くない。やっぱり行政責任として執行上問題があったとすれば、当然、求償を求めるというのは今までもやってきたことですし、当然、今回の事例についてだってあり得ることだと私は思っているわけです。ぜひ、ここの部分については、それらも含めてこれから対応は検討される部分だと思いますから、職員の求償についても検討していただきたいと思いますし、それから、久慈市についても、特別な事情の変化がない限り求めないんだというけれども、裁判で負けて損害賠償を取れないという新たな事情の変化ができたわけですから、やっぱりこれだって見直していくということは必要だと思いますから、これらも含めて見直しする。
 それから、組合の賠償責任だって、やっぱり久慈市にきちっとこの対応はするように県のほうから助言してやる必要があると思います。そうしなければ、回収努力もしないで安易に県民負担だということでは、県民は納得しないと私は思いますよ。まず、回収に最大限努力をする。その上でどうするかということは決めるのであって、まず回収努力をすべきだということを申し添えて、私は終わります。
〇吉田洋治委員 私からも一言申し上げます。
 いわて森のトレー事案の報告書が出されたんですが、極めて遺憾で、残念な結果報告書でございます。私は、ここに、当時の総務委員会、農林水産委員会の連合審査会の議事録を持ってきているんですが、このぐらいの膨大な議事録でございます。大変なものでございました。それで、7年前の平成15年12月8日に、いわて森のトレー事案について、総務委員会、農林水産委員会の連合審査会を設置したわけでございます。以来、平成16年3月19日まで7回の連合審査会を実施しているわけでございます。
 そこで、実は私的で大変恐縮なんですけれども、平成16年3月18日の連合審査会でございましたけれども、これまで、51回のうち、出納長が2回、副知事が2回、知事が2回、合わせて6回は知事以下三役が直接林野庁と折衝しておりました。そういう岩手県の極めて重要な議案でございましたんですが、その中で、予算特別委員会がございまして、まとめの際に、予算委員会の委員長の不信任の動議まで出されたんですよ。私はこのように指摘しています。これは三役に起因する問題だ、議会もそのぐらい真剣に議論を展開しているんだと。私は、この庁議のあり方の問題に大きなさまざまな問題が潜在しているという指摘をしておりまして、最高決定機関の知事以下の責任を追及させていただいているわけでございます。
 そういう中におきまして、今、皆さんからさまざまな問題提起が出されているわけでございますけれども、私たちは岩手県民を代表している県議会議員でございますので、その中で、やはり執行部が本会議場において事の経過と責任をきちっと明確にした意思表示をすべきだと思います。あすは決算特別委員会の取りまとめもございます。あさっては本会議がございます。最終盤になっているわけでございますから、今、一連のさまざまな議論が展開されているわけでございますけれども、今までの過去における、7年前の連合審査会の経過等を踏まえて、きっちりとそうしたことを検証して、あす、あさっての一定の結論をしっかりと出して、県としての説明責任を県民に果たしていただきたい。当然、県議会に対しても説明責任をきちっと果たしていただきたいと思いますが、執行部はどうお考えでしょうか。
〇小田島農林水産部長 今の御意見、御質問にどの程度、どういう立場でお答えをすべきかということは非常に難しいと思いますが、私どもの部とすれば、少なくとも、今回、事案の報告書を取りまとめをいたしまして、それを最大限いろいろ議論をいただきまして、御意見をいただいたことについて真摯におこたえをし、今後取り組むべき債権の回収の手続についても、久慈市あるいは組合にもきっちり話をしつつ進めていくこと、県民への説明についてもきちっとやっていくこと、国への要望もやっていくこと、そういうことについていろいろ御意見もちょうだいいたしましたし、御説明をしたと考えてございます。
 その上で、さらに本会議で県としての見解が必要かどうかということでありますれば、今のようなことについて、例えば取りまとめてその場で述べるかどうか、そういうことについては私限りのこの場でお答えをする立場にないのかなとは考えてございます。
〇佐々木博委員 まず、答弁席の皆さん、ちょうど10年ぐらい前なわけですけれども、当時かかわっていたわけじゃなくて、行政は継続性があるとはいえ、大変御苦労さまでございます。
 特にも、私もさきの一般質問で、今回、もしこの問題で県民負担を求めるのであれば、増田前知事の政治的な責任についてきっちりさせなければ県民の理解を得られないだろうということを申し上げました。早速、宮舘副知事と小田島農林水産部長には、会ってこられたということで、先ほど報告も伺いましたけれども、どうでしょうか、県民の理解が得られるような御意見だったとお考えですか、どうですか、まずそのことから伺いたいと思います。
〇小田島農林水産部長 今の御質問の趣旨は、増田前知事のお話が県民の理解が得られるものだったのかどうかという御質問と……(佐々木博委員「御自分の考えでいいです」と呼ぶ)そうであれば、御自分の訴訟を提起されたときの責任者としての責任でありますとか、裁判に負けたということについての残念だということ、県民負担にあるいはなるであろうことについても非常に責任を重く感じていらっしゃるということで、御自分のこの事案についてのかかわりについて、非常に責任を痛感されているという印象を持ったところであります。
〇佐々木博委員 部長はそう思われたかもわかりませんが、私は、お話を聞いただけでは、とてもこれじゃ県民に負担を求められるような、理解を得られるような政治的な見解の表明ではないなと実は思っております。
 この森のトレー事案報告書の中で、今まで全然説明してこなかったことがあるんですよ。それは何かといいますと、13ページです。金融団との調整というのがありまして、訴えの提起の前後から協議を重ねていたと。そして、優先的に金融団に配分する賠償金の額は工場の時価評価額とし云々というくだりがありますね。これは今まで議会で一遍も説明がなかったと思いますけれども、どうして今までこのことについて触れられなかったのでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 私の記憶も正確ではございませんが、たしか、連合審査会の場面で、金融団と調整しながら、訴訟で勝ち取った賠償額について、いわゆる国庫補助金のほうにも優先的に回してもらえるように協議をしていきたいといった答弁はしていると記憶しております。その上で、ここにもございますとおり、10億円の抵当権がございまして、仮に訴訟で勝訴して賠償金が入ったとしても、優先債権でありますこちらの10億8、000万円でもっていかれますと、補助金のほうの取り分が少ないということもございまして、金融機関とは、訴訟を提起した後、断続的に協議を重ねてまいってきたことは事実でございます。
〇佐々木博委員 私は、先日の一般質問でもこのことについて問いましたし、2年ぐらい前にも問うたと思いますが、要するに、25億円というのは過大請求をしていると。当然、被告も言っていますけれども、15億円の補助金をいただいて、10億円の機械を買って、補助金で機械を買っているわけですから、重なっている部分は二重請求で、当然、初めから25億円なんか取れるわけがなかった。ついでに、そのときになぜこういう過大請求をしたかといえば、金融機関からも11億円の借り入れがあるから、要するに、賠償金を取ったとしても、債権額の案分比例になるから、だから過大請求したんでしょうということを2回一般質問しているんですが、その答弁のときにもこういった御回答は一遍もありませんでした。なかったですよね。
 それで、私は、この解釈自体もおかしいと思っているです。抵当権というのは、抵当物件が入っているものについて優先権があります。それを処分するのであれば、これは優先的に弁済する権利があるけれども、一般の債権で買収されたものについて、別に抵当権者が優先権があるわけじゃないじゃないですか。だから、そういったところを何で協議をしたか、具体的によくわからない。本当にそこがよくわからないんですよ。どうしてそういった協議だったんでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 仮に勝訴した場合ですが、賠償金に対しても物上代位権が働きまして、抵当権がそこにも優先的に働いてまいるということから、このような調整を図ってきたものでございます。
〇佐々木博委員 物上代位と考えたの。なるほどね。だって、25億円全額、物上代位じゃないだろう。抵当権がついているのは11億円ちょっとだろう。違いますか。そうでしょう。どうなんですか。
〇堀江林業振興課総括課長 抵当権は10億8、000万円でございます。
〇佐々木博委員 だから、全額物上代位なんかつかないんですよ。だから、おかしいんですよ。
 それで、私は二重請求のところもおかしいと思っていますし、要するに、実はこの訴訟については最初からやっぱり詰めがちょっと甘かったような、そう思っているんです。私の一般質問のときに、基本的に27億円ぐらいかかったんだからこういう請求をしたんだとおっしゃったけれども、裁判は、請求したものにしか判決の対象になりませんからね。請求の趣旨で25億円訴えて、請求の理由で機械代金の10億円と補助金の15億円だと言っているんだから、ほかから借り入れたなんていうことは一つも主張していないわけだから、初めからこんなものは裁判になるわけがなかった。全額回収なんかあり得るわけがなかったんですよ。まず、そこが本当におかしいと私は思っているし、残念だなと思っております。
 いずれ、裁判については、もう終わってしまいましたから、これ以上申し上げませんが、回収、回収とおっしゃっていますけれども、回収の可能性はあるんですか。大体、企業なんか、やめれば、残存価値なんて10分の1ですよ。
 それから、3、200万円の反訴を起こされて、これは向こうの被告が勝っていて、仮執行の制限までついているでしょう。いつ実行されたって文句は言えないんですよね。そういった状況の中で、むしろ、今まで県の皆さんは、原告が破産の申し立てをしなければいいなということで、気を使いながら訴訟をやってきたんじゃないですか。破産の申し立てをされると当事者適格がなくなるから、訴訟が遂行できなくなるから、だから、気を使いながら、恐らく皆さんは裁判の遂行をされてきたんですよ。ですから、ここに来て、回収の見込みが云々なんて言って期待を持たせるようなことは余り言わないほうがいいと私は思うんですけれども、いかかでしょうか。
〇小田島農林水産部長 回収の件につきましては、この森のトレー事案報告書では手続を記載するにとどめて、回収できるものと明記はしておりませんが、回収の努力はさせていただきます。これはいずれさせていただくということで、それで、おわりにのところでありますが、35ページをお開きいただきたいと思います。先ほどの久保委員の御質問にも関係するわけでありますが、おわりにの3段落目、しかし、控訴を断念したことで、最終的な判断はこれから先のこととしても、組合から補助金を回収する見込みがほとんどなくなったことは、大変残念なことと真摯に受けとめているということで、ここのところではあえて触れさせていただいたところでございます。しかしながら、いずれ、努力は手続としてやらせていただくということは、そのとおりでございます。
〇佐々木博委員 先ほど、飯澤委員も言ったんですけれども、平成15年、林野庁の長官と増田前知事と協議をして、元本の3分の1先行返還して、訴訟をすれば延滞金については免除するという約束ができたと何遍も議会でも答弁されました。福田内閣のときに、補助金返還の問題が確かに国会で取り上げられて、返さなきゃならなくなったということは、そのとおりだと思いますけれども、問題は、県の方も立ち会っていたようではありますが、増田前知事も、林野庁長官も、いつまでも知事であるわけがないし、いつまでも林野庁の長官であるわけでもない。しかも、これは文書で残せるような中身でもないでしょう、免除するなんて。そういった文書一つ残せないようなことで約束ができたということで、確認のしようもない話でずうっと引っ張られたという、やっぱりこれも本事件の一つの異常性があるんじゃないかと私は思っているんです。少なくとも役所で、公式な文書もないのにこういうふうな話になっているということで、しかも、当事者が両方かわってしまって、本当だったのかどうか、たとえ立ち会った人がいるにしても、そういった状況ですよ。そういったところが今度の事件でやっぱり難しい、すっきりしない一つの原因じゃないかと思っております。
 それから、もう一つは延滞金ですよ。今でもこれは10.95%なんていう高利なんですか。とってもこの低金利の時代に10.95%なんて、本当に過払い金の返還請求をしたくなるぐらいの高金利ですよね。これもまだ改正になっていないのかどうか、そのことをちょっとお伺いしたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 延滞金のことで、この金利につきましては、法律にこのとおり定まっておりまして、改正になっておりません。
〇佐々木博委員 最後にします。
 いずれ、役所でお互いに合意文書がありながら、それに基づいて話が進んだというのじゃなくて、今回は、特にも林野庁というか、国側のかなり裁量が働いたてんまつだと思っておりまして、いずれ、県民の理解をどうやったら得られるかということを、本当に執行部の皆さんで知恵を絞っていただいて取り組んでいただきたいと思います。
〇三浦陽子委員長 ほかに。
〇喜多正敏委員 ちょっと確認のためにお伺いします。極めてずさんな計画で進んできたということなんですけれども、県は一般的に補助事業について完了検査を行うわけでありますが、38ページには、おおむね良好とか、そういうふうな完了検査の結果が出ているわけでありますけれども、本来であれば、補助事業が完了しないにもかかわらず補助金を交付した、これは指導監督責任以前の県の事業執行上の問題ではないかと。それから、処分がなされたという中に、完了検査をした職員は入っているのかどうか、そこを確認したいんです。
〇堀江林業振興課総括課長 完了検査の関係でございますが、当時の国の要領等から見ますと、機械の性能確認までするようなところまで求めている内容ではございませんでしたので、職員のほうとすれば、機械が設置されているということを完了した、検査のところで行ったと聞いております。ただし、やはり実際としては機械が不具合だったわけでございますから、そういった意味で県としても反省する部分があるということで、再発防止策を講じてきたところでございます。
 なお、職員の処分につきましては、平成16年の報告書にもございましたとおり、この完了検査に係るところについての職員の責めは特に問われていないと伺っております。
〇喜多正敏委員 一般的に、そういう形をしたものが入っていて、それが動くか動かないか、国のところに入っていないからなどというような報告書では県民は納得しないと思いますよ。やっぱり県民の目線に立ってこの報告書はつくらないと、何か、責任逃れのような話で、転嫁していると見受けられると思いますよ。よっぽど気をつけてこの報告書は表現したほうでいいと思います。
〇三浦陽子委員長 ほかにありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇三浦陽子委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後8時32分 散 会

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