平成22年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成22年10月15日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
   議事調査課
   総括課長     佐 藤   博
   議事管理担当課長 菊 池 達 也
   主任主査     岩 渕 伸 也
   主任主査     藤 原 由喜江
   主査     葛 西   貢
   主査     菅 原 俊 樹
   主査     大 森 健 一
   主査     千 葉 智 貴
1説明員
   保健福祉部長 千 葉 茂 樹
   副部長兼
   保健福祉企画室長 根 子 忠 美
   医務担当技監 六本木 義 光
   保健福祉企画室
   企画課長     石 田 啓 一
   保健福祉企画室
   管理課長     細 川 倫 史
   新型インフルエン
   ザ対策課長 千 田 利 之
   医療推進課
   総括課長兼
   医師支援推進監 野 原   勝
   健康国保課
   総括課長     立 花 良 孝
   地域福祉課
   総括課長     小田原 照 雄
   長寿社会課
   総括課長     岡 村 鋭 次
   障がい保健福祉課
   総括課長     朽 木 正 彦
   児童家庭課
   総括課長     奥 寺 高 秋
   医師支援推進監 佐 野   淳

   医療局長     田 村 均 次
   医療局次長 遠 藤 達 雄
   経営管理課
   総括課長     大 槻 英 毅
   職員課総括課長 佐 川 義 明
   医事企画課
   総括課長     及 川   秀
   業務支援課
   総括課長     村 田   健
   薬事指導監 松 川 幸 市
   臨床検査指導監 東 野 英 憲
   看護指導監 村 山 和 子
   栄養指導監 上 野 照 子
   医師支援推進監 千 葉 雅 弘

   医師支援推進室長 川 上 裕 二

   会計管理者 古 内 保 之

   監査委員     伊 藤 孝次郎
   監査委員     工 藤 洋 子
   監査委員事務局長 千 田   永
   監査第一課
   総括課長     奈須川 博 司
   監査第二課
   総括課長     小 原 一 信

   予算調製課
   総括課長     八 矢   拓
〇三浦陽子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成21年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成21年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、保健福祉部、医療局関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。
〇千葉保健福祉部長 まず、平成21年度保健福祉部関係の決算説明に先立ちまして、当部所管の事務事業に係ります重点的な取り組み状況とその成果等につきまして御説明申し上げます。
 当部におきましては、いわて県民計画に掲げております岩手の未来をつくる七つの政策の一つである、共に生きるいわての実現に向けまして、地域の保健医療体制の確立、家庭や子育てに夢をもち安心して子どもを生み育てられる環境の整備、福祉コミュニティの確立の3点を政策項目として掲げ、取り組んできたところでこざいます。
 まず、一つ目の地域の保健医療体制の確立についてであります。
 県民が、みずからの心身の健康づくりに主体的に取り組み、地域に必要な医師等が確保され、県民が必要な医療や検診を適切に受けることができるとともに、感染症などによる健康被害を心配することなく安心して生活できる体制を確立するため、奨学金等による医師の養成や即戦力医師の招聘、病院勤務医の離職防止に向けた処遇改善などの医療を担う人づくりを初め、地域医療連携体制の推進や地域の中核的医療を担う病院における高度医療機器の導入などの質の高い医療が受けられる体制の整備、官民一体となった自殺対策の推進などのこころの健康づくりの推進、新型インフルエンザ対策などの感染症対策の推進、市町村など医療保険者による健診などの実施率向上の支援などの生活習慣病予防等の推進に取り組んできたところでございます。その結果、平成21年度におけます医師養成、招聘等による医師確保数は31人と年度目標を3人上回ったところであります。
 また、平成22年度から岩手医科大学医学部の定員が110名から125名に増員されたことに伴い、医師養成奨学金制度の拡充を図ったことなどによりまして、将来的に本県の地域医療に従事する医師の増加につながるものと期待されるところであります。
 人口10万人当たりの自殺死亡者数につきましては34.4人と前年に比して0.7人増加し、年度目標に8人達しなかったところでありますが、これは、健康に問題を抱える中高年の自殺がふえたことが要因の一つと考えられますことから、その対策の強化に向けて取り組んでまいります。
 人口10万人当たりのがん、脳血管疾患及び心疾患で死亡する数は、男性、女性とも減少傾向にあり、おおむね順調に推移しております。
 今後とも、地域の医師確保の観点から、病院勤務医の確保、定着に取り組むとともに、質の高い医療サービス提供、救急医療体制の充実の観点からは、医療機関の機能分担と連携の促進や救急医療対策の高度化に取り組んでまいります。
 また、こうした取り組みを着実に実施し、成果を上げるため、特に医師の地域偏在や診療科偏在に関しては、国の制度見直しなども必要なことから、地域医療再生のための総合的な政策の確立などにつきまして、政策提言や要望活動について引き続き取り組んでまいります。
 さらに、新型インフルエンザの流行に備えました対策、検診受診率向上や健康づくりの普及啓発を行う生活習慣病対策、総合的・効果的な自殺対策にも取り組んでまいります。
 次に、二つ目の家庭や子育てに夢をもち安心して子どもを生み育てられる環境の整備についてであります。
 安心して子どもを産み育て、次代を担う子どもたちが健やかに育つ環境を整備するため、総合的な周産期医療体制の整備などの安全・安心な出産環境の充実を初め、企業による子育て世帯優待制度や地域の子育て支援活動の推進などの多様な子育て支援活動の充実、児童虐待防止やひとり親家庭の自立支援などの保護を要する児童、ひとり親家庭等への支援、地域子育て支援拠点の整備や一般事業主行動計画の策定促進などの仕事と子育ての両立支援の充実、若者の結婚や家庭づくりを支援する出会い・交流の場の提供などの結婚や子育てに夢を持てる意識の啓発に取り組んでまいりました。
 その結果、周産期医療情報ネットワーク参加機関数が年度目標に達するなど、県の取り組みはおおむね順調に進められたところでありますが、本県の平成21年合計特殊出生率は1.37で、前年を0.02ポイント下回り、全国と同率となったほか、一般事業主行動計画策定率や女性の家事労働時間に対する男性の家事労働時間の割合なども年度目標に達しなかったところであります。
 今後とも、行政や企業、団体、地域が一体となりまして社会全体で子育てを支えていくことが重要であるという観点から、仕事と子育ての両立を支援する企業の取り組みや男性の家事、育児への参加促進を図るほか、県民への適切な情報提供に努めながら、多様な地域子育て支援活動の充実に向けました取り組みをさらに推進してまいりたいと考えております。
 三つ目は、福祉コミュニティの確立についてであります。
 県民だれもが、必要な福祉サービス等を利用しながら住民相互の支え合いなどにより、安心して生活できる福祉コミュニティづくりを進めるため、市町村の地域福祉計画策定支援や福祉を担う人材の育成などの住民参加と住民主体による生活支援の仕組みづくり、介護サービスの充実や地域包括ケアの推進などの高齢者が住みなれた地域で生活できる環境の構築、障がい者の地域生活移行の促進などの障がい者が地域で自立した生活ができる環境の構築、市町村要援護者避難支援計画や地域の福祉マップ策定の促進などの安全・安心のセーフティネットづくりなどに取り組んでまいりました。その結果、居宅介護・地域密着型サービス利用割合は年度目標に達し、順調に進んでおります。
 また、障がい者の施設等からの地域生活への移行につきましても、年度目標の664人に対し620人とおおむね順調に進んでおります。
 今後とも、市町村におけます保健・医療・福祉の連携による地域トータルケアシステムの体制づくりの支援、地域包括支援センターの体制の充実、障がい者の地域生活移行のための地域自立支援協議会の体制強化などの取り組みを、さらに推進してまいりたいと考えております。
 引き続きまして、平成21年度当部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成21年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。当部関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち、2項県民生活費を除いた支出済額882億9、858万円余、4款衛生費のうち、1項公衆衛生費並びに2項環境衛生費の一部、3項保健所費及び4項医薬費で支出済額162億4、915万円余、16ページに参りまして、12款公債費の一部で支出済額503万円余、13款諸支出金のうち、1項公営企業貸付金で支出済額103億円、及び3項公営企業負担金の一部で支出済額189億1、725万円余であります。当部関係の支出総額は1、337億7、002万円余で、翌年度繰越額が23億3、670万円余、不用額が14億3、293万円余となっております。
 以下、順次、各項目ごとにその主なものにつきまして、便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書によりまして御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、事業別の金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業の内容を中心に御説明させていただきますが、平成21年度決算につきましては繰越明許事業が多数ございまして、若干、説明が煩瑣になりますことをあらかじめ御了解いただきたいと思います。
 恐れ入りますが、歳入歳出決算事項別明細書の194ページをお開き願います。3款民生費1項社会福祉費1目社会福祉総務費の主なものでありますが、まず、備考欄冒頭の管理運営費は、人件費が主なものでございます。次に、下から二つ目でございますが、障がい者自立支援対策臨時特例事業費は、障害者自立支援法に基づく制度の円滑な運用を図るため設置している基金の積み増しなどに要した経費であります。
 なお、繰越明許費11億7、982万円余は、この目の備考欄冒頭にございます管理運営費と、上から五つ目の岩手県社会福祉事業団自立化支援事業費及び二つ下の福祉の里センター運営費の3事業でございまして、県立施設などの維持、補修、改修などを行うものでございます。地域活性化・経済危機対策臨時交付金及び地域活性化・きめ細かな臨時交付金を活用したことに伴いまして、年度内の事業完了が困難となったことから繰り越したものでございます。
 196ページに参りまして、2目障がい者福祉費の主なものでございますが、この目の備考欄下から五つ目でございますが、重度心身障がい者(児)医療助成費は、本事業を実施する市町村に対する補助などに要した経費であります。3目老人福祉費の主なものでございますが、199ページに参りまして、備考欄中ほどやや上でございますが、介護給付費等負担金は、介護保険法に基づきます市町村等に対する負担金であり、備考欄下から二つ目の介護業務従事者処遇改善等臨時特例事業費及び介護サービス施設等整備臨時特例事業費は、介護に係る業務に従事する者の処遇改善などを図るための基金と、特別養護老人ホームの整備などを図るための基金の造成などに要した経費であります。
 なお、繰越明許費及び事故繰り越しでありますが、恐れ入りますが、197ページにお戻りいただきまして、繰越明許費2億669万円余と事故繰り越し210万円は、備考欄上から三つ目の老人福祉施設整備費の繰越明許費が4、269万円余、事故繰り越しがこの目の全額210万円でございまして、繰越明許費の残り1億6、400万円余は、恐れ入りますが、また199ページに参りまして、備考欄一番下の介護サービス施設等整備臨時特例事業費でございます。これらの繰越明許費は、関係機関との協議、調整に不測の日数を要したことなどによりまして、また、事故繰り越しは、天候不順により工事が遅延したことによりまして繰り越したものでございます。
 200ページに参りまして、5目国民健康保険指導費は、市町村の国民健康保険財政基盤の安定化に資するための負担金や積立金などであります。202ページに参りまして、7目社会福祉施設費は、県立の社会福祉施設の管理運営に要した経費であります。
 なお、繰越明許費523万円余は、ふれあいランド岩手管理運営費でありまして、備品を整備するものでございますが、これも先ほど申し上げました交付金を活用して整備することに伴いまして繰り越したものであります。
 8目老人福祉施設費は、民間に運営を移管いたしました老人福祉施設松寿荘の維持修繕を行うものでありまして、繰越明許費2、534万円は、交付金を活用して修繕、整備することに伴い繰り越したものでございます。
 204ページに参りまして、3項児童福祉費1目児童福祉総務費の主なものでありますが、207ページに参りまして、この目の備考欄下から二つ目にございます子育て支援対策臨時特例事業費は、保育所の整備などを図るために設置している基金への積み増しや保育所の整備に対する補助などに要した経費であります。
 次に、繰越明許費でございますが、繰越明許費欄の15節工事請負費865万円と19節負担金、補助及び交付金2億2、412万円余の計2億3、277万円余が、この目の全額であります。15節工事請負費に関しましては、備考欄上から四つ目の児童相談所管理運営費でございまして、児童相談所の維持修繕などに要する経費であり、交付金を活用して整備したことに伴いまして繰り越したものでございます。また、19節負担金、補助及び交付金は、下から二つ目の子育て支援対策臨時特例事業費でございまして、保育所の増改築に要する経費を補助するものでございます。これら関係機関との協議、調整に不測の日数を要したため、年度内工事完了が困難となったため繰り越したものございます。208ページに参りまして、4目児童福祉施設費は、県立児童福祉施設の管理運営に要した経費であります。
 なお、繰越明許費5、587万円余は、杜陵学園管理運営費でございまして、施設の維持修繕や備品を整備するものであり、これらも交付金を活用して整備することに伴い繰り越したものでございます。
 210ページに参りまして、4項生活保護費1目生活保護総務費は、生活保護指導職員の人件費や生活保護給付事務、指定医療機関等に対する指導監査などに要した経費であります。
 5項災害救助費1目救助費の主なものは、災害の被災者に対する生活支援などに要した経費であります。
 なお、繰越明許費900万円は、備考欄一番下にございます被災者住宅再建支援事業費補助でありまして、被災住宅の建てかえ等に要した経費に対して補助するものでありますが、関係機関における協議、調整に不測の日数を要したため、年度内完了が困難となったことによるものでございます。
 214ページに参りまして、4款衛生費1項公衆衛生費1目公衆衛生総務費の主なものでありますが、備考欄上から二つ目の母子保健対策費は、小児慢性特定疾患治療研究事業、未熟児に対する養育医療給付、周産期医療対策及び妊婦検診などの実施に要した経費であります。
 なお、繰越明許費4、225万円余は、母子保健対策費でありまして、先天性代謝異常などの検査機器を整備するものであり、交付金を活用して整備することに伴いまして繰り越したものでございます。
 216ページに参りまして、3目予防費のうち当部の所管に係る支出済額は、備考欄上から四つ目の保健福祉部18億1、007万円余であります。その主なものでありますが、三つ下にございます特定疾患対策費は、特定疾患に対する医療費給付などに要した経費であります。
 なお、繰越明許費3億8、392万円余のうち、当部の所管は3億7、736万円余でありまして、備考欄上から五つ目にございます感染症予防費で、県立病院に併設する感染症病床を取得するものでありまして、これも交付金を活用して整備したことに伴い繰り越したものであります。また、備考欄下から二つ目の新型インフルエンザワクチン接種費用軽減事業費補助は、ワクチンの接種の実費負担を軽減するものでありますが、関係機関との協議、調整に不測の日数を要したことから繰り越したものでございます。
 4目精神保健費の主なものでございますが、219ページに参りまして、この目の備考欄下から二つ目にございます自殺対策緊急強化事業費は、自殺対策に関する相談体制の整備、啓発活動の推進などを図るための基金の造成などに要した経費であります。5目高齢者保健費の主なものでございますが、備考欄上から二つ目の特定健康診査・保健指導事業費負担金は、市町村が行います特定健康診査及び保健指導事業に要した経費に対する負担金であります。6目環境保健研究センター費は、施設の管理運営及び試験研究に要した経費でございます。
 少し飛びまして、228ページをお開き願います。3項保健所費1目保健所費は、保健所職員の人件費等の管理運営などに要した経費であります。
 4項医薬費1目医薬総務費は、人件費等の管理運営費がその主なものであります。230ページに参りまして、2目医務費の主なものでありますが、備考欄上から五つ目にございます医師確保対策費は、総合的な医師確保対策の実施に要した経費であります。次の救急医療対策費は、病院群輪番制病院や高度救命救急センターの運営費補助などに要した経費であります。233ページに参りまして、備考欄上から二つ目の地域医療再生臨時特例基金積立金は、地域における医療の確保を図るための基金の造成に要した経費であります。
 なお、繰越明許費でございますが、恐れ入りますが、231ページに戻っていただきまして、繰越明許費1億8、010万円余は、備考欄中ほどにございますいわてリハビリテーションセンター管理運営費でありまして、施設改修や医療機器の更新等を行うものであり、また、予算額の全額を繰り越したため備考欄に事業名の記載はございませんが、がん診療連携拠点病院放射線治療設備整備事業費補助は、がん診療連携拠点病院であります岩手医科大学附属病院の設備整備費に対して補助したものであり、いずれも交付金を活用して整備することに伴い繰り越したものでございます。
 232ページに参りまして、3目保健師等指導管理費の主なものでありますが、この目の備考欄冒頭の保健師等指導費は、民間立の看護師等養成所及び院内保育施設の運営費補助などに要した経費であります。
 なお、繰越明許費2、012万円余は、看護師等養成費及び看護師等養成所施設整備費で、県立高等看護学院の維持補修や教材用備品の更新を行うものであり、これも交付金を活用して整備したことに伴い繰り越したものでございます。
 次に、恐れ入りますが、ページを飛んでいただきまして、364ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金には、当部所管の災害援護資金貸付金の国への償還金が含まれているところでございます。
 366ページに参りまして、13款諸支出金1項1目公営企業貸付金は、県立病院等事業会計への運営資金貸付金でございます。
 3項1目公営企業負担金のうち、当部の所管は、県立病院等事業会計への負担金189億4、317万円余のうち189億1、725万円であります。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 引き続きまして、特別会計について御説明させていただきます。
 恐れ入りますが、386ページをお開き願います。母子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でありますが、収入済額は389ページの収入済額欄の末尾、歳入合計欄の3億2、736万円余であり、その主なものは、貸付金元利収入、前年度からの繰越金及び一般会計からの繰入金などであります。収入未済額は、一つ欄を右に飛んだところにございます1億4、543万円余で、その主なものは、母子福祉資金償還金であります。
 次に、390ページに参りまして、支出済額は、391ページの支出済額の欄の末尾、歳出合計欄の2億7、927万円余でありまして、その主なものは、母子世帯及び寡婦に対する修学資金、修業資金及び技能習得資金などの貸し付けに要した経費でございます。
 以上で保健福祉部関係の説明を終わります。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
〇三浦陽子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 おはようございます。決算書で部長から保育所の待機者のための整備、増改築が説明されたところでございます。
 まずもって、待機をしている親御さんからもいろいろ聞いていますけれども、その待機児童に対しての増改築、整備促進をいろいろやったようですが、その状況をお知らせいただきたいと思います。
 そしてまた、待機児童は地方によって大分違うと思うんですが、その辺のところがどのようになっているのかをお伺いいたします。
〇奥寺児童家庭課総括課長 まず、保育所の待機児童の状況とその対策についてということでございますけれども、県内の待機児童数は、本年4月1日現在で4市町で53人となっております。待機児童の状況の把握でございますが、各市町村を通じて把握しているところでございますけれども、待機児童の解消等に向けた保育所整備に当たりましては、市町村に対して、待機児童数のほか、認可外保育施設等の利用状況も十分把握の上、整備計画を策定するよう助言し、要請をしているところでございます。
 ちなみに、この結果、今年度におきましては10市町村におきまして13カ所の整備を行い、172人の定員拡大が図られる予定でございます。
〇及川幸子委員 そのように10市町村で13カ所ですね。これですと、待機児童が今53人と言いましたが、172人が受け入れ状況だということで、逆に、幼稚園は別な管轄─教育のほうですけれども、幼稚園の受け入れ児童数がすごく少なくて、経営上も大変だということですが、その幼稚園の施設が、空き教室がいっぱいあるんですね。ですから、高額なお金をかけるよりも、私は、幼稚園の空き教室に時間外保育の支援を手だてしたほうが効率的ではないかと思うんです。余り保育園をつくり続けても、もちろん働く親が多いことは承知しておりますけれども、その辺のところも整備する上で考慮しているのか、ちょっとお聞きします。
〇奥寺児童家庭課総括課長 幼稚園におけるいわゆる預かり保育のお話かと思いますけれども、幼稚園で、教育時間終了後も延長して子供を預かる預かり保育でございますが、これは総務部において所管してございます。この預かり保育を現在実施している私立幼稚園に対しては補助を実施しているということでございまして、平成21年度の実績で、私立幼稚園85園中82園にこの補助を実施していると伺ったところでございます。
〇及川幸子委員 そうだとするならば、保育所を新しくどんどんつくり続けるよりも、この私立幼稚園85園中82園、やっぱりそっちに力点を置いていったほうが絶対いいと思うんですよ。つくり続けて、閉園に陥る幼稚園が今随分あります。そういうところで、結構整備にもかなり金をかけて幼稚園もなさっていますよね。そういうところにもっともっと力点を置いて市町村を指導していったほうがいいと思うんですが、もう一度お答えいただきたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 今の事柄につきましては、国におきましても、いわゆる幼保の一体化とか、そういった動きが今、議論されているところでございますので、その辺の議論の推移を県としても十分に見据えた上で、幼稚園サイドとの連携といいますか、一体化といいますか、そういったことにつきましても十分に把握しながら、検討をしていきたいと考えております。
〇及川幸子委員 盛岡市内のお母さんからの相談なんですけれども、いまだに保育所に入られなくて、親は働いているが、大変困っているというお話を聞きました。やっぱり大分整備されているようだが、実は待機されている児童は実際いますね。しかしながら、この整備促進はかなりやられていると言う、ちょっと矛盾的なところがあるのかなと。そして、無認可のところも使われているとか、預かり保育には補助も出している。でも、この現況を見ますと、ゼロという数字はちょっと聞こえないような気がするんですけれども、いかがでしょうか、部長。
〇千葉保健福祉部長 今、委員から御指摘のような状況にあることは、私どもも十分認識しておるところでございます。それを踏まえながら、現在、市町村に対しても、整備計画の策定におきましては十分そのように配慮しながら進めるようにと、今、助言しているところでございます。
 県といたしましても、やっぱり現在のニーズ、県内のニーズについて調査する必要があると考えておりまして、先般、御承認いただきました9月補正予算の中に、保育サービスに関する利用者調査の経費もお認めいただいたところでございまして、この中で、幼稚園で預かり保育を利用している保護者の方、あるいは認可外保育所施設を利用されている方などを対象といたしまして調査を行いまして、その実態等をまず把握してまいりたいと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 ぜひ、市町村においてはばらつきがありますので、その辺のところは十分に把握されて、待機児童ゼロというところを、もう少しなのでやっていただきたいと思います。
 2点目に移ります。児童虐待の部分についてお伺いしますが、本当に全国的には目を覆うような事件が次々と後を絶たない状況であります。本当に自分のおなかを痛めた子供にあのような仕打ちをする、食事を与えない、虐待し続ける。しかしながら、その虐待をやっている親というのは、私どもが育てた年齢の子供たちでした。私たちも、やっぱりこの教育という部分では、果たしてよかったのかどうか、本当に自分自身も反省に追いやられるような状況でございます。
 それで、岩手県内で虐待の状況はどうなのかをまず伺いたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 県内の児童虐待の状況とそれに対する対応というようなことでございますけれども、平成21年度の児童虐待相談対応件数でございますが、県の児童相談所が293件、市町村が457件で、合計750件となってございまして、前年度より6件の減少となってございます。ほぼ横ばいで推移している状況と考えてございます。
 虐待通告への初期の対応として、児童相談所や市町村が、48時間以内に家庭訪問等によって、目視で児童の安全確認を行うことに努めているところでございます。
〇及川幸子委員 前年より6件減っておりますけれども、750件という数字が上げられておりまして、やっぱりこういう大きな数字は何とか解消していかなければならないと思うんですが、事件を起こした親たちの話を聞きますと、子育てに不安を感じている、子育てがわからない、そういうことが挙げられております。
 私どもが子育てのころは、保健師さんが大分うちを回られたり、1カ所に来ていただいて、若いお母さんたちに子育ての悩みとかいろいろやっていましたが、今のお母さんたちに聞くと、そういうのがないよと。実は子育ても余りわからないお母さんたちに対して、そういう講習とか育児についてのいろいろな集まり、そういうものがちょっとないということを聞いたんですが、状況はどうなんでしょうか。
〇奥寺児童家庭課総括課長 若いお母さん方に対する育児の指導の状況についてのお問い合わせかと思いますが、この若い母親への育児指導については、まず、新生児の訪問指導、それから1歳6カ月児の健診、それから3歳児の健診などがございまして、それらを通じて、市町村がまず実施しているところでございます。また、育児の相談につきましても、一義的には市町村が行っておりますけれども、未熟児に対する訪問指導とか養育医療の給付などにつきましては、県の保健所で対応しているというような状況でございます。
 また、そのほか、市町村におきましては、平成19年度から、乳児のいるすべての家庭を訪問して相談対応や情報提供を行う乳児家庭全戸訪問事業というものを実施してございまして、これを通じて、支援が必要な家庭に対しましては適切なサービスの提供に結びつけておりまして、例えばネグレクトなどによって養育が困難なケースと判断されるような場合には、専門の児童相談所が引き継いで施設入所などの対応を行っているという状況でございます。
〇及川幸子委員 ぜひそれは徹底して、もっともっと強めてやっていただきたいと思います。やっぱり小さいときに育てるお母さんたちが、子供が夜泣きして寝不足とか、そういう精神状態にやられて、どうしても子供にそういう部分をぶつける精神的な面もあろうかと思いますので、その辺のところは今後とも徹底して、先ほどおっしゃいました750件というのをもっともっと減らして、家庭訪問を強化してやっていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 大きく3点についてお伺いします。ちょっと順番を変更しますので、よろしく御対応願います。
 最初に、ご近所生活・介護拠点整備支援事業費についてお伺いします。
 当該事業の平成21年度の成果を示していただきたい。
 そして、2点目は、ご近所介護ステーションということで、前はこの普及に大分努めてこられたと思っておりますが、最近聞かれなくなりました。どのようになったんでしょうか、お知らせください。
 それから、3点目は、最近の高齢者の方々は、やはり住みなれた地域で暮らしを続けたいと。これをサポートする体制づくりについて、公共施設の空きスペースの活用推進をどのように図るかというのが課題となっております。県の市町村との連携策がございましたら、示していただきたいと思います。
〇岡村長寿社会課総括課長 まず、ご近所生活・介護拠点整備支援事業費の成果についてでございます。
 この事業は、要介護高齢者が、住みなれた地域で安心して生活を継続することができます環境の構築に資することを目的といたしまして、民間事業者が開設するご近所介護ステーション及びモデル介護支援ハウスの整備に対しまして、平成16年度から昨年度まで、県単独で補助を実施してきたものでございます。
 この事業によりまして、デイサービス等を中心に、通所や訪問等を組み合わせた介護サービス拠点となりますご近所介護ステーションにつきましては、平成20年度までに17カ所、在宅サービスや生活支援等の利用に配慮された良質な共同住宅であるモデル介護支援ハウスにつきましては、平成21年度までに10カ所の整備が図られたところでございます。昨年度につきましては、モデル介護支援ハウス1カ所の整備となっております。
 これまでの成果といたしましては、第1点といたしまして、要介護高齢者や障がい者の心身の状況や生活環境に応じましたきめ細かなサービス提供体制といたしまして、地域の介護拠点の整備が促進されたと考えております。第2点といたしまして、事業所開設に伴います雇用者、1事業所当たり3から7人程度の職員を新規に雇用でき、雇用促進につながったものと考えております。第3点といたしましては、ご近所介護ステーションが地域密着型サービスの先導的な取り組みとなり、国による小規模多機能型拠点介護事業の創設につながったということが、主な成果と考えているところでございます。
 次に、ご近所介護ステーションについてでございますけれども、介護保険法の改正に伴いまして、平成18年度から、地域密着型サービスとして、通所、訪問、泊まりのサービスを一体的に提供する小規模多機能型居宅介護事業が制度化されているところでございます。
 また、地域密着型サービス拠点の整備に、国の地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金制度が導入されましたことにより、多くの市町村において当該交付金を活用する状況となったところでございます。
 このため、県単によるご近所介護ステーションに対します補助事業は、地域密着型サービスに係る先導的な取り組みとして一定の役割を果たしたものと判断いたしまして、平成20年度をもって当該補助事業を終了することとしたところでございます。
 この事業によりまして整備いたしました17カ所のご近所介護ステーションにつきましては、現在、14カ所が通所介護など介護保険法上の居宅サービス事業を実施しておりますほか、2カ所が生活、介護など障害者自立支援法上の事業を継続しているものでございます。
 次に、公共施設の空きスペースの活用促進についてでございますけれども、施設入所待機者の解消が喫緊の課題とされている状況におきましては、廃校となった学校等の自治体保有施設を活用して行います介護保険施設の整備は、有効なものと考えております。
 このため、県といたしましては、介護サービス施設等整備臨時特例基金を活用いたしました補助事業におきまして、学校の空き教室等を改修して行います賃借施設の整備につきましても、昨年の12月から補助の対象といたしまして支援してきているところでございます。市町村に対しましては、積極的な働きかけを行ってきております。
 その結果、この補助事業におきまして、昨年度は、廃校となった小学校を活用した高齢者認知症グループホームが1カ所整備されておりますほか、平成23年度までには、同様に学校施設を活用いたしました小規模型特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護支援事業所等、5件ほどの整備計画が市町村から寄せられているものでございます。
 今後も引き続き、市町村と連携しながら、自治体の空き教室等の有効な活用が図られるよう働きかけていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 地元で私が高齢者の方々と敬老会の日に懇談をしましたところ、自分たちは行政に100%お世話になるつもりはない。ただ、自分たちが自分たちでできることを実現したい。それが最後の質問の中で、公共施設が随分あいている。自分たちでできることを、例えば自分たちの力で運営できるかどうかわからないけれども、そういうような施設の管理なり、それから老人たちが集う施設なり、そういうものを何とか実現したいものだという声が、最近特に頻繁に聞こえるようになりました。
 市町村との連携も大変大事ですが、きめ細やかにそういう老人団体とのお話の中で、いろいろな有効策、そしてまた積極的な支援をお願いしたいと思います。
 今、介護保険の改正の議論が本格化していまして、その中でも、やはり住みなれた地域での暮らしを続けるための体制づくりというのは、議論の大きな目玉になっております。どのような形になるかわかりませんが、いずれ県のほうでも積極的な支援の体制づくりをしていただきたいと思います。
 続いて、2点目、平成21年の動議に基づく対応について。これは総括質疑でも聞きましたが、詳細にわたった答弁ではありませんでしたので、改めてお伺いします。ここは絞って聞きますので、要点についてだけお答え願いたいと思います。
 地域医療に関する懇談会、これは増額補正によって予算化されました。これは、一たん終了するという形になりましたが、今後のフォローアップ体制はどのように取り組んでいかれようとしておるのか。まず、その振興局の支援体制はどのようになっていますでしょうか。それから、各団体等が取り組む活動に対する支援策を示していただきたい。あわせて、市町村との取り組みについて、その内容を示していただきたいと思います。
〇石田保健福祉企画室企画課長 まず、振興局の支援体制についてでございます。
 地域医療に関する懇談会で取りまとめました提言の具体化に向けまして、各保健所が中心となり、地域の実情に応じて、既存の協議組織等を活用しながら、あるいは新たな組織を設置いたしまして、地域住民も参画し、引き続き検討を要するものについての意見交換、そして検証を行う場の構築を進めているところでございます。これまで、胆江保健医療圏など6保健医療圏におきまして第1回目の会議を開催し、そのほか、3地域におきましても開催に向けた準備を行っているところでございます。
 また、保健所長の新たな取り組みといたしまして、盛岡医療圏におきましては各市町村に出向き、また、久慈医療圏におきましては各市町村立診療所等に出向きまして、意見交換を行うとともに、地域課題等を集約するといった取り組みも進められているところでございます。
 次に、各団体の取り組みに対する支援策についてでございますが、各圏域におきまして、各団体等が取り組む事業につきまして、広域振興局の局長の裁量で交付できます地域振興推進費等を積極的に活用いたしまして、具体的な支援を行うこととしております。例えば、先般、知事が答弁した内容のほかにも、県南広域振興局管内におきましては、地域のボランティア団体等が行うがん患者サロンの設置や医療ボランティアといった地域医療を支える活動を支援するなど、11事業に支援することとしているところでございます。
 次に、市町村との取り組み内容でございますが、地域医療に関する懇談会の提言を受け、各圏域におきまして、昨年度、県と市町村が連携し、適正受診等に関するパンフレットの作成、配布等を行ってきたところでございます。
 また、先般、知事が答弁した遠野市の医師確保の取り組みのほかにも、例えば釜石市におきましては、県立病院の診療を応援する地元医師会に対する支援や県立病院、保健所、医師会等と連携した在宅医療提供体制の推進など、新たな取り組みが行われているところでございます。
 このような先進事例につきましては、地域医療の担い手としての市町村の主体的な、積極的な関与を一層促すために、昨年度に引き続きまして開催されます県と市町村との連絡会議の場におきまして、国、県の医療政策について理解を深めていただきますとともに、今申し上げたような事例を紹介しながら、各市町村独自の取り組みを促すこととしているところでございます。
〇飯澤匡委員 私の地元でもその地域の─特に県立病院を支えるボランティアの方々が、随分と活動の素地ができて芽が出てきたと思っております。聞くところによりますと、今のところ不満のない支援をいただいているということでございます。
 ただ、先ほどの答弁を聞きますと、まだ諸会議、そしてまた共通認識を持つという段階です。私は、もう次の、もう既に実行段階に入っている団体もあると思うんですが、県は、主導的にその芽を伸ばしていく、育てていく。これは各保健所になるんでしょうか、それとも振興局ごとになるんでしょうか。
 振興局の予算も見ますと、いろいろな部分で多岐にわたっているわけですよ。健康づくり、それからAEDのトレーナー等の養成であるとか。私は、保健福祉部の中で地域医療を守るという機運を醸成するためには、もう少しきちっとした柱立てをして、振興局単位の中で事業を展開するというやり方が必要だと思うんです。その点について、部長はどのような見解を持っていますか。
〇千葉保健福祉部長 私どもにおきましても、今、おただしございましたような取り組みはしていく必要がまずあると考えてはおります。ただ、実は、各圏域ごとの進路、取り組み状況が、これも御案内のとおりでございますが、かなり温度差があるのも事実でございまして、まずは一定の水準まで温度差をある程度少なくするというか、そういう取り組みをする必要があるのでないかと考えております。現在、それで各保健所長のほうで、先ほど申しましたが、いろいろな独自の動きもしているところでございます。
 いずれそういう段階、特に、盛岡市から一関市の間の人口集中地区につきましては、やはりそういう取り組みはまだ弱いということもございます。いろいろと今、そういう取り組みはしているところでございますが、まず何とかしてそこを動かしたい。ある程度そういう共通的な水準になった段階で、県として一つの方向をお示しし、御議論いただきながら、統一的に進めていくようなアプローチをしていかなければならないのではないかと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 そういう御認識でしたら、やはりきっちりと検討した中で育てていくような方策を考えていただきたいと思います。市民の意識というのは大分高くなってきました。そこをどういうふうにフォローアップするか。私は、市町村も大事ですけれども、県は、やっぱり医療と保健福祉の連携という意味において、もっと統括的な、総合的な見地で光を照らしていくということをぜひやっていただきたい。
 それから、次に、県立病院の経営のあり方懇談会についてお伺いします。
 この間の知事答弁によりますと、2月ごろを目途に報告書をまとめるとの答弁がございました。ただし、この懇談会のこの間終わったものの内容を見ますと、9月9日に開催した第4回の会議ですけれども、委員の中に、やはり知事のしっかりとした判断のもとに進めてほしいと。要するに、この委員の発言によりますと、兵庫県や静岡県の知事は、同じ自治省出身の知事でも、一方は地方公営企業全適を維持し、一方は独立行政法人化することを明言して進んでいる。やはり委員の方々は、この方向性について、より強い知事のリーダーシップを期待していると思うんですが、この間の答弁でも、地域医療に関する知事の所感は、私は明確なものは出てこなかったと。希望的な思いは伝わりましたけれども、実際、じゃ、どういうふうにして地域医療を完結していくのかと。
 これは、県立病院のあり方にももちろん密接に関係していきますので、部長は、懇談会を招集する責任者でございますので、この会議の持っていき方、もう4回もやっているんですが、なかなか議論が煮詰まっていないその内容について、どのような所感をお持ちなのか、これから知事のリーダーシップについてどのような思いを持っているのか、お伺いします。
〇千葉保健福祉部長 懇談会に対する対応でございますけれども、いずれこの懇談会の設置に当たりましては、知事から、この経営形態のあり方について、専門的、学術的視点から幅広い意見をいただくよう指示されているところでございまして、第1回目の懇談会において、その旨を懇談会委員にはお伝えしているところであります。
 これまで開催されております懇談会におきましては、現状の説明、あるいは施設調査等も行っておりますが、各委員のさまざまな視点から意見交換がなされているものと考えております。
 大体上期が終わったわけでございます。これから下期に入りますが、これからいよいよ意見交換を、今までは、どちらかといいますと、私ども、あるいは医療局のほうの現状説明、あるいはそれに対する質疑等が中心でございましたが、そういう説明の話は大体一段落いたしましたので、後半につきましては、いよいよいろいろな委員さんにおける意見を深めていただきまして、最終的には報告にまとめていただくという方向に持っていくことを考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 ことしの予算特別委員会の私の質問に対して、当時の福島副部長は、こういうことをおっしゃっております。今後、医療局と保健福祉部との連携についても、知事の御意向を踏まえて私どもも取り進めたいと。要は、庁内でもこのような格好でリーダーシップを期待しているわけですが、なかなかメッセージが伝わってこない、なかなか前に進んでいない。この点について、部長はどのような所感をお持ちですか。
〇千葉保健福祉部長 私どもといたしましては、まずは、事務的になすべきことはなしていくということで進めているつもりでございますが、それのメッセージがいまだ伝わりにくいというお話であるならば、その一端は私どもにも責任があろうかと思いますので、よりそういうメッセージがきちんと、その取り組みの姿勢、方向が伝わるように、私ども対外的にお示ししていくような努力を一層していく必要があるものと考えております。
〇飯澤匡委員 わかりました。この間、時間がなくて知事には聞けなかったので、最後に若干聞きましたけれども、なかなか明確な答弁はありませんでした。
 それでは次に、最後に、地域医療に従事する医師の養成についてお伺いします。
 これもことしの予算特別委員会で聞きましたら、野原課長から、岩手県地域医療対策協議会において、養成医師の配置のシステムづくりをするというような答弁がございました。その後の進捗状況はどうでありましょうか、お知らせ願います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 養成医師の配置のシステムづくりでございます。委員御案内のとおり、さきの予算特別委員会で御答弁申し上げたところでございますが、この背景等でございます。
 地域医療に従事する医師の養成につきましては、平成20年度から岩手医科大学の定員増にあわせまして、地域枠を設定するなど奨学金制度の拡充を図ってきたところであり、本年度は、全体で55名分の奨学金枠を設定し、奨学生の確保に努めているところでございます。
 このような奨学金制度によって養成された医師の配置については、今後、平成24年度ごろから順次拡大し、28年度以降は、さらに本格化することが見込まれることから、県では、こうした養成医師の配置に向けて、地域医療対策協議会において、大学関係者や市町村等の意見を伺いながら、医師のキャリア形成や地域医療確保とのバランスに配慮した医師の計画的な配置や派遣等の調整を行うためのシステムづくりを現在進めているところでございます。
 現在の具体的な対応状況ということでございますが、平成19年度以前から奨学金の貸与を行っている養成医師の配置が一部進められてございます。この点について、医師不足が深刻な地域への配置を考慮しつつ、配置可能な医師の将来の希望や専攻する診療科と、実際に養成医師の受け入れを希望する病院との具体的なマッチングのルール化や、また、配置する医師の身分等の取り扱いなどの課題解決に努めながら、段階的にシステムの整備を図ることとしており、平成16年度に事業開始いたしました市町村医師養成事業においては、関係機関等と協議しながら、具体的な配置の試みに着手したところでございます。
 また、厚生労働省においては、来年度から、全都道府県への地域医療支援センター─これは仮称でございますが、こちらの設置案を公表したところであり、このセンターに期待される役割として、将来的には、このような養成医師の配置調整機能を担うことも想定されていることから、県としても、今後の国の動向を注視し、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 この間の総括質疑でも、知事から、厚生労働大臣に地域医療の基本法を御提案申し上げたと聞きました。要するに、今までは医師の確保、医師の確保ということで、量的にまず数を集めようということでしたが、次の段階、そのシステムづくりというのは、これは大変重要になると思うんです。
 ヨーロッパでも、英国でも、ドイツでも、テレビの報道によりますと、医師会が中心となってその需給バランスをつくっていると。そこまで行き届くかどうかは別にして、ひとつしっかり地域の医療の、医師の偏在というものを大きな柱に据えて、やはりこの点に取り組んでいかないと、いつまでたっても地域医療に対する達成感を住民の方々が実感できないということになろうかと思います。
 最後の質問になりますが、さきの知事答弁で、地域医療のあるべき姿を岩手において率先してつくっていきたいというような決意が示されました。あるべき姿、岩手において率先してという点について、部内の検討状況、どのように進んでおるのか、その点について示していただきたいと思います。
〇千葉保健福祉部長 このあるべき姿の実現に向けました部内の検討状況ということでございますけれども、いずれ、この地域医療のあるべき姿の実現に向けて、県民本位を起点として地域からつくり上げ、発信していくことが重要であると知事から御答弁申し上げているところでございます。
 このような認識を踏まえまして、私どもといたしましては、先ほど委員からもお話がありましたが、県民の医療に対する意識、取り組みをまずどのように、さらに共有化を進めていくか、いわゆる二次医療圏あるいは県全体という話にもなってまいりますが、地域の状況に応じた医療のあるべき姿に向けての具体的な取り組みについて、その共有化をどのように進めていくかということで、現在も、懇談会のフォローアップ組織、あるいはことしまで3年間とりあえずすることとしております県民みんなで支える岩手の地域医療推進プロジェクト事業などで取り組んでいるところでございます。いずれ、このプロジェクト事業で、開始以前に県民の意識調査も行いました。今年度末には改めて調査を行いまして、県民の意識がどの程度移行したかということについても見定めながら、次のステップに対応していきたいと考えております。
 また、先ほど申し上げました市町村との関係でございますけれども、現在、市町村におきましても、例えば一関市とか奥州市では独自の奨学金制度、あるいは久慈市では病院勤務医師への貸付条例の拡充など、そういう独自の施策も始まってきているというところは、私どもも十分承知しております。
 ただ、まだ一部のそういう取り組みになっておりますので、今後、県と市町村職員、医療関係職員が広く認識を共有するような仕組みをつくっていかなければならないと。差し当たりは、例えばそういう関係者を集めた医療政策フォーラムなども行うことを考えておりまして、そういうところから新しい取り組みも進めていきたいと考えているところでございます。まだ検討状況でございますので、ちょっと具体的に申し上げられなくて申しわけございませんが、そういうことを考えているという状況でございます。
〇関根敏伸委員 私からは、大きく2点お伺いをさせていただきます。
 最初に、県内の周産期の医療体制についてお伺いいたします。
 先般、地元紙に県内の周産期医療体制に対しての記事が2度にわたって載っておりました。その後、医療推進課のほうから、認定のあり方についてという資料が送られてきております。たまたま私の地域に関しての病院も載っていたものですから、個人的に資料をいただいて、いろいろ拝見させていただいておったんですが、なかなか私も理解が十分できないものですから、基本的な認定のあり方等も含めて、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
 まず最初に、周産期医療圏の設定はどのようにしてなされるのかということをお聞きいたします。
 平成20年に見直しがされておりまして、従来は三つの医療圏であったようでございますが、現在の四つの医療圏に見直しがなされているようであります。見直し前と見直し後の状況に対する県の認識とあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 周産期医療圏の設定についてでございますが、周産期医療圏は、産科医や小児科医の不足など、現在の限られた医療資源の中で、医療機関の機能分担と連携のもと、安心・安全な出産環境を確保するため、今、県では九つの保健医療圏を設定してございますが、それよりも大きなくくりで設定させていただいているものでございます。
 平成20年の見直し前における三つの周産期医療圏では、例えば宮古、久慈、二戸圏域や両磐と気仙が同一圏域であり、患者さんの受診動向や患者搬送が実態に合っていなかったこと、また、胆江、岩手中部地域から盛岡地域への患者搬送が多く見られ、県南にも中リスクに対応する拠点が必要であるとの関係者の意見などを踏まえ、平成20年4月に策定いたしました医療計画の検討の際に、岩手県周産期医療協議会の検討を経て、見直しを行ったところでございます。
 現在の四つの周産期医療圏については、患者搬送や受診動向が反映されているほか、地域周産期母子医療センターを中心とした機能分担と相互連携を図る面からも、以前に比べ、より機能的な圏域設定になったものと認識しているところでございます。
〇関根敏伸委員 産科医師や小児科医師、あるいは整備等の状況の中で、こういったものは決まってくるのだろうと思います。三つから四つということで、きめ細かな場で医療圏が設定されたということとあわせて地域の周産期母子医療センターが新たに認定されたとういうことに関しては、大いに評価したいと思っております。
 あわせて、そういった前提の中でお聞きしたいわけでありますが、現在、私が住んでおります地域は、中部、胆江、両磐という医療圏のくくりの中で、周産期医療体制が一つの圏域になっているようでありますが、地域周産期母子医療センターとして、県立中部病院と北上済生会病院の連携という形の中で認定されているということになっているわけでございます。この部分に関して、いわゆるセンター機能としての評価はどのようにとらえていらっしゃるのか、また、課題があるとすれば課題をどのように把握されて、その対応をどうとろうとしているのか、ちょっと細かに聞かせていただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 認定後の両センターの機能の評価についてでございます。本年6月の認定以降、両センターを中心といたしまして、合同症例検討会の開催など連携強化の取り組みが始まり、認定後は患者搬送事例が増加しているほか、関係大学による診療体制強化に向けた協議により、7月から県立中部病院の産科医が増員になるなど、厳しい医療環境の中で、地域の周産期医療体制の充実に向けた取り組みが、少しずつではございますが、着実に進められていると考えてございます。
 また、平成22年度の国庫補助制度の拡充に伴いまして、地域周産期母子医療センターへのNICU運営費補助が創設されたことにより、センターの運営面や設備の充実強化も図られることと期待しているところでございます。
 しかしながら、一方では緊急母体搬送など両センターでは対応し切れないケースもあることから、特に、ハイリスク分娩等への対応については、岩手医大に設置しております総合周産期母子医療センターを中核として、県内の周産期を取り扱う医療機関の連携のもと、全県で対応していくことが必要と考えております。このため、医療機関や市町村などが妊婦健診や診療情報を共有し、母体搬送などに活用する岩手県周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶの一層の充実や、病院間の搬送を円滑に行うための連携、調整機能を強化する方策の検討を進めるなど、周産期医療体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 全県として、岩手医大を中心とした機能連携をしっかり図っていくということは当然だと思うんですが、要は、指摘されている部分は、二つの病院が、ワンセットと言っていいんでしょうか、セットの形で認定を受けて、この連携のもとに、中・低リスクの分娩とかハイリスクの分娩をいろいろ機能分担していくということだろうと思うんですが、新聞などで疑問視されているのが、やはり病院間の距離、それに生じる危険な新生児の搬送といった部分がきっちりと連携とか対応がされているのかという部分だろうと思うわけであります。
 今、評価の中で、搬送事例もふえているということが評価されている理由になっているようですが、そもそも搬送の件数がふえているということに対して高評価を持つという理由が私はよくわからないものですから、連携が十分にされて、その搬送がしっかりされているというのであれば、そのとおりだと思うんですが、その辺を踏まえて、改めて、二つの病院をセットの中で、中、低リスクの分娩に対しての対応がうまく機能できているのかどうか。
 さらに、その搬送に伴うさまざまなリスクというものをどうやって軽減しようとされているのかを聞かせていただきたいと思いますし、あわせて、本来であればワンセットにされるのが一番いいと思いますが、当然、お医者様の状況であるとか、設備の状況であるとか、そういったことが課題の中で、こういう形をとらざるを得ないということは十分認識しておりますし、両病院長さんからも、連携機能を十分果たして、もっともっと機能強化に努めていきたいという談話もいただいているわけでありますが、改めて、その辺の連携のあり方を伺わせていただきたいと思っております。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 周産期医療の体制につきましては、中部地区では、これまで主に新生児を中心とした対応が済生会病院でなされておりました。また、産科医療に関しましては中部病院が比較的充実した体制でございます。こうした中で、やはり一つの病院で完結するのが目指すべき姿ではございますが、地域全体で、それぞれの持っている病院が機能を十分発揮していただいて、連携の中で周産期医療体制を充実させていくことが、現在ではやはり目指すべき姿ではないかと考えてございます。
 こうした中にあって、両病院の連携─例えば具体的なこうしたような事例についてはうちの病院が担当しましょう、こういった場合には搬送しましょうといったような基準づくり、こういったような会議が実は10月12日にも、両病院の関係者、保健所、そして地域の産科の先生方が参加した合同検討会が実施されまして、先生方は、この圏域での周産期医療の連携体制に対する非常に前向きな議論がされたと伺ってございます。両センターが認定されたということは、連携の会議、先生方同士の会議などもまさに密になってございます。こういった役割分担と連携は、両センターの認定を契機に進んでいるものと認識しているところであり、今後とも、その連携について県として支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 単純な質問なんですが、いただいた資料によりますと、連携して認定せざるを得なかった理由としては、中部病院には産科医師が4人、済生会病院には非常勤を含めて2.2人と。ただ、中部病院にはNICUという設備がないということで連携せざるを得ないというふうな、これは新聞報道の見方です。ただ、資料だと、中部病院にはNICUが4室設置になっているといただいております。聞いておりますと、これは国庫補助基準を満たす施設ではあるが、診療報酬上の対応はできないということで、NICUとしては認められていない云々の説明をいただいているんですが、現在中部病院にあるNICUの設備を利用してワンセット型という対応はとれないのかどうか、単純な質問なんですが、それをちょっと聞かせていただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 中部病院のほうにも小児科の先生方はいらっしゃいます。今、医療が高度化、専門化している中で、小児医療の中でもいわゆるNICUの新生児を専門とされる先生方、また、比較的幼児や児童の慢性疾患でありますとか小児特有の疾病を専門とされている先生と、小児科の中にあっても専門性が細分化されている部分がございます。こういった医師の持っている診療機能といった点では、これまで済生会病院が新生児を担っている、専門医の先生方がおられた。中部病院のほうでは、新生児よりもむしろ小児の専門的な領域を専門にされている先生がおられるといったような状況を踏まえ、両病院で役割分担、機能分担をしていくかどうかというのが背景にあるというものでございます。
〇関根敏伸委員 なかなか専門的な部分があるのだろうなと思って、十分には理解できかねる部分もあるんですが、いずれ、今のような県内の医療資源の状況の中での最善の策と私は理解するわけであります。
 そんな中、知事も記者会見の中で、限られた医療資源を最大限活用する体制を工夫するための方向性というようなことを触れておられたかと思っておりますし、県からいただいた資料でも、県南地域や県北地域におけるセンターのあり方についても新たに検討を加えていくといったようなことが示されているわけであります。指摘をされている根本は、体制が十分でない中で、センターの看板を掲げることがいいのかどうかという非常に悩ましいことが指摘されていたわけでありますけれども、こういった部分も踏まえて、知事の発言、あるいはいただいた資料によって、センターあるいは医療圏を含め、具体にどのような方向性で見直しの検討を進めようとされているのか、また、スケジュールはどのように考えていらっしゃるのか、それを最後にお聞きしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 今後の地域周産期医療センターのあり方の検討でございます。特に県南地域や県北地区のセンターということで検討を進めたいと考えてございますが、今年度実施する県境地域―これは宮城県境、青森県境ということでございます。こちらの受診動向調査の結果も踏まえながら、本来のハイリスク分娩に加え、現在、中リスク分娩にも対応しております岩手医大の総合周産期母子医療センターの負担軽減に向けた中リスク対応医療機関の一層の確保、また、圏域内における関係医療機関の連携拠点としての地域センターの役割の強化などの視点に立って検討を進めることとしております。この検討に当たりましては、関係機関に直接私どもが出向きまして意見交換を行うなど、現場の状況や関係者の意見を十分に踏まえつつ、岩手県周産期医療協議会の検討を経て、年度内に方向性を示したいと考えております。
〇関根敏伸委員 今の御答弁でございますが、これはセンター病院を見直すということなのか、見直しも含めて、追加も含めて考えるということなのか、あるいは医療圏そのものの見直しも視野に入れているということなのか、この辺も最後にお聞かせいただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 現在、周産期医療体制につきましては岩手県周産期医療システムというものがございまして、平成21年3月に見直しをさせていただいたところでございます。また、本年、国からの指針を受けまして、今、岩手県の周産期システムの見直しをあわせてしているところでございます。
 その中にあって、今、周産期医療圏を大きく見直そうという形での委員からの御意見はいただいていないところでございますので、医療圏に関しては、まず現行の四つのまま、その中にあって地域周産期母子医療センターを新規に認定するのかということを中心に、今年度、検討を進めたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 理解をいたしました。よろしくお願いいたします。
 次に、自殺対策についてお伺いをさせていただきます。
 昨年の一般質問でも自殺対策を取り上げさせていただきました。国からの基金などを利用して、大変大きな事業費も用いながら、幅広い対応をされているとは理解しているわけでございますが、残念ながら、自殺対策については目標値にほど遠いという現状だと思います。この点についてお伺いいたします。
 平成21年度の自殺者につきましては、全県で459人、10万人当たりの自殺率は34.5人ということになりました。掲げられた目標は26.4人でございますので、目標に対しましては、残念ながら大変大きな隔たりがあると思うわけでございますが、この現状と対策のあり方に対して、県の根本的な御認識をお伺いさせていただきます。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 自殺対策に係る現状とその対策でございますが、委員御指摘のとおり、平成21年の自殺者数は459人、10万人当たり自殺死亡率は34.4人ということで、いわて県民計画アクションプランに掲げる目標値を上回る結果となってございます。また、近年の厳しい経済状況の中におきまして、平成20年、21年と2年連続で自殺者数が増加しておりまして、県としても極めて憂慮すべき事態であると認識しております。
 これまで、平成18年度に策定いたしました自殺対策アクションプランに基づきまして、県、市町村、関係団体などがそれぞれの立場から自殺対策の取り組みを進めてきたところでありますけれども、自殺の要因が複雑多岐にわたっていることもありまして、これまでの県や関係団体の取り組みは、広がりと一定の成果はもちろんあるわけですけれども、県民計画において目指すべき姿である自殺者数の減少といったところまでは直接結びついた状況にはなっていないところでございます。
〇関根敏伸委員 10万人当たりの34.5人、目標が26.4人ということでありますが、単純に、平成21年度の目標値の26.4人を達成したとすれば、平成21年度の自殺者というのはどの程度でとどまったわけですか。単純数で申しわけございませんけれども。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 大体140人ぐらいの減少ということになると思いますので、320名程度の数になろうかと思います。
〇関根敏伸委員 140人の減少ができたかどうかということでございますので、これは本当に大きい数字だろうと思います。
 自殺対策の難しさというのは、本当に私も理解しているわけでございます。ただ、いただいている資料、県の平成21年度の県民計画のアクションプランの政策編の取り組み状況を見ましても、さまざまな取り組みが幅広くされていらっしゃるわけでございます。自殺対策関係者へのワークショップの開催がA、ニュースレターの配信もAだと。予防の担い手の育成もAだと。かかりつけ医とか保健関係者への研修等の受講もAだと。さまざま掲げた施策はAで推進しているんですが、結果として、一番の大きな目標比にはどんどん乖離が進んでいる。こういう現状は、本当に歯がゆい思いをされていらっしゃるのは十分理解するわけでありますけれども、何とかしていっていただきたいと、とにかく強く思うわけであります。
 現在、久慈に加えて二戸もいわゆるモデル地域に加えて設定しているわけでありますが、久慈も平成19年に大きく自殺率を減少させました。平成20年、21年と若干これがまた拡大している、向上しているという部分もあろうかと思いますが、久慈での成功例も、どのように分析をとらえまして、これを二戸を初め全県にどう波及をさせていらっしゃるのか、先ほどの全体的な施策の評価等も踏まえて、改めてお聞かせいただきたいと思います。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 県の自殺対策の全体の対策、取り組み内容についてですけれども、今年度、自殺対策アクションプランにつきましては見直す時期に来ております。その見直しに当たって、最近の自殺の要因等を改めて専門家の視点などを入れながら分析していただくとか、それから、自殺対策推進協議会の下部組織として事業委員会というものがあります。そこで、専門家の方々から、効果的な事業のあり方、方向について御意見をいただきながら、次期アクションプランに落とし込んでいきたいと思ってございます。
 それから、久慈地区の自殺対策の成功の要因等についてでございますけれども、県北地域は、委員御承知のとおり、県内でも特に自殺率が高い地域となっております。久慈地域におきましては、岩手医科大学の支援を受けながら、国の研究事業等を入れて、平成11年度から、市町村、保健所、県立病院等との連携のもとで、行政、医療等80余りの機関、団体によるネットワーク組織の活発な活動などが行われてきました。現在も毎月定例曜日には四、五十人の自殺対策に関係する方々が集まって、いろいろ対策の議論をしていると聞いております。また、住民へのうつスクリーニングをすべての市町村でやるとか、健康教育、健康相談を全管内の市町村でやるとか、また、より身近な相談の場として傾聴ボランティアを養成するとか、そういったことをさまざま久慈地域では先行的にやられてきました。その結果、平成16年には人口10万人当たりの自殺者数は57.9人でしたが、平成19年には全国平均の24.4人を下回る21.6人まで落とすことができました。これも長年にわたるこれらさまざまな取り組みの一定の成果だと思っております。
 久慈地域での成果をほかの地域にも波及させるために、平成21年度からは二戸地域をモデル地域として新たに指定させていただいて、久慈地域と同様に市町村、保健所等が連携して、自殺予防ネットワーク連絡会の設置ですとか、きめ細かな健康教育、関係者の研修会などの開催に取り組んでいるところであります。
 県のほうでは、現在、自殺が多発している地域を初めとして、全県にこの取り組みを波及させることとしておりまして、また、精神保健福祉センターに設置している県自殺予防情報センターによる、市町村や保健所職員を対象とした専門研修の開催や現地での技術支援などを通じて、各地域の取り組みの強化に向けて一層支援してまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 次期アクションプランでの見直しということで、いろんな今までの取り組みを踏まえて効果的な対応をぜひとっていただきたいと思うわけであります。
 最後にまとめて。
 さまざまな対策をとられているわけでありますが、大きく分けると、相談体制をネットワーク化していこう、あるいは心の健康づくりをしていこう、あるいは未遂者でありますとか遺族への支援をしていこうという方向で、今、施策がつくられていると思うわけであります。
 まず一つ、多様な相談窓口の整備とネットワーク化につきまして、目標は、身近に、気軽に、いつでもというスローガンのもとで進められていると思いますが、この体制は十分とられているのか。
 それから、開発されましたうつスクリーニングの状況です。今お話にも触れられておりましたが、これはどのように利用状況があるのか、あるいはこのスクリーニングによって陽性が出た方への対応はどうとられているのか、フォロー体制についてお聞かせください。
 最後に、自殺未遂者に対してのフォロー体制であります。医療関係者を初めとする関係機関の情報共有体制はどのようになっているのか、この三つについてお聞かせいただきたいと思っております。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 最初に、多様な相談窓口の整備とネットワーク化という御質問でありますけれども、自殺対策アクションプランの策定以降、全保健所、精神保健福祉センターに専門の相談窓口を設置しております。また、より身近な相談の場として、各地域で傾聴ボランティアの養成と、その組織化を図っているところでありまして、現在、県内では約15団体が活動しております。これまで活動してきた盛岡いのちの電話を初めとする民間相談機関に加えて、NPO等による新たな相談窓口の開設や24時間相談を目指す取り組み、また、一部の市町村では対面相談の取り組みを始めるなど、相談窓口は充実してきていると思っております。
 今後は、相談に適切に対応するための相談員の資質向上を図るための研修でありますとか、あるいはノウハウの蓄積といったようなことを取り組んでいきたいと思っております。
 また、これまで各保健所におきまして、相談機関など関係団体が密接な連携を図るためのネットワーク化というものも図ってまいりましたが、今後においては、全県的な相談のネットワークの構築に向けて、体制の一層の充実に向けて努めてまいりたいと思います。
 続きまして、うつスクリーニングの利用状況とそのフォロー体制の御質問でございましたが、平成21年度に自殺対策の一環としてうつスクリーニングを実施した市町村は16でございました。受診者8、015人という実績でございます。これに対しまして、平成22年度は、自殺対策緊急強化事業を活用いたしまして、新たに11の市町村においてうつスクリーニングを実施することとしております。全体で27の市町村で実施する体制になるということで、大きく前進したと思ってございます。
 県といたしましては、自殺対策におけるうつ病の早期発見というのは有効な取り組みだと考えておりますので、県内すべての市町村で実施されるように、これからも保健所を通じて働きかけていきたいと思ってございます。
 また、そのフォロー体制でございますけれども、検診等の場において、自己チェックによるうつスクリーニングを行った結果、陽性または陽性の疑いがあるという場合には、保健師等が面接による二次スクリーニングというものを行います。その後、訪問による経過観察を行いながらフォローアップを行っているということでございます。また、二次スクリーニングの結果、うつの症状が疑われるケースについては医療機関への受診勧奨を行いまして、自殺の水際防止に役立っていると考えております。
 しかしながら、このフォロー体制につきましては、市町村により個々ばらつきがある、温度差があるということでございますので、今後は、先進的な取り組み体制を周知徹底するなど、フォロー体制の充実について支援していく考えでございます。
 最後に、自殺未遂者に対するフォロー体制等についての御質問でございました。自殺未遂者につきましては、心理的に追い詰められまして、さまざまな精神症状を有していると考えられます。自殺未遂で救急部門に搬送された方に対する事後のフォローに当たっては、救急医と精神科医が情報を共有するなど連携を密にしながら、身体的治療後の適切な精神科医療の提供というものが重要な課題であると考えてございます。
 このため、県では、本年度から岩手医科大学に委託しまして、救命救急センターにおいて、精神科医と連携した心理的ケアや退院後の地域ケアといったものの取り組みを試行的に行う自殺未遂者対策推進事業というものを始めたところでございます。また、精神保健福祉センターにおきまして、モデル事業として、県北圏域における自殺未遂者の相談支援の仕組みづくりというものに新たに取り組み始めたところでございます。
 自殺未遂者の支援というのは、全国的にも、本県でもまだまだ始めたばかりのものでございますけれども、これらの事業の成果について検証を進めながら、医療関係者間における密接な連携や効果的な相談体制の構築など、今後の未遂者の支援体制の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
〇三浦陽子委員長 関根委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、よろしくお願いいたします。
〇関根敏伸委員 はい、わかりました。
 最後になります。
 そういうことでございまして、特に未遂者に対しての報告書をたまたま目にして読ませていただきました。医師初め看護師さん等も、やはりこれに対しては大変な苦労をされているというのがわかっておりますが、本調査では、救命処置後に地域社会につながった自殺未遂者がどの程度いるのか把握できないという最後の報告がありましたので、この辺の仕組みづくりには十分意を用いて取り組んでいただきたいと思っておりますし、最後は、平成22年度に23.7人という最終目標を掲げていらっしゃるわけでございます。希望郷いわてに最もふさわしくない自殺の現状だと思います。
 最後に、部長の所感と取り組みに対しての決意を伺って、終わりたいと思います。
〇千葉保健福祉部長 冒頭のお尋ねに総括課長から答弁いたしましたが、やはりこの状態は極めて憂慮すべき事態だと認識しております。いずれ、計画に定める目標達成は極めて厳しいものがありますが、近日、自殺対策の協議会も開いて、今後の対応について、改めて官民一体となって取り組むことについて議論していくこととしておりますので、官民一体の力を結集して取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 先ほどの関根委員と少しかぶる部分があるのですが、私からは心の病、精神疾患と自殺防止対策について何点か質問させていただきます。
 現在、日本の年間の自殺者数が12年間連続で3万人と言われており、先ほどお話にありましたとおり、岩手県でも自殺者数が平成21年度は459人ということで、自分で自分の命を絶つわけですから、戦争以上に大変残忍なことだと私は思っております。心の病や自殺予防は社会全体で取り組むべき喫緊課題と考えておりますが、岩手県の実態を県ではどのように把握しておりますか。また、その心の病の原因は主に何であるのか、その課題に向けて県ではどのような対策をとっているのかを教えていただきたいと思います。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 心の病、精神疾患についてでございますけれども、まず、心の病、精神疾患に係る本県の現状についてお話を申し上げたいと思いますが、軽い症状で医療機関に受診していない方もいらっしゃいますので、その正確な実態把握というのは困難なわけですけれども、入院と通院している患者さんの実態を申し上げますと、入院患者につきましては、平成21年度厚生労働省の精神保健福祉資料による昨年6月30日時点で精神科病院に入院している患者さんは4、059人おられます。また、通院患者さんにつきましては、精神科に通院している方への公費負担制度である自立支援医療制度の公費負担を使いながら受診をしている受給者数で申し上げますと、1万3、954人の方が平成21年度の患者数でございます。
 県では、精神疾患の方の支援策として、心の病に対する相談先を保健所や精神保健福祉センターなどに設置しておりますが、そこで医師、保健師等による相談窓口を設置して、深く、よくお話を聞きながら、原因としてあるものなどを探るようにしております。この相談を通じまして、治療が必要な方につきましては、医療機関の紹介など精神科等への受診勧奨を行っているということでございます。
 医療機関から退院した方や、また在宅の患者の方につきましては、在宅生活の支援策として、日中の居場所や福祉的就労の場の確保といったもののために、市町村や事業者への支援を行いまして、サービス提供基盤の整備を進めてきたところでございます。
 さらに、在宅の精神障がい者に係る症状の急変等に対応するため、休日、夜間等におきまして、緊急性の高い相談を受ける精神科救急情報センターを設置しておりまして、診察に対応する精神科救急医療体制を整備してございます。今後も、これらの精神疾患に対する支援策について、関係機関との連携を強化しながら、体制の充実に努めてまいる考えでございます。
 また、自殺対策の関連で申し上げますと、精神疾患の動向については、うつ病を中心とする気分障害というものが増加傾向にあると言われております。このうつ病につきましては、自殺に結びつく可能性が高いこともありますので、県では、保健所や精神保健福祉センターに専門の相談窓口を設置しまして対応しております。
 また、うつ病の理解促進のための普及啓発や市町村におけるうつスクリーニングの実施、先ほどお話しをしましたが、かかりつけ医等医療関係者の研修等を行いながら、自殺対策の一環として、うつ病の早期発見と精神科医との連携を進めているところでございます。
 これらのうつ病対策については、うつスクリーニングを実施していない市町村も、先ほどの答弁にありましたように、まだあるものですから、全県的な対応となるように今後も取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇吉田敬子委員 先ほど、平成21年度は15市町村でうつスクリーニングを実施ということで、これからも全市町村でそれが実施されることを期待いたします。また、先月の厚生労働省検討会で、企業が年1回実施する職場の定期健診、健康診断でも医師の問診でうつ病の兆候を確認して、所見があれば産業医などと面接、精神疾患が疑われる場合は専門医を受診されるということが義務づけられるということが決まり、早ければ2011年度中に法改正されるということも新聞報道にありました。
 ここで、少し簡単な質問を部長にしたいのですが、軽い風邪や腹痛で薬が欲しいと思ったときに、薬をもらえるまでにどのような手順を踏み、どのぐらいかかるとお思いですか。済みません、簡単な質問なんですが、お願いします。
〇千葉保健福祉部長 一般的な内科の話であれば、基本的に即日クリニックに参りまして―私も月に一遍、定期的に行っておりますけれども―待ち時間を過ごした後に受診していただいて医師の判断をお伺いし、その後また戻りまして、支払いをして戻ると。その際に、薬につきましても処方の処方医がいますので、その後、処方せんに基づく薬を取りまして、帰宅するという通常の形になっていると思います。ただ、今申し上げました精神関係につきましては、ちょっとやはり違うのではないかと思っているところでございます。
〇吉田敬子委員 済みません、変な質問をさせていただきましたが、では、心の病を抱えた人が精神科、心療内科に行って薬をもらいたいといった場合はどのようになるかは部長は御存じでしょうか。
〇千葉保健福祉部長 詳細はちょっと承知しておりませんので、総括課長のほうから御説明させます。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 私も直接精神科医の診察を病気を理由に受けたことはないのですが、一般的には、面接をしてドクターの問診を受けて、生活上の例えばさまざまな症状があると思いますので、眠れないですとか、食欲の問題ですとか、心の状態、体の状態についていろいろお医者様からお話を聞かれて、その症状に見合った形の有効な薬を処方してもらうのではないかと考えております。
〇三浦陽子委員長 吉田敬子委員に申し上げます。平成21年度決算に関する質疑を行うよう御留意をお願いいたします。
〇吉田敬子委員 私が薬をもらうまでの時間を聞いたのは、心の病を抱えていた私の友人がおりまして、その診療をしたいといったときに、まず、診療所には患者が押し寄せているのが現状で、予約は1カ月待ちです。受診するまでにも1カ月かかっているのが現状で、総合病院だと紹介状がないとだめと言われて、例えば県立中央病院や医大もそうだと言っておりました。紹介状がないとだめだと門前払いされているのが現実です。
 2008年の全国の精神科、診療内科の診療所は3、193カ所で、10年間で5割ふえたにもかかわらず、このような現状になっているのは大変問題だと私は感じております。
 岩手県の精神科、診療内科の診療所の数を教えていただけますでしょうか。
〇三浦陽子委員長 答えられますでしょうか。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 手元に数字を持ち合わせておりませんので、調べてお答えしたいと思います。
〇三浦陽子委員長 では、後ほどお願いいたします。
〇吉田敬子委員 内閣府の実態調査では、全国にもひきこもりが70万人いると言われておりまして、そのうち、私と同じ30代が46%、男性が7割弱と言われております。20代、30代の若い人たちの心の病が増加しており、少子化で先細りしている若年層がこのような実態であれば、この国の未来はどうなるのだろうかと、私は、10年後、20年後を担う若い世代の当事者の一人としてとても心配であります。
 別の調査では、自殺者の半数が実際には精神科治療中であったことが明らかにもなっておりまして、精神科治療中の自殺者の特徴として、30歳未満の若い人が多いこと、また、処方された向精神薬を過量摂取した人が多いことが挙げられておりまして、本来、薬というものは命を救うために処方されるものなのですが、その薬が過量摂取によって自殺を後押ししているならば、皮肉な話だと私は考えておりまして、先ほど、関根委員からも御指摘がありましたとおり、今後も、この自殺対策は、心の病の問題は、精神科医療と一緒に連携して取り組むべき課題だと私は考えております。そしてまた、自殺未遂で搬送された人と救急医療機関との関係も、救急で搬送された未遂者のうち、ほぼ半数が精神科に通院中だったということからも、自殺予防対策には、救急医療と精神科医療との垣根を取り除いて密接に連携できるようにしなければならないと考えておりますが、県ではどのように連携または指導されておりますでしょうか。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 まず、冒頭、先ほどの精神科、診療内科の診療所の数字ですけれども、44カ所でございます。(後刻「53カ所」と訂正)
 続きまして、一般医と精神科医との連携をどう図るかといったような御質問だったと思いますけれども、岩手県の自殺対策の一環として、各保健所単位に、かかりつけ医等医療関係者の研修会というものをそれぞれの保健所で企画して、主に一般医の方、看護師さんの方々に、うつ病の理解でありますとか、どういった程度の患者さんであれば精神科医にきちっとつなげていく必要があるかといったようなことの研修会を毎年開いております。それでメディカルスタッフの方々の理解を得るよう取り組みを行っておりますとともに、岩手中部の花巻、北上の保健所管内では、既に研修から一歩抜き出て、精神科医から一般医、一般医から精神科医へ、治療を受ける必要のある患者さんの紹介をするような連携システムを、昨年度の年度途中からつくり始めておりまして、県としては、こうした連携システムは非常に大事だと思いますので、評価をきちんとしながら、必要であれば、全県の保健所単位にこのシステムをつくっていくように支援をしていきたいと考えてございます。
〇吉田敬子委員 先ほどはさまざま変な質問をしてしまいましたが、私は、やっぱり実態をまずはわかっていただかないと、例えば病院に行きたくても1カ月かかるだとか、そういったことを踏まえた上で、さまざまな事業、自殺防止対策や心のケアの問題に県では取り組んでいっていただきたいと思っています。また、心の病を抱えている人だけでなく、精神疾患に関する偏見というのはまだまだ強いと思いますし、問題に気づいても、なかなか助けを求めようという行動に出られないというのが現実だと思いますので、精神疾患に対する偏見を減らす、または理解者をふやしていくということも、重点的な事業の位置づけとして今後も県のほうでは対策を進めていっていただきたいと思います。
〇三浦陽子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時51分 休 憩
午後1時3分 再開
〇工藤勝博副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 吉田敬子委員から午前中にお尋ねのありました県内における精神科病院、診療所の数について、44とお答えしたところでございますが、総合病院における外来の診療科のみ行っている医療機関、例えば岩手県立中央病院などでございますけれども、それらを加えますと、正確には、本日時点で53になっておりますので、修正させていただきます。
〇工藤勝博副委員長 質疑を続行します。
〇高橋昌造委員 まず、私は、第1点目は、事項別明細書の207ページの乳幼児、妊産婦医療助成費に関係してお伺いいたします。
 医療費助成は、県では、乳幼児妊産婦、重度心身障がい者、それから母子家庭などに助成をしておるわけですが、県として、子育て支援策とか障がい者福祉などの一環として、今のこの助成制度の見直しを、償還払いから現物給付方式にできないものか、まずお伺いいたします。
〇立花健康国保課総括課長 乳幼児等の医療費の助成方法の見直しについてのお尋ねでございますが、現在、償還払い方式にしているわけでありますけれども、これを現物給付方式に変更した場合、国の制度におきまして、市町村の国民健康保険制度に対する国庫支出金が減額される仕組みとなっておりますことから、市町村や医療関係団体と協議をした上で、平成7年度から償還払い方式としているものでございます。
 窓口負担を撤廃する場合には、粗い試算ではありますけれども、市町村国保への影響は約6億4、000万円の減額と見込まれているところでございますので、市町村への影響を考えますと、直ちにこの方式を変えるということは、困難と考えているところでございます。
 県といたしましては、この減額措置につきまして、速やかに廃止するよう継続して要望しているところでございますけれども、現時点では廃止に至っていないところでございます。
 今後も引き続き、国に対して減額措置の廃止を要望してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは、この6億4、000万円減額されるということで、平成7年から今日まで、市町村とこのことについて改めて協議したことがあるんですか。
 それから、今47都道府県でも、もう償還払い方式から現物給付方式に切りかえているところもあるわけですよ。逆に現物給付方式のほうが多いと思うんですよね。
 まず一つお聞きしたいのは、47都道府県でどのくらい現物給付方式に切りかえているのか。その切りかえたことによって本当にペナルティーがあるのかどうか、当局は確認しておるんですか。
〇立花健康国保課総括課長 現物給付方式にする場合に、多額の国保税の減額措置というものが行われますので、国保財政も非常に厳しいという状況にございますので、これについては、市町村と例年、担当者会議等で話し合っているわけでありますけれども、やはり市町村が足並みをそろえてやることは非常に困難であると我々は承知しているところでございます。
 全国的な状況については、後でお調べしまして、お答え申し上げたいと思います。
〇高橋昌造委員 国保財政が厳しいというのは、あなたから言われなくたってわかるんですよ。私がお聞きしたいのは、もう既に、まずもうほとんどと言っていいくらい助成制度の見直しを進めておるわけで、実際、本当にペナルティーがあるのかどうか、国とも協議をしたことがあるんですか。
〇立花健康国保課総括課長 現物給付につきましては、今37の都道府県で行っているところでございます。
 本県の場合、国保財政につきましては、おおむね安定した財政運営をしているところではございますけれども、やはりペナルティーを科すということは、国保税以外の方々の、いわゆる一般住民への負担ということもございますので、適当ではないのかなと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 とても話が平行線であれなんですが、この助成制度の利用者の立場に立って考えた場合、いわゆる子育て支援とか障がい者福祉の視点から考えた場合に、その工夫を、それでもう既にやっておるところの情報収集もして、どのように取り組んでやられているのかという検証などをして、できる工夫というか、今まで検討したことはあるんですか。
〇立花健康国保課総括課長 我々、現物給付ができないでいるわけでありますけれども、岩手県独自の取り組みといたしまして、医師会等の協力をいただきまして、受給者証を医療機関の窓口に出せば自動的に口座に助成金が返ってくるというような、いわゆる自動償還払い方式というものを岩手県ではとっているところでございます。そういった工夫をいたしているところでありますが、なお、各県の状況につきましても、今後ちょっと調査いたしまして、引き続き市町村と、共同でこの事業を運営しておりますので、市町村とも十分意見交換をしながら研究をしてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 ひとつお願いなのは、都道府県でも、先進地ではもう既に取り組んでいるわけですから、実態をよく調査して、そして、何回も言うように、この助成制度の利用者の立場から見直しをするような方向づけで、まず検討でもいいから、調査検討をひとつお願いしたい。
 次に、第2点目ですが、肝炎総合対策の取り組み状況についてお聞きするわけですが、平成21年度の肝炎治療促進のためのインターフェロンの治療の実態がどうなっているか、まずお伺いします。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 インターフェロン治療の肝炎医療費助成の状況でございます。
 平成20年度から実施されているわけでございますが、インターフェロン治療、C型、B型、平成20年4月から22年9月までに関しましては588名、うち2回目の制度利用の方に関しまして5名となってございます。
 また、本年から適用となりましたB型肝炎に関します拡散アナログ製剤治療に関しましては、本年4月から9月までで242名が助成を受けているといった状況でございます。
〇高橋昌造委員 それで、当局にお願いいたしたいのは、医療費助成の制度の周知を徹底してやっていただくようにお願いいたしたいと思います。
 次に、このB型、C型肝炎ウイルスの感染を早期に発見して、早期に適切な治療をすると。それで、まず、今、県内の肝炎ウイルスの検査の受診状況、それから、その促進策をもう当局で考えておるのであれば、どういう促進策を講じているのかお伺いいたします。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 肝炎ウイルスの無料検査体制に関しましては、保健所並びに関係の医療機関で実施しているところでございます。こちらは保健所実施分、本年の4月から8月までのものでございますが、B型、C型合わせまして57件の検査を保健所分で実施しているところでございます。
 また、病院やかかりつけ医等での実施状況につきましても、4月からでございますが、本年、合わせまして16件実施しているところでございます。
 委員御指摘のとおり、肝炎に関しましては、早期に検査をしていただきまして、早く治療するということが何よりも重要と私ども考えてございます。このため、検査体制の充実とあわせまして、県民の方々への周知が重要と考えてございます。こちらに関しましては、肝炎に関する一般的な周知とあわせまして、やはり受診の促進ということにつきまして、県内での講習会、本年度は、釜石と中部圏域で実施を予定しているところでございますが、こういった肝炎の一般向けの市民公開講座の開催でありますとか、市町村と連携いたしました受診の促進といったものにつきまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 それで、あともう一つ、肝疾患の診療体制の整備、それから、お医者さんに対する研修、そして、患者に対する相談体制整備のいわゆる患者支援に、当局は今後どのように考えて取り組んでいくのか。そして、課題があるとすれば、その課題解決をどのように考えておるかお伺いいたします。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 県内の肝炎に対する治療体制でございます。
 平成20年10月から肝疾患診療連携拠点病院─こちらは岩手医科大学でございます─また肝疾患の専門医療機関15医療機関、及び肝炎かかりつけ医59医療機関で構成いたします肝疾患診療ネットワークを構築いたしまして、病状に応じた適切な肝炎治療が行われるような肝炎診療体制の充実を図っているところでございます。
 また、肝炎かかりつけ医の先生方、医療機関に関しましては、肝疾患に関する専門的な知識、技能を取得し、肝疾患診療体制に係る役割を果たすために、県や岩手県肝炎対策協議会が開催いたします研修会に年1回以上参加することとしており、最新の医療情報の取得などにより、肝炎治療水準向上に御支援いただいているところでございます。
 また、患者さんへの支援体制でございますが、平成20年10月から、肝疾患診療連携拠点病院でございます岩手医科大学附属病院内に岩手県肝疾患相談センターを開設いたしまして、患者さんからの相談に対応できる体制を整備しているところでございます。
 課題といたしましては、やはり委員からも御指摘がございました肝炎の受診率の向上対策、そして肝疾患に係る医療制度、こちらについての活用をしっかり周知を図っていただくこと、また、肝疾患の医療連携体制のさらなる充実、また、肝疾患に係る一般的な周知、こういったものが課題であると考えておりまして、県といたしましても、こういった事業に引き続き取り組んでまいりますし、また、本年11月に国のほうで指針が出されると伺ってございます。こういった指針の内容もよく注視をしながら、さらなる肝疾患対策の充実について取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは次に、第3点目でございますが、事項別明細書の217ページの難病相談・支援センターの運営に関してお伺いいたします。
 センターは、県内における難病患者の生活支援などに重要な役割を果たされておるわけですが、それで、在宅の難病患者の災害時の支援体制について検討されたことがあるのか、また、そういう在宅の難病患者で支援しなければならない方がどのくらいいらっしゃるか。
 そして、今、国でもいろいろ検討しているんですが、経管栄養の医療行為の規制の緩和、今これもいろいろ検討されておるようでございますが、やはり福祉の現場の実情に沿ったような形に取り組んでいくことが大切ではないのかなということで、このことについて、当局はどのようにお考えなのかお伺いいたします。
〇立花健康国保課総括課長 まず、難病患者に対する災害時の支援体制についてでございますけれども、災害時の難病患者の支援につきましては、病気のことがございますので、個人情報ということで、市町村の避難支援計画への位置づけが非常に進んでいないという課題がございます。
 また、人口呼吸器をつけている方など、専門的なケアを必要とする最重度の患者の方々への、地域での避難体制づくりというのが課題となっていると認識しているところでございます。
 このため、現在、毎年10月に受給者証の更新を行っているわけでありますが、この際に、患者さんに対して避難の災害時マニュアルというものを配布したり、あるいは重症患者の方々に対しては、市町村に情報提供していいかどうかという確認をしているところでございまして、今後、同意が得られた方々については、市町村に情報を提供しながら、避難支援のための体制づくりについて働きかけをしていきたいと考えているところでございます。
 また、最重度の難病患者につきましては、それぞれ病状に応じて計画をつくらなければならないということになりますけれども、専門的な知識が必要でございますので、今、これに詳しいお医者さんの助言を得ながら、研究会を開催するなど、検討を進めているところでございます。
 患者については、後ほどお答えいたします。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 在宅の難病患者さんに対する、いわゆる医療行為の規制緩和についてのお尋ねがございました。
 この件に関しましては、平成15年7月及び平成17年4月に、厚生労働省からの通知によりまして、かかりつけ医等の総合的判断のもとで、適切な診療や訪問看護が行われている場合に、ALS─筋萎縮性側索硬化症等の難病患者さんの家族以外の方によるたん吸引が認められたところでございまして、こうした通知を受けて、県では、各病院や医師会、歯科医師会、看護協会等の関係機関に対して周知を図ったところでございます。
 委員の御指摘がありました経管栄養等についても、今、国のほうで議論されていると承知してございます。こういった国の動きも注視をしながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 それでは次に、195ページのひとにやさしいまちづくり推進事業費の関係でお伺いしますが、障がい者用の駐車区画の適正利用、横文字でパーキングパーミット制度というんですか、駐車場の利用証制度の導入状況はどういうふうになっているか、簡潔にひとつお願いいたします。
〇小田原地域福祉課総括課長 パーキングパーミット制度についてのお尋ねでございますが、本県では、公共的施設の障がい者駐車スペースにつきまして、不適切利用が少なくないことや、障がい者等の社会参加の進展等によりまして、これまで考えられていたよりも多様な方が当該駐車スペースを利用する、あるいは利用したいという実態がございまして、車いす使用者用駐車施設の運用基準を明確化し、県民の方々に対するひとにやさしいまちづくりの普及啓発を図るため、本年4月から、ひとにやさしい駐車場利用証制度の名称でスタートしたところでございます。
 この制度の導入によりまして、本年8月末現在でございますけれども、利用証交付数は3、061件、指定駐車施設数334カ所、669区画台数分となってございまして、1カ所当たり2台分のスペースが確保されているところでございます。
 なお、利用証交付数の内訳といたしまして、身体障がい者以外の療育手帳及び精神保健福祉手帳所持者の方、あるいは妊産婦やけがで一時的に利用したいという方々に対しましては870件と、全体の3割となっておりまして、制度が特定の方に偏らないような進展の仕方をしていると受けとめてございます。
〇高橋昌造委員 では、最後に、認知症の関係で、県は総合的な認知症の新体制整備の取り組みをどのようになされているのか、そして、もし取り組みの結果、課題があれば、どういう課題があって、その解決策があれば、どのように取り組んでいくかお伺いいたします。
〇岡村長寿社会課総括課長 県内の見守りや支援が必要な認知症の高齢者の方は、本年3月末現在で約3万5、000人という状況になってございます。年々増加している傾向がございますけれども、県では、認知症に対する正しい理解の普及や相談体制の充実、軽度認知症の早期発見と重度化予防、専門的診断治療、専門的ケア体制などの総合的な対策に取り組んできているところでございます。
 具体的に申し上げますと、認知症に対する理解の促進普及等につきましては、県内各地で認知症サポーターの養成講座や県独自の取り組みとして、小・中学生を対象といたしました孫による認知症対策講座を開催しておりますほか、岩手医科大学附属病院と共同で、軽度認知障がいに関するパンフレットを作成、配布するなど、市町村や地域包括支援センターなどと連携しながら、県民への普及啓発に取り組んできているところでございます。
 この結果、本県におきましては、認知症サポーター数等につきましては、全国でもかなり上位の水準、現在、全国第2位という人口当たりのサポーター養成数となっているところでございます。
 特に、昨年4月に岩手医科大学附属病院に認知症疾患医療センターを委託設置しておりまして、全国で、身体症状と合併した認知症障がい者の方を入院で対応するなどの基幹的なセンターとしては、岩手医科大学附属病院だけと伺っております。こういった積極的な対応をとっていただきながら、さらに軽度認知症の方の予防等についても取り組んできているところでございます。
 昨年度、県が設置しました高齢者保健福祉基金を活用しました認知症介護予防の体操の普及につきまして、今年度から取り組むこととしております。10月下旬に矢巾町にございます南昌病院を皮切りに、県内でそういった体操のお披露目をしながら、継続的に予防と重度化の抑制にも取り組んでいきたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 今のに関連して、先ほどの障がい者用の駐車スペースにかかわってですけれども、今、障がい者差別撤廃条例といいますか、そういったもので意見交換とかをしているんですが、その中で出た話なんですが、車にシールを張っていて、元気な人がおりてくる、それで、その駐車スペースにとめているといった実態が結構あるらしいんですけれども、聞いていますか。わかりますか、そういったもの。
 それで、シールがどこで手に入るか、何百円かで結構簡単に売っているんですってね。その辺がちょっとわかれば。
〇小田原地域福祉課総括課長 詳しい実態は承知しておりませんけれども、障がい者のマーク等につきましては、100円ショップ等でも手に入るということでございます。ただし、本県の制度におきましての表示につきましては、そういった市販のものとは全く違うものでございますので、きちんと必要な方に利用証の交付がなされていると理解しております。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの説明ですと、3、061件でしたか、その発行しているのは。でも、実際には、そこまで見るわけではなくて、恐らく、一般的にいくと、障がい者マークがあると障がい者のかなとかと思いますよね。ですから、その辺というのはどういうふうにやったらいいかわかりませんけれども、例えば100円ショップとか、簡単に手に入るようじゃ、余り意味がないというか、それはきっちりやっていかないと、せっかく県もこういうふうに配慮したにもかかわらず、実態としては意味がないですね。私は、そう思って懸念して言っているから、その辺、指導できないものかどうかも含めて、対応すべきだと思っておりますけれども。
〇小田原地域福祉課総括課長 今般の私どものほうの制度におきましては、指定駐車場の管理者においても、利用者の調整をお願いするという県との契約で進めるという形になってございます。
 また、10月18日から24日までは、県政番組のいわて希望のちからにおきましても、新たに導入されましたこの制度につきまして広報してまいります。
 今後は、さらにこういった制度の導入が県民の皆さんに正しく理解されて、ひとにやさしいまちづくり条例の一環として取り組んでまいりますものですから、こういった形のものがしっかり理解されるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 それはそれでわかるんです。ただ、簡単にそういった、これは県でどう対応できるかわからないけれども、100円ショップでも手に入るような状態であれば、いわゆる今、県が管理している駐車場ではないかもしれないけれども、そういったところまで規制していかないと有名無実化するような気がしているんですよ。
 それはそれで今のはいいとしても、他の、せっかく公共的というか、スーパーなんかでもあるでしょうが、どこまで規制できるかわからないけれども、そういったことをやっていかないと、せっかくやっているのが余り意味がなくなる。そこまで、できる限りのことをやってもらいたい。やるべきだと思うんです。
 県でできないのであれば、恐らく全国的な問題でしょうから、国のほうにでもそういった、100円ショップで売っているという、私も買おうかなと思うぐらいなんですけれども、例えばそうなってしまうわけですよね。ですから、その辺もきっちりと、できる限りのことをやるべきだと私は思いますけれども、どうでしょうか。
〇小田原地域福祉課総括課長 ひとにやさしい駐車場利用証につきましては、このようなデザインでございまして、100円ショップで市販しているものとは全く違うデザインのものでございます。(嵯峨壱朗委員「見た人はわからない、区別がつかないでしょう」と呼ぶ。)
〇小田原地域福祉課総括課長 車いす、歩行が困難な方、それから妊産婦の方、内部障がいの方などをあらわす国際シンボルマークをデザインして表示しておりますので、市販のそういったものとは、法規制もないようなそういったものとは全く異なるものであるということで、これを広く県民の皆さんに御理解いただきながら、ひとにやさしいまちづくりという観点で御理解をいただくような環境を整備していきたいと考えているところでございます。
〇喜多正敏委員 私から4点お伺いします。
 まず一つは、199ページの後期高齢者医療制度安定化推進費に関してお伺いします。
 私は、岩手県後期高齢者医療広域連合に県の職員を派遣して、ともに現場の情報を共有しながら支援すべきであると発言をしたわけでありますけれども、早速、平成21年度から県の職員を1名派遣しておられると。現場でも大変喜んでおりまして、感謝を申し上げたいと思います。
 職員派遣の効果と連合の運営の課題について、どのような所感をお持ちであるか、また、その課題についてどのような対策、取り組みを講じられたかお伺いします。
〇根子保健福祉部副部長兼保健福祉企画室長 県後期高齢者医療広域連合への県職員派遣の効果についてでございますけれども、県では、広域連合からの要請を受けまして、業務体制の確立などを支援するため、平成21年度から、国保制度に関する知識や経験を有する担当課長級の職員を派遣してきております。
 その効果としては、国のたび重なる制度改正がございまして、こういった対応が県との連携のもとに円滑に進められたほか、保険料の徴収、これは市町村が行いますけれども、その保険料の徴収を行う市町村への助言、それからレセプト点検など業務全般を適切にマネジメントすることにより、広域連合からは、一定の評価をいただいているものと考えているところでございます。
〇立花健康国保課総括課長 広域連合の運営状況の課題と対応についてお答えいたします。
 後期高齢者医療制度につきましては、高齢者の医療費が増大する中で、安定的な財政運営が課題となっているところでございます。
 このため、県では、まず、収入の面では、広域連合の保険料収納対策実施計画というものの作成を支援してまいりました。この計画に基づきまして、広域連合と共同して、市町村の保険料徴収体制の整備あるいは収納率の低い市町村への助言などを行ってきたところでございます。
 また、支出面では、広域連合によるレセプト点検の推進など、医療費の適正化を支援してきたことなどによりまして、制度発足以来、この2年間、継続して剰余金を計上しているというような効果が出てきているものと考えているところでございます。
 したがって、平成21年度の保険料率の改定に当たりましても、県の財政安定化基金というものを活用するのではなく、広域連合の剰余金を活用いたしまして、保険料を据え置くなど、おおむね健全な財政運営が確保されているものと考えているところでございます。
 県では、四半期ごとにやっておりますけれども、今後も広域連合と定期的に運営上の課題などを協議しながら、緊密に連携し、制度の安定的な運営に向けた支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇喜多正敏委員 引き続き、医療福祉関係団体、市町村とも連携しながら、後期高齢者医療については充実支援に努めていっていただきたいと思います。
 次に、障がい者福祉についてお伺いしたいと思いますけれども、県内において、就労が可能で、また、実際就労を希望している障がい者は何人ぐらいおられるか、そのうち実際に就労している方は何人ぐらいおられるか。そしてまた、障がい者の法定雇用率があるわけでありますけれども、その達成状況についてお伺いしたいと思います。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 就労が可能で就労先を希望して、ハローワークにその旨、登録している方は7、447人ございます。そのうち就労している方は4、825人となっております。
 県内の障がい者雇用率は1.78%でありまして、法定雇用率の1.8%を若干下回っておりますが、全国の障がい者雇用率1.6%は上回っている状況にあります。
 また、法定雇用率達成企業の割合が51.2%となっておりまして、これも全国の割合45.5%を上回っているところでございます。
〇喜多正敏委員 いわて県民計画アクションプランの政策編の中では、るるいろいろな施策についての評価等が出ているわけであります。今お聞きしますと、就労を希望しながら実際に就労している方は、7、400人に対して4、800人とまだまだ低い状況にあって、一般の人の就労もなかなか厳しい状況にはあるわけでありますけれども、私は、これは商工労働観光部のほうとも密接に関連するかもしれませんが、この推進方策を構成する実績の中に、いろいろなこの手だてが講じられていることについて述べられておりますが、例えば、障がい者の雇用数とか、もしくは就労割合であるとか、障がい者の法定雇用率も実際に目標に掲げていくような形で着実に計画を進めていくようなことが必要ではないかと思っております。
 また、障がい者の雇用については51.2%の企業ということで、まだまだ高くはない、低いと思っておりますので、そうしたことについても、ぜひ商工労働観光部のほうと協議して進めていっていただきたいと思います。
 続いて、障がい福祉の中でも、福祉工場運営費、小規模通所授産施設運営費の事業があるわけでありますけれども、現在、開設されている施設数、そしてそこに通っている方の人数、あるいはそこに入りたくても入れないというような方がおられるかどうかについてお伺いしたいと思います。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 福祉工場及び小規模通所授産施設についてのお尋ねでございますけれども、これは、障害者自立支援法による障がい者就労支援事業所に移行する前の施設種別でございまして、平成21年度末現在で、県内の福祉工場の施設数は1カ所になってございます。定員30人に対する月平均利用者数は24.2人となっておりまして、待機者は発生していないところでございます。
 また、県内の小規模通所授産施設の施設数も1カ所となってございまして、定員19人に対する月平均の利用者数は16.0人、待機者は同じく発生していない状況でございます。
 それから、自立支援法に基づく新しい障がい者就労支援事業所に移行した施設数は、県内全体で125カ所ございます。125カ所の総定員3、180人に対する月平均利用者数は3、004人となってございまして、待機者は発生していないものと承知しております。
〇喜多正敏委員 現在、大変な不況の状況にあるわけでありますけれども、こうしたところの仕事量といいますか、売上高といいますか、そうしたようなところはどういうふうになっているか、あるいは単価が切り下げられるとか、そういうところの影響はないかどうかについてお伺いします。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 売上高あるいは単価の引き下げ等についての御質問でございますけれども、先ほどお答えいたしました1カ所の福祉工場の例を見ますと、売上高ということで申し上げますと3、855万6、000円余で、昨年度比で約1割の増になってございます。
 また、小規模通所授産施設におきましては、売上高は139万3、000円余で、昨年度比で約2割の減となってございます。
 また、県全体の障がい者就労支援事業所の全体の売上高を見ますと、これは平成20年度以前のデータが私どものほうでございませんので、推移としての動向を把握することは困難でございますけれども、国が平成21年2月に行った調査がございます。それによりますと、県内で回答した事業所の7割弱が、作業量が減っている印象だということをお答えしているとお聞きしております。
 また、最近、主に企業等から作業請負を行っている幾つかの事業所に対しまして聞き取り調査をいたしました。それによりますと、平成20年度後半から受注量が減少したが、おおむね平成21年度後半から回復しているという回答でございました。また、どの施設も、受注単価の引き下げはなかったという御回答でございました。
〇喜多正敏委員 一般の経済情勢もなかなか厳しいわけで、こうしたところにもしわ寄せがあるのではないかと危惧をしておりました。また、私の知り合いもこうした施設運営に携わっている者もおりまして、お話を聞きました。県としても、やはり市町村と連携しながら、受注量の確保、拡大、あるいは単価を、1人当たりの収入が1万円とかというと、本当にボランティアに近いような収入なわけでありますけれども、こうした所得の向上について、どのように取り組んでこられたかお伺いしたいと思います。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 障がい者就労支援事業所を利用している障がい者の平成21年度の平均工賃月額につきましては1万5、177円でございました。
 県では、平成20年2月に障害者工賃倍増5か年計画というものを策定しておりまして、平成23年度における平均工賃月額を平成18年度の約2倍─2万7、700円に引き上げようということで目標を掲げております。
 このため、平成19年度から21年度にかけて、中小企業診断士等のアドバイザーを派遣いたしまして、企業経営的視点に基づいた工賃水準引き上げの取り組みを促すアドバイザー派遣事業といったものに取り組み、自主生産製品の開発と販路の拡大、あるいは請負作業の多様化などを促進してきたところでございます。
 今後の課題としては、やっぱり平成23年度の目標工賃月額2万7、700円というのは、現下の厳しい経済状況を反映して極めて難しい状況になっているのではないかと思いますけれども、引き続き製品あるいはサービスの販売促進活動を一層強化していく必要があると考えております。
 昨年10月には、社会福祉法人岩手県社会福祉協議会に障がい者就労支援振興センターを設置しておりまして、専門家による県内の流通事業者との連携による販路拡大、あるいは食品生産技術の指導等の支援を行っているところでございます。
 また、消費者への情報発信の取り組みとして、本年9月、イオン盛岡南ショッピングセンターの協力を得まして、東北6県53事業所による展示即売会、東北ナイスハートバザールというものを開催したところでありまして、来年度におきましては、さらに規模を拡大して、全国的な規模で全国ナイスハートバザールというものの開催を予定することになってございます。
 それらの取り組みを支援しながら、引き続き障がい者工賃の水準引き上げを図ってまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 ぜひ継続して指導及び拡充を図っていただきたいと思います。
 それから、素朴な質問でありますけれども、障がい者ということでいろいろな施策が打たれているわけでありますが、平仮名表記のがいと漢字の表記の害があるわけでありますが、これは何を根拠にして平仮名表記あるいは漢字で表記されているものでしょうか。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 まず、障害の害の字の平仮名表記についての経緯を若干申し上げますと、平成19年当時にさかのぼりますけれども、障害の害の字は、害悪ですとか、公害ですとか、否定的で負のイメージが強いということで、別の言葉に見直してほしいといったような御意見が障がい団体関係者等からございました。さらに、県のほうで、その時点でのほかの都道府県の状況を調査いたしましたところ、全国では、北海道、山形、福島といった東北も含めて7道県ございました。
 そのような状況から検討を始めまして、平成19年12月には、障がい者関係団体に対しましてアンケートをとりまして、おおむね賛成であるといったような御意見を伺っているところです。
 これらを経まして、障害の害の字の平仮名表記をするということに決めたわけですけれども、平成20年3月19日から、県が新たに作成する行政文書等において適用するということになってございまして、適用除外する言葉につきましては、条例、規則あるいは国の法律といったようなものについては、適用除外をすることになってございます。
 県の条例におきまして平仮名の表記をしていない部分があるわけですけれども、条例を見ますと、その条例の本文の中に国の法律に基づく障がい名が入っていたり、それから、県が平仮名表記しようとする人をあらわす言葉になりますと障害の害の字は平仮名表記をすることになるので、同じ条例の条文本文の中で、平仮名表記が出てきたり、漢字表記が出てきたりということでは住民にわかりにくいという御意見もいただいたものですから、県の条例、規則については、原則適用しないことにした経過がございます。
〇喜多正敏委員 国の法律は国の決めることなので、これはいたし方がないと思うのでありますけれども、条例はあくまでも県議会で、どちらの発議かいかんに問わず決めることができるわけでありますが、私が非常におかしいなと思うのは、岩手県では、障がい者に関する施策の総合的かつ計画的な推進等について調査審議するために、岩手県障害者施策推進協議会を置くと、こうなって、これは条例でしょうけれども、もし検討の結果、負のイメージのある害を使わないということであれば、条例等についても平仮名表記して、そうしたことを鮮明にしていくことが、やはりその精神が入るのではないかと思うんです。いかがでしょうか。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 障害者施策推進協議会設置条例につきましても、本文の中に障害者基本法という国の法律名が出てきまして、中の本文を障がいと害の字を平仮名表記するとなると、国の法律名と混在するような形で条例が表記されるということになります。
 余り県民の皆さんに混乱を生じないような形で進めていきたいとは思いますが、委員から御指摘のあったことにつきましては、国のほうでも平仮名表記についての作業チーム、害の字の表記についてどうしていくか、その制度改革の中で検討を始めておりますので、それらもよく注視をしながら、県のほうでも研究をしていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 いずれこの会議は大もとの会議であるわけで、そうしたところに障がい者も健常者とともに生きていく、活動していくという理念があるとすれば、その大もとの協議をする協議会の名前も、やっぱりそうした理念を体した名前にすることが私は必要だと思いますので、引き続き検討して、ぜひ、ともに生きるという姿を県から発信していただきたいと思います。
〇高橋元委員 私から大きく2項目質問させていただきます。まず1点は、勤務医勤務環境向上支援事業費についてであります。
 これは、昨年の予算の説明のときに、この事業を新規で設けるという説明がございました。事業内容は、短時間交代制勤務の導入や女性医師の就業支援などの取り組みを推進し、勤務医の勤務環境の向上を総合的に支援するということでありました。
 この事業の決算額、いろいろ事項別明細書を見てもこれの項目が載っておりませんでした。この決算額は幾らになるのか、それと、具体の事業内容、どういった事業をやられたのか、その点についてお示しいただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 本事業は、決算内容の医務費の医師確保対策費に含まれておりまして、事業の決算金額は4、008万3、000円余となっているところでございます。
 実施した事業の内容でございますが、平成21年度におきましては、開業医の支援を得て、病院勤務医の過重労働の解消を図る医師交代制勤務等導入促進事業、産科医への分娩手当助成を行い処遇改善を図る産科医等確保支援事業、女性医師の育児支援や職場復帰支援を行う女性医師就業支援事業、女性医師の子供を保育する院内保育所の夜間延長保育に係る運営費補助を行う院内保育所夜間運営事業等を実施したところでございます。
〇高橋元委員 当初予算に比べて半額ぐらいの実施ということのようでございます。これは新規ということで新たに始めた事業だと思いますので、これは今年度も継続になっているのか、ちょっとその点、確認をさせていただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 委員御指摘のとおり、幾つかの事業につきましては、予算計上したにもかかわらず事業実施に結びつかなかったものもございます。例を挙げますと、短時間正規雇用支援事業につきましては、短時間勤務を行う医師の代替医師の雇い上げに必要な経費を補助するものでございますが、そもそもの医師確保が厳しい現状で、代替医師を現場のほうで雇い上げることが難しく、事業の実施に結びつかなかったものでございます。また、医療クラーク設置・資質向上支援事業につきましては、医療クラークの長期研修に対する代替職員の雇い上げ経費を補助するものでございますが、やはり現場のほうではOJTといいますか、現場での研修を重視しているという考え方に立ちまして、長期研修の計画がなかったために、事業実施に結びつかなかったというものでございます。
 これらの事業につきましては、国の補助制度を活用して新規事業として昨年開始したものでございますが、全国的な事業実施が図られず、昨年度、国におきましても、病院勤務医の待遇改善に重点を置いた診療報酬の改定を行った際に、平成21年度限りとされたところでございまして、本年度はそれにかわる事業を実施させていただいているところでございます。
〇高橋元委員 もう一点、この事業によって勤務医の環境が、これだけ改善するということを考えると、予算は半額だから半分ということなのかもしれませんが、どの程度、当初の見込みと比較して勤務環境の改善が図られたのか、その割合をお伺いしたい。
 それから、今もちょっとありましたけれども、今年度においては、いろいろ形を変えてまた進めたいということでしたが、その辺の今年度はどの部分を、どういう分野を事業として、先ほどの医療クラークの話もありましたが、どういうところを重点にやろうと考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 同事業におけます平成21年度の勤務医の勤務環境の改善状況でございます。
 まず、医師交代制勤務等導入促進事業につきましては、県立千厩病院で実施いたしまして、地域の開業医の先生による日直業務の診療応援によりまして、勤務医の過重労働の負担軽減を図ったところでございます。
 また、産科医等確保支援事業につきましては、岩手医大附属病院、北上済生会病院及び県立8病院の計10病院で実施いたしまして、産科医に対する分娩手当の支給により、その処遇の改善を図ったところでございます。
 女性医師就業支援事業につきましては、岩手県医師会に委託いたしまして実施し、育児等のために退職し、その後、職場復帰を希望する4人の女性医師に対する職場復帰研修を実施いたしまして、女性医師の職場復帰支援を行ったところでございます。
 さらに、院内保育所夜間運営事業につきましては、岩手医科大学附属病院にて実施いたしまして、夜間延長保育延べ84日間を実施いたしまして、女性医師の育児支援を行ったところでございます。
 これらさまざまなメニューによりまして、各医療機関や勤務医師のさまざまなニーズに対応した事業の実施により、病院勤務医の勤務環境に一定の改善が図られたものと考えているところでございます。
 なお、今年度の事業についてのお尋ねがございました。今年度におきましては、産科医確保支援事業や女性医師支援事業のほかに、新たに地域の開業医の先生方が、中核病院の夜間、休日の診療応援を行います診療協力支援事業、市町村が地元医師会の協力をいただきまして中核病院への開業医の診療応援体制を整備いたします中核病院診療応援事業、救急医療に従事する医師への手当助成を行います救急勤務医支援事業、出産後、NICUに入る新生児を担当する医師への手当助成を行います新生児医療担当医確保支援事業を実施しているところでございます。
〇高橋元委員 勤務医の勤務環境の改善にさまざまな取り組みをされているというのは、今よく理解することができました。
 先月末に厚生労働省から病院等における必要医師数実態調査の概要というものが出されたようでありまして、私もこれにちょっと目を通しておったのですが、これによると、必要求人医師数と現員医師数との合計数の現員医師数に対する倍率というところで、最も高い都道府県ということで、1位は島根県、2位は岩手県ということで、岩手県が医師数が非常に少ないということになっているようですし、また、医療機関が必要と考えている必要非求人医師数を含めた必要医師数と現員医師数の合計数の現員医師数に対する倍率というところの統計が出ましたけれども、最も高い都道府県ということで、岩手県が1.4ということで1番目なんですね。そういう意味で、医師を確保する上でさまざまな、待遇の問題、それから勤務環境の改善の問題等々、非常に大事ではないかと思っているところでございます。
 神奈川県の大和市立病院は平成17年に47人の診療体制が、今、平成22年には71人の診療体制になっているということで、ここでの取り組みは、短時間正規雇用等、弾力的な勤務形態の導入、外勤当直(非常勤医師)の採用による正規雇用医師の当直回数の減、それから24時間保育の導入、勤務手当等の処遇改善等々、うちでもやっているものがかなり多いなと思いますけれども、こういうことをしっかりとやって、医師がどんどん勤務していただいているという環境が生まれてきているようでございますので、ぜひそのことを引き続き強力にやっていただきたい、このようにお願いするところでございます。
 2点目をお尋ねいたします。がん診療連携拠点病院機能強化事業費補助─事業費1億円ですか、この事業であります。事業内容は、県内のがん医療の質の向上を図るため、がん診療連携拠点病院におけるがん医療従事者の研修、がん登録、がん患者や家族の相談支援等の取り組みを支援する、こういう事業になっております。
 そこで、医療従事者の研修、がん登録、患者及び患者会の相談支援等の実施状況についてお尋ねいたします。
 また、例えばこの研修とか、がん登録のそれぞれの項目ごとに必要というか決算額がもし細分化できているのであれば、その辺もお尋ねしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 がん診療連携拠点病院強化事業についての実施状況についてのお尋ねがございました。
 まず、医療従事者研修事業の実施状況についてでございますが、がん診療連携拠点病院の研修経費について支援を行っており、例えば岩手医科大学附属病院の医師による国立がん研究センター等への研修経費、これは8名派遣してございます。また、県立中央病院の緩和ケア医師研修会の実施経費など、事業費の総額は580万9、000円余となってございます。
 次に、院内がん登録事業の実施状況につきましては、がん診療連携拠点病院のがん登録に従事する職員の人件費11名分や、業務に要する備品購入費等について支援を行っており、事業費の総額は3、030万7、000円余となってございます。そして、患者及び患者会への相談支援に関する事業の実施状況については、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センター相談員の人件費22名分や研修費等について支援を行っているものであり、事業費の総額は7、940万4、000円余となっているものでございます。
〇高橋元委員 今の説明ですと、がん登録の決算額は3、030万円、相談支援等については7、940万円と、相談支援等に22名の相談員さんのスタッフをそろえているということであります。
 そこで、直近のがんの死亡者数あるいはがん登録者数、また、がん患者あるいは家族でつくられておりますがんサロンの設置状況や活動状況等も、わかっている分だけでも説明をお願いしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 まず、直近の本県のがん死亡者数についてでございますが、厚生労働省の人口動態統計の平成21年度のデータによりますと4、269名─男性が2、499名、女性が1、770名となってございます。こちらは、高齢化の影響もございまして、増加の傾向で推移してございます。
 がん登録者数につきましては、直近のデータは、若干タイムラグがございますが、平成18年の岩手県地域がん登録事業報告書によりますと6、769名となっており、こちらも近年増加の傾向となっております。
 また、直近のがんサロンの設置状況につきましては、岩手医科大学附属病院のがん患者家族サロン、県立中部病院のがん情報サロン、岩手ホスピスの会のタオル帽子クラブの3カ所となっているものでございます。
〇高橋元委員 県内にはがんの拠点病院があるわけでございます。できれば、そこにがんサロンというか、相談窓口が必要だと私は思っているんですが、その辺の患者会の動きとか、あるいは県からの働きかけとか、県立病院内の動き等もあるんでしょうけれども、その辺の動きはあるのかどうか。
 あわせて、患者会もいろいろ活動をやっております。私も、先月末でしたか、北上の患者会の研修会に1泊2日で参加させていただきましたけれども、それぞれがんの治療をやっている先生を講師に招いて─乳がんの先生なんですけれども、北海道、南は佐世保あたりからも先生を慕って全国から来ているということを見受けました。それぞれ実費で来ているわけでございます。そういうところも含めて、患者会がさまざまな講師先生をお招きするということもあるわけでございますので、それに対する活動支援等もいろいろメニューがあるのかもしれませんが、その辺はいかがでしょうか。
〇岡村長寿社会課総括課長 がん患者の会の活動の支援についてお答えいたします。
 現在、県内では15の患者・家族会が活動している状況にございます。県といたしましては、患者・家族のQOL向上への支援ということで、これまで患者・家族が集い、相談や語らいができる場であるサロンの設置、先ほど答弁いたしました三つのサロン等でございますけれども、患者・家族会との意見交換や学習会を重ねることにより、また、拠点病院等の関係機関との調整を行いながら、そういった支援を行ってきているところでございます。
 例えば、先ほど御紹介した岩手ホスピスの会のタオル帽子クラブ等は全国的な活動を展開しているところでございますし、岩手医科大学あるいは県立中部病院以外の拠点病院につきましても、患者会等との支援交流の中で、そういうサロン設置に向けた取り組みも進められつつあるところでございます。このほか、フォーラム開催や情報紙の発行など、対外的な活動を行う際の資金不足につきましてのさまざまな相談が県にも寄せられております。
 県では、県長寿社会振興財団に設置しております高齢者保健福祉基金を活用した助成金等について、助言を行いながら、これまで3団体が10件、884万8、000円の助成を受けているところでございます。今年度につきましては、申請の状況で申し上げますと、3件、179万6、000円の助成がなされることと聞いております。さらに、平成21年度末でございますが、本年3月には県内の3サロン、11団体の参加を得まして、初めて患者・家族会の学習会、情報交換会を開催しております。精神科医による講演会や患者・家族会の活動発表などを行いながら、患者の心理状態や傾聴への理解を深めるとともに、また、11月には本県で日本死の臨床研究会年次大会が開催されることとなっております。北東北各県の患者団体相互の交流会、市民サロンも開催を予定しておりまして、県内の関係団体への参加も呼びかけており、県としても支援に努めているところでございます。
 県といたしましては、今後とも、患者・家族会の意見も伺いながら、患者・家族会の活動に必要な学習や情報交換の機会が確保されますよう、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
〇高橋元委員 さまざまな患者会等の要望等も聞いていただいているとも理解いたしました。なお一層、ぜひ相談に乗っていただきたい。
 私の地元のかたくりの会の会長さんも、いろいろな研修会があると、東京に何往復か自費で行ってきたり、そうやって打ち合わせをしたりしているんです。自分の治療をやりながら、治療費を負担しながら、そういう活動もやっているというのが、今、患者会の実態でございますので、その辺も含めて患者会の活動については、ぜひ、さまざまな場面で相談に乗っていただきたい。
 それとあわせて、がん政策サミット2010秋というのが来月の6日、7日、東京で行われます。これは、私と三浦陽子委員長も出席の予定にしておりますけれども、ぜひ、県庁の担当課の方がどなたか1名でも出席いただければありがたいなと、その御検討をお願いして、質問を終わります。
〇工藤勝博副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇立花健康国保課総括課長 先ほど、高橋昌造委員から難病患者の災害時の支援体制についてお尋ねがございました。その中で、患者の数についてのお尋ねがございましたので、お答えを申し上げます。
 特定疾患は56疾患ございますが、この医療受給者証を所持している方は平成21年度末で7、930名ございます。このうち、入院、入所を除いた数が7、334名ございまして、さらに、このうち在宅療養している方が2、197名ということでございます。災害時の支援の対象となるものは、この在宅療養されている2、000人ほどの方々となるものと考えているところでございます。
〇小西和子委員 私は、事項別明細書の209ページ、母子家庭にかかわる事業と、211ページの生活保護にかかわる事業、それから、いわて県民計画政策項目の、家庭や子育てに夢を持ち、安心して子供を産み育てられる環境の整備にかかわって、2点質問をさせていただきます。
 まず、1点目ですけれども、子供の貧困についてお伺いいたします。
 2007年の日本の子供の貧困率は14.2%、7人に1人が貧困という結果だけでも厳しいのですけれども、ひとり親世帯では54.3%に上ることが政府発表で明らかになっています。
 岩手県の子供の貧困についてどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。また、ひとり親世帯の子供の貧困率は幾らでしょうか。これは通告していなかったのですけれども、就労状況と就労収入の状況について、おわかりであればお答え願います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 本県の子供の貧困についてどのようにとらえているかということでございますが、本県におきまして、公的支援の対象となっている児童生徒の状況につきましては、まず、平成21年度の生活福祉資金のうち教育支援資金の貸付件数は627件、これは前年度より288件の増加でございます。また、小中学校の学用品などを市町村が支給する就学援助の受給者数は、平成21年度は9、745人で、同じく前年に比べて654人増加しているところでございます。
 これまで、国の審議会におきましても、子供期の貧困は、成人してからも、自身の健康やその子供の教育、家庭環境等にさまざまな影響があり、当該時期における所得保障や現物給付は、その不利な状況や悪影響を緩和する効果があるというような議論もなされているところでございます。
 また、本県におけるひとり親世帯の子供の貧困率ということでございますけれども、昨年11月の国の公表資料からは、残念ながら把握できないところではございますけれども、平成20年度に県の母子世帯等実態基礎調査をやってございますが、この調査では、前回調査した5年前と比べまして、母子家庭、父子家庭とも就労収入が月額20万円以上の世帯が減少し、15万円以下の世帯が増加している状況にございます。これらの実態は、昨今の厳しい経済情勢や雇用環境が強く反映しているものと考えてございます。
 さらに、お尋ねのありました母子家庭の就労収入の関係でございますけれども、平成20年度の県内の実態調査に基づきますと、5年前と比べまして15万円以下が62.7%から66.4%に増加、15万円から20万円が19.1%から21.5%に増加、そして20万円以上については8.5%から7.2%に減少というような状況でございます。
〇小西和子委員 生活保護を受けている家庭の児童数というのをお伺いしたいわけですけれども、周りの目を気にしてなかなか申請をしないといったようなことをよく耳にするんですけれども、そのような事案に対してはどのように対処しているかということも、よろしければつけ足して答弁していただければありがたいです。
〇小田原地域福祉課総括課長 生活保護受給世帯におきます子供の状況についてでございますが、本年7月時点におきまして、本県の生活保護を受給している18歳未満の児童数は1、818人でございます。これは、全児童数の0.8%の割合になってございます。そのうち、ひとり親世帯の割合につきましては、生活保護制度上、母子加算が適用されることとなっており、この適用がなされている世帯は、本年7月時点で712世帯、全保護受給世帯数の7.1%という割合になってございます。なお、この母子加算が適用されている世帯の児童数は1、285人となってございます。
 また、小中学校及び高校に在学する保護受給世帯の児童生徒数につきましては、同じく本年7月時点で教育扶助を受給している小・中学生が973人、高等学校等就学費を受給している高校生が236人、合わせて1、209人であり、これは、本県の全小中学校及び高校在学児童生徒数の0.8%の割合となってございます。
 さらに、ひとり親家庭になった世帯で、周りの目を気にして生活保護の申請ができない方に対してどのような対応をしているかということでございますけれども、各福祉事務所におきましては、それぞれの地区を担当する民生委員、児童委員の方々と連携をとりまして、その地域の生活実態等を見ながら生活保護申請等の助言をしていただくような体制で、そのような対応をしております。
〇小西和子委員 年々、子供の貧困ということがどんどん悪化しているということが、この数値からもわかると思います。子供の貧困を解消するために、ひとり親世帯などに対してどのような支援、事業を行っているのかお伺いいたします。
〇奥寺児童家庭課総括課長 子供の貧困解消のためのひとり親家庭に対する支援の取り組みについてのお尋ねでございますけれども、県においては、国が新たに策定した子ども・子育てビジョンをもとに、今年度から新たに実施している子ども手当の支給、高校授業料の実質無償化など、子育て家庭への経済的支援の充実に取り組んでいるところでございます。しかしながら、子供の時期の貧困は、経済的な面だけではなく精神的な面にも影響があるとされているところから、いわて県民計画及びいわて子どもプランに基づきまして、経済的支援に加えまして、子供や若者の心の豊かさづくりなども含めた総合的な取り組みを推進していくこととしてございます。
 特に、ひとり親家庭の支援としましては、本年3月に策定した岩手県ひとり親家庭等自立促進計画をもとに、例えば看護師や保育士等の資格取得による自立支援やハローワークと連携した就労支援など、さまざまな自立支援を推進しているところでございます。
 また、国の児童扶養手当の父子家庭への拡大についても適切に対応するとともに、本年10月からは、これまで県単独で実施している母子家庭等への医療費助成制度を新たに父子家庭にも拡大するなど、ひとり親家庭への経済的支援の充実に取り組んでいるところでございます。
〇小西和子委員 先ほど、収入が15万円以下の世帯もかなりあるというような話がありました。間に合いませんので日中も働き、夜も働く。ダブルワークというので、本当にいつ倒れてもおかしくないような状態で働いているひとり親世帯の方々がたくさんいらっしゃいます。そのようなことですと、自分に余裕がありませんから、ついつい虐待に走ってしまったりすることもありますし、当然、家にいないわけですから、虐待の中のネグレクトということにもなるというような危険性があるわけです。
 そこで、子供の貧困を解消し、子供たちが幸せに暮らし、心も体も健康に成長するための取り組みが重要だと考えます。日本の子供の幸せ感というのは世界で90番目と言われています。自己肯定感は、他の国と比較すると驚くほど低いです。自分に自信がない状態です。自己肯定感を高めたり、それから参加する権利といったようなことを保障するために、意見表明権とか2月議会でも一般質問で私は質問させていただきましたけれども、岩手県子どもの権利条例を策定すべきと考えます。
 ここに、いわて子どものけんりノートというものがあります。これは保健福祉部からいただいたもので、児童擁護施設に入所している子供たちと職員のためのものだということでした。全部読ませていただきました。これは、国連子どもの権利条約をベースにしてつくられたものと私は見ました。すごくすばらしいものが何年も前からつくられているんだなと感心させられました。
 そこで、2月議会でも一般質問で知事に質問させていただきまして、意見表明権や参加する権利というのは、ここにありますいわて子どもプランでは補えない中身だということを話させていただきましたところ、知事はこのように答弁していらっしゃいます。まず勉強させていただきたいというところでありますけれども、国連での議論でありますとか、国際的な子供の権利をめぐる議論なども私、関心ありますし、岩手においても、子供が主体的にいろいろな社会の活動、また世の中の動きにきちんと参画していく工夫というのは必要だと思っておりますので、参考にさせていただきたいと思います。大変前向きな答弁をいただいております。
 そこで、保健福祉部、それから、教育を受ける権利もございますので、教育委員会と部局横断で、岩手県全体で扱うような県条例、岩手県子どもの権利条例を策定すべきと考えますけれども、検討状況をお示しください。
〇千葉保健福祉部長 今、委員からお話がございました子どもの権利に関する条例につきましては、現在、18の道府県で制定されておりますが、その内容を見ますと、総合的に子供施策を推進する条例が14道府県、あと、先般お話がありました児童の虐待の未然防止、権利擁護の手続を定めているものが3県、その他1県となっております。
 岩手県子どもの権利条例につきましては、特に、個別具体的な目的、いわゆる児童虐待の未然防止、権利擁護ということについて定めている3県につきましては、各県におきまして、この条例がどのような機能、役割を果たしているのかということについて私どもも勉強しているところでございます。いずれ、今後、当該自治体の職員を招いた勉強会の開催、あるいは県の子育てにやさしい環境づくり推進協議会の中で意見交換の案件とするなど、そういうところから始めたいと考えているところでございます。
 本年度は、特に、先月、人権啓発フェスティバル、その後、日弁連の人権擁護大会、その中では第一部会として子供の貧困がテーマとしてなされたことは私どもも承知しているところでございます。現在、県民に向けましてさまざまな人権啓発を進める一つの機会となっておりますので、そういう点も踏まえながら検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇小西和子委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 では、二つ目ですけれども、事項別明細書の207ページの子育てに関する事業にかかわりまして、子育て環境についてお伺いいたします。
 合計特殊出生率が1.37に下がった要因をどのように分析しておられるでしょうか。また、県民意識調査によると、安心して子供を産み育てられ、子育てがしやすい環境であることについて、満足が17.6%、不満が53.9%と、不満が大きく上回っておりますが、要因をどのように分析し、どのような取り組みをしてこられたか、その成果と課題を示していただきたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 まず、合計特殊出生率が下がった要因についてでございます。合計特殊出生率は、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものでございますが、算出の基礎となる15歳から49歳までの女性人口は、平成21年は25万9、000人と前年に比べ1.5%の減少、出生数は、平成21年は9、904人と前年に比べ3.1%の減少でございました。このことから、15歳から49歳までの女性人口が減少した割合に比べ出生数が減少した割合が大きいことが、出生率の低下につながったものと考えてございます。
 また、出生数の減少につきましては、平均初婚年齢が、平成21年には男性が30.2歳と前年に比べ0.4歳、同じく女性は28.1歳と前年に比べ0.3歳それぞれ上昇しており、未婚化、晩婚化の傾向が続いていることなどが影響しているものと考えられますので、依然として厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 次に、県民意識調査の中で、安心な子育て環境整備の満足度が低くなっているところでございますが、その要因としましては、例えば身近な地域に妊婦健診や出産を取り扱う医療機関が減少していることや、多様なニーズに対応した保育サービスの提供がまだ十分とは言えないことなどの要因が考えられるところでございます。このような状況を踏まえまして、平成20年には周産期医療情報ネットワークシステムを構築し、関係機関が情報を共有することによりまして、妊婦への保健指導の充実等に努めてきたところでございますし、また、延長保育などの特別保育につきましては、引き続きその取り組みを促進していくほか、県内の認可外保育所の利用者等を対象としたアンケート調査の実施等によって、潜在しているそういった多様なニーズの把握にさらに努めながら、保育サービスの拡充も図っていくこととしているところでございます。
〇小西和子委員 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画策定のことですけれども、きのう、議論がありましたので、ここは割愛させていただきます。
 次に、他県の例ですと、子育てなどの専門家を、希望する企業に派遣いたしまして、従業員に対して出前講座を行って、男性の育児参加の意識醸成や働き方の見直しなどの環境づくりの推進を行っているという発表を先ほど聞いてまいりました。このように、子育て環境の整備がいかに重要かといった啓発活動と、やはりモデルというものがないと、なかなか事業主も行動に移せないと思いますけれども、いわて子育てにやさしい企業等、さらに先進県の企業の取り組み等の紹介といったことが重要と考えます。そういうことを実際にやられているのかどうかということと、実は、次世代育成支援対策推進法というのは、あと4年半しかない時限立法でございますので、何としてでも4年半で、何というんでしょうか、前進させなければならないと思うんですけれども、どのように推進していくのかという、その意気込みをお伺いいたしまして、質問を終わりにさせていただきます。
〇千葉保健福祉部長 今後の子育て環境整備の意気込みというお話でございますので、私のほうから答弁をさせていただきたいと思います。
 本県におきましては、今、委員から御紹介もございましたが、他県の取り組み事例なども参考としながら、本県でも導入すべきと考えられるものにつきましては積極的に取り入れてきたところでございます。例えば子育てにやさしい企業等の表彰制度の創設、あるいは長寿社会振興財団の基金事業でございますが、そこで育児・介護休業法の義務規定を超えるような育児休業期間等を設置した中小企業事業主に対する助成制度の創設―これは今年度からでございますが―など、取り組みの強化を図ってきているところでございます。また、そういう先進的な取り組みを行っています企業の事例につきましては、他県の企業でありましても、その取り組み内容を、本県で開催いたしますセミナーなどの場において紹介もしてきているところでございます。
 このように、本県の子育て環境の整備に取り組んできているところでございますが、今お話がございましたように、この整備は、当部のみならず商工労働観光部あるいは教育委員会とも連携しながら行っていく必要があるものと考えております。
 本年3月にいわて子どもプランを策定させていただきました。これは、当部の事業のみならず、今申し上げたような関係部局と連携して作成したものでございますが、その冒頭に、知事のあいさつで、めんこいわらしは岩手の宝、皆ですけるから、わらしの面倒見やんすべという言葉も載せさせていただいております。この心は、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境の整備を進めていく必要もございますので、本県の豊かな自然や伝統文化の中で健やかに成長していけるように、県民、企業、団体、市町村等と連携を図りながら一層進めていくという決意を示しているものだと考えております。そのような意気込みで取り組んでまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 それでは、私からは医師確保対策にかかわることについて幾つかお伺いしたいと思います。
 まず第1点に、先ほど来もちょっと話題になっておりましたけれども、今回、厚生労働省が発表した必要医師数実態調査結果の状況が示される中で、本県における病院勤務医師数の実態や、あるいは確保対策ということを考えていくときに、これまで一つの数字の目安としては、人口10万人当たりという考え方のもとに、多い少ない、そんな観点から本県の医師数の実態というものを見てきたと思うんですけれども、そうした状況を踏まえて、人口10万人当たりという考え方と別に、他の医師確保の取り組み目標を定めるための根拠になる部分であるとか、あるいは実際の実態把握を考えていく上で、人口10万人当たりという目安のほかに、これまでは、その根拠や基準としてどのようなものを踏まえながら考えてきたのかという点をまずお伺いしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 医師確保対策に係る実態把握や目標設定についてでございますが、従前のいわて希望創造プランにおいては、人口10万人当たりの全医師数ということを指標としていたところでございますが、全体としては本県医師数が増加傾向にある一方で、厳しい勤務環境などを背景に病院勤務医師数が減少傾向にあったことから、昨年策定したいわて県民計画アクションプランにおきましては、人口10万人当たりの病院勤務医師数を指標とする見直しを行ったところでございます。
 この指標には、医師数の経年変化の状況把握や地域間の比較ができるデータといたしまして、国が隔年で実施しております医師・歯科医師・薬剤師調査─いわゆる3師調査を採用しておりますが、現時点において、当該データが、公式的な統計値としての客観性や精度の面で最も適切なものと考えているところでございます。
 この指標のほか、委員からお尋ねがありましたそのほかの指標等につきましては、これにかわるものというのは現時点ではなかなか思いつかないというところもございますが、さらに、お尋ねがあった地域における医療提供体制の実態を反映できる新しい指標につきましては、平成23年度に策定を予定しております次期県民計画アクションプラン策定の中で検討を進めていきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 今、病院勤務医師数に基づく新たな考え方で、目安というか目標を定めていくというお答えを改めていただいたわけですけれども、例えば今回の厚生労働省が発表された必要医師数実態調査結果を踏まえたときに、本県の医師確保に向けた目標のとらえ方として、今お答えいただいた部分とどのような整合性をもって医師の確保数というものを考えていくべきなのかという点についてはどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 国の必要医師数実態調査結果を踏まえた本県の医師確保についての考え方ということでございます。
 このたびの国の必要医師数実態調査では、調査対象でございます県内の96病院と、分娩を取り扱う27の診療所のすべてから回答いただきまして、各医療機関が担うべき診療機能を維持するために必要であると考えている医師数について、現在求人している医師数の合計が県全体で365人、これに、求人していないものを加えた必要医師数全体が640人との集計結果が得られたところであり、必要医師数全体の倍率が1.4倍と、全国で最も高い値となったところでございます。この結果につきましては、本県の地域医療を支えている医療現場からの深刻な医師不足感のあらわれであると受けとめております。
 しかしながら、一方で、この調査結果については、各医療機関から回答のあった人数をそのまま集計したものであることから、例えば必要求人医師数として結果が得られた365人といった人数は、医師確保の長期的な見通しの中で参考となるものとは考えておりますが、この人数をベースとして中期的に目指すべき具体的な数値として設定することについては、今後、調査内容のさらなる精査等、十分な検討が必要であると考えております。
 今回の調査結果については、国は、病床規模別の必要医師数や、二次医療圏ごとの人口10万人当たりの必要医師数など、さらに詳細な分析を行うこととしており、県においても、国のこの作業を踏まえて、調査結果の詳細な分析を進めながら、今後の医師確保に向けた目標設定のあり方等について検討をしてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 そういうことで、今回の厚生労働省のこの数字が我々には大変大きなインパクトを与えました。一方で、今御答弁いただいたように、長期的な観点と、そして、今、県が考えている中期的な部分とのギャップを含めて、これを、今後の医師確保対策の遂行に向けて、どういう位置づけをきちんととりながら進めていくかというのは大変重要ですし、また、県民、我々一般の立場から言いますと、やはりこれまでの対10万人関係で示された地域医療の医療圏ごとの医師の偏在の問題や、あるいは必要な診療科が休診に追い込まれている実態の中における必要な医師の確保といった部分とか、さまざまな地域の実情や実態をとらまえた考え方をきちんと示していく必要があるのだろうと思います。そういった点をぜひ考えていただきたいということが1点です。
 それから、先ほど、午前中の審議の中で、飯澤委員からの質問で、これから国の新たな考え方で地域医療センターの設置という部分でお答えがありましたけれども、ちょうどきょう、お昼時間に手元に議会事務局の情報が届いておりましたが、その中にも厚生労働省の地域医療支援センターの考え方が掲載されておりました。この具体的な取り組みについては、これから検討していくことになろうかと思いますけれども、ただ、いただいた情報の中身をちょっと目を通してみますと、厚生労働省は9月中に、今御答弁いただいたような二次医療圏ごとの必要医師数を集計して、これを一つのもとにして、今後、都道府県に設置されるセンターが医師の派遣先を調整するんだということが書かれておりまして、そうしますと、国の示していくこの数字が、まさにひとり歩きをしていきかねない部分で、県民は、むしろ、そうした長期的な方向を含めて、岩手の医師不足の実態やそういった認識を持ちながら、県の行政の進め方というものを逆に見ていくということも当然考えられていくわけですけれども、そうした点を考えると、早急に県として、今回の厚生労働省が示された発表に対しても、決して十分反映されたものではないんだということで我々のほうにも資料を提示いただいているわけですけれども、その具体的な、十分反映されていないという問題点、あるいは課題をきちんと整理し、本県なりに、今回の厚生労働省が調べた実態とどう照らし合わせて、岩手の医師不足と、それに対する対策や、あるいは必要な医師数というものを求めていくのか、これを早急に示していく必要があるのではないかと思うんですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 まず、今回の調査結果が、真の必要医師数が反映されていないという形で県の見解を申し上げた理由についてでございます。
 今回の調査につきましては、初めての試みとして国主導により全国一斉に行われ、これまで地方が繰り返し国に対して求めてまいりました医師の地域偏在、診療科偏在の解消に向けた必要医師数を把握するための取り組みがスタートした意義はある一方、先ほど御答弁申し上げたとおり、各医療機関が自己申告した人数をそのまま積み上げた結果となってございます。したがって、病床数、診療科といった医療機関の基本的な機能に対応した必要数や、中核病院等が担うべき重要な役割である救急医療、高度専門医療体制等に関して、当直体制や専門診療科のチーム医療体制等を確保するための必要数に関して、把握方法の考え方が統一されて示されておりませんでした。こういったことから、例えば同一規模の病院でありながら、回答結果にばらつきが生じていることが考えられるほか、大学等から診療応援として医師の派遣を受けている病院が自前で医師を確保するための必要数と、医師を派遣している大学等が診療応援の充実のために医師を確保するための必要数とが重複して計上されていることが予想されることなど、地域における医師の偏在解消に向けた、真に必要な医師数を把握するための調査手法としては不十分なものであると考えております。
 今回の調査に当たりましては、県といたしましても、関連学会等が提唱する必要医師数を参考にしながら、病床数や診療機能等を考慮した標準的な必要医師数試算方法のモデルを国において設定した上で調査を行うよう、国に対し、あらかじめ申し入れをしていたところであり、他の都道府県からも実施方法等の見直しを求める意見が数多く出されるなど、各県等におきましても同様の問題意識を持っていると認識してございます。
 県といたしましても、今回の調査結果をきちっと分析して、委員から御指摘がありましたとおり、位置づけ等を今後詳細に検討いたしまして整理をしていく一方、国に対しても、引き続き、真に必要な医師数設定のための調査方法について具体的な提案をしてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 今、御答弁いただきました。いずれ、これからも、具体的に検討していくに当たって、これも飯澤委員が午前中に質問しておりました、いわゆる動議対応を含めて、これまで取り組んできた懇談会のフォローアップ体制であるとか、さまざまな取り組みの中で、まさに二次医療圏における、あるいは地域医療を考える上における県、市町村あるいは関係団体、こうしたところとのしっかりとした連携も一方でとりながら、この医師不足の問題にかかわって、しっかりとしたまさに地域に即したそういった県の方向というものを示していただく必要があるのではないかと思います。
 医療局分では、例えば現場の医師との意見交換会なども、この間、行われているようでありますけれども、まさに今回の厚生労働省の調査結果などを含めて、現場の医師の声あるいは意見がやはりしっかりと反映されていくといった部分も仕組みとしてしっかり確立しながら、県の新たな地域医療センターという取り組みの方向性について万全を期してもらいたいと思います。そういう意見を述べて、終わります。
〇工藤勝博副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時49分 休 憩
午後3時9分 再開
〇三浦陽子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 進行に御協力願うため、質疑、答弁ともに簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、まず最初に、高過ぎる国保税の改善の問題について。
 盛岡市の国保税の加入者の1世帯当たりの平均課税所得は90万8、000円であります。4人家族の場合、5割軽減でも国保税額は15万9、600円となっています。負担率17.6%。高過ぎて払えない水準と考えますが、いかがでしょうか。
 県全体では1世帯平均の課税対象所得と平均国保税額、また負担率はどうなっているでしょうか。
〇立花健康国保課総括課長 国保税に関するお尋ねでございます。
 平成20年度におけます1世帯当たりの所得額は122万円でございますが、この中から基礎控除33万円を差し引いた国保の課税対象所得額は89万円、国保税額は14万7、000円、したがいまして負担率は16.56%となっているところでございます。
 収入が伸びない経済状況の中で、家計における国保税の負担感が増していると考えているところでありまして、県といたしましては、国の公費負担の割合を拡大しまして、負担軽減を図るよう国に継続して要望しているところでございます。
〇斉藤信委員 課税対象額は平成10年、平成20年でどう推移していますか。負担率はどういうふうに推移していますか。
〇立花健康国保課総括課長 課税所得額で申し上げますと、平成10年度は149万円、負担率は11.2%となってございます。それから、平成20年度の課税所得額は89万円となっておりまして、負担率は16.56%となっているところでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、10年間で課税所得額は59.7%、6割に減りました。負担率は11.2%から16.56%ですから1.5倍です。これは本当に耐えがたい国保税になっているのではないか。
 ことし3月の国会では、さすがの鳩山首相もこう言っていますよ。特に所得の低い方々にとって、相当厳しい保険料になっているなと実感として伺ったと。首相もこう認めるほど相当厳しい保険料になっていると。
 部長。私は、国保税を議論する場合の出発点は、今の水準が高過ぎて払えないということであったら改善しなくてはならないと思いますが、いかがですか。
〇千葉保健福祉部長 現在の状況でございますが、被保険者の負担の話、あるいは地方公共団体の負担の話もございます。いずれ診療報酬の改定等によります医療費や後期高齢者支援金の増加に伴いまして、地方公共団体の財政負担、あるいは被保険者の国保税負担が増加しており、国保財政、あるいは今、委員からお話がありました被保険者の家計を圧迫している状況にあると考えているところでございまして、先ほど総括課長から申しましたとおり、国に対して公費負担割合を拡大し、負担軽減を図るということを継続して要望しているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。後半は、私もそのとおりだと思います。
 それで、国保加入者の所得水準についてお聞きします。
 所得なし、所得100万円以下、200万円以下の構成比はどうなっているでしょうか。職業別実態はどうなっているでしょうか。
〇立花健康国保課総括課長 国保の所得階層別の構成比についてのお尋ねでございますけれども、平成21年度における1世帯当たりの所得の構成比でございますが、所得なしが24.8%、それから、所得なしを含まない100万円未満が29.9%、100万円以上200万円未満が24.0%となっているところでございます。これらは、いずれ給与所得控除とか公的年金控除などを控除した後の額でございます。
 それから、職業別の状況についてでありますが、無職─これは年金の受給者で職業を持たない方等だと思いますが、これが36.4%、被用者が30.1%、自営業が14.1%、農林水産業が11.5%という状況になっているところでございます。
〇斉藤信委員 所得なしが24.8%、100万円未満というのが合わせて54.7%、ワーキングプアと言われる200万円未満が実に78.7%、これが国保加入世帯の実態ですよ。そういう中で、国保税の今の滞納世帯、滞納額はどうなっているでしょうか。収納率はどうなっているでしょうか。滞納処分の実態はどうなっているでしょうか。
〇立花健康国保課総括課長 滞納状況等についてのお尋ねでございます。
 平成21年度における滞納世帯数は3万277世帯、それから、累積滞納額は115億3、000万円となってございます。
 収納率でございますが90.7%でございまして、ちなみに収納率が90%を割っている市町村は、盛岡市など4市村となっている状況でございます。
 それから、滞納処分でございますが、差し押さえ件数が4、824件、差し押さえ金額が16億3、000万円余となっているところでございます。
〇斉藤信委員 先ほど私が紹介したように、200万円未満の方々が約8割を占める、そういう中で、払えなければもう差し押さえですよ。それが4、824件、16億3、000万円を超えると。こんな冷たいやり方はないのではないか。国保税というのが滞納処分の中で半分近くを占めますよ。私は、そういう意味で、この国保税というのは、県民にとって最も切実で最も重税感の高い酷な税になっているということを指摘しておきたいと思います。
 そうした中で、滞納者から保険証を取り上げる資格証明書の発行、これはどうなっているでしょうか。
〇立花健康国保課総括課長 資格証明書の交付について、その実態というお尋ねでございますが、資格証明書の交付に当たりましては、国の通知を受けまして、県から市町村に対し、機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無を適切に把握した上で行うことというような基本的な運用の考え方を通知しているところでございます。
 それで、市町村では、県のこの通知を受けまして、滞納者個々の事情に十分配慮したきめ細やかな対応をしていると承知しているところでございますし、また、我々も会議等の場でも、このような基本的な考え方につきまして重ねて要請しているところでございます。
〇三浦陽子委員長 答弁漏れがあるようですけれども。
〇立花健康国保課総括課長 資格証明書の交付状況ということでありますが、交付世帯数でありますが992世帯、25市町村で交付している状況でございます。
〇斉藤信委員 実は昨年の4月、これは花巻市石鳥谷町でございましたけれども、61歳のお年寄りが亡くなりました。心不全でありました。遺族の方から話を聞きましたが、この4月にちょうど資格証明書に切りかえられて病院にかかれなかったと。持病を持っている方で、医師からは入院が必要だと言われていたけれども、資格証明書は窓口で10割負担しなくてはならない。結局、自宅で亡くなったと。
 私はことしの3月の予算特別委員会でも紹介しましたけれども、3月4日に、当時の長妻厚生労働大臣はこう言いました。払えるのに払わないということが本当に証明できた場合以外は、慎重に取り扱っていただきたいと。資格証ですよ。そして、2009年1月20日には、経済的に困窮して医療の必要を訴える人は、大人でも短期証を交付するように事務連絡が来ているはずなんですよ。
 こうした事態が実際に発生していることについて、どう受けとめますか。
〇立花健康国保課総括課長 資格証明書でございますけれども、滞納している方々、これは1年以上でございますが、国保法で保険証を返していただきまして、そのかわりに資格証明書を交付いたしまして、それで市町村の窓口で償還払いをしていただくことによりまして相談機会を確保するというような目的で運用されているものでございます。しかしながら、その運用に当たりましては、特別の事情というものをきちっと把握して交付するというようにしているところでございます。
 例えば、事業が休廃止したりとか、病気をしたりとか、そういうような特別の事情が認められる場合は、これを短期証に切りかえているというような実態でありますし、それから、市町村におきましては、その交付に当たりまして、国保とか、税務とか、あるいは生活保護等の担当部課長で構成する審査会を設置いたしまして、そういった個々の被保険者の状況などをきめ細かく審査した上で交付していると承知しているところでありまして、本県の市町村においては、このような基本的な考えに沿って適切に交付しているものと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 だめだ、そんな答弁では。私は具体的な事実を示して、そして、長妻厚生労働大臣の答弁と、2009年1月20日の事務連絡の中身を示して聞いているんですよ。それに反する事態じゃないですか。部長どうですか。
〇千葉保健福祉部長 基本的な県としての対応については、今、総括課長から申し上げたとおりでありますが、果たして市町村のほうでその対応について、一般的には今申し上げた形で適切に行っていただいているものと想定はしておりますが、ただ、個々のケースについてまで、私どもも承知していないところがございます。
 いずれ、今回のようなお話があるとするならば、非常にその辺は私どもとしても関心を持たなければならないと思っておりますので、改めて市町村等には、適切な対応をしていくように要請あるいは助言等をしていく必要があるものと考えております。
〇斉藤信委員 私が紹介した長妻厚生労働大臣の答弁と、2009年1月20日のこの通知の内容を部長は確認していますか。
〇千葉保健福祉部長 一応、拝見はしております。
〇斉藤信委員 承知しているということですね。その立場で対応するということでよろしいですね。
 それで、資格証、いわば保険証を取り上げるというようなことは、病院にかかれなくなるということなんですよ、命にかかわる問題なわけです。だから、今992世帯ということで、この間減少はしてきています。しかし、一方で9町村はゼロ発行なんですよ。発行していないところもあるのです。大都市のさいたま市は、資格証を一つも発行していません。発行しなくても、滞納者とよく相談して解決しているのですよ。
 もう一つ私は聞きますが、23市町村で1、568世帯、短期保険証がとめ置きされています。発行したけれども届いていない。これは無保険ですよ。こういう無保険の事態というのは、直ちに改善させるべきじゃないでしょうか。
〇立花健康国保課総括課長 被保険者証の未交付のことでございますけれども、県といたしましては、市町村に対しまして、未交付者に対しましては、電話連絡や家庭訪問により接触を可能な限り試み、できるだけ速やかに手元に届けるよう通知しているほか、会議等でも重ねて適切に対応するよう要請しているところでございます。
〇斉藤信委員 私はこれを3月の予算特別委員会でも取り上げたんですよ。しかし、改めて調査してみると、いまだに1、568世帯がとめ置きされていると。保険証が届いていないと。無保険だということですよ。これは直ちに是正措置をとってください。異議があれば、答えてくださいよ。
 あわせて、この国保の危機の最大の原因は、答弁にもあったように、国の国保会計に対する国庫負担を大幅に削減してきた、ここに一番の原因があります。全国的には、この間、1984年の国保法改悪以来、国保会計全体に50%国庫負担があったが、今は25%です。
 岩手県の場合はどういうふうに推移していますか。そして、もし岩手県の場合、減らされた分を平成21年度会計で見ればどういう額になるのか示していただきたい。
〇立花健康国保課総括課長 短期給付の未交付の点につきましては、市町村の担当課長会議等を通じまして、重ねて制度の趣旨に沿って適切に対応するよう要請してまいりたいと考えております。
 それから、国庫負担の状況についてでございますけれども、これは、平成20年度に後期高齢者医療制度の創設、あるいは前期高齢者の医療費に係る財政調整制度というようなものが導入されたことなどから、制度の改変が非常に大きかった状況にございますので、単純な比較はできないのではございますけれども、市町村国保財政の収入額に占めます国庫支出金の割合を見ますと、平成15年度が40.6%、平成20年度が26.6%ということとなっているところでございます。
〇三浦陽子委員長 額はわかりますでしょうか。
〇立花健康国保課総括課長 失礼しました。国庫支出金の額でございますが、平成15年が448億円余、それから平成20年が354億円余となっているところでございます。
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、国保法改悪のときから、全国が50%のとき、これは5年前で、しかし40%、そのわずか5年間だけでも約100億円国庫負担が減らされている、それが国保税の値上げになっているのですよ。私は、本当にこれは、国庫負担の復元を強く求めていかなければならないと思います。
 国保の最後に、今、政府は国保の広域化という方針を示していますが、私は、国保の広域化というのは、結局、国庫負担を復元しないで都道府県単位にやっても何も問題解決しない。それどころか、今、市町村が一般会計から繰り入れしてでも値上げを抑えているときに、それができなくなったら、さらに国保の値上げに結びつくのではないかと思いますが、この国保の広域化に対してどういうふうに受けとめていますか。全国知事会はどう対応していますか。
〇立花健康国保課総括課長 現在、広域化につきましては、国のほうで検討がなされている状況でございます。この市町村国保財政の影響につきましては、国においては、将来の医療費推計に基づいた具体的な財政負担の考え方などについては、今後、検討を行うとしているところでございまして、現時点では、その広域化によって国保財政が改善されるかどうかというものについては、判断できる状況にはないものと考えているところでございます。
 しかしながら、県といたしましては、医療保険制度などセーフティネットにつきましては、基本的に国が責任を持って行うべきものと考えているところでございます。したがって、国の財政責任を明確にしながら、被保険者や地方自治体の負担増とならないようにする、これが全国知事会の考え方でもございますし、岩手県の考え方でもございます。こういったことにつきまして、国に対しては十分な議論を尽くすよう要請しているところでございます。
〇斉藤信委員 では、次に、介護保険の改善の問題について質問いたします。
 介護保険が導入されて10年たちました。矛盾の集中点が特養ホームの待機者の問題ですが、県の調査によると、待機者は5、974人、うち在宅が2、139人、早期に入所が必要な待機者が1、235人となっていますが、この早期に必要な待機者の判断基準というのは何でしょうか。昨年新たに入所できた待機者はどのぐらいでしょうか。
 低所得者が入所しやすい多床室は、私が3月時点で質問したときには、この間375床も減少していました。低所得者の待機者の状況はどうなっているでしょうか。多床室の特養ホームの整備、増設の計画はどうなっているでしょうか。
〇岡村長寿社会課総括課長 特別養護老人ホームの入所待機者についてでございますが、早期に入所が必要な待機者については、保険者である市町村等が介護者の状況や要介護度などを総合的に勘案し、担当のケアマネジャーと協議し判断しているものでございます。
 平成21年3月31日現在の入所待機者実態調査におきましては、市町村が早期に入所が必要と判断した在宅の待機者1、022人のうち792人につきましては、今回の調査において、何らかの理由により待機状態が解消された旨、報告されているところでございます。
 現在の調査におきましては、解消の理由について調査しておりませんので、詳細は把握していないところでございますが、待機状態が解消された方の中には、一部は入院した方、亡くなられた方も含まれているものと存じますが、相当程度の人数の方は、特別養護老人ホームに入所されているものと考えているところでございます。
 次に、多床室の整備計画についてでございますけれども、特別養護老人ホームの入所待機者の所得の状況については、国及び県いずれの待機者調査におきましても調査はしておりませんので、把握はしてございません。
 多床室の整備につきましては、平成23年度までの第4期介護保険事業計画期間におきまして、特別養護老人ホームの整備床数は、当初計画の約660床に加え、地域密着型の上乗せ整備が約340床分、広域型の前倒し検討の整備の要望が約200床分ございます。このことから、約1、200人分の入所待機者に対応した整備を検討しているところであり、このうち約400床程度が従来型の多床室となっている状況でございます。
 しかしながら、多床室からユニット型個室への改築も約200床見込まれているところでございますので、平成23年度までの第4期計画期間中に、多床室は実質的には200床ほど増床となる見込みでございます。
〇斉藤信委員 この実態調査を見ますと、平成21年度に特養が整備されたのはたった13床だったと。そして、平成22年、23年で649床プラス200床云々となるわけですけれども、今年度どのぐらい整備されるんですか。私は、今の段階は、ことしの3月末の待機者なんですよ、来年になったらもっとふえるんですよ。計算が違うんですよ。今年度どのぐらい整備される予定ですか。
〇岡村長寿社会課総括課長 特養の整備の内容で出ておりますものはオープンベースでございますので、年度をまたがったりするものにつきましては、計上されていない場合もございます。
 一つには、待機者等につきましては、新規で増床になる分と合わせまして、毎年1、300人から1、400人ほど入所者の入れかえがございます。そういったこともございまして、3月31日時点の待機者の方が、ずっと施設が新しく増床されるまで入所ができないという状況はないものと考えてございます。
 各施設におきましては、先ほど申し上げました待機者の状況調査にもありますように、本人の介護度等の状況、それから家庭の介護者の状況、あるいは利用できるサービスの状況等を勘案しまして、早期に入所が必要な方については、優先的な入所を取り扱っていると伺っております。
 本年度の整備の状況につきましては、見通しを確認の上、後ほど答弁させていただきます。
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、答えられなかった最後の部分だけですよ。きちんと答えてくださいよ。時間だけロスなんだから。これはロスタイムにしてくださいよ。
 実は、介護サービスの受給量が岩手県は全国最低でありました。その実態と理由は何か、限度額に対する利用実績はどうなっているか、簡潔に示していただきたい。
〇岡村長寿社会課総括課長 委員から御指摘のありました介護給付費の実態につきましては、本年7月29日に厚生労働省が発表いたしました平成21年度介護給付費実態調査結果によりますと、本年3月分におきます介護サービス受給者1人当たりの費用は、本県は全国で一番低位にとどまっているところでございます。
 これは、施設サービスや地域密着型サービスがおおむね全国平均に近い水準であるのに対しまして、居宅サービスが全国平均と比べて87.1%の水準にとどまっていることが、その要因と考えているところでございます。
 居宅サービスの利用が低調な理由といたしましては、本県は山間地が多く、サービス事業者、サービス利用者ともに、訪問、通所に係る移動コスト等に係る部分による地理的な要因、要介護者の家族みずからが頑張っていくというような気持ちがあることから、他人を家に入れたくないというような意識的な問題なども考えられるところでございます。
 また、居宅サービスの支給限度額に対する利用実績につきましては、国の介護給付費実態調査をもとに平成22年3月サービス分で本県で試算を行いましたところ、本県の限度額に対するサービスの利用割合は46.8%と推計しているところでございます。
〇斉藤信委員 残念ながら、介護サービスの受給量が全国最低、限度額の46.8%。
 それで、実はこういう事件が起きました。これはきのうのNHKのクローズアップ現代でも紹介されたわけですが、昨年3月、花巻市で介護殺人事件がありました。92歳の父親を介護するために、仕事をやめて62歳の方が介護したんですよ。父親の年金だけが頼りだった。しかし、本当に親孝行息子だったらしいんですけれども、もう介護の苦労で恐らくうつ状態になったんでしょう、最後はこういう悲惨な結果になりました。
 花巻市はこれを重く受けとめて、いわば居宅サービスを受けている人、受けていない人、この介護者の実態調査をやりました。その実態調査の結果もきのうのテレビで紹介されていましたが、花巻市の介護担当者は、こうした実態は、今の介護保険制度の枠の中では対応できない。
 それで、花巻市は独自に、包括支援センターに人を配置して訪問、相談活動をやる、こういうことでありましたが、花巻市のこの在宅介護者に対する実態調査を把握しているでしょうか。県として、私はこれを参考にして県の施策を拡充すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇岡村長寿社会課総括課長 花巻市の調査につきましては、新聞報道等で掲載されたもの等に基づきまして、最初に報道された時点で、市のほうにも状況をお伺いしているところでございます。
 花巻市では、そういう大変悲惨な事件が起きたということもありまして、きめ細かな対応をしたいということを伺っております。
 県内の他の市町村におきましても、地域包括支援センター等を通じまして、きめ細かな実態の把握であるとか、あるいは担当のケアマネジャー等を通じまして、丁寧な対応を心がける方向で検討していると伺っているところでございます。
〇三浦陽子委員長 斉藤信委員に申し上げます。委員の質疑が長時間に及んでおります。世話人会の申し合わせを踏まえて質疑をされるよう、議事の進行に御協力を願います。
〇斉藤信委員 わかりました。委員長、じゃ、これで最後でやめますから。
 花巻市の実態調査は全国的に注目されて、何度かNHKでも紹介されているんですよ。ぜひ、この中身を県としても手に入れて、よく生かしていただきたい。
 こうなっています。介護者の負担感、大変負担を感じる、やや負担を感じるが80%、健康調査で、軽度及び中度の抑うつと見られる方が24%あったと。要望が一番多かったのが、介護の仕方を指導してほしい、介護手当を支給してほしい、介護上の悩みを聞いてほしい、こういう要望が出されたと。
 1、430人の方を訪問してやった結果で、先ほど紹介したように、この調査を受けて特別に訪問相談員を市がその後、配置をしたということであります。全国で最も介護サービスの利用料が低い岩手県でこそ、私は、そういう利用している人の悩み、また、していない人のそういう実態もつかんで改善に生かしていただきたいと思いますが、最後に部長に聞いて、終わります。
〇千葉保健福祉部長 今、花巻市の取り組みの話をちょうだいいたしたところでございます。いずれ、私どもも市町村の実態把握、実態調査を理解した上で計画をつくっていただくことが重要と考えておりますので、この花巻市の取り組み等を参考にさせていただきながら、あるいは他の市町村にも、そういう内容についてお示ししながら、対応していきたいと考えているところでございます。
〇岡村長寿社会課総括課長 先ほどお尋ねのありました平成22年度中の新規に増床になる定員数についてでございますが、平成22年度につきましては86床の見込みでございます。
 なお、平成23年度には1、005床ほどの整備を予定しているものでございます。
〇三浦陽子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 救急医療体制について、1点のみお伺いいたします。
 ドクターヘリに関してでございますが、予算は平成22年度の予算で今、調査中と思いますけれども、議論は平成21年あたりに主に煮詰まってきた議論をしていると思いますので、1点のみ伺わせていただきます。
 本年7月26日に環境福祉委員会で青森県八戸市のドクターヘリの状況視察をしてまいりました。青森県は、病院の敷地内にヘリポート格納庫がありまして、すぐそばの病院建物の中に管制室といいますか、そういうものがあって2人が勤務していた。それから、パイロット、整備士は常駐ですので、そのほかにもスペアがなければいけないと思いますから、そういった体制というものも相当な数に上るんだろうと思います。
 ところで、八戸病院から私どもの宮古までは25分のエリアで到着するという報告をもらってきたところであります。
 そこで、県が考えておりますヘリコプターの発進基地をどこにするかは置きまして、県北の久慈市、洋野町、あるいは陸前高田市、大船渡市はおおむね20分から25分かかるのではないかと思うんですが、その時間が、往復ということになりますから倍になるわけです。そうすると、あらかじめ沿岸の真ん中あたりの地域に置いたほうが、片道分時間がかからないということになりますと、存命率を高くすることができるのではないか。あるいはまた、その分、県央部で空白になった場合には、防災ヘリもありますので、そういったものを有機的に運用しながら県全体を考えるという視点が必要ではないかと思いまして、今、中間取りまとめ、平成23年度就航、運航に向けて大事な議論のときだと思うんですけれども、視点を変えて、盛岡市から迎えに行って片道分余計な時間をかけるということのないように、沿岸地区に置くという考えもあっていいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 委員御指摘のとおり、本県は四国4県にも匹敵する広大な面積を有してございます。ドクターヘリの最大の効果といたしましては、医師が早く現場に到着し、そこで救命措置が始められるという点にあると考えてございます。そういった意味では、基地病院から現場到着までの時間短縮、このことがやはり一番有効な点であると考えてございます。
 こうした点があって、まず、ドクターヘリを運用するためには、発進基地を担う基地病院の医師の体制といったものが必要でございます。また、国の補助制度なども活用して運用しなくてはならないということで、救命救急センターが条件となってございます。そういった点を勘案して、また、まずは1機導入して、一番効率的な運用をしていくということを勘案して、盛岡市の岩手医科大学の高度救命救急センターを基地病院としたいわゆる発進基地方式という形での導入が、現時点では一番妥当であろうということで進めているものでございます。
 ただ、一方、委員から御指摘ありましたとおり、やはり県内広大な面積を有してございますので、複数機の整備といった点につきましては、まずは1機目、まずは今、1機目の導入ということで鋭意努力してございますので、そういった点を踏まえながら、将来的な検討課題として検討してまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員長 質疑がないようですので、保健福祉部関係の質疑をこれで終わります。
 保健福祉部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでございました。
 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇田村医療局長 認定第1号平成21年度岩手県立病院等事業会計決算について御説明申し上げます。
 県立病院等事業の運営に当たりましては、地方公営企業法第3条に規定する経営の基本原則並びに県立病院等の設置の本旨、県議会の審議を通じての御意見及び監査委員の御意見の趣旨を踏まえまして、まことに厳しい医療環境ではございますが、事業の効率的な運営と経営の健全性に配意しながら、公的医療機関としての使命である地域医療の確保と保健衛生の向上に努めてきたところでございます。
 平成21年度におきましては、良質で効率的な医療供給体制と、これを支える安定した経営基盤の確立のため、県立病院等の新しい経営計画のもとに多様な取り組みを展開してきたところでございます。
 特にも、医師確保につきましては、本県出身医師等の協力を得ながらの個別訪問や関係大学に要請するなど招聘に努めるとともに、奨学資金貸付制度の活用による医師の確保に努めているところでございます。また、臨床研修医師の積極的な受け入れに取り組んだ結果、平成21年度は、初期臨床研修医が101人となり、後期研修医は63人を勤務医として確保したほか、医療クラークの導入や24時間保育の実施などにより、現在勤務している医師の定着を図るための勤務環境の改善に努めるなど、県民医療に必要な医師の確保と定着に努めてきたところでございます。
 次に、病院機能の明確化等につきましては、中央病院や広域基幹病院を中心に、地域医療を支える体制づくりを進めるとともに、地域連携クリニカルパスを推進するなど、他の医療機関を含めた医療機能の分担と連携の推進に努めてきたところでございます。
 また、職員の資質の向上等につきましては、各種研修のほか、認定看護師等の専門資格の取得にも力を入れているところでございます。
 このほか、収入確保の取り組みとして、入院基本料などの施設基準の上位への届け出や新規の基準取得を進め、また、費用面では、職員の適正配置、中部病院の医事業務委託など外部委託の拡大、薬品等材料の在庫管理の適正化と整理統一、後発医薬品の使用拡大等により費用の抑制を図るなど、総合的な経営改善に努めたところでございます。
 以上、事業の概要を申し上げましたが、国民医療費が総額抑制され、患者負担の引き上げや健康保険組合の再編等を柱とする医療制度改革が進められる中、かつてない厳しい経営状況となっているところでございます。
 こうした状況のもと、今後の事業運営に当たりましては、新しい経営計画を着実に推進し、上位の施設基準等の取得やDPCの導入など、患者に良質な医療を提供しながら収入を確保するとともに、給与費の適正化や後発医薬品の使用拡大、材料費の削減などにより費用の抑制に努めることを念頭に、全職員が一丸となって取り組んでいく必要があると考えております。
 それでは、お手元の決算書に基づきましてその概要を御説明いたしますが、決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税相当額を含めた金額で作成するものであるのに対し、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税相当額を除いた金額で作成することとなっており、金額に相違がございますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、決算書の1ページをお開き願います。
 まず、決算報告書の収益的収入及び支出でございますが、収入の第1款病院事業収益は、予算額920億7、900余万円に対し、決算額は919億3、500余万円でございます。
 次に、支出でございますが、第1款病院事業費用は、予算額941億6、000余万円に対し、決算額は940億9、400余万円でございます。
 2ページに参りまして、資本的収入及び支出でございますが、収入の第1款資本的収入は、予算額134億2、400余万円に対し、決算額は153億1、700余万円で、その主なものといたしましては、第1項企業債98億3、700万円、第3項負担金53億6、300余万円などでございます。
 3ページに参りまして、支出の第1款資本的支出は、予算額197億8、700余万円に対し、決算額は185億3、900余万円で、その主なものといたしましては、第1項建設改良費は65億7、300余万円で、中央病院増築・改修工事並びに磐井病院及び大船渡病院への循環器用エックス線診断装置等の医療器械等の整備に要した費用でございます。
 第2項企業債償還金は92億4、300余万円で、施設等の整備のために借り入れた企業債の償還金でございます。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額53億9、000余万円につきましては、過年度分損益勘定留保資金等52億4、000余万円で補てんし、残りの1億5、000万円は、当年度同意等済未発行企業債で措置するものでございます。
 次に、損益計算書について御説明申し上げます。4ページをお開き願います。
 医業収益は799億1、200余万円で、前年度に比較しまして6億7、900余万円、0.9%の増加でございます。その主なものといたしましては、入院収益515億6、200余万円と外来収益222億6、100余万円でございます。
 次に、医業費用は860億600余万円で、前年度に比較しまして12億1、500余万円、1.4%の減少でございます。その主なものといたしましては、給与費489億8、900余万円、薬品費を主な内容とする材料費214億1、300余万円、光熱水費、賃借料及び委託料等の経費113億500余万円、減価償却費39億300余万円などでございます。
 また、医業外収益は118億4、000余万円で、前年度に比較しまして4億3、200余万円、3.5%の減少でございます。その主なものといたしましては、一般会計繰入金のうち、医業外収益として繰り入れました負担金交付金105億700余万円などでございます。
 5ページに参りまして、医業外費用は77億3、900余万円で、前年度に比較しまして5億7、800余万円、8.1%の増加でございます。その主なものといたしましては、支払利息及び企業債取扱諸費40億5、900余万円、仕入控除できない消費税及び地方消費税15億2、400余万円を含む雑損失16億5、700余万円などでございます。
 この結果、平成21年度岩手県立病院等事業会計の損益は21億6、100余万円の純損失を生じ、赤字決算となったものでございます。このことにより、当年度末累積欠損金は189億4、200余万円となるものでございます。
 以上、決算報告書及び損益計算書について御説明申し上げましたが、剰余金計算書及び貸借対照表その他の事項につきましては、説明を省略させていただきたいと思います。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇三浦陽子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋元委員 それでは、私から1点のみ御質問いたします。
 ただいま局長からもお話がありましたが、さまざまな分野で平成21年度は御努力をしていただいて、決算内容も改善の方向にあるということでありますので、その皆様方の努力は大いに評価したいものだと思っております。
 そこで、これから、局長の報告にありましたとおり、平成23年度黒字化に向けた取り組みというものがあるわけでございます。この1点につきまして監査意見が出ております。それらについての取り組みはどのようになっておられるのか、この点についてお尋ねしたい。
 どういう意見が出されているかといいますと、決算審査における監査委員からの意見として、医業収益の確保、職員給与費の適正化、材料費の効率的な執行、年々増加する個人医療費の未収金の縮減、個々の病院の地域事情や経営状況を踏まえた中長期的な収支計画書の作成、こういったものが上げられておりますけれども、これらについてどのような取り組みがなされているのか、お伺いしたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 監査意見に対する対応ということでのお尋ねでございます。
 まず、医業収益等の収入確保策ということで、医師の確保・定着策の一層の推進ということがまず挙げられるわけでございますが、そのほかに、今年度すべての基幹病院がDPC─先ほどもDPCという言葉が出てきましたが─疾病ごとに診療報酬を包括的に算定する仕組みでございますけれども、これが9病院で実施されます。この分析の強化、それから上位の施設基準、例えばクラークの設置とか、こういったものでの上位の施設基準がございます。上位の施設基準の取得、それから診療報酬の適正な算定、こういったものに取り組んでいるところでございます。
 それから、職員給与の適正化についてお尋ねがございました。特殊勤務手当の見直し、業務改善の一層の推進によります超過勤務手当の縮減など、職員給与費の適正化について、継続的な見直しを今現在行っているところでございます。
 材料費の効率的な執行策といたしましては、薬品費については、後発医薬品の採用拡大、それから価格交渉によって抑制に取り組むという取り組みがございます。診療材料につきましては、これは昨年度、コンサルティングの導入をしたわけですけれども、そのノウハウを生かしまして、今年度も診療材料のプロジェクトチームを局内に病院と共同して設置してございます。それによりまして採用品目の整理・統一を一層進めるなどいたしまして、廉価購入によって抑制に取り組んでいるところでございます。
 個人未収金の縮減につきましては、クレジットカード払いの促進など、支払いやすい環境を整備して未収金の発生をまずは抑制していこうということと同時に、未収金の回収専門員を配置いたしまして回収の徹底に取り組んでいるところでございます。
 個々の病院の中長期的な収支計画の策定についてでございますが、現在の経営計画は、各病院ごとにまとめた中長期の収支計画の積み上げを基本に策定したものでございまして、局全体としての収支均衡─平成23年度に収支均衡を目指してございますが─を目指して策定したものでございます。
 そのため、各年度の運営に当たりまして、年度当初に各病院において経営計画の収支計画を踏まえながら、その年のそこの病院の診療体制や診療報酬改定の状況といったものを考慮して、収支の見通しを策定してございます。
 その収支見通しをもとに、医療局と意見交換を行いまして、局全体としての収支見通しを取りまとめ、課題を共有しながら、収支改善に向けた対策を講じているところでございます。
 そのほかに、その収支改善に向けた対策について、四半期ごとにそれぞれ進捗管理を行いまして実施しているところでございまして、今後もこうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 さまざまな取り組みが力強く進んでいるものと感じるところでございます。
 もう一点だけですが、材料費については、今も安価な薬を購入するとか、いろいろ工夫されていると思いますが、ただ、それぞれお医者さんによっては、私はこの薬がいいんだとか、それぞれの医療技術と合わせてそういったものがあるのかもしれませんが、その辺も極力統一できるものは統一しているというふうに努力されておると思いますが、その辺は、各先生方と情報交換しながら進めておられるのかどうか、その辺をお尋ねしたいと思います。
〇村田業務支援課総括課長 薬品の購入等のお尋ねでございますけれども、病院の薬品の採用につきましては、薬事委員会というものがございまして、それに基づきましていろいろな薬品の情報を集めたり、副作用等を踏まえまして医師に働きかけを行って採用しているところでございます。
 また、後発薬品につきましても、医療局本庁の私たちのほうで後発薬品の推奨品を決めまして、病院のほうに働きかけを行って廉価購入に努めているところでございます。
〇高橋元委員 わかりました。病院経営には、患者さんにはぜひとも県立病院を受診していただければ、診療報酬が上がってくるわけですが、よく待ち時間が長いとかといったことも聞こえるわけですが、そういったものについての改善は徐々にされていると思いますが、ちょっとその辺の様子をお尋ねしたいと思います。
〇及川医事企画課総括課長 待ち時間の解消につきましてですけれども、予約制を進めまして、当日の診療の待ち時間の縮減に努めております。会計につきましても、自動入金機等を整備しまして、会計の待ち時間の短縮にも努めているところでございます。
〇高橋元委員 最後に局長に、平成23年度黒字化は可能なのかどうか、可能に向けてやっているのでしょうが、決意の一端をお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
〇田村医療局長 来年度のことでございますけれども、とりあえず今年度、ちょうど半年たった状況なわけですが、今の診療収入の上期の集計をしているところでございますけれども、かなり病院では頑張っていただいているなという実感がございます。去年に比べると、かなりふえてきているということなんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、去年は赤字のベースが低い状況でございますので、ことし、少しベースを上げて、来年度、何とか黒字化にもっていくということで、先ほど御説明したように、今、鋭意取り組んでいるところでございます。
〇千葉伝委員 ただいまの高橋元委員の質疑にも重なる分がありますが、一部割愛しながらお聞きしたいと思います。
 医療局においては、田村局長初め皆様方には、県民のための県立病院等の運営を通じて医療の提供に向けて鋭意取り組んでいただいていることについては敬意を表しておきたいと思います。
 それで、先ほど高橋元委員から、今、医療局が取り組んでいる県立病院等の新しい経営計画の話がありました。これについては、昨年、地域説明会あるいは地域診療センター等懇談会を開催して、参加者からの意見あるいはパブリックコメントを実施して、計画等に反映させたものと思っております。
 その中で、特にも医師不足とか医療局の掲げているさまざまな問題、患者数の減少、あるいは経営収支の悪化といったことで、先ほどの局長のお話は、良質な医療を持続的に提供していくことのためにこの計画を立てたということであります。その中には、無床診療所化を含む中身、そしてまた、その期間が昨年の平成21年から平成25年までの5年間の計画だと承知しております。
 そういったことから、まず最初に、先ほど局長から平成21年度の状況についてお話を伺いましたが、昨年の県立病院事業の経営状況という部分で、数字等は先ほどお聞きしましたけれども、特に特徴的なものということで見える分があれば、お知らせ願いたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 平成21年度の決算と、いわゆる県立病院の新しい経営計画の数値と比較ということでのお尋ねだと存じます。
 その関係で申し上げますと、まず患者数の状況でございますが、1日平均の患者数は、目標に対しまして、入院で223人、外来で652人下回ってございます。
 一方、診療単価につきましては、目標に対しては、入院で1、013円、外来で740円上回ったということで、決算と収支計画との比較で増減が大きかった主な項目としましては、収益では、外来収益が診療単価のアップ等によって3億6、200万円ほど増となりました。入院収益が外来患者の減によって12億7、400万円の減となってございます。費用では、委託料や光熱水費といったものの経費が11億円ほどの減となったものの、材料費が3億9、600万円ほど増となってございます。こういった結果で、単年度収支では、経営計画の中では13億7、700万円ほどの赤字を見込んだ計画としてございましたけれども、7億8、500万円ほど悪化して、21億6、200万円ほどの赤字決算となったと考えてございます。
〇千葉伝委員 全体的に見れば、計画よりもさらに圧縮になったという話であります。この計画は、5年というスパンの中で昨年が初年度ということで、初年度としてはプラスにならない結果ということで、私は評価したいと思います。
 それで、先ほどの保健福祉部でも話が出ました、一番大きな県立病院としての医師の確保という部分についてお伺いしたいと思います。
 先ほどの保健福祉部では、全体的な勤務医として、例えば医大とかも入るわけでありますけれども、県立病院で、今、医師不足あるいは医師の確保に向けた取り組み状況について、一つはその確保対策をどのように取り組んでいるのか、あるいはそれぞれの病院、診療所で不足する診療科等があるわけで、そういった診療応援の状況、さらには医師がやめるということが毎年多くなるということから、常に話題になるのは、勤めている方をどうやって持続させて働いていただけるかといった、勤務環境の改善をしなければならないということの対策をとっていただいていると思います。この点について、その状況をお知らせ願います。
〇川上医師支援推進室長 最初に、県立病院の医師確保対策についてでありますけれども、全国的な勤務医不足の中、本県においては、勤務医招聘の専担組織であります医師支援推進室を設置しまして、各県立病院との連携のもと、まず、大学医局への派遣要請や初期臨床研修医の受け入れ拡大、各医師奨学資金貸付制度による地域で養成する医師の数の拡大といったことや、医師の勤務環境の改善等の各般の医師確保、定着支援対策を積極的に展開してきたところであり、このうち、即戦力医師の招聘は、これまで県立病院に31名の医師を招聘できたところであります。
 こうした取り組みの結果、本年9月1日現在の県立病院の常勤医師数は467名と、平成21年度末の常勤医師数455名と比べ12人の増となっており、減少傾向に一定の歯どめがかかりつつあるものと考えております。しかしながら、医師の地域偏在や特定診療科の医師不足、勤務医の退職・離職等、依然として県立病院の勤務医数は厳しい状況が続いておりますことから、今後におきましても、即戦力医師の招聘を含め医師確保対策に全力で取り組んでまいります。
 なお、お尋ねのございました診療応援の状況と勤務環境の改善対策につきましては医師支援推進監のほうから御答弁申し上げます。
〇千葉医師支援推進監 診療応援の状況についてでございます。本年8月末の実績でございますが、総体の件数が2、875件となっておりまして、前年同期と比較して250件、9.5%の増加となってございます。その増加要因といたしましては、前年同期と比較しまして、一つは、中央病院から沼宮内病院への応援が127件、地域診療センターから地域病院等への応援が119件、そのほか市町村診療所等への応援が44件それぞれふえていることによるものでございます。
 続きまして、医師の勤務環境の改善対策についてでございます。現在勤務している医師の負担軽減と離職防止のため、現場医師の意見を聴取しながら、処遇及び勤務環境の改善に取り組んできたところでございます。
 これまでの主な実施状況といたしまして、医師の処遇改善につきましては、院長への医師手当の増額や、沿岸部に勤務する医師の地域加算額をふやすとともに、産婦人科医を対象とした分娩手当の創設を行ってきてございます。
 また、医師の勤務環境の改善につきましては、医師の業務負担の軽減を図るため、事務的作業の補助などを行う医療クラークの導入を行いまして、平成21年度にはその定数を100人から151人に増員し、さらに、平成22年度には171人まで増員を行ってきているところでございます。さらには、県立病院におきましても女性医師の占める割合が高くなってきていることから、育児のための短時間勤務制度の導入や院内24時間保育事業の拡大、当直室の整備の推進など、女性医師の勤務環境についても改善を図ってきているところでございます。今後におきましても、現在設置しております医師の定着支援プロジェクトチームにおきまして、県立病院の現場医師から提案された意見を検討し、さらなる勤務環境の改善を進めていくこととしてございます。
〇千葉伝委員 医師確保については、一昨年よりも10名増加しているということ、そして、確保対策においては、個別の対応はもちろんですが、臨床研修制度を充実させる、あるいは奨学金の貸付制度等の対策をとっていただいているということであります。
 その計画の中にドクターバンク事業を実施ということがたしかあったと思うんですが、これについては、今どういう状況なのでしょうか。
 それと、医療局の10名ふえたということは、やめる医師が、前年度まではいろいろと勤務条件も含めてあったということで、実際に勤務しているお医者さん方から、環境が改善したとか、よくなったとか、そういった声が実際に上がっているかどうか、その辺もお知らせください。
〇川上医師支援推進室長 ただいまお尋ねのございましたドクターバンク制度の案件についてでございますが、これは、本県出身の、首都圏等で御勤務なされている、ゆかりのあるお医者様をぜひこちらのほうに引っ張ってきて、県で一括でお雇いをしまして、医師が不足している地域に派遣するということで、ドクターバンク制度を平成18年から運用を開始してございますが、19件のお問い合わせはいただいてございまして、ドクターバンクとしての雇用ではなくて、直接市町村の診療所であるとか県立病院の雇用につながったケースが結構ございますけれども、残念ながら、ドクターバンクとしての雇用まで至っているものはまだございません。ただ、ドクターバンク制度の中で、平成20年2月から、お医者様の無料の職務紹介事業をメニューの一つとして私どもで新たに導入して、ドクターバンク制度の一環として実施してございまして、こちらのほうにありましては、大分御照会をいただき、具体的に複数名の医師の招聘につながっている実績がございます。
〇千葉医師支援推進監 医師の離職の防止といいますか、医師の実際の勤務に効果という部分でのお尋ねだったと思いますが、先ほども御説明したとおり、勤務環境の改善の中では、クラークの導入が増員を重ねながら先生方の業務負担の軽減に資しているということでは、一定の効果がある程度あったのかなと感じているところでございます。
〇千葉伝委員 ドクターバンクについては、東北の県議の集まりとかでも、各県でいろいろと取り組んでいる話も出ております。岩手県では、医師確保という部分からすれば、全国に散らばっている本県の出身あるいはゆかり、いろんな方々がいると思います。せっかくの制度ということでありますので、PRも含めて、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 あとは、改善対策については、医療クラークが大変好評というか、その結果として医師が大分仕事が改善されているという理解をいたしました。
 続きまして、別な項目です。
 無床化した地域診療センターの件であります。花泉の状況は今どうなっているのでしょうか。それから、ほかの診療センター等の空きスペースがあるわけで、そういったあたりの取り組み状況をお聞きしたいと思います。常任委員会等でも話があったと思いますが、改めて昨年の状況、あるいは最近の状況をお聞きしたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 地域診療センターの空きスペースの活用に向けました取り組み状況についてでございますけれども、まず、花泉につきましては、本年4月から花泉診療所及び特別養護老人ホームシルバーライト花泉として活用されているところでございます。
 最近の状況というお尋ねでございますので、最近の状況について申し上げますと、10月14日現在では、診療所のほうは入院患者さんが12名いらっしゃると聞いてございます。シルバーライト花泉のほうにつきましては、10月14日時点で29床が満床になっていると伺ってございます。
 紫波では、今年度、紫波町が地域医療対策専門員の職員を配置いたしまして、地域医療体制の方向性につきまして、引き続きいろんな関係団体と協議をしているところでございます。
 大迫では、ことしの8月でございましたが、地元有志の皆さんが社会福祉法人を設立して、空きスペースを活用して特別養護老人ホームを運営するといったような方向性が示されたところでございます。
 住田では、住田町が地域医療対策協議会というものを昨年度から開催してございまして、この中で、空きスペースを活用して、退院後すぐの自宅療養がなかなか難しい方などが利用するような、短期の宿泊施設の設置を目指すというような方向性が示されているところでございます。
 九戸では、現在、九戸村が九戸の診療センターの空きスペースをどのような施設として活用していくかという部分について、役場の中で検討を行っているところでございます。
 医療局といたしましては、地元市町村の検討状況といったものを踏まえまして、施設の活用に向けたアドバイス、施設の活用に係る減免措置を行うなどの支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇千葉伝委員 花泉の問題は議会でも大分いろいろとお話があった中身ということでお聞きしたわけですが、最近の状況が、例えばシルバーライト花泉のほうは29床が満杯、あるいはベッドのほうも12名が入院しているということで、私の耳に地域の方から入った部分は、実は地域の皆さんの要望というのは、そういった入院をするところがしっかりと確保されて、実際に入ってきている、シルバーライト花泉のほうも活用されているということからすれば、中身でいろいろと改善すべきところとか、そういった課題もまだあるかもしれませんけれども、地域の人たちは結構喜んでいるという声が入っております。したがって、さらに県のほうの対応をお願いしたいと思います。
 前回、いろいろ問題があったのは、そこのやり方が余りにも急な話で云々ということから、私どもは、だめといった話ではなくて、もっとしっかりとしたやり方なり、継続してやるべきだという主張をしたわけでありますので、反対したわけではないことを申し上げておきます。
 続きまして、もう一つは、地域診療センターの中で、紫波町のほうから実はいろいろと相談というか、考えてはいるんだけれども、県のほうからというのか、県との懇談の場が余りないというお話が来ております。地域が診療センターを有効に活用しようというせっかくの話であれば、もっと積極的に医療局が関与する必要があるということから、ぜひ、懇談の場を早急に設置するなり相談していただければと、これは要望です。
 続いて、県立沼宮内病院についてお伺いします。
 1年延長した分については、大変感謝しております。ことしの10月上旬までに新たな経営体で取り組みができるかどうかということの一つのめどが示されていたわけで、10月上旬は過ぎたわけですけれども、それに向けて、地域─町を含めさまざまな対策を進めてきたといったことで、医師の確保を含めて、9月のぎりぎりのところで大分いい方向に行っていたものが、土壇場で医師が確保できなかったということを私は聞いております。そういったこともあるわけですが、これからの医療局としては、恐らく12月の条例化ということは新聞等には載っていますけれども、今後の対応についてどういう計画なのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 沼宮内病院の関係でございます。これまで、地元の岩手町のほうでは町長さんが先頭に立って非常に一生懸命やっていただいたと考えてございます。そういった中で、今回目標としていた10月上旬でのめどが立てられなかった、間に合わなかったというお話でございました。町では、できるだけ早期の民間移管を目指しているという姿勢は変わりないということでございましたので、その動向を見きわめつつ、平成23年4月からの沼宮内病院の診療センターへの移行に向けて、12月県議会に条例改正を提案する方向で準備を進めていくとしてございます。
〇千葉伝委員 条例化は条例化として、前にそういう話があったということで私も承知しております。しかしながら、地元では、きょう現在も医師確保に向けて鋭意取り組んでいるという状況です。したがって、12月で無床診療所化と条例が決まりました、だからそこで終わりということでは、地域の人たちも何だという話になるわけで、可能であればというか、やり方として、2月あるいは3月末まで、やはり地域のそういった取り組みの状況をぜひ御配慮いただけるようなやり方、条例の出し方もあるかもしれませんけれども、そういったあたりはどういうふうな対応をしていただけるかということで、局長にお伺いします。
〇田村医療局長 今の時点で先々の話をこうだと言うのはなかなか難しいんですけれども、我々とすれば、やはり従来からお話ししてきたとおりの12月での地域診療センター化の条例改正をしたいと。
 一方で、町とすれば、仮に、万が一、間に合わなければ、多少の空白があくことがあるかもしれないけれども、その空白期間をなるべく短くしたいんだというのが基本的な考え方ですので、そのような考え方も我々としてはやっぱりきちっと受けとめていきたいと思っていますので、今後のまさに核となるお医者さんのめどがいつごろつくのかということによって、大分、我々も対応の仕方をいろいろと考えていかなければならないのかなと思っておりますが、基本は、町のそういった意向が─これで終わったのではなくて、引き続きまだ努力し続けていますので、そのこともちゃんと踏まえながら、今後の対応を考えていきたいと思っております。
〇千葉伝委員 地域医療を確保する、守るという観点でも、今後とも、医療局には、地域に対する支援という形で、ぜひ御配慮を含めてお願いしたいと思います。
 最後に、もう一つ、先ほど、高橋元委員と全く同じ中身で、計画のめどということをお聞きしたかったんですが、いずれにしても、この5年の計画の中で黒字化ということを、もう来年を目指して今も鋭意取り組んでいただいているわけですけれども、監査のほうからも、しっかりと黒字化を目指すということに期待するという監査報告があるわけでありますので、私からも、ぜひ御努力を願いたいと思います。
〇飯澤匡委員 大きく3点についてお伺いします。
 地方財政健全化法施行に伴い、特別会計を含めた健全化判断比率が用いられることによって、そういう健全化法に従い、また、公立病院改革ガイドラインによって、かなりおせっかいな経営指標というのが用いられて、公立病院においては経常収支比率、職員給与費対医業収支比率、それから病床利用率、この点について目標設定をされている。いただいた資料によると、経常収支比率と病床利用率については、一定の全国平均より上を行っている、まあまあ頑張っているよということなんですが、職員給与費対医業収支比率は全国平均より高位で推移しています。特に時間外勤務手当、特殊勤務手当が高いということが記されておりますが、この点について、医療局内でどのような評価をされて、また、改善策として、どのような改善策を具体的にやっているか示していただきたい。
〇佐川職員課総括課長 職員給与費対医業収益比率についてのお尋ねでございます。県立病院では、新しい経営計画を定めてございますけれども、平成21年度の職員給与費対医業収益比率の数値目標が定められてございますが、60.9%でございます。これに対しまして、決算値が61.3%でございました。平成20年度の決算では63.9%でございますので、比較しますと2.6ポイント低下しているところでございます。
 時間外手当でございますけれども、平成20年度に比較して約2、300万円ほどの増加となってございます。医師を除く職員の平成21年度の時間外勤務の時間では、職員1人1カ月平均で13時間12分となってございまして、平成20年度に比べますと、12分ほどの減少となっているところでございます。病院事業の性格上、ある程度の時間外勤務はやむを得ないものと認識しているところでございますけれども、今後とも、引き続き、業務全般の改善や適切な超過勤務命令と事後の確認の徹底、時差出勤の活用などにより時間外勤務の縮減を図り、超過勤務手当の削減に努めてまいりたいと思ってございます。
 それから、特殊勤務手当についてでございます。医師以外に支給するものについては、平成21年度から病院業務手当、早出勤務手当の廃止など、給与費の適正化に向けた見直しを行い、臨時職員に支給する手当を含めまして、平成21年度においては9、500万円ほど削減したところでございます。
 他方、医師に支給する特殊勤務手当につきましては、国において、分娩を取り扱う医療機関が減少している状況にかんがみ補助金を整備したことから、分娩手当を新設するなど、前年度に比較して約4、200万円ほど増加しているところでございます。今後におきましても、適正な支給に努めてまいりたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 一律に下げろということでもないと思うんです。やはり本質を見ながら、患者本位の中で、勤務のあり方、そしてそれに見合う支給の仕方、ただいまの答弁ですと、どうも、局内の対前年比だけで比較して満足しているようなことではだめだと思うんですよ。やはり客観的に判断して、あらゆる手法を使って多角的な見地から検証しなければだめだと私は思います。
 続いて、地域病院の位置づけについてお伺いします。
 監査委員の審査意見書によれば、こういう評価をしています。医師の勤務環境の改善のために地域医療センターの無床化を進めたと。これはかなりいいほうに評価しているわけです。このロジックでいくと、では、勤務医の労働環境を改善するには無床化をどんどんやれというようにも聞こえてくるわけです。地域病院については、局内でどういう位置づけをしているのでしょうか、改めてお伺いします。
 そして、監査委員にも、どういう意味合いで、これは、ただ単に経費を削減したという点で評価しているのか、医療局全体、医師の地域偏在という意味合いも含めて、どのような観点で評価をされたのか、その意味合いを知らせていただきたい。
〇大槻経営管理課総括課長 地域病院の位置づけというお尋ねでございます。経営計画におきましては、病院の機能や規模、地域のニーズに応じまして必要な診療科を設置するなど、病院ごとにそれぞれの病院が担う医療の方向性とか特色というものを示しているところでございます。病院ごとでございますので、それぞれの病院が違うんですが、例えば両磐保健医療圏の地域病院につきましては、千厩病院は、地域の総合的な医療機関としての機能や主に高齢者を対象とした地域医療機能、大東病院は、地域におけるリハビリ機能や地域における糖尿病の専門的な治療機関としての機能を担うこととしてございます。
 私どもといたしましては、今後とも、経営計画を着実に推進する中で、地域における医師不足の解消や診療機能の充実といったものを図りながら、それぞれの地域病院において特色ある医療を提供できるように努めてまいりたいと考えてございます。
〇千田監査委員事務局長 地域診療センターの無床化の関係でございますけれども、厳しい勤務環境の中で、限られた医療資源を有効に活用していくという全体の医療機能のネットワークをしながら、適切な医療を提供していくというための一つの有効な手法ということでとらえて、このように考えているものでございます。
〇飯澤匡委員 ちょっと、監査委員ですが、この間のいろんな地域センターの無床化に至る経緯ですとか、さらっと書かれると、これが、いわゆる岩手県の地域医療に対する考え方が、その監査の観点で、単なる費用の削減だ、経費の削減だと。それで地域診療センターの無床化を評価するような書き方というのは、私は、もう少し意を尽くしてやるべきだと思いますよ。これは、後々文書として残っていくんですから。私はそのように思います。
 それから、地域病院のあり方で、ただいま、私の地元の両磐地域のことについて特に紹介をしていただきましたが、二次医療圏ごとで医療の完結ということで、この間の知事答弁の中にも、こういうことを、地域医療に対して、知事は、保健福祉部の方が書いたんでしょうけれども、圏域連携推進プランに基づき地域連携クリティカルパスの導入を進めるなど、医療機関相互の役割分担や連携を促進すると。このとおりだと思います。
 しかし、地域によって、ただいま課長からもお話があったように、さまざまな事情が異なっているわけです。特に私たち旧東磐井地区には7万人ぐらいの人口がいるのに、千厩病院と大東病院を合わせて、実質的に勤務医と常勤医と称される人は十数人です。いただいた資料だと、千厩病院は17人、大東病院は8人となっていますが、これは診療応援をしてくれる人も入っていますからね。じゃ、7万人でこれだけの人数で医療体制を完結できるのか。確かに、磐井病院に近い方々はそちらにお世話になって、また、一関市内の方々もほかの医療法人に行って、できる方もいらっしゃると思うんですが、やはり地域の事情に合わせた地域病院のありようというものをしっかりと位置づけておかないと、監査委員みたいな方々が出てきて、診療センターになったからよかったんだと。私は、そこはやっぱり保健福祉部との連携の中で、地域医療の完結という意味で、地域病院をどうするんだと、そこら辺は病院ごとの意味づけ、位置づけをしっかりしておかないと、もっと鮮明にしておかないとだめと思うんですが、局長、どうですか。
〇田村医療局長 先ほど、大槻総括課長からは全体計画の中でのそれぞれの地域病院の位置づけということでお話をさせていただきましたが、一方では、委員御指摘のとおり、さまざまな地域事情がございます。例えば高田病院でも、回復期のリハがやっぱりあの地域でちょっと不足しているというようなお話がございまして、これは計画にはのってないんですけれども、そういう現実の問題として、時々刻々いろんなことが起きてまいりますので、例えば、それにあわせまして今年度から理学作業療法士の増員を図って、少し高田の回復リハの体制を強化するというような取り組みをしてございます。
 それから、先般、千厩に行ったときには、人工透析の関係で、機械的にかなり満杯になってきているというようなことで、やっぱり医療は時々刻々動いておりますので、そういったことについては、計画は計画なんですけれども、その辺は、その時々の病院の医療事情、地域の医療事情に応じて対応していくというようなことで、それぞれの地域ごとに課題を洗い出しながら、逐次対応していくということで対応させていただいているところでございます。
〇飯澤匡委員 やはり最終的な地域医療は、どのような人的資源を有効に活用するかということが先ほど答弁にありましたが、そこの道筋をもっともっと、市民の方々の運動展開を初め、医療局だけではなくて、さまざまな形で情報発信していくということが大事だと思うんです。さっきの保健福祉部の審査でも言いましたけれども、市民レベルでは、そういう病院を何とか守っていくんだとか積極的な行動が出てきましたから、医療局自体もその活動については後押しできるような何らかのサポートをお願いしたいと思います。
 最後の3点目になりますが、医療局内のマネジメントについてお伺いします。
 ここ十数年来、医療局の組織については、私が感じるところによれば、医師確保対策は保健福祉部と連携して、その強化を図ってきました。しかし、他の部門については、社会が大きく変容する中で、特に労働市場が非常に流動化している、人の動き方も流動化しています。そして、お医者さんの意識も、地域医療をやる方、もっともっと高度医療をやりたい方、かなり分極化、分化しています。
 この間、及川幸子委員が会長の岩手県男女共同参画社会を目指す議員協議会の視察で長野県の松本市に行って、ある病院を視察してまいりました。その院長先生、また事務局の方いわく、やはりそのニーズに的確に対応した医師の確保をしている、医師の招聘をしているということです。要は、年齢と、自分がやりたい診療科、そしてまた時間、それらにきちっと適合するような形で、給与体系だとか、弾力的にやっているわけです。これは医療法人だからできるものだと思います。これを今の県立病院に当てはめるということは、まずほとんど不可能だとは思いますが、ただ、弾力的なさまざまな観点から、医師の招聘なり、そしてまた医療局の内部の経営体は時代において変化していかなければならないものだと思います。
 前段申し上げましたように、全適でやっている部分というものもありますから、なかなか身動きがとれない部分もありますが、そこの部分が、何といいますか、応用力がきかない部分も散見されるわけです。その点について、今後の医療局のマネジメントのあるべき姿について、局長はどのような所感をお持ちなのか、まずお知らせいただきたいと思いますし、今、県立病院のあり方懇談会をやっていますが、その推移についてどのような感想をお持ちか、その2点についてお伺いします。
〇田村医療局長 医師の招聘については、医療局の職員と知事部局職員である職員が融合した形で医師支援推進室なるものをつくって、いろいろと今、展開しているということで、県立病院の医師確保、あるいは市町村立の病院・診療所の医師確保の両面で対応するということでやらせていただいております。
 医療局は60年の歴史があるわけなんですけれども、委員御指摘のとおり、例えば医療局の本庁組織も、60年の組織をずっと調べてみましたけれども、ほとんど変わっておりませんでした。そういうこともあって、私とすれば、今回、業務支援課と医事企画課と分けたんですけれども、本庁は病院をサポートする組織なんだという考え方を少しきっちりと打ち出したいというような思いがあって、そういう組織改革をさせていただきました。
 それから、もう一点、非常に感じているのは、現場との接点が意外と少ないという課題がございまして、この点については、前局長の時代から病院との懇談会というものを始めて、今、私も引き継いで対応しております。ただ、それをやりつつ思ったのが、今度は、職域によっては、病院単位でやりますと、お医者さんとか看護師とか、話のメーンがどうしてもそっちになってしまいまして、病院はもっともっとたくさんの職域がございますので、臨床検査とか、薬剤とか、栄養とか、最近では臨床工学技士というのもかなりふえてきておりますので、そういった職域ごとにどういうような課題を抱えているのかというようなことも、やっぱり議論、意見交換していく必要があるということで、そういった取り組みをしつつ、私なりに、医療局全体、そして病院の職員の活性化ということで取り組んでいるところでございます。
 それから、あり方懇につきましては、保健福祉部が事務局になってやっているということで、私どもは、何というんでしょうか、その対象者といいますか、我々の医療局の組織をどうするかという議論を受けている立場ですので、今、現実に運営している立場として、話すことは話しておりますけれども、基本はやはり知事の判断、決断に属する問題ですので、私どもとすれば、今の経営の中での課題、問題点の話については積極的に情報をお出しして、きちんと議論をしていただくような体制で毎回臨ませていただいております。
〇飯澤匡委員 最後になります。
 局長はいろいろ問題意識を持ってやっているとお伺いしました。しかし、思ったような変化が、対応ができないというのも、私は、組織上のやはり問題はあると思うんです。さっきから申し上げております人的資源を有効活用するという意味においては、私自身は、もう少し大胆な機構改革を、医療局だけではなくて保健福祉部とあわせた改革をしなければ、ちょっと人の使い方が今の時代には非常にもったいないといいますか、適時にできないような格好になってきているのではないかというような感想を持っております。
 いみじくも局長から知事の判断と出ましたが、私は、この間、総括質疑で聞いても、地域医療のあり方については明確な答弁が出ていないんです、知事からは。希望的なものは持っているけれども、どうも観念的で、そして現実に対応した言葉が出てこないんです。やはり、あり方懇でも知事に対するリーダーシップを期待しているんですが、なかなか今までも、これから終盤に向かって何らかのメッセージが出るかもしれませんけれども、私の感想的には、非常にそこら辺が、これだけ危機的な状況であるのに、リーダーたるものが言葉を発しないというのは、私は非常に残念でなりません。今後、今の体制の中でできる範囲で、特に地域医療をどうしていくかということは、医療局も全力を挙げて、市民と一緒になって、県民と一緒になって創造していくという観点で、よろしくお願いしたいと思います。
〇木村幸弘委員 それでは、私からは、動議関係に絡んで、魅力ある勤務環境への改善の取り組みということで、この間、医療局が取り組んできた中身、内容から何点かお伺いしたいと思います。
 まず最初に、先ほどの千葉伝委員の質問とも重複してまいりますけれども、現場医師との意見交換会が取り組まれましたけれども、この意見交換会の中での具体的な内容といいますか、どのような意見が出され、そして実績としてこの6月から7月にという報告がありますけれども、どれだけの期間の中で意見交換会というものが積み上げられてきたのか、その具体的な内容をお示しいただきたいと思います。
 あわせて、こうした現場の意見交換会を踏まえながら、いわゆる医師の定着支援に関するプロジェクトチームが立ち上がっているわけですけれども、このプロジェクトチームでは、現場の声等も踏まえながら、当然、具体的改善策を進め、協議してきたと理解しておりますが、これらの現場から出された意見がどれだけあって、そして、その改善がどの程度の実施割合で行われてきているのかについてお伺いしたいと思います。
〇千葉医師支援推進監 現場医師との意見交換会の取り組み実績と主な意見の内容というお問い合わせでございますが、まず、昨年6月から7月にかけまして、本庁幹部や医師支援推進室の職員が19の県立病院を訪問いたしまして、県立病院に勤務する医師との意見交換を行ったところでございます。
 その主な意見の内容といたしましては、給料、諸手当や学会出席旅費などのいわゆる処遇改善に係るもののほか、業務負担の軽減、民間医療機関への診療応援などの勤務形態、服務改善に係るもの及び地域病院担い手医師育成、奨学金制度などの地域における医療体制のあり方等に係るものなどでございまして、テーマ別に三つのプロジェクトチームを立ち上げ、検討を行ってきているところでございます。
 また、そのプロジェクトチームによる具体的な改善の割合といいますか、意見に対する割合についてでございますが、意見交換会で出された意見を、医師の諸手当改善あるいは院長の処遇改善、医師の業務負担軽減あるいは女性医師支援、総合医養成など大きく21項目に整理いたしまして、検討を進めているところでございます。そのうち、平成21年度中に一定程度改善実施したものにつきましては11項目ほどございまして、代表的なものを申し上げますと、先ほど来も出ていますが、医師の諸手当改善では産婦人科医に対する分娩手当の創設、院長の処遇改善では院長に係る医師手当の増額、医師の業務負担軽減では医療クラークの増員、女性医師支援では男女別当直室の整備の推進、総合医育成では地域病院の担い手医師の方向性をまとめるなどの取り組みを行ったところでございます。
〇木村幸弘委員 そこで、具体的には勤務環境の改善ということで医療クラークの問題についてですけれども、図らずも、きのう、きょうと新聞報道などでもそれぞれ問題提起といいますか、本県の医療クラークの実態等、あるいは河北新報においては、宮城県にかかわって、どういった実態であるかということなどが触れられておったわけでありますけれども、勤務環境の改善対策として医療クラークの増員が図られてきたと。今年度もさらに増員していくということで、取り組みが進められているわけであります。きょうの新聞等でも、その配置の実態が一部報じられておりましたけれども、具体的にこの配置の状況がどのような状況になっているのか、また、配置の基準の考え方といいますか、そういった部分についてお伺いしたいと思います。
〇佐川職員課総括課長 医療クラークの配置状況でございます。平成22年10月現在で19病院に対して171名を配置してございます。
 また、クラークの配置の基準でございますけれども、常勤医師のいる診療科単位におおむね1名配置を基本としてございます。なおかつ、診療報酬における上位の加算取得―いわゆる収入の面を見るということでございます―を見込んで、それも勘案しているということでございます。各病院の配当定数として、それらを勘案しながら総合的に決めているということでございます。
〇木村幸弘委員 そうしますと、3年続けて医療クラークが増員を図られてきているわけですけれども、どれだけの医療クラークが必要なのかという部分の到達目標といいますか、いつ、どこまでこの増員が図られていくのか、あるいは先ほどの現場のいろいろ改善策の要望が出されている部分の意見反映等も当然あるのだろうと思いますけれども、その具体的な方向性というのがなかなかよくわからないんです。その点について、増員計画あるいは今後の配置の考え方、必要な人数といいますか、目標数といいますか、そういったところについてお伺いしたいと思います。
〇佐川職員課総括課長 それでは、今後の方向性でございますけれども、今回、平成23年度の定数として26名を定数増員したところでございます。全体として177名ということになりますが、これを、平成23年度の定数ではございますけれども、平成22年度に前倒しをして採用するということにしてございます。それ以降につきましては、その活用等を踏まえながら検討して決めていきたいと思ってございます。
〇木村幸弘委員 前倒しして増員を図ったというのはきょうも報じられていたのでわかるんですけれども、いわゆる現在の県立病院の体制や、あるいは先ほど常勤医師の診療科に1名配置という考え方も出されましたけれども、本当に必要なクラーク数というのがどれだけ見通しとしてあるのかというところがなかなか見えないんです。以降は、また現場の状況等も判断しながらということですけれども、そうしたところのあいまいさについて、ちょっとどうなのかなと思いますし、無論必要だということで、医師の負担軽減策に非常に大きな効果を得ているという評価も先ほどお話がありましたけれども、そういった点からいえば、本当に必要な人数をしっかりと確保していくという考えに基づいた見通しを持っておかなければならないのではないかと。当然、今後のそれぞれの病院経営を含めて、クラークの配置と医療局の全体の経営にかかわって、どういうふうな部分の人員のかかわりが出てくるのか。当然影響してくるわけですよね。きょうの新聞で、クラークを、診療報酬が拡充されたことよって、医療局としては逆に6、000万円の支出が減少するということを書かれておりましたけれども、これの仕組みをもうちょっと詳しく教えていただければと思います。
〇佐川職員課総括課長 診療報酬の仕組みでございますけれども、いわゆるベッド数に対してどの程度のクラークを配置しているか、手厚く配置しているかということが評価される、いわゆる診療報酬に評価されるという仕組みでございます。ただ、これは最上位の基準を取ったわけではございませんで、最上位を取れば、要するに持ち出しが少なくなるかいえば、そうではございませんで、今回、上位の施設基準の取得をしたということは、前回、いわゆる増員する前よりもよくなるという前提のもとに今回措置したわけでございます。最上位になりますと、また、いわゆる持ち出しが若干ふえてくるかなという思いもございます。ただ、診療報酬だけではございませんで、6月に各病院にアンケート調査を実施してございまして、そういう現場の意見も踏まえながら、今回措置したということでございます。
〇木村幸弘委員 最後になりますけれども、クラークが導入されて、いい面、評価される面がある一方で、例えばクラークのスキルアップを含めて、現場の医師との関係であるとか、その能力を向上させていく、あるいはその分野の割り振りといいますか、役割分担といいますか、いろんなところの問題点も河北新報などでは指摘されておりましたけれども、こういった現場の中でのクラークを歓迎する一方で、そのクラークをどううまく生かし、そして、より効果的に医師の負担の軽減を図っていくかという部分での取り組みなどについてはどのように考えているのかお伺いして、終わります。
〇佐川職員課総括課長 クラークの養成についてでございますけれども、一般的な教育については本庁において一括して研修を開催してございます。
 それから、クラークの施設基準にもあるわけでございますが、一定の期間、各病院でプログラムを組んで、その養成をしなさいということがございます。
 もう一つ大事なことは、診療科ごとに特質がいろいろありますものですから、それは、いわゆる先生と各診療科に張りつけて、実地に訓練をしていくというような3段構えでいかないとうまく養成できないのかなと思ってございます。
〇斉藤信委員 最初に、県立沼宮内病院の問題についてお聞きします。
 岩手町の民間移管の計画が、医師確保が間に合わず、入院できる医療機関を求めるこの願いは、今の時点では達成できませんでした。
 地域の努力を県医療局はどう受けとめているか、医療局の具体的な支援が必要ではないかと思いますが、医療局はどういう支援を行ってきたのでしょうか。県立沼宮内病院でのがん検診の取り組みはどうなっているでしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 岩手町では、一般入院ベッドの確保に向けまして、地域医療に理解のある医療法人と協議を重ねてまいりまして、19床の有床診療所と空きスペースを活用した小規模老人保健施設の併設、それから外来診療及び岩手町が行う検診体制の維持、常勤医師2名の確保というような民間移管後の医療提供体制について、町議会それから住民に対して説明をするなど、さまざまな努力をこれまでされてきていただいているものと考えてございます。
 医療局では、これまでもいろいろな意味で助言、資料提供など支援を行ってきたところでございますが、先般10月8日でございましたが、岩手町から医師確保について最大限配慮するよう要請があったところでございまして、局といたしましても、要請の趣旨をしっかりと受けとめて支援をしてまいりたいと考えてございます。
 それから、がん検診についてのお尋ねでございました。
 岩手町が行う検診事業につきましては、沼宮内病院では、これまで大腸検診─これは一次と精密がございます、それから胃検診─精密のほうでございます、それから、乳房検診の一部について対応してきたところでございます。本年度も岩手町から協力要請がございまして、検診事業にできる限り協力するよう調整を行ってきたところでございます。
 大腸検診、胃検診につきましては、中央病院などから医師の応援も受けまして、前年度と同数程度の対応を行うことといたしましたが、乳房検診につきましては、院内の診療体制が整わないということから、町と協議いたしまして、他の検診実施機関で実施することで調整を図ったところでございます。
〇斉藤信委員 医療局が出した文書の中には、必要な助言や資料提供を行ってきたと。あなた方が行った必要な助言というのはどういうものでしょうか。
 それと、がん検診の問題については、今はまだ民間移管もしていない。病院の状況ですよ。今、話を聞いたら、乳がん検診の体制は整わなかったと。あと、大腸検診もやられているとは思いますけれども、大腸内視鏡手術もできないような状況になったという話も聞いているんですね。いわば、今、県立で病院を維持している状況の中で、こうした後退というのは、私は問題ではないかと思いますが、いかがですか。
〇大槻経営管理課総括課長 これまで医療局で行ってきた資料提供、助言という部分でございますけれども、一つは、岩手町が中心としていろいろと御検討なさる際に、例えば施設の図面といいますか、どういったような施設がどういったような区割りになっていて、どれくらいの面積があるかということもわからないわけでございますので、そういった図面の提供、それから、これまでの県立の沼宮内病院での病院として運営していたときの各種諸収入、それから経費がどれくらいかかっているかといった部分について、いろいろと資料として提供させていただいたところでございます。
 それから、検診の関係でございます。大腸検診、これは一次と精密とございまして、精密につきましては内視鏡によって行うわけでございますけれども、これについては昨年と同程度の人数ということで、いろいろと中央病院等からの応援も活用しながら対応させていただきましたが、乳房検診につきましては、沼宮内町全体の受診者の2割弱の方々が、去年、沼宮内病院で受けられてございましたが、これについては、診療体制の関係で、町と協議いたしまして、他の診療機関で受けていただくということで調整を図ったところでございます。
〇斉藤信委員 県立沼宮内病院の問題については、岩手町は、私はかなり真剣に努力したんだと思います。また、民間医療機関も努力をしたと。しかし、目標の2人の常勤医師確保まで至らなかったと。ある意味でいくと、民間が移管されて、それを有床診療所で維持するというのは、それぐらい困難な課題だということだと思うんですよ。
 無床化は1年延期されましたが、しかし、この1年の期間だけではそういう体制が確保できなかったと。それだけ今、医師不足の中で、民間に移管すればそれがすぐ解決される問題ではないということを示しているのではないかと。
 そういう点では、例えば12月に無床化の条例─これは病院を廃止する条例ですよね。これは有床診療所の場合、もう病院ではなくなるのだけれども、有床診療所としては、これは、例えば年度内の見通しが立った場合には可能か、そのことをお聞きしたい。
〇大槻経営管理課総括課長 有床診療所が年度内にできるということが可能かというお尋ねでございます。
 お医者さんの確保といいますか、町の取り組みの状況にもよろうかと思いますけれども、問題は、沼宮内病院自体の改装工事というものも出てくるかと思います。そういった部分も勘案いたしまして、今の時点では、間に合う、間に合わないということは確定的には言えないんですけれども、そういった工事も含めて考えて対応してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 次に、花泉診療所の民間移管の問題についてお聞きします。
 岩手町の経過を見ても、この民間移管というものが大変困難な課題だというのは明らかだと思いますが、花泉の場合は、無床化して半年で、そして公募期間がたった26日間でやってしまったんですよ。私は、これ自身がやっぱり無謀だったのではないかと。
 そして、この4月から民間移管が強行されましたが、その前提となった、医療法人白光から事業計画が出されました。ことしの3月の予算特別委員会で一番議論になったのは、医師確保の見通しが出たのかと。民間移管が決まっても、3月になっても医師確保の見通しは示されなかった。3月25日に事業計画が出されましたが、この時点で2人の常勤医師、3人の非常勤医師を確保したと計画がありますが、これは真っ赤なうそだったのではないですか。
〇大槻経営管理課総括課長 花泉診療所の関係で、民間移管に係る賃貸借契約を締結するに当たりまして、最終的な事業計画をずっと待っていたわけでございますけれども、最終的な事業計画に示された常勤医師2名、非常勤医師3名の体制につきましては、3月25日に確認しまして、賃貸借契約を締結したところでございます。
〇斉藤信委員 だから、常勤医師2名というのは、実態はなかったと。そうじゃないですか。それを聞いているんですよ。
〇大槻経営管理課総括課長 契約の締結に当たりまして、法人側に医師の名簿と医師免許証の提出を求めまして、常勤医2名、それから非常勤医3名の体制であることを確認してございます。
〇斉藤信委員 答弁していないんですよ。常勤医師2名の氏名は明らかになったが、4月以降いなかったのではないかと僕は聞いているんですよ。常勤医師が確保されたのは7月の中旬ですよ。それまでいなかったんでしょう。事業計画に書かれて、あなた方に明記した2人の医師は、実態上いなかったということじゃないですか。これははっきり答えてください。
〇大槻経営管理課総括課長 花泉診療所の開設後のお話でございます。常勤医師が1名、それから非常勤医師6名の体制で診療が開始されたものでございますけれども、その後、常勤医師につきましては、体調不良により診療できない状況となっていたと。
 医療局といたしましても、開設以来、運営の状況を随時確認いたしまして、常勤医師の確保と入院患者の受け入れ態勢といったものの整備を繰り返し要請してまいりまして、7月に現在の常勤医師の方1名が着任したところでございます。
〇斉藤信委員 今はっきりしたのは、常勤医師2名はうそだったと。そして、診療所長の名前はありました。しかし、患者さんを一人も診ていない。診れない医者だったんですよ。違いますか。
〇大槻経営管理課総括課長 個別に患者をごらんになったかどうかということについては確認してございませんけれども、体調不良によりお休みになっていたと。何回かお出にはなっていたようですけれども、その後、体調不良によりお休みになったと聞いてございます。
〇斉藤信委員 途中で体調が崩れたのではないんですよ。実態として4月以降、一人の患者も診れなかったんですよ。私は、事業計画で2人の常勤医師を確保したとあなた方に、3月25日ですよ、そして4月スタートの時点から実態はなかった。常勤医師不在で7月中旬まで来たのですよ。だから入院患者を確保できなかったというのが事実じゃないですか。
 岩手町があんなに苦労して、誠実だから受けられなかったんですよ。しかし、医療法人白光は違った。あなた方医療局を何回もだました。9月の時点で事業計画が出て、民間移管がオーケーになったときに、実は医師確保の見通しはなかったのですよ。3月定例会のときにも、その医師確保の見通しは示されなかった。私は、これは事実の問題として極めて重大だと思いますよ。県内で最初の民間移管のケースが、こうしたうそとごまかしで行われたということは、深刻なことです。
 医療局長、私は事実について確認したい。私の言っている、そういう極めて不正常な事態で民間移管が進行したのではないですか。
〇田村医療局長 事実につきましては、先ほど大槻総括課長が申し上げたとおりでございますので、現実になかなか、今、委員御指摘のように、診療できる常勤医師が調わなかったということについては、私たちとしても当初から非常に残念なことでございましたので、再三再四にわたってそういった要請をして、有床診療所としてお貸しするのですよということで、いずれ何とか早くやっていただかなければ困るんだということで再三お願いして、何とか途中から常勤医師が来ていただいて運営が始まっていると考えております。
〇斉藤信委員 結局、この民間移管のスタートというのは、極めて不正常で異常だったと。7月中旬に常勤医師1名が配置されて、一部は改善されましたが、いまだに事業計画どおりにはなっていないのですよ。私は、事業計画の収支計画自身が、もう崩れていると思いますよ。
 もう一つは、極めて不安定な状況だということを指摘しておきたい。常勤医師が確保されても、外来患者が減っているのですよ。7月に確保されましたけれども、9月は1日31.9人ですよ。常勤医師がいなかったときは、4月が34.1人、5月は44.5人ですよ。外来患者が、離れた人たちが戻っていないのです。
 確かに入院患者が入るようになったことは、これは改善として認めますが、しかし、当直体制をとっていると言っているけれども、非常勤医師が極めて不安定ですよ。先週予定した非常勤医師は来なかったという話もしております。4月、5月で全部入れかわったとかね。本当にこのお医者さんはいつまで来るのか全く示されていないですよ。
 そして、この医療法人は、診療所長がかわったにもかかわらず理事会も開いていない。地元の人たちの声を聞く会も開くという方針があったと思いますが、理事会、地元の人たちの声を聞くこういう会は開かれているのでしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 理事会(後刻「臨時社員総会」と訂正)につきましては、診療所長、いわゆる管理者の変更に当たって理事会を開催したと伺ってございます。
 それから、確かに事業計画の中で地元の声を聞くということをやっていくということも書いていただきました。そういった部分につきましては、新しい所長さんがいらっしゃった後に、地元の医友会という医師の団体があるんですが、その医友会との懇談会を開くとか、そういった部分の動きはあるようでございますが、我々といたしましても、もう少し地元の声をいろいろと聞いていく機会というものを、機会を見つけて相手方にお話をしていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 理事会は開かれていないと思いますよ。開いたのは社員総会でしょう。理事会を設置しながら、理事会を開かないで社員総会、これは一族の会議ですよ。そういう形で、運営自身も極めて不正常ではないのかと指摘をして、極めて異常な形でこれはスタートし、今でも不安定な状態にいるという立場に立って、これは、医療局が厳しく指導し、監視すべきだと私は指摘をしておきたいと思います。
 それで、今回の決算は平成21年度の決算ですが、無床化が強行された決算でした。花泉にしても、住田にしても、大迫にしても、九戸にしても、深刻な事態がそれによって引き起こされている。このことを私は忘れてはならないと思う。
 例えば花泉でどういうことが起きているか。救急車を呼んでも、30分、1時間動かないのですよ。そして、藤沢町民病院に運ばれたとかね。これは、磐井病院のいろいろな事情があるでしょう。
 住田の場合も、特養ホームの入所者は、今は、重度だから胃ろうをやったり管をやったりして入所しているんです。しかし、そういう方々が、大船渡病院に運ばれても、結局、よほど重症でなければ帰される。肺炎になって、今度は高田病院に入院した、こういう事態になっているんですよ。
 大迫の場合でも、1時間かかる遠野病院に入院するんですよ。そのたびに、特養ホームの場合は、看護師が付き添いで行くというような事態になって、土日、休日は医師不在ですから、そういう深刻な不安もありますし、救急車で運ばれる中で亡くなったという例まであるのです。無床化の中でこうした深刻な事態が引き起こされているということを、しっかり見なくてはならない。
 県立病院は、県下にあまねく医療の均てんをというのを創業の精神にしてきました。私は、こういう創業の精神があるのだったら、無床化するときに、地域住民ともっと理解を深めてやるべきではなかったのか、共通理解を高めてやるべきではなかったのかと。改めて医療局長にお聞きします。
〇田村医療局長 県議会でもさまざまな御議論をしていただいて、ああいう形で進めたわけでございますけれども、議会でもそういった指摘を途中途中いただきながらやり、一方で、非常に医師不足の深刻な状況というものがあって、我々としても苦渋の決断としてやったわけですが、地域としっかりいろいろな面で話し合いをしながらやるというのは、全く御指摘のとおりで、やってからやるというのは、ある意味、大変失礼なお話でもあるのですけれども、できるだけその後については連携を図りながら、今、対応させていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 次に、県立病院の決算にかかわってお聞きします。
 21億6、191万円余の赤字になったのは極めて残念でありますが、赤字の主な要因は何でしょうか。診療報酬マイナスの影響、医師不足、消費税負担額等その他の経費負担増など、簡潔、具体的に示されたい。
 また、その中で7病院が黒字になりました。7病院の黒字の要因は何でしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 先ほど私から理事会と申し上げましたが、臨時社員総会の誤りでございましたので、訂正させていただきます。
 それでは、決算の関係でございます。収益につきましては、診療単価のアップによりまして、入院で33億5、000万円、それから外来で20億2、000万円、全体で53億7、000万円の増収とはなってございます。しかしながら、患者数が、入院患者で9万8、000人、外来患者で18万9、000人減少しまして、その影響額は、入院収益で32億1、000万円、外来収益で17億2、000万円、合計で49億3、000万円の減収と推計され、全体として伸び悩んだと考えてございます。
 患者減の主な要因といたしましては、医師の退職等の影響による恒常的な医師不足から、診療体制が弱体化したことによるものと考えているところでございます。
 費用につきましては、院内保育等の委託料で5億4、000万円余りの増加、中部病院の開業に伴いまして整備しました医療器械等に係る減価償却費等でございますが3億2、000万円の増加、退職手当の平準化を図るため繰り延べ勘定償却として5億2、000万円の増加などによりまして、給与費とか材料費の減があったものの、全体として5億2、000万円の減少にとどまったということだと考えてございます。
 なお、委員からお話のございました診療報酬につきましては、直近の平成20年度のマイナス改定の平成21年度への影響という部分ではマイナス0.17%、マイナス1億2、000万円余りと試算してございます。
 それから、消費税の影響についてでございますが、平成21年度における県立病院等事業の負担額が18億3、000万円となってございまして、診療報酬において加味されていると言われてございます補てん額、推計値でございますが10億3、000万円と、一般会計から地方消費税分として繰り入れしていただいております3億1、000万円余りを差し引いた4億7、000万円余りが、実質の負担額と見込まれているところでございます。
 それから、7病院が黒字になったその主な要因というお話でございました。7病院は、中央病院、胆沢病院、磐井病院、釜石病院、東和病院、高田病院、軽米病院でございますが、主な要因を申し上げますと、これらの黒字病院につきましては、いずれも病床利用率が高い水準で維持されてございまして、これが最も大きな要因ではないかと考えているところでございます。
 なお、高田病院につきましては、病床利用率につきましては大体県全体の平均と同じぐらいなんですが、医師の増によりまして診療体制が前年度よりも充実したことにより、患者数が増加していることが要因となっていると考えてございます。
〇斉藤信委員 次に、医師、看護師の年次休暇、生理休暇の取得状況を示していただきたい。
 2人夜勤、月9日夜勤の実態と解消の対策。そして、日本医労連、岩手医労連が看護師実態調査を行って、これは全国的にも、岩手県内でも大きく取り上げられましたが、この内容をどう認識しているでしょうか。
 医師とあわせて看護師の増員が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇佐川職員課総括課長 医師及び看護職員の年次休暇、生理休暇の取得状況ということでございます。
 平成21年の年次休暇の平均取得数は、医師が4.8日、それから看護職員が8.4日でございます。
 また、生理休暇でございます。医師の取得については実績がございません。看護職員については2.1日となってございます。
 また、順序不同になりますが、看護師の増員ということでございます。看護師は、各病院の業務の実態を勘案しながら配置しているところでございます。平成22年度当初3、463人ということで、前年度比較で36人増員しているところでございます。
 それから、2人夜勤についてでございます。現在、2人夜勤体制をとっている病院は全部で26病棟ございます。平成21年の32病棟と比較しますと6病棟少なくなってございます。
 看護師の勤務状況調査についてでございますけれども、全国規模としては、社団法人日本看護協会、日本医療労働組合連合会が、それぞれ実施していると聞いてございます。
 また、医療局労働組合においても、昨年7月に時間外労働等に関する実態調査が行われたと伺っているところでございます。
 対象項目など調査ごとに異なり、個別の分析等は行ってございませんけれども、業務分担の軽減を求める回答が多いということは、全調査について共通していると認識してございます。
〇斉藤信委員 今、年次休暇の取得状況を聞きました。医師の場合は4.8日と。病院ごとに調べましたら、九戸がゼロとか、東和が0.7日とか、山田が1.0日とか、軽米が1.7日と、医師の過酷な状況もここまで来るとちょっと過酷過ぎると。私は、本当に何らかの緊急の改善策が必要ではないかと思います。
 また、看護師の場合も平均が8.4日ですけれども、中央病院の場合は6.0日です。釜石6.2日、一戸6.5日と。きょうの新聞に、全国的な取得状況は48%という話がありましたけれども、これはもうそれどころじゃない。そういう意味では、医師不足の中でも、やっぱり緊急に改善すべきところはする必要があるのではないか。看護師は思い切って増員しないと、看護師の確保もこれからはできなくなる状況ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、最後にお聞きしますが、地域病院のあり方の問題でありますが、私は、これから高齢化社会を迎えて、地域病院というのは、高齢者の場合は、一つの病気だけではない、二つ、三つ持っているわけです。慢性の病気を持っているわけです。総合医の養成が必要だと。
 藤沢町民病院の院長を呼んで、この間、講演会もやったようですけれども、特に急性期ではない地域病院の場合には、思い切って総合医の養成、配置に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐川職員課総括課長 年次休暇につきましては、御存じのおり、医師につきましてはなかなかとりにくい状況であることは、そのとおりだと思います。ただ、そのほかに関しましては、年次休暇といいますのは、そもそも本人からの申し出に基づいて付与することになっておるわけでございます。業務の性格上、調整させていただくことはございますが、基本的には、御本人の申し出に沿った形で適正に処理させていただいているものと認識してございます。
 それから、看護師の増員でございます。看護師の増員につきまして、先ほど純粋にふえた部分は36人というお話をさせていただきました。ただ、平成22年4月1日以降、閉鎖した病棟も2病棟ほどございます。そうしたことによって、純増プラス、そういう閉鎖したことによる看護師の増員も含めて、いわゆる夜間看護の体制の見直し、あるいは全体の体制の強化に振り向けているところでございます。
〇千葉医師支援推進監 地域病院のあり方と総合医の養成についてでございますが、地域の入院機能や二次救急機能を担っている地域病院は、医師不足の中で、地域の特性に応じた期待される機能に十分応じ切れていないところでございますが、こうした地域病院の医師不足対策、あるいは診療体制の確保策といたしまして、初期診療の段階で患者の全身状態を診療し、必要に応じて専門医につなぐことのできる、委員御指摘の地域病院の担い手医師、いわゆる総合医を育成すべく、そのための仕組みや研修プログラムなどについて昨年度から検討してきたところでございます。
 今般、平成23年度からの育成開始に向けまして、県のホームページなどで育成医師の募集を開始したところでございます。
〇三浦陽子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇小野共委員 1点気づいたことがありましたので、指摘をしておきたいと思います。
 財務諸表の仕分けの仕方なんですが、一般会計と県立病院事業会計との関係であります。
 平成21年度の決算で、一般会計の諸支出金という項目から病院事業会計へ県立病院事業会計負担金という名目で189億円繰出金があります。結局のところ、21億円の赤字を出すために、結果として189億円投入したということになるわけですが、その189億円の使い道ですが、決算報告書を見ますと、収益的収支と資本的収支に分かれておりまして、収益的収支に135億円入っております。資本的収支に53億円入っております。
 収益的収支の決算というのは、御存じのとおり、病院の日常業務をする上での会計ですよね。患者さんから医療費をもらったり、お医者さんと看護師さんに給料を払ったりするというものの会計がその収益的収支で、資本的収支というのは、企業債を発行したり、それの償還であったり、そういったもので、繰り返しますが、資本的収支に53億円、収益的収支に135億円です。
 この135億円の中身なんですが、医業収益に30億円入っていまして、医業外収益に105億円入っています。これが、一般会計からの繰出金が医業収益に30億円、医業外収益に105億円入っています。
 会計の原則として、これは全部、医業外収益の負担金に入るべきものであるというのが私の認識なんですが、これは何で医業収益に一般会計からの繰出金が入っているのか、この理由を聞かせてください。
〇大槻経営管理課総括課長 一般会計において負担する経費の関係でございます。
 公営企業法の施行令のほうで、これがいわゆる1号経費と2号経費と分かれてございまして、1号経費というのは医業収益のほうに入れるということになっているのですが、主にどういったものを充てていくか、どういったもののために充てていくかということで、看護師の確保を図るために行う養成事業、それから救急医療の確保のための経費、それから集団健診とか医療相談等の保健衛生に関する行政として行われる事務、これらについては、いわゆる医業収益として入れるような格好で分類されているものでございます。
 それ以外のものにつきましては、負担金、交付金、これは医業外収益になっていますけれども、例えば、地方公営企業の性格上、能率的な経営を行っても、なおその経営に伴う収入のみをもって充てることが困難だというものにつきまして、例えば不採算地区の病院または診療所の運営のための経費、それから地域の医療水準向上のための高度または特殊な医療、それから病院、診療所の建設または改良という部分につきましては、2号経費という格好で医業外収益に入れるという格好で分かれてございまして、委員御指摘のとおり、平成21年度の部分では、1号経費としての医業収益のほうで30億円ほど、2号経費のほうで105億円ほどと分類されているものでございます。
〇小野共委員 それはちょっとおかしいと思うんですが。看護師養成所運営費であるとか救急医療運営費である、費用によって入るべき場所が違うというのは、それは会計の原則としておかしくないですか。県立病院に一たん入ったお金がどのように使われるかによって、入るべき場所が違うというのは変じゃないですか。
 例えば民間病院で、民間会計でこういうやり方はやっていないですよね。どうして違うのかということだと思うんですけれども。これだと、民間の総合病院とのバランスシート、そして公営企業の公立病院のバランスシートを単純に比べられないですよね。ちょっとその辺の所感を聞かせてください。
〇田村医療局長 もともと、今、大槻総括課長が申し上げた分類のルールは、国レベルでこうやれと言われているものですから、私どもは変えられません。
 ただ、今、委員御指摘のとおり、そのとおりなんです。民間と比較できないんです。同じような病院事業をやっている独立行政法人方式をやっているところとも、実は今、うまく比較できない状態になっていまして、これについては、やはり国のほうも問題意識を持っていただいて、これらについては、今、国のほうで議論をして、少しきちんと民間と比較できるような会計ルールに変えていこうということで、国レベルで今、数年後を目途に変えるという方向で議論が進められていると理解しております。
〇三浦陽子委員長 ほかに質疑がないようでありますので、医療局関係の質疑をこれで終わります。
 医療局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時47分 散 会

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