平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 請願陳情受理番号第90号沖縄・普天間飛行場の早期閉鎖・返還を求め、訓練移転の受け入れに反対する請願が不採択とされたことについて、総務常任委員長に質問いたします。
 請願では、第1に、普天間飛行場の早期閉鎖、返還を求めて国に意見書を提出することを求めています。
 沖縄の米軍普天間基地は、凄惨な地上戦が戦われたさなかに占領され、住民が捕虜収容所に収容される中で民有地が不法に強奪されて、町の真ん中に、心臓をえぐられるようにつくられた基地であります。戦争条約でもあるハーグ陸戦法規にも反する国際法違反の基地であります。本来、無条件に返還されるべきものであります。その米軍基地が戦後65年間にわたって居座っていること自身が異常なことであります。沖縄県民は、米軍基地と米兵によって暴行、殺人、戦闘機の墜落など、耐えがたい苦しみを強いられてきました。いまやその我慢と忍耐も限界を超えています。
 沖縄県の地元の新聞、琉球新報と毎日新聞による世論調査では、県民の84%が普天間基地の名護市辺野古への移設に反対しています。普天間基地の閉鎖、撤去、県内移設反対を掲げて4月25日開催された県民大会には、知事と41市町村のすべての市町村長が代理を含めて参加し、9万人の大会となりました。普天間基地の閉鎖、撤去、県内移設に反対する県民の総意は明らかではないでしょうか。沖縄県の6月県議会では、仲井眞知事は、県内移設は不可能に近い、拒否の選択肢もある、ほとんどノーに近いと明言しています。
 総務委員会の審査では、こうした沖縄県民の総意、後戻りできない怒りと痛みについて、どのように審議されたのでしょうか。
 岩手県は、平成5年の大冷害のときに、沖縄県と石垣島にかけはしの種もみを送り、増殖して翌年の種まきに間に合わせるという前代未聞の大計画を実行した経緯があります。これ以来、岩手県と沖縄県の交流が強化されました。かけはしの名前も、この交流がきっかけとなった名前であります。岩手県民こそ、岩手県議会こそ、沖縄県民の怒りと痛み、声を我がものとして対応すべきではないでしょうか。こうした議論は行われたのでしょうか。普天間飛行場の早期閉鎖、返還を国に求める請願項目が否決とされた具体的な理由は何でしょうか。
 第2に、請願では、日米合意に基づいて沖縄米軍の訓練を全国に分散移転させようとしていることについて、岩手県として拒否するように求めています。危険な米軍の訓練を全国に分散移転することは、全国を沖縄化させるものであり、自公政権時代以上に許されない中身であります。実際、沖縄の嘉手納基地の訓練が全国に分散移転されましたが、嘉手納基地の米軍の訓練は、縮小するどころか海外からの部隊が飛来し、拡大しているのが実態です。
 日本共産党は、5月25日に、県知事あてに、沖縄米軍の訓練移転について岩手県として受け入れるべきではないと申し入れを行いました。その場で対応した宮舘副知事は、訓練移転について受け入れを考えていないと答えましたが、請願審査で県はどのように答えたのでしょうか。米軍の訓練移転について、県が受け入れを考えていない、想定していないというなら、この請願は採択されるべきではないでしょうか。沖縄の米軍の危険な訓練の実態と、訓練移転でも変わらない米軍基地の実態についてどう審議されたのでしょうか。この請願項目が否決となった具体的な理由は何でしょうか。
 以上でありますが、答弁によって再質問いたします。
〇総務委員長(関根敏伸君) 斉藤信議員のただいまの質疑にお答えいたします。
 本請願につきましては、請願事項が2項目ございますが、請願全体に関しまして、当該請願に係る問題は、外交、安全保障という国レベルの問題であり、政権交代後、その解決に向け議論をし、努力をしている最中であり、県議会としてこの時点でみずからの姿勢を示すのはふさわしくない、いずれも外交問題であり、これまでの関係などさまざまあり、また、現政権が迷走した経緯もあるなど、あくまでも国政において議論されるべきものであり、県議会の議論にはなじまない、世界一危険と言われる普天間飛行場の返還については早期解決を望むものの、項目2の訓練移転受け入れと項目1の早期返還及び基地問題は表裏一体であり、分離して県議会として判断することは困難であること等の意見が出され、これに対し、沖縄県に大きな負担を強いている当該請願に係る問題は負担軽減の突破口の一つとして、また、日米地位協定の根本的な見直しを含め国外移設を含めた対応が必要であり、また、花巻空港を利用した米軍の訓練受け入れについて問題があると考えることから採択すべきとの意見が出されたものでありますが、委員会においては、起立採決により、起立少数で不採択とされたものであります。
 なお、当該請願の審査に当たりましては、本県の基本的な立場についての質疑が行われ、執行部からは、知事としては、基本的に沖縄の負担については理解をするものであるが、基地移転については、国政、国全体の問題として議論を深めていただきたい、また、これまで、本県への移転については想定していない等の答弁がなされたものであります。
 以上であります。
〇38番(斉藤信君) 沖縄の普天間基地の移設問題というのは、昨年の総選挙でも、民主党自身が、国外に移設すると、最低でも県外だと国民に約束した問題であります。それができなかったからといって、この公約が変わるものではありません。解決されるものでもありません。何よりも、米軍は、アメリカ政府は、地域住民の反対するところには米軍を置かない、つくらないというのを基本にしています。沖縄県民が圧倒的に反対している、沖縄県議会が超党派で決議を上げている。私は、これだけ沖縄県民が反対しているところに、新たに米軍基地を押しつけるなどということは、日米関係においてもあってはならない。アメリカ政府の言明から言っても、私は許されないことだと思います。決して、これは安全保障の問題だから政府にゆだねるという問題ではありません。民主党は地域主権を掲げているじゃないですか。地域住民の命と安全にかかわる問題は、地域から声を上げるというのが地域主権の考え方じゃないでしょうか。
 もう一つ。実は普天間基地、米軍基地というのは、私も先ほど指摘をしたように、国際法に違反してつくられた基地です。戦争法規であるハーグ陸戦法規は、戦争によって民間の土地を奪ってはならない、財産を奪ってはならないとなっています。地上戦のさなかに占領してつくったこの米軍基地は、戦争が終わったら返還されるべきものであります。65年間居座り続けること自身が、国際法違反そのものじゃないでしょうか。これは、安全保障の問題だと言って棚上げされるべき問題ではないと思いますが、国際法規の観点から言っても、無条件撤去を求めるべきではないでしょうか。
 請願項目の第2項目について、これは臨時の全国知事会まで開かれました。いわば地方に投げかけられた問題であります。
 そもそも、危険な米軍の訓練を全国に分散移転するということ自身、私は間違っていると思うけれども、しかし、鳩山前政権のもとで、これは全国に、地方に投げかけられた問題なんです。だとするなら、岩手県は受け入れない、想定していない、こう言っているわけですから、県議会としてもそれを尊重して受け入れる余地をつくってはならないと私は思いますけれども、県当局自身が想定していない、考えていないというのに、なぜこの請願は採択されなかったのか。地方に投げかけられた、地域主権が問われるまさに請願項目ではなかったでしょうか。
 沖縄県民の痛みというのは、筆舌に尽くせないものであります。この間、小学校にジェット戦闘機が墜落をする、大学に戦闘ヘリコプターが墜落をする、また、少女が暴行される、そのことによって奪われた命が1、200名を超えるのであります。私は、こうした沖縄県民の痛みや怒り、あの平成5年の大冷害のときに大変世話になった岩手県だからこそ、県議会だからこそ、これにこたえてこの請願は採択されるべきではなかったか、改めてお聞きをいたします。
〇総務委員長(関根敏伸君) 斉藤信議員のただいまの2度目の質疑にお答えをいたします。
 先ほどの答えの繰り返しになり恐縮でございますが、委員会の質疑の状況、委員会の意見交換の状況について再度申し上げます。
 当請願に係る問題は外交安全保障という国レベルの問題であり、政権交代後、この解決に向け議論をし努力をしている最中であり、県議会としてこの時点でみずからの姿勢を示すのはふさわしくない、あくまでも国政において議論されるべきものであり、県議会の議論にはなじまない、普天間飛行場の返還については早期解決を望むものの、項目2の訓練移転受け入れと項目1の早期返還及び基地問題は表裏一体であり、分離して県議会として判断することは困難である等々、この請願に対し反対する意見が多数を占めました。これらの状況を踏まえ、委員会において起立採決を行った結果、起立少数で不採択とされたものでありますので、御了承願います。
〇議長(佐々木一榮君) これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。討論の通告がありますので、発言を許します。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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