平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

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〇5番(高橋元君) 民主党の高橋元であります。
 先輩、同僚諸兄の御配慮をいただき、任期最後の一般質問に登壇させていただきました。県議会議員として1期目、県政課題への思いはたくさんありますが、限られた時間でありますので、かいつまんで10項目に絞り、御質問いたします。
 なお、今定例会9人目、最後の登壇でありまして、オーバーラップする項目、内容が幾つかありますが、さらに踏み込んだ御回答を期待するものであります。よろしくお願いいたします。
 質問の第1は、知事の思い描く地域戦略及び海外戦略について3点伺います。
 初めに、北東北及び北海道との連携について伺います。
 岩手、青森、秋田の3県からなる北東北は互いに隣接し、自然や歴史、文化、農林水産業主体の産業構造など多くの共通する地域特性を有しており、共通する政策課題に取り組むため平成9年度から知事サミットを開催し、合意事項を中心に連携事業を実施してまいりました。また、元気のある地域づくりを進めるため平成11年10月に北東北広域連携構想が策定され、その後、平成17年には、社会、経済情勢の変化を踏まえ、北東北の抱える地域資源と課題を明らかにし、目指すべき将来像を掲げた北東北のグランドデザインが示されました。
 現在、知事サミットは、平成13年から北海道も参加し、北海道・北東北サミットと拡大して、昨年は本県で開催されております。北東北広域連携構想策定から11年目、北東北のグランドデザイン策定から5年目となりますが、近年の各県知事の交代や国内外の政治、経済情勢の変化を踏まえ、今後どのような分野で連携を深め、どのような連携事業を展開していこうと考えているのか、知事の構想を伺います。
 第2点目、自動車関連産業の東北拠点化と岩手の役割等について伺います。
 トヨタ系自動車生産2工場、すなわち操業中の関東自動車工業岩手工場と、来年早々に宮城県で操業開始するセントラル自動車本社工場を核とする自動車関連産業の東北拠点化が急速に進んでおります。東北拠点化に対応して、本県においては産学官で組織するいわて自動車関連産業集積促進協議会が組織され、東北6県においても産学官で組織するとうほく自動車産業集積連携会議が組織されており、いずれも達増知事が代表幹事をされております。この東北拠点化における岩手の役割と東北における連携の概要、成果をどのように見ておられるのか、今後においてどう活用していくお考えかお伺いいたします。
 第3点目は、海外戦略について伺います。
 現在開催されている中国・上海万博に、本県と上海市の茶販売業者大可堂、雲南省プーアル市の3者が、プーアル茶と茶具南部鉄瓶を共同出展したことは、日本、中国両国の中央政府に頼らない形で実現したこともあわせ、国内外からも注目を受け、大変大きな評価がなされており、トップセールスを実行した達増知事の手腕、外交力に敬意を表するものであります。
 本県の伝統工芸と言われる南部鉄器やたんす、漆工芸品などは、生活様式の変化や低価格の中国品、欧米のブランド品等に押され、国内需要は減少傾向と聞いております。打開策として海外進出が挙げられておりますが、海外への進出は、足場をつくり、市場ニーズをどうとらえ商品開発するかという地道な取り組みが必要であり、5年先、10年先を見据えたしっかりとした戦略のもとに進めるべきと思われるところであります。
 このほど、盛岡市の十割そばも本年度から韓国を皮切りに世界進出に乗り出すとし、現地法人と提携して多店舗展開をするとのことであります。県内の企業独自の取り組みは限界があり、海外現地法人との提携や共同出資事業所の立ち上げ、卸問屋の海外展開など多彩な取り組みが望まれます。そこに達増知事のトップセールスが有効に作用するものと思います。知事の描く海外戦略はいかにあるのかお伺いいたします。
 質問の第2、未利用公有施設の活用について2点伺います。
 第1点目は、県における未利用公有施設について伺います。人口減少や組織の改編、事業や学校の統廃合などにより、利用されず現存する公有施設は県内にどの程度あるのか、まずその実態を伺います。
 公有施設は市街地や町の中心地に建設されていることが多く、再利用に県民の期待も寄せられております。大規模な補修をせずに再利用が可能な施設はどの程度あり、活用の方向性はどの程度検討されているのか、また、利用不可能な施設の取り壊しをどう検討しているのか伺いたい。
 第2点目は、旧北上病院及び旧花巻厚生病院の跡地活用について伺うものであります。
 旧県立北上病院及び旧県立花巻厚生病院が統合により閉鎖されて1年が経過しました。しかし、旧病棟は閉鎖時の状態で現存しており、市街地景観上や廃墟内事故の心配もされております。両施設の跡地活用をどのように検討しておられるのか。まだ具体的な活用策が決定しておらなければ、早急に建屋を取り壊し、次の活用策が定まるまでイベント会場や無料駐車場として開放してはどうかと思うところでありますが、そのような考えはないのか伺います。
 質問の第3、がん対策について伺います。
 質問に先立ち、闘病記、がけっぷちナース─がんとともに生きるなどを通じ、多くのがん患者の皆さんを励まされた盛岡市立病院勤務の高橋梨香さん─旧姓山内梨香さん─でありますが、今月の1日、肝不全のため永眠されました。梨香さんは、乳がんと闘いながら看護師の仕事を続けられ、昨年の11月には高橋さんと結婚し、幸せいっぱいの新婚生活をスタートさせたばかりでしたが、36歳という余りにも若い年齢で旅立たれました。闘病記出版や講演など梨香さんの活動で乳がん検診の必要性を広く知っていただきましたし、つらい闘病生活を強いられている多くの患者の皆さんに、希望を持って生き抜くというすばらしいメッセージをたくさん発信していただきました。ここに御生前の活動に敬意と感謝を申し上げ、心から御冥福をお祈り申し上げます。
 梨香さんの活動を無にしないためにも、改めてがんの根絶に向けて、行政、医療関係者、そしてすべての県民が、がんとは何か、なぜがんが発病するのか、なぜがんを防げないのか、なぜがんで命を落とすのかをそれぞれの立場で考え、行動していかなければならないと強く思ったところであります。
 一般質問4度目、今回もがん対策を取り上げさせていただきました。本県のがん対策は、岩手県がん対策推進計画に基づいて取り組まれているところでありますが、本年の3月に、たばこ対策、がん検診対策、がん医療の均てん化を中心とした推進計画のバージョンアップが示されました。
 以下、2点伺います。
 初めに、がん医療の充実について伺います。
 県内におけるがん治療認定医等の状況についてでありますが、県内における日本がん治療認定医機構のがん治療認定医、同歯科口腔外科認定医及び日本看護協会のがん化学療法看護師、がん放射線看護師、乳がん看護師、がん性疼痛看護師、緩和ケア分野の認定看護師の状況をお示しください。
 次に、県立病院におけるがん治療認定医等の状況についてでありますが、がん治療認定医、がん治療歯科口腔外科認定医、がん治療認定看護師の在任状況、今後における養成、配置計画をお示しください。
 2点目は、がん検診受診率の向上対策について伺います。
 初めに、がん検診受診率の低迷の要因と対策について伺います。
 平成24年がん検診受診率50%を目標に掲げて、各市町村にその取り組みをゆだねておりますが、本年4月に平成20年度におけるがん検診受診率が公表となりました。同年に新しく始まった特定検診、いわゆるメタボ検診実施に伴う混乱で、がん検診受診率が低下したとも言われております。本県の受診率は全国平均を上回るものの、子宮がん、乳がん検診で受診率が多少改善された程度で、胃がん、肺がん、大腸がんは減少しております。なかなか受診率が向上しませんが、どこにどのような問題があり向上しないのか、その要因と対策をお示しください。
 次に、県内企業の取り組みについて伺います。
 がん検診受診率の向上対策は、企業におけるがん検診の受診率向上がポイントとも言われております。厚生労働省が委託実施するがん検診企業アクションに参加する推進パートナー企業は、事務局から情報提供などを受け普及活動に取り組むほか、社員の定期検診とがん検診を同時に実施し、受診率の向上へつなげている企業も出てきております。県内において参加している推進パートナー企業はないのか、また、企業への働きかけについてどのようになっているのかお伺いいたします。
 質問の第4、自動車産業の振興について伺います。
 宮城県大和流通・工業団地に立地したトヨタ自動車グループのパナソニックEVエナジー宮城工場は、本年1月に車載用電池を初出荷したと聞いております。その工場の外観だけではありましたが、先月の商工文教委員会県外調査で見てまいりました。トヨタの東北ビジョン、ハイブリッドを含めた小型車の一大生産、輸出拠点化の一つの布石との見方が有力視されているようであります。
 そのような中、関東自動車工業岩手工場でコンパクト車の新型ハイブリッド車が生産される見通しとなったとの報道がありました。達増知事が代表幹事を務めるいわて自動車関連産業集積促進協議会は、5月中旬の総会で、2010年度事業計画の柱に、次世代ハイブリッド車に対応する戦略を強化するとの方針を決定し、8月にはハイブリッド車の分解部品展示を始めるとともに大手メーカー技術者による研修会を開催し、県内企業の参入を支援するとしており、時宜を得た方針に感銘しております。
 国内での自動車生産は、今後10年以内にハイブリッド車や電気自動車への切りかえになるとの予測もあり、現業を進めるとともに次世代自動車への対応を準備しなければならず、まさに産学官が力を合わせて取り組まなければならないと思うところであります。本県におけるHV車等次世代自動車生産体制への対応について、県内自動車関連企業の取り組みはどのようになっているのか、今後の県内自動車関連企業への対応についてお伺いいたします。
 質問の第5、企業誘致の取り組みについて2点伺います。
 初めに、企業誘致戦略について伺います。
 先ほども触れましたが、5月中旬に商工文教委員会の県外調査で宮城県庁を訪問し、企業誘致の取り組みの現状を調査するとともに、セントラル自動車が立地している広大な第一、第二仙台北部工業団地を現地調査いたしました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 担当者の説明によると、企業誘致の取り組みは岩手の指導を仰ぎ行っているとのことでしたが、当県にない取り組みとして、愛知県トヨタ関連工場に県職員を派遣し、業務の研修と人材ネットワークづくりを行っているほか、名古屋産業立地センターを設置して、トヨタ関連企業の定年退職者を雇用し、企業訪問を連日行い、結果として多くの部材企業の宮城県誘致を実現しているとのことでありました。本県を初め東北各県が企業誘致に苦戦している中、宮城県だけは高い水準を維持しており、宮城県にかなりおくれをとっている思いでありました。仙台北部工業団地にはトヨタ紡織も工場を建設中であり、隣接する工業団地に立地されたハイブリッド車用の電池工場は、現在稼動中の工場の5倍の敷地が取得されているとのことでありました。また、工業団地内に(仮称)大衡インターチェンジの建設、宮城港の自動車ストックヤード・モータープール拡張など壮大なプロジェクトも進められており、地の利に加え企業誘致戦略がすぐれており、これでは本県へのトヨタ系企業の誘致は厳しいものがあると感じたところであります。
 このような宮城県の企業誘致戦略をどう評価しているのか。東北へ工場移転を検討している企業の誘致を進めるため、企業誘致戦略を全面見直しして、新たな戦略のもと誘致活動に取り組むべきと考えますが、どうでしょうか。福島県や山形県でも企業誘致に熱心に取り組んでおりますが、東北各県の誘致戦略をどうとらえておられるのか、各県の特色、強みは何か伺います。
 次に、医療機器産業について伺います。
 自動車、半導体に続く本県のものづくり産業の第3の柱として医療機器産業を育てるとしております。今月の17日にいわて医療機器事業化研究会が開催され、3月に策定した医療機器関連産業創出戦略が説明されたとの報道がありました。私自身も、第3の柱として医療機器産業の誘致や起業に大きな期待を寄せているものでありますが、2月23日に北上市で行われた医薬品・医療機器関連産業集積セミナーの講師の話や、日経新聞で現在特集を組んでいるニッポンの医療機器成長産業への壁という記事を読み、容易でない産業分野であると思ったところであります。
 セミナーと新聞特集では、我が国の医療機器、器具の市場は2兆円とのことで、内需型の成長産業として期待は大きいものがあるが、得意とするものづくり技術を生かし切れておらず、海外輸入が95%程度ということであり、国内メーカーのシェアはわずか5%にすぎないとのことであります。国内品が伸びない理由として、医療機器の実用化には技術開発から臨床試験まで長い時間がかかるとのことであり、すぐれた製品が開発されても、企業は医療事故を恐れ製品化をためらっていることや、患者に合わせて個別に改良品をつくるなど、膨大なコストがかかるのも企業の重荷になると言われております。医療機器関連産業の誘致には、地域として開発面での産学官連携や医療、工業連携、大学、公的機関の支援、専門知識を有する人材の育成、確保などが必要との指摘もあります。本県の医療機器関連産業の振興についてどのように進めるお考えか、また、戦略に掲げる2014年までの5年間で、県内企業の医療機器関連産業参入20社は実現可能かどうかお伺いいたします。
 質問の第6、北上コンピュータ・アカデミーの運営継続について伺います。
 昨年末に廃止方針が示された独立行政法人雇用・能力開発機構設置の情報処理技能者養成施設、北上コンピュータ・アカデミーについて、国の廃止方針は覆る可能性はなく、間もなく譲渡金額が示されるものと思いますが、譲渡金額等にかかわらず廃止は動かしがたいものとして、今後の同施設の方向性について県の検討内容をお伺いいたします。
 同施設を運営する職業訓練法人北上情報処理学園は、来春の学生募集に取り組めない状況とのことで、早急の結論を求めたい。以前にも申し上げましたが、私案として、産業技術短期大学校の分校舎として一体化した運営が望ましいと思うところでありますが、御所見をお伺いいたします。
 質問の第7、道路網の整備について4点伺います。
 初めに、県道1号線の整備について伺います。
 盛岡及び県北と秋田県南部及び山形方面への物流路、観光路として、また西和賀町からは盛岡への通勤、医療機関への通院等、生活道として県道1号線は活用されております。雫石町側はかなり改良が進められ、道路も広く、歩道の設置もほぼ整備が進んでおりますが、山伏トンネル以南の西和賀町内におきまして、狭隘な箇所やカーブが連続する箇所、歩道の未設置区間もかなりの距離が残されております。大型の輸送トラックも頻繁に往来し、乗用車もスピードを増して通行するなど、地域住民の方々は交通事故の心配をしながら生活をしているのが現状であります。特にも、泉沢地区の急カーブの解消と歩道の設置、大野地区及び湯ノ沢から巻渕への歩道の設置が急務であり、毎年改良の要望が出されておりますが、要望区間は今後どのように整備していく考えかお伺いいたします。
 2点目、主要地方道花巻大曲線花巻‐西和賀間の整備について伺います。
 同路線は、花巻市から秋田県大仙市までを結ぶ主要地方道花巻大曲線のうち花巻市‐西和賀町間は通称銀河なめとこラインと呼ばれ、生活道路、産業道路として活用されており、難所と言われているところを優先にトンネル化も進められております。積雪の多い地区の道路であり、冬期間は閉鎖され、また、豊沢ダム堤体を通行することから道幅が狭く、堤体前後の接続部分がほぼ直角になっていることもあり、大型車の通行、特に西和賀町で力を入れている観光振興に大型バスの往来ができないなどの問題があり、通年往来ができるよう、さらなるトンネル化工事とダム付近の道路改良について、毎年、両市町民、行政の代表による陳情が行われております。早急な対応が望まれているところでありますが、どのような考えをお持ちかお伺いいたします。
 3点目、国道4号の渋滞緩和について伺います。
 国による直轄事業として国道4号の4車線化工事が進められておりますが、ドライバーらを対象にした県内の交通渋滞アンケートによると、県南エリアの渋滞箇所ワースト3を胆江地区の3交差点が占め、そのうち1位、2位が金ケ崎町内で、工業団地入り口と大型ショッピングセンター出入り口が至近距離にある二つの交差点と指摘されました。この地域では、渋滞を避けるためわき道に車が流れ込み、通学児童が危険にさらされ、また、わき道から4号になかなか合流できないなど、通勤に不便を来しているとのことであります。特に冬期間で高速道が通行どめとなった際に、深夜まで渋滞が続くということであり、早急な改良が求められております。今月の19日、金ケ崎町において国道4号の拡幅整備を求める決起集会が持たれたところであります。県において、この状況をどのように把握し、国にどのように改善を求めてきたのか、国土交通省との協議はどのようになっているのかお伺いいたします。
 4点目、二輪車通行帯の整備について2点お伺いいたします。
 初めに、市街地における自転車の通行帯設置について伺います。
 盛岡市において、いわゆる自転車条例を制定し、条例をもとに国の補助事業を活用して3カ所にブルーの自転車レーンを設け、自転車通行のルール化と安全性の確保を進めております。このような盛岡市の取り組みを、県内全域の市街地や中高生通学路を中心とするエリアに拡大すべきと思うところでありますが、県として自転車の通行帯設置についてどのような考えを持たれているのかお伺いします。
 質問の第8、河川の環境保全について2点伺います。
 初めに、河川に繁茂する立木の状況について伺います。
 本県には、大河北上川が県内陸部南北を貫いて流れ、たくさんの支流、中小河川が存在する水と緑の自然豊かな郷土であります。やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくにと、柳青める北上川は歌人石川啄木の歌に登場しますが、その柳も繁茂し放題であり、川の岸辺にある立ち木も根元を洗い流されればそのまま川を漂流し、やがて漂着したところをせきとめ、洪水を発生しかねない状況であります。県内の主要な河川区域において、河川内における立木の状況をどう調査し、その対応をどうとっているのかお伺いいたします。
 次に、地域住民が行う環境保全活動への支援について伺います。
 各地域の自治会や町内会が、地域の環境整備の中で、河川区域内の立木の伐採や雑草の刈り払い、不法投棄物の回収などの活動を行っております。このような活動を奨励し、支援するため、何らかの助成事業が必要と思うところでありますが、そのような対応は考えているのか伺います。
 質問の第9、就学時健康診断について伺います。
 小学校の入学式に参列し驚いたことは、眼鏡をかけた児童が多かったことであります。この傾向は全国的なものと先日知りました。就学前には健康診断がなされ、視力検査を実施するよう定められているとのこと……、原稿がちょっと飛んでおりまして、失礼をいたしております。
 犯罪防止対策でありますが、暴力団のさまざまな活動が懸念をされております。この暴力団の取り組みについての現状をお伺いいたします。
 時間がないので割愛させていただきます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、北東北及び北海道との連携についてでありますが、これまで、気候、風土、地理的条件が似通っており、共通する政策課題も多い北東北3県に北海道を含めた4道県が、観光振興や文化、環境などの分野において連携した取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、北東北3県共通の産業廃棄物税条例等の制定や、地方債の共同発行、縄文遺跡群の世界遺産暫定一覧表への登載など、数々の成果を上げてきたところであります。このほか、昨年の知事サミットで採択された北海道・北東北食料・木材供給基地行動宣言に基づき、食料経済振興地域(仮称)制度の検討などを進めております。
 今後とも、社会経済情勢の変化を踏まえることはもとより、広域連携による取り組みの検証を行いながら、各道県と意向をすり合わせつつ、産業振興や人材育成など、地域全体の発展につながるさまざまな分野での連携に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、自動車関連産業の東北拠点化と岩手の役割等についてでありますが、自動車関連産業はすそ野が広く、拠点化を進めるためには、各県の強みを生かしながら、東北が一体となって戦略的に取り組んでいく必要がありますことから、とうほく自動車産業集積連携会議を設立し、東北の産学官が一体となって取り組んできたところであり、岩手県知事が代表幹事として、その推進に努めてきたところであります。
 同会議においては、東北6県の知事が一堂に会しトップセールスを行うとともに、東北の技術力をPRする技術展示商談会を実施するほか、今年度は新たなビジョンを策定し、東北が、コンパクトカーに加えハイブリッドカーなどのマザー工場を目指すこととしたところであります。こうした取り組みの結果、トヨタが東北を国内生産の第3の拠点に位置づけ、今般、セントラル自動車が進出し、関東自動車工業岩手工場とあわせ、東北で約50万台の完成車生産体制が現実のものとなってきております。さらに、関東自動車工業が開発センターを開設するなど、東北における自動車関連産業の集積が確実に進展していると認識しております。
 今後は、東北の拠点化が一層高まるよう、新たなビジョンに掲げる戦略に取り組みながら、国際競争力の高い本県のものづくり産業の集積も図ってまいりたいと思います。
 次に、海外戦略についてでありますが、中国を初めとする東アジア圏、さらには、世界の経済は情勢変化が激しく、先行きを正確に見通すことは困難でありますが、海外事務所などを通じ、適時適切に現地の情報を把握し、しっかりとした分析を行っていくことが必要であると考えております。
 今回の南部鉄器の中国向け輸出や、上海万博への出展などの一連の成果については、人と人とのつながりが契機となったものであり、知事自身が行うトップセールスの重要性も改めて認識したところであります。
 今後、本県の海外ビジネスの展開に当たりましては、不断の情報の収集と分析を的確に行い、好機を逸することなく機敏に対応するとともに、人的信頼関係を強固なものとしながら、幅広いネットワークを継続的に構築していくことが肝要と考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 未利用公有施設の活用についてでございますが、現在未利用となっております県有施設は、知事部局、教育委員会、医療局など県全体で52カ所となっており、そのうち、大規模な改修を必要とせず使用可能な施設は23カ所と把握しているところでございます。県で活用計画がないこれら施設につきましては、市町村等に対しましても情報提供や働きかけを行っているところでございまして、これまで旧二戸地区合同庁舎や旧県立大原商業高等学校校舎などが地域において活用いただいているところでございます。
 引き続き、地域における既存の資産の有効活用が進むよう、努めてまいりたいと考えております。
 また、利用が不可能な施設の取り壊しにつきましては、跡地利用、処分の見通し、さらには、財源確保の状況などを踏まえまして対応してまいりたいと考えております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) まず、旧北上病院、花巻厚生病院の跡地利用についてでございます。
 北上市及び花巻市からは、建物の早期解体等について要望を受けているところでありますが、これらの建物については、平成21年度末での建物の残存価格が合計で16億1、600万円余、起債残高が14億3、700万円余となっております。また、建物の解体費用についても概算で5億2、000万円余と見込まれるところであり、経営に与える影響が大きく、早急に建物を解体することは困難な状況にございます。しかしながら、利用されていない病院建物については、市街地の景観上の問題や事故の懸念があることは議員御指摘のとおりであり、今年度、旧磐井病院跡地について、国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用して建物を解体することとしており、今後とも経営状況を勘案しながら、跡地利用の見通しも含め、地元市と協議の上、検討していきたいと考えております。
 次に、県立病院におけるがん医療を専門領域とする医師等の配置状況についてでありますが、現在、がん治療認定医は、県立中央病院の11名など9病院で33名、認定看護師については、緩和ケアで3病院、がん化学療法看護で1病院、がん性疼痛看護で2病院、乳がん看護で1病院にそれぞれ1名ずつの、合計7名を配置しております。
 次に、今後のがん治療認定医等の養成、配置についてでありますが、医師の養成については、岩手県がん診療連携拠点病院である岩手医科大学や北東北の他大学とも連携しながら進めているところであり、看護師につきましては、医療局独自で認定資格取得に必要な専門教育課程への派遣を行っているところであります。
 今後とも、地域がん診療連携拠点病院の指定を受けている8カ所の県立病院及び同拠点病院の指定を目指している釜石病院を中心に、これらがん治療認定医やがん関係専門分野の認定看護師の配置を進めていく考えであります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、日本がん治療認定医機構のがん治療認定医等の状況についてでありますが、当該機構の公表資料によりますと、岩手県内のがん治療認定医は109人となっておりまして、岩手県がん対策推進計画で掲げました平成24年度に50人という目標に到達しておるところでございまして、まずは着実に認定医の増加が進んでいると考えているところでございます。しかしながら、歯科口腔外科認定医につきましては全国的にもまだ少なく、本県にはまだいないところであります。
 次に、認定看護師の状況についてでありますが、日本看護協会の公表資料によりますと、認定看護分野19分野すべてでの岩手県内の認定看護師登録者は48人となっており、そのうち、がん化学療法看護分野は4人、乳がん看護分野2人、がん性疼痛看護分野は3人、緩和ケア分野は5人となっているところでございますが、がん放射線看護分野につきましては、昨年度新たに開設された分野でありますため、現時点では全国及び県ともに登録者はいない状況となっております。
 次に、がん検診受診率の低迷の要因と対策についてでありますが、まず、受診率が向上しない要因については、がん検診によるがんの早期発見の重要性が県民にいまだ十分に理解されていないこと、特定健康診査とがん検診をそれぞれ受診しなくてはならないことから住民が負担感を有していること、さらには、市町村の間で住民への受診の働きかけに温度差があることなどが考えられるところであります。このため、がん検診の受診を呼びかけるテレビコマーシャルの放映や民間団体等とのピンクリボンフェスティバルの共同開催などを行うほか、特定健康診査とがん検診の同時実施や、夜間、休日での受診など住民の利便性を確保するよう、市町村に働きかけているところでございます。
 また、本年度新たに住民への検診の働きかけを強化するため、市町村関係者や保健推進員等を対象とした研修会を開催するほか、受診率の低い市町村の底上げを図るため、これらの市町村と共同で、課題や対策を検討する取り組みを行っていくこととしております。
 次に、県内企業の取り組みについてでありますが、先ほど議員御案内のがん検診企業アクション事業は、国が昨年度から推進パートナー企業を募って、社員や顧客へのがん検診の普及啓発を行っているものであり、現在、その参加企業数は全国で112社となっているところでございますが、その中に本県の企業は含まれていないところであります。この事業は、これまで、国において全国の企業に対し直接働きかけをしているものでございますが、今後は、県におきましても、国と連携して、商工団体を通じ、県内企業の方々に当該事業に関する情報提供も含め、がん検診の受診促進の働きかけを行っていきたいと考えているところでございます。
 また、現在、県独自の取り組みとして、県内の賛同企業3社と協定を結びまして、店舗などでの受診勧奨のリーフレットの配架や来客者への呼びかけなどを行う取り組みを行っているところであり、今後、その取り組みも一層推進してまいりたいと考えているところでございます。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、自動車産業の振興についてでありますが、県内企業の自動車関連産業への参入につきましては、これまで、工業技術集積支援センターやいわて産業振興センターなどの関係機関と連携し、工程改善指導、商談会などの取引あっせん支援、技術アドバイザーによる指導や資金面での取引支援などを行ってきております。この結果、新規取引件数は、平成15年以降72件と着実に伸びているものの、エンジンなどの主要部品が現在においても愛知県などから調達されており、域内での調達率を高めていくことが必要であると考えております。こうした状況の中で、県内企業の次世代技術に対する関心が高いことから、今後、ハイブリッドカーの分解部品の展示と技術セミナーの開催を通じて、最新技術に対する理解を深めながら現地展開の拡充を目指し、主要部品関連企業の誘致にも積極的に取り組み、できる限り参入機会が得られるように努めてまいります。
 次に、企業誘致の戦略についてでありますが、現在の宮城県では、15年前に関東自動車工業が本県で操業を開始し、これに伴い関連企業が相次いで立地した時期と同様のことが起きているものととらえております。トヨタは、関東自動車工業岩手工場をコンパクトカーのマザー工場、世界におけるマザー工場として位置づけながら東北地域の生産拠点化を進めていることから、県といたしましては、庁内に副知事を本部長とする岩手県自動車関連産業振興本部を設置し、インフラ整備から人材育成に至るまで、関係部局の連携のもと、さまざまな振興策に取り組んでおります。その成果といたしまして、昨年4月には、関東自動車工業岩手工場内に東北では初めて開発センターが開設されるなど、徐々に拠点性が高まってきていると考えており、今後も東北地域の中心として拠点化が進むよう、企業誘致活動に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、東北各県の誘致戦略についてでありますが、各県とも積極的に企業誘致活動を展開しているわけでございますが、その戦略の詳細につきましてはお互いに手のうちを明かす性格のものでないため、企業立地に関する新聞報道あるいは企業立地情報などからうかがい知る、そういう状況でございます。
 一般的に言いますと、これまで産業集積や歴史的な背景、地理的条件など、それぞれの県の強みを生かした取り組みが進められていると考えております。具体的に申しますと、宮城県で申し上げますと、先ほど御案内にあった自動車関連企業の立地のほうに力を入れておりますし、山形県は、果物を活用した食料品製造、有機EL等の電子部品、ジェネリック医薬品、福島県は、自動車関連産業や医療機器関連産業、秋田県は、秋田港の活用による港湾関連産業あるいはリサイクル産業、それから木材産業、青森県は、北海道との連携あるいは八戸港の活用、原子力産業などというものに力を入れていると我々は見ております。
 次に、医療機器産業についてでありますが、この3月に策定した医療機器関連産業創出戦略におきましては、三つの柱からなる基本戦略を設定しております。
 第1の柱であるいわてオリジナルの医療機器の開発では、人体へのリスクが低く、比較的参入が容易であると思われる医療用はさみや測定機器など、一般医療機器の試作開発を支援していくこととしております。
 第2の柱であるコバルト合金を活用した医療材料、機器の開発については、今般、新たに国の研究資金の採択を受けたところであり、次世代の生体材料として早期の事業化を目指してまいります。
 また、第3の柱である大手医療機器メーカーからの受託製造については、セミナーや専門アドバイザーによる指導を行い、新規参入を支援していくこととしております。現在、数社が薬事法に基づく製造業許可取得の準備を進めており、設定した目標は達成可能と見込んでいるところであります。
 最後に、北上コンピュータ・アカデミーについてであります。
 北上市は、同アカデミーの存続を強く望んでいるところでありますが、施設の運営に当たりましては、年間約4、000万円に上るコンピュータリース料の負担が大きな課題となっております。県といたしましては、このリース料につきましては、あくまでも国の責任で措置すべきとの考えから、北上市とともに国に対して引き続き財源措置を講ずるよう、強く要望しているところです。
 先般、施設につきましては国から譲渡の方針を示されましたところですが、施設及び設備の整備に要する経費の取り扱いについてはいまだ明らかにされていないことから、現時点でアカデミーの方向性を定めることは困難な状況にあります。引き続き、財源措置について早急に国に求めていくとともに、北上市と十分な意見を交換しながら、アカデミーの方向性を検討してまいりたいと考えております。
 なお、御提案のありました産業技術短期大学校の分校舎化につきましては、現在の県が行う職業訓練の体系上、位置づけが難しいものと考えております。今後の国の状況も踏まえながら、さまざまな角度から検討してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) まず、県道1号線の整備についてでございますが、本路線は、観光や物流路線としての機能とともに、西和賀地域の生活道路としても重要な路線であると認識しているところでございます。現在、狭隘箇所や急カーブの解消のため、八ツ又地区、貝沢地区において、平成20年度より道路改良、歩道等の整備を実施しているところであり、大野地区においても今年度から事業着手をし、整備することとしております。
 また、泉沢地区の急カーブの解消と歩道設置、湯之沢から巻渕への歩道設置につきましては、交通量の推移や利用状況及び通学路の指定状況等を勘案して、整備の優先度を判断してまいりたいと考えております。
 次に、主要地方道花巻大曲線花巻─西和賀間の整備についてでございますが、この区間は花巻─西和賀間の交流の促進や観光振興を支援する路線として重要な路線であると認識しているところでございます。このため、現在、西和賀町小倉山地区から川舟地区間において、約2.4キロメートルの区間についての整備を進めているところでございます。
 また、豊沢ダム堤頂部を含む狭隘区間につきましては、幅員狭小で急カーブが連続し、整備が必要な区間と認識しておりますが、地形条件などから大規模事業となることが見込まれ、西和賀町側の整備の進捗や交通量の推移などを踏まえ、整備のあり方を検討していく考えでございます。
 次に、国道4号の渋滞緩和についてでございますが、金ケ崎町内の国道4号は、周辺に岩手中部工業団地や大型商業施設などが立地していることから交通量が多く、渋滞が発生しており、円滑な物流や交通安全の確保などを図るため、4車線拡幅が必要な区間と認識しておるところでございます。県では、これまで、国に対し早期の4車線化を要望してきており、今後とも、整備促進が図られるよう強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、市街地における自転車の通行帯設置についてでございますが、県では、平成20年度から、花巻駅西口の県道において盛岡市における事例と同様の取り組みをしており、歩行者と自転車の分離効果が確認されている一方、いまだ歩道を走行する自転車も多く、また、路肩が狭い箇所での対応方法などの課題も抽出されたところでございます。県といたしましては、警察や市町村など関係機関とも連携の上、諸課題の検討を加えつつ、本取り組みを含めた自転車の走行環境の改善に取り組んでいく所存でございます。
 次に、河川の環境保全についてでございますが、河川内に繁茂する立ち木の状況調査につきましては、各振興局の職員が定期的に河川パトロール等を実施し、河道内の立ち木の繁茂状況や洪水後における河川の流木及び倒木の有無等について、その都度確認を行っております。河川の立ち木の繁茂や流木の堆積などにより洪水被害の発生が懸念されるなど、河川管理上の支障となることが予測された場合は、周辺環境に配慮しながら、順次、支障となる立ち木の伐採及び流木の撤去などを行っております。
 次に、地域住民が行う環境保全活動への支援についてでございますが、県では、いわての川と海岸ボランティア活動等支援制度を制定するなど、地域住民等が行う河川環境保全活動への支援に取り組んでいるところでございます。この支援制度では、地域住民等によるボランティア活動に必要となる物品の支給や、収集したごみや流木の処理等の支援を行っており、昨年度は45団体がこの制度を活用したところでございます。また、地域住民等による河川愛護活動の意識啓発と活動の発展を図るため、このような活動を対象とした表彰制度を制定しており、これまで112団体を表彰してきたところでございます。
 県といたしましては、このような地域住民等による環境保全活動を継続して行っていくことは、持続的な河川の維持管理を進める上で特に重要であると考えており、今後とも、地域住民の意見を聞きながら、住民活動等への支援制度の普及改善に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長保住正保君登壇〕
〇警察本部長(保住正保君) 県内における暴力団の組織状況についてでありますが、県内の暴力団勢力といたしましては、平成21年12月末現在で15団体、約420人を把握しております。このうち、主要3団体と呼ばれます山口組系が9団体、約300人、住吉会系が4団体、約80人、稲川会系が1団体、約20人となっております。
 暴力団の活動状況につきましては、飲食店に対する、いわゆる用心棒料等のみかじめ料の不当要求行為を初め、資金源活動を不透明化させながら経済活動等に進出する傾向を一段と強めております。
 県警察におきましては、本年5月末現在で、暴力団員による恐喝、傷害事件など21件、19人を検挙するなど、徹底した取り締まりとともに、暴力団の排除活動を推進しているところであります。
〇5番(高橋元君) 若干時間がなくて質問ができなかったこともありますが、回答のありました点について再質問をさせていただきます。
 海外戦略について知事にお尋ねしたいと思います。
 この3日間の質問の中でも、さまざまな海外展開あるいは海外戦略についてもお話がございました。
 東北各県の動き等を見ておりますと、東南アジアに加えて、ロシアというところもかなり今活動を始めているというふうに新聞報道で知っております。それで、極東ロシアでもヨーロッパからアジアまでつながっているわけですけれども、極東のロシアが日本と近いということで、そことのパイプを何とか早目につくって、経済交流あるいは文化交流を太いものにしていくべきじゃないかなと、そんな思いをしているんですが、たまたま私の住むこの北上和賀地区、西和賀町の芸術、文化交流、こういったものが1995年から民間レベルで進められておりまして、ロシアからは6回西和賀町に来て、銀河ホールでさまざまな演劇活動がされておりますし、それから西和賀町を中心に6回、ウラジオストクの、特にもビエンナーレという祭典に、2年置きでありますけれどもこれに参加をしているということで草の根交流ができているわけであります。しかも、そういう中にあって、最近知ったわけですが、ウラジオストクの日本国総領事館の総領事に山田淳さんという方が今赴任していらっしゃるんですが、この方は雫石町出身、盛岡一高、東大卒ということで、本当に郷土にかかわりが深い、達増知事にもかかわりが深いというふうにも私は思ったんですが、お聞きすると、2012年ごろのAPECのあたりまでいるのではないかというお話も聞いておりますので、こういう本県にゆかりのある方がいるところでパイプなり拠点をつくれないものかなと、そんな思いをしているところでございます。この点につきまして知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、企業誘致の戦略でありますが、宮城県の取り組みについて紹介しましたし、先ほど部長からも丁寧な御答弁をいただきました。互いに手のうちを明かさないで、しかも水面下で地道に企業誘致活動を壮絶にやっているんじゃないかと思うところでございます。本県の誘致活動、俗に言う企業秘密ではあるんですが、どんな手ごたえを感じていらっしゃるのか。
 あと、名古屋事務所は北東北3県の合同事務所ということがありまして、ここを拠点にさまざまな誘致活動というと、少し遠慮するような気もするわけです。宮城県では誘致センターみたいなものをつくって、別な事務所、拠点をつくってやっているんですが、その辺のところを本県はどういうカバーをしながら、各企業訪問をいろいろやりながら企業誘致活動をされているのか、その点をお尋ねしたいと思います。
 道路網の整備については、先ほど、現状についてさまざまな御答弁をいただきました。県道1号線は、本来は国道あるいは高規格道路として整備してもおかしくないという路線だと思っております。ぜひとも、そういう意味では早急に整備を進めていただきたい。
 それから、銀河なめとこラインは、県の行政の窓口が、今変わったわけです。特に北上から花巻ということで、県の窓口も総務あるいは県税、それから県発注工事の入札、県道、国道の管理の問題とか、花巻の事務所に行かなければならないということもありますし、それから、国の機関の盛岡地方法務局の北上出張所が前はあったんですが、これが花巻に統合になっているということ、それから、一昨年の内陸地震のときには、山伏トンネルから雫石町側に行ったところの斜面の崩壊で県道1号線が通行どめになったわけであります。そういうときに、迂回路としてもこの銀河なめとこラインというのは非常に有効であるということも思うわけであります。私も宮古市にゆかりがありまして、立丸峠も今必要だというふうにも痛切に感じております。同じようにこの路線も必要だと。両方同時に整備を図っていただきたいなと、こんな思いをしております。
 それから、国道4号の渋滞緩和でありますが、ここは、先ほどもお話がありましたとおり、産業の関係、特に関東自動車の完成車の運搬等にも使われる道路でもありますし、部材も運んできたりするわけであります。そこにまた多大な交通量があるわけでありまして、何とか早目に拡幅してもらいたいものだなと、地元のものを含めて強く思っているところでございます。いま一度、今後の展開戦略というんですか、そういったものをどう考えているのか、あわせてお尋ねしたいと思っております。
 環境の問題でありますけれども、河川の柳の繁茂の関係で、それぞれ広域振興局の土木部長がいろいろ状況を判断して整備を図るという河川管理の規程みたいなものがあるとお話を伺ったんですが、それはそれとしても、全体的に、石川啄木が想定するようなすばらしい自然の中の北上川、それがなかなか薄れている、あるいは中小河川も薄れている。ただ、どんどん里山みたいに手入れのされていない河川がたくさんある。やっぱりこのところを県全体として環境整備についてビジョンを策定して、各振興局単位に、地域の住民の方々のお力をかりながらすべきじゃないかと私は思っています。その辺のビジョンをつくるような考えはないのか、そのことをお尋ねしたい。
 それから、暴力団の関係でございます。本部長のお話で、今の活動状況については詳しくわかりました。新聞報道等では、盛岡とか北上でいろいろな事件が発生しているわけであります。そういう中にあって、ことしの7月から福岡で暴力団の排除条例が施行されておりますし、お隣の宮城県でも条例の検討を今盛んに進めているということであります。それで、仮に宮城県の条例が早く決まった場合に、例えばそこで締め出された暴力団の組織が今度は大挙して岩手に来る─まあ、それはないんでしょうが、条例のないところにどんどん水面下で入ってくるという懸念もされるわけです。そういう意味では、私は、宮城県で条例をつくるのであれば、同じ時期に合わせてやるべきではないかと思っております。その辺の検討はどのようにされているのか、その点をお尋ねしたいと思います。
 以上です。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇知事(達増拓也君) 県の海外戦略と極東ロシアについてでありますけれども、県の海外戦略については、中国での展開も緒についたところであり、現状では中国など東アジアを中心に注力していきたいと考えております。
 ウラジオストクの山田総領事とは、既に私もいろいろやりとりをしておりまして、ウラジオストクの発展は大変著しいと聞いております。芸術、文化関係も含め、県としても情報収集などを行っていきたいと考えます。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、名古屋事務所の状況を説明いたします。名古屋事務所は、御案内のとおり、北東北3県合同でしばらくの間来たわけでございますが、平成18年度に、名古屋事務所とは別のフロアに新たに岩手県企業立地センターというものを設けまして、誘致専門職員1名に加えまして、トヨタのОBをトヨタから紹介していただきまして、自動車産業集積コーディネーターとして配置しておりまして、この2人が、平成18年度から豊田市を初めとする企業回りを重点的に行ってきております。
 それから、本年度から名古屋事務所そのものが総務部から商工労働観光部に移管されまして、今、合同事務所のほうに配置している1名につきましても誘致事務にかかわらせまして、実質的には、2名にプラス、トヨタのコーディネーターという形で体制を強化して重点的に取り組んでいる最中でございます。このような誘致活動によりまして、平成18年度の設置以降、名古屋、愛知から7件の誘致が実現したところでございます。
 それから、手ごたえはどうかということでございますが、前の日、知事が御答弁申し上げたとおり、本年度既に6月の半ばで7件、しかも、そのうち自動車関連が3件ございます。このほかにも非常に引き合いが来ておりまして、今、非常に大きな手ごたえを感じている最中でございます。
〇県土整備部長(平井節生君) まず、銀河なめとこラインと花巻大曲線整備促進についてでございますが、本路線は、県道1号線について御説明いたしましたのと同様に、幹線性及び生活道路としての重要性を担っている路線であると考えてございます。
 当面、現在着手しております小倉山地区から川舟間、2.4キロメートル区間について整備を進めさせていただいて、その他の狭隘区間や歩道設置必要箇所等につきましては、利用状況、交通量などを勘案して整備の優先度を判断させていただきたいと考えてございます。
 それから、国道4号につきましては、非常に4車線拡幅が必要と認識しておるところでございますが、今年度、国の直轄事業24%減、あるいは新規採択がゼロという大変厳しい状況の中にございましたが、国土交通大臣の御発言で新規採択凍結は解除する旨の御発言があったということもございますので、この機をとらえて国になお強く要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、河川環境保全に関するビジョンについてということでございますが、河川管理者としての国及び県は水系ごとに河川整備基本方針を策定しており、この中で河川環境保全の基本方針についても定めてございます。また、具体の対応方針としては、本県におきましては平成4年に河川管理要綱を制定しておりまして、これらがビジョンに相当するものであるととらえてございます。今後とも、これらに基づき堤防除草、支障木伐採などにつきまして、動植物の生息環境や景観などに配慮しながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
〇警察本部長(保住正保君) 暴力団追放に向けた新条例の制定についてでございますが、議員御指摘のとおり、多くの都道府県警察で暴力団排除条例の制定に向けて取り組んでいるところであります。既に福岡県、愛媛県などの五つの県において制定されているという状況にございます。本県におきましても、県内の暴力団の情勢、あるいは他県におけます条例の制定状況を勘案しつつ検討してまいりたいと思っているところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) この際、庁議の構成員について、加藤政策地域部長から発言を求められておりますので、これを許します。加藤政策地域部長。
〇政策地域部長(加藤主税君) 先ほど、菅原一敏議員の質問の中で、不正確で誤解を招く答弁をいたしました。改めて正確な答弁をさせていただければと存じます。
 御指摘いただきました行政組織規則につきましては、今回の広域振興局再編に伴いましての部分につきましては改正は行ってございません。この行政組織規則の中にも庁議の部分はございますが、ここの部分の改正は行っていないということでございます。それを受けました内部規程といたしましての庁議運営規程というものがございまして、その部分につきまして一部改正を行っております。ただ、御指摘のように、広域振興局長につきましても、その都度、知事が指定するという部分に規定してございまして、厳密なというか、指定なくメンバーという形にはなっていないということでございます。ただ、実際の運用上は定例的なメンバーということで庁議に出席いただいておりますので、当面、まずはこの運用を積み重ねる中で、県政の重要な意思決定への広域振興局長の参画という実績を積み重ねていきたいと考えております。この点につきまして不正確な部分がございまして、誤解を招く部分がございまして、改めておわび申し上げますとともに修正させていただきます。どうも申しわけありませんでした。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号公平委員会の事務の受託の協議の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第21 議案第20号損害賠償額確定等調停事件に係る調停の成立及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木一榮君) この際、日程第2、議案第1号から日程第21、議案第20号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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