平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇34番(平沼健君) 自由民主クラブの平沼健でございます。
 通告に従い、順次質問をいたします。
 まず、3年間の県政運営について伺います。
 達増知事も今任期の最終年の4年目に入りました。これまでの3年間の県政運営について、どのように自己評価されているのでしょうか伺います。
 また、継続課題があると認識しておりますが、自己評価の結果をどのように反映させ、今後、解決に向け取り組もうとしているのか伺います。
 次に、財政について伺います。
 今年度は、厳しい経済、雇用情勢や地域医療などの諸課題に取り組むため、大型予算となりました。その財源の中身は、県税の減収を国からの交付金や臨財債、各種基金を利用した予算です。
 いずれにしても、本県の財政は、県債に大きく依存した財政運営となっており、今後の経済情勢によってはさらなる県債の増嵩が危惧されますが、来年度以降の予算規模と財政運営をどのように考えているのか伺います。
 また、知事は、県政懇談会や移動県庁等で多くの県民と話し合い、各地域の声を聞いておりますが、知事として、各地域の声から何を得、何を感じ、それを県政にどのように生かしてきたのでしょうか、お聞かせください。
 次に、人口減少に関する諸問題について伺います。
 県政課題の多くは、人口減少に起因する課題をいかに解決するかが問われていると言っても過言ではないと思います。これまでの本県の国勢調査の人口推移を見ますと、昭和35年の144万8、517人をピークに、一たん減り始め、昭和60年の増加の後は減少の一途をたどっている状況にあります。全国的傾向とはいえ、憂慮すべき事態であります。
 今回の調査結果は、本年12月下旬に速報値が出ることになっているようですが、残念ながら、本県人口のさらなる減少は確実と見られております。
 これまで県は、人口減少対策にかかわる施策を毎年幅広く講じてきたところであります。しかし、本県の将来を展望するとき、今後も確実に進むと見込まれる人口減少をどう受けとめるべきでしょうか。
 人口減少は、経済活動の根幹をなす個人消費の縮減につながり、このことが企業業績に大きな影響を与え、さらには、雇用を含めた県内経済はもちろん、やがては国力の低下に直結するものであり、それだけ、人口減少はあらゆる方面、あらゆる施策に大きな影響を与えるものであります。
 全国的に少子高齢化、人口減少社会と言われる今日、県は、今後10年間を見据えたいわて県民計画を示しました。長期ビジョンでは、我が国の本格的な人口減少社会の到来として、平成30年には1億2、392万人程度まで減少し、総人口に占める高齢者の割合は30%弱まで上昇すると見通し、岩手県の将来人口も、平成30年には120から125万人程度、そして高齢者の割合は32から33%程度まで高まり、県民の3人に1人が65歳以上の高齢者となることを想定しております。
 また、アクションプラン政策編では、地域活力の低下をもたらす人口の社会減に歯どめをかけなければならないと述べるにとどまっておりますが、今後の人口減少対策をもっと具体的に、年度ごとにわかりやすく示すべきではなかったのでしょうか伺います。
 さらに、人口減少が及ぼす将来の県財政への影響について、どのように想定しているかについてでありますが、いわゆる三位一体改革による国から地方への税財源の移譲により、人口が多く経済活動が盛んな県と、人口が少なく経済規模が小さい県とでは、税収の格差が拡大することとなりました。税財源の偏在は地方交付税により調整されているものの、人口が減少すれば税収格差はさらに拡大することになりかねないと思いますが、人口減少による税財源への影響について、どのように想定しているのか伺います。
 また、同じく人口減少により県財政へどのような影響があると見込んでいるのか。その影響にどのような方法で対処すべきと考えているのか、あわせて伺います。
 次に、県内を社会基盤整備の進んでいる県央・県南部とおくれている県北・沿岸部に分けて人口変化を比較すると、国勢調査上で人口が最大だった昭和35年では、県央・県南部93万2、000人余りで県人口全体の約65%でありますが、それが直近調査の平成17年では101万8、700人余りとなり、昭和35年を100とすると109.3%に増加しております。
 一方、県北・沿岸部の人口は、昭和35年、51万6、000人余りで県人口全体の約35%を占めておりましたが、平成17年は36万6、000人余りに減少し、同様に昭和35年を100とすると71%にまで減少しております。
 これを生産年齢人口で見てみると、同じように県全体では2万239人減少しておりますが、県央・県南部は112%と増加し、県北・沿岸部は71%と減少しております。このことからも、県北・沿岸部の弱体化に歯どめがかからないことがうかがわれます。
 県はこれまで、県北・沿岸振興のために多くの施策を実施してきました。しかしながら、これまでの金融支援を含めた多くの振興策の効果がどのようにあらわれているのか、住民には、感じられないのではないでしょうか。
 県土面積の約半分を占める県北・沿岸部の人口が、これまでに30%も減り、今後も減少し続けることが想定されます。岩手県の将来に向けての均衡ある発展は、県北・沿岸振興策がかぎを握っていると言っても過言ではありません。
 県は、これまでも多くの振興策を実行し、また、今後の振興策については、いわて県民計画に示しておりますが、さらに、地域住民の目に見え、肌で感じられる思い切った県北・沿岸振興策を示すべきと思いますが、その考え方を伺います。
 次に、経済、雇用対策について伺います。
 全国の雇用回復の足取りは依然として鈍く、4月の完全失業率─季節調整値─は5.1%と2カ月連続で悪化しております。
 昨年10月、政府は緊急雇用対策を打ち出しましたが、その対策では、2009年度末までに10万人の雇用を下支えするとしていましたが、逆に、4月の失業者数は356万人と昨年10月の時点に比べ12万人増加することになり、残念ながら、政府の雇用対策も現状では効果が乏しい状況です。
   〔議長退席、副議長着席〕
 岩手労働局は5月28日、4月の本県の有効求人倍率─季節調整値─が前月比0.03ポイント低下し0.38倍になったと発表しました。全国43位の水準であり、県内10カ所の公共職業安定所の有効求人倍率は、すべて前月より悪化しております。しかしながら、報道によると、同局は、製造業や卸小売業などで求人が出ており、緩やかな改善基調にはあるとしています。
 県央・県南振興圏の自動車や電子部品関連産業は回復傾向にあるものの、県北・沿岸振興圏は、依然として先行き不透明であり、県全体として見れば、雇用情勢は依然として厳しい状況を呈しております。
 県は、緊急の取り組みとして、長期失業者へのセーフティネットの構築による継続的な支援を進めておりますが、その成果をお尋ねいたします。
 さらに、中長期的な視点に立った産業振興を進め、安定的な雇用を創出するとしていますが、具体的に各種産業の振興策をどのように策定しているのでしょうか。特に、本県の県北・沿岸の豊かな自然や県産食材を生かした食産業、観光産業などの地域資源型産業の着実な展開をどのように進めていこうとしているのか伺います。
 次に、ことし3月に卒業した高校生の4月末現在の就職内定率は96.2%で、前年同月比0.6ポイント減となり、過去10年では5番目に低い水準であり、県内就職に限れば93.6%で、前年同月比1.2ポイント減と報じられました。未内定者がいまだ125人いるという現状であり、一日も早く就職につなげなければなりません。
 各地域の就職内定率を分析すると、宮古99.7%、大船渡99.4%という結果のようですが、他地域に比べ内定率が高いのはどのような理由なのでしょうか。また、学校現場全体での進路指導等に違いがあるからなのでしょうか。この結果をどのように分析しているのでしょうか伺います。
 次に、高校生の基礎力確認調査が4月に実施され、その結果が6月18日に公表されました。教科別の回答率は御案内のとおりですが、中でも高校2年生の正答率が50%に届かず、定着度に課題があることが改めて確認されました。
 調査結果の中で、広域振興圏別ではどのような特徴、傾向があるのでしょうか。また、この基礎力の大きな差は、中学教育での基礎力のつけ方に課題があるのではないかと考えますが、その所見を伺います。
 さらには、今後、学力向上に向けて、県教育委員会はどのように指導、対応しようとしているのでしょうか、あわせて伺います。
 新規高卒者等の未就職者に対し、雇用対策基金を活用し、新たな取り組みとして7月から未就職者を県非常勤職員として50名を順次雇用することが発表されました。雇用期間は6カ月間で、主に事務作業に従事しながら、各種研修を受講し、就職スキルの向上を目指すことになります。一時的にしても、時間雇用職員として採用し、将来の本格的な就職に結びつける就職支援は必要であります。
 この時間雇用職員として採用された若者は、雇用期間満了後は、どのように就職につながっていくのでしょうか伺います。いわゆる期限つき採用であり、期間が満了してしまったならば、あとは失業状態になってしまうという状況を避ける取り組みをどのように考えているのか伺います。
 次に、県北・沿岸部の企業誘致について伺います。
 県内には重要港湾を持つ四つの都市が、それぞれの地域の戦略で企業誘致に取り組んでおります。沿岸4都市は、それぞれの特徴を生かし、新たな投資に対する優遇措置の制度化を図り努力しておりますが、近年では、一部水産加工業の立地が進んだ以外は誘致に結びついていないのが、これまでの実態ではないでしょうか。
 県は、沿岸4都市がそれぞれ持つ特徴をどのようにとらえ、今後の企業誘致に結びつけようとしているのでしょうか。近年の沿岸部への企業誘致の実態とあわせ伺います。
 また、本県においては、今後どのような戦略で沿岸部の企業誘致に取り組んでいくのでしょうか伺います。
 新しく企業を誘致することの重要性とともに、既に立地している企業へのアプローチも重要であります。県は、市町村と連携を図りながら合同で企業訪問を行い、各企業の個別具体的な課題や要望の把握に努めていると聞いております。また、これまでの企業立地満足度総合評価は全国2位の評価とも聞いておりますが、さて、県北・沿岸部の企業訪問での課題や要望はどのようなことが多いのでしょうか。また、その要望等に対して、県はどのように対応しようとしているのでしょうか伺います。
 沿岸部にも県所有の工業団地が未売却状態でありますが、全体でどの程度の保有地を抱え、今後どのように対応しようとしているのか、今後の活用策についてもあわせて伺います。
 医療問題について伺います。
 県立病院の医師確保についてでありますが、県民意識調査によると、40の調査項目中、適切な医療体制が重要度で第1位であり、ニーズ度で第6位と県民の要望、願いが高い反面、満足度は32位と低く、特に沿岸広域振興圏において満足度が低くなっております。
 この要因としては、医師数の地域偏在や診療科の偏在などが依然として改善されないことが、大きな要因と指摘されております。広域基幹病院の診療科に常勤医師がいないため、地元医師会、開業医あるいは岩手医大からの応援で何とか外来対応しているのが実態です。
 これまで多くの関係者が、県立病院への医師招聘の努力を必死に重ねておりますことに敬意を表するものです。しかしながら、医師の確保はなかなか進んでおりません。実態として、個別の病院の努力や、その病院にいる個々の医師の個人的なネットワークを通じた働きかけ、そして、県の担当による全国行脚のような、プロスポーツのスカウトのような働きかけなどにより対応していると聞いております。
 このような状況下で、現場の院長初め、数少ない貴重な医師が、医師確保の対応に追われる余り疲弊感を募らせることがあっては、医師確保はもとより、地域医療の確保そのものに重大な支障を来すことになりかねません。
 そこで、県立病院の医師確保に当たっては、病院現場のみならず、医療局本庁、保健福祉部との連携が重要であると考えますが、どのような連携のもとに進められているのか伺います。
 また、国においては全国の医科系大学の定員をふやしましたが、全国レベルで地域偏在や診療科の偏在を解消しなければ、勤務医不足が深刻な本県などにおいては定員増の恩恵に浴することができないものと危惧しております。知事はかねてから、医師不足対策、医師の偏在対策ということについて、もう少し公的に、全国的に是正していく仕組みをきちんとつくっていかなければならないとして、制度面の誘導が不可欠であると述べておられます。
 そこで、全国レベルで抜本的に医師の地域偏在や診療科の偏在を解消する対策についての御所見と、国に対してどのように働きかけを行っていこうとしているのか伺います。
 次に、線維筋痛症患者の救済について伺います。
 過日開催された、本音で語ろう県議会のある会場に若い御夫婦が車いすで出席され、線維筋痛症という原因不明の病に悩んでいることを切々と訴えておりました。私には、線維筋痛症は初めて耳にする病名でした。
 この病は全身性慢性疼痛疾患で、全身に激痛が起き、耐えがたい痛みであることが多いと聞いております。重症化すると軽微の刺激で激痛が走り、自力での生活が困難になると言われております。しかも現在、我が国には、人口の1.66%、つまり約200万人の患者がいるのではないかと疫学的に発表されており、男性より女性に多い病気で、割合は1対4と推定されております。年齢層は50歳代が多いと言われておりますが、10代でも発症し、全年齢層にわたることが明らかになっております。
 線維筋痛症は致死的な病気でも精神病でもなく、また、リウマチのような変形を来す疾患でもなく、その原因はまだ明らかになっておらず、現在、厚生労働省が中心になり研究を進めているようであります。病気の原因が不明であるため根本的な治療法がなく、病状に応じた対症療法になっているのが実態であります。
 線維筋痛症は認知度が低く、全国でも専門医が少ないため、多くの患者は痛みという自覚症状があるだけで、検査では異常が見つからないケースがあり、他の病気と診断されたり、医師に説明しても理解されない場合が多く、患者としては原因を突きとめるべく医療機関を転々と渡り歩くことになり、大きな経費負担に苦しんでいる患者さんもあります。さらには、確定診断されない不安や周囲の無理解と闘っているのが実態であります。
 そこで伺います。過去に国会でも取り上げられ、難病指定に向けての課題や、患者さんの治療データの集積によるエビデンスが出てくることによる線維筋痛症の病名での保険診療の可能性等を議論されたようですが、現在の国の対応はどのようになっているのでしょうか。
 また、県内の線維筋痛症患者数やその実態をどのように把握しているのか伺います。
 さらに、県独自の経済的、精神的な患者救済策が必要ではないかと考えますが、所見を伺います。
 次に、食料品の地産地消と食の安全・安心について伺います。
 我が国食料品の自給率40%を50%に引き上げるべく種々対策が講じられております。しかしながら、我が国の農産物の輸入を自由化しようという動きがあります。EPA・FTA交渉やWTO交渉で、相手国が求める関税率の引き下げや撤廃を行おうとするものであります。この農産物の自由化について、知事の考え方をまず伺います。
 また、岩手県は四国4県に匹敵する大きな県土を有し、農産物の生産地として消費者からも高い評価を受け、食料基地としてその地位を確保してきました。県は平成22年度、食の安全・安心に取り組む県内食品事業者の支援のため、フード・コミュニケーション・プロジェクト─FCPの地方版として、FCP岩手ブランチを中心に金融支援、農商工連携による支援を計画しております。このFCPは、相次ぐ食品偽装事件を背景に、低下した消費者や取引先の信頼向上を目指し、積極的に企業活動の透明性を図りながら食の安全・安心を確保しようとするものであり、期待するものが大であります。
 本県の食料品製造業出荷額は3、600億円、従業者2万2、000人弱と言われ、地域経済を支える重要な産業でありますが、その多くは中小零細企業であることから、本腰を入れた支援が必要であります。今後、生産から消費までを一体化した支援制度やビジネスモデルの創出、そして食産業を通じた地域活性化をどのように展開していこうとしているのか伺います。
 最後に、林業の振興について伺います。
 我が国の森林面積は約2、500万ヘクタールで、国土に占める割合は68%と世界でもトップクラスの森林大国でありますが、国際競争力の低下などにより木材産業は低迷し、森林荒廃が進んでおります。
 我が国の林業政策は、毎年、川上には大きな財源を投入し、造林、育林事業を実施してはきましたが、2008年の国内の木材需給量は8、000万立方メートルで、うち国産材は24%であり、残り76%は北米、北欧、東南アジア、ニュージーランド等からの輸入材であります。反面、国内に蓄積されている木材は約44億立方メートルと言われ、毎年8、000万立方メートル成長し、増加しており、木材の年間総需要量が7、800万立方メートル前後であることから、単純計算では、1年間で成長し、増加する国産木材量で総需要量を賄えることになります。すなわち、日本国は木材自給率100%が可能でありながら、利活用されていない状況です。この需給を整えることが環境や雇用対策を含めた林業再生につながるものと考えます。
 県はこれまで、県産木材使用の誘導策として、公共施設等の建設工事の発注に際し、建設資材は県産とするよう請負業者に要請を行ったり、市町村が行う公共施設や民間施設の整備については、森林整備加速化・林業再生基金事業により県産材の利用に対し支援してきましたが、その利用実態をどのように分析され、今後につなげていこうとしているのでしょうか伺います。
 昨今の景気後退から、国内全体の新設住宅着工数は大幅に落ち込んでおります。年間110万戸台で推移してきた新設住宅着工数も昨年は70万戸台まで大幅に落ち込み、本県のみならず、全国の木材業界に深刻な影響を与えております。このことは、すそ野の広い建築関連産業全体への影響も大きく、県内経済へ及ぼす影響も少なくありません。全国有数の原木生産量や森林面積を有する本県にとって、木材を活用した地域づくりは、環境政策や林業の担い手対策、雇用対策にも合致するものと考えます。
 県は、新年度から県産材10立方メートル以上使用した住宅に対し10万円から20万円補助する事業をスタートさせております。まだスタートして3カ月ですが、その利用状況はどのように推移しているのでしょうか。
 さらに国土交通省は、4月から都道府県が認証する木材を使う住宅に最大120万円を補助する制度を導入しました。これは木材の地産地消を進めるため、中小の住宅メーカーが建設する木造住宅への補助制度でありますが、耐震性にすぐれる長期優良住宅が対象で、柱や土台などの半分以上で地域の認証木材を使用することが条件になっております。この制度による新設住宅着工数の増加を、県としてどのように想定しているのでしょうか。
 また、県産材の認証制度はどのような状況にあるのでしょうか伺います。
 農林水産省は、10年後の木材自給率50%以上を目指す方針を示し、国や地方が率先して国産材利用に努めることにより、豊富な資源を有効活用することで、地方での雇用機会の確保につなげようとしております。すなわち、幾ら造林、育林に力を入れても、川下である木材の利用拡大を進めなければ、途中で閉塞状態になり、全体がうまく機能しないことは明らかであります。
 そこでお聞きいたします。岩手県として10年後の国の木材自給率50%以上を達成するために、今後どのような施策に取り組む予定なのか伺います。
 次に、いわての森林づくり県民税について伺います。
 これは平成18年4月より導入され、今年度が最終年であります。今後、いわての森林づくり県民税をさらに継続する場合は、川上の森林整備から加工、流通の川下まで一貫した流れができて初めて、環境を重視した森林整備が生きてくるという観点から、木材産業への波及効果が見込まれる取り組みに対しても利用範囲を拡大すべきと考えますが、御所見を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 平沼健議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、3年間の県政運営についてでありますが、私は、地域で暮らす方々の豊かな生活を実現していくことが私に課せられた責務と考え、知事就任以来、岩手が置かれた現状に常に目を向けながら、何をなすべきかを県民とともに考え、県政運営を行ってまいりました。そうした中、2度にわたる大きな地震災害に見舞われたことから、その復旧、復興対策に全力を挙げて取り組んでまいりました。
 また、県民の所得と雇用、安心な暮らしを守ることを重点目標とするいわて希望創造プランを策定し、県民所得の向上や地域医療の確保など、直面する課題の解決に向けた取り組みを進めてきたところであります。
 このような取り組みにより、例えば県民所得や雇用環境の分野では、開発拠点の誘致など、景気に左右されにくく、将来的に波及効果の高いものづくり産業の集積や、農商工連携による新商品の開発、高付加価値化の取り組みが進んできていること、地域医療の分野では、臨床研修を終えた医師の県内定着が高まるとともに、即戦力医師の招聘など、一定の成果があったところであります。
 一方で、一昨年の世界的な金融危機の影響により、依然として厳しい状況にある県内の雇用環境の改善や、地域医療の中核的な役割を担う病院勤務医師の確保などが継続的な課題となっております。
 このため、雇用環境や地域医療など、いわて希望創造プランに掲げた四つの重点目標について、引き続きいわて県民計画のアクションプランの政策推進目標として掲げたところであります。これまでの成果や課題を踏まえつつ、ゆたかさ、つながり、ひとの視点を重視しながら、希望郷いわての実現に向け、取り組みを進めてまいります。
 次に、来年度以降の財政運営等についてでありますが、平成22年度予算は、国の交付金により造成した政策的な基金の活用に加え、交付税等の地方財源の充実により積極的な予算編成が可能となったところであり、引き続き経済、雇用情勢への対応や希望郷いわての実現に向け、必要となる歳出予算を確保できるよう努めていく考えであります。
 来年度以降、活用可能な政策的基金は減少するものの、先般、閣議決定された政府の財政運営戦略では、来年度以降の3カ年について、地方一般財源の総額は平成22年度と同水準を維持することとされています。この方針に沿った国の予算編成が行われた場合、県予算として、県税と交付税等の合計ではおおむね今年度並みの予算編成が可能になるのではないかと見込んでいるところであります。
 また、あわせて、県として主体的に管理可能な地方債の発行規模を抑制するなど県債残高の規模を中長期的に抑制していくことを初め、歳入歳出全般にわたる行財政改革の取り組みを進め、持続可能な財政構造の構築に努めていく考えであります。
 次に、県政懇談会についてでありますが、知事就任以来、県内各地を訪問し、多くの県民の皆様と直接語り合い、課題を共有することで県民の声の県政への反映、そして県民との協働による地域づくりを推進しているところであります。
 県政懇談会を通じて、県民の皆様が暮らしや仕事の現場でどういう状況に直面し、どういう思いを抱き、希望や不安等、具体的にどういったものがあるのかを伺うことで、現場の状況を肌で感じることができたと思っております。また、私の考えを直接伝えることで、お互いの理解を深めることができたものと考えております。
 また、県政への反映状況については、平成19年度から平成21年度の3カ年で206件の御意見等をいただき、そのうちの85%については、趣旨に沿って措置または実現に向けて努力しているところであります。
 今後とも、県民の皆様のさまざまな活動の現場を訪問し、草の根の懇談の機会を数多く設けて、真摯に県民の皆様の生の声に耳を傾け、県政への反映に努めてまいります。
 次に、今後の県北・沿岸振興の方策についてでありますが、県北・沿岸振興につきましては、いわて県民計画において、県政の重要課題として重点的に取り組むことを一層明確にしたほか、岩手の未来を切り拓く六つの構想の中に、主に県北・沿岸圏域を対象とした海の産業創造いわて構想と元気になれるいわて構想を盛り込んだところであります。これまで、食産業、観光産業、農林水産業の分野における農商工連携の取り組みなどで一定の成果が出てきているものと考えます。
 今後、新たに体制を強化した広域振興局を中心に、地域課題解決に向けた地域振興推進費の有効な活用や、さきに策定したいわて三陸海洋産業振興指針に沿った総合的な取り組みなどを展開することにより、県民の皆様がその成果をさらに実感できるように努めていきたいと思います。
 次に、医師の地域偏在等への全国レベルでの対策と国への働きかけについてでありますが、昨年10月、国に対する具体的な提言として、地域医療再生のための基本法を新たに制定の上、地域別、診療科別の医師偏在を解消するため、各都道府県、医療圏ごとに必要な病院勤務医師数を算出するガイドラインを策定し、臨床研修制度と一体化した運用等により、医師不足地域における医師の病院勤務の義務づけを図ることなどについて要請を行ったところであります。
 本年度に入り、国においては、地域別、診療科別の必要医師数の実態等を把握することを目的として、初めての全国一斉実態調査に着手したところであり、この調査は、本県が行った提言の一部が反映されたものと認識しております。しかしながら、その内容については、各病院等の申告に基づく求人医師数等の単純な積み上げにとどまるなど、必要医師数の需給見通し調査としては不十分なものであると考えております。
 本県としては、国が今回の調査を踏まえ、地域別、診療科別の医療ニーズに対応した必要医師数を算出するためのさらなる取り組みを行うよう働きかけるとともに、そのような取り組みをもとにした、医師の偏在解消を図るための実効ある施策が早期に実現されるよう、引き続き国に対してより具体的な政策提言を行ってまいります。
 次に、農産物の自由化についてでありますが、グローバル化が進展していく中にあって、我が国が貿易立国として国際市場で競争力を高めていくためには、EPA・FTA交渉やWTO交渉は、避けて通れないものと認識しております。しかしながら、農業分野における諸外国との交渉に当たっては、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業、農村の振興などを損なうことのないよう行われるべきものと考えています。
 県においては、こうした考え方のもと、現在進められているEPA交渉等において、国内の農業等に大きな影響を及ぼすことがないように進めることを機会あるごとに国に提案しているところであり、今後とも、本県農業、農村が持続的に発展できるよう提案等を行ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) いわて県民計画におけます人口減少対策についてでございますが、県民計画のアクションプラン政策編では、特に重点的に取り組む政策推進目標として、人口の社会減に歯どめをかけることを掲げております。この目標は、あらゆる政策分野に関連していることから、年度ごとの具体的な取り組みを盛り込んだアクションプラン全体を推進していくことにより達成を目指すこととしております。
 具体的に申し上げますと、医療機器関連産業や環境関連産業など、今後成長が期待できる分野の産業振興や新卒の未就職者等への就業支援による雇用の場の確保、体験居住機会の提供による県内への定住と交流の促進など、こういった施策をアクションプランに盛り込んでおりまして、人口の社会減に歯どめをかけるためのさまざまな取り組みを着実に進めることとしております。
 また、人口の自然減に対応するための少子化対策といたしまして、結婚や子育てに夢を持てる意識の啓発や安全・安心な出産環境の充実、仕事と子育ての両立支援などの施策をアクションプランに盛り込んでおりまして、これらに取り組むことによりまして人口減少対策を総合的に進めることとしております。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 人口減少による税財源及び県財政への影響についてでありますが、人口の減少は消費、経済活動の低下につながるおそれがあり、所得課税である個人県民税など、自主財源である県税収入の減少を招く可能性がございます。
 歳入面においては、このように県税収入の減収が見込まれるほか、マクロ的に申し上げますと、地方交付税の原資となっております国税が減少することにより、地方交付税による財源保障機能の弱体化が懸念されるところでございます。また、歳出面におきましては、高齢化のさらなる進行により社会保障関係経費の増加が見込まれるなど、歳入、歳出両面から県財政に大きな影響が生じることが懸念されるところでございます。
 このような事態に対処するため、人口の社会減への歯どめや農林水産物などの付加価値の向上、県内企業の生産性、技術力などの向上への支援を通じた県民所得の向上に取り組んでいくこととしているところでございます。
 また、あわせて、自治体間の財政格差を縮小させるためには、地方交付税など地方一般財源総額の確保など制度面での手当ても必要であることから、引き続き地方財政制度改革に係る国への提言に取り組んでいく必要があるものと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、雇用対策のうち、セーフティネットに対するお尋ねでございます。
 昨年、国においては、生活資金、住宅支援、入居資金、就職支援の四つを柱とする、いわゆる第2のセーフティネットを構築し、生活福祉資金貸し付けの要件緩和や住宅手当、訓練・生活支援給付の新設など、失業者の方々のための各種生活、就労支援サービスの拡充を図ったところです。その結果、昨年度の利用状況は、生活福祉資金貸付は4月から9月までの237件に対して10月から3月までは1、268件と大幅に増加したほか、住宅手当の決定数が66件、訓練・生活支援給付の申請件数が662件となっております。これらから推しはかりますと、長期失業者の方々の生活、就労支援の面で一定の効果があったものと認識しております。
 次に、中長期的な産業振興策についてでありますが、例えばものづくり産業では、医療機器関連産業など成長分野における製品開発や技術開発への取り組み、食産業では、御案内のありましたフード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチ活動の推進によるビジネスモデルの創出、観光産業では、平泉文化遺産の世界遺産登録やデスティネーションキャンペーンを見据えた誘客と受け入れ態勢の整備など、各地域の特色に応じた取り組みと、あわせてそれらの産業を支える人材育成に努めることとしております。
 とりわけ県北・沿岸地域においては、食産業につきましては、付加価値の高い新製法の梅酒の開発、複数の漁業協同組合の連携による効率的な物流システムの構築など、岩手ブランチ活動の推進による事業者相互の連携と消費者への信頼向上に努め、売り上げ増や取引拡大につなげていくとともに、観光産業では、カキ小屋などの新たな素材の発掘やサッパ船あるいは農村生活体験など体験型観光メニューの充実に努めるほか、大学と連携いたしまして、首都圏の若者を対象とした沿岸地域への新しい旅行商品の開発に取り組むなど、観光客の誘客に努めてまいることとしております。
 次に、時間雇用職員の採用についてでありますが、県では、新卒者等就業応援プログラムの一環として、未就職のまま大学、高校を卒業された方などを、働きながら就職活動が継続できるように、県の時間雇用職員として、50名の枠で7月以降順次採用することとしております。任用期間につきましては原則6カ月でありますが、本人の希望などにより今年度いっぱい任用可能としております。
 県といたしましては、業務への従事を通じまして、社会人としてのマナーや組織での仕事の進め方などを習得できるよう配慮しながら、各種就職セミナーの受講を促すなど、早期の就職に向けた能力向上を図っていきたいと考えております。こうした取り組みの中で、任用期間のうちにできるだけ多くの方々に就職していただくことを強く期待しているところであります。
 次に、県北・沿岸部の企業誘致についてでありますが、平成19年度に施行された企業立地促進法に基づき、各地域の自治体や関係機関で構成する協議会が、それぞれの地域の特性や強みなどを踏まえて策定した基本計画において、気仙地域では、食品や木材、港湾関連、釜石・大槌地域では、産業用機械、金属、食品、宮古・下閉伊地域では、コネクターや自動車、木材、久慈を含む県北地域では、食品や輸送機器、電子部品などを重点業種に定めまして集積促進に取り組んでおります。
 この結果、平成21年度までの3年間で、食品加工業を中心に5件の企業立地が決定したところでありますし、最近は下閉伊地域におきまして、自動車あるいはコネクター産業に増設の動きが見られるところであります。今後とも、これらの重点業種を中心に、地元市と連携いたしまして、誘致や増設に取り組んでいくこととしております。
 次に、県北・沿岸部における企業からの課題や要望についてでありますが、日常的な企業訪問のフォローアップの中で把握しているところでございます。内陸部に比較いたしまして、特に道路や通信環境などのインフラ整備、あるいは高い技術を持った人材の確保などに関する要望が多く寄せられております。これらの課題や要望につきましては、当部がワンストップの窓口といたしましてすべて対応いたしまして、関係する部署、あるいは関係する機関に必要な要請あるいは情報などの提供を行いまして迅速に対処しております。
 次に、沿岸における工業団地についてでありますが、県関係の工業団地は7団地あり、このうち2団地については完売、残る5団地の未分譲面積は30.4ヘクタールになってございます。
 県外からの新たな企業の立地のほか、既にこれらの地域に立地している企業の増設や二次展開も積極的に支援し、今申し上げた各地域の基本計画における重点業種を中心に企業の集積を図っていくこととしております。
 最後に、食産業の振興についてでありますが、本県において、食の安全・安心を理念として、1次から3次までの産業間の緊密な連携により、総合産業としての着実な成長を目指すこととしております。
 こうしたことから、昨年度、国との連携のもとに、全国4カ所のうちの1カ所として、フード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチを設立し、生産、加工から販売に至る事業者が、この食の安全・安心を共通理念としながら、相互に連携し、消費者との信頼の向上に努め、売り上げ増や取引拡大を図り、地域活性化につなげていこうとするモデル的な取り組みを進めているところであります。
 具体的には、水産加工業者としょうゆ製造業者の連携による付加価値の高い冷凍食品開発や、複数の漁業協同組合の連携による効率的な物流システムの構築など、新たな事業活動を支援しているほか、こうした活動を県内事業者に広く波及させるためのセミナーも開催しているところでございます。
 さらに、今年度前半には、これまでの先進事例を食産業振興のロードマップとして取りまとめるとともに、多様なビジネスモデルを創出いたしまして、岩手ブランチ活動に賛同し、新規に参入する事業者の拡大を促進しながら、地域活性化を図ってまいりたいと考えております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 県立病院の医師確保についてでありますが、全国的な勤務医不足の中、本県においては、勤務医招聘の専担組織である医師支援推進室を設置し、各大学医局への派遣要請や医師情報の収集、各種公募活動、医師等への訪問活動等の即戦力となる医師の招聘活動を積極的に展開してきたところであります。
 さらには、各県立病院におきましても、勤務医の公募等を含めた医師招聘活動を積極的に実施しており、その際には、医師支援推進室の職員が対象職員との面談に同行したり、相手方からのさまざまな希望や照会に対応するなど、病院と協同で医師確保に努めてきたところであります。
 議員御指摘のとおり、医師招聘に当たる病院現場を積極的にサポートしていくことが重要であると考えており、医療局と保健福祉部との共管組織である医師支援推進室が中心となって、関係病院と密接な連携を図りながら、医師確保に今後ともより一層積極的に取り組んでいく考えであります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 線維筋痛症患者の救済についてでありますが、まず、線維筋痛症に対する国の対応状況についてでございます。
 国におきましては、平成15年度から大学等の研究者で構成する研究班に対し助成を行い、発生要因の解明や治療方法についての研究を進めてきたところであり、本年3月には、この研究成果に基づき、診断基準などを定めた線維筋痛症診療ガイドラインが策定されたところでございます。
 この研究及び研究費につきましては、今後も充実していくべき必要があるものと考えておりますので、国に対し、新たに要望してまいりたいと考えているところでございます。
 また、国におきましては、本年4月に新たな難治性疾患対策の在り方検討チームを設置し、広く難治性疾患対策全般について、医療、研究、福祉、就労・雇用支援等の横断的なあり方の検討を行うこととしておりまして、その動向についても注視していく必要があるものと考えております。
 次に、県内の線維筋痛症患者数やその実態の把握についてでありますが、線維筋痛症の患者数は、国、県ともに十分な把握ができていないところでございますが、厚生労働省研究班の疫学調査によりますと、発症率は人口の約1.66%と言われており、これから推計いたしますと県内の患者数は、極めて粗い数字ではございますが、約2万人と見込まれるところでございます。
 また、患者の実態についてでありますが、県が委託設置しております県難病相談支援センターには、全身に強い痛みや倦怠感など多様な症状があることから、病院を幾つも受診し、診断がつくまで長時間を要することがさまざまな負担となっていることや、病気が一般的に知られていないため周囲に病気と信じてもらえず、精神的な苦痛や不安があることなどの相談が寄せられていると承知しているところでございます。
 次に、県独自の経済的、精神的な患者救済策についてでありますが、線維筋痛症は、全国の患者数が約200万人と見込まれ、患者数が極めて少ないことを要件としております国の難病に対する医療費助成の対象となっておりませんことから、多額な医療費を負担する場合には、高額療養費制度の活用が行われているものと推察しております。したがいまして、今後、患者の方々の実態把握に一層努めながら、医療費助成に関しましては、国に対する要望について検討していく必要があるものと考えているところでございます。
 また、患者の方々に対する精神的な面の支援につきましては、引き続き、県難病相談支援センターにおきまして、就労に関する悩みなども含め、相談に対応していくほか、患者、家族がさまざまな悩みを話し合う交流会の開催や、病気についての理解を深めていく学習会などへの支援を行っていくこととしております。
 なお、本年5月に患者団体すみれの会が結成され、県難病・疾病団体連絡協議会に加盟したところでありまして、毎年度開催しております県と同協議会との懇談会の場などにおきまして、意見、要望等をお聞きしながら対応していきたいと考えております。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) まず、公共施設における県産木材の利用実態についてでありますが、県では、平成15年度から、公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定し、率先して県産材の利用に取り組んでおり、平成19年度から平成21年度までの第2期計画での県産材等の木材利用実績は、3年間で2万2、000立方メートルとなり、達成率127%と目標を大きく上回ったところであります。
 また、市町村に対しましても県産材の利用を働きかけており、平成21年度の実績は、5年前の2.8倍の約9、000立方メートルとなり、市町村の木材利用も増加傾向にあります。
 このように県や市町村が率先して取り組むことは、県産材利用に対する県民意識を醸成し、民間での利用にも波及効果をもたらすものと考えており、今後とも、市町村及び関係機関と連携しながら、積極的に県産材利用に取り組んでまいります。
 次に、本県の認証制度の状況についてでありますが、県産材であることを証明する岩手県産材証明制度は、県営建設工事等で活用されており、県産材の証明材積は、平成17年度の1万2、000立方メートルから平成21年度には6万7、000立方メートルと、ここ5年間で約5.5倍となっており、制度は着実に普及、定着が進んでいるところでございます。
 県では、今年度から新たに始まった県産材住宅の建築支援においても、岩手県産材証明制度を活用することとしており、引き続き制度の普及、定着に努めてまいります。
 次に、国の木材自給率50%以上に向けた取り組みについてでありますが、県は、いわて県民計画において、食料、木材供給基地の確立を重要施策として掲げ、成熟しつつある森林資源を背景として、県内外へ木材製品の販売に一層取り組むこととしているところであります。
 具体的には、木材生産の低コスト化と県内大口加工事業体への木材安定供給や木材加工施設等の整備による生産性の向上、商談会開催などによる建築業界と木材業界のマッチング支援などにより、県内のみならず、県外での需要を拡大し、我が国の木材自給率50%の達成に貢献してまいります。
 次に、いわての森林づくり県民税についてでありますが、この県民税は、県民全体の負担により、豊かな森林環境を良好な状態で次の世代に引き継ぐことを目的に創設されたものであり、これまで、公益上重要で、特に緊急に整備が必要とされる森林について、針広混交林への誘導のための間伐等を進めてきたところでございます。
 平成23年度以降の県民税のあり方については、外部有識者等で構成する事業評価委員会で検討いただき、本年3月には、今後の基本方向について提言をいただいたところであります。
 提言では、今後も本県民税の目的を承継し、当該制度を継続することとされ、使途は、引き続き、針広混交林に向けた強度間伐を実施するほか、新たなものでは、間伐材等の木材利用の普及につながる取り組みも必要などとされたところであります。
 今後、この提言を踏まえるとともに、引き続き、県民や県議会の皆様の御意見をいただきながら、県産材等の利用に対する県民の理解が深まるような取り組みを検討してまいります。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) 県産材を使った省エネ住宅への補助制度、住みたい岩手の家づくり促進事業についてでございますが、第1期といたしまして、本年4月1日以降7月31日までに着工する住宅を対象に、5月10日から募集を開始したところでございます。
 利用状況は、5月分の申請が8件、6月分の申請が現在までで9件、計15件となっており、補助額の累計は339万円となっております。
 次に、国の長期優良住宅に対する補助制度の利用状況でございますが、6月15日時点で全国では1、017戸、岩手県内では15戸となっております。
 この制度による年間を通じた新設住宅着工戸数の増加についてでございますが、国では、全国で今年度2、500戸程度の申請を想定しているとのことであり、これまでの全国に対する岩手県の比率等から、本県内では25戸程度の着工増を想定しているところでございます。
 大変申しわけございません。数字の訂正をさせていただきます。
 住みたい岩手の家づくり促進事業の利用状況につきまして、5月分の申請が8件と申しましたけれども、6件の誤りでございます。訂正して、おわびをいたします。失礼いたしました。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 高校生の就職内定率についてでありますが、県立高等学校における進路指導につきましては、各学校とも、生徒一人一人の進路実現に向けて、面談や企業訪問の回数をふやすなど、各地域の実情に応じた進路指導の充実に努めているところであり、昨年度からは、これまで以上に前倒しして取り組んでいるところであります。
 就職内定率につきましては、単年度単年度で上下することから一概に傾向をつかむのは難しいのですが、昨年度に限って申し上げますと、県外に着実に就職を内定した地域の内定率が高い傾向にあると考えています。
 次に、基礎力確認調査についてでありますが、高校の場合、同一地区の学校でも、校種、学科や生徒の出身地が異なるために、地域性の分析は行っておりません。そういうことを御理解賜りたいと考えています。
 本来、この調査の目的は、生徒の実態から明らかになったそれぞれの学校の課題を、学校と県教育委員会が連携して解決することによって、生徒一人一人の基礎力を定着させ、学力の全体的な底上げを図ることにあります。特に高校では、学校によって生徒一人一人の基礎力の状況が異なりますので、今般の調査を受けて対策を検討中であり、そのことを踏まえて学力向上に取り組んでまいりたいと考えています。
 次に、中学校につきましては、基礎力の定着と学力向上に課題があるものと認識しております。これらの課題の解決に向けて、今年度は、中学校に予算を重点的に配分したほか、学力・授業力向上担当の指導主事が中心になって小・中・高が連携した学力の向上に取り組んでおります。
 また、PTA活動や地域との連携を通して家庭学習の取り組みも強化しているところであり、今後もこれらの取り組みを継続推進してまいります。
 高校につきましては、御指摘のとおり、就職環境が依然として厳しい状況が続いておりますので、各学校において、対策を通じて生徒一人一人の学力向上を図り、進路目標が達成できるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇34番(平沼健君) 御答弁ありがとうございました。1点、再質問させてください。
 線維筋痛症について、若干お尋ねいたします。
 これは、本当に治療法の確立というのは早急に図らなければならないというような思いでございます。ただ、いろいろお話を聞いていますと、難病指定にまだされていないということで、この難病指定にかかわる条件から外れているということなんですね。余りにも患者数が多いというか、そういうことなようでございます。
 そういうようなことで、やはり治療法の確立、こういう難治性疾患を含む働きかけというか、そういうことを国に対して、この事業にいろいろな条件があるようですけれども、その辺が要望していくにも大変かなと思っておるのですが、その辺、どのようなことで対応していこうとしているのか、お聞かせいただければありがたいと思っております。
 それから、難病支援センターに今、患者さんからいろいろな相談があるようです。やっぱり先ほどお話がありましたように、負担の相談とか、あるいは精神的苦痛とか、そのようなことが実際にあるようでございますけれども、なかなかこの対応が難しいと思うんですね。ですから、その辺が、現在どのような対応をされているのか、もしおわかりであればお聞かせいただければありがたいと思いますし、また、岩手県以外の他の県といいましょうか、都道府県といいましょうか、そっちのほうでのその状況をもし把握しておれば、それもあわせてお聞かせいただければと思います。
 最後に、この線維筋痛症が、私たちのこの社会で、理解してもらうというか、そういう病気があるんだというか、やっぱりその辺が、精神的な苦痛ということが患者さんにはあるわけでしょうし。ただ、問題なのは、差別につながるような、理解といいましょうか、そういうようなこともなかなか難しいと思うのですけれども、その辺、これからどういう対応をしていけばいいのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、治療法の確立に向けました国への要望についてでありますが、線維筋痛症につきましては、診療ガイドラインが策定されたところでございますけれども、研究班から国に対しましては、まだ診断基準等は確立したものではなく、さらなる研究が必要という報告がなされているところでございます。
 したがいまして、先ほど御答弁申しましたとおり、まずは、関係研究費の充実について、速やかに国に対して要望したいと考えております。
 その上で、引き続き、今、議員からお話がございましたが、いわゆる難病としての研究費の確保、あるいは、それに続きます治療費助成制度への組み入れ等についても、引き続き、その後、要望していく必要があると考えております。
 また、治療法の確立におきましても、今後の国の研究の進展状況を周知しつつ、全国衛生部長会等でも検討を行いながら、しかるべき時期をとらえて国に対して要望していく、こういう考え方をしているところでございます。
 次に、県難病相談支援センターの相談内容についてでありますが、平成21年度に県難病相談支援センターで受け付けました相談件数は、全体で2、601件でございました。うち線維筋痛症の患者、家族の方からの御相談は、来所相談が38件、電話での相談が84件の122件でございました。
 県難病相談支援センターにおきましては、患者の方々が、さまざまな悩みや不安を抱えながら相談に来所されますことから、できるだけ時間をかけて、一人一人の訴え等を丁寧にお伺いいたしますとともに、線維筋痛症患者の方々同士で悩みを相談し合えるような機会を設けますとともに、生活の質をさらに高め、毎日を充実して送れるよう、岩手県難病疾病団体連絡協議会等が主催しております各種の文化イベントや教室などを紹介するなど、患者の方々を支えるためのきめ細かな対応をしているところでございます。
 次に、他県の対応状況についてでございますが、現時点におきましては、東北各県については直接照会いたしましたが、おおむね本県と同様の対応をしているものと承知しております。
 また、国に対して照会いたしましたが、全国的にも、特に具体的な対応をしている都道府県は承知していないというような回答をいただいているところでございます。
 次に、疾病の理解促進についてでありますが、線維筋痛症は、現状でも、一般の県民はもとより、患者の方々を支える医療、保健、福祉等の関係者にも十分な理解が得られているとは言えないような状況にあるものと認識しているところでございます。
 したがいまして、県におきましては、今後、保健所を中心といたしました難病患者を支援するための地域のネットワーク等を活用して、医療、保健、福祉関係者等に情報提供を行いますとともに、県や県難病相談支援センターのホームページ等を活用し、線維筋痛症の情報や患者団体の活動状況などについて、県民の方々にも情報発信を行い、理解を深めていただきたいと考えております。
 また、特に同センターには、勤務先の企業、事業所において疾病に関する理解が得られにくいなどといった相談も寄せられておりますことから、関係部局とも連携しながら、商工団体等を通じまして、企業、事業所での理解を深めていく取り組みも進めてまいりたいと考えております。
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時29分 休 憩
出席議員(44名)
2  番 工 藤 勝 博 君
3  番 岩 渕   誠 君
4  番 郷右近   浩 君
5  番 高 橋   元 君
6  番 喜 多 正 敏 君
7  番 高 橋 昌 造 君
8  番 菅 原 一 敏 君
9  番 熊 谷   泉 君
10  番 木 村 幸 弘 君
11  番 久 保 孝 喜 君
12  番 小 西 和 子 君
13  番 高 橋 博 之 君
14  番 及 川 あつし 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 嵯 峨 壱 朗 君
25  番 田 村   誠 君
26  番 飯 澤   匡 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時48分 再開
〇副議長(小野寺研一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。木村幸弘君。
   〔10番木村幸弘君登壇〕(拍手)

前へ 次へ