平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

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〇16番(中平均君) 民主党の中平均です。
 先輩、同僚議員各位の御配慮により、本日、一般質問登壇の機会を得たことに感謝いたします。先日の一般質問と重複する項目もございますが、御了承いただき、通告どおり質問してまいりますので、達増知事初め、執行部には明快な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、政権交代による効果についてお伺いいたします。
 昨年8月に衆議院議員総選挙が行われ、私ども民主党が目指していた政権交代が、多くの県民、そして国民の支持をいただき実現いたしました。政権交代により、国の政策は大きく変わり、新自由主義と言われた競争原理主義から、地域経済、雇用など各般にわたってのいわゆる地方を重視した政策への転換が図られてきているところです。
 そこでお伺いいたしますが、国の政策転換が、岩手県においてはどのような効果として見られるようになってきているのか、また、地方主権の推進が、どのように実現されてきていると受けとめられているのか、知事の御所感と今後の展望についてお伺いいたします。
 続きまして、4広域振興局体制についてお伺いいたします。
 達増知事が岩手発展のための施策として自身のマニフェストで掲げた岩手四分の計。グローバル社会の進展に対応した有機的、効率的な組織体制のもとで、地域に根差した施策を展開することにより、岩手の振興を図るものと認識しております。
 その4振興局体制が、ことし4月からスタートいたしました。知事が岩手発展のために必要としていた組織体制が整備され、これからの具体的な取り組みが期待されるところでありますが、4広域振興局体制のもとでの岩手の発展を進める意気込みについて、達増知事の生の声を伺いたいと思います。
 続きまして、県北・沿岸振興についてお伺いいたします。
 平成17年度に広域圏の見直しがなされてから5年間が経過いたしました。この間、予算的には十分と言えないまでも、重点的に配分され、さまざまな地域振興施策が実行されてきました。その結果として、久慈のしめサバ、野田のホタテなど、地域企業と首都圏量販店との取引の拡大や、シイタケやホウレンソウなどの園芸作物の生産規模が拡大されてきており、県の積極的な取り組み姿勢が評価されているところです。
 そして、今後さらなる施策の展開が行われることで、地域への波及効果が期待されているのは言うまでもありません。もちろん県行政に頼るだけでは地域の発展は望めませんが、より地域と一体となった今後の振興策についてお伺いいたします。
 引き続きまして、沿岸地域の主産業の一つである水産業についてお伺いいたします。
 県は、サケの回帰率の向上対策やアワビの稚貝放流事業の継続と回収率の向上などに取り組んでまいりました。また、サケのふ化場の整備や増殖場等の整備、取締船の有効活用による密漁対策などを行うなど、各種施策の展開により一定の成果を上げてきていると認識しています。
 沿岸地域のみならず岩手の主産業の一つである水産業の振興について、これまでの成果と実績、その上での課題の認識、そして、これからの施策について伺います。
 続いて、地域医療についてお伺いいたします。
 深刻な医師不足を起因とした地域医療体制の崩壊の危機を克服するために、地域と連携した医療体制構築について、県においては、地域医療懇談会を開催し、医師不足対策を検討するなど、地域で医療を守るさまざまな議論をしてきました。また、各地域においても、地域医療を守ろうとする活動が活発化しています。
 しかしながら、全県で見ると、地域によって温度差があるようにも見受けられますが、県としてはどのように認識しているのかをお伺いいたします。
 次に、地域の医療資源の活用についてお伺いいたします。
 現在の医師不足の状況では、県として、地域内における各種医療機関との連携がなければ、県立病院単独での医療サービスの提供を初めとする運営が難しい環境下にあります。県として、今後、地域の医療資源との連携をどのように考え、実行していくのか、お伺いいたします。
 次に、医療、福祉、介護、保健の連携についてお伺いいたします。
 現行制度では、医療は医療、保健は保健、福祉は福祉、介護は介護と、いわば縦割りとも言える状況になっています。本来、地域で連携して取り組むことにより、医療、保健、介護、福祉の総合的な推進を進める計画が必要であると考えます。しかし、依然としてそれぞれの分野においては壁があり、十分に連携が機能しておらず、現実との乖離が進んでいるのではないかと感じています。
 高齢化が進み、例えばリハビリテーションの需要が高まる中で、療法士等が少ないということのため、必要なリハビリができていないとの患者さんの声も聞いておりますし、この点に関しては、前回の一般質問においても指摘をしているところであります。
 必要な医療を充実させるため、今持っている医療、福祉、介護、保健の資源を総合的に活用し、補完し合うことで、よりよいサービスを提供できると考えますが、県はどのように考えているのでしょうか。
 その上で、各分野によっては増員が必要と判断されるのであれば、対応していくことこそが、医療福祉資源の有効活用と住民に対するサービス向上につながると考えますが、いかがでしょうか。
 雇用対策についてお伺いいたします。
 県内の平成22年4月の有効求人倍率は0.38倍と依然として厳しい状況にあり、その中でも、久慈地域の有効求人倍率は0.20倍とさらに低水準にあります。
 地域においては、地域雇用創造推進事業に取り組むなど雇用の創出に取り組んでいるところではありますが、地域産業の特性などに起因して抜本的な改善が難しい状況にあります。
 このような状況を踏まえ、雇用環境の改善に向けて、県北地域における求職者の雇用対策の充実が求められています。県においてもジョブカフェの設置などを行ってきたところでありますが、今後どのような施策を講じる考えかお伺いいたします。
 次に、岩手県I援隊活動についてお伺いいたします。
 最初に、I援隊運動の評価についてお伺いします。
 平成21年度のゼロ予算事業からスタートしたとも言える岩手県I援隊の活動は、いわてMOW MOWプロジェクト、浄法寺漆振興戦略や花巻遠野応援隊活動など、県行政の枠を越えた活動が行われています。
 そして、徐々に、自主的、創造的なI援隊の活動が県庁内に広まりつつあるのだろうと認識しておりますが、達増知事はどのように評価しているのかお伺いいたします。
 次に、今後のI援隊運動のあり方についてお伺いいたします。
 行政組織においても、民間組織においても、トップが考えていた当初の事業の趣旨が、いつの間にか変質していく可能性があることは周知の事実です。過去の例で言えば、県庁内において、岩手マネジメントシステムの本旨は、無駄が多いと批判の行政運営を効率的に進め、少ない人材で有効な成果を上げることにありましたが、結果的に、人員削減が進み、ただでさえ少ない人数の中で、その進行管理のためのポストを設置するといった、行き過ぎとも言える現象が生じた現実がありました。
 さきに発言したように、I援隊運動は、ゼロ予算事業として自発的に提案し実行するなど、職員の自主性とやる気により活動していると認識していますが、それが、過去の例のように、目的と手段が逆転し、I援隊をつくることが目的とならないようにするためにも、今後どのように活動を根づかせ、そして、どのように運動を発展させ、よりよいI援隊にしていくのか、なお一層の全庁的な活動にしていくための方策についてお伺いいたします。
 次に、食の安全・安心についてお伺いいたします。
 最初に、牛の繁殖肥育地域内一貫生産体制についてお伺いいたします。
 口蹄疫が発生した宮崎県を初とめする九州は、全国の5割の和牛子牛を生産しており、今回の口蹄疫の発生で、九州の一部の家畜市場が閉鎖され、ここに素牛を依存していた松阪牛などの肥育産地は、素牛の確保に大変苦労していると報道があったところです。
 一方、岩手県では、地域内で繁殖農家、肥育農家のバランスがとれており、地域内生産された地元の牛を購入して肥育する地域内での一貫生産体制が確立されていると言えます。まさに牛肉主産県である岩手県の特色であり、強みであるといえ、県として、安全・安心を訴える上での大きなアピールポイントであります。
 この地域内一貫生産体制を維持、安定させていくことが必要と考えますが、県においても、いわて牛ブランド戦略を策定し取り組んでいると認識しておりますが、今後の地域一貫体制の維持、確立とブランド力の強化についてお伺いいたします。
 続いて、風評被害対策についてお伺いいたします。
 宮崎県における口蹄疫の発生により、本県の畜産業への風評被害はないのでしょうか。風評被害があるとすれば、どのような対策を考えているのか、お尋ねいたします。
 そして、水際対策についてでありますが、本県を初め、各都道府県は、宮崎県からの侵入防止に全力で取り組んでいるとろであります。
 一方、海外に目を転じれば、日本の近隣では、ことしに入っても口蹄疫が発生しております。海外からの航空機や、国内では一般車両、特に家畜運搬車に対する県内への水際対策はどのように考えているのか、その対応をお伺いいたします。
 次に、今議会に提案されております岩手県食の安全安心推進条例案についてでありますが、今回の口蹄疫に代表されるように、正しい情報を適時的確に県民に伝え、県民生活に無用の不安や戸惑いなどを招くことのないよう、県民との情報共有が必要と考えますが、今回の条例案により、食に関する風評被害対策などがどのように盛り込まれているのかお伺いいたします。
 続きまして、観光客誘致についてお伺いいたします。
 花巻空港のチャーター便の昨年度の受け入れ実績は87便とのことであり、平成20年度から比較しますと7便減、人数で約1、500名の減となっております。その中で、実際に昨年1年間で受け入れを断念したチャーター便は50便にも上っているとのことでありますが、受け入れを断念せざるを得なかった理由は何かお伺いいたします。
 また、チャーター便の経済効果についてでありますか、1便当たり130人と計算すると、6、500人が来県できなかったことになると試算しているようでありますが、経済的な影響をどうとらえているのかもあわせてお伺いいたします。
 その中でチャーター便の受け入れ体制についてでありますが、受け入れ断念の主な理由の中で、JALの体制に起因するものが多いと伺っておりますが、地域に波及する経済効果等を考えていきますと、受け入れに要する経費について、例えば半額を補助するなどを行うなどしてチャーター便を受け入れる体制を整えることにより、整備した花巻空港を活用することが、県内各地域の経済発展に寄与するのではないかと考えます。
 先般、開催された岩手県空港利用促進協議会総会においても、チャーター便運航を拡大するための取り組みを決定したと伺っておりますが、JAL側の受け入れ体制が整備されなければ、昨年と同じく、せっかくチャーター便の打診があったとしても、ほかの空港に回さざるを得ない事態が容易に考えられます。このようなことからも、JALの国際線チャーター便受け入れに対する人件費等の経費を支援することは有効な手だてと考えますが、県はどのように考えているのかをお伺いいたします。
 続きまして、新幹線延伸による観光への影響についてお伺いいたします。
 ことし12月から東北新幹線は青森まで延伸されることが決定されているところであり、青森県においては、観光客誘致の大きなチャンスととらえ、準備を進めていると聞いておりますが、新幹線延伸により、青森駅は、いわば最終駅となり、いわゆる最終駅効果が、往時の盛岡駅と同様に生じることが見込まれます。
 この青森延伸による岩手県の観光への影響をどのようにとらえているのかをお伺いいたします。
 続きまして、通過型観光への対応についてお伺いいたします。
 県北・沿岸振興における一つの大きな事業として観光産業の推進に取り組んでおりますが、新幹線の延伸に伴って、岩手県は通過型の観光になることが予測されるところであり、また、ダイヤ改正において、県内の二戸駅の停車本数が減少することも懸念されます。既に二戸市においては、県に対しては当然ながら、JR東日本に対しても要望活動を行ったと伺っておりますが、県としてこのような懸念に対して危機感を持って対応する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 続きまして、地域と連携した観光振興施策についてお伺いいたします。
 先般の報道でもあったとおり、平成24年4月から6月の期間でJR東日本のデスティネーションキャンペーンが岩手県を対象に開催されることが決定いたしました。このことは岩手にとって大きな観光の起爆剤になると思いますが、過去に新幹線八戸延伸時点で期待された観光客増加の効果が、必ずしも県北・沿岸に波及しなかった事実から考えますと、青森延伸に対する危機意識を抱いているのは、私だけではないと思います。私の懸念が、ただの懸念で終わることを期待はいたしますが、期待感を抱くのみで行動を起こさなければ、後から後悔することは、過去の例からいっても明らかです。
 このことからも、重ねて新幹線の青森延伸に危機感を持ち、早急に地域と連携した観光振興施策を講じる必要があると認識いたしますが、県はどういう状況認識に立ち、どのような対応を図ろうしているのかをお伺いいたします。
 次に、海外販売戦略についてお伺いいたします。
 最初に、上海におけるトップセールスの成果についてお伺いいたします。
 現在開催されている上海万博へ岩手県の代表的伝統工芸品である南部鉄器を出展し、知事のトップセールスを契機として約7、000万円の販売契約や売買があったと伺っており、発展し続ける中国市場において、本県産品の販路拡大に大きな一歩を踏み出したものと認識しております。
 また、今回の出展には、岩手県大連経済事務所が大きく関与したとのことであり、事務所が設置され6年目を迎えた成果とも伺っています。
 先月には、プーアル市の政府の皆さんが岩手を訪れ、訪問先においてたくさんの南部鉄器を初めとする県産品を購入されたところであり、また、8月には上海からの団体旅行客の来県が予定されていることが、昨日の一般質問の答弁の中でございました。
 ここで改めて達増知事から、上海でのトップセールスの成果について、その感想と将来への展望についてお聞きしたいと思います。
 続きまして、海外への輸出に取り組む中小事業者への支援についてお伺いいたします。
 ただいま申し上げました南部鉄器は、中国における旺盛な需要に対して、県内企業の対応力を今後一層高めていく必要があると考えます。小規模生産の事業者が多く、大量の注文に対応する生産能力の拡大が求められると考えられることからも、このような点を踏まえつつ、中小事業者などのすそ野の拡大とデザインの高度化などに対して支援する必要があると考えますが、県として、中小事業者に対しどのような対策を行っているのかをお伺いいたします。
 続きまして、伝統工芸品及び地場産業の成長戦略についてお伺いいたします。
 岩手県には、南部鉄器のほかにも、浄法寺の漆であり、久慈の琥珀、岩谷堂箪笥など、世界に誇れる県産品が多数あります。このような伝統工芸品や地場産業などの分野における今後の成長戦略について、今回の成功事例を踏まえ、どのように対応していくのかをお伺いいたします。
 続いて、海外市場の開拓及び販売流通の戦略についてもお伺いいたします。
 生産段階での支援については、今、質問したとおりでありますが、それと同時に販売先の確保、いわゆる出口対策が求められております。特にも、海外市場の開拓、海外販売流通の支援が重要であると考えますが、その戦略についてもお伺いいたします。
 続きまして、トップセールスの成果の傾向と今後の対応についてお伺いいたします。
 達増知事は、知事就任以来、マレーシア、香港、シンガポールなど、これまで積極的にトップセールスを行い、岩手県の農林水産物や加工品の販売について成果を上げてきました。
 そこでお伺いいたしますが、過去のトップセールスにおける販売実績について、その成果をどのようにとらえているのか、また、実績を伸ばすための今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、農林水産物の海外における販売活動の取り組みについてお伺いいたします。
 海外における岩手県の農林水産物の輸出、販売活動について、知事がトップセールスを行った際は、ある程度の売り上げがあり、一定の成果が認められますが、県産品の販路拡大は、継続的な活動が必要であり、一度限りのイベントとならないよう、今後、継続した販売活動の取り組みをどのように行っていくのかをお伺いいたします。
 その上で、トップセールスを実施した以降の年度において、売り上げの確保と増大を図るとともに、さらなる品目の拡大が重要と考えますが、トップセールス後の県産品の品目拡大傾向について伺うとともに、現地のニーズを踏まえた今後の販売戦略についてもお示しをお願いいたします。
 次に、高校無償化についてお伺いいたします。
 最初に、徴収の考え方についてでありますが、ことし4月に施行された公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律において、公立高校の授業料が無償化されましたが、授業料を徴収しないことが公立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合においては、この限りでないとされており、国内において、その判断を地方公共団体にゆだねられているところであります。
 その結果として、一律不徴収にする県と、過年度卒及び留年した生徒からも徴収する県とがありますが、本県の徴収方法については、どのような考え方によるものなのかをお示し願いたいと思います。
 次に、病気及び不登校の生徒への対応についてお伺いします。
 さきの2月議会において提案された条例改正においては原則不徴収となっていますが、標準修業年限を超えた者として卒業した者及び留年生については、徴収することとされており、特別の事情として、留学及び休学は、徴収対象から除くとされています。
 条例提案時、また議会における審議の際において想定していなかった病気及び不登校など、学校に休学届を出すまでの間や休学届を出さずに学校を休んでいた場合など、やむを得ぬ事情により学校を休んだ生徒について、授業料が徴収される実態が生じていると聞いておりますが、このような病気、不登校の生徒に対する本県の徴収の取り扱いについてお伺いいたします。
 続きまして、多目的屋内練習施設についてお伺いいたします。
 前回2月県議会定例会において、我が会派の新居田弘文議員及び佐々木順一議員より、多目的屋内練習施設の木造化についての考えが質問されたところであります。
 大規模施設整備事業事前評価調書によれば、多目的屋内練習施設整備は、平成28年度に開催される第71回国民体育大会に向けた競技力の向上を図ることを目的とし、また、冬期間において厳しい自然条件にある岩手県の各種競技の練習環境の整備とともに、スポーツ医・科学の理論に基づいた科学的、計画的なサポート体制を構築するため必要な事業であるとされています。
 先般の2月議会における予算特別委員会の答弁では、工期及び経費の問題、林業団体の要望、競技団体の要望、医・科学サポートセンターの医科学的、専門的な知識からの要望などがかなりあって検討中とのことでありましたが、その後、今までの間の検討を経て、現在、県産材を活用した多目的屋内練習施設の建設についてどう考えているのかをお伺いいたします。
 次に、大規模事業評価専門委員会の評価への対応についてお伺いいたします。
 大規模事業評価専門委員会においては、現在評価中と聞いておりますが、それらの状況はどのようになっているのでしょうか。また、その状況を踏まえ、どのように今後進めようとしているのかをお示し願いたいと思います。
 そして、施設整備について、生み出される成果についてお伺いいたします。
 公表されている大規模事業評価専門委員会の資料では、建設費が48億円弱、人件費等を含めた年間運営費が約9、300万円、一方、利用料収入等で2、000万円弱となっており、その収支差額で見ると、年間約8、000万円弱のランニングコストが必要になるとのことでありますが、県財政が厳しい中において、多額のランニングコストを要するこの施設の建設は、県民からの理解が得られなければなりません。
 このような経費が見込まれる施設を整備しようとしていますが、どのような成果を見込んでいるのかをお伺いしたいと思います。
 以上、通告した質問を終わらせていただきますが、最後に、この岩手県を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあります。危機を希望に変えると訴え行動を続けてきた知事のリーダーシップと行動に、県民は大きな期待を寄せておりますし、そのことは、知事の支持率が63%というマスコミのデータにもあらわれていると考えています。
 また、私ども県議会議員も、二元代表制の一員として、県民の声を県政に反映させていく行動を続けていくことが求められていることは、言うまでもありません。
 岩手県民の英知を結集し、この危機を乗り越え、岩手県が発展していくためには、今後とも、知事、執行部、また私ども議会、互いに切磋琢磨し、努力していくことが必要であり、そのことを確認するための一般質問をこれで終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政権交代による効果についてでありますが、国においては、地方財政対策で地方交付税の増額を確保するとともに、子ども手当の支給や高校授業料の無償化、農業の戸別所得補償制度の本格導入に向けたモデル対策を実施するなど、民主党がマニフェストに掲げた地方を重視した政策が着実に実行されていると認識しております。これらの政策によって平成22年度当初予算において必要な一般財源が確保され、県民の暮らしや仕事にかかわる取り組みの一層の充実が図られましたほか、子育て世代の負担軽減と、社会全体で子育てや教育を支援する意識の醸成、厳しい経営環境のもとでの安定した農業経営の実現などにつながるものと期待をしているところであります。
 また、地域主権の推進については、地方6団体が長年にわたって要請してきた、国と地方の協議の場の法制化に取り組むとともに、今後の地域主権改革推進の羅針盤となる大綱が閣議決定されるなど、取り組みが着実に前進しているものと考えます。
 今後は、大綱に基づいて具体的な改革が遅滞なく実行されることを強く期待しております。本県としては、単に制度面の改革を待つことにとどまらず、できるところから地域主権的な取り組みを進めていくことが重要と考えております。
 次に、4広域振興局体制についてでありますが、県では、地域の特性を最大限に発揮できる枠組みとして4広域振興圏を設定するとともに、4広域振興圏がそれぞれ明確な顔を持った圏域として進化していくため、いわて県民計画アクションプラン地域編を策定したところであります。
 今般、県北、沿岸を含め、1広域振興圏1広域振興局体制となったことによりまして、オール岩手の力を結集した取り組みはもちろんですが、産業振興を中心としました、圏域が一体となった地域振興施策を強力に推進できる体制が整ったものと認識しております。
 今後は、広域振興局長のリーダーシップのもとで、総合力、機動力を発揮した地域経営を一層強化し、市町村や地域住民の皆さんと連携しながら、地域編に掲げる各圏域の目指す将来像の実現に向けた取り組みを展開してまいります。
 次に、岩手県I援隊運動に対する評価についてでありますが、岩手県I援隊運動は、県及び県職員が既存の枠組みを超えて、独創力と行動力を発揮しながら、県内外のさまざまな主体と問題意識や地域課題などを共有できるネットワークを築き、その課題解決に取り組んでいこうとするものであります。
 これまでに120件の登録があり、県内はもとより、国内外とのネットワークを築きながら、黄金の國、いわて、MOW MOWプロジェクトや上海万博への出展などさまざまな独創的な取り組みが行われ、職員の人材育成や組織力の向上などの成果が出てきております。加えて、県内経済界の皆さんも岩手観光I援隊を結成するなど、県職員以外にも運動に共鳴する動きも出てきつつあり、非常に心強く感じているところであります。
 次に、今後の岩手県I援隊運動のあり方についてでありますが、岩手県I援隊運動は、職員一人一人が坂本龍馬になったつもりで、自由な発想と行動で展開していくことが基本であります。そのため、その実施に当たっては、職員への運動の趣旨の周知や理解の醸成に努めることに主眼を置き、職員が自発的に取り組むこととしたところであります。
 今後は、さまざまな懇談の場や各種広報媒体等を活用し、運動の趣旨や取り組み事例を庁内外へより一層周知することで職員の意識改革を進め、新たな取り組みや既存の取り組み内容の向上につなげてまいります。
 さらに、趣旨に賛同する県民の皆さんにも積極的に参加いただくなど、運動の輪をさらに広げていきたいと思います。
 次に、上海におけるトップセールスの成果についてでありますが、まず、上海万博への出展を契機として、中国を初め海外の方々に本県の物産や観光資源を広くアピールし、県産品の販路拡大や観光客の誘客への道筋をつけることができました。
 特に南部鉄瓶については、高い品質とその工芸品としての価値が認められ、今後、中国における継続的な販売の大きな足がかりができたと認識しております。さらに、漆器、干しアワビや干しナマコなどについても新たな取引の可能性を見出すことができました。
 また、プーアル市及び上海大可堂関係者との親交を通じて強力な人的ネットワークが構築できたことに加え、大連に続く中国における経済活動の拠点を確保できたことも大きな成果と認識しております。
 今後は、これらの成果を踏まえ、南部鉄瓶に続く本県企業の中国ビジネスの展開や市場開拓を一層促進してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承願います。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸振興の成果と今後の振興策についてでありますが、県北・沿岸振興につきましては県政の最重要課題として位置づけておりまして、県北・沿岸振興本部を中心として、地域と一体となり、県北・沿岸圏域の産業振興に重点的に取り組んでまいりました。
 その結果、食産業、ものづくり産業、観光産業、農林水産業などにおいて、さまざまな地域資源を活用した新商品の開発や販路の開拓、農商工連携などの新たな展開、新規立地企業と既存立地企業の生産拡大、農林水産物のブランド化などの成果が着実にあらわれてきているものと認識しております。
 これからも、市町村や民間企業、関係団体など地域の方々と一体となって、これまでの成果をさらに発展させ、雇用の場の確保や所得の向上につなげるなど、地域の自立と活力を生み出す産業経済基盤の構築に向け全力で取り組んでまいります。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) 水産業振興に対する成果と課題についてでありますが、県はこれまで、つくり育てる漁業の推進や担い手の育成、水産物の加工、流通の振興に取り組んできたところであり、特にサケ、アワビについては全国トップレベルの生産を維持するほか、ナマコやホヤの種苗量産技術が確立されるなど、取り組みの成果があらわれているところでございます。
 一方で、就業者の減少、高齢化の進行や前浜資源の高次加工品の割合が低いなど、さまざまな課題を抱えております。
 そのため、今後ともサケ回帰率やアワビ回収率の向上などの取り組みを推進するとともに、6次産業化や水産加工振興による高付加価値化の促進、さらには養殖を中心としたこれまでの地域営漁計画に加え、新たに久慈以北を対象とした県北型地域営漁計画の実効支援を行うなど、水産業の振興に取り組んでまいります。
 次に、牛の繁殖肥育地域内一貫生産体制についてでありますが、本県におきましては、議員御指摘のとおり、豊富な草資源を生かした子牛生産基盤を背景に、県内で肥育される子牛の9割が県内産と高い割合となっており、肥育素牛を確保し、安定的に牛肉生産を継続するためにも、さらに地域内一貫生産を進めていくことが重要であると認識しております。
 したがいまして、今後とも、自家産の子牛を肥育する場合に奨励金を交付する国の事業や制度資金の活用、県単事業による牛舎整備などにより地域内一貫生産基盤を強化するとともに、稲わらを初めとした肥育牛の粗飼料についても本県産であることをPRし、いわて生まれ、いわて育ちを前面に出した岩手ならではの安全・安心なブランドとして販売拡大に努めてまいります。
 次に、口蹄疫の風評被害対策についてでありますが、口蹄疫は偶蹄類の動物の病気であり、人に感染することはないこと、また、感染した動物の肉などが市場に出回ることはなく、仮にこれらを摂取しても人体に影響はないことなど、正確な情報の提供が風評被害を防ぐ上では重要と考えております。
 このため、県としてはいち早く県のホームページでこれらの情報を提供するとともに、県や関係団体等による口蹄疫に係る各種の会議を公開で開催し、正しい情報に基づいた冷静な対応を呼びかけるとともに、積極的な情報発信に取り組んできたところであります。
 こうした取り組みにより、今のところ牛肉、豚肉等の買い控えやこれに伴う取引価格の下落などは見られておりませんが、風評被害による影響が見られる場合には、正しい知識の一層の普及を図り、その払拭に関係機関と一体になって取り組むとともに、販売促進に一層努めてまいります。
 次に、水際対策についてでありますが、口蹄疫の県内への侵入を阻止するためには、発生地域からの人や車両に対する防疫対策を実施することが重要であると認識しております。県では、海外からの侵入防止策として、平成18年度から、いわて花巻空港で、台湾などからの国際チャーター便の旅客者に対し塩素系消毒薬による靴底消毒を実施しており、さらに、宮崎県での発生を受け、5月31日から国内便でも同様の措置を行っているところであります。
 また、農場に立ち入る家畜や飼料の運搬業者などに対しては、発生後直ちに車両消毒の徹底を要請したところでありますが、さらに6月2日からは、社団法人岩手県トラック協会と連携し、取り組みを強化したところであります。
 一方、生産者の方々に対しても、農場に出入りする車両消毒の徹底、発生地域への不要不急な移動の自粛を繰り返し要請しているところであります。
 今後ともこうした水際対策を強化し、侵入防止に取り組んでまいります。
 次に、知事のトップセールスの成果と今後の対応についてであります。
 これまで、知事のトップセールスにより現地輸入業者等との人的ネットワークが形成され、マレーシアにおいては、岩手フェアの開催がことしで4年目を迎え、現地での定着が図られ、岩手県の知名度を高めたこと、香港においては、リンゴを中心とした岩手フェアの開催が実現し、今年度も引き続き商談の段階に入っていること、また、シンガポールにおいては、昨年開催した東北フェアがきっかけとなり、牛肉の販売、県産米の取引数量が拡大したことなどが成果として挙げられるところであります。
 今後とも、知事が切り開いた人脈など最大限に有効に活用し、現地での販売促進活動等を活用した販売ルートの多様化に努めてまいります。
 次に、農林水産物の海外における販売活動の取り組みについてでありますが、知事のトップセールスを契機に、継続した輸出を進めるため、平成20年3月に官民で構成するいわて農林水産物輸出促進協議会を立ち上げ、これまで海外実需者との商談会や県内へのバイヤーの招聘、米、リンゴ、水産物、牛肉等を中心とした現地小売店でのフェアの実施などの販売促進活動に取り組んできたところであります。
 今後も、知事がトップセールスを行ったマレーシア、香港、シンガポールについて、継続した販売活動につながるよう、中間流通を担う現地卸業者や貿易商社との連携を強化し、引き続きフェアや商談会等を実施し、現地市場における県産農林水産物の定番化に努めてまいります。
 次に、さらなる品目の拡充についてであります。
 これまで多様な品目の県産農林水産物を提案してきた中で、例えば、マレーシアでは干しシイタケ、水産物、リンゴ、香港では糖度の高い黄色系のリンゴなど、国ごとの市場ニーズに合った品目が明確になってきたところであります。
 一方、国内と同様に海外でも国内他産地との競争が激しくなってきていることから、岩手ならではの特徴を生かした品目を提案していく必要性も見えてきたところであります。
 こうしたことから、商社等の専門家で構成する輸出コーディネーター等を活用し、ニーズに沿った品目の重点販売、国内競合産地との差別化、新たな販売チャンネルの拡充などに取り組み、あわせて輸出条件や市場のニーズの動向をとらえ、新たな品目の掘り起こしを進め、海外における県産農林水産物の定着と拡大を目指し、官民一体となって輸出促進に努めてまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、地域と連携した医療体制の構築についてでありますが、昨年度の地域医療に関する懇談会の開催を通じて、山田町の山田病院と地域医療を守る会や一関市千厩地域の朝顔のたね、千厩病院を守り隊など病院を支える取り組みが広がってきており、今年度はさらにこのような団体が相互に交流する活動も始まっているところであります。
 しかしながらこうした活動は、現時点では沿岸地域や旧東磐井地域などの特に厳しい医療環境に置かれている地域において活発に行われているものの、県央地域等では県民への情報発信につながるような動きが少ないなど、議員御指摘のとおり、地域による取り組みに温度差があるものと考えております。
 したがって、県といたしましては、こうした活動が広く普及するよう、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の構成団体と一体となりまして、各地域での取り組みを一層推進するとともに、地域振興推進費等を活用した出前講座やシンポジウムの開催などを通じまして必要な支援を行っていくこととしております。
 また、地域医療を支える活動につきましては、市町村が果たす役割も極めて重要でありますことから、昨年度、地域医療懇談会でまとめられました提言の具体化に向けまして、市町村との連絡会議等の場を活用しながら、市町村の主体的、積極的な関与を一層促すための働きかけを行うこととしております。
 次に、地域の医療資源の活用についてでありますが、医師の絶対数の不足に起因する現在の厳しい医療環境の中にあっては、医師養成や勤務環境の改善等に取り組むことはもとより、限られた医療資源を有効に活用し、地域の医療を支えていくための取り組みが重要であると認識しておりまして、各保健医療圏内での各医療機関相互の役割分担や連携をさまざまな形で推進していく必要があるものと考えております。
 このため、各圏域に設置しております圏域連携推進会議等において協議、調整を図りながら、地域連携クリティカルパスの導入等によります各疾病に対応した医療機関のネットワーク化を進めますとともに、宮古地区等で行われております医師会による中核病院への診療応援等の取り組みを支援し、病院と開業医との連携を推進するなど、地域医療提供体制の確保、充実を図っていくこととしております。
 また、地域住民に対しましては、各医療機関の機能や役割などの情報を盛り込みました新たなパンフレットを作成、配布いたしますとともに、医療機関の上手な利用の仕方などにつきましての普及啓発も引き続き展開しておりまして、これらの取り組みを通じて、限られた地域の医療資源を活用しながら地域医療を支える取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、医療、福祉、介護、保健の連携についてでありますが、現在の厳しい医療環境や高齢化が進展する中にあっては、医療機関相互の役割分担と連携のみならず、保健、介護、福祉等との連携を促進し、疾病予防や急性期医療から在宅に至るまで切れ目のないサービスを提供する体制を構築することが極めて重要であると認識しております。
 このため、各圏域において地域連携クリティカルパスの導入等の取り組みを進めますとともに、地域包括支援センターが担う医療、介護等関係機関のネットワークづくりなどの包括的、継続的マネジメント支援機能の向上や、急性期から維持期における脳卒中患者情報を県内の医療、介護関係機関が共有できるシステムの構築に向けた取り組みを進めているところでございます。
 しかしながら、これらの連携を担う人材につきましては、例えば、いわゆるリハビリ専門病院等を中心にリハビリテーション関係職種が増員されている一方、地域病院においては十分ではない現状にあり、また、地域包括支援センターにおいては社会福祉士や保健師、介護施設においては介護福祉士の人材が不足していることも承知しているところでございます。
 このため、例えばいわてリハビリテーションセンターによる療育センターへの作業療法士の派遣などのような、各病院、施設の連携を促進しますとともに、社会福祉士、介護福祉士、保健師を対象とした奨学金制度の創設、拡充等を行ってきたところであり、今後においても、関係者の御意見を伺いながら、こうした専門職種の連携や育成に関する取り組みに積極的に対応してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、雇用対策についてでありますが、本年度、県北地域においては、緊急の雇用対策として、県、市町村の雇用対策基金事業を集中的に投入し新規雇用を創出するほか、中長期的視点に立った産業振興施策として、財団法人いわて産業振興センターの実施する起業家育成塾やコーディネーターによる創業支援などを推進し、新たな雇用の創出に鋭意取り組むこととしております。
 また、就業支援のため、求人開拓や就業相談に対応する職員を広域振興局や地域ジョブカフェに新たに4人配置したほか、職業訓練についてはIT実践コースを新設するなど、昨年に比較しまして5コース、77人分増設しております。 
 このほか、地域ジョブカフェにおける各種就職セミナーや、今後、県北地域においても、国、県、市町村の雇用、福祉部門が連携したワンストップ・サービス・デイが実施されるよう準備をしております。このような取り組みを通じまして、求職者の方々が一人でも多く就職できるよう支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、新幹線青森延伸による観光への影響についてでありますが、新幹線延伸に伴い北東北への新幹線利用客が増加することに加え、平成23年度の平泉文化遺産の世界遺産登録や、平成24年度の本県でのデスティネーションキャンペーンにより本県が全国的な注目を受けることから、ここ数年は本県にとって観光客増加の好機であるととらえております。この好機を生かし、本県観光振興につなげるため、激化が予想される各地域間の誘客活動に打ち勝つことができるよう、観光資源の発掘や磨き上げ、情報発信等に取り組み、魅力ある商品の造成に努める必要があると考えているところです。
 次に、通過型観光への対応、地域と連携した観光振興施策についてでありますが、新幹線延伸等により北東北への新幹線旅行客は増加するものと予想しており、この好機をとらえて地域と連携した取り組みを進め、本県への観光客をふやすことが新幹線ダイヤの利便性が確保されることにつながると考えております。
 関係者などの話を総合いたしますと、現段階においては、二戸駅については当面ダイヤ改正により利便性が低下することはないと見込んでいるところですが、県としましては、岩手、青森両県、JR、三陸鉄道や沿線市町村で構成する北三陸サンライズレール観光振興会議を平成21年3月に設置し、地域の情報発信や受け入れ態勢づくり、誘客活動に向けた取り組みを進めるとともに、また、二戸地域を含む県北・沿岸地域、青森県南部、秋田県北東部のいわゆるトリコロールエリア19市町村で組織する東北新幹線二戸駅利用促進協議会における広域圏での魅力づくりや情報発信に向けた取り組みなどを進めることとしております。さらに、盛岡広域振興局管内8市町村で構成する盛岡・八幡平広域観光推進協議会における観光圏認定を見据えた、より広域的な観光ルートの構築に向けた取り組みとの連携も進めているところです。
 今後とも、観光資源の掘り起こしや磨き上げ、これらをつなぐルートの確立、デスティネーションキャンペーンなどによる強力な情報発信などを進め、魅力ある旅行商品が造成され、本県への観光客が増加するよう取り組んでまいります。
 次に、海外への輸出に取り組む中小事業者への支援についてでありますが、南部鉄器については、今後、上海万博出展を契機とした中国向けの輸出や訪日観光客の購買需要の伸長が期待されるところでありますが、中国市場においては伝統のわざに支えられた本物が求められており、中国側の信頼にこたえ得る品質の高い商品を継続的に提供していくことが肝要であります。
 現在、県では、県工業技術センターと連携し、顧客ニーズに対応したデザイン開発等を支援するとともに、技術者の育成を支援するため、岩手大学ものづくり大学院・鋳造技術コースへの社員の派遣助成を行っており、引き続きこうした取り組みを通じて南部鉄器の品質の維持、向上を支援してまいりたいと考えております。
 また、南部鉄器の中国への輸出は、この5月には、個別企業に加えまして南部鉄器協同組合及び水沢鋳物工業協同組合との取引が開始されたところであり、できるだけ多くの関連事業者にその効果が及び、製品が安定的に供給されることを期待しているところであります。
 次に、伝統工芸品及び地場産業の成長戦略についてでありますが、これまで、伝統工芸品や地場産業の振興については、国内外の物産展等への出展を通しての顧客ニーズの把握や販路の開拓、新商品の開発等の支援策を講じてまいりましたが、今回の南部鉄器の成功事例を踏まえ、高い経済成長が見込まれる中国などを中心とした海外市場にも新たな需要を見出すことができる可能性が高いと認識したところであります。
 今後においては、中国における取り組みを通じて構築しました人的なネットワークや大連経済事務所を活用して、南部鉄器に続く漆器等の県産品の可能性を見きわめながら、有望なものについては個別に海外販路の開拓や新商品の開発を促してまいりたいと考えております。
 また、上海万博への出展等による本県のPR効果を生かしながら、首都圏における展示販売会の実施回数をふやすなど、国内販路の開拓につきましても積極的に取り組み、今回の中国における一連の成果が地場産業の振興に広く波及するよう努めてまいりたいと考えております。
 最後に、海外市場の開拓及び販売流通の戦略についてでありますが、一例として申し上げますと、今回の南部鉄器の中国向け輸出に関し一定の成果をおさめたのは、大連経済事務所を中心に、中国上海市の企業関係者及びプーアル市政府などと広範な人的ネットワークを築いたことが最大の要因であると認識しております。
 県としては、県内企業が海外市場に挑んでいくためには、正確な情勢分析とともに、着実に信頼できる人間関係を構築し、一歩一歩活動の拠点を拡大していくことが、いずれの市場においても共通して肝要であると考えております。
 こうした人脈形成には息の長い取り組みが必要でありますが、商談会への参加機会提供などを通じ、県内企業の海外における人的ネットワークづくりを促すほか、県の有する人脈も活用しながら、海外の市場開拓や販売流通網の構築を支援してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 岩手県食の安全安心推進条例案についてでありますが、この条例案は、県民に信頼される食品等の生産及び供給を確保し、県民の現在及び将来にわたる健康の保護に寄与することを目的として制定しようとするものであります。
 条例案において、風評被害対策に関連する県の施策としましては、第13条で、県民と食品関連事業者の相互理解の増進と信頼関係の構築、第17条で、県民に対する食の安全安心の確保に資する情報の提供、さらに、第18条において、食育の推進を通じた食の安全安心の確保に関する知識の普及啓発等について規定しております。
 こうした施策を推進し、食品等について正しい理解を普及して、口蹄疫に関しましても、県民と正しい情報を共有することなどにより、風評被害の発生防止を図ってまいります。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) 観光客誘致についてでございますが、まず、チャーター便の受け入れを断念したケースにおける理由についてでございますが、おおむね二つと認識してございます。
 一つ目は、花巻空港では、チェックインカウンターが一つしかないなどの施設の制約から、国内定期便と国際チャーター便の同一時間帯での受け入れが困難であるため、受け入れ可能時間帯が限定されたこと、また、二つ目は、花巻空港において地上業務を受託するJALの人員体制において、国内定期便の地上業務を行うのに必要な人員しか配置されていないため、国際チャーター便の受け入れに必要な人員が不足したということでございます。
 次に、チャーター便の経済効果についてでございますが、平成19年度のデータを用い、海外からの花巻空港への国際チャーター便の波及効果を試算した結果によりますと、旅客1人当たりの県内における直接、間接の経済波及効果は約6万8、000円と見込め、これをもとに延べ6、500人が来県できなかったことによる経済的な影響を算出いたしますと、約2億2、000万円に相当するものと考えてございます。
 次に、チャーター便の受け入れ体制についてでございますが、チェックインカウンターや保安検査の2レーン化など施設面における受け入れ体制の改善につきまして、平泉の世界遺産登録が見込まれる来年夏ごろの供用開始に向け、取り組んでいるところでございます。
 あわせて、地上業務の人員体制の整備につきましても、JALと協議をしているところでございます。
 今後とも、国際チャーター便の受け入れの改善に向けた必要な各般の措置について、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 授業料の徴収の考え方についてでありますが、議員御案内のように、法律において、生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別な事由がある場合は、授業料を徴収することができるとされ、その判断は地方公共団体にゆだねられておりますが、県教育委員会としましては、公立高校の生徒間の負担の公平及び私立高校との負担の公平性を勘案し、専攻科及び卒業生のほか、留学及び休学期間を除く在学期間が36月を超えた者について、徴収の対象としたところであります。
 また、病気及び不登校の対応についても、私立高校に対する支援金制度と同様の対応が適当との考え方から、休学となっていない病気や不登校による期間については、不徴収の対象としていないところであります。
 次に、県産材を活用したドームの建設についてでありますが、多目的屋内練習施設の整備に当たっては、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画の趣旨を踏まえ、今年度予定している基本設計作業の中で、工事期間や建設に要する経費などを十分に考慮しながら、県産材をできるだけ多く用いた施設とすることについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、大規模評価委員会の評価への対応についてでありますが、大規模事業評価専門委員会の開催は、第1回目の事業概要説明、第2回目の現地調査に続いて、第3回目の開催が7月下旬に予定され、事業実施の必要性などについて、現在、調査、審議が行われているところであります。
 なお、今後の予定については、8月の第4回目の委員会で答申案の検討がなされ、その後に答申が行われる見込みとされておりますから、事業の必要性について、なお一層委員の理解が得られるよう、引き続き努力してまいりたいと考えています。
 次に、整備により生み出される成果についてでありますが、年間を通じて気象条件─冬期間─に左右されずトレーニングができる施設として、東北各県では、設置以来高い利用実績を示しており、本県においても他県と同様に、多くの県民の施設利用が見込まれると考えております。
 このことにより、多目的屋内練習施設の整備は、本年3月に策定した整備基本構想に示されたスポーツ選手の育成、強化並びに県民の健康づくり支援施設としての目的が達成され、競技力の向上と県民の健康増進に資する施設になるものと考えております。
〇16番(中平均君) 御答弁ありがとうございました。では、1点、高校無償化について、教育長にお伺いいたします。
 今、運用の徴収の考え方のお示しがありました。この病気や不登校を理由として休んだ生徒さんはまた徴収されると。さまざまなバランスの、公平の観点からということであります。休学等の場合は不徴収ということになっています。例えば病気なり不登校で休学の届けを出すというときは、病気になったときから休学届を出すまでの期間等あるわけですよね。そうした点等を考えてみても、休学届が出てからの取り扱いということになると、やはりここは、無償化の法律の趣旨にのっとって、また、この病気不登校という、やむを得ずですよね、本当にこういう状況で学校に行っていない、休学になるまでの時間というものもある。そういう扱いについて、県においてもこれはもっと弾力的にといいますか、実態に即した形での運用が必要なのではないかと思うのですが、この点をまずお伺いしたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 病気によって留年となるケースというのは、病気により半分以上の出席がかなわないケースが想定されますが、半分以上の欠席にもかかわらず休学届が提出されないという今の現状にかんがみまして、病気に起因した留年については、休学と同様の取り扱いができないかということで、現状の休学の規定の見直しを含めて、弾力的な運用について今後検討していきたいと考えております。
〇16番(中平均君) 病気については、今後、弾力的な運用を行っていくということであります。その病気についてのほかに、では、この不登校の生徒さんについて、この弾力的な運用というのは考えていないのか、ちょっとお伺いします。
〇教育長(法貴敬君) 不登校については、その明確な判定基準を定めることが困難であること、また、私立高等学校の制度との均衡性から、運用を含めて、制度の改正は現在のところ考えておりませんが、この不登校については、原因は何であれ、現場において発生することのないように、また、不幸にして発生した場合についても、例えば半分以上の欠席が続くというような留年までに至らぬように、学校、生徒、保護者と十分連携を図りながら、留年にならないということを第一義的に努めてまいりたいと考えております。
〇16番(中平均君) まず、今の法貴教育長の答弁は、今そのとおりで進めるということなのでしょうけれども、休学の中で、病気の生徒さんは、そういうふうに弾力的な運用を進めていくということは、まず、それは一歩前進なんだろうということで理解いたします。
 ただ、今言った不登校の生徒さんについても、当然、発生しないようにするというのはもちろんでありますし、また、生じないようにすることは当然なんですけれども、その基準が明確にならないといった理由で、単純に、それは休学届が出るまでは、その間は対象にならないのだということでは、やはりこれはちょっとおかしいのではないかと。ちょっとどころじゃなくおかしいのではないかという感じがしております。
 やはりそういう基準というもの、不登校の生徒さんに対しての基準が明確でないということが理由であるのであれば、その基準なり、そういうものが明確になるように作成するなりして、きちんとした形の高校授業料無償化というものを受けられるような形にするべきではないかということを指摘して、私からの質問を終わらせていただきます。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、平沼健君
   〔34番平沼健君登壇〕(拍手)

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