平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

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〇28番(千葉康一郎君) 民主党の千葉康一郎でございます。
 今議会におきましても民主党会派の皆さんの御配慮によりまして登壇の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
 まずもって、一昨年の6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震から早くも2年が過ぎ、今なお一部避難生活を余儀なくされておられる方々もおりますが、被災地の復旧、復興は着実に進んでおります。
 こうした中、去る5月30日には、岩手と秋田、宮城両県を結ぶ一般国道342号の通行不能箇所の開通式が地元住民、関係者多数の出席のもと盛大に行われました。震度6強の揺れは、路面の地割れ、陥没、大規模崩落などにより須川から真湯までの約15キロメートルに甚大な被害をもたらし、この大災害の復旧にはかなりの年数を要するものと大方の関係者は見ておりましたが、何と2カ年もかからずに復旧されました。これも知事の英断と、職員初め、携わりました大勢の方々の必死の御尽力のたまものであり、地元の一人として改めて心から感謝とお礼を申し上げるものであります。
 それでは、通告に従い、大きく8点を質問いたしますので、知事、執行部の皆様には誠意ある御答弁をお願いします。
 まず第1点目は、民主党を中心とした連立政権のこれまでの政権運営について伺います。
 初めに、昨年夏の衆議院議員選挙で民主党が圧勝し、念願の政権交代が実現し、鳩山政権が誕生しました。約8カ月という短い間ではありましたが、政権を担い、国民の期待を受けながら国政を進めてこられたのであります。しかしながら、米軍普天間飛行場の移設問題などをめぐって鳩山首相の突然の辞任、御承知のとおり、先般、菅内閣が発足したところであります。この間、民主党は、子ども手当や高校授業料の実質無償化、農家の戸別所得補償制度の創設、さらには地域医療再生のための診療報酬の改定など、また、マニフェストに掲げた生活者支援のため、税金の使い道の転換を進めてまいりました。さらに、これまで停滞していた水俣病患者や肝炎患者救済への道筋も見え始めています。このほかにも、雇用・労働環境の改善、医療・福祉施設の再生、年金制度の抜本改革、子育て環境の整備などは国民視点で早急に改革を進めていかなければなりません。とにかく、政権交代によって民主党として果たさなければならない役割はまだ始まったばかりなのであります。
 鳩山内閣の一部の失政で国民の信頼を損ね、内閣支持率も民主党の支持率も大きく低下しました。しかしながら、民主党が国民に約束したマニフェストの179政策中、164の政策、約91%が実現に向けて具体的な検討等に着手されており、このうち約21%の35政策が既に実現したところであります。また、約34%の政策が一部実施されるなど、まさに政治主導でスピード感を持って取り組んでこられました。
 いずれにしましても、我々民主党として、鳩山政権下のもと、失政のある、なしにかかわらず批判は批判として受けとめ、菅政権のもと、それをよりよい政策につなげ、未来のために前へ進んでいくことが国民の生活が第一を実現させていく道だと確信しております。
 そこで、民主党籍を有する知事は、民主党中心の連立政権のこれまでをどのように評価されておられるのかお伺いします。
 第2点目に、民主党マニフェストの最重要課題の一つである地域主権改革への国の取り組みについてでありますが、鳩山内閣発足直後の昨年10月に、地域主権改革の法制化に当たって、達増知事を初め、改革の先頭に立っている13名の方々が総務省の顧問に就任されました。その際、原口総務大臣が、地域主権改革を進めるに当たっては、まず国と地方の協議の場をつくる必要があると発言され、そしてこれらの法制化に当たって、顧問としての知事はさまざまな提言や提案をされてこられたと聞いております。そして、さきの通常国会に、地域主権改革推進法案や国と地方の協議の場に関する法案、それに関連する地方自治法改正案が提出され、参議院において先議されて、いずれも可決、成立しましたが、衆議院においては国会運営の都合で継続審議となったところであります。
 いずれにしましても、地方に住む私たちにとっては民主党が掲げた地域主権改革の実現は悲願であり、果たさなければならない国民との約束であります。
 そこで、これらの法制化に関し、総務省顧問でもある知事の思いはいかがでしょうか。これらの法案に今後知事が期待するところをお聞かせください。
 また、知事は、ことし1月から国の地方行財政検討会議の構成員にも就任されました。知事は今後、地域主権時代の地方自治はどうあるべきとお考えでしょうか、知事のお考えを御披瀝願います。
 第3点目に、口蹄疫の防疫対策について伺います。
 去る4月20日に宮崎県の農場で飼育されている牛に発生が確認された口蹄疫は豚にも感染し、1カ月余りで燎原の火のごとく瞬く間に5市6町に感染が拡大し、宮崎県だけでなく、日本の畜産全体の存亡を脅かす事態となったところであります。発生が確認された直後、国では国家的危機として農林水産副大臣を口蹄疫現地対策本部長として現地に常駐させるとともに、宮崎県では全国から官民問わず多くの獣医師の派遣を受け、懸命の防疫対策に当たられました。
 この口蹄疫は、牛や豚などの偶蹄類に発生する法定伝染病で、アジアやアフリカ諸国など世界じゅうで広く発生が確認されており、日本では平成12年3月に92年ぶりに宮崎県で3戸、北海道で1戸に発生し、感染患畜、擬似患畜合わせて740頭が処分されており、以来今日まで、国や県では畜産関係者に対し、この伝染病の侵入防止に向けて注意を喚起してきたと聞いております。これにもかかわらず宮崎県内に発生したことはまことに残念なことでありまして、被害に見舞われました方々や関係者の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い終息と再建を心からお祈り申し上げるものであります。
 ところで、国の食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会の牛豚等疾病小委員会から、今回のウイルスはアジアで流行しているタイプで、10年前に比べ感染力が強くなっているとの報告がなされていることから、本県への感染も危惧されるところであります。
 そこで、これまでの口蹄疫の発生原因や感染経路の状況など、経過をお知らせ願います。
 また、本県は畜産の産出額が全国第4位の地位にありますが、本県の畜産を守る立場から、県はこれまでどのような対策を講じられたのか伺います。
 さて、最近の一部の報道によりますと、今回の口蹄疫も関係者の必死の感染拡大防止とウイルスの封じ込め作戦により終息の方向にあるとのことでありますが、ウイルスが完全に撲滅されるまでは本県でも徹底した侵入防止対策を講じるべきと考えます。そのためには、飼養者による家畜の日常観察や畜舎の衛生管理指導の徹底はもちろんのこと、特にもウイルスの侵入を防ぐためには、畜舎や農場への消毒液散布が重要であると考えます。
 先日、ある新聞に、口蹄疫の防疫対策に役立ててもらいたいと、藤沢町内の誘致企業が自社で製造している生成装置を稼働させ、ウイルス対策に有効な次亜塩素酸水を生成し、藤沢町やJAいわい東と連携しながら管内の畜産農家や畜産企業に供給しているとの内容の記事が載りました。このことは藤沢町議会の一般質問でも取り上げられ、町長からは、今後も次亜塩素酸水を生成しているインテグラン岩手工場の協力を得ながら防疫対策を進めていくとの答弁がなされております。
 この次亜塩素酸水は、噴霧することで畜舎や食品工場、プールの除菌、消臭、衛生管理に有効とされ、インフルエンザウイルスの感染拡大抑制についても効果が実証されているところであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 特に、東京農工大の白井教授によりますと、この次亜塩素酸水はpH6.5であれば口蹄疫ウイルスの滅菌には極めて有効であるとのことであり、また、北里大学、首都大学東京、さらに東京都立産業技術高等専門学校の教授らも同様の評価をしているのであります。
 そこで伺いますが、現在、県内で使用している口蹄疫防疫薬剤は国が定めたものを使用していると聞きましたが、この次亜塩素酸水について、県は調査検討をされておられるのかどうかお尋ねいたします。
 次に、口蹄疫に関連して、家畜伝染病予防法による法定伝染病で、本県でも発生したことのある炭疽について伺います。
 この炭疽は、牛、馬、綿羊、ヤギなどの動物が感染し、発熱、呼吸困難、敗血症の症状を示して急死するというものであり、特に人間にも感染するというまことに恐ろしい伝染病であります。予防ワクチンはあるものの、有効な治療法はないと言われています。本県での初発は旧西根町で昭和40年にあり、その後の発生は、昭和51年までの11年間に県内で7町村で合わせて17頭発生し、平成に入ってからは、本県では発生していないものの、平成3年に隣の宮城県で、平成12年には宮崎県で発生しています。
 今回の宮崎県での口蹄疫の蔓延は、畜産農家の畜産関係業界のみならず、他の多くの産業界にも大きな影響を及ぼし、最近では風評被害も加わって大きな社会問題となっております。宮崎県のように、伝染病の発生地は精神的にも経済的にもはかり知れない打撃をこうむることになります。幸いにも今のところ本県では口蹄疫も炭疽も出ておりませんが、これまでの発生経過からすれば、本県は常に炭疽にも目を光らせなければならないのではないかと考えます。
 そこで伺いますが、県として、炭疽に対する危機管理としての防疫体制はどのようになっているのか伺います。
 第4点目に、消防防災対策について伺います。
 初めに、地域防災力の強化について伺います。
 本年2月に本県沿岸を初め、日本各地に被害をもたらしたチリ地震津波は記憶に新しいところでありますが、政府の発表によりますと、宮城県沖地震が今後10年以内に70%程度の確率で発生すると予測がなされております。今さら申し上げるまでもなく、災害はいつ、どのような形で我々に襲いかかるかわからず、全く人知を超えたものであります。
 このような災害に立ち向かい、住民の被害を最小限に抑えるためには、防災施設のハード面の充実も重要と心得ますが、現在の国や自治体の厳しい財政状況にかんがみれば、容易に整備促進が図られるものとは考えにくい状況にあります。
 そこで重要となるのは、阪神・淡路大震災を例にとるまでもなく、地域防災力の強化であります。その中心をなすのが、地域に密着して活動を行う消防団や住民同士の助け合いの力であろうと考えます。消防団に関する権限は市町村長にありますが、現在、本県内の消防団員数は、平成21年4月現在で、市町村合わせて定数2万6、637人に対し約2万3、000人であります。定数を大きく下回っており、年々高齢化し、若年団員の確保もままならず減少しているほか、団員のサラリーマン化の進展に伴い、日中は居住地域にいない団員が増加している現状であります。
 また、地域住民の共助組織となっている自主防災組織においても、本県の組織率は平成21年4月現在で69.8%と、全国平均の73.5%を大きく下回っている状況にあります。
 そこで伺いますが、知事は、本県のこの地域防災力の強化に向けた基本的な取り組みについてどのようにお考えでしょうかお伺いします。
 また、県においては、これまでも消防団員数の増加に向けた取り組みを展開していることは十分承知しており、その努力に関しては感謝申し上げる次第でありますが、このような減少傾向が続く現状を踏まえ、今後、消防団員確保に向けた対策にどう取り組んでいくのでしょうか。
 また、日中に手薄となる地域の防災について、自主防災組織の結成など共助の体制づくりも重要であることから、自主防災組織の組織率向上及び育成方策について、今後どのように取り組まれていくのか伺います。
 次に、消防の広域化について伺います。
 近年、災害の広域化や大規模化への対応が求められている中、災害対応のかなめとなる消防組織においては、市町村の常備消防のさらなる体制の充実強化が求められているところであります。しかし、市町村の厳しい財政状況から、消防職員の増員や装備の拡充など、大幅な体制強化を望むことは現実的に難しい状況となっております。特に、小規模な消防本部においては人員や装備などの面において運用に限界があることから、大規模災害への適切な対応には多くの課題を抱えているのが現状であります。加えて、本県においても、少子高齢社会の進展や人口の減少等により若者の絶対数が不足するなど社会情勢の変化の中で、各市町村において必要な消防体制を維持していくことは一層困難なものとなり、今後、消防体制の広域化は避けて通れない道であると考えます。
 国ではこのような背景を踏まえ、平成18年6月に消防組織法を改正し、市町村消防の広域化の推進を図ることとし、各都道府県においては、消防庁の基本方針に基づく広域化に向けた推進計画を策定することとされ、本県でも平成20年10月に岩手県消防広域化推進計画が策定されました。
 そこでお伺いしますが、このような状況下で、県として、地域における消防の充実強化を図るため、今後、消防体制の広域化についてどのような取り組みを進めていくお考えでしょうかお伺いします。
 次、第5点目に、観光客の誘致について伺います。
 今まさにバブル崩壊後、特にもリーマンショック以来、日本経済も国民生活も大きく落ち込み、元気のない社会状況下にあります。このような中、去る6月19日の新聞の夕刊に明るい希望の光が差し込んだような記事が掲載されました。見出しは、パワースポット、岩手観光発信に力、県、TV展開へ、であります。内容は、エネルギーが集中している場所とされ、近年訪れる人がふえているパワースポットを切り口に、岩手の魅力をPRする動きが出始めている云々というもので、県は、県外広報の柱に据えて、テレビや雑誌で情報発信を計画している旨の内容でありました。この記事を読まれた方々は、私同様、光明が差した気分になったのではないかと思います。大いに県外へ情報を発信し、県外観光客の誘致に力を入れるべきだと思います。
 そこで、この情報発信を進めてこられた知事の思いをお聞かせ願います。
 私は、観光客の誘致には、今後、特に東アジアからの外国人観光客をいかに誘致するかが本県観光振興のかぎを握っているものと思います。
 そこで県では、これまで観光PRやプロモーションの取り組みをどう進めてこられたのか、また、その実績と成果をお伺いします。
 さらに、今後は、観光ビザの取得要件が大幅に緩和される中国が有望な市場でありますので、特に北東北3県が連携して中国に対する観光PRに力を入れるべきだと思います。PRの方法として、例えば中国国内の171局をネットしている中国国際放送局CRI-TVなどの中国メディアを活用したPR活動も有効と考えます。
 いずれにしましても、中国市場を意識した誘客は、花巻空港の利用拡大の観点からしても喫緊の課題であると考えます。知事の中国人観光客の誘致についての基本的考えと取り組みの方向についてお伺いします。
 次、第6点目に、ハクビシンの被害対策について伺います。
 以前、岩手県自然保護議員連盟においてハクビシンについての研修をいたしましたが、まさに時宜を得た研修であったと思っております。ハクビシンは、これまで宮城県以南の都府県に生息し、急速に生息分布を拡大しております。近年、宮城県と境を接する一関市や陸前高田市、大船渡市などで目撃情報や有害捕獲頭数が急増し、現在は県南部から県央部へと急速にその生息域を拡大していると見られます。最近では農作物等への被害が急増し、特にも果樹や野菜などへの被害は、届け出があったものだけでも、平成19年度に160万円程度であったものが、2年後の平成21年度には約1、800万円に増加しております。
 また、県内の捕獲頭数を見れば、平成19年度に32頭であったものが平成21年度には219頭に急増しており、このうち、一関地方では大船渡地方の72頭を大きく上回る144頭と過去2年間で5倍に増加しており、今後、農作物等への被害がますます大きな問題になるのではないかと危惧しているところであります。
 ところで、ハクビシンなどの捕獲許可に関する事務は、現在、多くの市町村に権限が移譲されており、当該市町村長の許可がなければ捕獲できないことになっております。宮城県気仙沼市においては、平成20年9月からハクビシンとタヌキに限り、有害捕獲許可を受けると狩猟免許を有しない者でも箱わなを使用して捕獲できることになっており、また、許可を受けた者には市役所で箱わなを貸し出しているようであります。有害鳥獣の捕獲許可の権限からすれば、事務の移譲を受けた市町村長の裁量となるのでありますが、被害拡大防止などの観点から、県としても何らかの手だてをもって捕獲対策なり被害防止対策を講ずるべきと思いますが、その対応策を伺います。
 第7点目に、男女共同参画について伺います。
 今日、女性も男性も性別にかかわりなく個性や能力が発揮できる社会の実現を目指すことが強く求められています。このような中、県では、平成11年6月に制定された男女共同参画社会基本法を踏まえ、平成12年3月にいわて男女共同参画プランを策定して、県民への意識啓発活動や参画しやすい環境づくりなどに積極的に取り組んできたところであります。
 しかしながら、昨年度実施された県民意識調査では、ほとんどの分野で男性が優遇されているとの回答が50%から70%を占めており、特に社会全体の分野においてはこうした男性優位の割合が増加しているとの結果が出たところであります。もちろん意識改革は一朝一夕にして成るものではないと思いますが、県はこうした割合が増加している現状をどう受けとめておられるのか伺います。
 また、現行のプランは平成22年度までの計画と聞いておりますが、引き続き新プランの策定を考えておられるのかどうか伺います。
 最後に、第71回国民体育大会の開催について伺います。
 平成28年の第71回国民体育大会、いわゆる岩手国体の開催に向けて、既に38競技の会場地市町村も選定され、また、本年度は、中央競技団体の正規視察が行われるなど、着々と開催準備が進められてきているところであります。
 広く地域に根差した大会を実現し、成功させるためには、国体をいかに県民に浸透させ、主体的かつ積極的に参加してもらうかにかかっていると考えます。そのためには、早い時期から積極的な広報活動や、県民にわかりやすい、そして愛されるスローガン等の制定や、県民が積極的に参加できるようなイベントといった具体的な取り組みを計画し、進めるべきだと思います。
 昭和45年の前回国体は、美しい郷土をつくり、全国から人々をお迎えする花いっぱい運動、清潔整理運動、そして、郷土の自然、文化、伝統を学び、積極的に紹介することによって県民としての誇りと自信を深める、郷土を正しく理解し紹介する運動などの県民運動が展開され、県民の総力が結集された大成功の大会でありました。これは、ひとえに県民一人一人が、全国から集まった選手、役員、そして応援団の皆さんを心を込めてもてなすという目標に向かい、みずからの役割を意識しつつ、家庭、学校、地域における人と人との信頼関係を育てながら積極的に取り組んだ成果であり、国体開催を通じて培われた力はその後の県勢発展にも大きく貢献したものと理解しております。
 特にも花いっぱい運動については、全国的に注目を集めている一関市千厩町第13区自治会のようにしっかりと地域に根差している事例も多く、地域コミュニティの機能にも役立っています。
 そこでお伺いします。平成28年の国体も県全域で開催されるものでありますが、いつごろからどのように広報活動や県民運動に取り組んでいくお考えかお示し願います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉康一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、民主党連立政権のこれまでの政権運営にかかわる評価についてでありますが、政治主導、国民主導の政治を目指し、行政刷新会議による事業仕分けの実施、子ども手当や高校授業料無償化といったセーフティネットの整備など、新しい改革に精力的に取り組んでいると考えます。
 また、地域主権の確立を第一に、法令による国の関与の見直しや国と地方の協議の場の法制化、地方交付税の増額など、地方の行財政に関する自由度の拡大に向けた取り組みを進めており、高く評価しているところであります。
 次に、地域主権改革の法制化についてでありますが、国と地方の協議の場に関する法律案は、地方六団体が長年にわたって要請してきたものであります。国と地方は、双方がパートナーとして十分に議論して、協調して施策を進めていくという関係に移行していくべきであり、この法制化によって、地域主権改革が一層進展するものと考えます。
 また、法案には、地方自治体の自由度を高め、地方の創意と工夫を生かした住民本位の施策を推進する上で不可欠な義務づけ、枠づけの見直しを行うことなどが盛り込まれています。
 地域住民みずからの判断と責任において、地域の諸課題の解決に取り組む地域主権社会を実現するためには、これらの法案が着実に法制化されることが重要であり、早期の成立を期待するところであります。
 次に、地域主権時代の地方自治についてでありますが、真の地域主権改革は、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決め、活気に満ちた地域をみずからの手で構築していくことが可能となる社会を確立することと考えております。
 地域主権改革の進展に伴い、今後、地方の自由度が高まっていく中で、岩手においては、県民とともに策定したいわて県民計画を羅針盤に、県民や企業、NPOなど、多様な主体と行政が、ともに手を携えて力を合わせる地域経営の考え方を基本にして、県民が主権者として自立と共生の道を歩んでいくことが、地域主権時代の地方自治のあり方と考えております。
 地域主権改革については、地方自治体としては、制度面の改革が重要なのはもちろんでありますが、今できるところから地域主権的な取り組みを進めていくことも重要と考え、取り組んでいるところであります。
 次に、地域防災力の強化に向けた基本的な取り組みについてでありますが、宮城県沖地震が、近い将来、極めて高い確率で発生が予想されている状況などを踏まえ、被害を最小限にとどめ、安全・安心な暮らしの確保のため、地域防災力の強化は喫緊の課題と認識しております。
 このため、県としては、自助、共助、公助のそれぞれの分野におけるレベルアップにより地域防災力が強化されるよう、防災ワークショップによる意識啓発や自主防災組織の育成強化など、地域を中心とした取り組みを市町村や地域住民と連携、協力して推進するとともに、より実践的な防災訓練の積み重ねによる対応力の向上に努めているところであります。
 次に、パワースポットの情報発信についてでありますが、今、全国的にパワースポットがブームになっているのは、不安が多く、希望が持ちにくい時代の中で、心を動かすような自然や歴史、文化に触れることが強く求められているからではないかと考えております。
 本県には、豊かな自然や、平泉などの文化遺産、早池峰神楽など全国トップクラスの数を誇る伝統芸能、座敷わらしや鬼を初めとする昔話などが至るところに残っており、まさにパワースポットの宝庫であります。
 これまでもパワースポットを前面に出し岩手の情報発信をしてきたところであり、今般、荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅の単行本が出版され、本県のパワースポットを全国に紹介したところであります。
 今後、岩手に来ればスピリチュアルな気に触れることができ、元気になれる、願いがかなう、縁起がいいなどなど、多くの方々に岩手を訪れていただくよう、自然、文化、歴史が一体となった岩手ならではの特色を有するパワースポットを、全国に向けて強力に発信していきたいと考えております。
 次に、中国人観光客の誘客についてでありますが、平成17年に岩手県大連経済事務所を設置以来、中国との経済交流や観光客誘致に努めた結果、大連からのチャーター便等による観光客が来県しているほか、ことし5月に開幕した上海万博を契機に、本県と上海の茶販売企業、雲南省プーアル市との関係がより一層深まり、5月には関係者約40名が来県し、さらに8月には上海から団体旅行客の来県が予定される等の成果が出てきております。
 また、7月からの中国人個人観光ビザの発給要件の緩和により、日本への中国人観光客の大幅な増加が見込まれますことから、本県においても、中国での知名度の一層の向上と誘客の強化に努める必要があると考えております。
 こうしたことから、今後、中国で最も訪日観光客数が多い広州市等へのトップセールスや現地旅行会社、マスコミの招請を行い、魅力ある旅行商品の企画造成を促進するとともに、大連経済事務所が有するネットワークを活用しながら、情報発信と誘客に努め、中国における岩手への観光の浸透を図ってまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) 口蹄疫等の防疫対策についてのお尋ねであります。
 まず、口蹄疫の発生原因と感染経路の状況についてでありますが、宮崎県で4月20日に発生した口蹄疫につきましては、国の疫学調査チームが検証を行っております。現時点では、今回、宮崎で分離されたウイルスは、ことしに入って韓国や香港で確認されたウイルスにタイプが類似していること、10年前に確認された発生に比べ、臨床症状や伝播力が強いという特徴があることなどが解明されておりますが、発生原因と感染経路については、まだ明らかになっていないところであります。
 本県の防疫対策を強化する観点からも、一日も早い解明を待っているところであります。
 次に、口蹄疫対策の状況についてでありますが、県では、宮崎県での発生以来、これまで、口蹄疫の侵入防止と万一、本県で発生した場合の蔓延防止を基本に、防疫対策を行ってきたところでございます。
 まず、発生後直ちに、九州地域からの導入牛全頭の臨床検査、牛、豚などの飼養者すべての聞き取り調査を実施し、全頭に異常がないことを確認するとともに、生産者の方々が安心して経営に取り組めるよう、家畜保健衛生所に相談窓口を設置したところでございます。
 また、農場や家畜市場での衛生管理を徹底するため、市町村、農協と連携して、消毒薬を全戸配布し、消毒の徹底を指導するとともに、パンフレットの配布や講習会の開催を通じて注意喚起を図っているところであります。
 万一、本県で発生した場合に備え、岩手県口蹄疫防疫マニュアルを用い、市町村、団体の実務者を対象とした初動防疫シミュレーションを実施し、それぞれの役割分担を確認するとともに、殺処分した家畜等の埋却場所の事前確保やマニュアルの充実を行ったところであり、今後とも、防疫体制に万全を期してまいります。
 次に、次亜塩素酸水についてでありますが、御指摘のとおり、塩素系の水溶液でありますことから、ウイルスや細菌、かびなど幅広い病原体に対し滅菌効果を示すことが確認されており、食品安全委員会においては、食品添加物として使用した場合、次亜塩素酸ナトリウムと同等の効果があると評価されていると承知しております。
 国の口蹄疫に関する防疫指針や国際獣疫事務局の防疫マニュアルにおいて、口蹄疫ウイルスに効果があるとされている消毒薬には、次亜塩素酸水と同じ塩素系消毒薬もあり、これらと同等の消毒効果も期待できると考えているところでございます。
 このため、口蹄疫ウイルスを取り扱うことのできる国の研究施設において、その有効性について調査するよう国に依頼しているところであります。
 次に、炭疽に対する危機管理としての防疫対策についてでありますが、この病気は、原因となる炭疽菌が、長期間土壌の中で生存し、ヒトにも感染することから、県として、最も監視すべき家畜伝染病の一つであると認識いたしております。
 このため、県では、家畜防疫指針に基づき、家畜保健衛生所が専用の検査資材を常備するとともに、家畜保健衛生所の職員を初め、臨床獣医師や食肉衛生検査所の職員を対象とした診断技術研修の実施、市町村、団体と連携した緊急連絡網の構築など、防疫体制を整備しているところでございます。
 また、生産者に対しては、家畜が急死した場合は、まず炭疽を疑い、速やかに家畜保健衛生所に連絡するよう周知いたしております。
 今後におきましても、家畜防疫指針に基づき、炭疽の防疫対策を確実に行うよう取り進めてまいります。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 消防団員確保対策についてでありますが、消防団は、地域防災のかなめであり、さきのチリ地震津波におきましても、地域に密着した防災機関として、その力を遺憾なく発揮されたところでございます。
 しかしながら、消防団員数は全国的な減少傾向の中、本県におきましても、5年間で400余名が減少するなど、その確保が重要な課題となっております。
 このため、国から有効な方策と推奨されております機能別消防団員制度や消防団協力事業所表示制度の導入について市町村に働きかけるとともに、確保に係る具体的方策を検討するため、昨年度、市町村と意見交換を行ったところであります。この際、県に対し、市町村単独では実施できないPR活動等について提言があったことから、消防団員確保のキャラバン活動等を実施しているところであります。
 今年度は、消防団員や県民の皆様に対し、消防団に対する意識調査を実施し、市町村ともども効果的な方策を検討してまいります。
 次に、自主防災組織率の向上と育成方策についてでありますが、岩手・宮城内陸地震などの教訓を踏まえ、全県的に組織率が向上しておりまして、平成22年4月1日現在の組織率は、速報値で73.6%と、前年度と比較し3.8%の増となっております。しかしながら、組織率100%の市町村の一方で、20%台にとどまっているところがあるなど、地域において大きな差異が見られる状況にございます。
 県といたしましては、市町村防災主管課長会議の際に、自主防災組織の育成強化を進めるための意見交換や取り組み事例の紹介を行ったほか、自主防災組織のリーダー育成研修会の開催や防災ワークショップを開催する市町村に対する企画支援を行っているところでありますが、このような状況を踏まえまして、さらに、組織率の低い地域を中心に市町村と話し合いを進め、効果的な支援策について検討していきたいと考えております。
 次に、消防の広域化についてでありますが、現在、本県の消防本部体制は、広域消防が8本部、単独消防が4本部の計12本部となっておりますが、このうち管轄人口10万人未満のいわゆる小規模消防本部が7本部と全体の半数以上を占めている状況にございます。
 小規模な消防本部におきましては、人員配置や資機材の整備、救急医療体制との整合性などの面で課題があることから、厳しい財政状況下における効果的、効率的な消防体制の整備を図るためには、広域化を進めることが必要とされているところでございます。
 このため、関係市町村や消防本部との話し合いを精力的に行っておりまして、広域化に向けた動きがある場合には、協議会等の設置や運営計画の策定など、広域化に向けた手続への必要な助言等を行い、消防体制の広域化が円滑に進むよう支援してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 観光客の誘客についてでありますが、県ではこれまで、ソウル事務所や大連経済事務所が有するネットワークを生かしながら、東北6県、新潟県で構成されます東北観光推進機構などと連携し、台湾、香港、韓国などの東アジア圏を中心に、現地旅行会社への観光セミナーの開催などを実施しております。そのほか、北東北3県、仙台市と連携いたしまして、台湾、香港のマスコミの招請、それから、新規旅行商品造成に対します広告支援などに取り組んできており、今年度からは、外国語版ホームページをリニューアルし情報発信に努めているところです。
 外国人観光客の入れ込み数は、台湾から初めて国際チャーター便が運航された平成12年の6万1、000人回から、平成19年には13万人回と増加しており、その後の世界的な景気の後退などにより近年減少しておりますが、全体としては増加基調にあり、これまでの取り組みの成果があらわれているものと考えております。
 また、ホームページのアクセス件数につきましては、この4月、5月の実績は、対前年同期の約2倍に増加しており、今後の外国人観光客の誘客に結びつくことを期待しております。
 引き続き、東北観光推進機構等と連携しながら、国際旅行博覧会への出展や現地旅行会社に対し旅行商品の造成を働きかけるなど、誘客対策をより一層推進してまいります。
 なお、中国のマスコミやテレビなどを活用したPR活動につきましては、現在、幾つかのマスコミあるいは放送局に対しまして接触を行っておりますが、今後、大連経済事務所と連携を図りながら情報収集に努め、その可能性を探っていきたいと考えております。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) ハクビシンの被害防止対策についてでありますが、ハクビシンなどの有害鳥獣の捕獲許可基準は、県の鳥獣保護事業計画で定めており、その中で、有害鳥獣を捕獲できる者は狩猟経験者としております。
 しかしながら、ハクビシンは、繁殖力が強く、急速に生息域を拡大し、農業被害等も増加していることから、積極的な捕獲を進めていくため、有害捕獲実施者を狩猟経験者としている現行の有害捕獲許可基準の見直しについて、環境審議会の自然・鳥獣部会において審議することといたしております。
 また、ハクビシンの生態や被害防止等に関する研修会を開催するとともに、鳥獣被害防止特別措置法に基づく市町村被害防止計画の作成や、地域が主体となった推進体制の整備、箱わなの導入など、計画に基づく被害防止に向けた取り組みを支援してまいります。
 次に、男女共同参画社会の現状についてでありますが、県では、いわて男女共同参画プランに基づき、県民への普及啓発や人材育成、政策、方針決定や職場への女性の参画拡大、仕事と子育ての両立支援、女性に対する暴力の根絶などに取り組んでまいりました。
 その結果、市町村における男女共同参画計画の策定が進み、今年度内には全市町村で策定される見込みであり、地域で男女共同参画を推進するためのサポーターについても全市町村に養成するなど、男女共同参画の基盤づくりが進展したところであります。
 しかしながら、昨年度実施した県民意識調査では、社会全体として男性が優遇されているとの回答が68.7%となっているほか、社会通念、慣習、しきたりなどで男性が優遇されていると感じている割合が72.8%と10年前と比較してほとんど変わっていないなど、男女の不平等感が根強く残っており、引き続き意識啓発などの取り組みを行っていく必要があると受けとめております。
 次に、新プランの策定についてでありますが、引き続き本県における男女共同参画を推進していくために、これまでの現行プランの成果や課題等を十分踏まえた上で新プランを策定することとし、現在、男女共同参画審議会において審議していただいているところであります。
 新プランは、県民や関係団体、市町村などとの連携により、根強く残っている不平等感の解消に向け取り組みを促進していくものにしたいと考えております。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) 第71回国民体育大会についてでございますが、まず、広報活動につきましては、本年3月、基本方針及び基本計画を策定し、大会開催の意義を広く県民に周知し、県民の積極的な参加を実現しながら、岩手の魅力を全国に発信するため、県内外に向け広報活動を展開することとしております。
 現在は、ホームページによる情報発信、競技会場予定施設への国体のぼりの設置、県内スポーツイベントでのPR活動等によりまして、国体開催機運の醸成に努めております。
 加えまして、開催内定となります平成23年度以降、県民が親しみやすい大会愛称、スローガン、マスコット、イメージソングを順次制定いたしまして、それらを利用したポスター、パンフレットの作成及び広報誌の発行等を行いまして、国体への理解を深めてまいります。
 さらには、開催内定、開催決定など節目節目に合わせまして、記念イベントを開催するなど、大会に向けた一層の盛り上がりを図りたいと考えております。
 次に、県民運動についてでございますが、平成23年度に基本方針、24年度に推進計画をそれぞれ策定いたしまして、25年度の開催決定後に運動を本格化する予定でございます。
 本県の豊かな自然、文化、歴史を活用して県外から来られたお客様方と県民が交流することによりまして、岩手の魅力を全国にアピールする運動や、昭和45年国体のよさが綿々と受け継がれております花いっぱい運動のように、国体終了後も地域の財産として引き継がれるような県民運動が展開されまして、県民総参加の大会につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇28番(千葉康一郎君) 大変詳しい御答弁をいただきました。再質問はありません。この内容を一層取り進めていただきますよう、御答弁いただいた内容を進めていただきますようにお願いします。
 終わります。
〇副議長(小野寺研一君) 次に、樋下正信君。
   〔35番樋下正信君登壇〕(拍手)

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