平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

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〇35番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信でございます。
 通告に従い、順次質問をさせていただきます。
 まず、国民所得に対する県民所得水準の乖離についてお伺いします。
 一昨年の世界的な金融危機に端を発した経済の急激な悪化により、国内経済は、過去に類を見ない大きな打撃を受け、本県におきましても極めて大きな影響がありました。
 今月公表された内閣府月例経済報告によりますと、景気は着実に持ち直しており、自律的回復の基盤が整いつつあるが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあるとのことであり、また、今月、県から公表された県内景気の動向によりますと、県内景気は、下げどまりの動きも見られるものの、厳しい状況にあるとのことであります。
 さらに、今月発表された日本銀行盛岡事務所の5月の岩手県金融経済概況によりますと、県内の景気は厳しい状況が続いているが、製造業を中心に持ち直しているとのことでありますが、景気は依然として厳しい状況が続いており、県民にとっては、何よりも景気対策を進めることにより、本格的な景気回復が強く期待されるところであります。
 達増知事は、平成21年度から30年度までの10年間を対象として、昨年12月に策定したいわて県民計画において、1人当たり国民所得に対する県民所得の水準が、平成12年度には89.3%であり、19年度には81.2%で、乖離が拡大傾向にあることから、その乖離の縮小を目指すとしております。私は、この乖離については、単に全国的に景気が回復すれば自動的に縮小するものではないと考えるものであります。
 経済産業省によりますと、平成9年から平成19年までの国内総生産─GDPの推移を地域別に見ると、中部地域と関東地域がプラス成長となった一方、北海道、東北、近畿、四国地域が大幅なマイナスとなったとのことであり、もともと大きな地域間格差があります。
 このような地域間格差が依然として存在する実態などを踏まえると、単に県民所得額を増加させるのとは異なり、1人当たり国民所得に対する県民所得の水準の乖離を縮小するというのは、並大抵のことでは実現することができないと考えるものであります。
 私は、各部門ごとに大胆な施策を実施していくことが、ぜひとも必要であると考えるものであります。
 以前、県議会でも申し上げましたが、アメリカ・カリフォルニア州のパームスプリングスでは、約2、600メートルの山頂まで回転しながら登る世界最大の80人乗りの回転式ロープウエー、パームスプリングス・エアリアル・トラムウエイが整備されており、一大観光スポットとなっておりますが、トラムウエイは、障がい者も健常者も同じように観光を楽しめる構造になっています。また、カナダのロッキー山脈の北に位置するジャスパー国立公園のウィスラーズでも、山頂近くの約2、300メートルの展望台まで7分で行くことができるロープウエーが整備されており、ジャスパーの町並みやコロンビア大氷原を見渡すことができる人気の観光地となっています。
 これらを手本にして、本県における観光部門の大胆な施策の例を申し上げれば、例えば、岩手山のふもとから休憩所のある8合目付近までの回転式ロープウエー、展望レストランなどを整備することや、サケの遡上が見えるように、中津川の上にガラスの人工盤で大型バスの駐車場をつくるなど、全国に例がないような観光資源を開発することにより岩手県の観光地としての認知度を高める施策を講ずるべきと考えます。
 知事は、所得水準の乖離を縮小するため、具体的にどのような方策をとろうとしているのかお伺いします。
 次に、本年度からスタートした県の新たな組織体制についてお伺いします。
 まず、広域振興局の現状についてであります。
 県では、産業振興を中心とした、4広域振興圏が一体となった地域振興施策の効果的、効率的な展開に向け、限られた行財政資源を戦略的に集約し、組織力、地域力を最大限に発揮できる組織体制が必要であるとの考えのもとに、本年4月から、県南広域振興局に加え、盛岡、県北、沿岸の三つの広域振興圏においても1広域振興圏1広域振興局体制をスタートしました。振興局の職員数については、定数ベースで振興局再編前の2、025人から再編後の1、941人へと84人減の職員体制のスリム化を進めたと聞いております。
 県は、四つの広域振興局体制へ移行することにより、より充実したサービスの提供などが可能になること、県民に身近なサービスはできるだけ現在と同じ地域で提供すること、各地域でのサービス水準を維持するよう努めることについての3点の効果をパンフレットなどでPRしておりました。4広域振興局体制となって、現段階において、果たして県民や市町村にとってよい効果が見られるようになったのでしょうか、その具体例をお伺いします。
 次に、秘書広報室についてお伺いします。
 今年度から、知事のトップマネジメントをより機動的に支援し、情報発信できる体制を構築するためとの理由から、調査監、秘書課及び広聴広報課の3課のみで組織する秘書広報室が設置されました。この秘書広報室を設置することについては議会においてもさまざまな議論がありましたが、新体制になって約3カ月が経過した現段階において、昨年度までの総合政策部内にあった秘書広報や調査機能の体制に比べ、知事のトップマネジメントへの支援がどのように機動的に変わったのでしょうか、知事にお伺いします。
 次に、本県の海外事務所の活用方策についてお伺いします。
 県では今月、県外事務所のうち、北東北3県による北海道合同事務所について、平成23年3月31日をもって廃止する方向で検討するとの方針を打ち出しました。私は、県外事務所のような出先機関については常に見直しを行い、一定の役割を終えた組織については廃止や縮小の検討に取りかかり、逆に情勢の変化によりさらなる機能強化が求められる場合には、即、体制強化などを含め、積極的に活用を図ることが肝要であると考えます。
 国外に設置している事務所についても同様であります。本県の国外事務所については、現在、北東北3県と北海道により共同で開設されているソウル事務所と大連経済事務所があります。ソウル事務所は、韓国からの観光客の誘致や経済、文化交流などを進めるため、北東北3県、北海道の知事サミットの合意のもとに平成14年11月に開設され、現在、本県から所長として職員1名が現地に配置されていると承知しております。また、大連経済事務所は、中国との経済交流や観光誘致を拡大するため、宮城県と共同で平成17年4月に開設されました。
 本県には、中国、韓国、台湾、香港など、特にアジア諸国からの観光客が毎年多数訪れております。これらの外国人観光客の誘致を考えた場合、特にソウル事務所と大連経済事務所の重要性がなお一層増してくるものと思いますが、これまでの本県の海外事務所の活用実績はどうだったのか、また、今後、海外事務所をどのように活用していくのか、その活用方策をお伺いします。
 次に、医師確保対策についてお伺いします。
 県民が安心して生活していくためには、持続可能な安心できる医療体制を実現していくことが必要でありますが、医療の基本である医師の確保について、医師の絶対数が不足しているとの医療現場等の声を受け、国においては、平成18年度の新医師確保総合対策、平成19年度の緊急医師確保対策、さらには平成20年度の経済財政改革の基本方針2008において大学医学部定数増を認めることとし、これまでの医師抑制策を大きく転換してきたところであります。
 県においては、こうした国の取り組みに呼応し、医師養成のための奨学金制度を市町村との協力や地域医療再生臨時特例基金の活用などにより順次拡大するとともに、即戦力となる現役医師の県外からの医師確保を目的とした担当組織を設置し、積極的に招聘活動を展開するなど、医師確保のさまざまな施策に取り組んできているところであります。この結果、県全体で見れば医師数は少しずつではありますが増加していると聞いており、これまでの取り組みにおいて一定の成果が出てきたものと考えられます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 その一方では、県立病院の常勤医師数はピーク時に比べ90人程度少なく、県立千厩病院の整形外科や磐井病院の呼吸器科などにおいて常勤医が不在となっていることや、人口10万人当たりの小児科医師数が全国の中で本県が最少となっていることが報道されるなど、地域の医療現場での医師不足は深刻な状況にあると考えております。
 そこでお伺いします。県におけるこれまでの医師確保対策の進捗状況と今後の取り組みについてお示しください。
 次に、予防医学の面からの県の取り組みについてお伺いします。
 医師の絶対的な不足や地域偏在により、地域の医療体制の確保は社会的な問題となっておりますが、医師の養成には一定の期間が必要なことなど、その解決は簡単にいかない難しい問題を抱えております。こうした状況の中で、県民の健康を守っていくためには、まず、県民一人一人がふだんから健康を維持し、また、病気にかかった場合でも、できるだけ重症にならないようにする、いわゆる予防医学の面からの取り組みがますます必要となっていると考えております。
 私はコレステロールの値が高いことから、かかりつけ医師の指摘により、毎日のように6キロメートル、約1万歩を歩くようにしております。担当の先生からは、毎日歩けば、あなたの口の悪いのと頭の悪いのは治らないが、コレステロールの値はよくなるとの厳しい指導を受けております。
 いわゆる予防医学の面からの取り組みは、病気の発生状況やそれに影響を及ぼす原因を研究し、病気の予防や病気になりにくくするための健康増進を図ることにありますが、県はこうした取り組みを行うに当たって、まず、本県の疾病の状況を把握し、課題を明らかにしながら対策を講じていく必要があると考えています。
 そこでお伺いしますが、本県の疾病状況と健康づくりの課題をどのようにとらえているのか、また、その課題の解決に向けてどのような取り組みを進めようとしているのかお伺いします。
 次に、農業者戸別所得補償制度についてお伺いします。
 国は、3月に新たな食料・農業・農村基本計画を策定し、平成32年度までに食料自給率を50%に引き上げる目標を打ち立てたところであります。この目標の実現に向けて農政の大転換を図るとしており、その柱に据えようとしている施策が農業者戸別所得補償制度ということであります。戸別所得補償制度については平成23年度から本格的に導入することとされ、本年度はモデル対策が実施されており、4月から加入申請の受け付けが始まったところであります。
 そこでまず、現時点での戸別所得補償モデル対策の加入申請状況についてお示しください。
 この制度に対する農家の評価はいま一つ芳しくありません。この制度については、農家の方が補償金をいただくので個人的には賛成したいところですが、国全体のことを考えますと、農家の補助金依存を促し、農家が生産意欲をなくし、地域農業の主体性や個性も失われていく危険性が極めて高い制度であると憂慮するものであります。
 本県はこれまで、水田集落ビジョンを策定し、話し合いを基本として地域特性を生かした産地形成を進めてきていると認識しておりますが、このモデル対策の水田利活用自給力向上事業において、作物ごとに全国一律の交付単価を設定している今の仕組みでは、転作作物の選択のあり方やブロックローテーションの進め方などの点で非常に不安を覚えるものであります。今後、国では、モデル対策の実施状況を検証し、本格的な導入に向けた制度設計を行っていくとのことでありますが、県は、この水田利活用自給力向上事業の問題点をどのようにとらえているのか、また、どのように対応していくのかお伺いします。
 次に、第71回国民体育大会についてお伺いします。
 平成28年に本県で開催される2巡目の国民体育大会は50年に1度の大きなイベントであり、しっかりした準備により、ぜひとも成功させなければなりません。去る6月10日、第71回国民体育大会岩手県準備委員会第4回総会が開催されたところであり、国体正式競技と特別競技の開催地も確定し、新たに競技会場地になった11町村に対して国体旗の贈呈式が行われるなど、平成23年度の国体の開催内定、平成25年度の正式開催決定に向けて準備が着々と進んでいるものと思います。
 国体開催県として、国体の開催運営を立派に行うべく準備していくことは言うまでもなく大事なことでありますが、それと同時に、競技において開催県としてすばらしい成績を上げることも大変重要なことであると考えるものであります。
 私は岩手県水泳連盟の会長として、水泳と水泳競技の健全な普及と発展を図り、それによって県民の心身の健全な発達に寄与するため、さまざまな活動を行っており、水泳を通じてスポーツの振興に努めていく立場にありますが、岩手県が国体開催県として総合優勝を目指し、県内の選手強化に取り組むことは、県内の競技全体のレベルアップと県民全体のスポーツ振興に極めて大きく寄与するものと考えます。
 私が高校生であった昭和45年に開催された1巡目の岩手国体においては、岩手県は男女総合優勝である天皇杯獲得という輝かしい成績をおさめました。最近では、平成14年に開催された高知国体において開催県ではない東京都が天皇杯を獲得した例はありますが、平成15年以降は、いずれの年も国体の開催県が天皇杯を獲得いたしました。
 ある事業仕分け人の方は、1位になる理由は何があるんでしょうか、2位じゃだめなんでしょうかと発言なさっておりますが、岩手県は、次の岩手国体の開催県として、競技における1位、すなわち天皇杯獲得を目指すのでしょうか。過去に天皇杯獲得にこだわらないと述べた知事もおられましたが、達増知事のお考えをお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国民所得に対する県民所得水準の乖離の縮小についてでありますが、本県の経済を持続的に成長させ、1人当たり国民所得に対する本県の県民所得水準の乖離を縮小していくためには、長期的な視野に立ったものづくり産業の振興や、地域の特性、資源を最大限に生かした産業の振興により、県外から安定的に外貨を獲得するいわゆる域外市場産業を強化するとともに、得られた所得を県内で循環させていくことが重要と考えております。
 このため、いわて県民計画においては、産業創造県いわてや食と緑の創造県いわての実現など、岩手の未来をつくる七つの政策を掲げて、自動車関連産業や半導体関連産業など国際競争力の高いものづくり産業の集積促進、地域の特性、資源を生かした食産業や観光産業の振興、農林水産物の販路拡大や高付加価値化などのほか、今後、成長が期待される医療機器関連産業など新たな産業の創出、中国を初めとした東アジアなど海外市場への展開などにも重点的に取り組むことによって、本県において持続可能な経済基盤を構築していくこととしております。
 次に、秘書広報室についてでありますが、秘書広報室は、知事の県政運営を身近からサポートする組織として、さまざまな情報の収集を行うとともに、県民の参画を促進する広聴広報活動や岩手のイメージアップに向けた積極的な情報発信を展開しているところであります。
 具体的には、秘書広報室長がさまざまな団体等から、あるいは個人から収集した情報が随時報告されているほか、国内外の新しい動きや時代を先取りした斬新な施策に関する情報の収集や分析等を行うとともに、ツイッター、ユーストリーム等のウエブによるリアルタイムな情報発信、いやし、健康、パワースポットを重点テーマとした県外広報活動等を強力に展開しているところであります。
 今後とも、秘書広報室を機動的に機能させることにより県政課題により迅速に対応するとともに、タイムリーで効果的な情報発信に努めてまいります。
 次に、第71回国民体育大会の目指す成績についてでありますが、平成20年1月に策定しました同大会の開催方針におきましては、本県スポーツ水準の飛躍的向上と生涯スポーツの推進を図ることを第一の実施目標として掲げ、この方針を受け、同年3月に策定した同大会岩手県選手強化基本計画におきまして、開催県としてふさわしい優秀な成績をおさめることを基本方針としているところであります。この方針を受け、県としては現在、競技団体など関係者と一体となって、この実現に向け、指導体制の確立や選手育成、強化に鋭意取り組んでおります。その結果、少年男子種別においては、第64回新潟国体において過去最高の得点を獲得するなど具体的な成果があらわれてきているところであります。一方、成年種別の伸び悩みなどの課題も明らかになってきておりまして、今後においては、これまで以上に産業経済界などとの連携を深めながら、目標達成に向けて強力に取り組んでいく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) 広域振興局の現状についてでございますが、県では、4広域振興局体制への移行に当たりまして、それぞれの地域の特性を生かした産業振興を担う体制を充実、強化し、まずは市町村を初めとする地域のさまざまなニーズの把握や関係者とのネットワークの構築に努めているところでございます。
 今後、拡充された地域振興推進費の活用なども図りながら具体的な成果につなげていきたいと考えております。
 住民サービスの面では、本局への集約等に伴いまして県民の利便性の低下が懸念される事務につきましては、職員の駐在や出張による対応など、さまざまな手段によりまして一定のサービスの確保に努めているところでございます。また、例えば北上地区におきましては、合同庁舎において就労、生活支援、消費生活相談等に係る県と北上市のワンストップサービスの窓口を設置するなど、市町村との連携によるサービスの向上にも努めておりまして、総じてこれまで円滑に移行が図られているものと認識しております。
 今後も引き続き県民や市町村との連携、協働を図りまして、質の高い行政サービスを提供できるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 海外事務所の活用方策についてでありますが、ソウル事務所につきましては、これまで北東北3県及び北海道が連携し、ホームページによる情報発信、観光展への出展、現地旅行会社への説明会や商談会の開催など、知名度向上と旅行商品造成支援等に取り組んできたところであります。
 本県を訪れました韓国人観光客数は、事務所を設立した平成14年の1、436人回から平成19年には1万5、863人回と大幅に増加し、その後、新型インフルエンザの流行、円高の影響などにより減少したものの、全体としては増加基調にあり、本県への韓国人観光客誘致に果たすソウル事務所の役割は大変大きいものと認識しております。
 また、大連経済事務所につきましては、これまで大連市の旅行会社やマスコミの招請、新規旅行商品造成に対する広告支援、広州市への旅行会社のセールスなどに取り組んできたところであります。
 今年度は、上海万博の出展とあわせ、東北観光推進機構が主催した観光セミナーや商談会に参加し岩手の観光資源の情報発信に努めたほか、広州市等へのトップセールス、現地旅行会社や旅行関係メディアの招請も行うこととしております。
 今後、中国人観光ビザの発給要件の緩和により中国人観光客の増加が見込まれるものと考えており、引き続き大連経済事務所を活用し、中国における本県の一層の知名度向上や誘客に努めてまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、医師確保についてでありますが、県におきましては、医師確保対策アクションプランに基づきまして、各種奨学金制度による医師養成、県内の臨床研修体制の充実による初期臨床研修医の受け入れ拡大や女性医師の就業支援などに取り組むとともに、即戦力となる医師の招聘を担う専担組織の設置によりまして31名の医師を招聘するなど、医師確保にあらゆる角度から取り組んできているところでございます。
 この結果、平成20年の人口10万人当たりの病院勤務医師数は、いわて県民計画アクションプランに掲げる参考値を上回っているところでございます。
 しかしながら、医師の地域偏在や産科、小児科など特定診療科の医師不足、過酷な勤務環境等に起因する病院勤務医の離職など、議員御指摘のとおり、依然として本県の地域医療は、深刻な状況が続いているものと考えております。
 このため、本年度におきましては、岩手医科大学医学部の定員増に対応し、奨学金制度の貸付枠をさらに拡充して55名としたほか、新生児集中治療管理室、いわゆるNICUに入る新生児の担当医師などへの手当の支給や、救急医療機関への開業医によります夜間、休日の診療応援などの新たな取り組みを加え、医師確保対策を一層強化して取り組むこととしております。
 加えて、地域の中小規模の医療機関におけます医師確保対策の一環として、地域医療を担う総合的な診療能力のある医師の育成に係る取り組みも進めているところでございまして、可能であれば、本年度から募集を行い、平成23年度には育成を開始したいと考えているところでございます。
 なお、医師の地域偏在や特定診療科の医師不足を根本的に解消していくためには、国の制度改革が必要でありますことから、あらゆる機会をとらえて、国に対して、引き続き政策提言を行ってまいりたいと考えております。
 次に、本県の疾病構造と健康づくりの課題、取り組みについてでありますが、厚生労働省が6月に発表しました平成21年の人口動態統計速報値によりますと、県民の死亡原因は、がん、心疾患、脳血管疾患の順に多い状況となっており、これら三つの疾病による死亡者の割合は、全体の約6割を占めているところであります。
 また、特に脳血管疾患による粗死亡率が全国第1位、心疾患による粗死亡率が全国で第5位と高い状況となっており、がんを含めたこれら3大生活習慣病の発症予防と重症化防止を進めることが、本県の健康づくりにおける重要な課題であると認識しているところでございます。
 このため、いわて県民計画におきましては、これらの疾病による死亡率の減少を目標に掲げるとともに、具体的には、県民一人一人が健康的な食生活や運動習慣が実践できるよう、広く県民を対象としたシンポジウムの開催などによる啓発活動や、学校や事業所での栄養教室、夏休みなどを活用した親子運動体験など、メタボリックシンドローム1割削減運動を展開することとしております。
 また、3年目を迎えました特定健康診査、特定保健指導の本格的な実施を図るため、健診体制の充実を図るための検討会の開催や、保健指導従事者の研修、優良取り組み事例集の作成、配布などにより、市町村を初めとする医療保険者の取り組みを支援いたしますとともに、がん検診受診率の向上を図るため、民間団体や賛同企業と連携しながら、ピンクリボンフェスティバルの共同開催などを行うほか、新たに受診率の低い市町村の底上げを図るため、これらの市町村と共同で課題や対策を検討する取り組みを行ってまいりたいと考えているところでございます。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) 農業者戸別所得補償制度についてのお尋ねであります。
 まず、戸別所得補償モデル対策の加入申請の状況についてでありますが、この対策では、農業者からの加入申請を6月30日まで受け付けることとされており、国が公表した5月31日現在の速報値によりますと、全国では54万6、000件の申請があり、そのうち本県では約2万2、000件となっております。
 また、加入率については、仮に対象者を平成20年の水稲共済の引き受け戸数をもとに推計すると、5月31日現在の全国の加入率は30%、本県の加入率は36%となっております。
 こうした加入申請の状況は、4月から5月にかけては、田植えや大豆の播種作業などの農作業と重なっていたこと、また、その時点において加入申請書の内容を地域水田協議会が確認中のものがあり、その数は計上されていないことなどの事情を考慮すれば、比較的順調に進んでいるものと考えております。
 次に、水田利活用自給力向上事業の問題点とその対応についてでありますが、この事業は、戸別所得補償モデル対策の一環として、水田を活用し、国が定める戦略作物等の生産に取り組む農業者等に対し、全国一律の交付単価を基本として助成されるものであります。
 この制度は、前年度までの産地確立交付金等と比較すると、地域の特色を生かした産地づくりや集落営農等による団地化の取り組みなどを促進する仕組みとはなっていないことなどから、今年度は、県段階における単価調整や地域における作物への加算などの激変緩和措置が講じられたところであります。
 このため、県では、戸別所得補償制度の本格実施に向けて、いわて希望農業政策懇談会における議論や地域からの意見を踏まえ、地域で振興する作物に対する交付単価は、全国一律の単価設定を基本としながら、地域の裁量によって弾力的に運用することや、地域や農業者みずからが行うブロックローテーションや団地化等の経営努力に対して加算することなどについて、国等への働きかけを行い、これまで推進してきた園芸作物、雑穀等の産地づくりや、麦、大豆等の団地形成の取り組みなどの継続を図り、安定的な生産体制の維持、拡大につなげてまいります。
   日程第3 議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第3、議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) ただいま議題とされました議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)について、御説明を申し上げます。
 これは、今般、盛岡地区選挙区及び釜石地区選挙区におきまして実施される岩手県議会議員補欠選挙に係る執行費について、総額約1億1、000万円の増額補正を行おうとするものであります。
 なお、本議案につきましては、選挙日程の関係から、本日の議決をお願いいたしたいと考えております。
 以上でございますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木一榮君) この際、お諮りいたします。ただいま議題となっております日程第3、議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)は、選挙経費の執行日程の関係がありますので、先議いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、日程第3、議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)は、先議することに決定いたしました。
 これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)は、総務委員会に付託いたします。
〇議長(佐々木一榮君) この際、暫時休憩いたします。
   午後5時 休 憩
出席議員(44名)
2  番 工 藤 勝 博 君
3  番 岩 渕   誠 君
4  番 郷右近   浩 君
5  番 高 橋   元 君
6  番 喜 多 正 敏 君
7  番 高 橋 昌 造 君
8  番 菅 原 一 敏 君
9  番 熊 谷   泉 君
10  番 木 村 幸 弘 君
11  番 久 保 孝 喜 君
12  番 小 西 和 子 君
13  番 高 橋 博 之 君
14  番 及 川 あつし 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 嵯 峨 壱 朗 君
25  番 田 村   誠 君
26  番 飯 澤   匡 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後5時52分 再開
〇議長(佐々木一榮君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   報 告
〇議長(佐々木一榮君) 総務委員長から、委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
   日程第3 議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)(続)
〇議長(佐々木一榮君) 日程第3、議案第21号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第2号)の議事を継続いたします。
 本案に関し、委員長の報告を求めます。関根総務委員長。
   〔総務委員長関根敏伸君登壇〕

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