平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(平野ユキ子君) 千葉康一郎議員の質問中、IT推進に関連して私からも質問させていただきたいと思います。
 先ほどお話がありましたが、県主導の研究会では高齢化社会でのIT活用を検討中のようで、まことにすばらしいことと感じております。それと同時に、岩手の財政のために企業へのIT対応もしていただきたいと思いますので、私のところに寄せられております実例とかを紹介しながら提言させていただきたいと思います。
 県内の将来有望な企業や若い農業後継者が、その努力とは別の次元で取り残され、格差が広がりつつある。このままでは岩手は陸の孤島となってしまうと、千葉康一郎議員は先ほどこのようにおっしゃいましたが、全くそのとおりではないかと思っております。先日、私は環境福祉委員会の視察で千厩の産業廃棄処理の企業を視察いたしました。この企業は全国版の情報誌にも紹介されるような処理技術を開発しておりながら、ブロードバンド整備がないためにそれを生かせず、一刻も早く、せめて光ファイバーならずともADSLを使えるようにしてほしいという要望がそのときにありました。その地域は0191局でADSL対応地域ですが、中心だけADSLは通っておりますが、この企業の立地している56局の地域ではまだISDNしか使えません。その企業はGPS――このGPSというのは、ご存じのとおり、車に搭載されておりますナビゲーションシステムですね。衛星からの電波で位置を確定するというシステムですが、このGPSシステム搭載車で廃棄物の情報管理を確実にするというシステム、これが全国の情報誌に掲載されたわけですが、その地域ではISDNしかなくて、ISDNではGPSから送られるデータをウエブ上で確認できないため、せっかく開発したこのシステムを断念して代替のSDカードを利用しているという現状でした。また、最近はごく普通になってきているのですが、顧客との取引上、こういう企業ですから、中央とも取引しておりますが、静止画像をメールで添付して、そういう条件のある企業が多いんですね。もうISDNでは静止画像添付などというのは対応不可能なんです。このような悩みを抱える企業は県内に実は多々あると思われます。画像添付というのが条件とか、あるいは取引上当たり前のこととされるので、このような企業は、せっかく岩手に立地しながら、不本意ながら遠からず岩手から流出せざるを得なくなるのではないかと憂慮しています。県の税収面からも損失であり、早急に対処しなければならないと思います。IT環境が整っていればどんどん発展しそうな企業が、ITの便のいいところに流出するのをみすみす見過ごすのは、県の財政上も望ましいことではありません。
 昨日、工藤大輔議員から県財政について、予算規模7、200億円台に向けて今後どのように進めるのかとの質問がありましたが、知事の御答弁は、段階的に縮減、一切の聖域を設けることなく削減策の検討を行うとのことだったと理解いたしましたが、むだを省くのはもちろんですが、税収をふやすということも前向きの行財政改革ではないでしょうか。自動車産業を応援するように、県内の将来有望な企業を応援することを考えていただけたらいかがなものかと思います。
 また、1次産業の面でもこれは言えます。岩泉の山の中で木材を使った木工製品や自家製ハムなどをつくって販売している農家の悩みというのは、やはりその地域がナローバンドしか使えない、つまりISDNしかないということなんですね。ISDNが使えないということは、メール添付やりとりというのができないということのほかに、もっと厳しいのは、地方からの産直に必須の宅配便が、その中で最大大手のクロネコヤマトの送り状ソフトは、インターネットのブロードバンドで接続しないと事実上運用が厳しいという声が寄せられました。岩手の大事な産業と知事もおっしゃる1次産業ですが、実際、ITがないとなかなか財産とはなりません。昨日の御答弁中に、産業の振興策として農林水産部と商工労働観光部、そして総合政策室の部局横断的な研究会の立ち上げがあって、勉強会がされているという御報告がありましたが、まことに結構なことと思います。私もこのような研究会を提言していたことですので、大変ありがたく感じております。
 ところで、実際にIT整備を県内全域にするためには数十億という巨額の投資が必要です。でも、現実には財政難です。昨日、光ファイバーの件について山口部長の御答弁には、国のブロードバンド施策とも連動して早急に市町村、通信事業者等と検討を進める考えとのお答えがありました。早急とはいつのことでしょうか。まず、非常に財政難の折、なかなか全域に整備するのは大変なときですね。そこで、一つ提言したいのですが、千葉康一郎議員の御発言にあったように、これまで行ってきた補助事業の延長をお願いいたします。そして、それに柔軟性を持たせていただきたい。ここに今まで行ってきた補助事業の中身がありますが、2、000万円ぐらいを6町村とか9町村とかに分けて使っていますが、これではせいぜい二、三百万円程度です。その二、三百万円程度では余り効果はないと思うんですね。数百万の補助では、現実には中途半端です。ですから、そういった枠を取り払って、その分を1カ所に集中して手当てをするのはいかがでしょうか。まず、IT整備の必要性を公募します。そして、手を挙げたところのIT整備の必要性と緊急性を公平に審査して、そこに最初に1カ所に集中して手当てをいたします。1カ所だけなら思い切って予算をかけてもこれぐらいですから、それにプラス国の2010年までの手当てがございますよね。予算50億円をとったという、それと連動させて1カ所に集中します。最初は1カ所だけの整備のようですが、その効果は必ず全体に行き渡っていくようになると思います。で、次への投資を可能にします。こうして徐々に全体に行き渡っていくようになると、今すぐに具体的な対策をとらないと、優秀な県内産業が、企業が流出してしまう状況への歯どめともなるのではないでしょうか。これは即答できることではないと思いますので、今お答えをいただかなくても結構ですが、民間ならやれるこのような補助の仕方をぜひ御検討していただきたく、お願いいたします。この案に関して担当部局の御見解をお伺いいたします。

〇地域振興部長(山口和彦君) お答えします。
 先ほど知事からもお話ししましたように、これまではブロードバンドを全市町村に、まずその点でございますけれども、いずれ中心地でブロードバンドができるようなことで、今、施策を推進してまいりました。それで、今お話がありましたように、企業サイドあるいは農業サイドでいろいろとそういう困っている方がいらっしゃるということでございますけれども、いずれ、ブロードバンド環境整備については、産業振興も含めて、雇用対策も含めて、まずはそれぞれの地域においてどのようなニーズがあって、それを実現するために課題等その必要な対策をまず明らかにしまして、それが必要だと思います。そして、その上で県が果たすべき役割についても検討してまいりたいというふうに考えております。そういうことで、今はとりあえず、そういう実態を聞きますと、確かに企業の中には、何というか、ブロードバンドがないためにそういうふうなことをやっている方もいらっしゃいますし、聞いておりますと、江刺等については、既に工業団地に誘致されている企業につきましては専用線のサービスを契約している事例、実際に独自に専用線を引いている事例もありますし、それから、江刺の場合はえさしわいわいネットというサービスが7月から工業団地まで拡大されているというふうに聞いております。そういうようなところもありますし、これは実態をまだ調査しておりませんので、その辺はこれから調べていきたいというふうに考えております。
 それから、ブロードバンドの早急とはいつかという話でございましたけれども、これにつきましても、次世代のブロードバンド構想2010が7月に出たばかりでございますので、これは国との整合性もありますので、これとあわせて、これらを含めて一緒になって考えていきたいというふうに考えております。

〇16番(平野ユキ子君) 江刺の場合は過疎債を使って自前で光ファイバーを引いているということなので、そういう形になっているんだと思います。いずれにしましても、1次産業の農業におきましても、それらが実は後継者、若い人が、やりたい人がいないというのではなくて、定着しないのは情報インフラの貧弱さのせいだということもあります。岩手というのは、実は零細業者の集まりなので、手づくりの零細業者とか個人経営の農家あるいは水産業者にとって、ITはなくてはならないものです。ホームページを立ち上げ、製作現場や飼育環境を動画で発信できるようにしたい、顧客の開拓ですとか顧客管理をしたいという声が届いています。都会から毎年何人か就農希望者が来るけれども、結局のところ、一様に口にするのはIT環境の貧弱さ、それで居つけないという声を聞いています。自動車産業などの大企業はもちろん大事で、非常に県税の増収のためにもなりますが、小さなこういった企業、そして農家あるいは水産漁家を大切にする。1カ所、1地域を集中的に始めて、そして全体に行き渡らせるという施策をぜひ検討していただきたいと思いますが、知事の御見解をお伺いして、質問を終わらせていただきます。

〇知事(増田寛也君) 今のブロードバンド環境の整備というのは大変重要なことだと私も思います。やり方は、先ほど千葉議員にも申し上げましたとおり、まず線から面へ拡大していく方策を考えることと、それから産業振興など企業なども利活用しやすいようにコミュニケーションの質をいかに向上させるか、それをそれぞれ考えていくということで、そのために研究会も設けてありますので、そこでさまざま御提言いただいて、それを十分に、今のお話も含めて県の施策に生かしていきたい、このように考えています。

〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時31分 休 憩

出席議員(47名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 三 浦 陽 子 君
3  番 中 平   均 君
4  番 ザ・グレート・サスケ 君
5  番 木戸口 英 司 君
6  番 関 根 敏 伸 君
7  番 野 田 武 則 君
8  番 高 橋 比奈子 君
9  番 高 橋 雪 文 君
10  番 嵯 峨 壱 朗 君
11  番 平   澄 芳 君
12  番 工 藤 勝 子 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 平 野 ユキ子 君
17  番 大 宮 惇 幸 君
18  番 千 葉 康一郎 君
19  番 新居田 弘 文 君
20  番 工 藤 大 輔 君
21  番 平 沼   健 君
22  番 樋 下 正 信 君
23  番 照 井 昭 二 君
24  番 柳 村 岩 見 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 川 村 農 夫 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
37  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 小 原 宣 良 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(1名)
50  番 佐 藤 正 春 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   午後3時49分 再 開

〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。平沼健君。
   〔21番平沼健君登壇〕(拍手)


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