平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇18番(千葉康一郎君) 民主・県民会議の千葉康一郎でございます。
 このたび、本定例会におきまして、先輩・同僚議員の御配慮によりまして登壇の機会を得ましたことに対しまして感謝申し上げ、通告に従いお尋ねいたします。
重複する点もありますけれども、御理解をいただき、知事初め関係部局長には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず初めに、第44回衆議院議員総選挙についてお伺いいたします。
 郵政民営化問題がクローズアップされた先般の衆議院議員総選挙は、小泉首相の戦略が功を奏し、その結果は既に御案内のとおりであります。また、今回の選挙ほど国民の関心を集めた選挙も珍しく、そして投票率も、前回選挙の67.3%を上回り70.8%という高い投票率になったところであります。これは、小泉首相の郵政民営化にイエスかノーかという単純なスローガンが国民にひたすらわかりやすかったのでしょうが、これが小泉首相の選挙戦術とは言いながら、現在、我が国が抱えている財政再建や国際的な信頼回復などといったいわゆる内政・外交問題など山積する課題にはほとんど触れられず、郵政一本やりの主張は、国民に日本の将来を決める判断を奪ってしまったのではないかという気がしてなりません。私は、総選挙は国政全般について国民の審判を仰ぐものというふうに思っておりまして、戦術とは言いながら、小泉首相は郵政問題だけを争点にしたことは、日本の将来にとって大きな問題であったと考えるものであります。選挙直後の識者の談話にも、今回の選挙はオリンピックのときの国民の熱狂ぶりに近く、エンターテインメントとして終わったと評している方もおります。そうは言っても、選挙結果は既に出てしまったのであります。今後、小泉首相には、多くの国民の期待を裏切ることなく、郵政問題だけでなく、さまざまな公約の実現に取り組んでもらいたいものだと思うのであります。そして、私たち国民も日本の将来をみずから築く気概を持って、これからの国政を厳しく監視してまいらなければならないと思っているところであります。
 そこでお伺いしますが、まず知事は、先般の衆議院議員総選挙の結果を含め全般についてどのような感想をお持ちでしょうか。また、知事は今回の結果が今後の県政にどのような影響が出ると考えておられるか、お伺いします。
 次に、三位一体改革についてお伺いします。
 地方分権が声高に叫ばれてから、既に相当な年月が経過いたしました。平成12年に地方分権一括法が制定され、国と地方は対等、協力の関係へと大きく転換したわけでありますが、肝心の国と地方の税財政制度については抜本的な見直しは全く進んでおりませんでした。こうした事態を打開するために、その後、国では国庫補助負担金の廃止・縮減、それに伴う税源移譲及び地方交付税の見直しをセットで行ういわゆる三位一体の改革を打ち出されました。その理念は実にすばらしいものだというふうに言えます。しかし、その現実はというと、地方分権改革の理念からは余りにもかけ離れたものとしか言いようがありません。国は、昨年6月に定めたいわゆる骨太の方針2004において、小泉首相の政治判断により3兆円規模の税源移譲を行う旨を明記し、あわせて税源移譲の前提となる国庫補助負担金改革の見直し案の作成を地方に依頼しました。地方の側としては、地方分権をとにもかくにも進めようという強い思いから、改革案の取りまとめに懸命に努力したわけであります。実際、全国知事会においては、昨年8月、増田知事を初め全国の知事が新潟に集結し、実に2日間にわたり深夜にまで及ぶ真剣な議論を交わされました。その結果、地方の案が取りまとめられ、国に対して改革を直談判したのであります。その姿は、同じ地方の自立を目指す者として胸に迫るものがありました。こうして地方が投げ返したボールを受け取った国は秋から議論をスタートさせたわけでありますが、国の各省は、省益を優先する余り、地方の提出した補助負担金の削減案に一斉に反発するなど、国の議論は当初から混乱を極めたものとなったのであります。この間、国と地方の協議の場も約4カ月の間に計8回開かれましたが、開催を重ねるごとに国の後ろ向きの改革姿勢が鮮明になるばかりでありました。結局、最後は閣僚による政治決着に持ち込まれ、昨年11月26日、政府・与党合意によるいわゆる三位一体改革の全体像が取りまとめられましたが、その結果は、3兆円の国庫補助負担金の削減だけが優先されたため、大いに不満の残る内容となりましたことは、皆様方、既に御承知のとおりであります。このような性急かつ一方的な決定が行われたのは、もちろん国の各省の消極的な姿勢によるところが大きいわけでありますが、果たして地方の側にも問題はなかったのでしょうか。分権改革の議論がいつの間にか税源獲得の手段と化してしまい、こうした弱みにつけ込まれ、国に丸め込まれてしまったのではないかと思うのであります。補助負担金の削減と地方交付税見直しによる減額は、財政規模の小さい自治体ほど大きな痛みを受けているのであります。
 そこでお伺いしますが、昨年11月の三位一体改革の全体像を知事は現在どのように評価されているのか、御所見をまずお伺いします。国の全体像では、義務教育や生活保護などが国庫負担金の削減対象とされ、また、これまで全く議論の対象にすらなっていなかった国民健康保険への都道府県負担の導入が唐突に盛り込まれてまいりました。しかも、国民健康保険制度を今後どうするのかという将来像が全く不明瞭なまま、財政負担の問題だけを切り離して地方への負担転嫁を行うことは、全く不合理であると言わざるを得ません。義務教育は憲法で保障され、本来、国が責任を果たすべきものだと考えます。しかし、国庫負担金を廃止対象とすることについては、複数の自治体や関係団体は反対しましたが、結局は国の全体像に盛り込まれてしまいました。
 そこでお伺いしますが、今回の三位一体改革の全体像において、義務教育費国庫負担金の取り扱いはその後どうなっているのか。また、義務教育費国庫負担金を含む国庫補助負担金の削減について、平成17年度の本県への影響額は全体でどのぐらいになる見込みなのかを伺います。
 そもそも義務教育費国庫負担制度は、義務教育水準を実質的に確保する重要なものであると言えます。今回の改革の問題は、税源移譲の獲得を急ぐ余り、義務教育のあるべき姿という根本の議論がないままに負担金の削減だけが先行したものと思うのでありますが、このことに対する知事のお考えをお聞かせ願います。
 また、第1期分の三位一体改革は平成18年度まででありますが、3兆円の税源移譲の実現のためには約6、000億円分が未決着となっております。平成18年度の予算編成時期を目前にして、全国知事会はもとより、特に知事はこの三位一体の改革をどう実現していくお考えであるか、お聞かせ願います。
 次に、少子化対策について伺います。少子化がもたらす人口の減少は、今後の社会、経済への影響ははかり知れないものがあると思います。日本の少子化は、結婚や出産、子育てに対する意識の多様化、地域社会の連帯意識の希薄化などの社会構造の変化、そして、これに伴う家族意識の多様化が大きく関係していると言われています。全国の合計特殊出生率も、平成8年の1.43人が、平成16年の結果では1.29人にまで減少し、本県においても平成8年1.58人が、平成16年には1.43人に低下しているようであります。このような状況から、国としては有史以来の未曾有の事態と位置づけ、平成15年に少子化社会対策基本法及び次世代育成支援対策推進法を制定して、地方公共団体にも行動計画の策定と実施を義務づけ、また、企業に協力の責務を課しております。また、従来は個人的とされていたことに対しても施策を講じているようですが、こうした踏み込んだ少子化対策に対してはまだまだ手ぬるいという識者の評価もあります。いわゆる国の予算配分も、社会保障費には69.9%、それから少子化関係には3.8%という対比の数字があるようですが、単に高齢化対策と少子化対策という比較ではなくて、高齢化対策の費用もしっかりして、少子化対策もしっかりするという観点がなければならないということであります。本県においても、平成7年に岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針、また、平成13年にはいわて子どもプラン、結(ゆい)の心・子育て環境日本一を目指してを作成し、子供を安心して産み、健やかに育てることができる社会の形成を目指してさまざまな施策を展開してきたところであります。
 そこで、国の少子化対策の一つでもある県内市町村の行動計画と実施状況及び県の取り組み内容はどのようになっているのか、お伺いします。また、知事は、国の取り組みや本県の少子化対策のこれまでの推進の成果をどのように評価しておられるのかをお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 少子化社会白書でも、出生率の低下についていろいろな要因が指摘されております。例えば生活不安の問題だとか晩婚化の問題、あるいは価値観の変化、子育て費用の高まりなどが言われているのでありますが、こうした要因の中で、私は、一番大事なのは、やはり仕事と子育てを両立できるような環境が不十分であるという日本社会の状態、その中で女性の高学歴化、就業率が高まってきているという変化、いわゆる現在の日本の社会の構造や制度に問題があるのではないかと考えているのであります。本県の将来を考えた場合、県はもっともっと力を入れて取り組むべき大きな課題ではないかと思うのであります。本県は今、財政難のときではありますが、少子化対策予算の増額配分も必要ではないかと思うのですが、知事のお考えをお聞かせ願います。
 また、現在の県の推進体制は、庁内11部局28室課で構成している岩手県子育てにやさしい環境づくり対策推進会議がありますが、もっと積極的に、例えば仮称ですけれども、少子対策局というようなセクションを設置し、これを強力に推進すべきではないかと考えていますが、推進体制についてとあわせて少子化対策の基本的な知事の考えをお伺いします。
 次に、農業の振興策についてお伺いいたします。
 平成15年の農家経済調査報告書によりますと、県内の農家1戸当たりの農業所得は75万6、000円で、全国平均の約68%、東北平均の72%弱となっています。もちろん、この数字は立地条件や自然環境、地域産業の構造といったさまざまな要件もあって単純に比較できないこともありますが、とにかく全国に誇る総合食料供給基地を標榜する本県としては、極めて憂慮すべき実態であります。先般公表されました政策評価レポート2005施策評価調書においても、農業振興施策の達成状況は前年度よりも後退しているという結果が出ております。この未達成の要因は何であるのか、農業振興策や推進上に問題はなかったのか、徹底した検証が必要と考えます。
 そこで、これの検証をきちっとされているのか、まずお伺いします。されたのであれば、その内容をお知らせください。また、検証結果を今後どう生かしていくか、伺います。
 県は、環境変化に対応できる体質の強い産業構造への転換を掲げ、農業分野にあっては、地勢や多様な気象を積極的に生かし、収益性の高い農業への再編を加速させる。また、意欲と能力のある多様な担い手の確保・育成を促進するとしておりますが、県は、このことに真剣に取り組んでおられるのか、甚だ疑問に感じるのであります。
 実例を挙げて紹介しますと、県南のある生産集団が大規模ガラス温室でトマトの水耕栽培を目指し、6年もの間、気象や環境、生産技術や販路等々を専門技術者あるいは経営指導者と一緒になって調査研究し、数年前から、実現にめどがついたとして、国庫補助事業を導入するため関係機関に相談してまいりました。このことは県も十分承知していることであります。しかしながら、これに関して県は、県のかさ上げ補助分の財源が問題だとか、あるいは大規模施設であるので多額の投資が心配であるなどの理由で国への補助申請はされておりません。県の対応は極めて消極的であると感じます。以前、知事から、水耕栽培は無菌で安全・安心な生産方式であることや、これからの農業は企業性が求められるなどのお話があったと記憶しておりますが、この大規模ガラス温室によるトマトの水耕栽培はまさに県の目指す収益性の高い農業の一つであり、知事の考えに合致するものと思います。この生産組織は後継者がそろっており、温暖な気候を最大限に生かしながら、地元労働者を雇用し、企業的に収益性の高い農業が実現できると私は思いますので、今後、この大規模ガラス温室をモデル事業として十分検討してはいかがかと思いますが、知事の考えをお伺いします。
 次に、アスベスト対策についてお伺いします。
 本年6月末、突如、アスベストによる健康被害問題が連日のように新聞・テレビ等で報道されてから国内に衝撃が走り、今、大きな社会問題となっているところであります。このアスベスト(石綿)というのは天然の繊維状鉱物で耐熱性が高く、絶縁性にすぐれていることや、半永久的に劣化しないということで、建築物や天井、鉄骨の被覆、さらには工業用材料として多くの製品に使用されているとのことであります。ところが、このアスベストの繊維は空気中に飛散しやすく、一度体内に取り込まれると排出されにくく、大量に吸い込んだ場合には肺に蓄積され、じん肺や悪性中皮腫の原因になるとされておりまして、肺がんを引き起こす可能性が非常に高いと言われております。政府はこのほど、国と原因企業が財源を拠出して健康被害救済に対応する方針を決定するとともに、次期通常国会に被害救済のための法案を提出する予定であるとのことであります。また、来年度の予算編成をにらみ、被害の実態調査と並行しながら、原因企業の特定や対象者の認定基準などを詰めるとのことであります。
 そこで、県としてのアスベスト対策についてお伺いいたしますが、まず、アスベストによる県内の健康被害の実態を把握されているのか。把握されているのであれば、その内容をお伺いします。また、県内の公共建築物への使用実態とその対策はどのようになっているのか、お伺いします。県内唯一のアスベスト製品の製造企業であった一関市千厩町内の企業の実態調査をされたとのことでありますが、現在、この企業は製品の製造はしておりません。今後、この企業に対してどのような対策を進める考えであるか、お伺いします。また、県民からのアスベスト関連の相談の状況と、これに伴う今後の対応についてお伺いします。
 次に、県民の医療確保についてお伺いいたします。
 県民が安心して暮らせる地域にするのは行政の大きな役割であり、責任でもあります。調べによりますと、医師の充足率は、全国を100とした場合、本県は84.9%と極めて低い結果になっており、ちなみに県北・沿岸はといいますと、何と58.3%というまことに驚くべき内容であり、ゆゆしき問題であります。さらに、このことは本県だけの問題ではなくて、東北・北海道は全国的に見ても極めて低い充足率だと聞いております。なぜ医師が不足するのか、どうして医師が定着しないのか、どこに原因があるのか、本当にこのことはいつも私は頭から離れません。お産、子供の急な発熱、そして心臓発作などなど、急病などに即対応できる病院があり、頼れる医師がいるということが安心して暮らせる地域ではないでしょうか。この医師確保問題について、本年度の予算を審議する予算特別委員会でも、長時間、真剣に議論されました。その中で国の対応の甘さに憤りを感じたところであります。それは、医師の偏在に対して、厚生労働省、総務省、文部科学省の3省が検討を始めてはいるが、結論として国は動いていないというような答弁が保健福祉部長からあったからであります。
 そこで伺いますが、まず、予算特別委員会から既に半年も経過しておりますので、医師の偏在に対する国のその後の動きはどうなっているのか、お伺いします。また、これらのことに対して知事はどのように感じておられるのか、御所見をお聞かせ願います。さらに、北海道・東北3県の知事と連携して、国に対して医師の偏在改善を強く申し入れていくべきと思います。知事の考えをお伺いします。また、さきの予算特別委員会の議論の中で、医師確保に関するさまざまな提案がなされましたが、これに対して保健福祉部長から、これまではなりふり構わぬ取り組みをしなかったのも事実なので、今後、さまざまな提案や提言を生かしていきたい旨の答弁がありました。これらの提言・提案は、今回策定された岩手県医師確保対策アクションプランの中でどのように生かされているのか、お伺いします。いずれにいたしましても、少子化対策のためにも、産婦人科や小児科の医師確保は緊急かつ重要な課題でありますし、県民の願いでもありますので、一日も早く県民の期待にこたえられるよう一層の御努力をお願いいたします。
 次に、IT推進についてお伺いいたします。
 昨年、我が会派の平野ユキ子議員からIT推進の提言があり、ことし、県主導の研究会が立ち上がり、現在、情報通信インフラの利活用と整備について産学官一体の検討が進められていると伺っております。ぜひとも実りある形にまとまることを期待しております。その中で、産業振興面からのIT化推進についてもぜひ取り上げていただきたいと思います。県内には、将来有望な優良企業や若い農業後継者が各地でそれぞれ善戦しておりますが、企業努力だけでは解決できない次元で格差が広がり、取り残されそうになっているのであります。ブロードバンドの整備されていない企業は今や考えられない時代の中、現実に本県内には光ファイバーどころかADSLさえも使えない地域が多く残されており、このままでは岩手は陸の孤島になってしまうのではないかと憂慮するところであります。本年7月に総務省が発表した次世代ブロードバンド構想2010によりますと、通信インフラの未整備地域を放置すれば整備地域との社会経済的な格差が拡大するものと考えられ、これを解消するため、平成18年度の概算要求において新たな交付金制度の創設を要求することにしたとのことであります。これは自治体が地域の実情に合った通信インフラの整備がしやすい方法を選択できるというものであり、また、民間事業者が過疎地域等で無利子融資が受けられるようにするなどの一連の支援策で、来年度約50億円を要求するとしています。
 一方、本県では平成15年度から3カ年事業で高速インターネット基盤整備事業を実施しておりますが、本年度をもって一応終了することになっています。
 そこで知事にお伺いします。国のブロードバンド施策と連動して、県の事業についても柔軟で対応可能な事業として再構築し、情報や通信に取り残されそうな地域にある優良企業や新しい農業などの振興のためにブロードバンド施策の展開を強力に図るべきと考えますが、お考えをお聞かせ願います。
 以上で私の質問は終わりますが、答弁の内容によっては再度質問させていただきますので、よろしくお願いします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 千葉康一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今回の総選挙の関係でございます。
 有権者が、自民党・公明党の連立政権の継続を選択するという結果であったわけですが、この結果については、総理の郵政改革にかける熱意、並々ならぬ決意、そして衆議院の解散、候補者擁立で見せた指導力に国民が共感をするとともに、今後、郵政改革のみならず、他の構造改革を推進することも期待した結果ではないか、このように考えております。
 今後は、自民・公明連立政権が打ち出す政策を注視するとともに、一方で県民の皆さん方の声にも十分耳を傾けながら、適切な県政運営に努めていきたいと考えております。
 次に、三位一体改革についてでありますが、昨年、国と地方の協議の場が初めて設けられまして、7回にわたり協議が行われたわけでございます。これは、そのこと自体意味のあることと思うわけですが、手続面では、今、議員からもお話ありましたとおり、地方団体が提案をいたしましたその案に対しまして各省がばらばらに対応して、政府内においてすら三位一体改革の理念が共有をされていなかったのではないか、このように受けとめられました。
 内容面におきましても、昨年11月末にまとめられました政府・与党合意案の中では、地方案が予定をしておりませんでした国民健康保険の国負担分の一部が地方に転嫁された。それから、地方の自主性が拡大し、裁量が発揮できるいわゆる奨励的補助金の改革が、ほとんど手がつけられなかったこと、公共事業について交付金化にとどまったこと、義務教育費国庫負担金について結論が先送りされているといったようなことで、地方団体の改革案とは大きくかけ離れた内容と言わざるを得ない、このように考えております。
 義務教育費国庫負担金の今後の取り扱いでございますが、これはことしの秋までに中教審で結論を得る、こういうことになっておりますが、現在、その中教審の義務教育特別部会の場で地方側の代表も3名参加をして協議が続けられている、このように聞いております。政府・与党合意では、費用負担についての地方案を生かす方策を検討、このような形になっておりますので、中教審の場でも当然そうした方向で検討を進めるべき、このように考えております。その上で最終的な方針は、国と地方が直接向かい合い協議をする国と地方の協議の場の議論を踏まえて、政府が決定すべきものと考えております。
 それから、義務教育のあるべき姿についてでございます。
 この問題は大変重要な課題でございまして、真摯な検討を行う必要があると認識をしております。私は、義務教育のあり方については、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、その根幹にかかわる部分、そして基本的な事項については、国の責任において定めるべきものと考えております。一方で、現場の地方自治体では、こうした基本事項を踏まえた上で、地方独自の工夫や地域住民の声を反映させて、全体として自治体の裁量と責任において地域に根差した教育が展開できる、そのような仕組みが必要である、このようにとらえております。
 また、こうした義務教育のあり方とその費用をどこが負担するかについては、基本的に分けて考えるべきもの、このように認識をしておりまして、義務教育に係る費用につきましては、地域の実情に応じて柔軟に支出をできるように一般財源化を図るべきもの、このように考えております。
 今後の三位一体改革の実現の考え方でありますが、ことしの秋から年末にかけまして経済財政諮問会議、さらには国と地方の協議の場などが設けられる予定でございますので、そうした中で地方案に沿った改革が実現できるように、この地方案は昨年のものがベースでございますが、ことしの夏に2回目の地方案というものを6団体で提出をしております。2度にわたって地方案を提出しておりますので、両者を含めた地方案に沿った改革が実現できるように、政府に対してその実現を強く求めていく必要があると考えております。
 特にその中では、税源移譲に伴い財政力格差が拡大をするいわゆる財政力の弱い団体についての措置、これは地方交付税で確実に対応されなければいけないわけでありまして、規模の小さい自治体にそのしわ寄せがいくことがないように、特にこの点も国に強く求めていく必要があると思います。
 こうしたことを実現していく上では、6団体が結束した動きが必要でありますし、また、マスコミを含め多くの国民から理解と支持を得る必要がありますので、今6団体で構成しております、地方分権推進連盟という名前だったかと思いますが、そこで国会議員に対してのアンケート調査等を計画していると聞いております。また、フォーラムやシンポジウムなども開催する必要があると思いますし、国会議員に対する要望活動も必要だろうと思います。こうしたことを数多く行うことによりまして、三位一体改革の実現に向けて取り組んでいく考えでございます。
 少子化対策についてのお尋ねでございますが、まず国の少子化対策の評価については、平成6年のエンゼルプランの策定を初めとして、国の方で取り組みが進められてまいりましたが、十分な成果が上がっていない、少子化に歯どめがかかっていない。こうしたことを受けて昨年の6月に少子化社会対策大綱が制定をされた、このように受けとめております。本県では、この大綱に基づく国の取り組みが着実に推進されるように期待をしているわけでございます。
 県としての取り組みにつきましては、平成12年度に最初のいわて子どもプランを策定して保育サービスの充実等の取り組みを進めてまいりましたが、やはり国と同じく少子化傾向には歯どめがかかっておらず、合計特殊出生率も低下をしている、こういう事態でございます。そこで、本年の3月にいま一度いわて子どもプランを改定し直しまして、放課後児童クラブや地域子育て支援センター、つどいの広場など、地域の子育て支援策として特に重要と考えられます14項目について、具体的な数値目標を策定したところでございまして、今後の5年間にこうした目標の達成に向けて重点的な取り組みを進めていきたいと考えております。
 予算の関係でございますが、従来からこの少子化対策関連予算につきましては、40の政策や今申し上げました子どもプランに基づいて、いわゆるプロジェクト予算枠というものも活用して事業展開をしております。待機児童解消のための保育所整備や延長保育など、それから放課後児童クラブ、そして地域子育て支援センター等、まだまだありますが、そうしたものに重点化した事業展開をしております。
 来年度の予算につきましては、これから十分に検討していきたいと思うわけでございますが、この急速な少子化というのは、社会のあり方そのものに重大な影響を与えるわけでございますので、今後も県として重点化した取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、組織の関係でございます。この少子化対策を強力に推進するための庁内組織、今、議員の方からも御提案もございました。こうしたことも十分に踏まえながら、今後こういった体制も検討していかなければならないと考えております。今後の検討課題ととらえておりますが、この少子化対策の基本的な考え方、これはさきの議員の御質問にも申し上げましたけれども、やはり社会の視点から子育てを支え合う地域社会づくり、そして親の視点から安心して産み育てられる環境づくり、それから子供の視点に立っての子供が健全に育っていける環境づくり、この三つの視点で総合的な政策を進めていく、この考え方が大事だと思っておりますので、こうした基本的な考え方に沿って、プランの実行に向けて強力に推進をしていきたいと思っております。
 次に、農業関係で大規模ガラス温室でのトマト水耕栽培についてのお話ございました。
 こうした大規模ガラス温室によるトマト水耕栽培ですが、積雪寒冷地を抱えております本県のようなところで、施設が割高になる、それから暖房費が割高になるといったような問題ございますけれども、一定品質のものを周年、安定的に生産できるすぐれた栽培方法であると思います。
 本県では、小規模な水耕栽培が既に導入されている事例はございますけれども、今、議員が例として挙げられましたような30アールを超えるような大型ガラス温室の整備事例というのは今までございませんけれども、その意味ではモデルとして先進性があると考えております。
 一方で、こうした大規模ガラス温室については、今申し上げました多額の施設整備費、それから運転経費が必要であるということと、それから従来の農業経営とは異なった高度な財務管理、労務管理が必要ということでございまして、特に大きなリスク要因としては、収益に直結するわけですが、重油価格が非常に今変動している、重油価格変動のリスクが大変大きいということで、これはまだ普及性には問題がある、こういうふうに考えております。先進性はありますが普及性には問題があると考えておりまして、県として、現時点ではモデル事業として取り入れる段階ではないと考えております。
 それから、県の医師確保でございます。
 この医師の偏在対策でございますが、この背景は、1県1医大構想のもとで医師数の増加を図ってきたのですが、ある段階、途中段階から医師が過剰であるということで、医学部の入学定員が国全体としては抑制をされてきました。1割削減ということで、今8%ぐらいになっていると思いますが、抑制されてきています。それから、一方で医師側の問題としては、医師の都市志向、それから医療の内容が高度化され、専門分化されているといったようなことがあって、こうしたことの要因が重なり合って医師偏在が顕著になっている。今お話ございました北海道、東北が特にその偏在の格差が著しくなっておりますが、結果としてそういう状況になっていると認識をしています。
 本年の7月27日に厚生労働省の医師の需給に関する検討会での中間報告が取りまとめられました。この中で緊急提言がなされております。これを受ける形で8月11日に厚生労働省、総務省、文部科学省、それに防衛医大を抱えているので防衛庁も入っていますが、ここで関係省庁連絡会議というのがございますが、そこで医師確保総合対策というのが取りまとめられました。この検討会の方でも、先ほど言いましたように7月段階、中間報告でしたので、年度内に最終報告が取りまとめられる、こういうことでありますので、こうした医師確保のためのそれぞれの動き、あるいは対策を国として強力に実現していただきたい。県としても強く要望していく考えでございます。
 この問題については、これまで県としても国に対していろいろさまざまな場で要望してまいりましたし、それから全国自治体病院開設者協議会、それから全国自治体病院協議会ですとか、いわゆる自治体病院を抱えている自治体が構成している自治体病院関係3団体というのがございます。開設者協議会の会長は私でございますし、全国自治体病院協議会の方は前の中央病院の院長をやっておられた小山田先生が会長をやっていますが、こうしたところで3省庁の関係者を招いてたびたび議論をしております。
 ことしも7月27日に、これは超党派の国会議員で構成している自治体病院議員連盟というのがございまして、この会長が片山虎之助参議院議員でございますが、そこの臨時の役員会を開いてもらいまして3省庁にも集まってもらって、医師の不足、偏在を是正するようなそういう対策を協議し要望したところでございます。これはまた秋にもこれを開くことにしています。この関係3団体でことしも決議を7月にしたところでございまして、こうしたことも含めて、またこれからも医師の偏在に対しての対応策をさまざま提案していきたいと思います。
 また、北海道、東北の知事としてもこの問題の動きを強化する必要がありますので、9月2日の4道県の知事サミットで、この医師等の人材の育成支援について決議をいたしました。内容は大きく5点にわたっておりまして、医学部の入学定員の拡大、地域枠の創設等を含めて今考えられる制度、項目をすべて網羅したものになってございますが、こうしたことを踏まえて、今後さらに他の県の知事とも連携をして国に対する働きかけを強めていきたい、このように考えております。
 最後にIT推進についてのお尋ねでございますが、広大な県土を有している本県でございますので、地域間におけるデジタル・ディバイド、いわゆる情報通信格差の是正が重要と考えております。どうしても採算性の関係から通信事業者が参入しにくいというところに対しましては県単の補助事業を創設して、いわゆるブロードバンド環境整備に努めてきたというわけでございます。
 今年度末までにすべての市町村の中心地でブロードバンドが利用できる環境が整備される見通しは立ちましたが、そこから枝に分かれていくところ、ここがまだまだ残されております。先ごろ国が策定した次世代ブロードバンド構想2010――2010年に向けての構想ですが――これを見ますとその内容では、いわゆるe-Japan戦略からu-Japan政策ということで、このITを使いましたそういう施策について今後利活用の促進と、それから地理的デジタル・ディバイドの解消ということが挙げられております。
 したがいまして、県もこうした本県のブロードバンド環境を踏まえながら、線から面へ拡大するための方策、また、産業振興、医療、福祉、教育、それから県民、企業、行政相互のコミュニケーションの質の向上について、こうしたことを早急に進める必要がありますので、情報通信インフラの活用と整備に関する研究会というのを設けておりますが、そこで、いろいろなメンバーが入っていますので、ぜひ幅広く御提言をいただきたい、このように考えておりますし、そうしたことも受けて今後の施策にその内容を十分に生かしていく、こういう考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 三位一体改革におけます国庫補助負担金改革の平成17年度の本県への影響額でございます。
 国庫補助負担金の廃止・縮減等によりまして、本年度当初予算額におきまして、総額で約117億円の一般財源負担が増となる影響がございました。そのうち義務教育国庫負担金につきましては、約60億円の一般財源負担が増となっております。この117億円の一般財源増に対しまして、税源移譲予定特例交付金や所得譲与税によりまして税源移譲された額は約108億円、差し引きいたしますと約9億円の不足額が生じるわけでございますが、この不足分につきましては、地方交付税によりまして措置されていると考えているものでございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 少子化対策について国、県の取り組み、あるいは市町村の行動計画についてでございますが、国の少子化対策につきましては、急速な少子化に対応しまして、少子化社会対策大綱による総合的な取り組みの展開、各都道府県、市町村に対する地域行動計画の策定の義務づけ、従業員301人以上の企業に対します一般事業主行動計画の策定義務づけなどにより、従来の保育サービス中心の対策に加えまして、働き方の見直しを含めた地域や職場を通じた、より総合的な子育て支援対策を講じることとしているところでございます。
 県といたしましても、こうした動きに対応いたしまして、本年3月に各市町村とも連携して、新しいいわて子どもプランを策定したところであり、具体的には、地域子育て支援センターやつどいの広場の設置など、地域における子育て支援サービスの充実、男性を含めた働き方の見直しに関するシンポジウムの開催による意識啓発など各般の取り組みを進めているところでございます。
 市町村の地域行動計画につきましては、今月末までに県内全市町村において地域行動計画が策定済みとなっているところでございます。実施状況につきましては、策定したばかりでございます。今後におきまして市町村とも連携しながら、県のプランのフォローアップともあわせて実施状況を把握してまいりたいと考えております。
 次に、医師の偏在に対します国の検討状況でございますが、先ほどの知事の答弁と一部重複することもございますが、厚生労働省、総務省、文部科学省の3省での検討に最近では防衛庁も加わりまして、地域医療に関する関係省庁連絡会議が開催されてきたところでございます。この会議での検討結果を踏まえまして、本年8月11日に医師確保総合対策が取りまとめられたところでございます。
 この主な内容といたしましては、主に僻地等の対策として、自治医大の定員枠の見直しでありますとか、ITによる診療支援、特定診療科の対策として、女性医師バンク事業の創設でありますとか、女性医師復帰支援講習会の開催、これら共通の対策として、医学部定員の地域枠の拡大などが挙げられているところでございます。
 県といたしましては、これまでに引き続き、これらの対策が早期に具体化されるよう要望してまいりたいと考えております。
 次に、アクションプランの策定とその実施状況についてでございますが、岩手県医師確保対策アクションプランは、昨年12月に設置いたしました地域医療対策協議会におきまして、医療関係者を初めとするさまざまな方々からの御提言、御意見を踏まえまして、本年3月に取りまとめたものでございます。
 このプランに基づき、医師のライフステージに応じた取り組みを実施しているところでございますが、具体的には、医師を育てる取り組みといたしまして、奨学金制度でございます市町村医師養成事業の実施あるいは医学部進学セミナーの開催、次に医学生に対し知ってもらう取り組みとしまして、奨学金制度や臨床研修病院のPR、それから本県で臨床研修を修了した方に残ってもらうための取り組みといたしまして、専門医の資格取得など魅力ある後期研修の取り組み、それから他地域から医師を招聘するために、全国的に医師が活用しているホームページ等による医師の募集などを実施しているところでございます。
 なお、このプラン策定後、今年度になりましてからも医療関係者等から、女性医師の確保と離職防止でございますとか、産婦人科医と助産師の新たな連携のあり方の検討、あるいはホームページでの情報提供を含め、県外で働く医師のIターンとかUターンの取り組みなどの新たな提案もいただいているところでございます。
 今後は、こういった提案についても地域医療対策協議会における議論を踏まえ、さらにアクションプランの拡充をも視野に入れながら、具体的な取り組みにつなげていくことにより、医師確保に関する取り組みを一層充実し、地域医療の確保に向け取り組んでいく考えでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業振興策などの検証についてのお尋ねについてでありますが、農業施策の達成状況が前年度より後退していると評価されたのは、国内農業産出額に占める本県シェアや認定農業者数などの担い手の育成に関する指標の到達度が低かったためであります。国内農業産出額に占める本県シェアは、本県の農業産出額を全国の農業産出額で除したものであります。評価実施時におきまして、公表されている統計データとして平成15年度のものを用いたのでありますが、当該年度は、異常気象災害により水稲を初めとして大きな被害をこうむった年であり、シェアが前年度に比べ著しく低下したということも大きな要因でございますが、ただ、それはそれといたしまして、ここ数年、県内農業産出額がやはり微減傾向にあることは事実であります。その要因は農産物価格の低迷が一番大きな要因と考えておるわけでありますが、そのほかに経営規模の拡大が進んでいる一方で、やはり小規模層の減少が大きいということも、その要因になっているのではないだろうかと考えているところであります。
 次に、認定農業者数につきましては、目標の延べ人数である9、200人に対して、実績は延べ7、651人と目標を達成できなかったものであります。その要因として、とりわけ兼業農家が多い地域において認定への取り組みが弱いということなどが考えられるところであります。こうした小規模農家あるいは兼業農家に対する対策といたしまして、やはり集落営農の組織化の推進が適切と考えておりますし、また、全体の農業産出額を高めていく上では適作を旨とした複合栽培の推進が肝要ではないかと考えており、今後こうした取り組みを加速してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長千葉弘君登壇〕

〇環境生活部長(千葉弘君) アスベスト対策であります。
 まず、県内の健康被害の実態でございますが、アスベストを起因とした健康被害で確認しておりますのは、平成11年から平成16年までに新日本製鐵㈱釜石製鐵所で1名が労災認定されております。これ以外の健康被害については確認されてございません。なお、本県の肺がんによる死亡者は平成15年の場合、人口動態調査によりますと706人、そのうち中皮腫と診断された者が6人でありますが、これらはあくまで死亡原因の統計でありまして、アスベストとの因果関係は不明でございます。
 アスベストの使用実態でございますが、県内の公共建築物等につきまして、現在、吹きつけアスベストの使用実態について、県、市町村において調査を行っているところでありますが、関係機関による分析結果を待っているものもありますことから、現時点ですべての施設についての調査結果は判明しておりませんが、9月9日現在の把握状況について取りまとめましたところ、県、市町村が所管する公共施設のうち、9、579施設中、97カ所において使用が判明しております。
 次に、一関市千厩町にあったアスベスト製品製造企業への対策でございますが、この製造会社は平成12年に破産宣告がなされましたが、敷地内に保管されていた同社製造のアスベスト含有建材約6、700トン及び原料のアスベスト約45トンが処分されずに残されており、現在、破産管財人の管理下にございます。
 このような状況にありますことから、9月14日、15日の両日、同社関連施設2カ所につきましてアスベスト濃度の測定を県において実施いたしました。その結果、1カ所では大気1リットル中4.7本から8本、他のもう一カ所では2.8本から3.6本のアスベストを検出いたしました。
 これらの測定結果は、大気汚染防止法で規制する特定粉じん発生施設の敷地境界基準、大気1リットル中10本でございますが、これを下回ってはおりますものの、製品等が今後長期にわたり現状のまま放置された場合、アスベストによる健康被害も懸念されますことから、飛散防止策が必要であると考えてございます。
 既に破産管財人に対しまして、適正な管理を要請してきたところでございますが、今後とも地元自治体とも連携しまして、資産管理に当たって優先的にアスベストの飛散防止対策を講ずるよう求めるとともに、県としても周辺環境の監視を継続してまいります。
 次に、アスベストに関する健康相談と対策についてでございますが、各保健所、各地方振興局などで健康相談あるいは住宅相談を受け付けているほか、岩手労働局においても労災相談を受け付けております。9月14日現在、全体で244件の相談が寄せられておりますが、相談の多くは居住する住宅などのアスベストの使用の有無についてのもの、あるいは過去に事業所等でアスベストを扱った方の健康不安についてのものでございます。県では、県庁内の関係各課及び国の労働局、盛岡市らをメンバーといたしましてアスベスト問題連絡会議を8月1日に設置いたしまして、アスベストの使用が判明した施設については、施設の利用実態あるいはアスベストの飛散の可能性に応じまして、その対策を示したガイドラインを策定し、それぞれの施設管理者において、アスベストの除去、封じ込めなど適切な対応を行うことといたしてございます。また、アスベストの除去に当たりましては、大気汚染防止法に基づき飛散防止対策に万全を期するよう、今後とも引き続き指導してまいりたいと考えてございます。

〇18番(千葉康一郎君) 知事には大変細かく、本当に詳しく御答弁をいただきまして、ありがとうございました。ですが、他の部長方にちょっとお伺いしたい点がございます。
 まず、三位一体改革のいわゆる小規模自治体の大きな痛みの関係ですけれども、これは実は山間地域で過疎債を利用していろんな事業を進めてきたということですが、その過疎債の償還部分の一部を、いわゆる交付税の中に償還分を算入してという話なんですが、これは交付税そのものの算定も非常に難しいんですね。何にどのぐらいの金が来ているかという具体的な、だから、恐らく難しいと思うんですが、いずれやりますよと言っていた国がどんどん削っていくということは、財政計画を立てて事業を進めてきたその償還金も、ちゃんときちきちつくってきたその償還金を返せなくなっていくという問題がありますので、これは国のルール違反じゃないかと思います。これはやっぱり国に対して、さっき知事からも答弁がありましたけれども、もっと強く申し入れていくべきではないかというふうに思いますので、その辺をまず一つお伺いしたい。
 それから、次は農業問題で農政部長にお伺いします。
 先ほど知事の方から、大規模ガラス温室の件について普及性に問題があるということでこれは進めないというようなお答えをいただきました。普及性に問題がある、これは検討されたのですか。実はかなり厚い資料が県に出されているわけなんですよ。その内容を十分検討された上での話なんでしょうか。陸前高田に試験場がございますね。あそこの試験結果等もいわゆる参考にされた結果なのでしょうか。知事が言ういわゆるこれからの新しい農業は、私は知事の言う方向がやっぱりこれからの農業じゃないかと思うんですが、これに対して農政部は答えてないんじゃないかと私は思います。十分その辺を答えていただきますし、検討したというのであれば、結果をここで出せますか。出せなかったら後からでもいいですから、とにかくこれはきちっと結果を出してもらいたいというふうに思います。
 それから、アスベストのことで環境生活部長にお伺いしますが、これはまず1リットル当たりアスベストの本数が10本ですか、これを下回ったから大丈夫だと。本というのは、あれですか、アスベストの繊維のことなんですか。私はちょっとわかりませんので、さっきの答弁の中でそういうふうな話がありましたが、ちょっとそれをまずお伺いしたいし、それから、これは実は国から製造許可をもらって製造したものなんですね。製造認定を受けて製造したものなんですが、これがここに来て問題だということになれば、認定をした、認可をした国にも若干の――若干というか、相当の責任があるんじゃないかと思うんですが、どのように考えていますか。
 それから、医師確保の問題なんですが、やはりこれは県民の本当に切なる願いなんです、医師確保については。立派な病院があるけれども医師がいない、行っても診療してもらえないというふうなことになりますと、この地域に住んでよかったとは言えないような形になるわけなんですが、それこそ岩手県が言っているように、どこに住んでも県民にひとしく安心が享受できるような、質の高いそういうふうな病院をやるんだということもありますが、ひとつそういうことで医師確保には、これは要望になりますけれども、十分というか、一生懸命頑張ってやっていただきたいというふうに思います。
 以上です。

〇地域振興部長(山口和彦君) 先ほど、三位一体の改革に伴って例えば過疎債が使われていても、これは70%国税で返ってくるわけなんですが、そういうことで財源調整機能とか、そういうふうにはきちっと地方交付税で確保されておりますし、今、議員お話しのように、きっちりとこれについては監視してまいりたいと思っております。いずれ、その中に盛り込まれるものと思っております。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 大規模ガラス温室によるトマト水耕栽培を県のモデル事業として行うにつきましては、やっぱり2つの要件を満たす必要があるだろうというふうに考えております。1つは先進性ということでございます。もう一つが普及性ということでございます。先進性という点につきましては、先ほど知事の答弁にもございましたように、私どもはこれはあるというふうに考えておりますが、ただ、普及性といった点、つまりこれをモデルとして展示していって、それを見て、新規にそういったものに乗り込んでいくといった普及性という点に関して言えば、やはり非常に施設への投資額が大きいということが一つございます。それから、やはり運転経費ですね。岩手県のような冬期どうしても暖房を要するようなところでもってやるとなると、運転経費というものは、やはりこれは無視してかかることはできないだろうと。昨今の原油市況等を見れば非常に高値で安定しているわけでありまして、私どもで入手した情報によれば、お隣の宮城県で2ヘクタールのこういった大規模ガラス栽培に取り組んでいるところは、今回の原油高でやはり3、000万近くのコスト高になっているというような試算もございます。そういったことを考えますと、やはり現時点では県のモデル事業として取り組むのは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
 なお、現地での検討状況につきましては私も報告は受けてございます。もし、御相談に来られた方に対して、その結果というものがまだ十分きちんと伝えてないということであれば、これは早速もちろんきちんとお伝えするようにいたしますし、また、それを踏まえて必要な議論等がございましたならば、そこはやはりきっちりやるようにということもあわせて指導しておきたいというふうに考えております。

〇環境生活部長(千葉弘君) アスベストの本数でございますが、私は検査の結果の数値を申し上げたつもりでございまして、大丈夫という言葉は使ってないと考えてございます。いずれ、本数からしますと、やはり若干高目でございますし、また、場所によって過去にいわゆる道路わきとか大気の粉じん調査をした例がございます。これより高い数値を示すところもあるのは事実でございます。いずれ、千厩の場合は現地に参りまして、いわゆるバキュームを4時間ぐらいかけて、電気掃除機みたいなもので大気を吸い込みまして、そのフィルターにひっかかっているものを試験場に持ち帰って顕微鏡で1本1本数えるというもので、その結果の数値でございます。
 それから、対策に対する国の責任というお話でございますが、確かに大気については逐次年々こういうふうにいろいろ規制が改正されてきておりますが、この建材については、平成16年10月に原則製造の禁止、輸入禁止、使用禁止という措置がとられておりまして、そういった意味では、やはり対策のおくれというのは否めないんじゃないかなと考えてございます。そういったことから、現在、国では一定の被害者救済なり、そういったことが報道を見ますと取りざたされておりますので、そういう御指摘はごもっともだと考えてございます。
 県としましては、7月14日に、全国知事会の名前でございますが、国に対して専門的な相談支援体制の構築、それから、健康被害を受けた方々あるいは周辺住民に対する補償の措置とか、今後の建物の解体・補修に伴う飛散防止対策の強化、こういったことを国に対して要望してございます。県としてもそういったものをさらに要望してまいりますし、私どもでやれる可能な限りの対策をとってまいりたいというふうに考えてございます。

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) ただいま御要望いただきました医師の確保対策につきましては、これまでも関係者の御意見をいただきながら取り組んできたところでございます。先ほど御答弁申し上げましたことも含めまして、さらにさまざまな方々から御意見もちょうだいしながら、医師の確保、地域医療の確保に向かって努力してまいりたいなと考えております。


前へ 次へ