平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(平沼健君) 自由民主クラブの平沼健でございます。
 通告に従いまして質問させていただきます。
 まず、広域生活圏と地方振興局の見直しについて伺います。
 去る6月3日、増田知事の臨時記者会見が行われました。内容は、これからの広域生活圏と地方振興局(素案)の発表でしたが、その中で増田知事は、日本の自治システムが大きく分権型へ動いてきているわけで、そのような大きな流れの中で市町村と県の役割分担をもう一度考え直す時期に来ていると述べられました。このことにつきましては、私も同様の認識でありますし、また、同僚議員諸氏も異論はないものと思います。そして、県と市町村の役割分担を考えるとき、昭和48年に策定されました現在の広域生活圏と、それに関連して、地方振興局のあり方が問われるのも当然の流れであります。ただし、広域生活圏の見直しと、地方振興局の見直しは別々に考える必要があるというのが私の意見であります。
 見直しの必要性は簡単に言うと、次の4点に集約されると考えます。
 一つは、制定時から30年以上経過し、広域生活圏のエリアが現在の県民の生活実態から、かなりかけ離れているのではないかという点。
 2点目は、増田知事も会見の中で指摘しておられたように、少子・高齢化や人口減少という厳しい環境の変化の中で、地域経済の強化を図る必要性であります。
 そして、第3点目は、財政再建団体に限りなく近い我が岩手県において、行財政の抜本的改革の一環としての見直しであります。
 最後は、最も重要な点でありますが、増田知事も強力に推進する、官から民へ、中央から地方へという、国を挙げての行政経営改革路線の中で、そもそも地方振興局は今の時代存在する意味があるのかどうかという議論であります。
 第1点目について、住民の生活圏は30年前と比べて格段に広がり、通勤圏、通学圏、商業圏、医療圏など、それぞれの分野において多方面とのつながりが生じているのが現実であります。ただし、広域行政という観点から見れば、これまでも消防やごみ収集、し尿処理などを広域圏で協働したり、医療については、独自に展開したりとそれぞれの市町村が地域の実情に合わせて、広域生活圏に縛られ過ぎることなく展開してきております。
 30年間、広域圏内の自治体同士の情報交換や交流も盛んに実施されてまいりました。そして、そのことが今般の合併への取り組みの下地となってきたことを考えれば、広域生活圏については、その必要性も成果も高く評価されてしかるべきものであります。
 広域圏域の見直しについては、合併が一段落した後に、それぞれの市町村が話し合いを深め、変更案があれば県に提言していけばよいものではないでしょうか。その際大切なのは、あくまでも生活実感をともにする地域住民と複数の当該市町村が丁寧な話し合いと連携協調の中で成案をつくり上げることであり、決して県庁主導で、机上で議論するべきことではないという点であります。
 2点目は、地域経済の強化の必要性は、住民に一番近い市町村が最も切実に考えている課題であるはずです。市町村といえども、地域の生き残りをかけて自己責任、自己決定のシステムを構築しなければなりません。その主体は地域住民と市町村であります。県は、あくまでも要請があれば支援する、あるいは県レベル、国レベルの情報を整備して市町村に提供する。また、市町村間の連絡調整が必要と市町村自身が判断した場合にそのコーディネートを行う、などなど、これまで以上にきめ細かい支援とマネジメント体制を本庁に築くべきであります。情報は分断されず、同時に全県に流す必要があることから、マネジメント担当者は全県の状況を把握する必要があるのであります。
 また、地域の産業動向とその振興については、市町村が主体的に取り組むべきであります。地域への愛情と執着こそが仕事へのモチベーションとなるからであります。県はむしろ冷静な状況分析やノウハウの提供などで力を発揮すべきであります。インターネットやテレビ電話システムを使えば、地方振興局を通さずとも県全体に公平で、きめ細かい情報提供と指導が可能になります。
 3点目は、我が岩手県の財政状況は悪化の一途をたどっております。平成11年に策定した岩手県行政システム改革大綱では、平成12年度までに財源対策債を除いた県債依存度を10%未満にすることや、主要3基金の残高を700億円確保することを目標として掲げていましたが、実際には県債依存度は平成12年に13.6%であり、平成17年4月1日現在で17.9%に達しております。主要3基金残高については、平成12年には1、100億円を超えていましたが、減少傾向が続き、本年4月現在687億円とほぼ半減してしまいました。
 財政の危機的状況と言われる公債費比率20%超も、ここ数年、脱出できていません。岩手県総合計画に基づく、みんなでつくる夢県土いわての実現のためには、まず県が持続することが大前提であり、財政再建団体転落を回避するためには、これまで以上に思い切った抜本的な財政改革が必要であります。これまで国も県も財政悪化の原因と責任の所在を明確にしないまま、みずから招いた財政危機の痛みを、まず国民、県民に負わせてきたのではないでしょうか。
 そして、近年の合併やそれ以上の行財政改革を市町村に強いてきたと思わざるを得ないのは私ひとりだけでしょうか。その上、県の財政悪化を理由に市町村や関係団体への補助金削減を断行してきました。県民は苦しみながらも県財政への理解を示し痛みに耐えて協力してきました。市町村も涙を流しながら必死で合併や財政再建に取り組んできております。これからは県も一緒に血を流すべきではないでしょうか。県民とともに、もっと痛みを分かち合う姿勢が必要です。
 県の歳出構造を見ると50%近くを義務的経費が占めておりますが、その半分以上が人件費であります。これは自主財源の80%近くとなっております。平成17年4月1日現在、職員数は県全体で2万6、986人であり、警察官や医療局、学校職員を除いた、いわゆる知事部局だけを見ると4、774人であります。このうち約半数の2、321人が地方振興局職員で占められております。市町村合併をさらに進め、市町村でできることは市町村へという時代の流れの中で、地方振興局がその存在意義を拡大する理由はなく、厳しい県財政を立て直すために、ここにメスを入れない理由は見当たりません。
 最後は、第3点でも後半に触れましたが、そもそも、これからの時代に地方振興局は必要なものでありましょうか。6月に発表されたこれからの広域圏と地方振興局(素案)の中で、これからの地方振興局のあり方について、おおむね10年後の姿を見据えた案が提示されておりますが、では、一体これまでの地方振興局はどういった成果を残してきたのかという検証がなされていないのはなぜでしょうか。知事の会見の中でも、これまでの地方振興局の働きに対する評価の言葉は見当たりませんでした。
 その一方で、6月3日から7月31日まで行われたパブリックコメントの中に、これまでの地方振興局のあり方に言及した代表的なものとして、次のような意見がありました。これまでの地方振興局のように中二階にならないように、県庁からの大幅な権限委譲、予算権限の強化を行ってほしい。後半部分は、これからの地方振興局のあり方についての御意見であり、県の方向性と一致しているのでありますが、注目すべきは前半部分であります。中二階とはまさしく的を射た表現でございます。
 地方振興局は、時に県が行うべき仕事をし、また、あるときには市町村が行うべき仕事もしてきました。たまたま県も市町村も手をつけていないことというのはまれであり、ほとんどは部分的にあるいは全般的に重複した仕事をしていました。ひどいときには、市町村も地方振興局も県も、時には国さえも、同じ目的を達成するために、名称の異なる施策を積み重ねている場合も多いのが実態ではないでしょうか。地方振興局の存在が県の最も大きなむだであり、県でもなければ市町村でもなく県民からもなじみの薄い存在であると、多くの県民が感じていたのであります。そのことに県自身が気づき、認めることから出発しない限り、新しい地方振興局のあり方の検討は既得権を守ることを優先させる、偏った議論にならざるを得ないのであります。
 国、県は強引とも言える手法で市町村合併を進めてきましたが、その先の国の形、県の形を示すことなしに、小手先で変えやすいところから手をつけてきたという感は否めません。地方分権の旗手の一人でもあり、改革派の代表的存在であると自負している増田知事の先見の明と実行力には、日ごろから敬意を表するものでありますが、国がなかなかできないからといって、知事が県の将来像を示すことや大胆に改革することにちゅうちょする理由はありません。今後も新たな合併の枠組みを検討し奨励していくのであれば、市町村の痛みと同等かそれ以上の痛みを県自身が負わない限り、地域運営の主役である県民や市町村の理解と協力は得られなくなるということを肝に銘じるべきだと思います。
 以上、4点の分析から結論を申し上げますと、広域生活圏は実績もあり、十分にその意義が存在することから、これからもあるべきですが、その範囲の見直し、活動内容は当該市町村の自主的な判断に任せ、県は支援と情報提供等のコーディネートに徹するべきであります。
 また、地方振興局は必要ないと私は考えておりますが、なくするために時間が必要なのは言うまでもありません。10年計画で可能なところから引き揚げてはどうでしょうか。市町村合併等で地域に力がついたと思われるところから引き揚げ、既存の建物は地域住民活動やNPO活動の拠点として活用するとか、あるいは当該地域の市町村長連絡会議の事務局などの機能も入れて、当面、地域が真の自立を果たすまで、事務局機能を担ったり、コーディネーターとして県職員を配置すれば、県職員削減の激変緩和ができるものであります。
 地方振興局の廃止に向けて県がなすべきことは、県と市町村の仕事の見直しの徹底であります。補完性の原理から言えば、市町村は住民ができない部分を担うのであり、県は市町村ができない部分を担うのであります。その基本を忘れずに見直していけば、おのずと県と市町村の役割分担が明確になってきます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 むだイコール重複をなくすことが行財政改革の基本であり、財政建て直しの見通しを県民に示すことが知事の第一の使命であるはずです。地方振興局の権限の強化というのは、住民が選んだ知事が地方振興局の数だけいるのでない限り、時代に逆行するものであり、役人主導でますます県民の生活感覚から離れたものになる危険性をはらんでおります。地域のことは地域に聞くという住民自治の原則から言えば、地域運営は地域住民が選んだ当該市町村長をリーダーとして、複数の自治体であっても連携協力し、地域住民の力を十二分に引き出していくのが本来の姿であります。地方振興局の見直しに関して、県は即刻方針転換することを提案し、同時に私の意見に対する知事の所見を求めるものであります。
 続きまして、知事のマニフェストと岩手県総合計画のかかわりについてお尋ねいたします。
 増田知事は、岩手県総合計画の施策の中で平成15年度から平成18年度までの4年間に特に重点的、優先的に取り組むものとしてまとめた、誇れるいわて40の政策を打ち出しました。それは、知事の任期中に特に重点的に取り組むべき政策として、ローカルマニフェストに基づいた政策であるとの説明であります。県は施策の優先順位をどのように決定しているのか、改めて総合計画、40の政策と知事のマニフェストのかかわりについての考え方をお伺いいたします。
 また、県は今回、総合計画の政策評価となる政策評価レポート2005と当初マニフェストレポートと称していた40の政策評価レポートを発表しました。それぞれ異なる指標で同時に政策評価しているわけですが、その重要度、二つの政策評価に対する知事の考えをお聞かせいただきたい。
 政策評価について、政策の中で、県の設定した指標の到達度は高いが県民の満足度が低いもの、また、逆に到達度は低いが県民の満足度が高いものもあります。これは、県民の要望と政策の選択、指標そのものにずれが生じているのかどうか、こうした指標の到達度と県民の満足度のずれについて、どのように認識しているのか、お尋ねいたします。
 あわせて、そうした政策評価の実態を受けて、どちらに比重を置いて次なる政策決定を行おうとしているのか、伺います。
 次に、総合計画の達成度を図るために項目別に指標設定しているわけですが、項目別に把握するため、それぞれの地域の実態が反映されないといったことは生じないのかどうか、また、そうした指標の到達度を高めるという、そのことが目的となり、人口の多い地域に事業を集中させたりすることで到達度を高めるといった、地域バランスを欠くという本末転倒な事態をもたらさないか懸念するところであります。
 また、総合計画の評価は、その都度議会を含めて評価していかなければならないことは当然でありますが、マニフェストの評価は知事と県民の約束事であり、選挙民が選挙のときに評価し判断すべきものであることから、総合計画の評価とマニフェストの評価は全く別物であり、そのことを踏まえ、もっと県民にわかりやすく進めていくことが大切だと感じるものですが、知事の所見を伺います。
 次に、今後の森林整備について伺います。
 森林の公益的機能については、既に多くの方から語られ、県民の耳にも届いております。しかしながら、林業界は30年前からの安価な輸入材の急増で構造的不況に陥り、間伐経費さえ賄えず、風雪に弱い森林がふえております。すなわち、森林は荒廃し緑のダムとしての機能が低下しております。森林の恩恵を享受している県民一人一人がもっと緑に関心を持ち、物心両面から森林整備を支援する必要があります。県民がいつでも、どこでも安定的に水を得ることができ、川や海からの恵みを確保できるのも森林のおかげであり、上流域、下流域に限らず、県民こぞって森林整備に支援の手を差し伸べるのは今日的責務であります。

 県の試算によりますと、県土の77%を占める森林の公益的機能評価額は約2兆6、000億円にも達し、県民1人当たり毎年186万円の恩恵を受けていることになっております。しかしながら、多くの県民が森林の現状を十分に理解し行動しているとは言いがたいと感じるものであります。県は2006年度中にも県民税に上乗せする森林環境税の導入を目指しておりますが、この森林税についても賛否両論あるのも事実です。仮に導入された場合、約7億円というこの財源をどのように活用し、県民に見える形で森林整備につなげようとしているのか、伺います。
 私は、この新税を創設する前に、森林整備に現在拠出されている財源の使われ方の見直しをもっと図るべきではないかと思うものです。さらなる見直しを図ることなしに安易に森林税を創設することには、県民の理解を得ることが難しいのではないでしょうか。岩手県はこれまでに林業公社や森林組合に多くの資本を投下し、森林の整備、維持を実施し、山の環境保全に大きな実績を残してきましたが、今後の岩手県の森林整備をどのように具体化していこうとしているのか、伺います。
 次に、食料自給率改善対策について伺います。
 我が国の食料自給率は、昭和40年代に入って急速に低下し、それまでカロリーベースで70%を超えていたものが、現在は40%に低下しております。これは先進国中最低の水準で、フランスの130%、アメリカ合衆国119%、ドイツ91%、イギリス74%に遠く及びません。食料自給率が低下した要因は、供給面から見ますと都市化の進展に伴い、農地面積が減少したことが大きく影響しておりますが、同時に、需要面から見ますと食生活が大きく変化し、自給可能な米の消費が減少する一方で、その生産に大量の飼料穀物や油糧原料を必要とする肉類、油脂類の消費量がふえたことが、トウモロコシ、大豆等の輸入を拡大させ、自給率をさらに低下させる結果となりました。
 このような事情から、我が国の食料自給率を引き上げることは、現在の豊かな食生活を前提とする限り大変困難なことだと考えざるを得ません。しかし、中長期的には、世界の食料需要は増大することが確実であり、わけても中国やインドなどでの畜産物の消費が拡大すると、トウモロコシや麦等の飼料穀物の需要が大幅に増加すると見込まれております。しかしながら、それに見合うだけの飼料増産を行うことは、世界の農地面積や農業用水の状況などから見て困難視されております。
 政府は平成22年度に食料自給率をカロリーベースで45%とする目標を立てていることは、国民は認識しておりますが、それを達成するには、作付面積の拡大や生産性の向上を図る必要があることは当然ですが、供給サイドの施策だけでは、実行できることにおのずと限界があります。需要サイドにおいても食生活の内容を若干でも変えて、自給率の低い品目の消費を減らす工夫や流通や消費段階で生じている廃棄処分や食べ残しなどのむだを極力なくする努力が必要であります。岩手県としても、需要サイドでは学校給食に米を多く利用するとか、種々施策を展開しておりますが、その進捗状況と今後の岩手県の食料自給率の改善をどのように設定し実行しようとしているのか、伺います。
 最後に、青森県六ヶ所村に建設中の核燃料再処理施設から排出される放射性廃液の海洋汚染懸念について伺います。
 この件につきましては、本年2月の一般質問で小原宣良議員が取り上げ、増田知事から答弁されておられました。そのときの答弁は、大気については青森県及び六ヶ所村と日本原燃株式会社との間で安全協定が結ばれており、当面は、地元自治体としての青森県が行う情報提供の状況を見守ると述べておりましたし、海に排出される放射性廃液の影響については、種市町の沖の海域で海水を採取して放射線レベルを測定しているので、今後もこの調査を継続すると答弁しております。私は、三陸沿岸に住む者として放射性廃液の海洋汚染の懸念について再度お尋ねいたします。
 つい最近、東京海洋大学名誉教授水口憲哉氏が、沿岸部の久慈、宮古、陸前高田でシンポジウムを開いております。その中で、再処理施設から出る放射性廃液を沖合3キロメートル、水深44メートルの放出口から太平洋に排出することになっており、その放射性物質が津軽暖流により、本県沿岸に影響を及ぼす危険性があるという指摘でございます。これに対し日本原燃は、放射性物質は大量の海水で希釈され、周辺の安全は十分確保されると回答しております。
 また、水口教授の調査資料によりますと、イギリスのセラフィールド再処理工場から排出される放射性廃液により、北海の放射能汚染が広がり、ノルウェー政府が水産物を含めた海の環境汚染の実態を把握し、イギリス政府に抗議していると報じられております。このように、六ヶ所村再処理工場稼働以前から多くの懸念材料の情報が三陸沿岸住民にもたらされております。この際、漁民に限らず、沿岸住民の不安を払拭するための調査を、岩手県として前向きに実施すべきではないかと思うものであります。
 この件について、岩手県としてどのように受けとめ、今後どのように対応しようとしているのか、伺います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 平沼健議員の御質問にお答え申し上げます。
 広域生活圏と地方振興局の見直しについての考え方、まずこれの御質問でございます。この広域生活圏でございますが、これは均衡ある県土の発展を図るためということで、昭和48年9月に、日常の行動圏を基準として県が定めたものであるわけでございます。その後、約30年が経過をいたしまして、地方分権改革や市町村合併の進展、そして人口減少といったような経済・社会環境が大きく変化をしてきたということがございます。こうした状況の変化に対応して、県と市町村の役割分担を見直していくことが必要でございまして、その見直しの考え方としては、住民に身近な行政サービスは市町村が担う。一方で県が担わなければならない分野というものもまだ数多くあるというふうに考えておりまして、広域的な産業振興や雇用対策、社会資本整備、さらには環境保全、災害対策など県が主体的に担っていかなければならないこうした分野、その責任を県として果たすために、県の広域行政の枠組みを今回変えるというものでございます。こうした観点から広域行政の圏域の見直しを今回案として御提案をしたものでございまして、こうした枠組みの変更の手続に当たりましては市町村の御意見を十分伺いながら、さらには産業界など幅広い県民の皆様方の御意見を伺いながら検討を進めていかなければいけないわけでございます。今、その手続等も行っているわけでございますが、そうした上で、この広域生活圏につきましては県として決めていかなければならないもの、このように考えております。
 次に、地域経済の関係でございまして、これにつきましては市町村業務であって、県が本庁でやはりコーディネートするという役割分担にしていくべきではないか、こういう御提案かというふうに理解いたしました。この地域経済の強化、また、さらには産業振興でございますが、これにつきましては多岐にわたる政策的な取り組みが必要である。工業団地や道路、港湾といった産業基盤の整備、いわゆるハード面から始まりまして、資金の提供、そして流通機能の整備、マーケティング支援、人材育成、このソフトに至るまで実に多岐にわたる政策的な取り組みが必要というふうに考えております。とりわけ国内外との競争に打ち勝っていくためには、企業誘致などによる広域的なゾーンでの産業集積の形成、それから産学官の共同研究による競争力のある技術、製品の開発といった取り組みも重要でございまして、近年、こうした分野での市町村の取り組みが強化をされつつあるわけでございますので、それはさらに十分に生かしていく必要があるわけでございますが、広域的な視点で産業基盤の整備やさまざまなソフト施策に取り組む県と、所管する地域で資源を掘り起こし、企業の支援などに市町村がお互いに役割分担をして、また協働して産業振興に取り組むことが重要である、こういうふうに考えております。
 そうした中で、県の役割としては、まさに資源や技術、ノウハウ、人材などを多面的に連携させて、ゾーンとしての強みを構築していくということが重要であり、例えば農林水産業では生産者と加工する企業との連携ですとか、あるいは2次産業でも完成品メーカーとものづくり企業の連携ですとか、観光でも同じようなことが言えるかと思いますが市町村の枠組みを超えたネットワークを構築することが大切でございます。このような取り組みをさらに力強く進めていくためには、現場主義の観点に立つ地方振興局が、企業経営者や生産者あるいは大学研究者、流通関係者などと顔の見えるネットワークを構築して、タイムリーな支援策を講じていくことが必要である、このように考えております。全体として、今、財政状況は、議員お話しのとおり、県も大変厳しいわけでございまして、こうした中で振興局の存在意義を拡大する理由があるのだろうかどうか、まさにここにメスを入れなければいけないのではないか、こういう御指摘でございましたが、県全体として、今、行革プログラムを策定して徹底したスリム化に取り組んできております。これは昨日申し上げましたが、やはり人間に例えれば病弱、脆弱な体質でございましたのを、まず一刻も早く健康体に戻して、その上でスリムで筋肉質な行政体へ転換を図っていきたいということでございまして、これは県全体として喫緊の課題として取り組むべきものというふうに考えております。
 そうした中で、現場に近いところで住民のニーズを把握し、地域の特性がさまざま異なる中で、それを十分踏まえて政策を立案、実行していくということが大事でございまして、そうしたことがなお一層組織のスリム化やコストという面でも効果的である、このように考えております。すなわち全体のスリム化、合理化を進める中で振興局に業務の完結性を高めさせ、その上で県民サービスを提供していく。県全体をスリム化させる中で、本庁よりも振興局にウエートをかけて、そして一層のスリム化を図っていくということが県民サービスの充実にとっても重要ではないか、このように考えているところでございます。
 最後に、この関係では、振興局が今の時代、存在する意味があるのかどうかというお話でございまして、この点についてでございますが、市町村への権限移譲が進んだ後でありましても、先ほど申し上げました県としての広域的な産業振興や雇用対策を担っていくことは、県として大変重要な仕事でございます。住民サービスの向上という観点からは、やはりこうしたことについて現場に近いところで意思決定をし、実践をしていくという振興局の重要性は、今後、市町村合併が進む中にあっても一層高まるというふうに考えております。もちろん、従来の振興局につきましては業務の完結性が十分でないなどという御指摘もいただきました。そうした問題もあったわけでございますが、今回、そうしたことを見直しをして完結性をより高めるよう、所要の措置をとっていく考えでございます。いずれにいたしましても、人口減少など本県にとって厳しい見通しがある中でございますので、振興局と市町村とがそれぞれの役割を十分に理解し合いながら、住民本位の行政を着実に実施できるようにしていく考えでございます。
 次に、マニフェストと岩手県総合計画との関係、それから40の政策との関係のお尋ねでございます。いわゆるマニフェストと言いますものは、これは私が選挙に当たりまして策定をし、公表いたしたものでございまして、いわば私の選挙公約でございます。この選挙公約をもとにいたしまして40の政策が策定をされておりますが、これは、県政の基本指針である総合計画を実現するために、その中の優先度等を踏まえてつくられたものでございまして、県の政策として重点的に取り組むべきもの、いわゆるマニフェストとは別に県の政策として重点的に取り組むべきものと位置づけているところでございます。そして、その実現のために4年間で一般財源200億という政策形成プロジェクト枠を設けまして、今、重点的に推進をしてございます。総合計画の実現に向けて、前期実施計画についても、政策評価の結果などを踏まえておりますが、今後も選択と集中を行いながら、この総合計画の実現に取り組んでいきたいと考えております。
 政策評価レポートでございますが、これは総合計画の達成状況を評価するために、総合計画で記載してございます目指すべき社会の姿をあらわした228の主要な指標がございます。これをもとに、17年度中間年次でございますので、到達度や課題等を検証するというものでございます。
 もう一つ、40の政策評価レポートというものがございますが、これは40の政策について総合計画の実現に向けて重点的に取り組むものでございますので、総合計画を対象とした政策評価システムの一環として実施をして、その結果を取りまとめました。ですから、40の政策の評価につきましては、新規雇用創出数など平成16年度分は90指標に上るわけですが、そうした指標によりまして達成状況や課題等を検証したというものでございます。この40の政策の対象領域は総合計画のすべてを包含するものではございませんけれども、40の政策の達成が総合計画の着実な遂行に結びつくというものでございまして、これは総合計画の推進にとっては大変重要である、このように考えているところでございます。
 マニフェストの関係でございますが、マニフェストと言われますものは私の選挙公約でございますので、これは私が県民の皆さんと約束したことが4年間でどのように実現されたかということでございまして、私がきちんと検証する必要があるというふうに思っておりまして、この4年間でどのようなことが実現されたかということは別途また検証して、県民の皆さんに報告することとしているものでございます。こうしたマニフェストの評価と総合計画の評価の違い、あるいは40の政策の評価との関連につきましては、機会あるごとに県民の皆さんに今後も趣旨を十分説明していく考えでございます。
 最後に、青森県の六ヶ所村の核燃料再処理施設の関係でございます。
 本県の海を守るという観点から、この核燃料再処理施設から排出される廃液による海洋汚染は当然あってはならないことというふうに思います。事業者は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律がございますが、この法律によりまして放射性物質の放出限度を超えないように管理することが義務づけられております。これに基づいて事業者は施設の管理のために各種の測定を行って国に報告をし、原子力安全委員会が報告された測定結果の安全性を確認している、これが基本的な仕組みでございます。
 一方、地元でございます青森県と六ヶ所村では、日本原燃株式会社との間で結ばれております安全協定がございますが、安全協定でさらなる安全確保を図るために、放射性物質の種類――核種と言いますが――ごとに管理目標値を定めて、この協定に基づく環境放射線などの測定を青森県及び事業者が実施をしているところでございます。当然、その情報は各種の広報媒体などで広く公開、提供されているわけでございます。今後、岩手県としては青森県に対してさらなる安全性に関する情報提供を定期的に求めまして、その確認を行っていく考えでございます。
 それから、本県におきましても平成15年度から種市町の沖の海域で海水を採取して放射能レベルを測定いたしております。これも、今、議員の方からの御指摘のとおりでございます。今後におきましても、この海水の調査を当然継続するわけでございますが、海底土や水産物をその調査対象に新たに加えるなど調査の拡大を文部科学省に働きかけをいたしまして、核燃料再処理工場による環境への影響を監視してまいりたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕

〇総合政策室長(相澤徹君) 指標の到達度と県民の満足度のずれということについてでございますけれども、本県の政策評価におきましては、総合計画の体系を構成する17の施策及び78の分野のそれぞれにつきまして、指標の到達度と県民意識調査による県民の満足度の二つの視点から総合的に達成状況を評価しているところでございます。平成16年度の施策を対象とした評価では、指標の到達度と県民の満足度にずれが生じているものがあります。この要因としては、例えば大学発ベンチャーや産学官の共同研究のように指標の到達度は順調でありますが、地域経済の活性化という県民の実感につながっておらず、県民の満足度が低くなっているもの、あるいは一般廃棄物の処理やリサイクルのように指標の到達度はおくれておりますが、ごみの分別収集など身近な暮らしにおける取り組みが進んでいる実感がある。こういったことから県民の満足度が高くなっているものなど、さまざまな要因が考えられるところでございます。次なる政策の決定に当たりましては、県民の満足度をより重視することが基本でございますけれども、指標の到達度との間にずれが生じる場合もありますことから、個別にその要因を詳しく分析、検証していくことが必要と考えているところであります。
 地域の実態の反映についてでございますけれども、指標につきましては項目別に設定をしているところでありますが、必要に応じて地域別に分析も行っております。また、県民満足度調査については地方振興局別に分類をして調査をしているところでございまして、こういったデータに基づいて地域別の課題を政策評価に反映させるように努めているところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 森林の整備についてお尋ねでございますが、まず、森林環境税の活用についてであります。
 これまで、森林環境の整備につきましては、森林所有者が主に国庫補助事業を活用しながら行う間伐などによって維持されるというように、森林所有者の経営意欲に負うところが大きかったわけでありますが、木材価格が長期にわたって低迷したことなどにより林業の採算性が年々悪化し、森林所有者は将来的に採算がとれると思われる森林以外は森林整備を行わなくなっているというのが現状でございます。そのため、さまざまな公益的機能を有する森林を社会の公共財としてとらえ、間伐への補助を初めとする既存の施策とは一線を引いた上で、荒廃した民有林を対象に公益的機能の維持・保全を目的とした森林整備を所有者にかわって行政が行うという考え方のもとに、強度に間伐し、自然植生の混入を促進する森林整備を主体とした環境重視の森林づくり、県民理解の醸成や地域材利用を中心とした森林との共生の2つの柱からなる使途を公表し、県民の御意見を聞いたところであります。その結果、県民の皆様からは、新たな森林・林業行政が自然環境と社会の豊かさの共生につながるよう期待する。間伐材の有効利用による森林資源の環境などに使うべき。NPOなどへの支援に加え、本来の林業の従事者、担い手を育成すべきではないかといった御意見をいただき、現在、これらの意見を踏まえて使途についてさらに検討を重ねているところであります。
 また、使途を明らかにすべき、県行政の効率化が先決ではないかといった御意見もいただいているところでありまして、これらの意見も踏まえまして、既存の事業をも含めて、その過程をオープンにして、県民の御意見を反映しながら、透明性の確保や効率的な事業の執行ができるような仕組みについても検討しているところであります。
 次に、森林整備の具体化についてであります。これからの森林整備に当たりましては、森林の公益的機能の安定的発揮を期待するいわゆる公益林と、主として木材生産と環境保全の両面の機能の高度発揮を期待する循環利用森林に大別し、それぞれの機能と特質に応じた管理を進めていく必要があるのではないかという観点から、現在、岩手の森林を4つにゾーニングし、それぞれの森林をどのように管理していくか、これは新税の使途とも絡む話でございますので、新税の使途とあわせて検討を行っているところであります。
 次に、ゾーニングされた森林の管理主体をどうするかということが問題になるわけでありますが、とりわけ循環利用森林の管理主体につきましては、やはり高度な林業技術と森林所有者や林業事業体との調整能力、木材マーケティング能力をあわせ持った経営体がこれからは必要であると考えており、林業に対する関心が希薄となっている所有者にかわる林業の担い手のあり方も含めて、どのような経営主体をどのように育成、確保するかについても検討を行っているところであります。
 次に、食料自給率改善対策についてのお尋ねについてでありますが、食料自給率を向上していくためには消費者の食生活の改善を図ることが重要でありますことから、これまで食育の観点から学校給食における県産食材の提供や地産地消に取り組んできたところであります。その結果、学校給食の県産食材使用割合が順調に増加し、成果を上げてきているところであります。学校給食に提供された食材の使用割合を見ますと、米が100%、畜産物が81%と高い一方、生鮮野菜は31%にとどまっており、今後、この割合を高めていくことが課題であると考えております。本県の食料自給率は平年作の平成14年度で102%となっておりますが、米を除いて試算すると37%にとどまっており、とりわけ麦、大豆の自給率が低い状況にあります。このため品目間の自給率の不均衡を是正することを目標に、適地適作を基本にその生産を拡大していく取り組みを進めていきたいと考えております。さらに、この自給率の向上は、生産面の取り組み、具体的に言えば、農業と食品産業の連携強化など消費者のニーズに対応した生産の促進ということになるわけでありますが、こうした取り組みに加え消費面における取り組み、これは食育、地産地消の推進など望ましい食生活の改善に向けた取り組みということになるかと思います。こうした両面の取り組みが不可欠でありますことから、消費者を巻き込んだ推進策についてもあわせて検討しているところであります。こうした取り組みを通して本県の食料自給率向上の改善に努めてまいりたいと考えております。

〇21番(平沼健君) 3点ほど再質問したいんですが、まず1点目は知事にお尋ねいたします。
 地方振興局の見直し、これは今、知事の思い、考え方は十分に理解をしたつもりでおります。ただ、やっぱり私は壇上で申し上げたとおり、地域という一番近い市町村ができるだけ多くのことを担うべきじゃないのかな、そうあるべきなんだという思いが私は強いわけでして、知事の話を聞いていますと、やっぱりいろんなことをするには振興局がどうしても必要なんだ、そのような強い思いがあるわけでして、どうも話がかみ合わないなと思って聞いておったんですが、増田知事は全国知事会でいろんな形で中央で活躍されております。地方分権あるいはいろんな財源を地方に回すべきなんだ、地方分権なんだ、官から民なんだと、いろんな形で知事は活躍されておりますし、そのような考え方は本当に正しいなと思っております。
 ただ、振り返って考えますと、やっぱり知事が今まで中央で叫んできた、主張してきたそのような思いと、今回やろうとしていることが何かちぐはぐなような気がしてならないんですよ。市町村から県を見れば、知事が国に行って訴えていることとまた同じようなことじゃないのかなという気も反面しますし、そういうふうに考えるのがおかしいのかどうなのか。やっぱり基本は、今申し上げましたけれども、一番近い自治体ができるだけ多くのことをやるんだということが基本にあるべきだと思いますし、また、地方振興局があるがためにいろんな地域が発展してきたんだと。また、これからもそうなんだということであれば、今回、北上川流域、県南の各市町村が力がついたよと昨日知事がおっしゃっておりました。であれば、やっぱり均衡ある県土の発展ということから考えれば、そういう地域からは速やかに地方振興局は引き揚げて、県北・沿岸部に重点的に地方振興局を振り分けて、そっちを支援して均衡ある発展を図るんだと。県南とかそういうところは力がついたんだから、各市町村でもって十分にこれからも運営できるという、そのような考え方が私は正しいんじゃないかと思っているんですが、その辺を知事からもう一度お話をいただきたいのが一つ。
 それからもう一つ、今、六ヶ所村原燃の回答がございました。環境省を含めてという話をいただきまして多少は安心はしたんですが、ただ、やっぱりこの件について、再処理工場というのは世界的にアメリカにしても、フランスにしても、イギリスにしても、みんな撤退しているんですね。技術的に難しいですよということなようなんですね。私もいろんな文献を集めて見ました。やっぱり再処理というものはまだ技術的に非常に難しいというようなことの方が余りにも多いんですね。それを日本だけが今やろうとしている。この辺が、私を含めて非常に危惧されているということなんですよ。私は、原子力発電は日本として当然必要だ、あるべきだと思っております。ただ、この再処理に関してだけは、やっぱりこれはまだまだ時間をかけるべきじゃないのかなというような思いがあって、そしてまた沿岸住民のいろんな不安があるものですから、その辺を踏まえて、今、知事は青森県ともっともっと緊密な連絡をとって対処したいという話なんですが、これはそういうようなことも必要ですけれども、やっぱりもっと岩手県として、海がつながっているわけで、これは本当にあるべきなのかどうなのか。これは間違いだというのであれば、やっぱり国にそういうような話をしなければいけないでしょうし、もっとこれは強力に岩手県としての考え方を出してしかるべきじゃないのかなと私は思っております。
 それから、もう一つ最後に森林税の問題です。これは、今、今泉部長からお話がありました。ただ、この森林税は何に使うのやということが全然前面に出てきてないんですよ、こういうような思いだということであって。私は、新しい税金をつくる場合にはこれじゃいけないと思うんですよ。こういうことをするためにいろんな精査をしましたよ、いろんな見直しをしましたよ、だけどもこのぐらい足りないんだ、だから県民の皆さんどうかお願いしたい、これであれば新税として正しいと私は思うんですよ。今回のこの森林税の考え方は県はちょっとおかしい、私はそう思っているんですが、この3点について再度回答をいただきたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 初めの2点について、私の方からお答え申し上げたいと思います。
 まず、振興局の今回の再編でございますけれども、今、壇上であるいは議席での議員のお考えを聞いておりまして、私と理念が共有、共通しているところが大変多いというふうに聞いておりました。というのは、住民との距離、近さですね。住民と近い自治体がいろいろな仕事をやっていくんだという、これはまさに補完性と近接性の原理でありまして、その考え方に私も立っておりますので、基本的にはやはり基礎的自治体が仕事をできるだけ多く行っていく。地方自治は常に動いているものでありますので、これはそういう形に完全になるにはある程度の時間がかかると思いますけれども、しかし、基本はやはり基礎的自治体に重心を置いた考え方に立つべきだと思います。そして、一方で、先ほど私が壇上で申し上げましたように、県としてまだまだ、特に産業振興などにおいて果たしていくべき役割、それは環境保全にしても何にしてもそうですが、次の六ヶ所村の問題などにしても、これは市町村というよりはやはり県で、地方自治の中では県が取り組むべき課題でありますので、そういったものは県として責任を果たしていかなければならない。その県の行政の中で考えれば、やはり住民との近さ、それから補完性の原理の考え方に立つと、県の中で地方振興局が一番住民と身近な組織でありますので、そこの機能を十二分に充実させるような考え方でこれから県行政を進めていくべきではないかという考え方に立っております。時代が大きく変わってきていますので、地方振興局の数などについてはいろいろ議論があって、今回大きく大くくりでまとめようとしておりますけれども、これは時代の変遷、また、市町村が随分実力をつけてきておりますが、これは県内でまだまだ格差がありますので、その間どうつないでいくのかということで、今回段階的な考えを示しておりますけれども、県行政においてもできるだけ地方振興局が現場に近い形でこれから仕事をしていくべきではないか。その考え方に沿った形で今回御提案をしているということでございます。
 それから、次の六ヶ所村の原燃の関係でございますが、これは大変重要な問題だと私も思いますし、このウラン試験ですが、アクティブ試験というのがまた今後開始をされるというこういう段階にもありますので、十分監視をしていかなければならない、こういう考え方でおります。今、議員の方から再処理施設の安全性、世界的にフランスなどでもこういったもの難しいとなっていますが、この再処理施設の安全性などについての技術的評価は、これは我が国が国としてしっかりとやるべきものでありまして、この再処理施設の技術的評価を県として、これが今後も科学技術の進展の中でそういったものが可能なのかどうかは、やはり県としては難しいと私は思います。やるべきことは、いずれにしてもそういう国としての原子力政策、あるいは核燃料廃棄物がこれからどんどん国内に蓄積されていく中で、その再処理をどうするかは、これは国の政策として、あるいは技術評価も含めてしっかりと国が行うべきでありますが、自治体、県としてはその中で、やはり水質であれ、大気であれ、土壌などが常に安全な状況であるかどうか、そこを監視していくということだと思います。
 これにつきましてはことし2月も議会で答弁申し上げました。きょうはそれよりももっと進めた形で答弁をしたつもりでございますが、やはり青森県とよく連携をして、定期的に情報提供を求めていくということも大事だと思いますし、それから海水の調査も行って放射能レベルも測定をしておりますが、これについても、水というのは動いて常に流れているものですから、場合によっては北に行ったり南に行ったりといろいろあるので、やはり海底土、そういった中でそういったものが蓄積されているかどうかということが大事だと思いますので、そうした海底土や水産物を調査対象に加えるなりして、やはりそういった安全性を常に監視をしていくということが大事だと思いますので、そうした点について調査の拡大を文部科学省に働きかけていきたいと考えております。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 導入を予定しております森林税の使途についてでありますが、これまでの森林整備というのは、森林所有者の経営意欲に負うところが大きかったということは冒頭申し上げたところであります。そこの森林所有者の経営意欲に負うというところの結果が、将来的に採算性がとれるというところ以外はやはり放置されてきているという、そこのところをどうするかということが今回の私どものその問題意識というか、そのスタートでございます。
 現在、そのためにまず一つの前提として作業をしておりますのが、岩手県の森林というものを今後どういうふうに管理していくかということで、先ほど申し上げましたように、森林の公益的機能の安定的な波及を期待するいわゆる公益林というものと、木材生産と環境保全の両面の機能の高度発揮を期待する循環利用林という、まず大きくこの二つに大別しよう。その森林の公益的機能の安定的波及を期待するいわゆる公益林というところが、実態として見ればなかなか今、森林所有者が森林整備を行っていないというか、その後、手が届かなくなっている領域ではないだろうか。したがって、そこのところに税を使わせていただきたいと考えておるわけであります。
 木材生産と環境保全の両面の機能の高度発揮を期待する循環利用林、ここについてはこれまでどおり、やはり森林所有者の方に林業経営の一環として、ここのところはしっかりと森林整備を行ってもらおうと今考えているところでございます。
 したがいまして公益林につきましては、森林所有者にかわって、行政がというふうに考えておりますけれども、やはり行政がかわってそこは森林整備を行ってまいりましょう、その公益的な機能というものを未来に引き継いでいきましょうという、今、大きく分ければそういった考え方に立って、あとはその具体の使途というものをどうするか、過般行いましたパブリックコメントの結果も踏まえながら、現在検討しているというところでございます。
 ただ、どういうふうに精査した結果、結局こういう使い方になったのだというあたりは、今度、案をお出しする際にはやはりその辺はきちんと私どもとしても整理した上でお示しする必要があるだろうと考えておりまして、ただいま議員から御発言のありました趣旨を踏まえながら、そこはきちんと説明してまいりたいと考えております。

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時56分 散 会


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