平成21年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成21年3月18日(水)
1開会  午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長   浅 田 和 夫
  議事担当課長   保 原 良 和
  主任主査    菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主査    鈴 木 文 彦
  主査    菊 池 芳 彦
  主査    齋 藤 貴 弘
  主査    藤 原 由喜江
1説明員
  農林水産部長   高前田 寿 幸
  理事       千 葉 英 寛
  農林水産部副部長
  兼農林水産
  企画室長     小田島 智 弥
  農政担当技監   佐々木 和 博
  農村整備担当技監兼
  農村計画課
  総括課長     須 藤 勝 夫
  林務担当技監   西 村 和 明
  水産担当技監兼
  水産振興課
  総括課長     大 森 正 明
  競馬改革推進室長 松 岡   博
  参事       宮   一 夫
  農林水産企画室
  企画担当課長   高 橋   渉
  農林水産企画室
  管理担当課長   紺 野 由 夫
  団体指導課
  総括課長     門 口 正 雄
  指導検査担当課長 大 澤 宣 典
  流通課総括課長  浅 沼 康 揮
  農業振興課
  総括課長     徳 山 順 一
  担い手対策
  担当課長     井 上 敬 二
  農業普及技術課
  総括課長     高 橋 伸 夫
  農村建設課
  総括課長     沼 崎 光 宏
  農産園芸課
  総括課長     川 嶋 明 澄
  水田農業担当課長 工 藤 昌 男
  畜産課
  総括課長     佐々木   宏
  振興・衛生
  担当課長     高 橋 喜和夫
  林業振興課
  総括課長     堀 江   淳
  林業振興課
  特命参事     平 野   潤
  森林整備課
  総括課長     竹 田 光 一
  整備担当課長   中 村 勝 義
  森林保全課
  総括課長     藤 原   繁
  漁業調整担当課長 五日市 周 三
  漁港漁村課
  総括課長     佐々木   敦
  競馬改革推進監  浅 沼   浩
  競馬改革推進室
  特命参事     大 友 宏 司

  参事兼予算調製課
  総括課長     高 橋   信
〇関根敏伸委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第22号まで、議案第26号、議案第27号、議案第31号から議案第35号まで、議案第37号、議案第39号、議案第40号及び議案第74号の以上33件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月9日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では、農業関係分野について、第2部では、林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇高前田農林水産部長 農林水産部関係の平成21年度の予算関係議案につきまして御説明申し上げます。
 予算の説明に入ります前に、平成21年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 まず、農林水産業を取り巻く情勢についてでございますが、世界的な人口増加や開発途上国を中心とした経済発展等により、食料需要が拡大する一方、バイオ燃料の原料需要の増大や気候変動の影響による不作などにより、世界の食料需給は、中長期的には迫の度合いを増していくものと見込まれております。また、地球温暖化防止対策など、世界的なレベルでの環境問題への対応が求められております。
 国内に目を転じますと、農林水産業は、就業者の減少や高齢化などに加え、生産資材価格の高騰、生産物価格の低下などにより極めて厳しい環境にありますが、一方で、相次ぐ食品の不正表示事件などを背景に、食の安全・安心に対する消費者ニーズがかつてないほど高まりを見せており、安全・安心で高品質な本県農林水産物にとっては追い風が吹いてきているものと認識いたしております。
 加えて、雇用情勢が急激に悪化する中で、本県の農林水産業は、地域経済を支える基幹産業として、また、雇用の受け皿となる産業としての役割が期待されております。
 このような状況のもと、農林水産部といたしましては、いわて希望創造プランに基づく施策の着実な推進と、喫緊の課題でございます雇用対策などに重点的に取り組むこととしたところでございます。
 具体的に申し上げますと、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立するための方策といたしまして、一つ目は、農林水産業の経営体のレベルアップを重点的に支援するとともに、急激に悪化する雇用情勢に対応し、担い手の確保、育成と雇用対策を一体的に推進してまいります。
 二つ目は、消費者、実需者ニーズに対応した安全・安心な農林水産物の供給体制を強化するとともに、低コスト生産体制の確立などにより、競争力の高い産地づくりを推進してまいります。
 三つ目は、民間ノウハウの積極的な活用や戦略的な輸出等により販路拡大に取り組むとともに、有利販売に向けたブランド化や生産者の流通・加工分野への進出など、農林水産業の6次産業化への取り組みを積極的に支援し、新たな地域ビジネスの展開を促進してまいります。
 以上の三つの重点施策に加え、昨年発生した岩手・宮城内陸地震による被災地の一刻も早い復旧を図るため、震災復旧対策に重点的に取り組むこととしているところでございます。
 また、アグリビジネス関連産業の育成及び農地・森林等の基盤保全についても引き続き推進していくこととしております。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成21年度岩手県一般会計予算についてでございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の671億8、961万6、000円のうち、県土整備部所管分を除く602億6、847万4、000円、及び9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の25億9、330万円のうち、同じく県土整備部所管分を除く22億9、692万3、000円を合わせまして625億6、539万7、000円となるものでございます。これを前年度当初予算額と比較いたしますと、金額で32億1、943万7、000円、率にして5.4%の増となるものでございます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に申し上げます。
 予算に関する説明書の141ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費でございます。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費でございます。また、説明欄の中ほどのいわて6次産業チャレンジ支援事業費は、本県の安全・安心で高品質な農林水産物を生かし、付加価値の高い新たな加工品の生産販売やインターネットを活用した新たな流通販売、地産地消ビジネスの展開など、農林水産業の6次産業化を支援することにより農林水産業の経営の高度化を図るとともに、新たな雇用を創出しようとするものでございます。142ページをお開き願います。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し、利子補給等を行うものでございます。3目農業構造改善対策費のいわてふるさと体験事業費は、近年、ニーズが拡大しております体験型教育旅行の受け入れ農林漁家の掘り起こしや、地域資源を生かした本県独自のグリーン・ツーリズム体験メニューの開発などを支援しようとするものでございます。次に、143ページに参りまして、4目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費等でございます。5目農業振興費の主なものでございますが、144ページに参りまして、説明欄の上から六つ目、中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において農業生産活動を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件の格差の範囲内で直接支払等交付金を交付する経費などでありまして、その次のいわて希望農業担い手応援事業費補助は、集落営農組織等の経営の多角化や県北・沿岸地域等における競争力の高い園芸、畜産等の産地形成、地域資源を活用したアグリビジネスの展開などに必要な機械施設等の整備に要する経費に対して補助しようとするものでございます。また、下から四つ目のいわて型肥料コスト低減推進事業費は、肥料コスト低減のため、本県が独自に開発した簡易土壌分析システムの普及や、発酵鶏ふん等を活用したオリジナル低価格肥料の開発とその普及を支援しようとするものでございます。次の6目農作物対策費の説明欄の下段、強い農業づくり交付金は、米、麦、大豆などの土地利用型作物について、生産性の高い営農システムを確立し、産地競争力を強化するため、乾燥調製貯蔵施設などの共同利用施設等の整備に要する経費について助成しようとするものでございます。次に、145ページに参りまして、7目畑作振興費でございますが、説明欄三つ目のいわての園芸産地ステップアップ事業費は、園芸品目の生産振興を図るため、民間育種家、大学と連携した品種開発等を行うほか、需要が拡大している加工・業務用野菜に対応した新たな産地モデルの確立に必要な取り組みに要する経費に対し補助しようとするものでございます。8目北上奥羽山系開発費は、緑資源機構が北上、奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業に係る地元負担分の償還金などでございます。9目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農作物の生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導検査等に要する経費でございます。次に、146ページをお開き願います。10目農業協同組合指導費及び11目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費でございます。12目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であり、13目農業大学校費は、同校の管理運営等に要する経費でございます。
 次に、149ページをお開き願います。2項畜産業費でございます。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費等でございます。2目畜産振興費の主なものでございますが、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、日本短角種及び黒毛和種の改良増殖等を推進するために要する経費などでございます。150ページをお開き願います。3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成、及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要する経費などでございます。次に、151ページに参りまして、4目家畜保健衛生費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する牛海綿状脳症防疫対策事業費のほか、家畜伝染病予防費が主なものであり、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費でございます。
 次に、153ページをお開き願います。3項農地費でございます。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等でございます。2目土地改良費の主なものでございますが、説明欄五つ目の経営体育成基盤整備事業費は、生産基盤である水田の大区画化や用排水路、農道等の整備を一体的に実施し、農作業の効率化や水管理の省力化を図るとともに、担い手への農地利用集積を促進し、高生産性農業の実現と、それを担う経営体の育成に要する経費でございます。その五つ下の農地・水・環境保全向上対策事業費は、農地、農業用水及び農村環境の良好な保全と質的向上を図るため、自治会やNPOなど多様な主体の参画を得て、地域ぐるみで農地や農業用水等を守る共同活動を行う経費について支援しようとするものでございます。154ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地・農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや、老朽化した水利施設の整備に要する経費でございます。次に、155ページに参りまして、4目農地調整費の主なものでございますが、説明欄二つ目の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借等の業務に要する経費に対して補助しようとするものでございます。
 次に、157ページをお開き願います。4項林業費でございます。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金等でございます。158ページをお開き願います。2目林業構造改善対策費のうち、林業・木材産業構造改革推進事業費は、林業構造改善事業等により、施設等を整備した事業体等への経営指導に要する経費でございます。3目林業振興指導費の主なものでございますが、説明欄中ほどのしいたけ等特用林産振興対策事業費は、シイタケの生産振興を図るため、栽培技術等の研修や新規参入者へのほだ木の整備に対する助成、原木の安定供給に必要な資金の貸し付け等を行おうとするものでございます。159ページに参りまして、中段のいわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源として、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林の混交林誘導伐を実施するほか、地域力を生かした森林整備等の活動支援、森林、林業の果たす役割等に関する情報発信の強化、児童生徒を対象とした森林学習や森林ボランティアの入門講座の開催等を通じて、森林・林業に対する理解の醸成を図ろうとするものでございます。また、その二つ下の森林・林業・木材産業づくり交付金は、未利用木質資源の利用を促進し、地球温暖化防止に貢献するため、ペレットボイラーやチップボイラーなど、木質バイオマス利用施設の整備に要する経費について助成しようとするものでございます。4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要する経費でございます。160ページをお開き願います。5目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し補助等を行うものでございます。6目林道費は、県土整備部所管となっているものでございます。161ページに参りまして、7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要する経費でございます。162ページをお開き願います。8目林業技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費でございます。
 次に、164ページをお開き願います。5項水産業費でございます。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費でございます。165ページに参りまして、2目漁業構造改善対策費の主なものは、水産経営総合改善事業費及び次の強い水産業づくり交付金で、意欲のある漁業経営体を育成するとともに、水産物流通の衛生管理の向上を図るため、養殖施設や水産物鮮度保持施設等の整備に要する経費に対して補助しようとするものでございます。3目水産業振興費の主なものでございますが、説明欄中ほどの地域営漁計画推進特別対策事業費補助は、養殖漁場の効率的な利用や担い手の確保・育成を図るため、零細経営体のグループ化や効率的な養殖システムの導入等を内容とする漁協の地域営漁計画の実行に必要な養殖施設の整備に要する経費に対し補助しようとするものでございます。その下の浜の6次産業化支援事業費は、地域営漁計画の取り組みを促進し、養殖漁業を担う経営体を育成強化するため、漁業者の販売活動に対する意識啓発や、漁業者グループ等が行う新たな販売促進活動に要する経費について補助しようとするものでございます。166ページをお開き願います。上から二つ目のさけ回帰率向上緊急対策事業費は、低迷している本県秋サケの回帰率向上を図るため、海水使用による新たな飼育技術の開発や、ふ化場技術者を育成するとともに、ふ化場の機器整備等に要する経費に対し補助しようとするものでございます。その四つ下の栽培漁業推進事業費は、アワビ等の種苗放流事業を促進するとともに、投資効果の向上を図るための実証試験など、生産の効率化に取り組む漁協等へ助成するほか、県栽培漁業協会の経営の安定化を図るため、運転資金の貸し付け等を行おうとするものでございます。4目水産業協同組合指導費は、漁業近代化資金等の貸し付けを行う漁協などの融資機関に対し利子補給等を行うものでございます。5目漁業調整委員会費、及び167ページに参りまして、6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であり、7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費でございます。168ページをお開き願います。8目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費でございます。また、説明欄三つ目の漁業指導調査船代船建造事業費は、本県沿岸の海洋観測、漁業資源調査を実施しております漁業指導調査船岩手丸を更新整備する経費でございます。169ページに参りまして、9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であり、10目漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要する経費でございます。170ページの11目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、豊で潤いのある漁村環境の整備等を重点とした水産業振興のための漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要する経費でございます。
 次に、大きく飛びまして、226ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費でございます。1目農地及び農業用施設災害復旧費のうち、当部所管の農地等災害復旧事業費及び団体営農地等災害復旧事業費、次のページに参りまして、3目治山災害復旧費、4目漁業用施設災害復旧費、次のページをお開き願いまして、5目漁港災害復旧費は、いずれも過年災害と現年災害の災害復旧事業に要する経費でございます。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その1にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、5社団法人全国農地保有合理化協会が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、12ページの22ため池等整備事業までの18件でございます。その内容は、社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が2件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、平成21年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが9件でございますが、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものでございます。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 21ページをお開き願います。議案第3号平成21年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてでございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ3億1、140万4、000円とするものでございます。
 22ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 23ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、1款農業改良資金貸付費は、農業経営の改善を図るため、農業者に対し、無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 24ページに参りまして、第2表地方債は、就農支援資金貸付費に充当するものでございます。
 次に、25ページに参りまして、議案第4号平成21年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ37億3、348万9、000円とするものでございます。
 26ページに参りまして、歳入の主なものでございますが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金、3款繰入金は、一般会計及び県有林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分に係る売却収入等でございます。
 27ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理、保育、並びに県債の償還等に要する経費でございます。
 28ページに参りまして、第2表地方債は、県有林事業に充当しようとするものでございます。
 次に、29ページに参りまして、議案第5号平成21年度岩手県林業改善資金特別会計予算でございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億7、481万3、000円とするものでございます。
 30ページをお開き願います。歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 31ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 次に、32ページをお開き願います。議案第6号平成21年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ7億4、329万4、000円とするものでございます。
 33ページに参りまして、歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 34ページに参りまして、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 67ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、かんがい排水事業ほか10事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものでございます。 
 次に、75ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市に負担させようするものでございます。
 次に、76ページをお開き願います。議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、地域水産物供給基盤整備事業ほか4事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものでございます。
 以上で予算関係の議案について御説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇関根敏伸委員長 ただいまの説明のうち、第1部の農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 それでは、まず、大きく分けて3点にわたり御質問させていただきます。
 まず、第1点目は、新規就農者の育成についてお伺いいたします。
 本県においても農業者の減少や高齢化が進んでおり、新規農業者を確保していくことが非常に重要であると考えますが、新規就農者の最近の動向はどのようになっているのか。
 そして次に、農業大学校は次の世代の本県農業を担う農業者の育成に大きな役割を果たしているわけでございますが、卒業生の最近の就農状況はどうなっているのか。また、農業大学校は、平成19年4月から学校教育法に基づき専修学校に移行したということを伺っておりますが、今後、若い担い手の育成に向けてどのような教育を行っていこうとしているのかお伺いいたします。
 そしてその次に、県では、全国的な雇用危機を受けて、1月9日に農林水産業等の雇用促進連絡会議を設置いたしたわけでございます。その設置に基づきましてアクションプランを2月24日に策定したところと伺っておるわけでございますが、これまでの取り組み状況がどのようになっているのか、また、今後どのように取り組んでまいるのかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 まず、新規就農者の最近の動向についてでございますけれども、新規就農者は、平成2年から平成12年までの間は年間100人を割り込む水準で推移してございましたが、平成13年度に年間106人が確保されて、以後、増加傾向に転じてきてございます。
 平成20年度は2月末現在で209人と、5年前と比較いたしまして約2倍となっているところです。
 この平成20年度の新規就農者の内訳を見ますと、Uターン就農者が約7割、新規学卒者、非農家からの新規参入者、農業法人への就職者がそれぞれ約1割となっております。特にも、Uターン就農者は5年前と比較いたしまして3倍以上となるなど、大幅に増加しているところでございます。
 次に、農業大学校の卒業生の就農状況についてでございますけれども、平成16年度からの最近5カ年の卒業生333人のうち、卒業後直ちに就農した学生は83人で、卒業生全体の約4分の1となっているところでございます。そのほか、農業団体や農業関連企業に就職する学生が約3割、研究科への進学、あるいは先進農家での長期研修を行う学生が約2割となっております。
 なお、一たん農業関連企業に就職して、さまざまな知識、技能を習得した後に就農する卒業生も多いわけで、昭和56年以降の卒業生を対象とした動向調査によりますと、卒業生の約8割が農業に従事している。その多くに地域農業の中心的な役割を担っていただいているところです。
 それから、今後の農業大学校の教育のお尋ねでございますけれども、農業大学校は開校以来、実学実践を重視した教育で多くの地域農業の担い手を育成してきたところでございまして、平成19年度からの専修学校への移行に伴いまして、本年度初めて2名の学生が4年制大学に編入するということなど、学生ニーズの多様化、高度化にも対応しているところでございます。
 今後は、農業を取り巻く環境の変化に的確に対応できる経営感覚にすぐれた人材を育成するため、アグリビジネスに関する講義などの専門学科の充実、それから、農業経営に必要な各種資格の取得に対応した科目編成を進めるとともに、平成22年度には、研究科におきまして、農業研究センターでの高度な技術習得や農業法人などでの現場研修を柱とした実践的なカリキュラムを導入するなど、農業経営者養成の視点をより重視した教育を進めていくこととしております。
 次に、雇用危機を受けての就農促進への取り組みについてでございますけれども、本年2月24日に策定した就業促進アクションプランに基づきまして、県内外で5回の就農相談会の開催や先進農家での現場研修のあっせん、さらには住居の紹介や農地のあっせんなど、就農希望者のニーズに即したきめ細かな支援に努めてきたところでございます。
 また、特にも農業法人への就職に関する相談者が増加していることを踏まえまして(「短く」と呼ぶ者あり)、はい。農業法人との就職面接会を初めて開催して、求職者と農業法人等とのマッチングに向けた支援を実施しているところでございます。
〇高橋昌造委員 私は単刀直入にお聞きしますので、ストレートにお答え願います。
 第2点目は、水田の、特にも耕作放棄地の問題ですが、水田をやはりフルに利用していく、活用していくということが大事ではないのかなと。
 そこで、新聞報道によれば、秋田県では水田をフルに活用いたしまして、今、174%の自給率を210%まで上げるということを検討されているようでございますが、本県では、今現在105%の自給率でございますが、本県として、この自給率の向上に向けて水田フル活用をどのように今後考えていくかお伺いします。
 そして次に、耕作放棄地の水田を活用した自給飼料の生産が有効と考えるわけです。そこで、本県の水田での自給飼料の生産や畜産への活用状況、そしてこうした取り組みについて県はどのような支援を講じていくかお伺いいたします。
〇工藤水田農業担当課長 自給率の向上に向けた水田フル活用の支援策についてでございますけれども、国におきましては、水田の最大限の活用に向けまして、調整水田等の不作付地で、自給率の低い麦、大豆あるいは飼料作物、米粉や飼料用米の作付拡大を図ることとしております。
 県といたしましても、水田農業を確立するためには、本県農地の6割を占めます水田を有効に活用し、その生産性を向上していくことが重要な課題であるというように考えてございます。
 このため、県といたしましては、国の水田最大活用推進緊急対策交付金、産地確立交付金などを効果的に活用しまして、調整水田等の不作付地への飼料用米の作付拡大、あるいは水田を効率的に活用した麦、大豆、飼料作物の団地化などを促進し、水田のフル活用を誘導しております。
 また、生産性の向上を図るために、スケールメリットを生かしまして、効率的な生産ができるよう団地化を促進し、米粉や飼料用米につきましては、直播栽培など低コスト生産技術の普及、あるいは本県が開発しましたオリジナルの多収品の水稲、2品種ございますが、この作付拡大などを支援することとしております。
 また、麦、大豆につきましては、本県が開発しました小畦立て播種栽培技術というのがございますが、これを一層普及いたしまして排水対策を徹底し、飼料作物につきましては、自給飼料の確保に向けまして、飼料の畜産農家への利用供給や家畜堆肥の水田への供給などを支援してまいる考えでございます。
 こうした一連の取り組みによりまして、県内の水田の最大限の活用を支援してまいる考えでございます。
〇佐々木畜産課総括課長 水田を活用した畜産振興のお尋ねでございます。
 水田での自給飼料の生産状況についてでございますが、作付面積は、平成20年度は前年度に比べまして400ヘクタールほど増加してございます。約1万1、200ヘクタールが自給飼料の作付面積となってございます。
 その内訳は、牧草が自給飼料作付面積の約9割、1万300ヘクタールになってございます。そのほか、飼料用トウモロコシが510ヘクタール、稲発酵粗飼料が223ヘクタール、飼料用米が145ヘクタールとなっております。
 また、自給飼料の生産のほかに131ヘクタールが放牧利用されるなど、水田は畜産振興に重要な役割を果たしております。
 次に、畜産における水田利用に対する支援策についてでございます。
 国におきましては、飼料自給率の向上、それから水田の有効活用を図るため、昨年度から耕畜連携水田活用対策を講じてございます。県では、この対策を活用いたしまして、簡易な基盤整備、それからロールベーラなど収穫調製機械の導入、それから水田放牧のための電気牧さくの設置等を促進してございます。また、飼料生産の団地化や稲発酵粗飼料の生産拡大、水田放牧の拡大に取り組んできたところでございます。
 今後におきましては、こうした取り組みに加えまして、平成21年度から国が新たに措置します調整水田など不作地に新たに飼料作物を作付拡大した場合に交付されます水田等有効活用促進交付金、さらに、耕作放棄地を整備し再生利用した場合に交付されます耕作放棄地再生利用緊急対策交付金の活用などによりまして、水田を活用した畜産振興に努めてまいります。
〇高橋昌造委員 最後に、第3点目につきましては地産地消の推進についてお伺いいたしますが、まず、我が国における加工・業務用の野菜の3割は輸入野菜であるということでございますが、今後、本県における加工・業務用野菜の生産状況についてどのようにお考えになっているのかお伺いするとともに、次に、食の安全・安心の自給率向上の上からも、学校給食などに地元農産物を積極的に利用するなど、地産地消の取り組みを推進していくことが非常に重要であると考えるわけですが、県としての地産地消への支援策を今後どのように考えておるのか、お伺いして終わります。
〇川嶋農産園芸課総括課長 加工・業務用野菜の生産状況についてでございますが、近年、野菜の消費が減少する中で、食の外部化等が進展いたしてございまして、平成17年には我が国の野菜需要の約55%を加工・業務用が占め、その割合も年々増加してきてございます。
 このような中で、本県においても加工・業務用野菜の出荷が増加しており、全農岩手県本部の加工・業務用野菜の取り扱い実績を見ますと、平成20年度には、加工用トマト、缶詰用のホワイトアスパラガス等の出荷量が約2、200トン、販売額が約1億2、000万円となるなど、出荷量、販売額ともに3年前と比べまして4割以上増加してございます。
 県といたしましては、これまで加工・業務用野菜の産地づくりを促進するため、収穫や洗浄のための機械設備の導入を支援するとともに、県、農協等で組織いたします収益性向上対策チームによる収量、品質向上のための技術指導の強化などに努めてきたところでございますが、来年度からは新たにマーケットイン産地モデル確立推進事業を実施し、加工・業務用向け適性品種の選定や栽培技術の実証、省力化や加工ニーズにこたえるための機械設備のリース料に対する助成などにより、加工・業務用需要に積極的に対応したモデル産地を広域振興圏単位に育成するとともに、その成果を県内各地に普及させ、市場ニーズに対応した園芸産地づくりを推進してまいります。
〇浅沼流通課総括課長 学校給食など地産地消の推進についてでございますけれども、本県ではこれまで、ハード面では、国や県の助成事業を活用いたしました産地直売施設の整備、ソフト面では、民間の専門家によります産直の店舗づくり、学校給食による鮭の日給食等の実施や県産小麦使用パンの開発などの支援をしてきたところでございます。
 こうした取り組みの結果、県内の産地直売所の売り上げが平成19年度で100億円を突破するとともに、学校給食におきます県産食材の利用割合が、平成14年度47.6%から平成18年度には52.6%に拡大してございます。
 今後でございます。これまでの支援に加えまして、本年度から開始いたしましたいわて地産地消弁当認証制度や県下一斉の米粉パン学校給食の日を活用した県産食材の利用拡大や県内の事業所給食に対します新たな県産食材供給の取り組みなどを推進するとともに、新たにいわて6次産業チャレンジ支援事業等も活用いたしまして、街なか産直など、新たな店舗展開の取り組みや産直間等のネットワーク化によります観光産業等への食材供給システムづくりなどを支援することによりまして地産地消の取り組みの輪をさらに広げてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 1点ですが、いわて農林水産ブランド輸出促進事業費が昨年度に引き続いて計上されておりますけれども、その事業内容と考え方についてお尋ねいたします。
〇浅沼流通課総括課長 いわて農林水産物ブランド輸出促進事業についてでございます。
 輸出につきましてですが、国内市場が飽和傾向となる中、安全・安心で高品質な県産農林水産物の輸出を促進することは、生産拡大を通じた生産者の所得向上にとどまらず、国内市場におきます本県農林水産物の評価向上にもつながるものであり、本県の1次産業の振興にとって、海外販路の拡大というのは重要な課題と考えているところでございます。
 こうしたことから、これまで、東南アジア等をターゲットといたしまして、商談会の開催やバイヤー招聘、販売促進活動に取り組んできたところでございます。
 一方、輸出を取り巻く環境を見ますと、世界経済の減速や円高等によりまして厳しさを増しております。加えて、品目によっては輸出先において国内他産地との競争も激化していることから、より戦略的な輸出の展開が重要となっていると考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 事業内容の説明の項目を見ると、輸出による新たな販路を開拓するとか民間ノウハウを活用したマーケティング活動や新興市場をターゲットとした民間主体の輸出の取り組みを支援しますと出ています。これまでは東南アジアを中心としたということですけれども、この中で、新たにどこに、新興市場ということですけれども、どこに何を、民間主体というけれども、だれが、どれぐらい想定してやっているのか。
 そしてまた、考え方としてですけれども、先ほど国内市場が飽和という表現をしていましたけれども、本当に飽和しているんですかね。その辺の考え方もお聞かせ願いたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 まず初めに、飽和という部分についてでございますが、産物が国内の市場に流通する際に、一気に市場に流入することによります価格の低下、そういったものを調整するという部分におきまして、輸出というのは非常にメリットがあると考えてございます。
 それから、民間ノウハウを活用し、どこに、どのようにというお尋ねでございましたが、私どもでは、官民で構成いたしますいわて農林水産物輸出促進協議会を設置してございます。官民で構成いたします団体でございますが、それらが中心となりまして、具体的には、香港、マレーシア、台湾、シンガポールなど、そういったところを中心に産物の輸出に取り組んでいるところでございます。
 来年度につきましては、特に海外バイヤーの招聘によりまして、現地のニーズに対応した輸出向けの高付加価値商品の開発でありますとか、商社の専門家で構成いたします輸出コーディネーター─民間になりますが─を活用いたしました海外実需者とのマッチング支援、さらには、これまでの取り組みを足がかりといたしました新規市場の開拓などに取り組んでまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 飽和しているかどうかという認識というのはちょっと私は不十分だと思って、先ほど食料自給率の話もありましたけれども、主要作物を輸入しているから、岩手県は特に畜産中心ですから自給率は低いのかとは思っていますけれども、飽和しているんですかね。価格調整のためとかという話ですけれども、その辺理解できない。飽和しているとは私は思えない。その辺の認識をもう一回お伺いしたいと思います。
 それと、何をという部分がちょっと欠けていました、先ほどの質問に対して。
 また、香港、マレーシア、台湾という具体的な名前を出しておりましたけれども、これは現地の国の人を対象としているんですか、それとも現地に住む日本人を対象としているんですか、どうでしょうか、これ。
〇浅沼流通課総括課長 まず、何をという部分のお尋ねでございますが、これまでの取り組みの成果を踏まえまして現地でのニーズがあるということで見ますと、リンゴ、米、水産物、花でまいりますとリンドウ、こういったようなものが中心になると思っております。
 それから、現地で購入される方でございますが、これはお尋ねありました部分でいいますと両方ということになるかと思います。実際にフェアなどをやりますと、現地に住まわれている日本人の方も多く見えられますが、実際に現地の方が買って食べていただいているケースが非常に多くなっていると思ってございます。
 最後に、飽和という部分についてでございますが、数字の部分、ちょっと今持ち合わせございませんけれども、輸出という部分から見た場合ということで、特定の時期に一定の産物が集中的に、価格調整という話にまたなってしまいますけれども、そういう部分で輸出の促進メリットがあると考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 だれにというところですけれども、恐らく実際は、現地の、例えば駐在している方とかを含めた日本人が多いと思うんです、購入している人は。そういうふうに私も聞いておりますけれども。というのは、現地の人となると、台湾でもどこでもお金持ちぐらいですよね。台湾のデパートなんかでも岩手県の米を売っていますね、ひとめぼれ。ただ、あの価格で現地の人が買えるかどうかというのは私は疑問です、実際に。その辺をもっと精査して、どこをターゲットにするかというのをもっと調べるべきかなと私は思っていました。
 それと、価格調整という話が何度も出ますけれども、米というのは岩手県でどれぐらい売っていますか、大体にして、海外に。500トンを目標にするとかという話が前出たような気がしますけれども。価格調整の効果がありますか、実際。どうですか、これは。
〇浅沼流通課総括課長 まず、現地での購買動向をお米という部分で見ますと、確かに日本人の方が買われるケースが多いかと思いますが、今年度は新たな取り組みとしまして、台湾で現地の小売店、いわゆる日本人が多く出入りするよりは現地の方が多く出入りするお店でみつ入りのリンゴを売ってみました。そうしたところ、非常に好評であったと、結論を一言で言いますと、というようなことをつかんでおります。
 したがいまして、両方と申し上げたのは、そういった現地での小売店舗での展開、いわゆる横展開というような形で見ておりますが、そういうものに取り組みながらいろいろなニーズに対応していきたいと思っております。
 それから、お米の輸出の数字でございますが、今年産ということでまいりますと14.7トンの輸出というのを現時点では数字としてつかんでございます。
 価格という面でまいりますと、いろいろコストはかかりますけれども、無洗米でありますとか天日干し米でありますとか、付加価値の高いものを中心に売ってございます。それ相応のメリットがあると考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 14.7トンということですけれども、10トントラックとあれですよね。価格の調整という説明は全く無理があると思っているんですよ。飽和というのも、私が前、台北で見たときに、台北の三越の地下の食品売り場に岩手県のひとめぼれを売っていました。恐らくあそこは地元の人がかなり行くところだと思って見ています、日本人も行くと思いますけれども。それで見ると、新たな地元の人に売るような展開をしようとしても恐らく、人口二千数百万人です、あそこの台湾というところは。そういうところから見ると、市場としてどこまで言われているような価格調整機能を果たすことに、市場性があるのかどうかも含めて、かなり無理がある、説明に。なぜそこまでやるのかという気が。もっと国内市場でやることがあると私は思っているんですよ。だから、飽和しているという発想はまず間違っていると思う。
 リンゴもどのぐらい出ているかわかりませんけれども、青森県産のほうがはるかに売り場面積を占めております、現場で見ると。それからすると、大した金額でないと言うかもしれませんけれども、どうもちぐはぐな気がしております。もっとほかにやることがあるのではないかと思いますけれども、部長、どう思いますか、この点。いつも私、指摘していますけれども。
〇高前田農林水産部長 輸出についてのお尋ねでございますけれども、輸出につきましては、確かに御指摘のとおり、例えば米等につきましても今、取り組みが緒についた段階ということで、非常に金額的には少ない状況になってございますが、県産の農林水産物全体で申し上げますと、例えば水産物等につきましては既に相当大きな輸出金額になってございます。例えば平成19年の輸出、これはジェトロの調査でございますけれども、水産物の輸出は29億5、700万円ということで、約30億円の輸出の実績がございます。農産物につきましては、平成19年で大体3億円弱ぐらいの輸出実績になっております。
 この輸出についての意味でございますけれども、確かに御指摘のとおり農産物等についてはまだ取り組みが初期の段階ということでございまして、金額的には大きくはないわけでございますけれども、こういった生産拡大を通じた生産者の所得向上といった意味だけではなくて、やはり国内市場における本県の農産物の評価を高めていく、海外でもしっかりとそういった品質の評価をいただいて、海外にも売れるものだということをアピールしていくといった意味も私はあろうかなと考えておりまして、今後ともそういった意味で取り組んでいくべき課題だと考えております。
 それから、先ほど来、市場が飽和といったようなことがいろいろ御指摘をいただいております。これは相対的な見方でございまして、日本の場合、食料消費全体は、これはもう相当程度、米にしろ、その他の農産物、それから食肉にしろ消費が伸び悩んでおりますけれども、私どもが今後ターゲットとして期待しております東南アジア等の新興国におきましてはそういった食料商品はどんどん伸びているといったようなところで、そういったところにビジネスチャンスを見出して、私どもは海外進出をねらっていきたいと考えているものでございます。
 特にも、具体的にどういった購買層があるのかというお話もございましたが、現地の情報等によりますと、やはり経済発展が目覚しいということで、相当な富裕層の方々がいらっしゃるということで、そういった方々を中心とした、主として贈答需要といったものが当面のターゲットになろうかと思っておりまして、今後とも、私どもだけではなくて、民間、そして民間のノウハウといったものも積極的に活用しながら輸出に向けて取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 新しい市場を求めて、国内での評価を高めるためにもと、それはあるかもしれません。わかります、ないわけではない。
 けれども、先ほど平成19年度アワビ29億円と水産物の話をしておりました。恐らく乾鮑等を中心としたものだと思うんですけれども、サケとか、明らかに去年の冬からのアワビの価格が半値以下になっているわけであります。ということは、乾鮑の需要は、ちょっととまっている中国の特需も含めてあったのではないかと思います。それからすると、この29億円というのは特別な価格であって、在庫調整がどれまで続くかわかりませんけれども。
 そして今、経済発展が目覚ましいという言い方をしておりましたけれども、今、目覚ましくないのではないですかね、東南アジアも中国も。多分去年までのあのころはそうとも言えたかもしれませんけれども。ですから、日本でも大変ですし、経済発展が目覚ましくこれからなるかもしれませんけれども、現状でそういったバラ色的な市場かどうかという疑問があります。
 ただ、手探りで可能性を追求していくことは認めます、すべきだとは思いますけれども。そちらに目を向けるのも大事かもしれないけれども、もっとやることがあるのではないかという指摘です。その辺をもっとじっくりと考えてやっていただきたいと思います。所見があればお願いします。
〇高前田農林水産部長 輸出の問題につきましては、まずもって国内市場にしっかり取り組むべきだということについてはそのとおりでございまして、私ども、国内市場の販路拡大についてもしっかりと取り組んでまいることにしているところでございますし、それから、輸出につきましては、確かに最近の世界的な景気の低迷といった中で新興国におきましてもさまざまな問題が生じているということはございますけれども、例えばシンガポールについて申し上げますと、1人当たりのGDPについても日本と何ら遜色のないレベルまで上がっているといったような経済発展の状況にございます。
 そういったものを踏まえて、私どもとすれば、やはり新たなビジネスチャンスとして輸出にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えているものでございます。
〇高橋博之委員 私は、新規就農支援1点に絞ってお伺いいたします。
 就業人口の減少と高齢化が著しい本県1次産業にとりまして、現下の雇用情勢は、製造業から1次産業へ雇用をシフトさせるチャンスだとされておるわけですが、先ほど高橋昌造委員の質問に対しまして、この新規就農者の状況についての御説明がありました。
 近年、増加しているということでありましたが、平成19年度が196人、平成20年度は2月末時点で先ほど209名と、こういう数字でありました。確かに伸びているのでありますが、率直に言いますと、意外と、機運が高まっていると言われている割に数字が伸びていないような感じもするわけです。その点については、東北、岩手県は今、農閑期であります。時期的な問題もあるのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 平成19年度で196人、今年の2月末209人ということで、5年前と比較して2倍という状況でございますが、これをさらに進めるために、本年度、県内外で17回の就農相談会の開催とか先進農家での現場研修をあっせんするとか、そうした取り組みを進めてきたところでございまして、特にも農業法人への就職に関して相談者が増加しているということでございまして、そうした求職者と法人とのマッチングに取り組んでいるところでございます。
 さらに、新規就農者をさらにふやさなければいけないということは我々も課題として認識してございまして、平成20年度から、新規就農者の確保、育成に向けた緊急行動ということで、県と市町村、農協等農業団体と一緒になりまして、各地域におきまして就農候補者をリストアップして、これが全県で130人ほどとなってございまして、そうした方々を重点的に就農に誘導していきたいと考えているところでございます。
〇高橋博之委員 私は、そういうことを聞いているわけじゃなくて、質問をきちんと聞いていただきたいんですが、今、農閑期にありまして、この数字がこの先、先ほど農業法人の話もありましたが、機運が高まっていると言われている割に、伸びていることは伸びているんだけれども、思ったほど伸びていないなという印象を持っているわけです。これが、農閑期が抜けて伸びてくる可能性はあるのかということについてお伺いしております。
〇高橋農業普及技術課総括課長 法人の求人は、4月以降からの求人という申し込みが多いと聞いておりまして、法人の求人全体の85%が4月からという意向を持っておりまして、現在、法人が採用面接をやっている状況にございまして、今月下旬以降、採用決定となる方がふえてくると考えているところでございます。
〇高橋博之委員 では、この先、さらにこの数字が十分に伸びる可能性があるということなんだろうと思いますが、1月10日に開いた就農相談会に例年の2倍、108人が訪れたということでありますが、ところが、雇いどめされたり、その不安を感じたりしている非正規労働者の内情は、その108人中5人だった、こういうデータが出ております。製造業から農業への転換は、なかなかギャップが大きいのかなという思いもするわけですが、こうした実態についてどのように分析されておりますでしょうか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 就農相談会の1月以降の状況ですけれども、相談者132人の中で、無職の方、それから解雇される見込みの方々が52人、約4割ということになってございます。それから、他産業従事者の方々が約6割というような状況になっているところです。
〇高橋博之委員 そうしますと、1月時点に比べて、当初の目的であります製造業から雇いどめなどの方が移っている割合がふえている、こういうことなんだろうと思いますが、一方で、2月時点の調べですと6割、それから1月時点の調べだと、先ほどの数字ですと108人中5人が非正規労働者で、それ以外は他産業からの方々だったということのデータを見ますと、実際には、不景気だし、これを契機に田舎に帰って農業をやろうかと背中を押された方が多かったのではないかと思うわけです。正規労働者、あるいは定年、それから自己都合でおやめになった方々で、こうしてお戻りになっている方々が多いような気がするわけです。
 つまり、今回の件で、潜在的に、本来、農業に興味を持っていた方のニーズが掘り起こされたというように感じるわけです。つまり、これまで、逆に言うと、そうした潜在的に農業についてみようと思う方々に対して相談会などの機会をPRする機会が少なかったのではないのかという反省も感じるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 就農相談会につきましては、県内外で本年度17回、県内で11回、県外で6回という形で開催してございまして、こうした雇用状況を踏まえまして、これは県のほか、農業公社等の新規就農にかかわる機関とも連携して、今後もますます強化してまいりたいと思っております。
〇高橋博之委員 そういうことではなくて、こういう雇用情勢を受けて、相談会とかもふやして新規就農だ、新規就農だとやっているわけですが、実際に相談にやって来ている人たちを見ると、こういう雇用情勢で雇いどめになった方々というよりは、そもそも農業をやってみようかなと、あるいは田舎に帰って農業を継いでみようかなという方が、実は潜在的におった。その潜在的なニーズが、今回思わぬ形で掘り起こされたのではないのか、こういう指摘をしているわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇高前田農林水産部長 潜在的なニーズがもともとあったのではないか、それに対するきちんとした情報発信といいましょうか、対応が不十分だったのではないかという御指摘でございます。
 先ほど来、担当の総括課長から御答弁申し上げておりますように、就農相談会でありますとか、さまざまなキャリアアップのためのOJT研修といったようなものを、私どもとしてはメニューとして用意させていただいてきたところでございますが、ただ、まだまだそういったような意味で、そもそもそういう潜在的な需要があった部分があったのではないかということは、御指摘のとおりだろうと思います。
 私どもとしては、こうしたことをきっかけとして、そういったような潜在的な需要を掘り起こせるようなしっかりとした情報発信をやっていきたい。特にも、個別のそういった就農相談会だけではなくて、例えば、定住促進のためのイベントでのPRであるとか、そういうことも含めて、これから総合的に取り組んでまいりたいと考えておりまして、そういったような取り組みで、ぜひ、農業をやるなら岩手でといったような評価が得られるような取り組みをしてまいりたいと思っております。
〇高橋博之委員 相談会は、確かにこれまでもあったと思うんですが、その相談会があることすら、そういう情報すら得られない。ところが、今回、新聞もさまざま書くものですから、そういう相談会があるなら、ぜひ行ってみようかということで、潜在的なニーズがこうして表に出たということなんだろうと思います。
 そこで、今、部長が、定住促進との絡みのお話もされましたが、地域振興部で定住促進の件で質問しましたら、この農林水産部と就農支援で連携していくという話をしておったんですが、改めて、この農林水産部の就農支援という視点から、この地域振興部の定住促進とどのように連携していくのかお聞きします。
 それから、先ほどの話なんですけれども、この潜在的なニーズの掘り起こしと、それから、マッチングの問題、解雇されて、すぐに仕事が欲しいんだ、こういう方々というのは全然違うと思うんですね。この二つの問題を分けて対策を講じるべきだと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 定住促進との連携ということが必要ではないかということでございますが、実際、そのとおりだと思います。いずれ、首都圏等に在住する方々、さまざまな企業に就職されまして、例えば技術であるとか、農林水産業に必要なマーケティングのノウハウであるとか、そういったものを活用して農林水産業の産業力を向上していくということ、あとは、やはり農村につきましては、地域コミュニティーということで重要だと考えてございます。
 具体的に地域振興部との連携の内容にございましては、特に11月に首都圏中心としました本県の定住・交流促進イベントを開催することとしてございまして、11月ごろになる─時期はまだちょっと未定でございますけれども、そちらのほうなどございますので、とにかくあらゆる機会を通じまして、やはり農林水産業の魅力、そして、今回、アクションプランを策定いたしましたが、本県独自の雇用対策の取り組みというものをPRしてまいりたいと考えてございます。
〇高橋農業普及技術課総括課長 潜在的なニーズの方々と、それから、今回の雇用状況が厳しい中での雇用を求める方々ということのマッチングの仕方についてでございますけれども、やはり、どうしても就業に際しての課題というのは、他産業と比較して、農業の場合に、所得の問題とか、それから生産に季節性があるのでなかなか年間雇用が難しいとか、技術習得に時間がかかってしまうということがございますので、潜在的な方々に対しては技術習得からじっくり、住居のあっせんとか農地のあっせん、それから機械施設の整備とか、そうしたことに取り組んでまいらなければならないと思っておりますし、そうした雇用状況の厳しい中で雇用されたいという方につきましては、農の雇用事業とかを活用しまして、法人が、そういう方々を雇用しながら技術研修をしていただくということで、対応の重きの置き方といいますか、そういうことも変わってくるのではないかと思っております。
〇高橋博之委員 もう一点、若者のIターンについてちょっとお聞きしたいんですが、1月に私、岡山県、京都府、福井県など、若者のIターンが進んでいる地域を視察してまいりました。そうしましたところ、現場の方々が盛んにおっしゃられるのが、いや、これからはIターンだと言うわけです。
 例えば、福井県のある農業法人では、4年間でたしか23人ぐらい、東京、首都圏から若い方々が、文字どおりIターンでやってきて、2年間の研修を受けて、9割ぐらいがその地域に残って、そして空き家に住んで、現地の女性と結婚し、子供を産み、農業をやっておりました。それで限界集落から抜け出た、こういう地域もあったのでありますが、共通点は、こういう若者は、かつてのような、安ければもうかればいいというような農業ではなくて、環境だとか、自然だとか、つながり、こういうところにキーワードを求めて、新しい価値観で農業をやっているわけです。
 こういう若者に、どういうきっかけでこういうところに来たんだと話を聞いてみましたら、やはり相談会で、興味があって行ってみたら、そういうIターンの若者が集まって農業をやっている、実際にそこで生活している事例を知って、ここであれば自分もやれるのではないかと、それに背中を押されてやってきたという人が多いわけです。
 本県ではそのような事例があるのかどうか、そして、そういう事例を相談会で紹介したり発信しているのかどうか、その点について教えていただきたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 Iターンの方々も年間数名ということで就農されております。そういう方は、やはり地域の集落というか、そういうところに密着して生活されて、うまくなじんで就農が成功しているという事例がございますし、それから、例えば、以前から住んでいる方々との情報のやりとりの中で、いろいろな生産物を提供するとかという取り組みをやられている方もございます。
 就農相談会では、実際にIターンで就農した方についても、相談を受ける形で出席していただいて、新規にIターンしようとする方々の相談に乗るとか、そうした対応も今、相談会で実施しているところでございます。
〇高前田農林水産部長 少し補足させていただきますけれども、本県におきましてもUターン、Iターン含めて、そういった新規参入の優良事例の方がいらっしゃいます。そういう方につきましては、一つは、そういう事例集、冊子をつくりまして、そういうものを使って相談会等でもPRさせていただいているのが実態でございます。
〇高橋博之委員 最後にいたしますが、最後、農林水産部長にお伺いしたいんですけれども、さまざまきめ細かいメニューが必要になってくると思うんですが、いずれ本当にチャンスだと思います。地方から都市部へかつて人がどんどん出て行って、京浜工業地帯に投入され、工業を通じて日本の経済成長を支えてきましたが、それが今、行き詰まっているわけです。これからは、やはり食料とか資源の価格が上がっていく中で、地方から都会へと人の流れを反転させていかなければならないと思います。
 その意味で、本県の農林水産部が果たすべき役割というか使命は大変大きいものがあると思うんですが、最後に農林水産部長の御所見をお伺いいたしまして、終わります。
〇高前田農林水産部長 雇用問題に関してでございますけれども、委員も御指摘のとおり、雇用情勢が急速に悪化する中で、雇用の受け皿として農林水産業に対する期待が非常に高まってきていると。一方、農林水産業サイドの事情としては、就業者数が減少する、それから高齢化が進むといったようなことで、担い手の確保・育成というのは、もう喫緊の課題になっているという状況にございます。
 こういったような中で、私どもとすれば、今、委員御指摘のとおり、ある意味、非常にチャンスなんだという認識を持っておりまして、こういったきっかけを生かして、多様な担い手の確保・育成対策と、それから雇用対策、これを一体的に推進していきたいと考えております。
 このために、まずは、受け皿となる産業の振興をしっかりとやっていくということ、それから、先ほど来、御指摘いただいております雇用のミスマッチのさまざまな原因がございます。例えば、労働環境が厳しいとか、所得の面であるとか、技術的な課題であるとか、そういったような課題解決のための戦略的な取り組みをしっかりとやっていく。端的に申し上げますと、例えば省力化、機械化、それから経営のレベルアップであるとか、6次産業化であるとか、そういうこと、それから、生産についても周年化ができるような作目を入れていくといったようなこと、さまざまございますけれども、そういった課題解決の取り組みをしっかりとやっていく。
 それから、あわせて、やはりキャリアアップというものが重要だろうと思っておりますので、ニーズに合ったようなキャリアアップのメニューをしっかりと用意して、これを提供していく。そういったようなことを通じて、私どもとしては、先ほど来申し上げました担い手の確保、育成と雇用対策を一体的に推進してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 私は、酪農問題についてお伺いしたいと思います。
 牛乳は、大変健康によい食品と言われておるわけでありまして、県内でも生産されておりますが、現在いささか鎮静化したとはいいながら、飼料や資材の価格の高騰、生産量の減少などにより経営が大変厳しい状況にあると聞いています。
 牛乳の生産農家戸数は、平成16年度には1、503戸から平成19年には1、289戸に減少し、生産量は、平成13年から19年までの対前年比ではそれぞれ1.5%、2.2%、2.1%と減少し、資材や飼料価格は平成17年に比較して、19年にはそれぞれ55%、44.6%の高騰と聞いております。
 こうした中、平成20年4月に乳価が引き上げられましたが、その値上げの状況と生産農家の経営に対する効果や影響、また、平成20年度の生産量はそのことによりふえたのか、減ったのか、その実態についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 酪農についてのお尋ねでございます。
 平成20年4月の乳価の引き上げ、その内容、状況等についてということでございますが、まず、平成20年4月の飲用向け乳価が1キログラム当たり3円、それから加工原料向けが1キロ当たり5円、それからチーズ向けが10円という引き上げになってございまして、飲用向け、それから加工用向けの仕向け割合がございますので、そういった仕向け割合を勘案しますと、プール乳価で約3円43銭の引き上げとなってございます。
 また、これに加えまして、平成20年は飼料価格高騰ということで、国の都府県酪農緊急経営強化対策事業によりまして、1キログラム当たり約3円20銭相当が加算されてございます。全体でおおむね96円の乳価となっております。
 そうした乳価の値上げが生産農家の経営にどのような効果と影響を与えたかということでございますが、生産農家の経営に対します効果といたしましては、40頭規模、県の平均飼養頭数規模でございますが、その経営試算によりますと、いわゆる乳価が上がる前の平成19年との比較で、このことにより売上高が約7%増加いたしました。農業所得で申しますと約100万円の増加となってございますが、しかしながら、その前年の平成18年と比べてまだ100万円ほどの減少ということで、乳価は上がりましたが、経営的には幾分改善されましたが、まだまだ飼料価格高騰以前に比べると影響が残っていたということでございます。
 また、平成20年度の生乳の生産量は増加したか、減ったかというお尋ねでございますが、県の生乳生産量は、平成20年度はまだすべて終わってございませんが、20年4月から本年2月までの累計で申しますと、その間の対前年比で約5%の減少となってございます。
〇喜多正敏委員 価格が7%上がったけれども5%生産量が減ったという状況で、なかなか厳しいなと思いますが、ことしも再び乳化の引き上げが計画、予定されているということでありますが、去年の実態を踏まえながら、その効果や影響はどのように見込んでおられるのか。また、現在、県内で生産されている生乳は、県内で消費、販売されている牛乳のシェアはどのくらいと把握されているか、お伺いしたいと思います。
 また、価格が引き上げられても、実際にこの不況の中、消費者は低価格志向であるということで、果たして生産量や販売量の伸びがどうなのか、むしろ減るのではないかというような懸念があるわけでありますけれども、実際にメーカーや量販店などでは、これが市場価格として本当に価格転嫁できるだろうかというような懸念の声もあるわけでありますが、そうしたことについて、どのような御所見をお持ちであるかお伺いしたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 先ほど、平成20年4月の乳価引き上げの内容をお話いたしました。実は、平成21年4月にも、先ほど委員の御指摘のように、酪農経営が非常に厳しいということで、さらに平成21年3月からの乳価引き上げということで、これは飲用向けで10円、加工原料向けで4円、チーズ向けで4円ということの引き上げが予定されてございます。
 先ほどお話ししました飲用、加工の仕向け割合から見ますと、プール乳価で、このことによりまして約8円93銭の引き上げということになっておりまして、酪農経営にとっては、乳価アップというのは、経営に非常に高く効果が上がってきていると考えています。
 その内容と申しますと、これは推定でございますが、平成20年と比較して平成21年は約3%売上高が伸びるだろうということで、所得で、20年に比べてさらに100万円ほどの増加が期待されると考えております。
 ただ、飼料が上がります平成17年に比べると、所得でまだ7割ほどということで、依然として酪農家にとっては、まだ予断を許さない経営環境にあると考えてございます。
 それから、県内で生産されている生乳の県内消費に係るシェアということでございますが、本県で生産された生乳は、平成19年度で申しますと約22万9、000トンとなってございます。その約53%が県内の24の乳業メーカーで製品化されてございます。ただ、この製品化された内容が、県内、県外にも消費されてございますので、そのうち何%が県内で消費されているかという数字は、申しわけございませんが、把握されてございません。
〇浅沼流通課総括課長 消費動向に関しますお尋ねの部分についてお答えしたいと思います。
 昨年6月に社団法人日本酪農乳牛協会という協会が、牛乳が値上がりした際の行動につきまして、全国約3、200人を対象に行った調査結果というものがございます。それによりますと、約22%の消費者が、安い銘柄に変えたり、牛乳の購入量を減らしたという回答が出ております。こうしたことから、今回の乳価の引き上げによりましても、消費者の消費行動の減退というものが懸念されてございます。
 今後、牛乳、乳製品の需要拡大に向けたさらなる取り組みというものが、極めて大事であると認識してございます。
〇喜多正敏委員 岩手県内での牛乳の消費量といいますか販売量というものは、わからないのでありますか。
〇佐々木畜産課総括課長 先ほどお話ししました生産量は22万9、000トンで、実は、それが乳業メーカーで加工、製品化されて、それの県内の乳業メーカーで加工されているのが約53%ということで、そのうち何%かが県外に製品として出されるところの、その内訳の数字は、残念ながら把握していないということでございます。消費のほうは、そういうことでございます。
〇喜多正敏委員 先ほど流通課総括課長からもお話がありましたとおり、乳価が引き上げられても、生産量あるいは消費量が減ったのでは余り効果がないということで、消費の拡大、需要拡大が、お話のとおり、極めて重要だと。
 先般、視察をしてまいりました葛巻町の鈴木町長も、需要の拡大がこれから大事だ、生産面の支援も大変いいがということでありましたけれども、需要の拡大がポイントだということでありました。
 さて、そこで、県では、農産品の消費拡大ということでいろいろやってきているわけでありますが、この牛乳についてどのような消費の拡大や販売促進について行ってきたか、また、その課題と、この新年度に向けての予算の中でどのようなことを考えておられるか、お伺いしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 これまでの対応、課題、今後の対策というお尋ねでございました。
 まず、これまででございますが、需要拡大に向けましては、今年度、国におきましては、飼料価格の高騰等の取り組みについて、消費者に理解を得るための協議会の開催に加えまして、牛乳の機能性等を普及啓発する事業を強化したところでございます。
 県といたしましては、岩手県牛乳普及協会や全農岩手県本部等と連携いたしまして、牛乳と健康に関する知識を普及するためのミルクフェアの開催や、牛乳の飲用の習慣の定着を図るための小・中学校におけます副読本の配布、並びに小学校児童約600人を対象といたしました酪農出前教室等の実施、さらには、県内外の小売、流通業者と県内乳業メーカーとのマッチング支援によります販路の開拓などに取り組んできたところでございます。
 一方、需要拡大等への課題という部分でございますが、生産者と消費者との相互理解の促進、さらに、生産者、乳業メーカー、行政など、関係機関が一体となった取り組みの促進というようなものが必要になってくると考えてございます。
 こうしたことから、今後につきましては、これらの取り組みを一層強化するとともに、現在新たに取り組んでおりますMOW MOWプロジェクトの一環といたしまして、県内加工業者と連携いたしました商品開発に加え、県内乳業メーカーとの協働によります県産食材と乳製品のレシピの提案や店頭のプロモーション、ホームページ等を活用した情報発信など、牛乳・乳製品の消費拡大の取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 非常にそういう危急なところでありますので、食育とも絡めながら、ぜひ需要拡大を推進してほしいと思いますし、給食等でせっかく牛乳を飲む習慣がついても、中学校、高校になると、これがなくなるということでぱたっと切れてしまうといったようなこともお話をされておりました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 それから、通告にはなかったのでありますけれども、私も参画して進めてまいりましたが、自然や歴史の中で人の営みや生き方、暮らしぶりが、地域のものづくりやまちづくり、おもてなしの特色だということを基本として、地域ブランド、盛岡ブランドを進めてまいりました。
 その一環として、11月に広島県内でイオン5店舗、沖縄県内でイオングループ48店舗で、それぞれ盛岡デーin広島、沖縄とか、そういうことをするという計画がありますが、これについて、盛岡市だけではなくて、盛岡広域圏や県内のリンゴ─リンゴと言えば、早く食べるのであれば長野県のリンゴ、量を食べるのであれば青森県のリンゴ、しかしながら、一番おいしいリンゴは岩手県だ、こういうことになっているわけでありますけれども、農産物や海産物の販売、あるいは啄木、賢治や演劇、さんさ踊りなどの公演をして一体的にやろうという計画があるわけでありますが、これに県の大変大きな支援をいただいたということで、私も、地域の一員として感謝申し上げるわけであります。
 こうしたように、今回の事例のみならず、各自治体が協力するとか、県と市町村が、お互いにその長所を生かしながら、県外に地場産品を販売しに打って出るということは大変いいことではないかと思うのでありますけれども、こうした地元市町村、県との連携等々について、浅沼流通課総括課長に御所見をお伺いしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 委員からお話がございましたとおり、本年11月、広島、沖縄のイオングループの店舗におきまして、盛岡市と連携の上、フェアを開催いたしたいと思ってございます。盛岡ブランドをベースとしつつも、県のノウハウも生かしまして、県としてトータルの販売促進を図ってまいりたいと考えております。
 これまでも、例えば、昨年度でございますと、震災復興ということで、東京都江東区南砂のイオンにおきましてフェアを開催してございます。一関市、奥州市、洋野町にもお声をかけさせていただきまして、物産の販売、県でいいますと副知事、各首長のトップセールスというようなものを展開してきてございます。
 各市町村のほうにも、地域ならではのブランド品というものがございます。また、それぞれでお持ちの流通ルートというものもございます。また、さまざまな文化面での交流という部分のルートがあるかと思ってございます。
 一方、県では、これまでの取引によりまして開拓してございます流通ルート、県ならではの品ぞろえ等のさまざまなノウハウがございます。それぞれ、お互いの強みというものを生かしながら取り組んでいきたいと考えてございます。
 引き続き、県、市町村一体となりまして、県といたしましては、岩手を丸ごと売り込むということになりますが、地域が元気になるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 ぜひ、そういったことについて、県はやっぱり大きなアンテナと人脈を持っておられるので、そういう機会を市町村のほうに紹介しながらやっていただきたいなと。例えば、ジャパントレードショーとか、いろいろなこともありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、今回、総合政策部長として異動されて、県政の広い旗振り役となる高前田部長にお伺いしたいのでありますけれども、地場産品の販売という促進のみならず、やっぱりそうした機会には、観光とか、岩手の文化、郷土芸能、あるいは先ほどお話に出ました定住促進や企業立地などもあわせて丸ごと岩手の情報を発信する、こうしたことが岩手に対する理解を深めて、あるいは、そういうところであれば、ぜひ行って働いてみたい、企業進出してみたいというようなことにもつながるのではないかと思うわけでありまして、そうしたことについてのお取り組みについて、部長の御所見をお伺いしたいと思いますし、県人会連合会も華々しく東京でやっているわけでありますけれども、そういうときにあわせてやるとか、そうしたことが非常に効率的な事業執行にもなるのではないかと思うわけでありますが、ぜひ御所見をお伺いしたいと思います。
〇高前田農林水産部長 情報発信についてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、農林水産物はもとより、県産品の販路拡大、そして観光振興、さらには定住促進といったようなことを図るためには、岩手の魅力を丸ごとアピールできるような戦略的な情報発信が重要な課題であると存じております。
 このような考え方のもとに、全庁的には、御案内のとおり、黄金の國、いわてをテーマとした岩手そのものをブランドとして確立するためのキャンペーンが展開されているところでございますし、当部といたしましても、関係部局との連携のもと、ことしから食と観光、文化、そして環境を一体的に情報発信するMOW MOWプロジェクトに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、関係部局ともしっかりと連携を図りながら、今、委員御指摘の県人会等の活用、さらには、さまざまな媒体といったようなことも効果的に活用させていただいて、安全で安心、そして高品質な農林水産物はもとより、観光や伝統文化など、本県の魅力の一体的かつ戦略的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 そうした情報発信の一環として、そういう一大的なイベントをぜひお願いしたいと思いますし、MOW MOWということで、牛のごとく着実に進んでいただくことと、我が滝沢村はチャグチャグ馬コでありますので、馬のごとく速く走るようなこともひとつよろしくお願いして、終わります。
〇高橋農業普及技術課総括課長 先ほど、高橋委員の御質問に対しまして、リストアップした就農候補者を130人と答弁申し上げましたが、正しくは1、300人でございますので、訂正して、おわび申し上げます。
〇熊谷泉委員 最初に、流通に関する点を2点ほど伺います。
 いわて6次産業チャレンジ支援事業費というのがついておりますが、食品産業と連携した商品開発とインターネット販売等の新たな6次産業化の取り組みを支援するとなっておりますが、具体的な内容をお知らせ願いたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 事業の具体的な内容につきましてでございますけれども、この事業につきましては、県内法人等が、新たな雇用によって展開しようといたします農林水産物の加工・流通分野の新たな6次産業化の取り組みについて企画を募集するものでございます。雇用創出効果、波及効果の高いものを県がモデル事業として選定いたしまして、企画実施を委託するものです。
 想定されるモデル事業でございますが、一つ目が、付加価値の高い新たな加工品の生産販売、二つ目、ネット販売や配送サービス等の新たな流通販売、三つ目、農産物、木材等の新たな地産地消などを想定しているところでございます。
〇熊谷泉委員 これは企画そのものを委託するという、県が考えるのではなくて、委託先を探すというような今の説明でしたが、それでよろしいですか。
〇浅沼流通課総括課長 企画を公募いたしまして、その中から、モデル性の高いもの、波及効果の高いものを県が選定し、委託をするという性質のものでございます。
〇熊谷泉委員 その委託先に商品開発あるいはインターネットの販売等を任せるということまで、それも含めてよろしいですか。
〇浅沼流通課総括課長 委員おっしゃるとおり、お任せするということになります。ただ、失業者を雇用していただくという、そういったさまざまな要件がございます。国のほうで示されております要件がございますので、そういったようなものは守っていただくという部分では、確認はさせていただくということになります。
〇熊谷泉委員 それでは、インターネットについてちょっとお尋ねしますが、最近、いろいろなサイトが開かれて、流通にインターネットが大変重要な役割を占めているわけですが、実際、県内の農畜産物のインターネットでの販売についての過去においてのデータがあれば、お知らせ願いたいんですが。
〇浅沼流通課総括課長 インターネットで販売するという部分の実績については、申しわけございません、把握が困難ということで持ち合わせがございません。
〇熊谷泉委員 今回の予算書の中に、街なか産直等のインターネット販売支援、この街なか産直というのは、どういうものをイメージしているのでしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 例えばということになりますが、中心商店街におきまして、産地直売所を直接経営する、さらには、そこを起点といたしましてインターネット販売を展開する、いろいろなパターンがあるかと思いますが、そのようなものを想定してございます。
〇熊谷泉委員 今回、雇用創出にいろいろな事業があるように組み込まれていますが、とりあえず、このいわて6次産業のこの部門に、大体どれだけの雇用を想定しているのでしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 予算の積算上ということでまいりますと、本事業の実施によりまして16人以上の雇用を見込んでおりますが、本事業の実施を契機といたしまして、農林水産業の6次産業化というものが進展いたしまして、さらなる事業の拡大による雇用の増加というものを期待しているところでございます。
〇熊谷泉委員 雇用については、ちょっと通告しておりませんが、今回いろいろな雇用対策で何項目かにわたって事業が組まれておりますが、流通課以外でも、今16名というお話がありましたが、トータルで大体何名程度を想定されているのかおわかりであれば。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 全体の雇用人数の見込みでございますけれども、基金事業の関係でございます。まず一つは、ふるさと雇用再生特別基金事業として16名以上、あと緊急雇用創出事業としておよそ70名ということでございます。合わせまして90人弱ということになります。
〇熊谷泉委員 それでは、流通についてもう一点お伺いいたします。
 食のマーケティング推進事業費ということでありますが、民間ノウハウを活用した多様な流通ルートの開拓や農商工連携の取り組み等を支援するとともに、地域ブランドの確立に向けた情報発信等を行うという予算でありますが、これについて具体的な内容をお知らせ願いたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 本事業の具体的内容につきましてですが、県内の金融機関と連携いたしました、いわて食のマッチングフェアの開催や、食のプロフェッショナルチームスタッフによります取引の支援など、民間ノウハウを活用した県産食材の多様な流通チャネルの開発と取引支援、そのほか、インターネットや各種情報媒体を活用いたしました、こだわり食材やご当地グルメなど地域ブランドの情報発信など、県産食材について、そのマーケティング活動を推進することによりまして販売促進を図るという内容のものでございます。
〇熊谷泉委員 そうすると、この民間ノウハウというのは、先ほどおっしゃった流通関係のいわゆる商談会というか、そういうことのみの民間ととらえてよろしいでしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 民間ノウハウという部分につきましては、具体的に申し上げますと、一つ目が、量販店バイヤーや食品メーカーのOBなど、食品流通の第一線で活躍していただいておりました専門家の方を、先ほど申し上げました食のプロフェッショナルチームのスタッフという形で委嘱しております。その方々に県産食材の販路開拓の支援をしていただくという部分がございます。さらに、大手のコンビニチェーンでありますとか食品メーカーと連携した県産食材活用の商品開発という部分、これらの取り組みと御理解いただいていいかと思います。
〇熊谷泉委員 先ほどマッチングフェアというお話が出ましたが、これは、ある銀行がやられていることでありますが、去年あたりの実績で、本当に農畜産物がどのくらい流通されたかがあれば、お知らせ願いたいんですが。
〇浅沼流通課総括課長 申しわけございません、産物ごとのデータというものになってございませんで、成約率という部分でまいりますと約4割ということで、一定の数字は得ておりますという状況でございます。
〇熊谷泉委員 ちょっと通告しておりませんでしたが、その件の件数だけでもおわかりでしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 出店業者ということでまいりますと70社ということでございます。畜産という部分の内訳の数字ということでありますと、申しわけございません、後ほどお答えいたしたいと思います。
〇熊谷泉委員 それでは、ちょっと質問の部署を変えていきますが、一つは、家畜伝染病予防費についてですが、6、498万6、000円という予算であります。この主な対象疾病は何でしょうか、それをお知らせ願いたいと思います。
〇高橋畜産課振興・衛生担当課長 家畜伝染病予防費の主な対象疾病ということでございますけれども、県では毎年度、家畜伝染病予防法で定められております法定伝染病や届出伝染病の中から、対象疾病を定めております。
 平成20年度の主要な対象疾病としましては、牛の結核病、ブルセラ病、ヨーネ病、馬の伝染性貧血、オーエスキー病、高病原性鳥インフルエンザ等でございます。
〇熊谷泉委員 今、ヨーネ病が出てきましたので、ヨーネ病について何点かお伺いいたします。
 これは昨年からの事業で始まったわけですが、当初、5年間と聞いておりました。ただ、病気の性格上、いずれ県内全農家を検査して、できるだけ正常化するという目的を持った事業でありますので、これは、5年という期間でやっていると、検査した地帯も、またさらに発生が出る可能性もありますので、これをもっと期間を縮める方法がないのかお尋ねいたします。
〇高橋畜産課振興・衛生担当課長 当初5年で始めたヨーネ病検査でございますけれども、初年度の発生状況、それから、これまで検査をしてきた市町村ですとか農業団体の意向等を踏まえまして、委員おっしゃるとおり、事は家畜伝染病ですので、家畜保健衛生所の業務の調整等を最大限図った上で、当初計画を1年前倒しで実施することとしたところでございます。最終年度は平成23年度、この年度末までに県内全域の検査を終了しようと考えております。
〇熊谷泉委員 1年だけ縮まったということでございますが、できれば3年ぐらいに縮めて欲しかったわけでございますが、その辺のいろいろな事情もあると思います。
 それで、去年検査して、実際、パーセントはともかくとして、陽性農家が出てきたわけでありますが、それについての対応をちょっとお伺いいたします。
 まず、和牛の繁殖農家については、酪農家と違って、このヨーネという病気の認識が余りなかったと思うんですが、まず、陽性になった農家について、出荷制限等の説明をしたときに十分理解を得られたのかどうか、それをお伺いいたします。
〇高橋畜産課振興・衛生担当課長 今年度から肉用牛についてのヨーネ病検査を始めたばかりでして、委員おっしゃるとおり、繁殖農家においては、この病気に対する認識が十分でなかったということがあろうかと思います。
 さらに、発生農家に家畜保健衛生所の職員が行った場合に、病気の性格ですとか、そういったことを説明する十分な時間を設けなかったという点も若干ございまして、発生農家では、突然の家畜伝染病の発生ということで、驚いたり、非常に精神的な苦痛を抱いたりしたところもあると聞いております。
〇熊谷泉委員 あと一つは、実際、情報は大事なんですが、次の感染拡大を防ぐために、ちょっと微妙な意味合いを持っていると思いますが、検査結果の情報をどのように農家に伝えていけばよいのか、あるいはJAとの連携がうまくとられているのか、その辺をお伺いいたします。
〇高橋畜産課振興・衛生担当課長 検査結果の情報伝達ということでございますけれども、まず、検査結果が出ましたらば、できるだけ早く生産農家にお知らせするとともに、地域のJA、市町村にも連絡することにしております。
 この連絡のときに、さらに、病気の性格等について、それから今後の防疫対策の詳細について十分に説明して、今後は、農家の不安をできるだけ少なくするように努めてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員長 熊谷泉委員の質疑の途中でありますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時55分 休 憩
午後1時5分 再開
〇平沼健副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇浅沼流通課総括課長 午前中に熊谷委員のほうから食のマッチングフェア出店者に係ります畜産関係の出店者数のお尋ねがございました。全体70社のうち16社参加ということをいただいております。
 以上です。
〇平沼健副委員長 質疑を続行いたします。
〇熊谷泉委員 午前中に引き続いて質問させていただきます。
 ただいまは御答弁ありがとうございました。
 それでは、午前中に引き続き、ヨーネ病についてあと1点お伺いいたします。
 再検査ということになると農家も大変でして、検査拒否とか、最悪の場合そういうこともあるわけですが、その場合、非常に丁寧な説明が必要だと思いますが、文書1通でもう一度再検査するということになると非常に反発を買うわけでありまして、出先の家畜保健衛生所が3カ所ありますが、その辺の対応をどのように考えられているかお伺いいたします。
〇高橋振興・衛生担当課長 ただいまのヨーネ病の検査の件でございますけれども、これは2回の検査で最終的に判定する仕組みになっております。1回目の検査で陽性となったときに、次に、一定の間隔、日数を置きまして2回目の検査にいくわけですけれども、これに対して、ただ文書の通知だけでやるのはどうかという質問だと思います。
 委員御指摘のとおり、全くそのとおりでございまして、実際に今年度、そういった事例で生産者の方に不安を抱かせたケースもございましたので、今後については、文書も施行するとともに、じかに生産者にお会いしてこの病気について説明し、新たな農家の被害者を出さないための防疫対策であるということを十分に理解していただいた上で行っていきたいと考えております。
〇熊谷泉委員 今の御答弁ありがとうございました。
 無用なトラブルで余り騒ぎ立てると風評被害にもつながりますので、その点はよろしくお願いいたします。
 あと、家畜伝染病予防費についてもう1点だけ伺います。
 市町村交付金、大した額ではないようですが、大したというか239万円ということですが、これは現在どういう中身になってこの市町村交付金ということなんでしょうか、お伺いいたします。
〇高橋振興・衛生担当課長 市町村交付金の内容についてでございますけれども、この交付金は、牛や馬、それからミツバチの検査を行う場合に、市町村に農家への周知、連絡をお願いしております。さらには、検査に係る手数料の徴収事務、こういったこともしていただいておりまして、その徴収した手数料の100分の10以内について市町村に交付する内容となっているものでございます。
〇熊谷泉委員 それでは、ちょっと視点を変えまして、もう二つほどお伺いいたします。
 家畜畜産物価格安定対策事業についてですが、昨年後半から、子牛に関しては春先からなんですが、肉豚も後半、9月以降、大変価格が下がっていまして、それぞれ補てんを行っているわけでございますが、原資がもう少なくなって、下手すると年度末には対策を打てないと、肉豚なんかはそういう話がありますが、それぞれ肉用子牛と肉豚について現状をお知らせ願いたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 肉用子牛及び肉豚の価格安定対策についてのお尋ねでございます。
 まず、肉用子牛についてでございますが、肉用子牛の平均売買価格が保証基準価格を下回った場合に補給金を交付する制度でございまして、現在、褐毛和種、それから乳用種及び交雑種の3品種でこの子牛価格が保証基準価格を下回ってございます。この下回っているものにつきましては今のところ国の補給金で全額賄われておりまして、生産者が積み立てた財源が枯渇する心配はございません。
 生産者が積み立てた財源が支払われるのは、さらに合理化目標を下回った場合となってございまして、まだそこまではいっていないところでございます。
 肉豚につきましては、肉豚の価格差補てん事業がございます。本県では平成20年10月から現在まで地域保証価格を下回ってございまして、国、県及び生産者等が積み立てました財源から補てん金の交付が続いております。この2月で平成20年度の財源が枯渇する見込みとなってございます。
 このため、事業実施主体でございます岩手県農畜産物価格安定基金協会では、3月分について、国の指導に基づきまして、平成21年度の財源を充当して交付することを現在検討しております。
 今後におきましては、価格動向を注視しながら、財源を負担する生産者、市町村、農業団体と協議を行いながら、地域保証価格及び補てん率の見直し等を検討するとともに、本県養豚経営の安定を図るため、必要に応じて国に対して価格安定対策の充実等について要望してまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 牛のほうはまだそれほど影響がないようでございますが、肉豚のほうは今の答弁でいくと今年度内の補てんがある意味最終、今月あたりはできないということでございますが、平成21年度を前倒しして補てんするということでよろしいですか。
 それから、この基金造成について、平成21年度、積み増しという方向でとらえてよろしいのか、それをお聞きいたします。
〇佐々木畜産課総括課長 3月の補てんにつきましては、平成21年度の財源を充当するという考え方でございます。
 それから、積み増しにつきましては、国で緊急の肉豚価格差補てん事業に対する事業を今、出してございます。それについての検討を今、団体のほうで積み増し対応するかどうかということは協議しているところでございます。
〇熊谷泉委員 これで最後にしますが、従来、豚の系統造成利用促進対策事業費補助ということで、これは37万2、000円ということでございます。これについての中身と、あと一つは、かつて各県で系統造成がなされてきたわけですが、岩手県でもランドレース、大ヨークシャーのハヤチネという系統をつくりました。中小家畜のうち、鳥については南部かしわという系統が一つできたわけですが、今後、この中小家畜というか、豚の系統造成についてどのようにお考えなのかお伺いいたします。
〇佐々木畜産課総括課長 優良系統豚造成利用促進対策事業費についてでございます。この内容は、県が平成13年に造成しました系統豚でありますイワテハヤチネL2の維持、管理を行う全農岩手県本部に対しまして、その血統データの記録や、それから登録等に要する経費の一部を助成してございます。
 次に、今後の系統豚造成事業についてでございますが、近年、県内におきまして、国や民間で造成されました系統豚の活用が広がってございます。こういったことを考えまして、新たな造成につきましては、今後の県内養豚農家の種豚の活用方向等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 私は、3項目についてお伺いしたいと思います。
 まず、1点目は、緊急雇用創出事業についてでございます。午前中の質疑の中でもいろいろ重複することがありましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。
 さまざまな雇用創出に向けた事業が出ておりますけれども、農林水産部における主な事業というものはどんなものがあるか、また、それによる推定の雇用人数はどれくらいになるか、まず1点お尋ねしたい。
 それから、農業における就業というと、何となく女性の就業が少ないような気がしてならないわけでございます。これらの事業において女性の就業というのはどういうふうになっているのか、推定でありますけれども、その点についてお尋ねしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 緊急雇用創出事業についてのお尋ねでございます。
 まず、当部の主な事業でございますけれども、まず、一つ目としては、農業水利施設の機能や安全性の確保のため、農業用ため池の転落防止さくなどの設置状況調査等を行います農業水利施設保全緊急対策事業がまずございます。あと二つ目としまして、これは林業関係でございますが、松くい虫被害を受けたまま放置されている被害木がございますが、これの伐倒、整理を行います松くい虫被害森林修景事業、あと三つ目といたしまして、山火事の延焼を防止いたしまして、車両の通行確保をねらいとした林道等の刈り払い作業等を行います県行造林造成事業及び模範林造成事業、あと、水質浄化等の公益的機能を有します藻場、干潟の分布、植生等を調査しましてマップを作成いたします藻場・干潟詳細マップ作成事業など7事業を実施することとしてございます。これらを合わせまして、およそ70名の雇用を予定しているところでございます。
 次に、各事業におきます女性就業者への対応というお尋ねでございますけれども、これらの事業におきましては、いずれにいたしましても男女の区別なく雇用を予定しているものでございますが、特に農業水利施設保全緊急対策事業並びに藻場・干潟詳細マップ作成事業におきましては、資料作成、マップの作成等の事務的な作業でありますとか、県行造林造成事業等の刈り払い作業の軽作業、こういったものにおきまして女性の雇用も見込まれているものと考えているところでございます。
 以上でございます。
〇高橋元委員 先ほど、基金を活用した雇用対策事業でおよそ90名弱ということでしたか、そういう回答があったようでございます。全体的には2、000人を超える新規雇用というのがこの対策事業の中にはあるんですけれども、そういう全体枠がある割には農業関係はおよそ5%ぐらいの新規雇用ということなんですね。
 政府の進める補正予算、それから新年度予算にどれぐらい新たなものがあるのかどうかわかりませんけれども、もう少し私は、例えば今お話のあったように、林業関係とか水産関係、これは少しあるんですけれども、園芸関係とか果樹関係とか、そういった事業もこれからでも遅くないんですけれども考えていただきたいなと、そんな思いもしているんですけれども、新年度において、あるいは新年度の補正予算も含めて、そういう雇用創出のための事業の検討というのは引き続きされるものなのかどうか、もうこれで終わりなのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 全体のおよそ90名弱というその数値でございますが、その数値につきましては、緊急的に国からの交付金を受けまして雇用を創出する、県が直接雇用する、もしくは県が直接委託事業を実施してやる分の目標数値でございまして、全体といたしまして、就業促進アクションプランを2月に立てたその目標につきましては、平成21、22年度まで含めまして、全体といたしまして3、700人を目標とするものでございます。
 事業といたしましては、いわゆる畜産の農場団地、例えば藤沢の国営開発地にブロイラーの企業が入りまして、そこで雇用されるもの等の助成も県としては実施するということで、その事業等々を含めますと、およそ全体を含めて19億円ほどの予算となってございます。
 ということで、就業促進アクションプランにつきましてはおおむね半年ごとに見直しをしていくことになってございます。これは当然関係機関、団体と一体となってやっていくわけでございますが、その中で、今、実施している事業が本当にうまく機能しているかどうかを絶えず検証させていただきまして、必要に応じて予算を考えてまいる考えでございます。
 以上でございます。
〇高橋元委員 緊急的なものと、それからやや中期を含めた事業を進めるということでありまして、その効果を期待したいと思います。
 特に、県内ひとしくということもあるわけでありますが、今、県南地方にはかなりの就業希望者がありますし、そういった方々に対する、私は一般質問でもちょっとお話ししましたけれども、希望的な観測をいつも持っておりますけれども、ことしの後半あたりからまたものづくり産業が元気になってくるのであれば、それまでの間、何とか食いつなぎのための雇用を少しでもつくっていただきたい、そんな思いをしておりまして、その辺も含めて、やや少し県南地方にも御配慮いただきたいものだなと思っております。
 それから、女性の就業というのも今、少し紹介がありましたけれども、さまざまな分野で女性の活動できる場というのはあると思いますので、ぜひその辺も、同じ事業をするのであれば、これは女性の方に適していますよとか、少しコメントというか、そういうこともつけ加えてお願いすればいいのかなと思っていますので、その点も含めてよろしくお願いしたい。
 それから、午前中のところでもう少し聞ければよかったなというところがありました。それは、農業法人等の今の求人とか、あるいは雇い入れの状況はどうなっているのかというところ、もし数字をお持ちでしたらお伺いしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 農業法人へのいわゆる雇用、求人の数でございます。これは3月13日現在の数値でございますけれども、今のところ45の会社ないし個人ということで、137名の求人が出てございます。
 以上でございます。
〇高橋元委員 それで、137人雇い入れたのか、イコールなのかということはどうですか。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 大変失礼申し上げました。
 137人求人をしておりますが、そのうち40人が内定してございます。先ほど高橋委員のほうからもご質問がありましたが、雇用は4月1日からということでございまして、即の採用ではないということの実情を反映しまして内定という形になってございます。
 以上でございます。
〇高橋元委員 2点目、お尋ねしたいと思います。
 午前中の嵯峨委員の質問にもありましたが、いわて農林水産ブランド輸出促進事業についてお伺いしたいと思います。
 午前中の論議では、輸出関係は今、必要なのかどうかというふうな話題にもなっておりましたけれども、平成20年度はどのような事業をされたのか、それから、平成21年度にはどういう事業計画を持っているのか。
 二つ目には、どのような輸出品、午前中ではリンゴとか米とか水産物という話もありましたけれども、どのような輸出品を検討しているのか。
 それから、輸出先、東南アジアということなんですけれども、それ以外も含めて検討されているのであればお伺いしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 輸出のお尋ねがございました。
 まず初めに、輸出実績でございますけれども、今年度は東南アジア等をターゲットといたしまして、海外実需者との商談会やバイヤー招聘、日系量販店での販売促進活動を実施したところでございます。
 結果、タイでのフェアを契機に、現地の外食業者からサンマ、イサダの継続取引がされることになりました。また、台湾での岩手りんごフェアにおきまして、糖度─みつでございますが─を前面に出したみつ入りリンゴが現地のニーズに合い、次年度の輸出につながってございます。さらには、商社等の専門家で構成いたします輸出コーディネーターのマッチング支援によりまして、新たにシンガポールへの米輸出の取り組みが始まったところでございます。
 次に、来年度の計画でございます。
 官民で構成いたしますいわて農林水産物輸出促進協議会が主体となりまして、1点目でございますが、海外バイヤーの招聘によります現地ニーズに対応した輸出向け高付加価値商品の開発、2点目、輸出コーディネーターを活用した海外実需者とのマッチングを支援、3点目でございますが、これまでの東南アジアにおける輸出実績を足がかりに新規市場の開拓という点で取り組むこととしております。
 今後とも、民間ノウハウを活用しながら、官民一体となって輸出拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、具体的な輸出品目と輸出先のお尋ねでございました。
 まず、現在の取り組みを拡充する取り組みでございますが、農産物のうちリンゴにつきましては、今年度、先ほども申し上げましたが、現地で好評でありましたみつ入りリンゴを中心に、香港、台湾、マレーシアにおきまして、現地の小売店におきます販路の拡充を図ってまいりたい。米につきましては、天日干し米や無洗米等の付加価値の高い米につきまして、香港、シンガポール、マレーシアにおきまして、現地の米卸と連携いたしました販売強化を図ることとしてございます。また、水産物につきましては、サンマ、ホタテ等につきまして、これまで実施してまいりました香港、マレーシアでの販売強化をしてまいりますとともに、今年度、タイのフェアにおきましてサンマが好評でございましたことから、現地小売店や日本食レストランへの販路の拡大にも取り組んでまいりたいと考えてございます。
 さらに、新たな取り組みの部分でございますが、水産物につきましては、中国本土におきまして、現地小売店などを対象とした商談会の開催、リンドウにつきましては、首都圏の花卸と連携いたしました香港等の新規市場を開拓してまいりたい。さらに、県産高級牛肉につきましても対米輸出に向けた取り組みを進めてまいる考えでございます。
〇高橋元委員 経済環境の関係で輸出関係はどう展開するのかというのが心配されるところでございますけれども、さまざまな取り組みをされているということについては私も大きく評価をしたいと思っております。
 そういう中で、新規市場ということがありましたが、例えばお隣の宮城県では、昨年9月にロシアのハバロフスクで商談会を実施したと。それから、ことしの3月11日には仙台市内で食関連企業の輸出に向けた商談会を実施したということでありますし、青森県では、極東ロシアのビジネス個別商談会、こういったものを3月23日、来週の月曜日、開催するということもあるようです。
 どちらかというと、今、中国とか台湾とかマレーシア、シンガポール、東南アジアということでしたので、極東ロシアというところ、ここもやはり石油の販売とかを含めて経済力はかなり高いという話も聞こえてくるわけでありますけれども、私は、この辺の商談も進めるべきではないか、検討するべきではないかと思っております。
 取っかかりもないことはないんですが、例えば西和賀町はここ何年か文化交流をやっているんですね。ウラジオストックの文化祭みたいなところに行って交流したりしているんですね。そういうふうなところも含めて何らかの販路の拡大をできないものかなと思っているんですが、その辺は検討していらっしゃるのかお尋ねします。
〇浅沼流通課総括課長 新規市場の開拓のお尋ねでございました。
 極東ロシア等につきまして、その他の国も含めまして、専門家であります輸出コーディネーター、この方々は全国各地を飛び回ってございます。そういった方々からの情報収集につきましては現在も継続して行っているところでございます。本県の食材、現地でのニーズ、このマッチングが難しいところでございますが、そういったいい環境が整いそうであれば、それは取り組んでまいりたいというスタンスでずっときてございます。
 したがいまして、来年度につきましてもそういった情報収集は当然努めさせていただくというスタンスは変わりございませんので、継続して検討をしてまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 ハバロフスクですか、ちょっと言いにくいんですけれども、ここに日本から行っている方が倉庫とかアンテナショップをつくってやっていると。ああいう窓口があるみたいなので、ぜひその辺との情報交換等も含めて、距離的に日本から、岩手県から円をかきますと極東ロシアもかなり近いんですよね。だから、その辺を少し含めて、今後、検討をお願いしたいと思います。
 3点目でございますが、岩手競馬についてお尋ねしたいと思います。
 私も議会に籍を置きまして2年余りですが、この競馬については、平成18年3月でしたか、いろいろな議論をされたものを新聞等で承知しているだけでございまして、改めてこの岩手競馬についてお尋ねしたいというふうに思っております。
 岩手競馬は昭和39年に設置されまして、これまで約407億円の利益金を構成団体に配分してきたということで、財政競馬としての役割が一つあると。それから、雇用の場の提供、地域経済への貢献、こういう役割があるというお話を聞いておったんですが、時代の趨勢とともにさまざまな環境も変化しておりますし、県民の志向とかニーズ等も変わってきております。設立当初のさまざまな目的等々、大分変化してきているのではないかと思っているところでございます。
 そこで、開催目的というものを改めてお尋ねしたい。私は、今、御紹介した三つぐらいの役割があるということなんですが、それぞれ一つ一つ検討していくと、その役割はもう大体終わりに近づいているのではないかというふうな思いをしております。その辺についての所感を伺いたい。
 それから、県及び開催地域あるいはその周辺を含めて、経済効果について、以前は100億円ぐらいあるということでもありましたけれども、当時は700億円ぐらいの売り上げがあった時代もありましたが、今現在200億円を超える程度のところまで売り上げが減ってきているということからも、経済効果というのは相当減少しているのではないかと思っていますが、その辺をどうとらえているのかお尋ねしたいと思います。
〇松岡競馬改革推進室長 岩手競馬の開催目的についてでございますけれども、岩手競馬は、議会での多くのさまざまな議論を経まして、収支均衡を条件に、融資であればぎりぎり認めることができるという御判断をいただきまして、構成団体から330億円の融資をいただいて事業継続が認められているものでございます。
 このような背景を踏まえまして、岩手競馬の開催目的につきましては、一つは、競馬関係者の雇用確保をするとともに、地域における大きな経済主体としての活動を継続することによりまして地域経済に貢献すること、それから、地方競馬全国協会などを通じまして、畜産振興への寄与というものもあるのかなと思います。それから、二つ目といたしましては、収益の確保を図りまして、時間はかかるにせよ構成団体に元金を返済していくこと、さらには、岩手競馬が廃止になった場合における構成団体、ひいては県民、市民の負担を回避することにあると認識しているものでございます。
 このようなことから、岩手競馬を継続させることが県民の皆様から与えられた命題と考えているところでございまして、今後とも関係者一丸となりまして、競馬事業の継続に全力で取り組んでまいります。
 それから、地域への経済効果についてでございますが、岩手競馬の開催経費の面から見ますと、平成20年度におきましては、従事員の賃金等でまず約7億円、それから賞典費が22億円、それから、その他開催経費が24億円、それから来場者の飲食等が13億円ぐらいとなっておりまして、合計で約70億円程度と試算されるところでございます。
 あと、このような直接的な効果に加えまして、地域経済に与える波及効果につきまして、今年度の競馬組合の収支計画額、大体240億円、これをもとに推計しますと、約1.5倍の360億円程度の経済波及効果が誘発されると見込まれているところでございまして、岩手競馬が地域に与える経済効果というものは大きいものがあると考えているところでございます。
〇高橋元委員 今、開催目的で雇用の場の提供とか地域経済とか畜産振興等々お話をいただきましたが、その中で一番中心となっているのは、やはり競馬事業をやめることによっての処理、この部分が県民や地域の自治体に大きな影響を及ぼす。そのために維持しているというふうにもちょっと聞こえたわけでございますが、今年度の収支状況、新聞等でも、それからこの間資料を見たような気がしますけれども、ぎりぎりで黒字化になったというお話も聞いておりますけれども、競馬人口が減少してきている中で、平成21年度、果たして黒字化できるのか、その辺の平成21年度の見通しをまず1点お尋ねしたいと思います。
 それから、テレトラックでしたか、一部今までやられておられた業者が撤退したということもありましたが、その対応をどう考えておられるのか。それらも含めて、平成21年度の収支見込みの中で本当に大丈夫なのかというところをお尋ねしたいと思います。
〇千葉理事 まず、平成21年度も黒字化できるのか、その見通しというお話でございました。
 いずれ厳しい状況ではございますけれども、平成21年度、さまざまな増収効果、例えば薄暮開催の拡大でございますとか、あるいはもう少し柔軟なレース数の配置といいますか、そういったことを踏まえまして増収効果も相当期待できると考えているところでございます。
 ただ、現下の経済状況を考えますと、大変厳しい状況ではございますけれども、実はこの2月現在、全国の主催者の今の売り上げ状況を見ますと、前年比を110%ほど上回っているような状況になってございます。したがいまして、経済状況は大変厳しいとは言われてございますけれども、馬券発売という意味ではある程度大きな影響は今のところは見えないというふうに見ているところでございます。
 ただ、来年度になりましてからどういうマイナスの影響があるかわかりませんけれども、いずれ先ほど御答弁申し上げましたとおり、岩手競馬がだめになった場合、大きな負の影響がございますので、それを防ぐということが一番大きな現在の命題でございます。
 そのためにも、さまざまな増収効果、先ほど申し上げました薄暮競馬でございますとか、あるいはレース数の増でありますとか、あるいは、例えばそれ以外にもソフトの部分でもいろいろなグレードレースにおける地全協と連携いたしました全国への情報発信といいますか、そういった部分でもかなりの増収を見込める部分もございます。そういった部分につきましては数字的には増収の部分に入れておりませんけれども、確実に見込める部分だけで今、見込んでおりまして、230億円以上の発売といいますか、売り上げ見通しができるのではないかと考えているところでございます。
 それから、宮古、釜石の運営委託してございました民間企業が撤退いたしまして、現在、2月から岩手競馬組合が直営でやってございます。今のところ特に大きな混乱はございませんで、何とか来年度以降もとんとんといいますか、その宮古、釜石だけで見ましても一定の、収支見通しもある程度の黒字といいますか、そう大きな黒字ではないんですけれども、そういうことから運営できるのではないかというふうに見込んでいるところでございます。
 そういったことを総合的に勘案いたしまして、2月に競馬組合議会で予算をお認めいただいたわけですけれども、いずれ我々平成21年度に向けて今いろいろな準備を行っているところでございますけれども、平成21年度からさらに平成22年度、それからその先に何とか岩手競馬事業を続けていくために最善の努力を傾注してまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 先のことはだれも予測はできないわけでございまして、特にも今、千葉理事のほうからも230億円以上の売り上げ目標で何とか黒字化できるというふうなことがありましたし、また、全国の売り上げが110%ぐらいで、現在のところ落ち込みも何とかないみたいだと、そういうこともあったわけでありますが、やはりこれだけ経済環境がじわじわと厳しくなってきておりますし、3月末には、私はかなり全国では倒産件数がふえてくるのではないかと。
 そういう中で、競馬になれ親しんでいるというか、楽しんでいる人口というのはどちらかというと高齢者に多いわけでありますから、そういう方々に果たして競馬場に足を運んでもらえるのか。総合トータルに考えますと、夏ごろから本当にこの岩手競馬というのは厳しい状況に私はなってくるのではないかというふうな心配をしておるわけであります。
 そういうところで、先ほど話がありましたけれども、競馬をやめると370億円前後ぐらいの整理をしなければならないようでございますけれども、これらについても、私は並行して、そういう事態になった場合にはどういう処理の形があるのか、姿があるのか、そういった検討を始めていくことも必要ではないかということが一つと、それから、競馬人口が少なくなってくるのであれば、今の2場体制を1場体制にしていくとか、さまざまな工夫を私はしなければならないと思うんですけれども、その辺についてはどういうお考えなのかお尋ねしたいと思います。
〇松岡競馬改革推進室長 まず、岩手競馬が廃止になった場合の対応、そういうものを検討すべきではないかというようなお尋ねでございました。
 今、私ども、岩手競馬の継続のためにまず全力を挙げて取り組んでございますので、廃止になった場合の対応というものを検討するよりは、そちらの継続のための検討のほうに最優先で取り組んでまいりたいと考えてございます。
 ただ、ほかの地方競馬でも廃止になった場合の例等もございますので、そこら辺は当然、廃止になった場合にはこのような処理が必要だとか、そういうのは事務的にはいろいろと勉強しているところでございますが、いずれその具体的な対応というものではなくて、継続していくための対応というものに最優先で取り組んでいるものでございます。
 それから、2場体制を1場体制にする検討ということでございますけれども、昨年度から今年度にかけまして構成団体でプロジェクトチームというのをつくりまして、そこで今、盛岡と水沢にある二つの競馬場を一つにした場合にどうなのかというのを経済効果の面とか、それから経費の面とか、そういうもので検討いたしました。
 その結果でございますけれども、現段階におきましては、1場体制にするためにはいろいろな大きな課題がある、そういう結論になりました。ですので、そういう1場体制に向けて具体的に検討するというのは一たんやめているところでございます。
 なぜ1場体制はいろいろな課題があるかということでございますけれども、まず一つは、330億円という融資をいただいておりますので、もし1場体制にしますとその構成団体の構成が変わってきますので、そこでこの330億円をどう処理するか、そういう負債の整理という問題が発生いたします。それから、1場体制にすることによって、追加の費用、撤去費用ですとか、あと、厩舎をどちらかの競馬場に増設しなければならないということで、追加の費用がかかると。それから、1場体制にした割には大きな経済効果はないという部分。それから、あとは雇用の面ですとか地域への経済効果ということで、そういう課題がありますので、今すぐ1場体制ということにはなかなか踏み切れない、そういう結論に至ったものでございます。
〇平沼健副委員長 高橋委員に申し上げます。1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇高橋元委員 ぜひことしの夏以降にこういう議論をすることがないように、黒字化に向けてなお一層の御尽力をいただきたいと思います。
 もう一点、基金の関係でありますけれども、今現在どういう形で盛岡市とか奥州市に岩手県として立てかえしているんでしょうか。それがどういう形で返済されていくものなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
 また、例えば盛岡市に限っては、中核市になりまして財政力も大きな財政力を持ったのではないかと。国体でもいろいろ支援できるというふうなお話も聞いていますので、私は、もし力があるのであれば、今、岩手の基金は危機にあると。幾らでも多く返済してもらいたいものだなと、そんな思いをしておりますが、その辺についての協議もされているのかどうかお伺いしたいと思います。
〇松岡競馬改革推進室長 両市への基金の貸し付けの関係でございますけれども、岩手競馬再生推進基金から平成18年度末に奥州市に57億5、000万円、それから盛岡市に38億5、000万円貸し付けております。そして、両市からは、毎年度それぞれ2億2、500万円、合わせて4億5、000万円ずつ返済されることとなっております。したがいまして、平成20年度末における返済額の合計は、平成19年度分と平成20年度分を合わせまして9億円の見込みになるところでございます。
 その結果、平成20年度末におきます両市への貸付金の残高といいますのは、奥州市が53億円、それから盛岡市が34億円となる見込みでございます。
 それから、繰り上げ償還についてでございますけれども、この貸付金の返済方法につきましては、平成18年度に構成団体融資を決める際に県と両市で十分協議いたしまして、厳しい財政事情にある中で、毎年度2億2、500万円ずつ返済するという基本的なルールが決定されたところでございまして、繰り上げ償還というのは制度上は可能ではございますけれども、これまでのところ両市から繰り上げ償還についての協議というものはなされていないところでございます。
〇高橋元委員 もしそういう意思があれば表明していただきたいなという希望を持っています。
 最後になりましたが、千葉理事はこの3月で退職をされるというふうなお話をちょっと聞いておりましたけれども、2年間、非常に厳しい時期を副管理者として運営に当たられたわけでありますが、その中で、民間への委託というものも模索されたとか、さまざまな御苦労があったと思います。改めてその御苦労に対して敬意を表したい、このように思っております。
 それで、この岩手の競馬というのは今後に果たして展望があるのかどうか、2年間の経験のもとにひとつその所感をお伺いしたいし、何が課題としてあるのか、その課題を解決すれば展望が開けるものなのかどうか、その辺をお伺いして質問を終わりたいと思います。
〇千葉理事 今後の展望と課題というところでございます。
 私、全く競馬の素人の段階で2年間この仕事をやらせていただいたわけですけれども、一言で言いまして、岩手競馬、やっぱり潜在的なポテンシャルはまだまだあると考えてございます。特にも、競馬の一番のもとになります馬資源でございますけれども、その馬資源をどうやって確保、あるいは質をどうやって向上させるかということが、課題も含めまして一番大きなポイントではないのかなと思ってございます。
 これは平成19年度に北海道の生産団体、例えば社台スタリオンでございますとか日高軽種馬農協から御提供いただきましてスタリオンシリーズをやってございます。これは種牡馬の権利を勝ち馬の馬主さんに与えるということでございまして、それから産まれてくる子馬の岩手競馬デビューが平成22年度ころから出てくるというふうなことがございます。
 それから、先ほども来年度の事業のお話が若干出ましたけれども、来年度も賞典費、全体では下げるわけですけれども、例えば弱齢馬の1着賞金を引き上げたり、そういう中で岩手競馬の馬資源の確保、あるいは質の向上といいますか、そういう意味での施策については何とか端緒につくことができたのかなというふうな気がしてございます。
 そうした中で、そういった若い優秀な馬が入ってくるとなれば、これから岩手競馬というのはますますポテンシャルが上がってくるのではないかなと考えてございます。
 ただ、そうは申しましても、それだけではなかなか岩手競馬、先ほど答弁ございましたけれども、330億円融資の元金返済まで結びつけられるような売り上げ拡大といいますか、それにはなかなか結びつかないところがございます。そのためにも、厩舎関係者も含めまして、関係者一同、モチベーションを高めてやっていく必要があると思いますけれども、私は、そのためにも、実は平成14年にJBC競走といいますか、そういう地方競馬で最高峰の競走がございます。そういったものを盛岡競馬場でやってございますけれども、その実施を将来の目標に据えながらやっていく。それを目標にしながら、馬の質の向上でございますとか、あるいは財政基盤の向上といいますか、そういった二つの点をこれから何とか手をつけながらやっていければ岩手競馬はまだまだポテンシャルがあるのではないのかなというふうに思ってございます。
 そういうことで、この2年間、厩舎関係者の方々を含めまして、あるいは関係取引先の企業あるいは組合議会の議員の方々含めまして、大変お世話になってございますけれども、いずれ我々一同、そういった意味で心を一つにして、岩手競馬の継続に向けてこれからも努力する必要があるというふうに思っております。
〇高橋雪文委員 先ほど、テレトラックの宮古、釜石の委託業者がやめたということで、競馬組合の中でもかなり議論があったところでございますけれども、いろいろと市中の方々からお話を聞くと、どうも県の言い分と業者の言い分がすれ違っているような話がございましたので、少しその内容がわかれば、できるところでお知らせいただきたいと思います。
 また、非常に競馬の利益を上げるのに大変苦慮されている中でございまして、当初は4、000万円程度の黒字になるということでございましたけれども、今回、委託をしたところが突然やめたということで未収金があるということで、2、000万円以上の資金が回収できていないという状況でありまして、これはどういう話し合いになっているのか、そしてめどはついているのか。競馬組合の中では今年度までに決着をつけるということでございますけれども、その内容はどうなっているのかお知らせいただきたいと思います。
 もう一つは、今回、千葉理事がやめられるという内々のお話を聞いているところでございますけれども、やはり今まで競馬組合の事業を中心的に担っておられたお2人、副管理者と事務局長が一緒にやめられるというような……(「やめないよ」と呼ぶ者あり)やめない、それであればいいです。それであれば、その件はいいと思います。
 では、まず、そちらのほうをお願いします。
〇宮参事 宮古、釜石両場外発売所の運営委託のあり方の現状についての御質問でございました。
 宮古、釜石の場外発売所につきましては、平成17年6月から民間委託でもって運営委託をしてきたところでございます。しかしながら、平成20年度に入りまして、特に9月以降の特に釜石の発売状況が思わしくないということから、委託をしてございました相手先のほうと協議いたしました結果、今年度の2月から委託から直営のほうに切りかえているという状況でございます。
 先ほどもちょっと千葉理事のほうから触れましたが、2月から直営に切りかえて、順調に今、運営をしてきているということでございまして、特に切りかえることによりまして大きな問題が生じているところではございません。
 ただ、しかしながら、2月までの間の、実はこの委託というのは発売額に応じまして、一定の運営委託に使う委託料というものを相手方にお支払いし、なおかつ宮古と釜石の場外発売所につきましては競馬組合の所有している財産でございますので、その両施設の使用料を逆にいただくという形での運営委託をしてきたところでございます。そういった中で、1月末までの委託をしている期間で使用料の未納分というのが発生してございまして、その処理とあわせまして、その切りかえに伴う債権、債務、例えばそれまでの経費の支払いの分でありますとか、年間一括払っている分とか、そういったこともありますし、中に入っている備品とか、そういったものの整理を今、お互いに協議をしながらやっているところでございます。
 実は今現在、まだそこのところの最終的な合意までは至ってございませんで、現在もいずれ継続して協議をしているというのが今の状況でございます。
 収支の部分についてのお話がございました。一応平成20年度につきましては、1月12日の自場発売が終わった時点までの、私ども年間5期に分けて収支を見直ししているところでございますが、その第4期までの実績をもとにいたしまして、1月13日以降3月末までの発売見通しを再検討いたしまして、平成20年度の最終見込みというのを今、立てているところでございます。そういった中では、経常損益を4、500万円程度、今年度確保できるというふうな見込みで今、進んでございまして、3月に入ってございますが、今の状況ではほぼこれは確実に達成できるのかなという状況になってございます。
 そういった中で、先ほど申し上げました一部使用料の未収分があるわけでありますけれども、ここのいかんにかかわらず、本年度については黒字化についてはできるものと考えているところでございます。
〇高橋雪文委員 今月28日に競馬組合議会があるわけでございますけれども、それまでには業者とある程度協議が終わって、どういう取り扱いにするかはっきりするということでよろしいんでしょうか。
〇宮参事 28日までにはっきりするかどうかというのはちょっとここで言明できかねるところでございます。相手方のこともあります。ただ、私どもとしましては、当然平成20年度中といいますか、3月中を一つのターゲットにして協議をしていきたいと考えでございます。
〇高橋雪文委員 差し支えない範囲でその業者とのやりとりの状況をお聞かせいただきたいんですが、進展する見込みがあるのか、そうではないのか、その辺もお聞かせいただきたいと思います。
〇宮参事 我々のほうといたしましては、使用料の未納になっている分がございますので、いずれここを解消してほしいということでございます。相手方からもさまざまこれまでいろいろ運営を受託してやってきた部分がございますので、そういった中でさまざま向こうのほうからの要求も出てきてございますが、今、そういった部分についてお互いに交渉しているところでありますので、そこの詳細の中身については控えさせていただきたいと思います。
〇小野寺有一委員 私のほうからは、1点だけ、公共牧場リフレッシュ事業という事業についてお尋ねしたいと思います。
 公共牧場リフレッシュ事業というのは、公共牧場牧草地の粗飼料生産力を最大限に引き出すことを目的として事業化された、いわゆるゼロ予算事業だと伺っておりました。それで、この事業そのものは大変おもしろい事業で、要は草地を改良するために振興局とか普及センターが中心になって診断して処方せんを示して、そしてその処方せんに沿って牧場所有者とか管理者とか市町村とか、そういった組合の方々がいろいろ改善をしていくというような非常にいい事業なのではないかと思うわけでありますけれども、この事業のモデルというんでしょうか、対象になった牧場、通告では牧場となっていましたけれども、数だけで結構でありますので、それと、現在までの成果、それと、今のところの課題をお示しいただきたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 公共牧場リフレッシュ事業についてのお尋ねでございます。
 今お尋ねにございましたモデル牧場でございますが、事業の実施に当たりまして、地域の畜産振興の拠点、それからまた緊急に改善が必要な牧場ということでモデル牧場を13カ所選定し、現在、それぞれの牧場におきまして草地や放牧管理の実態把握と改善方策の検討を行っているところでございます。
 それから、成果についてでございますが、これらの牧場につきましては、利用促進や機能強化について関係者との間で議論が深められてございまして、改善実行計画の策定の機運が非常に醸成されてきたところがございます。
 また、一部の牧場におきましては、施肥体系の改善による肥料コストの節減が図られているところでございます。
 今後、さらに詳細な現地調査等を踏まえまして、この改善実行計画を策定することとしておりますが、この改善実行計画をいかに着実に実践していくか、これが大きな課題であると考えてございます。
〇小野寺有一委員 その13カ所の中に私の地元で大槌町が所有しております新山牧場というところも入っておりまして、風力発電なんかをやって非常に有名になった牧場でありますけれども、そこのところでは、例えば草地改良、それからニホンジカによる食害の被害があるようでありまして、それに対しての処方せんが示されるのを、所有者としても管理者としても大分期待を持って見ているようでありますけれども、そこも含めて、それから、多分13牧場それぞれの進み方が違うんだろうと思いますが、現在のところで、例えば処方せんが近々示されるというようなところがあるのであれば、どういったものが示される見込みなのかを教えていただきたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 ただいまお尋ねの新山牧場で草地改良の関係、それからニホンジカによる食害対策について、いろいろ御検討いただいているものについてでございますが、まず、草地改良につきましては、雑草の侵入状況とか、それから、現在、土壌分析をしておりまして、土壌分析の結果、さらに牧場管理主体の予算の状況、どういった運営費を使ってやるか、そういったものを勘案しまして、生産性の低下している既存草地の簡易更新、安い経費で草地を更新する簡易更新や、土壌分析結果に基づきまして効率的な施肥体系を組むなど、その牧場の状況に応じました具体的な草地改良方策を提案してまいりたいと考えてございます。
 それから、もう一点、お尋ねの、現在、沿岸南部地域等で被害の範囲が拡大してございますニホンジカの食害対策についてでございます。これは、それぞれの地域に応じまして、一つには、個体数を調整するということや、それから、国の鳥獣害防止総合対策事業等を活用した防護さくの整備など、そういった効率的な整備等の提案をしてまいりたいと考えてございます。
〇小野寺有一委員 先ほどの答弁の中で、今後の改善、実行計画とか、それから、実践がなされていくことこそが重要になってくるというような御答弁がありました。全くおっしゃるとおりだと思います。先ほども申し上げましたとおり、この事業そのものは、ゼロ予算事業でありますので、ゼロ予算事業がいいかどうかということは置いておいて、この事業そのものは非常に有効なものであると思うわけでありますけれども、やはり実際に、先ほど予算状況というようなお話もありましたが、そういったことで、せっかくいい処方せんが示されても、お金がないために、結局それが実行できませんでしたという話では、大変もったいない話になってしまいますので、その辺のところをどのようにバックアップされていくつもりがあるのか、前向きな御見解をお示しいただきたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 今後のさらなる支援ということでございます。
 県といたしましては、まず、牧場の管理運営主体の主体的な、何とかこの牧場を盛り上げようという意気込みというか、そういった取り組みを、我々県、関係市町村、団体一体となって支援していこうという大きなねらいがございます。
 一つ、県といたしましては、まず、農業改良普及センター、それから地方振興局が中心となりまして、現地講習会の開催、それから、それによります集約放牧技術の普及、要するに効率的に牧野を活用するという技術の普及定着、それから土壌や牧草の成分分析に基づいた施肥設計など、そういった技術指導を的確に実施してまいりたいと考えてございます。
 また、必要に応じまして、国や農畜産業振興機構等の各種補助事業の導入によりまして、施設整備、草地整備など、ソフト、ハードの両面から支援してまいって、この公共牧場のリフレッシュを進めてまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 何点かお伺いしてまいります。
 まず、新年度予算では、かなり農家の資材高騰対策について、それぞれ取り組みの予算が入っているかと思います。その関連でお尋ねしてまいります。
 いろいろな資材が高騰しておりますが、今、農家にとって先が見えないものは、化成肥料の価格が上昇しているということだと思います。特にも、燐酸分を含む肥料については、生産国の囲い込みによって、事実上の輸出が難しいような状況になってきているということだと思います。
 まず、そうした化成肥料全般の高騰の現状と、それから、それが農家の経営に与える影響について、どのようにお考えなのかということをお尋ねします。
 あわせて、それに対応して、新年度では特出しの形でいわて型肥料コスト低減推進事業費というものが新規として出ております。その具体の中身をいろいろ書いていますが、その対策によってどの程度の低減が見込まれるのか、お示しいただきたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 肥料価格の高騰についてでございますけれども、特に、肥料におきましては、平成16年肥料高騰前に比べて約2倍近い高騰になっているということでございまして、肥料コストの低減を図るためには、土壌診断に基づく減肥とか、有機物による化学肥料代替などの技術指導、それから効率的な施肥機械の導入などのハード整備、それと、国の支援策の活用による肥料費への補てん、これが重要であると考えておりまして、技術指導の面では、本県独自の作物別資材費節減マニュアルによりまして、肥料費低減技術の普及、それから、燐酸等の成分を下げた安価な配合肥料、あるいは発酵鶏ふんの利用促進に取り組んでいるところでございます。
 それから、ハード整備の面では、国の補助事業を活用しまして、水稲の部分施肥機など施肥量を低減する機械の導入を支援してきたところでございます。
 さらには、肥料費への補てんにつきましては、国の燃油・肥料高騰緊急対策を活用いたしまして、できるだけ多くの農業者が、肥料費増加分を補てんする助成が受けられるよう、関係機関、団体と一体となって取り組んでまいりました。この結果、全県では約13億3、000万円ほどの助成金の交付申請があったところでありまして、この4月からの助成金の支払いに向けて、現在、事務手続を進めているところでございます。
 それから、今後こうした取り組みに加えまして、来年度から新たに、いわて型肥料コスト低減推進事業を実施いたしまして、まず一つは、10分の1のコストと時間で土壌分析が可能な本県独自の簡易分析システムの普及と施肥設計アドバイザーの育成による診断体制を構築すること、二つ目といたしまして、約3割のコスト削減が可能となる、本県が特許を取得いたしました鶏ふんに硫黄を加えまして窒素成分の高い堆肥を製造する技術を活用した安価な有機質肥料の開発などによりまして、コスト低減に取り組む農家を支援することとしているところでございます。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。やはり化成肥料が倍になっているということであります。いろいろ低減策を今、お示しいただきましたけれども、大変御努力されているのはわかるのでありますが、そこに果たして追いつくかなという懸念もちょっとあります。
 それから、大切なことは、やはり本県の安心・安全な農産物の供給という観点から言いますと、お話のありました発酵鶏ふんとか、いわゆる有機質のものに化成肥料からの転換を図る、これはコスト低減にもつながりますし、安心・安全のさらなる醸成ということにもつながりますので、これをお願いしたいと思います。
 そこで大事なことは、やっぱり耕畜連携をどう進めていくかということが肝心なところだと思います。こういう耕畜連携のお話をしますと、これまでの答弁ですと、県全体ではかなりうまくいっていて、例えば堆肥資源とすれば、農地還元は上手にいっているんだよ、トータルではいっているんだよという答弁をいただくわけですが、これは、私は、かなり南北格差というものがある、遍在をしているのではないかと思っているんですが、実態についてはどのように把握されていますか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 耕畜連携の実態でございますけれども、特にも、堆肥のもととなる稲わらの関係におきましては、県南地域では水稲単作経営が多いことなどから、稲わらの約6割が水田につぎ込まれているという状況で、畜産部門での利用は約3割にとどまっている状況にございます。
 一方、県北地域では、地域内での稲わらと堆肥の交換が進んでおりまして、稲わらの約7割が畜産部門で利用されているところであります。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。やはり南北の格差があるということでございます。とりわけ、やはり米作地帯の中で、わら資源が堆肥化しないというのは、品質の低下にもつながる要因だと思っています。その一方で、その前段階として、実は、わらが上手に循環していかないことで、畜産農家からするとわら不足、わら資源が枯渇するという大変な状況が出ております。わらを探して三千里ではないですけれども、相当探しているということなんですね。
 実は、農家の経済的にいいましても、わら資源、わら自体が高騰していて、本当は、これを畜産農家に手渡したいんだけれども、どうしても手間暇がかかるということでこれを敬遠してしまう。それで、かなりの農家収入の部分を放棄してしまっているという実態があると思います。逆に言いますと、そこの稲作農家と畜産農家のコーディネートを、行政が、あるいは経済団体がきちんとやっていかないと、なかなか収入増にもつながらないし品質の向上にもつながらないと思います。
 あわせて、その手間暇の部分を考えますと、これはまさに、スポット的ではありますが、雇用対策の可能性も秘めていると思うんですが、このあたりはどのようにお考えでしょうか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 家畜排せつ物の適切な処理とか堆肥を利用した土づくりは、農業の持続的な発展を図る上で極めて重要でありますので、耕畜連携は全県に拡大する必要があると考えておりまして、これまでも、振興局に設置しております地域のたい肥生産利用推進協議会を中心にしまして、例えば、たい肥お役立ちガイド、これは盛岡地方でございますが、こうしたもの、あるいは、たい肥供給農家データベースの公開、こうしたことによりまして耕種農家への情報提供をやっていくということ。それから、堆肥による化学肥料代替技術のモデル実証圃を設置して、耕種側に対する普及啓発に取り組んできたところでございます。
 今後におきましても、肥料価格の高騰などに対応するためにも、より広域的な全県の取り組みとして、先ほどの、いわて型肥料コスト低減推進事業で本県独自に開発した技術を導入いたしまして、県北あるいは東磐井地域に豊富な堆肥、鶏ふん等を有効に活用して、安価な肥料の開発と県内供給を促進して、全県的な耕畜連携というものを強化してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ちょっとかみ合いませんね。県南のわら資源の枯渇は、これは牛農家なんです。牛なんです。ですから、発酵鶏ふん云々ではないわけですね。しかも、それをやることによって雇用も生まれる可能性があるし、それから、畜産農家にとっても、良好な品質の牛であるということにもなるし、それから、米作農家にとっても、有機質の土壌でつくったということで、これは大変効果的なものなんです。
 実際に、東京の小売店あるいは問屋、さらには食味コーディネーター等に言いますと、岩手県の米は確かに特Aをとっている。特Aをとっているんだけれども、懸念されるのは三つある。一つは、秋の水切りの時期が早いので食味が伸びない。それから、温暖化に対応した技術がない。そして、最大のものは、やっぱり土壌に有機堆肥が入っていないので、これのあたりでの品質低下があるのではないかという指摘を相当前からされているはずです。そういうものを一括して考えると、やはりもっと現場に入ってコーディネートしていかないと、耕畜連携から品質の部分まで、これはつながっている話なんですよ。そこをきちんとやっていただかないと、これは大変なんです。
 所感がありますか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 やはり稲わらと堆肥の交換についても、畜産農家への供給のコーディネートが重要でありますことから、各地域におきましても、普及センターあるいは振興局、それから関係団体、市町村と一緒になってコーディネートを進めていくということに取り組んでまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。ぜひそうしていただきたいと思います。これは、県が打ち出していますプレミアムブランド米戦略とも密接に関係してくると思っておりますので、これは後で、所感がありましたら、高前田部長にお話をいただきたいと思います。
 次に移ります。今回、岩手県は、農業の6次化、あるいは農商工連携ということで、垂直方向、水平方向一体で農産物を生み出していくんだという姿勢を示したということは、僕は大変高く評価しております。
 一般質問でも申し上げたんですが、ただ、やはりそこの問題点は、2次部門まではいい、3次対策だ、販売対策だというお話をして、首都圏については、いろいろな手段を使ってやる方法がありますということで、セガレという集団も御紹介させていただきました。ちなみに、農家のお嬢さんは、今、セガールと言うんだそうでありますが。
 県外の部分は、それはそれでいいんですが、問題は県内ですね、県内。観光とか、あるいはふだん食べているものが、県産品の割合は、やはり高くあるべきだと思いますし、これは、前の決算特別委員会でも取り上げましたけれども、やっぱり岩手の牛が食べたい、岩手のお米が食べたいといって駅におりて焼き肉屋さんに入ると、岩手牛が置いてないとか、そういうような実態はまだまだあるわけです。
 それで、6次化対策をしても、農商工連携をしても、やっぱり販売の部分をどうするかということから言うと、県内の食料品店に対する県産食材利用の促進の働きかけをもっとしないと、これは最終的に、6次化対策をやっても、農商工連携をやっても失敗してしまうと思っているんです。
 そういう意味で、今、県内の食料品店に対する働きかけの実態、あとは県産の食材の利用率というのはどういうふうに把握されていますか。
〇高前田農林水産部長 お尋ねの県内の食料品店に対する働きかけにつきましては、流通課の総括課長から御答弁させていただきまして、私から、お話ございましたプレミアムブランド米についての対応でございます。
 これにつきましては、委員からも再三御指摘をいただいているところでございまして、本会議でも議論になったとおり、私ども、岩手純情米生産販売戦略というものを策定いたしまして、この中で、やはり本県のお米をリードしていくような米がどうしても必要だ、プライスリーダーとなるような米が必要だということで、このプレミアムブランド米の取り組みをスタートさせたところでございます。その形質、形状といったようなことに加えまして、その中では、どうしても食味による差別化が極めて重要だということを私どもとしても認識いたしております。
 最近、この食味に関するさまざまな研究開発が進んでおります。知見も出てきておりますので、そういったようなものをしっかりと情報収集するということ、それから、日本穀物検定協会といったような専門家の機関がございます。そういったようなところからの助言もいただくといったようなことなどとあわせまして、県といたしましても、県の農業研究センター、それから関係団体等の専門家で構成するプロジェクトチームを立ち上げてございますので、この中で、しっかりと食味向上技術の開発と普及に取り組んでいくということとあわせて、農家の方々にしっかりとその技術をお伝えするということから、実証圃の設置にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇浅沼流通課総括課長 県産食材利用実態でございますけれども、食料品の流通の広域化が急速に進展している中で、県産食材の流通実態を把握するというのが非常に困難でございます。一般的には、大手量販店の出店とかいろいろ進んでございますのを勘案いたしますと、県内の食料品店での県産食材の販売割合は低下しているのではないかと予想はしてございますが、数字としては、把握が困難な状況にございます。
 それから、県産食材等の呼びかけでございますけれども、これまでも、いわて地産地消運動の一環として、県内の食料品等に対しましては、流通面から地産地消を推進していただきます地産地消サポーターへの登録を呼びかけてきてございます。現時点で県内398店舗登録いただきまして、毎月の第4金、土、日のいわて食財の日を中心に、消費者への県産食材利用PRを行ってきてはいただいてございます。
 今後とも、消費者、流通業者、生産者団体連携によりまして組織されました、いわて地産地消推進機構の運動を推進母体といたしまして、県内食料品におきますいわて食財フェア、また、全農県本部が県産食材の販売促進のため量販店で行っております純情産地感謝デー等の開催など、民間が主体となってございます取り組みを積極的に支援してまいりたい。
 また、本年1月、県が立ち上げました、買うなら岩手のもの運動と有機的に連動いたしまして、小売段階におきます県産食材の利用向上を図ってまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 最後にしたいと思いますが、今、浅沼総括課長がおっしゃった取り組みも、それはそれでいいんだと思います。ただ、私は、もっと現場といいますか、一軒一軒、県庁の農業部門として足を運ぶ、セールスマンをするということは、物すごく大事なことじゃないかと思っています。
 東京の販売チームが大変成果を上げたというお話を一般質問でも御紹介したんですが、やっぱり一軒一軒歩いているんですよ。企業、団体、卸、そこも歩いているけれども、個店も歩いているんです。やっぱり、これまでの取り組みというと、どうしても系統あるいは問屋、せいぜい何とか組合ぐらいまでなんですね。本来、今、接触すべきはその先にあるところ、個店であったり、消費者であったり、そこへの働きかけというのが、僕はやっぱり足りないと思うんです。どうしても5階の仕事というのは系統を意識せざるを得ないのかなと思いますが、でも、それだけをやっていたのではじり貧になると思います。販売チャンネルがいっぱいあるわけですから、やはり個店を歩くような、まさに本当にセールスマンのような仕事をしないと、本当に県産の食材利用が進まないと思います。
 ですから、今おっしゃった答弁を超えて、やはり4月以降しっかりと取り組んでいかないと、せっかくお金をかけて立ち上げた6次産業化も、農商工連携も、中途半端なものに終わってしまう。今までの対策と何ら変わらないということだと思います。もう少し出口対策のところは、足を使って汗をかいてやる必要があると思いますが、これは部長、最後にお伺いします。
〇高前田農林水産部長 御指摘の、一言で申し上げますと販売チャンネルの多角化ということだろうと思いますが、私ども、系統との連携ということも重要でございますけれども、新たな販路の開拓ということも重要だという認識を持っておりまして、そういったような意味で、食のマーケティングの関係の事業も立ち上げさせていただいております。そういったような中で、これは県外中心でございますけれども、主としてそういう取り組みを展開しておるところでございます。
 御指摘のとおり、県内についても、私どもとして、できる範囲でもっと積極的に取り組んでいく必要があると考えておりますので、いわゆる予算的な制約はございますが、限られた予算、人員の中で、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 では、第1に、米価の状況、農家の所得についてお聞きいたします。
 平成19年産米が大変な下落でしたが、20年産米はどうなのか。それによる農家の所得の状況。それと、資料、肥料、燃料代の値上げの状況と農家の減収の状況、それに対する国、県の対策の実施状況について示していただきたい。
〇川嶋農産園芸課総括課長 米価の状況と農家の所得についてでありますが、米価は、近年下落傾向で推移していたところでございますが、平成20年産につきましては、主力品種であるひとめぼれは、60キログラム当たり1万4、850円で、これは19年産より1、328円、10%高となってございます。
 農家の所得は、平成20年産の国の調査結果が未公表でございますが、平成19年産のデータをもとに資材価格の上昇等を反映させて試算すれば、60キログラム当たり、所得は約2、900円と見込まれ、これは、19年産に比べ約1、100円、約60%増加してございます。
 次に、資材価格の高騰と農家の減収等でございますが、飼料は、平成20年の平均で、平成17年と比較して農家実負担額で約4割値上がりしてございます。肥料は、平成17年と比較しまして約2倍の値上がりとなってございます。燃油は、昨年8月をピークに価格が下落しまして、平成17年と比較してほぼ同水準となっております。
 こうした生産資材価格の上昇が経営に与える影響を試算してみますと、農業所得は、酪農40頭規模では約200万円、水稲5ヘクタール規模では約30万円、露地野菜のキャベツ4ヘクタール規模では約80万円減少と見込まれているところでございます。
 次に、国、県の対策の実施状況についてでございますが、県では、こうした資材価格の高騰に対応するため、昨年1月に関係団体と連携した対策会議を設置し、振興局に相談窓口を設置するとともに、生産性の低下した草地の簡易更新や栄養価の高い飼料用トウモロコシへの作付拡大等により、自給飼料の確保に努めるほか、土壌診断に基づく適正施肥など低コスト技術の普及に取り組むとともに、国の強い農業づくり交付金や県単のいわて希望農業担い手応援事業等により、省エネ施設、機械の導入の支援を図ってきたところでございます。
 さらに、できるだけ多くの農業者が費用増加分の補てん助成を受けられますよう、国の畜産・酪農緊急対策及び追加緊急対策や燃油・肥料高騰緊急対策の周知と実施者の掘り起こし等に、関係機関、団体一丸となって取り組んできたところでございます。
 その結果、畜産・酪農緊急対策及び追加緊急対策では約15億7、000万円、燃油・肥料高騰緊急対策では約13億3、000万円が本県に交付される見込みとなっております。
〇斉藤信委員 今、燃油・肥料対策だと13億3、000万円、畜産関係だと15億7、000万円という話がありましたが、これは、いわゆる経費増と比べるとどうなんだと。飼料、肥料代が上がっているでしょう。負担増、経費増と比べて、この補てん額はどの程度の割合なんだと、これを一つお聞きします。
 米価も若干は戻しましたけれども、これも肥料代その他と相殺すると、実態として改善したのかしていないのか、ここを示してください。
 それと、集落営農組織なんですけれども、集落営農組織も、肥料代が上がって経理の一元化で、もう肥料も買えない実態だと。これは、県南の大変優秀な集落営農組織から、そういう話も聞きましたが、集落営農組織の実態、加入実態とその経営実態、どういうふうに把握しているでしょうか。
〇川嶋農産園芸課総括課長 経費の増加と今回の対策との補てんの状況がどうなるのかという御質問でございますが、なかなか一概に数字として申し上げづらいところでございますが、いずれ、先ほども申し上げましたとおり、耕種関係で申し上げれば、肥料高騰が2倍等というようなことで、非常に大きい影響を与えてございます。
 今回の国の補正に基づきます対策事業につきましては、2割を目標とした取り組みをやっていただく農家に対して7割を補てんするという考え方でございますので、単純には申し上げられませんが、これからの対策でございますので、ある程度の経費の補てんはできるかと考えてございます。
〇井上農業振興課担い手対策担当課長 新たな経営安定対策への加入の状況でございますけれども、平成20年産の水田経営対策への加入状況につきましては、経営体数では、認定農業者が2、475経営体、集落営農組織が353組織となってございます。
 それらの経営の状況でございますけれども、ことし6月に実施したサンプル調査によりますと、機械を共有し財務諸表を作成している組織が約2割で、そのうちの8割が黒字の決算となっており、赤字の組織についても、国の収入減少影響緩和対策交付金を加えると、すべての組織で黒字となってございます。
 一方、全体の8割を占める機械を個別に所有している組織については、経理が、収入と支出の記帳にとどまっておりまして、機械の費用が含まれていないことなどから、収益の実態は十分に把握ができていない状況にございます。
 なお、今回の肥料高騰の影響についてでございますけれども、資材高騰が農業経営に及ぼす影響につきましては、平成20年の経営状況の把握が確定申告を終えた4月以降でないと困難ということで、現時点ではっきり申し上げることはできませんけれども、平成20年産の農作物については、高騰前の肥料を使用しているため、その影響は、平成21年産からはっきりと出てくるものと考えております。
〇斉藤信委員 いずれにしても補てん策はあるものの、大体、経費を削減して、そのうち7割ですから、私は、全体として農家は、いずれにしても大変厳しい状況にあると。あと集落営農組織も、6月の調査で、私は、それ以降影響が大きくなると思うので、これはよく見ていただきたいし、国は、事実上、品目横断対策は失敗して、見直し、見直ししていますから、ここは、私は、法人化を余りごりごりやらないで、地域の実態に応じた指導をぜひ現地で進めるようにしていただきたい。
 2番目、酪農・畜産農家の負債対策について、負債農家の現状、離農に追い込まれている農家、県、農協の対応状況はどうなっているでしょうか。
〇門口団体指導課総括課長 平成20年度の酪農・畜産農家数で見ますと、前年度に比較しまして、酪農経営で81戸、肉用牛繁殖経営で139戸、肉用牛肥育で34戸の減少となってございます。こうした減少の背景には、担い手の高齢化や後継者不足などがあるものと考えられますが、ここ数年の農家数の減少が同程度で推移していることなどから、離農した農家が急激に増加したものとは認識していないところでございます。
 このような中で、JAいわてグループでは、農家負債対策として、県農協中央会に農家支援対策室を、それから各農協に農業関係団体、普及センター等で構成する農家支援対策委員会を設置し、負債農家の経営状況に応じて、個別経営指導を実施していると承知してございます。
 また、県といたしましても、国が創設した大家畜特別支援資金や養豚特別支援資金などの負債整理資金、飼料高騰に対応する家畜飼料特別支援資金、さらには、農林漁業セーフティネット資金などを周知し、その活用を促進することにより、経営改善に努めているところでございます。
 さらに、こうした取り組みによっても経営の改善が困難な農業者に対しましては、民事再生法の適用を目指した再生計画の策定支援などを行う農業再生委員会の利用を呼びかけているところでございます。
 県といたしましても、今後とも、関係機関と連携を図りながら、負債農家に対するこれら経営指導や支援を行ってまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 酪農家の離農が平成20年で81戸と。5年間で実は381戸離農しているんですよ。5年前は1、503戸でした。平成20年12月31日現在1、200戸ですよ。これは25%減少しているんです。4分の1減少しているんですよ。同じぐらい減っているから大したことないという、こういう認識は全く間違っている。岩手県の酪農のまさに危機的状況という認識がないと、私は、この対応を全く誤ると思いますよ。
 それで、その認識を正したいんだけれども、この中で、農協合併によって離農に追い込まれた農家がどのぐらいいるのか。例えば、私が聞いているのは、奥中山の場合だと20戸以上、農協合併で経営中止に追い込まれていますよ。本来守るべき農家を切り捨てていいのかと。食料自給率を高める、地産地消だというときに、意欲のある農家ですよ、認定農業者として市町村から認定されている農家が切り捨てられている。私は、本当にそういうところにこそ、県や農協というのは最大限の支援をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇門口団体指導課総括課長 農協合併に伴いまして、やむを得ず農協との取引を中止せざるを得なかった畜産、酪農を営まれている負債農家があることは承知してございます。しかしながら、その内容につきましては、私的な債権債務に係る個人情報であるとともに、それらをまとめた数字の公表につきましては、誤解を生むおそれもあるというようなことから、農協あるいは農協系統からは公表できないと言われているところでございまして、その全容を把握することは困難となってございます。
〇斉藤信委員 私は、前段で大事なことを聞いたでしょう。農林水産部長、今の農協合併による離農の実態は仕方ないとしても、5年間で、酪農の場合は381戸が離農に追い込まれている。これは25%。これについて本当に危機感を持ってやらなかったら、岩手の酪農、自給率向上なんてできないじゃないですか。その認識を、まず部長にお聞きしたい。
〇高前田農林水産部長 酪農の戸数の減少につきましては、委員御指摘のとおり、約25%減少しているのは事実でございますけれども、この原因が、いわゆる負債によるものなのかどうなのかということに関しては、定かではないということでございまして、いわゆる後継者不足であるとか、高齢化の問題等も背景にございますので、その負債の問題で減少しているということではないということを、先ほど担当の総括課長から申し上げた次第でございます。
〇斉藤信委員 私は、極めてあなた方の認識は甘いと思いますよ。私が奥中山の話をしたけれども、負債を理由にして、意欲があるにもかかわらず、ほとんど経営中止に追い込まれているんですよ。そして、本来、地域農業を支えている認定農業者ですよ。それが、合併を理由にして負債整理でやられてしまったと。部長、そんなことを言うんだったら、離農の理由を示してください。これは極めて重大ですよ、ここの認識は。さっきは、わからないと言ったじゃないですか。違いますか。
 私は、本当に今、守るべき、救うべき農家を県や農協が全力を挙げて支援すべきじゃないかということを聞いたんですよ。どうなんですか。実態を含めて。
〇高前田農林水産部長 私が申し上げましたのは、離農される農家の戸数、減少しているという事実については非常に重く受けとめておりますが、この農家が減っているという原因については、それを分析できるようなデータがないということでございまして、委員御指摘のとおり、そういった負債の問題も、当然、背景としてはあるかと思いますけれども、そのほかの要因もいろいろ考えられますことから、負債だけがこういった農家数の減少の要因ではない。それは、正確には分析できませんということを申し上げているところでございます。
〇斉藤信委員 農家の実態、少なくとも、ことし81戸の離農の状況は、聞いたらすぐわかることですよ。そして、特に今回の場合には、農協合併という、ここを通じた経営中止に追い込まれた農家が少なくないと。ぜひこういう実態、県にも相談に来ているわけだから、よく見て、対応して。二戸振興局なんかは真剣に対応していますよ。一人たりとも離農に追い込みたくないと、現場の農協もそう言っているんですよ。本当に、現場に行ったら、みんな一緒になって地域農業を守りたいと努力しているのは、私はわかっているんです。ただ、本体の農協を、県が一緒になって支援すべきだと。
 ここは、指摘だけにとどめておきます。つかめばわかることですから。
 次に、新規就農者の状況について、先ほどもいろいろ議論がありました。私は立ち入ってお聞きしたい。
 平成20年の新規就農者、これは209名になっていますけれども、その具体的な内訳を示していただきたい。新規学卒者とか、Uターンとか、新規参入、農業雇用者、それを示していただきたい。農家の後継者が、その結果、どれだけ確保できるのか。
 また、この間、県内の市町村では、九戸村など、独自に3年間、新規就農者に対して、単身者は10万円、御夫婦の場合は13万円、こういう形で研修の支援をして定着させているという経験もあります。陸前高田市も頑張っていますね。そういった成果を上げているそういう取り組みをどういうふうに把握しているか、示していただきたい。
〇高橋農業普及技術課総括課長 本年2月末の新規就農者の内訳でございますけれども、新規の学卒者が19名、Uターン者148名、新規参入者22名、農業雇用者20名の合計209名となっているところでございます。
 それから、県内各地におきまして、委員御指摘のとおり、九戸村の農業法人とか、陸前高田市、奥州市、胆沢農業振興公社などにおいて、農場を活用して実践研修が行われておりまして、こうした研修を終えて就農した方々は、平成13年度以降19年度までで合計で30名となっているところです。
〇斉藤信委員 私は、特に、さっき九戸村の話をしましたけれども、九戸村は3年間の研修期間の生活資金を実際に支援しています。陸前高田市もそうです。3年間、月額で10万円、夫婦で13万円、子供がいる場合には15万円。そして、貸家に入る場合には1万5、000円の家賃まで支援すると。その結果、平成16年度の途中からやったんですが、3年の研修を終わったのが6人、現在研修中が3人、ことしの応募者は3人。ほとんどが若い人で、修了した6人のうち3人は、神奈川、東京など県外から転入したと。
 私は、やっぱり新規就農者を本当に獲得するためには、具体的な新規就農者に対する支援、研修、こういうものがないと、本当の意味で定着できないのではないかと。農業というのは、サラリーマンと違って、仕事をしてもすぐ収入が来ないんですよ。1年、2年、3年かかって、経営がそれでも安定しないので、今後大変だという話も私は聞いていますけれども、そういう思い切った対策を県も検討すべきじゃないですか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県といたしましては、就農希望者に対しまして農業研修や施設や農業機械の取得に係る経費について、これまで資金の貸し付けを行ってきたところでございまして、また、市町村と連携いたしまして、国の担い手アクションサポート事業を活用いたしまして、九戸村の出資法人、あるいは陸前高田市の営農指導センターに対する指導員の賃金とか研修資材費への助成、それから、県農業公社の担い手育成基金事業を活用いたしまして、新規就農者に対して農業研修や農業機械の取得に係る経費の助成、これは上限100万円ということでございますが、そうした支援を行ってきたところでございます。
 今後は、こうした支援に加えまして、農業法人等での現場研修を支援する国の農の雇用事業も活用しながら、就農希望者のニーズに即したきめ細やかな支援を展開しまして、円滑な就農促進をしてまいりたいと考えておるところでございます。
〇斉藤信委員 九戸村とか陸前高田市みたいに、こうやって新規就農者に3年間、研修する生活支援をやって、そして定着させていると。これは県外から青年が来ていると。私は、やっぱりこういう成功例を大事にして、それを市町村に広げる。県としても、そういうところまで踏み込めば、私は、今の雇用情勢の中で、本当に農業が雇用の受け皿になり得ると思う。
 農業というのは、一般の仕事以上に厳しいんですよ。働いたからといって、すぐ収入が上がるものではないんです。少なくとも翌年しか上がってこないという農業の特性を持っているわけです。私は、そういう点で、こういう成功例というか先進的な事例を県としてもよく研究して、食料供給県を標榜するのであれば、県レベルでもこういう前向きの取り組みをすべきではないかと。これは、提言だけにとどめておきます。
 それで、次に、農業分野での雇用対策の目標と具体的内容について示していただきたい。
 実は、新規参入の促進と雇用の拡大というのとそれぞれ目標が出ているんですけれども、それぞれの中身、違い、そこも含めて示していただきたい。
〇井上農業振興課担い手対策担当課長 農業分野での雇用対策についてでございますけれども、本年2月に策定いたしました農林水産業及び関連産業への就業促進アクションプランにおいては、多様な担い手の確保・育成対策と雇用対策を一体的に推進し、今後2年間に、新規就農を400人、また、農業法人等による雇用を、先ほど報告しました緊急雇用創出事業を含め1、070人、合計で1、470人の雇用を確保することとしております。
 この目標に向けて、まずは、雇用の受け皿となる農業の振興を図るため、いわて希望創造プランに掲げる経営体の育成や産地づくり等を重点的に推進するとともに、農業の6次産業化や農商工連携による食品産業等の振興により、雇用の創出に努めてまいります。
 また、厳しい労働条件など、就業する際の課題解決に向けて、機械化等による省力化や、冬春野菜の導入による生産の周年化等の戦略的な取り組みを推進し、農業への就業を促進してまいります。
 さらに、就業希望者のニーズや生産技術等の習得レベルに合わせた生産現場での研修等のキャリアアップを積極的に支援し、就業者が早期に担い手として自立できるよう、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいることとしております。
〇平沼健副委員長 斉藤委員に申し上げます。
 1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇斉藤信委員 わかりました。
 今の新規就農者は2年間で400人と。年間200人ということで、実際に、例えばことしの実績も、新規就農者209人なわけですよ。そうすると、これは新たな対策にならないのではないか。緊急雇用対策を受けて1、070人はふやすかもしれないけれども、これは、そういう理解でいいのか。
 あと、ついでに競馬を、最後です、これは。
 今年度の売り上げの実績、前年度比、そして当初計画と比べて減少した要因は何でしょうか。
 来年度の事業計画について、売上見込みとその根拠。賞典費が1億2、000万円削減されますが、これで馬の確保、レースの確保は大丈夫なんでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 現状で209人という話がございましたけれども、現状の目標の内容をちょっと細かくお知らせいたしますと、いわゆる新規参入ということで自分から経営を始める人が170人の目標でございまして、そのうち30人分は農業法人等に雇用する人、要するに雇用される人ということで、それを合わせた200人という目標でございます。
 新たなプランにおきましては、参入する方を200人、そして農業法人で雇用する方を50人ということで、現状の目標200人に対しまして、新たなプランにおきましては250人という数字でふやしてございます。そういう努力をしたいということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇宮参事 競馬問題につきまして何点か御質問がございました。
 まず、今年度の売り上げの関係でございます。
 岩手競馬の発売額の実績ということで申し上げますと、4月5日から1月12日までの通常開催期間125日間でございますが、212億7、400万円でございます。これにつきましては、計画額との比較では100.9%ということで計画を達成しているところでございますが、前年同期の227億3、100万円と比較しますと93.6%となっているところでございます。
 次に、前年度と比較して発売額が減少した要因ということでございますが、平成20年度につきましては、年度当初、私ども第1期と呼んでおりますが、4月から5月、この期間の減少が大きく影響してございまして、これにつきましては、原油価格の高騰、それから景気の低迷などによりまして、ファンの購買力が低下したものではないかと推測しているところでございます。
 しかしながら、その後、下げどまり傾向が見られまして、薄暮競馬の開催でありますとか、あるいは各種広報媒体を使った広報の展開でありますとか、人気俳優を使ったイベント企画、そういったさまざまな発売向上策を積極的に展開してきたところでございまして、第4期と言っております11月から1月につきましては、開催単位で見ますと、ほぼ前年度並みの発売額を確保するといったような状況で平成20年度は推移してきたものでございます。
 先ほど申し上げましたように、1月から3月まで、3月20日から特別競馬がございますけれども、現在、広域発売についても計画どおり、計画以上の100%を超えた発売額で推移しているところでございます。それが今年度の状況でございます。
 それから、平成21年度の発売額の見込みといったところでございますが、今お話をいたしました平成20年度の発売動向、最終発売見込みを基本にいたしまして、来年度行いますさまざまな展開の増額要因、例えば、薄暮開催につきましては、今年度の成果を踏まえまして大幅に期間を拡大する、それから、施行レース数についても工夫を凝らす。そういったさまざまな増収効果があるわけでありますけれども、その中で、効果が確実に見込めるものだけを数字としてはカウントしてございます。
 それから、最近の発売動向、他主催者との日程の調整、それから今の経済状況、そういったさまざまな要因を見ておりまして、そういった減額要因といったものも当然踏まえて、プラス要素、マイナス要素さまざま検討した結果、平成21年度については、20年度の最終発売見込み額よりも2億2、300万円少ない218億4、000万円という見込みを立てたところでございます。
 それから、今お話ししましたこの数字には反映させてございませんけれども、ファンの要望にこたえたハンディ戦、これは平成21年度に初めて取り上げるわけでありますが、そういったものとか、北海道競馬との2歳馬による交流競争の実施、さまざまな魅力あるレースの提供といったものにも工夫を凝らしたところでございます。そのほかに、全国的な広報展開でありますとか、重点的なイベントの実施といったものも積極的に取り組むこととしておるところでございます。
 最後に、馬資源の確保ということでございました。平成21年度の賞典費につきましては、今お話がございましたように、総額では前年度より減額になるところでございます。一方で、開幕当初から馬資源の確保を図るという意味で、3月20日からの特別競馬から平成21年度の2回の水沢開催までにつきましては、出走手当に、1出走当たり1万円を追加するという早期出走手当の支給を今回初めて取り組むことにしたところでございます。そのほか、2歳馬、3歳馬の若齢馬の一般競争におきましては、1着賞金を増額するという手当ても講じているところでございます。
 そういったことから、馬資源の確保は可能と考えてございまして、現実、3月3日に特別競馬の入厩締め切りというものがございました。その時点で622頭の馬が入厩しているところでございまして、これは昨年同期、一昨年の3月4日は589頭ということでございまして、昨年と比べまして33頭、率にして5.6%の増となってございますので、総額では減るものの、さまざまめり張りをつけた対策をすることによって、馬資源が確保されているという現状でございます。
〇斉藤信委員 これで終わりますが、私、今の競馬組合の現状というのは、売上高が、今回は微減というか、そして、厳しいこの経済情勢、本当に多難な状況だという感じをいたしております。ただ、今、事業計画を見ましたら、そういう厳しい中で、それなりの工夫が出てきたなという感じをしているところです。
 それで、最後に聞きたいのは、民間移管のようなことを考えるのは、この間の経過からいって、そういうことは考えないで、やっぱり自前で、本気でやるならやるというふうにすべきではないのか、それがこの1年間の教訓ではないのかと。
 あと、宮古、釜石のこの委託の問題ですけれども、2月7日付の新聞を見ると、この時点で未払いは1、800万円だったと。委託の契約はどうなっていたのか。途中解約という、そういうものがあるのかどうか。また、なぜそういうふうになったのか。全体としては売り上げが微減程度なんですけれども、こうしてこれだけ未納が出るような事態になぜなったのかというのと、途中、こういうふうな契約解消というのは、委託契約上どうなっていたのか。
 あと、そういう民間委託、民間移管に対する考え方を最後に聞いて、終わります。
〇宮参事 民間委託の関係でございますけれども、いずれ、平成21年度につきましては、事業計画で示してございますように、自前で改善、改革をしながら、黒字化を目指すという思いを込めましてつくった計画でございます。ただ、そうはいいましても、今のような状況でございますので、さまざまな抜本的な改革の検討というものは、当然、引き続き行っていくべきものと考えているものでございます。
 それから、もう一点、宮古、釜石の場外発売所の件でございますけれども、2月1日から自前での運営に切りかえてございます。これにつきましては、契約書上というよりは、先ほど申し上げました釜石の発売額が9月以降、非常に低調に推移しているということから、1月いっぱいで委託を取りやめて競馬組合の直営にするという合意解約という形で切りかえをしたものでございます。
〇平沼健副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後3時6分 休 憩
午後3時24分 再開
〇関根敏伸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇新居田弘文委員 私は当該委員でございますので、1点のみ質問させていただきます。
 岩手ブランドの構築についてでございますが、新年度予算でも6次化の取り組みとか、あるいは農工商連携の取り組みとか、あるいは先ほど午前中から質問がありました海外への岩手ブランド商品の展開、いろいろお話ございました。
 そこでまずお聞きしたいのでございますが、国内には松阪牛とか夕張メロン、神戸牛を代表にしまして各地のいろいろなブランドがありますが、その中で、岩手でもリンゴとか、あるいはひとめぼれとかさまざまありますが、その辺の位置づけについてどのように把握しておられるか、まず1点お聞きしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 ブランドの位置づけというお尋ねでございました。
 位置づけと申しましても非常にいろいろ視点があるかと思いますが、私どもとしますと、その評価はなかなか比較が難しいと思っております。全国紙の新聞などで一部バイヤーの評価が全国で何位だったとか、そういうような数字はございますが、それぞれのブランド品がそれぞれと比較してどういう位置づけにあるかというのは、申しわけございませんが、きっちり整理できている状況ではございません。
〇新居田弘文委員 そういう御答弁なようでございますが、日経とか、さまざま新聞でもその都度載ってございます。今、松阪、夕張の代表例を申し上げましたが、そのほかにもたくさんございますが、あえてそれについては触れません。岩手県で今、取り上げようとしておりますいわて牛あるいは短角和牛あるいは江刺リンゴ、二子里芋、その他海産物等も含めていろいろ取り組んでおりますし、県でもいろいろ支援しようとしております。
 私も経験上といいますか、一番大事なことは、県が一生懸命応援するのは当然といいますかありがたい話なんですが、問題はその地域の生産者なり、あるいは農協なり、あるいは当該市町村がどの程度真剣になって取り組むか、それが一番の基本ではないかと思うんですが、今お話ししましたような産品を含めて、県では、現場あるいは市町村の取り組みをどのように把握されているかお聞きしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 現場の取り組みという部分でございました。
 ただいま新居田委員からお話がありましたとおり、ブランドの確立という部分につきましては、地域の生産者の真剣な意欲、これはやはり大事だと思っております。商品づくりから販路開拓、プロモーションに至ります一連のマーケティングの活動に対しまして、生産者はもとより、地域の関係者の方々が一体となって強い意欲を持って取り組むのがやはり最も大事であろうと思ってございます。
 県内各地におきましても、いろいろさまざま個々に今の段階におきましてそういった動きが見られつつあると私どもは認識してございます。
〇新居田弘文委員 ぜひそのように指導も含めてお願いしたいと思います。
 そこで、午前中もいろいろ出ましたけれども、県が予算計上して取り組みしているんですけれども、その答えがなかなか難しいといいますか、出ないということも指摘されておりますが、私思うには、こういうブランド一つつくり上げるには最低20年とか25年とか、あるいは30年とか、そういう長い積み上げが評価されて、消費者からもどこどこの何それが全国的な評価を受けるということになるんだろうと思います。したがいまして、予算とかその取り組みは、今、景気がいいとか悪いという結論ではなくて、当然そういう状態はわかりますけれども、やっぱりこれから5年、10年という長いスパンで定時定量、しかも長い期間によってそういう供給体制ができなければ、一、二年の予算を強化したからすぐ答えが出るものではないと私は思っておりますが、今後を含めてその辺の取り組みについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 これまで及び今後の取り組みという部分になろうかと思いますけれども、これまで県としましては、国の交付金でありますとか県の補助金、これらを活用しまして、地域や生産者の商品づくりの取り組みを支援してまいりました。さらに、量販店バイヤーOB等の民間アドバイザーの活動、あとはいわて食のマッチングフェアの開催によります販路の開拓、さらにはインターネットを活用いたしましたポータルサイトによります情報発信、首都圏量販店でのいわてフェア、さまざまな消費者へのプロモーションにも取り組んできているところでございます。
 これらにつきましては、それぞれの取り組みのマーケティング活動のそれぞれの段階に応じまして、地域に密着した、かつ継続的な取り組みがやはり大事だと考えているところでございます。
 今後は、こうした取り組みを強化するのは当然のことでございますが、新たないわて農工商連携ファンドやいわて6次産業チャレンジ支援事業等の活用によります新たな取り組み、新たなブランド商品の開発、こういうものを支援するとともに、首都圏に対しまして、本県ゆかりのある民間企業とタイアップいたしました新たな販路開拓でありますとか、MOW MOWプロジェクトの展開によります地域の新商品やこだわりの食材の情報発信、こういうものにつきまして、ブランド確立に向けまして地域の一体となったものに対しまして継続的に支援してまいりたいと思っております。
〇新居田弘文委員 支援する気持ちは私もよく理解しています。言いたいのは、県とか団体が一生懸命応援するのは当然といいますか、ありがたいんですけれども、例えば葛巻ワインがあのとおり町長含めていろいろ各地域に出てトップセールスをやっていますように、そういう取り組みが、その地域の市町村とか、あるいは生産者団体とか、あるいは生産者みずからその市場に行くとか、消費者と交流をつなぐとか、そういうことが一番基本だということを私は言いたいわけです。
 確かに今の制度上は、国の制度とか県の制度で一生懸命応援することはそれはそれで結構なんですけれども、そういう視点でひとつ指導をいただきたいということと、それから、午前中話がありましたけれども、海外展開には期待したような数字はすぐ出なくても、これが5年先、10年先に花開くんだというようなスタンスで臨んでほしいということを言いたいわけです。
 最後に、私も当該委員ですのでこれでやめますが、部長からその辺の御見解なり、これからの展望などをひとつお聞かせいただきたいと思います。
〇高前田農林水産部長 ブランド確立に向けた取り組みでございます。
 委員御指摘のとおり、やはりこういったブランドの確立には、まずは生産者、それから地域の関係者が一体となった取り組み、これがまずポイントになってくるだろうと認識いたしております。
 例えば、前沢牛の事例で申し上げますと、昭和44年と承知しておりますが、初めて東京に出荷した段階においては、正直に申し上げて余り高く評価されなかった。それが地域の関係者、農家の方々の一体となった取り組みによって昭和55年ごろからようやくブランドとして確立がなされて、昭和61年にチャンピオンとして評価されたといった非常に長い取り組みの経過があると承知いたしておりました。
 こういったことからわかることは、やはりこういったブランド確立に向けて、まずはしっかりとしたマーケットリサーチ、いわゆる市場調査をやった上で、いいものをしっかり安定的に生産できるような供給体制を整備していくということ、それとあわせて、販路の拡大、マーケティングをしっかりやっていくことが重要なことになってくるのではないか。
 そういう過程におきまして、冒頭申し上げましたように、やはり農家の方を初めとして、地域の関係者、そして行政、それから民間も含めた一体的な取り組みが重要になっていると認識いたしておりまして、こういった取り組みを私どもとしても積極的に推進していきたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 競馬について1点お伺いいたしたいと思います。
 千葉副管理者におかれては、このたび御勇退されると伺ったところでありまして、大変御苦労さんだったと思いますが、ぜひとも勇退前に、千葉副管理者の口から一言お聞きしたいことがございましてあえて立たせていただきました。
 非常に今、重要な時期なわけでありますけれども、そういう中にあって、県庁筋のほうから、岩手競馬は過去に407億円の利益を上げてそれを構成比率で団体に分けてきたと。407億円。したがって、330億円貸してこけても、まだ分配のほうが余計あるから、ツーペイだともうけのほうが多い、そういうことを言っている人たちがいるようで、たまたまそれが聞こえてくるのであります。しかし、今の岩手県のこの財政状況を考えましたときに、もちろん盛岡市も奥州市もでありますが、330億円というこの巨額なお金をそのような生半可な物差しで言う者がいるというのは非常に腹立たしく思っております。
 そういう中で、330億円融資をした際の苦渋の決断だったわけでありますが、貸したものは返してもらわなければなりません。そういう中で、岩手県の指定金融機関であるところに210億円をぽんと返して、しかもそれは時期的にまだ返さなくてもいい時期にぽんと返して、そしてそこは貸借ゼロになったのでありましょうけれども、その330億円融資の計画にかかわってきたと思われる重要なポストを占める2人がそこの指定金融先に雇用されていると新聞報道がありました。
 その中で我々議会は、まず、10名の議員で構成されておりますけれども、県議会から参りましたある議員から、コストカットの計画を進めるに当たって、我々の歳費を返上しようということで一致になりまして、条例を変えて歳費を返上してやってきたところであります。これはコスト削減を議論する議員の立場として当然のことだと思うからやってきたわけでありまして、真剣にみんなでやってまいりました。
 そういう中において、議会からの提案というものはことごとく拒否をされ、一方においては繰り上げ充用の際は議会に認めてもらった、あるいは新年度の予算についても議会から認めてもらった、あなた方は、こういうことを言われるわけであります。しかし、その予算を通さなければその日からぴたっとアウトになるということもあって通した、そういうこともあるわけでありますけれども、そういう中で議会が、議会がと、こう言ってしまう。
 そういう中で考えますとき、私は今でも不信感といいますか、どうしても吹っ切れないものがあるんですが、これは330億円を融資したときから実は自然死、安楽死をねらってきたのではないか、私はそう思えてなりません。ただ、その間、この2年間、千葉副管理者を初め皆さんには一生懸命頑張ってもらったとは思います。また、千葉副管理者がおやめになっても関係の皆様方は残るわけでありますから議論が途切れることはないのでありますが、この岩手競馬を存続させていくということが今、県の大きな財政問題にもなっているわけでありますので、私が今言いましたような自然死であるとか安楽死をねらうとか、あるいは407億円もらっているから330億円はいいんだとか、そういう考えは毛頭ありません。こういうことを、最後の機会でありますので、千葉副管理者からお伺いしたい。
〇千葉理事 伊藤委員おっしゃいますように、私も今の競馬組合に参りましてから2年になってございます。その間、今、委員おっしゃいましたように、407億円配分しているから330億円返す必要はないんだという気持ちは全くございません。いずれこの330億円という巨額な融資をいただきながら岩手競馬の存続は許されたというふうに思ってございます。
 私どもの使命といたしましては、この330億円の元金をできるだけ何としても早く返し始めたいという思いで今までこの2年間頑張ってまいったところでございます。
 平成19年度、平成20年度も幸い黒字化を達成いたしたところでございますけれども、これも売り上げが上がったというよりは、むしろコストを調整させていただいて、その結果として何とか黒字化を達成できたというのが主な原因ではないかと思ってございます。
 ただ、それはそうではございますけれども、いずれ黒字を達成したという事実は残ります。いずれ平成21年度に何とかつなぐことができたということで一定の責任を果たせたのかなというふうには思ってございますけれども、いずれこの平成21年度、これまで守りで、コストカット、コストカットといいますか、そういうふうな意識だけでやっていたものを、何とか攻めに転じながら、平成21年度から平成22年度、さらにはもっと先まで岩手競馬をつなぎながら、この330億円を何としてもできるだけ早い時期から返せるような形に財政構造を転換していきたいという思いでこの2年間やってまいりましたし、その一定のベースはできつつあるのかなと思ってございます。
 今後とも、組合議員の皆様方初め、県議会初め、さまざまな形で応援いただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
〇伊藤勢至委員 そのような407億円と330億円の行って来いツーペイ、そんな話は毛頭思っていない、明確に言っていただきまして大変ありがたく思います。そのことをよく次なる方にも引き継ぎをしていただいて、残った関係する方々と一緒に知恵を出し合って前に進んでいただきたいと思います。
 この2年間、激論を交わしてまいりました。酒を飲みながらでもやってまいりましたが、それはきょうをもって千葉副管理者との間はノーサイドにしたいと思っておりますので、よろしくお願いして、次なる方々に、次行った方がばばを引くことがないように、頑張っていただくようにお願いを申し上げまして終わります。
 千葉理事、長い間御苦労さんでした。
〇関根敏伸委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 次に、第2部林業・水産業関係についての質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 水産業について1点、それから林業について1点お伺いいたします。
 今委員会の冒頭の総括質疑の際に新居田委員から質問をしてもらいまして、その答弁についてちょっと伺いたいと思います。
 水産業普及指導員の増員についてということなんですが、答弁の中には、本県の水産業の振興を図るためには、地域に密着した経営や生産技術指導の強化が重要な云々と、こうなっておりますが、これは本県の水産業と言う前に、県の重要課題として掲げております県北・沿岸振興の根幹だと私は思っております。
 したがいまして、この県北・沿岸の所得をアップさせるためには、どうしても水産漁業を離れるわけにはいきません。そういう中で、水産業普及指導員が少ないということを言っていますが、それに対して青森県などと同水準の普及指導員を確保するとともにと言っていますが、私は、隣近所と同列だとか同数だとか、そういうことを求めたのではありませんで、青森県を抜こう、あるいは隣の宮城県にも勝とう、そういう進取の意気を持ったお答えを本当はいただきたかったのであります。平成22年度から云々言っていますけれども、どうもスピード感が足りない、このように思います。
 そういう中で、青森県の水産業普及指導員も14人、岩手県も14人、宮城県が15人、こういうことでありますが、沿岸漁業の生産額は、青森県が315億円、岩手県が289億円、宮城県が360億円、こうなっていますが、せめて青森ぐらいは抜いてやろうと、そういう意気込みがあって私はいいんだと思います。
 ただ地形条件も違いますけれども、青森県のトップというのは陸奥湾のホタテの養殖が日本一でありますから、あるいは大間のマグロであるとか、それぞれの特性があっていいんだと思いますが、しかし、本県の740キロの海岸線、これは十分に活用可能な地域でありまして、そういったところに何かの戦略的な施策を打ち上げてもらいたい、このように思います。
 かつて十数年前に青森県の八戸港は全国のイカの集積地を目指しました。現在、全国のイカの90%は八戸に水揚げされております。沖合300キロまで船が行きますと、八戸に入ろうが久慈に入ろうが宮古、釜石、大船渡に入ろうが時間距離は一緒なんです。したがって、受け入れる覚悟のあるところ、施設のあるところ、そういうところがそういう施策を展開できるんだと思っております。
 そういう中で、今度はさらに青森県は、三陸沖のマサバの集積地を目指しているようであります。三陸沖のマサバといいますと、関サバよりも味がいいと漁業関係者あるいは飲食店関係者の方々は言っております。したがいまして、そういうものも参考にしながら、県北・沿岸振興の戦略的なそういったものを打ち上げる、打ち立てるべきだ、そのように思うのでありますが、そういったことについてのお考えがないかお伺いいたします。
〇高前田農林水産部長 県北・沿岸振興に関連して、水産業の振興についての方策でございます。
 県北・沿岸振興の根幹は水産業の振興にあると私どもとしても認識いたしております。加えまして、激化する産地間競争に打ち勝っていくためにも、やはり官民一体となった取り組みが重要であると十分認識いたしているところでございます。
 こういったような中で、今、とにかく新年度から何ができるかということを一生懸命考えているところでございますが、私ども、平成18年度から振興局の水産部の職員、それから水産業普及指導員がプロジェクトチームをつくりまして地域営漁計画の実行支援に一体的に取り組んでいるところでございまして、こういった取り組みをまずはしっかりやっていきたいと考えております。
 それから、委員御指摘のとおり、水産業普及指導員の関係につきましても、さきの本会議で知事から御答弁申し上げましたとおり、平成22年度の広域振興局の体制の検討を今進めているところでございますが、その中で、普及指導員の増員も含めまして、どういった体制がいいのかといったことを検討したいと考えておるところでございますし、その中では、我々行政サイドだけではなくて、やはり漁協であるとか関係団体、そして市町村も一体となった振興体制というものをしっかりと検討していく必要があると存じておりまして、現在、その検討を鋭意進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、スピード感を持ってしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 野田村の野田漁協ではホタテの養殖をやっているわけですが、近場、近海のほうでやっていたものを思い切って沖出しをしたんですね。そうしました結果、プランクトンが多かったんでしょう、貝の肉が物すごく充実しまして貝からあふれんばかりのホタテになりまして、普代村出身のイトーヨーカドーの強力な方のルートで随分高く販売しているようであります。したがいまして、沖出しをすることはリスクを伴うんだとは思いますけれども、そういう非常にメリット、3倍近い値段だとも言われていますから、そういったものに挑戦をしていくやはり進取の意気が必要なんだと思います。
 その中で、青森県八戸がサバの集積を目指しているということについては、やはり情報を集めながら、三陸沖なんですよね、魚場は。したがいまして、せっかく我々の目の前の海でとれるものを青森に活用されることはない。北海道、三陸沖でとれたタラの子を福岡県が持っていって明太子にしてまた我々が買って食べている、そういうこともあるわけですから、まだまだ可能性があると思います。ただ、この水産業普及指導員、非常に期待されるところでありますけれども、漁協と一緒にとなると、本当に目の前の海の部分しか見えてこなくなるわけですので、オール三陸みたいな感じの目線に立った戦略が必要であると思います。
 大体、岩手県の正月魚は30年ぐらい前はサケでありました。宮城県に参りますと、これがナメタガレイです。福島県に参りますと、ブリなんですね。だから、同じ東北であっても、今ははっきりしていないかもしれませんが、かつてはそうでした。したがいまして、岩手県のサケのおいしさをまだまだ知らない人たちが随分いっぱいいる。
 ホヤもそうなんですけれども、きのうでしたか、テレビでどこかの漁協で水揚げされていましたが、ホヤを食べておいしいと言う人と全然だめな人がいるんですね。その全然だめな人というのは、恐らく劣化したホヤを食べた人だと思うんです。クサヤといいますか鮒ずしといいますか、そういうにおいがするものですから、とれがけの新鮮なものは本当においしいのですよ。したがって、あるとき東京に送ったならば、奥さんが料理をするについて、ホヤを置いて真っ二つに割って、まずはらわたを取って投げたと。どこを食うんだべと。どこを食ったかわかりませんが、そういう話もありまして、まだまだ食べ方を知らない人がいっぱいいる。
 そういうときには、やはり水産業普及指導員の活躍、あるいは流通にうまく乗っける、こういうことが必要になってくると思うんですが、その辺を伺って水産については終わります。
〇高前田農林水産部長 今、委員からさまざまな戦略的な取り組みのお話がございました。現在、検討いたしております広域振興局の体制の検討の中におきましては、いわゆる広域振興局の役割というものをどう位置づけるかという議論がございますが、まさに今、委員から御提言をいただきましたような、そういった企画機能であるとか、そういうものを強化して、地域でそういう戦略的な取り組みを進めるような体制をつくっていこうというのが一つのねらいでございます。したがいまして、広域振興局の体制整備の中でそういったものをしっかりと位置づけた取り組みを行ってまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 次に、林業振興について伺いたいと思います。
 戦後63年たちまして、いよいよ本県の山の木が充実をしてきているのではないかなと思います。これは戦後の復興期に、戦地から復員をしてきた人たちをどのようなところで働かせようかということである程度国策でもあったわけでありますし、そういったものを受けて県行造林等もやってまいりました。
 それがいよいよ伐期を迎えてきた、こういうことなのでありますが、60年たって充実して伐期を迎えた。しかし、川下では住宅着工等が減ってなかなか流通がうまくいかないかもしれない。だけれども、こっちにはいいものがある。そこで心配されますのは、南洋材はもうほとんどだめになりましたし、アメリカも切り過ぎたということで余り切らせません。それから、ロシアのツンドラ、永久凍土に生えている木も、地盤が緩んで、切っちゃったらだめだということで切れなくなりました。中国でも余り切り過ぎて、今は山に木を植えろという政策をしています。そういう中で、世界的な数で見ると岩手県の山はごく小さいのかもしれませんが、しかし、優秀ないいものが今あるんですよね。
 そういった中で、流通という部分で、大手商社なんかが例えば一山買いたいと。本来は1、000万円の木価があるんだけれども、そこに行って100万円のたばを三つ、四つ置くと、あしたが困る、あさってが大変だという人たちは実は乗りかねないのかもしれませんで、そういう例が青森県あたりではもう既に出ているようであります。
 したがいまして、そういう県の、あるいは県民の財産である、ちょうど手ごろになってきた木材をどのような流通をさせながら最終的に林家の皆さんの収入を確保していくか、そういうところが今、先立っての懸案ではないかと思うんですが、これらについての様子をお伺いしたいと思います。
〇竹田森林整備課総括課長 本県民有林の人工林資源が充実してきているということは委員御指摘のとおりでございます。ただ、その一方で、所有の状況を見ますと小規模零細だという状況でございまして、個別の経営では生産効率が悪く、なかなか利益を出すのが難しい、限界があるという状況となってございます。
 このため、県といたしましては、所有者にかわって、地域単位に生産性の高い森林経営を行う地域牽引型林業経営体、そういう名称をつけて育成してございますけれども、森林組合、あるいは機械力を持った民間の事業体の中から31経営体ほどを育成してございます。
 この経営体は、中小規模の所有者を取りまとめて森林を団地化し、高性能林業機械を使って低コスト化を図るとともに、合板工場など大口の需要者に原木を安定供給いたしまして、所有者にできるだけ多くの利益を還元することを目指してございます。
 こういった取り組みの結果、既に、例えばこれまで利益を出すのが難しかったアカマツ林の間伐におきまして、1ヘクタール当たり20万円以上の利益を所有者に還元できた事例など、県内各地で成果を出しているところでございます。
 また、木材生産の一方で販路の拡大対策も重要であり、品質や性能の確かな乾燥材、集成材などの安定供給の促進、県北沿岸の主要樹種であるアカマツの商標登録を活用したブランド化、さらには製材企業と工務店等とのマッチングなどに取り組むこととしており、こういった施策を総合的に展開し、収益性をさらに向上させ、森林所有者へのさらなる利益還元に努めてまいりたい、そのように考えております。
〇伊藤勢至委員 県産材を使っての住宅建築なんかをした場合の、1戸建ての中で何立米以上使うと幾らの補助というのがかつてはあったような気がしたんですが、それは今もあるんでしょうか。あるとすれば、こういうときこそ宣伝にこれ努めるべきだと思います。また、壁紙についてもあったように思いますし、ソーラー関係についてもあったようでありますが、そういったものと一緒になって、今、住宅着工が落ち込んでいるときこそそういったものを宣伝されながら、県産材、地産地消、住んでよし、香り豊かな木の住まい、こういうことで岩手県産材でいくべきだと思いますが、それについて伺って終わります。
〇堀江林業振興課総括課長 ただいま御質問のございました住宅に対する県産材をお使いになったときの補助の関係でございますが、これまで個人が住宅を建設する場合に、県産材を使用した場合の補助という制度は平成17年度まではございました。その間、一定の成果を上げてきたところでございますが、しかしながら、厳しい財政状況の中で、1軒の住宅に対して約40万円程度補助をしてきたわけでございますが、それを続けることがなかなか難しくなってきたということで見直しを行ったところでございます。
 その際の考え方としまして、県民の皆様の声を伺いましたところ、どこで木材を購入できるかわからないとか、あるいは工務店とか設計士との連携、ネットワークが十分でないという御意見を多数いただいたところでございまして、その後、私どものほう、現在までユーザーである県民の皆様と工務店あるいは建築士との連携を大事にしながら情報提供を中心とした事業を中心に進めておりまして、例えば木とくらしの相談所を設ける、あるいは、宮古地域などで特に進んでおりますが、住宅のネットワークなど、そういう顔の見える家づくりの支援、こういったところに取り組んでまいります。
 また、来年度以降も、そういったユーザーを対象として工務店あるいは建築士との交流会などを開催して、そういったマッチングを促進することで県産材の利用促進に努めるように進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇伊藤勢至委員 終わると言いましたが、追加させてください。
 そうすると、その補助の関係は復活する可能性があるんでしょうか。例えば、今、森林税を集めた形で山の手入れを進めているわけですが、そういったこともあるいは使っての還元といいますか、それはあり得るんだとは思ったりするんですが、その辺はいかがでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 今後の補助の復活についてのお尋ねでありますが、現時点では、来年度の予算、現在、御審議いただいているところでございますが、そういった予定はしておらないところでございます。
 一方で、ただいまお話のございましたいわての森林づくり県民税、これは今、3年目を迎えているところでございますが、5年ということで一区切りでございます。6年目以降のそういった県民税を活用した林業のあり方、あるいは森林環境保全のあり方については、来年度から次期対策ということで、県民の皆様あるいは議員の皆様方の声をよくお聞きしながら進めてまいりたいと考えておりますので、そういった中で今のような御提案、御提言があれば、それらも含めて検討してまいりたいと思っているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの伊藤委員と同じような観点、県北・沿岸振興という中での漁業振興、サケについてお尋ねしたいと思います。
 それと、先ほど普代村の方ということでしたけれども、実は久慈市の人なんですね。とりあえず、大した差はないかもしれないけれども、正確に言うと久慈市の人です。(伊藤勢至委員「おわびして訂正します」と呼ぶ)ということです。
 サケの回帰率についてなんですけれども、サケは大体100億円という水揚げがあって、加工とか流通を入れると400億円という規模になると言われております。大変重要な魚種だと思っておりますが、浜で漁師の人たちと話をしていると、漁師だけではなく生産者も加工者もそうですけれども、サケが大漁であれば活気づくし、またもちろん高値であればさらに沸くでしょうけれども、そういった意味でもメンタルの面からも非常に重要だし、実際の実入りからいっても重要な魚種なわけであります。
 それで気がかりなのは、特に今年度といいますか、サケの回帰が少なかったと言っていいのか、4億何千万尾放していると言われておりますけれども、岩手県は2%の回帰率と言われています。北海道、今年度は非常に落ちたわけですけれども、5%と言われている。宮城県は3%の状態のようでありますけれども、それを3%に上げたいという目的、目標があるようであります。
 今回、さけ回帰率向上緊急対策事業というのが来年度新規に出ておりますけれども、その事業の内容についてお聞かせ願いたいと思います。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 さけ回帰率向上緊急対策事業の内容についてという御質問でございました。
 これは、回帰率が委員おっしゃったとおり2%台で低迷しております。かつては岩手県のピークは5%ありましたので、それが落ちているという状況にございます。
 その回帰率というのは戻ってくる率ですので、稚魚の質以外にも、非常に海洋の環境といいますか、サケに適した、沿岸域からサケはずっとオホーツクを通ってベーリング海を通って北洋をぐーっと回るわけですけれども、その中でのサケに適した環境が水温、えさを含めて変化するわけです。そういう状況の中で、いい魚を放流している北海道ですら5%の回帰率ということは、逆に言えば95%はどこかの時点でみんな死んでしまっているという状況にあります。ですから、一番回帰率の影響が大きいのは、やはり環境、北洋が重点になると思いますけれども、環境が一番大きいと思っています。それから次に大きいと思っているのが人的な、つまり人間がつくっているわけですので、種苗の質の部分があると。
 北海道は5%、岩手県はかつて5%だけれども、今は2%に下がっているということをいろいろ分析していきますと、国の指導等によってわかってきたのは、過密飼育になっているということ、それから、適期前の放流が多い等、つまり健康な稚魚の育成が課題となっているということがありました。
 そのために、来年度から、今、委員おっしゃった新しい事業を実施して回帰率をアップさせていくという取り組みでございます。一つには技術開発、それから人材育成、それから基盤整備と、三つの点から本県独自の総合的な取り組みを推進していこうとしているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 回帰率がなかなか上がらない原因、理由を説明していただきました。ありがとうございます。
 今の健苗の確保というのは人ができることで最も重要なわけで、その中で、今回の新しい飼育技術の開発、もしくは設備とか人的な教育というか研修というか、そういった三つのことのお話でしたけれども、具体的な内容もお聞かせ願えればと思います。新たなものもあれば、これまでないようなものも含めてですけれども、お願いしたいと思います。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 具体的な技術面等の内容ということでございますが、サケ稚魚は、川を下って淡水から海水へ移行する際に、浸透圧、環境が大きく変化するわけですが、生理機能の変化を生じます。この適応能力がその後のサケの歩どまりや成長に大きく影響するということが知られておりまして、ふ化場で飼育する段階から塩分を添加したえさをサケに与えて、そういったことによって生理的な適応能力を高める。それで元気な稚魚をつくろうとするものが技術開発の部分でございます。
 あと、人材育成の面では、全般に技術者のレベルをアップさせる基礎的な研修のほかに、地域の中核を担う技術者を育成する、つまりリーダーの研修の実施を想定しております。
 それから、もう一つ、施設の整備については、サケの施設はもう20年以上たっているものが8割以上になっておりますので、老朽化したふ化場の機器の整備を促進することによって飼育環境の改善に取り組むこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 昨年、私どもの会派の数名で先進地と言われている北海道の東岸のいろいろなふ化場とかを見てきたんですけれども、いろいろな機械があって、またサケが微妙なもので、例えば水温も管理しないと、水温が高過ぎると適期放流の時期よりも大きくなり過ぎて、放流しても回帰率が落ちるとか、見たときに摩周湖の水を引いているふ化場があったんですけれども、摩周湖というのは全部わき水ですから、温かいんですね。温か過ぎて、今度は適期よりも速く大きくなるということがあって、何の機械を置いているかというと、水温を落として適期にちょうどいい大きさとして放流できるように育てるような機械を置いている。そういった微妙なものだというのを見てきましたけれども、岩手においても、例えば水の中の酸素の量が問題だとか、さまざま微妙なものがあるようですけれども、曝気槽、酸素を水に加える槽とか、そういった温度を調整する機械とか、そういったものももしかしたら必要な面があるのではないかと思って見てきましたが、その点はどうなんでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 ふ化場の飼育に関する機器のお話でございますが、確かに水温を高くしたり低くしたりというのは理想的なんですが、非常にお金がかかります。それで、岩手県の場合は、わき水は水温が高いので速く成長します。ですから、ある程度川の水もまぜたり、そうやって調整する部分がございます。
 あと、酸素については、委員おっしゃったとおり曝気装置をつけて、同じ水量でも含まれている酸素の量が高くなるわけですので、飼育能力が高くなる水として使っているところがございます。
 これらの機器についても、国の交付金で対象とならない機器の整備について、県単の補助事業をこの緊急対策事業の中に入れておりまして、具体的に取水ポンプ、それから給排水の配管、ふ化槽、自動給餌機等を導入していけるような機器整備の事業を創設しておりますので、これを活用して健康な稚魚をつくるほうに役立てていくというふうに考えております。
〇嵯峨壱朗委員 サケは大体4年で帰ってくるわけでありまして、即、効果が出るというものでもないのでしょうけれども、ぜひ地味ですけれどもできる限りの手を打っていただいて、サケがとれる、とれないというのは大変重要な、先ほども申したとおりでありますので、ぜひ実施、対策を進めていただきたいと思っております。
 以上であります。
〇郷右近浩委員 私からは1点質問させていただきたいと思います。
 先ほど伊藤勢至委員のほうからも岩手の豊かな森林についてのお話、またさらには、先日の環境生活部の審議の際にも伊藤勢至委員のほうからCO2の吸収であり、そうした森林のこれからの可能性といった部分での質疑があったわけですけれども、そうした部分で、この森林とまさに向かい合っている当部において私は質問させていただきたいと思います。
 この森林のCO2の吸収という考え方については、もちろん京都議定書であり、またさらには先日も洞爺湖サミット等でも若干話し合われた部分であります。
 その中で、昨年9月11日を初めに4回本県で開催されました環境と共生する地域社会を考える懇談会という懇談会の中で、特にもCO2の森林吸収を中心としたカーボンオフセットや、また、排気量取引についての考え方が研究者、そして民間、行政よりの8名の委員により交わされております。
 この森林のCO2吸収量を売買するという可能性は、県土が森林だらけである本県にとってはまさに金のなる木を手に入れることにほかならないと思うわけであります。また、秋から排出権取引制度の試行が始まると言われておる今日に至っては、今、早急にそうした考え方を整理していくことが必要であると考えるところでございます。
 そこで質問でございますけれども、森林のCO2吸収量を売買可能なクレジットして売り出そうという試みがある中、今現在の国の取り組み状況はどのようになってるのか、まずお知らせいただきたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 CO2吸収量の売買に関する国の取り組み状況でございますが、国では、京都議定書に定める我が国が担うべきCO2排出削減量をしっかりと確保する必要があることから、排出量取引を本格的に導入する場合にどのような条件が必要か、こういったものを明らかにするために、昨年10月から経済産業省等が運用する排出量取引の試行を開始したところと聞いております。
 また、一方、企業の社会貢献活動といった観点からの自主的な取り組みを促進するということで、これも同じく昨年の11月からでございますが、環境省が運用しております、いわゆるオフセット・クレジット制度を開始したと聞いているところでございます。
 これらの二つの制度でございますが、現在のところ、いずれも私ども森林・林業の分野で申しますと、化石燃料の代替エネルギーとして木質バイオマスを利用する場合のCO2排出削減量を売買するものということでございまして、委員お尋ねの森林のCO2吸収量を売買の対象とすることにつきましては、二つ目に申し上げました環境省のオフセット・クレジット制度のほうで現在、検討していると聞いておりまして、現時点ではパブリックコメントを環境省のほうで終了しまして、今、意見集約中と聞いているところでございます。
〇郷右近浩委員 まだまだこれについては検討している中ということはわかりましたけれども、例えば東京都などでは排出量の取引制度を導入しようとして、そしてみずから自然エネルギーの導入目標を2020年で20%というような目標数値をつくっておりますけれども、恐らく達成できるかできないかといったような中にあっては、もしこれが達成できない場合はよそから買ってくるといったことが現実のものになり得るのではないかと考えるわけであります。
 これについては、例えば岩手のそうした吸収量を買うことになった場合は、東京都からしてみれば、そこに対価が発生するとするならば、岩手の森を私たちがお金を出して守っているんだといった大義名分ができるわけですね。そして、当県にとってはそれの対価が入るといったことが可能になってくるという可能性もある今回の話し合いになっているわけでございます。
 だとするなら、当県においては今までもさまざまバイオマス等については国の中でも一歩リードしながら早く取り組んできて、そして今のさまざまな施策を打っているというような形になっておりますが、そうした中でも、今回のこのCO2の吸収量取引、排出量取引、そうした部分についても県として早急に取り組んで、そして一体何が必要なのか、どのようにすればそういったものを先んじれるのかといった部分まで考えていくことが必要だと思われますが、現在の岩手県はどのように取り組んでいるのか、そういったことをお知らせいただきたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 国の動向あるいは他の都道府県の動向を踏まえた私ども本県の取り組みでございますが、岩手県においても委員御指摘のとおり豊富な森林資源がございますから、これを活用しまして、木質バイオマスの利用あるいは森林のCO2吸収量を評価して排出量の取引を導入することは、森林環境ビジネスの創出など、林業や山村地域の活性化に貢献するものと考えているところであります。
 そうした中で、現在、先ほど御答弁申し上げましたとおり、国の動きも日々変わっているところではございますが、私どもとしても制度導入に向けた具体的な検討を早急に行い、国の流れに負けないようにという思いがございますので、そういったために、産学官で構成します森林・林業関係二酸化炭素排出量取引等研究会を3月12日に設置したところでございます。
 この研究会でございますが、今月下旬には第1回の研究会を開催いたしまして、まず国の情報を収集するとともに、それを踏まえて本県の対応方向などを検討してまいります。そして、木質バイオマスの利用拡大、あるいは委員から御指摘ございました森林のCO2吸収による排出量取引等への参加を促進してまいりたいと考えているところであります。
〇郷右近浩委員 なかなか手探りな部分もある中でということになると思いますけれども、ただ、この取引というのは、例えば自治体間取引だけではなくて、各県内企業とか進出企業とかにとっても、そうした排出権取引というか、吸収量を与えられるということになれば、今までとちょっと違った企業誘致にも結びついてくるのではないかというような可能性があると思うんです。
 そうしたことで、やはり物すごく当県にとってはメリットがある事業になり得るものだと思いますし、ただ、そのためにも環境生活部と連携しながら、そして、例えば県の環境保健センターなど、これは当部に対しての質問としてはちょっとおかしいかもしれませんけれども、かなり優秀な方もいらっしゃるということで聞いておりますので、そうしたところとさまざまな調査等をしたり、またさらには、本当に決めていくこと、そしてさまざま図っていくことが多いと思うんですけれども、例えば問題としては、本県の森林面積、例えばもちろん国有林、そして県有林、組合等、また私有林、そうしたさまざまなものがあるわけですけれども、国では一括して岩手はこのぐらいだというような見方しかしてこない中で、そのときに、いざこういった制度が始まるといったときには、いや、岩手はこれだけあるんだといったことがきちんと話ができるような準備というものも続けていかなければいけないのではないかなと感じているところであります。
 何とかそうしたことをやりながら、環境生活部と一緒になって、そういうときが来たらすぐにでも手を挙げられるような体制をとっていただきたいと思いますが、御所見をお願いいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 農林水産部といたしましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、間伐などの森林整備によるCO2吸収源の対策に引き続き取り組むこととしております。
 また、木質バイオマスの利用拡大、あるいは森林のCO2などを活用した排出量取引等への参加を促進することとしておりますが、今後、やはり地球温暖化対策ということになりますと、委員のお話にございましたとおり環境生活部が所管部でございますので、関係所管部を初めとする関係部局と十分連携を図りながら、環境施策の取り組みが私ども林業振興にも寄与できるように、そのような形で努めてまいりたいと考えております。
〇小野寺有一委員 私からは、林業と水産業それぞれ1点ずつ伺わせていただきたいと思います。
 まず、林業のほうから伺わせていただきます。
 岩手健康しいたけモッコリくんについてであります。モッコリくんについてお尋ねしたいと思います。
 本県のモッコリくんを初めとするシイタケは品質が大変よいということで、岩手のブランド化に非常に大きく寄与しているのではないかと思うわけであります。全国的にも、聞いたところによりますと非常に高い評価があって、九州の大分県、それから宮崎県に次ぐ第3位の一大産地だということであります。ただ、1次産業のほかの業種とか、そういったものと同じように、やはり生産者の高齢化とか、あるいは後継者不足というのが共通の悩みになっていると聞いておりまして、特に原木シイタケは、重いものを扱ったりということで大変厳しい状況にあると伺っているわけでありますけれども、例えば菌床シイタケなんかと違って、原木の場合には外でつくるものなわけでありますので、例えば散水施設みたいな、天候に左右されない栽培システムを、今も導入されているんだろうと思いますけれども、それを促進していくこととか、あるいは生シイタケを通年出荷できるようなことを考えていくとか、そういった生産の経営体の安定的な発展を図る必要があると思うわけであります。
 午前中の高前田部長からの御説明のときにも、重点化施策の一つに経営体のレベルアップを図っていくというようなこともありましたので、そういったことに対しての現時点の取り組みの状況をお示しいただきたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 健康しいたけモッコリくんに関するお尋ねでございますが、現在の私どものシイタケの生産振興に係る取り組み状況でございますが、県が現在行っております事業で申しますとしいたけ等特用林産振興対策事業でございますが、この事業で現在取り組んでおりますのは、まず、ほだ木整備など生産施設整備への支援を行っております。また、委員からもお話がありましたが、天候に左右されないということで、ハウス等の施設を活用しました栽培技術研修会の開催、さらには、森林組合に対するシイタケの原木供給、これの安定供給に必要な資金の貸し付けなど、生産体制の強化に努めているところでございます。
 また、一方で、振興局による普及指導活動を通じまして、品質の高いシイタケの生産や、あるいは栽培管理での技術指導、相談、あるいは各種融資制度に関する相談などに対応するなどしまして経営面の支援を支えているところでございます。
 さらに、首都圏等における本県産シイタケの特別入札会を開催するなどしまして、こういった支援を行うことによって販売促進にも現在取り組んでいるところであります。
〇小野寺有一委員 大変多彩なメニューが用意してあるということで、非常に環境としては整っているのではないかと思うわけでありますけれども、先ほど総括課長のお話の中で一番最初に出てきた、しいたけ等特用林産振興対策事業でありますが、予算の説明書で158ページのところに、しいたけ等特用林産振興対策事業費ということで5、043万1、000円計上されております。そこのところに補助率3分の1と書いてございますが、実際に生産者の方にお目にかかって話を聞いたところ、この3分の1というのが、どんどん補助率が下がってきてしまっていて、補助としてのうまみというかメリットというのが非常に薄くなってきているということを聞いております。その理由を教えていただきたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 ほだ木整備の助成額が年々減少しているのではないかということでございますが、その理由でございますが、原木シイタケの生産振興に関して有効な手段として、生産に不可欠なほだ木整備の助成というのは、非常に重要なものだということで我々取り組んできたところではございますが、限られた予算の中で、できるだけ県内各地域にございます多くの生産組合に助成を行うこととした結果、1生産組合当たりの助成額がどうしても限度額の3分の1に満たないということで、減額せざるを得ないということで対応してきた経緯がありますことを御了解いただければと思います。
〇小野寺有一委員 たしか生産組合などに対してのそういう補助だったと承知しておりますけれども、そういった生産組合がもしもふえて、それで、そういう補助が欲しい人がいっぱいふえてきてということであれば、必ずしも悪いことではないのかもしれないけれども、ただ、予算の総額がどういう推移をたどっているかわかりませんが、もしかして総額が減少しているために補助額が減少しているということであれば、やはり大変なことだと思いますので、そもそもこの事業費の枠をふやせるような余地があるのかどうなのか。それがもしも財政的に、つらいんだろうと思いますけれども、それを、要は、例えば、先ほども言ったように、最大の問題は高齢化とか後継者不足なわけでありますから、例えば、新規の参入者に対してはなるべく高い補助率を維持するとか、そういうふうな、今の問題の解消とか、あるいは緩和できるような取り組みがなされているようであれば教えていただきたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 厳しい財政の中でそれを解決する方法、あるいは緩和する、あるいは新たな取り組みということはないのかということでございますが、委員お見込みのとおり、なかなか予算的に増額するというのは、現在の財政状況では厳しいと私ども考えております。
 しかし、その中で、本県のシイタケの生産振興を図っていくためには、やはり高品質なシイタケを安定的に生産できる、こういった体制をより強化することが重要であると考えているところであります。
 先ほどから何度か委員のほうから、生産者の高齢化の中で生産量が減少しているという御指摘がございましたが、そういった中で、やはり私どもとすれば、今後は、特に高齢化等に対応した新規参入の促進といったところ、あるいは品質や単位収量の向上といったものを目指していくことが課題ではないかと考えております。
 このため、県としては、新規参入の促進を図るため、現在の支援制度をリニューアルしまして、平成21年度から、新たに技術力向上のための新規参入者向けの基本技術研修会の開催を行います。また、どうしても新規参入者は、最初に、ほだ木からシイタケが出るまで何年か時間がかかりますので、その場合の最初の手当てが必要でございますので、そういった意味での新規参入者の負担を軽減するほだ木の支援整備を重点的に新規参入者に行います。こういった形で担い手の確保、育成を図ってまいりたいと考えております。
 また、それ以外にも、増殖、いわゆる増産技術の向上のために、引き続きハウス施設等を活用した栽培研修の開催、あるいは各種制度資金の有効活用の促進など、生産体制の強化に引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇小野寺有一委員 ありがとうございます。岩手健康しいたけモッコリくんが、ぜひ全国ブランドに、もっと知られていくように頑張っていただきたいと思います。
 次に、水産の関係のことを伺わせていただきたいと思います。
 私の地元の漁協の組合長から、水産振興の、特に振興局の体制がどうなっているか、小野寺君は、多分、振興局の名簿を持っているだろうから職員数を数えてみろと言われたわけであります。それで数えてみましたら、やはり水産の関係の職員の方と農林の関係の職員の方のバランスが、少なくとも沿岸の振興局としては適切ではないのではないかというようなことが浮かび上がってきたわけであります。
 私は釜石ですけれども、今度、広域振興圏ということで宮古から陸前高田まで、振興局はそのうちに宮古、釜石、大船渡と三つございますが、そこの広域振興圏の中で、今、農林水産業のいろいろな生産額がどういうふうになっているかというのを調べてみましたら、平成18年と17年のものが両方入っていますが、農業が159億円、林業が66億円、農林業の経営の生産額が225億円に対して漁業の生産額は244億円であります。農林業に対して、少なくともその3振興局があるところでは、10%以上、漁業の生産額のほうが上回っているわけであります。
 それに対して、今の宮古、釜石、大船渡の3振興局と、それから岩泉のサブセンターにどういった職員の方が張りつけられているかというのを計算して、農林水産企画室からも先ほど確認をいただきましたが、農業関係で76人、林業で40人、農林業系が116名に対して、漁業が55名でありました。先ほど申し上げましたように、生産額は水産業の生産額のほうが10%以上上なんだけれども、人の張りつけは半分以下というような配置になっているわけであります。
 これは、普通に考えると、少なくとも、内陸ならわかりますけれども、沿岸に配置されている職員のバランスとしては、やはりおかしいのではないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
〇小田島副部長兼農林水産企画室長 水産部門に配置する職員数についてでございます。
 職員の配置につきましては、それぞれの業務量に応じた適正な配置を原則としつつ、地域の実情や施策の重点化の方向等に配慮しながら、各部門で必要な職員数を配置してきたところでございます。
 御指摘のとおり、沿岸広域振興圏におきます部門ごとの生産額に対する職員配置数につきましては、農林部門に比べて水産部門が少なくなっている、そのとおりでございます。これは、各種許認可や補助、融資の業務量、さらには、技術指導の対象やその内容などの違いから、結果として農林部門の職員配置数が多くなっているものでございます。
 ちなみにでございますが、本県水産部門の職員配置数、これは1人当たりの生産額で比べました場合、先ほどもちょっと伊藤委員からお話があったんですが、青森県あるいは宮城県、水産業が非常に盛んでございますが、そこよりは多く配置されている状況にございますが、だからいいというわけではなくて、職員の配置につきましては、いずれ不断にいろいろな見直しを行うことにしております。
 平成22年度におきます振興局の再編に向けまして、特に水産部門につきましては、本庁から権限も人も移そうという基本的な方針のもとに行っております。そういうことで、高前田部長からも御答弁申し上げましたが、水産業の振興を、積極的に攻めの水産業を図ってまいりたいと考えております。
〇小野寺有一委員 ありがとうございます。先ほど、施策の方向性とか、あるいは許認可とおっしゃいましたか、いろいろなそういう事情を勘案していって今の体制になったのだという話がありましたけれども、例えば、県庁の中で言えば、僕は、今回の部局別審査で、一番最初のころの総務とか出納局というところで行革とか職員数に関してのことを大分聞きましたが、ああいうコストセンターのところは、やはりどんどんスリム化を図っていくべきだと思うんですけれども、例えば、農林水産部とか商工労働観光部とか、こういういわゆる県民所得を上げるところのプロフィットセンターにいらっしゃるところというのは、やはりそれなりの配置をしていかないと、要は、普通の会社で言えば、経営が苦しいからどんどん営業マンを削っていったり、それからどんどん工員を削っていったらば、売り上げも何も上がらなくなるのは当たり前のことでありまして、そういう県民所得に結びつくようなことであれば、やはりある程度の配置をしていかなければ、結果に結びついていかないのではないかと思うわけであります。
 特に、いわて希望創造プランで、平成22年度までに広域振興局、先ほどから言っているように、宮古から陸前高田までのこの広域振興局内で、農業で、先ほど159億円のものを161億円に上げると言っています。それから、林業の66億円を77億円に上げると言っています。それぞれ、1.25%のアップと、林業は16.7%のアップ、農林業を合わせると5.8%のアップを期待されているということであります。
 それに対して、漁業は244億円のものを287億円に上げようということで17.6%アップさせようと。要は、農林業よりも3倍高い目標値を与えられているわけであります。そういう意味では、やはり今配置されている人の数というのは、先ほど、目指すべき政策の方向性についてであると、それから新しい広域振興局体制でもそういったものを目指していくとおっしゃっていましたけれども、そういった生産額の目標値に対応した人事配置というのは、新しい広域振興局体制の中でどういうふうに想定されていらっしゃるのか、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。
〇小田島副部長兼農林水産企画室長 現時点で何人が何人になるというような具体的な数字をお示しいたすことはできませんが、いずれ、特に水産部門につきましては、先ほど申し上げましたとおり、本庁の機能を広域振興局に、大きくは二つございまして、地域営漁計画の重点課題の支援、それからもう一つ、水産流通の加工に関する業務、こういうものを移管しようと。それで、いわゆる沿岸の広域でそういう1次から6次まで支援できるような体制をきちんと整備していこうと。そういうことによりまして生産額を高めていこうと。そういう考え方でもって望もうと考えているころでありまして、そういうことの取り組みによりまして、生産額を目標値に高めていくという取り組みをしたいと考えております。
〇岩渕誠委員 私は、県有林の経営改善等につきまして、絞ってお伺いしてまいりたいと思います。
 県有林は、御承知のとおり、林業公社との経営の一元化が図られて、これは、債務が大変膨大に上りましたので、これは財政面でも相当難しいということでそう踏み切ったということでございまして、その経営改善の取り組みというのは、一元化をした、まさにここからが本格的なものだと思っております。
 一元化によって、林業公社から620億円の債務を県は引き継いでいると思います。それをどういうふうにして返していくのかというのがまさに問われてくるわけでありますが、新年度の県有林事業の歳入歳出予算を見ますと、一般会計からの繰り入れが30億円を超えたと。これは、単純に公庫資金への償還金がふえてきましたから一般会計から入れる額がふえるということだと思います。ここには書いておりませんが、県有林事業費に占める新年度予算での公庫への償還金、多分、全体の6割ぐらいかと思うんですが、まず、そこからお聞きしたいと思います。
〇藤原森林保全課総括課長 まず、県有林事業特別会計に占める公庫への償還の割合がどれくらいかということでございましたが、特別会計約33億円ありまして、そのうち、平成21年度に償還すべき額でありますけれども、これにつきましては、元利合わせて23億7、980万円になっております。
〇岩渕誠委員 ありがとうございます。これがだんだん減るのであればいいのですが、今後、相当ふえるという見通しがシミュレーションされております。ピークが平成48年度で大体34億円ですね。そして、今後40年間、その特別会計の支出の大半を旧農林漁業金融公庫償還金が占めるということでございます。つまり40年間借金を返し続けて、実は、その後にようやく伐期が来て収入が入るということで、それが40年ぐらい続くということですから、80年の長いところでこの会計を管理していかなければいけない。当然、その部分についての一般会計からの繰り入れを考えると、これは、本当にこの会計をしっかりと見ていかなければならないと思います。
 そこで、県は、一元化に当たって経営改善への取り組みというものを示しておりました。私なりに考えますと、三つ柱があったと思っております。
 まず第1に、森林管理区分の導入ということです。これは、分収契約をしておりますから、県としてお金になるところを長伐期施業林と規定しましたね。僕から言わせると、これは採算林だと思います。それから、それ以外のところをその他施業林としていますが、僕から言うと、これは不採算林ということですね。
 県の計画では、不採算林を所有者と契約を解除して、それによって繰り上げ償還をしていく、こういうことがまず一つのところだったと思いますが、これが、やはり問題なのは、その他施業林というのは不採算林ですから、返されたときに所有者がどうなんだ、困るということで受け入れられなかった場合は、この繰り上げ償還収支見通しに大きく影響するということであります。この進捗ぐあいが今時点でどうなっているのかお示しいただきたいと思います。
〇藤原森林保全課総括課長 その他施業林への取り組み状況についてでございますけれども、県有林におきましては、先ほど委員お話しされましたように、自然災害等により良好な成長が期待できない森林、これは、人工林面積約7万ヘクタールのうち2割、1万4、000ヘクタールと見込んでいるところでございます。これにつきましては、その他施業林として、旧農林漁業金融公庫資金の利息軽減を図るため、平成29年度までに解約することを目標に、現在取り組んでいるところでございます。
 平成20年度は、このうち約1、000ヘクタールを対象に解約の交渉を進めているところでございますけれども、その結果、これまでに約5割の450ヘクタールについて同意を得ておりますほか、約4割につきましては、これは384ヘクタールになりますが、解約の交渉を継続中でございます。
 また、約1割、125ヘクタールにつきましては、不同意というような形になっております。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。いずれ、この解約がスタートしたのが今年度でございまして、今年度どうだったのかというのが来年度になるということだと思いますし、順番から行って、一番もうからない不採算林のところから解約がスタートしていると思いますから、ことしの状況が、大体この後の傾向に、少しはよくなってくるのかなと思っていますが、状況をお聞きしますと、1割はもう完全にだめだ、4割は交渉中だということのようであります。この4割の方を、不採算林だといって押しつけるというのもどうかと思いますが、さりとて、資金計画からいうと、これもきちんとやらなければいけないということ。これは、やはりどういう進め方をしてやっていくかを一つ聞きたいと思いますし、それから、どうしても不同意だという場合には、これはどうするのかということを本当に真剣に考えなければいけないと思うんですが、この辺の対策はどのようにお考えですか。
〇藤原森林保全課総括課長 まず、解約の協議でございますけれども、やはり森林所有者の方、契約者の方に十分県の事情等を御理解いただいた上で応じていただくということを基本にしておりまして、今年度100名以上の方々と折衝しておりますが、やはり文書だけ出すのではなくて、振興局の職員が、個別に文書を携えて所有者のところに出向いて、十分事情を説明してお話をしているところでございます。その結果、やはり、どうしても自分のところでは管理できないということで不同意というのが、1割おるということでございます。
 この不同意の方が出ますと、やはり経営改善に支障が出てくることになりますけれども、この辺につきましては、こういった取り組みのほかにもさまざまな経営改善の手法があるわけですが、経営改善がちょっと停滞するということも踏まえまして、新たな対策もあわせて進めているところでございます。例えば、列状間伐を導入した立木販売によりまして、搬出コストの低減を図って収入の増大を図る、あるいは立木売り払いのための調査を外部委託することによって経費を節減するなど、新たな対策もあわせて進めようとしているところであります。
 それから、これまで林業公社の経営改善を推進する関係府県と連携を図りながら、旧林業公社から引き継いだ公庫資金の利子償還に要する経費につきまして、国に対して、特別交付税措置をするように繰り返し要望してきたところでございます。この結果、この支援策が平成21年度から措置されることになりました。このことによりまして相当の経費の節減が図られると思っております。
 いずれにいたしましても、県有林の経営改善を図るために、引き続き、さまざまな支援策を国のほうに要望してまいりたいと思っておりますし、この金融面だけではなく、いろいろなコスト縮減等に取り組みながら、着実に経営改善に取り組んでまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。いずれ、北上山地をかつて歩く機会がありましたけれども、やっぱり所有者からしてみると、当時の材価を計算すると、本当に50年たったら、みんなでこの地域でハワイに行けるなということで、夢を託して県行造林あるいは公社林ということで提供したという方が多いわけであります。それが、何十年たって、済みませんでした、ここは売り物になりませんということで返されるということでございます。
 そうしたところを踏まえて、丁寧な説明をしていただきたいというのが一つと、もう一つは、県管理を離れて所有者にお返ししても、実際のところは、そこに対しての十分な整備というのは、現状の中でなかなか難しいと思うんですね。ですから、経営の一方で、山全体の森林資源の保持あるいは環境的な側面から言うと、その部分もきっちりと指導あるいは助言をしていかないと、ただただ荒れた山を返して荒れたままにするということで、岩手の森林資源の評価をおとしめることにもなると思います。そこは、ぜひ、そうならないような指導が必要だと思うんです。そこをお願いしたいと思います。
 国の関係につきましては、今、御答弁ありましたが、やはり森林県連合、全国で34府県だったと思いますが、それだけ集まっているということは、やはりそれだけ共通して国に対して物を言いたいということがある。いえば、国の政策について、やっぱりちょっと物申したいということがあると思いますので、そういった部分も引き続きやっていただきたいと思います。
 それから、御答弁もう一つ、改善の取り組みの二つ目とすれば、管理体制の合理化というものを一方で図っていく必要があったと思いますが、これはどの程度お進みになっているのか。三つ目に関しては、今、国に対する働きかけということがありましたので、そこは結構ですが、その点をお願いします。
〇藤原森林保全課総括課長 管理体制の合理化でございますけれども、一元化をしたことによりまして、県有林の経営面積は、従来6万1、000ヘクタールでありましたが、その旧公社有林2万5、000ヘクタールありまして、合わせて8万6、000ヘクタールということで4割増となっております。
 こういった中で、やはりこういう事態でありますので、何とか経営の改善に向けて取り組むためにどうすべきかということで、大きくなること、スケールメリットを生かしまして、まずは、職員数の削減に取り組みました。平成18年度、県と旧林業公社を合わせた職員数は50名おりましたけれども、平成19年度は8名減の42名、それから、平成20年度には、さらに3名減の39名ということで職員数の縮減を図っていると。
 あわせて、県有林地内の巡視業務もあるわけですけれども、県有林監視員というものがございます。平成18年度は、県有林、公社合わせて317名おりました。これにつきましても、19年度は266名、20年度は240名ということで縮減を図っているところであります。
 また、巡視のやり方、境界保全等につきましても、これまで巡回だけでありましたけれども、境界をGPSを使ってデータ化して、しっかりとした合理的な管理をするということで進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 最後にします。いずれ、この県有林の問題は、最近、報道されることもほとんどないんですけれども、私は、県の財政上の問題、それから県の持つ森林資源の保持、それをどうやっていくか、非常にハンドリングが難しい中でおやりになる。しかも、先ほども紹介しましたが、40年間は借金を払って、そこからようやく本格的に収入が上がって40年、80年間かかってこの県有林事業というものが一つの区切りを迎えるということでありますと、本当に申し送りをしても、相当、2回りぐらいしないと大変だという状況でございます。それにつけても、やはりここの、一番初めのスタートの段階が大切でございますので、ぜひ、そこは御奮闘いただきますようにお願い申し上げまして、それに対して所感があれば、部長にお伺いして、終わります。
〇高前田農林水産部長 県有林の経営の問題につきましては、私どもとしても大変重要な問題だという認識を持っております。借入額が多額に及ぶということだけではなくて、委員御指摘のとおり、森林資源といったような観点からも重要な問題であると認識いたしておりまして、私どもとしては、今、森林保全課の総括課長から御答弁申し上げましたようなさまざまな経営改善の取り組みを鋭意やっているところでございますし、この問題は、岩手県のみならず、全国的な問題ということでございまして、各県との連携を図りながら、今、国のほうとのさまざまな協議もあわせて進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、そういった総合的な取り組みを今後ともしっかりとやってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、林業の問題で、県産木材の活用対策はどうなっているか。県産材を活用した住宅への補助は既になくなっていますけれども、先ほどの話だと、相談事業をやっていると。これは、県産材を活用した住宅建設の推移というものを把握しているのかどうか。
 二つ目、林業分野での雇用対策について。国の緑の雇用担い手対策事業を含めて示していただきたい。
〇堀江林業振興課総括課長 県産材の活用対策ということでございますが、県産材を使った住宅の推移というのは、正確なところまで把握しているところではございませんが、先ほど伊藤勢至委員のところでお答えしたとおり、平成17年度まで約20年にわたり取り組んでまいりました補助、この補助事業の対象となった交付件数は、全部合わせますと3、151件と把握しているところでございます。
 こういった中で、私どものほうでは、現在の取り組みとして、一つは、県産材の活用促進を図るために、林業関係団体が中心となって取り組みを進めております県産材証明制度の普及啓発を図ってまいりたいと考えておるとともに、県が率先垂範して公共事業等で県産材を利用していく、こういう取り組みを進めているところであります。
 一方で、販路拡大という面も大事でございますので、そういった中で、県内外の商談会を開催しまして、木材業界と工務店とのマッチングを進めているところであります。
 また、山から大口需要者に対して安定的に原木を供給するために、地域の団体で構成しております木材需給協議会等を開催しまして、そういった受注調整を図っているところであります。
 また、県北沿岸の主力の樹種でございますアカマツにつきましては、来年度から新たに強度等の性能表示を示しまして、アカマツ乾燥材を首都圏等に販売する、こういった取り組みも進めて、県産材の需要拡大に取り組むこととしております。
 また、できるだけ多くの県民の皆様に県産材を使っていただくという観点から、木材を供給する木材業界、あるいはそれを使う建築業界、さらにはエンドユーザーであります県民の皆様との連携が必要であるということから、木とくらしの相談所を通じた建築士による地域材利用の提案を行うとともに、あるいは地域材を活用した家づくりのフォーラムなどの開催を今後進めて、その中で県産材を活用した住宅建設の促進に努めてまいりたいと考えているところであります。
 引き続き、雇用の関係でございますが、私のほうからは、林業分野の雇用対策全般についてお答え申し上げたいと思います。
 林業の雇用対策については、やはり林業分野でも従事者の育成、確保が喫緊の課題となっており、新規参入を促進する必要があると考えております。
 一方で、林業の場合は、技術習得までに一定の時間が必要であること、あるいは作業現場での状況も厳しいということもございますので、関係機関、団体と連携しまして、岩手県林業労働対策基金に常設しております相談窓口において、就業相談を受け付けるとともに、参入希望者と森林組合等─雇い主でございますが─とのマッチングを行うために、先日、いわて森林の仕事ガイダンスを開催しております。
 また、技術習得が必要でございますので、こういったための緑の雇用担い手対策事業による現場研修を実施したり、あるいは現場作業での安全性、効率性といったものを向上させるための高性能林業機械の導入を促進してまいります。
 さらには、国の緊急雇用創出事業などを活用しまして、林業分野での臨時雇用を創出するための間伐作業、あるいは森林の修景作業なども実施する予定でございまして、こういった中で、こういった対策を通じまして、林業への新規参入の促進と雇用創出に努めてまいりたいと考えているところであります。
〇竹田森林整備課総括課長 私から、緑の雇用の実施状況につきましてお答え申し上げたいと思います。
 この緑の雇用につきましては、国が直接、新規就業者に技術習得を支援している事業でございますけれども、事業が始まった平成15年度から今年度まで6年間に、本県におきましては288人が現場研修を受けております。そのほとんど97%に当たる278人が森林組合等に新規雇用されてございます。
 これは、この間、6年間の林業への新規就業者全体の約7割を占めてございます。そのように、緑の雇用対策が、林業従事者の減少、高齢化が続く本県にとりまして、従事者確保の有効な対策となってございます。
 平成21年度につきましては、堀江総括課長からもお話ししたとおり、去る3月8日に開催されましたいわて森林の仕事ガイダンスによる雇用主側とのマッチング等を通じまして、現在55人の緑の雇用研修生が予定されております。
 県といたしましては、研修者を受け入れる森林組合や林業事業体に対しまして、研修が適切に行われるよう指導、助言を実施してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 県産材を活用した木造住宅が20年間続いて、3、151件ですか、年間150件ペースですよね。それがもうやめられて、どのぐらい県産材を使った木造住宅がつくられているかもわからないと。私は、これは極めて逆行現象だと思います。環境共生住宅と陸前高田市に木造の県営住宅まで最近つくっているのに、私は、やっぱりこれは検討すべきだと思いますよ。
 少なくとも、県産材を使った木造住宅がどう進んでいるのか把握もしないというのでは、今まで20年間、何をしてきたんだということになるので、これもぜひ検討し直していただきたい。環境の世紀の時代に、これからこそ、こういう取り組みが必要なのではないか。
 あと、雇用対策で、緑の雇用事業が大変大きな成果を上げているということでお話がありました。私もそういう話を聞きました。陸前高田市で20代、30代、年間7人が研修をしていると。ところが、1人当たり月9万円で10カ月だというんですね。この期間だけでは技術の習得が難しい、こういう意見もありました。本当は3年かかるんだと。
 そういう意味でいけば、この制度の拡充というか、県がそれを補完するというか、そういうことが必要なのではないかと思いますので、これは、優しく指摘だけにとどめて。
 次に、水産対策。カキの販売促進について。
 加熱用のむき身のカキの出荷は好調なんですが、生食用の殻つきカキは伸び悩んでいるようです。一番おいしい春ガキの時期を迎えて、このカキの販売対策はどうなっているか。カキのノロウイルス対策、これはどうなっているか。
 二つ目、県産ワカメ、ことしも好調で高値で取引されているようです。一層のブランド力向上と生産者の意欲向上にどうつなげるか。協業化への取り組みはどうなっているか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 初めに、カキの販売促進についてでございますが、本年度における主要六つの漁協の生食用殻つきカキの出荷金額につきましては約7億円ということで、ノロウイルスの影響のなかった平成17年度に比べて9割にとどまっております。随分持ち直しているんですけれども、まだ1割ぐらいは、ノロウイルス以前には戻っていないということでございます。
 県では、漁協等が開催するカキ祭りや県内の量販店での消費拡大イベント等を支援しているほか、特に、春に出荷するカキについては、宮古漁協の花見かきのブランド化、それから、新聞等でも報道されております山田町で実施している観光とタイアップしたかき小屋のPRなど、積極的に支援しているところでございます。
 次に、ノロウイルス対策でございますが、漁協が実施している出荷前の自主検査を徹底するよう指導するとともに、本年度より国の交付金事業を活用し、山田湾等の養殖漁場におけるノロウイルスの分布把握など、監視体制の整備、強化を図っているところでございます。
 今後とも、関係団体と一層綿密に連携し、生食用カキの安全・安心の向上と販売促進に努めていきたいと思っております。
 それから、ワカメにつきましてですが、今盛んに刈り取りが始まっているところでございますが、平成21年産のワカメについては、直近の入札単価、これは3月12、13日ですけれども、前年同期の約8割となっております。昨年は、平成19年に比べ1.7倍という値段がついたわけですが、高騰した昨年を除く最近の平均単価に比べますと3割ほどの高値となっておりまして、本県の安全・安心で品質が高いワカメの評価が高まっているものと考えております。
 県といたしましては、今後とも、養殖漁場の生産性を高める漁協の地域営漁計画の取り組みの支援、本県が独自に開発した陸上刈り取り機や高速塩漬装置による機械化、省力化のシステムを推進すること、それから、契約栽培等の導入による生産者と加工業者の連携を強化すること、県漁連と連携した販売促進活動の展開などによりまして、漁業者の生産意欲の向上と三陸岩手ワカメのブランド確立に努めてまいりたいと思っております。
 また、協業化への取り組みについての御質問がありましたが、県内におきましては、広田湾漁協が協業体を組織し、大型船を利用して効率的なワカメ養殖の取り組みを開始しているところでございます。
 県といたしましては、地域営漁計画に位置づけられましたモデル的な取り組みとして、こうした協業化を県内の他地区にも普及し、ワカメ養殖の担い手確保と生産量の拡大につなげてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 次に、秋サケの問題が先ほども議論になりました。私ももうちょっと立ち入ってお話を聞きたいんですけれども、8年ぶりに100億円を超えましたが、漁獲量は7年ぶりに2万5、000トンを割った。かなり明暗が分かれた現状になったと思います。特に、大船渡が倍以上とか、宮古は6割とか、県内でもかなり明暗が分かれたのですが、北海道が7割にとどまるとか、秋サケをめぐる状況というのは、ことしは大変な変動といいますか。
 ですから、私は、秋サケの回帰率の研究というのは、実績回帰の研究もありましたが、ことしの要因と中長期的な要因とあるのではないかと。そこいら辺、県内もいろいろ明暗が分かれたので、その点での原因と対策をどう考えているか。
 あと、ヒラメの種苗放流事業の実績、投資効果と今後の見通しについても、改めて示していただきたい。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 秋サケのお尋ねでございましたが、回帰率につきましては、先ほど伊藤委員に答弁したとおりでございますが、ことしは南高北低型といいまして、サケが県内の南で大量にとれて、北で少なかった、この原因について、まず御説明したいと思います。
 サケが戻ってくる冷たい親潮の水が、ことしは若干弱かったということ、それから、暖かい津軽暖流、津軽海峡に日本海の暖流が流れていますけれども、津軽海峡を通って太平洋側に出てくる張り出しが強かったため、サケの魚群が沖合を迂回して金華山近くまで南下して、そこから北上するというパターンをとったため、南ほど豊漁になってございます。
 それで、委員のお話にもありましたが、前年比ですけれども、大船渡では2.3倍、釜石で1.1倍、宮古、久慈は前年割れの0.7倍とか、そういった状況になってございます。
 これは、年によって、こういう海況の形成の仕方で、北でたくさんとれる年、南でたくさんとれる年、県央でとれる年とか変化しますので、この辺は仕方がないんですが、トータルの尾数が減ったというのは、これは間違いなく宮城県を迂回したため、宮城県がたくさんとれていまして、2倍近くとれているので、宮城県で3、000トンぐらい岩手県のサケを先取りされたのではないかと思っておりますが、これは確かめる余地はございませんで、そういったことじゃないかと思っています。
 短期的には変動するのでそういったものは仕方がないと思いますが、長期的に申しますと、やはり健苗を放流して戻ってくる率を高める、回帰率を向上させるのが一番の効果だと思っております。
 次に、ヒラメについてでございますが、ヒラメの放流事業について、放流事業の実績ですが、平成13年度以来、栽培漁業協会において、毎年110万尾を超えるヒラメの稚魚を生産し、県内各漁協の海域に安定的に放流しているところでございます。
 これによりまして、近年は、漁獲されるヒラメの2割ほどを放流魚が占めるというところまでなって、一定の成果は見えております。しかしながら、事業の投資効果につきましては、放流した魚の回収率が目標の20%を下回る状況が続いていることに加え、養殖、それから輸入等の増加などによりましてヒラメの値段がかなり下がっておりまして、投資効果指数は1を大きく下回っている状況にございます。
 このため、回収率の向上に向けて稚魚の生息適地への集中的な放流を進めるとともに、単価の向上に向けた大型魚や活魚などの出荷に取り組む、さらには、種苗の生産コスト削減に向けて、栽培漁業協会のほうで、えさの生産方式などの見直しを進めているところでございまして、今後は、このような取り組みの成果を踏まえまして、関係者で組織する魚類栽培運営委員会において投資効果を評価し、ヒラメの種苗生産、放流のあり方について、引き続き検討してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 これで最後にします。地域営漁計画の実施状況、支援する県の体制、水産技術センターや地域振興局水産部の体制は強化されているのか。
 漁業後継者対策、雇用対策、そして、合併漁協への県の支援、特に山田湾4漁協が10月をめどに合併協議を進めていますが、この県の支援策はどうなっているでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 地域営漁計画の実施状況についてでありますが、県は、平成18年と19年に、21の漁協での地域営漁計画を策定してきたところでございまして、平成19年度から、地域営漁計画推進特別対策事業を県の単独事業で創設しまして、延べ七つの漁協で養殖施設の整備を支援してきたところでございます。
 平成21年度には、新たに浜の6次産業化支援事業を創設し、地域営漁計画に掲げられた水産物の販路開拓、漁業者みずからの販路拡大の取り組み支援を行うところでございます。
 また、地域営漁計画の支援体制につきましては、平成18年度から、沿岸の地方振興局の水産部におきまして、地域営漁計画支援チームを組織し、漁協ごとに重点支援項目を定めて、集中的な取り組み支援を行っているところでございます。
 現在、平成22年から広域振興局体制の検討を進めているところでありまして、本庁で実施していた地域営漁計画等の企画立案部門を移管することなどにより、現地での施策の完結性を高めるとともに、水産技術センターはもとより、市町村、漁協と連携を図り、今後とも、地域営漁計画の支援体制の強化に努めてまいりたいと思っております。
 それから、後継者対策でございますが、新規就業者は、近年、30名から50名程度で推移しておったところでございますが、平成19年度は62名に増加しております。
 今後とも、地域営漁計画の取り組み支援や新規就業者の技術習得支援などに取り組み、漁業後継者の就業環境整備に努めてまいりたいと考えております。
 雇用対策についてでございますが、本庁及び地方振興局に相談窓口を開設し、就業相談や漁業に関する情報提供を行うとともに、養殖業については、漁協の地域営漁計画の取り組み支援により、経営体の規模拡大や漁協による養殖事業の促進等により、雇用の受け皿づくりを進めてまいります。
 また、漁船漁業につきましては、全国漁業就業者確保育成センターが開催するフェアの周知や、漁業現場での実践研修のあっせん等に努めてまいりたいと思っております。
 さらに、平成21年度からは、新たに県の漁業担い手育成基金と県の教育委員会が、水産高校等を中心とした地域の漁業・水産業の担い手プロジェクトを実施しようとしておりまして、水産高校の生徒を対象とした定置網や養殖及び水産加工場の現場実習を行うこととしており、県といたしましては、このような取り組みを支援し、漁業の担い手確保育成に努めてまいりたいと思っております。
〇門口団体指導課総括課長 山田地区の4漁協、大浦、織笠、山田湾、それから大沢の各漁協でございますけれども、これの合併につきましては、合併が円滑に進むよう、合併推進協議会等の場を通じて必要な助言を行い、漁協系統の主体的な取り組みを支援しているところでございます。
 また、県といたしましては、これまで合併した漁協に対し、繰越損失金に対する利子補給や事務処理を効率化するためのパソコン等の機器整備について支援してきたところでございます。
 山田地区4漁協の合併後の支援につきましては、今後、合併予定の4漁協、それから漁協系統、地元山田町と十分に協議、調整しながら、具体的な支援内容について検討してまいります。
〇関根敏伸委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇佐々木博委員 お疲れのところ恐縮ですが、1点だけ。森のトレーについて伺いたいと思います。
 来年度の予算でも償還金が計上されているわけでありますけれども、この償還金は、あくまでも延滞金の発生を食いとめるために、県が、いわば一時的に立てかえて償還しているわけでありまして、最終的には訴訟で勝って回収する、これが県の公式見解なわけでありますが、そこで、訴訟の進捗状況について伺いたいと思います。
 しばらくの間、争点整理ができないために公判が開けない時期がありましたけれども、恐らく争点も大体固まって随分進んでいるのではないかと思いますが、まず、その現況についてお聞かせいただきたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 森のトレーに係る訴訟の進捗状況でございますが、いわゆる非公開で行われております弁論準備手続、これが現在も続いておりまして、私ども、本年の1月22日に第19回目の弁論準備手続があったと聞いております。引き続き、4月に第20回の弁論準備手続があると聞いておりまして、その後のいわゆる裁判の進捗状況については、私どもも、現在のところはかりかねているというのが現状でございます。
〇佐々木博委員 通常で考えると、ちょっと異常なぐらい公判が開けない状況ですよね。弁論準備手続をやっているということは、争点を恐らくお互いがいろいろ出して、定まらないからずっとやっているんだと思いますが、具体的に、要するに何が決まらなくて公判を開けないでいるんですか。当然、弁護士から聞いていると思いますけれども、いかがですか。
〇堀江林業振興課総括課長 非公開ということもございまして、私どもも弁護士から聞いているのは限られた情報でございますので、今伺っているのは、私どものほうが支援しております原告が─トレー組合でございますが、原告の訴訟請求に対して被告側が全面的に争うという姿勢を見せておりまして、そういったことから論点整理に時間がかかっているとは伺っておりますが、一方で、ある程度の整理が今つきつつあるというところも伺っているところでございますので、この準備手続が、また2年も3年も続くということはないのではないかと推測しているところではございます。
〇佐々木博委員 どうも納得がいかないわけでありますが、あくまでも弁護士は訴訟代理人でありまして、それが、原告に、当事者に情報が入らないというのはおかしいじゃないですか。
〇堀江林業振興課総括課長 残念ながら、岩手県は原告当事者ではございませんでして、いろいろ経緯がございまして、原告は森のトレー組合、そして、それの補助参加という形で久慈市が入っております。そして、私ども、久慈市なりトレー組合、あるいは弁護士から間接的に情報を聞いているところでございますので、その中で情報として入っているのは、今申し上げたような内容とお考えいただければと思っております。
〇佐々木博委員 補助参加が認められなかったということはわかっています。だけど、訴訟費用は県で負担しているでしょう。それで、はっきり言えば、久慈市にまだ人が行っているのかな。いずれ、実質的な当事者ですし、県が償還金を払っているわけだし、それで情報が入っていないということじゃ、全く変な話だと私は思いますよ。
 やはり、きちんと打ち合わせをして、そして、この問題、どんどん時間がたっていきますと、私が一番心配しているのは、今度の不適正処理の問題でもそうですけれども、今、恐らくこれを県が負担するなんてなったら、なかなか県民の理解を得られませんよ。
 ですから、余り時間をかけないでやはり訴訟を促進すべきだと思いますし、何かお話を聞いていると、確かに当事者ではないんだけれども、はっきり言うと、原告にやめたと言われると県は困ってしまいますから、そういったところも多分、気を使っているところがあるんだと思いますが、しかし、やっぱりこれはもう少し迅速に進めるようにやらなければいけないのではないかと思います。
 あと聞きませんけれども、高前田部長、いかがでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
〇高前田農林水産部長 この訴訟の関係につきましては、私どもも重大な関心を持ってこれにかかわっているものでございます。その訴訟費用の負担の話も含めまして、私どもは、当事者であるという認識を持っております。
 ただ、弁論準備手続につきましては非公開で行われているということ、したがって、対外的に、その情報の公開については一定の制約があるということでございますが、私ども聞いている限りにおきましては、先ほども担当の総括課長から御答弁申し上げましたように、大分争点は整理されてきているということで、ここから先の見通しにつきましては、予断を許さないわけでございますけれども、それほどこの弁論準備手続が時間を要するとは見込んでいないところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、原告と一体となって、この訴訟で勝訴して、それでもって返済をしていくということに変わりはございませんで、今後とも、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 質疑がないようでありますので、これで、林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでございました。
 なお、明日、3月19日は、3月16日に可決いたしました平成21年度岩手県一般会計予算及び平成21年度岩手県立病院等事業会計予算の編成替え等を求める動議において、知事出席の上で対応の意思を示すよう示されているところでありますが、世話人会において、知事のほか、副知事、総合政策部長、保健福祉部長、総務部長、医療局長、関係部副部長等についても、あわせて出席を求めることといたしましたので、御了承願います。
 また、この件に関し、3月16日に開催いたしました世話人会において、委員は、知事の意思表明に関し、内容を確認する範囲において聞くことができる旨、申し合わせておりますので、あわせて御了承願います。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時25分 散 会

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