平成21年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成21年3月10日(火)
1開会  午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長   浅 田 和 夫
  議事担当課長   保 原 良 和
  主任主査    菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主査    鈴 木 文 彦
  主査    菊 池 芳 彦
  主査    齋 藤 貴 弘
  主査    藤 原 由喜江
1説明員
  知事       達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  総合政策部長   菊 池 秀 一
  総合政策部副部長
  兼首席政策監   中 村 一 郎
  政策調査監    大 平   尚
  政策調査監    渡 邊 健 治
  政策調査監    菅 原 伸 夫
  政策推進課
  総括課長     木 村 卓 也
  調整担当課長   小 向 正 悟
  政策推進課
  管理担当課長   伊 藤 孝 栄
  政策担当課長   八 矢   拓
  秘書課総括課長  新 屋 浩 二
  経営評価課
  総括課長     八重樫 幸 治
  政策評価担当課長 高 橋   勉
  調査統計課
  総括課長     佐々木 幸 弘
  広聴広報課
  総括課長     齋 藤 信 之
  情報公開担当課長 西 村   豊
  報道監      古 川 良 隆
  国体推進課
  総括課長     八重樫 典 彦

  地域振興部長   藤 尾 善 一
  地域振興部副部長
  兼地域企画室長  千 田   永
  地域振興支援室長 鈴 木 健 夫
  市町村課総括課長 浦 上 哲 朗

  総務部長     川 窪 俊 広
  総務部副部長
  兼総務室長    菊 池 俊 夫
  参事兼予算調製課
  総括課長    高 橋   信
  人事課総括課長  高 橋 嘉 行
  税務課総括課長  佐 藤 文 男

  議会事務局長   大 矢 正 昭
  議会事務局次長  中 田 光 雄
  総務課長     長 岡 栄一郎
〇関根敏伸委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第22号まで、議案第26号、議案第27号、議案第31号から議案第35号まで、議案第37号、議案第39号、議案第40号及び議案第74号の以上33件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会、総合政策部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、企画理事につきましては、体調不良のため欠席したい旨の届け出が提出されておりますので、御了承をお願いします。
 これより、昨日に引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。
〔「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇及川あつし委員 本日、私の総括質疑の中で、選挙管理委員会書記長に答弁を求めたい事項がございます。選挙管理委員会書記長の出席について、委員長、お取り計らいをお願い申し上げます。
〇関根敏伸委員長 ただいま要求のありました選挙管理委員会書記長の出席を求める件につきましては、昨日、及川あつし委員からその意向が示されておりまして、世話人会であらかじめ協議いたしておりますので、その結果を御報告いたします。
 選挙管理委員会書記長の出席を求める件につきましては、その職を兼ねる浦上市町村課総括課長が委員会室におられますので、世話人会においては、選挙管理委員会委員長に対し、書記長の出席要求を行うという結論に至っております。
 お諮りいたします。本日、選挙管理委員会委員長に対し、書記長の出席を求め、審査を行うこととすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 御異議なしと認めます。よって、選挙管理委員会委員長に対し書記長の出席要求を行うことに決定いたしました。なお、手続は当職に御一任願います。
 これより、昨日に引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。
   〔高橋博之委員質問者席に着く〕
〇高橋博之委員 政和・社民クラブを代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
 知事に直接質問するのは、おととしの12月定例会の一般質問以来1年3カ月ぶりであります。どうかよろしくお願いいたします。
 初めに、来年度予算についてお聞きいたします。
 昨年、知事は、初めてとなります本格予算の編成に当たられ、予算編成が大体どんなものか理解した上で、今回は2度目の本格予算編成となったわけです。行政経営者たる者、経済環境の変化をタイムリーに受けとめて機敏に柔軟に対応することは不可欠でありますが、昨年秋からの急激な金融経済環境の変化を受け、この異常性を具体的にはどのように予算に反映させたのでしょうか。いわて希望創造プランなどの前提条件からどこをどのように変えたのかをわかりやすく提示していただきたいと思います。
〇達増知事 金融危機に伴います世界規模での経済の減速によりまして、県民生活を取り巻く状況が厳しさを増している中で、いわて希望創造プランに掲げた県民所得の向上や地域医療の確保などの重点課題の克服はますます重要になっていると考えております。
 県といたしましては、いわて希望創造プランは今の経済社会の危機の克服を先取りしたものであって、その前提条件を変える必要はないと考えておりまして、このプランに基づく取り組みを県民の皆様とともに着実に推進することによって、直面する危機を希望に変えていくことができると考えております。
 一方、この異常な経済危機に立ち向かうために、厳しい財政状況ではありますが、平成21年度当初予算を8年ぶりに増額した予算案としまして、喫緊の課題である雇用の維持・創出や地域経済の活性化に迅速かつ的確に対応するよう、平成20年度補正予算と一体的に切れ目なく取り組んでいくとしているところであります。
〇高橋博之委員 予算編成に当たりましては、プラン・ドゥー・シーのシーの部分である監査が有効に機能していることが当然の前提と考えますが、元旦の日経新聞朝刊で大阪府の台本監査問題が取り上げられておりました。
 本県では不正経理問題もあったところでありますが、監査委員監査は有効に機能していると言えるのでしょうか。監査委員事務局の職員の政策評価能力やそもそもの独立性が問題視されており、日本版GAO、行政監視院の必要性なども叫ばれているところでありますが、本県はこの問題をどのように考えておられますでしょうか。
〇達増知事 監査委員においては、地方自治法に基づいて、財務に関する監査及び行政に関する監査等を適正に実施しており、委員御指摘の大阪府に関して報道がなされた、いわゆる台本監査のたぐいなどは本県では存在しないものと認識しております。
 本県における監査委員による監査は、予算の適正な執行等に関する財務監査に加えて、内部組織や事務処理の手続等に関する行政監査により必要な役割を果たしているものと認識しております。しかしながら、今回の不適切な経理処理については、限られた体制のもとで、監査委員においてすべてを完全にチェックすることが困難であったものと考えております。
 このため、今回の不適切な事務処理を踏まえて、執行部としては、管理監督者の意識改革や、発注者と検収者の分離など再発防止策を講じたところであり、一方、監査委員においても、今後、物品納入業者への確認を行うこととするなど、監査体制の見直しを図るものと聞いております。
 こうした取り組みによって、今後、適切な事務処理と、さらに厳格な監査の実施が進められるものと考えております。
 日本版GAO、行政監視院についてでありますけれども、米国におけるGAOは、連邦議会の附属機関として、歳出に対する会計監査のほか、連邦政府の政策や将来計画についての調査や評価を行い、政府が実施する施策が適切に機能しているかをチェックしたり、よりよい結果を導くためにはどうしたらよいかを検討し、国民に明らかにしていくための組織であると承知しております。
 日本においては国に会計検査院が置かれており、その機能強化が議論されております。また、本県を含め、地方公共団体においては監査委員が監査を実施しているほか、監査機能の専門性の強化や住民の信頼を高めるため、外部監査人が監査を行う包括外部監査を平成11年度から毎年テーマを決めて実施しておりまして、両者をあわせて適切かつ透明性の高い監査を実施する仕組みとなっております。
 委員御指摘のあった日本版GAOの議論については、米国のGAOの取り組みの状況も踏まえながら、現在の仕組みの有効性や国と地方の行政のあり方等を含めて、幅広い観点から検討が進んでいくものと考えております。
〇高橋博之委員 監査委員に政策評価の能力の向上ということを今後求めていかなければいけないのではないのかなというふうに私は感じておりまして、実は、政策評価について、来年度から経営評価課から政策推進課、経営を評価するところと政策を推進するところが一緒になってしまうということで、政策を推進するところと評価するところが同じというのは私はすごくおかしいなと思っていまして、監査委員に逆に政策を評価する機能を移して、現在の監査委員のマンパワーでは、なかなか政策を評価するという能力を求めるのは酷なところがありまして、というのは、決算が12月から9月に移りまして、一時監査委員が2人ふえたらしいんですね。ところが、この2人がまた削られてしまいまして、そもそも監査自体が半分ぐらいしかできないという状況のところに、さらに政策の評価の能力を求めるというのは難しいというふうに思っているんですが、ぜひ監査委員をふやして政策評価の能力を向上させていただきたいというふうに思っているんですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇川窪総務部長 監査委員事務局の事務局職員の体制につきましては、毎年どのぐらいの業務量に対しどの人数が必要かということで、お話を伺いながら定数につきまして調整をさせていただいているところでございまして、今後ともどのような業務量が新年度見込まれるかということをしっかりお伺いしながら、県職員全体の人数が限られている中ではございますけれども、必要な職員の数を今後とも確保していけるように対応してまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 お願いします。
 次に、財政運営についてお伺いいたします。
 厳しい経済情勢を受け、県は、県税収入が落ち込む中、財政再建と引きかえに経済対策の積極予算にかじを切りました。実に8年ぶりの増額予算です。
 一方で、2009年度末の県債残高は過去最高の約1兆4、482億円となっており、県民1人当たり105万円の借金を抱えている計算となります。景気の落ち込みも危機的な状況にありますが、県債残高の水準も危機的な状況にあると言えます。この現在の県債残高の危機認識についてお尋ねいたします。
〇川窪総務部長 厳しい経済情勢の中で、平成21年度の地方財政対策では臨時財政対策債を大幅に増加させる形で地方の財源不足の補てん措置が講じられたことから、本県におきましても臨時財政対策債を大きく増額せざるを得ませんで、この結果、県債残高も平成21年度末現在で1兆4、482億円まで増加する見込みとなっております。
 このように、近年、国の施策選択に伴い発行を余儀なくされる地方債が多額となっておりますことから、地方の立場から地方債の発行総額などを計画的に抑制していくことが難しくなってきている面がございますけれども、平成21年度当初予算におきましては、現在の大変困難な社会経済情勢等を踏まえまして、必要となる歳出予算を確保するという観点から、臨時財政対策債を初めとするあらゆる制度を活用しながら予算編成を進めたところであります。
 危機という観点から見れば、一方で1兆4、000億円台まで増加している現在の県債の残高水準というものは本県の財政運営上の非常に大きな課題の一つとなっているということでございまして、この問題意識につきましては強く認識しているところでございます。
 したがって、今後とも、中長期的には県債残高の規模を抑制していくことを目指して、県としての努力及び国に対する働きかけ両方の面から規律ある財政運営が行えるよう努めてまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 財政運営上の大きな課題としてとらえているということでありますが、昨年9月、総務部から本県の財政状況についての説明を受けました。その際、財政運営上の課題として示された項目の中に国体の開催がありました。この国体についてさまざまな議論がなされておりますが、私のほうからは少し違った視点で質問させていただきたいというふうに思います。
 本県は、昭和45年の1巡目の岩手国体の際に道路を初めとする社会資本整備を一気に進めてまいりましたが、その耐用年数が間もなくやってまいります。将来的には、新規事業はおろか、既存の社会資本の維持管理すらままらないという最悪の状況も想定される中、県は8年後に2巡目の国体を迎えようとしております。
 そこでお聞きいたしますが、県債償還のピークにも当たる平成28年に開催される岩手国体の主会場についてであります。知事は記者会見で、世論調査、県民意識調査の結果で、県民の多くは、国体ということで過剰な公共投資というものを望んでいないので、既存の施設の活用を望んでいるということは既に確認されているところですと言及されております。主会場の選定に当たってそのような基本認識に変わりはないか、改めて確認させていただきたいと思います。
〇達増知事 国体運営のあり方については、日体協から国体改革2003が出されて、簡素効率化の方向性が打ち出されております。県といたしましては、平成28年の岩手国体の競技施設については、国体改革の趣旨や本県の財政状況等を踏まえて、県内の既存施設を最大限活用するなど、簡素効率化を最優先すべきものと考えております。
〇高橋博之委員 そもそも国体の開催意義について知事はどのようにお考えなのかお聞きしたいのでありますが、確かに1巡目は開催県ごとにスポーツ施設の充実や社会資本の整備も進み、また、スポーツ振興や競技力向上に果たしてきた役割は大変大きかったというふうに思います。
 しかし、47都道府県を1巡し、2巡目も十数年たち、世の中も相当変わりました。行財政改革が進む中、施設整備や大会運営、また、開催後の施設の維持管理に膨大な財政負担を強いられることになっておりますし、開催県の天皇杯獲得が半ば常態化していることもおかしいと思います。開催県が必ず優勝する、私はどう考えても不自然だというふうに思うのでありますが、そもそも現在の国体の開催意義について知事はどのようお考えでしょうか。
〇達増知事 国体の開催意義としては、まず、本県のスポーツ水準の向上と、そして生涯スポーツの推進、また、本県におけるスポーツ文化、教育への貢献、そして郷土意識の高揚による地域の活性化といった意義があると考えておりまして、こういった面については大いに盛り上がって、県民が心を一つにして、ふるさと岩手に誇りを持つ絶好の機会になると考えております。
〇高橋博之委員 そもそも開催県にふさわしい成績というふうによく聞くんですが、それは具体的に一体何位を目指しているんでしょうか。
〇達増知事 各都道府県がみずから開催する際に特に力を入れて競技力向上等を図る、それが全国めぐりめぐって日本全体の向上になっていくというサイクルがあるんだと考えております。そういう中で、やはり岩手県としては、そういう国体という中で名誉ある地位を占めるような順位を目指して頑張りたいと思います。
〇高橋博之委員 高知県の橋本大二郎さんが初めて無理やり勝ち取る優勝は意味がないということで、あそこから随分変わったようでありますが、8年後に向けて競技力向上を図っていくんでしょうけれども、今、名誉ある地位というお話もありましたが、余り背伸びをし過ぎて、そのことだけにとらわれまして、その後すぐにまた順位が落ちるなどということにならないようにしていただきたいというふうに思います。
 次に、岩手のビジョンについてお伺いいたします。
 知事が掲げる目標の県民所得の向上に焦点を当てながら、岩手の進むべき方向性について考えてみたいと思います。
 知事は演述の中で、こういう変化が激しく先を見通しにくい時代であるからこそ、長期的な視点に立ち、しっかりと将来を見据えた、岩手人かくあるべし、岩手かくあるべしというビジョンが必要ですと力説されておりました。全く同感です。
 そこでまず、現状認識についてお尋ねいたしますが、知事は事あるごとに危機を希望へと言われております。この危機認識からスタートしたいと思います。
 昨年12月定例会一般質問の中で、高橋雪文県議の危機認識を問う質問に対し、知事は、どこをどうすれば今の岩手において県民が危機を十分認識していないという見解が得られるのでありましょうかと言う場面がありました。改めてお聞きします。知事は、県民が危機を十分認識しておられるとお考えになっておりますでしょうか。
〇達増知事 まず、ものづくり産業の分野では7、000人に迫る職を失う人たちが出ているところでありまして、その御本人、家族、また、今は働いているけれども、同僚の皆さんにやはり危機意識が広がっていると思います。
 農業で言えば、これはもうお米の価格から、ことしは牛の価格もいまいちですし、あらゆる価格が低迷しております一方で、コストのほうは飼料価格や原材料が高どまりになっていて、農業にかかわっているほとんどの皆さんが危機意識を持っているのではないかと思います。
 そして商業の分野では、これはもう商店街の商店の皆さんはひとしく危機意識を持っているのではないかと思いますし、それからコミュニティというところに着目しますと、岩手には三千数百の町内会、自治会等があるんですけれども、そのほとんどで、若い人たちがいない、後継者がいない、これがやはり危機意識として持たれていると思います。
 それは農村部のほうで顕著ではあるんですけれども、町場は町場で、やはり町内会の役についている人や消防団の役についているようなそういう人たちはお店を経営したり会社を経営したりしていて、そこが危機に陥って役を続けられなくなるようなことが、私もそういう例を見聞きしておりまして、町場のほうでもやはりコミュニティの維持が非常に危機になっている。そういう事例は、本当に県内あちこち行けば行くほど、いろいろな人に会えば会うほど、そこで県民が危機意識を持っているということは確認できると思うんです。これは医療、福祉の分野でもそうですし、教育の分野でも、学校の安全、不審者情報とか声かけ事案とか、PTAの会合があると、特に町場の学校ではそういうことが主な話題になると聞いております。
 こういうことに関して、本当に県民が危機意識を持っているのかという質問が出ることは、私は当初非常に驚きで意外であったんですけれども、繰り返しそういう質問が出るのはなぜかと私もつらつら考えますと、恐らく、私あるいは県としては、岩手の危機というのは一人一人の県民が持っている個別具体的な危機の集合体が岩手の危機であって、岩手県民が共通で直面している何か抽象的な危機があるというようなことでそういうことを言っているわけではないんですね。
 もし県民の危機意識ということが、そういう県民の個別具体的なそれぞれが直面している危機を離れた何か県民共通の危機なるものがあり、それは別にみんな意識していないんじゃないかという話になれば、そもそもそういうものについては確かにないのではないかという疑問が出るんだと思います。
 しかし、県としては、県民所得の低迷というときには、それはその数字自体が危機なのではなくて、その数字が意味している多くの人、失業しているとか会社経営に困っているとか、そして岩手で働くことができなくて県外に出ざるを得ないとか、そうした個別具体が危機であって、県としてはそれを解決していかなければならないというふうに取り組んでいるところでございます。
〇高橋博之委員 この危機がスタート地点なのでもう少し詰めてみたいんですが、必ずしも県民が危機感を共有しているというところまではまだいっていないのではないのかなというふうに私は実感しています。もちろん今、知事がおっしゃったように、ものづくりだとか農業、あるいは商店、コミュニティ、教育の現場で、本当に危機に直面して行動されている方々がいることも私は存じております。
 ただ一方で、見方を変えますと、日本は紛れもなく、人類史上まれなほど満ち足りた社会をつくったと。この豊かさをこのままではもう維持できないよというところが今、我々が直面している現実だと思うんです。多くの県民の皆さんがこうした迫り来る危機に薄々気づいているんだけれども、なかなか行動にまで結びついていないというような現状。例えば若い人の低い投票率なんかもそうでありますが、日ごろ接している中で、特に若い人がそうなのでありますが、なかなか私には危機感を感じることができない県民もいるわけです。それについてはいかがですか。
〇達増知事 まず一つ、うまくいっている人たちの間でも危機意識というのは強いものがあるという例を紹介しますと、ある伝統的な地場産業の家業の後継者で、世界を飛び回ってその商品を売って歩いている若い人がいるんですけれども、大変うまくいっているんですが、本当に飛行機で世界じゅう飛び回っているんですけれども、そこまでやらないと伝統的な地場産業、家業を守っていけないという危機意識でそういうことに成功している人たちもいるということで、一つは、まさにこれは危機を希望に変えていく、そういう危機意識の持ち方なんですけれども、それをやっぱり県としても広めていかなければならないと思っております。
 もう一つ、危機意識の共感の広がりということが大事だと思っております。それは、例えば学校の安全に関しては、子供本人や直接の親御さんや先生以外にも、別に自分の子供が学校に通っているわけではないんだけれども、これは大変だと、このままにはしておけない、そういう危機意識を持って通学路の見回りのボランティアをやってくださる方とか、青いサイレンを車につけてパトロールまでやってくださる方とか、危機意識の共感が広がることでそういう行動につながって希望に変わっていくということがあります。
 そういう共感を、まず知事が先頭に立って、135万県民すべてのそれぞれが直面している危機に対する共感ということを知事以下県職員がまずみんな持つこと、それによって、そもそも一人一人の県民が個別具体的に直面している危機への対応というものを集団的な行動に結びつけて、そして危機を希望に変えていくということをしていかなければならないと考えております。
〇高橋博之委員 例えば、今、危機意識の共有、広がりというお話をされていましたけれども、医療に関しても同じようなことが言えると思っていまして、知事は今、地域医療の危機の中で県民一丸となって行動する機運が高まっているというふうにおっしゃっておるんですが、例えば今回、無床化の対象地域になったところだとか、その周辺、その辺ではやはり知事が言っているとおりそういう機運が高まっていると思いますが、一方、相当数存在するコンビニ受診など、都市部といいますか、そうしたところで自分勝手な都合で安易な受診をしている県民が医療に対する危機意識を持っているようにはとても感じられないわけであります。それは、先ほどの知事の言葉をかりれば、そうした地域からどんどん危機意識が広がっていくというようなイメージでよろしいんでしょうか。
〇達増知事 これはある人から直接聞いた話なんですけれども、小児科救急の体制が岩手は弱くて、いざというときに子供が救急にかかれないこともあり得るという危機意識を持って子育てしている人が、いざ自分の子供が夜ちょっと熱が出た程度だったけれども救急車を呼んでしまったという話を聞いたことがあります。
 つまり、それぞれ自分が直面する危機意識というのは持っているんだけれども、それがほかの人の危機意識との共感というところにはまだ広がっていないというところが今、課題であって、県民一人一人は、自分に関する危機意識はもう非常に高いものがあると思うんですが、それをほかの人の危機意識に対する共感にまで広げていくことで、県民みんなが力を合わせて岩手の地域医療を守るんだという運動に変えていくというのがこの県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の目的でありまして、それを今、県としてやっていこうというところであります。
〇高橋博之委員 先日、花巻に元県立中央病院院長の樋口先生が講演にいらっしゃいまして、こんなことを紹介してくれたんですけれども、マザーテレサのノーベル賞平和賞を受賞したときのスピーチで、物のない人は分け与えることを知っているというような言葉を紹介していただいたんです。私はそれを聞いてなるほどなと思いまして、今の物質的に大変恵まれた豊かな日本に最も欠けている感覚ではないのかなというふうに思うんですが、知事はどのように思いますか。
〇達増知事 今の言葉を伺って、持たざる者は幸いであるという聖書の言葉を思い出しましたけれども、やっぱりみずから危機意識を持っている人こそほかの人の危機に対しても敏感になれる、そして、自分がまず危機に立ち向かうという自立の契機がほかの人のことも助けなければというそういう共生にもつながっていくということだと思います。
 今、経済的にも社会的にも一人一人の岩手県民は大きな危機に直面しているわけですけれども、それを共感の形で広げることによって、みんなで力を合わせた取り組みをしていけば、まさに危機を希望に変えていけるという、そういう今までできなかったことをやるチャンスでもあるということで、そういうマザーテレサの言葉というものも意味があるというふうに思います。
〇高橋博之委員 知事が言っている危機の意味が少し私もわかってきたんですが、この危機の質問、最後です。
 マザーテレサの言葉とは逆に、物やサービスがあり過ぎる人は逆に分け与えることを知らない。それどころか、今ある豊かな社会を支えるために頑張っている人に対する感謝の気持ちだとかを忘れてしまいがちで、さらに要求が過大になっているのではないのかなと。
 医療崩壊がまさに象徴的ですが、自分たちの問題だという当事者意識を持ってなかなか行動できずに、行政に要求を突きつけるという現代の地域社会の病巣をまさに鋭くあらわしているのがこの問題だと思います。
 かつて、自分たちの地域で解決できる問題は自分たちで解決するという住民自治、あるいは困ったときはお互いさまという相互扶助という目に見えない社会保障制度が機能していました。ところが、高度成長とともにそれが弱体していったわけですが、今、経済や社会が縮む中にありまして、行政は縮小を余儀なくされております。であればこそ、もはや行政だけには頼っていられないはずなんですが、総じてまだまだ、地域社会を見ていましても、危機意識を持っておられる自治体もありますが、地域もありますが、その当事者意識に欠けるようなところがあるように感じております。
 こうした迫り来る危機を認識し、行動できない、つまり危機認識がないことが逆に私は危機だというふうに思って心配しているんですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇達増知事 やはり、自分自身に関する危機意識というのがあっても、それがほかの人の危機への共感にまで広がらないところにいろいろな課題というのが出てくるんだと思います。
 そこで重要なのは、情報の共有ということであります。岩手全体として、これだけ困ったことになっている、また、岩手のあちこちにこれだけ困っている人がいる。そして、いつ自分がそういう立場になるかわからないという情報の共有、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議という事業においても、その情報の共有ということが大きな柱になっております。
 これによりまして、委員が御指摘の、特に医療について言えば、技術、医学が大変発達しておりまして、昔だったら王侯貴族じゃないと受けられなかったような診療が普通の人でも受けられる、そういう国民皆保険制度に基づく医療体制の充実というのは非常に発達していると思うんですけれども、ただ、その個々の医療に物すごくお金がかかったり、1人のお医者さんで済んでいたようなことにも、複数、四、五人のお医者さんがいないとその治療ができないということになる。それは、個々の人にとっては、非常に王侯貴族が受けていたような診療を受けられるんですが、お互いある程度譲り合いの精神を持たないと、いざというとき自分がそれを受けられなくなってしまうというところが現代の医療の問題の特徴なんだと思います。
 昔のそういう医療、医学が発達していなかったときには、ある程度お上のほうから例えばペニシリンをばーっと各地域に配ったりとか、一度にたくさんの人たちに対してお上が、ばーっといろいろなことを提供できたんだと思うんですけれども、今はもう受け取る側のほうが受け取り方を工夫して、お互い譲り合うような工夫をしていかなければならない。そこが実は行政とか地域づくりとかにおいて、かなり根本的な意識転換をしないとそういうことに対応できない。
 この県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議というものも、そういうニューエイジ、新しい時代にふさわしい地域づくりへの一歩になればというふうに思っております。
〇高橋博之委員 次に、危機を希望への希望のほうへ話を移したいと思うんですが、知事は、高橋雪文県議への答弁の中で、岩手の県民の危機意識、その叫びやうめき声が議員には聞こえないんでしょうか、ぜひ議員には草の根に積極的に入っていって県民の声に耳を傾けていただきたいと思いますというふうに御助言されておりました。
 私はこの3年間、地域の公民館を235カ所回り、235回の県政報告会を行ってまいりました。まさに知事が言うところの草の根に積極的に入っていって県民の声に耳を傾けてきたわけですが、私の耳に届いたのは、叫びやうめき声というよりも、むしろこの先に希望を見出すことができないことに対するあきらめの声、それから、日々の暮らしに喜びや生きがいを感じることができないため息でありました。言うなれば、私が感じたのは危機ではなく、ある種の喪失感でありました。
 知事は危機を出発点にし、私は喪失感を出発点にしている。この私の感覚では、危機を出発にした場合の先に見える希望というのは、非常に遠いというか、なかなか手が届かないところに感じてしまうんです。それはなぜかなというふうに考えてみたんですが、知事が言っている危機から希望に向かうベクトルが、従来の物やお金を求める拡大成長路線の延長線上にあるからではないかなというふうに思ったんですが、ただ、きょうの質疑のやりとりで、必ずしもそれだけが知事の危機意識ではないということが私にもわかりました。ただ、余り県民所得の話をされると、なかなか手が届かないところに感じてしまうんです。
 一方、私の喪失感を出発点にした希望へ向かうベクトルは、従来の価値観の延長線上にはありません。私が感じる喪失感は、決してお金や物がないことからくるものではなくて、むしろお金でははかり切れない価値を失ってしまったところからくるものです。ですから、この希望は手を伸ばせば届くところに実際あるんです。
 知事は、みずからの危機認識に基づいて、県民所得の向上を大きな目標に掲げております。私はこの目標になかなか大きな希望を見出すことができないんですが、そこでお聞きしますが、今、県民は、この知事が掲げる県民所得の向上に大きな希望を感じていると思われておりますでしょうか。
〇達増知事 まず、喪失感という、そこをベースにしながら希望を求めていく考え方というのは、その内容については私、今の段階で全貌がよくわからないんですけれども、聞いていて、それはそれですごくいいかもしれないなという感じはしました。
 特に若い皆さんに、そういう今までの世代になかったような、高度成長を経験しない、バブル崩壊の後にいろいろな経験を積んできているような皆さんが、そうした喪失感をてこにして、全く新しい希望に向かう道筋というのをつくっていける可能性というのはあると思いますので、まず、そういうことを前提にしつつ、県民所得については、これは私が、全県、知事選挙の準備の段階から歩いている中で、やはり何とか、先立つものがないがゆえに不自由が多いので少しでも所得が上がってほしい、上げたいという、そういう希望が非常に多かったので、それを選挙のマニフェスト、公約に取り入れ、そして今の県政の目標にもしているところであります。
〇高橋博之委員 ケネディ元大統領の弟の故ロバート・ケネディは、かつてGDPをやり玉に上げ、金額であらわせる生産活動だけ合算して国の値打ちを評価するのはおかしいと痛烈に批判したことがあります。それから40年たってGDPの見直し論がまた盛んになってきました。
 以前、知事に一般質問でもブータンのGNHの話をさせていただきましたが、最近はスティグリッツ博士らノーベル賞受賞経済学者が率いるチームの研究が注目を集めております。家事や育児、環境への影響、暮らしの質的な豊かさなどをうまく取り入れた統計ができないものか調査しているようであります。
 我が国でも、所得水準でははかり切れない、ゆとりなどの幸せを求める兆候が顕著にあらわれております。先ほど知事が言っていたように、若い人の価値観が相当変わってきているように私も感じます。
 本県には、昨年定住した人がおよそ1、000人おります。聞きますと、多くが働き盛りの世代だというわけです。東京から岩手に、給料が半分に下がるところに子供を引き連れて奥さんと引っ越してくる。これは今までの価値観で考えたらあり得ないことであります。つまり、私はここに岩手の可能性、未来を感じるわけです。岩手には、お金では換算できない価値がまだたくさん残っております。
 知事、岩手に追い風が吹いていると思いませんか。ぜひこの追い風をしっかりと帆に受けとめて、定住人口をさらにふやしていただきたいというふうに思うわけですが、そのために必要なことは具体的に何だというふうに思われておりますでしょうか。
〇達増知事 県としても県民所得の向上というような目標を掲げてはいるんですけれども、具体的な手段としては、岩手が持っている、いい意味で田舎なところを大事にしていくとか、郷土芸能を初め、そういう伝統文化を大事にしていくとか、そして何より岩手の恵まれたすばらしい自然環境を大事にしていくとか、そういったところをベースにしながら、それが暮らしや仕事の豊かさにつながるようにという基本方針でやっているところでありまして、そういう中で、具体的には県内大学進学者の地元定着のための雇用機会の確保でありますとか、県外学生や県外に就職した県立大学出身者へのUターンに関する情報提供、就職相談をやったりですとか、それから農林水産業、そしてその関連産業への就業を促進するアクションプランに基づく1次産業への担い手誘導などをやっております。
 また、岩手ファンを全国に拡大していこうということで、県外からの小・中学校の教育旅行誘致、これで子供のころから岩手のよさを知り、岩手に親しみ、魅力を感じてもらうなどの事業を行ったり、県出身者や岩手ゆかりのいわて文化大使を通じて若者向けにも岩手の魅力を発信していく、こうした事業を県、市町村、関係機関一体となって全庁的、総合的に取り組んでいるところであります。
〇高橋博之委員 この質問を最後にします。
 私たちの世界は今、エネルギー、環境、食料などの枠組みを揺るがす長期的な構造危機、言ってみれば文明の転換期におります。今世紀半ばには世界人口が100億に達すると推計されている時代の中で、100億の人間がそれぞれ欲望を無限大に拡大させていくことはできません。20世紀は旺盛な欲望を満たしてくれるだけの余裕が地球にありましたが、21世紀は環境の制約や資源の制約にぶつかり、私たちはいかに欲望を抑制するかが問われております。仏教で言う、足るを知ることが必要であります。このような考え方はキリスト教にはありません。アメリカの市場原理主義の源流、ピューリタニズムの根底にある予定説は、際限のない欲望を神も認めるものとし、金銭への欲望を解き放ちました。世界が行き詰った今、日本には日本の果たすべき役割があるはずです。
 つつましやかに足るを知る暮らしを実践してきた岩手は、その先頭に立てる、そう思います。個人の利己的欲望の追求ではなく、他者から期待された自分の役割を果たすことに自己実現を求め、ささやかながらも楽しく日々を満ち足りて生きていく。知事も、人は物質に過度に執着しない生き方を岩手に学ぶべきだと思いますとどこかでお話しされておりましたが、この、お金や物ではなく、心を満たす、足るを知る社会こそ岩手から日本に、そして世界に発信すべき21世紀にふさわしい価値観ではないでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 私の父方の祖父の名前が足るを知るという、音読みで「チソク」と書くんですけれども、知足と書いてトモタリという名前で、私の祖父の名前がまさに足るを知る知足という名前でありました。
 これは本当に、東洋の英知といいますか、人間にとって、社会にとって根本的に大事な価値観だと思います。そして、岩手県民がそういう価値観を縄文時代から大事にしてきたということもあると思います。
 委員御指摘のとおり、岩手の今後の目指す方向に向けて、足るを知るという価値観、本当に大事にしていかなければならないと思います。
〇高橋博之委員 次に、病院問題にいきます。
 まず初めに、医師が退職する要因をどのようにとらえているでしょうか。また、どのように対処してきたでしょうか。
〇達増知事 まず、医師が離職する要因についてでありますが、医療局として把握している要因を整理いたしますと、まず、救急患者の増加や宿直に引き続く、いわゆる36時間勤務、月平均54時間に及ぶ超過勤務など、診療業務が勤務を過酷なものにしておりまして、そこに給料、手当などの処遇、深刻な訴訟対応、いわゆるモンスター患者等によるクレームの増大、住環境への不満ということもあって開業や民間病院への異動につながっているというふうに把握しているところであります。そのほか、専門医志向や大学院への進学、子弟の教育、親の後継ぎ、女性医師の結婚、出産・育児などの個人的な要因も挙げられております。
 そして、これらの対応策として、医師の確保、定着が重要でありまして、奨学資金貸付制度による養成、保健福祉部との共管組織である医師確保対策室による全国からの即戦力医師の招聘などに取り組んできたところでありますし、また、お医者さん以外の人がいろいろな作業を分担するという意味で、超音波検査の臨床検査技師による実施、医療クラークの導入、診断書作成や臨床研修指導医手当の創設などの処遇改善、そして、訴訟やクレームへの対応のための顧問弁護士の委嘱、また、環境面では医師公舎の整備といったことを行っているところであります。それから、女性医師の関係では、育児短時間勤務制度、24時間保育、そうした就業支援に取り組んできているところであります。
 また、退職の理由は一人一人事情が異なりますので、病院長等が個別に事情を聞いて慰留に努めるなど、きめ細かな対応にも努めていると聞いております。
〇高橋博之委員 では、引き続き知事にお尋ねしますが、医師が退職する要因を今聞きましても、あるいは医師不足の原因などについても、ほとんど医療局の責任についての言及がないわけです。臨床研修医制度の導入など、医療を取り巻く環境が大きく変化したにもかかわらず、なかなかそれに対応し切れなかった。例えば医師の供給を従来どおり医局に頼み切ってきたというところもやはり問題だっただろうと思います。
 また一方で、医師不足とともに、今回の無床化の理由とされております巨額の累積欠損金の責任についても医療局の責任についてはやはり問われるべきだというふうに思います。
 例えば、医療収益に占める材料費の割合は、県立病院と同じ規模の民間病院では12%あるいは13%程度なのに対して県立病院は20%台後半から30%台前半であり、かなり高い数字となっております。材料費が高いという点については、元中央病院院長の樋口先生も指摘しているところであります。給与体系の変更は、今の体制であると公務員制度のためになかなか困難ですが、この材料費には切り込めるはずです。なぜできないのかということなんです。
 医師不足の問題についても累積赤字の問題についても、これらの問題の根源の一つは、私は医療局長のあり方にあるというふうに思います。普通、民間では、例えばトヨタとかホンダだと、幹部の方は自動車を解体して組み立てられるところまでできると。つまり現場からたたき上がって昇進してきた方が多い。つまりよく現場を理解しているわけです。ところが、県立病院の場合は、なかなか現場のことをわからない事務方が、もちろん一人一人は、今の田村局長だって優秀な方です。しかし、現場をわからない方が事務方のトップを務めて、例えばこの包帯はもっと薄くても大丈夫だとか、あるいはこのガーゼはもっと安いものでも十分なんだと、こういうことがわからないわけです。
 ちなみに、医療局長は平成に入ってから実に11人もかわっています。しかもほとんどが畑違いのところから突然そういう立場に立たせられるわけです。こうした現場をわからない事務方が医療局のトップを務めていることについて、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 医療局長人事については、基本的に適材適所という観点から決定され、私の場合にもそのように決めているところであります。
 岩手の場合、県立病院の数がたくさんあること、そして医療と福祉分野との連携が広く求められること、そして市町村等地域との連携、そういう地域政策の観点も求められること、そういったことから、幅広い視野を持った、そして行政経験も豊富な、リーダーシップのある医療局長というものが求められているところがあると考えております。
 また、現在、各病院の調達は各病院ごとに主体的に行われる仕組みになっているんですけれども、それぞれの病院においては、それこそたたき上げの現場をよく知る事務局長さんや、そして医師、看護師、現場を知る皆さんが一緒になってそういう調達等を決めていると聞いております。ただ、そこに民間感覚を導入していくことは役に立つと考えておりますので、コスト削減のためにコンサルタントを活用するというような改革を医療局は今後進めるということにしておりまして、医療局そのものの絶えざる改革ということは常にしていかなければならないと思います。
〇高橋博之委員 例えば経営手腕、経営改革手腕のある病院長を医療局長に据え、一定期間、例えば5年なら5年やってもらうというようなことをやっている他の県の事例もあるようであります。今ここで聞いてすぐにどうこうと答えられないと思うんですが、今後、やっぱりそうした医療局長のあり方についてぜひ御検討いただきたいというふうに、これは知事でなければできないことだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 岩手において、県の医療局長というのは大変重要な役割だと思いますので、今いただいた御意見等も踏まえながら、適材適所、適切な判断、決断をしてまいりたいと思います。
〇高橋博之委員 よろしくお願いします。
 次に、総務省が定めた公立病院改革ガイドラインについて、そもそもどのようにとらえておられる、お考えになっておられるでしょうか。その点についてお聞きしたいというふうに思います。
〇達増知事 公立病院改革ガイドラインは、全国的に公立病院の経営環境が悪化し、地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供するため、公立病院の改革を促すものとして受けとめております。
 県全体として今後とも必要な医療提供体制を維持していくためには、公立病院の再編、ネットワーク化を通じた医師の集約化による勤務環境の改善など、ガイドラインを参考にしつつ、あくまで岩手にとって必要な改革に取り組んでいかなければならないと考えておりまして、県立病院については、平成16年度からの5カ年計画である今の5カ年計画県立病院改革プランが本年度で終了しますので、今回の新しい経営計画については、ガイドラインの趣旨も踏まえつつ、本県の危機的状況にある医師不足などの事情を考慮しながら策定したところであります。
〇高橋博之委員 民主党の前原さんが、この間の予算委員会で総務大臣にこういう質問をされておりました。公立病院が経営できるかどうかというところの国の方針によって大きく変わって、地域の経営努力では何ともできないところがいっぱいあると。それを連結決算に入れて、そして4月からいよいよぎりぎり締めていくということは、私はあってはならぬというふうに思うんですと。自治体病院だけは違う指標をつくって、そしてその違う指標の中での健全化、つまりはほかの一般会計とかほかの支出とは連結決算させないところでこれを見直していくべきだというふうに思いますが、いかがですかとこのガイドラインについて疑問を呈しているわけでありますが、仮の話には答えられないと言われればそれまでなんですが、今後、国政の中で仮に政権交代が起きて、ガイドラインを見直すなんていう話になった場合、いかがなされますか。
〇達増知事 医師不足、そして病院の収支の困難、それが今、岩手が直面する危機で、あくまでそれを克服するための主体的な経営計画として新しい経営計画はつくられたものでありますし、もともと国分知事、阿部千一知事の時代から、県立病院システムというのがうっかりすると物すごい財政赤字のもとになるので、病院の再編統合でありますとか、さまざまな改革というのは、戦後、歴代知事のもとで一貫して行われてきたことだと思っておりまして、決して国のガイドラインに従って今回の新経営計画がつくられたということではなく、もちろん主体的にコストの削減でありますとか効率化ということを考えていけば一致する部分は出てくると思いますけれども、ただ、むしろ県としては、今、岩手が直面する危機のもとになっている医師数の抑制政策でありますとか診療報酬の改定、そういう医療費を圧縮するために医療そのものを縮小していこうという国の方向に対しては、これを改めるよう私も知事就任以来一貫して働きかけてきましたし、今後も働きかけていきたいと思います。
〇高橋博之委員 なぜこんな質問をしたかといいますと、実はこういう声がやっぱり多いんですね。国に従っているだけじゃないかと。でも、私は、実はそう思っていません。この病院の再編、ネットワーク化は、本県が5年前に全国に先駆けて踏み込んだわけです。中途半端に終わってしまいましたが、それだけ多かったと。
 今回、ガイドラインが出て、むしろガイドラインに後押しされたという面が私はあるのではないのかなというふうに思っております。今回、新しい経営計画案の中で、県立病院の理念、これを引き続き県下にあまねく良質な医療の均てんをというふうに掲げておるわけですが、なぜ同じ引き続きこの理念を続けるのかが私は疑問だし、こういう理念を掲げているから、市町村からすれば引き続き県がやれというような意識になってしまうと思うんです。ですからむしろ、これをおろすということにはならないかもしれませんが、例えば県立病院を核として、ほかの市町村やほかの施設や民間も含めて、全体で良質な医療の均てんをというふうに言いかえていかないと、正直に県だけではもう背負い切れないよと。今まで県が一手に地域医療を全部背負ってきたと。ところが、このままではひっくり返ってしまうと。県が一手に背負ってきた地域医療を、少しずつそっと市町村や開業医や、あるいは福祉施設におろしていくというか連携していくというか、役割分担をしていくということがまさに今、問われているわけです。
 このおろす、おろし方なわけですよ。今回、やはりおろし方に問題があったのではないのかなと、やはり少し乱暴に過ぎたのではないのかなというふうに思うのでありますが、知事、いかがですか。
〇達増知事 委員御指摘のような、新しい時代にふさわしい負担あるいは役割の分担の仕方を工夫していくということは、今、本当に岩手県民が直面している重要な課題なんだと思います。
 県立病院システムについては、これはもともと地域地域の皆さんが、農業団体やいろいろな職能団体といいますか、そういうことを通じたり、あるいは地域のことを思う心からお金を出し合って始めたりしたもの。時代時代に応じて、その中でまず住民がどういう役割を果たすか、県がどういう役割を果たすか。また、市町村もやはり独自の病院を経営するなど、いろいろな役割をそれぞれのところで果たしたりしてきているところでありまして、そういう役割分担というのは、国分知事のときから常にテーマとしてあったんだと思います。
 そういう時代の流れ、役割の変更も含めた中で地域にあまねく医療の均てんをというテーマがあるんだと思いますので、そういうものとして理解が広まって、そして時代に合わせた体制というものをみんなでつくっていくことができればいいのではないかと思います。
〇高橋博之委員 知事は、この問題が起きてから、我々議会に対しても対案を示せと、マスコミも具体的な地域医療の姿を示せとよく言われるのでありますが、そもそも無理だと思うんですね。といいますのも、交通事情も医療資源も全く異なるこの五つの地域を一くくりにした対案というのは、一体何なんだと思うわけです。
 地域医療の現場はこの県庁にはなくて、それぞれの地域にまさにあるわけです。ですから、県がバックアップしつつ、それぞれの地域がみずから地域医療のあり方を探り、そして、地域医療を確保する体制を構築できる環境をつくるのが、まさに県の役割だったのではないのかなと思うんですが、いかがですか。
〇達増知事 まず、県として、今回の医療局の新しい経営計画というのを案としてつくっていく、そのときの問題意識は、まさに岩手のすべての地域において必要な医療が受けられるという、そのシステムとして、この病院がこの役割を果たし、この診療所がこの役割を果たし、病床はそれぞれこのくらいずつ、診療科をこことここにこう置く。しかし、産婦人科、ここの基幹病院では機能を果たせないので、隣の二次医療圏の基幹病院でその産婦人科機能は引き受けてもらうとか、そういったシステム全体、つまり限られた岩手の医療資源をどう配置するかということが、医療局の新しい経営計画案としてあったわけですね。
 それに対する対案というのは、確かに、おっしゃるとおり、難しいというのはそのとおりで、つまり岩手の医療資源の全貌について把握し、かつ、岩手全体の医療ニーズ、北は種市から南は花泉まで、それぞれにどういう医療ニーズがあるのかというのを把握した上で、オール岩手の観点から配分を決めていかなければならないと。
 そういう中で、個別の地域から反対意見が出て、ここはこういうふうにしてほしいというか、あるいはこのままにしておいてほしいという意見が出たときに、どう調整していくかなんですけれども、一つは、岩手全体としてのこの資源配分、体制の決定というのは、やはりオール岩手の視点でなされなければならないと考えます。
 そして、地域の皆さんが、そういう議論に参加して、例えば、今の体制を維持するには、お医者さんが地域病院で、本当は4人いなければならないところに2人しか常勤医がいなくなる。そこに、今の医療局の計画案では、ここから応援が行くからそこがもつことになっているんだけれども、そこに我慢してもらって、この応援をこっちの診療所に回してもらえば有床のままで維持できるといった、そういう案をセットしないと、オール岩手として機能する別の計画というのはつくれないんですね。ですから、そういったところに本当に参加していただくのかということが、まず一つあると思うんです。けれども、ただ、地域における病院と地域との連携という中で、その地域ごと、大きくても二次医療圏内の連携の形をつくっていくという作業については、オール岩手の体制というものを前提としつつ、しかし、そこでいろいろな不便もあれば、不自由もあれば、心配もあるのであって、そこを解決していくための個別具体的な協議をそれぞれやっていくことができれば、県民の皆さんに、当該地域の皆さんもそうですし、そして、岩手すべての地域の皆さんに、満足というのはなかなか難しいんですけれども、納得いただけるような体制がつくれるのではないかと思います。
〇高橋博之委員 その具体的な協議を、やはり無床化する前にするべきではなかったのかと思うんですね。知事は、これまで手続の問題、それから説明不足の問題、それから、住民に不安を与えたことについておわびするということがありましたが、であれば、一度立ちどまって、半年なら半年、もっと短くてもいいと思います。我が会派が先日、一般質問で御提案申し上げたように、二次医療圏ごとに、県医療局並びに保健福祉部、市町村、県立病院機関、医師会、福祉施設及び事業者、住民代表から成る協議会を立ち上げて、それぞれの地域事情に即した地域医療体制の確立を目指すということを、いま一度立ちどまってしていただけないかと。
 これは、何もこの計画の白紙撤回を意味するものではなくて、半年後には、この計画のとおりでいいんだろうと思います。そのことについていかがでしょうか。
〇達増知事 無床化の半年延期という御提案についてでありますけれども、平成21年度、今度の新年度の常勤医師数は、平成15年度に比べ86人の減少であります。現状よりさらに常勤医師が少なくなるような状態で全県の診療体制を組まなければならないということで、県立病院全体の診療体制を現状のまま維持することは不可能であることに、まず御理解をいただきたいと思います。
 そして、地域病院、この県の中央病院と、そして二次医療圏の中核病院、さらに、より地域に身近なところの病院として地域病院があるんですけれども、この地域病院において、先ほども申し上げましたように、もう常勤医2人体制になるとか、病院としての機能を維持していくのが難しくなるところがありまして、基幹病院からそちらへの応援をより一層ふやさなければならない状況となっております。しかし、基幹病院でも医師数が減少していますので、地域病院を支えながら、基幹病院もきちんと機能を果たし、さらに加えて、地域診療センター─診療所ですね、診療所に当直等の応援を4月以降行うということは、極めて難しい状況でございます。
 また、有床診療所のまま4月以降も、ということになりますと、今度、新しくできる中部病院などで、看護体制の強化のために看護師の確保を予定しているんですが、それができなくなり、予定している体制の実現が難しくなるところであります。
 このことから、無床化の半年延期という御提案については、残念ながら、おこたえすることが難しいということを御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、地域診療センター、診療所における病床の休止は4月から実施することとしつつも、地域の皆様の意向を踏まえて、民間の医療、福祉関係者や、あるいは市町村が病床を活用する道は残しておりますので、今後も地域との話し合いを続けて、そして、住民の皆さんに納得できるような体制をつくっていきたいと思っております。
〇高橋博之委員 このまま4月実施した場合の問題点が幾つかあるんですが、三つ挙げたいと思うんですけれども、本来連携すべきパートナーの市町村、今なかなか同じテーブルに座れないというか、なかなか関係がうまくいっていないと思うんですが、このまま無床化した場合に市町村と建設的な話し合いができるのか、これが一つ心配な点です。
 それから、県から地域医療を地域にバトンタッチしていく間に、不利益を実際にこうむる患者が生まれることにならないかという点についても心配しております。基幹病院で入院を受け付けると言っておりますが、例えば大迫の診療センターの場合は、中部病院ということになるんですけれども、中部病院の関係者に聞くと、とても大迫の患者さんのような容体では、長く入院は受けられないというような話も伺うんです。そうした点も絶対ないようにしていただきたいです。
 それから、もう一点は、慢性期の患者が基幹病院に行って、逆にお医者さんの負担をふやすことにならないか、あるいは逆に高度医療の足を引っ張ることにならないか、こういうような心配な点もあるわけですけれども、そういった点についてはどのように御対応されるのでしょうか。
〇達増知事 まず、市町村との関係についてでありますが、県立病院においては、二次保健医療圏ごとに開催する県立病院運営協議会の開催等によって、行政関係者や医療関係者を初め、地域の住民への情報提供に努めてきたところでありますけれども、県立病院全体や二次保健医療圏全体の状況などの情報提供は、不十分だったのではないかと考えております。
 今回の新しい経営計画で設置する市町村連絡協議会を足がかりとして、広域振興局等とも連携をしながら、県立病院の置かれている現状と課題等について市町村に理解を深めていただくとともに、地域医療の確保に向けて市町村と十分に連携を図っていきたいと考えております。
 それから、患者さんの入院体制についてでありますが、これはもう、いわゆる医療難民というようなことが起きないように、患者さん、そして病院側とできちんと調整をして、必要な入院、必要な診療が受けられるように、そこはきちんと対応してまいります。
〇高橋博之委員 この間、11月17日に提示されてからずっと平行線をたどってきたことについて、知事は記者会見で、資源の配分と我慢の配分ということについて触れておられました。私は、そのとおりだと思っています。知事は演述の中で、医師を守るためには、すべての県民が今以上の不便や不自由を何らかの形で克服する努力と工夫が求められるということをおっしゃっておりましたが、この点についても、私は、ここまで言い切ったということは大変立派だと思います。
 ただ、そこまではいいんですが、やり方がやっぱりまずいと思うんです。我慢を求める、負担を求めるからには、知事は、やっぱり時間がかかってしまったんだ、ぎりぎりになってしまった理由として、我慢を求めるので、できるだけ負担がかからないように時間がかかってしまったということなんですが、僕は逆に、我慢を求めるからこそ、負担を求めるからこそ、もう少し時間を割いて、早目に県の置かれた厳しい状況をさらけ出して、それで一緒に考えるという姿勢がやはり必要だったんではないのかと思うんです。
 知事は、今回の計画の進め方、あるいは反発から何を学び、今後、同じような手法で県政運営をされていくのか、それとも変えていくのか、この点についてぜひお伺いしたいと思います。
〇達増知事 私の記者会見での発言、資源配分の時代から我慢配分の時代になってきているということを引いて御質問をいただきましたけれども、そのとおりでありまして、これは、経済が、社会が先進国において成熟してくる中で、オバマ大統領が言うニューエージ、新しい時代の課題として出てきていることなんだと思います。
 そして、オバマ大統領も、まさに我々がそれに対してきちんとした体制をつくっていなかったがゆえに今の危機を招いているということを、大統領就任演説で述べていらっしゃいましたけれども、今、我々が、やはり岩手においてさまざまな危機に直面している背景にも、そういう政治、行政、地域づくりにおける発想の転換ということが、時代にふさわしい形できちんとできていなかったことがあると思っております。それは、私自身もまだまだ甘かったと反省しているところでありまして、率直におわび申し上げなければならないところはあったと思って、特に、強い不安や大きな心配を抱くことになってしまった地域の皆さんには、本当に申しわけなく思っているところであります。
 この反省を生かしながら、県と市町村、さまざまな主体が、対等なパートナーとなって、新しい時代にふさわしい地域経営という観点からの地域づくりということを進めていけるよう、まず私は、県職員に対してそういう意識転換を強く求めて、私自身も意識転換を進めながら進めていきたいと思います。
〇高橋博之委員 病院の問題に限らずに、学校の問題もすべて、これからは縮む社会にいかに身の丈を合わせていくのかと。まさに我慢の配分、負担の配分という大変難しいかじ取りが求められると思いますが、ぜひそういう新しい時代に合った行政運営を考えていただきたいと思います。
 この問題の最後にしますが、先ほど、住民に対して強い不安、大きな不安を与えたと言っておりますが、まだそれは解消し切れておりません。二次保健医療圏ごとに地域プライマリーケアや高度医療の維持をできるための計画だと言っておりますが、住民は、まだ納得しておりませんし、現実問題として、今、不安を十分に取り除き切れていないと思います。
 人事など4月実施に向けて既成事実が積み上がっております。このまま4月実施というのは到底納得できないわけでありますが、一方で4月に向けての既成事実の重みも増しております。
 どうしても4月の無床化を実施するのであれば、速やかにそうした不安を取り除く手だてを講じるべきではないでしょうか。そのためにも、例えば、現在の状況を打開するために、知事みずからが地域に出向き、県の厳しい状況を改めてさらけ出して、みずからの言葉で直接住民に対して協力を求める、また、その際、無床化後の協議会の具体的な姿や時期についても提示するべきであると思いますが、知事、いかがですか。
〇達増知事 地域の皆様に不安や御心配をおかけしていることは、本当に申しわけなく思っております。県議会が終わり次第、私自身、早急に地域に出向いて、地域の皆様の不安を取り除く努力をしたいと考えております。
 また、今後の地域との協議の進め方などについては、地元とよく話し合ってまいりたいと思います。
〇高橋博之委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 西松建設の事件で政治不信が深まっております。震源地である本県に、全国の注目が集まっております。知事も、今、問題になっている西松建設のダミー会社から献金を受けていたことが発覚し、県民の関心も高まっています。
 本来であれば政策論争だけやっていたいのですが、私の地元でも、この問題について多くを聞かれるのであります。知事は、潔白であると釈明しておりますが、まだ説明責任を十分に果たしているとは言えない状況にあります。今、岩手県政は重要課題が山積しております。暮らしや雇用、経済への不安が膨らむ中、一刻も早く疑惑を晴らし、県民生活の向上に邁進していただきたいと思います。
 よって、改めて確認の意味で、以下、お尋ねしたいと思います。
 政治資金をめぐっては、これまで政治資金規正法改正で収支報告書の提出が義務づけられたり、政治家個人で受けた献金について、収支報告書提出が義務化されたり、政治家個人への企業、団体献金が禁止されるなど改革が行われてきたところでありますが、その後も政治家や秘書が関与する事件が続いている現状について、知事は、率直にどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 政治資金規正法というものは、行政の中立、公正を確保するという要請、お金の力で行政がねじ曲げられないという、そういう行政の中立、公正を確保するという要請と、一方で、自由な政治参加を拡大していくという要請、これをどう調和させるかという観点から、各国、各時代それぞれ、さまざまな制度が工夫されているんだと思います。ある国でよしとされていることが、ある国では規制されていたり、そういう状況なわけでありますけれども、もちろん優先されるべきは、行政の中立、公正の確保でありまして、そのために必要な規制が、寄附でありますとか、そういう政治参加のあり方に対して必要な規制が行われるということは、必要だと考えております。
 私も現在、知事として、やはり行政の中立、公正を確保することが最重要だと思っておりますので、衆議院議員時代とは異なって、政治資金パーティーをしないようにしておりますし、また、寄附のお願いも、議員時代は、毎年、定期的にお願いしていたんですけれども、知事に就任後は、そういう寄附のお願いはしないようにしているところであります。
〇高橋博之委員 公共事業への影響力をもとに政治資金を集めるという手法は、日本政治に長く巣くってきました。そうした癒着構造を断ち切るために、企業、団体献金が原則禁止されたわけですが、政党支部などの抜け道が残っております。現在の規制で十分であると御認識されておるのでしょうか。
〇達増知事 重要なのは、オープンにして、国民あるいは地方であれば住民が、その情報に基づいてきちんとした政治判断、選挙の投票行動を初めとする判断ができるようにしていくことだと思います。
 先ほど申し上げましたように、政治資金規正の眼目は、まずは行政の中立、公正の確保にありますので、行政の側の透明性の確保、それは、入札等の調達のあり方、そういったところについて、お金の力で行政がねじ曲げられていないか、そういう行政のプロセスについて、まず透明化を進めていくということが重要であり、そして、それと同時に、政治参加側の透明性も一緒に制度設計をしていくことが重要と考えます。
〇高橋博之委員 知事は、先日の記者会見で、西松からパーティー券購入はなかったかという記者の質問に対して、会社として買ってもらっていないと記憶していると答えております。西松建設とは面識がある程度のつき合いだったということですが、改めて確認させていただきたいと思います。
 資金管理団体及び民主党岩手県第1区総支部で、西松建設並びに松栄不動産から献金やパーティー券購入は、小口のものも含めて、5万円以下の献金あるいは20万円以下のパーティー券購入も含めてなかったのか、また、選挙支援など一切なかったと断言できるのか、教えていただきたいと思います。
〇達増知事 御指摘の企業からの私の政治資金管理団体及び民主党岩手第1区総支部に対して、献金やパーティー券の購入ということはございません。
 それから、私の選挙の体制は、政党と個人後援会で構成されておりまして、企業には入っていただいておりませんので、そういう支援もございません。
〇高橋博之委員 ないということでありますが、例えば、政治資金収支報告書などでしっかり確認をされたのでしょうか。あるいは、政治資金規正法では、会計帳簿等の保存が義務づけられておりますが、会計帳簿、明細書及び領収書等については、報告書が公表されてから3年を経過するまで保存しなければならないことになっておりますが、確認されておりますでしょうか。あるいは確認する意思はありますでしょうか。
〇達増知事 御質問にありました書類等については、法律に従ってきちんと対応しておりますし、それに基づいて、今、御答弁させていただいております。
〇高橋博之委員 ありがとうございました。いずれ、きょうはさまざまな問題について多岐にわたってお話をさせていただきましたが、ぜひ、これから本当に行政も、政治も、住民も、我慢や負担の配分になれておらないというのは、そのとおりなんだろうと思います。その意味で、そうした新しい時代に合わせた行政運営のあり方、あるいは政治のあり方というものが問われると思いますので、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 終わります。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 今、知事の答弁で極めて重大な答弁がありました。議員時代には企業献金をお願いしていたと。知事になってからやっていないと。これは政治資金規正法違反ですよ。議員が企業に献金を求めたら。
 議事録を精査してやっていただきたい。
〇関根敏伸委員長 後刻、世話人会におきまして、議事録を精査させていただきたいと思います。
 引き続き総括質疑を行います。次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 それでは、県立病院等の新しい経営計画案に絞って質問いたします。
 知事の4回にわたる県議会の議場での土下座は、言論の府である県議会を冒とくし、県民の不信を広げていますが、自身の行動がどう評価されていると考えていますか。
〇達増知事 再議をお願いするということは、大変異例のことでありますので、特に礼を尽くしてお願いしなければならないと考えて、ああいうふうに頭を下げたものであります。
 議場は言論の府であるということは、議員御指摘のとおりと考えております。
〇斉藤信委員 土下座する意味を知っていますか。
〇達増知事 私は、再議が大変異例なことでありますので、岩手県議会において一度も前例のあることでなかったということで、そういったお願いをするにふさわしい礼を尽くさなければならないと考えて、ああいう頭の下げ方をしたものであります。
〇斉藤信委員 土下座というのは、こういう意味です。相手に恭順の意を表すため、地上にひざまずいて礼をすること。相手に恭順の意を示すことですよ。あなたの行動と違うじゃないの。
〇関根敏伸委員長 質問をしてください。
〇斉藤信委員(続) いやいや、知っているかと聞いているんですよ、意味を。
〇達増知事 委員御指摘の辞典的な意味については、今わかりました。
〇斉藤信委員 3月8日、日報の論説が出ていますが、この論説を読んでいますか。
〇達増知事 いわゆる社説のことであれば、読んでおります。
〇斉藤信委員 どう受けとめましたか。
〇達増知事 あの頭の下げ方が何の解決にもならないというのは、全くそのとおりでありまして、解決のためには、きちんと議論が尽くされて、そして判断、決断をいただくというふうに理解しております。
〇斉藤信委員 こう述べているんですね。民主主義の本丸ともいえる議場での土下座は、議会の「品格」をおとしめた。そして、この姿は全国にテレビ、新聞で報道された。私は、あなたが堂々と論戦で解決するのではなくて、そういう土下座でしか対応できなかったと。そこに今のこの問題の行き詰まりがあるのではないですか。
〇達増知事 この医療局の新しい経営計画に関する議員の皆様の質問に対しましては、堂々と言えるかどうかは、見る人によって判断が分かれるかもしれませんが、きちんと答弁をさせていただいて、議論を深めようと努めているところであります。
〇斉藤信委員 知事は本会議の答弁で、地域の皆様にさまざまな不安や御心配をおかけしていることにつきまして率直におわび申し上げたいと述べました。具体的にどういう不安や心配をかけたと思っているんでしょうか。
〇達増知事 地域住民の皆様の具体的な不安と心配ということでありますけれども、地域診療センターにおいて入院を取りやめるということについて、まず、近くで入院できなくなるという点、これが不安、心配だと思います。また、夜間、休日に医師が不在となる、これも不安、心配だと思いますし、また、それぞれ個別にさまざまな不安、心配があると考えております。
〇斉藤信委員 その程度ではないと思うけれども、そういう地域住民の具体的な不安と心配をどう解決しようとしているんですか。
〇達増知事 まず、近くで入院できなくなるという点については、今の地域診療センターの患者の方が入院を必要とするという場合には、二次保健医療圏の基幹病院を中心に、他の病院とも連携しながら受け入れ先を確保していくということと、退院後も、他の県立病院や連携している民間病院、介護施設等との連携を図って、在宅に戻るまできちんとフォローするようにいたします。
 夜間、休日に医師が不在となる点については、無床診療所化後、当分の間、看護師の当直を配置して、地域住民からの電話等による相談に対応していきたいと考えております。
 そして、そのほかの地域の実情に応じた個別の課題等については、地域診療センター等懇談会の場で協議をしてまいります。
〇斉藤信委員 具体的な解決はベッドを取り上げてからだと、私はここに重大な問題があると思うんですよ。たくさんの住民からの手紙もいただきました。九戸村の方ですが、高齢化が進み、ひとり暮らしや高齢者だけの世帯も多く、無床化は住民の命にかかわる重大な問題だと。安心して生活できる基盤がないと地域は活性化しません。九戸村にとって、診療センターの存在は安心の基盤ですと。これは大迫の方ですが、不安で眠れない日々が続き、病気になりそうですと。
 この無床化について、県立病院の医師はこう言っていますよ。無床化で入院患者が基幹病院に来れば、私たちの負担はさらにふえると。県が進める無床化そのものに疑問を呈したと。どういうふうに考えていますか。
〇達増知事 その記事にあるような意見があったのかもしれないですけれども、県立病院システム全体としては、医療局としてはきちんと、いわゆる医療難民のような方が出てこないように、現場の医師や病院もきちんと指導しながら、確保していくというふうにさせていきたいと思います。
〇斉藤信委員 高齢化が進んで、その高齢者、地域医療の確保、地域の高齢者の医療、入院、健康はどう支えるのか。無床化では高齢者切り捨てになるのではないか。示してください。
〇達増知事 地域の高齢者の医療、入院、健康の確保策についてでありますが、地域診療センターの入院患者は高齢者が多いわけでありますが、入院を必要とする場合には、二次保健医療圏の基幹病院を中心に、他の病院とも連携しながら受け入れ先を確保していくこととしております。
 また、基幹病院の地域医療福祉連携室を中心にして、基幹病院から退院後も他の県立病院、連携している民間病院、介護施設等との連携を図って、在宅に戻るまでフォローしていくこととしております。
〇斉藤信委員 地域医療でモデルとされる藤沢町民病院の院長はこう言っています。地域医療は、医師と住民が協働でつくる文化だ。高齢化がますます進む中、保健と福祉の支えなくして住民本位の医療はなし得ない。地域医療は、患者の人生に長く寄り添うことが必要だと。こういう医療が必要なのではないですか。基幹病院で受け入れる、1週間、10日受け入れて、あとはどこに行くんですか。それが高齢者医療ですか、地域医療ですか。違うのではないですか。
〇達増知事 特に、高齢者の医療については、福祉との連携、そしてまた地域の取り組み、在宅の地域における助け合いなど、きめ細かな対応が求められますので、そこはしっかり病院側も地元と協議をしながら対応を進めていきたいと思います。
〇斉藤信委員 切り捨てられる痛みをあなたは感じていないのですよ。切り捨ててから話し合おう、順番が違う。
 それで、幾つか具体的にお聞きします。
 県立沼宮内病院を中核とした岩手町の日本一のがん検診体制がどう構築されたか、知事は理解されていますか。無床診療所化で、本当にこれが継続できますか。その保障はどこにありますか。
〇達増知事 県立沼宮内病院を中核としたがん検診活動は、昭和50年代に、岩手町の検診受診率が県内で最低水準にあった中で、受診率最下位からの脱却を目指して、昭和62年に検診受診率の向上を目的に、町内の開業医の皆さん、町職員及び沼宮内病院の医師をメンバーとして岩手町検診推進委員会を組織して、検診体制や未受診者対策について評価と反省、及び計画等の取り組みを行ってきたものと承知しております。
 また、平成2年には、国の大腸がん検診モデル事業に採択され、これを契機に、住民への大腸がん検診の受診勧奨と検診受診体制が確立されたというふうに承知しております。このような取り組みを経て、現在、岩手町は県内で高い検診受診率を維持して、がんの早期発見、早期治療に努めているものと認識しております。
 県立沼宮内病院は、検診機関として大腸がん、胃がん、乳がん検診を実施しており、岩手町の検診事業に対する役割は重要であると考えております。これまでも精密検診を含む検診は外来で実施してきておりますので、無床化後も、中央病院等からの応援を得ながら検診活動は継続して、そして実施できるものと考えております。
〇斉藤信委員 医師と検査の体制がどうなっているか知っていますか。
〇達増知事 沼宮内病院の検診体制、医師の関係ということでございますけれども、1次検診はまず病院職員で実施しており、胃がん及び大腸がんの精密検診が常勤医師のほか岩手医大等からの応援で実施しております。
 大腸がんの1次検診は便検査のみで、2名の臨床検査技師が対応、2次検診には下部内視鏡検査を実施して、常勤医師と医大等からの応援医師で対応、そして胃がんの2次検診については、内視鏡検査を実施して、常勤医師及び医大からの応援医師で対応、乳がんの1次検診については、視触診あるいはエックス線撮影を実施して、常勤医師、看護師及び診療放射線技師で対応と承知しております。
〇斉藤信委員 だったら、無床化で、一、二名の常勤医師、検査の技師が1人もいないではできないじゃないですか。どうするんですか、これ。
〇達増知事 ここは、中央病院等からの応援を得ながら検診活動は継続し、そして実施できるものと考えております。
〇斉藤信委員 根拠がないけれども、住田診療センターの訪問診療はどういう経過でやられているかわかっていますか。
〇達増知事 住田地域診療センターの訪問診療は、現在、18人を対象に週1回午後実施しており、医師1名と看護師1名の体制で、住田地域診療センターを退院し自宅で寝たきりの患者を対象に行っていると承知しております。
〇斉藤信委員 2人の医師で約20名の訪問診療をやっているわけですよ。これは昭和56年から訪問看護を始めて、昭和57年から訪問診療を始めた。平成9年、この取り組みで住田町は二つの厚生労働大臣表彰を受けた。今も毎月1回、在宅医療連絡会議をやっている。これの体制を崩すのですか。
〇達増知事 住田地域診療センターの常勤医師の状況は、平成19年度、内科2名、外科1名が平成20年度には内科1名、外科1名になっているわけでありますけれども、この4月以降も医師一、二名、そして看護師5名の体制は確保することとしておりまして、訪問診療等の実施状況によって体制が不足する場合には本院等からの応援によって継続して実施することとしております。
〇斉藤信委員 介護施設からの高齢者の入院の実態をつかんでいるでしょうか。無床化になったら、こういう介護施設の方々はどこへ行けばいいんでしょうか。
〇達増知事 介護施設入所者が入院を必要とした場合には、その二次保健医療圏の基幹病院での受け入れを行うことを基本にしつつ、他の県立病院や民間病院等とも連携をしながら受け入れ先を確保することとしております。また、退院後も、他の県立病院、連携している民間病院、介護施設等との連携を図って、在宅に戻るまでフォローすることとしております。
〇斉藤信委員 言葉だけなんですよ。紫波でも大迫でも、老人病院の周りはみんな満杯で行き先がないと言っていますよ。知っていますか。
〇達増知事 仮に基幹病院が満床で受け入れができない場合であっても、他の県立病院や、また民間の病院等の協力を得ながら患者の受け入れ先は確保することとしてまいります。
〇斉藤信委員 私は、基幹病院が満床だと言っていないんですよ。老人病院が満床だと言っているんですよ。
 特養の施設長さんはこう言っています。このまま無床化されれば今までの地域福祉が根底から崩れ、安心して介護を受けられなくなると。この危機感、わかりますか。
〇達増知事 個別具体的な患者さん、また、お年寄りの方々、その一人一人にきちんと、医療難民あるいは介護難民のようなことにならないように、病院サイドのほうでもきちんと対応してまいります。
〇斉藤信委員 重大なことは、そういう課題が無床化を実施してから相談します、協議しますなんですよ。ここにこれだけ痛みを押しつけるのなら、そういう解決方向を示してやるべきじゃないですか。順番が違うのではないですか。
〇達増知事 個別具体的な不安、心配に対する御相談については、去年11月に経営計画の案を公表した後から地域説明会や懇談会の中でも伺う用意をしておりましたし、また、対応を決められるものについては速やかに決定して8項目の修正事項としたところであります。
 また、その修正8項目の中に盛り込まれているわけでありますけれども、それが対応のすべてではなく、今後も御相談を続けて、そして個別具体的な心配、不安が解消されていくようにきちんと対応してまいります。
〇斉藤信委員 5診療センターの常勤医師の配置は今どうなっているでしょうか。これが4月以降、どういう見通しになるんでしょうか。何人減るんでしょうか。
〇達増知事 5診療センターの医師の配置、現員数を申し上げますと、花泉が1、大迫3、住田2、九戸1、紫波2でございます。(斉藤信委員「答弁漏れだ。無床化でどうなるのかと聞いたんです。何ぼ減るの」と呼ぶ)今後のことについては、ただいま調整中であります。
〇斉藤信委員 医師不足を言いながら、今、実際配置されているのはわずか9人ですよ。何人も減らないでしょう。それをなぜ無理無理4月に実施するのか。医師1名ないし2名というのは全然違うんですよ、1名なのか2名なのかで。1名になる病院はどこなんですか。
〇達増知事 今後の調整については、常勤医師、そして応援のそのバランスの調整というふうに理解しておりまして、求められる必要な医療をきちんと提供できるように、しかし、岩手県全体の県立病院システムが機能するように調整されるものと理解しております。
〇斉藤信委員 4月からあなた方が無理無理無床化をやるというのに、今でさえまだ9人しか配置されていないのに、何人減るかそれも示せない、おかしいじゃないですか。
 いいですか、岩手町や紫波町や花泉で無床診療所化になったら、開業医と基本的に変わらない。存在意義がなくなって廃止の道になるとみんな心配しているんですよ。いかがですか。
〇達増知事 医師については、常勤医師一、二名と、そしてプラス診療応援によって平均2人以上を見込んでいるものでありますけれども、可能な限り現行の外来診療や、また在宅医療などにも取り組んでいくこととしております。
 そして、地域診療センターについては、病床の休止という体制であれば、基幹病院等からの診療応援でやりくりをしながら、何とか県営の地域診療センターとして維持していきたいという考え方であります。(斉藤信委員「答弁漏れだ。紫波、花泉、岩手町の話、聞いたでしょう。説明原稿にも書いているでしょう」と呼ぶ)
 開業医の体制と変わらないのではないかということですけれども、それぞれの診療所において、住民の皆様と協議しながら、やるべきことはきちんとやっていく体制を維持していくこととなります。
〇斉藤信委員 県南の基幹病院の院長は、無床診療所化になったら県立で維持する意味がなくなると言っていますよ。現実に、無床診療所化になったら開業医と変わらないのですよ。開業医がいるところは県立で維持する意味がなくなる、廃止の道になる、そういう不安を持っているから問題を提起しているんですよ。知事、わかりますか、この不安が。
〇達増知事 今回、新しい医療経営の計画の中で、この地域診療センターについては、基幹病院等からの診療応援でやりくりをしながら何とか維持していきたいという考え方でつくっております。
〇斉藤信委員 時間がもったいないけれども、全然かみ合わないけれども、やっぱり無床診療所化は廃止の道になりかねない、そういう問題だから丁寧に議論すべきだと言っているんですよ。
 それで、医師不足、医師確保の問題について、この間の医師の採用と退職、年次別に示していただきたい。
 医師数が増加しているのに常勤医師が不足している理由は何ですか。
〇達増知事 医師の採用と退職者数については、平成16年度から平成19年度までの過去4年間の医局人事を除いた採用者が132人、退職者が146人となっております。
 県立病院全体の医師数はここ数年微増でありますが、増加しているのは初期及び後期研修医の増加でありまして、30代、40代の経験豊かな常勤医師は、平成15年度に比較し平成21年度当初は86人の減少となる見込みで、常勤医師の不足が深刻な事態となっております。
 そして、その理由としては、救急患者の増加や宿直に引き続く、いわゆる36時間勤務、月平均54時間に及ぶ超過勤務など、過酷な勤務環境から県立病院を離職していく医師があること、また、医師派遣元である大学のほうでも医師不足が深刻な状況にあって、医師が離職しても後任の補充ができないことなどによると考えております。
〇斉藤信委員 年次別に示してください。
〇達増知事 平成16年度、採用者は22、退職者は39、平成17年度、採用者は39、退職者は38、平成18年度、採用者は33、退職者は30、そして平成19年度、採用者は38、退職者は39でございます。
〇斉藤信委員 だから、採用と退職を見るとそんなに遜色ないんですよ。だから余り減った減ったと言うのは正しくない。
 ただ問題は、研修医で支えているが、支え切れないという問題ですよね。絶対的不足の中で国の制度が持ち込まれたために岩手医大が派遣できなくなった。私はそれにかわる体制こそ必要だと思いますよ。そういう対策をとらなかったら悪循環でしょう。どうですか。
〇達増知事 現在、国においては研修制度の見直しの作業が進んでいると聞いておりますけれども、私も知事就任以来、おととしから政府閣僚を初め関係者に、地方の医師不足の解消、特に地域偏在や診療科偏在を解消するための施策あるいは制度変更を求めているところでありまして、今後も引き続き国への要望を強く訴えていきたいと思います。
〇斉藤信委員 国のガイドラインに対して、私は、医療費削減を目的に、病院と病床を削減することがねらいだと思います。知事はどう考えているか。
 そのもとで県立病院を縮小再編しても悪循環にしかならない。今回の計画も、このガイドラインに基づいて3年間で黒字に転換する、大変無理な計画になっているんじゃないですか。どうやって黒字に転換するんですか。
〇達増知事 まず、国のガイドラインについてでありますけれども、このガイドラインは、全国的に公立病院の経営環境が悪化しており、地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供するため公立病院の改革を促すものと受けとめております。
 また、今回の新しい経営計画の策定に当たっては、安定的かつ自立的な経営を維持していくために、長期的展望に立って、二次保健医療圏を基本とした役割分担のもとで、適切な施設の規模や機能を設定したものであります。
 そして、黒字転換の主な要因として挙げられますのは、まず、収益確保策として、7対1看護の取得、また、DPC─診断群分類包括評価の導入、そして費用抑制策といたしまして、特殊勤務手当の見直し、業務改善等による給与費の適正化、後発医薬品の使用拡大、SPD─物品供給管理の導入拡大、価格交渉コンサルティングの活用による廉価購入の推進等による材料費の削減、移転新築等の大規模な施設整備の抑制による減価償却費や支払い利息等の削減などでございまして、これらの実施によって平成23年度での黒字転換を目指そうとするものであります。
〇斉藤信委員 公立病院は平成19年度2、000億円の赤字でした。75%以上です。この医療危機の原因は何ですか。
〇達増知事 基本的には、医師の抑制を一貫して行ってきた国の政策、そして、そういった基盤があるところに新しい研修制度が設けられ、病院からの派遣が困難になったということが主な原因として挙げられると思います。
〇斉藤信委員 医療費抑制政策のもとで医師不足をつくった、診療報酬を引き下げた、地方交付税を削減した。診療報酬削減で岩手県立病院はどのぐらい影響を受けていますか。
〇達増知事 かなりの影響を受けたと承知しております。(斉藤信委員「だめだよ、そんなのは。あなたがつくった経営計画に書いているんだよ。だめだ、そんなの」と呼ぶ)
 診療報酬の改定については、平成14年から診療報酬全体のマイナス改定が続いた結果、推計では平成14年度に約26億円の収入減、平成16年には約11億円、平成18年度は約19億円、平成20年度は約1億円の収入減ということで、合計57億円の減収となっております。
〇斉藤信委員 だから私は、医師不足にしても診療報酬引き下げにしても、この国の政策の転換がなかったら悪循環に陥ると。縮小、リストラしかないと。そこの打開策を知事、考えなきゃだめなんじゃないですか。
〇達増知事 ある意味、国の政策による全国的な医療危機というのは岩手が直面している大きな逆風だと思っておりまして、まずはその逆風にひっくり返されないように、みんなで手をつないでしっかり頑張る体制を組みながら、そしてその風の向きを変えていく、風の向きを逆転させていくということだと思っております。
〇斉藤信委員 今問われている最大の問題は、プロセス、過程の問題、計画の策定経過なんです。わずか3カ月で県民の声も聞かずに計画を決めた、1カ月余で無床化を強行する、余りにも無理があるんじゃないですか。
 伊関さんという全国の医療に詳しい方がこう言っていますよ。全診療所を一斉に無床化するのはどうか、強行する役所的手法は医師の心も打たない、病院は理念を明確にする言葉を持ってほしいと。
 4月強行を前提にして話し合ったら、話し合いにならないじゃないですか。
〇達増知事 計画の策定経過についてでございますが、新しい経営計画は昨年11月、計画案を公表し、パブリックコメントの実施、地域説明会、地域診療センター等懇談会を開催、リーフレットの全世帯配布などによりまして計画案の説明と意見の把握に努めて、意見のうち計画に反映できるものについては可能な限り計画に取り入れて2月19日に決定したところであります。
 今回の計画の策定に当たって十分な時間がとれなかったとの御批判は委員御指摘のとおりでございますが、深刻な医師不足など、県立病院の現状は一刻の猶予もならない状況に置かれていることを御理解いただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 結局は動かせないという一点張りなんですよ。それでどうして地域住民の協力が得られるんですか。県下にあまねく医療の均てんをという、この創業の精神を今度の新しい経営計画には掲げている。反するんじゃないですか。どこに理念があるんですか。
〇達増知事 経営計画全体としまして、この逆風の中、岩手にある医療資源を最適な配分をさせていただいていると思っておりまして、ただ、その中で、各地域、これは診療所以外にも常勤医が2名になる地域病院でありますとか、また、そういったところにも応援を出さなければならなくなる基幹病院、そして県中央病院等々、さまざまな御心配、御不安をそれぞれの住民の皆さんにおかけするところではありますけれども、そういったところに対してはきちんと対応して、遺漏なきよう努めていくというところを診療所にかかわる不安、心配をお持ちの皆様にもご理解いただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 例えば住田病院は、昭和6年6月に県内初で県立世田米診療所としてつくられた。伊保内病院は明治15年ですよ。大迫病院は昭和19年、地域住民が設立をした。そういう歴史的経過を持って、そういう思いで医療を支えてきたのですよ。それを、入院がなくなるというこういう時期に、そういう方々になぜ思いをはせて、一緒に協議しようと。紫波町や岩手町だったら開業医が協力しようじゃないか、これを受けてなぜ協議できないんですか。
〇達増知事 紫波や、それぞれ沼宮内等、あるいは花泉、御提案をいただいていることについてはそれぞれ協議が進んでいるところと理解しております。そうした協議、これは4月1日以前も、また4月1日以降もしっかりと進めて、住民の皆さんの不安や心配をきちんと改善、解決できるようにしてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 私は、何が何でも4月実施と、これでは切り捨てられる人たちの痛み、願いは伝わらない。私は、本当に今一時立ちどまって、時間をかけてやるべきだと指摘して終わります。
〇関根敏伸委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時1分 休 憩
午後2時10分 再開
〇関根敏伸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 休憩中に世話人会を開催いたしましたので、その協議結果を御報告申し上げます。
 斉藤信委員から議事進行のありました知事答弁の件につきましては、速記録を精査いたしました結果、知事から、企業献金をお願いしていたとの答弁はなかったことを確認いたしましたが、知事に補足説明を求めることとの結論に至りましたので、御了解願います。
〇達増知事 午前の斉藤信委員の議事進行に関連して、補足説明させていただきます。
 衆議院議員時代の寄附のお願いについてでありますが、政党支部としては企業、団体、個人に対し、資金管理団体としては個人に対し、それぞれ寄附をお願いしていたものであります。
 このことは、政治資金規正法が改正され、施行された平成12年1月1日以降、法に基づいて行っていたものであります。
〇関根敏伸委員長 総括質疑を行います。小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党の小野寺好であります。
 次期岩手国体の準備に関し、陸上競技場について伺います。
 新幹線、IGR、バス等交通の便、宿泊施設、人的支援体制、都市の規模等々の要素から、普通に考えて、盛岡市みたけの運動公園内の県営陸上競技場を再整備し、開会式等及び各種陸上競技を行うべきと思います。
 普通に考えない、つまり、できるだけお金をかけず、あるもので済ませたい、この一点だけで判断するというのが知事のお考えのように見受けられますが、いかがでしょうか。
 国体招致を願っている皆さんは、相当の費用負担の生じることを覚悟で、華やかな体育の祭典、お祭りを開催することによって、岩手の力強さを確認するとともに、この機会に思い切って将来のための施設整備をしたい、こうした共通の思いを抱いております。
 現に、盛岡広域市町村長とその議会が、知事等に要望活動を行うとともに、盛岡市長は、相応の財政支援を表明しております。このような熱意にどうおこたえしようとしているか伺います。
〇達増知事 国体運営のあり方については、日体協から国体改革2003が出され、簡素効率化の方向性が打ち出されております。県といたしましては、平成28年の岩手国体の開・閉会式と競技が行われる施設については、国体改革の趣旨を踏まえて、県内の既存施設を最大限活用するなど、簡素効率化を最優先すべきものと考えております。
 また、開・閉会式会場を選定する際の判断要素といたしましては、御指摘の交通の便、宿泊施設、人的支援体制等の観点がございますが、現在、総務企画専門委員会において検討しておりまして、候補地となっている盛岡市、北上市とも、それぞれ一長一短があるとしているところと聞いております。
 会場の選定については、こうした要素や県営陸上競技場を2種として維持していくとの方針を踏まえながら、県準備委員会で検討し、選定していくこととしております。
 そして、盛岡広域市町村長等の熱意についてでありますが、盛岡周辺市町村長等からの要望や熱意については、重く受けとめております。一方、本県の競技力向上のためには、長年にわたり多くの体育関係者から要望されていた、スポーツ医・科学機能を備えた多目的屋内練習施設の整備を優先すべきとしたものでございます。
〇小野寺好委員 次に、県立大学の経営状況について、まず、学生募集について伺います。
 新設大学の増加と少子化傾向で、大学全入時代と言われるようになり、定員を満たすことのできない大学も結構あり、入試会場をふやすなど、急激に学生争奪が言われるようになりました。
 幸い、県立大学は志願者が多く、卒業生も高い評価をいただいておりますが、優秀な学生を募るため、教授陣、奨学金、施設整備、企業開拓などの面で、どのような手だてを講じていくのか伺います。
 次に、県立大学の収支について伺います。
 平成21年度は、短大も含め県から42億8、000万円余の交付金が支出される予定であり、これに入学金や授業料、受託研究収入等を加えて運営されますが、最近の状況で、さまざまな影響を受けているのではないかと思います。
 そこで、未納授業料、研究成果への報酬など、近年の収支状況はどのような傾向にあるか伺います。
 また、特許等知的財産権の活用による収入確保の取り組みはいかがでしょうか。
 大学によっては、非常勤職員の雇いどめによって研究等に支障が出ているという声も聞きますが、非常勤職員も含め、教職員の過不足はいかがでしょうか。
〇川窪総務部長 県立大学における優秀な学生確保についてでございますが、設立母体である県といたしましては、県立大学が、常に県民が期待する県立の大学のあり方を把握し、意識するということ、そして、大学の教育研究の成果が、学内外に目に見えるような運営をしていくこと、これらを通じまして、高校生を含めた県民の皆様に、地域になくてはならない大学であると認識していただくことが、まず重要であると考えております。
 こうした県の期待を踏まえまして、県立大学におきましては、業績等を基本とした公募による優秀な教員の確保や、教員の教育力向上に向けた学生による授業評価の積極的な実施を行っており、また、国内外の経済状況の悪化に対応した無利子貸付制度の創設など、緊急の学生支援対策も実施しております。また、施設、設備面では、学内情報システムや学生が使用する端末の計画的な更新による修学環境の整備を図っております。また、求人関係では、就職支援グループによる企業訪問等を通じた新規求人開拓などに努めているところであります。
 これらに加えまして、教授陣個々の専門的知識を地域の諸課題の解決や政策づくりに直接結びつけ、地域のシンクタンクを目指しますIPU地域づくりプラザを開設いたしておりますし、また、学生の自主的なボランティア活動を全学的に後押しするための学生ボランティアセンターの整備も行っております。さらに、IT関連企業における新事業創出、共同研究、起業家育成を目指す滝沢村IPUイノベーションセンターの運営支援を行うなど、地域や学生のニーズ等を把握しながら、教育研究の成果が学内外にあらわれるような取り組みもあわせて進めているところでございまして、こうした取り組みが、県内の高校生やその保護者はもとより、広く県内外に伝わっていくよう、一層の努力を期待しているところでございます。
 次に、収支の状況につきましては、授業料等の納付金につきましては、県立大学におきまして、経済状況の悪化に対応し、減免等に関する相談窓口を設置するなど、きめ細やかに対策を講じていることなどもございまして、現在のところ、未納者の増加傾向は生じていないところでございますが、経済的に困窮する学生への支援策として授業料減免枠を拡大したところでございますので、これによる一定の収入の減少、約2、600万円と見込んでおりますが、この収入減が見込まれるところでございます。
 また、共同研究や受託研究などを通じた収入につきましては、件数は増加傾向でありますが、大きなプロジェクト研究が終了したこと等に伴い、金額については減少する見込みと聞いております。
 また、現在の経済状況から考えますと、来年度については、そうした収入の確保については、環境が厳しくなるものと考えております。
 なお、特許等の知的財産権の活用につきましては、これまで知的財産の管理ルール等を定めてまいりましたけれども、現在のところ、県立大学法人に帰属している特許が11件、著作権が3件となっておりまして、これらについては、現時点では、まだ技術移転契約等に基づく実施料収入などの形での収入には結びついていない段階でございますけれども、今後、外部アドバイザーなどの協力を得ながら、出願後の技術移転や出願促進のための審査会体制の見直しなどに取り組んでいるところであります。
 最後に、非常勤職員を含めた教職員の体制でありますが、県立大学は、平成10年の開学に当たりまして、少人数教育によるきめ細かな教育指導を特色に掲げてスタートしておりまして、他大学と比較した場合でも、教員1人当たりの学生数については、県立大学は少ない部類に属しているところでございまして、教員の数につきましては、不足しているという状況にはないものと認識しており、非常勤職員も含めまして安定した人員体制を保ちつつ、大学運営に当たっているところでございます。
〇小野寺好委員 次に、市町村国保事業の運営について伺います。
 国民健康保険事業安定化のために、平成21年度は96億円余の県予算を充てていますが、市町村の運営する国民健康保険は、自営業者のみならず、無職者・高齢者も対象で、収支内容は、初めから厳しいものになっています。
 昨年4月から後期高齢者医療制度がスタートし、75歳以上の方は別建てになり、まだ1年経過していませんが、どのように影響しているか、概要を伺います。
 それ以前の平成19年度の県内の国保税収納率はいかがであったか、特に、県北・沿岸地域は経済的に条件不利地域と言われていますが、懸命に納付しているようにも聞きます。県内で未納者が多く全体の収支に大きな影響の出ている自治体、未納者世帯の児童生徒に特に配慮している例、収納率の良否はいかがでしょうか。
 また、健康増進の推進策や医療施設の多寡にもよるでしょうが、1人当たり医療費の高い市町村、低い市町村の例示、及びその理由はどのようなものによると考えるかお伺いいたします。
〇宮舘副知事 まず、後期高齢者医療制度施行後の市町村国保の収支についてでありますが、国保財政は、国保税、それから国、県、市町村の公費、地方財政計画に基づく一般会計からの繰入金、そして、前年度からの繰越金に加えまして、基金の取り崩し等によりまして、基本的に収支の均衡が図られる仕組みとなっております。
 この仕組みによりましても、平成19年度において収支額が赤字となっている保険者は2市町ございます。
 平成20年度の収支につきましては、計画上、すべての保険者が黒字となると見込んでいるところでありますが、お尋ねの収支の影響については、現段階では把握できないものであります。
 次に、国保税滞納世帯の状況と収納率についてでありますが、平成19年度の国保税の収納率は、現年度課税分と滞納繰り越し分を合わせまして75.06%となっております。このうち滞納世帯数の割合が高い保険者は、高い順に申し上げますと、大槌町、山田町、雫石町、花巻市、盛岡市となっておりまして、これらの保険者のうち、平成19年度の収支が赤字となっているのは雫石町のみでございます。
 また、滞納世帯における児童生徒への配慮についてでありますが、七つの市町村が、中学生以下の子供のいる世帯を資格証明書の交付対象外としているほか、六つの市町では、資格証明書を交付されている世帯であっても、その世帯に属する子供に対しては、短期被保険者証を交付しているところであります。
 なお、子供に資格証明書を発行していない保険者の収納率は3位から34位までと、市町村によって状況は異なっております。
 それから、国民健康保険における1人当たりの医療費についてでありますが、平成19年度におきましては、1人当たりの医療費が高い保険者は、高い順から例示いたしますと、西和賀町、盛岡市、釜石市などとなっておりまして、また、低い保険者は、低い順から申し上げますと、野田村、普代村、洋野町などとなっております。
 1人当たりの医療費が高い要因といたしましては、一般的に受診率が高く、入院日数が多いことなどが挙げられておりまして、本県においても同様の傾向が見られるものであります。
〇小野寺好委員 次に、県営住宅の家賃滞納者対策について伺います。
 支払う能力がありながら滞納を続けている入居者に対し、県は、法的措置をとり、まじめな入居者、全納税者のために厳しく対処していますが、近年の県営住宅の家賃滞納状況、今後の対応策を伺います。
 滞納家賃の納付督促や徴収のために大変御苦労しておりますが、県職員が平日のほかに夜間、休日も歩くより、民間委託して進めることにしたいと聞きますが、どのような内容でしょうか。
 なお、昨今の急激な雇用状況の悪化による影響に対し、特別な配慮等があるものかどうか伺います。
〇宮舘副知事 近年の家賃の滞納状況でございますけれども、平成19年度における県営住宅家賃滞納額は1億6、600万円余となっておりまして、滞納家賃額が最も多かった平成15年度の1億9、000万円余と比べ、約13%減少している状況でございます。
 今後の対応策についてでありますが、県といたしましては、家賃滞納は、家賃をきちんと納入している方との不公平感の増大や県財政にとっても影響があることから、厳正に対処していくこととしております。
 具体的には、滞納1カ月以上になった時点から督促状の送付や、2カ月以上の者に対しては臨戸訪問による納入指導を行うほか、誠意の見られない者に対しましては、県営住宅の明け渡しと家賃支払いを求める法的措置等を行っていくこととしているものであります。
 次に、民間委託の内容についてでございますが、民間に委託しているのは、県営住宅を既に退去した方々の滞納家賃等の徴収についてであります。
 これまでも退去滞納者に対しましては、毎月督促状を送付するなど取り組んできたところでありますが、民間のノウハウを積極的に活用するため、委託費用については、平成20年度9月補正予算で予算化されまして、退去滞納者の所在確認や文書及び電話による支払い案内を始めているところであります。
 次に、雇用状況の悪化による影響と家賃徴収に当たっての配慮でありますが、雇用状況の悪化による影響でありますが、今年度の家賃徴収率が現時点では昨年度を上回っていることから、明らかな影響は認められない状況にあります。
 また、家賃納入指導に当たりましては、収入が著しく減少した世帯に対する家賃減免の実施や、多重債務者等に対しましては、分割納入に応じたり、県民生活センターや広域地方振興局等の消費生活相談室における相談窓口への相談を促すなど、個々の方々の状況に応じた対応を行っているところであります。
〇小野寺好委員 次に、多重債務者対策について伺います。
 県は、昨年も県民生活センターや各地方振興局で弁護士による無料相談を行ってきましたが、平成21年度も多重債務問題解決支援事業を予定しています。
 不況による生活苦や善良な県民を巧みな話術、欺罔行為で陥れるなどいろいろ想定されますが、近年の相談内容、件数はどのような傾向にありますか。その中で、相談して解決した件数、割合はいかがでしょうか。
 また、多重債務が原因であろうと思われる行方不明や自殺はいかほどでしょうか。
 無料相談はあくまでも相談であって、次の段階で、本人の経験や知識、県職員の支援の範囲を超えるような、専門の弁護士に事件として依頼しなければならない場合、法テラスも一つの選択肢と思いますが、どのような連携が図られているか伺います。
 盛岡市の場合、多重債務者の負債整理のため、貸付金による支援などを行っていると聞きますが、この取り組みについて県はどのようにお考えでしょうか。
 あわせて、県消費者信用生協の役割、業務内容についてもお伺いいたします。
〇宮舘副知事 多重債務者対策について御質問がございました。近年の相談内容、件数の傾向についてでありますが、まず、相談内容でございます。
 今年度の多重債務者弁護士無料相談における相談内容は、2月末現在で、負債額では300万円未満が50%となっておりますが、500万円以上も25%となっておりまして、平均負債額は約560万円となっております。借り入れのきっかけは、生活費補てんや収入の減少が45%と最も多くなっておりまして、次いで商品等の購入が11%であります。ギャンブルや遊興費によるものは8%となっております。
 それから、相談件数ですが、過去5年間の県民生活相談における多重債務相談の件数は、多い年度で約1、700件、少ない年度では約1、200件、平均では約1、500件となっておりまして、総相談件数に占める割合は、増加傾向にございます。
 それから、解決割合の関係でございますけれども、最終的には、相談者が、どのような形で債務整理を行うかを判断することになるわけでございますが、解決割合の把握は、そういう面ではなかなか難しい面もございます。今年度の多重債務者弁護士無料相談におきましては、2月末現在で、総相談件数が1、331件のうち、弁護士が受任の上、債務整理に当たったものが574件、43%でございます。その内訳は、任意整理が356件、自己破産が101件で、これらが約8割を占めている状況でございます。
 それから、多重債務が原因の行方不明者及び自殺者数についてでありますが、県警察本部によりますと、多重債務が原因であろうと思われる家出人や自殺者の数は把握していないとのことでございます。
 それから、法テラスとの連携についてでありますが、深刻化する多重債務問題への共通認識を深めるとともに、多重債務者の早期発見、早期解決に向けた対策を推進するため、岩手弁護士会等の関係機関で構成いたします岩手県多重債務者対策連絡会議を開催しておりまして、法テラス岩手にも構成員となっていただき、情報共有を図りながら、連携に努めているところでございます。
 また、多重債務者弁護士無料相談におきまして、相談者が弁護士に債務整理を委任するための弁護士費用の準備が困難な場合には、法テラスの民事法律扶助を活用しているところであります。
 平成20年度多重債務者弁護士無料相談における弁護士受任件数574件のうち、101件について、法テラスの民事法律扶助を活用している実績がございます。
 それから、盛岡市の取り組みについてでありますが、盛岡市では、消費生活センターにおいて市民からの多重債務相談を受け付けておりまして、弁護士等と連携して早期の債務整理に取り組んでいるほか、岩手県消費者信用生活協同組合等と協力いたしまして、債務整理のための貸付資金の融資等に努めております。
 また、本年1月からは、NPOと連携して、くらしとお金の安心支援事業を開始いたしまして、債務整理後の自立支援策を講じていると聞いております。このような取り組みは、全国的にも評価できるものと考えているところであります。
 多重債務者対策は、住民に身近な市町村の役割が重要でございまして、こうした盛岡市の例も紹介しながら、他の市町村における取り組みも支援するとともに、県の弁護士相談等の事業と相まって、多重債務者の適切な救済に努めてまいりたいと考えております。
 それから、県消費者信用生協の役割と業務内容についてのお尋ねがございました。
 岩手県消費者信用生活協同組合は、組合員の相互扶助を基本といたしまして、中小の未組織労働者を対象に、より低利での生活資金の融資を行うことを目的として設立されたものでありますが、現在は、広く多重債務者の救済にも貢献しております。
 主な業務といたしましては、債務整理のための借りかえ資金であります消費者救済資金を全市町村の預託に基づき貸し付けしているほか、平成19年度からは、生活再生資金を創設するなど、地域における生活困窮者のため、事業の充実を図っているところでございます。
〇小野寺好委員 次に、登録販売者について伺います。
 先月、厚生労働省は、一般医薬品に関し、リスクの少ないごく一部を除き、薬のインターネット販売を認めない省令を発表し、賛否いろいろ意見が出ております。また、改正薬事法がことし6月に施行されることになっていて、専門家を常駐させれば、スーパーやコンビニでも大衆薬が深夜でも販売されることになると聞いておりますが、手軽に購入できることによる消費者、販売者への影響はどのようになるとお考えでしょうか。
 これまでも、薬局、薬店がまちの薬屋さんとして身近な存在になっておりますが、今後、薬店は登録販売者という資格者によって運営されると聞きます。
 県はその資格試験を担当していますが、受験者数、合格率、難易度はどうか、及びどのような職務内容になるのか。また、6月以降のいわゆる大衆薬の販売体制等の周知についてどのようにお考えか伺います。
〇宮舘副知事 スーパー等で手軽に大衆薬を購入できることによる影響についてでありますが、本年6月に施行されます薬事法の一部改正におきまして、大衆薬である一般用医薬品は、特にリスクが高い胃酸抑制剤などが第1類の医薬品、また、リスクが比較的高い風邪薬などが第2類の医薬品、そして、リスクが比較的低いビタミン剤などが第3類医薬品に類別されたところでございます。
 スーパーやコンビニなどにおいても、新たに制度化された登録販売者の設置などにより、第2類及び第3類医薬品の販売が可能となったことから、今後、消費者にとって一般用医薬品の購入機会の拡大が図られるものと思われます。
 また、販売者であります薬局や店舗販売業者は、薬剤師や登録販売者によるきめ細やかな医薬品の情報提供や、類別に応じた医薬品の陳列及び情報提供場所の整備などが求められることとなったものであります。
 次に、登録販売者の試験実施状況、それから、その職務内容等についてでありますが、本年度、初めて県で実施した試験の受験者数と合格率は、第1回目の受験者が600名で、合格率は43.0%でした。また、第2回目の受験者は534名で、合格率は54.7%となっております。
 この試験問題につきましては、都道府県によって難易度に格差が生じないようにするため、厚生労働省が示しております登録販売者試験問題作成の手引きに基づき作成した上、同省の確認を受けて問題を決定することとされております。北海道及び東北地区におきましては、7道県が共同で試験問題を作成し、難易度に地域格差が生じないように努めているところであります。
 登録販売者の職務内容は、店舗の構造設備基準の遵守や医薬品等の管理のほか、医薬品の販売に際しまして、その類別に応じて、医薬品の用法、用量や使用上の注意等の情報を提供した上で販売することになっております。
 また、医薬品等の副作用による健康被害があった場合には、厚生労働大臣への報告が義務づけられているところであります。
 一般用医薬品の販売体制等の周知につきましては、消費者に対し、薬剤師や登録販売者から、リスクの程度に応じて医薬品の説明を受けるなどの新たな販売制度等について、パンフレットや県のホームページ等で活用して周知を図ることとしております。
 一方、岩手県薬剤師会等の関係団体に対しましても、新たな販売制度の円滑な施行に向けまして、周知を図り、指導しているところであります。
〇小野寺好委員 最後に、地域ブランドの推進について伺います。
 県産農林水産物のブランド化に関しては、多角的に取り組んではいるようですが、いま一つ力強さ、インパクトに欠け、前沢牛に続くものが早く欲しいと期待しております。
 このため、昨年7月に施行された農商工等連携促進法を根拠として、地域ブランド育成の柱となる農商工連携は、非常に有効であると考えます。具体的取り組みの一つとして、いわて農商工連携ファンドの助成対象事業を今月から募集し、年10件ほど助成するようですが、これによる地域ブランドは、どれだけ育成されるものか伺います。
 また、県予算は、農業振興費で、いわての農林水産物まるごと展開事業でも県産農林水産物のブランド化を図ろうとしていますが、米、野菜、牛乳など平凡過ぎるかと心配しておりますが、目を引くような新商品、販路、販売先などはいかがか伺います。
 最後に、地域団体商標の取り組み状況を伺い、質問を終わります。
〇達増知事 いわて農商工連携ファンドは、中小企業者と農林漁業者の有機的な連携による新商品の開発や販路の拡大等を支援するために、この3月、総額29億1、000万円で組成することとし、既に支援対象事業の募集を開始したところであります。
 今後10年間、このファンドを活用して、県内の質の高い農林水産物を使った新商品開発による一次産品の高付加価値化に取り組んでまいります。
 これらの取り組みを通じまして、いわて希望創造プランに掲げる食産業の展開と食料供給基地岩手の確立の実現を目指し、一つでも多くの地域ブランドが生まれることを期待しております。
 次に、県産農林水産物ブランド化についてでありますが、県といたしましては、これまで、いわての農林水産物まるごと展開事業を実施し、農林漁業団体等との連携のもと、栽培方法や食味にこだわった、いわてプレミアムブランド米、本県の豊富な草資源を活用した安全・安心なプレミアム短角牛、さらに、黄金の國、いわてのイメージを生かしたいわて純情りんご黄金シリーズ、こういった安全・安心で品質の高い農林水産物を求める消費者ニーズに対応した新商品の開発に取り組んでいるところであります。
 また、販路拡大の面では、量販店バイヤーOB等の民間アドバイザーや東京事務所の首都圏県産食材販売推進チームの活動による大手量販店や首都圏ホテルへの販路開拓、銀座料飲組合との取引拡大などの成果が上がっておりますほか、海外では、商社OB等の輸出アドバイザーを活用して、東南アジアへの輸出の拡大を図るとともに、今年度は、新たにシンガポールへの米の輸出が実現したところであります。
 今後は、こうした取り組みに加え、いわて農商工連携ファンド等の活用による新商品の開発を促進するとともに、本県にゆかりのある民間企業等とタイアップした新たな販路の開拓、MOW MOWプロジェクトの展開などによる、地域の新商品やこだわりの食材の積極的な情報発信などについて、私も先頭に立ちながら、関係団体や民間企業等との連携のもと、官民一体となって取り組んで、岩手ブランドの評価向上に努めてまいります。
 そして、地域団体商標の取り組み状況についてでありますが、地域団体商標制度は、地域の特産品などの差別化を図り、地域ブランドとして適切に保護することによって競争力の強化を図ることを目的として、地域の名称や商品の名称から成る商標について、特許庁が登録を認めるものであります。
 その取り組み状況については、岩手県工業技術センター内に設置する岩手県知的所有権センターが中心となり、事業協同組合などの関係団体に対して、セミナーなどを通じて普及啓発を図るとともに、各団体等からの具体的案件に関する相談に対応しているところであります。
 平成21年2月末現在の本県からの出願は9件でありますが、このうち5件、いわて牛、いわて短角和牛、南部鉄器、真崎わかめ、そして江刺りんごが登録されております。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。
〇関根敏伸委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問者席に着く〕
〇阿部富雄委員 子育て支援についてお聞きいたします。
 平成17年度の経済財政白書の世代会計推計によれば、現在の政策が今後も継続する場合、現在60歳以上の世代は4、875万円の受益超過、20歳代は1、660万円の負担超過となり、大きな世代間格差が存在することが示されています。
 さらに、20歳未満と今後生まれる将来世代は、一生のうち1億5、000万円以上の税金や保険料を払うのに、政府から受け取るサービスは1億1、000万円足らずで、4、600万円の超過負担であり、4、900万円の受益負担の60歳以上とは1億円近い差があります。
 支える側が減り、支えられる側がふえる上、国が重ねた借金まで背負うためであります。
 今の制度では、高齢者には比較的に施策が厚く、負担を強いられるのは選挙権を持たない世代であります。こうした世代間格差をどう受けとめているのかお聞きします。
〇達増知事 少子・高齢化が急速に進行して、増加する高齢者を減少する若者が支えるという構図となっているにもかかわらず、政府支出や社会保障制度などの見直しが大きくおくれており、受益と負担の世代間の不公平や制度の持続可能性への疑問が生じ、ひいては国民の将来に対する不安の原因の一つになっているものと認識しております。
 例えば、若者は、将来まで社会保障制度がもたないのではないか、重い負担を負わされるのではないかという不安を持ち、また、高齢者は、目前の社会保障の給付が切り下げられるのではないかという不安を持っています。
 こうしたことから、我が国として、長期的に安定した社会保障制度への改革など社会のセーフティネットを再構築し、国民の将来への負担を解消する必要があると考えております。
〇阿部富雄委員 今、世代会計を引用したのは、損をする世代、得をする世代を特定化して世代間対立をあおるという目的ではなくて、すべての世代が共存可能な持続的な財政、社会保障制度を構築する、こういうことが必要だろうということで申し上げたところでございます。
 そこで、いわて希望創造プランの政策評価では、子育て環境の整備について、県民意識調査では、安心な子育て環境整備について満足度が低いことや、推進方策指数すべてで、ややおくれ、おくれとなっていることなどから、ややおくれとしております。
 子育て環境の整備のおくれは何が問題か、どのように対応してきたのかお聞きいたします。
〇達増知事 これまでの子育て環境整備のおくれについてでありますが、まず、子育てと仕事の両立に向けた雇用環境の整備については、企業においては、子育て支援の必要性は認識しつつも、経営環境も厳しく、一般事業主行動計画策定が進んでおらず、また、労働時間の高どまりなど企業や男性の意識改革が図られていないことから、男性の育児参加が進んでいない状況であります。
 また、保育サービスの充実については、保育ニーズに見合った入所定員を確保できないことから、待機児童が解消されておらず、さらに、地域力を生かした子育て支援については、地域子育て拠点施設の職員の配置基準が1人から2人になるなど、国の補助要件が厳しくなりましたことから、地域によっては実情に合わず、その整備が進んでいないところであります。これらの状況から、ややおくれと評価を行ったところであります。
 このような状況を踏まえまして、県としては、一般事業主行動計画策定の取り組みを促進するとともに、仕事と子育ての両立支援フォーラムの開催、男性の育児参加を促すためのパパ子育て手帳の配布などにより、経営者や男性の意識啓発に取り組んできたところであります。
 また、待機児童が発生している市町村に対して、施設の新設や分園の設置、認定こども園の導入などの取り組みを支援しておりまして、さらに、地域住民が子育て支援に参加するきっかけとなるようなワークショップの開催、地域ボランティア組織の立ち上げ、子供連れの家族への割引などを行う子育て応援の店協賛店舗の拡大などに取り組んできたところであります。
〇阿部富雄委員 子育ての問題は、環境問題と類似しているように私は感じるわけであります。環境の悪化を食いとめるためには、現時点で何らかの対応をとる必要がありますけれども、その対応にはコストが伴う。そのコストの負担を嫌がって先送りにしていくと、将来世代が直面する環境問題は、危機的な状況に陥っている可能性が高くなると思います。
 本県の平成19年の合計特殊出生率は平成18年と同様の1.39、全国は、合計特殊出生率は1.34であり、6年ぶりに上昇した前年の1.32を上回り2年連続の上昇であります。
 県の出生数は、平成19年は1万344人、平成18年に比べ212人減少であります。人口は、昭和36年の144万9、000人をピークに、平成20年には135万2、000人にまで減少しています。
 このような現状を踏まえ、子育て問題の対応はどうあるべきだと認識しているのか、その基本的な考え方をお聞きいたします。
〇達増知事 子育て問題への対応の基本的な考え方についてでありますが、いわて希望創造プランでは、家庭を持った男女が希望する数の子供を持ち、子育てに喜びを感じながら安心して子供を産み育て、次代を担う子供たちが健やかに育つ、共に生きる岩手の実現を目指しております。
 そのために、社会、経済、教育等さまざまな分野における施策が子育て世帯を支えるよう配慮がなされ、また、行政や企業、団体、地域が一体となり、社会全体で子育て支援をしていくことが求められています。
 また、未婚男女に出会いや交流の機会を提供して、結婚への支援を行うことも重要であると考えております。
 さらに、少子化対策の基本的な制度設計は、国で取り組むべきものでありますことから、対策の充実強化について国に強く要望してまいります。
〇阿部富雄委員 国は、平成20年度の補正予算で出産・子育て支援を拡充しております。その一つは、子供を安心して育てることができるよう、新待機児童ゼロ作戦の前倒し実施を図る、そういうことで、平成22年度までの集中重点期間において、15万人分の保育所や認定こども園の整備を促進することなどを目的として、都道府県に安心こども基金を創設するということでありますし、二つ目は、平成20年度の緊急措置として、幼児教育期の第2子以降の子1人当たりにつき3万6、000円の子育て応援特別手当を支給する。三つ目として、妊婦が健診の費用を心配せず、必要な回数、これは14回程度とされておりますけれども、これを受けられるように、平成22年度までの間に地方財政措置されていない9回分について、市町村における妊婦健診の公費負担の拡充を図る、このようにしておりますし、さらに、中小企業の子育て支援の促進、出産育児一時金の拡充などを行うとしておりますが、これらの施策をどう評価しているのか。
 それから、こうした施策は時限施策であります。期限が到来したときに、どのように対応されていくのかお聞きいたします。
〇達増知事 国の補正予算等にかかわる施策の評価と今後の対応についてでありますが、待機児童の解消に向けて、保育所の整備を集中的、重点的に取り組むことや、新たに多子世帯の幼児教育期の子育てへの経済的支援を行い、また、安心して妊娠、出産ができるよう、妊婦健診の公費負担回数を14回まで拡充することを国が制度化したことについては、一定の評価ができるものと考えております。
 しかしながら、子育て支援の充実のためには、平成23年度以降もこれらの施策が継続されることが望ましいと考えておりまして、国に対して、さらなる施策の拡充について要望してまいります。
〇阿部富雄委員 平成23年度以降は国に要望していくということでありますから、それに尽きるかと思いますけれども、ぜひ、途中で切れることのないよう、やっぱり県としても、国が対応しない場合には、相応の対応をするべきだということを指摘させていただきたいと思います。
 次に、従来の対策のみでは、やはり少子化の流れを変えることができなかった、私は、このことを深刻に受けとめるべきだと思います。新生児・乳児期、それから未就学期、小学期、中学生、高校生、大学生期、それぞれの子供の成長に応じつつ、総合的に子育て支援策を講じるとともに、若者の就労支援やパートタイム労働者の均衡処遇の推進、女性の再就職支援など、再チャレンジが可能な仕組みの構築を推進するとともに、企業の子育て支援の推進や長時間労働の是正、従来の働き方を改革する必要があると思います。
 また、厳しい財政事情を踏まえつつも、少子化対策を県政の重要課題とする一致した認識のもとで、新たな少子化対策を策定し諸施策を強力に推進すべきと思いますけれども、どう対応されていくのかお聞きいたします。
〇達増知事 今後の少子化対策の推進についてでありますが、県としては、今後、これまでの取り組みに加えまして、仕事と子育ての両立に向けた雇用環境を一層整備するために、企業における子育て支援員を育成し、労働時間の短縮や育児休業の取得等を促進するとともに、働き方の見直しを推進するため、企業への出前講座等に取り組むこととしております。
 また、従来の国、県、市町村の施策、事業と一体となりながら、補完的かつ柔軟に取り組むことができる事業を新たに加えて、社会全体での子育て支援策を充実していこうということで、財団法人岩手県長寿社会振興財団が管理しています、いわて保健福祉基金の33億円のうち10億円を原資といたしまして、いわて子ども希望基金─これは仮称でございますけれども、こういう基金を本年10月を目途に創設することとしております。この基金の運用益を活用しまして、若い世代の結婚支援のために、出会い、交流の場を提供することでありますとか、子育てに優しい職場環境づくりに取り組む企業、団体への支援でありますとか、地域の多様な子育て活動等に対する支援でありますとか、行政のみならず、企業や地域住民が一体となり、少子化対策を総合的に推進するものとしております。
 さらに、いわて子どもプランを平成21年度中に改定いたします。そして、平成22年度から26年度までの計画を策定することとしておりまして、県民の皆様の思いや意見を十分に反映させたものとしてまいりたいと思います。
〇阿部富雄委員 少子化あるいは人口減少というのは、経済産業あるいは社会現象の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわってくる問題だと思っています。このため、政府、地方公共団体、企業が一体となって対策を進める必要があることから、次世代育成支援対策推進法が平成15年7月に成立、公布されております。
 301人以上の労働者を雇用する事業主は、平成16年度末までに一般事業主行動計画を策定し、平成17年4月以降、速やかに届け出するとともに、300人以下の事業主には同様の努力義務があるとされております。
 平成20年11月26日に改正法が成立し、平成23年4月1日以降、従業員101人以上の企業に拡大されることになっておりますし、行動計画の公表、従業員への周知が、301人以上は平成21年4月1日以降、101人以上についても平成23年4月1日以降義務とされております。
 県内の一般事業主行動計画の策定は、どのような状況にあるのかお聞きいたします。
〇達増知事 一般事業主行動計画の策定状況でありますが、次世代育成支援対策推進法において、行動計画の策定が義務づけられている従業員301人以上の企業は101社であり、これは、すべて策定済みです。
 また、努力義務とされている従業員300人以下の企業については、本年2月末現在で184社となっています。
〇阿部富雄委員 そこで、この次世代育成支援対策推進法というのは、平成27年までの時限立法とされているわけですね。したがって、その計画策定指針では、行動計画を策定するには適当と考える期間、おおむね2年から5年までの範囲を1区切りとして策定したらいいですよ、こういうことが示されておりますし、それから、企業の実績に応じて目標を設定するとともに、可能な限り定量的な目標にしなさい、そのことによって達成状況が客観的に判断できるんだ、こういうことが盛られているわけでありますけれども、行動計画に掲げられている目標等はどのような状況になっているのかお聞きいたします。
〇達増知事 まず、企業の行動計画を策定・実施する期間についてでありますが、一般事業主行動計画は、次世代育成支援対策推進法第12条に基づいて、国の定める行動計画策定指針に即して策定することとされています。
 1回の計画期間が2年から5年で設定することが望ましいとなっていまして、行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出することとなっています。
 策定した計画については、企業が直接労働局へ届けていること、及び公表されていないことから、県としては、詳細について把握していないものであります。
 なお、次世代育成支援対策推進法の改正によって、平成21年4月から、301人以上の企業は、公表と従業員への周知が義務づけられることとなっております。
 そして、行動計画に掲げられている目標についてでありますが、これも、企業が一般事業主行動計画を策定したときの届け出は、都道府県労働局に対して行うこととなっておりまして、その内容は公表されておりませんので、個々具体には承知していないところであります。
 なお、これも平成21年4月からは、301人以上の企業は、公表と従業員への周知が義務づけられることとなっています。
〇阿部富雄委員 実施する期間とか目標は、労働局に届け出ることになっていて、公表されていないから県は承知していないということですけれども、これでは法の趣旨からして、国、地方公共団体、企業が一体となってということにはなかなかならないだろう。ここに一つ問題があるだろうと思います。
 そこで、いわて希望創造プランでは、仕事と子育てが両立できる環境を整備するため、国や産業団体と連携しながら、企業側の課題を把握し、企業の実際の行動力に結びつけていくとしておりますけれども、その成果と課題をどうとらえているのかお聞きいたします。
〇達増知事 子育て環境整備のための企業側への働きかけの成果、そして課題についてでありますが、国や県、労使関係団体等で構成する岩手県仕事と生活の調和推進会議が岩手労働局に設置されていますが、労働時間の短縮、有給休暇や育児休業の取得率を引き上げることなど、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた提言が本年1月に取りまとめられましたので、県内企業に具体的に取り組んでいただくよう働きかけることとしています。
 また、県としては、関係団体と共催で、ワーク・ライフ・バランスに関するセミナー、シンポジウムを開催して、企業の経営者や従業員、一般県民などに広く意識啓発を図ったところであります。
 課題として、従業員300人以下の企業の一般事業主行動計画については、先ほど申し上げましたように184社が策定という状況で、目標の244社に届いておりませんので、なお一層、国と協調しながら、企業への策定支援に取り組んでまいります。
〇阿部富雄委員 子育て支援については、保健福祉部が主体になって進めておりますけれども、知事部局のみならず、教育委員会や警察本部など、県の行政機関での取り組みも必要であると考えております。さらには、企業や経済団体、国の機関である労働局、さらには市町村などの取り組みも不可欠であります。
 こうした県の行政機関、関係機関、団体でいわて子育て支援本部を組織し、一体的に施策を推進することが効果的と思われますけれども、その対応についてお聞きいたします。
〇達増知事 子育て支援にかかわる一体的な推進体制の整備についてということでございまして、県では、庁内組織として、私が会長を務める岩手県子育てにやさしい環境づくり対策推進会議を設置して、毎年度、いわて子どもプランに掲げる事業の評価を行うとともに、関係部局が連携してワーク・ライフ・バランス推進セミナーの開催などに取り組んでおります。
 また、企業や経済団体、労働局、教育、福祉関係団体、そして市町村などを構成員とします子育てにやさしい環境づくり推進協議会を設置して、子育て環境の整備にかかわる取り組みについて御議論をいただき、普及啓発等について一体的に取り組んでいるものでございます。
〇関根敏伸委員長 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 じゃ、本日また、知事、よろしくお願い申し上げます。
 きょうは、危機対応というか、また疑惑への初動対応という観点から何点か伺いたいと思っております。
 どうもこれまで、知事に対しても、正直言って世間は、本当にうちの知事も大丈夫なのかなと多くの県民が実は思っているんだと思うわけですね。しかし、いろいろな場面で、知事がこの事案に対して説明をしてこられましたけれども、正直申し上げて、消極的だなと思っております。ついては、今、県政、大事な課題がたくさんありまして、県政のトップリーダーとして政策を推進するという意味でも、一刻も早くこの問題については積極的に御自身の言葉でより多くを詳細に語るべきだということで、以下、お伺いしたいと思います。
 西松建設関係についてであります。
 本日、午前中の高橋博之委員との質疑の中で、西松建設などからの企業献金、パーティー券の購入はなかったとしておりますが、西松建設の社員名によるパーティー券の購入があったかどうか確認していますか。
〇達増知事 パーティー券の購入については、20万円を超える部分については届け出、そして公表されることになっておりますけれども、それを下回る額については公表されることとなっておりません。私のパーティー券の購入に当たりましては、公表されないことを前提に買っていただいている個人もいらっしゃいますので、それについてのお答えは、差し控えさせていただきたいと思います。
〇及川あつし委員 これは、今起きている事件の本質を知事はわかっていながら回避していると思うんです。今の西松建設の献金の仕組みというのは、会社の社員の名前を勝手に使ったり、または意図的に給料に献金分を乗せて、そして別の団体名とか社員名で政治献金をしたりパーティー券を買っているというのが、連日新聞に出ているじゃないですか。今の答弁は一般的な答弁だと思いますよ。こういう事態で、県民の皆さんはその答弁で納得できると思いますか。
 知事、改めて、西松建設の社員の方の名前によるパーティー券の購入等がなかったか確認する御意思はありますか。
〇達増知事 私の政治資金パーティー券の購入は、主として個人後援会の会員の皆様、そして、地元の企業、商店にもお願いはしていたところでありますけれども、基本的に小口の、少額の、お志をいただくような形で進めております。その中でも一定の額を超えるものについては、政治資金規正法上、届け出をして公開されているところでありまして、それを参照していただきたいと思います。
〇及川あつし委員 私が聞いているのは、不特定多数の方ではなくて、西松建設の社員名の購入実態があったかどうか、確認して公表するつもりはないかということです。再度、答弁願います。
〇達増知事 私のパーティー券の購入先については、一定の額以下の購入については、特に野党の議員、野党の政治家に対する政治資金パーティーの協力ということもあって、プライバシーの公開を控えたいということもありますので、一定額以上の公表を義務づけられた部分についてはそれを参照いただきたいと思いますが、それを下回る部分については、公表は差し控えさせていただきたいと思います。
〇及川あつし委員 つまり、事案がこれだけ拡大して、皆さんがいろいろ懸念を持っているときでも、そういう論理でお逃げになりたいということで、次に進めたいと思います。
 それでは、知事は、西松建設との関係、先週の6日の記者会見において、いろいろな企業を回った中で、たまたまごあいさつをして、面識がある、こういったようなニュアンスの御関係についての説明がありましたけれども、本当にそれでいいんですか。西松建設と達増拓也政治家個人の関係はそれだけですか、はっきりこの場でおっしゃってください。
〇達増知事 選挙区内のいろいろな企業、商店、それから個人等、あいさつをしたり、また政治活動の報告をしたり、それからいろいろな暮らしや仕事の情報をいただいたりする活動についてはそれぞれ相手に合わせていろいろ対応しているところでありますけれども、今、問題になっている企業に関しては、私はその関係の便宜供与でありますとか、あっせん、口ききでありますとか、そういった法に触れることは一切しておりません。
〇及川あつし委員 そういう意味じゃなくて、おつき合いの程度を聞いているわけであります。ふだんの後援会活動とか御自身の選挙活動、この中で西松建設の社員の方がお手伝いされていたかどうか。知事も私の政治経歴よくわかると思うんです。その中で、本当にここではっきりとそういう答弁でいいかどうか、じっくりお考えをいただいて御答弁いただきたいと思います。
〇達増知事 御質問いただきました企業、会社とのおつき合いについては、社会常識の範囲内でのおつき合いと言っていいと思います。
〇及川あつし委員 社会常識じゃなくて、西松建設とは、単なるあいさつ回りをして、そこで御面識があったという関係以上だったんじゃないんですか。そこをはっきり言ってください。そこをごまかすからどんどん多くの皆さんが何かあるんじゃないかなと思うわけです。はっきり答えればいいと思うんです、私は。隠さず、きちっとお答えください。
〇達増知事 その企業に関して、何かあっせん、口ききを働きかけるとか、そういう違法な行為につながるようなおつき合いは一切しておりませんで、社会常識の範囲内としてのおつき合いというふうに言えると思います。
〇及川あつし委員 繰り返しお聞きします。選挙等でお手伝いをいただいたことはないんですね。
〇達増知事 私の選対、選挙の体制は、政党と個人後援会で構成しておりまして、企業には入ってもらっておりません。
〇及川あつし委員 では、その後援会の中に西松建設の社員の方はいなかったと断言できますか。
〇達増知事 後援会には企業としての後援会参加はしていただいていないところでありまして、後援会会員はすべて個人でございます。
 一度に万を超える後援会会員に参加いただいたこともございますけれども、その個々の個別の個人情報については開示を控えさせていただきたいと思います。
〇及川あつし委員 知事があくまでもきちっと説明をされたくないという姿勢がよくわかりました。
 熱心に知事をこれまで政治家として御支援されていた方々を私も十二分に存じ上げております。その方々が個人の資格でやっていたんだよという説明だというふうに理解はいたしましたけれども、それでは、説明に消極的であると私が申し上げたことについては一切何ら変わらないなということであります。
 それでは、また戻りますけれども、先ほどの今回の問題の本質、社員の名前等を使ってどんどんやっていたと。これについて今、検察も疑惑を持って捜査が進んでいると聞いておりますし、きょうも新たな展開があるようであります。
 そうした意味において言うと、今、知事は一生懸命法律に基づいて云々ということをおっしゃっておりましたけれども、知事が師と仰ぐ小沢代表、かつて陸山会の政治資金10億円近くの不動産を購入していたということでいろいろ指摘があったところです。その際に、小沢代表については、事務所費の細目とか領収書等を報道陣に公開をしたという経過があったと私は記憶しておりますけれども、知事も小沢代表を師と仰いでいるのであれば、きっちり説明責任を果たすために、全部出せと言っているんじゃないですよ、西松建設の社員名であったかどうかを最低確認するべきだというふうに私は申し上げているわけですが、再度その意思があるかどうかについて御答弁願います。
〇達増知事 個人情報関係については先ほど申し上げたとおりでありましたけれども、今後とも必要に応じてきちんと説明責任は果たしてまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 これ以上申し上げてもその答弁の範疇を出ないようでありますので、平成17年11月21日、達増拓也君と日本一新を目指す会1、342万円、これについてぜひ、これは保存義務がまだございますから、細かい証票等もあると思うんです。これについては、西松建設の社員の方々が今、社会的に疑惑を持たれている社員名によるダミーのパーティー券の購入等がなかったか、ぜひお調べになることを私はお勧めしたいし、お願い申し上げたいというふうに思っております。
 次の質問に移ります。知事が公開をこの場で拒むのであれば、私もそれなりの覚悟を持ってこれから臨ませていただきたいと存じます。
 それでは、あくまでその答弁についてはそういう答弁にとどまるのであれば、一般質問等でお尋ねした件に順不同でありますが戻りますけれども、本当に知事は、いわゆる今、問題とされているダミー団体2団体について、これまでの答弁では報道等で初めて知ったと言っていますけれども、本当にその認識でいいんですね。
〇達増知事 その認識で結構です。
〇及川あつし委員 私がなぜあえて何度もお聞きするかというと、平成18年、民主党の県連にいろいろな方から献金があるようでございます。その中で、政治団体からの寄附は4団体であります。そのうち一つの団体は、恐らくこれは平野達男参議院議員の資金管理団体、あともう一つは誠山会、この団体は東京であるようでありますけれども、そのほかの二つが突出して、今、問題となっている団体から200万円入っているということであります。なぜ本当にこの団体について知らないのかというのが逆に疑問でありまして、同じ年に知事の資金管理団体に対しては民主党の県連のほうから313万円いただいている。これは、ここの関係とかについてきちっと御説明をしないといつまでも疑惑は晴れないと思うんです。本当に知らなかったのかどうなのか、私はもう一度確認をしていただきたいと思いますけれども、よろしいんですね。
〇達増知事 前の同じ質問に対する答弁の中で細かいところまで把握していなかったという答弁をしたと思いますけれども、細かくはない額ではあったんだと思いますけれども、当時、確認をしていなかったということは、これはもう認めざるを得ません。
〇及川あつし委員 団体の長として、これは瑕疵があるんじゃないかなというふうに思います。もちろん平成18年については、平成19年1月から大体4月ぐらいまで精査するわけですからお時間もなかったと思うんですが、最後に、どういう形でこの資金収支報告書を県連会長として確認されましたか。
〇達増知事 担当から報告を受けまして、また、大きな県連の収支については、県連大会に予算、決算が報告されますので、そういう形で確認をしておりました。
〇及川あつし委員 じゃ、その決算の前はきちっとした収支報告については確認していないということですか。
〇達増知事 それなりの報告を受けていたところではありますけれども、御指摘の団体については当時きちんと確認していなかったということであります。
〇及川あつし委員 それでは、この問題、毎日連日報道になっているわけであります。これにつきましてはこれからもどんどん出てくるのではないかと思っておりますが、知事に、これは答弁書を完全に離れて、この事案について、率直に今どのような所感を持っておられるのか。また、御自身についてもいろいろな方がいろいろな思いを持っていると思うんですけれども、この事案について、この前のときから時間も経過しておりますので、改めて所感を伺って終わりたいと思います。
〇達増知事 まず、地検の動きについては、コメントする立場にございませんのでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますし、また、さまざまな報道についてはかなり事実関係が錯綜しておりまして、そういうところからも今回のこの事案についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、私自身ということについてでありますけれども、西松建設、御質問をいただいているこの企業に関しては、法に違反するような形でのつき合いはございませんし、また、その企業に関して、あっせん、口ききでありますとか、そういった違法な行政への働きかけなどは一切しておりませんということを申し上げたいと思います。
〇関根敏伸委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め、執行部の皆さんは御退席されて結構でございます。大変御苦労さまでございました。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間暫時休憩いたします。
   午後3時23分 休 憩
午後3時43分 再開
〇平沼健副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑されるとともに、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑につきましては、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみについて、短時間かつ簡潔に行い、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 本日は、議会及び総合政策部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、議会事務局長から議会関係の説明を求めます。
〇大矢議会事務局長 平成21年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、79ページをお開き願いたいと存じます。第1款議会費第1項議会費の総額は13億108万円余でありますが、このうち、第1目議会費の8億9、251万円余は、議員47名分の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、第2目事務局費の3億8、617万円余は、議会事務局職員33名分の人件費及び事務費等で、事務局の管理運営に要する経費であります。次に、80ページをごらん願いたいと存じます。第3目議員会館費の2、239万円余は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇平沼健副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小野寺有一委員 議会の施設のことについてお尋ねさせていただきます。
 最近、本議会では議会基本条例を制定いたしまして、開かれた議会を目指していろいろと活動が始まっているわけであります。それから、議員提案条例なんかでは、ですます調の文体を用いるなどして非常に親しみやすさを出していこうということになっているわけでありますけれども、そんな中、先月、保健医療福祉政策研究会という議員連盟の会でドクターヘリの導入の効果の話がございましたけれども、そのときにドクターヘリの発着場について、もしもよかったらこの県議会の上を使ってはどうかというようなお話があったということで非常に印象に残っているところであります。
 そこで、私のほうでお尋ねをしたいのは、そういった県民の皆さんとの距離を縮めるという観点と、それから、議会棟といえども県有資産なわけでありますので、そういった資産を少しでも有効活用していこうという観点から、この議会施設を、例えば我々がこういった議会の会期中に使っているとき以外に、ほかの方に貸し出す、そういったことが可能かどうかということを伺いたいということであります。
 まず、ほかの都道府県の議会あるいはそのほかの地方公共団体等の議会で、議会施設を使っていないときに住民の方等に貸し出しをしているような例があるかどうかということをお尋ねしたいのと、それから、本議会のそういった施設を貸し出すことが可能であるのかどうか。もしもそれを妨げる制約があるのであれば、それはどういったことになるのか、その辺のところをお尋ねさせていただきたいと思います。
〇大矢議会事務局長 本会議場や委員会室など、議会施設を使っていないときに住民に貸し出しをしている例でありますけれども、全国都道府県議会議長会事務局等に確認してみたところ、そのような例は把握していないということであり、北海道、東北6県に照会しましたところ、そのような例はないということでありました。
 ただ、市町村議会も含めまして、開かれた議会の観点から、議会が主催して模擬議会や議場コンサートを開催している例はあるようであります。本県でも、平成9年9月に岩手こども議会を、それから平成17年6月に岩手県議会300回記念議場コンサートを開催しているところでございます。
 それから、次に、議会の施設を貸し出すことについてでありますけれども、議会の施設は、県の行政目的に使用される、いわゆる行政財産でありますことから、その用途または目的を妨げない限度において、目的外使用許可により貸し出すことは可能であります。
 県庁舎の管理は、本来、知事の権限でありまして、その権限を、知事局棟は総務部長が、それから議会棟は議会事務局長が所管しているところであります。
 そこで、その管理についてでありますが、議会棟も県庁舎の一部なわけですけれども、県庁舎管理規則施行通知では、県庁舎は、県がその事務または事業の円滑な運営に資する目的で設置した公有財産でありますことから、この管理に当たっては、その目的に合致した管理行為を行う必要があるとしております。特にも議会棟における本会議場や委員会室は議会運営に必要な中核的な施設でありまして、その目的に沿った管理行為を行う必要がありますことから、目的外使用につきましては、慎重な検討、対応が必要になると思われるところでございます。
〇小野寺有一委員 非常に御丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。
 今の話を要約すると、慎重な対応は必要だけれども、やろうと思えばできるということでしょうか。
〇大矢議会事務局長 仮に使用許可申請が提出された場合には、申請者や使用目的、使用の態様などの具体的な事例に即して、議会の運営とも密接にかかわりますことから、議会の御意見も伺いながら個別に検討していくことになるものと思われます。
〇斉藤信委員 まとめて3点お聞きします。
 議会基本条例の制定に伴う予算措置、具体的取り組みがあれば示していただきたい。
 二つ目、政務調査費に係る住民訴訟の審理状況、争点整理、今後の見通しはどうなっているか。
 3点目、県議会広報の全国調査を行っているか。参考になる例はあるか。県議会の傍聴の動向、インターネットの利用状況、今後の改善の方向もあれば示していただきたい。
〇大矢議会事務局長 まず、議会基本条例の制定に伴う予算措置と取り組みの具体化ということでございますけれども、議会基本条例の制定に伴いまして、広聴広報に関する会議の設置、それから議会改革に関する会議の設置、議会と県民との意見交換の場の設置、議案等に対する議員の賛否の公表、質問、質疑に係る一問一答方式の導入など新たな取り組みを行うこととなりますけれども、これらの新たな取り組みを行うための予算措置につきましては、平成21年度当初予算の要求時点では具体的な内容が明らかではありませんでしたことから、予算計上はしていないところであります。
 しかし、取り組みに支障が生じないよう、財政当局に対しましては、平成21年度に新たな取り組みに要する予算措置が必要である旨、事前に情報提供を行っているところであります。
 今後は具体的な内容が決まり次第、必要な経費については、当面は既存予算の中で執行することについて財政当局と協議を行いながら対応していくとともに、予算要求につきましても適切な時期に行い、議会基本条例による議会の取り組みに適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、これらの議会基本条例の制定に伴う新たな取り組みの具体化につきましては、現在、議会運営委員会において、各会派の意見を踏まえながら検討が行われているところでございます。
 それから、次に、政務調査費に係る住民訴訟の審理状況等でございますけれども、政務調査費の住民訴訟につきましては、補助参加人とともに原告の請求の棄却を求めて応訴しているところでございます。
 現在までの審理経過といたしましては、平成18年度に口頭弁論が3回、平成19年度は弁論準備手続が4回、今年度に入ってから弁論準備手続が5回行われているところでございます。
 これらの審理の中で、知事は、原告が指摘する支出は政務調査費の交付に関する規程で定める使途基準に該当するものであることを主張したほか、補助参加人におきましては、原告から指摘された個別の支出について具体的な陳述を行い、正当な支出であることを主張しているところであります。
 次に、争点整理の状況についてでありますが、原告の指摘する件数が膨大でありますことから、議員ごとに争点の絞り込みを行っているところでありますが、まだ、すべての争点を整理するに至っていない状況であります。
 今後の審理の見通しにつきましてですが、現在、裁判所から原告、被告及び補助参加人に対しまして争点整理後の立証方針について意見を求められている状況でありますことから、争点整理が終了した時点で口頭弁論が再開され、その絞り込まれた争点について証人尋問等の証拠調べが行われるものと思われます。
 なお、次回は3月26日に弁論準備手続が予定されているほか、次々回は5月7日の開催が予定されているところでございます。
 次に、議会広報の状況についてでありますが、全国の状況ということでございます。
 まず、全国の都道府県の議会広報紙の状況についてでありますが、本年1月に茨城県議会が実施しました都道府県議会広報紙の状況調査によりますと、議会広報紙を発行している都道府県議会は47議会中、41議会となっておりまして、そのうち、本県議会と同様に年4回発行している議会が30議会を占めております。
 また、紙面サイズにつきましては、本県と同サイズのタブロイド判が41議会中、20議会、A4判が12議会となっております。
 配布の方法につきましては、本県と同様各戸配布を行っている議会が30議会、新聞への広報掲載を行っている議会が9議会となっております。
 それから、県議会の傍聴の動向につきましてですが、県議会の傍聴の動向につきましては、平成20年度の傍聴人の総数は2月末時点で1、507人となっておりまして、内訳は、本会議傍聴が1、365人、委員会傍聴が142人となっております。昨年度と比較しますと、12月定例会以降、団体傍聴者数が大幅にふえておりまして、2月末時点で243人、19.2%の増となっているところであります。
 次に、インターネットの閲覧件数についてでありますが、インターネット中継閲覧件数は、平成19年度が1万5、523件、平成20年度は1月末時点で1万6、889件となっております。オンデマンド放送につきましては、平成19年度が1万1、270件、平成20年度は1月末時点で8、910件となっているところでございます。
 以上でございます。
〇平沼健副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇平沼健副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、総合政策部長から総合政策部関係の説明を求めます。
〇菊池総合政策部長 平成21年度の総合政策部関係予算について御説明申し上げます。
 まず初めに、資料がなくて恐縮でございますが、当部における重点事項について御説明申し上げます。
 1点目は、新しい長期計画の策定であります。
 おおむね10年後の岩手の将来像を実現していくための、県民と共有する行動指針として、県民の皆さんの御意見を広く伺いながら計画を策定してまいります。
 2点目は、いわて希望創造プランの着実な推進であります。
 政策の推進に当たりましては、戦略的な政策形成を支援するため、今年度に見直しを行った政策評価システムの定着を図るほか、県民の県政への参画と協働を進める観点などから、広報活動をより積極的に推進するとともに、施策の企画、立案、政策評価に資する統計調査を着実に進めてまいります。
 3点目は、岩手ソフトパワー戦略の展開であります。
 岩手の誇る歴史や文化、豊かな自然や農林水産物、人材などの魅力を積極的に情報発信することによって本県のイメージアップと岩手ブランドの構築を図り、県外からの評価を高め、地域の活性化や県民の誇り意識の醸成にもつなげてまいります。
 4点目は、平成28年に本県開催が内々定している第71回国民体育大会に向けた取り組みであります。7年後の開催に向けて、第71回国民体育大会岩手県準備委員会で御審議をいただきながら、競技会場地の選定や競技役員の養成など、諸準備に取り組んでまいります。
 それでは、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 議案その1の6ページをお開き願います。議案その1の6ページ、総合政策部関係の歳出予算は、2款総務費のうち、2項企画費の9億757万円余及び7項統計調査費の6億1、361万円余を合わせた総額15億2、118万円余でございます。その内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。厚いほうの冊子の予算に関する説明書の87ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業を中心に御説明申し上げます。
 2款総務費2項企画費1目企画総務費の主なものでありますが、まず、説明欄の管理運営費は、人件費及び一般管理事務費であります。プロジェクト研究調査事業費は、東北経済連合会と連携し、国際リニアコライダー計画に関する研究会を開催するほか、基礎的な調査を行おうとするものであります。第71回国民体育大会開催準備費は、平成28年に本県開催が内々定している第71回国民体育大会のための必要な準備を行おうとするものであります。次のページ、2目計画調査費の主なものでありますが、まず、総合計画推進費は、岩手県総合計画の推進を初めとする県の重要施策の総合調整を図ろうとするものであります。新しい長期計画策定費は、新しい長期計画の平成21年中の策定に向けて、総合計画審議会や県民への説明会の開催などを行おうとするものであります。政策形成推進費は、政策及び施策の企画、立案に資する各種調査や情報収集を実施しようとするものであります。北海道・北東北知事サミット開催費は、平成21年度は本県での開催となります北海道・北東北知事サミットの開催経費であります。政策評価推進費は、政策等の評価に関する条例に基づいて、政策評価委員会の意見等を踏まえ、政策や事業の評価を行うほか、県民協働型の外部評価を推進し、県民との協働による政策形成を図ろうとするものであります。3目広聴広報費の主なものでありますが、まず、広聴活動費は、多様な県民ニーズを的確に把握するため、広聴活動を行おうとするものであります。県政広報事業費は、県の重要な政策等について、さまざまな広報媒体を通じて広く県民に周知し、県政への県民の理解と積極的な参画や協働を促進しようとするものであります。いわて情報発信強化事業費は、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に向けて、各分野にわたり岩手が持つ豊かさと信頼を首都圏を中心とした県外へ情報発信しようとするものであります。
 少し飛びまして、100ページをお開き願います。7項統計調査費1目統計調査総務費の主なものは管理運営費ですが、これは、人件費及び一般管理事務費であります。2目地方統計調査費は、県単独で実施する統計調査に要する経費であります。次のページの3目委託統計調査費は、国の委託により実施する統計調査に要する経費であります。
 次に、現在、当部で所管している事業で、平成21年度から総務部へ移管する四つの事業について御説明申し上げます。
 少し戻りまして、81ページをお開き願います。1項総務管理費1目一般管理費のうち、上から6行目の外部監査費でありますが、これは、地方自治法に基づき外部監査を実施しようとするものであります。次の行政改革推進費は、組織能力のより一層の向上や官と民の適切な役割分担に基づいた公共サービス改革を進めるなど、行財政改革を推進しようとするものであります。県出資等法人指導監督費は、県出資等法人が県民に質の高いサービスを提供していけるよう、法人の改革・改善を進めようとするものであります。地方独立行政法人評価費は、地方独立行政法人評価委員会の設置運営に要する経費であります。
 以上で総合政策部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇平沼健副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木博委員 早々に御指名をいただきましてありがとうございます。
 2点について伺いたいと思います。
 最初は、新しい長期計画の策定についてであります。
 このことにつきましては、昨日の総括質疑で高橋昌造委員が取り上げました。それで、その質疑の内容を聞いておりましてある程度の概略については理解したわけでありますけれども、つけ加えて何点かお伺いしたいと思います。
 まず一つは、今の総合計画、2万5、000人以上の方々からいろいろなアンケートを募集したり、あるいは700以上の企業、団体からいろいろな意向を集めたりしてつくった非常に大部な長期計画だというふうに思っておりますけれども、正直申し上げまして、最初の5年ぐらいは結構意識があったんですけれども、その後、誇れるいわて40の政策だとか、何か長期計画の影が薄くなってしまいまして、今も希望創造プラン、これも一応あの長期計画の後期実施計画だという位置づけにはなっておりますけれども、しかしながら、最初想定されていたものとは大分違ってきているのではないかなというふうに思います。
 そこでまず伺いたいことの第1点は、今の長期計画についてどのように評価されているのか。私は、途中で消えてしまった、余り評価できない長期計画ではないかなというふうに私自身も評価しておりますけれども、もし不都合なところがあったとすれば、それはなぜそうだったのか、そのことについてのまず御見解を伺いたいというふうに思います。
〇菊池総合政策部長 現在の総合計画は、自立、参画、創造による持続的な地域づくりということを理念といたしまして、地域の多様な主体がいろいろ適切な役割分担をしながら、力を合わせて、創造的な、そして持続的な地域づくりを進めていくことに特色があったものと考えております。
 こうした考えのもとにいろいろな取り組みがなされたわけですけれども、具体的に申し上げますと、例えば岩手型ペレットストーブの普及といった地域産業の強化に向けた取り組みですとか、ご近所介護ステーション等の地域力を生かした取り組み、こういったものが民間の活力とか地域の潜在力、こういうものを引き出してきたということが評価できるものと考えております。
 また、計画全体の進捗状況を見てみますと、全体の3分の2が目標水準を達成していることから総じて着実に推進されたものと評価しておりますが、未達成となっている取り組みもございます。そういったものの環境変化、それから政策評価の結果等を踏まえながら、これにつきましては新しい長期計画のほうへの盛り込みも含めて検討していくこととしております。
 委員御指摘のとおり、いろいろ力を入れてつくった長期計画でございますけれども、やはり計画というものが、計画書自体もかなり立派なものをつくったという意識がございますが、今、策定を進めております長期計画の中では、やはり県民の皆様が広く受けとめるとともに、できるだけ簡素でわかりやすい、そういう計画にしていくことによって持続性の高い計画づくりにつなげていければということで、内部でいろいろ今、議論している最中でございます。
〇佐々木博委員 10年の長期計画ですからいろいろ見通しと食い違ってきたことが多々あったというふうに思いますけれども、今の長期計画でいろいろな主要な数値を中に盛り込んだわけでありますが、例えば県民所得にしても、あるいは人口の推移にしても現実とかなり乖離が生じてきて、しかもそれをどこかの時点で修正していく作業をしていればあるいは若干は修正がきいたのかもしれませんけれども、そういったこともないままに推移してしまって、それが何となくあの長期計画がどこかに行っちゃったというような、そういったイメージに実は私はなっているのではないかなというふうに思います。
 私、去年の9月に一般質問でも取り上げて、果たして本当に10年もの長期計画策定が本当に必要なのかということを実は質問いたしました。そのときの答弁は、県民の共通の指針はやはり必要だという答弁でした。私は、つくるなというわけではないんですが、本当に10年間もこの目標でやっていくというような、そういったものがつくれるのかというのがむしろ疑問なんです。
 例えば、希望創造プランをつくったときだって、例えば今のような経済危機なんてだれも考えていなかっただろうというふうに思います。既にあの計画で、例えば私、県民所得だって、あるいは雇用の問題だって、なかなか期間内に達成するのは非常に難しくなっていると思う。
 本当に100年に一度の危機と言われておりますけれども、いずれこういった事態が生じてきて、大概の企業は3月決算ですから、3月に決算をして、恐らく4月の末から5月にかけて決算を公表すると同時に来期の予想もするわけですが、今どこも来期の予想がなかなか立てづらいと、非常に困っているという状態なんです。普通ならもっと前にもう来期の予想が出てきているんですけれども、来期の予想を出せないところがいっぱいある。それだけ見通しが非常に立ちにくいような現下の状況の中にあって、本当に10年もの長期のプランをきっちりとしてやれるという、例えば本当にやれるのか。
 特にも数字を具体的に盛り込むような計画だと、私は非常に何年かたてば乖離が生じてきてまた同じ失敗をするのではないかという危機感を持つわけでありますけれども、その辺について、今度の新しい計画ではどのように配慮されているのか、その辺についてちょっとお伺いしたいというふうに思います。
〇菊池総合政策部長 10年という長いスパンではございますけれども、今のような社会経済情勢が目まぐるしく変化する中にありますと、県民一人一人が目標を持ち、そしてそれをみんなで共有しながら、その目標に向かって実現に向けて努力していく、そういった一つの目標となるべき計画がやはり必要じゃないかという考え方を持っております。
 したがいまして、そうした本県の長期的な将来像というものを、県民の意見を聞きながら、あるいは審議会の意見を聞きながら、まとめながら、県民の皆さんとそれを共有して、実現に向けてともに努力していくことをまず一方で考え、また、短期間のアクションプランもつくることにしておりますけれども、短期間の計画ではどうしても緊急的な課題への対応ということになってしまいます。したがいまして、例えば人づくり、あるいは地域づくりをしていくに当たっても、やはり長いスパンで政策を積み重ねていく、そういったような長期的な視点で取り組むべき政策課題というのは多いというふうに認識しておりますので、そうした10年を期間とする計画をつくり、また、当面する緊急的な課題についてはアクションプランの中できめ細かに迅速かつ的確に対応していく、こういう2本立てでいきたいというふうに考えております。
 また、数値目標というお話がございましたけれども、審議会の中でもいろいろ議論がございまして、社会経済情勢の変化が激しいという中で、10年後の数値目標というのはなかなか設定できないのではないか、難しいのではないかという意見が出ております。したがって、せいぜいマニフェストサイクル4年ぐらいが適当なところじゃないかという意見もございまして、そこら辺の取り扱いについてはさらに審議会の中で議論をいただこうかなというふうに思っております。
 そういったような2本立てとしながら、そして余り大冊にならないような、そして県民が親しめるような計画づくりにしていきたいというふうに思っております。
〇佐々木博委員 私も、数値を盛り込むのであれば、マニフェストサイクル4年ぐらいで盛り込まないとなかなか大変じゃないかなというふうに思います。
 計画というのは、だんだん現実と離れてきますとなかなか修正もしたくないし、放棄してしまうというのが普通だと思うんです。例えば私の経験でいうと、昔、試験勉強をやるとき計画をつくりますけれども、だんだん計画どおりいかないと。あとは嫌になって、もうぶん投げて何もしないと。大体そういうたぐいが生じるのではないかなというふうに思うんです。
 ですから、本当に長期の計画をつくるということであれば、やはりある程度修正がきくような形でやらなければいけないというふうに思いますし、それから、数値を盛り込むのであれば、それは例えば4年ぐらいのサイクルだとか、そういった形でやっていかないと現実になかなかそぐわないものになっていくのではないかなというふうに思いますので、そこはひとつ十分に御検討していただきたいというふうに思います。
 それから、実は昨日の答弁でちょっと気になったのが、経済の尺度でははかれない豊かさの実現云々というくだりがありました。確かにこれはあると思います。きょうの高橋博之委員と知事のやりとりでもそういったくだりがありまして、もちろんそれは大切なことだというふうに思います。
 ただ、それはそれとして、やはり本県の一つの大きな課題というのは県民所得の向上なんですね。これが私、平均ぐらいであれば余りそれは言いませんけれども、全国的にもかなり下のほうでありますし、それからもう一つは、やはり経済云々と言いますけれども、例えば子供たちが大学でどこかに進学する。学費なんていうのは経済の格差が関係なくみんな同額ですから、やはりそういった点でいけば本県の県民所得というのは非常に大きな課題だというふうに思っているんです。
 そういった中にあって、この計画の中に経済の尺度にこだわらない豊かさを求め云々なんていうのを入れちゃうと、何というか、前のがんばらない宣言みたいな話でありまして、やっぱりちょっとそれは今にはそぐわないのではないかなというふうに私は思っております。これは答弁は求めませんけれども、その辺について私そういう考えを持っているということを話をさせていただきたいと思います。
 2点目ですが、2巡目岩手国体の主会場地の選定について伺います。
 初め平成22年度というお話でしたけれども、しかしながらできるだけ早く決定したいのだという意向を持っているということも伺っておりますが、できればいつごろまでに決定されたいのか。
 それから、この決定は、国体開催の準備委員会、ここで決定するものなのかどうなのか、そこについてまず伺いたいというふうに思います。
〇菊池総合政策部長 まず、決定のほうでございますが、こういう開・閉会式会場あるいは陸上競技場の会場の決定につきましては、準備委員会の常任委員会というのがございまして、ここが決定することになっております。ここは52名の委員の方で構成しておりまして、各界階層の方が参加するという場でございます。
 また、その下部組織として総務企画専門委員会というのを設置しております。こちらのほうで今、いろいろな施設の状況ですとか式典の運営、選手団の輸送とか、もろもろの観点から調査、検討しておりまして、その検討を踏まえて、常任委員会のほうで現地調査も実施しながら、総合的に県として決定する予定としております。
 決定の時期でございますけれども、開・閉会式会場に例えばなるとしますと、雨のときは体育館を確保しなければならない。そうしますと、体育館を使えないという状況になりますので、そのときはその競技をどこでやるかとか、いろいろ競技会場等にかなり影響を与えるということがございますので、平成21年度前半のできるだけ早い時期に決める。そして、決まった後で、競技会場、そこでやろうとしていた競技をどこでやるかということを調整していくという次のステップを平成21年度から平成22年度にかけてやっていきたいという考えでございます。
 それで、具体的な時期ということは、今、考えているわけではございませんけれども、まず、5月下旬には総会を予定しております。そこら辺がまず目安の一つにはなるものというふうに現時点では考えております。
〇佐々木博委員 わかりました。平成21年5月ごろということでございますけれども、施設の整備については教育委員会の所管事項だと思いますのでここでは伺いませんが、ただ、御承知のとおり、今回、県教委はみたけの陸上競技場を第2種に改良する予算を計上しているわけでありますけれども、このことについては、どうなんでしょう、総合政策部と協議があったのかどうか、そのことについて伺いたいというふうに思います。
〇菊池総合政策部長 御案内のとおりでございまして、まず、陸上競技場は県営の陸上競技場でございまして、教育財産につきましては所管する教育委員会でさまざまな要件を検討して2種でいくということで判断したわけですけれども、一方、当部は国体の準備委員会の事務局を担当しております。そういったことで、教育委員会との協議はもちろんやっております。
 そうした中で、当部といたしましても、国体の開催方針であります簡素効率化という観点、それから既存の第1種の陸上競技場がある、こういったもろもろの観点から、教育委員会との協議の中では同意する旨の意思表示をしているところでございます。
〇佐々木博委員 教育委員会とは事前の協議があったということでありますけれども、盛岡周辺の8市町村から盛岡でやってほしいという要望がずっと以前から出ていたわけでありますけれども、こことの協議はなさっていませんですよね。はっきり言って不意打ちを食らったようだというような声もあるようですけれども、協議はされていないということをちょっと確認したいんですが。
〇菊池総合政策部長 事前に協議いたしまして、盛岡市のほうには、広域の中のやはり盛岡が中心となって活動されているということを聞いておりましたので、盛岡市のほうには、記者発表する前に、要望をいただいておりますので、私と教育長とで説明に伺ったということがございますけれども、それ以外の広域の市町村に対しては今のところは何らかの行動はしておりません。ただ、競技団体については、教育委員会を通じてさまざま情報提供をしたり話をしているものというふうに聞いております。
〇佐々木博委員 それは協議したというのではなくて、こうなったという結果の報告をしたということだろうというふうに思います。
 それで、盛岡市の議会でも盛岡市長は応分の負担を考えているというような発言をされているようでありますし、あくまでも新聞報道でありますけれども、滝沢村の村長も、そして雫石町の町長も議会で応分の負担をするというような答弁をされたという、報道ですけれども、そういうのを目にしております。また、それ以外にも盛岡市では署名運動も随分頑張っているようでありますし、それからまた募金運動も始まったようであります。
 いずれ県民総参加で、国体でありますから、決定はこの準備委員会でするにいたしましても、その前に、やはり盛岡市を中心とした周辺8市町村とやはり私は十分な協議をした上で準備委員会での決定をしなければいけないのではないか。特にも先日の商工文教の常任委員会で、教育長もそれをまって要するに執行すると。予算は計上しているけれども、その結果をまっての執行だという明快な答弁もありました。ですから、なおさらそういった姿勢が必要ではないかというふうに思いますが、どうですか、きちっと協議されるお考えはありますか。
〇菊池総合政策部長 例えば、何か協議するような場を設置して、協議会、そういうことでやっていこうという考えは今のところは持っておりません。
 ただ、やはり熱意のある要望をちょうだいしておりますので、私も教育委員会も含めて、それぞれの、例えば盛岡広域の市町村ですとか競技団体とかには出向いて、県の考え方、そして今、準備委員会のほうでこういう検討がなされているといった状況とか、そういったことについては説明をする努力をしていきたいというふうに考えております。
〇佐々木博委員 みたけの陸上競技場を1種に改良しない一番の大きな要因が財政問題だということであれば、それぞれの市町村が応分の負担をするということなわけでありますから、財政の問題に突っ込んで、私は基本的にやっぱりきっちりと協議すべきじゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひこれはお願いしたいというふうに思っております。
 それから、開・閉会式両方あるわけでありますけれども、基本的に閉会式は陸上競技をやったところでなければできないと聞いておりますが、間違いございませんか。
〇八重樫国体推進課総括課長 閉会式の会場についてでございますけれども、先催県の例では、閉会式会場については、多数の種目が開催され、最終日まで多くの都道府県がかかわる陸上競技の会場において開催されるのが一般的でございます。また、日体協からの要請もございます。ただ、施設の基準では、陸上競技でなければならないというものはございません。
〇佐々木博委員 これで最後にしたいというふうに思いますけれども、千葉県は、開会式を幕張メッセか何か、要するに陸上競技場じゃないところでやる予定だというふうに聞いてはおりますけれども、そうですね、違いますか。違うのならちょっと指摘していただきたいんですが。
〇八重樫国体推進課総括課長 来年の千葉県は、開会式はロッテマリンスタジアム、野球場でやる。閉会式は県営の陸上競技場でやるという予定にしております。
〇佐々木博委員 わかりました。じゃ、そこは違いましたので訂正させていただきます。
 いずれ開会式というのは、通常、私の記憶では聖火をやりますよね。聖火をつけるわけでありますけれども、今、三つの案がある中で、盛岡で開会式をやって北上で閉会式をやるという案もあるようでありますけれども、開会式を盛岡市でやって聖火をともして、そこで何も競技をやっていないというのは、全く私は絵にならないというふうに思うんです。
 ですから、そういったのではなくて、開・閉会式、やはり陸上競技場でやるというのが当たり前の形だと思いますし、余り変わったことは考えないで、やはりそれはきっちりとそういった方式でやるべきだと思いますし、そのためにクリアしなければいけない問題というのは何点かありますけれども、特にも財政問題については、私は本当に要望している8市町村としっかりと協議すれば必ず展望が開けてくると思いますので、そのことを強く要望して終わります。
〇斉藤信委員 国体の会場問題について関連でお聞きします。
 先ほどの総括質疑でもこれは議論がありました。知事の答弁は、簡素効率化と財政問題という答弁に終始しましたが、今、佐々木委員からも発言がありましたけれども、総合政策部が試算した三つの案、これを見ますと、盛岡開催、これは陸上競技場を1種に建てかえるという案で、ドームも合わせて155億円。国庫補助が73億円入って県費は82億円という案なんですね。盛岡、北上分離開催、私はこれは可能性がないと思うので、これは除外して、北上開催の場合は、ドーム整備46億円と、あと仮設の施設費で58億円。この場合は国庫補助が22億円で県費は36億円なんですね。今、盛岡が20億円出すと。そして雫石や滝沢、その他も広がると思うんですけれども、私、30億円を超えるんだと思うんですよ、8市町村で。そうすると、岩手県の負担は50億円を切ると。そうしますと、私は盛岡開催にした場合に、北上開催の36億円よりは少しかかるかもしれないが、しかし、今後数十年にわたるすばらしい陸上競技場をつくって、今後これがさまざまな形で開催される、利用されるということになると、私は費用対効果を考えたら、この選択のほうが県民全体にとってもスポーツ全体の振興にとってもメリットがあるのではないか。そういう費用対効果、財政負担というのを検討すべきだと思いますが、いかがですか。
〇菊池総合政策部長 国体につきましては、いろいろ先催県の例を見ましても、ソフトの部分、開催の経費で50億円から60億円という実績がまず一般的でございます。ですから、それについては基金をお願いして、この2月でも4億円の積み立てを御承認いただきましたけれども、やはりハードだけではなくソフトもかかるという前提の中で全体の計画を考えていかなければならないというふうに私ども思っております。
 したがいまして、盛岡の負担というお話もありますけれども、まず、教育委員会としては、そういったことではなくて、ドームを優先させたいということで予算計上しているということもございます。また、負担につきましても、いずれやり方をいろいろ検討してみても、結論といたしましては、今、委員がおっしゃる北上開催というのが一番コストがかからないということがまず間違いない事実でございますし、また、維持管理していくところがまた大変だというところも御理解いただきたいと思います。
 北上市の場合は、北上が市単独で整備いたしまして、毎年1億3、000万円ほどの維持管理をしているというふうに聞いております。そういった努力をしている市町村もあります。そういった中で二つの施設が必要なのか、こういったあたりをやはり準備委員会の中で議論をいただきながら方向性を見出していくということにしているところでございます。
〇斉藤信委員 少し私の質問を真正面から受けていただきたいんですよ。県の今までの知事の答弁もよくわかっています。私は、財政負担からいったら、どちらもドームをつくることを前提にして、県の負担は36億円と50億円を切る、こういう比較ですよ。そして、県営陸上競技場を第1種につくりかえて、Jリーグのサッカーなどもその後開催できるということになったら、これは経済波及効果、費用対効果から見て、私はそういう選択というのは有力な選択肢になり得ると。また、8市町村がそこまで踏み込んで機運を盛り上げようとしているということも見ていく必要があるのではないか。
 この問題では、私は県庁内部だけで決めちゃだめだと。病院の問題もそうだけれども、やっぱりそういう近隣市町村の知恵、財政負担も含めた、そういう積極的な提案があるわけだから、私は、先ほど5月という話もありましたが、5月に向けて、本当にみんなが納得するような議論をしていただきたい。
 例えばこういう議論もあるわけです。陸上競技の整備で、2種なら競技力が上がらないと、こういう関係者の指摘もあるわけで、私は、そういう意味では、5月に向けて、病院問題のような轍を踏まないで、しっかり関係自治体、関係競技団体、こことぎっちり協議して、費用対効果も県も独自に分析をして対応していただきたいが、最後、どうですか。
〇菊池総合政策部長 陸上競技場の施設の整備の関係でございますので、所管する教育委員会と協議しながら、また、準備委員会の中で決定していくという過程を通じまして議論していきたいと思いますし、また、準備委員会の常任委員会の中には市町村関係者あるいは競技関係者、さまざまな各界階層の方が入っていらっしゃいますので、そういった会議の場で、ただいまのような御意見も説明しながら、さまざまな議論をしていただきながら方向性を見出していきたいと思います。
〇柳村岩見委員 私からは、県の施策の公表のあり方についてお尋ねいたします。
 県の施策の内容告知が一番先に報道によることについて、事例を細やかに申し上げれば数限りなくありますけれども、それとともに、総合政策部に限らず、農林水産部であるとか、あるいは県土整備部であるとか教育委員会であるとか、あるいは県警本部であるとか、いろいろ多岐にわたります。ほかの部局にもまたがりますけれども、しかし、総合政策部には報道監がおったり情報公開担当課長がおったり広聴広報課があります。そこで、政策という観点からもここでお尋ねするがまず第一義だと思うところであります。
 まず、県の施策は新聞辞令によって県議会議員が知ると。その事例を細かく言うと時間がありませんけれども、例えば定例会における提案、議案説明、その前日であろうと当日の朝刊であろうと、その定例会の重大課題であろうと思われることに対して、説明が行われる前の日、当日、一般質問される前の日あるいは当日、新聞辞令によって公表されます。
 もちろん皆さんの公表という意味は、正式公表とそうじゃない公表があります。当然ながら広聴広報課による、開かれた、県民にわかりやすい県政のために行われている知事の定例記者会見において公表される場合もあります。しかし、それでもまだそれを公表と言わないで、正式な公表は後だと表現される場合もあります。
 いずれにいたしましても、報道によることが先になっている、このことが議会軽視というつながりに関係があり、そして知事部局、あるいはまたそのほかの部局も含めてですが、議会との関係がどうしても車の両輪になっていかない。一方的に、当局は言うほう、こっちは新聞辞令によって聞かされるほう、こういうふうな形になっていることが、岩手県における執行権を持った県政と議会との関係で非常に不幸なことだと、こう思うのです。その御認識についてまずお尋ねしておきたいと思います。
〇菊池総合政策部長 基本的に、県の県政施策の公表につきましては県の報道発表運営要領というのを定めておりまして、これにのっとって進めるということで取り扱っております。
 具体的に申し上げますと、御案内のとおり、知事の記者会見というものがあります。それから、記者クラブに部局長等が出向きまして、そこで発表するという記者発表、それから各部局で、投げ込みという言い方をしておりますけれども、いろいろ資料をつくって記者に情報提供をする、この方法で公表しようということでの要領をつくり、そしてみんなでそういうことでいこうということで取り組んでいるつもりではございますが、何らかのどういうルートで出るのか、いずれ発表の前に情報が新聞等に出るということが御指摘のとおり実際にあるということは、そのとおり我々も反省しなければならないものだと思っておりますし、そういう事態が起きないようにしなければならないというふうに考えております。
〇柳村岩見委員 それで、こういう事例を二つ申し上げたいと思います。
 一つは、先ほどから出ているみたけの陸上競技場、これを2種整備をすると。このことについて盛岡市に報告に行ったと。たまたま記者につかまった。ぶら下がられた。そして言わざるを得なくて言って新聞に報道された、これがまず一つの例。
 それから、この定例会の議案説明の中で、不正経理、私どもから見て、それの処分、返還金に関する記事、実はそれは総務部長の管轄であります。私はリークしたつもりがない。リークしていません。なのに新聞に載る。だれかがリークしなければ新聞に載らない。推測で書かれた記事にとどまっているのか。資料を伴った、取材を受けて書かれた記事なのかということについては、記事を読めばわかる。記者が勝手に推測によって書いたというものではなくて、立派に資料を持って取材に対応された姿として生まれた記事である。こう思うときに、例えばその事例は、総務部長が私はリークしておりません。その場合は、本当は調査しなければならない。私の情報管理している事柄であるけれども、私はリークしておりません。しかし、記事に載ったということ、だれがリークしたのかということは、県庁における情報管理の常識であります。当然のことであります。どこから出ていっているんだ。これはきちっとしておきませんと、大変今後に禍根を残すということであります。
 それらの事例についての御認識をお聞きします。
〇菊池総合政策部長 まず、前段の運動公園の陸上競技場の関係につきましては、まず、私どもが出歩くといろいろなところで情報は出るだろうなということが予期できましたので、我々国体推進課と一緒になりまして、盛岡関係の県議会議員の皆さんには同時にお知らせしようということで、当日お知らせしたつもりであります。
 そういったことで対応はしたつもりでいるところでございますけれども、また、先ほどの返還金の関係につきましてもそうですし、ほかの事例もまた、私も実際に見ておりますけれども、資料がまず全部出たなというのが記事を見るとわかるようなのがやはり御指摘のとおりあるというふうに思っております。ただ、やはり情報の世界ですので、出どころはわからないというのが情報の社会だと思います。
 そういったこともあって、なかなかどこから漏れたのかといいますか、そういった情報がどこから出たのかというのがなかなかつかみにくいというのが現状でございまして、ただ、そういったことはやはりあってはならないことだというふうに我々思っておりますし、そういったことがないような注意喚起はしております。
〇柳村岩見委員 これで最後にしたいと思いますが、陸上競技場の2種整備について盛岡市に報告に行ったとき、だれかが動けば記者団も動いてついてくるという結果でありますが、当該の盛岡広域の県議会議員、説明は受けましたが、新聞記事を見てからです。見てから伝えられたと思います。たしか順序はそうだと思います。載る前にではなかったと思います。載ってから……(「載る前だ」と呼ぶ者あり)前の日、あっ、載る前だ。失礼しました。
 私が勘違いしてそう思っていたんだが、結局、こういうふうに考えていただきたいと思うのです。皆さんがやっている仕事は、ある意味においては知事がするべきことを代理で行うという意味合いがあります。皆さんの仕事それぞれの、みずからの知事とは関係ない仕事として立脚している部分もあります。
 ところで、その場合に、何と知事は新聞辞令で政策、施策を出してくる。議会は後回しだと、こういうことにつながっていくのです。知事とうまくいかない原因になる。私は知事とうまくやりたいんだ、心から。そのときに皆さんが、こういう情報についての出し方、公表の仕方、プロセスというものをきちっとしていかないと、皆さん知事を応援して知事のために仕事をしていると思っても足を引っ張っているんだ、結果として。思いがあっても、思いと結果は必ずしも同じじゃないから。
 そういうことにつながりかねませんので、情報というものは管理されるべきところに管理されておって出すべき人が出すのであって、出してはいけない人は出してはならぬのだし、そういうふうに管理されてなきゃならぬし、これはいつなのかと。やっぱりこの程度の大きなことになると、県議会の議員各位に先に公表する方法はないのかとか、そういうふうなことを模索してやっていかないと、病院の問題だってこういうふうになっちゃうの。後から聞かされるんだから、新聞の後に。マスコミはマスコミとして努力して取材しているわけだ。ましてやニュースソースなど後で公表するはずもないわけでありますから、皆さんのそういった心構え、基本的な考え方が必要だというふうに思って、最後、1回目の答弁にもあったようでありますけれども、そういった考え方、決意を申していただきたいと思います。
〇菊池総合政策部長 昨年もそういった事案が生じた例がございますけれども、御指摘のとおりでございます。その場合も、副知事から部局長に対して指示をしているという事実もあります。また、各部の副部長が構成員となる政策会議幹事会という場がございまして、その場でも私のほうから各副部長に、こういう事例があって、これはやっぱりおかしいと。だからそういったことがないようにしてほしいということを要請したりということはやっております。ただ、御指摘のとおり、議会軽視ということにならないように、そして、本来、正しい姿で公表の手続にのっとって公表されるべきものが、途中で出るというようなことにならないように、今後、一層また努力してまいりたいと思います。
〇佐々木一榮委員 確認の意味で関連いたしますが、今の国体の絡みで昨日から議論がありますが、知事は、常にオール岩手、全県でというお話をしています。
 今の柳村委員の質問に、盛岡地区の県議会議員にはという話がありました。盛岡の県議会議員と盛岡以外の県議会議員の差別は、私は、この問題はすべきじゃないと思うんですよ。そういうようにオール岩手と言っている以上は、この辺、やはり考えていただかないと、今後の議論で、北上地区の県議会議員にはとか、下手するとそういうふうになり得ますよね。ですから、情報は我々も共有したいし、どこがどうだということを言うつもりはないんですけれども、そういった意味でも情報提供は平等にするべきだと私は考えますが、いかがですか。
〇菊池総合政策部長 御指摘のとおりでございまして、反省いたします。
 先ほどの件は、事前に管内の盛岡広域の方々から要望を受けていたという事実があったものですから、そういった意味では、先にお知らせするべきかなということで対応したわけでございますけれども、佐々木委員御指摘のとおりでございますので、反省に立って、今後そういうことがないように努力してまいります。
〇亀卦川富夫委員 2点お伺いいたします。
 まず、岩手ソフトパワー戦略の展開についてお伺いしますが、これにつきましては、平成21年度の重点的な取り組みとしておるところでありますが、これまで、岩手ブランド戦略と申しますと、物に着目したといいますか、そのような施策の展開だったと思います。このたびは文化、歴史、風土など県民性に着目した、このことは、新たな視点の取り組みと私は評価するものであります。
 本日、高橋博之委員の総括質問の中でも、足るを知るという日本の価値観、こういったものは、これからの新しい時代において求められるものではないかと指摘されました。今後の岩手のあるべき姿を考える上で、私は大切な視点であると思いますが、そういった意味で、こういった県民性に基づくソフトパワー戦略というものは、私は、今後、大変大切なものだろうと思っている次第であります。一方、ソフトパワー戦略といいますと、県民にとってわかりにくい、こういうような指摘もあります。
 そこでお伺いいたしますが、一つ目は、このソフトパワー戦略について県民の理解、認識、こういったことを得ること、あるいは高めることが今後必要であると思います。これについていかがでしょうか。
 二つ目に、この施策展開に当たっては、やはり県民が主役であるということを明確にしていくことが大切だろうと思います。県民向けの施策を立てていくことの必要性について、これらの取り組み方についてお伺いしたいと思います。
〇木村政策推進課総括課長 ソフトパワー戦略と県民への周知という点でございます。
 本県の豊かな自然、歴史、文化遺産といった地域資源、それから、高いクオリティーを持つ本県の県産品の魅力などということを県内外に発信していくという、まさにソフトパワー戦略を発揮するためには、県民お一人お一人が、そのよさとか魅力に気づいて、愛着と誇りを持って接していくことが非常に重要であると考えております。そのことが、結果として、岩手のものに対する価値と信頼性を高めることになる、そういうことにつながると考えております。
 そういう考え方のもとに、具体的には、例えば来年度でありますと、文化振興基金を活用した県民の文化芸術活動の発信、それから、平泉の文化遺産の登録の推進ですとか、地域振興部になりますが、いわて学の推進、それから、環境報告展の開催、岩手の魅力の発掘と発信、それから牛にかかわる文化と関連したMOW MOWプロジェクトといったような形で、直接県民の方々にもそういうものが理解していただけるような、地産地消ということもそうだと思いますが、そういう取り組みを進めようとしているところでございます。
 いずれ、県民が本県、岩手に生まれ育ったことに対して誇りと自信を持って、さまざまな分野で活動していくことを通じまして、岩手の評価が高まっていくような取り組みを進めていきたいと考えてございます。
〇亀卦川富夫委員 今、そういうふうな説明はいただきましたが、私は、先ほど申し上げましたように、県民性といいますか、価値観といったものを県民が非常に持っていくといいますか、そういう認識が必要だろうと思うんです。この事業をやることによって、それではそういう県民性とか、あるいは価値観というものをそれぞれの県民が共有するといいますか、そういったことにつながっていくんでしょうか。
 ですから、それは当然つながるものとしても、岩手ソフトパワー戦略を重点的に展開するということを打ち上げているわけですね。だとすれば、ソフトパワー戦略というのはどういうものか、これは、広報広聴等を使いながら、県民に岩手の価値というものを大いに訴えていって、それらを皆さんで持って進もうじゃないか、そういう中でこういう事業があります、こういうことだと私はわかりやすいのではないかと思うんですが、どうも今のところ、ソフトパワー戦略と言われても、ぴんと来る県民がどのくらいいるものでしょうか。この辺についての御認識をお伺いしたいのであります。
〇木村政策推進課総括課長 岩手ソフトパワー戦略につきましては、昨年策定いたしました、いわて希望創造プランに掲げる2大戦略の一つということに位置づけておりまして、いずれ今までの経済一辺倒みたいなことではなくて、本県に存在する地域資源ですとか、本県の豊かな自然ですとか、そういうものを発信していこうという取り組みでございます。
 確かに、なかなか直接的にソフトパワー戦略ということが、どういうものかわかりにくいという御意見もあるのかなと反省はしてございます。いずれにいたしましても、いわて希望創造プランに掲げる各分野の取り組みを進めていく上での、その前提となる基本戦略ということで掲げているものでございまして、まだまだ理解不足ということであれば、当然、今後とも継続してやる必要があると思いますし、あと、取り組みとしても、一部局ということではなくて、部局横断的な取り組みということが必要だろうと考えております。
 そういうことで、平成21年度当初予算編成時におきましても、各部局に対して、ソフトパワー戦略を含みます2大戦略の考え方に特に配意しながら平成21年度の事業の取り組みをやっていただくということで、要請と通知を行ったところでございます。
 そういう施策横断的な取り組みにつきましては、一義的には各関係部局でやるということでございますが、総合政策部といたしまして、その全体調整等、いずれ、今後ともソフトパワー戦略の具体化ということにつきまして、県民への御理解ということも含めまして積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 私は、県民向けには、これは一つの精神運動的なものにもつながるのかなという気がいたします。そういう意味で、まず、これは一つ、県民向けには、このソフトパワー戦略をなぜやっていくのかというような、岩手県の旗印をもっとわかりやすくこれから考えて、ひとつしみじみと伝わるようにお願いしたいと思います。
 そこで今、私、議会資料をいただいて、ここの予算に関する中の岩手ソフトパワー戦略、確かにここに項目が上がっております。ここで各部局と、それでは、このソフトパワー戦略というものについて、どういうすり合わせをやってきたのかお伺いします。
 それと、ここにないもので、私は、岩手の風土ということになりますと、大自然、例えばイヌワシとかツキノワグマとの共生、これは大変大切であるが、なかなか難しい。こういった課題ですとか、森林保護において、岩手がこれだけ大切にしている自然があるんだというようなことが、もっとこういうものがソフトパワーの前面に出ていいような気がするんですが、そういったものはここにないんですね。したがって、どういうすり合わせをしたものか、この辺の観点をお伺いします。
〇木村政策推進課総括課長 ソフトパワー戦略の具体的な部局横断的な取り組みということでございますが、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、平成21年度予算において、いずれ、いわて希望創造プランを推進する前提となる基本戦略だということで、各部に対して、特にそういうソフトパワー戦略にも留意して、配意して、各種事業の組み立てをやってほしいということをお願いしているところでございます。
 さらに、個々の事業の組み立て、特に部局横断的な話ということであれば、いろいろな各部が連携してというか、共同してやるわけですが、そこに当部の職員が入っていたりすることもございます。そういう場合には、当然、全体としてソフトパワー戦略の推進という観点から、いろいろお願いするということもございます。
 いずれ、先ほども御答弁申し上げました、総合政策部として、このソフトパワー戦略の推進ということにつきまして、先ほどちょっとイヌワシとかそういう取り組みが少ないというお話もございました。そういう御意見も踏まえながら、さらにいろいろな形でソフトパワー戦略というものは発揮できるんだろうと思います。
 先ほどから言われているとおり、ちょっと県民への理解が不足しているという点も踏まえまして、積極的に、ソフトパワー戦略がもっと発揮できるような形で取り組んでいきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 それでは、具体的な取り組み方法についてお尋ねしますが、総合政策部では、いわて情報発信強化事業、これは、岩手が持つ豊かさと信頼を首都圏を中心に情報発信、こういうことがあります。多分こういうことを部局横断でやっていくんだろうと思いますが、その場合、今まで部局横断とか全庁的と言っても、何も姿が見えていないんですね。何か題材があったときに、プロジェクトチームをつくって進めるというときに、そのコーディネーター役は総合政策部がやるんでしょうか、それともどこかの、例えば、観光なら観光で商工労働観光部がやるというようなときに、例えば教育委員会の分も合致させる、そういった意味でのコーディネーター役が、どこかが所管課としても、総合政策部としてのソフトパワー戦略の展開という点での、そういう役割というものをどのように考えているのでしょうか。
〇木村政策推進課総括課長 具体的な事業の展開の場合につきましては、すべての分について総合政策部が常にコーディネーター役になるということではございませんで、基本的に大きい、主たる事業の所管をする部局が中心となって、いわばコーディネーター的な役目も含めて、そういう取り組みを進めていくということにしている例が通例でございます。その中に当部もメンバーの一人として入っていって、さまざまな助言なりということをやっているということが、通常の形でございます。
〇亀卦川富夫委員 この辺でこの件は終わりにしたいと思います。いずれ、岩手ソフトパワー戦略、非常に大切な戦略ということで位置づけた以上、県民向けには、もう少しきっちりした内容をお知らせし、さらに県外、あるいは世界的にこういった岩手を売り出すときには、しっかりしたコーディネーター役を総合政策部でとって進めていただきたい。これは指摘しておきます。
 次に、リニアコライダー国際研究所計画への対応についてお尋ねいたします。
 この件につきましては、私が、代表質問において、これまでの経過や県の取り組む方向性についてお尋ねいたしました。より踏み込んだ内容説明をこのたびはお伺いしたいと思います。
 国際リニアコライダーは、世界唯一の研究所として、強大な実験装置を使って宇宙誕生時の状況を再現し、物質の成り立ちを究明するもので、その成果に基づく科学の発展は、今後の人類にとって大変大きな貢献が期待されるものと理解しております。
 これまでも新聞紙上での解説等もありますが、このたび平成21年度予算にプロジェクト研究調査事業費というような形で計上されております。したがって、このリニアコライダーについては、もっとわかりやすい説明が求められるものと思います。
 さらに、この研究施設が実現した暁には、世界各国から多くの科学者あるいは研究従事者が集まるものと思います。そこに出現する地域社会の予想など、御説明をまずもってお伺いしたいと思います。
〇大平政策調査監 リニアコライダー国際研究所建設計画についてでございますが、まず、その国際リニアコライダー計画とは、地下100メートルに全長31キロから50キロの真っ直ぐな地下トンネルを掘り、トンネルの片方からは電子を、もう一方からは電子の反対の電荷を持つ陽電子と言われるものを入れ、光の速度まで加速し、真ん中で正面衝突させるものでございます。
 この衝突により、宇宙誕生のビッグバン直後の状態を再現し、この状態を精密測定することにより、宇宙の誕生、あるいは質量の起源を解明しようとするものでございます。
 特に、質量のもととなるヒックス粒子と呼ばれる未知の素粒子の発見が期待されるものでございまして、このように、国際リニアコライダー計画の目的は、純粋な学術研究であります。基礎物理で非常に理解しにくいという御指摘もございましたので、そのようなことに配慮いたしまして、東北で加速器基礎科学研究会というものが東経連中心で設立されます。その目的の中には、市民への周知、県民への周知というものも入っておりますので、今回その中で、平成21年度予算の中でも、これに向けて取り組むこととしたものでございます。
 もう一つ、どのような地域社会が予想されるかということでございますが、世界最高水準の研究施設でありまして、その技術は、スーパーコンピューター、あるいはたんぱく質の解析などのバイオテクノロジー、精密加工などのナノテクノロジー、がん治療などの医療など、さまざまな分野にも応用可能であります。
 このようなことから、実現した暁には、新たな産業の創出や関連産業の立地などが期待されるものと考えております。
〇亀卦川富夫委員 ありがとうございました。
 さきの代表質問に対する答弁で、県は、関係機関の調査検討の支援、あるいは、ただいまお話がありました東北経済連合会が設立に向け検討している研究会活動に積極的に協力するという考えを示していただきましたが、県としても誘致に向けての準備に前向きに取り組むということだろうと思います。こういう点では評価しておりますが、質問でも触れましたが、実現には課題も山積している、このように認識しております。
 そこで、実現に向けての課題というものについては、どのようにお考えでしょうか。
〇大平政策調査監 課題ということでございますが、まず、現状を簡単に申し上げますと、リニアコライダー計画は、まだ世界の研究機関、研究者で構成される国際委員会のもとで、技術設計などが行われている段階でございます。また、建設地としては、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの中から1カ所ということで選定されることになっておりますが、まだ、アジアの候補地と言われる日本の数カ所は、公表されていない段階でございます。
 また、去る2月に都内で開催されました関連のシンポジウムにおきまして、政府の河村官房長官は、リニアコライダー日本建設に向け、関係省庁の局長級の連絡会議についても検討したい旨、発言されております。
 このようなことから、今後、政府の検討が具体化するとともに、国内候補地選定に向けた何らかの動きが行われるものと考えております。
 この中での課題でございますが、課題は大きく三つあると考えております。まず一つ目は、建設費が8、000億円とも言われる巨額の基礎科学分野の計画でございます。先ほど申し上げましたように、まだ研究者、研究機関の検討段階でございますので、その巨額な支出を伴うということについて、国民の理解を得た上で、国家プロジェクトとして位置づけがなされるかということが、まず大きな問題かと思っております。
 二つ目といたしましては、国内的には、日本の建設候補地の中で、本県の北上高地が最もふさわしいという評価が得られるかどうかということだと考えております。
 また、三つ目といたしましては、仮に日本の中では高い評価が得られたといたしましても、先ほど申し上げましたように、アメリカ、ヨーロッパなどの国際協調により、世界にただ1カ所しか建設されないものでございます。このようなことから、各国政府を巻き込んだ国際協調体制が構築できるか、さらに、その中で、資金分担などの政府間協議を経て、アジア、日本に建設されるという合意が得られるかというような大きな課題があると考えております。
〇亀卦川富夫委員 最後にお伺いします。ただいま課題というものが示されました。大変ハードルが高いものだろうと、このように理解しております。
 そこで、先日の奥州市議会で奥州市長が、この問題に関しましてはこのような答弁をしております。日本誘致に向け、長年積み重ねてきた関係者の努力を壊すことがないよう配慮しながら、受け皿づくりなどを考えたい。積極的な協力を表明する。このようなことで、本当に慎重にこれは運んでいかなければならないことだろうと思います。
 こういった非常に高いハードル、あるいは今後推進していく上で、県としては、どのような取り組むような展開の方法といいますか、展開するお考えについてお伺いして、終わりたいと思います。
〇大平政策調査監 今後どのように取り組むつもりかということでございますが、実現までには多くの課題があるというのは、委員御指摘のとおりでございまして、ある程度、長期的な取り組みになることも想定しながら、取り組みを行う必要があると考えております。
 奥州市議会で市長さんが言われたと全く同感でございまして、今まで我々、県と関係機関が、それなりの情報交換をしながら非常にいい関係が築かれてきているところと認識しておりますので、そのようなことを壊すことのないような取り組みが、まず肝要かと思っております。
 具体的にというのは、まだ調査研究段階でございますので、積極的な動きがどのくらいできるかというところもあります。まず、今の段階といたしましては、先ほど申しましたように、東北経済連合会が、東北基礎科学研究会というものの設立に向け検討しております。これは、リニアコライダー計画の学術的な意義や研究内容の普及啓発、あるいは基礎科学の振興を行うものでありますので、この活動に全面的に協力して、研究活動を通じまして、東北各地の方々あるいは県民の方々に、そもそもリニアコライダーとは何ぞや、学術的な意義というのはどういうものがあるのかを御理解いただくというのが肝要かと思っております。
 さらに、この活動を通じまして、東北大学や宮城県、あるいは仙台市を初め東北各県などと連携しながら、東北一丸となった活動の基礎づくりを行ってまいりたいと思っております。
 また、研究機関との関係の中から、国内候補地の選定の動きが行われるものと考えておりますので、本県の北上高地の花崗岩岩盤が、極めて安定で評価が高いとは言われておりますが、まだまだ調査が十分でないところがありますので、県といたしましても、基礎的・補完的なデータを提供してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 私から、国体についてお伺いいたします。
 まず、県外から選手団とか競技関係者が多数来県されると思いますが、何人ぐらい来られて、その経済波及効果はどのくらいを見込まれておられるか、お伺いしたいと思います。
 それから、国体開催については、まだまだ不透明なところがあるわけでありますけれども、施設整備とか開催運営費はどの程度を見込まれて、そして、それらについての県の負担や市町村、競技団体の負担についてはどの程度になるか、また、国からの支援についてはどの程度になるかお伺いしたいと思います。
 それから、盛岡広域圏の各市町村長さん、あるいは競技団体、市民団体等からの要望については、今までの議論がありました。私は、やはりこれは、単に盛岡市にお伝えに行ったという話ではなくて、要望されているそうした団体を一堂に会して、今までの検討の状況等について説明、協議をする場が必要ではないかと思うわけであります。そうした上で、その上に立った検討結果で、国体準備委員会にそうした情報も提供しながら総合的に判断をするべきものではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 それから、やはりその際には、るるお話あった、今、大変厳しい県の財政状況ももちろんあるわけでありますけれども、大きな視点で判断をしていくということもあると思いますし、それから、やはり100億円を超える投資ということになれば、その資金負担とともに、経済波及効果もあるのではないか。こういったようなことも総合的な判断の中には加味していってしかるべきと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 それから、こうした国体の波及効果を、やはり大事なことは、県民が一致して国体を迎えるというところに持っていくことが大事であるわけでありますけれども、こういう状況になってはいるわけでありますが、秋田県においても、大変長い準備期間を経て秋田県民が大変盛り上げた、あるいは東京の秋田県人会も応援に来ている、視察の結果、そういう情報を得てきたわけでありますけれども、オール岩手体制の構築や、県下に国体の波及効果をいかに及ぼしていくかということについての御所見をお伺いしたいと思います。
〇菊池総合政策部長 私のほうからは、盛岡広域圏との意見交換の関係とオール岩手の体制という2点について答弁させていただきます。
 まず、盛岡広域圏の市町村長とか各団体への要望についての対応ということでございますが、先ほど佐々木博委員の御質問にお答えしたところでございますけれども、現在、準備委員会の総務企画委員会というところが、さまざまな判断要素のもとに検討しております。そしてまた、それをもとに、決定する機関であります常任委員会、そこで各界階層の方がいる中で検討して決定していくこととしておりますので、まず、そういったさまざまな意見を取り入れる場があるという前提の中で、個別のお尋ねのありました盛岡広域の方々に対しては、私も教育委員会と一緒になって、それぞれの各関係の市町村、あるいは競技団体のほうに、こちらから出向いて、そういった現在の状況等を説明しながら、御理解いただくような努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、もう一点、オール岩手での体制で臨むべきではないかというお話でございます。御指摘のとおり、全く同感でございまして、昭和45年の国体のときには、花いっぱい運動ですとか、体力づくり運動ですとかといった県民総参加の運動が県内各地で開催されて、まさに岩手国体という、県民大会ということで成功したと考えております。
 したがいまして、平成28年の国体につきましても、同じような形で県内各地で式典が行われ、競技が行われ、そして県民運動が行われ、そして県民総参加の岩手国体になるように、そして県内幅広く国体開催の効果、メリットを享受できるような大会にしたいと思っております。
 やはり一番大事なのは、多くの方に岩手に来ていただくということが一番基本になるかと思っております。ですから、岩手の魅力、すぐれた自然もあります、平泉の文化遺産もあります。そうしたものをPRし、また、宮沢賢治ですとか啄木とか、そういった先人の魅力、いずれ岩手の持っているすばらしさというものを岩手国体とともに県外に発信することによって、多くの方に岩手に来ていただく、そして、そういった方々が、県内各地の競技会場地で競技をし、そして、その周辺に泊まっていただく。そうしたことが県内で循環することによって、オール岩手が、国体を開催してよかったという大会となるような方向に考えていきたいと思っております。
〇八重樫国体推進課総括課長 県外からの来県者数についてですけれども、今のところ、本県の分はまだ試算しておりませんで、また、先催県においても把握できていないところでございます。ただ、昨年開催された大分国体には、大会期間中、県内外から選手・監督が延べ約3万3、000人、大会関係者が延べ約8万8、000人、観覧者が延べ約43万5、000人、合わせて55万6、000人程度の参加者があったとのことでありまして、本県においても、同程度の参加者が見込まれると思われます。
 それから、経済波及効果についてでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、来県者による経済波及効果というものは試算しておりませんが、国体全体の経済波及効果については、昨年開催された大分国体及び障害者スポーツ大会の例では、競技施設の整備費、それから大会運営費、大会参加者の消費支出、この三つを需要発生額としてとらえて、合計328億円の需要発生額に対して、経済波及効果は1.59倍の523億円を見込んでおりまして、本県で国体を開催した場合、同程度の経済波及効果があるものと見込まれます。
 なお、この額は、国体開催後に行われる全国障害者スポーツ大会を含めた試算であり、大分県内の経済研究所及び大学が調査した数字でございます。
 それから、国体の開催経費についてでございます。
 まず、施設整備費と開催運営費についてでございますが、先催県の例では、開催運営費はおおむね50億から60億円程度、施設整備費は、各県の施設の整備状況によりまして数十億から数百億円とばらつきがございます。
 本県の場合、開催運営費は他県と同程度、五、六十億円は見込まれますけれども、施設整備費については、開・閉会式会場とか競技会場がまだ決定しておりませんので、現時点で見込むのは困難であります。
 次に、国からの支援等についてでございますが、開催運営費には、国から約3億5、000万円、日本体育協会から約1、300万円の補助が見込まれておりますが、残りは、主に県の負担となるものでございます。
 それから、競技会を運営する市町村の負担でございますが、市町村における実施競技数とか競技種目によりそれぞれ異なりまして、試算は困難でございます。
 なお、先催県では、市町村の財政負担を軽減するために、競技施設の整備とか競技会の運営に対して補助を行っておりまして、本県においても検討の必要があると考えてございます。
 また、競技団体に対しては、来年度から、国体開催に必要な審判員とか競技補助員を計画的に養成するための補助事業を開始することとしております。1、000万円ほど予算がついてございます。
 なお、先催県では、競技団体が負担する国体開催準備業務に要する経費にも補助しておりまして、本県においても検討の必要があると考えてございます。
 次に、市町村等との協議についてでございますが、市町村や競技団体とは、会場地市町村が決定した後に行われる中央競技団体の正規視察というものが、平成22年度にございます。その際の指示事項などを踏まえまして、先ほど申し上げた補助制度について検討し、協議をしてまいりたいと考えております。
 また、県議会には、進捗状況を含め、随時、説明をしてまいりたいと思います。
〇喜多正敏委員 私は、部長が、要望を受けたから行って説明をすると、大変礼儀正しいように聞こえるのですがそうではなくて、やはり連名して団体で要望しているわけですから、一堂に会して意見交換を広くして、ざっくばらんにお話を聞くと。その結果を踏まえて、そうした状況も明らかにしながら、国体の専門委員会に資料を提供しながら総合的に判断すると。そういうふうにしないことには、どうも納得がいかないと思うのであります。したがいまして、部長が行って個別に説明して歩くのでは、協議する場が設けられない。また、国体の専門委員会に広域の市町村長や競技団体の人が行って、そこで話をするというのも何だと。
 県は、要望を受けたわけですから、やはりそういうことをするべきではないかと私は思うんですよね。それが、初めて、お互いに協議をして納得のいくやり方だと思うのであります。どうも、盛岡市だけに言ったとか、そういうことではなくて、なかなか時間のないところでありますけれども、そうしたことについて機会を設けるのが通例のやり方ではないかと思うのでありますが、もう一度、いかがでしょうか。
〇菊池総合政策部長 市町村とか競技団体に対して、今回の場合には、今の施設をさらにグレードアップして、機能を高めてほしいという要望と受けとめております。したがいまして、例えば市町村の競技団体に対して何らかの義務を課すとか、あるいは著しい不利益を与えるとか、そういった場合であれば、御指摘のように、そういった協議の場を設けて協議していくことが必要かと思いますけれども、そういう、さらにプラスにしてほしいという要望でございますので、そうした要望については、一堂に会して議論いたしましても、やはり要望は要望で来るということがずっと続くだけかなという危惧もありますので、今考えていることを個別にお話ししながら、それぞれの立場のこともお伺いしながら意見交換をする。そういうことを通じて御理解がいただけるのか、あるいはまた、新たな御意見があればそれを伺ってくるというような取り組みを、教育委員会とともにやっていきたいと思っております。
〇喜多正敏委員 いずれ、個別にやると10カ所も歩かなければいけないわけでありまして、一堂に会すれば、そこでいろいろな意見が出て理解が深まると私は思うのであります。
 それで、要望を受けるだけとはいいながらも、要望をしたわけですから、それについての検討の結果は、そのときもお話があったかもしれませんが、いずれ、やったときには知事にお伝えするとか検討するということもあるわけでありますから、そうしたようなことが必要ではないかと強く要望して、終わります。
〇樋下正信委員 私も国体の件でお聞きしたいと思っておりましたが、あらかた出てしまいまして、私は、今の喜多委員と関係するんですけれども、先ほど、一般質問でも聞きましたが、5月には決めたいという話でよろしかったでしょうか。再度、確認させてください。
〇菊池総合政策部長 5月とお話ししましたのは、総会を開催するのを5月の下旬あたりを予定しております。したがって、今、常任委員会で決定するとしておりますのは、総会のほうで、競技会場とかの決定は、常任委員会に任せると委任されております。その常任委員会で議論していって、そして結果は、常任委員会が決めたものを総会に報告するというような段取りになっております。そういった意味では、やはり年1回の総会が開かれるのが5月下旬でございますので、それが目安の一つかと考えております。
〇樋下正信委員 要するに、主会場も含めた各競技の会場が決まるのが5月ごろという解釈でいいですか。ちょっとその辺をもう一度お願いします。
〇菊池総合政策部長 言葉足らずで申しわけありませんでした。競技会場が38ございます。その中にはプールもあれば、体操もあれば、いろいろな競技がございます。それについては、各市町村と競技団体38に対して希望を今聞いております。その中で、双方ぴったんことなったものはそこで決まるわけですけれども、なかなか意見が合わないものがございまして、今の段階では、大体半分くらいが第1次選定といいますか、5月の総会、あるいは今回の常任委員会の中で決定できるのかなというようなところまで来ております。ただ、まだまだ調整しなければならないものがありますので、それは平成22年度までかかるかと思っております。
 失礼いたしました。平成22年度に中央競技団体の正規視察というものが予定されております。それは、例えば体操なら体操の競技団体が、中央の団体が来まして、そこの会場を見て、ここで体操をするといったときに、いや、ここは少しこういうふうにいじったほうがいいとか、そういう指摘があれば、そこは、それに沿った手を加えるといったことも必要になってきます。
 したがって、平成22年度中に、その正規視察が行われる前には競技会場を決めておかなければならないとなりますので、平成22年度の前半ぐらいには決めたい、今、調整ができていないものを含めて全部決めたいと考えております。
 それから、もう一つの流れといたしまして、開・閉会式会場をやるときには、陸上競技場を全部、式典で、イベントで使うわけです。それから、雨が降ったときには体育館を確保しなければなりませんので、体育館も使えない。そうしますと、どこを会場地にするかによって、陸上競技と体育館を使う競技をどっちにするかということを決めなければならないという作業もございます。したがいまして、開・閉会式会場については、できるだけ平成21年度の前半のほうの早いうちに決めたいというのが、言っている意味でございます。
 そうしますと、それが早く決まると、陸上競技場と別なところでやるかとか、体育館はどうしようかという協議が、また調整ができるようになってくるという段取りになりますので、先ほど申しましたように、5月の総会のあたりまでに、開・閉式会場については決めていければなというような思いをしているところでございます。
〇樋下正信委員 ひとつ、工程表みたいなものがあったらいただければ。今のようなお話の書面でつくっているものがあればいただきたいと思いますし、それから、今の話だと、5月の開・閉会式の部分は早い時期に決めたいということですけれども、その話を今聞きましたというかあれですが、先ほど来の話の中で、いろいろな要望団体とか、請願の出ている団体とか、各広域の議長さんたちとか首長さんたちから、市町村長さんたちからも同じような請願とか要望が出ているわけですが、そういう時間ってあるんですか。今の話の中でやれるという時間が。(「やらないの」と呼ぶ者あり)やらないの。
〇菊池総合政策部長 日程はタイトでございますけれども、その間に一生懸命やるという前提で考えております。
 そこで、検討する常任委員会につきましても、いろいろこういう要望があるということも伝えますし、また、現地も実際に見ていただこうかとも思っています。そうした、できるだけ現在の状況あるいは現実といったもの、あるいはいろいろ各広域のほうからそういう支援という話もあるというような、いろいろな要素についてその常任委員会に提示しながら議論をいただこうと思っておりますし、それから、各ほうに私のほうで説明に行くと言っておりますけれども、それも当然、4月中とか、そういった早い時期にやりたいと思っております。
〇樋下正信委員 いずれその期間がない、タイトな日数でやらなければならないということですけれども、果たしてできるのかなと私はあれですが、できないように─やるということですからやるんでしょうが、いずれ、できるのかな、納得、了解できるかどうかあれですが、いずれそういう要望が出ているところ、先ほど来から話があるように、そういう方々に、1回そういう会議を持つのか、2回持つのか、3回持って了解いただくのかということになると思いますが、その辺をどういうふうに考えているのか。いずれ詰めるということでしょうが、そこをちょっと、できれば5月がいいのか、どうなんですか、時期的な、期間的なものをもう少し見たほうがいいのではないかと思うんですけれども。
〇菊池総合政策部長 一応、総会という年に1度の大きな会議が開催される日程が大体5月の下旬ということでございますので、そうしたところで、どこまでできるかということも、もちろん御指摘のようにあります。ただ、いろいろ与えられた所与の条件を調整しながら、そして、歩くことは歩く、行動することは行動するということをしながら、5月の総会というものを目安の一つとして、職員一同みんなで、教育委員会とも連携しながら活動していきたいと思っております。
〇樋下正信委員 いずれ、結論ありきじゃなく、病院改革ではないですけれども、その辺の手順を間違わないようにというか、きちんと理解をいただきながら進めていただくようにお願いしたいと思います。終わります。
〇菊池勲委員 関連。不思議に思ってずっと聞いているんだけれども、高校インターハイのときは、会場要望地が何カ所かあったんだよね。ですから、最後には私どもの北上に決めてもらった経緯があるんだけれども、今度の2巡目の国体は、会場は、そちらが言うのは2カ所になっているもんな。うちの北上も入っているんだよね。黙っていれば、何となく北上に行きそうなんだよね。だけれども、私は、この前の一般質問、樋下議員のときに関連させてもらったのは、平成11年にお世話になったから、私個人の気持ちとすれば、ここで返さなければ返すチャンスはないということを前置きをしながらお願いしたわけだ。
 ところが、それからずっと流れても、全然そこは、あと消えていないもんな。今、皆さんの意見を聞くと、盛岡でやれという人はあるけれども、あとどこにもやれと言うところはないんだよな。それでも迷っている部長の姿を見ると気の毒に思えるんだよ。
 金がないからできないという話は前から聞いておった。だけど、71回目の国民体育大会岩手大会は、まだ先の話なんだ。今はないからできないかもしれないという話じゃなくて、将来の夢をたくすための闘いは、盛岡市が主会場地だと県北・沿岸に与える波及効果が大きいと私は見たんだ。北上でもしやったと仮定した場合は、波及は盛岡でとまっちゃうよ。北のほうには一切行かないんだよ、これ、絶対に。ところが、盛岡市を主会場地にした場合には、依然として、さっと北のほうにも恐ろしいような波及効果が行くと私は見たから応援したいと言っているわけだ。
 黙っていたら、前にいたうちの北上の県会議員たちは、この人たち3人はとれるんだよ。落ちるのはおれだけだ。そんなことは個人的な話であって、私が言っているのは、北上でも欲しいとは言っているんだよ。だけれども、前に世話になったから、返さなければチャンスがないというのが私の言っていることであって、返したくても返しようがないじゃない、これじゃ。黙っていたら持っていけるよ、おれは。58億円で決まるんだから、一番安いんだから。盛岡会場は155億円でしょう。3分の1でやれるということになったら、この財政危機のときだったら、はい、わかりましたとさっと行くでしょう、それは。
 そうじゃないんだよ、おれの言っているのは。そのための大会だけだったらそれでいいんだ。波及効果をどうするかの議論だったら、闘いはまた別でしょう。それを私は期待したいの。どうだ部長、お願いしたいんだけどな。
〇菊池総合政策部長 波及効果というお話がございました。また、今の盛岡と北上という二つの候補地というものを絞っていろいろ検討している段階でございますけれども、その中には、そういった波及効果ということも考えているんですが、やはり、例えば盛岡の場合には、45年国体のときと違って、住宅地が密集し、商業地になっているという、交通規制をどうするかという問題もございます。片や北上の場合には、盛岡の方々がおっしゃっているように、スタッフが盛岡のほうに多いのではないか、そういった面があるのではないかといった、どちらも一長一短というのが現状でございます。
 そういった中で、今、委員御指摘の波及効果という意味も含めまして、どういった配置をしていくことによって、県全体が潤うといいますか、大会開催のメリットを享受できるような大会になるかというところで、いろいろな要素を個別に議論しているというのが今の段階でございます。
 したがいまして、金の問題もあります。ただ、金の問題だけじゃなくて、いろいろな要素も総合的に勘案しながら検討して、一番最適なところを見つけていきたいということで努力しているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
〇菊池勲委員 だんだんいいところに来たね。これは聞いたわけじゃないんだよな。おれが気に入らないところはここなんだけれども、私どもの会派で、自由民主クラブでは12名がこの要望書に、私どもで請願をして名前を連ねた。佐々木副議長は、立場上、公正を守るべきだということで、この人だけ外したの。あと12名は全部名簿に。だから、やはり盛岡市を主会場地にしてくれという頼みをしてあるんだけれども、これは皆さんのも入っているから私だけじゃない。そういう形の中で、私はそこの中の一員におるわけだからこういう話になるんだけどね。
 ですから、本来であればだよ、本来であれば、先ほど部長がちょっと答弁しておったよね。高校インターハイのときは、私どもは合併したばかりだったんだ。3町村が平成3年に合併したばかりだから、ちょうどそのときにその話が出たものだから、今は亡くなったけれども、盛吉市長さんに、合併の計画に大堤運動公園をつくることになっておったからという話だから、だったらおれたちがつくればいいじゃないか、8万3、000人で。そこを主会場地にしてくれという格好にしたらどうなんだという話をして、多分、陳情書はそういう形になっているはずなんだ。
 あとは全部県営でつくってくれとなっているから、大きな違いがそこだったんだけれども、今回の2巡目の国体は、盛岡市を中心とした8市町村の議長、首長が連名で名前をそろえているけれども、金を出すという話は一向にないんだ。この8市町村を中心として、国が補助する残りを全部持つという言葉がもし出たとするならば、部長、どうするの。はい、わかりましたと言わないでしょう。やはりあなたも幾らか持たなければいけないんだ、県のメンツがあるんだもの。これが出ていないのがおもしろくないという気がしているんだけれども。
 これは、冗談も含めて本当の話なんだが、それを期待するのもおかしな話なんだ。県が主催する国体だから、8市町村に任せて、県はいいんだという話は、これはどこも通る話ではないんだから、やっぱり県だってそれなりの応分の負担をしながら、8市町村の気持ちをまず酌んで、そして、あなたの力で知事を説得して、よし、じゃ大きくやろうと。波及効果も含めて、この景気の悪いときだから。そんな手法は部長は持っていないの。応援するんだけどな。
〇菊池総合政策部長 いずれ、今二つの候補地に絞ってやっているわけですけれども、やはり北上市の運動公園という、百何十億円かけたのか、ちょっと正確な数字はわかりませんが、市が単独でああいう立派な競技場をつくり、そして1億3、000万円と聞いておりますが、毎年そういう維持管理費をかけて、そして平成11年のインターハイ、これは3万人の参加者と聞いております。今度の2巡目国体が3万3、000人ぐらいを想定していますので、ほぼ同規模ぐらいのインターハイを成功させたという実績もございます。そういう施設があるということ、この事実は、やはりこれは尊重しなければいけないと思っております。
 それと、あとは盛岡の運動公園をどのようにしていくかということでいろいろお話が出ておりますけれども、実際のそういう施設があるということも頭に入れていただいて、その中でどちらを使ったほうがいいのかというあたりを、この常任委員会の中で、現地も見ていただきながら、客観的に、そして全県的な立場から御判断いただけるように、常任委員会でそういった議論をしていただきたいと思っております。
〇平沼健副委員長 先ほど、樋下正信委員から執行部に対してタイムスケジュールに関する資料の請求がありましたが、執行部は提出できますか。
 お諮りいたします。執行部に対して、タイムスケジュールに関する資料の提出を求めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇平沼健副委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 執行部は、タイムスケジュールに関する資料を予算委員会開催中に提出をお願いいたします。よろしいですね。
〇嵯峨壱朗委員 一つ目、岩手ソフトパワー戦略の展開ということで、いわて情報発信強化事業費2、700万円を予算化しておりますけれども、これは今年度もあるわけですが、どういった内容なのかお知らせ願いたいと思います。
 それと、平成16年度の負担金の見直しというものがあったわけですけれども、その際に、総合政策部の担当するところで、三つのさまざまな協議会、都道府県管理改善研究協議会、または国土計画協会、日本広報協会等の負担をやめた、脱会しているということなんですか、これは、それぞれ3万円、6万円、18万円という金額ですが、どういった内容で、入っていることのメリットではないから、やめたことのデメリットと言ったらいいのか、どうなのか、その辺も説明願いたいと思います。
〇齋藤広聴広報課総括課長 いわて情報発信強化事業の内容についてのお尋ねでございますけれども、この事業は、県外において岩手をより強く印象づける必要があるという考え方から始められたものでございまして、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に向けて、平成19年度から実施しているものでございまして、歴史、文化、農林水産物、伝統芸能、工芸、人材など各分野にわたりまして、岩手全体が持つ豊かさと信頼を黄金の國、いわてと表現いたしまして、このイメージコピーにより、首都圏を中心とした県外に向けて情報発信を進めている事業でございます。
 来年度の事業につきましては、これは、民間のノウハウ等をおかりするという意味で、広告代理店によるコンペを行いまして、最も効果的な提案を採用することとしておりますことから、現時点では具体的内容を申し上げる段階にはございませんけれども、今年度の内容によりまして若干御説明申し上げますと、新しい県外向け広報誌あるいはポスターに加えまして、全4巻の小冊子、いわて学といったものを作成いたしまして、首都圏のメディア関係者に配布することなどによりまして、あるいはさまざまその他の取り組みを行ったところでございまして、これによりまして、岩手のイメージアップ、ブランド構築に向けて、積極的な取り組みを行ってきたところでございます。
 また、首都圏等におきまして、希望王国いわて文化大使を委嘱しておりますが、こうした大使の方々による岩手のPRを通じまして、岩手ファンの拡大とイメージアップにも努めてきたところでございます。
 来年度におきましても、民間の専門的なノウハウを活用しながら、新たな企画も検討いたしまして、引き続き、黄金の國、いわてを前面に出した情報発信を積極的に進めまして、岩手全体を県外で強く印象づけてまいりたいと考えてございます。
〇八重樫経営評価課総括課長 都道府県管理改善研究協議会から脱退した理由についてでありますけれども、この団体は、行政改革などの行政管理に関する調査、研究、情報交換等を行うため、47都道府県が会員となって昭和48年に設立された組織でございますけれども、47都道府県会員の過半数以上の同意をもって、平成17年度限りで協議会自体が廃止されたものでございます。
 廃止された理由としては、インターネット等の普及によりまして、そうした設立目的であった情報交換等が容易になったこと、また、全国会議等の開催は、必要不可欠なものではなくなったといった理由から、廃止されたものと伺っております。
〇木村政策推進課総括課長 国土計画協会に関してでございます。
 国土計画協会は、国土計画、それから地方計画策定に関する調査研究等を目的として、昭和21年に設立された団体でございます。
 本県におきましては、同協会から計画ですとか事業の企画立案に資するような情報収集等を行っていたところでございますが、県みずからの情報収集能力が向上していること、それからインターネット等、情報入手手段が非常に発達したことなどによりまして、会費を負担してまで入会することの効果が低くなったということがございまして、平成15年の全庁的な各種団体の負担金の見直しの際に、同協会と退会を含めた協議を行いました結果、地方公共団体は普通会員という扱いになるんですが、会費を負担しないで普通会員として継続するということで了解を得ております。したがいまして、現在は、会費は負担しておりませんが、引き続き会員扱いということになっているものでございます。
〇齋藤広聴広報課総括課長 社団法人日本広報協会への負担金の支出状況についてでございますけれども、この団体は、広報に関する技術、資料の提供や調査研究を行うことなどを目的といたしまして、昭和38年に設立された団体でございます。
 本県におきましては、同協会からセミナー等の情報提供があったところでございますけれども、同種のセミナーあるいは会議等が開催されておりますほか、ネット情報の発達などもございまして、入会していることの効果が低くなりましたことから、先ほどの国土計画協会の会費と同様でございますけれども、平成15年度の全庁的な各種団体負担金見直しの際に同協会と退会を含めた協議を行いました結果、会費を負担しないものの、普通会員として継続することで了解を得まして、引き続き会員扱いとなっているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 最初のソフトパワー戦略についてですけれども、3年目ということですけれども、今年度も含めて昨年と2年間やってきて、ブランド構築に向けて前進しましたか。したと思っておりますか、どうでしょうか。そういった実感とか、具体的な成果は難しいかも知れないですけれども、ありましたらお願いしたいと思います。
 それと、今の三つの団体、一つはなくなったと。この二つは入っていても意味がないということなんですね。そうなったということでやめたということなんですよね。ほかの県とかはどうなんですかね、これ、みんなやめているのかな、わからないですかね。
 というか、これは全体的にいっぱいやめていますけれども、大した金額じゃないのにやめて、そしてあるということはそれなりの入っていることのメリットがある。ただ単に会員じゃなくて、恐らく都道府県は会費を納めていることによって理事とかそういう役割になるかと思うんですけれども、あるからあったのではないかと思うんですけれども、全くないものですかね、意味というのは、どうなんでしょう。
〇齋藤広聴広報課総括課長 日本広報協会の負担金の関係でございますけれども、そうした経過に沿いまして、今は会費を負担しないものの、普通会員として継続するということで了解を得ておるところでございまして、現在も各種のセミナー等の案内が以前と同じように来ているところでございます。
 それから、他県の状況のお話がございましたけれども、負担金の支出を行っていないのは本県を含めまして4県でございますけれども、今申し上げましたとおり、同じように広報セミナー等の御案内、情報提供がございまして、そういったもの、あるいはその他のいろいろな会議、セミナー等に出席いたしまして情報収集を続けているところでございます。
 それから、ソフトパワー戦略の関係でございますけれども、ソフトパワー戦略のいわて情報発信強化事業、県外に向けて岩手を印象づけていくというところでございますけれども、平成19年度から始めたものでございますけれども、実質去年の1月から始めたものでございまして、ことしの1月で丸1年とちょっとたったところでございます。
 昨年度におきましては、県外におきまして黄金の國、いわてというものをPRするイベントを行いまして、いずれそれぞれ各分野、農林水産業、あるいは定住交流、観光、それぞれのところでPRは行っているわけですけれども、これを統一した形で岩手県全体のPRを底上げしていく必要があるというような観点から、その下支えをして、その相乗効果で岩手を県外に強く印象づけていきたいというものでございますけれども、昨年はそういうイベントを開催いたしましたり、あるいは地下鉄の中づり広告、あるいはテイクワンラックで広報誌を配ったりと、いろいろ活動した結果、雑誌等でもさまざま取り上げられ、事業費よりも高い効果を上げたと。日経デザイン等でも大手の企業にまじって自治体で唯一取り上げられたと。あるいはまた、今年度におきましては、新たに、議員の方たちにもお渡ししておりますけれども、いわて学の小冊子といったようなものを首都圏のメディア等を中心に、全4回に分けることによりまして、何回もマスコミにそういったものを届けることによって関係構築を図るというようなことで、さまざまな形で記事の露出増が図られたところでございまして、実はそういった記事の露出増の関係でございますけれども、パブリシティ活動経費537万円余かけたところでございますが、雑誌等あるいは記事等に載った金額を計算いたしましたところ、予定でございますが、2、700万円ほどの記事の露出になるというふうなことも計算されてございます。
 そういったようなことで、まだまだブランド構築というのは時間のかかるものでございますので、すぐその効果というものは出ないものでございますが、そういうことで、今後また引き続きよろしくお願いいたします。
〇平沼健副委員長 この際、進行に御協力願うため、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇高橋雪文委員 私も国体の質問をさせていただきたいんですが、それぞれ先に質問された方と内容も重複するところがあるので、それを抜かして、少し突っ込んだ話をさせていただきたいというふうに思います。
 議論を聞いていますと、総合政策部で所管しているという割には、施設整備などは教育委員会ということで、私が聞いていると、都合がいいところでそれぞれがその責任を押しつけているという感じを受けていったのですが、先ほどの商工文教の委員会の中で法貴教育長から、準備委員会が国体の会場を選考し結論が出るまで執行は保留したいということでお話がありまして、昨日も知事にお聞きしましたら、そのとおりだということではっきりと答弁をいただきました。
 こういうふうにすると、やはり指導権、この国体のリーダーシップを発揮するところは当然総合政策部が所管のところになるということでありまして、そして、これから国体のために、施設整備を盛岡のみたけの今まで国体をやったところでやるのかやらないのか、北上にするのか、そういうものも含めて利用の仕方についても突っ込んで協議をしていかなければならないようになったのではないかというふうに思いますが、その点の御所見をまずお聞きしたいと思います。
〇菊池総合政策部長 県営の陸上競技場の整備ということでございます。したがいまして、そういうスポーツ施設が県内にどうあるべきか、あるいはこれから競技力の向上をどう図っていくか、それから市町村の施設との連携とか、そういった県全体のスポーツ振興という観点を踏まえた施設について考えるのはやはり教育委員会であるのは、施設を管理している立場上、教育委員会であることは間違いないと思っております。
 ただ、商工文教委員会の際に法貴教育長が発言したということはそのとおりだと思いますので、常任委員会等の場において、それを所管する教育委員会の立場として、施設はこうあるべきだ、こうあったほうがいいのでいはないかという意見は当然その中で開陳していただくことになると思いますし、そうした中で、いろいろ各界階層の方々が構成員となっておりますので、御意見を出していただきながら議論していくということになろうかと思います。
 そうした上で、結論として、大勢がやはり盛岡でやるべきだということになるのであれば、教育委員会においてそれを受けて次の検討をしていく、そういう流れになるのかなというふうに思っております。
〇高橋雪文委員 私、今回の一連の予算の上げ方というのは非常に不満がありまして、それは、これから主会場、主会場という言葉がないということでありますので、開会式、閉会式及び陸上競技をやるということをまず主会場とさせていただいた上で主会場と使わせていただきますけれども、それが北上か盛岡かというそういう判断を国体準備委員会ですると言いながら、教育委員会が先行して、その候補地のみたけの元国体の運動公園があった場所を使ってドームをつくるという決定をして、実質、主会場は北上にするというような判断をしたというのが余りにも先行しているし、内部的な話し合いがされていないということで、病院の無床化問題と同様に、非常に不満を持っているわけでございます。
 そういった中で、やはりこの協議をオープンにしていこうということで、法貴教育長も、このような形で、この主会場については国体準備委員会の協議をまって、それから考えていきたいというふうにされているのだろうというふうに思いますけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
〇菊池総合政策部長 教育長がそのようなお話をされたということでありますので、やはりそういったことで動いていくということは間違いないことでございますけれども、いずれにしろ県の施設でございます。県営施設をどのようにしていくかということは、やはり県の内部で議論をして検討して結論を出す。そして予算措置が必要なものについて議案として提出しているというのが今の姿だと思っております。
 そうした中で、いろいろ御意見とかあり、また、盛岡の広域の方々から御意見もいただいているということを踏まえて、常任委員会の中でそういったいろいろな御意見を踏まえ、また、県としてのそういう整備方針を立てたということも踏まえながら、全体の中で議論していくということになろうかと思います。
〇高橋雪文委員 協議をできるだけオープンにするという視点に立つならば、前回、総合政策のほうでつくった第71回国民体育大会開会・閉会式及び陸上競技場関連整備案というのをつくっていらっしゃるんだと思うんですけれども、この数値が、盛岡開催の場合は155億円、盛岡、北上分離開催の場合は86億円、そして北上開催の場合は58億円、こういう試算がされているということでございます。
 しかしながら、先ほども盛岡市が20億円ぐらい盛岡開催の場合は出してもいいとか、あとは8市町村の首長さん方も前向きにそれ相応の負担をしてもよいというふうに言っているわけでございます。とするならば、ここに実は書かれているのは、北上市の陸上競技場の市負担分の額が出ているわけでございますけれども、やはりそういう協議、連携した8市町村の方々の考えとか思いとか、そういうのを勘案しながら新たな整備案をつくるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
〇菊池総合政策部長 教育委員会の施設整備の関係でございますので責任を持った答弁にはならないかと思いますけれども、盛岡の開催という、今、委員御指摘の155億円、こういったものについては、北上と同じものをつくるとすればこのくらいになるだろうという試算でございます。ただ、先ほども北上の陸上競技場のお話を申し上げましたけれども、同じものが県内に二つ必要なのかというあたりはやはり議論が必要なのではないかと思っております。
 ですから、いろいろ負担をしていただけるという熱意も受け取っておりますけれども、そうしたことによってこの負担が減るということは、当然数字ですから減っていくわけでございますけれども、これからの陸上競技施設のあり方、スポーツ施設のあり方、そしてこうした1種競技会場が県内に二つ必要なのか。また、2種にした理由の一つに、過去の全国大会の開催実績ということもお話ししておりますけれども、昭和45年の国体以降、県営運動公園では1種競技公認が必要な大会が開かれたことはないということがございます。また一方で、北上では平成11年のインターハイ以降、インカレも行われておりますし、また、これからもインターハイが予定されているという実績がある中で、やはり全国大会が少ないという中で、本当に県として1種を二つ持っていく必要があるのか。そして、そのための維持管理経費をずっと続けていくのかというあたりは、やはりそういった問題意識も持ちながら常任委員会の中で議論をしていくべきものというふうに思っております。
〇高橋雪文委員 部長は私の質問に答えていないんです。私は、数値を精査して協議をして、そして入れたものをやはり国体の準備委員会、それに附属する常任委員会などの資料としてつけ加えるべきではないかということでありまして、要は、つくるかつくらないか、利用するかしないかは、今の答えは県の思いであって、これから策定して決めていく。国体準備委員会にオープンな、そして公平な資料を提出するということが私は総合政策部の仕事だと思うんですよ。そこの話を聞いているんですが、いかがでしょうか。
〇菊池総合政策部長 特にそういったものを強制しようという気は全くございません。もし盛岡のほうで20億円出していただけるという正式なお話があるのであれば、当然この数字の中に入れるのが当然でございますし、それはそれぞれの状況に応じてデータを直し、そしてそれを提示していくという考えはもちろん持ってございます。
〇高橋雪文委員 盛岡市も8市町村の皆さん方も、やっぱり今回の国体を、できれば運動公園、みたけにある競技場を新しくして、今までも1種であったので、これからも1種として新たに改築したいという思いがあるようでございます。数値的なものも要望されると思いますので、先ほど協議の場はつくらないということでありますけれども、この8市町村の方々から要望があった際には、やはり総合政策部として協議の場を持つべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
〇菊池総合政策部長 先ほどから答弁させていただいておりますけれども、何かこういったことをお願いすると、私どもの立場から例えばこういった義務を課すとか、こういった不利益をお願いしたいとかという、そういうことでの協議ということではなくて、それぞれの団体の熱意、思いをこちらのほうで受けるというものでございます。
 したがいまして、それはもう十分に熱意は受けておりますし、それに対して、現在こういった検討をしている、そしてこういう動きがありますとかこういう意見がありますとか、県内部ではこういう意思決定をしております、あるいは準備委員会でこういう議論が行われています、こういった事実について、それぞれ教育委員会ともども、熱意を示していただいている方々にお会いしてお話しする、そういったことで取り組んでいきたいというふうに考えております。
〇高橋雪文委員 今の認識は、これはへ理屈になるかもしれないのでちょっと気をつけて聞いていただきたいんですけれども、今、運動公園の陸上競技場は1種なんです。1種の認定を受けている競技場が、このままでは3種になると。提供するサービスが落ちるということなんです。我々というか、その8市町村の皆様方の意見やいろいろな団体の意見は、その1種を維持してもらいたいということであって、決して要望を上に上げているのではなくて、それを堅持してもらいたいという視点もやっぱりあるんだと思います。とすると、先ほど言った部長の要望だけではなくて、これまでの体育施設としての機能をしっかり持たせるとか、そういう意味合いもあると思うんですけれども、どうでしょうか。
〇菊池総合政策部長 おっしゃるとおりだと思います。いずれ、現在のままですと1種の公認の期限が切れますので3種になると。それは教育委員会としてはしたくないということで、2種で維持していくという方針を立てたわけでございまして、2種で維持するということに加えて、ドームを整備することによってあそこの運動公園の全体の機能をプラスにして、さらにスポーツの拠点として、あるいは生涯スポーツの拠点としてその機能を高めよう、そういう教育委員会の案だと私は理解しております。
 そういった中で、さらに1種にしたほうがいいのではないかという御要望だというふうに受けとめておりますので、そうした要望については熱意をしっかりと受けとめながら、県としての考え方ですとか、そういったことは個別にお伝えしたいというふうに思っております。
〇高橋雪文委員 いずれ各市町村と周辺の市町村から試算の見直しを諮られた場合はその数値も入れかえていくということでございますので、それの協議なり、やり方をどういうふうにするか、これからだと思いますけれども、やっぱりこの8市町村からしっかり要望を県の総合政策部に出していかなければいけないということだけははっきりしたところでございます。
 私は、やはり立候補する地それぞれに、今回の国体をどういうふうに運営するべきなのかというPRの場みたいなものも必要なのではないか。国体の準備委員会が最終的に決めるということでございますけれども、盛岡市で開催したらこういうメリットがあるとか、北上でやるとこういうメリットがあるとか、それぞれの地域特性も踏まえて、やはりPRする場所を県民に向けてしっかりと明示して、その上でしかるべき主会場を決めていけるような体制にしていくべきだ。できるだけオープンに、そしてこの協議内容を県民に知らせて、その県民の多くの参加のもとに国体を盛り上げていくという機運づくりを、2カ月という短い間ではありますけれども、やるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇菊池総合政策部長 会場地につきましては、さまざま思いはちょうだいしております。熱意もちょうだいしております。そういう思い、熱意は十分に理解できるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、それぞれ施設の状況あるいは運営面、それから人的な要素、あるいは交通面とか、さまざまなものを総合勘案して決定していかなければなりません。
 したがいまして、私どもとしては、そういったことを検討するための常任委員会がございまして、そこには各界階層の方が構成員となっております。そうした中で、そうしたいろいろな意見も踏まえながら、客観的な観点から、そして全県的な観点に立って、そして専門的な立場から議論して決めていくということがよろしいんじゃないかなというふうに思っております。
 それぞれ候補地からプレゼンテーションをして、ぜひうちにとか、あるいはうちのほうがこういうメリットがあるというような、そういうプレゼンテーション合戦みたいなことをするよりは、客観的に判断できる方々がそういう全県的な立場に立って決定していくべきものというふうに考えております。
〇高橋雪文委員 私は、やっぱりプレゼンテーションみたいな、せっかく立候補しているところがあるわけですから、そこの思いもそしゃくするということは必要なのではないかというふうに思います。
 その常任委員会でも構わないので、県だけの情報だけでこういう全県的な大会の会場地、もしくは運営が決まっていくというのは、やはり私は、もっともっと県民に知らせて情報公開をして、そして正々堂々と国体を一つの岩手県のシンボリックなものにして、県民の夢をつくっていく、そういう細かいものが必要だと思います。これは意見のみにさせていただきます。よろしくお願いします。
〇伊藤勢至委員 関連して一言、二言言わせてもらいたいと思います。
 私たち沿岸に住む人間からいたしますと、岩手県は一つでありまして、国体のメーン会場が盛岡であろうと北上であろうと一向に構わないというふうに思っております。ただ、ここで申し上げたいのは、沿岸と県内の内陸の格差という部分についてぜひともとどめ置いていただきたいというふうに思います。
 二十数年前に東北新幹線が盛岡まで開通いたしました。その後八戸まで延伸いたし、また秋田県まで延びた。東北縦貫自動車道路も内陸を通っているわけであります。それまで、実は沿岸の工業出荷高というのはそこそこいい勝負をしておった時代がございますが、この高速交通体系が、背骨が岩手県の中央部を通った、この時点からどんどん下降してまいりまして、今や1対3ぐらい、あるいは4ぐらいの格差がついてございまして、その証左が、盛岡県央あるいは県南の県民所得が250万円、それに対して我々沿岸は200万円、県北は180万円、こういう格差がついてきている一番大きな根本だというふうに思います。
 そういう中で、久々の国体でありますから、みんなで楽しみ、そして盛り上げたいとは思うわけでありますけれども、ただ、我々県央から外れた地域のみんなは、メーン会場はともかく、38種目の競技のうちの一つでも二つでも近隣に来てもらって、それで小さく盛り上がりたいという思いを常に持っているわけであります。
 中央の方々は、もちろん県都盛岡、これは認めます。南部藩の時代から岩手県にたった一つしかないものは全部盛岡に集中をしてきたわけでありまして、それは地勢上認めざるを得ません。しかし、盛岡近郊あるいは内陸部の方々は、そういう優越性に立って今までやってこられたという大きな気持ちを持った中で、ハンディキャップ制度というものも考えていただきながら、我々政治の光の当たりの薄いほうにも恩恵を与えてやるぞと、そういう実は大きな気持ちを持ってもらいたいというふうに思っております。(「異議なし」と呼ぶ者あり)ありがとう、珍しいことがあるものだな。
 そして、大事なことは、やはりいろいろな新しい政策を打っていくには財源というものが必要でありますが、平成21年度末の岩手県の主要積立金の残高は145億円、恐らく平成22年には15億円を取り崩して70億円ぐらいになるのではないかと思っています。あした本当は総務のほうでやろうと思っていたんですが、あえて国体絡みでお金の話も言っておきたいと思います。
 昨年6月の岩手・宮城内陸地震は300億円弱の被害でありましたが、岩手県はこれに対して真水を40億円か50億円出しているはずであります。平成11年の軽米町の雪谷川の洪水の際はやはり300億円ちょっとかかったと思います。しかし、岩手県はその中で真水を約68億円出しているわけです。宮城県沖地震ですが、今から30年後に70%とか80%とか言っていたものが、10年以内に70%と危険率が高まってきております。雪谷川のような、あるいは内陸の地震のような、そういった来てほしくない天変地異、災害がいつ来るとも限りませんが、その雪谷川のような災害あるいは岩手・宮城内陸地震のようなああいう被害が来ますと、すぐ積立金がゼロになってしまう。
 そういう中で、今考えることは、確かに夢を送っていきたいという思いはあっていいんだと思いますが、それについた裏の金、つまりは借金を夢の国体競技を次ある世代に与えると言いながら、その裏で借金も押しつけてしまったのでは、おやじのツケを何でおれが払わなきゃないんだといって必ず後の子供たちにしかられるというのは火を見るより明らかでありますので、そういう意味で、トータル的に今の岩手県の財政を考えた中で、やりたいのはいっぱいあります。だれでも新しいものをしゃべるのは気が楽です。だけれども、それをやってきた結果今の状況があるという中において我々の責任もありますけれども、我慢をして、抑えるところは抑えてやっていく、そういうことも必要だと思うわけであります。
 県都盛岡にないのは重茂の灯台と浄土ヶ浜ぐらいで、あとは全部盛岡にはそろっていると私は思っておりますので、どうぞ県都盛岡の皆様の大きなお心で、オール岩手を考えた中での配置をお願いしたい。
 感想があれば一言伺って終わります。
〇菊池総合政策部長 委員御指摘のとおりでございまして、国体につきましては、2003年に国体改革の考え方が示されております。これは、当時開催を間近に控えている都道府県が集まりまして、日体協と文部科学省に要望しておるんですが、人的負担、財政的負担が大変だと。これからの国体のあり方というのをもう少し考えてくれないかということで検討がなされて報告書が出されたのがありまして、その中で簡素・効率化ということがうたわれております。そしてまた、施設をつくって、後で使い道に困るような、そういったことは避けるべきだというようなこともその中で指摘されております。
 国体を所管する私どもといたしましては、やはり国体というのは簡素効率化の中で、スポーツ、ソフトのほうで競技力を向上してみんなが楽しむということ、それから、その県で開催されることによって、県内各地で競技会場ができます。そういったところで、県内各地域で競技が行われて、スポーツに対する認識、あるいはスポーツに対する愛着、あるいはみずから取り組もうというような、そういった意欲を喚起して、それが県内各地で盛り上がって県全体としての国体として成功するような形に持っていければというふうに思っております。
〇斉藤信委員 県の政策にかかわって私お聞きしたいのは、日本経済のゆがみが今、アメリカ発の金融危機のもとで明らかになっています。GDP、いわゆる国民総生産が日本の場合は年率換算で12.7%下がったと。アメリカが3.8%でヨーロッパは5.7%だったと。私、ここに日本経済の重大なゆがみが示されていると思いますが、重大なことは、岩手の経済が、鉱工業生産で見ますと、全国平均、東北平均よりも大きく落ち込んでいるのが岩手です。私は、日本経済がゆがんでいる中で、岩手の経済はもっとゆがんでいるということになるのではないのか。この間の県の政策方向とのかかわりで、これをどういうふうに受けとめているか、まず第1にお聞きしたい。
〇木村政策推進課総括課長 日本の経済、それから本県経済の状況ということでございます。
 我が国の経済状況につきましては、今、委員がお話しされたとおり、内閣府から公表されました2月の月例経済報告において、景気は急速な悪化が続いており厳しい状況にあるというふうに5カ月連続で下方修正されるような状況になっております。
 また、本県経済につきましても、鉱工業生産指数が10カ月連続で前年を下回って、雇用情勢もITバブル不況時に匹敵するような状況にございますなど、技術関連企業が多くを占める製造業を中心に非常に厳しさが増しているというふうに認識しております。
〇斉藤信委員 それで終わりか。答えになっていないじゃないですか。もう少し、じゃ、正確に聞きますよ。
 日本経済が何でアメリカ、ヨーロッパよりこんなに落ち込んだのか。日本経済のゆがみをどういうふうに見ていますか。
 もう一つは、その全国平均よりも、もっと正確に言いますか、12月の鉱工業生産は岩手は前年比28.2%減少なんです。全国が20.8%、東北が21.5%ですよ。日本経済が異常に落ち込んでいる中で、岩手の経済はさらに落ち込んでいるということを私は指摘をした。その要因は何なのかと。今までの県が進めてきた政策方向に問題があったんじゃないかと言っているんですよ、私は。
〇木村政策推進課総括課長 まず、日本の経済状況が非常に落ち込んでいるその要因ということでございますが、先ほど委員も御指摘になりました日本のGDPが年率で12.7%というその内訳を見ますと、やはり輸出の部分の減少が一番大きいというふうに数字で出ております。それから次は、民間設備投資の伸びも非常に落ちていると。特に輸出の伸びが非常に落ちている、ここが一番大きい理由でGDPが落ちているというふうに考えております。
 それから、本県の状況でございますが、本県もやっぱりGDP、県内総生産に占める製造業の割合というのが2割ぐらいを占めているということで一番大きいという中で、今まで製造業を中心に本県のGDPというのは伸びてきているというような状況もあったわけですが、今回のこういう世界経済の危機の影響を受けて、本県の製造業、各企業においてもそういう影響が端的にあらわれてきたのではないかというふうに考えております。
〇斉藤信委員 一つは、外需依存、輸出頼みの日本経済になったと。二つ目には、内需を犠牲にしてきた。端的なのは雇用の規制緩和ですよ。非正規労働者を急速にふやして、国民の収入、所得は減ってしまった。社会保障の改悪もそうですが。三つ目には、金融資本主義なんですよ。アメリカ型資本主義を日本に導入したためにアメリカの影響を一層強く受けてしまったという。
 私は、それで問題は、岩手がもっとそれ以上に深刻になったということを深刻に受けとめなきゃだめだということなんですよ。自動車産業、半導体を推進したのはいいが、いびつにしてしまった。日本経済以上に外需頼みになったのではないですか。その結果、非正規労働者が県内でも急速にふえて、県民所得は上がらなかったと。私は今、経済危機の中で、こういう状況を岩手県は冷静に見て、これからの産業政策とか政策展開に生かしていかなかったら、長期計画なんかつくる意味ないですよ、ここの反省をしなかったら。
 もう一つ私、お聞きしたいのは、知事が知事演述でこう言ったんですね。昨年策定したいわて希望創造プランは、今、日本や世界が取り組もうとしている経済社会の危機の克服を先取りしたものだと。私はびっくりしたんですね。どこにそんな根拠があるんですか。岩手の経済が全国以上に深刻な影響を受けているときに、いわて希望創造プランが何の先取りなんですか。その根拠はどこにありますか。
〇菊池総合政策部長 いわて希望創造プランは、いわゆるITバブル不況、これによりまして平成13年の県民所得というのが前年と比べて7%以上も減少したという大きな影響を受けたということが前提となっております。その後も県民の経済が回復しないということで、県民の多くが仕事や生活の面、いろいろな面で危機に直面していたということで、それを克服していくということで策定したものがいわて希望創造プランでございます。
 現在の世界的な経済の減速への対処というのは日本はもとより世界的な課題となっているわけでございますけれども、こういった深刻な経済危機を克服するということを考えますと、そのための戦略や施策をあらかじめ検討してプランとしてつくったということからして、今、世界とかが取り組もうとしている経済社会の危機を先取りしたと、そういう意味で知事が述べられているというふうに理解しております。
〇斉藤信委員 全然根拠ないですよ、あなた。私は具体的事実を示して、全国以上に岩手の経済が今の景気悪化の中で打撃を受けているのではないかと指摘したんですよ。それは、全国以上に輸出頼み、外需頼みのそういう産業政策を進めてきたからじゃないですか。そして非正規雇用をふやして、所得もふえなかったと。それを進めているのが希望創造プランじゃないですか。何が先取りですか。
 実態は、全国の影響より大きい影響を受けているんですよ、今、岩手は。あなたが言っている先取りの中身がどこにも示されていないじゃないですか。具体的に先取りという、これだけ格好よくしゃべったんだから中身をはっきり示してくださいよ。実態はそうなっていないんですよ。
〇菊池総合政策部長 岩手も地方も同じようなことが言えるかと思いますけれども、ITバブル不況ということでかなりの打撃をこうむった、そういう経験をしております。ですから、そうした危機を既にもう経験していると。それに対してどのように対処していくかということをプランの中でさまざま盛り込んでいるところでございます。
 そういった意味で、日本も世界も今の状況に対応してどういったことしていくかということをいろいろ議論しているところでございますけれども、県においては、こうしたプランの中で、経験した危機に対する方策をいろいろ検討していたということでの先取りという趣旨と理解しております。
〇斉藤信委員 ITバブルの打撃を受けました。アルプス電気もアイワも撤退しましたよ。輸出頼みの産業だったんですよ。今、自動車も半導体も同じ打撃を受けているんじゃないですか。あなたは経験を生かしていると言うけれども、生かして同じ影響を受けているのではないですか、今。
 私は、もう少しバランスをとった産業政策なり、また、そういう自動車や半導体の中でやっぱり、じゃ、労働者の状況はよくなったのかというとよくならなかったんですよ。内部留保は莫大に企業はふやした。しかし、非正規という労働者をふやしただけだったというのがこの間の教訓じゃないですか。まともな回答が出ていないので、私は、知事演述の本当に底の浅さというのが示されたと思いますよ。
 最後、これで終わります。
 県の広報について、2月8日付の岩手日報に知事のメッセージ、意見広告が出ました。私、これを見てびっくりした。というのは、この中に、これは2月8日付ですよ。県立病院等の新しい経営計画もこうした考え方に基づいて今後のあり方を具体的にお示しするものですと。案の段階で計画と書いているんですよ、案の段階で。何なんですか、これは。私は、本当にこういう広報の仕方はないと思いますよ。これは全く事実誤認で、決まっていないものを決まったように広報するというのは、私は間違いじゃなかったかと思いますが、いかがですか。
〇齋藤広聴広報課総括課長 新聞の意見広告についてでございますけれども、この掲載内容につきましては保健福祉部において原稿を作成したところでございまして、保健福祉部に確認いたしましたところ、この案がついていないことについては、計画そのものの内容を説明しているものではなく、計画の意義、この計画というものはこういう意義があるということをお伝えしようとしたものであることから案をつけなかったものであると聞いているところでございます。
〇斉藤信委員 部長、今の答弁聞きましたか。計画案でけんけんごうごう県民的な議論が起きていたときですよ。そのときにあたかも決まったようにこういうふうに広報するというのは全くとんでもない話じゃないですか。今の答弁、何ですか。部長、そんなことで通用するんですか、これ。案のものが計画というふうに岩手日報を通じてやられる。チェック機能も何もなかったんですか。私は読んでびっくりした、本当に。けんけんごうごう議論されて、地域からのいろいろな声が出ていたときですよ。私はこれは本当にアンフェアな間違った広報だと思いますが、部長、どうですか。
〇菊池総合政策部長 先ほど広聴広報課総括課長から答弁申し上げましたように、保健福祉部で原稿作成したものでございます。したがいまして、先ほどのような保健福祉部からはそういう話を聞いているということをお伝えしたところでございますので、まず、保健福祉部の考え方を御確認いただければというふうに思います。
〇斉藤信委員 とんでもないよ。広報広聴課でここの金を使ってやっているんでしょう。ここの金を使ってやっているんでしょう。保健福祉部で確認してほしいなんてばかな話はないでしょう。そういうチェック機能もないんですか。
 部長、案の段階で計画というふうに書いて県民に広報することは間違いじゃないですか。あなた、判断できないんですか。広聴広報のあなたは責任者でしょう、最終的な、この部の。ここのお金を使った、保健福祉部は原稿を書いたかもしれないが、あなたがチェックしなきゃだめでしょうが。そのことを私は聞いているんですよ。とんでもない、保健福祉部に聞いてくれなんて、そんな無責任な話じゃない。県民の税金を使ってやっているんですよ。違いますか。
〇菊池総合政策部長 広報事業につきましては、当方が窓口となってさまざまな県内広報、県外広報をやっておりますけれども、やはりそれぞれの専門分野がございますので、専門分野がそれぞれの立場で広報をする。それを全体としての統括的な予算を持ったり、あるいはそうした全体の月ごとの調整とか、そういったものは当方でやりますけれども、個別の広報の内容の文章の中までうちのほうで全部チェックして全部調整していくというところはなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 御理解いただきたいって、これは知事の名前で出ているんですよ、知事の名前でね。広聴広報はここの予算でしょう。そういうチェック体制はない。チェック体制はないということだね、今の答弁は。ここの予算を使って広聴広報をやっていて、あなた方、じゃ、いわてグラフでも何でも、それは原稿をつくったところの責任なんですか。ここに責任があるんだと、最後のチェックは。間違っていたらここで正すと。部長、そうじゃないんですか。原稿を書いたところに責任があるんですか。違うんじゃないですか、金を出すところじゃないですか、最後は。これ、知事の名前ですよ。どこに責任があるかはっきりしていただきたい。
〇齋藤広聴広報課総括課長 広聴広報で出しておりますいろいろ広報媒体がございますけれども、例えばいわてグラフ等もございますけれども、通常でありますと、県の広報でございますので、その内容につきましては県の方針、こういったものを載せたいというような方針を決めまして、そして外部に委託して業務を制作してもらっておりますので、そことの企画をいろいろ検討すると。そして、その企画、その話し合いの中でこういうふうな形にしようということで決定をいたしまして、そしてその委託先のほうで取材を、各部に行ったり現地に行ったりしていろいろ取材いたしまして原稿作成し……(「県庁内の話だぞ」と呼ぶ者あり)、そして担当部と、それから広聴広報課で校正を重ねまして、そして最終的に校了という形でございます。担当部、それから広聴広報課双方で校正を重ねましてつくり上げるというものでございます。
 ただ、今回のこの新聞広報の内容につきましては、この県民の命を守るといういわゆる医療の関係のものにつきましては、保健福祉部で一字一句しっかりと作成、そして確認いたしまして、これでもって作成していただきたいということでいただいたものでございます。
 そして、保健福祉部で申し上げているのは、ここの関係部分を読み上げますけれども、県立病院等の新しい経営計画もこうした考え方に基づいて各県立病院等の今後のあり方を具体的にお示しするものですということで、案とかそういうものじゃなくて、この計画はこういう意味のあるものですということをお示ししたかったという趣旨でこういう文章にしたということが説明されているところでございます。(「脈絡はつながった」と呼ぶ者あり)
〇斉藤信委員 この新しい経営計画案は、案として県民に提起されてけんけんごうごうの議論と運動が起きているさなかなんですよ。(「脈絡はつながっている」と呼ぶ者あり)
 私、最後に聞きたいんだけれども、部長、チェックする責任があったのかなかったのか。保健福祉部任せでよかったのかどうか、ここを答えてください。
 チェックする責任がないというのだったらあなた方に責任はない。私は、金を出すところだからあると思うけれどもね。チェックする責任があるんだったら、あなた方のミスだ。そこをはっきり答えてくださいよ。(「岩手日報に金払うな」と呼ぶ者あり)
〇齋藤広聴広報課総括課長 先ほど申し上げましたとおり、通常でありますと双方で確認をいたしまして最終的にきちっとつくっておるところでございますが、これにつきましては、この問題につきまして保健福祉部のほうでしっかりと作成、確認をしたということでございまして、この文章表現につきましてもこれで正しいというふうなことで保健福祉部のほうでもこれで確認していただいたというものでございます。
〇斉藤信委員 いいですか、案というふうに県民に示して、県民から意見を求めているときに、計画というふうに一方的に知事が宣伝するということは正しいことですか。
 部長、最後に聞く。県民には案と出しているんですよ。意見を求めているんですよ。そして、2月10日に私たちが受けたのは最終案です。決まったのは2月19日です。それだけ丁寧にやっているんでしょう、期日が短いと大問題になっているけれども。そういうさなかに、こういう本当に思慮深さを欠いたやり方は私は、間違ったと思っておりますよ。部長も同じですか、間違いないんですか。
〇菊池総合政策部長 ただいま総括課長から答弁申し上げましたように、案をつけていないということについては、計画そのものの内容を説明するということではなくて、計画の意義をお伝えするという趣旨で出したものというふうに聞いております。(「了解」と呼ぶ者あり)
〇関根敏伸委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 質疑がないようでありますので、これで総合政策部関係の質疑を終わります。
 総合政策部の皆さんは御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
 午後6時35分 散 会

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