平成21年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成21年3月9日(月)
1開会  午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    大 矢 正 昭
  議事調査課長   浅 田 和 夫
  議事担当課長   保 原 良 和
  主任主査    菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主査    鈴 木 文 彦
  主査    菊 池 芳 彦
  主査    齋 藤 貴 弘
  主査    藤 原 由喜江
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  総合政策部長   菊 池 秀 一
  総合政策部副部長
  兼首席政策監   中 村 一 郎
  政策調査監    大 平   尚
  政策推進課
  総括課長    木 村 卓 也
  政策担当課長   八 矢   拓
  経営評価課
  総括課長     八重樫 幸 治

  地域振興部長   藤 尾 善 一
  地域振興部副部長
  兼地域企画室長  千 田   永
  地域振興支援室長 鈴 木 健 夫
  市町村課総括課長 浦 上 哲 朗

  総務部長     川 窪 俊 広
  総務部副部長
  兼総務室長    菊 池 俊 夫
  参事兼予算調製課
  総括課長    高 橋   信
  人事課総括課長  高 橋 嘉 行
  税務課総括課長  佐 藤 文 男
〇大矢議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
 出席委員中、菊池勲委員が年長の委員でありますので、御紹介を申し上げます。
 菊池勲委員、どうぞ委員長席に御着席願います。
   〔年長委員菊池勲君委員長席に着く〕
〇菊池勲年長委員 ただいま御紹介いただきました菊池勲であります。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に関根敏伸君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました関根敏伸君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました関根敏伸君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました関根敏伸君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 関根敏伸委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔予算特別委員長関根敏伸君委員長席に着く〕
〇関根敏伸委員長 ただいま予算特別委員長に選任いただきました関根敏伸でございます。皆様方の御推挙をいただきまして、大変光栄に存じているところでございます。
 大変微力ではございますが、委員の皆様方の御指導をいただきまして職責を全うしてまいりたいと考えておりますので、皆様方の御協力をよろしくお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に平沼健君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました平沼健君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました平沼健君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました平沼健君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 平沼副委員長、ごあいさつをお願い申し上げます。
〇平沼健副委員長 ただいま副委員長に選任をいただきまして、まことにありがとうございます。
 委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。(拍手)
〇関根敏伸委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案33件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から13日まで及び16日から19日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとの質疑を行うこととし、議案33件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、19日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査については、世話人会の申し合わせに基づき、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお、本日の企画理事の出席につきましては、体調不良のため欠席したい旨の届け出が提出されておりますので、御了解をお願い申し上げます。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第22号まで、議案第26号、議案第27号、議案第31号から議案第35号まで、議案第37号、議案第39号、議案第40号及び議案第74号の以上33件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇川窪総務部長 それでは、平成21年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明を申し上げます。
 この予算の編成に当たりましては、厳しい財政状況のもと、戦略的な政策形成を支援する新しい政策評価と連携し、成果を重視した選択と集中による事業の重点化を図り、効果的な財源の活用を図っております。
 また、現下の経済社会情勢を踏まえ、雇用の維持・創出、地域経済の活性化などへの早急な対応や、2度の震災被害の早期克服のための復旧・復興への取り組みなどにつきましても、迅速かつ的確に対応できるように注力し、あわせて切れ目ない予算とするための取り組みを行ったところでございます。
 それでは、順次、資料に従いまして御説明申し上げたいと存じます。
 お手元の議案その1の冊子の1ページをお願いいたします。議案第1号平成21年度岩手県一般会計予算でございます。第1条は、歳入歳出の総額を6、588億3、728万円余と定めるものでありますが、これは、前年度当初予算に比べ0.1%の増となるもので、対前年度当初予算比がプラスに転じたのは8年ぶりでございます。
 次の第2条は債務負担行為の限度額等を、また、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものでございます。
 続きまして、歳入について御説明申し上げたいと存じます。ここからは、便宜、予算に関する説明書のほうを御参照いただきたいと思います。平成21年度と書いてある予算に関する説明書、分厚い冊子になりますけれども、この平成21年度の予算に関する説明書の1ページからお願い申し上げたいと存じます。
 1ページは一般会計歳入歳出予算事項別明細書という資料でございますが、1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入までの部分でございまして、その総額は2、426億6、924万円余でありまして、前年度当初予算と比べて4.9%の減となっております。これは、平成20年度におきまして、国の2次補正により交付されましたふるさと雇用再生特別交付金や地域活性化・生活対策臨時交付金などの国からの交付金により造成いたします各種基金などからの繰入金でありますとか、諸収入などにおきましては増がございます一方で、県税につきまして、景気の急激な減速による法人二税、軽油引取税を初めとした大幅な減収が見込まれることによりまして、対前年度当初予算比で県税の部分の19.2%の減となっていることが大きな理由となっているものでございます。
 また、逆に依存財源のほうでございますが、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債、以上のものを依存財源と整理してございますが、その総額は4、161億6、803万円余でございまして、前年度当初予算対比で3.2%の増となっております。これは、主に、国の地方財政対策により、臨時財政対策債の大幅な増額が行われたことによるものでございまして、それによりまして県債が対前年度当初予算比で25.1%の増となっておりますほか、税制改正に伴って創設されました地方法人特別譲与税による新たな収入が見込まれるという形での地方譲与税の増によるものでございます。
 この結果といたしまして、歳入に占める自主財源の割合は36.8%となっておりまして、前年度当初予算の38.8%から2.0ポイントの低下となっております。逆に、依存財源の割合は63.2%となったものでございます。
 次に、これら歳入の内容につきまして御説明申し上げたいと存じます。同じ資料の4ページをお願いいたします。
 まず、1款県税1項県民税は373億9、500万円でございまして、前年度当初予算対比10.9%の減となっております。これは、1目の個人県民税が23億700万円の減となっていることなどによるものでございます。
 次の2項事業税は163億円でございまして、47.4%の大幅な減となっておりますが、これは、製造業を中心とした企業収益の大きな落ち込みが予想されることなどによるものでございます。
 次に、6ページの3項地方消費税でございますが、地方財政計画等をもとに112億3、600万円、5.9%の増を見込んだところでございます。
 4項不動産取得税は22億4、500万円で、26.9%の減となっております。
 次に、8ページに参りまして、5項県たばこ税でございますが、24億400万円で6.8%の減、次の6項ゴルフ場利用税は3億4、200万円で、2.3%の減となっております。
 次の10ページでございますが、7項自動車税は185億円で、3.8%の減を見込んでおります。
 8項の鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、800万円を計上したものでございます。
 次に、12ページに参りまして、9項自動車取得税でございますが、税制改正による減収などを見込み、21億2、900万円で39.8%の減となっております。
 次の10項軽油引取税でございますが、これは、景気後退による物流の減少等を見込み、140億8、500万円でございまして、17.8%の減となっております。
 次に、14ページに参りまして、11項狩猟税でございますが、これは、狩猟者登録見込み数により4、700万円を見込んでおります。
 12項の産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案し、5、900万円を見込んでおります。
 次の16ページでございますが、13項は旧法による税でございます。これは、特別地方消費税の滞納繰越分に当たるものであります。
 以上、県税の合計額は1、047億6、100万円でございまして、前年度当初予算額に比べ248億6、100万円、19.2%の減となっているものでございます。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金でございます。これは229億5、800万円で、9.1%の減となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税の1項地方道路譲与税は38億1、900万円、2項の石油ガス譲与税は2億8、100万円、次の20ページに参りまして、3項航空機燃料譲与税は1、200万円をそれぞれ見込んだものでございます。
 それから、4項の地方法人特別譲与税は、平成20年度の税制改正により創設された仕組みでございまして、新たに80億3、100万円の収入を見込んでいるところでございます。
 次に、22ページに参りまして、4款地方特例交付金1項地方特例交付金は、児童手当特例交付金及び住宅借入金等特別税額控除による減収補てんのための特別交付金でございまして、合わせて8億9、000万円と見込んだものでございます。
 2項特別交付金は、恒久的減税による減収を補てんする制度であった減税補てん特例交付金が、平成18年度をもって廃止されたことに伴い経過措置として設けられたものでございまして、3億4、148万円余を見込んだものでございます。
 次に、24ページに参りまして、5款地方交付税は2、109億2、789万円余でございまして、前年度当初予算比8.3%の減で計上しているところでございます。
 次に、25ページの6款交通安全対策特別交付金は5億9、092万円余と見込んでおります。
 次に、26ページの7款分担金及び負担金でございます。この1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものでございまして、次の27ページから28ページまでの2項負担金につきましては、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金等を計上しているものでございます。
 次の29ページに参りまして、8款使用料及び手数料でございますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、1目総務使用料では、いわて県民情報交流センター使用料、また、次の30ページから31ページにかけての5目農林水産業使用料の中では漁港施設使用料、31ページの7目土木使用料の中では道路及び河川の占用料、県営住宅の使用料などがございます。また、次の32ページから33ページにかけましての9目教育使用料の中には、高等学校の授業料などが入ってございます。これら使用料の総額は、33ページの最下段になりますけれども、61億7、907万円余となっておりまして、前年度に比べ3.4%の減となっているところでございます。
 次に、34ページの2項手数料でございます。その主なものは、3目衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、また、37ページにございます7目土木手数料の中では、建設業者許可や建築確認に係る手数料などがございます。また、8目の警察手数料の中には運転免許更新等に係る手数料などがございます。これら手数料の合計額でございますが、これは38ページになりますが、25億401万円余でございまして、前年度比11.8%の増と見込んでおります。
 次に、39ページの9款国庫支出金でございます。1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、2目民生費負担金では、その7節の児童保護委託18億6、127万円余、また、10節の生活保護27億7、104万円余、40ページに行きまして、5目の土木費負担金の中では基幹河川改修事業、砂防事業などの負担金がございます。また、41ページの6目教育費負担金におきましては、義務教育人件費に係るものなどが入っております。また、7目の災害復旧費負担金では、4節の河川等災害復旧事業などがその主なものとなっているところでございます。これら国から交付されます国庫負担金の総額は、そのページの計欄ということになりますけれども、330億3、626万円余でございまして、前年度比で1.3%の減となっております。
 次に、42ページは2項国庫補助金でございます。この総額は、52ページまでお進みをいただきまして、総額がございますが、466億7、269万円余となっておりまして、対前年比4.0%の増となっております。これは、公共事業の増などによるものでございます。
 次に、53ページをお願いいたします。第3項の委託金でございます。この国からの委託金に関しましては、1目総務費委託金が衆議院議員選挙費などにより増となっております。委託金の総額は、55ページに記載しておりますが、23億8、127万円余でございまして、109.7%の増となっているところでございます。
 次に、56ページをお願いいたします。10款財産収入でございますが、この1項財産運用収入は4億8、658万円余を見込んでおりまして、57ページから58ページにかけましての2項財産売払収入は、県有未利用地の売り払いなど6億4、674万円余を計上しているものでございます。
 次に、59ページの11款寄附金につきましては、環境保全協力金など2、100万円を見込んでいるものでございます。
 次に、60ページの12款繰入金でございます。1項特別会計繰入金は、電気事業会計からの借り入れを行うことなどにより15億6、911万円余となっております。
 61ページに行きまして、2項基金繰入金は、財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金の主要3基金のほか、ふるさと雇用再生特別基金などのいわゆる特定目的基金の資金の活用などによりまして150億5、952万円余を計上しているものでございます。
 なお、平成21年度末の主要3基金の残高見込みにつきましては、このページには記載しておりませんで、口頭で申し上げますと、財政調整基金は88億4、700万円、県債管理基金は28億200万円、公共施設等整備基金は28億7、500万円、主要3基金合計の残高として、平成21年度末は、1年後でございますが、145億2、400万円と見込んでいるところでございます。
 次に、62ページに参りまして、13款繰越金でございます。これは整理科目でございます。
 次の63ページの14款諸収入でございますが、1項延滞金、加算金及び過料等は2億6、099万円余を計上しており、また、64ページに参りまして、2項預金利子につきましては、金利動向等から5、277万円余を見込んでいるところでございます。
 次に、65ページの3項公営企業貸付金元利収入でございますが、これは104億7、000万円となっておりまして、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものでございます。
 また、66ページの4項貸付金元利収入につきましては、総務や農林水産業、次の67ページの商工関係など、各行政部門における貸付金に係る元利収入でございまして、その合計額は、67ページに記載しておりますとおり、606億4、653万円余となっているところでございます。
 次の68ページをお願いいたしまして、5項受託事業収入でございますが、これの総額は、69ページに記載されておりますように、16億440万円余となっております。
 次に、70ページの6項収益事業収入は、宝くじ収入36億円余を計上しております。
 次の71ページの7項利子割精算金収入は、595万円余を見込んでおります。
 次の72ページに参りまして、8項雑入の総額は、75ページまで進ませていただきまして、総額が56億1、316円余と見込んでいるものでございます。
 次に、76ページをお願いいたしまして、15款県債でございますが、その総額は、78ページに記載してございますけれども、1、091億8、450万円でございまして、前年度に比較し、218億9、500万円、25.1%の増となっているところでございます。この結果といたしまして、県債残高見込みに関してでございますが、これにつきましては、同じ冊子の290ページに記載がございますので、ごらんいただければと存じますが、現在高の見込みに関する調書という資料がございます。この資料の前年度末現在高見込額のところでございますけれども、平成20年度末の当該年度末現在高見込額のところが、先ほどの県債の関係で、結果として平成21年度末になるとどうなるかという数字でございますが、これが、291ページの計欄をごらんいただくことになりますけれども、まず、平成20年度末の見込額のほうが1兆4、168億5、800万円余、そして、その1年後の平成21年度末の見込みにつきましては、同じくその計欄の一番右の数字ということになりますけれども、1兆4、481億8、700万円余と見込んでいるものでございます。
 なお、291ページの計欄のさらに下に県債管理基金積立金及び当該基金積立金分を整理した実質的な県債の現在高見込額をお示しをさせていただいておりますので、あわせてごらんいただきたいと存じます。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。
 次に、歳出についてでございます。歳出の主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から詳細に御説明申し上げることといたしております。
 款別歳出につきましては、その関係で説明を省略させていただきまして、私からは、性質別の主なものにつきまして御説明申し上げたいと存じます。
 次に、冊子が変わりまして、お手元の予算に関する資料という冊子をお願いできればと存じます。ちょっと薄目の冊子でございまして、横置きで、表紙に平成21年度予算に関する資料と書いている冊子でございます。この冊子の3ページをごらんいただきたいと存じます。平成21年度の一般会計の予算案を歳出の性質別に整理した性質別内訳表でございます。この性質別内訳表の中のまず人件費でございますが、表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきますと、2.8%の減となっているものであります。これは、職員数の縮減など総人件費の抑制に努めたことに伴うものであります。次に、太文字の2番物件費という欄がございますが、これは、衆議院議員選挙及び最高裁裁判官国民審査執行費などにより8.2%の増となっておりまして、また、次の3番維持補修費という太文字の欄がございますが、この維持補修費につきましては、土木施設の維持補修費の増などによりまして12.0%の増となっているところでございます。次の4ページの一番上の欄、扶助費につきましては4.5%の減となっているところでございます。また、5番補助費等は2.5%の増となっておりますが、これは、介護給付費、訓練給付費の増などによるものでございます。次に、6番普通建設事業費でございます。こちらは、公共事業の増がございますが、一方で、高等学校等の再編に伴う学校建設事業が一段落したということによる減額などがございまして、総額で3.8%の減となってものでございます。次に、5ページに行きまして、一番上の行、7番災害復旧事業費につきましては、昨年の地震被災の早期復旧を図るための災害復旧事業費などによりまして、2.5%の増となっております。それから、8番公債費につきましては2.1%の減となっているものでございます。次に、9番積立金でありますが、これは10.2%の減、その次の10番出資金は、地方公営企業等金融機構への出資金が昨年あったものがなくなったということなどがございまして、30.1%の減となっているものでございます。次に、11番貸付金でございますけれども、これは中小企業向け制度融資の貸付原資預託の増などによりまして11.3%の増となっております。次の12番繰出金につきましては、ほぼ前年並みでございます。13番予備費も前年同額であります。
 以上で歳出に関する性質別の概要の御説明とさせていただきたいと思います。
 以上、歳入歳出を通じました岩手県一般会計の平成21年度予算の概要の説明とさせていただきたいと存じます。
 なお、特別会計につきましては、それぞれ所管部局におきまして御説明を申し上げることとしてございますので、私からの総括説明におきましては特別会計は省略させていただきたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくお願い申し上げます。
〇関根敏伸委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、民主・県民会議が69分、次に、自由民主クラブが45分、次に、政和・社民クラブが33分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属及川あつし委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも午後3時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。千葉康一郎委員。
   〔千葉康一郎委員質問者席に着く〕
〇千葉康一郎委員 民主・県民会議の千葉康一郎でございます。
 平成21年度当初予算につきまして、会派を代表して質問させていただきます。
 なお、私の持ち時間69分のうち、後半の20分程度は、我が同僚議員であります高橋昌造委員からの質問とさせていただきますので、あわせてよろしくお願い申し上げます。
 さて、本県は、突然の世界不況の荒波にもまれ、雇用不安を初め地域経済の急激な減速などさまざまな危機が県民生活に降りかかってきております。また、我が県土は、昨年の2度の地震災害に見舞われ、多くの県民の生活基盤がまさに揺るがされ、いまだ復旧・復興の途上にあります。加えて、県民がひとしく切望していた平泉世界遺産登録が延期となるなど、県民にとって非常に厳しい状況が続いている中、知事は、県民を勇気づけ、前へと進んでいくよう、近年にない積極予算を編成したことを初め、地域医療など県民生活の諸問題に真っ正面から向き合い、一刻も早い解決に向けて努力されておられますことに、まずもって感謝をいたします。
 それでは、質問に入りますが、まず最初に、混迷する日本政治・行政の状況について伺います。
 現在、我が国は未曾有の危機にあります。アメリカに始まった金融恐慌は瞬く間に世界同時不況に陥れてしまいました。派遣社員の雇いどめはそのとどまるところを知らず、雇用問題は最大の社会問題と化しております。安心して生活すること自体が危機にさらされております。
 政治においては、医療現場の混乱、未解決の年金問題と、これまた安心して暮らせるためのセーフティネットががたがたになってきております。このセーフティネットが機能しなくなってきておるという状況でございます。その原因についていろいろな意見があると思いますが、その一つとして、私は、戦後の経済的な繁栄をリードしてきた官僚機構が限界に達したためではないかと思います。戦後60年を経過し、世界にも例のない復興を遂げた我が国の発展の源は、いろいろな要素はあると思いますが、その中でも、先進国の中では類を見ない50年にもわたる長期保守政権を支えた官僚機構の果たした役割は大きかったのではないかと思います。その優秀と言われた官僚機構が、いつしか国家的な課題を解決する能力を失ったのではないでしょうか。年金問題、後期高齢者医療制度、医師不足の問題、年金の徴収率の向上とか、医師がふえれば医療費が増大するとか、目の前の問題に引きずられて、どれをとっても、国家、国民の安全・安心を保障する役目を果たしていない状況にあります。
 さらには、それが社会保険庁の責任なのか、旧厚生省なのか、はたまた旧大蔵省なのか、だれの責任なのかはっきりできないありさまであり、いつしか、個々の官僚のみならず官僚機構そのものに対しても、本当に国家・国民のことを考えているのかとの疑問が国民の間に広まってきたのだと思います。
 そこで、知事に伺いますが、知事は官僚出身でもあり、言いづらい面もあるとは思いますが、知事の目から見て、昨今のこのような国民生活と乖離した政策の立案や執行の実態、政策力の脆弱化は一体どの辺に原因があると思われますか、まずはその御認識を伺います。
〇達増知事 日本社会が成熟して、国民生活や行政ニーズが多様化、高度化する現在にありましては、暮らしや仕事の現場を十分に踏まえた政策立案というものが本来求められていると思いますけれども、中央官庁は、暮らしや仕事の現場の急速な変化をとらえて、きめ細かな対応をするということにそもそも向いていない中で、一方では地方分権というものがきちんと進んでいない。また、暮らしや仕事の現場の声が、政治主導によって地方から国レベルへの政策形成に反映されていくような形ができていなければならないわけですけれども、こうしたことも十分に進んでいない。そうしたことから、政策が国民生活と乖離したと評価されるような結果になっているのではないかと考えております。
〇千葉康一郎委員 そこで、次に、知事のリーダーシップについてでありますけれども、官僚機構の問題が、中央官庁のみならず地方自治体においても発生するようなことがあってはなりません。県組織において、県民からの信頼と期待を裏切ることなく、また、県勢発展のためどうあるべきか、どうすべきかを常に考え、迅速かつ適正に行動する組織体質を今後も一層強化していってもらいたいものであります。
 知事は、就任以来、常に県民の側に立って、県民に降りかかるさまざまな危機を希望に変えると、日夜御尽力いただいているところでありますが、危機を希望に変えることは、それを県民が実感できるものでなければなりません。そして、希望の実感には、時を移さずが肝要であります。
 そこで、今後より一層スピーディーに県政運営を進めていく上で、県組織を統括していくリーダーシップのあり方について知事の御所見を伺います。
〇達増知事 社会経済情勢が急激に変化する時代にありましては、これまで以上にスピード感を持って、その時々にベストな判断を行うことが求められていると思います。そのためには、常に現状を正確に把握するための情報を収集するとともに、時代の潮流を的確にとらえ、県全体の視点に立って、県民にとって何がよりよい選択か、県民のために何をすべきか、それを考えることが重要であります。
 また、こうした考え方を県の全職員が共有しまして、職員一人一人が知事と同じ意識を持ち、行政運営に当たることが組織力の向上にもつながりますので、職員との対話などを通じて知事の思いを伝えるとともに、職員ともども知恵を出し合いながら、県として高い総合力を発揮できる組織づくりを進めていくことがリーダーの務めと考えております。
〇千葉康一郎委員 わかりました。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、不適切な事務処理問題についてであります。
 昨年、県政を揺るがした大きな問題として、国庫補助事業などに係る不適切な事務処理問題があります。県が実施した調査によりますと、まさに全庁的に長年行われていたことが判明しました。当然ながら極めて遺憾であり、県政への信頼は地に落ちたとの思いを抱いた県民が多いものと思います。
 知事は、平成21年度予算を称して逆風立ち向かい予算と言っておりますが、県民と力を合わせてこの難局を乗り越えていこうとしている中で、県が差し出す支援や協働の手を、県民は本当に信頼して握ることができるのでしょうか。一刻も早い信頼回復が必要であります。それは、事後の再発防止策については言うまでもなく、当然に徹底されることでありますので、遺漏のないよう望みますが、実は、最も大事なことは、現下の厳しい社会情勢の中にあって、早期に県民が安心して希望を持って暮らしていける県土にするということであります。困っている県民に親身になって対応する職員、経済活性化や地域活性化のために奔走し、早急に、かつ、確実に事業成果を上げる職員の働きが大事です。県民に信頼され喜ばれる県職員、粉骨砕身の働きを県民は県職員に求めているのではないでしょうか。
 私が危惧するのは、大量の職員が処分を受けることになると思いますが、それにより必要以上に萎縮し、チェック作業を初めとする内部管理だけに懸命になり、肝心の県民の生活を守るための働きや県勢発展のための取り組みに影響が出ないかということであります。
 そこで、全職員を指揮指導する知事として、今回の問題を踏まえての決意について改めてお伺いします。
〇達増知事 職員の処分につきましては、管理監督責任も含めまして、個々の職員の不適切な事務処理とのかかわり方に応じて公正な処分内容になりますように、事実関係の正確な把握などを行いました上で、今年度中に対応を終える方針であります。県としては、この処分とあわせて、不適切な事務処理が2度と発生しないように再発防止策の徹底を図っているところであります。
 職員のやる気やモチベーションについては、県の予算は、県民や国民の税金を財源としていることをしっかり胸に刻みながら、誤りのない事務処理を徹底するとともに、税金を使わせていただく仕事であればこそ、県民の皆様に対して、どれだけ充実したサービスを提供できるかということが重要であり、職員一人一人がこのような考え方に立ってそれぞれの業務に積極的に取り組むよう、知事も先頭に立って努力をしていく考えであります。
〇千葉康一郎委員 どうぞ、誤りのない事務処理をこれからもお願いしたいと思います。
 次に、平成21年度当初予算編成についてお伺いします。
 平成21年度当初予算編成に関してですが、まさに世界経済の嵐の真っただ中、我が国、そして本県にも否応なしに逆風が吹き荒れ、地方財政も大幅な税収減が見込まれるなど、これまでにない厳しい財政状況下にあって、知事はあえて前年度当初比プラスとなる積極予算を編成された英断に深く敬意を表するものであります。
 雇用の維持・創出、地域経済の活性化に向けた対策はもとより、震災に見舞われた地域の早急な復旧、復興を初め、保健・福祉・医療など地域住民の生活を守るためにいろいろと目配りをされた予算編成であると思います。逆風に立ち向かい、県民一人一人が真に希望を手にすることができるよう、その戦略マニュアルであるいわて希望創造プランを着実に推進していくことの明確なメッセージは、きっと県民を勇気づけていると思います。この予算編成方針などについては、これまでの代表質問及び一般質問でるる議論されておりますので、私からは主にゼロ予算事業についてお伺いしたいと思います。
 その第1点目は、平成21年度における主なゼロ予算事業についてでありますが、このゼロ予算事業は、厳しい財政事情の中で、金がないから何もできないとあきらめるのではなく、金がないなら知恵を出そう、汗をかこうという発想で、平成20年度から明確に事業として位置づけ、職員のアイデアや技術、知識、人的ネットワークなどを活用して、行政サービスの向上などを図ろうと全庁的に取り組んでいるものと聞いておりまして、大変すばらしい取り組みであると評価しております。
 去る2月17日付の岩手日報紙によれば、本県では平成21年度において34のゼロ予算事業が予定されており、予算事業とあわせて取り組むことで、いわて希望創造プランに掲げる第1点目の県民所得の向上、それから雇用環境の改善、三つ目は人口流出への歯どめ、四つ目の地域医療の確保を効果的に進めるねらいがあるとのことであります。
 そこで伺いますが、平成21年度のゼロ予算事業としてどのようなものがあるのか、主な事業の内容とねらいをお示しいただきたい。
〇菊池総合政策部長 ゼロ予算事業は、予算事業としての特段の組み立てを行わずに、職員のマンパワー、あるいは県の施設などといったものを有効に活用することによりまして、行政サービスの向上を図る取り組みを総称したものでございまして、平成21年度におきましては34の取り組みが現時点では予定されております。
 主な取り組みといたしましては、人的資源の活用の例では、地場産品などを県職員が率先して購入する買うなら岩手のもの運動、平泉の文化遺産の普及啓発を図るための職員による平泉授業、県有施設の有効活用の例といたしましては、障がい者施設製作の食品等を県公所内で販売するワイドむーぶカフェ事業、ITの活用、情報発信の例といたしましては、地域づくりのノウハウを持った方々を各地へ派遣する地域支援希望ファンド、それから、官民協働の例といたしましては、地場のパンメーカーや生産者等と連携し、商品開発や販売促進の人的支援を行ういわて地産地消ベーカリー販売事業などがございまして、これらのさまざまな創意工夫を凝らした取り組みを通じまして、予算事業と相まって、より効果的な政策展開につながるものと考えております。
〇千葉康一郎委員 私は、この事業に入るかと思うんですけれども、MOW MOWプロジェクトというのがありますが、非常にユニークで、部局横断により戦略的に取り組むプロジェクトであろうと思います。聞くところによりますと、これは知事が、昨年末、奥州市前沢区の牛の博物館を視察された際、発案され、その後、検討が始まったとのことでありますが、ことしのえと、うしにちなんで、岩手を元気づけようとする非常におもしろい企画であろうと思います。
 そこで、このプロジェクトに取り組もうとされた知事の思いにつきましてお聞かせ願います。
〇達増知事 MOW MOWプロジェクトについてでありますが、世界的な金融危機に伴う日本経済の悪化が県内の経済、雇用にも多大な影響を及ぼしている、こうした時期だからこそ、元気が出るような、元気を出していくような、そういう取り組みが重要と考えております。
 岩手県は全国有数の畜産県であり、また、酪農製品も有名であります。そして、牛にかかわる資源や文化も数多くあり、また、高村光太郎も岩手の人という詩の中で岩手の人、沈深牛の如しというふうに述べていまして、牛こそ岩手の象徴の一つと感じております。
 私が、そういえば平成21年はうし年だねということを職員との対話の中で話しまして、職員がいろんな知恵を絞ったり、出したりしまして、そして、うし年であることしを、うし年は岩手の年ということで、逆境をはね返して一歩一歩着実に前進する取り組みを戦略的に展開して、その姿を全国に発信し、岩手はもとより日本全体が元気になってもらいたいという願いを込めて、このMOW MOWプロジェクトを実施することとしたものであります。
〇千葉康一郎委員 本当に岩手を元気づけるような、そういう内容に充実していってもらいたいと思います。このプロジェクトは、ブランド化、環境、観光・文化をキーワードにすると先ほど言われましたが、その三つの戦略で構成されているわけですが、それぞれの戦略ごとにどのような事業展開を考えているのでしょうか。ことしの目玉となる取り組みもあわせてお示し願います。また、1月19日の記者発表以来、これまでにどのような反響がありましたでしょうか、例があれば、あわせて御紹介願います。
〇宮舘副知事 MOW MOWプロジェクトの戦略についてでありますが、このプロジェクトは県が主体となり取り組むほか、趣旨に賛同いただいた団体や企業等とも連携して取り組むこととしております。具体的には、第1に、いわて牛やいわて短角和牛など本県を代表する牛にかかわる新商品の開発や、本県独自のプレミアム短角牛の販売促進などによるブランド価値の向上、第2に、プラントメーカーと連携いたしまして、本県の豊富な堆肥を活用した堆肥ペレットの製造と利用促進などによる環境に優しい岩手の発信、そして第3に、牛に関連いたします観光資源や歴史、文化に触れる新たな旅行商品の企画開発などによる岩手の魅力の情報発信などに取り組んでいるところであります。
 このプロジェクトに対する反響でありますが、1月の発表後、食品メーカーから新商品開発の提案があったほか、旅行代理店からのツアー企画の提案やイベントの共同開催の申し出などが相次いでおりまして、今後とも、さまざまな機会をとらえて、民間とも連携を図りながら、牛をキーワードに、元気な岩手、頑張る岩手をアピールしてまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 今お聞きしますと、業者の方々から開発あるいはイベント、そういうものがあるわけでして、大いにこれを活用して、岩手県の産品なり、あるいは文化なりをどんどん広めていってもらいたいと思います。
 ちょっと変わりますが、次に、活力あるコミュニティの育成についてお聞きしたいと思います。
 元気なコミュニティ100選もゼロ予算事業として始められたと聞いておりますけれども、東磐井地方においては、これにより地域そして住民が本当に元気になり、誇りを持って地域活動を展開しております。この周囲の地域団体にとってもよい目標となり、活発な活動が始まるなど、地域活性化の好循環が生み出されております。県内各地でさまざまな動きが生まれていることと思いますけれども、平成21年度において活力あるコミュニティをどのように育成し、どう発展させていこうとしているのか、お伺いします。
〇藤尾地域振興部長 活力あるコミュニティの育成、発展についてでありますが、いわて希望創造プランに基づきまして、県では、これまで集落の実態調査や草の根コミュニティ大学による地域コミュニティのリーダー育成に取り組むとともに、御案内のゼロ予算事業として元気なコミュニティ100選、それから、先ほど総合政策部長の答弁にもございましたが、地域支援希望ファンド人材版といったものによる他事例紹介などに取り組んできているところであります。
 こうした中、集落状況調査等におきましては、特に後継者の育成や先進事例の紹介などの支援策が多く要望されましたことから、平成21年度は、市町村の集落支援員等を対象とした研修会の開催、それから、元気なコミュニティ100選の事例集を作成いたしまして、県内各地域のコミュニティ活動の参考としてPRを強化するとともに、元気なコミュニティ100選団体のネットワーク形成を進めまして、団体相互の連携交流による一層の活性化を図りたいと思っております。
 さらには地域支援希望ファンド人材版、これは既に30人ほどのアドバイザー登録をいただいておりますけれども、これの市町村と連携した積極的な活用を図ってまいりたいと思っております。そういったことによって地域コミュニティの活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 今、県庁の地下でも、売店のそばでさまざまな県産品などの展示あるいは即売、いろいろ紹介等々されているわけですけれども、私は見まして、非常にいいなと思っております。もっともっとやっぱり県民に知ってもらいたいと。買ってもらうことはもちろんのことですが、本当に改めて岩手にはこういうものがあったのか、つくれるのかというふうな、非常にすばらしいものがあると思っておりまして、郷土岩手を誇りに思う機会の一つを、私は見ました。全国に向けて、より一層、情報発信をしていただきたいと思うところであります。
 そこで、ゼロ事業となりますかどうか、この際ひとつ、私は提案したいと思いますが、東北経済の中心地である仙台に在住しております本県ゆかりの産業人数人を、岩手の応援団といいますか応援隊といいますか、在仙いわてサポーターとして委嘱しまして、その方々から、仙台はもとより、広く県外に向けての観光、物産、イベント等の情報を初めとする、岩手の産業、文化の情報発信を支援していただくとともに、各サポーターが常日ごろ見聞きし、有望と思われる企業の情報を初め、産業経済動向等に関する情報などの提供をしてもらったり、政策提言などに協力してもらうという、ネットワークづくりを行ってみたらどうかと思っております。この提案の具体的内容は、追って関係部局に提供したいと思いますので、その際は十分に御検討いただきたいと思っております。
 次に、雇用対策について伺います。
 まず、今般の雇用対策の内容についてであります。
 本県の雇用情勢を見ますと、昨年12月の有効求人倍率は0.46倍、年が明けて1月には0.41倍となるなど、雇用環境の悪化は、とどまるところを知らずがごとく進行している状況にあります。
 今回の雇用危機の特徴は、一つには、悪化の速度が急激であること、二つ目は、これまで製造業の現場を支えてきた、いわゆる派遣労働者を初めとする非正規労働者の方々が大量に職を失ったことであります。また、職を求める中には、若年者を中心とするフリーターや母子家庭の母親など、なかなか容易には就職先を確保しかねる方々もおります。
 そこで、まず、今回の雇用危機において、本県における特徴的な状況、課題として、どのようなものがあるかお示し願います。また、そのような課題解決のために、どのような視点で、考え方で、雇用対策事業を展開しようとしているのか。短期的な対策とともに、中長期的な対策があると思いますが、それぞれ具体的にどのような事業が盛り込まれているのでしょうか、御説明願います。
〇宮舘副知事 厚生労働省の調査によりますと、本県におきましては、ことし3月までに3、555人の非正規労働者が雇いどめに遭うとされておりまして、これは、全国の2.3%を占める数字でございます。このため、県では、急速に増大する雇いどめ等に対応いたしまして、離職者の生活支援や企業に対する雇用維持の対策を進めるとともに、緊急に雇用の機会を確保することが必要であると考えまして、国の雇用対策を待つことなく、12月に緊急雇用対策本部を設置いたしまして、県や市町村による臨時職員の雇用などの取り組みを初め、県民の暮らしと雇用を守る諸施策を実施しているところでございます。
 また、中長期的には、正規雇用の拡大が重要であると考えておりますので、ふるさと雇用再生特別基金の活用やものづくり産業の基盤強化、地域の特性、資源を生かした産業振興や就業支援等によりまして、正規雇用に結びつく安定的な雇用の創出に努めてまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 それでは、2点目に職業能力開発についてお伺いします。
 雇用の場を奪われることになりました非正規労働者の多くは、職業能力開発の機会にも恵まれず、結果、専門的な技術、技能を有していないために、再就職先がなかなか見つからないと聞いております。離職者が大変困っている今の状況において、職業能力開発を促進し個人の労働者の資質を高めることは、離職者等の雇用機会の拡大につながるものと見込まれます。
 そこで伺いますが、平成21年度において、離職者等に対する能力開発についてどのように取り組もうとしているのか、お示し願います。
〇宮舘副知事 県におきましては、これまでもさまざまな求職者を対象といたしまして、種々の職業能力開発を実施してまいりましたが、平成21年度におきましては、離転職者を対象としたものといたしまして、これまでの営業実務や生産実務等の3カ月訓練コースに加え、今後一層の成長が見込まれますIT分野や、雇用需要が高まっております介護分野のウエートを高めるとともに、定員につきましても、今年度の約10倍に当たります1、000人規模に拡大いたしまして、求人ニーズに合わせて、3カ月から24カ月の訓練を実施してまいりたいと考えております。
 また、若年者等を対象としたものとして、座学と企業実習を併用した訓練、いわゆる日本版デュアルシステム訓練や母子家庭の母親等を対象とした訓練、再就職を希望する女性を対象とした訓練につきましても、介護サービスやOAビジネス等、合わせて定員200人規模で実施することとしております。
 今後とも、厳しい雇用情勢が続くものと予測されますことから、求人ニーズを十分に踏まえ、求職者に対する職業能力開発を一層充実させ、離職者等の早期再就職を強力に支援してまいる考えであります。
〇千葉康一郎委員 今お答えの中に介護サービスの向上がありましたけれども、では、介護福祉関係者の職業能力開発について伺いたいと思います。
 高齢者の進展によりまして、今後需要が高まってくると見込まれながらも、その人材確保が困難であると言われているのが介護福祉の分野であります。厚生労働省によりますと、介護現場において、今後、介護福祉士の育成を進めるとの方針でありますけれども、このような人材育成を通じながら、雇用関係の改善を図ることも肝要と考えます。
 そこで伺いますが、介護福祉関係者の能力開発についてどのように取り組もうとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 本県の介護福祉士を含む福祉職全体の労働需給の状況を見ますと、平成20年4月から12月までの有効求人数が1万2、460人に対しまして、有効求職者数は9、525人となっておりまして、およそ2、900人の人材不足という状況でございます。また、平成21年度から23年度までの第4期介護保険事業支援計画における特別養護老人ホーム等の整備により、新たに400人程度の介護職員等の需要が見込まれるところであります。
 このため、県では、平成21年度の離職者等再就職訓練におきまして、今後需要が見込まれる介護福祉士については2年課程の訓練コースを設け、100人程度を養成することとしているほか、1級ホームヘルパーを養成する6カ月の訓練コースや2級ホームヘルパーを養成する3カ月の訓練コースを設けまして、不足する介護福祉人材の確保の観点と合わせ、雇いどめ等による離職者の再就職支援に取り組んでまいります。
〇千葉康一郎委員 これをやはり強力に進めていただきたいということを申し上げたいと思います。
 それでは、一方、障がい者の関係でございますけれども、本県の障がい者法定雇用率達成企業の割合というのは、平成20年6月1日現在で48.7%と、極めて低い状況にあります。さらに、昨今の雇用情勢の厳しさは、障がい者の雇用にも大きな影響があるのではないかと危惧しておるところでございます。職を失ったりなかなか就職できない障がい者がふえてくるようでは問題であります。
 そこで、まず、障がい者の雇用を促進するためには、当然ながら雇用の場の確保が必要となりますが、そのために、県では、事業主に対して普及啓発などどのような取り組みを行っているのか、お示し願います。
〇宮舘副知事 県は、これまで、障がい者雇用の優良事例の紹介や企業等への雇用要請活動、普及啓発セミナーの開催、就業支援員の企業訪問によります雇用助成金の周知などにより、企業への意識啓発を行ってまいりました。国は、本年2月、障がい者を初めて雇用する事業主に対する奨励金支給制度を創設するとともに、平成22年7月から、法定雇用率未達成企業から納付金を徴収する障害者雇用納付金制度の適用対象の範囲を、従来の雇用労働者数301人以上から201人以上の事業主に拡大することとしております。
 今後、県といたしましては、これまでの取り組みに加えまして、新たな制度の周知を図るため、新たに納付金制度の対象となる企業を中心とする企業訪問を積極的に行いまして、障がい者雇用が促進されるよう、普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 納付金制度を201人以上に拡大するということでありますけれども、障がい者の就業支援対策について、今もお話もありましたが、障がい者の方々が安心して継続的に働くためには、よりきめ細かな支援が必要になると考えますが、今後、県はどのような就業支援を講じていくのか、お示し願います。
〇宮舘副知事 県では、岩手県障がい者プランに基づきまして、障がい者を就業面と生活面から一体的に支援する障害者就業・生活支援センター等を、平成23年度までに、県内九つの障がい保健福祉圏域すべてに設置することとしておりまして、来年度は1カ所増設し、県内8カ所となるものでございます。
 この障害者就業・生活支援センターでは、障がい者の就職に向けて、職場実習先の開拓やあっせんなどの支援を行うとともに、働いている障がい者が働き続けられるように、定期的な職場訪問などによりまして、職場定着に向けた支援を行っております。また、障がい者が地元で職業訓練を受けられるよう、社会福祉法人や企業に委託して訓練を実施しておりまして、平成20年度は40人の訓練を委託し、就職に結びつくことができるように取り組んでいるところであります。
 平成21年度におきましては、さらに訓練の機会を拡大することとしておりまして、これらの取り組みを通じて、就職を希望する障がい者をしっかりと支援してまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 先ほども申し上げましたけれども、法定雇用率達成企業が50%にも満たないという状況であるわけでございますが、当然ながら、雇用の場の確保が必要でございます。ひとつ、県では、そういうことを含めながら障がい者の雇用を守っていただきますように、よろしくお願いをしたいと思います。
 では、次に、岩手県立病院等の新しい経営計画についてお伺いをしたいと思います。
 医療局は、去る2月19日に、平成21年度から25年度までの5カ年の岩手県立病院等の新しい経営計画、これを決定しまして、この4月から実施しようとしております。県立病院は、一つは、医師不足が危機的状況になっていること、二つ目は、患者数の減少や診療報酬のマイナス改定の影響などに伴って、経営収支が一段と悪化してきているということなどで、取り巻く経営環境が厳しい─厳しいというよりも、むしろ極めて厳しいという状況でございますが、このままの状態が続けば、本県の医療供給体制の崩壊を招きかねない、本当に大変な状況になっていると私も認識をいたしております。
 今回の新しい経営計画は、二次医療圏を基本とした役割分担のもと、それぞれの病院等を適切な機能や規模により運営するために、本年4月から地域医療センターの無床診療所への移行も計画しているものであります。そこでお伺いしますが、この計画に対しては、無床診療所へ移行する地域の方々から、無床診療所化の撤回あるいは猶予期間を置くべきとの多くの意見が寄せられているとともに、連日、議会でもさまざま議論されてきている状況の中にありまして、また、地域の実情も十分におわかりになっている知事は、非常につらい御判断、苦渋の決断をされていると思いますが、この計画を凍結することなく断行しようと決意されている最大の理由、これをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 新しい経営計画を4月から実施することについてでありますが、県立病院の平成21年度当初の常勤医師数の見込みでは、現状よりさらに常勤医師が少ない状態で診療体制を組まなければなりません。地域の病院では、例えば、千厩病院では2名の内科医が退職し6名体制になり、対平成15年度比で60%の減少となります。また、山田病院初め常勤医が2人になる病院が一気に3病院になります。平成20年度には常勤医2人の病院というのはございませんでしたので、医療崩壊が進行しつつある現実を直視する必要がある状況であります。
 そして、こうした地域病院を支えていくためには、中央病院や基幹病院、あるいは他の地域病院からの診療応援をさらにふやす必要がございますけれども、中央病院でも基幹病院でも医師数が減少しておりまして、地域の病院を支えながら、地域診療センター、診療所に対して、当直等の診療応援を行うことは極めて難しい状況であります。
 県立病院全体の診療体制を現状維持で運営するということは困難な状況にありまして、4月から地域診療センターの病床を休止することとしたものであり、御理解を願いたいと思います。
 計画では、一たん病床は休止といたしますけれども、地域の皆様の意向を踏まえ、民間の医療、福祉関係者や、あるいは市町村が病床を活用する道を残しているところでございまして、今後も地域との話し合いを続けていきたいと考えておりますので、何とぞ御理解いただきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 今回の無床化を見送った場合の影響についてでございますけれども、仮に無床診療所化の撤回や実施時期の延長を行った場合には、これまでの議会でも説明があったとおり、県立病院の運営には医師確保の困難性を初め、経営面の問題などさまざまな問題が発生してくるものと思います。
 そこで、今回の無床化を見送った場合、新しい計画の今後5カ年間に、基幹病院の縮小とか、あるいはその他の県立病院の無床診療所化をその方向へ拡大するような、そういうことにつながるようなことにならないのかということが大変心配なわけなんですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
〇達増知事 無床化を見送った場合の今後の影響についてでありますが、今回の計画は、現場医師が参画する検討委員会や全病院長会議の意見を踏まえて策定したものであります。無床化を見送った場合には、医師に失望感を与え、医師の勤務意欲の低下や、退職者の増加などが予想されるところであります。勤務環境の改善が進まない状況では、関係大学からの医師派遣や医師の招聘活動にも影響を与えて、県立病院全体の診療体制にも影響が広がることが考えられます。
 また、医師の不足により臨床研修医の指導体制が低下して、臨床研修の希望者が減少するということも懸念され、そうした場合には、将来の医師確保への不安が高まることとなります。また、医師数の減少は、さらなる患者数の減少につながります。また、中部病院等で予定している7対1看護体制に必要な看護師の確保ができなくなり、入院基本料の増収分、約1億5、000万円が見込めなくなり、収支改善にも大きく影響するものであります。そして、今申し上げましたような、こうした影響が続いていきますと、本来、二次保健医療圏単位で完結すべき高度・専門医療や二次救急医療の提供体制が崩れて、二次保健医療圏を越えた基幹病院間での機能分担と連携を行う必要が生じてくると考えられます。既に産婦人科の拠点化、循環器科の常勤医の不在による長距離の救急搬送といった二次保健医療圏が機能しなくなってくる事態が起きておりまして、こうした事態が他のさまざまな診療科でも起こることが懸念されます。こうしたことが進んでいきますと、県立病院のみならず、県全体の医療提供体制の崩壊にもつながりかねないと考えております。
 そのような状況にならないように、二次保健医療圏ごとに、地域全体として必要な医療を提供していく体制の中で無床診療所へ移行することとしたものでありまして、この計画を実施することによって、二次保健医療圏ごとに、地域全体として必要な医療を提供していく体制をできる限り維持していくよう、努めていきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 基幹病院の縮小とか、あるいはその他県立病院を無床診療所化するようなことにならないよう、新計画をしっかりと推進していただきたいと思います。
 そこで、今後の取り組みについてでありますけれども、今回の計画では、私の地元、千厩病院は、先ほどもお答えの中にございましたが、医師2名が退職いたします。それから、ベッドは190床あるわけですけれども、うち40床が休床となります。千厩病院では、毎年、地域医療懇談会を病院主催で開催していますが、院長先生や各診療科長あるいは看護師長さんなど、関係者が地域住民と懇談して直接意見交換をしております。5年前にも、前回の計画策定に当たって大変な議論が交わされましたが、その後の計画実施後ぱったりと議論が途絶え、医師不足だけがクローズアップされてきたように感じます。医師の勤務実態なり病院経営の状況などについては、私は率直に言って県民は知らされておらず、したがって、地域住民にとって、今回のように、唐突という形で受けとめられたり困惑するのも当然であると思います。
 また、医療局職員のいわゆる背広組の話よりも、現場の白衣組のお医者さんたちが説明したほうが、住民には理解されやすかったのではないかとも感じており、これは大きな反省点であると思います。指摘しておきたいと思います。その点、千厩病院長は、地域の方々にきっちりと現状を説明し、また、住民の方々に十分満足できる体制でなかったことなど、謝罪を含め理解を得る努力をしております。
 そこで、今後、新しい経営計画を推進し、地域住民が安心して医療を受けられる環境を守っていくためには、前回の5年前の計画の議論及び今回の議論の反省に立って、地域住民との普段からの情報共有、意見交換などをしっかりと行っていく努力をすべきではないかと思いますが、今後どのように対応しようとしているんでしょうか、知事のお考えをお伺いします。
〇達増知事 これまで、二次保健医療圏ごとに県立病院運営協議会の開催などを行ってきたところでありますが、委員御指摘のとおり、市町村や地域の方々に対する県立病院の現状などの情報提供が不十分だったのではないかと考えております。現在、例えば遠野における医師確保への取り組みのほか、宮古では、市と医師会による宮古病院への当直応援、釜石と千厩では、病院を地域でサポートする活動などが始まっております。
 地域の皆様の理解を得ながら協働で病院運営を行うためには、市町村初め地元関係者の理解と協力は不可欠であります。そこで、県立病院の現状や課題などについて、情報を共有していく取り組みが重要と認識しておりまして、今後、リーフレットや市町村の広報を通じた情報提供の強化に加えまして、市町村連絡協議会、地域診療センター等懇談会、各病院ごとの地域懇談会などにより、市町村や地域の方々との情報共有や意見交換を進めていきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 どうぞ、この反省に立って、しっかりと住民との懇談、意見交換等、理解を求める活動をこれからも続けていってもらいたいと思います。
 実はある先生のお話ですけれども、医師の確保─確保という表現が非常に何か違和感を感じると。というのは、パンダでさえ招聘という言葉を使っていますので、医師を確保ではなくて、医師招聘がいいのではないかという話も私は耳にしておりますし、それから、ある識者の話によりますと、今回の病院の新しい経営計画ということに名称がなっていますけれども、やっぱり受ける印象といいますか、それは経営面ばかり重視されて経営効率化がすべてのような、そういう印象を受けるということなんですね。したがって、新しい計画、これを医療充実計画とかそういう表現のほうがいいのではないかと、そういうタイトルがいいのではないかということを言う識者もありますので、ひとつ申し上げておきたいと思います。
 それでは大きく変わりまして、次は農林水産業施策の予算編成のあり方と重点化した取り組みについて伺いたいと思います。
 近年、農林水産業者の高齢化や担い手不足の進行、国際的な競争の激化などによる農林水産物価格の低下、さらには飼料、肥料価格の高騰などによって、農林水産業を取り巻く環境はまさに厳しい状況になっております。
 その一方で、昨年末から急激な雇用情勢の悪化などから、雇用の受け皿としての農林水産業の期待が高まってきているところであります。農林水産業とともに、本県経済を支えるものづくり産業などの多くの企業が逆風を受け、生産の維持とともに雇用の維持すら困難を抱える今日、農林水産業の振興を図ることが岩手の希望につながるものと考えますが、平成21年度当初予算において、農林水産関係事業はどのような考え方で予算編成をされたのか、その基本的な考え方と重点化した取り組みについてお伺いいたします。
〇達増知事 委員御指摘のとおり、本県の農林水産業を取り巻く情勢は、生産物価格の低迷等により厳しい状況にございます。一方、食の安全・安心に対する消費者ニーズが高まるなど、本県農林水産業への追い風も吹いてきているところであります。加えて、現在、雇用情勢が急速に悪化する中で、本県農林水産業が地域経済を支える産業として、また、雇用の受け皿となる産業として県民の期待が高まってきております。こうした情勢変化を、本県農林水産業が直面する危機を希望に変えるための契機ととらえまして、いわて希望創造プランに基づく施策と、喫緊の課題である雇用対策を重点的に推進していく必要があると考えております。
 こうした考え方のもとに、来年度予算におきましては、農林水産業をリードする経営体の育成、生産性、市場性の高い産地づくり、そして消費者、実儒者ニーズに対応した販路の拡大を図るための施策、そして農林水産業や食品産業等の関連産業の雇用を促進するための農林水産業の6次産業化、そして農商工連携による新たな地域ビジネスの展開、こうしたことを支援する施策を重点的に実施することとしたところであります。
〇千葉康一郎委員 それでは、集落営農についてちょっとお伺いしたいと思います。
 まず1点目は、岩手型集落営農の推進状況についてでありますが、これまで何度となく岩手型集落営農という言葉を耳にしておりますけれども、集落営農の岩手型とはどのような方式なのか、私はどうもよく理解できないでいるのが正直なところでございます。
 その辺を含めてお聞きしますが、平成19年度から実施されている水田営農所得安定対策、これを契機としまして、県内に多くの集落営農組織が設立されました。本年度までに設立された組織はどれだけあるのでしょうか。岩手型集落営農の意味するところ、平成20年度までの組織数についてお示し願いたいと思います。
〇宮舘副知事 岩手型の集落営農の推進状況についてでありますが、国では、集落営農を集落を単位とした企業的な性格を有する組織経営体としてとらえておりまして、その育成を目指しておりますが、本県の場合、結いの精神のもと、家族経営を基本としつつ、将来的には組織経営体へ発展する取り組みも含めました地域ぐるみで行う営農活動として、より広い概念でとらえているところであります。
 具体的な特徴といたしましては、集落での話し合いを基本として、集落で目指す農業の目標と実現手法を集落ビジョンとして策定いたしまして、土地利用型農業の担い手の経営基盤を強化するとともに、小規模、兼業農家につきましては、経営志向に応じて、園芸、畜産や農産加工等の導入を図り、また、畜産が盛んな地域におきましては耕種と畜産の連携を強化するなど、基幹となる担い手と小規模、兼業農家が共存する集落営農を考えております。また、平成20年度までに、水田経営所得安定対策に加入した集落営農の組織数は、409組織となっております。
〇千葉康一郎委員 集落営農組織の育成についてでありますけれども、これらの組織の中には、組織としての体制が十分とは言えないところもあるやに聞いておりますが、それら組織に対して、今後、何らかの対策を講じなければ、経営は停滞し組織の維持も難しくなっていくのではないかと懸念されます。県としては、水田経営所得安定対策に加入した集落営農組織の育成に向けて、平成21年度においてはどのような取り組みを計画しているでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 集落営農組織の育成についてでございますが、本年1月の集落営農組織の実態調査結果によりますと、本県の集落営農組織は、経営発展の初期段階にとどまっているものが約6割を占めております。また、今後、経営の高度化に向けて、農作業の合理化や経営管理手法の習得などが課題となっているところであります。このため、県といたしましては、国の担い手アクションサポート事業などを活用しながら、普及センターが市町村やJAと連携いたしまして、三つございますが、一つは、構成員が個別に農作業を行っている組織に対しましては、農業機械の整理合理化に向けた合意形成手法の指導や農作業の受委託、農地の利用調整を促進するとともに、二つ目といたしましては、機械を所有し、担い手への農地集積が進んでいる組織に対しましては、農作業の効率化により生じる労働力を活用いたしまして、新規作目の導入支援を行うこととしているところであります。また、三つ目といたしましては、既に法人化された組織に対しましては、専門家の派遣による経営診断の実施や、所得向上に向けた流通、加工分野への進出を促進することとしているところであります。
 このように、集落営農組織の発展段階に応じまして、きめ細やかな支援により、経営基盤の強化を促進してまいる考えであります。
〇千葉康一郎委員 どうぞ、普及センターあるいはJAとの連携を強めていただきまして、組織の育成に努めていただきたいと思います。
 それでは、今度は、水田最大活用推進緊急対策、いわゆる水田フル活用推進の件ですけれども、国においては、いわゆる水田フル活用推進交付金なる制度を創設して、平成20年度第2次補正予算を計上したようですけれども、この制度は地域農業経営にとってどのような効果をもたらすものなのか。制度の趣旨、事業内容及び交付金の額について、まずはお示し願いたいと思います。
〇宮舘副知事 まず、制度の趣旨でありますが、国際的な穀物需給の迫等が懸念される中で、食料自給力の強化を図るため、優れた生産基盤である水田が最大限に活用されるよう、生産者を支援するものであります。
 また、事業内容ですが、20年産の生産調整実施者が、21年産におきましても生産調整の実施を約束した場合に、20年産の主食用水稲作付面積に応じて交付金を交付するものでありまして、その交付金の額は、10アール当たり3、000円となっております。
〇千葉康一郎委員 最大活用、フル活用でございますけれども、県の取り組みについてお伺いしたいんですが、この制度は、いわゆる単年度事業で平成20年度限りということでありますけれども、平成21年度をこれまでの減反政策から水田フル活用への、国では転換元年ということを言っているようですが、果たして単年度、平成20年度限りの交付金で十分成果が上がるものなのか、甚だ私は疑問視しているところであります。
 農家の方々から聞くと、いわゆる定額給付金と同じだと。くれるというからもらっておけと、こういう話もあるわけでありますが、この制度について、国から県に対して一体どのような説明なり指導などがあったんでしょうか。県としては、どのようにこれに取り組もうとしているのか、また、平成21年度において、生産調整を計画どおり行わなかった場合は、交付金はどうなるんでしょうか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 国から県への説明、指導などについてでありますが、本年1月に、農林水産省において開催されました説明会において、先ほどお答えいたしました制度の趣旨や事業内容等の説明があったほか、この交付金により、水田の最大限の活用に向けて、調整水田等の不作付地で、自給率の低い麦、大豆や米粉、飼料用米等の生産拡大を推進するように要請があったところであります。
 県といたしましても、本県の水田農業を確立するためには、本県農地の6割を占めております水田を有効に活用し、その生産性を向上していくことが重要な課題であると認識しておりますことから、本年1月に、農業関係団体や県で構成いたします県水田農業改革推進協議会が、県内5会場で市町村や農協等に対しまして説明会を開催し、この交付金を活用して、調整水田等の不作付地で飼料用米等の生産拡大に取り組み、水田の最大限の活用を図るとともに、生産調整目標の確実な達成に向けた取り組みを促進するように指導をしているところであります。
 なお、お尋ねの平成21年度においても、生産調整を実施することを約束したものの、生産調整を計画どおりに行わなかった場合の交付金の取り扱いについてでありますが、実施要綱に基づきまして、その全額を返還することとされているものであります。
〇千葉康一郎委員 大分時間が迫ってまいりましたので、ちょっと質問したいこと、これは具体的に担当課からも聞いてみたいと思いますけれども、大きな農業のあり方、進むべき方向についてお伺いしたいと思います。
 現在、国では、減反、生産調整のあり方が議論され始めております。今回の水田フル活用推進交付金が単なるばらまきと非難されることなく活用することが求められていますが、農業者の所得向上対策や食料供給力を強化する方策など、基幹産業である農業のあり方、進むべき方向をしっかりと定めなければならない状況に来ていると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 本県農業は、食料の安定供給はもとより、地域の経済、社会を支える基幹産業として、また、現在、雇用情勢が悪化している中で、雇用の受け皿となる産業としての期待が高まっているところであります。こうした期待にこたえていくためには、農業者の所得の向上を図り、将来に希望を持って経営にいそしむことのできる農業を確立し、本県の広大な農地の有効活用により、食料供給力の強化を図ることが重要であると考えております。このため、いわて希望創造プランに基づいて、農業所得の向上を図るため、担い手の育成や経営規模の拡大、さらには、新技術の開発・普及などにより生産性の向上を図るとともに、岩手らしさを生かした生産、販売の差別化と、農業の6次産業化や農商工連携などによる農産物の高付加価値化、これらを促進してまいります。
 また、食料供給力の強化を図るために、需要に即した安全・安心で高品質な農産物を安定的に供給できる産地づくりや、本県の豊かな草資源を生かした自給飼料の生産拡大、さらには耕作放棄地の再生利用等に重点的に取り組んで、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立してまいります。
〇千葉康一郎委員 岩手の進むべき方向、ひとつしっかりとよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、国への政策提言等について伺いたいと思いますけれども、国民に食料の安定供給を図るという、いわゆる国民生活に直接かかわる制度の設計と基本的な施策の実行は、国が責任を持って行うということが基本と私は考えます。その一方で、農林水産業は、地域の地理的条件などによって生産の方法もさまざまであり、よって、地域特性に応じて必要とされる対応も異なってくるものであります。しかしながら、現在の国の施策は、こうした地域の実情を捨象した全国一律な基準で定められているものばかりのような気がしてなりません。せっかくの制度が地域になじまないため、活用されずにある例も間々あると思います。現に、私の自治体職員時代にもそういう例がありました。
 当時は、草地造成と大型機械整備について、国庫補助事業の活用をめぐって、県庁内の畜産サイドでの基準と構造改善サイドの基準との食い違いで、大変苦労した経験があります。そのとき、私は、国に直談判をして、何度も何度も説明をしてようやく理解をいただきまして、そして東磐井地方に合った制度を創設していただいたことがございます。
 これは草地造成の造成工法で、山成り工法が修正山成り、崩してやるという工法を国に認めてもらったと。地域に合ったそういう制度をどんどん国に上げていただければと。県北と県南では違います。県北に合った制度をどんどん上げてもらうと、こういうことが大切ではないかと思います。
 県では、地域の抱える問題や課題の解決のために、さまざまな施策を国の制度を活用するなどして実施されていますけれども、国の制度の有効活用を進めるために、地域や本県固有の特性に応じた使い勝手のよい制度設計、運用などを国に対してこれまで以上に積極的に働きかけていく必要があると考えますが、こうした国への制度や政策の提言は活発に行われているんでしょうか。農林水産分野における取り組み状況をお示しいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 農林水産分野における国への提言状況についてでありますが、農林水産業の振興を図るためには、本県の実情を踏まえた施策を積極的に国に提案し、本県の立地条件及び地域特性を反映した施策や、地方の裁量の拡大を実現することが重要であると考えております。このような考え方のもと、県におきましては、農林水産省が主催します政策提案会を初め、北海道・東北知事会や全国知事会、さらには、本県単独での提案などを通じ、積極的に国に働きかけを行っているところであります。本年度におきましても、こうした提案はこれまで14回、延べ108項目に及んでおり、この結果、農業、漁業の肥料費や燃油費の価格上昇分を直接補てんする緊急的な経営対策の創設や、水田経営所得安定対策の加入要件の緩和、さらには、強い農業づくり交付金の事業採択に当たっての評価基準の見直しが行われるなど、本県の実情に即した施策が実現しているところであります。
 今後におきましても、国への政策の提案を積極的に行いまして、本県の1次産業の実態に即した施策の実現に努力してまいる考えであります。
〇千葉康一郎委員 こと農林水産業関係のみならず、やはりこれは各部等々が行う必要があると思います。どうぞひとつ、そういうことにお取り組みをいただければと思います。
 次に、地球温暖化対策についてお聞きいたしますが、まず最初に、県の二酸化炭素排出量の削減策についてであります。
 御案内のとおり、京都議定書において、我が国は温室効果ガスを6%削減することになっており、本県は国より高い目標を掲げ、2010年の─平成22年ですけれども、二酸化炭素排出量8%を削減しようとしております。しかし、県が昨年発表した平成17年─2005年のデータを見ますと、基準年である1990年に比較し6.1%増加しており、目標達成には一層努力が必要ではないかと思われます。
 そこで伺いますが、県では、どのような取り組みによって8%削減を実現しようとしているのか、主な具体策を含め御説明願います。
〇宮舘副知事 本県における二酸化炭素排出量は、家庭や業務、運輸の各部門におきまして高い伸び率を示しており、2010年に8%削減の目標を達成するためには、これらの部門の削減を重点的に進めることが課題であります。このため、県民、事業者がそれぞれの役割を認識し、省エネルギーの推進や新エネルギーの導入に取り組んでいただくよう普及啓発に努め、森林の吸収量も含めて、目標の確実な達成に取り組む必要があると考えております。
 具体的な削減対策といたしましては、まず、家庭部門では、CO2わが家で減らそう1日2kgを行動目標といたしまして、季節に応じた普及啓発活動の推進や、住宅用太陽光発電の導入補助、また、業務部門では、環境対策に積極的に取り組んでおります事業所の認定制度の普及拡大や、省エネ・新エネアドバイザーの派遣、省エネルギーセミナーの実施、それから運輸部門では、エコドライブの普及促進や公共交通機関の利用促進、さらには、クリーンエネルギーフェアによる普及啓発や地域の取り組みを促進いたします地域協議会の設立支援、環境学習広報車を活用いたしました出前講座の実施などに取り組んでいくこととしております。
 また、こうした各部門の取り組みを連携いたしまして広がりを持つことができるように、新たに地球温暖化対策を推進する県民組織を来年度の早い時期に立ち上げまして、県民総参加の取り組みを推進することにしておりまして、目標の確実な達成に向けて積極的に取り組んでまいります。
〇千葉康一郎委員 次に、バイオマス活用促進についてお伺いしますが、まず一つは、木質バイオマスエネルギーの利用拡大についてであります。
 昨年の燃油価格の高騰の際に、化石燃料の代替エネルギーとして注目を集めた木質バイオマスエネルギーは、森林資源を生かした再生可能なエネルギーであり、低炭素社会の実現に一定の役割を果たすものと思います。これまで、本県は、全国に先駆けて、いわて型ペレットストーブの開発を行うなど、木質バイオマスエネルギーの普及に取り組んできていますが、今後、木質バイオマスエネルギーの一層の利用拡大に向け、県はどのような取り組みが有効と考え、どのような推進策を展開していこうとしているのか、これを伺いたいと思います。
〇宮舘副知事 木質バイオマスエネルギーの利用拡大に向けた取り組みについてでありますが、県では、豊富な森林資源を活用いたしまして、二酸化炭素削減による地球温暖化防止への貢献と地域林業の振興を図るため、これまで民間企業等との連携のもと、いわて型ペレットストーブなどの開発や普及に取り組んできた結果、ペレットストーブ、ボイラーなどの導入実績は全国トップレベルとなっております。
 今後、さらなる利用拡大を図るためには、本県の基幹産業であります第1次産業など、幅広い産業分野での活用を促進することが重要であります。このため、平成21年度から、新たに木質バイオマス・コーディネーターの配置や、施設整備への支援などを通じまして、施設園芸等の分野でのリーディングモデルを創出するとともに、間伐材等の林地残材の利用を促進するための未利用木質資源情報提供システムの運用などにより原材料の安定供給に努め、木質バイオマスのエネルギー利用を通じました産業クラスターの形成に取り組んでまいる考えであります。
〇関根敏伸委員長 千葉康一郎委員の質疑の途中でありますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
午後1時4分 再開
〇平沼健副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千葉康一郎委員 それでは、引き続き質問をいたします。
 バーク堆肥の燃料化の推進についてでありますが、先ほど、MOW MOWプロジェクトの中で、堆肥ペレットということで、この推進をするという力強いお答えをいただいたところでありますが、実は、このほど藤沢町と千厩町で事業展開しております安愚楽牧場において、藤沢町の職員と県の職員との協働によりまして、牛舎の敷き材として使用しましたバーク堆肥を燃料化することに成功いたしました。開発された堆肥燃料は、石油と比較すると、カロリーは2分の1、コストは10分の1とのことで、現在、北海道の牛舎の暖房に使用されておりますが、今後は、福祉施設や学校、ホテルなどの暖房や給湯用として期待されているとのことであります。
 このように畜産が盛んで、膨大な家畜排せつ物への対応が求められる本県においては、環境保全型の畜産業を目指すものでありますので、工業と畜産との連携、つまり工畜連携といいますか、これによりまして開発された新たな資源循環システム、新エネルギーは、今後、実用化、汎用化に向け一層開発を支援すべきじゃないかと考えますが、県として、今後、このバーク堆肥の燃料化による環境に優しい畜産業の振興についてどのようにお考えか、伺います。
〇宮舘副知事 バーク堆肥の燃料化の推進についてでありますが、畜産振興を図る上で、家畜排せつ物の適正処理や敷き料の安定確保が課題となっており、特にも大規模経営体におきましては、堆肥の土壌還元に限界があることから、新たな処理システムの確立が求められております。
 委員御指摘の藤沢町の事例は、製材業等から排出される樹皮、いわゆるバークを敷き料として有効活用するとともに、膨大なバーク堆肥を再利用可能な資源に転換する新たな地域内循環システムの構築を目指すものであり、いわて希望創造プランに掲げる、世界に誇れる岩手の環境の実現にも資するものと注目しております。
 このようなことから、県といたしましても、これまで町や地元の関係者と連携いたしまして、地域振興推進費を活用した燃料化実証試験を行うなど、バーク堆肥の燃料化システムの構築を支援してきたところであります。今後の普及拡大を図るためには、燃焼ボイラーの設置コストが石油ボイラーに比べて約10倍と高く、安価な燃焼ボイラーの開発と、地域に定着させるための支援が課題となっておりますことから、本年1月からスタートいたしました、先ほどのMOW MOWプロジェクトの中にこの取り組みを位置づけまして、民間企業による安価な燃焼ボイラーの開発を促進しているところであります。
 今後におきましては、こうした取り組みに加えまして、町や地元の関係者との連携のもと、国の助成事業の活用によりまして地域循環システムの構築を支援し、地域資源を活用した環境に優しい畜産振興に取り組んでまいります。
〇千葉康一郎委員 それでは、今度は定住自立圏構想について伺います。定住自立圏構想への対応と取り組みについてでございます。
 総務省では、昨年12月、定住自立圏構想推進要綱を策定しまして、これまでの広域行政圏計画策定要綱及びふるさと市町村圏推進要綱を今年度末をもって廃止することにいたしました。これによりまして、平成21年4月から、中心市において、圏域全体の暮らしに必要な都市機能を集中的に整備、拡充するという定住自立圏構想が推進されることになったわけでございます。定住自立圏構想は市町村が主体的に進めるものであり、県の役割というのは、助言とかあるいは支援を行うということと承知しておりますけれども、今後、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 市町村の広域行政というものについては、昭和40年代から国が進めた広域市町村圏施策に基づいて県が広域市町村圏を設定して、その推進を図ってきたところでありますが、近年、地方分権改革の進展とともに、市町村合併により、59あった市町村が35となり、県から市町村への権限移譲は平成20年度に延べ1万事務を超えるなど、市町村の自立性は飛躍的に高まってきたところであります。今後は、自立性を高めた市町村が、自立と共生の理念のもと、みずから課題を発見し、これまで積み重ねてきた広域行政の成果を活用しながら、主体的に連携を強化していく必要があると認識しております。
 先般、国が打ち出しました定住自立圏構想は、自立的な市町村相互の機能分担を前提とした広域行政のための手段の一つであると考えておりまして、県としましては、市町村に対して情報提供を行いながら、市町村がみずから主体的に定住自立圏構想を導入していこうとする場合には、必要な助言や県事務との調整を行うなど、市町村の取り組みを支援してまいりたいと思います。
〇千葉康一郎委員 それでは、中心市の法定基準についてお伺いしますが、定住自立圏の中心市は、大規模商業、娯楽機能、中核的な医療機能、各種の生活サービス機能など、行政機能はもとより民間企業などが集積していることが求められ、かつ、人口5万人程度以上、少なくても4万人を超える市で、昼夜間の人口比率が1以上とされております。
 県南広域振興局管内では、この中心市の要件を満たす市が、一関市、奥州市、北上市の3市があります。このような場合、中心市はどのようにして決めるのでしょうか、お伺いします。
〇藤尾地域振興部長 定住自立圏構想における中心市をどのようにして決めるかという、いわゆるその決定方法についてでありますが、中心市は、委員御案内のような要件を満たす市が、まず、周辺市町村との役割分担等の議論を経る、その後、自主的に中心的な役割を担う意思を表明する中心市宣言を行うことによって決定される仕組みとなっております。
 また、定住自立圏の圏域は、最初から設定するのではなくして、中心市宣言をした中心市と周辺市町村による1対1の協定を積み重ねた結果として形成されるものでございます。したがって、例えば県が定める広域振興圏に必ず一つの中心市が置かれなければならないというものではなく、一定の区域に中心市が複数ある、また、圏域の重なりや空白地が生ずることも差し支えないものとされております。
〇千葉康一郎委員 それでは、新たな定住自立圏の設定等に伴うその対応についてでございますが、沿岸地域には、宮古市、釜石市、大船渡市の3市が中心市の要件を満たしますが、県北地域には要件を満たす市はありません。しかしながら、それぞれの市は、商工業、農林水産業、福祉、医療などについて、それぞれの旧広域生活圏ごとに中心的な役割を果たしてきており、旧地方振興局や教育事務所、県立病院などの行政機能、民間機能や中核的な医療機能などは、その圏域ごとに整備されてきました。
 そこで、今後、定住自立圏を推進するに当たって、いずれかの市に寄せるとすれば、住民の日常生活を支援する機能が旧市から失われかねません。
 また、定住自立圏構想の推進に向けた財政措置でありますけれども、特別地方交付税として、中心市には4、000万円程度、周辺市町村には1、000万円程度が交付されると聞いておりますが、沿岸地域や県北地域では、どこの市になるか、すべきなのかとの議論が沸騰してきそうな難しい問題もあるのではないかと思います。県では、これまでは広域生活圏を前提に行政分野では地方振興局の再編などを、医療、福祉では病院などを、また教育では高校再編や教育事務所の再編などを検討してきていると思いますが、今後、中心市が策定する定住自立圏共生ビジョンが県の医療、福祉、教育などの各種計画や施設の配置と異なる場合には、県はどのように整備していくお考えでしょうか。また、定住自立圏共生ビジョンは、中心市と周辺市町村の機能分担が図られたものとならなければ、地域住民の理解も得られないと思いますが、県は、積極的にビジョンの策定に関与していく考えはあるのかどうか、あわせてお伺いします。
〇藤尾地域振興部長 定住自立圏構想の活用につきましては、今後、各市町村において検討が行われるものと考えておるところでございます。定住自立圏を形成した場合におきましては、中心市が定住自立圏共生ビジョンといったようなものを策定することとされておりまして、その内容は、圏域の将来像、あるいは具体的取り組み、そういったようなものが記載されます。このビジョンにつきましては、中心市と周辺市町村の機能分担が重要でありますことから、中心市と周辺市町村は自主的に十分な協議を行うといったようなことが前提となるわけでございますが、この協議の過程におきまして、そのビジョンの内容が既存の県の各分野の計画、あるいは施設の配置に影響を与える場合も考えられるところでございます。したがって、県といたしましては、市町村と情報交換を密にしながら、必要に応じ県関係部局と連携して所要の調整や助言をしてまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 どうぞ、市町村との連携等々を十分行って進めていただきたいと思います。
 それでは、最後になりますけれども、第71回国民体育大会について質問いたします。
 平成28年に開催予定の第71回国民体育大会についてでございますけれども、今議会の一般質問でも岩手国体の開・閉会式会場の選定や、平成21年度当初予算案に改修費が計上されている県営運動公園陸上競技場の整備方針に関してさまざまな議論があったところであります。また、この件に関しては、地元紙にも、国体主会場を盛岡にすべきとか、あるいは北上市の既存の陸上競技場を活用すべきとかの県民の声が寄せられております。特に盛岡広域では、市民団体等の誘致活動が活発化してきているようであります。平成11年に開催された岩手インターハイの開・閉会式会場等の決定に際しては、県内の市町村から県議会に対して請願が出されるなど、綱引きが繰り広げられたと記憶していますが、今回の問題について、避けるべきは地域間の綱引き合戦に多大な労力を費やされること、また、関係者間にしこりが残ることであります。昭和45年国体は、特定の地域に偏ることなく、全県で、夏季、秋季大会合わせて32の競技が実施されたほか、全国から来県した選手の皆さんを心のこもったおもてなしでお迎えし、花いっぱい運動などの県民運動が展開されるなど、まさに県民の総力が本県の有形・無形の財産となり、その後の県勢発展に大きく貢献したものと理解しております。また、本県の厳しい財政状況を考慮すると、第71回国民体育大会開催方針である簡素効率化の観点からも検討する必要があると思います。
 そこで、国体の開・閉会式と各競技の会場選定の基本的な考え方について、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 国体は特定の都市が中心となって開催されるものではなく、開・閉会式については県で担当しますほか、陸上競技、水泳など38の競技は、会場地となる市町村が中心となって運営するものであり、私は、第71回国体は、県下全域で県民運動等が展開され、県民総参加で盛り上がる大会となるよう努めていく考えであります。
 国体運営のあり方については、平成15年3月、日体協が、新しい国民体育大会を求めて国体改革2003を策定しています。これは、開催都道府県において過大な人的、財政的負担が増大していることを是正するために、今後の大会運営のあり方として、簡素効率化という方向性を示したものであります。したがいまして、岩手国体の競技施設については、国体改革の趣旨も踏まえ、県内の既存施設を最大限活用するなど、簡素効率化を最優先すべきものと考えております。
 開・閉会式会場や各競技会場の選定については、こうした観点から、県準備委員会において、各地域がひとしく国体開催のメリットを享受できるような国体となるよう、県営陸上競技場の県の整備方針も踏まえながら、全県的、客観的な観点から、最も適した場所を選定していくものと考えております。
〇千葉康一郎委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございました。これをもって私の質疑を終了し、以後の質疑時間を、我が会派の同僚議員である高橋昌造委員にバトンタッチいたしますので、よろしくお願いいたします。
 皆さん、御清聴ありがとうございました。
〇平沼健副委員長 次に、高橋昌造委員。
   〔高橋昌造委員質問者席に着く〕
〇高橋昌造委員 私は、千葉康一郎委員に引き続きまして、順次質問をさせていただきます。時間もかなり経過しておりますので、単刀直入にお伺いいたしますので、知事初め当局には、簡潔にしてわかりやすい御答弁をお願いいたします。
 まず最初に、新しい長期計画を岩手県民計画として位置づけ、策定することについてお伺いいたします。
 知事は、岩手の未来を描く新しい長期計画を岩手県民計画として位置づけて進められるお考えなわけですが、計画の根幹となる地域力、県民力を今後いかに引き出し、そしてその意識を高め、それぞれの力を結集してこれからの計画を推進していくお考えなのか、まずお伺いします。知事が日ごろお話をされております自立と共生とともに、今後の地域経営の視点に、これまで以上に、県民総参加の取り組みのために県民とともに共有という概念も重要であると思います。
 そこでお伺いしますが、知事は、どのような思いで新しい長期計画であります岩手県民計画を策定されようとしておるのか。そして、知事の思い、知事が思い描いている構想などをお示し願います。
〇達増知事 新しい長期計画につきましては、本県の長期的な将来像を県民の皆様と共有し、その実現に向けてともに努力し、行動していく羅針盤としての性格を有する、そういう意味で岩手県民計画にしたいと考えております。また、岩手のあるべき姿というものは、基本的には、県民一人一人が生き生きと働いて、地域社会の中でともに支え合い、ふるさと岩手で心豊かに安心して暮らしていける喜びを感じるような社会を目指していく方向ではないかと考えております。県民一人一人が希望を持って岩手で暮らしていけるよう、岩手の将来を担う人づくりでありますとか、人と人、人と地域などとのつながりづくりでありますとか、経済的な尺度でははかることのできない豊かさづくりでありますとか、こうしたことを重要な視点として計画の策定を進めていく考えであります。
〇高橋昌造委員 次に、計画策定の進め方と、そして県民等の意見の反映について、どのようにこれから進められるか、お伺いいたします。
 この新しい長期計画は平成21年度内にまとめられるということでございますが、その策定のプロセスをどのようにお考えなのか。また、県民の声、そして県議会の意見などをどのように反映してまいるか、あわせてお伺いいたします。
〇菊池総合政策部長 新しい長期計画につきましては、昨年10月20日に知事から岩手県総合計画審議会に諮問いたしまして、現在、審議会のもとに設置されました部会において、計画の基本的方向についての審議が進められているところでございます。また、県政懇談会を初めとしたさまざまな意見交換の場を設定いたしまして、幅広く県民の皆様から御意見を伺っているところでございます。こうした御意見を取りまとめて審議会での議論に反映させ、本年6月には、審議会から出される中間答申を踏まえて計画の素案を策定し、それに対して、県内各地における地域説明会を含めたパブリックコメント、あるいは議員との意見交換会を実施することとしております。その後、9月に計画案を公表いたしまして、再度、同様の意見聴取や意見交換を行うなどによりまして、議会を初め県民の皆様の御意見を反映させた上で、本年12月中に決定、公表したいと考えております。
〇高橋昌造委員 基本構想の公表時期のお話があったわけですが、もし、現段階でおわかりになるのであれば、基本構想の基本的な骨子だけでも結構でございますが、お示し願えればと思います。
〇菊池総合政策部長 現在、計画の中の部会で中心的に議論しておりますけれども、仕事づくり、生活の関係、学習とか心といったものについて、人づくり、つながりづくりといったような点を部会の設置の目的としております。また、県民一人一人が、その部会ごとの横断的な考え方といたしまして、人づくりということをそれぞれの部会で考える。それから、人と人、人と地域のつながりといったものも部会ごとに横断的に考える。もう一つ、豊かさづくりといったものを横断的に考えるということで、縦横を組み合わせながら、多角的な検討をしていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 次に、岩手県の集中改革プログラムの推進状況についてお伺いします。
 平成19年度からスタートいたしましたいわて希望創造プランを具体的に、そして着実に進めるための岩手県集中改革プログラムが策定されておるわけでございますが、現下の厳しい財政状況の中で、言うまでもなく、徹底的なスクラップ・アンド・ビルドを進め、効果的な施策展開を進めてまいらなければならないと思います。
 そこで、知事はこの2年間の岩手県集中改革プログラムの取り組み状況をどのように評価し、今後どのように推進してまいるのか、お伺いします。
〇達増知事 岩手県集中改革プログラムでは、改革の二つの柱を挙げております。
 まず、県民本位の分権改革でありますが、限られた行財政資源のもと、より質の高い県民サービスを提供していくために、市町村への権限移譲などの市町村の行財政基盤強化の支援、コンビニエンスストアとの協定締結等の民間企業との連携、そして、第2期指定管理者制度の導入といった取り組みを進めております。
 もう一つ、行財政基盤の強化に向けた改革についてでありますが、これは、事務事業の総点検の実施、政策評価手法の見直し、総人件費の抑制を初めとする徹底した歳出の見直し、こうしたことにより政策の選択と集中を徹底したところであります。
 この結果、平成20年度までの2年間におきまして約200億円の経費削減が図られまして、その経費を、いわて希望創造プランに掲げる政策の優先度や緊急性が高い事業に振り向けたところでありまして、行政サービスの向上につなげることができたものと考えており、プログラムはおおむね順調に推移しているものと受けとめております。
〇高橋昌造委員 次に、本県における周産期医療の確保等についてお伺いします。
 まず、岩手型の周産期医療提供体制の整備についてお伺いします。周産期医療の現状を患者の視点からもしっかりと把握し、安心して出産できる環境の整備、特にも院内助産所の活用など助産師の活躍の場を広げていくことが大切であり、地域を越えた支援の仕組みづくりが重要かつ早急に求められているところだと思います。
 そこでお伺いいたしますが、今後、助産師などとの連携を含めた関係の中で、どのように強化し、充実を図っていくお考えでしょうか。また、周産期医療の中で助産師の果たす役割が重要となるわけですが、産婦人科医師及び助産師の連携を含め、今後、助産師の養成と資質の向上をどのように進めていくお考えなのか、あわせてお伺いします。
〇宮舘副知事 助産師などとの連携を含めた周産期医療提供体制についてでありますが、助産師が産婦人科医師と連携いたしまして、県立の三つの病院にいわゆる院内助産所と助産師外来を置きまして正常分娩や妊婦健診を行っているほか、八つの医療機関で助産師外来を設置いたしまして妊婦健診を行っております。産婦人科医師が不足している中で、院内助産所や助産師外来の拡充を図り、地域の周産期医療体制を充実する必要があると考えております。遠野市では、12の医療機関の協力を得まして、モバイルCTG、これは胎児心拍転送システムでございますが、これを活用いたしました遠隔妊婦健診を実施しておりまして、妊婦の通院に伴う負担軽減を図るなど成果を上げているところであり、この取り組みを参考にいたしまして、産科医師と助産師の連携を充実、強化し、他の地域にも拡充してまいりたいと考えております。
 次に、助産師の養成と資質向上についてでありますが、本県の助産師養成施設は、県立大学看護学部と岩手看護短期大学の2校となっておりますが、養成施設を卒業した助産師が県内の医療施設等においてその役割を担っていくためには、卒後の継続した専門性向上への支援が重要であります。これまでも、助産師の資質向上を図るため県単独事業として研修会を実施してきたところであります。今後とも、産科医療確保の観点から、助産師養成施設と連携した現任者教育や、岩手県産婦人科医会との連携によります緊急時の対応などの専門技術研修など研修内容の一層の充実を図り、助産師の専門性向上の支援に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、ハイリスク出産への対応についてお伺いいたします。
 先般、妊婦が緊急搬送を受け入れられず死亡したという痛ましい事故が報道されたところでありますが、どこに住んでいても安心して出産できるようNICU、いわゆる新生児の集中治療室なども含めた体制の確保を本県でも進めていく必要があると思いますが、本県における体制の整備状況はどうなっているのか。また、現在の取り組みの中でどんな課題があり、その解決のためにどのように対応なされるのか、あわせてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 ハイリスク出産についてでありますが、昨年10月に東京都で発生いたしました合併症妊婦が死亡する事案を受けまして、平成19年度の実態調査をした結果、県内で、母体、胎児及び新生児の搬送で受け入れができなかったケースはありませんでした。県では、総合周産期母子医療センター、これは岩手医科大学附属病院でありますが、これを中核といたしまして、三つの地域周産期母子医療センター、七つの協力病院及び県内の30の医療機関の連携により、ハイリスク妊婦や新生児に対応して高度医療を提供いたします岩手県周産期医療システムを構築しております。総合周産期母子医療センターには、高度医療の必要な新生児に対応いたしまして、先ほどお話がありましたNICU、新生児集中治療管理室の病床が21床整備されているほか、状態が落ちついた新生児を受け入れる16床の後方病床がございます。このほか10の医療機関に20床の後方病床が整備されておりまして、新生児の病状に応じて適切に対応しているものと考えております。また、四つの周産期医療圏のうち、現在認定しておりません県南地域の周産期母子医療センターにつきましては、各病院の医師の配置状況等を見ながら、認定に向けて検討してまいりたいと考えております。
 なお、国では、合併症妊婦や救急搬送に対応できるように、現行の母子医療センターの分類を見直すこととしていることから、その動向を見て、県の周産期医療システムについても見直してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、平成21年度から平成23年度までの3年間にわたる新しいいわてのいきいきプランについてお伺いいたします。
 本県の総合的な高齢者福祉、介護施策の基本的な方針や施策の方向を明確に示す計画、いわゆる高齢者福祉計画、そして、市町村が今現在策定中の第4期の介護保険事業計画による介護事業を支援するための計画、本県におきましては介護事業支援計画としての新しいいわてのいきいきプランが目指す姿はどのようなものでしょうか。特にも、従前の計画との特徴的な相違点があれば、それを中心にお示し願います。
〇宮舘副知事 新しいいわていきいきプランは、平成21年度から平成23年度までの計画でございますが、この間、高齢化はさらに進展し、平成19年度のデータでございますが、これは、35万1、000人であった高齢者が、平成23年度には約36万3、000人にふえるものと見込まれております。新しいプランでは、高齢者の生きがい、健康づくりと、お互いが支え合う、高齢者が地域で安心して生活できる環境の構築を目指すこととしております。その実現のため、前プランに引き続き、高齢者が生き生きとして社会参加できる環境づくりを積極的に支援するとともに、今回のプランでは、要介護認定者の増加も見込まれることから、昨年度策定いたしました地域ケア体制整備構想を踏まえ、地域ケア体制の確立を推進してまいります。
 具体的には、3点ほど申し上げますが、第1点は、医療と介護の連携の仕組みづくりなどの拠点となります地域包括支援センターの体制強化への支援、また、現在、財団法人岩手県長寿社会振興財団に委託設置しております高齢者総合相談センター等、3センターを統合いたしまして、平成21年度から新たに高齢者総合支援センターを設置し、ケアマネジメント業務への専門的な支援を行うこととしております。
 第2点といたしましては、認知症の専門医療提供体制の強化に向けまして、平成21年度から新たに認知症疾患医療センターを岩手医大附属病院に委託設置するほか、本プラン策定指針の重点事項に掲げました特別養護老人ホームの入所待機者の解消に向けた計画的な施設の整備と認知症グループホーム等の居住系サービス基盤の充実などに重点的に取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、第4期の介護保険事業、そしてこの支援計画についてお伺いいたします。
 まず、介護給付等の対象サービスの見込み等についてお伺いしますが、介護の社会化が叫ばれている中におきまして、県内市町村の介護給付等の対象サービスごとの見込み量、そして第4期の介護保険料の改定状況の見込み状況、いわゆる見込みがどのようになっているか、お示し願います。
〇宮舘副知事 第4期介護保険事業支援計画におけるサービスの見込み量等についてでありますが、主なサービスの利用見込み量は、平成20年度利用見込み量と比較いたしまして、居宅サービスでは訪問介護が10%増、通所系サービスが15%増となっております。また、施設、居住系サービスでは、特別養護老人ホームが13%、介護サービスを提供いたしますケアハウスなどは150%の伸びが見込まれているほか、認知症グループホームは49%、小規模な多機能型のサービスが120%の伸びが見込まれるなど、特に施設、居住系サービスの伸びが目立っております。
 また、介護保険料の改定につきましては、各市町村等の議会において現在審議されているところでございまして、まだ最終的な取りまとめはしておりませんが、県平均で申し上げますと、現行の3、686円に対しまして、おおむね4、000円程度になるのではないかと見込んでおります。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、介護サービス基盤の変化についてお伺いいたします。
 今年度までの第3期計画との比較で、介護サービス基盤の整備がどのように変わったのか、お伺いいたします。
〇宮舘副知事 介護サービス基盤の整備についてでありますが、今回の計画策定に当たりまして、市町村に対して、国の参酌標準を踏まえながらも地域の実情に配慮した実効性のある計画にすることとの県の指針を示しまして、特別養護老人ホーム入所待機者の解消に努めるよう助言してきたところであります。その結果、特別養護老人ホームにつきましては、第3期計画での整備が384床であるのに対しまして、662床の整備が計画されております。また、第3期計画と比較いたしまして、認知症グループホームは155床増の537床、介護サービスを提供するケアハウスなどは313床増の613床が整備される見込みであるなど、介護サービス基盤の整備が大きく進むものと見込んでおります。
〇高橋昌造委員 次に、特定施設等の増加と支援策についてお伺いいたします。
 小規模特別養護老人ホーム、認知症グループホームや小規模多機能型の居宅介護サービス及び介護サービスを提供するケアハウスなどの特定施設が大幅に増加する見込みと、今お聞きいたしたところになるわけでございますが、今後、この増加が見込まれる理由は何であったのか、そして、これに対する県としての支援策があれば、その支援策についてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 御質問のありました介護サービス見込み量の増加の理由についてでありますが、2点ほど申し上げたいと思います。
 一つは、計画策定に当たりまして、被保険者を対象に実施いたしましたアンケート調査結果によりますと、今の住まいに住み続けたいとする方が85%となっていること、また、地域密着型サービスの利便性が認識され、定着してきたことが当該サービスの増につながったものと考えております。
 また、もう一点ですが、認知症高齢者の増加に伴いまして、認知症グループホームを特別養護老人ホーム入所待機者の解消策の一つと考えて整備する市町村もあることなどが要因と考えております。
 支援策についてでありますが、施設整備に当たりましては、県による老人福祉施設への補助及び市町村による地域密着型サービス施設への補助を行っているところであります。また、県では、ケアハウスに対しまして、利用者の負担軽減を図るため運営費の一部を補助しております。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、障がい者福祉サービスの充実についてお伺いいたします。
 国の社会保障審議会障害者部会で示された、非常にいい内容なのですが、今後の障がい者福祉サービスの充実を図っていく上での四つの視点を示されておるわけでございますが、第1に、当事者中心に考えるべきこと、第2に、障がい者の自立をさらに支援していくこと、第3に、現場の実態を踏まえて見直しをしていくこと、そして第4に、広く国民の理解を得ながら進めていくことを踏まえて、今後、相談体制、障がい者就労支援、障がい児支援、障がい者グループホームなどの障がい者福祉サービスの充実について、現在見直し中の第2期障がい福祉計画にどのように反映してまいるのか、お伺いいたします。
〇宮舘副知事 障がい者福祉サービスの充実についてでございますが、障がい福祉計画は、平成19年2月に見直し策定いたしました岩手県障がい者プランの一部として位置づけられるものでありまして、今回見直し中の第2期障がい福祉計画は、平成21年度から平成23年度までに必要となる障がい福祉サービスの種類と量の見込みを定めるものでございます。岩手県障がい者プランでは、障がい者の方々が希望する地域で自立した生活をしていけるよう支援していくことを基本としておりますが、今回見直し中の障がい福祉計画におきましても、このプランの基本的な考え方や、委員御指摘の国が示した四つの視点を踏まえながら策定作業を進めております。
 具体的には、障がい者の方々への詳細なニーズ調査や各地域の自立支援協議会での検討をもとに、例えば相談支援につきましては、平成21年度97人から、平成23年度には149人まで利用できるようにするほか、グループホーム利用者につきましては、534人から635人に拡充するなど、障がい者の方々が必要とするサービスについて、的確に障がい福祉計画に盛り込むこととしております。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、看護師の養成・確保対策についてお伺いいたします。
 本県においても、他県等の状況と同様に、医師不足と並んで看護師不足が深刻化している中で、来年度予算の中に、看護師等の修学資金制度の拡充を図るなど、県としてもこの確保対策に積極的に取り組んでおられるところでありますが、今後、看護師を養成する数をふやすために、県立大学の看護学部や各高等看護学院での定員を将来ふやすお考えがあるものかどうか、お伺いいたします。
〇宮舘副知事 県立大学看護学部や県立高等看護学院の将来の定員増についてでございますが、平成20年度の県内の看護職員養成施設は15校ございます。課程は18課程となっておりますが、この定員充足率を見ますと、全体では100.2%となっております。このうち県立大学看護学部では101.1%でありますが、県立高等看護学院、これは3校ございますけれども、いずれも定員割れとなっておりまして、その平均の定員充足率は92.6%となっております。一方、民間立看護職員養成施設のうち、6校6課程についても定員割れとなっておりまして、その平均の充足率は90.4%でございます。
 本県の人口10万人当たりの就業看護職員数を見ますと、平成18年度では1、158.5人と、全国平均の987.0人を上回っておりますが、近年における県内看護職員養成施設卒業生の県内医療機関等への就業率、いわゆる県内定着率が全般的に低下傾向にあることから、まずは県内定着率の向上が重要と考えているところであります。
 今後の養成施設の定員につきましては、平成22年度に県内の看護職員の需要と供給に係る新たな看護職員需給見通しを策定することとしておりますので、その策定にあわせて調査検討をしてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 今、充足率のお話があったわけでございますが、看護師の県内においての定着率についてお伺いいたします。
 県立大学の看護学部、そして各高等看護学院の卒業生の県内への定着率が低いと聞き及んでおるところでございますが、その状況と原因をどのように把握しているのか。また、今後、看護師の定着率を上げていくためにどのような取り組みを考えているのか、あわせてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県内の看護職員養成施設卒業生の県内定着率の状況等についてでございますが、看護職員養成施設卒業生の県内定着率は、先ほど申し上げましたように全般的に低下傾向にありまして、平成20年度は51.2%と、平成10年度の58.2%と比較して7.0ポイント低下しているところであります。平成19年度に実施いたしました県の調査結果によりますと、県外に就職した新卒看護師は、その理由をこのように話しているわけでございまして、御紹介申し上げますと、いわゆる都会志向が強いことに加えまして、教育研修制度や職場環境、給与などの条件がより整った職場を選択している傾向にある。その一方で、こうした条件については、県内の医療機関においても一定の水準となっているものの、その情報について看護学生に十分提供されていないとの指摘がある。こういったことが県内定着率に影響を与えているものと考えております。
 次に、県内定着率を上げていくための取り組みについてでありますが、本年度策定いたしましたいわて看護職員確保定着アクションプランに基づきまして看護師等修学資金貸付制度の拡充を図り、新規貸付人数の拡大、貸付金額の引き上げを図るほか、県内外で学ぶ看護学生を対象とした県内医療施設の看護現場体験セミナーや合同就職面接会の開催、看護職員の離職を防止するための勤務環境改善への支援など、こうした取り組みを総合的に進めることによりまして、県内定着率を向上させてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、ドクターヘリの導入についてお伺いいたします。
 本県の救急医療体制の充実を図り、広い県土を短時間でカバーするためには、どうしてもドクターヘリの導入が必要なわけで、今、県民の皆様方からもぜひという話が出ているわけですが、引き続き、平成21年度においても導入可能性の調査を行うこととされておるわけでございます。ドクターヘリの導入は県民がひとしく待ち望んでいるものでありますが、その導入計画をどのようにこれから進められるのか、できれば具体的にお示し願いたいと思います。
〇宮舘副知事 ドクターヘリの導入についてでございます。平成21年度におきましては、ヘリポートの確保を含む運航体制に係る専門的な調査や、ドクターヘリの導入、運営に要する県と運営主体との経費負担についての調査などを行う予定でございます。こうした調査結果を踏まえまして、有識者の意見も伺いながら、本県への導入可能性について引き続き検討していくこととしておりまして、今後の進め方などにつきましても、運営主体として想定されております岩手医大とも十分協議してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 今のドクターヘリですが、もう2カ年も導入可能性を探れば、大体方向が、明るい光が見えてくるのではないのかということで、もう一度、どのぐらいで導入できるかというところをもしお示し願えれば、お願いいたします。
〇宮舘副知事 ドクターヘリの導入時期はまだはっきり決まっているわけではございませんが、例えば基地病院の選定後にヘリポートを整備した先進事例といたしましては、福島県の事例を申し上げますと、この場合は、ドクターヘリの導入決定から本格導入までに約3年を要しているところでございます。いずれにいたしましても、本県への導入につきましては、全国のこういった事例も参考にしながら、導入可能性調査の中で総合的かつ慎重に検討させていただきたいと思います。
〇高橋昌造委員 それでは、知事にお伺いしますが、実は知事が代議士時代に、ふれあいランドに、難病患者の皆様方に足を運んで激励されたと。私も、この間、そのお話をお聞きして、今年度の補正予算で難病に関係する相談支援センターを設置していただいたということで、ありがとうございます。それから、肝炎の総合対策についても前向きに取り組んでいただいて、本当に感謝いたしております。
 そこで、私もよくわからなかったんですが、ピンクリボンフェスティバルという、私はどうも横文字がうまくお話しできないんですが、その標語の中に、乳がんは勇気に弱いと。要するに、がんは勇気に弱いということは、検診とか何かになかなか行かないというか、行きづらいとか。そこで、本県のがん撲滅は、知事の決断という勇気がソフト、ハードの両面であれすると、岩手県からはがんを撲滅することができるのではないかということで、ひとつお伺いいたしますが、肝炎総合対策、難病対策、がん対策とか、いろんな保健、医療、福祉の充実のために知事の思いがあれば、また、今後このようにして取り組んでまいりたいというお考えがあれば、お聞かせ願えればということで、ひとつよろしくお願いします。
〇達増知事 乳がんはとにかく検査に行くことが大事で、私の妻も大体適齢期といいますか、検査すべき世代でありますので、何度も何度も行け行けと言って、ようやくこの間、検査をしてきて安心しているところでありまして、本当にすべての県民の皆さんに、これは乳がんに限らず、検査ということが大事ですから、県のほうでも検査の仕方についていろいろ資料をつくったり、また、窓口を設置したりもしております。岩手は、県立病院もそうですし、病院でのがん対策の積み重ねは非常にすばらしいものがありますし、優秀なお医者さんもそろっています。医大での研究も非常に進んでおります。しっかりと行政と医療関係者が協力しながら、県民の皆さんに問題意識を持っていただいて、この岩手からがんを撲滅していくことにしっかり取り組んでいきたいと思います。
〇高橋昌造委員 それでは、知事の県政課題の解決に向けた決意についてお伺いいたしたいと思います。
 平成21年度当初予算は、岩手を、そして県民を守る逆風に立ち向かう予算と位置づけられ、厳しい財政状況の中で積極予算を編成された知事にお伺いいたしますが、地方自治の本旨とは、県民の皆さんの幸せを守ることではないのか、そのことに尽きると私は思うわけでございますが、岩手競馬の問題、地域医療の確保対策、そして2巡目の国体開催に向けた取り組みなど県政課題が山積している今日、これを解決するために、知事はどのようなお考えで今後の県政運営に取り組まれていくのか、知事の思いと、そしてその決意をお示し願えればと思います。よろしくお願いいたします。
〇達増知事 山積する県政課題それぞれが本当に複雑な、また長いいろいろな経緯、背景にも基づくものでありまして、解決はそれぞれ困難な課題ではありますけれども、県民本位で当たっていくことが解決に向かっての基本だと考えます。地域で暮らしている、暮らしや仕事の現場で努力されている県民のその幸せを実現するために何をなすべきかということを考えながら、困っている人には手を差し伸べることができるように、また、すべての県民が安心して生き生きと暮らしていくことができるように、岩手の将来を見据えながら、岩手全体にとって最適、最良な施策ということを検討して、その実現に向けて組織を挙げて取り組んでいくことが重要と考えております。
 こうした考えのもとで、今後におきましても、危機を希望に変えるための道筋をしっかりつけていくことができるように、県民の皆様の参画をいただきながら、そして知事以下職員一丸となって解決すべき課題に一つ一つ着実に取り組んでいきたいと思います。
〇高橋昌造委員 それでは、最後に、副知事に大変失礼なことをお伺いすると思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 実は私も小さな町役場のナンバーツーとして仕事をさせていただいたわけですが、当時は助役ということで、三つの顔がありました。助ける助役、それから、いわゆる除かれる除役、そして徐行運転の徐、ゆっくり徐々にという徐役の三つの顔があったわけでございますが、いわゆる何もないときは除かれる役でいいんですよ。ただ、今みたいに県政課題が山積しておるときは、やはり知事をお助けしなければならない役割を、そしてトップの決断は、やはり一番望まれるのは丸かバツなんですね。そこで、副知事はちょっと待てと。いわゆる丸、バツの中に三角、知事さん待てという、へぐな、ゆっくりという役割を果たしていかなければならないと思いますが、最後に副知事のその思いをお聞きして、終わります。
〇宮舘副知事 知事を補佐する者としての役割というお話をいただきました。私も副知事に就任させていただきましてから1年たちまして、日々、一生懸命やっているつもりでございます。今お話のありましたように、知事を補佐するという役割でございますので、そういった知事のお考えを十分そしゃくしながら職員に伝えたり、あるいは職員の思いを知事に伝えたり、そういったことを十分していかなければならないと思っておりますし、また、今、知事がおっしゃったように、県政の重要課題が山積している時期でございますので、一層気を引き締めてしっかりと補佐していきたいと思っております。
〇平沼健副委員長 次に、工藤勝子委員。
   〔工藤勝子委員質問者席に着く〕
〇工藤勝子委員 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
 会派を代表して、平成21年度の予算に関して総括質疑をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、平成21年度当初予算についてお伺いいたします。
 平成20年度予算の危機を希望に変える希望創造予算から、平成21年度は、世界的な金融市場の危機を契機とした景気後退が見られる中、本県においても景気は低迷し、平成21年度当初予算における県税収入を見ても、平成20年度当初予算に比較し248億円余、率にして19.2%の大幅な減収となるなど、大変厳しい財政環境となっております。その中で、平成21年度当初予算において、重点的に取り組む政策として、新地域主義戦略と岩手ソフトパワー戦略の二つの基本戦略と政策の6本の柱を掲げておりますが、政策の選択と集中の方向と、その具体的な内容についてお伺いいたします。
〇達増知事 平成21年度当初予算は、厳しい財政環境の中で徹底した選択と集中を行って、喫緊の課題に迅速、的確に対処していくこととしたところであります。
 具体的には、まず、雇用の維持、創出のため、緊急的な就業の場の確保や安定的な雇用機会の創出に向けた取り組み、求職者に対する総合的な就業支援を、そして、地域経済の活性化を図るために、ものづくり産業の基盤強化や農林水産業を初めとする地域の特性や資源を生かした産業の振興を、そして、二度の地震、被災からの復旧、復興を、これらに最重点に取り組むこととしたところであります。そして、いわて希望創造プランを着実に推進するため、中長期的視点に立って進めていく二つの基本戦略として、新地域主義戦略に基づいて、市町村の行財政基盤や地域コミュニティの強化、県北・沿岸圏域の産業振興などの取り組み、そして岩手ソフトパワー戦略のほうですが、こちらに基づいては、県民の文化芸術活動の振興やうし年にちなんだMOW MOWプロジェクトなどによる岩手の魅力の発信などの取り組みを積極的に推進することとしたところであります。
〇工藤勝子委員 知事は、当初予算にかかわる記者会見の中で、弱い人とか弱い部分が取り残されないように配慮できたという発言がございました。知事の言う弱い人とはどういう人を指して言うのか。また、弱い部分とは、岩手県としてどういうところが弱いと思ってこういう発言をされたのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
 また、知事演述では、県民のために何をすべきか、創意と工夫を凝らしながら予算編成を行ったと言われましたが、具体的にはどういうことがポイントとなり政策に反映されるのか、お伺いいたします。
〇達増知事 厳しい、極めて厳しい経済情勢にありまして、雇用の維持、創出や地域経済の活性化などの喫緊の課題に、迅速かつ的確に対処していくことが求められている現在でありますけれども、同時に、こういうときだからこそ、例えば医師不足の中で適切な医療を受けることに不安を感じている患者の方々でありますとか、障がいを抱えている方々でありますとか、また、学費を払うことが困難になっている方々、あとは多重の債務を背負っている方々、こうした、ともすれば社会の中で弱い立場になりがちな、そういう県民の方々に特に目を向けていかなければならないと考えまして、当初予算の編成を行ったものであります。
 それから、創意と工夫のほうについてですけれども、農商工連携による食産業や観光産業の振興に向けた部局横断的な取り組み、地域医療の確保や地球温暖化対策を推進するための県民総参加の取り組み、さらに、うし年にちなんだMOW MOWプロジェクトの展開、これはブランド化、環境、観光と文化をキーワードにしながら産業振興戦略を展開していくものでありまして、こうした、より高い政策効果が期待できる創意と工夫を凝らした取り組みも、数多く盛り込んでいるものであります。
 こうした考えのもと、県民の皆さんと手を携えながら、今やるべきことにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 今、知事からその思いをお聞きいたしましたけれども、そういう部局横断的な役割の中で、各部局の政策立案や予算編成においても、やはり知事の思いというものが生かされた予算配分となったのか、お聞きします。
〇達増知事 4月に各部局の年度の方針を確認し、ずっと平成20年度予算の執行に関してそれぞれ部局と一緒になって取り組みながら、平成21年度予算についても一緒に準備をしてまいりました。そういう中で、地震の発生でありますとか、また、原油高、それに伴う資材、飼料高騰、そして去年の終わりごろの世界金融危機に伴う経済の悪化、そうしたことに一緒に向かいながら、今の岩手にとってベストの予算をつくっていこうということで、みんなで力を合わせてつくったと思っております。
〇工藤勝子委員 知事は就任以来、岩手の危機を希望に変えると宣言されまして、いわて希望創造プランを推進してこられました。特にも、県民一人一人が希望を抱く県土づくりに向けた四つの重点課題として、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出に歯どめ、地域医療の確保を掲げ、これらの課題に積極的に取り組み予算にも反映されてきたと思います。しかし、ほぼ2年が経過し、何か希望の明るい兆しが見えてきたこと、また、評価している点は何か、お伺いいたします。
〇達増知事 今、本県は、世界的な経済危機によって極めて厳しい経済状況や雇用情勢の中にあり、ともすれば吹き飛ばされかねないような逆風にさらされております。こうした状況は、いわて希望創造プランを策定したときに比べてはるかに深刻の度合いを増しておりますけれども、明るい兆しといたしましては、例えば、企業誘致において全国第2位となる満足度を得られていること。関東自動車工業岩手工場内に、技術開発部門の4月開設が決定されたこと。若い人たちを中心に、地域資源や新技術等を用いた取り組みがふえてきていること。農業分野において、新規就農者数が増加していること。また、国内外において、高品質で安全・安心な岩手の農林水産物の評価が高まってきていること。それから、人口の社会減に歯どめの兆しが見られること。定住交流にかかわるホームページアクセス数が都道府県で1位を記録したほか、県外等からの定住者数も着実に増加していること。このように、少しずつではございますけれども、明るい材料も見えてきているところであります。
 また、大変な危機の中でありますが、県内においてがんばろう岩手運動、県民みんなで支える岩手の地域医療の県民運動、それから、産学官が連携、協働するいわて未来づくり機構の活動などなど、県民一丸となって行動する機運が高まってきているということは、今後の明るい光につながっていくものと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ若者が今後とも岩手の地で生きていけるように、雇用対策そして所得の向上、こういうことに向けてしっかりとよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、県の財政状況についてお伺いいたします。
 景気の低迷による県税収入の大幅な減収など、国の地方財政対策では、こうした地方の収支不足を臨時財政対策債の発行で補てんする措置となったことから、本県においても、県債発行が約219億円の25%も増加し、県債残高も1兆4、000億円を超える厳しい状況となりました。この臨時財政対策債は、後年度、交付税で措置されるとはいえ、今年度末の県債残高見込みを県民1人当たりに換算すると105万円と言われ、だれもが驚きを隠せない状況であると思います。
 今日の経済情勢は、景気が落ち込むスピードの速さとその沈む深さが見えないと言われる中で、県財政におけるプライマリーバランスの均衡をどのように達成し、中長期的な対策として県債の縮減計画をどう考えているのか、お伺いします。
 また、知事は、平成20年度当初予算を審議した昨年の予算特別委員会において、プライマリーバランスは、県債残高の増減を管理していく上での目標として中長期的観点で適切に管理していくことが重要と答弁されておりますが、プライマリーバランスとは、単年度ごとの収支均衡を図りながら、中長期的な財政見通しを立てることが求められると思います。この点について御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 厳しい経済情勢の中で、平成21年度の地方財政対策では、臨時財政対策債を大幅に増加させる形で地方の財源不足の補てん措置が講じられました。それで、本県におきましても、臨時財政対策債を増額せざるを得ず、この結果、プライマリーバランスについても大きく赤字となったところであります。
 臨時財政対策債は、地方交付税の振替として発行するものですので、これが近年、このように国の施策の選択によりまして発行を余儀なくされる地方債が多額となっておりますことから、地方の立場から地方債の発行総額など計画的にコントロールすることが、事実上、困難な状況となっております。
 平成21年度の当初予算におきましては、現在の大変困難な社会経済情勢の中にあっても、後世代の県民が生き生きと暮らせるような岩手を残すため、今、求められている施策に正面から取り組むこととして必要な事業を予算化した結果、プライマリーバランスは大きく赤字となったものでありますが、今後、中長期的には、県債残高の規模を抑制していくことを目指した財政運営に努めて、財政再建にもしっかりと取り組んでいく考えであります。
 そして、中長期的な財政見通しについてでありますけれども、プライマリーバランスの均衡は、県債残高の増減を管理していく上で、やはり大変重要な基準であると認識しております。一方で、その時々の社会経済情勢等を無視して、過度に単年度のプライマリーバランスの黒字化にこだわった予算編成を続けた場合には、県民の生活実感などから乖離した偏った形の予算となるおそれがございます。したがいまして、プライマリーバランスについては、毎年の国の地方財政対策の状況なども勘案しながら、中長期的な観点で管理していくことが重要と従来から考えてきたところであります。
 国の制度の先行きも不透明でございますので、将来にわたって財政収支を具体的に見通すことは困難でありますが、今後とも、中長期的には、県債残高の規模を抑制していくことを目指して、健全で前向きな財政運営に努めていく考えであります。
〇工藤勝子委員 それでは、県税収入、法人関係等の落ち込み等についてお伺いをいたします。
 平成21年度当初予算においては、法人税関係を中心として、県税収入の大幅な落ち込みが見込まれているところであり、平成22年度以降においても、景気が一気に回復し、税収が大きく増収となることは難しいのではないかと危惧しております。このため、こうした経済情勢から、景気がどう回復していくのか見通すことは非常に困難であり、現時点で、将来の税収動向を見込むことは早計とは思いますが、県として、現時点で、平成22年度以降の県税収入見込みはどうなると想定しているのか、また、県税の増収策をどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
〇川窪総務部長 税収の将来見通しと増収策についてでございますが、まず、平成22年度以降の県税等の収入見込みにつきましては、世界的な金融危機を初めといたしまして、今回の急激に拡大しております景気後退による税収への影響がどこまで続くのか、これは確かに現時点では予測しがたいところがございます。
 内閣府による経済見通しでございますけれども、ことしの1月に示されております国の経済見通しなどを参考に予測をしてみますと、これは平成22年に我が国の経済及び世界経済が回復していくという想定のもとでの話でございますけれども、法人事業税から振りかえられた地方法人特別譲与税が増収になることなどによりまして、この平成22年以降については、微増ではあるものの、譲与税を含めた形での県税等の収入総額は増収に転じるという試算になるわけでございますけれども、これはあくまでも、仮に国の経済見通しによればということでございまして、現実の問題といたしましては、現時点では正直に申しまして、例年以上に、税収の平成22年度以降の先行きについては見通し切れない状況であるというのが、正直なところだと認識しているところであります。
 次に、県税増収策についてでありますが、安定的な税収を確保していくためには、地域経済の活性化や企業活動、また、雇用情勢の改善等が長い目で見れば必要でございます。あわせまして、県税収入確保という観点からは、徴収対策についてもしっかり取り組んでいくことが必要だと考えております。
 こうしたことを通じ、貴重な自主財源の確保に努めていきたいと思っておりますが、あわせまして、国に対し、地方税や地方交付税の充実強化が実現されますように働きかけていくことにつきましても、しっかり進めていかなければならないと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 非常に厳しい中で、県税収入の見込みが余り期待ができないとすれば、今後さらなる自主財源の増額確保は非常に困難と見込まれまして、歳出において一定の見直しが迫られると思いますが、この場合、義務的経費である人件費にも切り込む必要があるのではないかと思いますが、その御所見をお伺いいたします。
〇川窪総務部長 県といたしましては、これまでも厳しい財政状況などに対応いたしますため、事務事業の見直しによる職員数の削減でありますとか、給料表水準を平均で4.8%引き下げることなどを内容とした給与構造改革の実施、それから特殊勤務手当の適正化などの諸手当の見直し、また、平成16年1月から、これまで継続して実施してきております給与関係の特例減額措置、これは平成20年度からは拡大した形で実施しているわけでございますけれども、こういった取り組みを行っておりまして、総人件費の抑制に鋭意努めてきているところでございます。
 今後におきましても、職員給与のあり方につきましては、法に定める給与決定の諸原則等を踏まえますとともに、本県の財政事情などにつきましても、総合的に勘案しながら適切な対応をしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 次に、医師確保対策と県立病院改革についてお伺いいたします。
 今回の県立病院の新しい経営計画では、医師の不足が危機的な状況であることから、医師の業務の負担を少しでも軽減させ、医師不足に歯どめをかけたいとの考えから策定されたと伺っているところであります。医師の確保については、最重要課題であると考えております。このことから、県における医師確保対策と、その取り組みに向けた組織、体制についてお伺いいたします。
 知事部局と医療局の共管組織である医師確保対策室は、県立病院を含む県内公的医療機関に勤務しようとする医師の招聘活動を所管し、平成21年度よりその名称を医師支援推進室に改め、あわせて所管業務の見直しを行うと伺っております。この医師確保対策室から医師支援推進室への組織改編の目的やその具体的ねらいと、今後、県として、医師確保対策にどのように取り組んでいくお考えなのか、その御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 まず、医師支援推進室への組織改編の目的とその具体的なねらいについてでありますが、現在の医師確保対策室は平成18年9月に設置され、以来、即戦力となる医師の招聘活動に取り組み、これまでに15人の医師を招聘したところであります。さらに、年度内に1人、4月からは6人の医師の招聘が内定しておりまして、地道な活動によって着実に成果を上げてきたところであります。平成21年度からは、医師確保対策室を医師支援推進室に改め、医師支援推進監の設置によって勤務医支援の強化を図ることとしております。
 今後は、これまでの医師招聘活動に加え、医師の定着支援のために重要な臨床研修に関する業務をあわせて所管することによって、知事部局と医療局の連携をさらに深め、現場の医師の声を聞き、よく相談しながら、勤務医としてしっかり定着していただけるような取り組みを進めていきたいと思います。
 そして、県としての医師確保対策ということでありますが、これまで医師確保対策アクションプランに基づいて奨学金制度による医師養成に取り組みました。また、県内の臨床研修体制の充実による初期臨床研修医の受け入れ拡大や、女性医師の就業支援等に取り組んできたところであります。しかしながら、厳しい勤務環境による病院勤務医の不足や医師の診療科偏在、地域偏在など、本県の地域医療の現状は依然として厳しい状況にあると認識しております。
 こうした状況を踏まえて、今般、医師確保対策アクションプランを見直して、まず、岩手医科大学の地域枠特別推薦制度による枠を平成21年度入学生から5名ふやして15名とすること、県と市町村が連携して医師養成に取り組む市町村医師養成事業の充実を図ること、こうした取り組みに加えまして、勤務医の勤務環境向上に向けた事業を拡充してまいります。また、県民もまた医療の担い手であるという意識を持って、病状や医療機関の役割分担に応じた適切な受診を行う等、県民総参加型の地域医療体制づくりをさらに進め、医師確保対策をより一層強化して、地域医療の確保に向け全力で取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 今般の県立病院等の新しい経営計画による地域診療センターの無床診療所化によって、どれだけの医師の過重労働が軽減されようとしているのか、また、その医師の過重労働の軽減化によって、医師の退職数を抑制することができる見込みなのか、その御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 医師の過重労働の軽減と退職の抑制についてでありますが、地域診療センターに勤務する医師については、平均で月8回、多い場合には月20回に及ぶ当直や入院患者に対する回診、それから容体の急変による夜間の呼び出しなどがなくなりますことで、医師の負担が大幅に軽減されるものであります。
 また、地域診療センターを支援している中央病院や基幹病院に勤務する医師の現状は、いわゆる36時間勤務や月平均59時間に及ぶ超過勤務など極めて多忙な勤務にありながら、最大で月5回、地域診療センターの当直応援を行うといった事例も発生しており、過重な労働環境となっておりますが、これが当直応援がなくなるということで、その労働の軽減が図られるとともに、本務の病院における診療や検査、手術等に少しでも専念できるようになると考えております。
 医師の退職者を抑制していくためには、県民の皆様の理解と協力が必要と考えられるほか、今回の地域診療センターの病床休止については、病院長初め、県立病院に勤務する医師からの意見を踏まえて判断したものでありまして、医師の過重労働の軽減に向けた積極的な取り組みを明示して、それを着実に実行していかなければ、医師の離職を防止できなくなるものと考えております。
〇工藤勝子委員 特別委員会の調査で、国立長寿医療センターの大島伸一総長にお会いしてまいりました。その中で大島総長は、医療改革とはということで話されております。まず、医療改革とは生活改革であり、地域改革であると言っておられます。
 県医療局は、医師の確保対策だけに重点を置いて、地域に対する地域の医療、福祉、介護、まさに保健福祉部一体となった地域改革、また、生活改革も手をつけずに、ただ単に、地域からベッドと医師を引き揚げる改革に走っているように思いますが、知事の御認識をもう一度お伺いいたします。
〇達増知事 県立病院改革についてでありますが、県立病院の現状は、医師不足が危機的な状況にあり、これまでと同様の機能や規模を維持していくことは困難で、本県の医療提供体制の崩壊を招きかねない状況にありますことから、県立病院の新しい計画を取りまとめたということでございます。
 地域診療センター等の病床の休止は、疲弊した医師の業務の負担を一刻も早く軽減し、勤務医の離職に歯どめをかけるためには、やむにやまれぬ判断であったことを御理解いただきたいと思います。
 御指摘の医療改革とは生活改革であり、生活改革とはすなわち地域改革であるという考え方は、県としても同感でございます。岩手の地域医療の危機は、すべての県民が直面する緊急の課題であり、平成20年4月に策定しました岩手県保健福祉計画保健医療編、いわゆる県の医療計画の中でも、地域医療における県民一人一人の役割を明記しつつ、地域における医療、介護、福祉、そして生活の連携の重要性を述べているところでございます。
 県立病院等の新しい経営計画においても、県の医療計画の趣旨を踏まえて、介護、福祉との連携を一層強化することとしているところでございます。
 昨年11月に立ち上げた県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の運動によりまして、医療従事者、行政、県民が一体となって、地域医療体制づくりの県民運動を全県的に推進していくこととしております。
 また、医療局においても、今回の新しい経営計画で設置します市町村連絡協議会を足がかりとして、医師確保や介護、福祉との連携の推進など、地域医療の確保に向けて、地域と十分に連携していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 今回の件で、中央病院の院長先生がマスコミにコメントをされておりました。医療局にとって今回の計画は、岩手の医療を守るための最初のステップであると話されております。この間の花北の中部病院の開設説明会においても、今後は、400床から500床とする中核病院に集約すべきとの説明もございました。そこで、地域住民の声は、この無床化の先にあるのは、診療センターの廃止ではないのかという不安を持っておるところでございます。そういう中において、まさにこの人たちの、住民を安心させるために、県は今後どのように説明して納得させ、そして理解させていくのか、その点をお伺いいたします。
〇達増知事 住民の皆さんに安心していただくための新計画の説明ということについてでありますけれども、地域説明会等を通じまして、無床診療所、正確には病床の休止ということでありますが、そうした形であれば、基幹病院等から診療応援でやりくりをしながら、何とか県営の地域診療センターとして維持をしていきたいという旨を説明し、そして入院や救急については、二次保健医療圏ごとに、地域全体として必要な医療を提供する体制の中で対応していくということへの理解を求めてきたところでございます。
 また、病床は一たん休止とするものの、地域の皆様の意向を踏まえて、民間の医療、福祉関係者や、あるいは市町村が病床を活用する道を残しているところでもございまして、県としては、こうした取り組みに対して最大限の支援を行うこととして、使用料の減免措置や介護保険事業への利用に対する支援措置を講ずることとしたところであり、今後も地域との話し合いを続けていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 それでは、今回の改革により、本当に地域病院や中核病院を守っていけるとお考えなのでしょうか。県医療局として、今日まで医師に対する対応について問題はなかったのでしょうか。また、医師が医療局に対して、今回の改革以外に何か求めているものはないのか、お伺いいたします。
〇達増知事 医師に関する対応についてでありますが、医療局においては、全病院長会議や医師の代表で構成される団体との協議会のほかに、平成17年度から、本庁幹部職員が各病院に出向いて、病院長初め各診療科長らと意見交換を行い、各病院の実情やこれらの提言・要望などを聞いているところであります。
 新しい経営計画では、地域診療センター等の病床休止による勤務負担の軽減のほかに、専門医資格の取得に必要な体制づくりでありますとか、超音波検査の臨床検査技師による実施、女性医師の24時間保育、短時間勤務制度の活用促進、そして医師の処遇改善に向けた諸手当の見直しなど、魅力ある勤務環境の改善に取り組んでいくこととしております。これらのほか、医療事故に伴う医師個人への責任追及に対する不安でありますとか、研修医への指導体制の強化、そういった提言、要望もあると聞いておりまして、医師との協議を重ねながら、鋭意取り組んでいく考えということでございます。
〇工藤勝子委員 ちょっと知事には厳しいかもしれませんけれども、ある人の言葉を借りて申し上げたいと思います。
 政治は、100万人を救うため1万人を切り捨てることがあり、非情に徹し切らなければならないときがある。しかし、1人の落伍者も出さないようにすることが政治に求められているものであり、切り捨てられる人をいかに少なくするか、必死に努力する人が今求められている政治家であると、このような発言をされております。
 知事が言う弱い人、弱い部分、まさに小さな地域で医療が崩壊してしまおうとしているところに、やはりこういうところが取り残されないような御努力を願うものでありますが、御所見があればお伺いいたします。
〇達増知事 先ほど住民の皆さんに安心をいただけるような新計画の説明というところで述べましたけれども、無床診療所、まずは病床の休止ということなんですけれども、こういう形であれば、基幹病院等からの診療応援でやりくりをしながら、何とか地域の診療所の維持がこの計画のもとでできるんだということで説明をしてきたところでございまして、何とか地域のプライマリーケアから高次医療まできちんと二次保健医療圏ごとに、そこに住むすべての県民に提供できるような体制を維持する工夫として、今回の新計画ができているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 それでは、高齢化社会の対応についてお伺いいたします。
 高橋昌造委員からも御質問がありましたが、よろしくお願いいたします。
 県は、高齢者を支える健康安心・福祉社会づくりに向けて、いわていきいきプランを2006年から2008年の短期3年間で策定されております。今日、高齢者を取り巻く環境は、県民の4人に1人が高齢者になるという時代に入り、ひとり暮らしや高齢者世帯の増加、老齢介護、医療費が増大するなど、福祉、介護に対する期待が高まるなど、解決すべき課題も大きいと思います。2000年にできた介護保険制度によって、介護保険の利用者は全国で当初149万人が2007年度には364万人となり、総費用は3.6兆円から6.9兆円と介護者も費用も倍増となりました。今後、高齢者の増加とともに要介護者もふえ、介護施設の増設や介護従事者の人材もふやさなければ対応できない状況が見込まれるとともに、現在でも、県内の特別養護老人ホーム待機者約5、400人を超えるとも言われております。
 県として、今後の負担増の見通しや施設計画、在宅介護のあり方、保健、福祉サービスの充実、地域密着型サービスの充実など、今後の見通しと新たないきいきプランの策定に組み入れる計画の内容についてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 平成21年度から23年度までの新しいいわていきいきプランでは、高齢者の生きがい、健康づくりと、お互いが支え合う、高齢者が地域で安心して生活できる環境の構築を目指すこととしておりまして、高齢者の知識、経験を生かした社会参加を促進する環境づくり、それから、地域包括支援センターの機能の充実による介護予防の促進や保健、医療、介護の多様なサービスが総合的に提供される地域ケア体制の整備、通いを中心として、泊まりや訪問サービスを組み合わせてサービスを提供する小規模多機能型居宅介護の充実、特別養護老人ホームの待機者解消のための施設、居住系サービスの基盤の計画的な整備などに重点的に取り組むこととしております。
 なお、施設整備の主なものとしては、特別養護老人ホームが662床、認知症グループホームが537床の整備を見込んでいるところであります。
 今後の負担増の見通しについてでありますが、第4期介護保険事業支援計画におきましては、施設・居住系サービスや地域密着型サービスの利用見込みが大きく伸びることから、県全体における平成23年度の介護給付費の総額は、平成20年度に比較いたしまして21%増の約993億円となり、このうち県負担額は約148億円となる見込みであります。
 また、介護保険料の県平均額につきましては、現行の3、686円に対しまして、おおむね4、000円程度となる見込みでございます。
〇工藤勝子委員 家庭に近い長年住みなれた地域の居住環境のもとで、利用者一人一人が個性と生活のリズムを大切にする上で、ユニット型施設の整備促進は重要と考えているところであります。このユニット型施設の整備状況についてお伺いします。
 また、福祉政策の中で、県政においても最重要とも思いますが、自殺対策も重要な課題だと思っております。特にも、40代以降の中高齢者の割合が高くなっている状況を踏まえますと、中高齢者に対する自殺防止策を講ずることが特にも重要と考えます。県としての中高齢者に対する自殺の現状とその認識、中高齢者の自殺を軽減するための対策についてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 まず、ユニット型施設についてでありますが、サービスの向上につながることから、県としては整備を促進してまいりたいと考えております。
 現在の整備状況については、特別養護老人ホームで6、293床中1、787床、全体の28.4%となっております。
 今後の見込みにつきましては、第4期介護保険事業支援計画の最終年となります平成23年度末には、7、044床中2、500床となり、全体の35.5%で、現在よりも7.1ポイント増加する見込みでございます。
 それから、中高齢者の自殺を減少させるための対策についてでありますが、厚生労働省の人口動態統計によりますと、平成19年中の県内自殺者数は437人、自殺率は人口10万人当たりで32.2となっておりまして、これは全国4位となっているものでございます。中でも、40代以上の中高齢者は全体の8割を占めております。
 県といたしましては、自殺対策を喫緊の課題と考えておりまして、自殺と深く関連していると言われておりますうつ病対策などに加えまして、経済、生活問題に関する相談に対応するなど、多様な取り組みが必要と認識しております。このため、平成18年5月に、行政機関、保健医療、教育、労働など、49の関係機関、団体で構成し、知事が会長を務めております岩手県自殺対策推進協議会を設置したところでありまして、自殺対策アクションプランに盛り込まれた対策を、官民一体となって取り組んでいるところであります。特に、地域において、中高齢者が孤立しないことが重要でございますので、適切な医療につなぐための市町村、保健所、医療機関など、関係機関によるネットワークの構築や傾聴ボランティアの御協力をいただきながら、交流の場づくりなどを全県的に広げてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 次に、広域振興局体制についてお伺いいたします。
 県南広域振興局がモデル的な広域局として先行スタートしてから、3年が経過いたしました。三層構造とも言いながら、本庁、本局、総合支局、行政センターと、四層構造とも言われております。今後は、総合支局を廃止し、すべて広域振興局と行政センターに再編するとのことですが、今後、再編に向けた進捗状況をお伺いいたします。
〇達増知事 振興局再編に向けた進捗状況でありますが、昨年6月の広域振興局体制の整備の基本的考え方素案に対する地域説明会やパブリックコメントで400件を超える県民の皆様からの御意見や市町村等との意見交換を踏まえ、昨年12月に、本局の位置、そして本局と行政センターの機能、また、組織イメージ等を内容とする中間報告を公表したところであります。
 中間報告についても、地域説明会やパブリックコメントの実施により、お寄せいただいた800件を超える県民の皆様からの御意見や市町村等との意見交換を踏まえて、現在、最終案を検討しているところであります。
 その主な内容としては、本局の位置を初め行政センターの位置、組織体制、広域振興局長の役割や権限などを予定しておりまして、できるだけ早く公表できるよう作業を進めているところであります。
 なお、最終案公表後においても、県民の皆様から広く御意見をいただき、また、市町村との意見交換を行って、それらを踏まえて6月に実施計画をお示しし、9月に関連条例を県議会に提案し、そして来年4月から4広域振興局体制に移行したいと考えているところであります。
〇工藤勝子委員 この3年間における県南広域振興局の検証や評価も発表されております。産業振興や情報の発信、人材の育成、観光としての誘客活動に寄与されたとの評価となっております。
 そこでお伺いいたします。県南広域振興局管内8市町からの評価と、産業界やNPO、県民からの評価をどのように把握しているのでしょうか。知事は、それぞれの評価についてどのように認識されているのか、お伺いいたします。特にも、行政センターの設置場所となっている遠野市や一関市千厩町の評価と、また、本局の設置場所である奥州市の評価はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
〇達増知事 県南広域振興局管内の市や町、各種団体、住民等から、移行初年の平成18年から20年にかけて、4回にわたり、また、昨年3月には管内の市長、町長自身からも御意見を伺ったところであります。
 市長、町長や住民の方々からは、権限移譲などにより、市や町の行財政基盤が強化された、県南広域振興圏の産業振興戦略が策定され、意欲的に事業を推進しているとの評価をいただく一方で、広域振興局の本局、総合支局、行政センターの役割・業務分担がわかりにくく、また、市や町との事務手続が煩雑となっているといった御意見をいただいたところであります。
 それに加えて、行政センターを設置している遠野市からは、関係市町村との十分な協議を求める意見、一関市からは、増加している書類の経由などの業務改善や、完結性を高めるための人事、権限、財源の広域振興局への付与を求める意見などが寄せられたところであります。そして、奥州市からは、意欲的に事業が推進されており、今後は、さらに地域に密着し、住民ニーズをとらえた施策の主体的な実施を期待するとの意見が寄せられたところであります。
 このように、先行して設置した県南広域振興局に対しては、果たすべき役割への期待などからさまざまな御意見があったものと認識しており、私としては、評価いただいている点は今後の広域振興局体制に生かすとともに、改善すべき点は早急に改善し、県民に望まれる広域振興局体制への移行を目指したいと考えているところであります。
〇工藤勝子委員 広域振興局体制への移行の考え方として、県庁からさらなる権限の分配、予算を初め政策決定過程への参画など、広域振興局における意思決定の迅速性や完結性を高めるための移行を図る趣旨の説明がされて、県南広域振興局がスタートしたところです。まさに、第2の県庁をつくるというような説明もございました。県南広域振興局において、当初の考え方どおりの権限が委譲され、また、予算措置がされているのか、その現状と課題についてお伺いをいたします。
 県南広域振興局は、本局の企画部門の組織・機能の集約により、市町への支援体制が充実強化されたと一般質問でも答弁されておりますが、本庁と本局の役割分担や機能分担は明確となっているのか、お伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 県南広域振興局への権限委譲と予算でありますが、平成18年の県南広域振興局の設置に当たりましては、業務の完結性を高める観点から、本庁から大幅に権限を委譲し、予算権限を付与することとしたところでございます。
 まず、権限委譲の面では、社会福祉法人、職業訓練法人等への指導監査業務など37の権限を委譲しまして、地方振興局の場合よりも、より身近な地域で専門的なサービスを提供できるようになったところでございます。
 課題としては、さらなる業務の効率性と完結性の向上を図る必要がございまして、現在、平成22年4月の広域振興局体制移行にあわせ、一層、本庁からの権限委譲を進めるよう検討を進めております。
 予算面では、予算の編成過程への参画によりまして、広域振興局長の意向を予算に反映させることができるようになるとともに、広域振興局等が独自に要求できる広域的な課題に対応するための広域振興事業が積極的に実施されまして、当該事業全体の半分以上を県南広域振興局が行っているところでございます。しかしながら、広域振興局長の予算権限のさらなる充実を求める声もありますことから、運用面の工夫等について検討を進めております。
 それから、本庁と本局の役割分担や機能分担でございますが、本県のさまざまな施策を効果的かつ効率的に展開し、県民の利便性を確保するためには、本庁と本局が、その役割・機能を適切に分担することが必要であります。
 このようなことから、本庁では、全県的な企画調整や広域振興局あるいは地方振興局、そういったところに対する支援のほか、広域防災、危機管理、国や他県との連絡調整機能などを担うと。広域振興局は、戦略的な広域行政の中核となる政策の企画・立案機能や市町村の支援機能、産業支援機能など、そういったものを担うことを基本といたしております。
 このような基本的な分担に基づきまして、行政組織規則あるいは事務委任及び代決専決規則などにおきまして、その役割や権限を明確に整理し業務執行してきているところではございますけれども、県民の方々や支援すべき市町村にとりましても、そのような役割分担が、なお明確でわかりやすいものになるよう、広報・周知に努めていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 県南広域振興局管内の市町におきましては、合併が進んだこともありまして大幅に権限が移譲されました。市町においては、事務処理方法や人材の確保など苦慮していると聞いていることもありますが、県としてどのように認識されているのか、お伺いします。
 今後、平成22年度に、県南、沿岸、県北、県央の4広域振興局体制に移行するに当たり、住民に一番身近である市町村との連携をいかに密接にするか、そして権限、財源を持ち、人的な支援体制ができる組織として、広域振興局体制をどのように構築できるかが重要と考えられますが、御所見をお伺いいたします。
 また、今後の4広域振興局体制について各市町村との意見交換会を行っているようですが、理解と協力は得られているのかお伺いいたします。
 また、市町村が広域振興局体制に期待している点もあわせてお伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 市町への権限移譲に伴う認識についてでございますが、県南広域振興局管内におきましては、移譲件数が全県の約半分を占めるなど、他の地域に先行して進んでおります。これまで移譲した事務権限につきましては、おおむね円滑に処理されていると認識してございますけれども、市や町との意見交換、あるいはアンケートの結果では、一つに、事務処理に必要な知識・技術を習得するための研修の実施、二つに、相談・照会に対する継続的なサポート、三つに、専門性の高い事務の円滑な定着のための専門職員の派遣などの要請がございます。
 県におきましては、これまで事務処理方法の習得のための職員の派遣や人事交流によりまして支援してきたところでございますが、これらに加えまして、今年度、新たに県と市町村の協議によりまして、全市町村ごとに策定をいたしました権限移譲プログラムにおきまして、あらかじめ個々の事務ごとに研修計画などを定めるなど、その定着に向けて積極的に支援していくことといたしております。
 今後におきましても、市町村との定期的な意見交換の実施や派遣した職員の意見、提言なども活用しながら、市町村の意向を踏まえつつ、効果的な支援方法を検討していきたいと考えております。
 それから、広域振興局体制への移行に伴う市町村との連携等でございますが、委員御指摘のとおり、密接な連携というものが非常に重要でございます。したがいまして、市町村との信頼関係のもとで連携と協働を一層進めていく必要がありますことから、いわて希望創造プランの実現に向けて、具体的な推進方策などについての広域振興局と市町村等による圏域運営懇談会や行政連絡協議会の開催、それから、市町村と県の連携、協働のあり方を総合的に協議・調整する場としての政策調整会議(仮称)の設置など、その業務運営に当たっては、十分連携していきたいと考えております。
 また、市町村への支援体制などの観点からの広域振興局の構築についてでございますが、まず、本庁からさらに権限委譲を進めまして、局長が予算を初め、県の重要な施策決定過程に参画するなど局長権限を強化する。それから、本局に企画部門を集約し、職員を重点的に配置することなどによりまして、市町村への支援体制をより強化するとともに、市町村に派遣する専門職員の確保を容易にいたしまして、より望ましい体制となるよう検討してまいりたいと考えております。
 それから、広域振興局体制における各市町村の理解と協力等でございますが、これは特に重要であると考えておりまして、これまで市町村長との意見交換を頻繁に重ねてまいりました。昨年6月の基本的な考え方素案、それから、12月の中間報告の公表後、延べ42回に及ぶ地域説明会を開催するなど、理解と協力を得られるように取り組んできたところでございます。
 広域振興局体制へ移行の趣旨等については理解されてきているものと受けとめておりますけれども、特にも、行政センターに移行する地域の市町村から寄せられているさまざまな御意見などにつきましても十分検討の上、可能な限り最終案に反映させ、その公表後においてもさらに意見交換を重ね、望ましい体制を実現できるように努めていきたいと考えています。
 市町村から広域振興局体制に寄せる期待といたしましては、希望創造プランの実現に向けた広域的な産業振興の取り組み、県北・沿岸振興のための手厚い施策の展開、行政センターでの行政サービス水準の維持などの御意見が寄せられているところであります。
〇平沼健副委員長 工藤勝子委員の質疑の途中ですが、この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時59分 休 憩
午後3時20分 再開
〇関根敏伸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝子委員 次に、産業振興と雇用の確保についてお伺いいたします。
 知事は、知事演述や一般質問において、我が国が経済のグローバル化に対応しようと外需に依存してきたことに加え市場原理優先型の政策を行ってきたため、地方が主役となる内需拡大型の真の構造改革を行わなかったことから、今、世界を襲っている経済危機が我が国に影響を及ぼし、それが本県を初めとする地方の実体経済にも及んできているものによるものと述べられました。しかし、本県においても、自動車や半導体関連の産業を重視するなど、外需産業に依存してきたのではないでしょうか。今後、内需拡大型の真の構造改革で繁栄の道が開かれるのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 県といたしましては、県民の雇用や所得を確保していくためには、ものづくり産業や農林水産業、観光業などの県外から安定的に外貨を獲得するいわゆる域外産業を強化するとともに、そこから得られた所得を、生産、流通、販売、消費を通じて県内で循環させることによって、安定的で持続的な地域経済を構築していくことが重要であると考えております。
 こうした考えのもとで、昨年度策定したいわて希望創造プランに基づいて、すそ野が広く、地場産業への波及効果が高い自動車関連産業と半導体関連産業を柱としたものづくり産業に加えまして、国内有数の生産力を誇り、生産技術の蓄積も豊富な農林水産業、豊かな自然や高品質な県産食材、伝統文化などを生かした観光産業などの振興を図るとともに、本県の質の高い農林水産物を活用した食産業の展開など、地域や業種の垣根を越えた連携を進め、本県の強みを生かした産業の振興を図っているところでございます。
〇工藤勝子委員 平成21年度の予算における政策の第1の柱として、地域に根差した世界に挑む産業の育成を挙げられました。より一層厳しさを増す雇用問題において、自動車関連を中心とするものづくり産業の振興は県にとって最重要課題であると思います。日本は技術立国であり、今日まで工業を中心とするものづくり産業を重点化し、大量輸出で大きく成長・発展してきました。地域に根差し、世界に挑む産業の育成を重点的に推進する中で、日本そして岩手のものづくり産業のあり方、そして将来性をどのように見ているのか、御所見をお伺いいたします。
 また、自動車関連産業と農林水産業を比較すれば、今後も自動車関連産業等で繁栄の道を岩手においても希求しなければならないことは当然と考えられますが、今後も自動車・半導体産業に傾注していって、岩手の希望の道が開かれるのか、お伺いいたします。
〇達増知事 我が国は、高度な先進技術を有するものづくり立国として、これからも日本でしかできない新技術や新製品の開発を進めるとともに、世界をリードするマザー工場としての役割が期待されています。
 こうした国内産業の動きに応じて、本県では、自動車・半導体関連産業の集積を通じて、県内企業の技術力向上や産学官による技術開発、高度技術人材の育成などに努めてきたところであります。この結果、こうした取り組みが評価されて、先般発表があった関東自動車工業の開発センター設置に結びついたところでございます。今後も、これらの取り組みを着実に進めることによって、研究開発、設計から生産に至る一貫した機能を有する我が国有数のものづくり産業集積地を目指していくこととしております。
 そして、自動車・半導体産業についてでありますが、自動車・半導体関連産業は、我が国の基幹産業として今後も中長期的に成長が見込まれる産業であり、すそ野が広く、先進的かつ多様な技術が求められますことから、本県産業にとっても、さまざまな分野における地場企業の技術力向上や事業拡大が期待できるところであります。今後とも、これらの産業を柱に据えながら、本県のものづくり基盤の強化に努めるとともに、これまでに蓄積された高度なものづくり技術の強みを生かして、医療機器関連産業などの新しい産業の創出にも積極的に取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 次に、雇用確保対策についてお伺いいたします。
 平成21年度当初予算においては、喫緊の課題への対応の1番目として、雇用の維持・創出を掲げております。県内の雇用情勢を見ますと、一昨年、平成19年12月における有効求人倍率は0.66倍、そして現在は0.41倍と減少の一途であります。ものづくり産業、サービス産業、建設業などの減少が大きいと思います。こうした情勢を受け、県では、平成20年12月10日、急速に悪化している現下の雇用情勢に緊急に対応し、総合的な雇用対策を一層強力に推進するため、知事を本部長とする岩手県緊急雇用対策本部を設置したと伺いました。この緊急雇用対策本部の実施状況と、雇いどめ等による求職者が6、000人を超えている中で、平成21年度上半期までの雇用情勢の見通しについてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 岩手県緊急雇用対策本部会議につきましては、昨年の12月に設置後、これまでに4回の会議を開催しておりまして、生活支援や雇用維持、雇用創出、そして就業支援の四つの柱をもとに、全庁挙げて雇用対策に取り組んできているところであります。直近の2月10日に開催いたしました第4回会議におきまして、平成21年度は全体で2、740人の常用雇用を創出するとの方針を打ち出したところであります。今後、この方針に基づきまして、ふるさと雇用再生特別基金を活用した事業等により、県と市町村が一体となって雇用の創出にしっかりと取り組んでまいります。
 また、平成21年度上半期までの雇用情勢の見通しについてでありますが、最近の景況は、鉱工業生産指数の原指数が10カ月連続で前年水準を下回るなど、県内経済は引き続き低迷し、厳しい状況にあります。今後、在庫調整が進むと見られるものの、直ちに雇用の改善に結びつくことは見込まれないことから、雇用情勢は厳しさが続くのではないかと思っております。
〇工藤勝子委員 ただいま御説明ありましたように、緊急雇用創出事業特別基金、ふるさと雇用再生特別基金の活用や中小企業の支援を通じて、県内において2、700人余の新たな雇用の場を創出するとのことでございますけれども、その根拠、積算、どのような産業に雇用の場を創出しようとしているのか、お伺いいたします。
〇宮舘副知事 県全体で計画しております常用雇用2、740人の内訳でございますが、基金事業によって1、836人、産業振興施策によって904人となっておりまして、基金事業の内訳は、緊急雇用創出事業で1、321人、ふるさと雇用再生特別基金事業で515人と積算しているものであります。また、産業振興施策の分野別の内訳についてでありますが、新事業創出や経営支援によって417人、企業誘致で195人、農林水産業振興によりまして261人、福祉施設整備ほかによって31人と見込んでいるものであります。
〇工藤勝子委員 知事は、厳しい雇用情勢の改善に向けて、みずから直接企業訪問活動を行っているという中で、その成果と企業からの反応、そして今後の企業訪問に向けて新たな企業とのアポイントをどれぐらいの企業ととられているのか、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 去年の12月以降、関東自動車工業、富士通を初め八つの企業等を訪問し、雇用の維持・確保の要請を行っているところであります。その成果については、各企業から、経営状況や雇用の見通しなどについて伺い、雇用の維持・確保についてはできる限りの努力をするという趣旨の話をいただいているところであります。
〇工藤勝子委員 それでは、次に過疎対策についてお伺いいたします。
 平成15年度行財政構造改革プログラムを策定し、歳出規模の適正化を進めるため、補助金、負担金の見直しを行った結果、52団体等への負担金を見直しし、脱退しているとのことですが、県政を推進する上で、参加すべき団体からも脱退しているのではないでしょうか。例えば日本自然保護協会、全国沿岸漁業促進協議会、そういうものもあります。県は、平成16年3月に、全国過疎地域自立促進連盟からも脱退し、以後、会費を納付していないと伺っておりますが、脱会の理由と、今後、過疎対策についてさらに積極的に取り組むべきと考えております。そして、入会すべきと考えますが、その御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 全国過疎地域自立促進連盟の関係についてでありますが、厳しい行財政環境のもとで、自立した地域社会の形成を目指すため、平成15年10月に策定した行財政構造改革プログラムの取り組みの一つとして、各種補助・負担金について、その目的や効果等の検証を行い、市町村や県民からの御意見もいただきながら見直しが行われたと聞いております。その中で、全国過疎地域自立促進連盟については、その活動内容が、要望活動、情報収集が主であり、全国知事会や東北知事会を通じた取り組みにより代替可能と判断して、負担金の予算計上が廃止されたと聞いております。
 過疎対策は、今、新法制定に向けて重要な時期にあり、今後とも市町村等と連携しながら、過疎対策の充実、強化に向けて積極的に取り組まなければならないところでありまして、御指摘の件については、今後検討させていただきたいと考えております。
 なお、平成19年10月からは、総務省過疎対策室に本県職員1人を派遣して、過疎対策にしっかり取り組む体制としているところであります。
〇工藤勝子委員 昭和45年の過疎地域対策緊急措置法の成立を契機に全国過疎地域自立促進連盟が設立されまして、構成会員である団体は、過疎市町村、過疎市町村が所在する45都道府県であります。過疎市町村を有しない神奈川県と大阪府を除き、全都道府県が加入しているところであります。
 県内の状況といたしまして、17市町村が加入しており、長年の活動の成果として、交通、通信基盤や産業の基盤、生活環境の整備が40年の長きにわたって推進されてきたところでもございます。過疎地域には、豊かな山や川、人情豊かな人々が住み続け、郷土遺産、食文化、伝統芸能や昔話の伝承活動として担い手の育成にも力を入れているところであります。しかし、過疎地域は人口減少や高齢化が進行し、地域住民の力だけでは、農地も、森も、水の維持管理も守ることが困難な状況であることなど課題が山積しております。
 そこで、県は、新過疎法の制定に向けた動きのある中で、新過疎法制定に期待する事業や支援のあり方等についてお伺いいたします。
〇達増知事 過疎地域は、水源の涵養や多様な伝統文化の継承、安全・安心な食料供給、都市にはないゆとりある居住環境など、非常に大切な多面的機能を有しておりまして、このような機能を国民全体の理解のもとに保全して未来の世代に引き継ぐ必要があります。
 このようなことから、本県では、新過疎法の制定に当たり、従来の道路整備や下水道整備といったハード整備に向けた支援事業に加えて、新たに、例えば都市との交流や農林水産物の販路拡大などによるコミュニティ活性化対策等のソフト事業支援のための過疎対策基金の新設、耕作放棄地の防止や森林、里山を保全しつつ地域資源を生かした産業振興への支援、過疎地域への企業の進出や起業を促進するための施策の強化などソフト面での支援策が盛り込まれるよう、全国知事会等を通じて働きかけているところでありまして、今後とも市町村等と連携を図りながら、新過疎法の制定の実現に取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 県の厳しい財政を考えまして負担金を見直しし、52団体から脱退しているわけですけれども、負担金の削減とはいえ、52団体等から脱退して、県政運営上、加入しなくても問題はなかったのでしょうか、この点についてお伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 ただいま答弁申し上げた行財政構造改革推進プランに基づく各種団体の見直し、それぞれさまざまなその目的、ねらい、施策効果上のいろいろな実効性等々ございまして、そういったものを総合的に判断して脱退いたしたものでございますが、この過疎連盟のことに限って申し上げますならば、先ほど知事が答弁いたしましたとおり、要望活動あるいはまた情報収集といったことが主であったというようなこともございますけれども、全国知事会のほうを通じたり、あるいはまた東北知事会を通じたり、また、重複になりますけれども、平成19年の秋からは総務省のほうに職員を派遣して、制度のいろいろな設計に当たる情報収集なども直に仕入れたりして、こういった新過疎法の制定に向けた運動に関しましては特段支障はなかったものではございますが、先ほど知事が答弁したとおり、こういう時期でございますので、今後、そういった加盟等については検討してまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 どうぞ、必要なものにはきちっと加入し、入会と申しましょうか、そういうものを納めて、全国と連携することが非常に大事じゃないかと私は思っております。
 次に、建設業対策についてお伺いいたします。
 国も県も厳しい財政環境によって、建設投資の大幅な減少や、道路特定財源も一般財源化に向けられるなど、県においても、地域が求めている必要性や緊急性の高い公共事業においても十分な予算が確保できない状況にあります。また、今日の厳しい経済情勢の中で民間活動も低下し、建築基準法の改正による建築確認の厳格化など、建設業全体を取り巻く環境は一層厳しさを増し、倒産件数も高い水準で推移しております。建設業を本県における基幹産業として、県はどう認識され、対策をとられているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 建設業の認識についてでありますが、建設業は、県民の暮らしや産業活動の基盤となる住宅等の建築物や社会資本の整備、維持管理の直接の担い手であるとともに、地域経済や雇用を支える重要な役割を果たしていると認識しております。
 委員御指摘のとおり、建設業を取り巻く環境は一層厳しさを増しており、多くの建設企業の経営は苦境に直面しているものと考えております。このため、切れ目のない公共事業の執行に努めているところであり、平成21年度の公共事業予算においては、今年度当初予算に比べまして3.1%増となる930億円余を提案しているところでございまして、公共事業予算が当初予算として増加するのは、平成9年度以来12年ぶりでございます。県としては、建設業が将来においてもその役割を果たしていくことができるよう、技術と経営にすぐれた企業が存続し、成長できる環境の整備に努めるとともに、経営基盤の強化や技術力の向上、本業を補完する経営多角化など、経営革新に向けた企業の取り組みを積極的に支援しているところでございます。
〇工藤勝子委員 この広い県内における社会資本・インフラの整備や、災害に備えた県民の安全・安心を守るための公共事業を進める必要があると私は思いますが、今後の公共事業のあり方についてお伺いいたします。
〇菊池総合政策部長 県民の安全・安心な暮らしを守り、地域経済を下支えする観点から、必要な社会資本整備につきましては、今後も着実に進めていく必要があると考えております。
 一方、社会資本の老朽化が進行しておりまして、今後、維持管理費の増加が見込まれることから、今後の公共事業は、厳しい財政環境の中で、公共事業評価に基づく事業の厳選など、一層の選択と集中が必要であると考えております。
 具体的には、頻発する地震や洪水対策など災害に強い県土づくり、港湾と内陸の工業団地等を結ぶ交通ネットワークや担い手育成を加速化させるための農林水産基盤の整備など産業振興の支援、橋梁や用水路を初め老朽化が進む社会資本の計画的、効率的な維持管理、港湾施設と連携した交通ネットワークの整備など県北・沿岸圏域の産業振興支援などに重点的に取り組んでいく考えでございます。
〇工藤勝子委員 建設業の厳しい状況の一つに入札制度がございます。公正、公平、透明性を目標として、平成18年度から総合評価落札方式が試行され、条件つき一般競争入札も始まっております。価格評価や低入札に偏る傾向があるという課題があることから、技術評価点、地域貢献活動の評価の割合を引き上げるべきと考えますが、災害の救援活動や地域貢献活動の実績を評価項目に加えたことによる地元業者への落札の状況についてお伺いいたします。
 また、予定価格を事前公表することによる低入札により、業者はともに苦しんでいると聞いておりますが、事前公表するメリット、デメリットについてお伺いいたします。
 また、事前公表を事後に変更する自治体がふえておりますが、この傾向をどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
〇川窪総務部長 まず、総合評価落札方式による県営建設工事の競争入札についてでございますが、落札結果が価格評価に偏る傾向にあることなどの課題がありましたことから、平成20年度からは、建設業者の技術力・提案力がより生かされますよう、総合評価点の算定式の加算方式への一本化や技術評価点の割合の引き上げに加えまして、災害救援活動や地域貢献活動の実績を評価項目とすることによりまして、地域に精通した企業をより評価するよう見直しを行ったところでございます。
 その結果につきましては、地元業者というデータではとれておりませんけれども、本年度の11月までに施工した196件の状況を見ますと、技術評価点が高い企業が落札した割合が、平成19年度の同時期と比較いたしまして75.0%から81.1%へと6.1ポイント増加しておりまして、逆に言いますと、地域貢献も含めた意味での技術評価が低いにもかかわらず、価格によって落札したという企業の割合が低下しているということでございまして、改善の効果が見られているものと考えております。
 次の予定価格の事前公表についてでございますが、予定価格の事前公表は、予定価格の漏えい等による不正行為の防止のほか、受発注者双方の入札手続の簡素化や入札手続の透明性の向上等のメリットがございます。その一方で、予定価格が目安となって、業者の見積もり努力を損なわせる、あるいは談合が容易に行われる可能性がある等のデメリットがあり得ると指摘されているところであります。
 本県におきましては、このようなデメリットに対しましては、条件付一般競争入札の全面的な実施により予定価格を目安とした談合を防止し、また、工事費内訳書の提出により適切な見積もりを求め、さらに、変動型失格基準制度を用いることにより失格基準価格の予測を防止するなど、それぞれ必要な対策を講じているところでございます。
 また、全国の都道府県の状況につきましては、昨年12月に国が公表した調査の結果によりますと、事前公表のみとする都道府県が32団体でございまして、事前公表と事後公表の併用としている7団体を加えますと、事前公表を行っている都道府県は引き続き39団体であるという状況になってございます。今後とも事前公表の仕組みを継続しながら、透明性、公平性、競争性を備えた入札制度を適切に運用していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 次に、建設業に対して、総合相談センターにおいての相談や情報提供、経営指導コーディネーターの配置など新分野進出への支援を行っているところでありますが、建設業が新規事業への移行や着手できる体力が残っているのか、新規事業へ投資することにより経営難に逆に陥らないのか、問題もあると思われますが、御所見をお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県内建設企業は、公共事業などの減少や受注競争の激化によりまして、極めて厳しい経営状況にあると認識しております。このため、県としては、建設企業がみずからの特性を生かしつつ技術と経営を磨き、あるいは保有する経営資源を新たな分野に再配分することにより、公共事業に過度に依存しない健全な経営体へと転換が図られるよう支援してきたところであります。しかし、新分野への進出は新たな投資が必要となるほか、進出先での他社との競合、あるいは販路開拓などの課題があることから、建設業協会が設置しております経営支援センターと密接な連携を図りながら、これらの相談に丁寧に応じているほか、販路拡大の取り組みに対する新分野進出等補助金などの補助制度や、設備資金などの融資制度による支援策も講じているところであります。
 また、新たな事業が軌道に乗るまでには一定の期間を要するとの専門家の指摘もあり、これを支える建設業本業の収益向上を図っていくこともまた必要なことであります。このため、県営建設工事での工期短縮に向けた三者協議、ワンデーレスポンスの取り組みや営業力の強化、コストダウンに資する経営革新講座の開催など、建設企業の技術力、経営基盤強化に向けた支援にも力を入れて取り組んでいるところであります。
〇工藤勝子委員 A級のある業者の話ですけれども、新分野へ進出したことが引き金となって倒産してしまった業者もあると聞いております。ぜひ、しっかりと御支援のほうをお願い申し上げたいと思います。
 知事にお伺いいたします。公正、公平、透明性を保ちつつ入札業務に当たるとすれば、入札所管課は現場を一番熟知している県土整備部等に戻すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 入札事務の担当部局につきましては、業者の選定、入札等を工事の発注部局と分離して、よい意味での相互牽制のもとに円滑に執行していく観点から総務部に担当させているところであります。今後とも、発注部局と必要な連携をしっかりととりながら、適切な事務の執行に当たってもらいたいと考えております。
〇工藤勝子委員 それでは、次に、農業振興についてお伺いいたします。
 今日の日本農業は、輸入農産物の増大や農地の商工業化、急速に進む少子高齢化、販売農家の減少、就業年齢も65歳以上が50%を超え、中山間地における耕作放棄地も38.5万ヘクタールに増加するなど、農家を取り巻く環境はより厳しさを増し、日本の農業はまさに持続可能性が問われる時代となっております。しかし、ゆとりや豊かさの価値観の重視や豊かな自然環境の景観、伝統文化及びお互いに助け合う結いの精神が残っており、これらを生かしてのグリーン・ツーリズムによる都市と農村の交流の活発化、農村部への修学旅行体験の拡大など、明るい話題も多くあります。
 そこで、今年度、県が推進する農林水産業の6次産業化、農商工連携による商品開発や販路開拓など、農林水産物の高付加価値化の取り組み等は大いに期待されるところですが、今後の取り組みの進め方と生産者に対する財政支援や指導の方策についてお伺いします。
〇達増知事 今後の農林水産物の高付加価値化の進め方と、生産者に対する財政支援や指導の方策についてでありますが、本県地域経済を活性化し、雇用を創出させ、地域全体の所得の向上を図っていくためには、本県の基幹産業である農林水産業の流通加工や外食部門への進出を促進するとともに、農林水産業と商工業や観光との連携のもと、地域資源を活用した新商品の開発や販路開拓を積極的に支援し、農林水産物の高付加価値化を促進することが重要と認識しております。
 このため、民間ノウハウを活用して、県内経済団体や金融機関とも連携しながら、特色ある地域資源の掘り起こしと新たな商品の開発、意欲ある生産者と加工流通、観光産業等とのマッチング、さらには新商品の販路開拓などを総合的に支援する取り組みを強化していく必要があると考えているところであります。このため、県といたしましては、国庫事業等を活用した流通加工施設等の整備を支援するとともに、新たにいわて農商工連携ファンドやいわて6次産業チャレンジ支援事業を活用して、新商品の開発や町なか産直の開設、観光産業等に対する地元食材供給システムづくりなどを助成することとしているところであります。
 また、指導面では、農商工・地域資源活用推進事業により新たに農商工連携に取り組む農林漁業者と中小企業者とのマッチングの支援や、民間アドバイザー等による売れる商品づくりや販路開拓の支援などの取り組みを積極的に展開し、本県農林水産業の高付加価値化を促進してまいります。
〇工藤勝子委員 日本の食を守る食料供給基地岩手の確立に向けて持続的に発展していくために、今日の農業における課題と、今の現状を踏まえて、岩手の農業のあるべき姿を知事にお伺いいたします。
〇達増知事 岩手のあるべき農業の姿についてでありますが、本県農業は、食料の安定供給はもとより、地域の経済、社会を支える基幹産業として重要な役割を果たしております。しかし、基幹的農業従事者がここ10年間で20%減少し、また、65歳以上の割合がその6割を占めるなど、担い手の減少と高齢化の進行による生産構造の脆弱化が進んでおります。また、農産物価格が低迷する中で、肥料価格がこの1年間で6割から9割値上がりするなど、生産コストの大幅な上昇により農業所得が減少するなど、さまざまな危機に直面しているところであります。
 一方で、消費者の食に対する信頼を揺るがす事件が相次ぎ、食の安全・安心に対するニーズが高まるなど、本県農業への追い風も吹いており、加えて、雇用情勢が急速に悪化する昨今、地域経済を支え、また、雇用の受け皿となる産業として県民の期待が高まってきているところであります。
 私は、こうした変化を本県農業が直面するさまざまな危機を希望に変える好機ととらえ、いわて希望創造プランに基づき、本県農業をリードする経営体の育成、生産性、市場性の高い産地づくり、消費者ニーズに対応した販路拡大に重点的に取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みにより、意欲と能力のある担い手と、小規模兼業農家が共存する効率的な生産体制のもとで、生産者が将来に希望を持って農業経営にいそしみ、広大な農地と変化に富んだ気象条件を生かして、適地適作を基本とした安全・安心な農産物を供給する産地が形成され、そして県産農産物のブランドを確立して、消費者や実需者から高い評価を得ているといった農業を実現して、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立してまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 次に、地域で頑張っている担い手に期待する役割と支援についてお伺いいたします。
 食料供給基地岩手が目指す姿は、地域づくりを進めるリーダーや集落営農のリーダーを育成し、地域で生き生きと生産活動で活躍していただくことにあると思っております。現在、農業の担い手の方々は、もとより地域の担い手でもあります。地域環境の維持、保全、農村文化の継承、郷土芸能保存、さらには女性組織としての頑張りや、農家組合の取りまとめ役など多様な役割と大きな期待が寄せられる中で、大変な苦労をしながらも頑張っているのが現状であります。私は、常日ごろから、このような担い手として頑張っている農業者、青年農業者、女性農業者に対して、県としてもしっかりと応援していかなければならないものと思っております。
 そこで、お伺いいたしますが、このように現場で頑張る農業者、青年農業者、女性農業者の方々に対して、県はどのような役割を期待し、また、今後どのような支援をしていくお考えなのか、お伺いいたします。
〇達増知事 本県農業の振興を図るためには、人材、農地、技術の三つの要素が重要であると考えておりまして、中でも産業振興の基盤となる担い手の確保・育成は最も重要な課題であると考えます。本県農業はさまざまな農業者によって担われておりますが、特に集落リーダーには、高い技術力や経営管理能力の発揮による集落営農の高度化を期待しておりますし、また、青年農業者には、柔軟な発想力と持ち前の行動力による将来の本県農業を牽引できる自立経営の確立を期待、そして、女性農業者には、主体的な農業経営への参画や、女性ならではの感性や技を生かしたアグリビジネス活動の展開を期待しているところであります。
 私も、これまで、草の根地域訪問などで県内各地にお邪魔をしまして農業者の方々の声を直接お聞きしてまいりましたが、今後とも積極的に地域に足を運びながら、農業者の皆様の期待にこたえられるような施策の展開に努めるとともに、農業者の生産意欲の向上等に資する表彰事業や、農村食文化の伝承・発信を目的とした食の匠などの認定制度の活用、さらには、各種広報媒体を活用した農業者の活動紹介などにより、地域で頑張っていただいている農業者を元気づけられるような取り組みを積極的に推進してまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 県は、地域の農業振興のリーダーを育成するため農業農村指導士制度を設けております。この農業農村指導士は、農業の発展と地域の活性化に取り組む農業従事者を知事が認定する制度でございます。毎年、認定式を行い、農業農村指導士が一堂に会し研修会も開催しております。知事におかれましては、この認定式にまだ出席いただいておりません。私も農業農村指導士の一人ではありますが、直接農業者が頑張れる認定証書を一人一人にお渡しをいただいて、知事の熱いメッセージを、そしてみんなに声をかけていただきますれば、これからの岩手の農業振興のために担っているリーダーも勇気、元気づけられると思いますが、この認定式に前向きに御出席されるのか、ぜひ御検討をお願い申し上げたいと思いますが、御所見があればお伺いいたします。
〇達増知事 農業農村指導士というのは、特に岩手にとって本当に大事な役割だと思っております。私の日程はみんなで話し合って調整して決めているのでありますけれども、ぜひ、そういうことを踏まえて決めてほしいと思いますし、また、月刊農業普及等々さまざまな広報媒体もありますので、そういった工夫もみんなでしていきたいと思います。
〇工藤勝子委員 来年度は期待いたしておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っております。
 次に、地域防災支援対策についてお伺いいたします。
 昨年は、岩手・宮城内陸地震、岩手北部地震が2度にわたり発生するなど、災害は今後、いつ、どこで、どれぐらいの規模で発生するのか、予想することは困難であります。特にも、宮城県沖に発生するであろうと予想される地震、津波災害は既にカウント状態に入ったという学者もおります。住民の安全・安心、生命・財産を守り、被害を最小限にするための防災対策への取り組みについて、これは国がまずしっかり対応すべきだと私は考えます。このため、防災対策の推進については国との連携が重要と考えますが、今後、県として国への要望をどのように進めようとしているのか、その御所見をお伺いいたします。
〇川窪総務部長 昨年の2度の大きな地震の教訓及び近い将来発生が予想されます宮城県沖地震への備えなど、総合的な防災対策の強化が急務でございますことから、北海道東北地方知事会などを通じ、新たな活断層に対する調査、研究の推進、公共施設等の耐震化に係る支援、日本海溝、千島海溝周辺に係る地震、津波への調査、観測体制の充実強化など、被害を最小限にするための対策の推進について国へ要望してきたところでございます。
 また、今般、中央防災会議におきまして、大規模な地震への効果的な対策を戦略的に集中して推進するため、日本海溝、千島海溝周辺海溝型地震の地震防災戦略が決定されておりまして、地方公共団体に対しまして、具体的な被害の軽減量を数値目標として定めるなどの地域目標の策定につきまして要請をされているところでございます。
 本県といたしましても、この地域目標の策定に係る準備を進めているところでございますが、具体的な対策の内容や達成時期などにつきましては、今後検討を進めていくこととなっております。この地域目標の効果的な実現に当たりましては、県としてももちろん全力で取り組んでまいりますけれども、高度な技術を求められる対策でありますとか、また、多額の費用・経費を要する対策も考えられますので、それぞれ国に対しまして、具体的な内容を取りまとめ、要望していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 三陸沿岸津波によって浸水地域のシミュレーションも行われているところでございますけれども、三陸沿岸地域においては、地震や津波の災害が発生したときの支援体制の緊急対応策に取り組んでおり、遠野市では、後方支援中継基地としての役割を担うための構想を計画しているところであります。また、宮古市から陸前高田市までの9市町で構成する後方支援拠点施設整備推進協議会も設置され、昨年度は自衛隊と一体となった連携防災訓練も実施されました。この構想には、9市町からの熱い期待と感謝の言葉もあります。さらに、この構想計画を充実させていくためには県の指導が必要であります。ぜひ、同じこの協議会のテーブルで県への助言と支援を願っているところでございます。このため、県は、国と協議会とのまさに中継的な役割として、全面的に国への防災対策の提言、要望をすべきと考えておりますが、県の対応と御所見をお伺いいたします。
〇川窪総務部長 三陸地域地震災害後方支援拠点施設整備推進協議会から提案をいただいております遠野市への後方支援拠点施設整備構想につきましては、現在、協議会におきまして、具体化に向け、施設の機能や詳しい内容など、後方支援拠点施設のあり方について協議中であると聞いているところでございます。
 県としても、国が自治体に2分の1を補助する地域防災拠点施設整備モデル事業の仕組みに後方支援拠点施設を追加するよう引き続き働きかけを行いますとともに、平時の用途や活用主体のあり方、さらには、一定の地元負担が見込まれることにどう対応するかなど、引き続き、協議会から構想の具体化に向けたアイデアや協議、検討状況などを教えていただきながら、その進捗状況に応じて国との連絡調整を進めてまいりたいと考えております。いずれにしましても、防災の関係で国との間で連絡調整を果たしていくということは県の重要な役割であると考えておりますので、本県の防災体制の充実に向けまして、国との関係でもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 知事におかれましても、この防災対策について、ぜひしっかりと御支援のほうをお願い申し上げ、同じテーブルの中でどうあればいいかというようなところを協議に参加していただければと思っているところでもございます。
 御答弁をいただきまして大変ありがとうございました。これで私の総括質疑は終わりますけれども、残り時間は、会派の同じ高橋雪文委員が行いますので、よろしくお願いいたします。大変ありがとうございました。
〇関根敏伸委員長 次に、高橋雪文委員。
   〔高橋雪文委員質問者席に着く〕
〇高橋雪文委員 工藤勝子委員から時間をいただきまして、私のほうから質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、地域医療から見た県立病院の改革についてお聞きしたいと思います。
 達増県政が掲げる四つの重点目標のうち、地域医療の確保というのは一体どういうことを示すのか、改めて教えていただきたいと思います。また、知事が考える希望ある地域医療とは一体どんな社会制度なのか、お知らせください。
〇達増知事 県が目指している岩手の地域医療とは、地域に必要な医師が確保されることはもちろん、救急医療や高度専門医療などを担う中核的病院と、初期医療や安定期の医療を担うかかりつけ医などとの役割分担と連携によって、地域全体すなわち二次保健医療圏を単位として、あるいは県全体として切れ目のない良質な医療が提供されており、また、このような医療連携体制が県民にしっかりと理解されて、そして安心して医療を受けられるという姿であります。
 これに加えて、岩手の医療の力を高めるために、県民も医療の一方の担い手であるという意識で、一致団結して地域医療の危機を希望に変えていく県民みんなで支える地域医療づくりを一層推進していくというふうにしているところであります。
〇高橋雪文委員 私もそういう思いがございますし、岩手県の掲げる県下にあまねく良質な医療の均てんをという基本的理念については県民全体の思いでもあり、賛同するものでありますが、現在、医療の地域偏在が起きつつある本県の医療の現状についてどのように認識しておられるのでしょうか。また、今回の県立病院の医療改革の計画によって地域医療の低下が想定されるわけでありますが、提供される医療は低下すると知事はお考えなのでしょうか。
〇達増知事 まず、本県の医療の現状についてでありますが、県立病院は、昭和25年に医療局による運営が始まってから現在まで58年以上が経過しております。この間、人口の減少や高齢化率の上昇、社会資本の整備など社会的状況は大きく変化しております。人口10万人当たりの医師数は、平成18年度には、全国平均217.5人に対して本県は186.8人と、全国平均と比較してマイナス30.7人となっており、全国との格差は広がってきております。特に県北・沿岸部における医師数の減少や、産婦人科、小児科、麻酔科のほか、最近では循環器科など内科系の医師も少なくなってきており、地域別、診療科別の偏在が大きくなってきている現状にあると認識しております。
 そして、提供される医療は低下すると考えるかというお尋ねでありますが、岩手の医療の現状を踏まえますと、県全体の医療崩壊を招かないようにするためには、限られた医療資源を有効に活用して、生命にかかわる救急医療や高度専門医療を担う中核的な病院と、身近な医療を提供する地域の病院や開業医等との役割分担と連携を進める必要があると考えております。県立病院においても、深刻な医師不足など非常に厳しい環境のもとで、これまでと同様の機能や規模を維持できない状況となっておりまして、二次保健医療圏を基本として、県立病院間の役割分担と連携を一層進めていく必要があると考えております。
〇高橋雪文委員 私が聞いたのは、県立病院の計画によって、特に無床化される地域の地域医療の低下が想定されるが、その提供する医療は低下するのですかということを聞いているわけでございまして、しっかりと御答弁をお願いします。
〇達増知事 先ほど答弁の中でお答え申し上げましたけれども、今回の計画を実行しないと、かえって地域における診療所、診療センターを維持できない状況であり、今回の計画実行によりまして、何とか他の病院からの応援でその地域の診療センターを支えていくことができるという状況であります。それによりまして、プライマリーケアから、そして二次医療圏全体としては救急医療や高度専門医療もアクセス可能というような状態にしていくというのが計画でございます。
〇高橋雪文委員 もう少し簡単に聞きますが、無床化される地域では、今までやっていた医療のレベルから低下するのか、しないのか、これを答えていただきたいと思います。
〇達増知事 どのような医療を受けることができるかということでございますけれども、外来によるプライマリーケア、そして生命にかかわる救急医療や高度専門医療、そうした患者の必要とする医療を、それぞれ二次保健医療圏を基本としながら受けられる、そういう体制にしていくということでございます。
〇高橋雪文委員 こういうところをはっきりしない、ごまかされているというところがございまして、そういうところが地域の方々の非常に不満にもなっているし、我々も素直に賛同できない一因にもなっているのではないかと思うわけでございますけれども、次に行きたいと思います。
 国が示す公立病院改革ガイドラインは急激な地域医療の低下を求めておらず、地域との十分なコンセンサスをとることを求めていると理解しております。ベッドの削減など経営効率化にはおよそ3年程度、再編・ネットワーク化と経営形態の見直しには5年程度の時間がかかると指摘されております。具体的な実施計画が困難ならば、当面の検討、協議にかかわるスケジュールを示すことで、後日、実施計画を追加することを明記されているわけでございます。平成25年度までの間で実施することを妨げないとこのガイドラインでは言われておりますが、その点はどのように検討したのでしょうか。
〇達増知事 公立病院改革ガイドラインとの関係についてでありますが、県立病院の新しい経営計画は、現在の計画である県立病院改革プランが本年度で終了しますことから、平成21年度以降の新たな計画を策定する必要があって、公立病院改革ガイドラインの趣旨も踏まえつつ、本県の危機的状況にある医師不足などの事情を考慮しながら策定したところでございます。医師不足による限られた医療資源と厳しい経営環境の中で、これまでと同様の機能や規模を維持していくことが困難であり、本県の医療提供体制の崩壊を招きかねない状況となっていますことから、計画は本年4月からの実施が必要と考えております。
〇高橋雪文委員 今回のガイドラインの中では、実施計画が困難ならばということで、具体的に本当に地域調整をしてもらいたいという切なる願いもあるわけでございます。そういうところも記載されているわけでありますけれども、にもかかわらず、今後5年間の計画を強行するというのは、一体どういうところにその目的があるのでしょうか。
〇達増知事 今回の新しい経営計画でございますけれども、今ある5カ年計画、県立病院改革プランが本年度で終了するということで、これはもう公立病院改革ガイドラインの有無と関係なく必要なものとして準備してきたわけでありますけれども、もちろん、この公立病院改革ガイドラインに真っ向から反するようなものをつくるというのもあれでありますから、ガイドラインの趣旨も踏まえつつ、しかしながら、あくまで本県の事情に合わせてつくった、そういう経営計画でございます。
〇高橋雪文委員 そこで、問題になっている点なんですけれども、今回、問題となっている県立病院の運営が困難になってきている理由、これはいろいろ検討しているんですが、おおよそ財政的な問題と医師不足などの経営の問題などがありますけれども、一体どこにウエートが置かれておるのか、そして、その場合の責任がどこにあるのか、どのように検討したのか、お知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 県立病院の運営が困難になってきている理由ということの質問だったと思いますけれども、医師不足の危機的な状況と、そして収益の急速な悪化という両者が複合的に絡み合っているものと考えております。過去5年間、平成19年度と平成15年度の決算を比較いたしますと、まず、常勤医が75人減少した。そして、入院患者が延べ数で19万1、376人減少、10.6%の減少であります。外来患者延べ数では100万8、178人減少、27.7%の減少であります。患者数が大幅に減少しております。そして、この常勤医の減少、それに伴う患者数の減少の背景としては、勤務医のもととなる医学部の定員について、国が入学定員を抑制してきたこと、また、平成16年度から開始された国の新しい臨床研修制度によって、医師派遣元である大学自体でも医師不足が深刻になって、広域基幹病院等への派遣が厳しくなったことによるものと考えております。
 診療報酬についても、国の医療費抑制政策のもとで診療報酬のマイナス改定が続き、平成18年度にはマイナス3.16%と大幅な改定が行われるなど、医療費が削減されてきたことによるものと考えております。
〇高橋雪文委員 非常に医師不足が危機的な状況であるということで、今議会、それが明らかになったということでございます。しかしながら、先日、岩手県社会福祉審議会でも指摘されたように、医師確保については、岩手県自身の評価、これは政策評価でございますけれども、おおむね達成の評価Aであります。県立病院の医師確保が現実的にままならない中で、このような評価に至った知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 まず、基本的に本県の地域医療の現状は大変厳しい状況にあると認識しております。希望創造プランの地域医療の確保において、その目指す姿の指標として、病院勤務医や開業医を含めた医師数、人口10万人当たりという指標を掲げました。この数字が、平成18年の国の調査結果によりますと、平成16年に比べて、岩手におきまして、人口10万人当たりの医師数が全国平均を上回る伸びを示したということで、政策評価レポート2008では達成度Aとされているところであります。しかし、この評価については、県立病院を初めとした勤務医が減少しているという地域医療の現状を憂える県民の皆様にとっては違和感を覚えるところもあるのではないかと考えております。県民の皆様と同様に、県としても、厳しい勤務環境を背景に、勤務医が病院をやめる状況が加速している、こうした流れを食いとめなければ、本県の地域医療の確保が立ち行かなくなると考えております。このため、医師確保対策アクションプランに基づくこれまでの取り組みに加えて、勤務環境の向上を図るための取り組みを強化するとともに、現場の医師の声をよく聞いて、勤務医として残っていただけるよう取り組んでまいります。
〇高橋雪文委員 私は、県立病院のこの計画については、やはり医師確保がままならなかった、うまくいかなかった、それが大前提で計画された、そんな計画であったのではないかと思っているところでございます。今後も、例えばこの県のやり方で運営していった場合に、本当に医師がやめないのかという、その保証はないのではないかと思います。
 そこでお聞きしたいのですが、財政的な部分というものも非常にあるのでしょうけれども、このやめた理由はどんな理由だったのか、内部はどういうふうに検討しているのでしょうか。財政的な部分で言うと、例えば医師の給与が安かったのか、そういうことも考えられるわけでありますけれども、そういう点はどうだったのか、わかるところでお知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 ちょっと通告と調整していたのと違っていたので、手間をとらせて申しわけありませんでした。
 医師が離職する要因についてでありますが、医療局として把握している要因を整理いたしますと、まず、救急患者の増加や宿直に引き続くいわゆる36時間勤務、月平均54時間に及ぶ超過勤務など、診療業務が勤務を過酷なものにしております。そして、給料、手当などの処遇、深刻な訴訟対応、いわゆるモンスター患者等によるクレームの増大、住環境への不満などにより、開業や民間病院への移動にもつながっていると考えております。そのほか、専門医志向や大学院への進学、子弟の教育、親の跡継ぎ、女性医師の結婚、出産、育児などの個人的な要因も挙げられております。
 これらの対応策として医師の確保、定着が重要と考えておりまして、奨学資金貸付制度による要請、保健福祉部との共管組織である医師確保対策室による全国からの即戦力医師の招聘などに取り組んできたところでありますが、さらに超音波検査の臨床検査技師による実施を初め、医療クラークの導入による事務的な負担の軽減、診断書作成や臨床研修指導医手当の創設などの処遇改善、訴訟やクレームへの対応のための顧問弁護士の委嘱、医師公舎の整備などを行ってきております。また、育児短時間勤務制度や24時間保育など、女性医師の就業支援などにも取り組んできているところでありますが、退職の理由は一人一人事情が異なりますが、病院長等が個別に事情を聞いて慰留に努めるなど、きめ細かな対応に努めていると聞いております。
〇高橋雪文委員 給料が低かったのか高かったのかという、そういう意見もあったのか、それは後でお知らせいただきたいと思います。
 また、計画どおりに医師が確保されていたら、今みたいに過重労働はなかったのではないかと思うわけでありますけれども、その点はどうだったのでしょうか。
〇達増知事 ちょっと通告との調整でない、新しい質問なので舌足らずな答弁になるかもしれませんけれども、本来、きちんとした診療体制をやっていくには、基本的に各診療科ごとに4人ずつの体制、これは科目によっては3人でいいところ、5人必要なところもあるんですが、おおむね4人ずつ勤務医が必要なところ、全然そういう体制にはなっていなくて、県立病院全体として191人の不足でありましたか、そういう状態があったということであります。
〇高橋雪文委員 この5年間の計画も、医師の確保ということでやっていたと。定員の目標も決めていたと。それが定員どおりではなかったから過重労働に至ったのであって、その医師確保がしっかりあれば、過重労働には至らなかったのではないかと聞いているんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 191人勤務医がプラスされていて、それで最低限という状況であります。さらに、時々学会に行ったり自分に必要な勉強をするためには、4人体制ではなく5人でないと学会に行ったりとかできないと聞いておりますので、そういう状況だったということだと思います。
〇高橋雪文委員 こういうところがしっかりと反省なり検証ができていないと、次の段階に進んでいけないということを思うところでございます。
 それで、聞かせていただきますけれども、県立病院の新しい計画は、医師確保の失敗のもとに5年間の計画が策定された感があります。正しくは、どのような医療をどの規模で地域に提供するかが計画の柱にならなければならないと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。
〇達増知事 県立病院の医師の確保については、救急患者の増加や医療安全対策の推進など、業務量の増大により勤務環境が過酷になっていることや、医療の高度・専門化により、1人だけの医師では対応できない診療科がふえていること、さらには、平成16年度からの臨床研修制度の導入により、大学医局の医師が減少するなど、大変厳しい状況が続いております。こうした中で、県では、大学への医師派遣要請に加えて、全国を対象とした医師の招聘活動を行うための専担組織、医師確保対策室を設けて活動を行っているほか、臨床研修医の積極的な受け入れを行うための体制整備を行うなど、医師確保の努力をしてきたところでありますが、依然として深刻な医師不足が続いており、将来の医師数の見通しを立てるのは、大変難しいものがございます。
 新しい経営計画においては、こうした状況を踏まえて、限られた医療資源の有効な活用ということを図りながら、二次保健医療圏全体で地域医療を確保していくための高度専門医療や救急医療を中心とした基幹病院、地域の入院医療を中心とした地域病院、地域のプライマリーケアを中心とした地域診療センターということで、この3種類の病院、そして診療センターが役割分担と連携を図って、病院ごとの病床数を示しているという構造になっております。
〇高橋雪文委員 それでは、無床化が実施される診療センターは、今まで廃止でしたが、休止ということで変更することになりました。しかしながら、この5年間の計画の中では、休止から再び再開するための医師確保の目標数値の変更などもなく、どちらかというと場当たり的な対応と感じますが、その再開できる根拠、そしていつをめどに再開できるのか、示していただきたいたいと思います。
〇達増知事 地域診療センターの病床については、廃止の手続は行わずに休止扱いとしたところでありますが、これにより、地域の皆様の意向を踏まえて、民間の医療関係者やあるいは市町村において、病床として活用できる道を残したものであります。また、空きスペースは福祉関係施設とした場合にも活用できることとしております。
 今後、地域の皆様からの提案について、地域との話し合いをしっかりと続けていきたいと考えております。
〇高橋雪文委員 私、医師確保について、医療局の努力もそれなりに認めていきたいと思うんでけれども、経営についてはまだまだ見直す点があると。そこで、まず、この経営がうまくできないという実態から、行政的な医療局の経営では限界があって、そして民間感覚、民間経営が必要ではないかと感じます。ガイドラインでも、経営感覚に富む人材の登用を求めており、また、民間病院との財務内容の比較検討も求められておりますが、その検討はどのように行ったのでしょうか。
〇達増知事 今回の計画において、まずは県立病院の機能や規模の見直しを進めて、良質な医療を持続的に提供するために、安定した経営基盤を確立するということを目指しておりまして、計画期間内は、現在の経営形態であります地方公営企業法全部適用というもとで経営改革を進めることとしております。また、病院事業を実施する上では、今後とも、適材適所を基本とした人材登用に努めてまいります。
 それから、民間病院と経営を比較してみますと、病床利用率が民間病院より低い状況にあります。病診連携等を進めて、患者の紹介率また逆紹介率を高めることなどによって、病床利用率の向上を図ることとしております。
 また、民間病院に比較して割高となっております給与、そして薬品費等の材料費、これらについては平成18年度から実施しております給与構造改革の確実な実施、業務改善による超過勤務手当の縮減、特殊勤務手当の見直し、後発医薬品の使用拡大、そしてコンサルティングの活用により、診療材料費等の削減に取り組むということとしております。
〇高橋雪文委員 知事は答弁の中で、地方公営企業法の全部適用ということで決めたということがありました。私は、それをなぜ早々に決めたのか、お伺いしたいと思います。
 岩手県立病院の新しい経営計画において、ガイドラインが示す指定管理者制度、民間譲渡などの機能はどうだったのか、教えてください。
〇達増知事 むしろ、最近、たしか山梨県知事さんだと思いますが、今、まさに、この地方公営企業法全部適用への改革を進めている。盛岡市立病院もそういう方向での改革を進めているところだったと記憶しておりますが、そういう意味では、岩手はいち早く、他県等が進めている全適と言っている地方公営企業法全部適用を既に早くから取り入れていたということで、今回のこの5年間の計画においては、まず、この経営形態のもとで経営改革を進めるとしたところであります。
〇高橋雪文委員 私はこういう経営の計画について、もっと民間委託などの議論を深めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 各病院の機能や規模の見直しなど今回の計画を着実に推進していくためには、地方公営企業法の全部適用による運営を行ってまいりますけれども、将来の経営形態のあり方としては長期的な課題として問題意識は持っていきたいと考えておりまして、これからの状況に応じて、今後幅広く住民の意見や、また、専門的見地からの御提言をいただきながら、議論していく必要があると考えております。
〇高橋雪文委員 知事も御存じのとおり、地域医療には地域住民の思いと築いてきた歴史がございます。特に、無医村の地域の取り組みを守ることこそ県の役割だと思いますが、これらの僻地医療に対し、どういう対応をしようとしているのでしょうか。
 国が示した公立病院改革ガイドラインにも、採算性などの面から、民間医療機関による医療の提供が困難な地域に配慮すべきと記載されておりますが、今回の岩手県立病院等の新しい経営計画においても、こうした留意点について検討されたのか教えてください。
〇達増知事 国の公立病院改革ガイドラインが言う、採算性等の面から民間医療機関による医療の提供が困難な地域という、そういう地域に対する配慮ということの質問と承りますが、いわゆる僻地における医療を確保するため、平成19年3月、岩手県へき地保健医療計画が策定されておりまして、これに基づいて僻地医療の充実を図ることとしております。
 今回の新しい経営計画では、これまでと同様、地域における医師や診療機能の不足に対応するために、中央病院や基幹病院等が中心となって、地域の公的医療機関等に対して、必要な応援体制を組むということとしております。
〇高橋雪文委員 それでは、地域医療を堅持するため、遠野市や西和賀町など医師確保の好例もございますが、地域の努力で維持可能ならば、地域医療の確立に財政支援を行いながらでも、医療レベルを堅持する意思はございますでしょうか。
〇達増知事 地域医療の確立のための財政支援ということについてでありますが、救急医療や高度専門医療などを担う中核的病院と、初期医療や安定期の医療を担うかかりつけ医などとの役割分担と連携によって、地域全体として切れ目のない良質な医療が提供される体制づくりに県としては取り組んでおります。そうした中で、市町村立の病院や診療所が求められる機能を果たしていけるように、今後とも、国民健康保健財政調整交付金などにより、引き続き支援をしてまいります。
 なお、全国的に公立病院の経営環境が非常に厳しい状況にありますことから、来年度以降は、過疎地そして産科、小児科、救急医療等に関する地方財政措置が拡充されることとなりました。
 今後とも、地域に必要な医療が継続して確保されるよう、国に対し、診療報酬上の評価やさらなる地方財政措置などについて要望してまいります。
〇高橋雪文委員 県が示す公立病院改革推進指針は指針であって、地域で決定していけば、その指針に従う必要がない、もしくはペナルティーは科さないということなのでしょうか。
〇達増知事 この公立病院改革推進指針でありますけれども、この指針は二次保健医療圏を基本単位として、地域全体として必要な医療を提供する体制を確保するために、各公立病院について客観的な状況から改革の方向性を示したものでありまして、各病院を運営する自治体においては、必要な改革を進めるため、指針を踏まえ、適切に対応していただくよう期待をしているところであります。
 なお、仮に指針に示した方向性と異なる改革プランが策定されたとしても、当該自治体の判断と理解するところであります。
〇高橋雪文委員 それでは、次に2巡目国体について質問させていただきたいと思います。
 国体の会場については、平成22年度を目途に、国体準備委員会で決定すると知事は表明しておりますが、その代表的な候補地の一つに、盛岡市みたけの運動公園がございます。このみたけの運動公園に、県が先んじてその活用方法を決めたのはなぜでしょうか、お知らせください。
〇達増知事 盛岡市みたけにあります県営運動公園陸上競技場でありますが、これは、現在の公認期間が平成22年4月21日まででありまして、何ら手を加えなければ第3種になってしまうものであります。現状のまま放置できないという状況のもとで、設置者として責任を持って今後の将来のあり方を考えていく必要があるということから、県内における体育施設の状況等を十分勘案しつつ、県として、第2種として整備するということで予算化して、本議会に提案しているものであります。
〇高橋雪文委員 そのような形で決めますと、実質、陸上競技を北上陸上競技場で行うことを決めたということになりますが、どのような根拠でそれが決められたのか。国体準備委員会で決定すると以前から主張していることと明らかに異なることとなりますが、知事の御所見をお知らせください。
〇達増知事 陸上競技会場の決定についてでありますが、県有の体育施設の整備については、県内の体育施設の整備状況や競技力向上など、本県のスポーツ振興を図る観点から、県において総合的に検討してその方針を定めるべきものでありますが、県としては、県営陸上競技場の整備については、申し上げましたように、県内における体育施設の整備状況、本県での全国大会の開催実績などを検討して、第2種公認の陸上競技場として維持することとしたところでありますが、陸上競技の会場の決定ということについては、県国体準備委員会において、こうした県の方針等を踏まえながら、総合的に検討していくこととしているものであります。
〇高橋雪文委員 さきの商工文教委員会で法貴教育長は、国体準備委員会が国体の会場を選考し、結論が出るまで今回の執行は保留すると明言がございましたが、その点は間違いありませんでしょうか。
〇達増知事 それは教育長が言っているとおりです。
〇高橋雪文委員 みたけの運動公園の活用については、当然、土地を寄附した盛岡市、また、スポーツ審議会などの提案をもとに決められるはずでございますけれども、その点のスキームはどうなっているでしょうか。
〇達増知事 ちょっと事前通告で調整させていただいていたものと順番、内容が異なっていたので恐縮でございますけれども、盛岡市との協議の場という質問の趣旨と解させていただきますけれども、2巡目国体を進めるに当たりましては、日本体育協会が策定した国体改革2003、その中で、既存施設を最大限活用しながら、簡素効率に努めることを基本としているところでありまして、今後、国体準備委員会において、この方針に加えまして、盛岡市も含め各市町村の意向なども踏まえながら、開・閉会式場あるいは陸上競技会場等について選定されていくものと考えております。
〇高橋雪文委員 最後になります。
 2014年の長崎国体においては、第1種の市の陸上競技場があるにもかかわらず、県の競技場を整備して開催することになりました。財政的には厳しさは同様と感じますが、その研究はなされたのでしょうか。
〇達増知事 長崎県には、本県が優先整備を考えているスポーツ医・科学センターが既に設置されておりまして、その点、本県とは選手の競技力向上について環境、事情が異なっております。
 国体の開催に当たって、長崎市にある陸上競技場は、収容人員が1万6、000人ということで、国体としては規模が小さいこと、また、近くに臨時駐車場がなく、輸送バス900台を想定した場合に大渋滞が予想されることなどから、国体の開・閉会式会場、陸上競技場としては活用できず、諫早市にある県営陸上競技場の改築により対応することとしたものと聞いております。
 なお、本県と長崎県の財政状況を予算規模等で比較してみますと、平成21年度当初予算額の比較では、岩手県が6、588億円に対し長崎県は7、305億円と、717億円、本県を上回っております。基金残高については、平成21年度末残高見込みで、岩手県125億円に長崎県120億円と、これはほぼ同規模であります。一方、平成21年度末県債残高の見込み額の比較では、岩手県が1兆4、482億円、県民1人当たり105万円でありますのに対し、長崎県は1兆1、148億円、県民1人当たりは78万円ということで、長崎県の財政状況は、本県に比較して上位にあるものと認識しているところでございます。
 答弁の訂正をさせていただきますが、先ほど地方公営企業法のいわゆる全適に関し、盛岡市立病院がその方向に向けて改革中と申し上げましたが、盛岡市立病院は既に全適済みでございましたので、そこを訂正いたします。
 また、医師がやめた理由に関して、給与が高かった、安かったなどでやめた理由の有無を御質問いただきましたけれども、他県に比べますと岩手の給料は高いほうでございます。給料だけの問題ではなくて、やはり過重勤務が大きいと把握しているところであります。
 もう一つ訂正をさせていただきます。岩手の基金残高、平成21年度末、先ほど125億円と申し上げましたが、145億円の間違いでございました。訂正いたします。
〇関根敏伸委員長 お諮りいたします。予定の5時までにはまだ若干時間がございますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うことといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇関根敏伸委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時からの開会となりますので、よろしくお願いをいたします。
 本日はこれをもって散会といたします。
   午後4時44分 散 会

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