平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇36番(柳村岩見君) 議席番号36番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。
 私は、議案第77号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第7号)、議案第78号平成20年度岩手県立病院等事業会計補正予算(第3号)に反対の立場から、さきの委員長報告に対して賛成討論をいたします。
 去る2月19日に決定された県立病院等の新しい経営計画では、素案に対して、地域診療センターと基幹病院等との間を無料で送迎するための交通手段の確保が追加されました。今議会の審議の過程で、私たちは県医療局に対し、無床化を一時凍結し、地域住民との継続的かつ広範な協議を求めてきましたが、交通アクセスの確保そのものに反対しているものではありません。また、この計画への追加記載事項では、無料で送迎するための交通手段としてマイクロバスに限定しているものではありません。
 本議案に反対する理由は、この予算案の試算がずさんで乱暴かつあいまいであるということであります。去る2月26日に医療局が示した本院と地域診療センター間の患者移送方法に係る試案によると、マイクロバスの運行は、各診療センターと本院間を1日3往復することを算定の根拠にしております。しかしながら、同じく医療局が示した昨年4月から本年2月までの平成20年度地域診療センター入院患者の転院先の状況によると、当該診療センターから転院した患者の転院先は、最少の大迫診療センターでは8カ所、最多の花泉診療センターでは14カ所にも及んでおり、総転院者数に占める本院への転院者の割合は、最大の花泉診療センターでも29%、最少の住田診療センターではわずか6%にすぎません。3月11日現在の入院患者数にこのパーセンテージを当てはめると、想定される本院への転院者数は、最多の花泉診療センターでも2.03名、最少の住田診療センターではわずか0.54名であります。当然のことながら、当該マイクロバス以外の交通手段を利用する方もいるわけであり、これに家族を加えたとしても、このマイクロバスは一体だれを運ぼうとするものであるか、全く不明であります。
 本議案に反対する第2の理由は、当該マイクロバスの導入により新たな不公平を生むことになるということであります。知事も発言されているとおり、当該診療センターから本院への移動距離よりははるかに遠距離を移動しなければならない方は全県的にたくさんいらっしゃるわけであり、当該診療センターだけが無料の輸送機関を有することは新たな不公平を生むことになります。
 環境福祉常任委員会の議論の中でも指摘されたとおり、多岐にわたる転院先に少人数を輸送するには、診療センター前にマイクロバスを1台設置するよりも、タクシー会社への委託や路線バスを利用する際の補助などで個別に対応するほうがはるかに経済的、合理的かつ利用者にとって親切で、地域への波及効果を期待でき、マイクロバス購入に合理的な理由を見出すことはできません。
 本予算案の審議の過程では、国から全額交付される地域活性化・生活対策臨時交付金を活用することによって県の持ち出しをなくすることができることが、そのメリットとして議論されています。しかしながら、国税といえども、詰まるところ我々の納める税金であり、このような発想こそ、補助金の不正処理を生み出した風土そのものと言わざるを得ないのであります。
 さきの平成21年度一般会計予算編成替え動議に対して、二次医療圏前に、あるべき地域医療のあり方が協議されていくわけですが、適切な交通手段や方法は地域事情に即し、その中で検討されるべきものと考えるところであります。
 結びに、一部報道機関においては、本議案の審議において、交通機関の確保に逆らうような県議会の判断に首をかしげると報道されていますが、環境福祉常任委員会での審議の過程を正確にとらえれば明らかなように、私たちは交通アクセスの確保そのものについて反対しているものではなく、本予算の議案としての熟度、妥当性、経済性等を問題にしているのであります。
 さきの委員長報告に対し、良識ある議員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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