平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第46号、議案第58号の修正案に賛成の討論を行います。
 議案第46号と第58号は、08年度岩手県一般会計補正予算(第5号)と岩手県立病院等事業会計補正予算(第1号)であります。修正案の内容は、県立病院の新しい経営計画に基づいて、4月からの5診療所の無床化を強行することを前提に送迎用のマイクロバスを5台購入するための2、300万円を減額しようとするものであります。
 賛成する第1の理由は、県立沼宮内病院を来年4月に、5診療センターをことし4月から無床化しようとする県立病院の新しい経営計画は、地域住民の理解も地元自治体の納得も得られず、県議会の合意も得ていないということであります。
 4月から5診療センターの無床化を強行する09年度岩手県立病院等事業会計予算の是非が、まさにこれから議論されようとしているときに、どさくさに紛れて、無床化を前提にした補正予算を計上することは許されないことであります。
 第2に、マイクロバスの購入は、無床化を強行するために、新しい経営計画に無理やり盛り込んだ8項目の内容の一つであります。地域住民が求めたものは、無床化を前提にした交通アクセスの確保、マイクロバスの購入ではありません。さらに、交通アクセスの内容も極めてあいまいなものです。
 計画では、地域診療センターの患者が入院を必要とする場合に、患者及び家族について、地域診療センターと基幹病院等との間を無料で送迎するとしています。どういう患者や家族がその対象となるのか、不明確であります。3月中にも、ほとんどの入院患者が退院させられかねないのが実態です。入院を必要とすると判断するのは基幹病院等の医療機関です。実際に送迎する患者と家族は、限りなくいなくなるのではないでしょうか。
 第3に、県民の声を幾重にも無視して、地域医療を切り捨てる無床化計画を強行するのではなく、地域医療のあり方を地域住民とともに協議し、地域医療を守る協力と協働を築いていくことこそ、必要だということであります。
 知事は、地域診療センター等の無床診療所化に関しましては、地域の皆様にさまざまな不安や御心配をおかけしていることにつきまして、率直におわび申し上げたいと述べました。それが本心なら、地域住民の不安と心配に具体的にこたえるべきであります。言葉だけのおわびでは、何の意味もありません。
 地域住民の命と健康にかかわる医療の問題は、住民にとっても自治体にとっても、最大の重要な課題であります。地域医療をどう守っていくのか、深刻な医師不足の問題を含めて協議し、知恵を出し合うべきであります。ましてや、無床化という地域医療切り捨てを進めようとしているのに、地域住民や自治体の声も聞かず強行することは、許されない暴挙というべき問題であります。
 第4に、無床診療所化の強行は、それぞれの地域が長年にわたって築き上げてきた保健・医療・介護の連携を崩しかねない問題だということであります。
 岩手町の日本一のがん検診体制、紫波町の県内初の医療と福祉の連携、住田町でも大迫でも九戸でも花泉でも、医療と介護の連携と訪問診療に、県立病院と診療センターはかけがえのない役割を果たしてきたのであります。地域とともに築いてきた保健・医療・介護の連携を一方的に壊し、無床化してからその後のあり方について協議しようという態度は、相手を殴ってから握手を求める横暴なやり方であります。地域の自治体、住民と協議し、今後の地域の保健・医療・介護の連携への見通しを示すことは、最低限の県の責任ではないでしょうか。
 第5に、医師不足の問題も、危機感をあおるだけでなく、冷静な議論を進める必要があります。
 医師不足を支えるどういう取り組みが必要か、開業医、地元医師会との連携・協力、地域住民の取り組みなど、対立ではなく協力と協働の関係を築き強化することこそ、必要ではないでしょうか。ところが、知事と医療局の態度は、危機感をあおるだけで、住民の声ばかりでなく、地元医師たちの建設的な提案をまともに検討・協議することもなく計画を策定し、4月から一気に無床化を強行しようとしているのであります。知事と医療局は、強行に強行を重ねる態度を改め、今一度立ちどまって、県民の理解と納得を得る努力をすべきではないでしょうか。
 議案第71号から73号は、県民活動交流センター、県立視聴覚障がい者情報センター、県立図書館の指定管理者を指定することに関し議決を求めるものであります。
 反対する第1の理由は、三つの県立の施設はそれぞれ独立した施設でありますが、指定管理者は6社による企業クループとなっていることです。公募にもかかわらず、1グループしか応募がありませんでした。しかも、6社は仕事役割分担が明確であり、企業グループとしなければならない理由は見当たりません。指定管理者制度のあり方を再検討すべきであります。
 第2に、選定委員会の評価は、1、000点満点中609点と厳しい評価となっています。しかし、選定意見の具体的な内容が不明であります。三つの県立の施設がそれぞれ独立した内容と役割を持っているにもかかわらず、選定委員はわずか5人で、十分な選定と審議が行われたかは極めて疑問が残ります。
 第3に、県情報交流センター・アイーナについては、包括外部監査報告で指摘されているように、管理運営計画で第三者評価委員会を設置して、施設が取り組む各事業等の成果の客観的な評価を行うとともに、施設運営について改善すべき方向等を提示することになっていましたが、行われてはいませんでした。来年度から、第三者評価委員会を立ち上げるとの答弁がありましたが、県の怠慢と言うべき問題であります。
 以上、申し述べまして、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第46号及び議案第58号を一括して採決いたします。
 各案件の委員長の報告は修正でありますので、まず、委員会の修正案を起立により採決いたします。
 委員会の修正案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、委員会の修正案は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、ただいま修正議決した部分を除く原案について採決いたします。
 修正部分を除くその他の部分を原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、修正議決した部分を除くその他の部分は、原案のとおり可決されました。
 この際、知事から発言の求めがありますので、これを許します。達増知事。

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