平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(木村幸弘君) 政和・社民クラブの木村幸弘でございます。
 このたび、議案第46号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第5号)並びに議案第58号平成20年度岩手県立病院等事業会計補正予算(第1号)につきまして、県立病院等患者受診環境改善設備整備事業のうち、新年度から実施を予定されております岩手県立病院等の新しい経営計画に盛り込まれた交通アクセスの確保に関する事業経費として、マイクロバス5台分の購入に充てる補正予算2、300万円を削除した修正案に賛成の立場で討論いたします。
 この補正予算案は、今議会開会中の2月26日、本会議開会前に、県当局から追加議案説明会の中で私たち議員に対して示されたものであります。各部局ごとの説明は慣例に基づきあらかじめ時間設定がされており、所管の保健福祉部に与えられている時間はわずか5分間であります。補正予算の主な事項、条例議案、関連議案等14項目の説明が矢継ぎ早に行われております。この中の一つが、前述いたしました新しい経営計画に関係する予算でありました。
 そこで、岩手県立病院等の新しい経営計画が示されて以来、今日に至るまでどのような議論が積み重ねられてきたか、振り返ってみる必要があります。
 昨年11月17日、12月定例議会を前にして、10日前議運が開催された日に、当局の議案説明会とセットでこの計画案が示されました。しかも、その内容は、1病院の無床診療所化と5診療センターの無床化を前面に打ち出し、診療センターの無床化については新年度4月から実施というものでありました。まさに寝耳に水の提案に、驚きとともに、このような一方的な県及び医療局の姿勢に、私たち議員の中からも、当該地域住民と関係自治体からも、一斉に、唐突であり拙速な提案であるとして、受け入れられないとの反発の声が上がったのです。すべてはここから始まりました。
 そして、この間の計画案に対しては、地域住民や関係自治体による無床化計画の見直しと実施時期に対する意見、要望が相次いでいるほか、議会においても、議員多数の意思による請願採択と附帯意見の決議、議会意思の尊重を求める要望書が提出されており、今議会においても、その議論はこれからの新年度予算案に対する審議も含めて、なお、継続されております。
 そうした中で、今回計上された補正予算について、先ほど申し上げたとおり、議会に対しての十分な説明責任も果たされず、またもや独断先行の手続をもって提案がなされ、しかも、新年度からの重要な課題として、なお、慎重に議論が行われている中、国の交付金活用を優先とする姿勢に、またかという思いを率直に感じたところであります。
 昨日の総務・環境福祉両委員会の審査と連合審査会での当局提案と修正案に対する質疑では、まず具体的な内容について、バス購入判断の経緯を医療局長は、時間のない中、地域活性化交付金制度があったから乗ったというのが本当のところですと認めております。まさに、事務的な都合から、無理やり補正に組み込んだという実態が浮き彫りになっています。さらに、具体の運行計画についても、地域の実情や利用者あるいは当該自治体との協議も行わないなど、机上のプランによるずさんな計画であることが明らかになったものであります。
 バス購入についても、本予算が削除されたことによって、交通アクセスの確保のための対策が新年度予算の枠として確保できないということではないものであり、また、仮に4月実施ということになっても、バス導入には約2カ月程度の準備期間を要するため、その間は、結局、他の交通機関を利用する必要があるとしています。結局、政策の内容も、政策の決定過程も、実施時期についても、事ほどさように、準備不足を露呈していることが明白となりました。
 このようなことから、連合審査会では、こうした具体的な内容の議論とともに、当局側の提案に対する一方的な手法やその手続に対して、会派を問わずに厳しい意見が噴出したものであります。つまり、今回の修正案が両委員会で採択されたその真意は、バスの購入の可否の問題以前に、県当局の政策決定のあり方や手続を含めた姿勢そのものに対する不信のあらわれであり、その意思の表明であることを気づいていただきたいのです。
 経営計画をめぐる議論は、今、たしかに平行線の状態にあります。しかし、この課題が論じられてきたことにより、今日の議会における議論も地域住民の皆さんも、実施時期とその間の取り扱い方、つまり、有床、無床の是非に違いはありますけれども、厳しい岩手の医療の実態に耳を傾けることへの必要性や医師不足と経営にかかわる問題、そして地域医療を守るために何が必要なのか、何ができるのかを模索しようとする動きに確実に変わってきています。地域住民や関係自治体、開業医の方々も同じテーブルに着いて、みんなで考えていかなければならないとする思いが高まってきているのです。
 今回の修正案は、その意味で、経営計画問題との一体の切り口から改めて実施時期の再考と地域医療の問題について障壁を取り払い、みんなで向き合って考えていく機会を強く求めるものであり、加えて、県民の立場に立った県政全般にわたる運営と政策の進め方について、知事並びに県執行部に対する姿勢を問うメッセージとして受けとめていただくことを切望しながら、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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