平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇19番(三浦陽子君) 民主・県民会議の三浦陽子でございます。
 先輩、同僚議員の皆様の御配慮をいただき、本年度2回目の一般質問の機会をいただきました。これまでの質問と重複した部分がございますが、知事初め当局の皆様の簡潔明瞭で前向きな御答弁をお願いいたします。
 まず、人口減少社会における岩手県の地域活性化について伺います。
 厳しい財政状況の中、県はこれまで民間に管理運営をゆだねる指定管理者制度を導入したり、今年度は12のゼロ予算事業を取り入れ、県職員を有効活用するなど歳出削減に取り組んでこられました。このような中、昨年はアメリカの金融経済情勢の影響を受けて、派遣労働者の雇いどめや非正規雇用者のリストラ、さらには学生の内定取り消しなどの深刻な雇用問題に発展することとなりました。そのため、岩手県は緊急雇用対策として、県の施設の空きスペースを利活用し、新たな雇用創出につなげる事業に乗り出し、雇用や地域活性化への効果を期待する計画を打ち出されました。
 そこでお伺いいたします。この事業の特色、ねらいとするところはどのような点でしょうか、お聞かせください。
 また、現時点で具体的にどのような施設を対象と考えているのか、今後、公募、貸付相手の選定などの手続を進めていく上でどのような点を考慮するのか、あわせて伺います。
 県の財産の有効活用は、雇用の創出や地域活性化に大変有意義であると考えます。例えば老人介護施設やデイケア施設、また、地元の郷土芸能や伝統文化活動の支援策として練習場や発表の場、子供や若者、そして高齢者の世代間交流の場としての活用や地域間交流の拠点づくりとしての活用も過疎地域対策として有効な手段と考えます。
 昭和30年代から高度経済成長の中で農山漁村地域の過疎化が進み、現在、岩手県には17の過疎市町村があるということです。これまで、過疎地域対策緊急措置法、過疎地域活性化特別措置法によって各種施策が取り組まれ、平成12年4月から超党派による議員立法で過疎地域自立促進特別措置法が制定され、平成22年3月末で期限が切れることとなっております。
 そのため、その後も引き続き総合的な過疎対策を充実強化し、過疎地域の振興が図られるよう新たな過疎対策法の制定を求める運動が全国で展開されているということですが、岩手県としては、人口減少が進む中、今後、過疎地域となっている市町村とどのように連携して若い世代の流出対応策を図り、地域の伝統文化活動への支援なども含めてどのように過疎対策に取り組んでいかれるおつもりか、知事の御所見を伺います。
 次に、岩手の地域医療のあり方について伺います。
 20年ほど前の中村知事の談話によると、岩手の医療の創成期から40年を経て成熟期を迎えたが、今後はもっと整備された病院を持つほうが広域の地域福祉につながるし、高度医療にはチーム医療体制を整えなければ適切に対応できないということから、地区ごとに再編成して中央病院からの応援体制という形に考え方を変えてきた。医療局長時代には医師確保にかなり苦労した経験があり、厚労省に医師の地域偏在を是正する施策がないことを直談判したこともあったと述べられています。地域医療には欠員が出ても派遣できる体制をつくれるだけの余裕が必要であり、国ががっちりした援助、助成を制度化すべきであり、看護体制の充実、そして医療従事者の人間教育が大切であるとも言っております。
 また、院長対談にも、これからの県立病院のなすべきことは保健と診療と福祉の3者が一体でそこの地域を守ることであり、県病以外の病院との連携を図るべきというコメントからも、当時から岩手の地域医療についてさまざま危惧されていたように思います。
 そして、20年経過した今の岩手の医療の現状はどうでしょう。岩手県立病院医師連合会が「共に、岩手の医療を考える」というシンポジウムを開催し、救急医療の過酷さや地域のニーズにこたえられない医療現場の苦悩が語られ、また、岩手県保険医協会主催の産婦人科の医師不足についての座談会では、産婦人科の先生から過酷な勤務状況や周産期医療の危機が浮き彫りにされました。勤務医の実態が今まで県民に理解されずにきたことが医師が心身ともに疲弊していったことにつながっていったのではないかと残念でなりません。
 しかし、このたび達増知事は、現場の勤務医の声を受けとめ、苦渋の決断を下しました。県民の大切な命を守るためには、今はまず医師の勤務環境の改善が必要で、住民の方々の御理解と御協力をいただきたいと私は理解しております。
 過日の調査先である国立長寿医療センター総長の大島先生は、医療は必要としている人に適切な技術が届けられて初めて医療である。これからは高齢者にふさわしい医療提供のあり方を地域全体で引き受けるという医療に変えていくことが求められる。病院も診療所も介護施設も、専門医、総合医も歯科医師、看護師、介護士も、あらゆる社会の資源が連携して、役割分担して地域全体で生活を支えていくのが本来の医療の姿ではないかなど、地域医療について御当地の新聞に連載しております。
 現在の医師偏在や診療科偏在が全く改善されていないのに国が医師削減政策を続けてきたのは、医療費の増加が国民の利益を損なうことになるという医療費削減を推し進め、結果、我が国の全国各地で医療崩壊を引き起こし、総務省は07年12月に病床削減や財政の建て直しのための公立病院改革ガイドラインをまとめました。ガイドラインによれば、公立病院への既存の地方財政措置についても見直しを検討することとされていますが、この地方財政措置の具体的内容はどのようなものであり、危機的状況にある本県医療にとってどのような影響があるのかお聞きします。
 かつてイギリスの保守党のサッチャー政権のもと、効率化を求めて医療費削減を行った結果、イギリスの医療が崩壊し、健康格差が生まれました。そして、労働党のブレア政権にかわり医療政策が大きく方向転換したことにより、この10年間で看護師8万人、医師3万8、000人増となり、5、000人の家庭医を確保したといいます。医療における信頼回復のため、国の責任を明確にして規制政策が後押ししたことで多くの国民の命が救われました。今後は、地域主導の医療の質改善を推進することとしております。
 地域医療の再生を図るため講ずべき対策は、医師数をふやし、国による医師配置体制の確立、勤務医の過重労働解消策の実現、公務員体質からの脱却による経営改善、そして住民の協力であると前県立中央病院長の樋口先生も力説されております。
 岩手の県立病院は、国分知事の時代から約60年の歩みの中で、今、大きな転換期を迎えております。岩手の地域医療の確立のため、昭和25年11月1日に県営医療がスタートしたことから、11月1日を岩手の医療の日という条例を定めるのも県民医療を守る意思表示になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 国の政策によって地域医療が崩壊の危機に瀕している状況を食いとめるためには、イギリスのように医療制度そのものの抜本的な見直しを図り、国レベルでの政策の見直しも不可欠と考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、岩手の高齢者福祉、介護施策の推進について伺います。
 私は、委員会調査で、社会福祉法人愛知たいようの杜が経営しているゴジカラ村を視察してまいりました。雑木林を上手に利用して、各種老人福祉事業、幼稚園や介護福祉専門学校などの教育事業のほか、託児施設や高齢者と異なる世代がともに生活して交流できるコミュニティ施設として、そして介護福祉士や看護師の研修施設などの運営の取り組み状況を伺いました。
 区画整理で壊されることになった雑木林をもったいないと感じて子供たちを自然の中で遊ばせることのできる幼稚園をつくり、お年寄りにも自然の中でゆったりと暮らしてほしいと特別養護老人ホームを立ち上げ、その後、次々と事業を展開してきたと言います。雑木林のようにさまざまな木がさまざまなありようで暮らし、少しずつ我慢して暮らし、いつも未完成である暮らしを理想に掲げて取り組んでいました。
 そこでお尋ねいたします。平成19年の岩手県の高齢化率は25.8%で前年より0.6%伸びており、このままいくと16年後の平成37年は35.0%と予想されておりますが、そのときの岩手の姿はどのようにあるべきか、そして地域特性に根差した高齢者施策のあり方について知事の御所見を伺います。
 次に、男女共同参画の視点に立った県政運営についてお伺いいたします。
 国の平成20年度男女共同参画推進関係予算額の概要を見ると、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大、男女の職業生活と家庭、地域生活の両立の支援、女性研究者や女性消防団員の採用を図るなど、新たな取り組みを必要とする男女共同参画の推進について予算が増額になっており、国における男女共同参画の推進に積極的に力を入れているように思えます。
 昨年の6月議会の一般質問において、達増知事からは、男女共同参画社会の実現は息の長い取り組みが必要であり、市町村や関係機関と連携しながら着実に成果が上がるよう取り組んでいくという前向きな御答弁をいただきました。今後の取り組みに期待いたします。
 先般、県議会の男女共同参画社会を目指す協議会で沖縄の取り組みを視察してまいりました。沖縄県の知事部局における女性職員の登用状況は、8部局のうち福祉保健部と農林水産部の部長級2名、次長級は7名、課長級は22名となっておりました。沖縄県職員人材育成基本方針で女性職員の積極的な登用を定めており、男女の区別なくそれぞれの能力を多様な分野で発揮させ、新たな発想を取り込み、バランスのとれた行政を実現するため、女性職員の職域拡大や管理職員などへの登用を推進するものです。また、人事異動方針として、女性職員の育成、登用という観点から女性職域の拡大に引き続き取り組むとともに、管理監督の能力を発揮できるポストへの配置を積極的に行うこと、そして女性職員の研修派遣を積極的に推進することとしています。
 そこで伺いますが、男女共同参画の視点に立った県政運営を推進するためにはさまざまな施策があると思われますが、知事はどのような点を重視し、どのように取り組もうとされているのでしょうか、お考えをお聞かせください。
 また、岩手県の男女共同参画社会の実現のためには方針、政策決定への女性の参画の拡大を図るべきと考えますことから、まずは県が率先して地方公務員の育児休業、育児のための部分休業、介護休暇などの取得促進に向けた職場環境整備を図るとともに、各制度についての情報提供に努める必要があると思います。そして、女性職員の研修の場を充実して将来の管理職を目指すことのできる環境整備が必要と思いますが、いかがでしょうか。県には大変有能な女性職員が多いと思いますが、管理職としての登用が少ないのが残念です。
 今後、岩手県では、男女共同参画社会の実現に向けて岩手県の女性管理職登用の推進をどのように図っていくつもりかお伺いいたします。教育・研究機関などにおいても、子育て中の女性への支援を積極的に進めていくことにより、女性医師や看護・医療スタッフなど専門分野における女性の活躍が一層期待できるものと思います。
 防災における取り組みについて伺います。
 昨年は本県で不幸にも二つの大きな地震に見舞われたことから、女性の視点に立った取り組みの必要性を感じたのではないかと思います。阪神・淡路大震災を経験した女性が、避難所における女性に対する対応が大変まずかったことから、子供や女性、高齢者、障がい者に対して女性の視点での対応が重要であると訴えておりました。
 そこで伺いますが、防災対策に女性の視点を取り入れる観点から、岩手県においては防災会議に女性が参画していないようですが、別枠で女性に参画してもらうことはできないものでしょうか。女性消防団員の採用など女性の参画を促す取り組みはどのように行われているのでしょうか。
 また、全国的にも問題になっている配偶者間暴力、いわゆるDVについてですが、昨年からの金融・雇用問題などによる社会情勢の悪化に伴い、DVや犯罪行為による女性への暴力の増加が懸念されることから、警察との強い連携が望まれます。
 前回の一般質問で、平成19年の相談数は、配偶者暴力相談支援センター768件、警察署136件、一時保護が32件、保護命令発令件数は31件であり、支援センターによる相談、緊急時の宿泊場所の確保、提供、生活支援などの事業を実施しているという御答弁をいただきました。今年度の傾向はどうなっているのでしょうか。また、市町村の取り組みの推進支援はどのように強化されているか伺います。
 また、児童虐待につながる事例もあるようですが、DVと児童虐待の実態をどのようにとらえており、子供への対応はどうなっているのか伺います。
 次に、岩手の安全・安心な食と健康づくりについて伺います。
 昨年は中国ギョーザ問題で健康被害が起こり、その後、相次ぐ事故米の問題やメラミン混入事件により、食品に対する不信感が募ることとなりました。県民の食の安全・安心の確保を図るための取り組みを早急に進めていく必要があることから、食品適正表示に向けた業界の自主的な取り組み支援や屠畜場に搬入されるすべての牛へのBSEスクリーニング検査の実施、及び食育の推進を図るために食育推進県民大会やワークショップの開催などの事業を推進することは県民にとって大変心強いことであります。
 これまでも県として食の安全・安心の取り組みを進めてきたと思いますが、平成21年度食品衛生監視指導計画の施行に当たり、これまでの取り組みとはどこが違うのか、そしてこの計画の適用期間が1年間となっておりますが、計画は毎年見直していくものなのでしょうか。
 また、抵抗力の弱い子供や高齢者、療養している方の食品の衛生管理は特に徹底しなければなりませんが、E型肝炎やノロウイルス感染症、腸管出血性大腸菌感染症など食品由来感染症対策について具体的にどのように推進していくつもりか伺います。
 食を通じた健康づくりについて伺います。
 健康長寿社会の実現に向けて、元気な高齢者の食生活の研究を進めることにより、岩手らしい健康づくりができるのではないでしょうか。
 かつて長寿村として有名だった棡原村の食生活を一軒一軒歩いて調査していた岩手大学の栄養学の鷹觜テル先生の著書を思い出しました。食生活の変化に伴って村民の寿命が短くなっていったことが記されておりました。
 本県の食育の推進は、平成18年に岩手県食育推進計画が策定され、健康いわて21プランの中で大変重要な位置づけとなっていると考えます。
 子供のころから食への関心を持ち、生活の中での食事の大切さを学び、おいしく、しっかりかんで食べるためには、むし歯や歯周病の予防や口腔機能の改善を図ることが大切です。また、伝統食を取り入れた食文化を見直したり、食生活の改善や運動習慣の徹底を図ることにより、いわゆるメタボリックシンドロームの予防や改善に有効と考えられておりますが、市町村によってはなかなか効果的に広がっていない地域もあるのではないかと思われます。食を通じた健康づくりの観点から、健康いわて21プランの取り組みをさらに市町村に広げていくためにどのような働きかけをしていくべきか伺います。
 本県においては、食の安全・安心に関する条例の制定に向けて検討を進めているということでありますが、食料供給県である本県は、県民のみならず、全国、そして全世界の方々が安心・安全で豊かな岩手の食を楽しむことができるよう、立派な条例を制定していただきたいと考えます。この条例制定を機会に、今こそ岩手の食を通してあらゆる分野の人たちが交流して、心身ともに健康で豊かな人生を送ることができるような取り組みをもっと推進していくべきと考えます。
 そこで伺いますが、今回の条例制定の背景、必要性や理念をどのようにとらえているのでしょうか。また、今後の施策の推進体制はどうでしょうか、知事のお考えを伺います。
 続きまして、岩手の薬草を中心とした農業振興と産学官連携の可能性について伺います。
 温故知新という言葉がありますが、岩手の医療の歴史をたどっていくと、昭和の初期に産業組合中央会岩手支会長に就任した新渡戸稲造博士の名前が出てまいります。保証責任岩手県薬草販売購買利用組合連合会、通称薬草連が設立され、その後、薬医連と発展し、産業組合組織による診療所がつくられ、そして昭和25年に県立病院として県営医療がスタートし、現在の岩手県の医療体制ができたわけです。
 戦前の薬草事業は不況を背景に立ち上がった事業であり、農村、農民を貧困から開放しようとの思いを受けとめたものでありました。戦後は、岩手の農民知事と言われた国分謙吉知事が全国に先駆けて県立の薬草園設置を決め、昭和24年にスタートさせて薬草事業を推進したものの、昭和30年に国分知事の退任により薬草園は六原農場に移され、昭和37年度をもって残念ながらその事業は廃止となったそうです。
 岩手県薬剤師会50周年史によると、昭和57年に国が漢方生薬の確保対策として薬用植物の国内栽培を指導、援助する方針を明らかにしたことから、全国初の岩手県薬草園の消滅は今になってみると惜しみても余りあるものと記載されております。
 新渡戸研究を行ってきた財団法人新渡戸基金の呼びかけで昨年10月に薬草総合事業懇談会が設立され、岩手県、盛岡市、矢巾町、紫波町、岩手県農協中央会、岩手中央農協、岩手大学農学部、岩手医科大学薬学部、そして新渡戸基金の代表が集まりました。かつて新渡戸稲造博士が取り組んだ薬草事業を復活させて、農地活用と薬草研究開発事業として岩手の一大産業の一つにならないかというわけです。そこで、新渡戸基金は、岩手医大と縁の深い台湾大学薬学部へ岩手中央農協の組合長を団長として視察団を送ることとなり、5名の団員の中に私も参加させていただきました。以前から薬草や漢方に関心を持っていたので大変意義深い視察となりました。
 岩手医科大学の初代学長だった三田定則先生が台湾大学の前身の台北大学の総長だったということから、台湾大学薬学部の沈教授に大変好意的に迎えていただき、世界的に評価されている薬草の研究の取り組みや成果についてレクチャーを受けることができました。慢性疾患やがんやエイズ、認知症などに有効な成分の分析抽出に成功して、台湾大学の医学部で臨床にも使われているということですので、台湾の漢方医学は進んでいるのだと感じました。もし岩手県で薬草の研究事業に取り組むことができたときは岩手医大の薬学部へ協力していただけると伺い、大変心強い思いで帰ってまいりました。
 岩手の薬草については、岩手フロンティア懇談会の席上で、県北の農協組合長さんが岩手の山は薬草の宝庫だともおっしゃっていました。
 先日、岐阜県の内藤記念くすり博物館を訪ねてみたところ、薬草園で何百種類もの薬草や薬木を栽培しており、また、薬科大学や薬学部のある大学では大きな薬草園を持っており、観光客が訪れるようなところもあるということです。現代は健康志向で、薬草を使った自然食品や化粧品、また、いやしや病気に有効なアロマの研究開発も盛んに行われております。そして、地域振興策として、与那国島では島を挙げて薬草を栽培し、他県で商品化して長命草茶として販売しているということです。
 一方、教育分野においては、農業高校で薬草に関心のある学生が薬学部に進学を決めたり、岩手中央農協管内にある紫波総合高校でかつて成長点培養なども行った経緯もあることから、高校教育の中に例えば薬草科を設置して薬草に関心を持つ子供たちが多くなれば、薬草研究において世界的な研究者が誕生するかもしれません。
 そこでお伺いします。岩手の1次産業である農業に薬草をしっかり位置づけて、付加価値をつけて栽培に取り組んでいくことにより雇用も創出され、地域の活性化につながるのではないでしょうか。そして、教育、研究機関、企業との連携により、岩手県にとって大きな希望の光の一つとなるのではないかと考えますが、岩手県における薬草栽培事業の現状と県の取り組み、及び今後の産学官連携した薬草栽培の振興についての御所見について知事に伺いたいと思います。
 最後に、平成28年に予定されている第71回岩手国体の開催に向けての取り組みについて伺います。
 平成15年、財団法人日本体育協会国民体育大会委員会は、新しい国民大会を求めて国体改革2003を策定しました。国体は、戦後の荒廃と混乱の中で、スポーツを通して国民、とりわけ青少年に勇気と希望を与えようと、関係者の熱意と努力により昭和21年に京都を中心にした京阪神地域で第1回大会が開催され、我が国のスポーツ振興、スポーツの社会的地位の向上、都道府県のスポーツ施設の整備及び競技団体などのスポーツ組織体制の充実、各種指導者の育成と組織化の促進、郷土意識の高揚による地域の活性化、開催地におけるスポーツ文化、教育への貢献、開催地のPR及び経済効果への貢献など、スポーツ振興体制の確立とスポーツ文化の形成に総合的に寄与してきたとしています。
 そして昭和63年、2巡目に入って、取り巻く環境の変化によりさまざまな課題が顕在化しつつあることから新しい国体の方向性が示され、大会の充実・活性化と大会運営の簡素効率化の視点で具体的な課題に対応した改革に取り組むこととなりました。この改革をめぐっては、積み残した課題もあることから、おおむね5年スパンで21世紀の国体のあり方を求め、継続して改革を推進していくとされております。
 国体開催まで7年に迫っていますが、まだ主会場も決まらず、準備計画もよく見えてきません。国体改革2003では、開・閉会式は陸上競技場に限定せず、条件の整う屋内施設などの実施も可能とされておりますが、主会場選定に対する基本的な考え方を改めてお示しください。
 平成28年国体開催に向けて、競技力向上に向けた取り組みとともに、県民意識の高揚を図る取り組みを強力に推進していくことが重要と考えます。
 そこでまず、競技力向上について、開催まで7年という準備期間ですが、どのように対応しようとしているのでしょうか。また、7年後を見据えた指導者の養成はどのような形で進めていくおつもりか、そして青少年の選手育成の観点から、スーパーキッズから次のステップに向けてどのようにサポートしていくつもりか、あわせて伺います。
 また、県民意識の高揚の面からも、国体は県民全体で取り組むべきものとして活発な議論の中で進めていただきたいと思いますが、これらについて御所見を伺います。
 同時に、全国障がい者スポーツ大会が開催されますが、ユニバーサルデザインに基づいた競技施設や宿泊施設など公共施設のバリアフリー化の取り組みについてどのようにお考えか、お知らせください。
 以上、質問を終わりますが、答弁次第で再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 三浦陽子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の過疎対策についてでありますが、県としては、市町村と一体となって、生活環境整備面などにおける条件不利性の克服のみならず、地域が有するぬくもりのある人間関係や、多様な地域資源を継承してきたコミュニティの維持、再生などを支援することが必要であると認識しております。とりわけ、コミュニティを支える人材の確保、育成が不可欠であり、まずは、地域で生まれ育った若い世代が地域で落ちついて暮らしていけるよう、雇用の場の確保と所得の向上など、いわて希望創造プランの重点課題への対応を図っていくことが重要であり、このため、市町村と連携しながら、地域の特性、資源を生かした食産業、観光産業、農林水産業の振興などによる、持続可能な就労の場の確保対策に努めます。
 また、地域外からの人材を呼び入れるために、いわて定住交流促進連絡協議会などを通じて、受け入れの主体となる市町村の定住交流対策を促進するために、県としても積極的に支援しているところです。
 また、地域の伝統文化活動は、議員御指摘のとおり、世代間交流や郷土愛の醸成などを通じて人材の育成にも直結し、コミュニティの維持、再生に極めて重要であると考えております。したがいまして、今年度策定した文化芸術振興指針に基づき、平成21年度は、新たに文化芸術振興県民会議を4広域圏に設置し、市町村との連携を密にしながら、各地域における文化、芸術の振興を図るためのさまざまな活動を展開することによって、活力に満ちた地域社会の形成に努めてまいります。
 次に、岩手の医療の日についてでありますが、岩手の地域医療を支えるための取り組みに関し貴重な御提言であり、その趣旨については、現在、取り組みを進めております県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の場などで議論を深めてまいりたいと思います。
 次に、国レベルでの医療政策の見直しについてでありますが、全国各地で始まりつつある医療崩壊の危機の主な要因は、国の医師養成及び医療費の抑制政策等にあると考えております。
 議員御案内のイギリスの医療制度は、ブレア政権以降、医療への公的支出の増加と医療従事者の増員対策という2本柱で改革を行い、医師、看護師等の大幅な増員のほか、医療へのアクセスや質の向上等において、一定の評価を得ているところであります。
 一方、我が国においては、昨年6月になって、ようやく、医学部の定員抑制の方針が過去最大程度まで増員すると見直され、また、国の平成21年度当初予算においては、救急、産科医療対策、勤務医等の勤務環境の改善等の関係予算が増額されたところでありますが、今日の危機的状況を食いとめるためには、まだ十分とは言えない状況にございます。
 私は、医師の絶対数の不足、地域偏在、診療科の偏在等の課題を解決するためには、医療制度に関し基本的な制度設計を担う国において、医師を初めとする医療人材の育成方針や医療費の水準等について、さらに本格的に議論すべきと考えます。したがいまして、地方の立場から必要な提言を行うとともに、安心な地域医療の実現に向け、抜本的な改革を国に強く求めてまいります。
 次に、今後の高齢者福祉、介護施策の推進についてでありますが、平成37年は、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる年に当たっており、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、本県の人口は117万人と予測され、そのうち65歳以上の高齢者は41万人に達し、健康で社会参加意欲の高い高齢者がふえていく一方、介護を必要とする方は8万2、000人と、高齢者人口の20.3%になるものと見込まれています。
 このような、これまで経験したことのない高齢化社会を迎えるに当たり、いわて希望創造プランに掲げる共に生きる岩手を実現していくためには、高齢者自身が健康で社会における役割を積極的に果たしていくことが、より重要となります。岩手の自然の恵みや厳しさとともに生きる知恵と、お互いに助け合うすべを持った高齢者が、地域に根差した、福祉・環境等の分野での社会貢献や伝統文化の伝承活動、文化、スポーツ活動などに積極的に参加できるよう、支援する必要があります。
 また、介護などの支援が必要になった場合でも、高齢者自身の希望が尊重され、住みなれた地域で安心して生活を送ることができるよう、地域の実情に応じた在宅や施設の介護サービス基盤を、しっかりと整備していかなければならないと考えております。
 本県は、高齢者が子供と同居する割合が全国平均に比べて高く、家庭や地域ではぐくまれてきた支え合いの心は、認知症を理解し、見守る認知症サポーター数の人口に占める割合が全国第1位であることにもあらわれており、こうした県民性をもとに、住民が主体となった多様な支援を行う仕組みづくりを進めてまいります。
 次に、男女共同参画の視点に立った県政運営の推進方策についてですが、社会経済情勢が変化する中で、活力ある地域社会を創造していくためには、あらゆる分野において男女共同参画を推進することが緊要な課題であり、行政の率先した取り組みが重要と認識いたします。そのため、県では、岩手男女共同参画プランにおいて、施策の基本的方向の一つに、女性の参画拡大による男女共同参画の推進を掲げ、審議会委員や県職員管理監督者に占める女性の割合などについて目標値を定めて取り組んでおります。
 男女共同参画の理念を生かして県政を推進するために、政策・方針決定過程における女性の参画を進めるとともに、職員の意識改革や能力開発を進め、仕事と生活の両立が可能な働きやすい環境が実現されるよう、取り組んでまいります。
 次に、食の安全・安心にかかわる条例制定と推進体制についてですが、食品偽装表示事案などが相次ぎ、食に対する県民の不安が高まっている中で、私は、生産者や事業者を含めたすべての県民が連携し、食を大切にする心をはぐくんでいくことが大事だと考えております。そのため、この条例においては、消費者の視点を重視し、本県の特性を生かしながら、安全・安心な食品の供給や環境への配慮、県民の健康の保護などを推進し、本県の安全・安心な食を発信できるような内容としたいと考えております。また、来年度から食品衛生と食品表示に関する組織を一本化し、環境生活部で所管することとしており、施策の実効性を高めながら、本県の食の安全・安心の確保を図ってまいります。
 次に、岩手の薬草を中心とした農業振興と産学官連携の可能性についてのお尋ねであります。
 まず、薬草栽培の現状と県の取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、本県の薬草栽培は、県北部や県中部の畑作地帯を中心に古くから取り組まれており、品ぞろえが豊富な上、品質がよいことから、製薬会社等との契約栽培が年々拡大し、平成18年の契約栽培面積は5年前に比べて約8割増の36ヘクタール、全国第5位となっております。
 薬草は、本県の冷涼な気候や変化に富んだ地形に適した作物であり、収益性も高いことから、県といたしましては、中山間地域の活性化を図るための戦略作物として、その振興を図る必要があると考えております。
 このようなことから、県といたしましては、収穫作業の省力化を図るための機械の導入や、品質向上のための乾燥施設の整備、さらには、普及センター等による経営の指導や省力栽培技術の実証等により、支援してきたところでございます。
 次に、産学官が連携した薬草栽培の振興についてでありますが、薬草の付加価値をさらに高め、これを地域活性化に結びつけていくためには、生産者はもとより、地元大学や製薬会社と密接に連携した取り組みが重要でありますことから、昨年10月に、岩手医科大学や岩手大学、農業団体等で構成する薬草総合事業懇談会が設立されたところであります。今後は、この懇談会において、薬草の振興と高付加価値化の具体的な提言をいただき、国内有数の総合薬草産地づくりを推進するとともに、産学官連携による安全・安心を確保するためのトレーサビリティシステムや、医薬品を初め、食品やサプリメントなど幅広い産業の集積など、薬草を核とした総合的な産業クラスターの形成の可能性について検討してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 緊急雇用対策としての県有施設の利活用についてでありますが、この事業は、県の保有する施設の空きスペースが民間企業、団体等に対する貸し付け等によって有効活用され、新たな雇用が創出されることをねらいとしており、地域経済の活性化が図られるような利用方法が御提案いただけるよう、地域産業の事情に詳しい地域の商工会議所、商工会との緊密な連携のもとに進める、いわゆるゼロ予算の取り組みであります。
 具体的な進め方としましては、公募に際しまして、地元商工団体から、新規の雇用創出につながる活用策等について御意見をいただき、募集要領を作成するとともに、利用者の選定に当たりましては、まず、地元商工団体に選考をいただいた上で、県が最終決定することとしております。
 現在、対象となります施設の洗い出しを行っているところであり、準備が整い次第、順次、公募を実施できるよう検討を進めているところであり、そのうち、4月1日からの貸し付け等を開始する施設として、盛岡駅西口のいわて県民情報交流センター・アイーナなどを初め、近日中に公募を開始することとしております。
 選考等に当たりましては、新規雇用創出の効果、県産品の取り扱い状況、地域経済への波及効果などの視点から検討することとしており、創意工夫を凝らしたさまざまな利用計画が御提案いただけるよう、期待しているところであります。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、公立病院改革ガイドラインによる公立病院への財政措置についてでありますが、本県の公立病院改革は、深刻な医師不足などにより地域医療が危機的な状況にあることを踏まえ、限られた医療資源の中で、二次保健医療圏を単位として必要な医療を継続的に確保していくために、公立病院の再編、ネットワーク化による地域の中核的な病院への医師の集約化、医療機関の役割分担や連携などの改革を進めていこうとするものであります。
 今回の地方財政措置の見直しにつきましては、従来から措置されてきた過疎地や産科、小児科、救急医療などの不採算部門に係る財政措置を拡充したもので、一定の評価はできるものの、県内の公立病院全体の運営改善に直ちに大きな影響を及ぼすようなものではないことから、計画的に改革に取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、家庭内暴力、いわゆるDVによる児童虐待についてでありますが、児童の面前での配偶者やその他の家族に対する暴力行為は、児童に著しく心理的外傷を与える行為であり、DVによる児童相談所における心理的虐待相談件数は、平成19年度は6件で、20年度は1月末現在で16件となっております。これらのケースについては、児童相談所の専門性を発揮し、児童福祉司や児童心理司によるカウンセリングや心理療法を実施するとともに、児童の虐待の状況に応じて、家庭から一時引き離す一時保護や、児童福祉施設への入所措置などを行っているところであります。
 次に、平成21年度食品衛生監視指導計画についてでありますが、平成21年度の計画においては、重点的な取り組みとして、新たに義務表示が追加されたエビなどのアレルギー物質を含む食品の適正表示を徹底させること、他県で発生したようなフグによる食中毒を防止する観点から、フグの衛生確保の指導を徹底すること、中国製冷凍ギョウザ事件のように、犯罪等事件性が疑われる事例については、危機の状況に応じて警察等関係機関と連携し適切に対応すること、以上、3点を新たに明記しております。
 なお、毎年度の監視指導計画の見直しに当たっては、全国的な法違反の状況や地域の実情、さらには、前年度の監視実績等を勘案して策定することとしております。
 次に、食品由来の感染症対策についてでありますが、病院、社会福祉施設、学校等の集団給食施設において、ノロウイルス感染症や腸管出血性大腸菌感染症が発生した場合、大規模かつ重篤な患者の発生が危惧されるところであります。このことから、これらの施設に対し、従来の衛生管理に比べ、より高度な手法であるHACCPの概念を用いた大量調理施設衛生管理マニュアルに基づき衛生管理を行うよう、今後とも重点的に監視指導を行ってまいります。
 また、シカなどの野生動物を生で食べることにより感染するE型肝炎は、これらの肉を十分に加熱することが重要であり、ホームページやパンフレットなどを通じて、正しい知識の普及啓発を行うこととしております。
 次に、食を通じた健康づくりの観点からの健康いわて21プランの取り組みについてでありますが、プランでは、栄養領域の中に、成人及び子供の肥満者割合の減少や、成人の1日当たりの野菜平均摂取量の増加等の数値目標を掲げており、これらの目標を実現するために、県内に約7、500人いる食生活改善推進員と連携して普及啓発を行うとともに、食生活の面からの効果的な特定保健指導を行えるよう、市町村管理栄養士等の資質向上研修に取り組んできたところであります。
 また、今年度から、保健所単位でメタボリックシンドローム1割削減地域運動展開事業を開始し、市町村、学校や事業所などの関係機関と連携して、地域における40歳未満の肥満を減少させるため取り組んできたところであります。
 今後、県といたしましては、これらの取り組みを通じて得られた効果的な健康づくり事例をまとめて情報提供し、各地域における住民の望ましい食生活の実現に向けた取り組みがさらに進むように努めてまいります。
 次に、全国障害者スポーツ大会の開催に向けたバリアフリー化等の取り組みの考え方についてでありますが、この大会は、全国から5、000人を超える選手、役員が集い、国体の終了後に行われる規模の大きな大会であり、障がい者スポーツの振興や障がいに対する理解や交流の促進などを通じ、障がい者の社会参加の促進に大きく寄与する大会であると認識しております。
 この大会の開催に当たっては、ひとにやさしいまちづくり条例や、今般新しく見直すこととしているひとにやさしいまちづくり推進指針の趣旨を踏まえ、他県から訪れる障がい者の方々が安全に安心して本県に滞在できるよう、競技施設、宿泊施設、商業施設、交通施設などのバリアフリー化の促進に向け、一層の啓発を図るとともに、手話通訳や案内、介助等の運営に関するボランティアの養成、さらには、県民と選手等の障がい者が気楽に交流できるよう、県民意識の醸成を図るなど、ハード、ソフトの両面から、多くの県民の方々の参加と協力による心のこもった大会を目指し、機運の盛り上がりを図ってまいりたいと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 男女共同参画に関する県職員の職場環境の整備についてでありますが、県としては、これまで、次世代育成支援のための特定事業主行動計画や人材育成ビジョンに基づき、育児参加の促進を図るための育児短時間勤務制度の創設や、特別休暇の充実を初め介護、看護休暇の拡充など、職員の勤務条件を整備し、その周知にも努めてきたところであります。また、子育て世代の女性職員を、通信講座を中心とした自治大学校の研修コースへ派遣するなど、研修機会の充実を図るとともに、これまで女性職員が余り配置されていない部署にも積極的に配置することなどを通じ、女性職員の能力開発にも取り組んできたところであり、今後においても、その推進に向けた環境整備に鋭意努めてまいります。
 次に、女性職員の登用についてでありますが、本年度における知事部局の管理監督者への登用状況は、副部長級が2人、総括課長級が5人、担当課長級が13人、主任主査級が69人、主査級が285人となっております。特に、総括課長級以上の管理職が少ないのは、管理職層の大宗を占める50歳代の女性職員の割合が7.1%と低いことが大きな要因でありますが、40歳代以下の女性職員の割合は増加してきており、また、監督者層への登用や職員育成を積極的に進めてきた結果、マネジメント能力や専門性の高い女性職員が着実に育ってきていると感じております。
 県民の期待にこたえられる県政運営を推進していくためには、県行政における男女共同参画の推進を通じた組織パフォーマンスの向上は重要と認識しており、適材適所の人事配置を基本としつつ、女性職員の登用について積極的に取り組んでまいります。
 次に、防災対策への女性の参画についてでありますが、まず、県の防災会議におきましては、平成21年3月1日現在、委員総数55名の全員が男性となっております。委員の構成としては、災害対策基本法に基づき、指定地方行政機関、陸上自衛隊、教育委員会、市町村、消防機関及び指定公共機関などの長や役員等で構成されており、委員についての職の指定等がございますため、現在のところ、該当する職等に女性がついていないことから、女性が委員に入っていない状況にあります。
 全国知事会でも、男女共同参画推進の観点から、こうした状況の調査を始めていると聞いており、本県としても、法改正の可能性も含め、防災会議への女性委員の就任の実現方策を検討してまいります。
 次に、本県の女性消防団員の状況につきましては、平成20年4月1日現在401名となっており、全団員数に占める割合は1.7%でありますが、対前年比27名の増となっており、消防団員の数全体が長期的に減少傾向にある中で、女性消防団員は増加傾向となっております。現在、県の防災会議には女性委員がいないことや、また、女性消防団員の割合が低い状況にあるわけでございますけれども、2度の大地震の経験から、地域における防災力の強化には女性の視点や役割が重要であり、今後一層の参画が求められていると感じているところであります。このため、県の地域防災計画では、災害予防や応急対策において、男女双方の視点への配慮や環境整備などに努めることとしておりますほか、自主防災組織への参画や婦人防火クラブを通じての防災活動への参加など、女性が参加しやすい環境づくりに努めているところでございまして、今後とも、引き続き積極的な参画を促すよう努力してまいります。
   〔環境生活部長瀬川純君登壇〕
〇環境生活部長(瀬川純君) いわゆるDVの今年度の傾向と市町村への支援についてでございますが、平成20年度の相談件数は、配偶者暴力相談支援センターで、12月末現在で513件、警察署で、暦年で210件となっており、19年度と比べて警察署の相談件数が大幅に増加しております。また、一時保護件数は、12月末現在で25件、保護命令件数は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の改正により、命令の対象が拡充されたこともあり、暦年で56件と増加しており、今後とも、警察を初め関係機関と連携して適切に対応してまいります。
 市町村の取り組みの支援については、平成19年度の法改正で、基本計画策定や配偶者暴力相談支援センター設置が市町村の努力義務とされたことから、市町村職員を対象とした研修を実施して、制度の周知を図ってきたところであります。
 DV被害者の支援には、住民に身近な市町村の役割が重要であることから、今後、相談支援マニュアルを改定するほか、職員研修を充実させ、相談実務や先進事例の周知を図るなど、必要な支援を行ってまいります。
   〔総合政策部長菊池秀一君登壇〕
〇総合政策部長(菊池秀一君) 国体についてでありますが、まず、開・閉会式会場の選定に関する基本的考え方につきましては、財団法人日本体育協会の国民体育大会施設基準では、式典会場は、観覧席が仮設スタンドを含み約3万人を収容できる施設であること、屋外の式典会場の場合は、雨天対策用として体育館があることとされておりまして、想定される県内の施設としては、県営運動公園陸上競技場、北上総合運動公園陸上競技場及び県営野球場の3施設がございます。
 先催県の例では、平成22年に国体が開催される千葉県の野球場の例がありますが、式典運営に際しましては、選手団の集合待機場所などの十分なオープンスペースが必要とされ、県営野球場の場合は、スペースの面での余裕がないことから、開催は困難であると考えております。したがって、現在、県準備委員会において、候補地を県営運動公園陸上競技場と北上総合運動公園陸上競技場の2施設に絞って検討しているところでありまして、県営運動公園陸上競技場を2種として維持していくという県の整備方針を踏まえながら、両施設の状況、式典の運営、選手団の輸送、交通、宿泊等を総合的に検討し、選定することとしております。
 次に、県民意識の高揚についてでありますが、昭和45年の岩手国体では、花いっぱい運動や体力づくりを進める運動などの県民運動が全県で展開されまして、県民総参加による大会として成功したところでございます。平成28年の岩手国体でも、国体の開催準備の段階から県民の参画をいただきながら、このような県民運動が各地域で行われ、県民総参加の大会となるよう取り組んでいきたいと考えております。
 具体的には、来年度、県準備委員会に広報・県民運動専門委員会を立ち上げまして広報活動をスタートさせることとし、その事業としましては、アスリートや指導者等による講演会の開催、いわてグラフや市町村の広報誌を活用しての国体情報の発信、昭和45年岩手国体の記録映画や写真パネルの貸し出し活用などに取り組み、県民意識の高揚につなげていきたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 競技力向上についてでありますが、第71回国民体育大会岩手県選手強化本部で策定されました選手強化基本計画に基づき、組織の拡充強化、指導体制の確立、選手の育成強化、サポート体制の整備充実を柱として、競技力向上を計画的に進めることとしております。
 また、指導者の育成については、各競技の優秀指導者を中央競技団体等が主催する指導者研修会、講習会へ派遣するとともに、国内トップコーチを本県に招聘して、トップレベルの指導方法や最新の指導技術の習得を図ってまいります。
 次に、スーパーキッズ発掘・育成事業についてでありますが、現在、どの競技種目にも共通する基礎的な運動能力の開発や知的能力の開発、また、スポーツ栄養等の指導を行っているところでありますが、同時に、各種個人能力のデータ収集と分析を行っており、スーパーキッズ個々に対して、適性競技種目に関する情報を随時提供しているところであります。
 一方、専門技術等の強化主体となる競技団体には、基礎的能力を育成したスーパーキッズが、引き続き高いレベルの技術指導を効果的に受けられる体制の整備を進めていただいており、中学3年生の段階からは、中高校生の強化事業や国体選手の強化事業を通して引き続き支援してまいります。
〇19番(三浦陽子君) 大変前向きな御答弁をいただいたと思っております。ありがとうございます。
 幾つかというか、三つほど再質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初に、男女共同参画社会の視点に立ったというところで、職場の環境が整うことが大事だということはもちろんですけれども、そのためにはいろいろな多くの壁があると思います。このたび、県ではいわて子ども希望基金を創設するということで、ワーク・ライフ・バランスの推進の点から、子育て世代にとって基金の有効な活用を願うものですが、具体的にどのように活用するおつもりか、お伺いしたいと思います。
 二つ目に、輸入食品の安全性確保対策として、先ほど中国ギョウザの問題などもお話しされましたけれども、茨城県では、輸入食品の安全確保対策として、食品輸入業者に対し、届け出を義務化する規定を盛り込んだ新条例の骨子をまとめたということですが、このたびの条例に、その輸入食品に対する安全性確保対策を盛り込むことが必要だと強く思いますが、御所見をお願いします。
 次に、国体につきまして何度か質問にも出ておりましたけれども、もう一回確認させていただきたいんですが、2種公認ということで進めたいという県当局のお考えですが、財政的な状況を勘案したということも考えられますが、盛岡市と盛岡広域の方々は、県都盛岡が開・閉会式に向いているのではないか。その一つには、まず、人的な支援も多く得られますし、また、今、非常に盛り上げたいという市民、それから周りの方々の思いも募っていることから、県民意識を上げる上においても、非常にそういう方々のお力は大きいのじゃないかと思います。1種公認にという思いは私も思っておりますが、これは子供たちに残せる大きな財産になるのではないかというふうに考えておりますので、その辺もちょっとあわせてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 それからまた、先ほどからもおっしゃっているように、交通とか宿泊とかそういう選定において、総合的に検討するという御答弁をいただいたんですが、歴史と文化のまち県都盛岡は、利便性はもちろん、観光面などにおいて、県全体への経済的な波及効果も大きいと考えますけれども、その辺のことからも検討材料として非常に重要ではないかと思いますが、御所見がありましたらお知らせ願いたいと思います。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) いわて子ども希望基金(仮称)についてでありますけれども、本年10月を目途として、財団法人岩手県長寿社会振興財団が管理するいわて保健福祉基金33億円のうち10億円を原資として、この基金を創設することとしております。この基金を活用して、これまでの県、市町村の子育て支援策に加えまして、これを補完的かつ柔軟に取り組む事業として、若い世代への結婚支援、企業・団体への支援、地域の多様な子育て活動への支援などを行うものであります。特に、ワーク・ライフ・バランスの観点からは、県は、これまで、企業訪問によります一般事業主行動計画の策定支援や、優良企業の認証等を実施してまいりました。さらに、子育てに優しい職場環境づくりに取り組む企業や団体の拡充を図るために、新たに経営者セミナーの開催、優良企業などの財団ホームページでの紹介、さらには、男性の育児休業取得者が出た企業への助成などを行おうとするものであります。
〇環境生活部長(瀬川純君) 輸入食品の安全性確保対策についてでございますが、近年、食品の輸入件数が大幅に増加しており、輸入食品の安全性を確保することは、食の安全・安心を守る上で極めて重要な課題と認識しております。輸入食品につきましては、国において、輸入業者に対し、食品等の輸入時に、食品衛生法に基づく輸入届け出等を通じて監視指導を行っております。また、輸入後の流通段階におきましては、国及び都道府県において監視指導を行い、違反が発見されたときは輸入業者による迅速な回収が行われるよう、適切な措置に努めているところでございます。
 食の安全・安心に関する条例に輸入業者の届け出制度等を盛り込むことにつきましては、現在、こうした規定を設けている都道府県がない状況にはございますが、御指摘のあった、他県における検討状況等もよく参考とさせていただきながら、食の安全安心委員会の御意見等も伺い、その必要性などについて十分検討してまいりたいと存じます。
〇総合政策部長(菊池秀一君) 国体に関しまして、経済波及効果というお尋ねでございますが、先催県の例を見ますと、開・閉会式の会場、県庁所在都市以外の市や町で開催している例は多くございますけれども、それをもって、参加者の数が左右されるという結果にはなっておりませんで、それはやはり国体が都道府県全体で開催されるということを示しているものと考えております。岩手国体の場合は、本県が誇ります平泉を初めとする観光資源、宮沢賢治や石川啄木などの先人の魅力など、岩手全体のすばらしさを県外に発信することで多くの人を本県にお招きし、経済効果につなげることができるものと考えております。
 また、国体の期間中は、選手や役員は、県内のそれぞれの競技会場地あるいはその周辺地に宿泊いたしまして、開会式には県内各地からバスで移動するというようなのが一般的でございますので、そうした経済波及効果というものは、開会式会場地のみならず、競技会場地やその周辺地など全県に及ぶものと考えております。
 そういうことで、開・閉会式会場あるいは各競技会場につきましては、準備委員会におきまして、各地域がひとしく国体開催のメリットを享受できるよう、全県的、客観的な観点から選定していくこととしております。
〇教育長(法貴敬君) 第71回国民体育大会における教育委員会の命題というのは、競技力向上であります。残されたわずか7年の間で最大限の効果を図っていくためには、競技力向上に向けたソフト事業を大幅に増加させていく必要があること、施設については、インターハイ以来、県内にスポーツ施設のインフラ整備が整ってきていることなどに伴い、その有効活用を図ることとしたものであります。
 大分国体に私も出向きましたけれども、大変惜敗する競技が多くて、勝敗がすべてではないんですけれども、勝ちたいとか、勝たせてやりたいという思いを強くしたところであります。そのためには、他県にはもう既に整備が進められております医・科学的根拠や、通年にわたる練習が可能となる医・科学サポート機能を備えた多目的屋内練習施設を優先整備したものでありまして、財政状況のみを優先して整備方針を決めたものではないことに御理解をいただきたいというふうに思います。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時54分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時13分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋元君。
   〔7番高橋元君登壇〕(拍手)

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