平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(飯澤匡君) 政和・社民クラブの飯澤匡でございます。
 請願陳情受理番号第48号県立大船渡病院附属住田地域診療センターの診療体制の維持と充実を求める請願、及び請願陳情受理番号第50号から第54号までの6件について、委員長報告に対し、賛成の討論を行います。
 これらの請願は、現在、パブリックコメントに付されている岩手県公立病院改革推進指針案、岩手県立病院等の新しい経営計画案で示された診療センター、住田、紫波、大迫、花泉、九戸の病床無床化と、県立沼宮内病院の無床診療所化に対し、引き続き、現体制の存続を求め、地域医療の充実と強化を図ることを求める内容であります。
 環境福祉委員会において、委員各位による真摯な議論が展開され、同請願の取り扱いについては、意見を付して採択と決定されたものであります。
 これらの計画案が公表されて以来、関係市町村において計画案の再考をめぐる動きが強まっており、去る12月3日に、関係6市町村の首長らが県庁を訪れ、知事に対し、余りに拙速、県民の理解は得られないと指摘した上で、市町村と十分協議し、時間をかけて住民に説明するとともに、地域の実情に即した体制とすること、病院の無床診療所化及び地域診療センターの無床化は絶対に行わないことを県に求めました。
 この一連の動きが象徴的に示すように、関係市町村との協議、説明がないまま公表に踏み切ったことは極めて唐突であり、さらに、来年2月には成案とし、4月1日からの計画実施施行としたことは、住民への説明の日数を十分に確保することを前提とした計画とは言えず、余りに拙速なやり方と指摘を受けてもやむを得ないと思われます。
 実際、知事は、さきの要望を受けた際、早期に計画案を開示しなかった点に謝罪をしており、また、さきの常任委員会でも保健福祉部長が同様の答弁をしていることから、手続の不備については県側も認めた形となっているのであります。平成18年に県立大迫病院、紫波病院、花泉病院、伊保内病院の無床診療所化という県立病院改革案が提示され、今回同様、地域住民から一斉に不安の声が出ました。県議会は、議会が一体となって、診療所として最低要件の19床のベッドを確保することを県側に申し入れるなど、迅速な対応をした経緯があります。また、診療所化条例を可決する際に、地域住民の不安の払拭・解消と医療の維持向上に努めるよう強く求めること、保健・福祉との連携を一層図りながら、地域医療の確保が図られる医療提供体制の構築を求める決議をしたことは、議会の意思表明として重大な意味を持つものであります。それらに対する検証や説明がないまま、今回の無床診療所化計画を安易に容認することは到底できないと考えます。
 常勤医師の減少や地域別・診療科別の偏在、臨床研修制度の影響による医師派遣の減少等、医師の確保が困難な状況や、診療報酬のマイナス改定、入院患者や外来患者の減少による医業収益の減収により、県立病院を取り巻く環境が悪化していることは動かざる事実と承知をしています。特に医師の確保と勤務環境の改善は重大な課題です。
 しかし、有床診療所を無床にすることが、医師確保の必要絶対条件なのでしょうか。この間、医療資源の有効な活用について、自治体や住民と、例えば互いの責任分担にまで及ぶ掘り下げた問題意識の共有がなされていたでしょうか。地域医療の確保は、希望創造プランにも掲げられた四つの重要施策のうちの一つであります。県立病院が本県の中核医療機関として位置づけられており、無床診療所化となる関係市町村にとっても地域医療の確保は重大な行政課題であり、県は十分な協議を尽くした上で計画の策定に当たるのが筋と考えます。既に関係市町村と県が対立構図になりつつあることを憂慮します。
 環境福祉委員会が請願者の願意を採択し、新しい経営計画案については、平成21年4月実施を一時凍結し、広範な協議を継続するという考え方に賛意を示します。地域医療の確保に関して、関係市町村や住民と地域包括的対策とするための協議を十分に深めることを優先すべきと考えます。
 12月4日の地元夕刊紙に、ある市の病院等改革推進委員のメンバーとなっている盛岡市の歯科医師が、このようなときだからこそ、自治体病院は数字だけでなくあらゆる角度から見直す必要がある。よきリーダーがいれば、まだまだ改善の余地があると意見を寄せておりました。私も、県立病院運営協議会や運営懇談会を通じて、県立病院にも地域医療に情熱を燃やす医師がいることを大変頼もしく感じたことがあります。
 県は、県立病院に働く医師の意見を前向きに反映する努力をすべきであります。この際、県立病院を中心として、県民に良質な医療を持続的に提供していくため、県立病院が、病院経営の安定化を中心とする観点だけでなく、知事が示す地域医療の確保に対して理念的な展望が持てる案となるよう、広範な協議を継続していくことを強く要望するものであります。
 以上で賛成討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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